説明

抗GITR抗体

ヒトGITRに対する抗体、ならびにその用途、例えば、増殖性および免疫障害の治療におけるその用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、グルココルチコイド誘導性TNF受容体(GITR)に特異的な抗体およびその用途に関する。より詳しくは、本発明は、ヒトGITRを認識しその活性(特に免疫および増殖性障害におけるもの)をモジュレーションするヒト化抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)はTNFRスーパーファミリーのメンバーであり、先天および適応免疫系の多数の成分において発現される(例えば、Hanabuchiら,(2006)Blood 107:3617−3623;ならびにNocentiniおよびRiccardi(2005)Eur.J.Immunol.2005.35:1016−1022を参照されたい)。その膜発現はT細胞活性化後に上昇し(Hanabuchi,前掲;ならびにNocentiniおよびRiccardi,前掲)、その誘発はエエフェクターTリンパ球を共活性化し、調節性T細胞(Treg)活性をモジュレーションする(例えば、McHughら,(2002)Immunity 2002.16:311−323;Shimizuら,(2002)Nat.Immunol.3:135−142;Ronchettiら,(2004)Eur.J.Immunol.34:613−622;およびToneら,(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:15059−15064を参照されたい)。
【0003】
GITRはGITRリガンド(GITRL)により活性化され、これは主にAPC上で発現され、その生化学的シグナリングを明らかにするためには更なる研究が必要であるが該リガンドはその細胞質ドメインによりシグナルを伝達すると示唆されている(Nocentini,前掲;Ronchetti,前掲;Suvasら,(2005)J.Virol.79:11935−11942;およびShinら,(2002)Cytokine 19:187−192)。
【0004】
GITRの活性化は腫瘍およびウイルス感染に対する抵抗性を増強し、自己免疫/炎症過程に関与し、白血球血管外遊出を調節する(Nocentini,前傾;Cuzzocreaら,(2004)J.Leukoc.Biol.76:933−940;Shevachら,(2006)Nat.Rev.Immunol.6:613−618;Cuzzocreaら,(2006)J.Immunol.177:631−641;およびCuzzocreaら,(2007)FASEB J.21:117−129)。
【0005】
GITR活性をモジュレーションする物質の使用による免疫および増殖性障害(例えば、腫瘍および癌)の治療のための改良された方法および組成物が必要とされている。好ましくは、そのようなアゴニストは標的分子に対する高いアフィニティーを有し、相対的に低い用量でGITRシグナリングを刺激しうるであろう。好ましくは、そのような方法および組成物はGITRに対して高度に特異的であり、他の受容体の活性を妨げないであろう。好ましくは、そのような方法および組成物は、細胞を標的化するための細胞毒性担持物質の運搬のための修飾に適しており非細胞毒性用途にも適しているアゴニストを使用するものであろう。好ましくは、そのような方法および組成物は、それを要する対象に投与された場合の抗原性を抑制するように修飾された抗体を使用するものであろう。
【発明の概要】
【0006】
発明の概括
本発明は、GITRのアゴニスト、例えば、ヒト化抗GITR抗体を提供することにより、当技術分野におけるこれらの要求を満たして余りあるものである。
【0007】
1つの態様においては、本発明は、配列番号56〜88からなる群から選択される少なくとも1以上のCDRを有する抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性フラグメントと、配列番号23〜55からなる群から選択される少なくとも1以上のCDRを有する重鎖可変ドメインとを含む結合性化合物、例えば、ヒトGITRに結合する抗体またはそのフラグメント(ヒト化またはキメラ組換え抗体を含む)を提供する。
【0008】
他の実施形態においては、本発明の結合性化合物は、直前の2つの段落に記載されている軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインまたはそれらの抗原結合性フラグメントを含む。
【0009】
いくつかの実施形態においては、該結合性化合物はフレームワーク領域を含み、該フレームワーク領域のアミノ酸配列はヒト免疫グロブリンアミノ酸配列の全て又は実質的に全てである。
【0010】
いくつかの実施形態においては、該軽鎖可変ドメインは、配列番号12〜22からなる群から選択される配列またはその変異体を含む。いくつかの実施形態においては、該重鎖可変ドメインは、配列番号1〜11からなる群から選択される配列を含む。さらにもう1つの実施形態においては、該結合性化合物は、この段落に記載されている軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインまたはそれらの抗原結合性フラグメントを含む。
【0011】
他の実施形態においては、本発明の結合性化合物は、配列番号91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111からなる群から選択される配列から実質的になる軽鎖可変ドメインもしくはその抗原結合性フラグメント、および/または配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110からなる群から選択される配列から実質的になる重鎖可変ドメインもしくはその抗原結合性フラグメントを含む。
【0012】
1つの実施形態においては、本発明は、交差遮断アッセイにおいてヒトGITRへの本発明の結合性化合物の結合を遮断しうる抗体に関する。種々の実施形態においては、該抗体は、本明細書に開示されている抗体36E5、3D6、61G6、6H6、61F6、1D8、17F10、35D8、49A1、9E5または31H6のCDR配列を含む抗体へのヒトGITRの結合を遮断しうる。もう1つの実施形態においては、本発明は、GITR媒介活性を遮断しうる結合性化合物に関する。そのような活性には、限定的なものではないがナイーブCD4+ T細胞増殖アッセイの同時刺激が含まれる。
【0013】
いくつかの実施形態においては、本発明の結合性化合物は更に、重鎖定常領域を含み、ここで、該重鎖定常領域はγ1、γ2、γ3またはγ4ヒト重鎖定常領域またはその変異体を含む。種々の実施形態においては、該軽鎖定常領域はラムダまたはカッパヒト軽鎖定常領域を含む。
【0014】
種々の実施形態においては、本発明の結合性化合物はポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体またはそれらのフラグメントである。本発明はまた、該抗原結合性フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)およびジアボディからなる群から選択される抗体フラグメントであることを想定している。
【0015】
本発明は、ヒト対象における免疫応答を増強する方法であって、それを要する対象に、GITRシグナリングを刺激するのに有効な量の、GITRに特異的な抗体(またはその抗原結合性フラグメント)を投与することを含む方法を含む。いくつかの実施形態においては、GITRに特異的な抗体はヒト化またはキメラ抗体である。更に詳細な実施形態においては、該免疫応答は抗感染または抗ウイルス応答である。ある実施形態においては、該GITR抗体またはその抗原結合性フラグメントはTGFβ抗体または局所放射線と共に共投与される。
