説明

抗菌剤(Clostridium細菌用)及びその製造方法

【課題】クロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤を提供する。
【解決手段】クロストリジウム属(Clostridium)細菌用抗菌剤の用途として、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を使用する。これらの化合物は、クロストリジウム属の細菌としては、クロストリディウム ディフィシル(Clostridium difficile)及び/又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens)に特に選択性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤、医薬、治療方法、抗菌剤として用いる方法、及び抗菌剤の製造方法に係り、特にクロストリジウム属細菌に選択性があるクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤、医薬、治療方法、抗菌剤として用いる方法、及び抗菌剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病原性腸内細菌であるクロストリジウム属の細菌による感染症が問題となっている。
クロストリジウム属の細菌は、グラム染色で陽性となり、偏嫌気性で芽胞を形成するという特徴をもつ。また、クロストリジウム属の細菌には、ヒトや動物の腸内で常在菌として存在するものがあり、病原性の菌も存在する。この中で、特にクロストリディウム ディフィシル(Clostridium difficile、以下、C.difficileと記載する。)、又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens)による大腸炎等の感染症が問題となっている。
【0003】
ここで、健康な人の腸内には400種を超える腸内細菌が、バランスよく棲みついて「腸内フローラ(花畑)」を形成している。この「腸内フローラ」が正常に機能している環境では、C.difficileが感染しても増殖は抑制される。しかしながら、他疾患の治療等のために、抗菌スペクトルの広い抗菌剤を服用すると、消化吸収に役立っている腸内細菌も殺菌され、腸内フローラのバランスが崩れる。そして、元々大腸内にいた菌の交代等でC.difficileが異常増殖すると、大腸内部に毒素を生産して、重篤な下痢を引き起こすのみならず死に至ることもある。
また、米国やカナダ、欧州等の多くの先進国で、C.difficileに起因する院内感染は、重大な問題になっている。たとえば、米国だけでも、年間約70万例が発生しており、保険医療制度の費用は年間32億ドルに上っている。また、EU加盟国においても、関連する医療費が年間44億ドルと推定されている。
このC.difficileの感染症に対しては、殆どの抗菌剤が効果を示さず、僅かに治療薬としてバンコマイシン、メトロニダゾールが使われている。
バンコマイシン(Vancomycin)は、細菌の細胞壁合成酵素阻害作用を有するグリコペプチド系抗生物質であり、広い抗菌スペクトルで高い抗菌活性を有することが特徴である。また、メトロニダゾール(Metronidazole)は、ヘリコバクター・ピロリ菌に対する2次除菌療法の薬剤として認可された抗菌薬であり、C.difficile感染症に対しても使用される。
しかしながら、C.difficile感染症は罹患率・死亡率が高いことが特徴である。
我が国では、現在のところ、C.difficileの感染検査が行なわれていないものの、潜在的な感染者が多く存在すると考えられている。
【0004】
また、ウェルシュ菌も、ヒトや動物の腸内に生息する常在菌の一種である。ウェルシュ菌も、特に芽胞形成時に毒素を産生する。このため、肉を含む食材の再加熱が不十分な場合等に、大規模な食中毒の原因となることがある。
【0005】
ここで、従来のC.difficile用の抗菌剤として、特許文献1を参照すると、胃または腸に1ppm以上のホップ抽出物またはホップ抽出物成分を運んでC.difficileの増殖を阻害することを特徴とする技術が開示されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1のホップ抽出物によれば、ボツリヌス菌やC.difficileの増殖を阻害する抗菌剤を提供できる。
【0006】
また、非特許文献1及び2を参照すると、抗菌活性を示す公知のラクトン類が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−221064号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】戸田忠雄・徳永徹・大内田務・城谷堅一・中本隆夫、「ピロン誘導体の試験管内抗菌作用 化学療法剤の研究(第1報)」、CHEMOTHERAPY、日本、、MAR.1958、Vol.6、No.2、P.91〜95
【非特許文献2】並木満夫・野本正雄・山本和子・下瀬林太、ハイドロアシル醋酸及び同カルボン酸の合成並に抗菌性にする研究(第4報 その2)側鎖の伸長と抗菌性との関係に就て」、日本、日本農芸化学会東京支部例会、農業化学雑誌、昭和26年7月、26巻、、P.211〜218
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術1の抗菌剤は、C.difficile感染症に対して、有効な治療用の薬剤として使用するためには薬理活性が低かった。
また、C.difficile感染症に対しては、殆どの抗生物質等の抗菌剤が有効性を示さず、バンコマイシン、メトロニダゾールが使われているに過ぎなかった。しかしながら、服薬を止めたときの再発や薬剤耐性が大きな問題となっていた。
