説明

抗酸化剤として有用な置換フェノールおよびチオフェノール

【課題】血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1のサイトカイン誘発発現を抑制するための医薬組成物、並びに慢性炎症性疾患を抑制するための医薬組成物を提供すること。
【解決手段】Xが水酸基で置換されていてもよいC5−C10の分岐アルキル又は分岐アルケニル基から選択され;Yがチオ、オキシまたはメチレン基であり;Zが水素または-C(O)-(CH2)m-Qであり、ここでQは水素または-COOHであり、mは整数1、2、3または4であり;R1はC1−C6アルキルであり;そして、R2、R3およびR4は相互に独立して水素またはC1−C6アルキルである式(1)の化合物またはその立体異性体を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冠動脈心臓疾患(CHD)は先進国における第1の死因となっている。CHD死亡率が近年減少しているにも関らず、CHDは米国で年間500,000件を超える死亡の原因となっている。直接および間接的にCHDで年間1000億ドルを超える費用が米国においてかかっていると推定される。CHDの主因は動脈血管壁内の脂質の沈着により特徴付けられ、血管流路の狭小化をもたらし、最終的には血管系を硬化させる疾患であるアテローム性動脈硬化症である。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化症はその主臨床合併症である虚血性心疾患において顕圧化し、動脈内皮の局所的損害に始まり、さらに中間層から内膜層への動脈平滑筋の増殖が起こり、脂質の付着と泡沫細胞の蓄積が患部に伴う。アテローム性動脈硬化プラークの発生に従い、血管の閉塞が進行し、最終的には虚血または梗塞に至る。従ってアテローム性動脈硬化症の進行の抑制方法の提供が、それを必要とする患者において望まれる。
【0003】
高コレステロール血症はCHDに関る重要な危険因子である。例えば1984年12月、National Institute of Health Consensus DevelopmentConference Panelは、血しょう中コレステロール濃度(特に低密度リポ蛋白コレステロールの血中濃度)の低下はCHDによる心臓発作の危険性を明らかに低下させると結論を下した。血しょうリポ蛋白は循環中の脂質の担体である。それらはその濃度により、キロミクロン、非常に低濃度のリポ蛋白(VLDL)、低濃度のリポ蛋白(LDL)および高濃度のリポ蛋白(HDL)に分類される。キロミクロンは主に、食品中のトリグリセリドおよびコレステロールの腸から脂肪組織および肝への輸送に関与する。VLDLは内因的に合成されたトリグリセリドを肝から脂肪組織および他の組織に向けて供給する。LDLはコレステロールを末梢組織に輸送し、これらの組織中の内因性コレステロール濃度を制御する。HDLはコレステロールを末梢組織から肝に輸送する。動脈壁のコレステロールはほぼ限定的にLDLに由来する(Brownand Goldstein, Ann. Rev. Biochem. 52, 223(1983);Miller, Ann. Rev.Med. 31, 97(1980))。LDL低濃度患者では、アテローム性動脈硬化症の発症は稀である。従って、高コレステロール血症を有するか、または高コレステロール血症を発症する危険性のある患者において、血しょう中コレステロールを低下させるための方法を提供することが望まれる。
【0004】
上昇したコレステロール濃度はまた、多くの疾患、例えば再狭窄、狭心症、脳動脈硬化症および黄色腫にも関与している。再狭窄、狭心症、脳動脈硬化症、黄色腫および高コレステロール値を伴う他の疾患状態にある、またはその危険のある患者において、血しょう中コレステロールを低下させるための方法を提供することが望まれる。
【0005】
血管細胞付着分子−1(VCAM-1)および細胞間付着分子−1(ICAM-1)は、サイトカイン類、例えばインターロイキン−1(IL-1)、インターロイキン−4(IL-4)および腫瘍壊死因子−α(TNF-α)により血管内皮細胞および平滑筋細胞において上方調節(upregulate)される免疫グロブリンのスーパーファミリーにおける付着分子である。適切なインテグリン対受容体との相互作用を介して、VCAM-1およびICAM-1は炎症応答における白血球の付着と経内皮移行を媒介する。VCAM-1および/またはICAM-1の抑制剤はアテローム性動脈硬化症、ぜん息、関節リューマチ、および自己免疫性糖尿病を含む多くの種類の慢性炎症性疾患に対して治療用途を有する。例えば患者のアテローム性動脈硬化プラークの系中のハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学的分析によれば非患部との比較において、より高い濃度の付着分子(VCAM-1およびICAM-1)がみとめられた。O'Brien, K.O.等,J. Clin. Invest. 92, 945-951(1993);Davies, M.J.等,J. Pathol. 171, 223-229(1993);Poston, R.N.等,Am. J. Pathol. 140, 665-673(1992)。アテローム形成性食揖により、ウサギの大動脈内皮細胞および血管平滑筋細胞でのVCAM-1の発現がアテローム内で誘発される。Poston, R.N.等,前出:Cybulsky. M.I.等,Science 251, 788-791(1991);Li, H.等,Arterioscler. Thromb. 13, 197-204(1993)。これらの過去の研究に基づけば、上昇したVCAM-1の発現は循環単球の患部への導入を介してアテローム性動脈硬化プラークの発生と生長に関与していると考えられる。
【0006】
更に、VCAM-1はぜん息、関節リューマチおよび自己免疫性糖尿病のような他の慢性炎症性疾患における媒介物質としても関与している。例えばVCAM-1およびICAM-1の発現はぜん息患者において増大することがわかっている。Pilewski, J.M.等,Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 12, 1-3(1995);Ohkawara, Y.等,Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 12, 4-12(1995)。また、VCAM-1およびICAM-1のインテグリン受容体(それぞれVLA-4およびLFA-1)をブロックすることによりアレルギー気道応答の卵白アルブミン感作ラットモデルにおいて早期および後期の双方の応答が抑制されている。Rabb, H.A.等,Am. J. Respir. Care Med. 149, 1186-1191(1994)。リューマチ滑膜の微細血管系においてもVCAM-1を含む内皮細胞付着分子の発現が増大している。Koch, A.E.等,Lab. Invest. 64, 313-322(1991);Morales-Ducret, J.等,Immunol. 149, 1421-1431(1992)。VCAM-1またはその対受容体VLA-4に対抗する中和抗体は疾患を自発的に発生するマウスモデル糖尿病発生(NODマウス)を遅延することができる。Yang, X.D.等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 10494-10498(1993);Burkly, L.C.等,Diabetes 43, 523-534 (1994);Baron, J.L.等,J. Clin. Invest. 93,1700-1708(1994)。VCAM-1に対するモノクローナル抗体もまた同種移植片拒絶の動物モデルにおいて有益な効果を有しており、VCAM-1発現の抑制剤が移植拒絶反応の防止において利用できる可能性を示唆している。Orocz,C.G.等,Immunol.Lett. 32, 7-12(1992)。
【0007】
VCAM-1は膜結合形態および可溶性形態の双方として細胞により発現される。VCAM-1の可溶性形態はin vitroの血管内皮細胞の走化性を誘発し、血管発生応答を刺激することがラット角膜において認められている。Koch,A.E.等, Nature 376, 517-519(1995)。可溶性VCAM-1の発現の抑制剤は腫瘍の生育および転移を含む強い血管発生要素を有する疾患の治療において潜在的な治療上の価値を有する。Folkman, J.およびShing, Y., J. Biol.Chem. 10931-10934(1992)。
【0008】
VCAM-1とICAM-1の双方のプロモーターはクローニングされ、特徴付けられている。例えば、双方のプロモーターは転写因子NF-kBに結合できる複数のDNA配列要素を含んでいる。Iademarco, M.F.等, J. Biol. Chem.267,16323-16329(1992);Voraberger, G.等, J. Immunol. 147, 2777-2786(1991)。転写因子のNF-kBファミリーは炎症患部内で上方調節される数種の遺伝子の調節の中心である。転写因子としてのNF-kBの活性化には原形質における抑制サブユニットIkBからの解離が関与している。NF-kBサブユニットは核に移動し、特定のDNA配列要素に結合し、VCAM-1およびICAM-1を含む数種の遺伝子の転写を活性化する。Collins T.等, Lab.Invest. 68, 499-508(1993)。
【0009】
VCAM-1遺伝子発現の調節は特定の還元酸化(redox)感受性の転写または転写後の調節因子を介して酸化性ストレスに関与すると推定されている。抗酸化剤ピロリジンジチオカルバメートおよびN−アセチルシステインは血管内皮細胞においてVCAM-1のサイトカイン誘発発現は抑制するがICAM-1に対しては抑制しない。Mauri, N.等, J. Clin. Invest. 92, 1866-1874(1993)。このことは抗酸化剤によるVCAM-1の発現の抑制にはICAM-1の発現の調節には関与しない何か別の因子が関与していることを示唆している。
2,6−ジ−アルキル−4−シリル−フェノールは1992年10月13日付与の米国特許5,155,250号においてParker等により抗アテローム性動脈硬化剤として開示されている。更に、2,6−ジ−アルキル−4−シリル−フェノールは1995年6月15日に公開されたPTC国際出願公開No. WO 95/15760において血清中コレステロール低下剤として開示されている。
【0010】
VCAM-1および/またはICAM-1の放出を制御し、VCAM-1および/またはICAM-1の媒介する作用を治療することは好都合である。また、抗炎症ステロイドおよび非ステロイド性抗炎症剤の使用に伴う副作用をもたらすことなく慢性の炎症を抑制または治療することは好都合である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は下記式:
【化1】

