説明

抗EDBフィブロネクチンドメイン抗体L19−SIP及び抗−EGFR−抗体の組合せ

本発明は、(i)εs2−CH4ドメイン部分、及びフィブロネクチンのエキストラドメインB(ED−B−フィブロネクチン)を特異的に認識する抗体部分を含んで成る融合タンパク質、及び(ii)抗−EGFR−抗体の組合せ、及び癌、特に頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌の処理のためへのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)εs2−CH4ドメイン部分、及びフィブロネクチンのエキストラドメインB(ED−B−フィブロネクチン)を特異的に認識する抗体部分を含んで成る融合タンパク質、及び(ii)抗−EGFR−抗体の組合せ、及び癌、特に頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌の処理のためへのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
技術状態:
これまで知られている新生脈管形成及び組織再造形に関連する、最も選択的な腫瘍性胎児マーカーの1つは、フィブロネクチン(FN)のエストラドメインB(ED-B)を提供する(Castellani P, Viale G, Dorcaratto A, Nicolo G, Kaczmarek J, Querze G, Zardi L. The fibronectin isoform containing the ED - B oncofetal domain: a marker of angiogenesis Int J Cancer. 1994 Dec l ;59(5):612-8. Erratum in: Int J Cancer 1995 JuI 4;62(1):118)。FNは、広範囲の健康な組織及び体液において多量に発現される高分子量細胞外マトリックス(ECM)成分である。種々の異なったFNイソフォームが、一次転写体での選択的スプライシングのために生成され得る。
【0003】
マウス及びヒトにおける配列において同一である、91個のアミノ酸の小ドメインED−Bは、血管及び組織フィブロネクチンの両者において通常不在であるが、但し再生する子宮内膜及び卵巣のいくらかの血管に関しては除く(Alessi P, Ebbinghaus C, Neri D. Molecular targeting of angiogenesis. Biochim Biophys Acta 2004;1654:39-49; Viti F, Tarli L, Giovannoni L, Zardi L, Neri D. Increased binding affinity and valence of recombinant antibody fragments lead to improved targeting of tumoral angiogenesis. Cancer Res 1999;59:347-352)。しかしながら、それは、新生脈管形成に関連する活性組織再造形の間、フィブロネクチン分子に挿入されるようになり、新生脈管構造の周囲に、及び悪性腫瘍の支質及び再構造形及び脈管形成を受ける他の組織に蓄積する。
【0004】
最近、フィブロネクチンのED−Bドメインに対して特異的な多くの良好な品質の抗体が生成されている。特に、ED−Bに対してピコモルでの結合親和性を示すヒト一本鎖Fv抗体フラグメントscFv(L19)が、実験腫瘍モデル(Viti F, Tarli L, Giovannoni L, Zardi L, Neri D. Increased binding affinity and valence of recombinant antibody fragments lead to improved targeting of tumoral angiogenesis. Cancer Res 1999;59:347-352)及び癌を有する患者(Santi- maria M, Moscatelli G, Viale GL, Giovannoni L, Neri G, Viti F, Leprini A, Borsi L, Castellani P, Zardi L, Neri D, Riva P. Immunoscintigraphic detection of the ED - B domain of fibronectin, a marker of angiogenesis, in patients with cancer. Clin Cancer Res 2003;9:571-579)において、標的腫瘍新生脈管構造を選択的に標的化することが確かめられている。
【0005】
フィブロネクチン分子への選択的スプライシングにより挿入される、マウス、ラット及びヒトにおいて同一の91個のアミノ酸の配列である、フィブロネクチンのED-Bドメインは、新生血管構造体の周囲に特異的に蓄積し、そして分子介在のための標的物を提供する(Zardi など. (1987) EMBO J. Vol.: 6, pages 2337 - 2342 ; Carnemolla など. (1989) J. Cell Biol. VoI: 108, pages 1139 - 1148, さらに Castellaniなど, (1994) Int. J. Cancer, Vol. 59, pages 612 - 618)。ED−Bドメインに対して向けられたヒト組換え抗体L19を用いて、インビボ新生血管標的化の可能性は、異なった腫瘍モデルにおいて示されている(Tarli など. (1999) Blood, Vol.: 94, pages 192 - 198; Viti など. (1999) Cancer Res. Vol.: 347)。
【0006】
ED−B−フィブロネクチンドメインを特異的に認識するモノクローナル抗体がWO97/45544号に記載されている。
モノクローナル抗体L19は、WO99/58570号に記載されている。
WO01/62298号(第8頁、12行)は、Pini など. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-21776に記載されているheL19VH及びL19VLドメイン配列を言及する。Piniなどは、第21772頁の表IIにL19の配列の一部を記載する。L19は、EMBL受託番号AJ006113号を有する。
【0007】
腫瘍は、新規血管の形成(脈管形成)を伴わないで一定質量以上に増殖することはできず、そして微小血管密度と腫瘍侵襲との間の相互関係は多くの腫瘍について報告されている(Folkmann (1995) Nat. Med., Vol. 1, p. 27)。脈管形成のマーカーを選択的に標的化できる分子は、腫瘍、及び血管増殖により特徴付けられる他の疾病、例えばリウマチ様関節炎、糖尿病網膜症及び年齢関連の黄斑性変性の診断及び治療のための臨床学的機会を創造する(O'Reillyなど. (1996) Nat. Med. Vol.: 2 page 689, さらに O'Reilly など. (1997) Cell, Vol.: 88, page 277, さらに Friedlander など. (1995) Science Vol.: 270, page 1500, さらに Pasqualini など. (1997) Nat. Biotechnol. Vol.: 15 page 542, さらに Huangなど. (1997) Science, Vol.: 275, page 547, さらに Kim など. (1993) Nature, Vol.: 362, page 841, さらに Schmidt - Erfurth など. (1997) Br. J. Cancer, Vol.: 75, page 54)。
【0008】
癌治療のための放射線標的化の原理は、Kassis AI (2005) in Expert Opin. Drug Delivery Vol.: 2(6), 981-991及びPress OW など (2000) in Seminars in Oncology Vol.:27, No.6 (Suppl. 12), 62-73により記載されている。
【0009】
L19−SIP及び放射性免疫療法のためへのその使用は、WO03/076469号に記載されている。Berndorffなど(2005) Clin. Cancer Res. Vol.rl 1 (19 Suppl.), 7053S-7063Sは、エキストラBフィブロネクチンを標的化することにより固形腫瘍の放射性免疫療法のための好ましい抗体形としての131I−L19−SIPの使用を記載する。“SIP”は、小免疫タンパク質を表す。L19−SIPは抗体形であり、ここでL19−scFvはεs2−CH4ドメインに結合され、そして2つのモノマー鎖はS−S橋により共有結合されるホモダイマーを形成する(例えば、WO03/076469号; Borsi など., 2002, Int. J. Cancer, 102: 28: 534-539を参照のこと)。CH4は、IgE分子における二量体化を可能にするドメインであり、そしてεs2−イソフォームは、カルボキシ末端でシステインを含み、鎖間ジスルフィド結合を通してIgE−ダイマーを安定化する。L19−SIPの最終SIP分子においては、ScFv(L19)はGGSGサンカーにより、εs2−CH4ドメインに結合される。WO03/076469号の開示は、引例により包含される。
【0010】
抗EGF受容体抗体
上皮細胞のミトゲン刺激における最初の段階は、上皮成長因子受容体(EGF受容体として知られている膜糖タンパク質への上皮成長因子(EGF)の特異的結合である(Carpenterなど. (1979) Annual Review Biochem., Vol.: 48, pages 193 - 216)。EGF受容体は、621個の残基の細胞外部分及びUlrich など. (1986) Nature, Vol.: 309, pates 418 - 425に記載されている23個の残基の単一の疎水性トランスメンブランセグメントにより結合される542個の残基の細胞質部分に分けられる1186個のアミノ酸から構成される。EGF受容体の外部部分は、4個のドメインに細分され得る。2つのシステインドメインにより結合される、残基333−460のドメインIII は、Lax など. (1988) MoI. and Cell Biol. Vol.: 8 pages 1831 to 1834により示される受容体のEGF結合部位を含む。ドメインIII へのEGFの結合は、DNA合成及び細胞増殖を導く多面的応答の開始を導く。
【0011】

種々のタイプのヒト腫瘍細胞は、EGF受容体の過剰発現を示す。例えば、膀胱腫瘍の癌細胞は、Nealなど. (1985) Lancet, Vol.: 1 pages 366 - 367に記載されるEGF受容体の比較的大きな集団を有することが示されている。癌細胞の生物学的挙動性に対するEGF受容体密度の影響は、受容体とそのリガンド、すなわちEGF又は形成転換の成長因子−α(TGF−α)との相互作用により介在され得る。大部分の細胞において、EGFがEGF受容体の特定領域に結合する場合、細胞は有糸分裂的に刺激される。他の腫瘍、例えばA431細胞は、EGFのその受容体への結合により有糸分裂的に刺激されない。
【0012】
それにもかかわらず、腫瘍A413は、Masui など. (1984) Cancer Res. Vol.: 44, pages 1002 - 1007により示されるように、腫瘍細胞の上皮成長因子受容体へのモノクローナル抗体の結合により、ヌードマウスにおいて阻害される。EP0359282号は、ヒト腫瘍細胞に特異的に結合し、そして阻害する抗体を記載する。1993年、Naramura など (1993) Cancer Immunol. Immunotherapy Vol.: 37, 343 − 349は、EGF受容体を認識し、そして結合する抗体セツキシマブ又はC225を記載する。凝集し、そして結合する抗体に関する問題は、WO2003/007988号において解決されている。
【0013】
癌、特に頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌を効果的に処理する薬剤についての強い医学的必要性が存在する。本発明は、癌、特に頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌の処理のために適切である新規で且つ効果的な薬剤の入手を可能にする。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、少なくとも融合タンパク質、及び抗-EGFR-抗体を含んで成る組合せに関し、
前記モノマー形での融合タンパク質は、εs2−CH4ドメイン部分、及び
ED−B−フィブロネクチンドメインを特異的に認識する抗体部分を含んで成る。
好ましい態様においては、抗−EGFR抗体は、セツキシマブ(Erbi- tux(商標)), パニツモマブ(Panitumomab )(Vectibix(商標)), ゼルツモマブ(Zalutumomab )(HuMax-EGFr), マツズマブ(Matuzumab) (EMD72000), 及び 抗-EGFRvIII 抗体から選択される。
【0015】
本発明の特に好ましい態様においては、抗−EGFR抗体は、セツキシマブである。
セツキシマブ抗体又はC225は、EGF受容体に対して向けられる遺伝子構築されたキメラ性ネズミ−ヒトモノクローナル抗体である。セツキシマブは、Naramura など. (1993) Cancer Immunol. Immunotherapy, Vol.: 37, pages 343 - 349に記載される抗体である。セツキシマブはErbituxとして市販されている。
【0016】