【0016】
本発明は、本発明の結合性化合物の抗体実施形態のポリペプチド配列をコードする単離された核酸を含む。該核酸は発現ベクター内に存在することが可能であり、該発現ベクターは、該ベクターでトランスフェクトされる宿主細胞により認識される制御配列に機能的に連結されている。また、該ベクターを含む宿主細胞、該核酸配列が発現される条件下で該宿主細胞を培養し、それにより該ポリペプチドを得、該宿主細胞または培地から該ポリペプチドを回収することを含む、ポリペプチドの製造方法も含まれる。
【0017】
本発明は、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該ハイブリドーマは、PTA−9889、PTA−9890、PTA−9891、PTA−9892、PTA−9893、PTA−10286、PTA−10287、PTA−10288、PTA−10289、PTA−10290およびPTA−10291からなる群から選択される。
【0018】
本発明は、ヒトGITRタンパク質に結合する抗体または抗原結合性フラグメントを含み、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ヒトGITRタンパク質(配列番号89)のモジュール3およびモジュール4にわたるエピトープを認識する。ある実施形態においては、該エピトープはGly57、Arg65、His67、Lys80、Phe81、Ser82およびGln86を含む。更に他の実施形態においては、該抗体は、PTA−9889、PTA−9890、PTA−9891、PTA−9892、PTA−9893、PTA−10286、PTA−10287、PTA−10288、PTA−10289、PTA−10290およびPTA−10291からなる群から選択されるハイブリドーマにより産生される抗体または抗体フラグメントの少なくとも1つを交差遮断する。
【0019】
詳細な説明
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形の語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、それらの対応する複数形を含む。後記表5は、本出願で使用される配列識別名の一覧を示す。本明細書中に引用されている全ての参考文献を、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されているのと同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書における参考文献の引用は、前記のいずれもが関連先行技術であると自認するものではなく、また、それは、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもない。
【0020】
I.定義
「GITR」、「グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質」、「活性化誘導可能TNFRファミリー受容体」、「AITR」、「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18」および「TNFSF18」は当技術分野でよく知られている。ヒトおよびマウスGITRヌクレオチドおよびポリペプチド配列はWO 98/06842に開示されている。ヒトGITRアミノ配列(Q9Y5U5)ならびにマウスGITR核酸およびアミノ酸配列(AF 109216)のGenBank(登録商標)寄託物も入手可能である。
【0021】
「増殖活性」は、例えば正常細胞分裂ならびに癌、腫瘍、異形成、細胞トランスフォーメーション、転移および血管新生を促進する、またはそれらに必要な、またはそれらに特異的に関連づけられる活性を含む。
【0022】
「投与」および「治療(処理)」は、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合には、該動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体との外因性医薬、治療用物質、診断剤または組成物の接触を意味する。「投与」および「治療(処理)」は、例えば、治療方法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法および実験方法を意味しうる。細胞の処理は、該細胞との試薬の接触、および該細胞に接触している流体との試薬の接触を含む。「投与」および「処理(治療)」は、試薬、診断剤、結合性組成物または別の細胞による、例えば細胞の、インビトロおよびエクスビボ(ex vivo)処理をも意味する。「治療(処理)」は、それがヒト、獣医学的対象または研究対象に適用される場合には、治療的処理、予防的または防御的手段、研究および診断適用を意味する。「治療(処理)」は、それがヒト、獣医学的もしくは研究対象または細胞、組織もしくは器官に適用される場合には、動物対象、細胞、組織、生理学的区画または生理的流体との治療(処理)用物質の接触を含む。「細胞の処理」は、該物質がGITRと接触する場合(例えば、流体相またはコロイド相におけるもの)、および該アゴニストまたはアンタゴニストが該細胞または該受容体と接触しない場合をも含む。
【0023】
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、所望の生物活性を示す任意の形態の抗体を意味しうる。したがって、それは最も広義に用いられ、所望の生物活性を示す限り、特にモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体などを含む。
【0024】
本明細書中で用いる「GITR結合性フラグメント」、「その結合性フラグメント」または「その抗原結合性フラグメント」なる語は、本明細書中で「GITR誘導活性」と称されるGITRシグナリングを誘導する対応生物活性を尚も実質的に保有する、抗体のフラグメントまたは誘導体を含む。「抗体フラグメント」またはGITR結合性フラグメントなる語は、完全長抗体の一部分、一般に、その抗原結合性または可変領域を意味する。抗体フラグメントの具体例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント;ジアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子、例えばsc−Fv;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。典型的には、結合性フラグメントまたは誘導体はそのGITRアゴニスト活性の少なくとも10%を保有する。所望の生物学的効果を発揮するのに十分なアフィニティを有するいずれの結合性フラグメントも有用であるが、好ましくは、結合性フラグメントまたは誘導体はそのGITRアゴニスト活性の少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%(またはそれ以上)を保有する。GITR結合性フラグメントは、その生物活性を実質的に改変しない保存的アミノ酸置換を有する変異体を含みうることも意図される。
【0025】
本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」なる語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる可能な天然に生じる突然変異以外は同一である。モノクローナル抗体は単一の抗原エピトープに対して高度に特異的である。これとは対照的に、通常の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、種々のエピトープに対する(または特異的な)多数の抗体を含む。「モノクローナル」なる修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られたという、抗体の特性を示し、いずれかの特定の方法による該抗体の産生を要すると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495に最初に記載されたハイブリドーマ法により製造されることが可能であり、あるいは組換えDNA法により製造されることが可能である(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」は、例えばClacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている技術を用いるファージ抗体ライブラリーからも単離されうる。