〔式中Xは下記:
【化2】

よりなる群から選択され;
Yはチオ、オキシまたはメチレン基であり;
Zは水素または-C(O)-(CH2)m-Qであり、ここでQは水素または-COOHであり、そしてmは1、2、3または4の整数であり;
R1はC1−C6アルキルであり;そして
R2、R3およびR4は相互に独立して水素またはC1−C6アルキルである〕の化合物またはその立体異性体を提供する。
【0012】
本発明はまた式(1)の化合物の抗酸化剤有効量をLDL脂質過酸化の抑制の必要な患者に投与することを包含する上記患者における上記抑制方法を提供する。
本発明はまた式(1)の化合物の血漿中コレステロール低下量を投与することによる血漿中コレステロール濃度の低下の必要な患者における上記低下方法を提供する。
本発明はまた式(1)の化合物の抗アテローム性動脈硬化量をアテローム性動脈硬化症の進行の抑制および/またはアテローム性動脈硬化症の治療の必要な患者に投与することを包含する上記患者における上記抑制および/または治療のための方法を提供する。
本発明は更にまた、式(1)の化合物の血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1抑制有効量を血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1のサイトカイン誘発発現を抑制することが必要な患者に投与することを包含する上記患者における上記抑制方法を提供する。
本発明は更にまた、式(1)の化合物の治療有効量を慢性炎症性疾患を有する患者に投与することを包含する上記患者の治療方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書においては、
a) 標記
【化3】

はページ面前方に突出する結合を示し;
b) 標記
【化4】

はページ面後方に突出する結合を示し;
c) 標記
【化5】

はアキラル分子間の結合または立体化学を特定しないキラル分子間の結合を示す。
【0014】
本明細書において「C1−C6アルキル」とは炭素原子1〜6個よりなる直鎖、分枝鎖または環状の飽和炭化水素基を指す。この用語の範囲に包含されるものは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等である。
【0015】
「立体異性体」という用語は空間内のその原子の方向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対する一般的用語である。これには鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(シス/トランス)異性体、および、相互に鏡像ではない不斉中心を1個より多く有する異性体(ジアステレオマー)が包含される。
【0016】
式(1)の化合物は当業者が良く知る操作法および技術を用いて製造できる。式(1)の化合物を製造するための一般的な合成スキームをスキームAに示すが、ここでは全ての置換基は特段の記載がない限り、前に定義したとおりである。
【化6】

【0017】
一般的に、構造1aのフェノールは、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドのような適当な非プロトン性溶媒中、または、水/2−ブタノンのような水性溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のような非親核塩基および適切なブロモアルカンのような構造3の適切なハロアルカンまたはハロアルケンに構造2の適切なアルキル−4−メルカプトフェノールまたはアルキルヒドロキノン(または適当に保護された誘導体)を反応させることにより製造できる。
【0018】
構造1bのフェノールエステルは標準的なアシル化方法に従って構造1aのフェノールをアシル化することにより製造できる。例えば、構造1aのフェノールをアセトニトリル、ジメチルホルムアミまたはジメチルアセトアミドのような適当な非プロトン性溶媒、または、ジエチルエーテルまたはジオキサンのようなエーテル系溶媒に溶解し、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムのような適当な塩基で処理する。次に過剰なO−アシル化剤を室温で添加し、1〜24時間室温で反応混合物を撹拌する。O−アシル化剤の例は、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、モノエチルスクシニルクロリド、無水コハク酸等である。次に生成物を抽出法およびフラッシュクロマトグラフィーのような当該分野で知られた方法で精製する。あるいは、水酸化ナトリウムのような適当な塩基で更に処理し、その後、塩酸のような適当な酸で酸性化し、その後、抽出およびフラッシュクロマトグラフィーを行なうことにより、構造1bのフェノールエステルを得ることができる。
【0019】
スキームAに記載した一般的な合成方法において使用する出発物質は、当業者が容易に得ることができる。例えば、Zが2,6−ジ−t−ブチル−4−メルカプトフェノールおよび2−t−ブチル−4−メルカプトフェノールのようなイオウである式(1)の種々の化合物のための特定のフェノール出発物質は、米国特許3,576,883号、米国特許3,952,064号、米国特許3,479,407号、米国特許4,975,467号、米国特許5,155,250号および日本国特許出願73-28425号に記載されている。式(1)の化合物のための他のフェノール出発物質には、トリメチルヒドロキノン、t−ブチル−1,4−ヒドロキノンおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンが包含され、これらは市販されている。
【0020】
(R)−(−)−シトロネリルブロミド、(S)−(+)−シトロネリルブロミド、1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタン、1−ブロモ−3−メチルブタンおよび4−ブロモ−2−メチル−2−ブテンのような構造3のハロアルカンおよびハロアルケンの出発物質は市販されている。
【0021】
Xが下記式:
【化7】

の部分である特殊な例においては、式(3a)または(3b):
【化8】

で示される構造3の適切な中間体を、メタンスルホニルクロリドを室温で撹拌しながら3−メチル−1,3−ブタンジオールまたはヒドロキシシトロネロール、臭化リチウム、2,4,6−コリジンおよびジメチルホルムアミドの混合物に添加することにより製造する。混合物を数日間撹拌し、水およびエーテルで希釈し、当該分野で知られた方法で抽出し、構造(3a)または(3b)の中間体を得る。
【0022】
構造2の化合物の1−フェノール官能基を反応条件下構造3の化合物と反応させる場合は、構造2の化合物の1−フェノール官能基は当該分野で知られた標準的なフェノールブロッキング剤でブロックしてよい。特定のブロッキング基の選択と利用は当業者が良く知るものである。一般的に、ブロッキング基は次合成段階で対象となるフェノールを十分保護し、所望の生成物の分解を起こさない条件下で容易に除去できるものを選択しなければならない。
【0023】
適当なフェノール保護基の例は、メトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、t−ブチルおよびベンジルのようなエーテル類;トリメチルシリルおよびt−ブチルジメチルシリルのようなシリルエーテル類;アセテートおよびベンゾエートのようなエステル類;メチルカーボネートおよびベンジルカーボネートのようなカーボネート類;並びに、メタンスルホネートおよびトルエンスルホネートのようなスルホネート類である。
【0024】
R1およびR2が各々t−ブチルである場合は、スキームAの反応は1−フェノール官能基をブロッキングすることなく好都合に行なって良い。
【0025】
以下に示す実施例はスキームAに記載した典型的な合成を示すものである。これらの実施例は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定する意図は全く無い。本明細書中では、“g”はグラム、“mol”はモル、“mmol”はミリモル、“l”はリットル、“ml”はミリリットル、“bp”は沸点、“℃”は摂氏、“mmHg”はミリメートル水銀柱、“mp”は融点、“mg”はミリグラム、“μM”はマイクロモル、“μg”はマイクログラム、“h”または“hrs”は時間、“min”は分を指す。
【実施例】
【0026】
実施例1
フェノール,2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(S)−
(MDL 103,294)
【化9】

2,6−ジ−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン(9.0g、40.5ミリモル)、炭酸カリウム(5.6g)、S−(+)−シトロネリルブロミド(8.9g、40.5ミリモル、Aldrich)およびアセトニトリル(150ml、アルゴン下脱気)を混合し、還流下に加熱し、アルゴン雰囲気下4日間撹拌した。混合物を水で冷却希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水で洗浄し、蒸発乾固させ、油状物(14.5g)を得た。油状物を球管(kugelrohr)中で蒸留した。出発物質(2.5g、130℃、0.1mmHg)を採取した後、他の画分を採取した。採取した別の画分(140〜165℃、0.1mmHg)から得られた油状物(11.7g)をシリカゲル上のクロマトグラフィー(クロロホルム)に付した。球管上で再蒸留(135〜150℃、0.1mmHg)し、明黄色油状物(11.4g)を得た。
元素分析値:
C24H40O2の計算値:C, 79.94; H, 11.18
測定値:C, 80.55; H, 11.17
【0027】
実施例2
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−
(MDL 103,649)
【化10】

t−ブチル−1,4−ヒドロキノン(4.2g、25.8ミリモル、Aldrich)、炭酸カリウム(3.5g)、S−(+)−シトロネリルブロミド(5.5g、25.1ミリモル)およびアセトニトリル(150ml、アルゴン下脱気)を混合し、還流下に加熱し、アルゴン雰囲気下4日間撹拌した。混合物を水で冷却希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水で洗浄し、蒸発乾固させ、油状物(7.9g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。出発物質(1.6g、120℃まで、0.1mmHg)を採取した後、他の画分を採取した。採取した別の画分(140〜165℃、0.1mmHg)から得られた油状物(5.8g)をシリカゲル上のクロマトグラフィー(クロロホルム)に付した。油状物を球管上で再蒸留(138〜170℃、0.1mmHg)し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(ヘキサン−CH2Cl2 3:1−1:1)に付した。得られた生成物を球管上で再蒸留(140〜150℃、0.1mmHg)し、最終蒸留(138〜150℃、0.1mmHg)することにより、標題化合物(0.4g)を得た。
元素分析値:
C20H32O2の計算値:C, 78.89; H, 10.60
測定値:C, 79.51; H, 10.44
【0028】
実施例3
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−, (S)−
(MDL 103,714)
【化11】

2−t−ブチル−4−メルカプトフェノール(8.0g、44ミリモル)、重炭酸カリウム(4.4g、44ミリモル)、炭酸カリウム(0.1g)、S−(+)−シトロネリルブロミド(9.6g、44ミリモル)およびイソプロパノール(150ml、アルゴン下脱気)を混合し、還流下に加熱し、アルゴン雰囲気下約0.5時間撹拌した。水・イソプロパノール共沸混合物を留去し、約24時間混合物を還流した。溶媒を留去(スチームバス)した。残存物を水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水およびブラインで洗浄し、蒸発乾固させ油状物(16.2g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。出発物質(3.5g、120℃、0.25-0.1mmHg)を採取した後に他の画分を採取した。採取した別の画分(130〜140℃、0.1mmHg)から得られた油状物(9.7g)を再蒸留(135〜160℃、0.1mmHg)し、無色油状物(9.4g)を得た。
元素分析値:
C20H32OSの計算値:C, 74.94; H, 10.06; S, 10.01
測定値:C, 75.40; H, 10.19
【0029】
実施例4
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
(MDL 103,960)
【化12】