EGF(上皮成長因子)及びEGF受容体(EGFR)は、例えば次の文献に記載され、そして特徴づけられている:Irit LAX など. (1988) "Localization of a Major Receptor - Binding Domain for Epider- mal Growth Factor by Affinity Labeling" Molecular and Cellular Biology, VoI 8 No. 4, pages 1831 - 1834 及び そこのおける引例;及びGraham CARPENTER (1979) "Epidermal Growth Factor" Ann. Rev. Biochem. Vol.: 48, pages 193 - 216。本発明の用語“EGFR”又は“EGF−受容体”は、完全な長さで且つ生来のEGFR及び切断されたそのバージョン、特にEGFRvIII を包含する。好ましい態様においては、本発明の用語“EGFR”又は“EGF−受容体”は、完全な長さで且つ生来のヒトEGFRを意味するものとして理解されるべきである。
【0017】
抗体セツキシマブ又はC225は、中でもEP0359282号に記載される。セツキシマブの配合は、WO03/007988号に公開されている。
セツキシマブは、(1)従来のイリノテカン治療を失敗した、ERFR−発現結腸直腸癌を有する患者においてイリノテカンと組合して、(2)頭及び首の局部的に進行した鱗状細胞癌のためのファーストライン処理として放射線療法と組合して、及び(3)頭及び首の転移性鱗状細胞癌の再発のためのファーストライン処理としてシスプラチンと組合して必要とされる。
【0018】
セツキシマブと化学療法及びトキシンとの間の共同作用がまた実験的に観察されている。
驚くべきことには、少なくとも1つの融合タンパク質(そのモノマー形での前記融合タンパク質は、εs2−CH4ドメイン部分及びED−B−フィブロネクチンドメインを特異的に認識する抗体部分を含んで成る)が、融合タンパク質のみ又は抗−EGFR−抗体のみよりもより都合良く癌の処理のために使用され得る。
【0019】
融合タンパク質は、Borsiなど., Int. J. Cancer, 2002, 102: 534-539に記載されるように、モノマーがS−S橋により結合されている二量体形で存在する。
好ましい態様においては、前記モノマー形での融合タンパク質は、N−末端抗体部分、及びC−末端εs2−CH4部分を有するか、又は
前記モノマー形での融合タンパク質は、N−末端εs2−CH4部分及びC−末端抗体部分を有する。
【0020】
特に好ましい態様においては、そのモノマー形での融合タンパク質は、N−末端抗体部分及びC−末端εs2−CH4ドメイン部分を有する。
もう1つの好ましい態様においては、そのモノマー形での融合タンパク質は、抗体部分及びεs2−CH4ドメイン部分を連結するリンカーを含んで成る。
好ましくは、抗体部分はヒトである。
【0021】
好ましい態様においては、フィブロネクチンのED-Bドメインを特異的に認識する抗体部分は、ナノモル以下の親和性を伴って結合する。抗体−抗原親和性の定義及び測定についての再考については、Ned など. (1996). Trends in Biotechnol. 14, 465-470を参照のこと。
【0022】
好ましい態様においては、抗体部分は、L19抗体のCDRの少なくとも1つを含み、好ましくはそれはL19抗体のすべてのCDR配列を含む。
好ましい態様においては、抗体部分は、配列番号6〜11の少なくとも1つを含んで成る。好ましくは、抗体は、配列番号6〜11の配列を含んで成る。
【0023】
もう1つの好ましい態様においては、前記抗体部分は、配列番01の少なくとも1つのVH鎖、又は配列番号02の少なくとも1つのVL鎖を含んで成る。より好ましい態様においては、前記抗体部分は、配列番号01の少なくとも1つのVH鎖、及び配列番号02の少なくとも1つのVL鎖を含んで成る。さらにより好ましい態様においては、前記抗体部分は、配列番号01の1つのVH鎖、及び配列番号02の1つのVL鎖を含んで成る。
【0024】
前記H及びL鎖が、抗体リンカーにより連結される、抗体部分が好ましい。
好ましい態様においては、前記抗体リンカーは、配列番号03の配列、又は配列番号03の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含んで成る。より好ましい態様においては、抗体リンカーは、配列番号03の配列を有する。
【0025】
より好ましい態様においては、前記εs2−CH4ドメイン部分は、配列番号04の配列を含んで成る。
本発明のそのモノマー形での融合タンパク質の使用が好ましく、ここで前記融合タンパク質リンカーは配列番号05の配列を含んで成り、好ましくは前記融合タンパク質リンカーは配列番号05の配列を有する。
【0026】
好ましい態様においては、融合タンパク質リンカーは、0〜15個、より好ましくは1〜10個、さらにより好ましくは1〜6個の長さのアミノ酸を有する。
融合タンパク質が放射性同位体に接合されている、本発明の組合せが好ましい。本発明の融合タンパク質をラベリングするための方法は、Berndorffなど., Clin. Cancer Res., 2005; 11 (Suppl.), p. 7053s-7063sに開示される。
【0027】
好ましい態様においては、放射性同位体は、I, Te, Re, In, Y, Lu又はI、又はそれらの混合物が選択された放射性同位体である。
さらにより好ましい態様においては、前記放射性同位体は、123I、124I125I、131I、99mTc、186Re、188Re、203Pb、67Ga、 68Ga、 43Sc、47Sc、110mIn、111In、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、90Y 、88Y、121Sn、153Sm、166Ho、105Rh、, 177Lu、172Lu、211At及び/ 又は18F、又はそれらの混合物から選択された放射性同位体である。
131I, 125I及び177Luの使用が特に好ましい。
131Iの使用が最も好ましい。
【0028】
本発明の特に好ましい態様においては、131I−ラベルされた融合タンパク質が使用され、そして前記そのモノマ−形での融合タンパク質がL19のVlドメイン、L19のVhドメイン及びεs2−CH4ドメインを含む。
131IラベルされたL19−SIPの使用が最も好ましい。
セツキシマブの使用が最も好ましい。
【0029】
特に好ましい態様においては、組合せは、131IラベルされたL19−SIP及び抗−EGFR−抗体、特にセツキシマブ(Erbitux)を含んで成る。
薬剤としての使用のための本発明の組合せが好ましい。
癌の処理のための薬剤としての使用のための本発明の組合せが最も好ましい。
【0030】
もう1つの態様においては、本発明は、前記癌が、頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌から選択される、本発明の組合せに関する。
【0031】
本発明の“特異的に認識する”とは、予定された抗原に結合する抗体を言及する。典型的には、抗体は、少なくとも約1×10-7M-1の親和性を伴って結合し、そして予定された抗原又は密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合のために、その親和性によりも少なくとも2倍高い親和性を伴って予定された抗原に結合する。前記抗原は、フィブロネクチンのED-Bドメインである。
【0032】
抗体リンカーは、Vh及びVlドメインを結合するために適切であるいずれかのリンカー、好ましくはペプチドリンカーである。適切なリンカーは例えば、Bird など, Science, 242, 423-426, 1988; Huston など, PNAS USA, 85, 5879-5883, 1988, EP 0 573 551号; EP 0 623679 号及び EP 0 318554号(引用により本明細書に組込まれる)に記載されている。
【0033】
融合タンパク質リンカーは、εs2−CH4ドメインに本発明の抗体部分を連結するために適切なリンカーである。適切なリンカーは、配列番号5で示される。
εs2−CH4部は、Erqiu Liなど. "Mammalian cell expression of dimeric small immunue proteins (SIP)" (1997) Protein Engineering Vol.: 10, no. 6 pages 731 − 736において定義される。その配列は、配列番号4で示される。
【0034】
“抗体−依存性細胞−介在性細胞毒性”及び“ADCC”とは、Fc受容体(FcRs)を発現する非特異的細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上の結合された抗体を認識し、そして続いて標的細胞の溶解を引起す細胞−介在性反応を言及する。ADCC、NK細胞を仲介するための一次細胞はFcγRIII のみを発現し、ところが単球はFcγRI、FcγRII及びFcγIII を発現する。造血細胞上でのFeR発現は、表3、第465頁、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)に要約される。興味ある分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイ、例えばアメリカ特許第5,500,362号又は第5,821,337号に記載されるアッセイが実施され得る。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナテュラルキラー(NK)細胞を包含する。他方では、又はさらに、興味ある分子のADCC活性は、インビボで、例えば動物モデル、例えばClynes など. PNAS (USA) 95:652-656 (1998)に開示されるモデルにおいて評価され得る。
【0035】
“ヒトエフェクター細胞”とは、1又は複数のFcRsを発現し、そしてエフェクター機能は実施する白血球である。好ましくは、その細胞は、少なくともFcγRIII を発現し、そしてADCCエフェクター機能を実施する。ADCCを仲介するヒト白血球の例は、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナテュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞及び好中球を包含し;PBMC及びNK細胞が好ましい。
【0036】
用語“Fc受容体”又は“FcR”とは、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。好ましいFcRは、天然の配列のヒトFcRである。さらに、好ましいRcRは、IgG抗体(γ受容体)を結合する1つであり、そしてFcγRI、FcγRII及びFcγRIII サブクラス、例えば、対立遺伝子変異体の受容体、及びそれらの受容体の選択的にスプライシングされた形を包含する。FcγRII受容体は、主にその細胞質ドメインにおいて異なる、類似するアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(“活性化受容体”)及びFcγRIIB(“阻害受容体”)を包含する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン−基礎の活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0037】
阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン−基礎の阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)). FcRs are reviewed in Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immu- nol9:457-92 (1991); Capel など, Immunomethods 4:25-34 ( 1 994); 及び de Haas など, J. Lab. CHn. Med. 126:330-41 (1995)を参照のこと)。他のFcRs、例えば未来において同定されるそれらは、本明細書において用語“FcR”により包含される。その用語はまた、母親のIgGの胎児へのトランスファーを担当する新生児受容体FcRnを包含する(Guyer など., J. Immunol. 1 1 7587 (1976) 及び Kim など., J. Immunol. 24:249 (1994))。
【0038】
本発明の抗体部分は、抗体の一本鎖Fv抗体フラグメント(scFv)として理解される。好ましくは、抗体部分は、ヒト、キメラ又はヒト適合された部分であり、ヒト部分が特に好ましい。
用語“抗体”は、本明細書において、最も広い態様で使用され、そして損なわれていないモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの損なわれていない抗体から形成された多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)、及び抗体フラグメント(それらが生物学的活性を示す限り)を包含する。
【0039】
“抗体フラグメント”は、損なわれていない抗体の一部を含んで成り、好ましくはその抗原−結合又は可変領域を含んで成る。抗体フラグメントの例は次のものを包含する:Fab, Fab’, F(ab’)2及びFvフラグメント、;ジアボディー(diabodies);線状抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多特異的抗体。
【0040】
“生来の抗体”とは通常、2種の同一のL鎖及び2種の同一のH鎖から構成される。約150,000ドルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。個々のL鎖は1つのジスルフィド共有結合によりH鎖に結合され、そしてジスルフィド連鎖の数は、異なった免疫グロブリンイソタイプのH鎖間で変化する。個々のH及びL鎖はまた、規則的に一定の間隔で開けられた鎖内ジスルフィド架橋を有する。個々のH鎖は、一端で可変ドメイン(VH)、続いて多くの不変ドメインを有する。個々のL鎖は一端で可変ドメイン(VL)及びその他の端で不変ドメインを有し;L鎖の不変ドメインは、H鎖の最初の不変ドメインと一列整列され、そしてL鎖の可変ドメインはH鎖の可変ドメインと一列整列される。特定のアミノ酸残基が、L鎖及びH鎖可変ドメイン間でインターフェースを形成すると思われる。