このため、新規なC.difficile感染症治療薬となる抗菌剤の開発が待望されていた。なお、非特許文献1及び2には、クロストリジウム属の細菌についての記載はない。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の抗菌剤は、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を含むクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤であることを特徴とする。
本発明の抗菌剤は、前記クロストリジウム属は、クロストリディウム ディフィシル(Clostridium difficile)及び/又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens)であることを特徴とする。
本発明の抗菌剤は、前記3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類が、式
【化1】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)ことを特徴とする。
本発明の抗菌剤は、前記3−アシルテトロン酸類は、式
【化2】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)ことを特徴とする。
本発明の抗菌剤は、前記3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類は、式
【化3】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)ことを特徴とする。
本発明の医薬は、前記抗菌剤を用いたことを特徴とするクロストリジウム属細菌用の大腸炎治療用の医薬であることを特徴とする。
本発明の非ヒト動物の大腸炎の治療方法は、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を投与することを特徴とする。
本発明の抗菌剤として用いる方法は、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物をクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤として用いる使用方法であることを特徴とする。
本発明の抗菌剤の製造方法は、4-ヒドロキシ-6-メチルピロン、テトロン酸、及び/又は4-ヒドロキシクマリンの1種を基質とし、有機溶媒中、アミン塩基存在下において、酸クロリド又は酸無水物と前記基質とを反応させ、0〜50℃で12〜24時間撹拌し、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を合成するクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤の製造方法であることを特徴とする。
本発明の抗菌剤の製造方法は、4-ヒドロキシ-6-メチルピロン、テトロン酸、及び/又は4-ヒドロキシクマリンを基質とし、有機溶媒中、縮合剤およびアミン塩基存在下において、カルボン酸と前記基質とを反応させ、0〜50℃で12〜24時間撹拌し、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を合成するクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クロストリジウム属の細菌に対して高活性であるが、他の腸内細菌に対しては比較的活性が低く、腸内フローラに影響を与えにくい選択性があるクロストリジウム属の細菌用の抗菌剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
上述のように、クロストリジウム属の細菌、特にC.difficileやウェルシュ菌に選択的で、腸内フローラのバランスを崩さない抗菌化合物は、非常に少なく我が国での認可例もなかった。
このため、本発明の発明者らは、鋭意実験・研究を行って、クロストリジウム属の細菌に対する抗菌活性評価を行なった。この結果、幾つかの公知ラクトン類が、病原性腸内細菌C.difficileやウェルシュ菌等に対する高い抗菌活性と、腸内細菌類における抗菌選択性があることを見出し、本発明を完成させた。これらの公知ラクトン類は、非特許文献1と2に記載されている化合物の数種である。
すなわち、本発明の実施の形態に係るクロストリジウム属の細菌に選択的な抗菌活性を有するラクトン化合物は、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類(3−Acyl−4−hydroxy−6−methylpyrone)、3−アシルテトロン酸類(3−Acyltetronic acid)、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類(3−Acyl−4−hydroxycoumarin)で表される化合物である。
すなわち、これらの化合物は、クロストリジウム属のC.difficileに対するin vitro抗菌活性評価において、汎用薬であるバンコマイシンと同等、又はより高活性であった。
具体的には、これらの化合物は、0.5μg/mL〜64μg/mL程度において、クロストリジウム属の菌選択性の効果が得られる。
【0014】
ここで、本発明の実施の形態に係る抗菌化合物の3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類は、下記の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
【0015】
【化4】