2,6−ジ−t−ブチル−4−メルカプトフェノール(10.0g、41.9ミリモル)、R−(−)−シトロネリルブロミド(9.2g、8.3ml、41.9ミリモル)およびイソプロパノール(150ml、アルゴン下脱気)の混合物をアルゴン陽圧下室温で撹拌した。重炭酸カリウム(4.2g、41.9ミリモル)を添加し、混合物を一夜撹拌しながら還流した。イソプロパノールを留去し、アセトニトリル(〜100ml)を添加し、反応混合物を約1時間還流し、アセトニトリルを留去した。反応混合物を水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水およびブラインで洗浄し、シリカゲル/Na2SO4で濾過し、蒸発乾固させ明黄色の油状物(16.2g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。黄色の油状物画分(1.6g、120℃、0.25-0.1mmHg)を採取した後に他の画分を採取した。採取した別の画分(140〜165℃、0.1mmHg)から得られた無色油状物(13.9g)を球管上で再蒸留(140〜160℃、0.1mmHg)し、無色油状物(13.7g)を得た。
元素分析値:
C24H40OSの計算値:C, 76.53; H, 10.71
測定値:C, 76.42; H, 10.77
【0030】
実施例5
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
(MDL 104,102)
【化13】

ジ−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン(10.0g、45ミリモル)、ブロモ−3,7−ジメチルオクタン(10.0g、45ミリモル)、炭酸カリウム(6.22g、45ミリモル)およびアセトニトリル(200ml、アルゴン下脱気)を混合し、反応混合物の温度が82℃に達するまで、アルゴン雰囲気下撹拌しながら還流下に加熱し、溶媒を留去した。更に3日間反応混合物をアルゴン下還流した。混合物を水で冷却希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水で洗浄し、蒸発乾固させ油状物(16.6g)を得た。油状物を球管上で蒸留した。出発物質(5.0g、〜65〜110℃、0.1mmHg)を採取した後に、他の画分を採取した。採取した別の画分(135〜155℃、0.1mmHg)から得られた油状物(12.0g)をシリカゲル上のクロマトグラフィー(クロロホルム)に付した。油状物を球管上で再蒸留(138〜170℃、0.1mmHg)し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(CHCl3)に付し、油状物(11.7g)を得た。得られた生成物を再度球管上で蒸留(130〜145℃、0.1mmHg)し、得られた油状物(10.7g)を最終蒸留(130〜145℃、0.1mmHg)に付し、標題化合物(10.1g)を得た。
元素分析値:
C24H42O2の計算値:C, 79.50; H, 11.68
測定値:C, 80.24; H, 11.88
【0031】
実施例6
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−, (MDL 104,191)
【化14】

2−t−ブチル−ヒドロキノン(8.3g、0.05モル)およびジメチルアセトアミド(100ml)の混合物をアイスバス中アルゴン陽圧下撹拌した。水素化ナトリウム(2.0g、油中60%懸濁液、0.05モル)を添加し、反応混合物を1時間(および/またはH2発生停止まで)撹拌した。1−ブロモ−3,7−ジメチルオクタン(11.1g、0.05モル)を添加し、混合物を室温まで戻した。形成した沈殿を溶解させた(〜3時間)。暗茶色の混合物を一夜室温で撹拌し、水およびジエチルエーテルで希釈した。エーテル層を抽出し、洗浄し、蒸発乾固させ、茶色の半固体の生成物(16.4g)を得た。茶色の半固体の生成物を球管中で蒸留した。出発物質(3.4g、120℃まで、0.1mmHg)を採取した後に他の画分を採取した。採取した生成物画分(〜130〜155℃、0.1mmHg)から油状物(〜6.5g)を得た。別の生成物画分(150〜185℃、0.1mmHg)を採取し、油状物(〜4.1g)を得た。2つの生成物画分(〜6.5g+〜4.1g)を同じ例の前回実施分の別の生成物画分(〜4.6g)と合わせ、蒸発乾固させて油状物(〜15.5g)を得た。順次ヘキサン(500ml)、CCl4:ヘキサン(500ml、1:1)およびCCl4で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ワラ色の油状物(9.2g)を得た。ワラ色の油状物を球管中で蒸留し、標題化合物(7.9g、135〜150℃、0.1mmHg)を採取した。
【0032】
実施例7
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)チオ〕−,
(MDL 104,487)
【化15】

工程a:構造(3a)の製造
ヒドロキシシトロネロール(10.0g、57.4ミリモル)、臭化リチウム(10.0g、111.5ミリモル)、2,4,6−コリジン(7.0g、7.6ml、57.7ミリモル)およびジメチルホルムアミド(100ml)を混合し、室温で撹拌した。メタンスルホニルクロリド(6.6g、4.44ml、57.4ミリモル)を約5分間かけて添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。更に臭化リチウム(5.0g)、メタンスルホニルクロリド(4.4ml)および2,4,6−コリジン(7.6ml)を添加し、混合物を4日間撹拌した。混合物を水およびエーテルで希釈し、エーテル層を抽出し、飽和Cu(NO3)2および水で洗浄し、蒸発乾固させ、明黄色油状物として標題化合物(8.7g、37ミリモル)を得た。
工程b:MDL 104,487の製造
実施例7の工程aの生成物と2,6−ジ−t−ブチル−4−メルカプトフェノール(8.8g、37ミリモル)、重炭酸カリウム(3.7g、37ミリモル)およびイソプロパノール(100ml)の混合物を合わせ、還流下に加熱した。1時間混合物を還流し、反応混合物の温度が82℃に達するまで溶媒を留去させた。反応混合物を水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水およびブラインで洗浄し、シリカゲル/Na2SO4で濾過し、蒸発乾固させ、油状物(37.0g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。出発物質(〜100〜130℃、0.1mmHg)を採取した後に他の画分を採取した。採取した別の画分(160〜175℃、0.1mmHg)から残存物(13.8g)を得た。残存物を溶離剤として順次、CCl4、CCl4:CH2Cl2(1:1)そしてCH2Cl2を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色油状物として標題化合物(10.6g)を得た。
元素分析値:
C24H42O2Sの計算値:C, 73.04; H, 10.73
測定値:C, 73.19; H, 10.92
【0033】
実施例8
フェノール,2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
(MDL 104,535)
【化16】

2,6−ジ−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン(6.7g、30ミリモル)、R−(−)−シトロネリルブロミド(6.6g、6.0ml、30ミリモル)およびアセトニトリル(150ml、アルゴン下脱気)の混合物を室温で撹拌し、炭酸カリウム(4.2g、30ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン陽圧下に加熱還流し、一夜還流した。反応混合物を更に24時間還流し、ヨウ化カリウムを添加し、更に〜6時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出し、シリカゲル/Na2SO4で濾過し、蒸発乾固させて油状物(11.0g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。画分(10.8g、120〜130℃、0.1mmHgおよび150〜180℃、0.1mmHg)を採取し、油状物を球管中で再蒸留した。採取した別の画分(160〜175℃、0.1mmHg)から残存物(13.8g)を得た。出発物質(2.2g、120℃まで、0.1mmHg)および明黄色の油状物としての標題化合物(8.3g、135〜150℃、0.1mmHg)を採取した。
元素分析値:
C24H40O2の計算値:C, 79.94; H, 11.18
測定値:C, 79.96; H, 11.10
【0034】
実施例9
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
(MDL 105,411)
【化17】

2−t−ブチルヒドロキノン(7.0g、42ミリモル)、R−(−)−シトロネリルブロミド(9.2g、42ミリモル)およびアセトニトリル(150ml、真空下脱気)の混合物を室温で撹拌した。炭酸カリウム(5.8g、42ミリモル)を添加し、混合物を一夜アルゴン陽圧下撹拌しながら還流した。ヨウ化カリウム(2.0g)を添加し、還流を3日間継続した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出し、シリカゲル/Na2SO4で濾過し、蒸発乾固させて、油状物(13.0g)を得た。油状物を球管中で蒸留した。出発物質(1.3g、120℃まで、0.1mmHg)を採取した。採取した別の画分(140〜170℃、0.1mmHg)から得られた残存物(8.9g)を再蒸留し、採取(7.5g、140〜160℃、0.1mmHg)し、CHCl3を溶離剤とするシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油状物として標題化合物(7.1g)を得た。
元素分析値:
C20H32O2の計算値:C, 78.89; H, 10.60
測定値:C, 79.73; H, 10.86
【0035】
実施例10
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−
(MDL 107,059)
【化18】

2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ヒドロキノン(11.1g、50ミリモル)、S−(+)−シトロネリルブロミド(11.0g、50ミリモル)、炭酸カリウム(6.9g)およびアセトニトリル(150ml、アルゴン下脱気)の混合物を2日間撹拌しながら還流下に加熱した。ジメチルホルムアミド(〜15ml)およびヨウ化ナトリウム(〜0.5g)を添加し、一夜還流を継続した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出し、シリカゲル/Na2SO4で濾過し、蒸発乾固させて、油状物(19.2g)を得た。油状物をヘキサンと混合した。得られた沈殿を濾過した。濾液を蒸発乾固させ、残存物を球管中で蒸留した。出発物質(120℃まで、0.1mmHg)を採取した。別の画分(155〜180℃、0.1mmHg)を採取し、得られた油状物(9.2g)をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:CH2Cl2:4:1)で精製し、蒸発乾固させ、明るいワラ色の油状物(8.4g)を得た。明るいワラ色の油状物を球管中で再蒸留し、油状物として標題化合物(8.2g、150〜165℃、0.1mmHg)を得た。
元素分析値:
C24H40O2の計算値:C, 79.94; H, 11.18
測定値:C, 80.68; H, 11.08
【0036】
実施例11
ブタン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル
【化19】