【0041】
用語“可変”とは、可変ドメインの一定の部分が抗体間で配列において広範囲に異なり、そしてその特定の抗原に対する個々の特定の抗体の結合及び特異性に使用される事実を言及する。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインを通して均等に分布されていない。それは、L鎖及びL鎖可変ドメインの両者において超可変領域と呼ばれる3個のセグメントにおいて濃縮されている。可変ドメインのより高く保存される部分は、骨格領域(FR)と呼ばれる。生来のH及びL鎖の可変ドメインは、連結し、そして多くの場合、β−シート構造の一部を形成するループを形成する、3種の超可変領域により連結される、β−シート配列を大部分採用する4種のFRを個々に含んで成る。
【0042】
個々の鎖における超可変領域は、FRにより密接に接近して一緒に維持され、そして他の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat など, Sequences of Proteins Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。不変ドメインは、抗原への抗体の結合において直接的に関与しないが、しかし種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)における抗体の関与を示す。
【0043】
抗体のパパイン消化は、“Fabフラグメント”と呼ばれる2種の同一の抗原結合フラグメント(個々は単一の抗原結合部位を有し)、及び残留“Fc”フラグメント(この名称は容易に結晶化するその能力に影響を及ぼす)を生成する。ペプシン処理は、2種の抗原結合部位を有し、そして抗原を架橋できるF(ab’)2フラグメントを生成する。
【0044】
“Fv”は、完全な抗原−認識及び抗原−結合部位を含む最少の抗体フラグメントである。この領域は、強い非共有結合下での1つのH鎖及び1つのL鎖可変ドメインのダイマーから成る。それは、個々の可変ドメインの3種の超可変領域がVH-VLダイマーの表面上に抗原−結合部位を規定するために相互作用する配置で存在する。集合的には、6種の超可変領域が、抗体に対して抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的なわずか3種の超可変領域を含んで成るFvの半分)が、抗原を認識し、そして結合する能力を有する(但し、完全な結合部位よりも低い親和性で)。
【0045】
Fabフラグメントはまた、L鎖の不変ドメイン、及びH鎖の第1不変ドメイン(CH1)を含む。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1又は複数のシステインを含むH鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によりFabフラグメントとは異なる。Fab’−SHは、不変ドメインのシステイン残基が少なくとも1つの遊離チオール基を担持するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)抗体フラグメントは本来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’2−フラグメント対として生成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングがまた知られている。
【0046】
いずれかの脊椎動物種からの抗体(医務のグロブリン)の“L鎖”は、それらの不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2種の明確なタイプの1つに割り当てられ得る。
【0047】
それらのH鎖の不変ドメインのアミノ酸配列に依存し、抗体は異なったクラスに割り当てられ得る。次の5種の主要クラスの損なわれていない抗体が存在し:IgA, IgD, IgE, IgG及びIgM、そしてそれらのいくつかはさらに、次のサブタイプ(イソタイプ)に分割され得る:gGl, IgG2, IgG3, IgG4, IgA及び IgA2。異なったクラスの抗体に対応するH鎖不変ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。異なったクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元配置は良く知られている。
【0048】
“一本鎖Fv”又は“seFv”抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含んで成り、ここでそれらのドメインは一本鎖ポリペプチドに存在する。好ましくは、Fvポリペプチドはさらに、抗原結合のための所望する構造体のseFvによる形成を可能にする、VH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを含んで成る。scFvの再考に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer- Verlag, New York, pp. 269-3 15 (1994)を参照のこと。
【0049】
さらなる態様においては、抗体又は抗体フラグメントは、McCafferty など, Nature, 348552-554 (1990)に記載される技法を用いて生成された抗体ファージライブラリーから単離され得る。Clackson など, Nature, 352:624-628 (1991)及びMarks など, J. MoI. Biol, 222581-597 (1991)は、ファージライブラリーを用いてのそれぞれのネズミ及びヒト抗体の単離を記載する。続く出版物は、シャフリングによる高親和性(mM範囲)ヒト抗体の生成(Marks など, Bio/Technology, 10:779-783 (1992))、及び非常に大きなファージライブラリーを構成するための手段としての組合せ感染及びインビボ組換え(Waterhouse など, Nuc. Acids. Res., 21 :2265-2266 (1993))を記載する。
【0050】
従って、それらの技法は、モノクローナル抗体の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技法に代わる種々の技法である。DNAはまた、例えばヒトH鎖及びL鎖不変ドメインのためのコード配列を、その相同ネズミ配列の代わりに置換することにより(アメリカ特許第4,8 16,567号; Morrison, など, Proc. Nat. Acad. ScL USA, 8 1 .685 1 (1984))、又は非免疫グロブリンポリペプチドのためのコード配列のすべて又は一部を、免疫グロブリンコード配列に共有結合することにより修飾され得る。典型的には、そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の不変ドメインにより置換され、又はそれらの抗体の1つの抗原−組合せ部位の可変ドメインにより置換され、1つの抗原に対する特異性を有する1つの抗原−組合せ部位、及び異なった抗原に対する特異性を有するもう1つの抗原−組合せ部位を含んで成るキメラ性二価抗原が創造される。
【0051】
用語“ジアゾディー(diabodies)”とは、2つの抗原−結合部位を有する小さな抗体フラグメントを言及する。そのようなフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH-VL)におけるL鎖可変ドメイン(VL)に連結されるH鎖可変ドメイン(VH)を含んで成る。同じ鎖上の2種のドメイン間の対合を可能にするには短過ぎるリンカーを用いることにより、ドメインは、もう1つの鎖の相補的ドメインとの対合、及び2つの抗原−結合部位の創造を強要される。ジアボディーは、例えばEP 0 404 097号; WO 93/11161 合; 及びHollinger など, Proc. Natl. Acad ScL USA, 905444-6448 (1993)に、より詳細に記載される。
【0052】
用語“モノクローナル抗体”とは、本明細書において使用される場合、実質的に相同の抗体の集団から得られる抗体を言及し、すなわち前記集団を含んで成る個々の抗体は同一であるが、但し少量で存在することができる可能性ある天然に存在する突然変異を除く。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられる。さらに、異なった決定因子(エピトープ)に対して向けられた異なった抗体を典型的には包含する従来(ポリクローナル)の抗体調製物に比較して、個々のモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対して向けられる。
【0053】
それらの特異性の他に、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンにより汚染されていないハイブリドーマ培養物により合成されることにおいて好都合である。モディファイアー“モノクローナル”は、実質的に相同の抗体集団から得られるような抗体の特徴を示し、そしていずれかの特別な方法による抗体の生成を要求するものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用するべきモノクローナル抗体は、最初に、Kohlerなど, Nature, 256: 495 (1975)により記載されるハイブリドーマ方法により製造され得、又は組換えDNA方法により製造され得る(例えば、アメリカ特許第4,816,5671号を参照のこと)。
【0054】
“モノクローナル抗体”はまた、例えばClackson et al, Nature, 352:624-628 (1991) and Marks et al, J. MoI. Biol, 222581-597 (1991)に記載される技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0055】
モノクローナル抗体は、本明細書においては、H及び/又はL鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるか又は相同であり、ところが鎖の残りは、もう1つの種に由来するか、又はもう1つの抗体クラス又はサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるか又は相同である、“キメラ”抗体(免疫グロブリン)、及びそれらが所望する生物学的活性を示す限り、そのような抗体のフラグメントを特に包含する(アメリカ特許第4,816,567号;Morrison など, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 8 1 :685 1-6855 (1984))。
【0056】
興味あるキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、例えばヒヒ、アカゲザル又はカニクイザル)に由来する可変ドメイン抗原−結合配列、及びヒト不変領域配列を含んで成る“霊長類型化”抗体を包含する(アメリカ特許第5,693,780号)。
【0057】
ヒト型化抗体:非ヒト抗体をヒト適合するための方法は、当業界において記載されている。好ましくは、ヒト型化抗体は、非ヒトである源からの抗体中に導入される1又は複数のアミノ酸残基を有する。それらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば、“移入”可変ドメインから典型的には取られる“移入”残基として言及される。ヒト適合化は、ヒト抗体のその対応する配列により超可変領域を置換することにより、Winter及び共同研究者の方法(Jones et al, Nature, 321522-525 (1986); Riechmann et al, Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen など, Science, 239: 1534-1536 (1988))に従って、実質的に実施され得る。
【0058】
従って、そのような“ヒト型化”抗体は、キメラ抗体であり(アメリカ特許第4,816,567号)、ここで実質的に損なわれていない可変ドメインが、非ヒト種からその対応する配列により置換されている。実際、ヒト型化抗体は典型的には、いくつかの超可変領域残基及びたぶんいくつかのFR残基が齧歯動物抗体における類似部位からの残基により置換されているヒト抗体である。ヒト型化抗体の製造に使用されるヒト可変ドメイン(L及びH鎖の両者)の選択が、抗原性を低めるために非常に重要である。いわゆる“最良の適合”方法によれば、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列が既知ヒトの可変ドメイン配列の完全なライブラリーに対してスクリーンされる。
【0059】
次に、齧歯動物の配列に最も近いヒト配列が、ヒト型化抗体のためのヒト骨格領域(FR)として許容される(Sims など., J. Immunol., 151 :2296 (1993); Chothiaなど., J. MoI. Biol, 196:901 (1987))。もう1つの方法は、L又はH鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定の骨格領域を使用する。
【0060】
同じ骨格がいくつかの異なったヒト型化抗体のために使用され得る(Carter など, Proc. Natl Acad. Sci. USA,89:4285 (1992); Presta など, J. Immunol, 151 :2623 (1993))。抗体は、抗原及び他の好ましい生物学的性質のために高い親和性の保持下でヒト型化されることはさらに重要である。好ましい方法に従ってこの目的を達成するために、ヒト型化抗体は、親及びヒト型化配列の三次元モデルを用いての親配列及び種々の構想のヒト適合された生成物の分析方法により調製される。三次元免疫グロブリンモデルは通常入手でき、そして当業者に良く知られている。選択された候補体免疫グロブリン配列の有望な三次元高次構造を例示し、そし表すコンピュータープログラムが入手できる。
