説明

抗CD40抗体の使用

本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態の治療における抗CD40抗体の新たな使用に関する。本発明は特に、(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法を既に受けている患者の治療に有用である。本発明者らは、(i)抗CD40抗体ならびに(ii)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(CHOP)による併用療法がインビボにおいて予期せぬ強力な治療効果を生じることを発見した。本発明者らは、これら2種類の療法の併用効果がそれぞれの療法の個々の効果の合計よりも大きく、すなわち、抗CD40抗体(例えば、HCD122)とCHOPの併用は相乗的治療効果をもたらし得ることを発見した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態の治療における抗CD40抗体の新たな使用に関する。本発明は特に、(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法を既に投与されている患者の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
CD40は、正常および腫瘍性両方のヒトB細胞の表面上に存在する50〜55kDaの細胞表面抗原である。B細胞系統の腫瘍由来の悪性B細胞は、CD40を発現し、生存および増殖に関してCD40シグナル伝達に依存するようである。低および高悪性度B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病およびホジキン病を有する患者由来の形質転換細胞は、CD40を発現する。CD40発現はまた、急性骨髄芽球性白血病およびAIDS関連リンパ腫の50%において検出される。
【0003】
抗CD40抗体およびその使用は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11および特許文献12として公開された共有国際特許出願に開示されている。これらの出願では特に、ヒトIgG重鎖遺伝子座およびヒトκ軽鎖遺伝子座を有するトランスジェニックマウス(XenoMouse(登録商標)technology;Abgenix、California)を免疫処置することによって生成されたCHIR−12.12(しかし、現在ではHCD122として公知である)とその中で命名されているヒトIgG抗CD40モノクローナル抗体が開示されている。これらの出願はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態を治療するための抗CD40抗体、例えば、HCD122の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/044294号
【特許文献2】国際公開第2005/044304号
【特許文献3】国際公開第2005/044305号
【特許文献4】国際公開第2005/044306号
【特許文献5】国際公開第2005/044307号
【特許文献6】国際公開第2005/044854号
【特許文献7】国際公開第2005/044855号
【特許文献8】国際公開第2006/073443号
【特許文献9】国際公開第2006/125117号
【特許文献10】国際公開第2006/125143号
【特許文献11】国際公開第2007/053661号
【特許文献12】国際公開第2007/053767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いかなる単一の治療薬も患者に利益をもたらすことができるが、毒性を抑え、治療結果を高めるために、さらなる方法が必要である。さらに、上記疾患または状態は、初期の抵抗性または治療中に発達する抵抗性のいずれかの結果として、単一薬剤療法による治療に難治性になり得ることが多い。したがって、単一薬剤療法と比較して治療を改善できる併用療法を発見することには非常に関心が持たれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための方法を提供する。この方法には、(i)抗CD40抗体ならびに(ii)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(CHOP)による併用療法が関与する。本発明者らは、これら2種類の公知の療法の併用投与がインビボにおいて予期せぬ強力な治療効果を生じることを発見した。本発明者らは、これら2種類の療法の併用効果がそれぞれの療法の個々の効果の合計よりも大きく、すなわち、抗CD40抗体(例えば、HCD122)とCHOPの併用は相乗的治療効果をもたらし得ることを発見した。理論に拘束されることは望まないが、本発明者らは、この予期せぬ強力な治療効果は、抗CD40抗体がNF−kB活性を下方制御し、かつ/またはCD40Lによって誘導される接着分子の発現を阻害することによって、B細胞をCHOP細胞毒性に感作させる抗CD40抗体の能力から生じるものと考える。
【0007】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療する方法であって、前記患者に抗CD40抗体と組み合わせてシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(CHOP)を投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】RL DLBCL異種移植モデルにおいて様々な治療によってもたらされた抗腫瘍活性の試験結果を例示した図である(実施例1参照)。
【図2】SU−DHL−4細胞に対するCHOP細胞毒性に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【図3】RLおよびSU−DHL−4細胞株におけるNFkBシグナル伝達に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【図4】RL細胞における特定の細胞表面接着分子の発現に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【図5】SU−DHL−4細胞における特定の細胞表面接着分子の発現に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【図6−1】SU−DHL−4細胞のインビトロにおける凝集に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【図6−2】SU−DHL−4細胞のインビトロにおける凝集に対するCD40LおよびHCD122の効果の試験結果を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一部の実施形態では、抗CD40抗体(本明細書では、「抗体療法」)ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(CHOP、本明細書では「化学療法」)を同時に患者に投与する。これらの実施形態では、抗体療法は化学療法と正確に同時に患者に投与することができる(すなわち、2種類の療法は同時に投与される)。あるいは、抗体療法は、化学療法とほぼ同時に(すなわち、2種類の療法は正確に同時には投与されない)、例えば、医師またはその他の医療従事者の、その患者への同一訪問の間に投与することができる。
【0010】
他の実施形態では、抗体療法および化学療法は患者に同時には投与しないが、いずれかの順番で順次(連続)投与する。これらの実施形態では、本発明の方法は、抗CD40抗体の最初の用量を患者に投与する前に、患者に化学療法の最初のサイクルを投与することを含んでもよい。あるいは、この方法は、抗CD40抗体の最初の用量を患者に投与した後で、患者に化学療法の最初のサイクルを投与することを含んでもよい。抗体療法および化学療法を順次に投与する実施形態では、必須ではないが、両方の療法が同時に患者に治療効果を発揮する様な方法で(すなわち、各療法が効果的である期間が重複してもよい)療法を投与してもよい。
【0011】
したがって、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療する方法であって、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の投与前、投与中、または投与後に前記患者に抗CD40抗体を投与することを含む方法を提供する。シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の使用について本明細書で言及する場合は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、または4つ全ての使用について言及する。
【0012】
抗CD抗体の最初の用量を投与する前に化学療法の最初のサイクルを患者に投与する実施形態では、化学療法の最初のサイクルは、抗CD40抗体の最初の用量を患者に投与する約1週間から約1年、約1週間から約10カ月、約1週間から約8カ月、約1週間から約6カ月、約1週間から約4カ月、約1週間から約2カ月、約1週間から約1カ月、約1週間から約3週間、約1週間から約2週間、または約1週間前に投与してもよい。言い換えると、抗体療法は、化学療法の最初のサイクルの約1週間から約1年、約1週間から約10カ月、約1週間から約8カ月、約1週間から約6カ月、約1週間から約4カ月、約1週間から約2カ月、約1週間から約1カ月、約1週間から約3週間、約1週間から約2週間、または約1週間後に投与してもよい。
【0013】
抗CD抗体の最初の用量を投与した後で化学療法の最初のサイクルを患者に投与する実施形態では、化学療法の最初のサイクルは、抗CD40抗体の最初の用量を患者に投与した約1週間から約1年、約1週間から約10カ月、約1週間から約8カ月、約1週間から約6カ月、約1週間から約4カ月、約1週間から約2カ月、約1週間から約1カ月、約1週間から約3週間、約1週間から約2週間、または約1週間後に投与してもよい。言い換えると、抗体療法は、化学療法の最初のサイクルの約1週間から約1年、約1週間から約10カ月、約1週間から約8カ月、約1週間から約6カ月、約1週間から約4カ月、約1週間から約2カ月、約1週間から約1カ月、約1週間から約3週間、約1週間から約2週間、または約1週間前に投与してもよい。
【0014】
療法を同時に投与するとき、単一の医薬製剤として、または2種類以上の別々の医薬製剤として投与してもよい。療法を同時に投与しないとき、2種類以上の別々の医薬製剤として投与する。
【0015】
2種類以上の別々の医薬製剤を使用するとき、抗体療法および化学療法の任意の適切な組合せを使用することができる。例えば、1医薬製剤は抗体療法を含有し、その他の医薬製剤(複数可)は化学療法薬シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンを含有してもよい。あるいは、1医薬製剤が抗体療法および1種または複数の化学療法薬を含有し、その他の医薬製剤(複数可)がその他の化学療法薬(複数可)を含有してもよい。医薬製剤が抗体療法および1種または複数の化学療法薬を含有する実施形態では、この医薬製剤は、(i)凍結乾燥した抗CD40抗体組成物を得るステップと、(ii)滅菌希釈液中に1種または複数の化学療法薬を含む組成物を得るステップと、(iii)1種または複数の化学療法薬を含む組成物を使用して凍結乾燥した抗体組成物を再構成するステップとを含む方法によって得ることができる。
【0016】
したがって、本発明は、(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、(ii)抗CD40抗体、ならびに(iii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造における、(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、ならびに(ii)CD40抗体の使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を併用療法で治療するための少なくとも2種類の別々の医薬品(2種類、3種類、4種類または5種類の医薬品)の製造における、(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、ならびに(ii)CD40抗体の使用を提供する。シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾ、ドキソルビシンおよび抗CD40抗体は、少なくとも3種類、少なくとも4種類、または5種類の別々の医薬品の製造において使用することができる。
【0018】
本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するためのキットであって、(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数ならびに(ii)抗CD40抗体を含むキットを提供する。キットはさらに、併用療法をヒト患者に投与するための1種または複数の装置、例えば、(i)滅菌された針およびシリンジ、(ii)滅菌容器(例えば、ガラス瓶、プラスティック瓶またはプラスティックバッグ)および点滴容器、(iii)調節締め具の付いた滅菌チューブならびに(iv)カテーテルの1種または複数を含んでもよい。
【0019】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療する方法であって、前記患者にシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数を投与することを含み、前記患者が抗CD40抗体で予め治療されている方法を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療する方法であって、前記患者に抗CD40抗体を投与することを含み、前記患者がシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数で予め治療されている方法を提供する。
【0020】
本発明はさらに、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造における抗CD40抗体の使用であって、前記ヒト患者がシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数で予め治療されている使用を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造におけるシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の使用であって、前記ヒト患者が抗CD40抗体で予め治療されている使用を提供する。
【0021】
「予め治療された」または「予備治療」とは、対象が第2の療法の前に第1の療法の1回または複数回の用量を投与されことを意味する。「予め治療された」または「予備治療」には、第2の治療で治療を開始する前の2年以内、18カ月以内、1年以内、6カ月以内、2カ月以内、6週間以内、1カ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に第1の療法で治療された患者が含まれる。本発明の併用方法において、したがって「予め治療された」または「予備治療」には、化学療法で治療を開始する前の2年以内、18カ月以内、1年以内、6カ月以内、2カ月以内、6週間以内、1カ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に抗CD40抗体で治療された患者が含まれる。本発明の併用方法において、「予め治療された」または「予備治療」にはまた、抗CD40抗体で治療を開始する前の2年以内、18カ月以内、1年以内、6カ月以内、2カ月以内、6週間以内、1カ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に化学療法で治療された患者が含まれる。
【0022】
抗CD40抗体で予め治療された患者は、例えば、患者の診療記録を調べるか、または適切なインビトロ試験(複数可)を実施することによって、その他の患者から区別することができる。シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数で予め治療された患者は、例えば、患者の診療記録を調べるか、適切なインビトロ試験(複数可)を実施することによって、その他の患者から区別することができる。
【0023】
本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造における抗CD40抗体の使用であって、この医薬品をシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンの前に投与する使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造における抗CD40抗体の使用であって、この医薬品をシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンの後で投与する使用を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造におけるシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の使用であって、この医薬品を抗CD40抗体の前に投与する使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造におけるシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の使用であって、抗CD40抗体の後でこの医薬品を投与する使用を提供する。
【0024】
本発明はまた、併用療法による腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療することにおいて、同時に、別々に、または順次使用するための抗CD40抗体ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するために、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数と併用して同時または順次使用するための医薬品の製造における抗CD40抗体の使用を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するために、抗CD40抗体と組み合わせて同時または順次使用するための医薬品の製造におけるシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数の使用を提供する。
【0025】
本発明の方法は、抗CD40抗体の1用量を化学療法の最初またはその後のサイクルの任意の時点に投与することを含むことができる。あるいは、本発明の方法は、抗CD40抗体の1用量を化学療法のサイクルの間に投与することを含むことができる。
【0026】
前述したように、本発明者らは、抗CD40とCHOPの併用療法が相乗的治療効果をもたらし得ることを発見した。したがって、本明細書で開示した方法、使用、組成物およびキットの一部の実施形態では、併用療法は、単独で投与したときの個々の治療薬と比較して治療効果の相乗的な改善をもたらす。「相乗」という用語は、それぞれの活性薬剤の個々の効果の合計よりも大きな2種以上の活性薬剤の組合せ効果を説明するために使用される。したがって、2種類以上の薬剤の組合せ効果が、ある活性またはプロセス、例えば、腫瘍増殖の「相乗的阻害」を生じる場合、その活性またはプロセスの阻害はそれぞれの活性薬剤の阻害効果の合計よりも大きいことを意味する。したがって、「相乗的治療効果」という用語は、治療効果(いくつかのパラメータのいずれか、例えば、本明細書の実施例1のような腫瘍増殖の遅延によって測定される)がそれぞれ個々の療法で認められる個々の治療効果の合計よりも大きい、2種以上の療法の組合せで認められる治療効果のことである。
【0027】
前述したように、本発明者らは、本発明の併用療法によってもたらされる予期せぬ強力な治療効果は、NF−kB活性化を下方制御し、かつ/またはCD40Lによって誘導される接着分子の発現を阻害することによって(本明細書の実施例2〜4参照)、腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させる抗CD40抗体の能力から生じるものと考える。本明細書の実施例は、CD40によるシグナル伝達がB細胞のCHOP細胞毒性に対する抵抗性の発達に寄与し、この抵抗性はCD40シグナル伝達を抑制するアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、HCD122)を使用することによって防止または低減され得ることを示している。本明細書の実施例はさらに、CD40シグナル伝達によって誘導される、B細胞上における細胞表面接着分子の発現は、B細胞を凝集させ、それらの微小環境と相互作用させることによって、B細胞のCHOP細胞毒性に対する抵抗性の発達に寄与し得ることを示している。これらの実施例は、B細胞上における細胞表面接着分子の発現はアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、HCD122)を使用することによって防止または低減され得ることを示唆している。
【0028】
したがって、本発明は、腫瘍性ヒトB細胞におけるCHOP細胞毒性に対する抵抗性を防止または低減するために(すなわち、腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させるために)抗CD40抗体の使用を提供する。本発明はまた、腫瘍性ヒトB細胞におけるCHOP細胞毒性に対する抵抗性を防止または低減するための(すなわち、腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させるための)方法であって、インビトロにおいて1種または複数の腫瘍性ヒトB細胞を抗CD40抗体と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0029】
本発明はさらに、ヒト患者におけるCHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性を防止または低減するための方法であって、抗CD40抗体を前記患者に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療する方法であって、抗CD40抗体を前記患者に投与することによって前記患者におけるCHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性を抑制する(すなわち、患者の腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させる)ステップを含む方法を提供する。
【0030】
本発明はまた、インビトロで腫瘍性ヒトB細胞において(すなわち、腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させるため)、またはインビボでヒト患者において(すなわち、患者の腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させるため)CHOP細胞毒性に対する耐性を防止または低減するため、抗CD40抗体を提供する。本発明はまた、ヒト患者においてCHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性を防止または低減するため(すなわち、患者の腫瘍性B細胞をCHOP細胞毒性に対して感作させるため)の医薬品の製造における抗CD40抗体の使用を提供する。