ジメチルアセトアミド(100ml)中の実施例5の生成物(4.9g、13.5ミリモル)および水素化ナトリウム(油中60%を0.6g、15ミリモル)の混合物を1時間室温で撹拌した。反応混合物に撹拌しながらモノエチルスクシニルクロリド(2.46g、15ミリモル)を添加した。一夜室温で反応混合物を撹拌し、次いで、2時間90℃に加熱し、冷却した。混合物を水で希釈し、エーテルで抽出した。エーテル層を水で洗浄し、蒸発乾固させ、残存物を得た。残存物をメタノール(100ml)と合わせ、還流下に加熱した。水酸化ナトリウム(水20ml中1.0g)を添加し、反応混合物を30分間還流し、次に水で希釈し、冷却した。水性懸濁液を濃塩酸で酸性化し、混合物をエーテルおよびテトラヒドロフランで抽出した。有機層を分離し、蒸発乾固させ、得られた標題化合物をヘキサンから結晶化させた。
【0037】
実施例12
酢酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル, (S)−
【化20】

実施例1の生成物(6.02g、16.7ミリモル)、水素化ナトリウム(油中60%を0.67g、16.7ミリモル)およびジメチルアセトアミド(50ml)の混合物を30分間室温で撹拌した。反応混合物にゆっくりアセチルクロリド(2.6g、33.5ミリモル)を添加し、一夜反応を継続した。反応混合物を水およびエーテルで希釈し、層を分離させた。エーテル層を蒸発乾固させ、粗製の標題化合物を得た。球管中で蒸留し、再結晶させて標題化合物を得た。
【0038】
実施例13
酢酸, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル
【化21】

実施例9の生成物(4.67g、15.3ミリモル)、トリエチルアミン(3.04g、30ミリモル)およびエーテル(100ml)の混合物を室温で撹拌した。アセチルクロリド(2.4g、30ミリモル)を撹拌しながらゆっくり添加した。混合物を4時間撹拌し、水で希釈した。層を分離させ、有機層を蒸発乾固させ、残存物を得た。残存物を球管中で蒸留し、標題化合物を得た。
【0039】
実施例14
プロピオン酸, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル, (S)−
【化22】

エーテル(150ml)中の実施例10の生成物(7.21g、20ミリモル)、トリエチルアミン(2.53g、25ミリモル)の混合物を室温で撹拌した。プロピオニルクロリド(23g、25ミリモル)を添加し、混合物を一夜撹拌した。水およびエーテルを添加し、層を分離させた。有機層を蒸発させ、得られた油状物を球管中で蒸留した。残存物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を得た。
【0040】
実施例15
酪酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル
【化23】

エーテル(150ml)中の実施例4の生成物(7.53g、20ミリモル)、トリエチルアミン(2.53g、25ミリモル)の混合物を室温で撹拌した。ブチリルクロリド(2.66g、25ミリモル)を添加し、混合物を一夜撹拌した。水およびエーテルを添加し、層を分離させた。有機層を蒸発させ、得られた油状物を球管中で蒸留した。残存物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を得た。
【0041】
実施例16
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−
【化24】

トリメチルヒドロキノン(10.0g、66ミリモル、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee, WI 53233)、(S)−(+)−シトロネリルブロミド(14.47g、66ミリモル)、炭酸カリウム(9.12g、66ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(9.9g)およびアセトニトリル(150ml)の混合物を還流下に加熱し、5日間撹拌した。混合物を冷却し、水およびエーテルで希釈し、層を分離させた。有機層を蒸発乾固させ、油状物を得た。油状物を球管中で蒸留した。残存物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、再蒸留し、標題化合物を得た。
【0042】
実施例17
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−
【化25】

実施例16の上記反応生成物のクロマトグラフィーに次いで蒸留を行ない、標題化合物を得た。
【0043】
実施例18
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチル−2−ブテニル)チオ〕−,
【化26】

4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン(6.25g、41.9ミリモル)を用いて実施例4の方法により製造した。球管中で蒸留し、標題化合物を得た。
【0044】
実施例19
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチルブタン)オキシ〕−,
【化27】

1−ブロモ−3−メチルブタン(7.55g、0.05モル)を用いて実施例6の方法により製造した。球管中で蒸留し、標題化合物を得た。
【0045】
実施例20
酢酸, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル, (S)−
【化28】

工程a:4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノールの製造
アイスバス中のトリメチルヒドロキノン(15.2g、0.1モル)、トリエチルアミン(25.3g、0.25モル)およびエーテル(500ml)の混合物を撹拌した。撹拌しながらゆっくりアセチルクロリド(19.6g、0.25モル)を添加し、反応混合物を1時間室温に戻し、次に水で希釈し、層を分離させた。エーテル層を蒸発乾固させた。得られたジアセテートをメタノール(300ml)中に溶解した。濃水酸化アンモニウム(11ml)を添加し、混合物を一夜室温で撹拌した。減圧下に溶媒を留去し、残存物をエーテルに溶解した。エーテル層を水で洗浄し、蒸発乾固させた。ヘキサン−エーテルから再結晶させ、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール(16.7g、融点=106〜107℃)を得た。
工程b:酢酸, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル, (S)−の製造
4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール(8.1g、41.7ミリモル)、S−(+)−シトロネリルブロミド(9.14g、41.7ミリモル)、臭化リチウム(3.6g、41.7ミリモル)、炭酸カリウム(5.8g、41.7ミリモル)およびアセトニトリル(150ml)の混合物を3日間撹拌しながら還流下に加熱した。混合物を冷却し、水で希釈し、濃塩酸で酸性化し、エーテルに抽出した。エーテル層を蒸発乾固させ、残存物を得た。残存物を蒸留し、シリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標題化合物を得た。
【0046】
以下の化合物は上記実施例1〜20の操作法と類似の操作法により製造できる。
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(S)−
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(S)−
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(R)−
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,6−ジエチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(S)−
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
【0047】
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(S)−
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(R)−
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ジエチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,6−ジプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
フェノール, 2,6−ジプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(S)−
フェノール, 2,5−ジプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
フェノール, 2,5−ジプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール, 2,6−ジイソプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(S)−
【0048】
フェノール, 2,6−ジイソプロピル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(R)−
フェノール, 2,5−ジイソプロピル−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ジイソプロピル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(S)−
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(R)−
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
【0049】
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−,(R)−
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
(S)−
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,(R)−
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,3,5−トリメチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチル−2−ブテニル)チオ〕−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチル−2−ブテニル)チオール〕−,
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−〔(3−メチル−2−ブテニル)チオール〕−,
【0050】
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチルブチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−メチルブチル)オキシ〕−,
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)オキシ〕−,
酢酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,
酢酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,(R)−
酢酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,
酢酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(S)−
酢酸, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(R)−
酢酸, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル,
酢酸, 2,3,6−トリメチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル,
【0051】
プロピオン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,
プロピオン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,(R)−
プロピオン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,
プロピオン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(S)−
プロピオン酸, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(R)−
プロピオン酸, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル,
酪酸, 2,3,6−トリメチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル,
酪酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,
酪酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕フェニルエステル,(R)−
酪酸, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,
【0052】
ブタン酸, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(S)−
ブタン酸, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕フェニルエステル,(R)−
ブタン酸, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル,
ブタン酸, 2,3,6−トリメチル−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕フェニルエステル。
【0053】
Zがメチレンである式(1)の化合物の製造のための一般的な合成スキームをスキームBに示すが、ここでは特段の記載がない限り、全ての置換基は前に定義したとおりである。
【化29】

【0054】
一般的に、構造1cのフェノールは2工程の方法でスキームBに従って製造される。工程aでは、構造3の適切なハロアルカンまたはハロアルケンをエチルエーテルのような適当な非プロトン性溶媒中金属マグネシウムと反応させることにより、ハロゲン化マグネシウム塩を形成する。次にハロゲン化マグネシウム塩(グリニャール試薬)を構造4の適切なアルキル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(または適当に保護された誘導体)と反応させ、構造5のアルコールを得る。工程bでは、構造5のアルコールを当該分野で知られるとおり種々の還元の技術および操作法により構造1bの所望のフェノールに還元することができる。例えば、構造5のアルコールはこれを液体アンモニア中ナトリウムと反応させることによりBirch還元を用いて還元できる。
【0055】
構造1dのフェノールエステルはスキームAにおいて既に記載したとおり標準的なアシル化方法に従って、構造1cのフェノールをアシル化することにより製造できる。
スキームBに記載する一般的な合成方法で用いられる出発物質は標準的な技術および操作法に従って、容易に入手または製造できる。望ましくない副反応を防止することが必要な場合は、スキームBの構造4のアルキル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドの1−フェノール官能基は、スキームAにおいて前に記載したとおり標準的なフェノールブロッキング剤を用いて、グリニャール反応前にブロックすることができる。
以下に示す実施例はスキームBに記載した典型的な合成を示すものである。この実施例は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定する意図は全く無い。
【0056】
実施例21
フェノール, 2,3,6−トリメチル−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(R)−
【化30】

工程a:
マグネシウム粉末(240mg、10ミリモル)および無水エチルエーテルを不活性雰囲気下混合した。無水エチルエーテル中のS−(+)−シトロネリルブロミド(2.19g、10ミリモル)の溶液を添加した。金属マグネシウムが溶解するまで撹拌した。無水エチルエーテル中の2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.7g、10ミリモル)の溶液を添加した。反応が終了するまで撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和溶液を添加した。エーテル層を分離し、水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。蒸発させて構造5の適当な中間体とし、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。
工程b:
金属ナトリウム(520mg、22.6ミリモル)およびアンモニア液(13ml)を混合した。この溶液に、エチルアルコール(0.5g)およびエチルエーテル(5ml)中の実施例19工程aの中間体(3.04g、10ミリモル)の溶液を滴加した。青色が消失した後、水(13ml)を慎重に添加し、エチルエーテルで抽出し、乾燥(MgSO4)し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を得た。
あるいは、Zがメチレンである式(1)の化合物はスキームCに記載する操作法に従って製造できるが、ここで全ての置換基は特段の記載がない限り前に定義したとおりである。
【化31】