(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)。
【0016】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌化合物の3−アシルテトロン酸類は、下記の一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
【化5】

(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)。
【0017】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌化合物の3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類は、下記の一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
【0018】
【化6】

(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)。
【0019】
このように、上記の一般式(1)〜(3)における置換基であるRは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基を用いる。
この置換基であるRに炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基を用いることができる理由として、炭素数1の3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類がクロストリジウム属の細菌に選択的に抗菌作用を示すことを本発明者が見いだしたことが挙げられる。この上で、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基により極性が少なくなり、クロストリジウム属の細菌の細胞壁の代謝を阻害する等の作用を大きくするものと考えられる。炭素数が少なくなり4未満になると、脂溶性が減少して細菌内に取り込まれにくくなり、抗菌性が落ちると考えられる。また逆に、炭素数が大きくなりすぎると、脂溶性が大きくなり、融点や溶解度等に関する影響がでるため、細菌内に取り込まれにくくなり、抗菌性が落ちると考えられる。
この直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基の炭素数としては、上記の理由により炭素数4〜20がより好ましく、炭素数5〜18が更に好ましいことが実験的に分かっている。また、炭素数9〜18にて、クロストリジウム属の細菌、特にC.difficileやウェルシュ菌に対する抗菌活性及び選択性が最も高くなるという効果が得られる。このため、下記の実施例では炭素数が9及び13の例を示した。
つまり、本発明の実施の形態に係る上記の一般式(1)〜(3)に係る化合物は、クロストリジウム属の細菌に対して、汎用の治療薬であるバンコマイシンと同等以上に高活性となる。これに加えて、他の腸内細菌に対しては比較的活性が低く、腸内フローラに影響与えにくい選択性がある抗菌剤及び治療薬として使用できる。
【0020】
ここで、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、任意の製剤上許容しうる担体(例えば、生理食塩水、補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50等を挙げることができるが、それらに限定されない)と共に投与することができる。また、適切な賦形剤等を含んでもよい。
【0021】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、製剤上許容しうる担体を調製するために、適切な薬学的に許容可能なキャリアを含み得る。
このキャリアとしては、シリコーン、コラーゲン、ゼラチン等の生体親和性材料を含んでもよい。あるいはまた、種々の乳濁液であってもよい。
さらには、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を含有させてもよい。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、経口投与のための投与に適した投与形態において、当該分野で周知の製剤上許容しうる担体を用いて処方され得る。
本発明の実施の形態に係る医薬組成物の投与経路は、特に限定されないが、非経口的に投与することもできる。
非経口投与としては、例えば、静脈内、動脈内、皮下、真皮内、筋肉内または腹腔内の投与が挙げられる。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、偽膜性大腸炎等の重篤な大腸炎の治療に用いることができる。
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、抗癌剤等を含む各種治療により免疫力が低下した患者に対する抗生物質治療後の症例、院内感染を含む各種症例の治療に用いることができる。
【0024】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤を上述の治療に用いるために、投与間隔および投与量は、疾患の状況、さらに対象の状態などの種々の条件に応じて適宜選択および変更することが可能である。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤の1回の投与量および投与回数は、投与の目的により、更に患者の年齢および体重、症状および疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択および変更することが可能である。
投与回数および期間は、投与状態をモニターし、その状態により再度あるいは繰り返し投与を行う。
【0026】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、他の組成物等と併用することも可能である。また、他の組成物と同時に本発明の組成物を投与してもよく、また間隔を空けて投与してもよいが、その投与順序は特に問わない。
【0027】