【0061】
この表示の調査は、候補体免疫グロブリン配列の機能における残基の有望な役割の分析、すなわち候補体免疫グロブリンのその抗原を結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。この手段で、FR残基が受容体から選択され、そして組合わされ、そして所望する抗体特徴、例えば標的抗原のための高められた親和性が達成されるよう配列を移入することができる。一般的に、超可変領域残基は直接的であり、そして最も実質的には、抗原結合に影響を与えることに包含される。
【0062】
ヒト抗体:ヒト型化に代わるものとして、ヒト抗体が生成され得る。例えば、免疫化に基づいて、内因性免疫グロブリン生成の不在下で十分な範囲のヒト抗体を生成できるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成することが現在可能である。例えば、キメラ及び生殖系変異体マウスにおける抗体H鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が内因性抗体生成の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖系変異体マウスへのヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイのトランスファーが、抗原攻撃に基づいてヒト抗体の生成をもたらすであろう。例えば、Jakobovits など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Ja- kobovits など, Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immuno., 7:33 (1993); 及びアメリカ特許第5,591,669号、第5,589,369 合、及び第5,545,807号を参照のこと。
【0063】
他方では、ファージ表示技法(McCaffertyなど, Nature 348:552-553 (1990))が、免疫化されていないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体及び抗体フラグメントをインビトロで生成するために使用され得る。この技法によれば、抗体Vドメイン遺伝子が、線状バクテリオファージの主要又はマイナーなコートタンパク質遺伝子、例えばM13又はfdのいずれか中に読み取り枠を整合してクローン化され、そしてファージ粒子の表面上で機能的抗体フラグメントとして表示される。線状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的性質に基づく選択がまた、それらの性質を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。従って、ファージは、B細胞の性質のいくらかを模倣する。
【0064】
ファージ表示は、種々の形で実施され得る;それらの再考のためには、Johnson, Kevin S. and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。V−遺伝子セグメントのいくつかの源がファージ表示のために使用され得る。Clacksonなど., Nature, 352-624-628 (1991)は、免疫化されたマウスの膵臓に由来するV遺伝子の小さなランダム組合せライブラリーから種々の抗−オキサゾロン抗体を単離した。
【0065】
免疫化されていないヒトドナーからの広範囲のV遺伝子が構成され、そして種々の抗原(自己−抗原を包含する)に対する抗体が、Marks など., J MoI. Biol. 222581-597 (1991),、又はGriffith など, EMBO J 12:725-734 (1993)により記載される技法に実質的に従って単離され得る。また、アメリカ特許第5,565,332号及び第5,573,905号も参照のこと。ヒト抗体はまた、インビトロ活性化されたB細胞によって生成され得る(アメリカ特許第5,567,610号及び第5,299,275号を参照のこと)。
【0066】
用語“超可変領域”とは、本明細書において使用される場合、抗原結合を担当できる、抗体のアミノ酸残基を言及する。超可変領域は、“相補的決定領域”又は“CDR”からのアミノ酸残基(例えば、L鎖可変ドメインにおける残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)及びH鎖可変ドメインにおける31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);(Kabat など, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))、及び/又は“超可変ループ”からのそれらの残基(例えば、L鎖可変ドメインにおける残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及びH鎖可変ドメインにおける26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J. MoI. Biol. 196:901-917 (1987))を含んで成る。“骨格”又は“FR”残基は、本明細書に定義されるように、超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0067】
抗体フラグメント:種々の技法が、抗体フラグメントの生成のために開発されて来た。従来、それらのフラグメントは、損なわれていない抗体のタンパク質加水分化酵素により誘導される(例えば、Morimotoなど, Journal of Biochemical und Biophysical Methods 24: 107-1 17 (1992) 及び Brennan など, Science, 229:81 (1985)を参照のこと)。しかしながら、それらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞により直接的に生成され得る。例えば、抗体フラグメントは、上記に論じられる抗体ファージライブラリーから単離され得る。
【0068】
他方では、Fab’−SHフラグメントはE.コリから直接的に回収され、そしてF(ab’)2フラグメントを形成するために化学的にカップリングされ得る(Carter など., Biotechnology 10: 163- 167 (1992))。もう1つのアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは組換え宿主培養物から直接的に単離され得る。抗体フラグメントの生成のための他の技法は、当業者に明らかであろう。他の態様においては、選択の抗体は一本鎖Fvフラグメントである。WO 93/16185号; アメリカ特許第5,571,894号;及びアメリカ特許第5,587,458号を参照のこと。抗体フラグメントはまた、例えばアメリカ特許第5,641,870号に記載のように、“線状抗体”でもあり得る。そのような線状フラグメントは単一特異性又は二特異性であり得る。
【0069】
用語“特異的に認識する”とは、予定された抗体に結合する抗体を言及する。典型的には、抗体は、少なくとも1×10-7Mの親和性で結合し、そしてフィブロネクチンのED-Bドメイン以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合するための親和性よりも少なくとも2倍、高いフィブロネクチンのED-Bドメインに結合する。
【0070】
本明細書に記載される、タンパク質又はペプチドアンタゴニスト又は抗体部分のアミノ酸配列修飾が企画される。例えば、アンタゴニストの結合親和性及び/又は他の生物学的性質を改良することが所望される。アンタゴニストのアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変更をアンタゴニスト核酸中に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はそれら中への挿入、及び/又はそれらの置換を包含する。欠失、挿入及び置換のいずれかの組合せが、最終構造体に達するために製造され、但し最終構造体は所望する特徴を有する。
【0071】
従って、H又はL鎖の場合、1; 2; 3; 4; 5; 6; 7; 8; 9; 10; 11; 12; 13; 14; 15; 16; 17; 18;19 又は20個のアミノ酸の変動が実施され得る。εs2−CH4の場合、1; 2; 3; 4; 5; 6; 7; 8; 9; 10; 11; 12; 13; 14; 15; 16; 17; 18, 19, 20; 21; 22; 23; 24; 25; 26; 27; 28; 29; 30; 31; 32; 又は 33個のアミノ酸の変動が実施され得る。リンカーの場合、1; 2; 3; 4; 5; 6;又は7個の変動が実施され得る。リンカーの場合、その変動は、機能的アミノ酸配列間に十分な空間が容易に創造されるので、柔軟である。変動は、欠失、挿入及び/又は置換として定義される。
【0072】
アミノ酸変更はまた、アンタゴニストの後−翻訳工程を変え、例えばグリコシル化部位の数又は位置を変更する。突然変異誘発のための好ましい位置であるアンタゴニストの一定残基又は領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and WeIk Science, 244: 108 1-1085 (1989)により記載されるように、“アラニン走査突然変異誘発”と呼ばれる。ここで、標的残基類中の1つの残基又はグループ(例えば、荷電された残基、例えば、Arg, Asp, His, Lis及びGln)が同定され、そして中性又は負に荷電されたアミノ酸(最も好ましくは、アラニン又はポリアラニン)により置換され、アミノ酸と抗原との相互作用が影響される。
【0073】
次に、置換に対して機能的感受性を示すそれらのアミノ酸位置は、置換の部位で又はその部位のために、追加の又は他の変異体を導入することにより改良される。従って、アミノ酸配列変動を導入するための部位はあらかじめ決定されるが、突然変異自体の性質はあらかじめ決定される必要はない。例えば所定の部位で突然変異の性能を分析するために、Ala走査又はランダム突然変異誘発が標的コドン又は領域で行われ、そして発現されたアンタゴニスト変異体が所望する活性についてスクリーンされる。アミノ酸配列挿入は、1つの残基〜100又はそれ以上の残基を含むポリペプチドのアミノ−及び/又はカルボキシル−末端融合、及び単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を包含する。
【0074】
末端挿入の例は、N−末端メチオニル残基を有するアンタゴニスト又は細胞毒性ポリペプチドに融合されるアンタゴニストを包含する。アンタゴニスト分子の他の挿入変異体は、酵素のアンタゴニストのN−又はC−末端への融合、又はアンタゴニストの血清半減期を高めるポリペプチドを包含する。もう1つのタイプの変異体は、アミノ酸置換変異体である。それらの変異体は、異なった残基により置換されるアンタゴニスト分子に少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。抗体アンタゴニストの置換性突然変異のための最大興味の部位は、超可変領域を包含するが、しかしFR変更がまた企画される。保存性置換は、表1の“好ましい置換”の表題下に示されている。
【0075】
【表1】

【0076】
そのような置換が生物学的活性の変更をもたらす場合、表1に“典型的な置換”として示されるか、又はアミノ酸種類に関して下記にさらに記載されるような、より実質的な変更が導入され得、そして生成物がスクリーンされ得る。
【0077】
アンタゴニストの生物学的性質における実質的な修飾は、(a)シート又はへリックスコンホメーションとしての置換の領域におけるポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の電荷又は疎水性度、又は(c)大部分の側鎖の維持に対するそれらの効果において有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖性質に基づいて次ぎのグループに分けられる:
(1) 疎水性: ノルロイシン, Met, Ala, VaI, Leu, Ile;
(2) 中性親水性: Cys, Ser, Thr;
(3) 酸性:Asp, Glu;
(4) 塩基性:Asn, Gln, His, Lys, Arg;
(5) 鎖配向に影響を及ぼす残基: GIy, Pro; 及び
(6) 芳香性: Trp, Tyr, Phe。
【0078】
非保存性置換は、それらの種類の1つのメンバーのもう1つの種類のメンバーによる交換を必然的に伴うであろう。アンタゴニストの適切なコンホメーションの維持に関与されないいずれかのシステイン残基はまた、分子の酸化安定性を改良し、そして異常架橋を妨げるために、一般的にセリンにより置換され得る。逆に言えば、システイン結合がその安定性を改良するためにアンタゴニストに追加され得る(特に、ここでアンタゴニストは抗体フラグメント、例えばFvフラグメントである)。
【0079】
特に好ましいタイプの置換変異体は、親抗体の1又は複数の超可変領域残基の置換を包含する。一般的に、さらなる進行のために選択される、得られる変異体は、それらが生成される親抗体に対して改良された生物学的性質を有するであろう。そのような置換変異体を生成するための従来の手段は、ファージ表示を用いての親和性突然変異である。手短には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7個の部位)が突然変異誘発され、個々の部位でのすべての可能なアミノ置換を生成する。このようにして生成される抗体変異体は、個々の粒子内にパッケージされるM13の遺伝子III 生成物への融合体として線状ファージ粒子から一価態様で表示される。