【0057】
一般的に、構造1bのフェノールを製造するには、まずエチルエーテルのような適当な非プロトン性溶媒中金属マグネシウムに構造3の適当なハロアルカンまたはハロアルケンを反応させることにより、ハロゲン化マグネシウム塩を形成する。次にハロゲン化マグネシウム塩(グリニャール試薬)を構造6の適当なアルキル−4−ヒドロキシ−ベンジルハライド(または適当に保護された誘導体)と反応させて構造1cの所望のフェノールとする。
構造1dのフェノールエステルは前にスキームAにおいて記載したとおり、標準的なアシル化方法に従って、構造1cのフェノールをアシル化することにより製造できる。
スキームCに記載した一般的合成法において使用する出発物質は、容易に入手できるか、または、標準的な技術および操作法に従って容易に製造できる。例えば、3,5−ジメチル−4−アセトキシ−ベンジルブロミドの製造はTetrahedron 33, 3097-103(1977)に記載されている。3,5−ジメチル−4−アセトキシ−ベンジルブロミドは標準的な加水分解法により相当するフェノール出発物質に変換できる。
望ましくない副反応を防止することが必要な場合は、スキームCの構造6のアルキル−4−ヒドロキシ−ベンジルハライドの1−フェノール官能基は、前にスキームAにおいて記載したとおり標準的なフェノールブロッキング剤を用いて、グリニャール反応前にブロックしてよい。
以下に示す実施例はスキームCに記載した典型的な合成を示すものである。これらの実施例は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定する意図は全く無い。
【0058】
実施例22
フェノール, 2,6−ジエチル−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(R)−
【化32】

マグネシウム粉末(240mg、10ミリモル)および無水エチルエーテルを不活性雰囲気下混合した。無水エチルエーテル中のS−(+)−シトロネリルブロミド(2.19g、10ミリモル)の溶液を添加した。金属マグネシウムが溶解するまで撹拌した。無水エチルエーテル中の4−ブロモメチル−2,6−ジエチルフェノール(2.43g、10ミリモル)の溶液を添加し、反応が終了するまで混合物を還流した。氷/塩酸混合物上に注ぎ込み、層を分離させた。エーテル層を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発させて、得られた標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。
【0059】
実施例23
酢酸, 2,6−ジエチル−4−〔(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−, (R)−
【化33】

エーテル(150ml)中の実施例20の生成物(6.05g、20ミリモル)、トリエチルアミン(2.53g、25ミリモル)の混合物を室温で撹拌した。アセチルクロリド(1.96g、25ミリモル)を添加し、混合物を一夜撹拌した。水およびエーテルを添加し、層を分離させた。有機層を蒸発させ、得られた油状物を球管中で蒸留した。シリカゲル上のクロマトグラフィー(クロロホルム)により標題化合物を得た。
【0060】
以下の化合物は上記実施例21〜23の操作法と類似の操作法により製造できる。
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(R)−
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(S)−
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(R)−
フェノール, 2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(S)−
ベンゼンオクタノール, 3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,
ベンゼンオクタノール, 3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(R)−,
ベンゼンオクタノール, 3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(S)−,
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,
【0061】
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(R)−
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(S)−
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(R)−,
フェノール, 2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(S)−,
ベンゼンオクタノール, 3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,
ベンゼンオクタノール, 3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(R)−,
ベンゼンオクタノール, 3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(S)−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(R)−,
【0062】
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル)−,(S)−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(R)−,
フェノール, 2−(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチルノニル)−,(S)−,
ベンゼンオクタノール, 3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,
ベンゼンオクタノール, 3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(R)−,
ベンゼンオクタノール, 3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−α,α,ε−トリメチル−,(S)−,
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−α,α,ε−トリメチル−,
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−α,α,ε−トリメチル−,(R)−,
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−α,α,ε−トリメチル−,(S)−,
【0063】
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル),
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル), (R)−,
ベンゼンオクタノール, 4−(アセトキシ)−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(4,8−ジメチル−7−ノネニル), (S)−。
【0064】
式(1)の化合物は種々の立体異性体型として存在できる。立体異性体構造を表示するための標準的な慣行に従って解釈した場合に上記構造式と矛盾しない全ての立体異性体型は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0065】
式(1)の好ましい化合物はZが水素、アセチルまたはスクシニル、好ましくは水素であり;R1がメチルまたはt−ブチルであり;R2およびR3が相互に独立して水素、メチルまたはt−ブチルであり;R4が水素またはメチルであるものである。より好ましい化合物は、
フェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−,
フェノール、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−,
フェノール、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−, (S)−,
フェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)チオ〕−,
フェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)オキシ〕−,
フェノール、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチルオクチル)チオ〕−,
フェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル)チオ〕−,
フェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (R)−,
フェノール、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, および
フェノール、2,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−〔(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ〕−, (S)−である。
【0066】
本明細書では、「患者」という用語は、慢性炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症の治療の必要な、または、血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1のサイトカイン誘発発現を抑制することが必要な、温血動物または哺乳類を指す。モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター、ウサギおよびヒトを含む霊長類が用語の意味の範囲に包含される患者の例である。
【0067】
アテローム性動脈硬化症はアテローム性動脈硬化症の患部またはプラークの発生と生育により特徴づけられる患者の状態である。アテローム性動脈硬化症の治療の必要な患者の特定は当該分野の通常の能力と知識の範囲内で十分行える。例えば、臨床的に明らかなアテローム性動脈硬化症を有するか、または、臨床的に明らかなアテローム性動脈硬化症の発症の危険性のある個体が、アテローム性動脈硬化症の治療の必要な患者である。当該分野の専門家である医師は、臨床試験、身体検査および既往歴/家族病歴に基づいて、個体がアテローム性動脈硬化症の治療の必要な患者であるかどうか容易に判断できる。
【0068】
式(1)の化合物の抗アテローム性動脈硬化有効量は、アテローム性動脈硬化症の発生または生育の抑制の必要な患者においてそのような抑制に有効な量である。即ち、アテローム性動脈硬化症を対象とした患者の良好な治療とは、アテローム性動脈硬化性の患部またはプラークの発生または生育を硬化的に遅延、妨害、停止または終止させることを包含し、必ずしもアテローム性動脈硬化症の完全な消失を意味しないものとする。更に当業者の知るとおり、アテローム性動脈硬化症の良好な治療とはアテローム性動脈硬化性の患部またはプラークの形成を防止する際の予防も包含するものとする。
【0069】