【0026】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、所望の生物活性を示す限り、特に、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来する又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同である一方で、該鎖の残部が、別の種に由来する又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにそのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。
【0027】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントである。幾つかの場合には、2以上のV領域がペプチドリンカーと共有結合して2価ドメイン抗体を形成している。2価ドメイン抗体の、2つのV領域は、同じ又は異なる抗原を標的としうる。
【0028】
「2価抗体」は2つの抗原結合部位を含む。幾つかの場合には、それらの2つの結合部位は同じ抗原特異性を有する。しかし、2価抗体は二重特異性である(後記を参照されたい)。
【0029】
本明細書中で用いる「一本鎖Fv」または「scFv」抗体は、抗体のVおよびVドメインを含む抗体フラグメントを意味し、ここで、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖内に存在する。一般に、Fvポリペプチドは更に、該scFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする、VおよびVドメイン間のポリペプチドリンカーを含む。scFvの概説としては、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore編,Springer−Verlag,New York,pp.269−315を参照されたい。
【0030】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、ラクダ化単一ドメイン抗体も含まれる。例えば、Muyldermansら(2001)Trends Biochem.Sci.26:230;Reichmannら(1999)J.Immunol.Methods 231:25;WO 94/04678;WO 94/25591;米国特許第6,005,079号)を参照されたい。1つの実施形態においては、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような修飾を伴う2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0031】
本明細書中で用いる「ジアボディ」なる語は、2つの抗原結合部位を有する小型抗体フラグメントを意味し、該フラグメントは、同一ポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含む(V−VまたはV−V)。同一鎖上の2つのドメイン間のペア形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、それらのドメインは別の鎖の相補的ドメインとのペア形成を強要され、2つの抗原結合部位を形成する。ジアボディは、例えばEP 404,097、WO 93/11161およびHolligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448に更に詳しく記載されている。操作された抗体変異体の概説としては、全般的には、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biotechnol,23:1126−1136を参照されたい。
【0032】
本明細書中で用いる「ヒト化抗体」なる語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体およびヒト抗体からの配列を含有する抗体の形態を意味する。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する。一般に、該ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部分を含む。接頭辞「hum」、「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親げっ歯類抗体から区別するために、必要に応じて、抗体クローンの名称に付加される。アフィニティーを増加させるため、またはヒト化抗体の安定性を増強するため、または他の理由により、あるアミノ酸置換が含まれうるが、げっ歯類抗体のヒト化形態は、一般に、該親げっ歯類抗体の同一CDR配列を含む。
【0033】
本発明の抗体には、エフェクター機能の改変をもたらすために修飾された(または遮蔽された)Fc領域を有する抗体も含まれる。例えば、米国特許第5,624,821号、WO 2003/086310、WO 2005/120571、WO 2006/0057702、Presta(2006)Adv.Drug Delivery Rev.58:640−656を参照されたい。そのような修飾は、診断および療法における可能な有益な効果を伴って免疫系の種々の反応を増強または抑制するために用いられうる。Fc領域の改変には、アミノ酸変化(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化および複数のFcの付加が含まれる。該Fcに対する改変は治療用抗体における抗体の半減期をも変化させうる。より長い半減期はより低頻度の投与につながり、それに伴い、簡便さの向上および物質の使用量の減少をもたらすであろう。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731(734−35)を参照されたい。
【0034】
本発明の抗体には、完全エフェクター機能をもたらす無傷Fc領域を有する抗体、例えば、イソタイプIgG1の抗体も含まれ、これは標的細胞において補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導する。
【0035】
本発明の抗体には、細胞傷害性を有する積荷(payload)、例えば細胞傷害性物質または放射性核種にコンジュゲート化(結合)された抗体も含まれる。そのような抗体コンジュゲートは、ある抗原を表面上で発現する細胞を選択的に標的化し殺すために抗GITR治療と共に使用されうる。典型的な細胞傷害性物質には、リシン、ビンカアルカロイド、メトトレキセート、シュードモナス(Psuedomonas)外毒素、サポニン、ジフテリア毒素、シスプラチン、ドキソルブシン、アブリン毒素、ゲロニンおよび洋種ヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質が含まれる。本発明の抗体と共に免疫療法において使用される典型的な放射性核種には、125I、131I、90Y、67Cu、211At、177Lu、143Prおよび213Biが含まれる。例えば、米国特許出願公開第2006/0014225号を参照されたい。