【0031】
好ましくは、これらの実施形態で使用した抗CD40抗体は、NF−kB活性化を下方制御する。特に、この抗体は、CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与するB細胞におけるNF−kB活性化を下方制御することができる。
【0032】
好ましくは、これらの実施形態で使用した抗CD40抗体は、B細胞上における1種または複数の細胞表面接着分子の発現を阻害する抗体である。特に、この抗体は、CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与するB細胞上の1種または複数の細胞表面接着分子の発現を阻害することができる。一部の実施形態では、抗CD40抗体は、CD54、CD80、CD86およびCD95の1種または複数(または、CD54、CD80、CD86およびCD95の2種以上、3種以上、または4種全て)のCD40−Lによって誘導される発現を阻害する。
【0033】
したがって、本発明の組成物、使用およびキットは、NF−kB活性化を下方制御することができ、かつ/またはB細胞上での1種または複数の細胞表面接着分子の発現を阻害することができる抗CD40抗体を使用してもよい。
【0034】
本発明を利用するために採用することができる標準的技術および手法の概要を以下に示す。本発明は、記載した特定の方法、プロトコール、細胞株、ベクターおよび試薬に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用した専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであって、これらの専門用語は本発明の範囲を制限するものではないことも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0035】
ヌクレオチドおよびアミノ酸の標準的略語を本明細書で使用する。本発明の実施では、特記しない限り、当業者の技術の範囲内である分子生物学、微生物学、組換えDNA技術および免疫学の従来技術を使用する。このような技術は、文献に十分に説明されている。
【0036】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態を有するヒト患者の治療するための抗CD40抗体の使用に関する。「CD40」、「CD40抗原」または「CD40受容体」とは、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーの50〜55kDa膜貫通糖タンパク質を意味する(例えば、米国特許第5,674,492号および第4,708,871号、Stamenkovicら(1989年)EMBO 8巻:1403頁、Clark(1990年)Tissue Antigens 36巻:33頁、Barclayら(1997年)The Leucocyte Antigen Facts Book(2版、Academic Press、San Diego)参照)。この遺伝子の選択的スプライシング転写物変種によってコードされたヒトCD40の2個のアイソフォームを同定した。第1のアイソフォーム(「長アイソフォーム」または「アイソフォーム1」としても公知である)は、277個のアミノ酸前駆体ポリペプチド(配列番号9、ジェンバンク受託番号CAA43045として最初に報告され、ジェンバンク受託番号NP_001241のアイソフォーム1として同定された)として発現し、最初の19残基によって表されたシグナル配列を有する配列番号8(ジェンバンク受託番号X60592およびNM_001250参照)によってコードされる。第2のアイソフォーム(「短アイソフォーム」または「アイソフォーム2」としても公知である)は、203個のアミノ酸前駆体ポリペプチド(配列番号7、ジェンバンク受託番号NP_690593)として発現し、また最初の19残基によって表されたシグナル配列を有する配列番号6(ジェンバンク受託番号NM_152854)によってコードされる。ヒトCD40のこれら2種のアイソフォームの前駆体ポリペプチドは、最初の165残基が共通している(すなわち、配列番号7および配列番号9の残基1〜165)。短アイソフォーム(配列番号7で示した)の前駆体ポリペプチドは、翻訳フレームシフトをもたらすコーディング部分の欠如した転写変種(配列番号6)によってコードされており、得られたCD40アイソフォームはCD40の長アイソフォームに含有されているC末端(配列番号9の残基166〜277で示したC末端)よりも短くて異なったC末端(配列番号7の残基166〜203)を含有する。本発明の目的ために、「CD40」または「CD40抗原」、「CD40細胞表面抗原」または「CD40受容体」という用語は、CD40の短および長アイソフォームの両方を包含する。
【0037】
本明細書では、「CD40発現細胞」とは、検出可能なレベルのCD40抗原を発現する任意の正常または悪性細胞を意味する。細胞内でのCD40抗原発現を検出する方法は当技術分野では周知で、PCR技術、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、ELISAなどが含まれるがそれらだけには限定されない。これらの方法は、CD40mRNA、CD40抗原および細胞表面CD40抗原の検出を可能にする。好ましくは、CD40発現細胞は、検出可能なレベルの細胞表面CD40抗原を発現する細胞である。
【0038】
「CD40リガンド」または「CD40L」とは、32〜33kDaの膜貫通タンパク質のことであり、2種類の生物学的活性のある小さな可溶型、それぞれ18kDaおよび31kDaとしても存在する(Grafら(1995年)Fur. J. Immunol. 25巻:1749〜1754頁、Mazzeiら(1995年)J. Biol.Chem. 270巻:7025〜7028頁、Pietravalleら(1996年)J. Biol. Chem. 271巻:5965〜5967頁)。ヒトCD40Lはまた、CD154またはgp39として公知である。
【0039】
「ヒト患者」とは、腫瘍性B細胞増殖に関連した任意の疾患または状態に罹患した、発症する危険性がある、または再発しているヒトを意味する。
【0040】
「腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態」とは、B細胞系統の細胞の無制御な増殖に関与する任意の疾患または状態(前悪性状態を含む)を意味する。このような疾患および状態には、限定はしないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、小リンパ球性白血病(SLL)、びまん性小リンパ球性白血病(DSLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、へアリーセル白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタインバーウイルス(EBV)誘発リンパ腫、多発骨髄腫などの骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脈管内リンパ腫症、免疫芽球性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫などが含まれる。
【0041】
本発明の方法は、異常なB細胞増殖または蓄積に関連する非ホジキンリンパ腫を有する対象の治療における使用を見出す。本発明の目的のために、このようなリンパ腫は、Working Formulation分類スキームに従うものとし、すなわち、低悪性度、中悪性度および高悪性度に分類されるB細胞リンパ腫である(「The Non−Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project」、Cancer 49巻(1982年):2112〜2135頁を参照のこと)。したがって、低悪性度B細胞リンパ腫には、小リンパ球性、濾胞性小切れ込み核細胞、ならびに濾胞性混合型小切れ込み核および大細胞型リンパ腫が含まれ、中悪性度リンパ腫には、濾胞性大細胞、びまん性小切れ込み核細胞、びまん性混合型小および大細胞、ならびにびまん性大細胞型リンパ腫が含まれ、高悪性度リンパ腫には、大細胞免疫芽球性、リンパ芽球性、ならびにバーキットおよび非バーキット型の非切れ込み核小細胞型リンパ腫が含まれる。本発明の方法は、低、中、高悪性度B細胞リンパ腫の治療に使用することができる。
【0042】
本発明の方法は、Revised European and American Lymphoma Classification(REAL)システムに従って分類されるB細胞リンパ腫の治療的処置に有用である。このようなB細胞リンパ腫には、限定はしないが、前駆体B細胞新生物に分類されるリンパ腫、例えば、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、末梢B細胞新生物、例えば、B細胞慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫/免疫細胞種、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞中心リンパ腫(濾胞性)(びまん性小細胞型、びまん性混合型小および大細胞型ならびにびまん性大細胞型リンパ腫を含む)、辺縁帯B細胞リンパ腫(節外性、節性および脾臓原発型を含む、例えば、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫を含む)、形質細胞種/骨髄腫、亜型縦隔原発(胸腺)のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ならびにバーキット様高悪性度B細胞リンパ腫、および分類不能な低悪性度または高悪性度B細胞リンパ腫が含まれる。
【0043】
本発明の方法では、併用療法は疾患または状態に関して正の治療応答を提供するために使用される。「正の治療応答」とは、併用療法の治療的活性の結果として疾患または状態の改善、および/または疾患または状態に関連した徴候の改善を意図する。すなわち、抗増殖効果であるさらなる腫瘍派生物の阻止、腫瘍の大きさの縮小、腫瘍細胞数の減少および/またはCD40発現細胞と関連した1種または複数の徴候の低減を認めることができる。したがって、例えば、正の治療応答は、疾患における以下の改善、(1)腫瘍の大きさの縮小、(2)腫瘍細胞数の減少、(3)腫瘍細胞死の増加、(4)腫瘍細胞生存の阻害、(4)腫瘍増殖の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止)、(5)末梢器官内への腫瘍細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止)、(6)腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止)、(7)さらなる腫瘍派生物の阻止、(8)患者の生存率の増大、および(9)疾患または状態に関連した1種または複数の徴候のある程度の緩和の1種または複数を意味する。
【0044】
いかなる所与の疾患または状態における正の治療応答も、その疾患または状態に特異的な標準化された応答基準によって決定することができる。腫瘍の応答は、腫瘍形態(すなわち、全腫瘍負荷量、腫瘍の大きさなど)の変化について、スクリーニング技術、例えば、核磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、X線画像法、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、骨スキャン画像法、内視鏡検査ならびに骨髄穿刺(BMA)および循環中の腫瘍細胞の計数を含む腫瘍生検試料採取を用いて評価することができる。これらの正の治療応答に加えて、治療を受けている対象は、その疾患に関連した徴候の改善という有益な効果を経験することができる。したがって、B細胞腫瘍では、対象は、いわゆるB症状、すなわち、寝汗、発熱、体重減少および/または蕁麻疹の低減を経験することができる。前悪性状態では、抗CD40治療薬による療法により、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)に罹患した対象において、関連悪性状態の発症、例えば、多発骨髄腫の発症が阻止され、かつ/または発症までの時間が延長され得る。
【0045】
疾患の改善は、完全な応答として特徴付けることができる。「完全な応答」とは、任意の以前の異常な放射線学的試験の正常化、骨髄腫の場合は、骨髄および脳脊髄液(CSF)または異常なモノクローナルタンパク質の正常化による臨床的に検出可能な疾患の非存在を意味する。このような応答は、本発明の方法によって処置した後、少なくとも4から8週間、または場合によって6から8週間持続してもよい。あるいは、疾患の改善は、部分応答に分類してもよい。「部分応答」とは、4から8週間、または6から8週間持続し得る、新たな病変の非存在下における測定可能な全腫瘍負荷量(すなわち、対象に存在する悪性細胞数または腫瘤の測定量または異常なモノクローナルタンパク質の量)の少なくとも約50%の低減を意味する。
【0046】
本発明の方法および生成物には、抗CD40抗体および4種類のCHOP成分それぞれの治療または予防有効量の使用が関与する。「有効量」または「治療または予防有効量」とは、併用療法の一部として投与されると、患者の治療に関して正の治療応答をもたらす抗体療法または化学療法の量を意味する。適切な量は、本明細書の他のところで詳細に記載する。
【0047】
本明細書で使用した「腫瘍(tumor)」(または「腫瘍(tumour)」)は、悪性であろうと良性であろうと、あらゆる腫瘍性(neoplastic)細胞の成長および増殖ならびにあらゆる前癌性および癌性の細胞および組織をいう。本明細書では、「腫瘍性」とは、悪性であろうと良性であろうと、異常な増殖をもたらす調節不全の、または無秩序な細胞増殖の任意の形態を意味する。したがって、「腫瘍性細胞」には、調節不全の、または無秩序な細胞増殖を有する悪性および良性の細胞が含まれる。「癌」および「癌の」という用語は、無秩序な細胞増殖を通常特徴とする哺乳類の生理学的状態を意味するか、または表す。
【0048】
本明細書では、「治療」とは、患者への併用療法の適用もしくは投与、または患者由来の単離された組織への併用療法の適用もしくは投与であって、患者が疾患、疾患の徴候または疾患に対する素因を有し、その目的が、疾患、疾患の徴候または疾患に対する素因を治療、治癒、軽減、緩和、改変、矯正、改善、向上または影響を与えることである適用もしくは投与と定義される。
【0049】
本発明の方法は、その他の腫瘍治療処置を既に受けた患者の治療に特に有用である。これには、本発明による併用療法を開始する前の任意の時点、例えば、本発明による併用療法を開始する前の15年以内、14年以内、13年以内、12年以内、11年以内、10年以内、9年以内、8年以内、7年以内、6年以内、5年以内、4年以内、3年以内、2年以内、18カ月以内、1年以内、6カ月以内、2カ月以内、6週間以内、1カ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に別の腫瘍治療処置を受けた患者が含まれる。
【0050】
特に、本発明の併用療法は、(i)CHOPのみ、(ii)抗CD40抗体(例えば、HCD122)のみ、(iii)抗CD20抗体(例えば、キメラ型抗CD20抗体リツキシマブ)のみ、または(iv)CHOPおよび抗CD20抗体の併用療法(例えば、リツキシマブ、この併用療法は通常R−CHOPと称される)を既に投与されたヒト患者の治療に有用であり得る。
【0051】
本発明は特に、その他の腫瘍治療処置による療法には難治性である疾患または状態を治療するために有用である。したがって、本発明は、(i)CHOPのみ、(ii)抗CD40抗体(例えば、HCD122)のみ、(iii)抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)のみ、または(iv)CHOPおよび抗CD20抗体の併用療法(R−CHOP)による療法に難治性である疾患または状態の治療に有用であり得る。「難治性」とは、特定の疾患または状態が特定の癌治療薬による療法に抵抗性であるか、または非反応性であることを意味する。疾患または状態は、特定の治療薬による治療開始から(すなわち、治療薬に対する最初の曝露に非反応性)、または治療薬に対する抵抗性の発達の結果として、治療薬による最初の処置期間の経過中または治療薬によるその後の処置期間の間に特定の治療薬による療法に対して難治性になり得る。したがって、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための方法、組成物、使用およびキットであって、前記疾患または状態が本発明の併用療法以外の腫瘍治療処置に難治性である方法、組成物、使用およびキットを提供する。「腫瘍治療」という用語は、疾患または状態のための任意の治療、例えば、化学療法、抗体療法、手術、放射線療法およびそれらの組合せを意味するものとする。
【0052】
本発明はまた、その他の腫瘍治療処置による療法の後、再発した患者を治療するために特に有用である。したがって、本発明は、(i)CHOPのみ、(ii)抗CD40抗体(例えば、HCD122)のみ、(iii)抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)のみ、または(iv)CHOPおよび抗CD20抗体の併用療法(R−CHOP)による療法の後に再発した患者の治療に有用であり得る。「再発した」とは、患者が以前の腫瘍治療処置に部分的または完全な応答を実現したが、その後疾患または状態が再発したことを意味する。したがって、本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための方法、組成物、使用およびキットであって、前記患者が本発明の併用療法以外の腫瘍治療処置の後再発した方法、組成物、使用およびキットを提供する。
【0053】
本発明の併用療法は、リツキシマブ(商標名リツキサン(登録商標)で市販されているIDEC−C2B8モノクローナル抗体(Biogen IdecまたはGenentech)を使用した療法に関連した問題に対処する。リツキシマブは、ヒトIgG1およびカッパ定常領域をマウス抗CD20モノクローナル抗体から単離されたマウス可変領域と共に含有するキメラ型抗CD20モノクローナル抗体である(Reffら(1994年)Blood 83巻:435〜445頁)。本発明の方法は、別法でリツキシマブまたはリツキシマブと化学療法薬(例えば、CHOP)との併用療法によって治療された、CD40発現B細胞に関連した疾患または状態を有する患者の治療を可能にする。
【0054】
したがって、本発明はまた、併用療法によって腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための方法、組成物、使用およびキットであって、該患者が以前にキメラ型抗CD20抗体リツキシマブを投与されている方法、組成物、使用およびキットを提供する。本発明は、(i)リツキシマブのみ、または(ii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法(R−CHOP)による療法に難治性である疾患または状態の治療に有用であり得る。本発明はまた、(i)リツキシマブのみ、または(ii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法(R−CHOP)による療法の後に再発した患者の治療に有用であり得る。
【0055】
リツキシマブで予め治療された患者は、例えば、患者の診療記録を調べるか、適切なインビトロ試験(複数可)を実施することによって、その他の患者から区別することができる。例えば、循環CD19B細胞の数は、リツキシマブで治療を受けた患者では激減しており、循環CD19B細胞の数は、適切な方法、例えば、FACS(McLaughlinら(1998年)J. Clin. Oncol. 16巻(8号):2825〜2833頁、Maloneyら(1997年)Blood 90巻(6号):2188〜2195頁)を使用してモニターすることができる。
【0056】
本発明の方法には、抗CD40抗体の使用が関与する。天然の抗体は通常、2本の同一の軽(L)鎖および2本の同一の重(H)鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ4量体の糖タンパク質である。各軽鎖は1個の共有ジスルフィド結合によって重鎖と結合し、ジスルフィド結合の数は異なるアイソタイプの重鎖では異なる。各重鎖および軽鎖はまた、規則正しい間隔で鎖内ジスルフィド結合を有する。各重鎖の1端には、可変ドメイン(V)、続いていくつかの定常ドメインがある。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)および他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイン間の界面を形成していると考えられる。「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分の配列が抗体間で広く異なる事実を意味する。可変領域は、抗原結合特異性を付与する。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与していないが、様々なエフェクター機能、例えば、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性細胞傷害における抗体の関与、補体依存性細胞毒性の開始、および肥満細胞脱顆粒を表す。
【0057】
任意の脊椎動物種由来の抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる明白に異なる2つの型の一方に割り当てることができる。
【0058】
その「重鎖」の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体は異なるクラスに割り当てることができる。ヒト抗体には主に5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けることができる。抗体の種々のクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。種々のクラスの抗体のサブユニット構造および3次元立体配置は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1およびIgG3アイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞媒介型細胞毒性)活性を有する。IgG1抗体、特にヒトIgG1抗体は、本発明の方法において特に有用である。
【0059】
「ヒトエフェクター細胞」は、1種または複数のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する白血球である。好ましくは、この細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、抗原依存性細胞媒介型細胞毒性(ADCC)エフェクター機能を実施する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好酸球および好中球が含まれ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。ADCC活性を有する抗体は、典型的には、IgG1またはIgG3アイソタイプのものである。IgG1およびIgG3抗体を単離することに加え、ADCC媒介抗体は、非ADCC抗体由来の可変領域をIgG1またはIgG3アイソタイプ定常領域と一緒にすることにより作製することができることに注意されたい。
【0060】