LDLコレステリルエステルおよびリン脂質の不飽和脂肪酸部分のようなLDL脂質の過酸化は、後に血管壁に付着し泡細胞に変換されるマクロファージ中のコレステロール付着を促進すると考えられている。LDL脂質の過酸化の抑制の必要な患者の特定は、当該分野の通
常の能力と知識の範囲内で十分行える。例えば、上記定義したとおりアテローム性動脈硬化症の治療の必要な個体はまた、LDL脂質過酸化の抑制の必要な患者でもある。式(1)の化合物の抗酸化有効量は、患者の血液中のLDL脂質の過酸化の抑制において有効である量である。
【0070】
高コレステロール血症は、当該分野の専門家により正常と考えられる範囲を超えて臨床的に顕著な量上昇した血清中コレステロールまたはLDLコレステロールの濃度により特徴づけられる疾患である。高コレステロール血症の治療の必要な患者の特定は、当該分野の通常の能力と知識の範囲内で十分行える。例えば、臨床検査で測定した場合に、当該分野の専門家により正常と考えられる範囲を超えて有意にそして慢性的に上昇した血清中コレステロール濃度またはLDLコレステロール濃度を有する個体が、高コレステロール血症の治療の必要な患者である。更に別の例として、高コレステロール血症を発症する危険性の有る個体もまた高コレステロール血症の治療の必要な患者で有り得る。当該分野の専門家である医師は、臨床試験、身体検査および既往歴/家族病歴に基づいて、高コレステロール血症を有する患者、および高コレステロール血症発症の危険性のある患者を容易に特定でき、従って、ある個体が高コレステロール血症の治療の必要な患者であるかどうか容易に判断できる。
【0071】
「慢性炎症性疾患」という用語は、特定可能な刺激源または微生物病原体の非存在下における持続性の炎症により特徴づけられる疾患または症状を指す。式(1)の化合物による治療が特に有用である炎症性疾患には、喘息、慢性炎症、関節リューマチ、自己免疫性糖尿病、移植拒絶反応および腫瘍脈管形成が包含される。式(1)の化合物の「治療有効量」とは、患者に単回または複数回投与することにより、慢性炎症性疾患に伴う症状の緩解を得るのに有効な量である。式(1)の化合物の「血管細胞付着分子−1および/または細胞間細胞付着分子−1の抑制有効量」とは、患者に単回または複数回投与することにより、血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1の媒介する状態に伴う症状の緩解を得るのに有効な量である。
【0072】
本明細書では、慢性炎症性疾患または血管細胞付着分子−1媒介状態の「症状の緩解」とは治療しない場合に予測される程度を超えて重症度が低下することを指し、必ずしも疾患の完全な消失または治癒を指すわけではない。症状の緩解には予防も含まれる。
式(1)の化合物の治療有効量または用量、抗酸化剤有効量または用量、血漿中コレステロール低下量または用量、抗アテローム性動脈硬化有効量または用量、あるいは、VCAM-1および/またはICAM-1抑制有効量を決定する際には、例えば、これらに限定されないが、哺乳類の種;その体格、齢および全身状態;関与する特定の疾患;疾患の関与の程度または重症度;患者個体の応答;投与する特定の化合物;投与方法;投与する製剤の生体利用性;選択される用量用法;併用薬剤の使用;および他の関連状況のような種々の要因を担当診断医は考慮する。
【0073】
式(1)の化合物の治療有効量、抗酸化剤有効量、血漿中コレステロール低下量、抗アテローム性動脈硬化有効量またはVCAM-1および/もしくはICAM-1抑制有効量は、一般的に約1mg/kg体重/日(mg/kg/日)〜約5g/kg体重/日(gm/kg/日)の範囲である。一日当たり用量約1mg/kg〜約500mg/kgが好ましい。
【0074】
本発明の化合物はVCAM-1および/またはICAM-1の発現の抑制剤である。本発明の化合物はサイトカインによるVCAM-1および/またはICAM-1の上方調節の抑制を介してその抑制作用を発揮し、これにより喘息、慢性炎症、関節リューマチ、自己免疫性糖尿病等を含む慢性炎症性疾患;アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症の症状を防止または緩解する。しかしながら本発明は最終用途における有効性を説明するための特定の理論や想定される機序に制限されない。
【0075】
患者の治療を行なう際には、式(1)の化合物を経口および非経腸の経路を含む、有効量で化合物が生体利用されるような何れかの形態または用法で投与できる。例えば、化合物は経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経鼻、肛門等に投与できる。経口投与が一般的に好ましい。製剤分野の専門家は、治療すべき疾患の状態、疾患の段階および他の関連状況に応じて適切な剤形と用法を容易に選択できる。Remington's PharmaceuticalSciences, 18th Edition, Mack Publishing Co. (1990)。
【0076】
式(1)の化合物は、選択された投与経路および標準的な製薬の慣行により比率や性質を決定される製薬上許容しうる担体または賦形剤に式(1)の化合物を混合することにより調製される医薬組成物または薬剤の形態で投与できる。
【0077】
医薬組成物または薬剤は製薬分野で知られた方法により調製する。担体または賦形剤は、活性成分のためのビヒクルまたは媒体として機能する固体、半固体または液体の物質であってよい。適当な担体または賦形剤は、当該分野で良く知られている。医薬組成物は経口または非経腸用途のためのものとしてよく、錠剤、カプセル、座薬、溶液、懸濁液等の形態で患者に投与してよい。
【0078】
医薬組成物は経口で、例えば不活性希釈剤とともに、または、食用担体とともに投与してよい。これらはゼラチンカプセル中に封入してよく、あるいは、圧縮して錠剤としてよい。治療用の経口投与の目的のためには、式(1)の化合物を賦形剤とともに配合し、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガム等の形態で使用してよい。これらの製剤は活性成分である式(1)の化合物少なくとも4%を含有すべきであるが、特定の剤形に応じて変化してよく、好都合には、投与単位の重量の4%〜約70%であってよい。組成物中に存在する活性成分の量は、投与に適する単位剤形が得られるようなものとする。
【0079】
錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等はまた、微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのようなバインダー;澱粉または乳糖のような賦形剤、アルギン酸、Primogel、コーンスターチ等のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑剤;および、スクロースまたはサッカリンのような甘味料等、1種以上の補助剤を含有してよく、またペパーミント、メチルサリチレートまたはオレンジフレーバーのようなフレーバー剤も添加してよい。単位剤形がカプセルである場合は、上記種類の物質の他に、ポリエチレングリコールまたは油脂のような液体担体も含有してよい。他の単位剤形は、例えばコーティングのような単位剤形の物理的形態を変える他の種々の物質を含有してよい。即ち、錠剤または丸剤は、糖、シェラックまたは他の腸溶性コーティング剤でコーティングしてよい。シロップは活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロースおよび特定の保存料、染料および着色料およびフレーバーも含有してよい。これらの種々の組成物を調製する際に使用する物質は医薬的に純粋であり、使用量において非毒性でなければならない。
【0080】
非経腸投与のためには、式(1)の化合物を溶液または懸濁液に配合してよい。これらの製剤は本発明の化合物少なくとも0.1%を含有しなければならないが、0.1〜約50重量%の範囲で変えてよい。そのような組成物中に存在する活性成分の量は、適当な用量が得られるようなものとする。
【0081】
溶液または懸濁液はまた、式(1)の化合物の溶解度および他の特性に応じて、注射用希釈水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン4酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝物質および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような毒性調節剤のような補助剤1種以上を含有してよい。非経腸製剤はガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複合用量バイアルに充填できる。
【0082】
実施例24
ヒト大動脈平滑筋細胞または増殖ヒト臍静脈内皮細胞における選択されたフェノール系抗酸化剤によるVCAM-1およびICAM-1のサイトカイン誘発発現の%抑制
Clonetics(San Diego, CA)より入手した増殖ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)またはヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)を、96穴プレート上ウエル当たり培地100μl中cm2当たり20000個の密度で播種した。2日間生育培地(EGMまたはSMGM2, Clonetics, San Diego, CA)中で培養した後、サイトカインまたは薬剤を添加した。サイトカイン+または−化合物を添加して20〜24時間の後に付着分子濃度を分析した。腫瘍壊死因子(Genzyme, Cambridge,MA)を培養物に対し500〜1000単位/mlの濃度で添加し、ICAM-1の発現を促進した。インターロイキン−4(GIBCO-BRL, Gaithersburg, MD)を培養物に対し100〜200pg/mlの濃度で添加し、VCAM-1の発現を促進した。(サイトカイン+化合物を別の96穴プレート上で連続希釈したもの100μlを細胞の入ったプレートに移すことにより添加を行った。エフェクター添加前には培養物の培地を交換しなかった。)培地を除去し、単層を2回Hanks緩衝生理食塩水(HBSS)で室温洗浄した。一次抗体(Upstate Biotechnology,Inc., Lake Placid, NYより入手した抗ヒトVCAM-1またはImmunotech,Inc., Westbrook, MEより入手した抗ヒトICAM-1)を各ウエル(HBSS+5%ウシ新生仔血清中1μg/ml、GIBCO-BRL, Gaithersburg, MD)に添加し、1時間37℃でインキュベートした。ウエルを2回HBSSで洗浄し、次にHBSS+5%ウシ新生仔血清中セイヨウワサビパーオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(BioRad, Hercules, CA)の1/1000希釈液100μlを各ウエルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。ウエルを3回HBSSで洗浄し、次にTMB基質(BioRad, Hercules, CA)100μlを各ウエルに添加した。青色が生じた後、1N H2SO4 50μlを添加することにより反応を停止した。プレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。
【0083】
表1はヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)を用いたVCAM-1およびICAM-1を抑制する本発明の選択された化合物の能力をまとめたものである。これらの実験では細胞を、VCAM-1発現を促進するためにはインターロイキン−4と、そしてICAM-1発現を促進するためには腫瘍壊死因子−αとともに同時インキュベートした。
【0084】
【表1】