また、本発明の実施の形態において、疾患が改善または軽減される期間は特に限定されない。しかしながら、一時的な改善または軽減であってもよいし、一定期間の改善または軽減であってもよい。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、ヒトに特に限定されるものではなく、例えば、家畜動物種、野生動物を含む。
このため、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、広く動物の治療、家畜の発育増進等の対象とすることができる。
また、疾病の予防や健康増進のため、健康食品のような食物、動物用の飼料、又は食餌に含ませることもできる。
【0029】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、食品、飼料、及び各種製品へ常法に従って添加することができる。この際の添加量は製品の種類に応じて適宜選択することができるが、製品の質量%当たりの濃度として0.5μg/mL〜64μg/mL程度において、クロストリジウム属の菌選択性の効果が得られる。
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、様々な形態で利用することができる。たとえば、食品、化粧品、清涼飲料、和菓子、洋菓子、清涼飲料水、うがい剤、手洗い用消毒剤、ウェットティッシュ、トイレタリー商品、消毒剤等に配合することができる。
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤の適用製品として、具体的には、食品包装材、食品保存容器、漬物類、畜肉製品、魚肉製品等の食品、家畜用の飼料、ペットフード等に用いることができる。
【0030】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤に、不適当でない限り、適宜添加剤を常法に従って配合することが可能である。
当該添加剤は、必ずしも一つだけではなく、幾つかのものを組み合わせて使用してもよく、製品の種類、組成、予想される汚染乃至腐敗原因微生物、pH、水分活性、要求される保存温度、保存期間等に応じて組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、本発明の実施の形態に係る抗菌剤は、熱や酸等に対して安定であり、食品を加熱することによって生存している菌数を減らし、さらに本発明の抽出物を含有する保存剤を使用することによって、効果的に保存性を高めることができる。特に、高温滅菌でも芽胞を形成して生存するクロストリジウム属の細菌に対しても、有効に抗菌活性を得ることができる。
【0032】
〔本発明の実施の形態に係る抗菌剤のラクトン化合物の製造方法〕
本発明の実施の形態に係るクロストリジウム属の細菌に選択的な抗菌活性を有するラクトン化合物である、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類は、市販品等にて入手可能な化合物を用いて、以下の合成方法(A)又は合成方法(B)により合成し製造することができる。
これらの合成方法により、非特許文献1、2より純度が高く、収量が多く、高品質な化合物を得ることが可能となる。
【0033】
合成方法(A):
基質に対して、有機溶媒中、アミン塩基存在下において、酸クロリド、又は酸無水物を作用させ、0〜50℃の温度範囲で12〜24時間撹拌することで合成される。
用いる有機溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩化アルカン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられ、好ましくはジクロロメタン、アセトニトリルを用いる。
用いるアミン塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等のピリジン類が挙げられ、より好ましくは4−(ジメチルアミノ)ピリジンを用いる。
【0034】
合成方法(B):
基質に対して、有機溶媒中、縮合剤およびアミン塩基存在下において、カルボン酸を作用させ、0〜50℃の温度範囲で12〜24時間撹拌することで合成される。
用いる有機溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩化アルカン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられ、好ましくはジクロロメタン、アセトニトリルを用いる。
用いる縮合剤としては、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の置換カルボジイミド類を使用することができ、より好ましくは、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N'−エチルカルボジイミド、及びその塩酸塩を使用する。
用いるアミン塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等のピリジン類が挙げられ、より好ましくは4−(ジメチルアミノ)ピリジンを用いる。
【0035】
各合成方法(A)と(B)とにおいて:
3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類は、4−ヒドロキシ−6−メチルピロンを基質として用いて合成することができる。
また、3−アシルテトロン酸類は、テトロン酸を基質として用いて合成することができる。
また、3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類は、4−ヒドロキシクマリンを基質として用いて合成することができる。
【実施例】
【0036】
次に本発明を実施例によりさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
【0037】
〔実施例1〕
3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類として、下記の式(I)の3−デカノイル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロンを合成して使用した。
この3−デカノイル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロンは、上記の実施の形態の一般式(1)において、置換基であるRとして炭素数9の直鎖状アルキル基を備える実施例である。
【0038】
【化7】