【0036】
「完全ヒト抗体」なる語は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を意味する。完全ヒト抗体は、マウスにおいて、またはマウス細胞において、またはマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて産生された場合には、マウス炭水化物鎖を含有しうる。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれ、マウスまたはラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を意味する。完全ヒト抗体は、ヒトにおいて、またはヒト免疫グロブリン生殖系列配列を有するトランスジェニック動物において、またはファージディスプレイもしくは他の分子生物学的方法により産生されうる。
【0037】
本明細書中で用いる「超可変領域」なる語は、抗原結合をもたらす、抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」、すなわち「CDR」からのアミノ酸残基、例えば、軽鎖可変ドメイン内の残基24−34(CDRL1)、50−56(CDRL2)および89−97(CDRL3)ならびに重鎖可変ドメイン内の残基31−35(CDRH1)、50−65(CDRH2)および95−102(CDRH3)(Kabatら,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)、ならびに/または「超可変ループ」からの残基、例えば、軽鎖可変ドメイン内の残基26−32(L1)、50−52(L2)および91−96(L3)ならびに重鎖可変ドメイン内の26−32(H1)、53−55(H2)および96−101(H3)(ChothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)を含む。本明細書中で用いる「フレームワーク」または「FR」残基なる語は、本明細書中でCDR残基として定められた超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を意味する。前記の残基番号づけはKabat番号づけ体系に合致し、添付の配列表における配列番号づけに必ずしも厳密に対応しているわけではない。
【0038】
「結合性化合物」は、標的に結合しうる分子、小分子、巨大分子、ポリペプチド、抗体またはそのフラグメントもしくは類似体あるいは可溶性受容体を意味する。「結合性化合物」は、標的に結合しうる、分子の複合体、例えば非共有結合性複合体、イオン化分子、および共有結合または非共有結合により修飾された分子、例えばリン酸化、アシル化、架橋、環化または限定的な切断により修飾された分子をも意味する。抗体に関して用いる場合の「結合性化合物」は抗体およびその抗原結合性フラグメントの両方を意味する。「結合」は該結合性化合物と標的との会合を意味し、ここで、該結合性化合物が溶液中に溶解または懸濁されうる場合には、該会合は該結合性化合物の正常なブラウン運動における軽減をもたらす。「結合性組成物」は、安定剤、賦形剤、塩、バッファー、溶媒または添加剤と組合された、標的に結合しうる分子、例えば結合性化合物を意味する。
【0039】
「保存的修飾変異体」または「保存的置換」は、当業者に公知のアミノ酸置換を意味し、生じる分子の生物活性を改変することなく該ポリペプチドの必須領域においてさえもしばしば施されうる。そのような典型的な置換は、好ましくは、以下のとおりに表1に記載されているものに従い施される。
【0040】
【表1】

一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸の置換は生物活性を実質的に改変し得ない、と当業者に認識されている。例えば、Watsonら,(1987)Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Edition)を参照されたい。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって用いる「からなる」なる語またはその変形、例えば「から実質的になる」もしくは「から実質的になり」は、任意の列挙されている要素または要素群の包含、および特定されている投与計画、方法または組成物の基本的または新規特性を実質的に変化させない、列挙されている要素と類似した又は異なる性質の他の要素の随意的包含を示す。非限定的な例としては、列挙されているアミノ酸配列から実質的になる結合性化合物は、該結合性化合物の特性に実質的に影響を及ぼさない、1以上のアミノ酸残基の置換を含む、1以上のアミノ酸をも含みうる。
【0042】
「有効量」は、医学的状態の症状または徴候を改善または予防するのに十分な量を含む。有効量はまた、診断を可能または容易にするのに十分な量を意味する。個々の患者または獣医学的対象に対する有効量は、例えば治療されている状態、患者の全体的な健康状態、投与の方法、経路および用量ならびに副作用の重症度のような要因に応じて変動しうる。例えば、米国特許第5,888,530号を参照されたい。有効量は、有意な副作用または毒性作用を回避する最大の用量または投与プロトコールでありうる。該効果は、少なくとも5%、普通は少なくとも10%、より普通には少なくとも20%、最も普通には少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%、理想的には少なくとも70%、より理想的には少なくとも80%、最も理想的には少なくとも90%(ここで、100%は、正常対象により示される診断パラメーターと定義される)の、診断尺度またはパラメーターの改善をもたらすであろう。例えば、Maynardら,(1996)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,FL;Dent(2001)Good Laboratory and Good Clinical Practice,Urch Publ.,London,UKを参照されたい。
【0043】
「免疫状態」または「免疫障害」は、例えば病的炎症、炎症障害および自己免疫障害または疾患を含む。「免疫状態」は、感染、持続的感染および増殖性状態、例えば癌、腫瘍および血管新生をも意味し、免疫系による照射に対する抵抗性を示す感染、腫瘍および癌をも含む。「癌状態」は、例えば、癌、癌細胞、腫瘍、血管新生および前癌状態、例えば過形成を含む。
【0044】
免疫障害なる語は、哺乳動物の免疫系の成分が該哺乳動物における罹患状態を引き起こす、媒介する又は寄与する疾患を意味する。また、免疫応答の刺激または介入が疾患の進行に対する改善効果をもたらす疾患も含まれる。この語には、自己免疫疾患、免疫媒介性炎症疾患、非免疫媒介性炎症疾患、感染症および免疫不全疾患が含まれる。