「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子変種および選択的スプライシング形態が含まれる。FcγRII受容体には、主にその細胞質ドメインが異なる類似アミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれる。活性化された受容体FcγRIIAは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)をその細胞質ドメインに含有する。阻害受容体FcγRIIBは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)をその細胞質ドメインに含有する(Daeron(1997)Annu. Rev. Immunol. 15巻:203〜234頁を参照のこと)。FcRは、RavetchおよびKinet(1991年)Annu. Rev. Immunol. 9巻:457〜492頁(1991年)、Capelら(1994年)Immunomethods 4巻:25〜34頁、およびde Haasら(1995年)J. Lab. Clin. Med. 126巻:330〜341頁に概説されている。その他のFcRは、将来同定されるものも含め、本明細書における用語「FcR」に包含される。この用語にはまた、母体IgGの胎児への移行を担う新生児受容体、FcRnが含まれる(Guyerら(1976年)J. Immunol. 117巻:587頁およびKimら(1994年)J. Immunol. 24巻:249頁(1994年))。
【0061】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で用いられ、完全に構築された抗体、CD40抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)、Fvおよびその他の断片)、単鎖抗体(scFv)、ダイアボディ、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体など、ならびに前述のものを含む組換えペプチドを包含する。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方を包含する。
【0062】
本明細書では、「抗CD40抗体」には、CD40抗原を特異的に認識する任意の抗体が包含される。一部の実施形態において、本発明の方法において使用するための抗CD40抗体、特に、抗CD40モノクローナル抗体は、CD40抗原に対して強力な単一部位結合親和性を表す。このようなモノクローナル抗体は、Biacore(商標)などの標準的アッセイを使用して測定した場合、少なくとも10−5M、好ましくは少なくとも10−6M、少なくとも10−7M、少なくとも10−8M、少なくとも10−9M、少なくとも10−10M、少なくとも10−11Mまたは少なくとも10−12MのCD40に対する親和性(K)を示す。Biacore解析は当技術分野では公知であり、詳細は、「BIAapplications Handbook」に示されている。
【0063】
「特異的に認識する」または「に特異的に結合する」とは、抗CD40抗体がヒトB細胞の表面上のCD40抗原には結合するが、CD20抗原などのヒトB細胞の表面上のその他の抗原に有意な程度結合しないことを意味する。
【0064】
本発明の方法で使用するための抗CD40抗体は、当業者に公知の任意の適切な抗体生成方法を使用して生成することができる。
【0065】
本発明の方法で使用される抗CD40抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。「モノクローナル抗体」(および「mAb」)という用語は、本明細書では、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体のことであり、すなわち、この集団を含む個々の抗体は、微量で存在し得る天然に生じ得る変異以外は同一である。この用語は、抗体の種に関して限定されず、いかなる特定の方法による抗体の生成も必要としない。異なる抗原決定基(エピトープ)に特異的な異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基(エピトープ)に特異的である。
【0066】
抗体に関して元々使用された「モノクローナル」という用語は、いずれも同一の標的タンパク質を認識するが、様々なB細胞によって産生され、そのタンパク質上の異なるエピトープに特異的である「ポリクローナル」抗体とは対照的に、免疫細胞の単一クローン系によって産生される抗体を意味する。本明細書では、「モノクローナル」という用語は、特定の細胞由来を意味するものではないが、いずれも同一のアミノ酸配列を有し、同一標的タンパク質の同一エピトープを認識する抗体の任意の集団を意味する。したがって、モノクローナル抗体は、免疫細胞、非免疫細胞、無細胞系等を含む任意の適切なタンパク質合成系を使用して生成することができる。この用法は、当技術分野では一般的であり、例えば、マウス骨髄腫NS0細胞株で発現させたCDR移植ヒト化抗体Synagis(商標)、CHO細胞株で発現させたヒト化抗体Herceptin(商標)およびCHO細胞株で発現させたファージディスプレー抗体Humira(商標)の製品データシートはいずれも、それらの製品をモノクローナル抗体と呼んでいる。
【0067】
「エピトープ」とは、抗体が生成され、抗体が結合する抗原性分子の一部分であるものとする。エピトープは、線状アミノ酸残基(すなわち、エピトープ内の残基は、連続的に線状様式で配置されている)、非線状アミノ酸残基(本明細書では「非線状エピトープ」と称し、これらのエピトープは、連続的には配置されていない)、または線状と非線状両方のアミノ酸残基を含むことができる。
【0068】
モノクローナル抗体は、Kohlerら(1975年)Nature 256巻:495頁によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができるか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製することができる。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら(1990年)Nature 348巻:552〜554頁(1990年)および米国特許第5,514,548号に記載された手法を用いて作製された抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clacksonら(1991年)Nature 352巻:624〜628頁およびMarksら(1991年)J. Mol. Biol. 222巻:581〜597頁にはそれぞれ、ファージライブラリーを用いたマウスおよびヒト抗体の単離が記載されている。その後の出版物には、鎖シャッフリング(Marksら(1992年)Bio/Technology 10巻:779〜783頁)、ならびにコンビナトリアル感染およびインビボ組換えによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の作製が、非常に大きなファージライブラリー(Waterhouseら(1993年)Nucleic. Acids Res. 21巻:2265〜2266頁)を構築するための戦略として記載されている。
【0069】
したがって、これらの技法は、モノクローナル抗体を単離するための、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実現可能な代替法である。
【0070】
本発明において使用するための抗CD40抗体が組換えDNA法を用いて調製される場合、このモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の方法を用いて容易に単離され、配列決定される。一旦単離されたら、このDNAを発現ベクター内に配置し、次いで、普通ならば免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞に形質移入して、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する概説論文には、Skerraら(1993年)Curr. Opinion in Immunol. 5巻:256頁およびPhickthun(1992年)Immunol. Revs. 130巻:151頁が含まれる。あるいは、抗体は、米国特許第5,545,403号、第5,545,405号および第5,998,144号に開示されたように、CHO細胞株などの細胞株において産生することができる。簡単に説明すると、この細胞株を軽鎖および重鎖それぞれを発現することができるベクターで形質移入する。2種類のタンパク質を別々のベクターにおいて形質移入することにより、キメラ抗体を生成することができる。別の利点は、CHO細胞における抗体の哺乳類型グリコシル化である。CHO細胞は、本発明の併用療法において使用するための組換え抗体の好ましい供給源である。
【0071】
本明細書では、「宿主細胞」とは、組換えベクターまたはその他の移動ポリヌクレオチドのレシピエントとして使用することができる、または使用されたことがある単細胞の存在体として培養された微生物または真核生物細胞もしくは細胞株のことであり、形質移入された元の細胞の子孫を含む。単一細胞の子孫は、自然な、偶発的または意図的な変異のため、必ずしも元の親と形態学的に、またはゲノムもしくは全DNA相補鎖(complement)が完全に同一とは限らないことを理解されたい。
【0072】
CD40に対するモノクローナル抗体は、当技術分野では公知である。例えば、McMichael編(1987年;1989年)Leukocyte Typing III and IV(Oxford University Press、New York)においてB細胞抗原に割り当てられた部分、米国特許第5,674,492号、第5,874,082号、第5,677,165号、第6,056,959号、WO00/63395、国際出願公開第WO02/28905号および第WO02/28904号、Gordonら(1988年)J. Immunol. 140巻:1425頁、Valleら(1989年)Eur. J. Immunol. 19巻:1463頁、Clarkら(1986)PNAS 83巻:4494頁、Paulieら(1989年)J. Immunol. 142巻:590頁、Gordonら(1987年)Eur. J. Immunol. 17巻:1535頁、Jabaraら(1990年)J. Exp. Med. 172巻:1861頁、Zhangら(1991年)J. Immunol. 146巻:1836年、Gascanら(1991)J. Immunol. 147巻:8頁、Banchereauら(1991年)Clin. Immunol. Spectrum 3巻:8頁およびBanchereauら(1991年)Science 251巻:70頁を参照のこと。
【0073】
前記のように、本明細書で使用した抗体という用語は、キメラ抗体を包含する。「キメラ」抗体とは、最も好ましくは組換えDNA技術を使用して得られ、ヒト成分(免疫学的に「関連する」種、例えばチンパンジーを含む)と非ヒト成分の両方を含む抗体を意味する。したがって、キメラ抗体の定常領域は、最も好ましくは、天然ヒト抗体の定常領域と実質的に同一であり、キメラ抗体の可変領域は、最も好ましくは、非ヒト供給源から得られ、CD40に対して所望する抗原特異性を有する。非ヒト供給源は、CD40抗原に対して抗体を生成させるために使用することができる任意の脊椎動物供給源であることができる。このような非ヒト供給源には、限定はしないが、齧歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウスなど;例えば、米国特許第4,816,567号を参照)および非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など;例えば、米国特許第5,750,105号および第5,756,096号を参照)が含まれる。「定常領域」という語句は、エフェクター機能を付与する抗体分子の一部分を意味する。ヒト疾患の療法において使用するための非免疫原性抗体の作製に向けられたこれまでの研究では、マウス定常領域をヒト定常領域で置換した。対象のヒト化抗体の定常領域は、ヒト抗体から得られた。しかし、このような抗体は、望ましくない潜在的に危険な免疫応答をヒトにおいて誘発する可能性があり、親和性が不十分であった。
【0074】
前記のように、本明細書で使用した抗体という用語は、ヒト化抗体を包含する。「ヒト化」とは、非ヒト抗体配列から得られた最小限の配列を含有する抗体の企図した形態である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(相補性決定領域またはCDRとしても公知である)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種、例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基で置換されたヒト抗体(レシピエント抗体)である。「相補性決定領域」という語句は、天然抗体結合部位の天然Fv領域の結合親和性および特異性を一緒に定義するアミノ酸配列を意味する。例えば、Chothiaら(1987年)J. Mol. Biol. 196巻:901〜917頁、Kabatら(1991年)U. S. Dept. of Health and Human Services、NIH Publication No.91〜3242)を参照のこと。
【0075】
ヒト化は、Winterおよび共同研究者(Jonesら(1986年)Nature 321巻:522〜525頁、Riechmannら(1988年)Nature 332巻:323〜327頁、Verhoeyenら(1988年)Science 239巻:1534〜1536頁)の方法に従って、ヒト抗体の対応する配列を齧歯類または変異型齧歯類CDRまたはCDR配列で置換することにより実施することができる。米国特許第5,225,539号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、第5,859,205号も参照のこと。場合によっては、ヒト抗体の1種または複数の可変領域のフレームワーク領域内の残基を、対応する非ヒト残基で置換する(例えば、米国特許第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号および第6,180,370号を参照)。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含んでいてもよい。抗体性能をさらに精巧にするため(例えば、所望する親和性を得るため)、このような改変を行う。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、超可変領域の全部または実質的に全部は、非ヒト抗体の超可変領域に対応し、フレームワーク領域の全部または実質的に全部は、ヒト抗体配列のフレームワーク領域である。ヒト化抗体は所望によりまた、抗体定常領域(Fc)、典型的にはヒト抗体の定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細については、Jonesら(1986年)Nature 331巻:522〜525頁;Riechmannら(1988年)Nature 332巻:323〜329頁およびPresta(1992年)Curr. Op. Struct. Biol. 2巻:593〜596頁を参照のこと。したがって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインよりもかなり少ないドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換された抗体を含んでもよい。実際には、ヒト化抗体は典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくいくつかのフレームワーク残基が齧歯類抗体の類似の部位の残基で置換されたヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、第5,859,205号を参照のこと。ヒト化抗体および所定の抗原に対して改善された親和性を有するヒト化抗体を作製するための手法が開示された米国特許第6,180,370号および国際公開番号WO01/27160号も参照のこと。
【0076】
ヒト化抗CD40抗体はまた、抗体分子の結合活性を維持しながら免疫原性を軽減するための方法として記載された(例えば、Studnickaら(1994年)Protein Engineering 7巻:805〜814頁および米国特許第5,766,886号参照)Human Engineering(商標)技術(Xoma Ltd.、Berkeley、California)を使用して作製することができる。
【0077】
ヒト化抗CD40モノクローナル抗体には、マウス抗CD40抗体SGN−14(Franciscoら(2000年)Cancer Res. 60巻:3225〜31頁)のヒト化形態であるSGN−40(Taiら(2004年)Cancer Res. 64巻:2846〜52頁、米国特許第6,838,261号)などの抗体および米国特許出願公開第2004/0120948号に開示された抗体が含まれる。
【0078】
本発明はまた、内在性免疫グロブリン(Ig)遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非ヒト哺乳動物宿主、より詳細にはトランスジェニックマウスにおいて産生される異種抗体または改変抗体を使用して実施することができる。このようなトランスジェニック動物では、宿主の免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のサブユニットの発現に適格な内在性遺伝子は非機能性になっており、類似のヒト免疫グロブリン遺伝子座で置換されている。これらのトランスジェニック動物は、宿主の免疫グロブリンの軽鎖または重鎖サブユニットの実質的非存在下でヒト抗体を産生する。例えば、米国特許第5,877,397号および第5,939,598号を参照のこと。
【0079】
したがって、一部の実施形態において、例えば、CD40に対する完全なヒト抗体は、トランスジェニックマウスを免疫処置することにより得られる。このようなマウスの一例は、XenoMouse(登録商標)技術(Abgenix、Fremont、California)を用いて得られ、米国特許第6,075,181号、第6,091,001号および第6,114,598号に開示されている。例えば、HCD122抗体を作製するため、ヒトIgG重鎖遺伝子座およびヒトκ軽鎖遺伝子座が遺伝子導入されたマウスをヒトCD40を発現するSf9細胞で免疫した。マウスはまた、その他のアイソタイプを遺伝子導入することができる。
【0080】
一部の実施形態では、抗CD40抗体は、HCD122の軽鎖CDR配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)を有する。したがって、一部の実施形態では、抗CD40抗体は、CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する。その他の実施形態では、抗CD40抗体は、HCD122の重鎖CDR配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する。したがって、一部の実施形態では、抗CD40抗体は、CDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−H3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する。
【0081】
他の実施形態では、抗CD40抗体は、HCD122の軽鎖CDR配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)およびHCD122の重鎖CDR配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する。したがって、他の実施形態では、抗CD40抗体は、CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)ならびにCDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列を含み、CDR−H3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する。
【0082】
所与の抗体可変領域のCDR残基を定義するために様々なスキームがある(例えば、World Wide Web (www)に「bioinf.org.uk/abs」として指定されたウェブサイトを参照)。最も一般的に使用されるのは、Kabat番号付けスキーム(Kabatら(1991年)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda、MD)である。Kabat番号付けスキームによると、軽鎖可変ドメインのCDRは、アミノ酸24〜34(CDR−L1)、50〜56(CDR−L2)および89〜97(CDR−L3)であり、重鎖可変ドメインのCDRは、アミノ酸31〜35(CDR−H1)、50〜65(CDR−H2)および95〜102(CDR−H3)である。別の周知のスキームは、Chothia番号付けスキーム(Chothia & Lesk(1987年)Mol. Biol. 196巻:901〜917頁)である。Chothia番号付けスキームによると、軽鎖可変ドメインのCDRは、アミノ酸26〜32(CDR−L1)、50〜52(CDR−L2)および91〜96(CDR−L3)であり、重鎖可変ドメインのCDRは、アミノ酸26〜32(CDR−H1)、53〜55(CDR−H2)および96〜101(CDR−H3)である。公知のスキームの1つまたは複数を使用して、当業者は、所与の抗体が前記で詳述した軽鎖および重鎖CDR配列の必要性を満たすかどうかを容易に決定することができるだろう。
【0083】
「抗体断片」は、完全な抗体の一部、好ましくは、完全な抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、F(ab’)2およびFv断片が含まれる。
【0084】
「Fab」とは、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(C1)を含有する抗体の1価の抗原結合断片である。抗体のパパイン消化物は、2つの同一のFab断片および名前が容易に結晶化する能力を表している残りの「Fc」断片を生じる。「F(ab’)」とは、両軽鎖および両重鎖の一部を含有し、抗原に架橋結合する能力を保持している抗体の2価抗原結合断片を意味する。ペプシン処理によって、F(ab’)断片が生じる。「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含有する抗体の最小断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインが強固に非共有結合した二量体からなる。各可変ドメインの3個のCDRが相互作用してV−V二量体の表面上の抗原結合部位を特定するのは、この立体配置においてである。集合的に、この6個のCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的なCDR3個のみを含むFvの半分)であっても、結合部位全部よりも親和性は低いが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0085】