【0039】
(合成方法(A)での実施例1の化合物の製造方法)
4−ヒドロキシ−6−メチルピロン(100mg,0.79mmol、)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(145mg,1.18mmol 1.5equiv.)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、デカン酸無水物(284mg,0.87mmol,1.1equiv.)を室温で加えた。
室温で12時間撹拌した後、5%クエン酸水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20 mL)を用い抽出した。
得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を濃縮後、酢酸エチルーヘキサン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、3−デカノイル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン(137mg,62%)が白色固体として得られた。
なお、いずれの基質や試薬も、和光純薬工業株式会社製等の市販品を用いた。以下同様である。
【0040】
(合成方法(B)での実施例1の化合物の製造方法)
4−ヒドロキシ−6−メチルピロン(100mg,0.79mmol)、デカン酸(150mg,0.87 mmol,1.1equiv.)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(145mg,1.18mmol 1.5equiv.)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N'−エチルカルボジイミド(226mg,1.18mmol 1.5equiv.)を室温で加えた。
室温で12時間撹拌した後、5%クエン酸水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)を用い抽出した。
得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を濃縮後、酢酸エチルーヘキサン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、3−デカノイル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン(170mg,77%)が白色固体として得られた。
【0041】
実施例1の合成方法(A)又は(B)による3−デカノイル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロンについては、市販のNMRにて下記結果が得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ=0.88(t,3H,J=6.9 Hz),1.20−1.42(m,14H),1.58−1.80(m,2H),2.54(s,3H),2.82(t,2H,J=7.8Hz),5.71(s,1H)
【0042】
〔実施例2〕
3−アシルテトロン酸類として、下記の式(II)の3−デカノイルテトロン酸を合成して使用した。
この3−デカノイルテトロン酸は、上記の実施の形態の一般式(2)において、置換基であるRとして炭素数9の直鎖状アルキル基を備える実施例である。
【0043】
【化8】

【0044】
(合成方法(A)での実施例2の化合物の製造方法)
上記の実施例1の合成方法(A)と同様の製造方法にて、テトロン酸を基質として合成した。
【0045】
(合成方法(B)での実施例2の化合物の製造方法)
テトロン酸(100mg,1.00mmol)、デカン酸(190mg,1.10mmol 1.1equiv.)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(183mg,1.50mmol 1.5equiv.)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N'−エチルカルボジイミド(290mg,1.50mmol 1.5equiv.)を室温で加えた。
室温で12時間撹拌した後、5%クエン酸水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)を用いて抽出した。
得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。
乾燥後の溶液を濃縮後、酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、3−デカノイルテトロン酸(145mg,57%)が無色油状物質として得られた。
【0046】
実施例2の合成方法(A)又は(B)による3−デカノイルテトロン酸については、市販のNMRにて下記結果が得られた。
1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ=0.86(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.42(m,14H),1.60−1.78(m,2H),2.90(t,2H,J=7.6Hz),4.64(s,1H).
【0047】
〔実施例3〕
3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類として、下記の式(III)の3−デカノイル−4−ヒドロキシクマリンを合成して使用した。
この3−デカノイル−4−ヒドロキシクマリンは、上記の実施の形態の一般式(3)において、置換基であるRとして炭素数9の直鎖状アルキル基を備える実施例である。
【0048】
【化9】