本発明により治療されうる免疫関連および炎症疾患の具体例(それらのうちの幾つかは免疫またはT細胞媒介性である)には以下のものが含まれる:全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症性ミオパシー(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性脈管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血(免疫汎血球減少症、発作性夜間血色素尿症)、自己免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病、免疫媒介性血小板減少症)、甲状腺炎(グレーブス病、橋本甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、糖尿病、免疫媒介性腎疾患(糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎)、中枢および末梢神経系の脱髄疾患、例えば多発性硬化症、特発性脱髄性多発神経障害またはギラン・バレー症候群および慢性炎症性脱髄性多発神経障害、肝胆汁性疾患、例えば感染性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型肝炎および他の非肝親和性ウイルス)、自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎および硬化性胆管炎、炎症性および線維性肺疾患、例えば炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎:クローン病)、グルテン感受性腸疾患およびウィップル病、自己免疫または免疫媒介性皮膚疾患、例えば水疱性皮膚疾患、多形性紅斑と接触性皮膚炎、乾癬、アレルギー疾患、例えば喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーおよび蕁麻疹、肺の免疫疾患、例えば好酸球性肺炎、特発性肺線維症および過敏性肺炎、移植関連疾患、例えば移植片拒絶および移植片対宿主疾患。感染症には、エイズ(AIDS)(HIV感染)、A型、B型、C型、D型およびE型肝炎、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症ならびに寄生虫感染症が含まれる。
【0045】
「癌」、「腫瘍」、「癌性」および「悪性」なる語は、制御されない細胞増殖により典型的に特徴づけられる哺乳動物における生理学的状態を意味し又は示す。癌の例には、癌腫、例えば腺癌、リンパ腫、芽細胞腫、メラノーマ、肉腫および白血病が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような癌のより詳細な例には以下のものが含まれる:扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、膵癌、神経膠芽腫、神経膠腫、子宮癌、卵巣癌、肝臓癌、例えば肝癌およびヘパトーマ、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、唾液腺癌、腎癌、例えば腎細胞癌およびウィルムス腫瘍、基底細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、精巣癌、食道癌、ならびに種々のタイプの頭頸部癌。
【0046】
癌細胞が成長し増殖するにつれて、それらは癌組織の塊、すなわち腫瘍を形成し、それは正常隣接組織に浸潤し、該組織を破壊する。悪性腫瘍は癌である。悪性腫瘍は、通常、除去されうるが、それは再び成長しうる。悪性腫瘍からの細胞は近傍組織および器官に浸潤し、それらを損傷しうる。また、癌細胞は悪性腫瘍から離れ、血流またはリンパ系に進入し、このようにして、癌細胞は原発腫瘍(すなわち、元の癌)から広がって、他の器官において新たな腫瘍を形成する。体内の癌の広がりは転移と称される(What You Need to Know About Cancer−an Overview,NIH Publication No.00−1566;2000年9月26日付け発行,2002年9月16日付け改訂(2002))。
【0047】
本明細書中で用いる「充実性腫瘍」なる語は、嚢胞または液体領域を通常は含有しない、組織の異常成長または塊を意味する。充実性腫瘍は良性(非癌性)または悪性(癌性)でありうる。種々のタイプの充実性腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプにちなんで命名されている。充実性腫瘍の例としては、肉腫、癌腫およびリンパ腫が挙げられる。白血病(血液の癌)は、一般に、充実性腫瘍を形成しない(National Cancer Institute,Dictionary of Cancer Terms)。
【0048】
本明細書中で用いる「原発癌」なる語は元の腫瘍または最初の腫瘍を意味する。癌は身体のいずれかの器官または組織において生じうる。それは通常、それが由来する身体部分または細胞のタイプにちなんで命名される(Metastatic Cancer:Questions and Answers,Cancer Facts 6.20,National Cancer Institute,2004年9月1日付けの総説(2004))。
【0049】
本明細書中で用いる「in situ(原位置)癌腫」なる語は、それが成長し始めた組織内に尚も含有されており未だ浸潤性になっておらず身体の他の部分に広がっていない癌細胞を意味する。
【0050】
本明細書中で用いる「癌腫」は、身体の表面を覆いホルモンを産生し腺を形成する細胞である上皮細胞の癌を意味する。癌腫の例としては、皮膚、肺、結腸、胃、乳房、前立腺および甲状腺の癌が挙げられる。
【0051】
本明細書中で用いる「単離された核酸分子」なる語は、該抗体核酸の天然源において通常付随している少なくとも1つの混入核酸分子から分離されており特定されている核酸分子を意味する。単離された核酸分子は、それが天然で見出される形態または状況以外のものである。したがって、単離された核酸分子は、天然細胞内に存在する核酸分子とは区別される。しかし、単離された核酸分子には、該抗体を通常発現する細胞内に含有される核酸分子が含まれ、例えば、該核酸分子は、天然細胞の場合とは異なる染色体位置に存在する。
【0052】
「制御配列」なる表現は、特定の宿主生物における、機能的に連結されたコード配列の発現に関与するDNA配列を意味する。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、場合によってはオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを用いることが公知である。
【0053】
核酸が「機能的に連結」されていると言えるのは、それが別の核酸配列に対して機能的な関係で配置されている場合である。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAがポリペプチドのDNAに機能的に連結されていると言えるのは、それが、該ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合であり、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが該配列の転写に影響を及ぼす場合であり、あるいはリボソーム結合部位がコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、翻訳を促進するようにそれが位置している場合である。一般に、「機能的に連結(されている)」は、連結されているそれらのDNA配列が連続的であり、分泌リーダー配列の場合には、連続的であり、かつ、リーディングフレームが一致していることを意味する。しかし、エンハンサーは連続的でなくてもよい。連結は簡便な制限部位における連結を伴う。そのような部位が存在しない場合には、通常の慣例に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが使用される。
【0054】
本明細書中で用いる「細胞」、「細胞系」および「細胞培養」なる表現は互換的に用いられ、全てのそのような語は後代を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転換細胞」なる語は、導入の数には無関係に、初代対象細胞、およびそれに由来する培養を含む。また、意図的な又は故意でない突然変異のため、全ての後代はDNA含量において厳密には同一でないこともあると理解される。元の形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物活性を有する突然変異体後代も含まれる。異なる名称が意図される場合、それは文脈から明らかであろう。
【0055】