本発明はまた、抗体のVおよびVドメインを含むポリペプチドであり、これらのドメインがポリペプチド1本鎖に存在している1本鎖Fv(scFv)を使用してもよい(例えば、米国特許第4,946,778号、第5,260,203号、第5,455,030号および第5,856,456号参照)。一般的に、scFvポリペプチドは、scFvに抗原結合のために望ましい構造を形成させるポリペプチドリンカーをVとVドメインの間に含む。scFvの概説については、Pluckthun(1994年)、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編(Springer−Verlag、New York)、269〜315頁を参照のこと。
【0086】
抗CD40抗体の断片は、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合する能力を保持する限りは、本発明の方法で使用するために適している。このような断片は、本明細書では「抗原結合」断片という。このような断片は、対応する完全長抗体と類似した機能的特性によって特徴付けられることが好ましい。したがって、例えば、完全長抗CD40抗体の断片は、ヒト細胞の表面上で発現したヒトCD40抗原に特異的に結合できることが好ましく、本明細書の他のところで記載したような有意なアゴニスト活性を持たない。本発明の方法で使用するための抗CD40抗体の断片は、場合によって、関連するFcRまたはFcR(複数可)に結合する能力を保持していてもよい。
【0087】
抗体断片の作製のために様々な技術が開発されてきた。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク質分解的消化によって得られた(例えば、Morimotoら(1992年)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24巻:107〜117頁(1992年)およびBrennanら(1985年)Science 229巻:81頁を参照のこと)。しかし、これらの断片は、現在では、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。例えば、抗体断片は、前述の抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片をE.coliから直接回収し、化学的に結合させてF(ab’)断片を形成することができる(Carterら(1992年)Bio/Technology 10巻:163〜167頁)。別の取り組みでは、F(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片を作製するためのその他の技術は、当業者には明らかであろう。
【0088】
本発明の併用療法で使用した抗CD40抗体は、ヒトB細胞表面上のCD40抗原に結合したとき、有意なアゴニスト活性を有さない。一部の実施形態において、抗体がヒトB細胞表面上のCD40に結合すると、B細胞の増殖および分化の阻害が生じ得る。本発明の方法で使用するために適した抗CD40抗体には、示すことができる抗体が含まれる。「アゴニスト」は、細胞上の受容体と結合し、この受容体の天然リガンドによって開始されるものと類似または同様の反応または活性を開始する。CD40のアゴニストには、限定はしないが、以下の応答:B細胞増殖および/または分化;ICAM−1、E−セレクチン、VCAMなどの分子による細胞内接着の上方制御;炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL−1、IL−6、IL−8、IL−12、TNFなどの分泌;CD40受容体を介し、TRAF(例えば、TRAF2および/またはTRAF3)、NIK(NF−κB誘導キナーゼ)などのMAPキナーゼ、I−カッパBキナーゼ(IKKα/β)、転写因子NF−κB、RasおよびMEK/ERK経路、PI3K/AKT経路、P38MAPK経路などの経路によるシグナル伝達;XIAP、mcl−1、bcl−xなどの分子による抗アポトーシスシグナルの伝達;Bおよび/またはT細胞記憶の生成;B細胞抗体産生;B細胞アイソタイプスイッチ、MHCクラスIIおよびCD80/86などの細胞表面発現の上方制御のいずれかまたは全てが含まれる。
【0089】
「有意な」アゴニスト活性とは、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性より少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%大きいアゴニスト活性を意味する。好ましくは、「有意な」アゴニスト活性は、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも少なくとも2倍大きいか、または少なくとも3倍大きいアゴニスト活性である。したがって、例えば、関心のあるB細胞応答がB細胞増殖である場合、「有意な」アゴニスト活性とは、陰性対照によって誘導されるB細胞増殖のレベルよりも少なくとも2倍大きいか、または少なくとも3倍大きいレベルのB細胞増殖の誘導である。一実施形態において、CD40に結合しない抗体は陰性対照として役立つ。「有意なアゴニスト活性がない」物質は、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも約25%以下、好ましくは、陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも約20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、またはさらに約0.1%以下しか大きくないアゴニスト活性を示すだろう。
【0090】
CD40の「アンタゴニスト」は、CD40受容体がアゴニストリガンド、特にCD40Lに結合することによって誘導される応答のいずれかの誘導を防止するか、または低減する。アンタゴニストは、CD40L結合に対する応答の誘導を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは、40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは70%、80%、85%、最も好ましくは、90%、95%、99%または100%抑制することができる。
【0091】
本発明の方法で使用するために好ましい抗体および断片は、ヒトB細胞上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さず、ヒトB細胞上のCD40抗原に結合したときアンタゴニスト活性を示す抗CD40抗体である。一部の実施形態では、抗CD40抗体は、1種のB細胞応答において有意なアゴニスト活性を有さない。その他の実施形態では、抗CD40抗体は、複数のB細胞応答(例えば、増殖および分化、または増殖、分化および抗体産生)のアッセイにおいて有意なアゴニスト活性を有さない。
【0092】
抗CD40治療用薬(例えば、抗CD40抗体)のアンタゴニスト活性を測定するための方法は当技術分野で公知であり、限定はしないが、標準的な競合的結合アッセイ、B細胞による抗体分泌をモニターするアッセイ、B細胞増殖アッセイ、Banchereau様B細胞増殖アッセイ、抗体産生のT細胞ヘルパーアッセイ、B細胞増殖の共刺激アッセイ、およびB細胞活性化マーカーの上方制御のアッセイが含まれる。関連アッセイは、例えば、米国特許第6,087,329号およびWO00/75348、WO2005/044294、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044307、WO2005/044854、WO2005/044855、WO2006/073443、WO2006/125117、WO2006/125143、WO2007/053661およびWO2007/053767として公開された国際出願公開パンフレットに記載されている。
【0093】
当技術分野で公知のアッセイのいずれかを使用して、抗CD40抗体が1種または複数のB細胞応答のアンタゴニストとしての機能を果たすかどうかを測定することができる。一部の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞増殖、B細胞分化、抗体産生、細胞内接着、B細胞記憶の生成、アイソタイプスイッチ、MHCクラスIIおよびCD80/86の細胞表面発現の上方制御ならびに炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL−8、IL−12およびTNFの分泌からなる群より選択される少なくとも1種のB細胞応答のアンタゴニストとしての機能を果たす。特に関心があるのは、ヒトB細胞表面上のヒトCD40抗原に結合したとき、B細胞増殖に関して有意なアゴニスト活性がないアンタゴニスト抗CD40抗体である。
【0094】
抗CD40抗体は、B細胞増殖アッセイにおいて測定したとき、可溶性または細胞表面CD40Lによって誘導されるB細胞増殖のアンタゴニストであってもよい。適切なB細胞増殖アッセイは、当技術分野では公知である。適切なB細胞増殖アッセイはまた、以下に説明する。一部の実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体はB細胞増殖を、陰性対照によって誘導されるB細胞増殖よりも約25%以下しか大きくないレベル(すなわち、少なくとも75%の阻害)、好ましくは、陰性対照によって誘導されるB細胞増殖よりも約20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、またはさらに約0.1%以下しか大きくないレベルに刺激する。
【0095】
他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞増殖アッセイにおいて測定したとき、別の抗CD40抗体(例えば、S2C6抗CD40抗体、Kwekkeboomら(1993年)Immunology、79巻:439〜444頁)によって誘導されたB細胞増殖のアンタゴニストであり、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でその他の抗CD40抗体によって刺激されるB細胞増殖のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でその他の抗CD40抗体によって誘導されるB細胞増殖の約25%以下(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でその他の抗CD40抗体によって誘導されるB細胞増殖の約20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらに約0.1%以下である。
【0096】
さらにその他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞活性化アッセイにおいて測定したとき、細胞株EL4B5(Kwekkeboomら(1993年)Immunology、79巻:439〜444頁)によって誘導されるB細胞増殖のアンタゴニストであり、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でEL4B5細胞株によって刺激されるB細胞増殖のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でこの細胞株によって誘導されるB細胞増殖の約25%以下(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でこの細胞株によって誘導されるB細胞増殖の約20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらに約0.1%以下である。
【0097】
さらにその他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞による抗体産生のためのヒトT細胞ヘルパーアッセイにおいて測定したとき、ヒトB細胞によるヒトT細胞誘導性抗体産生のアンタゴニストである。このように、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でT細胞によって刺激されたB細胞によるIgG抗体産生、IgM抗体産生、またはIgGおよびIgM両方の抗体産生のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でT細胞によって刺激されたB細胞によるそれぞれの抗体産生の約50%以下(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でT細胞によって刺激されたB細胞によるそれぞれの抗体産生の約25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらに約0.1%以下である。
【0098】
例えば、以下のアッセイを使用して、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性を評価することができる。これらのアッセイのためのヒトB細胞は、例えば、本質的にDe Grootら(1990年)Lymphokine Research(1990年)9巻:321頁に記載されたように、扁桃摘出術を受けた個体から採取された扁桃腺から単離することによって得ることができる。簡単に説明すると、組織を外科用メスで分散させ、L−ロイシンメチルエステル5mMで処置することによって食細胞およびNK細胞を除去し、2−アミノエチルイソチオウロニウムブロミドで処理したヒツジ赤血球(SRBC)のロゼッティングを1回行うことによってT細胞を除去する。得られたBリンパ球調製物の純度は、抗(CD20)mAb B1(Coulter Clone、Hialeah、FA)または抗(CD3)mAb OKT3(Ortho、Raritan、NJ)およびウサギ抗(マウスIg)のFITC結合F(ab’)断片(Zymed、San Francisco、CA)による間接免疫蛍光標識、ならびにFACS解析によって確認することができる。
【0099】
B細胞増殖アッセイ
B細胞(4×10/ウェル)を、平底96ウェルマイクロプレート内で10%ウシ胎仔血清を補給したIMDM200μl中で培養する。B細胞を、固定化抗(IgM)抗体(イムノビーズ、5μg/ml、BioRad、Richmond、California)を添加することによって刺激する。所望するならば、組換えIL−2 100U/mlを添加する。種々の濃度の試験モノクローナル抗体(mAb)をミクロ培養の開始時に添加し、3日目に18時間パルス後の(H)−チミジンの取込みを測定することによって増殖を評価する。アンタゴニスト抗CD40抗体は、固定化抗IgMの存在下、または固定化抗IgMおよびIL−2の存在下では、ヒトB細胞増殖を著しく共刺激しない。
【0100】
Banchereau様B細胞増殖アッセイ
抗CD40モノクローナル抗体が、Banchereauら(1991年)Science(1991年)251巻:70頁に記載されたものと類似の培養系においてB細胞増殖を刺激する能力を試験するため、ヒトFcγRIIのHR対立遺伝子形態を発現するマウス3T6形質移入細胞を使用する。B細胞(ウェル当たり2×10個)を、平底マイクロウェル内で形質転換体細胞1×10個(5000Radを照射)の存在下で、10%ウシ胎仔血清および組換えIL−4 100U/mlを補給したIMDM200μl中で培養する。B細胞を添加する前に、3T6細胞を培養プラスティック器に少なくとも5時間付着させる。抗CD40mAbを15ng/mlから2000ng/mlの種々の濃度で添加し、B細胞の増殖を、第7日に、[H]チミジンによる18時間パルス時のチミジン取込みの測定によって評価する。
【0101】
アンタゴニスト抗CD40mAbを使用したS2C6刺激型B細胞増殖の阻害
アンタゴニスト抗CD40モノクローナル抗体(mAb)はまた、前述のB細胞増殖アッセイを使用して、S2C6(SGN−14としても公知で、正常B細胞増殖のCD40刺激のアゴニストであると報告されている、Franciscoら(2000年)Cancer Res. 60巻:3225〜3231頁)などの抗CD40抗体によるB細胞増殖の刺激を阻害する能力によって特徴付けることができる。ヒト扁桃B細胞(ウェル当たり4×10個)をマイクロウェル内で200μl中で、セファロースビーズ(5μg/ml)に結合させた抗IgMおよび抗CD40mAb S2C6(1.25μg/ml)の存在下で培養する。関心のある抗CD40mAbを種々の濃度で添加し、3日後に[H]−チミジン取込みを評価する。対照として、抗(グルコセレブロシダーゼ)mAb 8E4を同様の濃度で添加することができる。Barneveldら(1983年)Eur. J. Biochem. 134巻、585頁。アンタゴニスト抗CD40抗体は、mAb S2C6による抗IgM誘導性ヒトB細胞増殖の共刺激を、例えば少なくとも75%以上阻害することができる(すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でのS2C6刺激性増殖は、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で認められる増殖の25%以下である)。対照的に、β−グルコセレブロシダーゼに特異的な同等量の非関連mAb 8E4では、有意な阻害は見られない。Barneveldら、前述。このような結果は、抗CD40mAbはヒトB細胞の増殖のための刺激性シグナルを送達しないが、逆に、別のmAbによるCD40の誘発によって生じる刺激性シグナルを阻害することができることを示すだろう。
【0102】
EL4B5細胞によるB細胞活性化アッセイ
Zublerら(1985年)J. Immunol.(1985年)134巻:3662頁は、EL4B5として公知のマウス胸腺腫EL−4系統の変異型サブクローンは、インビトロにおいてマウスおよびヒト起源両方のB細胞を強力に刺激して増殖させ、免疫グロブリン分泌形質細胞に分化させることができることを観察した。この活性化は、抗原非依存性であり、MHCに制限されないことが見出された。ヒトB細胞の最適な刺激のためには、活性化されたヒトT細胞の上清の存在が必要であったが、EL4B5細胞をホルボール−12−ミリステート13−アセテート(PMA)またはIL−1で予め活性化すると、B細胞応答も起こった。Zublerら(1987年)Immunological Reviews 99巻:281頁およびZhangら(1990年)J. Immunol. 144巻:2955頁。この培養系におけるB細胞活性化は効率的で、限界希釈実験によって、大部分のヒトB細胞が活性化されて増殖し、抗体分泌細胞に分化できることが示された。Wenら(1987年)Eur. J. Immunol. 17巻:887頁。
【0103】
B細胞(ウェル当たり1000個)を照射した(5000Rad)EL4B5細胞(ウェル当たり5×10個)と一緒に、平底マイクロプレート内において10%熱不活化ウシ胎仔血清、ホルボール−12−ミリステート13−アセテート5ng/mlおよび5%ヒトT細胞上清を補給したIMDM200μl中で培養する。mAbを種々の濃度で培養開始時に添加し、第6日に、[H]−チミジンで18時間パルスした後チミジン取込みを評価する。T細胞上清を調製するため、精製したT細胞を10/mlの密度で36時間、PHA1μg/mlおよびPMA10ng/mlの存在下で培養する。Wenら(1987年)Eur. J. Immunol.(1987年)17巻:887頁。T細胞上清は、細胞を遠心分離することによって取得し、−20℃で保存する。EL4B5−B細胞培養物におけるヒトB細胞増殖の増強におけるT細胞上清の有効性を試験し、最も有効な上清を実験において使用するために収集する。EL4B5誘導型ヒトB細胞増殖に対する抗CD40抗体の効果を評価するとき、MOPC−141(IgG2b)などのモノクローナル抗体を対照として添加することができる。
【0104】
B細胞による抗体産生に対するヒトT細胞ヘルパーアッセイ
アンタゴニスト抗CD40抗体は、B細胞による抗体産生のアンタゴニストとしての機能を果たすことができる。抗CD40抗体は、この型のアンタゴニスト活性について、T細胞ヘルパーアッセイにおいて活性化T細胞によって接触依存的に刺激されたB細胞による抗体産生を阻害する該抗体の能力を評価することによって、試験することができる。この様式では、96ウェル組織培養プレートを1:500に希釈した抗CD3 mAb CLB−T3/3(CLB、Amsterdam、The Netherlands)の腹水液でコーティングする。指示した通りに、共刺激性mAb、抗CD2mAb CLB−T11.1/1およびCLB−T11.2/1(CLB、Amsterdam、The Netherlands)を、いずれも腹水1:1000で、ならびに抗CD28 mAb CLB−28/1(CLB、Amsterdam、The Netherlands)を添加する。その後、扁桃T細胞(照射、3000Rad、ウェル当たり10個)、扁桃B細胞(ウェル当たり10個)およびrIL−2(20U/ml)を添加する。各細胞培養の最終量は200μlである。8日後、細胞を遠心で沈降させ、無細胞上清を回収する。(希釈した)試料中のヒトIgMおよびIgGの濃度をELISAによって以下に説明したように概算する。
【0105】
一実施形態において、ヒト扁桃B細胞(ウェル当たり10個)を照射した精製T細胞(3000rad、ウェル当たり10個)と一緒に、抗CD3 mAbでコーティングした96ウェルプレート内で、T細胞を共刺激する異なるmAbを伴って、または伴わないで培養する。8日間培養後、B細胞による抗体産生を測定するために上清を回収する。B細胞による抗体産生を以下に説明したELISAアッセイによって評価する。関心のある抗CD40抗体を培養開始から種々の濃度で添加する。対照として、mAb MOPC−141を添加することができる。
【0106】
アンタゴニスト抗CD40抗体は、ヒトT細胞によって刺激されたB細胞のIgGおよびIgM抗体産生を少なくとも50%以上阻害することができる(すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でのB細胞によるT細胞誘導性の抗体産生は、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で認められる抗体産生の50%以下である)。対照的に、MOPC−141などの対照抗体は、B細胞によるT細胞誘導性の抗体産生に対して有意な効果を有しない。
【0107】
抗体定量のためのELISAアッセイ
ヒトIgMおよびIgGの濃度は、ELISAによって概算される。96ウェルELISAプレートを0.05M炭酸緩衝液(pH=9.6)に溶かしたマウス抗ヒトIgG mAb MH16−01(CLB、Amsterdam、The Netherlands)4μg/mlまたはマウス抗ヒトIgM mAb4102(Tago、Burlingame、CA)1.2μg/mlで4℃で16時間インキュベーションすることによってコーティングする。プレートをPBS−0.05%Tween−20(PBS−Tween)で3回洗浄し、BSAで1時間飽和させる。2回洗浄後、プレートを1時間37℃で、異なる希釈度の試験試料と共にインキュベートする。3回洗浄後、結合したIgを、ペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトIgG mAb MH16−01(CLB)またはマウス抗ヒトIgM mAb MH15−01(CLB)1μg/mlで1時間37℃でインキュベーションすることによって検出する。プレートを4回洗浄し、結合したペルオキシダーゼ活性は、基質としてO−フェニレンジアミンを添加することによって明らかにする。ヒト標準血清(H00、CLB)を用いて、各アッセイのための標準曲線を確立する。
【0108】