【0049】
(合成方法(A)での実施例3の化合物の製造方法)
上記の実施例1及び実施例2の合成方法(A)と同様の製造方法にて、4−ヒドロキシクマリンを基質として合成した。
【0050】
(合成方法(B)での実施例3の化合物の製造方法)
4−ヒドロキシクマリン(100mg,0.62mmol)、デカン酸(117mg,0.68mmol 1.1 equiv.)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(114 mg,0.93mmol 1.5 equiv.)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N'−エチルカルボジイミド(180mg,0.93mmol 1.5 equiv.)を室温で加えた。
室温で12時間撹拌した後、5%クエン酸水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)を用い抽出した。
得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。
乾燥後の溶液を濃縮後、酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−デカノイル−4−ヒドロキシクマリン(170mg,87%)が白色固体として得られた。
【0051】
実施例3の合成方法(A)又は(B)による3−デカノイルテトロン酸については、市販のNMRにて下記結果が得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ=0.87(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.44(m,14H),1.62−1.78(m,2H),3.18(t,2H,J=7.5Hz),7.25−7.38(m,2H),7.67(dt,1H,J=1.8,8.1Hz),8.04(dd,1H,J=1.8,8.1Hz).
【0052】
〔実施例4〕
3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類として、下記の式(IV)の3−ミリスチリノイル−4−ヒドロキシクマリンを合成して使用した。
この3−ミリスチリノイル−4−ヒドロキシクマリンは、上記の実施の形態の一般式(3)において、置換基であるRとして炭素数13の直鎖状アルキル基を備える実施例である。
【0053】
【化10】

【0054】
(合成方法(A)での実施例4化合物の製造方法)
上記の実施例1、実施例2、及び実施例3の合成方法(A)と同様の製造方法にて、4−ヒドロキシクマリンを基質として合成した。
【0055】
(合成方法(B)での実施例4の化合物の製造方法)
4−ヒドロキシクマリン(100mg,0.62mmol)、ミリスチン酸(155 mg,0.68mmol 1.1equiv.)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(114mg,0.93mmol 1.5 equiv.)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、N−[3−(ジメチルアミノ)]プロピル−N'−エチルカルボジイミド(180mg,0.93mmol 1.5 equiv.)を室温で加えた。
室温で12時間撹拌した後、5%クエン酸水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)を用いて抽出した。
得られた有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。
乾燥後の溶液を濃縮後、酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−ミリスチリノイル−4−ヒドロキシクマリン(173 mg,75%)が白色固体として得られた。
【0056】
実施例4の合成方法(A)又は(B)による3−ミリスチリノイル−4−ヒドロキシクマリンについては、市販のNMRにて下記結果が得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ=0.86(t,3H,J=6.9Hz),1.08−1.47(m,22H),1.58−1.72(m,2H),3.14(t,2H,J=7.5Hz),7.25−7.38(m,2H),7.66(dt,1H,J=1.8,8.1Hz),8.02(dd,1H,J=1.8,8.1Hz).
【0057】
〔抗菌活性評価〕
(in vitro微量液体希釈法)
上記の実施例1、2、3、4の化合物について、in vitro微量液体希釈法による抗菌活性評価を行った。また、比較例1としてバンコマイシンを用いた。
このin vitro微量液体希釈法は、日本化学療法学会標準法で示された微量液体希釈法に従い行った(日本化学療法学会「微量液体希釈法によるMIC測定法(微量液体希釈法)」、Chemotherapy,1990、38、、p.102〜105、及び日本化学療法学会「微量液体希釈法によるMIC測定法(日本化学療法学会標準法)の一部修正」、Chemotherapy、1993、41、、p.183〜189を参照)。
この結果を、下記の表1に示す:
【0058】
【表1】