本明細書中で用いる「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、例えば米国特許第4,683,195号に記載されているとおり、核酸、RNAおよび/またはDNAの少量の特異的断片を増幅する方法または技術を意味する。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計されうるように、関心領域の末端またはその向こうからの配列情報が入手可能である必要があり、これらのプライマーは、増幅すべき鋳型の逆鎖と配列において同一または類似であろう。それらの2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅される物質の末端と一致しうる。PCRは、特異的RNA配列、全ゲノムDNAからの特異的DNA配列、および全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列などを増幅するために用いられうる。全般的には、Mullisら,(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263;Erlich編,(1989)PCR TECHNOLOGY(Stockton Press,N.Y.)を参照されたい。本明細書中で用いるPCRは、プライマーとしての既知核酸と核酸の特異的断片を増幅し又は生成させるための核酸ポリメラーゼとの使用を含む、核酸試験サンプルを増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一例(しかし唯一の例ではない)とみなされる。
【0056】
本明細書中で用いる「生殖系列配列」は、げっ歯類(例えば、マウス)およびヒト生殖系列配列を含む、未再構成免疫グロブリンDNA配列の配列を意味する。いずれかの適当な未再構成免疫グロブリンDNA源が用いられうる。ヒト生殖系列配列は、例えば、National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases of the United States National Institutes of Healthのウェブサイト上でJOINSOLVER(登録商標)生殖系列データベースから得られうる。マウス生殖系列配列は、例えば、Giudicelliら,(2005)Nucleic Acids Res.33:D256−D261に記載されているとおりに得られうる。
【0057】
GITR活性の増強の度合を調べるために、例えば、与えられた例えばタンパク質、遺伝子、細胞または生物を含むサンプルまたはアッセイを潜在的活性化または抑制性物質で処理し、該物質を伴わない対照サンプルと比較する。対照サンプル(すなわち、物質で処理されていないもの)には100%の相対活性値を割り当てる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般には70%、より一般には65%以下、最も一般には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、より一層好ましくは25%以下、最も好ましくは20%未満である場合、抑制が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般には少なくとも120%、より一般には少なくとも140%、より一般には少なくとも160%、頻繁には少なくとも180%、より頻繁には少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常は少なくとも5倍、より通常は少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは40倍を超える場合、活性化が達成される。
【0058】
活性化または抑制におけるエンドポイントは以下のとおりにモニターされうる。例えば細胞、生理的流体、組織、器官および動物またはヒト対象の処理に対する活性化、抑制および応答はエンドポイントによりモニターされうる。該エンドポイントは、例えば炎症、発癌能または細胞脱顆粒もしくは分泌(例えば、サイトカイン、毒性酸素またはプロテアーゼの放出)の指標の、予め決められた量または比率を含みうる。該エンドポイントは、例えば、イオン流量または輸送、細胞遊走、細胞接着、細胞増殖、転移の可能性、細胞分化および表現型変化(例えば、炎症、アポトーシス、トランスフォーメーション、細胞周期または転移に関連する遺伝子の発現における変化)の、予め決められた量を含みうる(例えば、Knight(2000)Ann.Clin.Lab.Sci.30:145−158;HoodおよびCheresh(2002)Nature Rev.Cancer 2:91−100;Timmeら,(2003)Curr.Drug Targets 4:251−261;RobbinsおよびItzkowitz(2002)Med.Clin.North Am.86:1467−1495;GradyおよびMarkowitz(2002)Annu.Rev.Genomics Hum.Genet.3:101−128;Bauerら,(2001)Glia 36:235−243;StanimirovicおよびSatoh(2000)Brain Pathol.10:113−126を参照されたい)。
【0059】
抑制のエンドポイントは、一般に、対照の75%以下、好ましくは、対照の50%以下、より好ましくは、対照の25%以下、最も好ましくは、対照の10%以下である。一般に、活性化のエンドポイントは、対照の少なくとも150%、好ましくは、対照の少なくとも2倍、より好ましくは、対照の少なくとも4倍、最も好ましくは、対照の少なくとも10倍である。
【0060】
「小分子」は、10kDa未満、典型的には2kDa未満、好ましくは1kDa未満の分子量を有する分子と定義される。小分子には、無機分子、有機分子、
無機成分を含有する有機分子、放射性原子を含む分子、合成分子、ペプチド模倣体および抗体模倣体が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療用物質としては、小分子は、大分子より細胞に透過性であり、分解に対する、より低い感受性を有し、免疫応答を惹起する、より低い傾向を有しうる。抗体およびサイトカインのペプチド模倣体のような小分子ならびに小分子毒素が記載されている。例えば、Cassetら(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.307:198−205;Muyldermans(2001)J.Biotechnol.74:277−302;Li(2000)Nat.Biotechnol.18:1251−1256;Apostolopoulosら(2002)Curr.Med.Chem.9:411−420;Monfardiniら(2002)Curr.Pharm.Des.8:2185−2199;Dominguesら(1999)Nat.Struct.Biol.6:652−656;SatoおよびSone(2003)Biochem.J.371:603−608;米国特許第6,326,482号を参照されたい。
【0061】
リガンド/受容体、抗体/抗原、または他の結合ペアに関する「特異的」または「選択的」な結合は、タンパク質および他の生物学的物質の不均一集団内の該タンパク質の存在を決定する結合反応を示す。したがって、示されている条件下、特定されているリガンドは特定の受容体には結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質には有意量で結合しない。本明細書中で用いる抗体が、与えられた配列(この場合はGITR)を含むポリペプチドに特異的に結合すると言えるのは、それが、GITRの配列を含むポリペプチドには結合するが、GITRの配列を欠くタンパク質には結合しない場合である。例えば、GITRを含むポリペプチドに特異的に結合する抗体はGITRのFLAG(登録商標)タグ付き形態には結合しうるが、他のFLAG(登録商標)タグ付きタンパク質には結合しないであろう。