アンタゴニスト抗CD40抗体は当業界では公知である。例えば、米国特許出願公開番号第20020142358号および第20030059427号で開示されたF4−465と指定されたハイブリドーマによって産生されるヒト抗CD40抗体を参照のこと。F4−465は、HACマウス(Kuroiwaら(2000年)Nature Biotech 10巻:1086頁(2000年))から得られたもので、したがって、ヒトラムダ軽鎖を発現する。
【0109】
アンタゴニスト活性に加えて、本発明の方法において使用するための抗CD40抗体は、好ましくは、標的細胞に対して別の作用機構を有する。抗CD40抗体は、好ましくはADCC活性を有する。
【0110】
本発明で特に関心が持たれるのは、HCD122(ATCC(American Type Culture Collection)10801 University Blvd.、Manassas、Virginia 20110〜2209(USA))に2003年9月17日に特許寄託番号PTA−5543として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生された)の結合特性を共有する抗CD40抗体である。このような抗体には、限定はしないが、
a)ATCCに特許寄託番号PTA−5543として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体HCD122;
b)配列番号2で示された配列、配列番号4で示された配列、配列番号5で示された配列、配列番号2および4で示された両方の配列、ならびに配列番号2および配列番号5で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体;
c)配列番号17で示された配列、配列番号19で示された配列、配列番号20で示された配列、配列番号17および19で示された両方の配列、ならびに配列番号17および配列番号20で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体;
d)配列番号16で示された配列、配列番号18で示された配列ならびに配列番号16および配列番号18で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体;
e)配列番号1で示された配列、配列番号3で示された配列ならびに配列番号1および配列番号3で示された両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を有する抗体、
f)CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)を有する抗体;
g)CDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列、CDR−H3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する抗体;
h)CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)ならびにCDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列、CDR−H3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する抗体;
i)ヒトCD40抗原のドメイン2に結合する抗体;
j)モノクローナル抗体HCD122に結合することができるCD40エピトープに結合する抗体;
k)配列番号7または配列番号9で示したヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合する抗体;ならびに
l)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体HCD122と競合する抗体が含まれる。
【0111】
抗体をコードする1個または複数の発現ベクターを含有するCHO細胞から得られた抗CD40抗体は、本発明の方法で使用することができる。
【0112】
ATCCに特許寄託番号PTA−5543として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体HCD122は、本発明の方法で使用するために特に好ましい。
【0113】
モノクローナル抗体HCD122はヒトCD40抗原のドメイン2に結合し、一方、アンタゴニスト特性を有する抗CD40抗体はヒトCD40のその他のドメインに結合することが以前に見出された。
【0114】
HCD122モノクローナル抗体はELISA型アッセイにおいて可溶性CD40に結合し、細胞表面CD40に対するCD40−リガンドの結合を阻害し、フローサイトメトリーアッセイによって測定すると、予め結合しているCD40−リガンドと置換する。正常なヒト対象のB細胞増殖に対する効果をインビトロで試験すると、HCD122はアンタゴニスト抗CD40抗体として作用する。さらに、HCD122は正常な対象のヒトリンパ球の増殖を強力には誘導しない。この抗体は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)によってCD40発現標的細胞を殺滅することができる。HCD122のヒトCD40に対する結合親和性は、Biacore(商標)アッセイによって測定すると5×10−10Mである。
【0115】
HCD122抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は公知である(例えば、WO2005/044854参照)。さらに、HCD122抗体を発現するマウスハイブリドーマ系153.8E2.D10.D6.12.12(CMCC#12056)は、American Type Culture Collection[ATCC、10801 University Blvd.、Manassas、Virginia 20110〜2209(USA)]に2003年9月17日に特許寄託番号PTA−5543として寄託された。
【0116】
HCD122の軽鎖の完全配列は、配列番号2に記載されており、リーダー配列(配列番号2の残基1〜20)、可変領域(配列番号2の残基21〜132)および定常領域(配列番号2の残基133〜239)を含む。HCD122の重鎖の完全配列は、配列番号4に記載されており、リーダー配列(配列番号4の残基1〜19)、可変領域(配列番号4の残基20〜139)および定常領域(配列番号4の残基140〜469)を含む。HCD122の変種の完全配列は、配列番号5に記載されており、リーダー配列(配列番号5の残基1〜19)、可変領域(配列番号5の残基20〜139)および定常領域(配列番号5の残基140〜469)を含む。この変種は、定常領域内にある配列番号4の153位のアラニン残基のセリン残基による置換を含み、HCD122とは異なっている。HCD122の軽鎖および重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1(HCD122の軽鎖のコーディング配列)および配列番号3(HCD122の重鎖のコーディング配列)で記載される。
【0117】
リーダー配列を有さないHCD122軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(すなわち、配列番号2の残基21〜132)を配列番号16に記載する。リーダー配列を有さないHCD122軽鎖の可変領域および定常領域のアミノ酸配列(すなわち、配列番号2の残基21〜239)を配列番号17に記載する。リーダー配列を有さないHCD122重鎖の可変領域のアミノ酸配列(すなわち、配列番号4の残基20〜139)を配列番号18に記載する。リーダー配列を有さないHCD122重鎖の可変領域および定常領域のアミノ酸配列(すなわち、配列番号4の残基20〜469)を配列番号19に記載する。HCD122重鎖変種の可変領域および定常領域のアミノ酸配列(すなわち、配列番号5の残基20〜469)を配列番号20に記載する。
【0118】
本発明の方法で使用するための抗CD40抗体には、HCD122モノクローナル抗体とは異なるがCDRを保持している抗体および1個または複数のアミノ酸の添加(複数可)、欠失(複数可)または置換(複数可)を有する抗体が含まれる。HCD122は、完全なヒト抗体であるが、所望するならばさらに脱免疫化することができる。脱免疫した抗CD40抗体は、例えば、WO98/52976およびWO00/34317に記載されたような公知の方法を使用して生成することができる。この様式で、抗CD40抗体内の残基は、治療活性は保持しているが抗体のヒトに対する免疫原性を減少させるために改変することができる。
【0119】
関心のある結合特異性を有する任意の公知の抗体は、例えば、EP0983303、WO00/34317およびWO98/52976に記載された方法を使用して作製された配列変化を有することができる。例えば、CDR内の配列は、抗体がMHCクラスIIに結合する原因となり、ある種の患者において望ましくないヘルパーT細胞応答を引き起こし得ることが示された。保存的置換は、抗体が望ましくないT細胞応答を引き起こす能力を欠如しているにもかかわらず結合活性を保持することを可能にし得る。このような任意の保存的または非保存的置換は、当技術分野で認識された方法、例えば、本明細書の他のところで記載された方法を使用して行うことができ、得られた抗体はまた、本発明の方法で使用することができる。変種抗体は、本明細書で記載した方法を使用して、特定の活性、例えば、アゴニスト活性、親和性および特異性について常法通り試験することができる。
【0120】
例えば、アンタゴニスト抗CD40抗体、例えば、HCD122モノクローナル抗体のアミノ酸配列変種は、関心のある抗体をコードするクローン化DNA配列中の変異によって調製することができる。変異誘発およびヌクレオチド配列改変の方法は当技術分野で周知である。例えば、WalkerおよびGaastra編、(1983年)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company, New York)、Kunkel(1985年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82巻:488〜492頁、Kunkelら(1987年)Methods Enzymol. 154巻:367〜382頁、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual {Cold Spring Harbor, New York)、米国特許第4,873,192号、およびそこで引用された参考文献を参照のこと。関心のあるポリペプチドの生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する指針は、Dayhoffら(1978年)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl. Biomed. Res. Found.、Washington、D.C.)のモデルに見出すことができる。保存的置換、例えば、1アミノ酸を類似の特性を有する別のものと交換することが好ましい可能性がある。保存的置換の例には、限定はしないが、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが含まれる。
【0121】
関心のある抗体、例えば、関心のあるアンタゴニスト抗CD40抗体ポリペプチドの変種の構築において、改変は、変種が継続して所望の活性、すなわち、類似の結合親和性を有するように、およびアンタゴニスト抗CD40抗体の場合は、ヒト細胞の表面上に発現したヒトCD40抗原に特異的に結合することができ、有意なアゴニスト活性はないが、ヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合したときアンタゴニスト活性を示すことができるように行うことができる。明らかに、変種ポリペプチドをコードするDNA中に形成された任意の変異は、この配列をリーディングフレーム外に配置してはならず、好ましくは、第2のmRNA構造を生成できる相補領域を生成しないものである(例えば、EP0075444参照)。
【0122】
さらに、抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体の定常領域は、いくつかの方法で、エフェクター機能を改変するように変異させることができる。例えば、Fc受容体への抗体結合を最適化するFc変異を開示している米国特許第6,737,056B1号および米国特許出願公開第2004/0132101A1号を参照のこと。
【0123】
好ましくは、参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体の変種は、この参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体分子、例えば、本明細書で記載したHCD122モノクローナル抗体のアミノ酸配列と、少なくとも70%または75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%または85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。より好ましくは、この分子は、少なくとも96%、97%、98%または99%の配列同一性を共有する。本発明の目的のため、パーセント配列同一性は、ギャップ開始ペナルティ12およびギャップ伸張ペナルティ2、BLOSUMマトリックス62でアフィンギャップ検索を用いて、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定する。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981年)Adv. Appl. Math. 2巻:482〜489頁に教示されている。変種は参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体と、例えば、1から15アミノ酸残基程度の少数、1から10アミノ酸残基程度の少数、例えば、6〜10、5程度の少数、4、3、2程度の少数、または1アミノ酸残基だけ異なっていてもよい。
【0124】
2種のアミノ酸配列の最適なアラインメントに関して、変種アミノ酸配列の連続する部分は、参照アミノ酸配列に対して付加されたアミノ酸残基または欠失したアミノ酸残基を有していてもよい。参照アミノ酸配列との比較に使用される連続部分は、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含み、30、40、50またはそれ以上のアミノ酸残基であってもよい。保存的残基置換またはギャップと関連した配列同一性について補正を行うことができる(Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを参照のこと)。
【0125】
特に悪性B細胞上のCD40抗原に結合したとき、CD40に特異的に結合し、アンタゴニスト活性を保持することができる抗体の正確な化学構造は、いくつかの要素に左右される。イオン化できるアミノ基およびカルボキシル基が抗体分子内に存在するので、特定のポリペプチドは、酸性もしくは塩基性の塩として、または中性形態で得ることができる。適当な環境条件に置かれたとき、その生物学的活性を保持しているこのような調製物は全て、本明細書で使用したようなアンタゴニスト抗CD40抗体の定義に含まれる。さらに、その一次アミノ酸配列のポリペプチドを、糖部分を用いた誘導体化(グリコシル化)によって、またはその他の補助分子、例えば、脂質、リン酸、アセチル基などによって増大させることができる。また、糖類の結合によっても増大させることができる。このような増大の特定の態様は、産生宿主の翻訳後プロセシング系によって実現され、その他のこのような修飾は、インビトロで導入することができる。任意の事象において、このような修飾は、本明細書で使用した抗CD40抗体の定義に含まれる。このような修飾は、様々なアッセイにおいて、ポリペプチドの活性を増強させるか、または低下させることによって、定量的または定性的に活性に影響を及ぼし得ることが予測される。さらに、鎖内の個々のアミノ酸残基は、酸化、還元またはその他の誘導体化によって修飾することができ、このポリペプチドは、活性を保持する断片を得るために切断することができる。
【0126】
当技術分野では、抗体変種の調製および使用に関する十分な指針が作成されている。抗CD40抗体変種の調製において、当業者は、天然タンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対して、どの改変が本発明の方法において使用される医薬組成物の治療活性成分としての使用に適した変種をもたらすかを容易に決定することができよう。
【0127】
本発明の方法で使用するための抗CD40抗体は、好ましくは、インビトロおよび/またはインビボにおいて、以下の生物学的活性、T細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞による抗体分泌の阻害;CD40L発現細胞または可溶性CD40リガンド(sCD40L)によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;ジャーカットT細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;sCD40Lまたは固相CD40Lによって刺激される任意の細胞における「生存」抗アポトーシスの細胞内シグナルの阻害;ならびにsCD40Lまたは固相CD40Lとの連結時の任意の細胞におけるCD40シグナル伝達の阻害、限定はしないが、T細胞およびB細胞を含む、CD40を有する標的細胞またはCD40に対するコグネイトリガンドを有する細胞の欠失、アネルギーおよび/または耐性誘導、CD4CD25調節T細胞の拡大または活性化の誘導(例えば、CD40−CD40L干渉を介したドナーアロ抗原特異的組織拒絶、van Maurikら(2002年)J. Immunol. 169巻:5401〜5404頁)、任意の機構(限定はしないが、抗体依存性細胞媒介型細胞毒性(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)、増殖の下方制御および/または標的細胞におけるアポトーシスを含む)を介した細胞毒性、標的細胞サイトカイン分泌および/または細胞表面分子発現の調節ならびにその組合せの少なくとも1つを有する。このような生物学的活性のアッセイは、本明細書で記載したように実施することができる。Schultzeら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92巻:8200〜8204頁、Dentonら(1988年)Pediatr Transplant. 2巻:6〜15頁、Evansら(2000年)J. Immunol.164巻:688〜697頁、Noelle(1988年)Agents Actions Suppl. 49巻:17〜22頁、Ledermanら(1996年)Curr. Opin. Hematol. 3巻:77〜86頁、Coliganら(1991年)Current Protocols in Immunology 13巻:12頁、Kwekkeboomら(1993年)Immunology 79巻:439〜444頁および米国特許第5,674,492号および第5,847,082号に記載されたアッセイも参照のこと。
【0128】
抗体のADCC活性を増加させるように操作することも可能である。特に、CH2ドメインのカルボキシ末端側の半分は、FcRIII受容体によって媒介されるADCCに重要である。CH2およびヒンジ領域は、エフェクター機能において重要な役割を有するので、余分なCH2および/またはヒンジ領域を含有する一連の多ドメイン抗体を創出し、エフェクター効力における任意の変化について試験することができる(Greenwoodら(1994年)Ther.Immunol. 1巻(5号):247〜55頁を参照)。他の取り組みとしては、例えば、システインをキメラIgのH鎖に操作することによって二量体を創出して余分なドメインを平行して操作することであってもよい(Shopes(1992年)J. Immunol. 148巻(9号):2918〜22頁を参照)。さらに、ADCC活性を増加させるための変更は、変異をFc領域内に導入すること(例えば、米国特許第6,737,056B1号を参照)、細胞をフコシルトランスフェラーゼ欠損細胞株内で発現させること(例えば、米国特許出願公開第2003/0115614号を参照)または抗体グリコシル化に対してその他の変更を実施すること(例えば、米国特許第6,602,684号を参照)により設計することができる。
【0129】
本明細書において同定されたCD40−抗原エピトープに特異的なアンタゴニスト抗CD40抗体を検出するための代表的なアッセイは、「競合的結合アッセイ」である。競合的結合アッセイは、未知物質が、標識された既知リガンドのその特異的抗体への結合を阻害するその能力によって検出および定量される血清学的アッセイである。これはまた、競合的阻害アッセイと称される。代表的な競合的結合アッセイでは、標識されたCD40ポリペプチドを試料中の候補抗体によって、例えば、抗CD40モノクローナル抗体の1個または複数のエピトープに対して生成させたモノクローナル抗体と組み合わせて沈殿させる。関心のあるエピトープと特異的に反応する抗CD40抗体は、CD40タンパク質または関心のあるCD40タンパク質の特定のエピトープを含むタンパク質の断片に対して調製された一連の抗体をスクリーニングすることにより同定することができる。例えば、ヒトCD40では、関心のあるエピトープには、配列番号7に示したヒトCD40の短アイソフォームの線状および/または非線状アミノ酸残基を含むエピトープ(ジェンバンク受託番号NP_690593参照;配列番号6に示した配列にコードされる;ジェンバンク受託番号NM_152854も参照)、またはヒトCD40の長アイソフォームの線状および/または非線状アミノ酸残基を含むエピトープ(配列番号9に示したジェンバンク受託番号CAA43045およびNP_001241を参照、配列番号18に示した配列にコードされる;ジェンバンク受託番号X60592およびNM_001250を参照)が含まれる。あるいは、以前に同定された適当なアンタゴニスト抗CD40抗体による競合的結合アッセイを使用して、以前に同定された抗体と同程度のモノクローナル抗体を選択することができるであろう。
【0130】
このようなイムノアッセイで使用される抗体は、標識されているか、または標識されていなくてもよい。未標識抗体は、凝集において使用され、標識抗体は、多種多様な標識を用いて多種多様なアッセイにおいて使用することができる。抗CD40抗体と関心のあるエピトープとの間の抗体−抗原複合体の形成の検出は、検出可能な物質をこの抗体に結合させることによって容易にすることができる。適切な検出手段には、放射性核種、酵素、補酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素原、酵素基質または補因子、酵素阻害剤、補欠分子族複合体、フリーラジカル、粒子、色素などの標識の使用が含まれる。適当な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適当な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ、適当な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが含まれ、発光物質の一例はルミノールであり、生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが含まれ、適当な放射性物質の例には、125I、131I、35SまたはHが含まれる。このような標識試薬は、様々な周知のアッセイ、例えば、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、例えば、ELISA、蛍光免疫測定法などにおいて使用することができる。例えば、米国特許第3,766,162号、第3,791,932号、第3,817,837号および第4,233,402号を参照のこと。