【0080】
次に、ファージ表示された変異体が、本明細書に開示されるように、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーンされる。修飾のための候補体超可変領域部位を同定するために、アラニン走査突然変異誘発が実施され得、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基が同定され得る。他方では又はさらに、抗体と抗原との間の接触点を同定するために抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することは有益である。そのような接触残基及び隣接する残基は、本明細書に詳細される技法の置換のための候補体である。そのような変異体が生成されると、変異体のパネルが本明細書に記載のようにしてスクリーニングにゆだねられ、そして1又は複数の適切なアッセイにおいて卓越した性質を有する抗体がさらなる進行のために選択され得る。
【0081】
アンタゴニストのもう1つのタイプのアミノ酸変異体がアンタゴニストの元のグリコシル化パターンを変更する。それを変更するとは、アンタゴニストに見出される1又は複数の炭水化物成分の欠失、及び/又はアンタゴニストに存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
【0082】
ポリペプチドのグリコシル化は典型的には、N−結合されか又はO−結合される。N−結合されるとは、アスパラニン残基の側鎖への炭水化物成分の結合を言及する。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(Xはプロリンを除くいずれかのアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物成分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチドにおけるそれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、有能なグリコシル化部位を創造する。O−結合されたグリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も通常にはセリン又はトレオニン(但し、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリシンもまた使用され得る)への糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースの1つへの結合を言及する。
【0083】
アンタゴニストへのグリコシル化部位の付加は従来、アミノ酸配列が1又は複数の上記トリペプチド配列(N−結合されるグリコシル化部位のための)を含むようその配列を変更することにより達成される。変更はまた、元のアンタゴニストの配列(O−結合されるグリコシル化部位のための)への1又は複数のセリン又はトレオニン残基の付加又はそれによる置換により行われ得る。
【0084】
アンタゴニストのアミノ酸配列変異体をコードする核酸は、当業界において知られている種々の方法により調製される。それらの方法は、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)、又はオリゴヌクレオチド−介在性(又は特定部位)突然変異誘発による調製、PCR突然変異誘発、及びアンタゴニストの初期に調製された変異体又は非変異体バージョンのカセット突然変異誘発を包含するが、但しそれらだけには制限されない。
【0085】
例えば、アンタゴニストの抗原−依存性細胞介在性細胞毒性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞毒性(CDC)を増強するためには、エフェクター機能に関して本発明のアゴニストを変性することが所望される。これは、抗体アンタゴニストのFc領域に1又は複数のアミノ酸置換を導入することにより達成され得る。他方では又はさらに、システイン残基がFc領域に導入され、この領域における鎖間ジスルフィド結合が可能にされる。
【0086】
このようにして生成されたホモダイマー抗体は、改良されたインターナリゼーション能力及び/又は高められた補体介在性細胞殺害及び抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有する。Caron など, J. Exp Med. 176:1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照のこと。増強された抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolff など. Cancer Research 53:2560-2565 (1993)に記載のようにして、ヘテロ二価性架橋剤を用いて調製され得る。他方では、二重Fc領域を有し、そしてそれにより、増強された補体溶解及びADCC能力を有する抗体が構築され得る。Stevenson など. Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照のこと。
【0087】
融合タンパク質L19IL2の変動は、前に言及されたような変動により定義される。それは、次の数のアミノ酸による欠失、挿入及び/又は置換により修飾され得る、表2の次の列挙に言及される特定の配列の変動を意味する:
【0088】
【表2】

【0089】
さらなる修飾は、Pini など. (1998) J Biol. Chem., Vol.: 273, pages 21769 - 21776, WO 02 / 20563号, WO 2005/37312号、及びWO 99 / 58570号に言及されている。
【0090】
多くの適切なイメージが及び放射性治療剤は、抗体部分、融合タンパク質、抗体及び結合リガンドへのそれらの結合のための方法のように、当業界において知られている(例えば、アメリカ特許第5,021,236号及び第4.472,509号を参照のこと)。ある結合方法は、抗体に結合されるDTPAのような有機キレート化剤を用いる金属キレート錯体の使用を包含する(アメリカ特許第4,472,509号)。放射性ラベルされた融合タンパク質及び抗体部分はまた、ヨウ化ナトリウム又はカリウム及び化学的酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム(Redshaw M. R., Lynch S. S., J. Endochrinol., 60, 527 (1974))、又は酵素酸化剤、例えばラクトペルオキシダーゼ(Marchalonis J.J., Biochem. J., 113, 299 (1969))との接触によりヨウ素化され得る。
【0091】
本発明のタンパク質は、例えば第一錫溶液により過テクネチウム酸塩を還元し、その還元されたテクネチウムをセファデックスカラム上でキレート化し、そしてこのカラムに抗体を適用することによるリガンド交換方法によりテクネチウム−99によりラベルされ得る。例えば過テクネチウム酸塩、還元剤、例えばSnCl2、緩衝溶液、例えばフタル酸ナトリウム−カリウム溶液、及びタンパク質のインキュベーションによる直接的なラベリング技法もまた適切である。
【0092】
放射線療法/化学療法のためへの薬物の使用:
本発明の組合せは、薬理学的活性を示し、そして従って、医薬として有用である。特に、組合せは、癌、特に頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌に関して、多くの病理学的又は疾病状態において薬理学的活性を示す。
【0093】
従って、本発明の組合せは、頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌、特に膵臓癌の処理への使用のために指摘され得る。融合タンパク質及び抗−EGFR−抗体は、同時に、又は異なった時間で別々に投与され得る。
そのような状態の処理に関しては、もちろん適切な用量は、例えば宿主、投与の状態、及び処理される病態の性質及び重症度に、非常に依存する。
【0094】
投与される抗−EGFR−抗体の用量は、使用の態様及び使用の経路、及び患者の必要条件に従って変化するであろう。一般的に、そのような抗体は、毎日又は毎週、又は数日又は数週間に2度の間隔で適用され得る。1週1度の適用に関しては、Erbituxのための標準用量は、60分間にわたって静脈内注入として250mg/m2であり、そして出発用量は、120分にわたって400mg/m2である。従って、必要なら、抗−EGFR−抗体のための出発用量は、約10分〜数時間、約50〜5000mg/m2であり、そして維持用量は、約10分〜数時間の注入のために約10〜5000mg/m2であり、1日〜数日、又は1週〜数週の間隔で2又はそれ以上、反復される。
【0095】
投与される融合タンパク質、特に放射性ラベルされたL19−SIPの投与量は、使用の態様及び使用の経路、及び患者の必要条件に従って変化するであろう。一般的に、ヒトにおける一回の投与量は、約2〜200MBq/kg体重(10〜1,000μg/kg体重)である。放射性ラベルされた融合タンパク質は、身体におけるほとんどの放射線感受性器官(用量制限器官)の毒性を引起さない用量で与えられるべきである。動物実験においては、赤色骨髄が、131Iラベルされた抗体についての用量制限器官として同定された。放射性金属によりラベルされたタンパク質に関して、腎臓は用量制限器官である。
【0096】
好ましい投与方法は、非経口、特に静脈内注入である。
もう1つの態様においては、本発明は、本発明の組合せの投与を包含する、そのような処理の必要な患者における癌の処理方法に関する。
もう1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの本発明の融合タンパク質及び抗−EGFR−抗体の組合せの投与を包含する、そのような処理の必要な患者における癌の処理方法に関する。
【0097】
融合タンパク質及び抗−EGFR−抗体は、上記のように、同じ時点で又は異なった時点で、一緒に又は別々に投与され得る。また、前記組合せの一回の投与が可能であるか、又は数回の用量の投与であり得る。
配列番号1は、L19−SIP抗体部分のVl鎖を表す。
配列番号2は、L19−SIP抗体部分のVh鎖を表す。
配列番号3は、L19−SIP抗体部分のVl及びVhを連結する抗体リンカーを表す。
【0098】
配列番号4は、L19−SIPのεs2−CH4ドメインを表す。
配列番号5は、L19−SIPの抗体部分及びεs2−CH4ドメインを連結するリンカーを表す。
配列番号6〜11は、L19 のCDR配列を表す。
配列番号12は、そのモノマー形でのL19−SIPの配列を表す。
配列番号13は、他の抗体又は融合タンパク質のリンカーの配列を表す。
【実施例】
【0099】
材料及び方法
モノクローナル抗体、異種移植系及び放射能
フィブロネクチンのED−Bドメインに対して向けられた抗体L19−SIP(0.3−0.5mg/ml)を、the Institute of Pharmaceutical Sciences, Swiss Federal Institute of Technology, Zurich, Switzerlandから得た。L19-SIP(Mw=約80kD)の選択、構成及び生成は、これまで記載されている(Pini A, Viti F, Santucci A, など. Design and use of a phage display library. Human antibodies with subnanomolar affinity against a marker of angiogenesis eluted from two-dimensional gel. J Biol Chem 1998;273:21769-76; Borsi L, Balza E, Bestagno M, など. Selective targeting of tumoral vasculature: comparison of different formats of an antibody (L 19) to the ED-B domain of fibronectin. Int J Cancer 2002;102:75-85)。
【0100】
その分子構造の略図は、Berndorff など. (Berndorff D, Borkowski S, Sieger S, et al. Radioimmunotherapy of solid tumors by targeting extra domain B fibronectin: Identification of the best-suited radioimmunoconjugate. Clin Cancer Res 2005;11 :7053s-63s)により提供される。モノクローナル抗体セツキシマブ(C225/Erbitux(商標), 2mg/ml)を、Merckから入手した。セツキシマブは、受容体に高い親和性で結合し、受容体チクロシンキーナーゼのリガンド誘発された活性化を阻止し、そしてEGFRの二量体化及びダウンレギュレーションを誘発するマウス−ヒトキメラ性抗−EGFR MAbである(Mendelsohn J, Baselga J. Status of epidermal growth factor receptor antagonists in the biology and treatment of cancer. J Clin Oncol 2003 ;21 :2787-99)。
【0101】
ヒトHNSCC細胞系FaDu及びHNX-OEは前記記載されている(Van Gog FB, Brakenhoff RH, Stigter-Van Walsum M, Snow GB, Van Dongen GAMS. Perspectives of combined radioimmunotherapy and anti-EGFR antibody therapy for the treatment of residual head and neck cancer. Int J Cancer 1998;77: 13-8; Ranger SR. A new human cell line (FaDu) from a hypopharyngeal carcinoma. Cancer 1972;29: 117-21)。