【0062】
想定される方法の抗体、または抗体の抗原結合部位に由来する結合性組成物は、無関係な抗原に対するアフィニティーより少なくとも2倍大きな、好ましくは少なくとも10倍大きな、より好ましくは少なくとも20倍大きな、最も好ましくは少なくとも100倍大きなアフィニティーで、その抗原に結合する。好ましい実施形態においては、該抗体は、例えばスキャッチャード分析による測定で約10 リットル/molより大きなアフィニティーを有する(Munsenら(1980)Analyt.Biochem.107:220−239)。
【0063】
本明細書中で用いる「慢性ウイルス感染」または「持続性ウイルス感染」は、宿主に感染し致死的になることなく長期間(通常は数週間、数ヶ月または数年間)にわたって宿主細胞内で再生しうる、ヒトまたは他の動物のウイルス感染を意味する。慢性感染を引き起こし本発明により治療されうるウイルスとしては、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルスおよび他のヘルペスウイルス、B型およびC型肝炎のウイルス(HBVおよびHCV)ならびに他の肝炎ウイルス、麻疹ウイルス(これらの全ては重要な臨床的疾患を引き起こしうる)、ならびにHIVが挙げられる。持続的感染は、最終的には、疾患(これは、例えばC型肝炎ウイルスの場合には、患者にとって致死的である肝臓癌でありうる)の誘発を招きうる。本発明により治療されうる他の慢性ウイルス感染には、エプスタインバーウイルス(EBV)、および腫瘍に関連づけられうるウイルスのような他のウイルス、あるいは動物の場合には、種々の獣医学的ウイルス疾患、例えば、農業において重要である農場動物または家庭内ペットのウイルス疾患が含まれる。
【0064】
「抗ウイルス活性」なる語は、未感染細胞へのウイルス伝染の抑制、ウイルスの複製の抑制、宿主内でのウイルスの定着の予防、またはウイルス感染により引き起こされる疾患の症状の改善もしくは緩和を意味する。これらの効果は、ウイルス負荷の減少あるいは死亡率および/または罹患率の減少により実証可能であり、そのアッセイは後記に記載されている。抗ウイルス物質または薬は抗ウイルス活性を有し、単独で又は多剤併用療法の一部分として持続性または慢性ウイルス感染を治療するのに有用である。
【0065】
II.総論
本発明は、操作された抗GITR抗体、ならびに免疫障害、特に感染症(ウイルス感染症を含む)および癌に対する応答不全を治療するためのその用途を提供する。
【0066】
GITRはTNFRSF18としても公知であり、TNR−Rスーパーファミリーに属する受容体である。現在のところ、ヒトまたはマウスGITRの結晶構造は入手不可能であるが、例えばNaismithおよびSprang(1998)Trends Biochem.Sci.23:74−79に記載されている研究に基づいて、該分子のモジュラー構造が確定されうる。図2は、ヒトGITRが6つのモジュールに分けられうることを示す。後記の研究からは、アゴニスト活性を有する或る抗体は、モジュール3および4にわたるコンホメーションエピトープを有しうる。
【0067】
II.GITR特異的抗体の製造
モノクローナル抗体を製造するためのいずれかの適当な方法が用いられうる。例えば、レシピエントをGITRまたはその断片で免疫化することが可能である。いずれかの適当な免疫化方法が用いられうる。そのような方法は、アジュバント、他の免疫刺激物質、反復追加(ブースター)免疫化、および1以上の免疫化経路の使用を含みうる。本明細書に開示されている組成物および方法の非ヒト抗体の製造のための免疫原としては、いずれかの適当なGITR源が使用されうる。そのような形態には、当技術分野で公知の組換え、合成的、化学的または酵素的分解手段により製造される全タンパク質、ペプチドおよびエピトープが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態においては、該免疫原はGITRの細胞外部分を含む。
【0068】
生物学的に活性な抗体を製造するのに十分な抗体を製造するためには、該抗原のいずれかの形態が用いられうる。例えば、該惹起抗原は単一エピトープ、複数のエピトープまたは全タンパク質の単独体または当技術分野で公知の1以上の免疫原性増強物質との組合せでありうる。該惹起抗原は、単離された完全長タンパク質、細胞表面タンパク質(例えば、該抗原の少なくとも一部分でトランスフェクトされた細胞での免疫化)、または可溶性タンパク質(例えば、該タンパク質の細胞外ドメイン部分のみでの免疫化)でありうる。該抗原は、遺伝的に修飾された細胞において産生されうる。該抗原をコードするDNAはゲノム性または非ゲノム性(例えば、cDNA)であることが可能であり、該細胞外ドメインの少なくとも一部分をコードしている。本明細書中で用いる「部分」なる語は、適宜、関心のある抗原の免疫原性エピトープを構成するための最小数のアミノ酸または核酸を意味する。関心のある細胞の形質転換に適したいずれかの遺伝的ベクター、例えばアデノウイルスベクター、プラスミドおよび非ウイルスベクター、例えばカチオン性脂質(これらに限定されるものではない)が使用されうる。
【0069】
GITRシグナリングを増強するための所望の生物学的特性を有する抗体を惹起するためには、いずれかの適当な方法が用いられうる。種々の哺乳類宿主、例えばマウス、ラット、他のげっ歯類、ヒト、他の霊長類などからモノクローナル抗体(mAb)を製造することが望ましい。そのようなモノクローナル抗体を製造するための技術の説明は、例えば、Stitesら(編)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(4th ed.)Lange Medical Publications,Los Altos,CAおよびそれにおいて引用されている参考文献;HarlowおよびLane(1988)ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL CSH Press;Goding(1986)MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(2d ed.)Academic Press,New York,NYに見出されうる。したがって、モノクローナル抗体は、当業者によく知られた種々の技術により得られうる。典型的には、所望の抗原で免疫化された動物からの脾細胞を、一般には骨髄腫細胞との融合により不死化させる。KohlerおよびMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照されたい。不死化の代替法には、エプスタインバーウイルス、発癌遺伝子またはレトロウイルスでの形質転換、あるいは当技術分野で公知の他の方法が含まれる。例えば、Doyleら(編)1994および定期的補遺)CELL AND TISSUE CULTURE:LABORATORY PROCEDURES,John Wiley and Sons,New York,NY.を参照されたい。単一の不死化細胞から生じたコロニーを、該抗原に対する所望の特異性およびアフィニティーの抗体の産生に関してスクリーニングする。そのような細胞により産生されるモノクローナル抗体の収率は、脊椎動物宿主の腹腔内への注射を含む種々の技術により増加されうる。あるいは、例えばHuseら(1989)Science 246:1275−1281に概説されている一般的プロトコールに従い、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードするDNA配列を単離することが可能である。
【0070】