【0131】
前述したように、本発明の併用療法は、リツキシマブ(商標名リツキサン(登録商標)として市販されている)を使用した療法を含む腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態の公知の療法に関する問題に取り組む。リツキシマブは、低、中および高悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)に有効な治療薬であり、その他のB細胞悪性腫瘍に活性があることが示された(例えば、Maloneyら(1994年)Blood 84巻:2457〜2466頁)、McLaughlinら(1998年)J. Clin. Oncol. 16巻:2825〜2833頁、Maloneyら(1997年)Blood 90巻:2188〜2195頁、Hainsworthら(2000年)Blood 95巻:3052〜3056頁、Colombatら(2001年)Blood 97巻:101〜106頁、Coifferら(1998年)Blood 92巻:1927〜1932頁)、Foranら(2000年)J. Clin. Oncol. 18巻:317〜324頁、Andersonら(1997年)Biochem. Soc. Trans. 25巻:705〜708頁またはVoseら(1999年)Ann. Oncol. 10巻:58a参照)。リツキシマブは、再発したB細胞性低悪性度または濾包性非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療のために認可されている。患者によっては、リツキシマブによる治療に耐性になっている(Witzigら(2002年)J. Clin. Oncol. 20巻:3262頁、Grillo−Lopezら(1998年)J. Clin. Oncol. 16巻:2825頁またはJazirehiら(2003年)Mol. Cancer Ther.:2巻:1183〜1193頁参照)。例えば、患者によっては、抗CD20抗体療法後、腫瘍性B細胞上のCD20発現が低下している(Davisら(1999年)Clin. Cancer Res. 5巻:611頁)。さらに、低悪性度NHLの患者の30%から50%が、このモノクローナル抗体に対して臨床応答を示さない(Hainsworthら(2000年)Blood 95巻:3052〜3056頁、Colombatら(2001年)Blood 97巻:101〜106頁)。このモノクローナル抗体に耐性を生じたか、またはこの抗体による初期療法に耐性のB細胞リンパ腫を有する患者では、別の形態の治療行為が必要である。別の療法はまた、リツキシマブによる治療後に再発した患者に望ましい。リツキシマブと比較して、優れた治療活性、特に抗腫瘍活性を有する抗体の発見は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態、例えば、B細胞リンパ腫、特にB細胞非ホジキンリンパ腫の治療方法を劇的に改善することができでであろう。
【0132】
一部の実施形態では、例えば、ヒトリンパ腫または骨髄腫細胞株を使用したヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいて同等量のこれらの抗体で抗腫瘍活性をアッセイする場合、本発明の併用療法はリツキシマブよりも強力な治療効果をもたらす。他の実施形態では、例えば、ヒトリンパ腫または骨髄腫細胞株を使用したヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいて同等量のこれらの抗体で抗腫瘍活性をアッセイする場合、本発明の併用療法はリツキシマブおよびCHOPによる併用療法(通常、R−CHOPとして公知)よりも強力な治療効果をもたらす。
【0133】
適切なヌードマウス異種移植腫瘍モデルには、Namalwa and Daudiとして公知のヒトバーキットリンパ腫細胞株を使用したものが含まれる。好ましい実施形態は、Daudiヒトリンパ腫細胞株を使用して、病期の(staged)ヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性をアッセイする。Daudiリンパ腫細胞株を使用した病期のヌードマウス異種移植片腫瘍モデルは、病期のモデルでは抗体投与は腫瘍が測定可能な大きさに達した後でのみ開始されるので、非病期のモデルよりも、所与の抗体の治療有効性の識別に有効である。非病期モデルでは、抗体投与は一般的に、腫瘍接種の約1日以内で触診可能な腫瘍が存在するようになる前に開始される。抗体が、病期モデルにおいてリツキシマブまたはR−CHOPより優れた性能を示す(すなわち、治療活性の増大を示す)能力は、この抗体がリツキシマブよりも治療上有効であることの強力な指標である。さらに、Daudiモデルでは、リツキシマブの標的である抗CD20は、細胞表面上にCD40よりも高レベルで発現する。
【0134】
本明細書の実施例では、本発明者らはRL(ATCC、CRL−2261)およびSU−DHL−4(DSMZ、ACC495)ヒトB細胞リンパ腫細胞株を使用した。これらの細胞株はいずれも、この分野で使用した一般的なリンパ腫細胞株の多くとは対照的に、エプスタインバーウイルスゲノムについて陰性であることが報告されている。エプスタインバーウイルスに陽性の細胞株の使用は、それらの細胞株において発癌EBVによるシグナル伝達への影響のため、実験データを解釈するとき問題を引き起こし得る。RLおよびSU−DHL−4リンパ腫細胞株がEBV陰性であり、結果は本当に信頼がおけるものであることがより確かで、すなわち、ヒトにおける治療効果が予測されるので、本発明者らによって特に選択された。
【0135】
したがって、一部の実施形態では、エプスタインバーウイルスゲノムが陰性のヒトリンパ腫細胞株を使用して、ヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいて同等量の抗体で抗腫瘍活性をアッセイする場合、本発明の併用療法はリツキシマブよりも強力な治療効果をもたらす。他の実施形態では、エプスタインバーウイルスゲノムが陰性のヒトリンパ腫細胞株を使用して、ヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいて同等量の抗体で抗腫瘍活性をアッセイする場合、本発明の併用療法はリツキシマブおよびCHOPの併用療法よりも強力な治療効果をもたらす。これらの実施形態では、RLまたはSU−DHL−4リンパ腫細胞株を使用してもよい。
【0136】
抗CD40抗体およびリツキシマブの「同等量」とは、重量当たりまたは体積当たりで同じmg用量が投与されることを意味する。したがって、腫瘍モデルで使用した抗CD40抗体をマウスの体重1kg当たり0.01mgで投与する場合、リツキシマブもマウスの体重1kg当たり0.01mgで投与する。
【0137】
抗体の有効性の別の違いは、NK細胞の存在下でインビトロにおいて腫瘍細胞の最大溶解を得るために必要な抗体の濃度をインビトロで測定することである。例えば、抗CD40抗体は、リツキシマブの濃度の1/2未満、好ましくは1/4未満、最も好ましくは1/10未満のEC50で、Daudi細胞の最大溶解に達する。したがって、抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、WO2007/053767で記載されたように、抗体依存性細胞毒性(ADCC)のアッセイ、例えば、CD40発現細胞およびCD20発現細胞を単離されたヒトナチュラルキラー(NK)細胞と関連する抗体の存在下でインキュベートすることを含むアッセイにおいて、同等量のリツキシマブよりも強力であり得る。
【0138】
本発明は、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態を治療するために抗CD40抗体を使用する。
【0139】
本発明の抗CD40抗体は、腫瘍性CD40発現B細胞と関連した疾患または状態を治療するのに治療上有効である濃度で投与する。この目的を達成するため、抗体は、当技術分野で公知の様々な許容された担体および/または賦形剤を使用して製剤化することができる。抗CD40抗体は、非経口投与経路によって投与することができる。典型的には、抗体は、静脈内または皮下のいずれかの注射によって投与される。この投与を行うための方法は、当業者に公知である。
【0140】
静脈内投与は、好ましくは、約1時間未満から約10時間(より好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10時間未満)の期間にわたる注入によって行う。その後の注入は、例えば、約1から約4時間、約1から約3時間または約1から約2時間を含む約1時間未満から約6時間の期間にわたって投与することができる。あるいは、用量は皮下投与することができる。
【0141】
本発明の医薬組成物は、企図する投与経路に適合するように製剤化される。非経口適用に使用される液剤または懸濁剤には、以下の成分、注射用水、生理食塩水などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなど張性を調整するための薬剤を含めることができる。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムで調節することができる。非経口用調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスティック製の反復投与用バイアル内に封入することができる。
【0142】
抗CD40抗体は一般的に、標準的な手法によって、薬学的に許容される緩衝液、例えば、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝水、前述のものの組合せなどの中に供給される。非経口投与可能な薬剤の調製方法は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第21版;Lippincott Williams & Willkins、2005年5月)に記載されている。また、例えば、本発明の方法における使用に適した安定化された抗体医薬製剤が記載されているWO98/56418も参照のこと。
【0143】
投与される少なくとも1種類の抗CD40抗体の量は、当業者によって容易に決定される。投与様式および少なくとも1種類の抗CD40抗体のそれぞれの量に影響する要素には、限定はしないが、疾患の重症度、疾患の既往歴、療法を受けている個体の年齢、身長、体重、健康状態、疾患の型、および体調、または抗体注入に対する応答が含まれる。同様に、投与される抗CD40抗体の量は、投与様式および対象がこの抗腫瘍剤を単回投与または反復投与のいずれで受けるかに左右されるだろう。一般的に、療法を受けている対象の体重が増加するにつれて、抗CD40抗体の投薬量が多くなることが好ましい。
【0144】
投与される抗CD40抗体の単回投与では、約0.1mg/kgから約35mg/kg、約0.5mg/kgから約30mg/kg、約1mg/kgから約30mg/kg、約3mg/kgから約30mg/kg、約3mg/kgから約25mg/kg、約3mg/kgから約20mg/kg、または約5mg/kgから約15mg/kgの範囲であってもよい。したがって、例えば、用量は、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kgまたは約0.3mg/kgから約35mg/kgの範囲内に含まれるその他のこのような用量であってもよい。
【0145】
治療有効量の抗体による対象の治療は、単回治療を含むことができ、または好ましくは、一連の治療を含むことができる。したがって、本発明の方法は、抗CD40抗体の反復投与による投与を含むことができる。この方法は、反復投与での抗CD40抗体の投与を含む。該方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40回またはそれ以上の分割された治療上有効量の抗CD40抗体を含む医薬組成物の投与を含むことができる。反復投与での抗CD40抗体を含む医薬組成物の投与頻度および投与期間は、当業者によって、実験を行うことなく容易に決定することができる。同じ治療有効用量の抗CD40抗体は、治療期間にわたって投与することができる。あるいは、異なる治療有効用量の抗CD40抗体は、治療期間の過程にわたって使用することができる。
【0146】
一例において、対象は、約0.1から20mg/kg体重の範囲の抗CD40抗体で、1週間に1回、約1から10週間、好ましくは約2から8週間、より好ましくは約3から7週間、さらにより好ましくは約4、5または6週間治療される。治療は、再発を予防するため、または再発の徴候時に、2から12カ月毎の間隔で行うことができる。治療に使用される抗体の有効な投薬量は、特定の治療の過程において増減できることも理解されよう。診断用アッセイの結果から、投薬量の変更を行うことができ、明白となり得る。
【0147】
したがって、一実施形態において、投与計画には、治療期間の1、8、15および22日目における少なくとも1種類の抗CD40抗体の治療有効用量の第1の投与が含まれる。
【0148】
別の実施形態において、投与計画には、毎日、または治療期間の1週間のうちの第1、3、5および7日に少なくとも1種類の抗CD40抗体の治療有効用量の第1の投与を有する投与計画、治療期間の1週間のうちの第1および3〜4日に少なくとも1種類の抗CD40抗体の治療有効用量の第1の投与を含む投与計画および治療期間の1週間のうちの第1日に少なくとも1種類の抗CD40抗体の治療有効用量の第1の投与を含む好ましい投与計画が含まれる。処置期間は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、または少なくとも1年を含んでもよい。処置期間は、引き続き行うか、または少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月または少なくとも1年互いに分離することができる。
【0149】
その他の実施形態において、本明細書中の他のところで規定した抗CD40抗体の初期治療有効用量は、より少ない用量範囲(すなわち、約0.3mg/kgから約20mg/kg)であってもよく、その後の用量は、より多い用量範囲(すなわち、約20mg/kgから約50mg/kg)に含めることができる。
【0150】
その他の実施形態では、本明細書中の他のところで規定した抗CD40抗体の初期治療有効用量は、より多い用量範囲(すなわち、約20mg/kgから約50mg/kg)であることができ、その後の用量は、より少ない用量範囲(すなわち、約0.3mg/kgから約20mg/kg)に含める。したがって、本発明の一部の実施形態では、抗CD40抗体療法は、抗体の「負荷用量」を治療を必要とする対象に投与することにより開始することができる。「負荷用量」とは、投与する抗体の用量が、高用量範囲(すなわち、約20mg/kgから約50mg/kg)に含まれる、対象に投与する抗CD40抗体の初期用量のことである。「負荷用量」は、完全な「負荷用量」が約24時間の期間に投与される限り、単回投与、例えば、抗体をIV投与する単回注入として投与するか、または反復投与、例えば、抗体をIV投与する反復注入として投与することができる。「負荷用量」の投与後、対象には、その後治療有効用量の抗CD40抗体を1回または複数回投与する。その後の治療有効用量は、例えば、毎週投薬計画に従って、または2週間に1回、3週間に1回もしくは4週間1回投与することができる。このような実施形態において、その後の治療有効用量は一般的に、低用量範囲(すなわち、0.3mg/kgから約20mg/kg)に含まれる。
【0151】
あるいは、一部の実施形態では、「負荷用量」後、その後の治療有効用量の抗CD40抗体は、「維持計画」に従って投与され、治療有効用量の該抗体は、1カ月に1回、6週間に1回、2カ月に1回、10週間に1回、3カ月に1回、14週間に1回、4カ月に1回、18週間に1回、5カ月に1回、22週間に1回、6カ月に1回、7カ月に1回、8カ月に1回、9カ月に1回、10カ月に1回、11カ月に1回、または12カ月に1回投与される。このような実施形態において、治療有効用量の抗CD40抗体は、特にその後の用量が高頻度な間隔で、例えば、2週間に1回から1カ月に1回投与される場合、低用量範囲(すなわち、0.3mg/kgから約20mg/kg)に含まれるか、または、特にその後の用量が低頻度な間隔で、例えば、その後の用量が約1カ月から約12カ月間隔で投与される場合、高用量範囲(すなわち、約20mg/kgから約50mg/kg)に含まれる。
【0152】
本発明の方法で使用するための本明細書に記載された医薬組成物中に存在する抗CD40抗体は、天然のものであるか、または組換え技術によって得られるものであってもよく、哺乳動物供給源、例えば、マウス、ラット、ウサギ、霊長類、ブタおよびヒトを含む任意の供給源由来であってもよい。好ましくは、このようなポリペプチドは、ヒト供給源由来であり、より好ましくはハイブリドーマ細胞株由来の組換えヒトタンパク質である。
【0153】
治療活性成分として本明細書で記載した結合特性を有する抗CD40抗体を含む任意の医薬組成物は、本発明の方法で使用することができる。したがって、1種または複数の抗CD40抗体を含む、液状、凍結乾燥、または噴霧乾燥組成物は、本発明の方法によって対象にその後投与するために、水性もしくは非水性液剤または懸濁剤として調製することができる。これらの組成物はそれぞれ、少なくとも1種の抗CD40抗体を治療または予防上活性な成分として含む。「治療または予防上活性な成分」とは、医薬組成物が対象に投与されると対象の疾患または状態の治療、予防または診断に関して所望の治療応答または予防応答をもたらす組成物に、抗CD40抗体が特異的に組み込まれることを意味する。好ましくは、医薬組成物は、調製および保存中のタンパク質の安定性および生物学的活性の低下に関連した問題を最小限にするため、適切な安定化剤、増量剤、またはその両方を含む。
【0154】
製剤化剤は、抗CD40抗体を含む医薬組成物に添加することができる。これらの製剤化剤には、限定はしないが、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミン酸、塩、緩衝剤、アルブミン、界面活性剤または増量剤を含めることができる。好ましくは、炭水化物には、糖または糖アルコール、例えば、単、二もしくは多糖類、または水溶性グルカンが含まれる。糖類またはグルカンには、フルクトース、グルコース、トレハロース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αおよびβ−シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物を含めることができる。「糖アルコール」は、ヒドロキシル基を有するCからC炭化水素と定義され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールおよびアラビトールが含まれる。これらの糖類または糖アルコールは、個々に、または組み合わせて使用することができる。糖または糖アルコールの濃度は、1.0%と7%w/vの間、より好ましくは2.0%と6.0%w/vの間である。好ましくは、アミノ酸には、左旋性(L)形態のカルニチン、アルギニンおよびベタインが含まれるが、他のアミノ酸を添加してもよい。好ましいポリマーには、2,000と3,000の間の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または3,000と5,000の間の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。製剤に添加できる界面活性剤は、EP270,799および268,110に示されている。
【0155】
医薬組成物に組み込まれる製剤化剤は、抗CD40抗体の安定性をもたらすべきである。すなわち、抗CD40抗体は、物理的および/または化学的安定性を保持しているべきで、所望する生物学的活性、すなわち、本明細書で前記に定義したアンタゴニスト活性の1種または複数を有する。
【0156】
タンパク質の安定性のモニターする方法は、当技術分野では周知である。例えば、Jones(1993年)Adv. Drug Delivery Rev. 10巻:29〜90頁; Lee編(1991年)Peptide and Protein Drug Delivery(Marcel Dekker、Inc.、New York、New York);および本明細書において以下に開示する安定性アッセイを参照のこと。一般的に、タンパク質の安定性は、選択した温度において指定した期間で測定する。好ましい実施形態では、安定な抗体医薬製剤は、室温(約25℃)で保存した場合、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月もしくは少なくとも6カ月抗CD40抗体の安定性をもたらし、かつ/または約2〜8℃では、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月安定である。
【0157】
抗体などのタンパク質は、医薬組成物に製剤化される場合、所与の時点で、その医薬組成物において沈殿、凝集および/または変性の視覚的表示(すなわち、変色または透明性の低下)または測定可能な表示(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)もしくはUV光散乱を使用)が示されないならば、その物理的安定性を保持しているとみなされる。化学安定性に関して、抗体などのタンパク質は、医薬組成物に製剤化される場合、所与の時点で、化学安定性の測定によって、その医薬組成物においてそのタンパク質(すなわち、抗体)が関心のある生物学的活性を保持していることが示されるならば、その化学安定性を保持しているとみなされる。化学安定性の変化をモニターするための方法は当技術分野で周知であり、限定はしないが、例えば、SDS−PAGE、SECおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化法/飛行時間型質量分析を使用して、クリッピング(clipping)の結果などのタンパク質の化学的に変質された形態を検出するための方法、ならびに、例えば、イオン交換クロマトグラフィーを使用して、分子電荷の変化に関連した(例えば、脱アミド化に関連した)分解を検出するための方法が含まれる。例えば、本明細書において以下に開示する方法を参照のこと。
【0158】
抗CD40抗体は、医薬組成物に製剤化される場合、所与の時点で、その時点での所望の生物学的活性が、所望の生物学的活性のために適当なアッセイで測定したとき、医薬組成物が調製された時点で示される所望の生物学的活性の約30%以内、好ましくは約20%以内であるならば、所望の生物学的活性を保持しているとみなされる。抗CD40抗体の所望の生物学的活性を測定するためのアッセイは、本明細書の実施例に記載したように実施することができる。また、Schultzeら(1998年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92巻:8200〜8204頁、Dentonら(1998年)Pediatr Transplant. 2巻:6〜15頁、Evansら(2000年)J. Immunol.164巻:688〜697頁、Noelle(1998年)Agents Actions Suppl. 49巻:17〜22頁、Ledermanら(1996年)Curr Opin. Hematol, 3巻:77〜86頁;Coliganら(1991年)Current Protocols in Immunology 13巻:12頁、Kwekkeboomら(1993年)Immunology 79巻:439〜444頁および米国特許第5,674,492号および第5,847,082号に記載されたアッセイを参照のこと。