【0085】
表2は増殖ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を用いたVCAM-1を選択的に抑制するか、または、VCAM-1とICAM-1の両方を抑制する本発明の種々の化合物の能力をまとめたものである。これらの実験では細胞を腫瘍壊死因子−αおよび指定化合物とともにインキュベートし、約20〜24時間後に細胞表面付着分子発現を調べた。
【0086】
【表2】

【0087】
これらの化合物のin vivoの活性はVCAM-1濃度上昇が関与すると推定される他の炎症モデルにおいても評価できる。喘息のような呼吸器疾患に関るそのようなモデルの一つは卵白アルブミン感作モデルである。Kung, T.T.等, Int. Arch. Allergy Immunol. 105, 83-90(1994)。この肺炎症モデルはIgE媒介であり(喘息患者の場合と同様)好酸球増加症を伴う。実験動物より得た気管支肺胞洗浄液(BAL)を、可溶性付着分子発現および白血球蓄積を含む種々のパラメーターに関して評価できる。付着分子の発現は実験動物の組織、特に肺の免疫組織化学的検査により評価できる。本発明の化合物の作用はVCAM-1発現の上方調節を制限し、BAL液内の好酸球の蓄積を抑制するものでなければならない。抑制剤は抗ICAM-1モノクローナル抗体に応答することが以前に報告されているアジュバント関節炎のラットモデルにおいて試験できる。Iigo, Y.等, J. Immunol. 147, 4167-4171(1991)。このモデルでは付着分子の発現は実験動物の四肢(関節)において評価できる。自己免疫性糖尿病に関しては、化合物のNODマウスモデルにおける疾患の発症遅延または受入的(adoptive)転移防止の能力について調べることができる。Heinke, E.W.等, Diabetes 42, 1721-1730(1993);Baron, J.L.等, J. Clin. Invest. 93, 1700-1708(1994)。更に、組織(例えば膵臓)内のVCAM-1の発現濃度、ならびに実験動物における糖尿病の発症もモニタリングできる。移植拒絶反応に対する治療能力は、心臓同種移植片の生存性をモニタリングすることにより評価できる(Balb/c心臓のC3H/Heレシピエントへの移植)。Isobe, M.等, J. Immunol. 153,5810-5818(1994)。抗VCAM-1および抗VLA-4モノクローナル抗体のin vivoの投与により、このマウスモデルにおいて心臓同種移植片および可溶性抗原に対する免疫抑制がもたらされる。腫瘍転移および血管発生に対する化合物の作用は種々のモデルにおいて評価できる。これらには実験的転移のためのB16(ネズミ)およびM24met(ヒト)黒色腫モデルが包含される。Fidler, I.J., Cancer Res. 35, 218-224(1975);Meuller, B.M.等,Cancer Res. 51, 2193-2198。化合物の活性は、発症する肺転移の数に対するその作用、並びに、マウス呼吸系モデルに関して上記したとおり肺におけるVCAM-1発現に対するその作用により評価できる。化合物を試験するために使用できる抗血管発生化合物の評価のためのモデルでは、マウスに皮下注射した基底膜蛋白と混合した血管発生因子の混合物に対する血管の応答のモニタリングを行なう。Passaniti, A.等, Lab. Invest. 67, 519-528(1992)。血管発生はマトリゲル(matrigel)に組み込まれた血管の数およびゲルのヘモグロビン含有量により評点する。付着分子の発現および白血球の蓄積は、上記実施例全ての場合と同様免疫組織化学的方法により測定できる。
【0088】
実施例25
コレステロール給餌雌性ニュージーランド白ウサギにおける式(1)の化合物の血中コレステロール低下作用および抗酸化作用
A.実験プロトコール
以下の方法で5回の独立した実験を行った。各試験では1対照群および1〜5群のMDL化合物投与群を設けた(群当たりN=5)。雌性ニュージーランド白ウサギ(Hazelton, 〜2.0〜2.3kg)に0.2%コレステロール強化ウサギ飼料(Purina#5322)を0.4%MDL化合物と合わせてまたは合わせずに与えた。MDL化合物は100%エタノール中に可溶化した。MDL混合物とともに飼料を噴霧し、化学蒸気フード内一夜乾燥させた。対照飼料はエタノールとともに噴霧した。ウサギには7日間に渡り一日当たり100gの飼料を与え(0.6% MDL 103,491は14日間与え);水は自由摂取させた。7日目に耳端部静脈から採血(〜2ml)した(一夜絶食後)。過剰二酸化炭素によりウサギを安楽死させた。総体重と肝重量をグラムで記録した。飼料はg/日/ウサギで記録した。新鮮血清アリコートを用いて、臨床検査、リポ蛋白コレステロール測定、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)および化合物と代謝産物の血清中濃度測定を行った。肝(〜5gずつ)は−20℃で凍結し、後に化合物と代謝産物の濃度を測定した。
【0089】
B.臨床検査
血液を30分間室温で凝固させた。GHローター付きBeckman GPKR遠心分離器中3000rpm 5℃で10分間遠心分離して血清を得た。総コレステロール(CHOL, kit #44334)およびトリグリセリド(TG, kit #44120)についてはRocheの診断試薬を用いてCOBAS MIRAの自動分析装置(Roche Diagnostics)により分析した。コレステロールとトリグリセリドはmg/dlで計算した。
【0090】
C.TBARSアッセイ
TBARSは試料中の脂質の酸化の定性的指標である。この試験ではCuSO4により血清中脂質の酸化を開始し、マロンジアルデヒド(MDA)のようなアルデヒドを形成させる。チオバルビツール酸とともにインキュベートすることによりアルデヒドの吸光度を530〜540nmで検出できる。TBARS値が対照血清値より低値である場合に化合物は相対的に酸化抑制能力を有する。測定は以下のとおり行った。血清50μlを0.9%生理食塩水50μlおよび5mMCuSO4溶液400μlと混合し、5時間37℃でインキュベートした。20%トリクロロ酢酸1.0mlを添加することにより反応を停止した。次に0.05N 水酸化ナトリウム中の0.67%チオバルビツール酸1.0mlを添加し、混合し、試料を90℃で30分間インキュベートした。試料を短時間遠心分離し、未溶解物を沈澱させ、上澄みを96穴マイクロプレートに移した。Biotek EL311型マイクロプレートリーダーを用いて540nmで吸光度を測定した。マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)から得た0〜10ナノモルのMDAの標準曲線をもとに、生成したMDAのナノモル数を計算した。投与ウサギの血清試料とMDA化合物を投与しない対照ウサギの血清試料を比較した。
【0091】
D.血清および肝中の化合物と代謝産物の濃度のHPLC定量
親化合物および代謝産物であるビスフェノールとジフェノキノンの血清中および肝中の濃度をWaters 990 Powerlineシステムを用いて逆相HPLCにより測定した。20〜30秒セッティング5でPolytronの組織ホモゲナイザーを用いて5.0ml PBS, pH7.4とともに肝(1グラム)をホモゲナイズした。血清または肝ホモジネートの抽出は以下のとおり行った。血清またはホモジネートの何れか100μlをジエチルエーテル:エタノール(3:1)2.0mlに添加し、その間試験管を回転撹拌した。試料の入った試験管をキャップしGH 3.7ローター付きのBeckman GPKR遠心分離器中3500rpm 5℃で10分間遠心分離した。上澄みを新しい試験管に移し、窒素下乾燥した。アセトニトリル:ヘキサン:0.1M 酢酸アンモニウム(90:6.5:3.5 v/v)200μlで試料を希釈再調製した。100μlをWaters Deltapak C18-300Åカラムに注入し、1.5ml/分の流量で83%アセトニトリル:17%水の移動相で溶離した。波長240, 254および420nmの吸光度を記録した。回収率補正後、親化合物標準物質既知量から化合物濃度を計算した。濃度はμg/ml血清およびμg/g肝として計算した。
【0092】
E.リポ蛋白サブフラクションコレステロールのHPLC分離定量
リポ蛋白画分(超低密度リポ蛋白VLDL, 低密度リポ蛋白LDLおよび高密度リポ蛋白)をWaters Powerline HPLCシステムに接続したセファロース6HR カラム(1×30cm, Pharmacia)上で分離した。血清(50μl)をカラムに注入し、0.5ml/分の流量でリン酸塩緩衝生理食塩水pH7.4で溶離した。カラム後溶離液に0.2ml/分でコレステロール試薬(Roche Diagnostics,kit #44334, 水20ml次いで0.9%生理食塩水20mlで希釈)を添加し、5分間37℃で編成PFTE Kratos/反応コイル(Applied Biosystems)中インキュベートした。500nmの吸光度を測定した。リポ蛋白サブフラクションは以下のとおり定量した。
(総血清中コレステロール)×(各サブフラクションの%曲線下面積)
以下に示す表3および4は本試験方法の個々の実験で得たデータをまとめたものである。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
実施例 26
雄性Sprague-Dawleyラットにおけるin vivoのスクリーニングによる式(1)の化合物の抗酸化活性と生体利用性の測定
A.実験プロトコール
典型的な実験ではラットを4〜6群(群当たりN=5)とし、1対照群ではMDL化合物を投与せず、他の群では0.3%MDL化合物を投与した。化合物の一部は0.3%で繰り返し投与するか、または0.1%の低用量で再評価した。ハウス雄性Sprague-Dawleyラット、50〜100g(Harlan Laboratories,Indianapolis, IN)を5群とし、水およびPurinaげっ歯類用飼料(#5002)を飼料混合物としてMDL化合物とともにまたは単独で4日間自由摂取させた。飼料混合物(0.3%)はMDL化合物1.2gをPurinaげっ歯類用飼料(#5002)400gと混合することにより調製した。乳鉢と乳棒を用いて飼料約50グラムをMDL化合物と混合した。これを残りの飼料に添加し、ロータリーミキサー中3時間混合した。5日目の朝に非絶食ラットを二酸化炭素で麻酔し、心臓穿刺により採血した。頸部切断により屠殺した。総体重と肝重量をグラムで記録した。摂餌量はg/日/ラットで記録した。死亡は死亡率で記録した。新鮮血清アリコートを用いて、臨床検査、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)および共役ジエンの測定を行った。血清アリコート(〜0.5ml)および全肝は−20℃で凍結し、後に化合物と代謝産物の濃度を測定した。
【0096】
B.臨床検査
血液を30分間室温で凝固させた。JS-4.2ローター付きBeckman J-6M/E遠心分離器中3000rpm 4℃で10分間遠心分離して血清を得た。新鮮血清の分析はRocheの診断試薬を用いてCOBAS MIRAの自動分析装置(RocheDiagnostics)により、以下の臨床検査値:アルカリホスファターゼ(ALP, kit #44553)、アラニントランスアミナーゼ(ALT, kit #42375)、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST, kit #42381)、総コレステロール(CHOL, kit #44334)、トリグリセリド(TG, kit #44120)およびグルコース(GLU, kit #44558)について分析した。ALP、ALTおよびASTは単位/lで計算した。コレステロール、トリグリセリドおよびグルコースはmg/dlで計算した。
【0097】
C.血清および肝中の化合物と代謝産物の濃度のHPLC定量
親化合物および代謝産物であるビスフェノールとジフェノキノンの血清中および肝中の濃度をWaters 990 Powerlineシステムを用いて逆相HPLCにより測定した。20〜30秒セッティング5でPolytronの組織ホモジナイザーを用いて5.0ml PBS, pH7.4とともに肝(1グラム飼料)をホモジナイズした。血清または肝ホモジネートの抽出は以下のとおり行った。血清またはホモジネートの何れか100μlをジエチルエーテル:エタノール(3:1)2.0mlに添加し、その間試験管を回転撹拌した。試料の入った試験管をキャップしGH 3.7ローター付きのBeckman GPKR遠心分離器中3500rpm 5℃で10分間遠心分離した。上澄みを新しい試験管に移し、窒素下乾燥した。アセトニトリル:ヘキサン:0.1M 酢酸アンモニウム(90:6.5:3.5 v/v)200μlで試料を希釈再調製した。次に100μlをWaters Deltapak C18-300Åカラムに注入し、1.5ml/分の流量で83%アセトニトリル:17%水の移動相で溶離した。波長240, 254および420nmの吸光度を記録した。回収率補正後、親化合物標準物質既知量から化合物濃度を計算した。濃度はμg/mlとして計算した。濃度はμg/ml血清およびμg/g肝として計算した。
【0098】
D.チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)アッセイ
この試験ではCuSO4により血清中脂質の酸化を開始し、マロンジアルデヒド(MDA)のようなアルデヒドを形成させる。チオバルビツール酸とともにインキュベートすることによりアルデヒドの吸光度を530〜540nmで検出できる。前記実施例に記載のとおり、TBARS値が対照血清値より低値である場合に被験化合物は相対的に試料中脂質酸化の抑制能力を有する。TBARS測定は以下のとおり行なった。血清100μlを5mmol CuSO4溶液400μlと混合し、3時間37℃でインキュベートした。20%トリクロロ酢酸1.0mlを添加することにより反応を停止した。次に0.05N 水酸化ナトリウム中の0.67%チオバルビツール酸1.0mlを添加し、混合し、試料を90℃で30分間インキュベートした。試料を短時間遠心分離し、未溶解物をペレット化し、上澄みを96穴マイクロプレートに移した。Biotek EL311型マイクロプレートリーダーを用いて540nmで吸光度を測定した。マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)から得た0〜10ナノモルのMDAの標準曲線をもとに、生成したMDAのナノモル数を計算した。投与ラットの血清試料とMDA化合物を投与しない対照ラットの血清試料を比較した。
【0099】
E.共役ジエンの測定
共役ジエン遅延期は脂質酸化の別の指標となる。Cu++に曝露された脂質は230〜235nmの範囲でUV光を吸収する共役ジエンを形成する。ジエン形成の遅延期は支出酸化量の指標となる。対照試料より長い遅延期は酸化の抑制があったことを示す。30℃でVarian DMS200分光分析器(恒温槽、5キュベット試料交換器付き)を用いて共役ジエン遅延期を測定した。リン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.5)3.0mlの入ったキュベットにプール血清20μlを添加し、混合した。全キュベットの吸光度を測定し、最低吸収試料を用いて機器のベースラインをゼロ設定した。次に1mmol CuSO4 100μlを添加し、即座に混合した。各キュベットの吸光度を2分間隔で840分間に渡り記録した。得られたデータをMicrosoft EXCELスプレッドシートに取り込み、曲線を平滑化し、差を求めた。遅延時間を分として数学的に求めた。血清試料をプール(N=5)し、データは2測定の平均値として表示した。投与ラットの血清試料とMDL化合物を投与しない対照ラットの血清試料を比較した。
以下に示す表5、6および7は、本試験方法の個々の実験で得たデータをまとめたものである。表5は雄性Sprague-Dawleyラットの血清検査値を、表6は供試動物のパラメーターを、そして表7は血清中および肝中の薬剤または代謝産物の濃度を示す。
【0100】
【表5】