【0102】
131I(7.4GBq/ml)及び125I(3.7GBq/ml)は、Amersham Biosciencesから購入され、そして177Lu (725GBq/mg)は、Perkin-Elmerから得られた。
【0103】
HNSCC異種移植体の免疫−組織化学的染色
2種のHNSCC異種移植系FaDu及びHNX-OEを、それぞれL19-SIP及びセツキシマブによる免疫−組織化学を行うことにより、ED-B及びEGFR発現について特徴づけた。5μmの厚さの低温槽切片を空気乾燥し、そして冷アセトンにおいて-20℃で10分間、固定した。
【0104】
ED-Bの免疫−組織染色に関して、ビオチニル化されたL19-SIPを最初の段階に使用し、DAKO ChemMateTM Detection Kit (Streptavidin-Alkaline Phosphatase/Red, DakoCytomation)を色彩進行のために使用した。手短に言及すれば、固定化の後、切片をトリス緩衝液(50mモル/l、pH7.2)において30分間インキュベートし、続いてビオチニル化された抗体L19-SIPと共に室温(RT)で1時間インキュベートした。トリス緩衝液による広範な洗浄(3度、5分間)の後、切片をChemMateTM Detection Kitと共に、その供給者により提供される説明書に従ってインキュベートした。水による洗浄の後、水中、ヘマトキシリン(Merck)(1:4)を対比染色として使用し、続いてKaiserグリセリンに固定した。
【0105】
EGFRの免疫−組織化学的染色に関しては、セツキシマブを一次抗体として使用し、続いてホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)−ラベルされたウサギ抗−ヒトIgG(Dako)を使用した。固定化の後、切片をPBS中、2%ウシ血清アルブミン(BSA)によりRTで20分間、阻止した。切片をセツキシマブ10μg/mlと共にRTで1時間インキュベートした。PBSによる広範な洗浄(3度、5分間)の後、切片をウサギ抗−ヒトIgG HRP 1:100と共にRTで1時間インキュベートした。PBSによる洗浄(3度、5分間)の後、切片を、染色進行のために、PBS中、ジアミノベンジジン(DAB)1:10及び10μlのH2O2と共に5分間インキュベートした。水による洗浄の後、水中、ヘマトキシリン(1:4)を対比染色として使用した。続いてKaiserグリセリンに固定した。
染色の強さを、半定量的に評価した。
【0106】
生物分布実験のための放射性ラベリン
125I-L19-SIP及び131I-L19-SIPの調製。125I又は131IによるL19-SIPのヨウ素化を、これまで記載のようにして実質的に行った(Visser GWM, Klok RP, Klein- Gebbink JW, Ter Linde T, Van Dongen GAMS, Molthoff CF. Optimal quality Iodine- 131-monoclonal antibodies upon high dose labeling in a large reaction volume and temporarily coating the antibody with iodogen. J Nucl Med 2001 ;42:509-519)。手短に言及すれば、20mlのβ−シンチレーションガラスバイアルを、ジクロロメタン中、75μgのIODO-GEN(1,3,4,6−テトラクロロ−3α、6α−ジフェニル−グリコウリル;Pierce Biotechnology)により被覆し、N2ガス流下で乾燥し、バイアルの底表面上にIODO-GENの薄被膜をもたらした。バイアルを、使用までN2雰囲気下で貯蔵した。
【0107】
IODO−GEN−被覆されたガラスバイアルに、連続的に50μlのNa2HPO4(0.5モル/l、pH7.4)、450μlのNa2HPO4(0.1モル/l、pH6.8)中、72−150μgのL19-SIP、及び6.7−11.1MBqの125I又は131Iを添加した。室温での4分間の軽い振盪の後、0.1mlのアスコルビン酸(25mg/ml、pH5)を添加した。さらに5分後、反応混合物を、フィルター(0.22μmのAcrodisc, Gelman Sciences)に連結された注射器に移し、0.4mlのNa2HPO4(0.1モル/l、pH6.8)を反応バイアルの追加のすすぎのために使用した。この組合わされた溶液を濾過し、そして溶離剤として0.9%NaCl/アスコルビン酸(5mg/ml、pH5.0、Bufa)を用いてPD-10カラム上で精製した。最初の2.5ml(1.0mlサンプル体積及び最初の1.5ml)を捨て、そして放射ラベルされたL19-SIPを次の2.0mlに集めた。
【0108】
177Lu-L19-SIPの調製。抗体L19-SIPを、Perk など. (Perk LR, Visser GWM, Vosjan MJWD, et al. 89Zr as a PET surrogate radioisotope for scouting biodistribution of the therapeutic radiometals 9OY and 177Lu in tumor-bearing nude mice after coupling to the internalizing antibody cetuximab. J Nucl Med 2005;46: 1898-906)により実質的に記載のようにして、p−イソチオシアナトベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(p-SCN-Bz-DOTA;Macrocyclics)により接合した。すべての段階を、厳格な金属フリー条件下で実施した。L19-SIPを、2gのChelex 100 (Bio-Rad)を含む金属フリーNaHCO3(0.1モル/l、pH9.0)に対して広範にして透析した(Slide-A-Lyzer透析カセット、Pierce Biotechnology)。接合のために、125μlのp-SCN-Bz-DOTA (NaHCO3中、0.8mg/ml、0.1モル/l;pH9.0)及び875μl(0.438mg)のL19-SIPを37℃、pH9.0で30分間インキュベートした。
【0109】
予備変性されたL19-SIPを、予備洗浄されたPD-10カラムを用いて精製し、そしてCH3COONH4(0.25モル/l、pH5.5)により溶出した。ほぼ1つのp-SCN-Bz-DOTA成分が、L19-SIP分子当たりカップリングされた。L19-SIP-p-SCN-Bz-DOTA (150μg)を、合計体積700μlのCH3COONH4(0.25モル/l、pH5.5)中、177Lu(18.5MBq)によりラベルした。45℃での60分間のラベリングの後、50μlの0.05MのEDTAを反応バイアルに添加し、そしてその混合物を、さらに5分間インキュベートした。末結合の177Luを、予備洗浄されたPD-10カラムを用いて除去し、そして177LuラベルされたL19-SIPを、0.9%NaClにより溶出した。最初の3.0ml(750μlのサンプル体積、すすぎのための250μlのCH3COONH4及び最初の2.0ml)を捨て、そして放射ラベルされたL19-SIPを次の1.5mlに集めた。
【0110】
治療実験のための放射性ラベリング
治療のための131I-L19-SIPの調製を、実質的にこれまで記載のようにして、いわゆる“IODO-GEN−被覆されたMAb方法”に従って行った(Visser GWM, Klok RP, Klein-Gebbink JW, Ter Linde T, Van Dongen GAMS, Molthoff CF. Optimal quality Iodine-131-monoclonal antibodies upon high dose labeling in a large reaction volume and temporarily coating the antibody with iodogen. J Nucl Med 2001 ;42:509-519)。手短に言及すれば、131I(884−1880MBq)を、1mlのNaOH(1mモル/l)を含むガラスバイアルに添加し、この後、10μlのアスコルビン酸(1.41mg/ml, Bufa)を添加した。
【0111】
RTでの1分間の軽い振盪の後、400μlのリン酸緩衝液(0.5モル/l;pH7.2)を添加し、その後、3mlのL19-SIP(0.9-1.5mg)及び35μlのIODO-GEN/MeCN (1mg/ml)を添加した。3分後、100μlのアスコルビン酸(25mg/ml)の添加により、反応を停止した。5分後、50μlのヒト血清アルブミン(20%HSA)を添加した。さらに4分後、その溶液を、溶離剤として0.9%NaCl/アルコルビン酸(5mg/ml、pH5.0)を用いて、2つのPD-10カラム上で精製した。個々のカラムに関して、最初の2.8ml(2.3mlのサンプル体積及び最初の0.5ml)を捨て、そして放射性ラベルされたL19-SIPを次の3.0mlに集めた。十分なMTD実験1のラベリングに関しては、治療研究のために、いくつかのラベリングを行い、その後生成物をプールした。
【0112】
分析
すべての接合体を、放射線化学純度について即時薄層クロマトグラフィー(ITLC)により、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により、続いて接合性についての蛍光体イメージャー分析及び免疫反応性についての抗原性結合アッセイにより分析した。放射性ラベルされたL19-SIPのITLC分析を、シリカゲル含浸ガラス繊維シート(Gelman Sciences)上で行った。移動相として、クエン酸緩衝液(30mモル/l、pH5.0)を、131I及び125I−ラベルされた抗体のために使用した。177Lu−ラベルされたL19-SIPのITLCサンプルをまず、EDTA溶液(50mモル/l)において5分間インキュベートし、そして続いて、ITLC上にスポットした。
【0113】
移動相として、0.9%NaClを用いた。放射性ラベルされたL19-SIPのHPLC分析を、これまで記載のようにして実施した(Perk LR, Visser GWM, Vosjan MJWD, など. 89Zr as a PET surrogate radioisotope for scouting biodistribution of the therapeutic radiometals 9OY and 177Lu in tumor-bearing nude mice after coupling to the internalizing antibody cetuximab. J Nucl Med 2005;46: 1898-906)。放射線−免疫−接合体の結合性を、非還元条件下で、実施される高密度SDS−PAGEゲルを用いて、Phastgel System (Amersham Biosciences)上での電気泳動によりモニターし、そして蛍光イメージャー上で分析した。
【0114】
放射性ラベルされたL19-SIPのインビトロ結合特性を、実質的にこれまで記載のようにして(Birchler M, Neri G, Tardi L, Halin C, Viti F, Neri D. Infrared photodetection for the in vivo localization of phage- derived antibodies directed against angiogenic markers. J Immunol Methods 1999;231:239-48)、PBS/1%BSA中、ED-B被覆されたセファロース樹脂を用いて、免疫−反応性アッセイにおいて決定した。管当たり100μl−6.2μlの範囲の樹脂の連続した5種の希釈溶液を、PBS/1%BSAにおいて三重反復して調製した。125I、131I又は177LuによりラベルされたL19-SIP(125ng)を管に添加し、そしてサンプルを4℃で一晩インキュベートした。
【0115】
過剰のラベルされていないL19-SIP抗体(管当たり10μg)を、最終濃度の樹脂を含む第2管に添加し、非特異的結合を決定した。樹脂を回転沈降し、そしてペレット及び上清液における放射能をγ−カウンター(Wallac LKB-CompuGamma 1282, Kabi Pharmacia)において決定し、そして結合された及び遊離放射能の%を決定した。データを、改良されたLineweaver Burkプロットにおいてグラフ的に分析し、そして免疫反応性画分を、無限の抗原過剰を表す条件に対する線状外挿により決定した。
【0116】
L19-SIPの生物分布
生物分布実験のために、皮下移植されたHNSCC異種移植系FaDu又はHNX-OEを担持するヌードマウスを使用した。雌のマウス(Hsd athymic nu/nu, 25-32 g; Harlan CPB)は、実験の時点で、生後8〜10週であった。すべての動物実験を、実験動物保護の衛生原理の国家機関及びオランダ国内法("Wet op de dierproeven", Stb 1985, 336)に従って実施した。
【0117】
3回の生物分布研究を行った。接合された125I-L19-SIP (0.37MBq)及び177Lu-L19-SIP(0.37MBq)の生物分布を、第1の実験においてFaDu担持ヌードマウス(n=20)において評価した。この実験においては、125Iを131Iの代わりに使用し、177Luによる二重同位体計数を促進した。FaDu及びHNX-OE担持のヌードマウス(それぞれn=12)における131I-L19-SIP (0.37MBq)の生物分布を、それぞれ第2及び第3の実験において評価した。実験の開始での腫瘍サイズは、それぞれ実験1、2及び3においては、83±29、73±21、及び157±95mm3であった。マウスは、150μlの合計体積で10〜16μgのL19-SIPを静脈内注入された。