【0159】
本発明の一部の実施形態では、抗CD40抗体は液体医薬製剤に製剤化される。抗CD40抗体は、本明細書において前記に開示した方法を含む当技術分野で公知の任意の方法を使用して調製することができる。抗CD40抗体は、CHO細胞株において組換えにより作製することができる。
【0160】
抗CD40抗体がその製剤化の前に保存される場合、例えば、≦−20℃で凍結し、その後さらに製剤化するために室温で解凍することができる。液体医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体を含む。製剤中に存在するそれらの抗体の量には、投与経路および所望の投与量を考慮する。
【0161】
この様式では、液体医薬組成物は抗CD40抗体を、約0.1mg/mlから約50.0mg/ml、約0.5mg/mlから約40.0mg/ml、約1.0mg/mlから約30.0mg/ml、約5.0mg/mlから約25.0mg/ml、約5.0mg/mlから約20.0mg/ml、または約15.0mg/mlから約25.0mg/mlの濃度で含む。一部の実施形態では、液体医薬組成物は抗CD40抗体を、約0.1mg/mlから約5.0mg/ml、約5.0mg/mlから約10.0mg/ml、約10.0mg/mlから約15.0mg/ml、約15.0mg/mlから約20.0mg/ml、約20.0mg/mlから約25.0mg/ml、約25.0mg/mlから約30.0mg/ml、約30.0mg/mlから約35.0mg/ml、約35.0mg/mlから約40.0mg/ml、約40.0mg/mlから約45.0mg/ml、または約45.0mg/mlから約50.0mg/mlの濃度で含む。その他の実施形態において、液体医薬組成物は抗CD40抗体を、約15.0mg/ml、約16.0mg/ml、約17.0mg/ml、約18.0mg/ml、約19.0mg/ml、約20.0mg/ml、約21.0mg/ml、約22.0mg/ml、約23.0mg/ml、約24.0mg/ml、または約25.0mg/mlの濃度で含む。液体医薬組成物は、抗CD40抗体ならびに製剤のpHをpH約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0を含むpH約5.0からpH約7.0の範囲に維持する緩衝剤を含む。一部の実施形態において、緩衝剤は、製剤のpHをpH約5.0からpH約6.5、pH約5.0からpH約6.0、pH約5.0からpH約5.5、pH約5.5から約7.0、pH約5.5からpH約6.5、またはpH約5.5からpH約6.0の範囲に維持する。
【0162】
抗体の物理化学的安定性および所望する生物学的活性が本明細書で前述したように保持される限り、液体抗CD40抗体製剤のpHをpH約5.0からpH約7.0の範囲に維持する任意の適当な緩衝剤を製剤に使用することができる。適切な緩衝剤には、限定はしないが、従来の酸およびそれらの塩が含まれ、その対イオンは、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたはマグネシウムであることができる。液体医薬製剤を緩衝するために使用することができる従来の酸およびそれらの塩の例には、限定はしないが、コハク酸またはコハク酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸または酢酸塩、酒石酸または酒石酸塩、リン酸またはリン酸塩、グルコン酸またはグルコン酸塩、グルタミン酸またはグルタミン酸塩、アスパラギン酸またはアスパラギン酸塩、マレイン酸またはマレイン酸塩、およびリンゴ酸またはリンゴ酸塩緩衝剤が含まれる。製剤中の緩衝剤濃度は、約1mMから約50mMであり、約1mM、2mM、5mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、または約1mMから約50mMの範囲内のその他のこのような値が含まれる。一部の実施形態において、製剤中の緩衝剤濃度は、約5mMから約15mMであり、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、または約5mMから約15mMの範囲内のその他のこのような値が含まれる。
【0163】
本発明の一部の実施形態では、液体医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体、および製剤のpHをpH約5.0からpH約7.0、好ましくはpH約5.0からpH約6.5の範囲に維持する濃度のコハク酸緩衝剤またはクエン酸緩衝剤を含む。「コハク酸緩衝剤」または「クエン酸緩衝剤」とは、それぞれ、コハク酸の塩またはクエン酸の塩を含む緩衝剤を意味する。好ましい実施形態では、コハク酸塩またはクエン酸塩の対イオンはナトリウムカチオンであり、したがって、緩衝剤はそれぞれ、コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムである。しかし、任意のカチオンが有効であることが予測される。その他の可能なコハク酸塩またはクエン酸塩のカチオンには、限定はしないが、カリウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウムが含まれる。前記のように、製剤中のコハク酸またはクエン酸緩衝剤の濃度は、約1mMから約50mMであり、約1mM、2mM、5mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、または約1mMから約50mMの範囲内のその他のこのような値が含まれる。一部の実施形態では、製剤中の緩衝剤濃度は、約5mMから約15mMであり、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mMまたは約15mMが含まれる。その他の実施形態では、液体医薬製剤は、抗CD40抗体を約0.1mg/mlから約50.0mg/ml、または約5.0mg/mlから約25.0mg/mlの濃度で、およびコハク酸塩またはクエン酸緩衝剤、例えば、コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム緩衝剤を約1mMから約20mM、約5mMから約15mM、好ましくは約10mMの濃度で含む。
【0164】
液体医薬製剤がほぼ等張性であることが望ましい場合、抗CD40抗体および緩衝剤を含む液体医薬製剤は、この製剤をほぼ等張性にするのに十分な量の等張剤をさらに含むことができる。「ほぼ等張性」とは、水性の製剤のモル浸透圧濃度が約240mmol/kgから約360mmol/kg、好ましくは約240から約340mmol/kg、より好ましくは約250から約330mmol/kg、さらにより好ましくは約260から約320mmol/kg、なおより好ましくは約270から約310mmol/kgであることを意味する。溶液の等張性の測定方法は、当業者には公知である。
【0165】
当業者は、医薬組成物に等張性をもたらすのに有用な様々な薬学的に許容される溶質について熟知している。等張剤は、本発明の液体医薬製剤の浸透圧を体液の浸透圧にほぼ等しい値に調節することができる任意の試薬であることができる。生理学的に許容される等張剤を使用することが望ましい。したがって、治療有効量の抗CD40抗体および緩衝剤を含む液体医薬製剤はさらに、等張性をもたらすために使用できる成分、例えば、塩化ナトリウム、アミノ酸、例えば、アラニン、バリンおよびグリシン、限定はしないが、グルコース、デキストロース、フルクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、トレハロース、グリセロール、ソルビトールおよびキシリトールを含む糖類および糖アルコール(ポリオール)、酢酸、その他の有機酸またはそれらの塩、ならびに相対的に少量のクエン酸塩またはリン酸塩を含むことができる。当業者には、最適な張性の液状製剤を提供するのに適した他の薬剤は公知であろう。
【0166】
一部の好ましい実施形態では、抗CD40抗体および緩衝剤を含む液体医薬製剤はさらに、等張剤として塩化ナトリウムを含む。製剤中の塩化ナトリウムの濃度は、その他の成分の張性への関与に左右される。一部の実施形態では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mMから約300mM、約50mMから約250mM、約50mMから約200mM、約50mMから約175mM、約50mMから約150mM、約75mMから約175mM、約75mMから約150mM、約100mMから約175mM、約100mMから約200mM、約100mMから約150mM、約125mMから約175mM、約125mMから約150mM、約130mMから約170mM、約130mMから約160mM、約135mMから約155mM、約140mMから約155mMまたは約145mMから約155mMである。このような一実施形態では、塩化ナトリウムの濃度は約150mMである。その他のこのような実施形態では、塩化ナトリウムの濃度は約150mMであり、緩衝剤は、約5mMから約15mMの濃度のコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム緩衝剤であり、液体医薬製剤は治療有効量の抗CD40抗体を含み、この製剤のpHは、pH約5.0からpH約7.0、pH約5.0からpH約6.0またはpH約5.5からpH約6.5である。その他の実施形態では、液体医薬製剤は、抗CD40抗体を約0.1mg/mlから約50.0mg/mlまたは約5.0mg/mlから約25.0mg/mlの濃度で含み、塩化ナトリウム約150mMおよびコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム約10mMを含み、pHがpH約5.5である。
【0167】
本発明の液体医薬製剤の加工中の凍結解凍または機械的剪断によるタンパク質の分解は、溶液−空気界面における表面張力を低下させるために界面活性剤を製剤中に組み込むことによって阻害することができる。したがって、一部の実施形態では、液体医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体、緩衝剤を含み、さらに界面活性剤を含む。その他の実施形態では、液体医薬製剤は、抗CD40抗体、緩衝剤、等張剤を含み、さらに界面活性剤を含む。
【0168】
使用される一般的な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、例えば、ポリソルベート80(Tween80)およびポリソルベート20(Tween20);ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンエステル、例えば、Pluronic F68;ポリオキシエチレンアルコール、例えば、Brij 35;シメチコン;ポリエチレングリコール、例えば、PEG400;リゾホスファチジルコリン;ならびにポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェノール、例えば、Triton X−100を含む非イオン界面活性剤である。界面活性剤または乳化剤による医薬品の古典的な安定化は、例えば、Levineら(1991年)J. Parenteral Sci. Technol. 45巻(3):160〜165頁に記載されている。本発明の実施において使用する好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80である。界面活性剤を含める場合、一般的には、約0.001%から約1.0%(w/v)、約0.001%から約0.5%、約0.001%から約0.4%、約0.001%から約0.3%、約0.001%から約0.2%、約0.005%から約0.5%、約0.005%から約0.2%、約0.01%から約0.5%、約0.01%から約0.2%、約0.03%から約0.5%、約0.03%から約0.3%、約0.05%から約0.5%、または約0.05%から0.2%の量で添加される。
【0169】
したがって、一部の実施形態では、液体医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体を含み、緩衝剤は、約1mMから約50mM、約5mMから約25mMまたは約5mMから約15mMの濃度のコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム緩衝剤であり、この製剤のpHは、pH約5.0からpH約7.0、pH約5.0からpH約6.0またはpH約5.5からpH約6.5のpHであり、この製剤はさらに、界面活性剤、例えばポリソルベート80を約0.001%から約1.0%または約0.001%から約0.5%の量で含む。このような製剤は所望により、塩化ナトリウムなどの等張剤を、約50mMから約300mM、約50mMから約200mMまたは約50mMから約150mMの濃度で含むことができる。その他の実施形態では、液体医薬製剤は、約20.0mg/mlを含む約0.1mg/mlから約50.0mg/mlまたは約5.0mg/mlから約25.0mg/mlの濃度の抗CD40抗体;塩化ナトリウム約150mMを含む塩化ナトリウム約50mMから約200mM;コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム約10mMを含むコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム約5mMから約20mM;約150mMを含む約50mMから約200mMの濃度の塩化ナトリウム;および所望により、約0.001%から約0.5%を含む約0.001%から約1.0%の量の界面活性剤、例えばポリソルベート80を含み、この液体医薬製剤のpHは、pH約5.0からpH約7.0、pH約5.0からpH約6.0、pH約5.0からpH約5.5、pH約5.5からpH約6.5またはpH約5.5からpH約6.0である。
【0170】
液体医薬製剤は、本明細書で前述したいかなる保存剤およびその他の担体、賦形剤または安定化剤を本質的に含まなくてもよい。あるいは、この製剤は、抗CD40抗体の物理化学的安定性に悪影響を及ぼさないならば、本明細書で前述した1種または複数の保存剤、例えば、抗菌剤、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤を含むことができる。許容される担体、賦形剤および安定化剤の例には、限定はしないが、さらなる緩衝剤、共溶媒、界面活性剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、EDTAなどのキレート化剤、金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体)、ならびにポリエステルなどの生分解性ポリマーが含まれる。製剤化および薬学的に許容される担体、安定化剤およびイソモライト(isomolyte)の選択の十分な考察については、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第21版;Lippincott Williams & Willkinsm、2005年5月)に見出すことができる。
【0171】
本明細書では、「担体」には、使用される投薬量および濃度で、それらに曝露されている細胞または哺乳類に対して無毒である薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤が含まれる。生理学的に許容される担体は、水性のpH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容される担体の例には、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩およびその他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシン;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類およびその他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;および/または非イオン界面活性剤、例えば、TWEEN、ポリエチレングリコール(PEG)およびPluronicsが含まれる。
【0172】
本明細書で記載した液体医薬製剤またはその他の医薬組成物を調製した後、分解を防ぐために凍結乾燥することができる。液体組成物を凍結乾燥する方法は、当業者には公知である。使用直前、組成物は、追加的成分を含んでいてもよい滅菌希釈剤(例えば、リンゲル液、蒸留水または滅菌生理食塩水)を用いて再構成することができる。再構成後、組成物は、好ましくは、当業者に公知の方法を使用して対象に投与される。
【0173】
抗CD40抗体を含有する医薬組成物は、WO2007/124299として公開された共有の国際出願第PCT/US2007/066757号に記載された組成物であってもよい。特に、本発明の併用療法で使用するための医薬組成物は、(i)抗CD40抗体、組成物のpHを約pH5.0からpH7.0に維持するための緩衝剤、および(iii)液体製剤をほぼ等張性にするのに十分な量のアルギニン−HClを含んでいてもよい。これらの組成物では、緩衝剤は、クエン酸塩/クエン酸緩衝剤であってもよい。組成物はさらに、非イオン性界面活性剤および/またはさらなる安定化剤としてL−メチオニンを含んでもよい。組成物の浸透圧は、約240mmol/kgから約360mmol/kgであってもよい。緩衝剤の濃度は、約5mMから約100mM、約5mMから約20mM、または約5mMから約15mM(例えば、10mM)であってもよい。組成物のpHは、pH5.0からpH6.0(例えば、約pH5.5)であってもよい。組成物は、アルギニン−HClを、約50mMから約200mM、約100mMから約175mM(例えば、約150mM)の濃度で含んでいてもよい。組成物はさらに、界面活性剤ポリソルベートを、例えば、約0.001から約1.0%(w/v)の濃度で、または約0.025%から約0.1%(w/v)の濃度で含んでいてもよい。組成物はさらに、メチオニンを、約0.5mMから約20.0mMの濃度で、または約1.0mMから約20.0mM(例えば、約5.0mM)の濃度で含んでいてもよい。抗CD40抗体は、組成物中に、約0.1mg/mlから約50.0mg/ml、または約1.0mg/mlから約35.0mg/ml、または約10.0mg/mlから約35.0mg/mlで存在していてもよい。
【0174】
本発明はまた、化学療法薬シクロホスファミド(商標名シトキサン)、ドキソルビシン(商標名アドリアマイシン)、ビンクリスチン(商標名オンコビン)およびプレドニゾン(商標名デルタゾン)の使用を含む。これら4種の化学療法薬の併用は、CHOPと呼ばれる。CHOP計画は通常、非ホジキンリンパ腫の患者の治療に使用され、CHOPは、25年以上の間、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の患者の標準的療法と考えられてきた(Feugierら(2005年)J. Clin. Oncol. 23巻(18号):4117〜4126頁;Habermannら(2006年)J. Clin. Oncol. 24巻(19号):3121〜3127頁)。CHOPは、DLBCLの治療においてリツキシマブと併用して使用されてきた(Feugierら(2005年)J. Clin. Oncol. 23巻(18号):4117〜4126頁;Habermannら(2006年)J. Clin. Oncol. 24巻(19号):3121〜3127)頁。
【0175】
CHOPは、3種類の化学療法薬(シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびビンクリスチン)およびステロイド(プレドニゾン)の組合せである。CHOP化学療法は、数多くの副作用を合併し、最も一般的なのは、疲労、骨髄に対する影響による血液細胞数の減少、悪心、脱毛、不妊、口腔炎(mouth sore)および口腔内潰瘍、食欲減退ならびに神経系の徴候(例えば、ピンおよび針で刺すような痛み)である。本発明の方法は、使用するCHOP計画の用量を減少させてこれらの副作用の1種または複数を軽減するか、または除去することができる。したがって、一部の実施形態では、本発明の方法、使用、組成物およびキットは、CHOPの投与に通常関連する副作用の1種または複数を回避するか、または軽減しながら、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するために使用することができる。
【0176】
本発明の併用療法はまた、使用する抗CD40抗体の用量を減少させることによって、抗CD40抗体の投与に関連した1種または複数の副作用を軽減するか、または除去することができる。したがって、一部の実施形態では、本発明の方法、使用、組成物およびキットは、抗CD40抗体の投与に通常関連する副作用の1種または複数を回避するか、または軽減しながら、腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するために使用することができる。
【0177】
治療活性成分(複数可)としてCHOP成分を含む任意の医薬組成物は、本発明の方法で使用することができる。これらは、1種または複数のCHOP成分および薬学的に許容される担体または賦形剤、例えば、本明細書の他のところで記載したような薬学的に許容される担体または賦形剤を含有する。適切な医薬組成物は当技術分野で周知である。「治療活性成分」とは、医薬組成物が対象に投与されたとき、対象の疾患または状態の治療に関して所望の治療応答をもたらすために関連する治療薬(複数可)が組成物に特異的に組み込まれることを意味する。CHOP成分は、腫瘍性B細胞増殖と関連した疾患または状態を治療するのに「治療上有効」である濃度で投与する。
【0178】
CHOP成分は、適切な投与経路によって投与することができる。シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびビンクリスチンは通常静脈内投与され、プレドニゾンは通常経口投与される。この投与を行うための方法は、当業者に公知である。
【0179】
CHOPは通常、各サイクルがシクロホスファミド750mg/mを第1日目に、ドキソルビシン50mg/mを第1日目に、ビンクリスチン1.4mg/mを第1日目に、プレドニゾン100mg/mを第1日目から5日目に投与することを含む治療サイクルで投与される。このサイクルは一般的に、3週間隔(21日間)で反復する。通常の治療期間は、全部で6サイクルから8サイクルよりなる。
【0180】
本発明の方法、使用、組成物およびキットでは、シクロホスファミドは、75〜1000mg/m、または185〜1000mg/m、または500〜1000mg/m、または700〜800mg/m(例えば、750mg/m)で使用することができる。ドキソルビシンは、5〜70mg/m、または12〜70mg/m、または35〜70mg/m、または45〜55mg/m(例えば、50mg/m)で使用することができる。ビンクリスチンは、0.1〜2.0mg/m、または0.7〜2.0mg/m、または1.0〜2.0mg/m、または1.0〜1.6mg/m(例えば、1.4mg/m)で使用することができる。プレドニゾンは、10〜130mg/m、または50〜130mg/m、または65〜130mg/m、または85〜125mg/m(例えば、100mg/m)で使用することができる。当業者であれば、本発明の併用療法において使用するために適切なCHOP計画を容易に選択することができよう。
【0181】
本発明の方法、使用、組成物およびキットでは、CHOP計画は、好ましくは、3週間隔で反復するが、所望するならば、4週間隔、5週間隔、6週間隔、7週間隔、8週間隔、9週間隔または10週間隔で反復してもよい。本発明の併用療法は、治療効果を維持しながら、使用するCHOPの用量を減少させることができ、それによってCHOP計画のより頻繁な反復、例えば、毎週または2週間隔を可能にする。CHOPは、任意の所望するサイクル数で、例えば、1〜20回、好ましくは3〜15回、より好ましくは5〜10回投与することができる。