【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
【表8】

【0103】
実施例27
コレステロール給餌雌性ニュージーランド白ウサギにおける式(1)の化合物の抗アテローム性動脈硬化作用
A.実験プロトコール
4回の独立した実験を行った。各実験では1対照群および1〜5群のMDL化合物投与群を設けた(群当たりN=5)。雌性ニュージーランド白ウサギ(Hazelton, 〜2.0〜2.3kg)に1%コレステロール強化ウサギ飼料(Purina #5322)を0.4%MDL化合物と合わせてまたは合わせずに与えた。MDL化合物は100%エタノール中に可溶化し、飼料上に噴霧し、化学蒸気フード内一夜乾燥させた。あるいは、MDL化合物をPurinaを用いてウサギ飼料中に配合した。対照飼料はエタノールとともに噴霧した。ウサギには70日間に渡り一日当たり100gの飼料を与え、水は自由摂取させた。定期的にウサギ(一夜絶食後)耳端部静脈から採血(〜2ml)し、血清中のコレステロール濃度をモニタリングした。70日目に過剰二酸化炭素によりウサギを安楽死させた。総体重と肝重量をグラムで記録した。摂餌量はg・日-1で記録した。新鮮血清小量を用いて、臨床検査、リポ蛋白コレステロール測定、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)および化合物と代謝産物の血清中濃度測定を行った。肝(〜5gずつ)は−20℃で凍結し、後に化合物と代謝産物の濃度を測定した。
各ウサギ屠殺直後に大動脈を摘出した。余分な脂肪組織を浄化除去した後に上行湾部から腸骨分岐にかけて大動脈を切りとった。大動脈を一夜リン酸塩緩衝生理食塩水pH7.4中に4℃で保存し、最終浄化を行った。大動脈を縦方向に切断し、スダンIVで染色した。染色後、大動脈を平坦にしてピンで止め、像を電子的に取り込んだ後、スダン液親和性の患部の面積を定量した。
【0104】
B.臨床検査
血液を30分間室温で凝固させた。GH3.7ローター付きBeckman GPKR遠心分離器中3000rpm
5℃で10分間遠心分離して血清を得た。新鮮血清の総コレステロール(CHOL, kit #44334)およびトリグリセリド(TG, kit#44120)は、Rocheの診断試薬を用いてCOBA MIRA Sの自動分析装置(RocheDiagnostics)により分析した。コレステロールとトリグリセリドはmg/dlで計算した。
【0105】
C.TBARSアッセイ
CuSO4を用いて血清中脂質の酸化を開始し、マロンジアルデヒド(MDA)のようなアルデヒドを形成させる。チオバルビツール酸とともにインキュベートすることによりアルデヒドの吸光度を530〜540nmで検出する。TBARSの測定は以下のとおり行った。血清50μlを0.9%生理食塩水50μlおよび5mM CuSO4溶液400μlと混合し、5時間37℃でインキュベートした。20%トリクロロ酢酸1.0mlを添加することにより反応を停止した。次に0.05N水酸化ナトリウム中の0.67%チオバルビツール酸1.0mlを添加し、混合し、試料を90℃で30分間インキュベートした。試料を短時間遠心分離し、未溶解物をペレット化し、上澄みを96穴マイクロタイタープレートに移した。Biotek EL311型マイクロプレートリーダーを用いて540nmで吸光度を測定した。マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)から得た0〜10ナノモルのMDAの標準曲線をもとに、生成したMDAのナノモル数を計算した。投与ウサギの血清試料とMDA化合物を投与しない対照ウサギの血清試料を比較した。
【0106】
D.血清および肝中の化合物と代謝産物の濃度のHPLC定量
親化合物および代謝産物であるビスフェノールとジフェノキノンの血清中および肝中の濃度をWaters 990 Powerlineシステムを用いて逆相HPLCにより測定した。20〜30秒セッティング5でPolytronの組織ホモジナイザーを用いて5.0ml PBS, pH7.4とともに肝(1グラム)をホモジナイズした。血清または肝ホモジネートの抽出は以下のとおり行った。血清またはホモジネートの何れか100μlをジエチルエーテル:エタノール(3:1)2.0mlに添加し、その間試験管を回転撹拌した。キャップし、試料の入った試験管をGH 3.7ローター付きのBeckman GPKR遠心分離器中3500rpm 5℃で10分間遠心分離した。上澄みを新しい試験管に移し、窒素下乾燥した。アセトニトリル:ヘキサン:0.1M 酢酸アンモニウム(90:6.5:3.5 v/v)200mlで試料を希釈再調製した。次に100μlをWaters Deltapak C18-300Åカラムに注入し、1.5ml/分の流量で83%アセトニトリル:17%水の移動相で溶離した。波長240, 254および420nmの吸光度を記録した。回収率補正後、親化合物標準物質既知量から化合物濃度を計算した。濃度はμg/ml血清およびμg/g肝として計算した。
【0107】
E.リポ蛋白サブフラクションコレステロールのHPLC分離定量
VLDL, LDLおよびHDLのリポ蛋白画分をWaters Powerline HPLCシステムに接続したセファロース6HR カラム(1×30cm, Pharmacia)上で分離した。血清50μlをカラムに注入し、0.5ml/分の流量でリン酸塩緩衝生理食塩水pH7.4で溶離した。カラム後溶離液に0.2ml/分でコレステロール試薬(Roche Diagnostics, kit #44334, 水20ml次いで0.9%生理食塩水20mlで希釈)を添加し、5分間37℃で編成PFTE Kratos反応コイル(AppliedBiosystems)中インキュベートした。500nmの吸光度を測定した。リポ蛋白サブフラクションは以下のとおり定量した。
(総血清中コレステロール)×(各サブフラクションの%曲線下面積)
【0108】
更にまた式(1)の化合物は、例えばゴム、プラスチック、脂肪、石油製品等のような酸化的分解が通常起こる有機物中の化学的抗酸化添加剤として使用できる。一般的に、保護すべき物質の酸化的分解を抑制するために十分な濃度である保存料としての量の式(1)の化合物を酸化を起こす物質に添加混合する。式(1)の化合物の保存料としての量は一般的に約0.01〜約1.0重量%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

〔式中Xは下記:
【化2】

よりなる群から選択され;
Yはチオ、オキシまたはメチレン基であり;
Zは水素または-C(O)-(CH2)m-Qであり、ここでQは水素または-COOHであり、そしてmは1、2、3または4の整数であり;
R1はC1−C6アルキルであり;そして
R2、R3およびR4は相互に独立して水素またはC1−C6アルキルである〕
の化合物またはその立体異性体を含む、血管細胞付着分子−1および/または細胞間付着分子−1のサイトカイン誘発発現を抑制するための医薬組成物。
【請求項2】
下記式:
【化3】

〔式中Xは下記:
【化4】

よりなる群から選択され;
Yはチオ、オキシまたはメチレン基であり;
Zは水素または-C(O)-(CH2)m-Qであり、ここでQは水素または-COOHであり、そしてmは1、2、3または4の整数であり;
R1はC1−C6アルキルであり;そして
R2、R3およびR4は相互に独立して水素またはC1−C6アルキルである〕
の化合物またはその立体異性体を含む、慢性炎症性疾患を抑制するための医薬組成物。
【請求項3】
炎症性疾患が、ぜん息、慢性炎症、関節リューマチ、自己免疫性糖尿病、移植拒絶反応、または腫瘍脈管形成である請求項2の医薬組成物。

【公開番号】特開2009−132710(P2009−132710A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295012(P2008−295012)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【分割の表示】特願平10−523639の分割
【原出願日】平成9年10月7日(1997.10.7)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】