【0118】
注入の後、3,6,24, 48, 72及び144時間(実験1)又は24、48及び47時間(実験2及び3)で、5〜8個の腫瘍を有する3〜4匹のマウスグループを、麻酔し、放血し、殺害し、そして解剖した。血液、腫瘍、舌、胸骨、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、膀胱、筋肉、回腸及び胃を計量し、そして放射能の量をγ−ウィルカウンターにより計数した。125I−177Luの同時注入の場合、二重−同位体計数を行った。このためには、1つの放射性核種から他の窓へのクロスオーバー修正が、個々の放射性核種の標準を用いて行われた。放射能摂取を、放射能崩壊のために修正された、g組織当たりの注入された用量の%(%ID/g)として計算した。
【0119】
131I-L19-SIP(RIT)
3種の治療実験を、131I-L19-SIPを用いて行った。第1の治療研究は、FaDu担持のヌードマウスにおいて最大耐性用量(MTD)を評価するよう企画された。5〜20%の体重の損失に対応するMTDを、希釈剤(0.9%NaCl)又は上昇する用量の131I-L19-SIPによりi.p.注入された、FaDu担持のヌードマウスの体重をモニターすることにより決定した。148±61mm3の平均体積を有する、8〜10の腫瘍を含む5匹のマウスグループを、37, 56又は74MBqの131I-L19-SIP(134〜146μg)により処理した。
【0120】
第2の実験においては、FaDu担持のヌードマウスを、RITのみ、及びセツキシマブと組合してのRITの治療効能を研究するために使用した。1又は2個の皮下FaDu異種移植体を担持するマウスを、131I-L19-SIP(71MBq、110μg)又はセツキシマブ(1週当たり2度、4週間、1mgがi.p.投与される)、又は両者の組合せの単一のi.p.注入により、0日目で処理した。実験の開始での平均腫瘍体積は、143±85mm3であった。処理グループは、グループ当たり合計12〜16個の腫瘍を有する8匹のマウスから構成された。第3の実験は、第2の実験に従い、但しこの実験においては、マウスはHNX-OE異種移植体(172±101mm3)を担持した。処理グループは、グループ当たり合計13〜15の腫瘍を有する8匹のマウスから構成された。
【0121】
処理の間、腫瘍を、3ヶ月の計画された期間、毎週2度、測定し、そして処理の開始での体積に比較しての腫瘍体積を計算した。この期間は、HNX-OE担持のマウスに関しては、4ヶ月に延長された。毒性を、週2度、体重の測定によりモニターした。マウスは、腫瘍の1つが1000mm3を越える場合、殺害された。種々のグループの平均腫瘍体積を、グループにおけるマウスの少なくとも50%がまだ生存している限り、図的に示した。
【0122】
抗−腫瘍効果をまた、腫瘍増殖遅延としても表した。腫瘍増殖遅延因子(GDF)は、対照マウスの腫瘍がこれらの2倍の体積になるのに必要とされる時間のメジアン値により割算された、処理された動物及び対照動物の腫瘍がそれらの2倍の体積になるのに必要とされる時間のメジアン値間の差異として定義された(Braakhuis BJM, Van Dongen GAMS, Vermorken JB, Snow GB. Preclinical in vivo activity of 2',2'-difluorodeoxycytidine (Gemcitabine) against human head and neck cancer. Cancer Res 1991;51 :211-4)。平均値の代わりにメジアン値が、時々腫瘍が完全に抑制される事実のために使用された。さらに、生存曲線が構成された。
【0123】
統計学
同時注入された接合体間の組織摂取における差異を、1対のデータについてスチューデントt−試験を用いて、Excel 2000ソフトウェア(Microsoft)により個々の時点を統計学的に分析した。治療実験を、Excel 2000ソフトウェア及びSPSS 11.0ソフトウェア(SPSS)を用いて分析した。種々のグループ間の平均腫瘍体積の差異を、無対のデータについてスチューデントt−試験により個々の時点で統計学的に分析した。生存については、Kaplan-Meier曲線を用いて計算した。両側有意性レベルを計算し、そしてP<0.05を、統計学的に有意性として見なす。
【0124】
結果
免疫組織化学
HNSCC異種移植系FaDu及びHNX-OEの両者は、フィブロネクチンのED-Bドメイン及びEGFRを発現した。ED−B発現はFaDuにおいて最も高く、そしてEGFR発現は両系に関して類似した。
【0125】
放射性ラベリング
生物分布及び治療実験のための125I又は131IによるL19-SIPのラベリングは、70%以上の全体的なラベリング収率をもたらした。放射化学純度は常に、99%を越えた。SDS−PAGEゲルの蛍光イメージャー分析及びHPLC分析はMAbが低いか又は高い用量の131Iによりラベルされるかどうかにかかわらず、L19-SIPの最適な結合性を示した。
【0126】
ヨウ素化されたL19-SIPの免疫反応性は、単に、最高のED−B樹脂濃度で70%以上であり、そして無限の抗原過剰で95%以上であった。177LuによるL19-SIP-p-SCN-Bz-DOTAラベリングは、66%の全体的なラベリング収率をもたらし、そして品質試験の結果は、ヨウ素化されたL19-SIPにより得られるそれらの結果に相当した。生物分布研究のために調製された接合体の比活性は、ヨウ素化されたL19-SIPに関して56〜62MBq/mgであり、そして177Lu-L19-SIPに関して、73MBq/mgであり、131I-L19-SIP研究による治療研究についての比活性は、623〜789MBq/mgであった。
【0127】
L19-SIPの生物分布
腫瘍担持のヌードマウスにおける177Lu-L19-SIP(残留放射性核種)と125I-L19−SIP(非残留放射性核種)との生物分の比較のために、両接合体を同時注入した。血液、腫瘍及び正常組織における平均摂取が図1により示される。両放射性核種の摂取は、血液、腫瘍、及びほとんどの正常組織、例えば舌、胸骨、心臓、肺、膀胱、筋肉、結腸及び回腸において比較的小さな差異を示した。しかしながら、大きな差異が、腎臓、肝臓及び脾臓において観察され、そして125Iの摂取よりもより高い177Luの摂取が観察された。それらの結果に基づいて、本発明者は、非残留放射性ラベルが残留ラベルよりも、L19-SIPによるRITのためにより適切であることを結論づけた。
【0128】
それらの結果に基づいて、本発明者は、FaDu及びHNX-OE担持のヌードマウスによるRIT実験に関して131Iを選択することを決定した。それらの実験の開始の前、131I−L19-SIPによる腫瘍標的化をまず、それらの2種の異種移植モデルにおいて比較した。FaDu腫瘍における131I-L19-SIPの摂取はHNX-OE腫瘍においてよりも高く、FaDuに関して、それぞれ24, 48及び74時間でのp.i. 摂取値は8.6±1.6、5.8±0.4及び3.4±0.2%ID/gであり、そしてHNX-OEに関して、それぞれ4.9±1.1, 3.7±0.7及び2.5±0.5%ID/gであった(図2及び3)。非腫瘍に対する腫瘍の比率はまた一般的に、FaDu異種移植系に関して高かった(図3)。例えば、血液に対する腫瘍の比率は、FaDu異種移植系に関して24時間での4.4±1.8から72時間での21.4±1.7に徐々に上昇し、HNX-OE異種移植系に関して、それらの値はそれぞれ3.1±1.2及び15.1±1.5であった。
【0129】
FaDu及びHNX-OE担持のヌードマウスにおけるL19-SIPの治療
最初の治療研究は、131I-L19-SIPの最大耐性用量(MTD)を評価するために企画された。MTDを、希釈剤、又は37, 56又は74MBqの131I−L19-SIPにより注入されたFaDu担持のヌードマウスの体重をモニターすることにより決定した。用量依存性体重損失が観察され、そしてMTDが74MBqで確立された(図4)。この用量レベルで、体重は14日以内に回復し、そして処理に関連する脂肪は観察されなかった。
【0130】
【表3】

【0131】
FaDu及びHNX-OE担持のヌードマウスにおいてRITのみ、又はセツキシマブの週2度の4週間の組合しての131I-L19-SIP(RIT)の効力を比較するために、治療実験を設定した。
【0132】
対照グループにおけるFaDu腫瘍は指数増殖を示し、そして平均腫瘍体積は6日の時点で2倍になった(図6A)。74MBqの131I-L19-SIPによる処理は、すべての腫瘍のサイズ低下を引起し、そして平均腫瘍体積の最大低下率は、18日目、74±38%であった。26日目、このグループの腫瘍はそれらの初期体積へ再増殖した。その後、腫瘍は多かれ少なかれ指数的に増殖した。RIT(74MBq)とセツキシマブとの組合せは、RIT又はセツキシマブ処理のみに比較して、増強された効力を示し、ところが毒性は高められなかった。セツキシマブ処理は単独で、FaDu腫瘍の増殖速度をわずかに低めた。
【0133】
しかしながら、RITに添加される場合、サイズの低下がより早く開始(5日目)、低下はより高く(26日目、50±48%)、ところが初期体積への再増殖は遅れた(35日目)。RIT+セツキシマブ処理グループにおける平均相対的腫瘍体積は、4日〜42日目で、RITのみのグループにおいてよりも有意に小さかった。異なった処理グループについてのGDF値は次の通りであった:74MBqのRIT:4.8、セツキシマブ:0.2及び74MBqのRIT+セツキシマブ:7.3。観察期間の最後(90日目)で、8匹のマウスのうち一匹はまだ、74MBqのRITグループにおいて生存し、そして74MBqのRIT+セツキシマブグループに関して、これは8匹のうち2匹であった(図5B)。
【0134】
131I-L19-SIPの単一注入によるRITをまた、第2異種移植系HNX-OEにおいて評価した(図6)。この系の平均対照腫瘍体積の二倍になる時間は、8日目であった。FaDuに比較して、HNX-OE異種移植系は、RITに対して低い感受性であり(平均腫瘍サイズの低下は存在しなかった)、そしてセツキシマブ処理に対してはより感受性であった。また、この異種移植系においては、組合わされたRIT+セツキシマブ処理は、高められた毒性を引起さないで、最良の治療結果を示した。
【0135】
組合せ処理の開始の直後、すべての腫瘍のサイズは低下し、そして最大の低下は62日目で14±10%までであり、ところが観察期間の最後で、14の腫瘍のうち3個がそれらの初期体積よりも大きなサイズを有した。結果的に、すべてのマウスは90日目までまだ生存した。対照的に、セツキシマブ処理のみは、短期間、平均腫瘍サイズのマイナーな低下をもたらし、ところがマウスの50%はまだ、90日目、生存した。異なった処理グループについてのGDF値は次の通りであった:74MBqのRIT:2.0、セツキシマブ:8.5、及び74MBqのRIT+セツキシマブ:12.8。
【0136】
すべての腫瘍が組合せ処理グループにおいて消失するとは限らないので、観察期間を30日延長した。120日後(p,i.)の生存数は、セツキシマブのみのグループに関して、8匹のうち3匹であり、そしてRIT+セツキシマブの処理グループに関しては、8匹のうち5匹であった。
【0137】
議論
2種の放射性核種、すなわち非残留放射性核種131I及び残留放射性核種177Luは、LI9-SIPと共にRITのための候補体として評価された。MAbが、腫瘍への結合の後、インターナリゼーション化される場合、RITのための残留放射核種の使用は、より高い腫瘍:非腫瘍比(23)のために好都合である。同時注入された125I-L19-SIP(計数を促進するために131Iのための置換体としての125I)及び177Lu-L19-SIPの腫瘍担持のヌードマウスにおける生物分布は、腫瘍、血液及びほとんどの正常な器官に関して摂取においてマイナーな差異を示した。
【0138】
対照的に、125Iの摂取よりもより高い177Luの摂取が、接合体異化腎臓、肝臓及び脾臓の器官において見出された。それらの結果に基づいて、本発明者はRITのために131Iを遂行することを決定し、そして残留放射性核種を遂行することは決定しなかった。腫瘍摂取は両放射性核種と同等であるが、腫瘍:非腫瘍比は、残留111Iのラベルに関して低かった。治療放射性核種のための代用物131I及び90Yとして125I及び111Inを用いての線量計算は、131I-L19-SIPのための最も好ましい治療指数を示した。
【0139】
131I-L19-SIPの単一のi.p.投与のためのMTDを、FaDu担持マウスにおいて74MBqで評価した。我々のMTD研究においては、体重損失が総毒性基準として使用された。Berndorffなど. (Berndorff D, Borkowski S, Sieger S, など. Radioimmunotherapy of solid tumors by targeting extra domain B fibronectin: Identification of the best-suited radioimmunoconjugate. Clin Cancer Res 2005; 11 :7053s-63s)は、131I-L19-SIPについて同じMTD値を見出したが、しかし彼らは全く異なったアプローチによりこの値に達した。
【0140】
RIT(131I-L19-SIP)は、両HNSCC異種移植系において有意な腫瘍増殖の遅延及び改良された生存性を引起した。しかしながら、治癒は観察されなかった。抗腫瘍効果は、HNX-OE系のためによりもFaDuのために明白であり、これはこの異種移植系における高いED-B発現に関係し、そして生物分布実験において観察されるように、L19-SIPの付随する高い腫瘍摂取に関係した(図2及び3)。FaDu担持のヌードマウスの74MBqの131I-L19-SIPによる処理は、すべての腫瘍のサイズ低下を引起したが、ところが26日目、腫瘍はそれらの初期体積に再増殖した。このヒトHNSCC異種移植系における抗腫瘍効果は、マウス胚性奇形癌F9異種移植体(8)についてこれまで観察されたよりもより明白であった。