【0182】
「含んでいる(comprising)」という用語には、「含んでいる(including)」ならびに「構成される(consisting)」が包含される。例えば、Xを「含んでいる」組成物は、Xのみから構成されてもよく、または何か他のもの、例えば、X+Yを含んでいてもよい。
【0183】
「実質的に」と語句は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要ならば、「実質的に」という用語は、本発明の定義から省いてもよい。
【0184】
数値xに関して「約」という用語は、例えば、x±10%を意味する。
【0185】
本発明の様々な態様および実施形態は、例示のみのためにより詳細にここで説明する。本発明の範囲を逸脱することなく細部の変更を行うことができることを理解されたい。
【実施例】
【0186】
実験
以下の実施例で使用した抗CD40抗体は、モノクローナル抗体HCD122(以前はCHIR−12.12として公知であった)である。HCD122の産生、配列決定および特徴付けは既に記載されている。
【0187】
(実施例1)
CHOPとの併用療法(H−CHOP)におけるHCD122の抗腫瘍活性
ヒトモノクローナル抗体HCD122およびCHOPはそれぞれ、単独で使用したときRLおよびSU−DHK−4リンパ腫モデルにおいて抗腫瘍効果を示した。RL細胞株(ATCC、CRL−2261)は、NHLの52歳白人男性患者から確立されたヒトB細胞リンパ腫細胞株である。SU−DHL−4細胞株(DSMZ、ACC495)は、B−NHL(びまん性大細胞型切れ込み核細胞型)の38歳男性の腹膜浸出液から確立されたヒトB細胞リンパ腫である。これらの細胞株はいずれも、当技術分野で使用される通常のリンパ腫細胞株の多くとは対照的に、エプスタインバーウイルスゲノム陰性であることが報告されている。エプスタインバーウイルス陽性の細胞株の使用は、それらの細胞株で発癌EBVによってシグナル伝達に影響を及ぼすので、実験データを解釈するとき問題を引き起こす可能性がある。RLおよびSU−DHL−4リンパ腫細胞株は、EBV陰性であり、その結果は本当に信頼がおけるものであることがより確かなので、本発明者らによって特に選択された。
【0188】
CHOPと組み合わせたHCD122の活性を、RLびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)異種移植モデルで評価し、HCD122単独およびCHOP単独の活性と比較した。HCD122およびCHOPの組合せは、以下にH−CHOPと称する。H−CHOPの治療効果はまた、通常、R−CHOPと呼ばれるCHOPとキメラ型抗CD−20モノクローナル抗体リツキシマブとの公知の組合せと比較した。
【0189】
材料および方法
HCD122の抗腫瘍活性は、CB17/SCIDマウスにおいて、CHOPと併用して、RL DLBCL異種移植モデルで試験した。RL細胞10×10個は、等量のMatrigel(商標)と共に200μlの量で動物の胸骨正中部位に皮下移植した。抗体投与は、平均腫瘍体積が150〜200mmの大きさになったときに開始した(図1では1日目と記す)。HCD122、リツキシマブおよび陰性対照ヒトIgG1抗体それぞれを腹腔内注射によって投与した。全モノクローナル抗体を週1回の計画で投与し、処置期間は4週間であった。CHOP計画は、これらの用量および計画で投与した;プレドニゾン、0.2mg/kg、経口、1〜5日目;シトキサン、40mg/kg、静脈注射、1日目;ドキソルビシン、3.3mg/kg、静脈内注射、1日目;ビンクリスチン、0.5mg/kg、静脈内注射、1日目。群の大きさはn=12であった。腫瘍体積の測定では、長さ次いで幅をデジタルノギスで測定した。一旦腫瘍が視認できるようになったら、測定値は週2回記録した。腫瘍体積および倍加時間は、式、体積=L×W/2に基づいて計算した。動物の体重を記録し、群当たりの平均として評価した。
【0190】
結果
これらの実験の結果を、以下の図1ならびに表1および2に示す。
【0191】
【表1】

療法は全て、huIgG対照抗体による処置と比較したとき、25日目の腫瘍増殖を有意に抑制した。CHOP単独またはHCD122単独(1mg/kgで)で認められた腫瘍増殖阻害(TGI)はそれぞれ、77%および71%であった(p<0.001、チューキー法)。対照的に、H−CHOP併用(HCD122を1mg/kgで使用)で認められたTGIは95%(p<0.001、チューキー法)であった。R−CHOP併用(リツキシマブを10mg/kgで使用)で認められたTGIは90%(p<0.001、チューキー法)であった。
【0192】
【表2】

腫瘍増殖遅延(腫瘍の大きさが500mmに至るまでの時間)は、CHOP単独(8日)またはHCD122単独(6日)よりもH−CHOP(17.5日)では有意に長かった(p<0.001)。毒性は、H−CHOP併用では認められなかった。試験の終了時(35日目)、腫瘍増殖の抑制は、H−CHOP(HCD122 1mg/kg)を投与された処置群では、R−CHOP(リツキシマブ 10mg/kg、p<0.05、チューキー法)またはCHOP単独(p<0.001、チューキー法)を投与された群よりも有意に大きかった。
【0193】
これらのデータは、H−CHOP併用による処置は、HCD122単独またはCHOP単独による処置よりも大きな抗腫瘍効果をもたらすことを示している。HCD122を1mg/kgで使用したとき、H−CHOP併用は、各薬剤の効果を単に相加した場合に予測されるよりも大きな治療効果を提供し、すなわち、H−CHOP併用は相乗的な治療効果を提供することが見出された。したがって、これらのデータは、H−CHOP併用は、例えば、治療効果の増強をもたらすか、またはCHOP投薬量を減少させて、CHOP投与に関連した副作用の1種または複数を軽減もしくは除去することによって、普通であればCHOP単独またはHCD122単独で治療できるヒト患者における抗腫瘍療法を改善するために使用できることを示唆している。
【0194】
これらのデータはまた、H−CHOP併用による処置は、リツキシマブ単独またはリツキシマブおよびCHOPの併用(R−CHOP)による処置よりも大きな抗腫瘍効果をもたらすことを示している。したがって、これらのデータは、H−CHOP併用は、例えば、治療効果の増強をもたらすか、またはCHOP投薬量を減少させて、CHOPに関連した副作用の1種または複数を軽減もしくは除去することによって、普通であればリツキシマブ単独またはR−CHOPで治療できるヒト患者における抗腫瘍療法を改善するために使用できることを示唆している。
【0195】
(実施例2)
HCD122は、CHOPに対するCD40L誘導性耐性を反転させる
H−CHOP併用がインビボにおいて予期せぬ強力な抗腫瘍効果をもたらす機構を解明するために実験を実施した。SU−DHL−4細胞を、(i)陰性対照huIgG1抗体、(ii)HCD122、(iii)huIGG1およびCD40Lまたは(iv)HCD122およびCD40Lの存在下で培養した。SU−DHL−4細胞を30000細胞/ウェルで接種した。抗体は全て、10μg/mlで使用した。組換えヒト可溶性CD40Lは、1μg/mlで、リガンドエンハンサー2μg/mlと共に使用した。細胞は全て、サイトキサン1mg/kg、プレドニゾン15μg/ml、ドキソルビシン2.5ng/mlおよびビンクリスチン1pg/mlで処置した。細胞は、3日間培養し、生存細胞の割合はCellTiter−Gloを使用して測定した。これらの実験の結果を図2に示す。これらのデータは、CD40LはSU−DHL−4細胞に対するCHOP細胞毒性の耐性を誘導するが、この耐性はHCD122を使用することによって克服でき、それによってCHOPに完全な細胞毒性効果を発揮させることを示している。これらのデータは、H−CHOPの予期せぬ強力な抗腫瘍効果を説明する一助となる。
【0196】
(実施例3)
NFkBの活性化に対するHCD122の効果
RLおよびSU−DHL−4細胞を、CD40Lで0、10、30および90分間刺激し、ウェスタンブロットを実施した(図3)。p65のリン酸化は、RLまたはSU−DHL−4細胞がCD40Lで刺激されている数分内に誘導されたことが見出された。このリン酸化は、これらの細胞株で少なくとも90分間持続した。さらに、HCD122の存在下ではCD40で刺激されたRLおよびSU−DHL−4細胞の両方におけるp65リン酸化は、大きく阻害されることが見出された(図3)。これらのデータは、CD40Lによって誘導されたNF−kB活性化はRLおよびSU−DHL−4細胞の両方でHCD122によって完全に遮断されることを示している。細胞におけるNF−kB活性化の下方制御は、CHOP細胞毒性に対して細胞を感作することができる(Chuangら(2002年)Biochemical Pharmacology 63巻:1709〜1716頁、Chengら(2000年)Oncogene 19巻:4936〜4940頁)。したがって、HCD122がNF−kB活性化を下方制御することを示しているこれらのデータは、CHOP細胞毒性に対するCD40L誘導性の耐性がなぜHCD122を使用して克服され得るかを説明する一助となる。
【0197】
(実施例4)
細胞表面接着分子に対するHCD122の影響
H−CHOP併用がインビボにおいて予期せぬ強力な抗腫瘍効果をもたらす機構をさらに解明するために、さらに実験を実施した。B細胞が凝集し、それらの微小環境と相互作用する能力は、治療薬の効果に影響を及ぼし得る。したがって、RLおよびSU−DHL−4細胞株における接着分子の発現に対するHCD122の効果を調べた。これらの試験で、HCD122は、RLおよびSU−DHL−4細胞株両方においてCD54、CD86およびCD95のCD40L誘導性の発現を阻害することが見出された。RL細胞株の結果を図4に示す。SU−DHL−4細胞株の結果を図5に示す。
【0198】
SU−DHL−4細胞のCD40L誘導性の凝集に対するHCD122の効果は顕微鏡によって分析し、HCD122がこの凝集を阻害することを見出した。これらの実験の結果を図6Aから6Dに示す。図6Aは、huIgG1で処置した細胞を示す。図6Bは、HCD122で処置した細胞を示す。図6Cは、huIgG1およびCD40Lで処置した細胞を示す。図6Dは、HCD122およびCD40Lで処置した細胞を示す。
【0199】
これらのデータは、CD40Lが、インビボにおいてB細胞の凝集を引き起こすことによってCHOPなどの治療薬の効果を抑制することができ、この凝集はHCD122を使用して阻害できることを示唆している。これらのデータは、なぜH−CHOP併用がインビボにおいて予期せぬ強力な抗腫瘍効果をもたらすかをさらに説明するための一助となる。
【0200】
本明細書で記載した本発明の多くの変更およびその他の実施形態は、前記の説明および添付の図面に提示した教示の利益を得る、これらの発明が関係する当業者には思いつくであろう。したがって、本発明は開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、変更およびその他の実施形態は実施形態のリストの範囲および添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。特別な用語を本明細書で使用したが、一般的な説明的な意味でのみ使用されており、限定を意味するものではない。
【0201】
本明細書で引用した全出版物および特許出願は完全に、各個々の出版物または特許出願が具体的かつ個々に参考として組み込まれることを示されているように、同程度に参考として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための方法であって、該患者に抗CD40抗体と組み合わせてシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(CHOP)を投与することを含み、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さず、該患者が以前に(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブによる併用療法を投与されている方法。
【請求項2】
前記疾患または状態が、(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法による治療に難治性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブの併用療法による治療後再発している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CHOPおよび前記抗CD40抗体を同時に前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CHOPおよび前記抗CD40抗体を順次前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
抗CD40抗体の最初の用量を前記患者に投与する前に、該患者にCHOPの最初のサイクルを投与する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
抗CD40抗体の最初の用量を前記患者に投与した後に、該患者にCHOPの最初のサイクルを投与する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、(ii)抗CD40抗体ならびに(iii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物であって、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さない、医薬組成物。
【請求項9】
腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための医薬品の製造における(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数ならびに(ii)抗CD40抗体の使用であって、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さず、該患者が以前に(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブによる併用療法を投与されている、使用。
【請求項10】
併用療法によって腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するための少なくとも2種の別々の医薬品の製造における(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数ならびに(ii)抗CD40抗体の使用であって、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さず、該患者が以前に(i)CHOP、(ii)キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ、または(iii)CHOPおよびリツキシマブによる併用療法を投与されている、使用。
【請求項11】
腫瘍性B細胞増殖に関連した疾患または状態についてヒト患者を治療するためのキットであって、
(i)シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンのうちの1つまたは複数、ならびに
(ii)抗CD40抗体を含み、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さない、キット。
【請求項12】
前記疾患または状態が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、小リンパ球性白血病(SLL)、びまん性小リンパ球性白血病(DSLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、へアリーセル白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタインバーウイルス(EBV)誘発リンパ腫、多発骨髄腫などの骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脈管内リンパ腫症、免疫芽球性リンパ腫およびAIDS関連リンパ腫からなる群より選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項13】
前記疾患または状態が非ホジキンリンパ腫である、請求項12に記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項14】
前記非ホジキンリンパ腫がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項13に記載に記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項15】
前記抗CD40抗体がヒトCD40抗原のドメイン2に結合するモノクローナル抗体である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項16】
前記抗CD40抗体が配列番号7または配列番号9で示されたヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項17】
前記抗CD40抗体が、
a)ATCCに特許寄託番号PTA−5543として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体HCD122、
b)配列番号2で示された配列、配列番号4で示された配列、配列番号5で示された配列、配列番号2および4で示された両方の配列、ならびに配列番号2および配列番号5で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体、
c)配列番号17で示された配列、配列番号19で示された配列、配列番号20で示された配列、配列番号17および19で示された両方の配列、ならびに配列番号17および配列番号20で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体、
d)配列番号16で示された配列、配列番号18で示された配列ならびに配列番号16および配列番号18で示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む抗体、
e)配列番号1で示された配列、配列番号3で示された配列ならびに配列番号1および配列番号3で示された両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を有する抗体、
f)CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)を有する抗体、
g)CDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列、CDR−L3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する抗体、ならびに
h)CDR−L1では配列番号10で示したようなアミノ酸配列、CDR−L2では配列番号11で示したようなアミノ酸配列、CDR−L3では配列番号12で示したようなアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)およびCDR−H1では配列番号13で示したようなアミノ酸配列、CDR−H2では配列番号14で示したようなアミノ酸配列、CDR−H3では配列番号15で示したようなアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を有する抗体
からなる群より選択される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項18】
前記抗CD40抗体が、該抗体をコードする1種または複数の発現ベクターを含有するCHO細胞から得られる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項19】
前記抗CD40抗体が、ATCCに特許寄託番号PTA−5543として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体HCD122(CHIR−12.12)である、請求項1〜18のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項20】
前記抗CD40抗体が、Fab断片、F(ab’)断片およびFv断片からなる群より選択される抗原結合抗体断片であり、該断片が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さない、請求項1から18のいずれかに記載の方法、組成物、使用またはキット。
【請求項21】
腫瘍性ヒトB細胞におけるCHOP細胞毒性に対する抵抗性を防止するか、または低減するための方法であって、1種または複数の腫瘍性ヒトB細胞を抗CD40抗体と接触させるステップを含み、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
【請求項22】
ヒト患者におけるCHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性を防止するか、または低減するための方法であって、該患者に抗CD40抗体を投与するステップを含み、該抗CD40抗体が、ヒトB細胞の表面上のCD40抗原に結合したとき有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
【請求項23】
CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与する、B細胞におけるNF−kB活性化を、前記抗CD40抗体が下方制御する、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与する、B細胞上の1種または複数の細胞表面接着分子の発現を、前記抗CD40抗体が阻害する、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記抗CD40抗体が、CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与する、B細胞におけるNF−kB活性化を下方制御することができる抗CD40抗体である、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物、使用またはキット。
【請求項26】
前記抗CD40抗体が、CD40シグナル伝達によって誘導され、CHOP細胞毒性に対するB細胞抵抗性の発達に寄与する、B細胞上の1種または複数の細胞表面接着分子の発現を阻害することができる抗CD40抗体である、請求項1〜25のいずれかに記載の組成物、使用またはキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−503098(P2011−503098A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533280(P2010−533280)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082826
【国際公開番号】WO2009/062054
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【出願人】(500570793)ゾーマ テクノロジー リミテッド (26)
【Fターム(参考)】