【0059】
ここで、表1のMIC値(mg/mL)が小さいほど、抗菌活性が高いことを示す。つまり、in vitro(生体外)での細菌の発育を阻止する最小の抗菌性物質濃度をMIC(minimum inhibitory concentration、最小発育阻止濃度)値という。
結果として、実施例1、2の化合物は、黄色ブドウ球菌、大腸菌には低活性であるが、C.difficileやウェルシュ菌を含むClostridium属に対しては高い活性を示し、菌選択性が見られた。特に、実施例1の化合物は、C.difficileに対してバンコマイシンを上回る活性を有していた。また、実施例2の化合物は、他の菌には影響が少なく、C.difficileに対してよりも著しく高い活性を示した。これらにより、腸内フローラの他の菌に影響を少なくして、C.difficileやウェルシュ菌の感染による治療に用いることができる抗菌剤を提供できる。
また、実施例3及び4の化合物は、黄色ブドウ球菌に対しても高い活性を有したが、C.difficileに対しより高い活性を有することが分かった。
【0060】
(in vitro寒天希釈法)
次に、上述の実施例1〜3の化合物を用いて、広範囲な腸内細菌株に対し、in vitro寒天希釈法による抗菌活性評価を行った。このin vitro寒天希釈法による抗菌活性評価は、日本化学療法学会標準法の示す測定法に基づいて行った(日本化学療法学会「寒天平板希釈法によるMIC測定法」、日本化学療法学会雑誌Vol.56,2008年1号(1月)、p.49〜57参照)。
寒天希釈法については、ABCM寒天培地(栄研製)を用い、37℃、20時間で行ない、嫌気性菌については嫌気培養を行なった。
この結果を、下記の表2に示す:
【0061】
【表2】

【0062】
この表2のMIC値は上述のin vitro微量液体希釈法と同様の値である。しかしながら、in vitro寒天希釈法の場合、in vitro微量液体希釈法より相対的に高い数字となることが知られている。
結果として、上述のin vitro微量液体希釈法と同様の傾向が得られた。すなわち、実施例1、2の化合物は、C.difficileやウェルシュ菌を含むクロストリジウム属の細菌に対する菌選択性が明らかであった。また、特に実施例2の化合物は、C.difficileに対する選択性があった。
また、実施例3の化合物は腸内細菌株に対し全体的に中程度の活性を示すが、C.difficileに対し高い活性を有していた。
【0063】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の抗菌剤は、クロストリジウム属の細菌に選択性の化合物を用いることで、治療法が少なかった感染症に用いることができ、産業上に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物
を含むクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤。
【請求項2】
前記クロストリジウム属は、クロストリディウム ディフィシル(Clostridium difficile)及び/又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens)である
ことを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム属細菌用の抗菌剤。
【請求項3】
前記3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類は、式
【化1】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクロストリジウム属細菌用の抗菌剤。
【請求項4】
前記3−アシルテトロン酸類は、式
【化2】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクロストリジウム属細菌用の抗菌剤。
【請求項5】
前記3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類は、式
【化3】

で表される(ただし、Rは、炭素数4〜30の直鎖状又は分岐鎖状又は環を形成していてもよいアルキル基である)
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクロストリジウム属細菌用の抗菌剤。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の抗菌剤を用いた
ことを特徴とするクロストリジウム属細菌用の大腸炎治療用の組成物。
【請求項7】
3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を投与する
ことを特徴とする非ヒト動物の大腸炎の治療方法。
【請求項8】
3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類で表される化合物、3−アシルテトロン酸類で表される化合物、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物をクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤として用いる方法。
【請求項9】
4-ヒドロキシ-6-メチルピロン、テトロン酸、及び/又は4-ヒドロキシクマリンの1種を基質とし、有機溶媒中、アミン塩基存在下において、酸クロリド又は酸無水物と前記基質とを反応させ、0〜50℃で12〜24時間撹拌し、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び/又は3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を合成する
ことを特徴とするクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤の製造方法。
【請求項10】
4-ヒドロキシ-6-メチルピロン、テトロン酸、及び/又は4-ヒドロキシクマリンを基質とし、有機溶媒中、縮合剤およびアミン塩基存在下において、カルボン酸と前記基質とを反応させ、0〜50℃で12〜24時間撹拌し、3−アシル−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン類、3−アシルテトロン酸類、及び3−アシル−4−ヒドロキシクマリン類で表される化合物を合成する
ことを特徴とするクロストリジウム属(Clostridium)細菌用の抗菌剤の製造方法。

【公開番号】特開2013−95719(P2013−95719A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241033(P2011−241033)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】