【0141】
L19-SIPはF9モデルにおいて非常に高い腫瘍摂取を示し、そして腫瘍摂取値はFaDuについて観察される値のほとんど2倍高いが(すなわち、3,6,24及び48時p.i.で17.5, 16.7, 15.3及び12.0%ID/g)、腫瘍増殖はわずか10日、遅延された。ネズミF9奇形癌は攻撃的な腫瘍(約48時間で2倍になる)であるので、131I-L19-SIPの能力はそれらのこれまでのRIT研究においては過小評価されている。RIT用量分別又は反復された注入の適用、又は化学療法との組合せのように、RIT(131I-L19-SIP)の効能を最適化するためには、いくつかの選択が調べられ得る(DeNardo GL, Schlom J, Buchsbaum DJ, など. Rationales, evidence, and design considerations for fractionated radioimmunotherapy. Cancer 2002;94: 1332-48; Blumenthal RD, Alisauskas R, Juweid M, Sharkey RM, Goldenberg DM. Defining the optimal spacing between repeat radioantibody doses in experimental models. Cancer 1997;80:2624-35; DeNardo SJ, Kukis DL, Kroger LA, など. Synergy of taxol and radioimmunotherapy with yttrium-90-labeled chimeric L6 antibody: efficacy and toxicity in breast cancer xenografts. Proc Natl Acad Sci USA 1997;94:4000-4)。
【0142】
他方では、RIT(131I-L19-SIP)は、複数の経路の同時標的化を可能にする組合せ処理に使用され得る。HNSCCにおいては、脈管形成は、腫瘍進行及び悪い結果に連結されており、そしてそれは、抗−EGFR剤に対する耐性機構を表す(Caponigro F, Formato R, Caraglia M, Normanno N, Iaffaioli RV. Monoclonal antibodies targeting epidermal growth factor receptor and vascular endothelial growth factor with focus on head and neck tumors. Curr Opin Oncol 2005;17:212-7; Van Cruijsen H, Giaccone G, Hoekman K. Epidermal growth factor receptor and angiogenesis: Opportunities for combined anticancer strategies. Int J Cancer 2005;117:883-8)。これに関して、131I-L19-SIPをセツキシマブ処理と共に組合すことは興味の対象であった。
【0143】
セツキシマブは、このMAbが局部的に進行した手術不能なHNSCCにおける第III 期研究における放射線療法と組合して、改良された運動局部制御及び生存性を示したので、論理的な抗−EGFR候補体であった(Bonner JA, Giralt J, Harari P, など. Cetuximab prolongs survival in patients with locally advanced squamous cell carcinoma of head and neck: a phase III study of high dose radiation therapy with or without cetuximab. J Clin Oncol, ASCO Annual meeting Proceedings (Post Meeting Edition) 2004;22(No 14S), Abstr 5507)。
【0144】
我々の結果は、RIT(131I-L19-SIP)がセツキシマブ処理と組合わされる場合、増強された効能を示した。FaDu異種移植系はRITに対して比較的感受性であり、そしてHNX-OE異種移植系はセツキシマブに対して感受性であるが、最良の増殖遅延、生存性及び治療速度は、処理様式が組合わされる場合、両系に関して観察された。抗−EGFR処理による放射線応答の改良がまた、HNSCC担持のヌードマウスにおける前のRIT研究において(Van Gog FB, Brakenhoff RH, Stigter-Van Walsum M, Snow GB, Van Dongen GAMS. Perspectives of combined radioimmunotherapy and anti-EGFR antibody therapy for the treatment of residual head and neck cancer. Int J Cancer 1998;77:13-8)、及び頭及び首の癌の外部線照射に基づく臨床研究において(Harari PM. Promising new advances in head and neck radiotherapy. Ann Oncol 2005;16:vil3-vil9)、観察された。
【0145】
RITと組合して研究される他の剤、例えば細胞増殖抑制薬物に比較して、抗−EGFR MAbとの組合せについての追加の利点は、抗−EGFR MAbの低い毒性である。現在の研究においては、RITとセツキシマブ処理との組合せは、高められた毒性をもたらさなかった。また患者においては、主に骨髄毒性であるRIT−誘発された用量制限毒性の上昇は、EGFRの発現が骨髄において不在である事実の観点から、予測されない。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、注入の後、3,6,24, 48, 72及び144時間でのFaDu異種移植体担持のヌードマウスにおける静脈内同時注入される125I-L19-SIP(A)及び177Lu-L19-SIP(B)の生物分布を示す。
【図2】図2は、注入の後、24, 48及び72時間でのFaDu異種移植体担持のヌードマウスにおける静脈内注入された131I-L19-SIPの生物分布を示す。
【図3】図3は、注入の後、24, 48及び72時間でのHNX-OE異種移植体担持のヌードマウスにおける静脈内注入された131I-L19-SIPの生物分布を示す。
【0147】
【図4】図4は、希釈剤又は上昇する用量の131I-L19-SIPにより腹膜内注入されたFaDu異種移植体担持のヌードマウスの平均体重を示す。値は5匹のマウスの平均である。標準偏差は省略されているが、しかし5%以下であった。
【図5】図5は、0日目で131I-L19-SIP(RIT)及び/又はセツキシマブ(1mgが1週当たり2度、4週間、i.p.投与される)により腹膜内注入された後のFaDu異種移植体担持のヌードマウスの平均腫瘍体積(A)及び生存率(B)を示す。標準偏差は明確なために省略された。
【0148】
【図6】図6は、131I-L19-SIP(RIT)及び/又はセツキシマブ(1mgが1週当たり2度、4週間、i.p.投与される)により腹膜内注入されたHNX-OE異種移植体担持のヌードマウスの平均腫瘍体積(A)及び生存率(B)を示す。標準偏差は明確なために省略された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(i)融合タンパク質、及び(ii)抗-EGFR-抗体を含んで成る組合せであって、
前記モノマー形での融合タンパク質が、ED−B−フィブロネクチンドメインを特異的に認識する抗体部分、及び
εs2−CH4ドメイン部分を含んで成ることを特徴とする組合せ。
【請求項2】
前記モノマー形での融合タンパク質が、N−末端抗体部分、及びC−末端εs2−CH4部分を有するか、又は
前記モノマー形での融合タンパク質が、N−末端εs2−CH4部分及びC−末端抗体部分を有する請求項1記載の組合せ。
【請求項3】
前記融合タンパク質が、ダイマー形で存在する請求項1又は2記載の組合せ。
【請求項4】
前記抗体部分が、ナノモル以下の親和性を伴って、ED−B腫瘍胎児性フィブロネクチンドメインに対して特異的に結合する請求項1〜3のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項5】
前記抗体部分が、L19抗体の少なくとも1つのCDR配列を含む請求項1〜4のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項6】
前記抗体部分が、配列番号6〜11の配列を含んで成る請求項1〜5のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項7】
前記抗体部分が、配列番号01の少なくとも1つのVH鎖、又は配列番号02の少なくとも1つのVL鎖を含んで成る請求項1〜6のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項8】
前記抗体部分が、配列番号01の1つのVH鎖、又は配列番号02の1つのVL鎖を含んで成る請求項1〜7のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項9】
前記H及びL鎖が、抗体リンカーにより連結される請求項1〜5のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項10】
前記抗体リンカーが、配列番号03の配列、又は配列番号03の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含んで成る請求項1〜9のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項11】
前記εs2−CH4ドメイン部分が、ヒトである請求項1〜10のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項12】
前記εs2−CH4ドメイン部分が、配列番号04の配列を含んで成る請求項1〜11のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項13】
融合タンパク質リンカーが、前記抗体部分及びεs2−CH4ドメイン部分を連結している請求項1〜12のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項14】
前記融合タンパク質リンカーが、1〜6個の長さのアミノ酸を有する請求項1〜13のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項15】
前記融合タンパク質リンカーが、配列番号05の配列を含んで成る請求項1〜14のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項16】
抗−EGFR−抗体が、セツキシマブ(Cetuximab)である請求項1〜15のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項17】
前記抗−ED−Bフィブロネクチンドメイン抗体が、放射性同位体に接合される請求項1〜16のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項18】
前記放射性同位体が、I, Tc, Re, In, Y, Lu又はI、又はそれらの混合物が選択される請求項17記載の組合せ。
【請求項19】
前記放射性同位体が、123I、124I125I、131I、99mTc、186Re、188Re、203Pb、67Ga、 68Ga、 43Sc、47Sc、110mIn、111In、97Ru、62Cu、64Cu、67Cu、68Cu、86Y、90Y 、88Y、121Sn、153Sm、166Ho、105Rh、, 177Lu、172Lu、211At及び/ 又は18F、又はそれらの混合物から選択される請求項18記載の組合せ。
【請求項20】
前記放射性同位体が131Iから選択される請求項19記載の組合せ。
【請求項21】
131I−ラベルされた融合タンパク質が使用され、そして前記そのモノマ−形での融合タンパク質がL19のVlドメイン、L19のVhドメイン及びεs2−CH4ドメインを含む請求項20記載の組合せ。
【請求項22】
前記融合タンパク質が、131IラベルされたL19−SIPである請求項21記載の組合せ。
【請求項23】
前記組合せが、131IラベルされたL19−SIP及び抗−EGFR−抗体を含んで成る請求項22記載の組合せ。
【請求項24】
薬剤として使用するための請求項1〜23のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項25】
癌の処理のための薬剤として使用するための請求項1〜24のいずれか1項記載の組合せ。
【請求項26】
前記癌が、頭及び首癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌及び/又は乳癌から選択される請求項25記載の組合せ。
【請求項27】
前記癌が、膵臓癌である請求項26記載の組合せ。
【請求項28】
請求項1〜23のいずれか1項記載の組合せの投与を包含する、そのような処理の必要な患者における癌の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−535372(P2009−535372A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508237(P2009−508237)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004026
【国際公開番号】WO2007/128557
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【出願人】(508326448)
【Fターム(参考)】