他の適当な技術はファージまたは類似ベクターにおける抗体のライブラリーの選択を含む。例えば、Huseら,前掲;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照されたい。本発明のポリペプチドおよび抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体を含む修飾を伴って又は伴わずに使用されうる。しばしば、該ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを生成する基質を共有結合または非共有結合により結合させることにより標識されるであろう。多種多様な標識および結合技術が公知であり、科学文献および特許文献の両方に詳細に報告されている。適当な標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁気粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教示している特許には、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号および第4,366,241号が含まれる。また、組換え免疫グロブリンが製造可能であり(Cabilly,米国特許第4,816,567号;およびQueenら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照されたい)、あるいはトランスジェニックマウスにおいて製造可能である(Mendezら(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照されたい)。また、AbgenixおよびMedarexの技術も参照されたい。
【0071】
あるいは、モノクローナル抗体は、ヒトGITRで免疫化された動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)の脾臓から単離されたB細胞のクローン集団の富化により製造されうる(例えば、WO2008045140、US5627052およびUS20030186327を参照されたい)。
【0072】
GITRの予め決められた断片に対する抗体または結合性組成物は、該ポリペプチド、断片、ペプチドまたはエピトープと担体タンパク質とのコンジュゲートで動物を免疫化することにより産生されうる。モノクローナル抗体は、所望の抗体を産生する細胞から製造される。これらの抗体は正常または欠損GITRへの結合に関してスクリーニングされうる。これらのモノクローナル抗体は、ELISAまたはBiacoreにより通常に測定された場合、通常は少なくとも約1μM、より通常は少なくとも約300nM、30nM、10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、30pMまたはそれより良好なKで結合するであろう。また、適当な非ヒト抗体は、後記実施例5および6に記載されている生物学的アッセイを用いて特定されうる。
【0073】
クローン36E5、3D6、61G6、6H6および61F6に対応するハイブリドーマは、ブダペスト条約の要件に基づき、2009年3月25日付けで、American Type Culture Collection(「ATCC」)に、それぞれPTA−9890、PTA−9889、PTA−9891、PTA−9892およびPTA−9893として寄託された。
【0074】
クローン1D8、17F10、35D8、49A1、9E5および31H6に対応するハイブリドーマは、ブダペスト条約の要件に従い、2009年8月21日付けで、PTA−10286、PTA−10287、PTA−10288、PTA−10289、PTA−10290およびPTA− 10291としてATCCに寄託された。
【0075】
IV.GITR特異的抗体のヒト化
超可変領域の起源としては、いずれかの適当な非ヒト抗体が使用されうる。非ヒト抗体の起源には、マウス(例えば、ムス・ムスクルス(Mus musculus))、ラット(例えば、ラッツス・ノルベギクス(Rattus norvegicus))、ウサギ目動物(ウサギを含む)、ウシおよび霊長類が含まれるが、これらに限定されるものではない。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの超可変領域残基によりレシピエントの超可変領域残基が置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応非ヒト残基により置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、所望の生物活性の抗体性能を更に改善するために施される。更なる詳細は、Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Reichmannら(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596を参照されたい。
【0076】
抗体を組換え操作するための方法は、例えばBossら(米国特許第4,816,397号)、Cabillyら(米国特許第4,816,567号)、Lawら(欧州特許出願公開第438310号)およびWinter(欧州特許出願公開第239400号)により記載されている。
【0077】
ヒト化抗GITR抗体のアミノ酸配列変異体は、該ヒト化抗GITR抗体DNA内に適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいはペプチド合成により製造される。そのような変異体には、例えば、該ヒト化抗GITR抗体に関して示されているアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または該残基内への挿入、および/または該残基の置換が含まれる。最終構築物が所望の特性を有する限り、最終構築物を得るために欠失、挿入および置換の任意の組合せが施される。アミノ酸変化は、該ヒト化抗GITR抗体の翻訳後プロセスをも改変しうる(例えば、グリコシル化部位の位置の数を変化させうる)。
【0078】
突然変異誘発に好ましい位置であるヒト化抗GITR抗体ポリペプチドの或る残基または領域の特定のための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989)Science 244:1081−1085に記載されているとおり、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と称される。この場合、標的残基の残基または基を特定し(例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGluのような荷電残基)、中性または負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)により置換して、GITR抗原との該アミノ酸の相互作用に影響を及ぼさせる。ついで、該置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸残基を、置換部位において又は置換部位の代わりに更なる又は他の変異体を導入することにより精密化する。このように、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決定される必要はない。例えば、与えられた部位における突然変異の性能を分析するために、標的コドンまたは領域においてAlaスキャニングまたはランダム突然変異誘発を行い、発現されたヒト化抗GITR抗体変異体を所望の活性に関してスクリーニングする。
【0079】
アミノ酸配列挿入体には、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さの範囲のアミノおよび/またはカルボキシル末端融合体、ならびに単一もしくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入体が含まれる。末端挿入体の具体例には、N末端メチオニル残基を有するヒト化抗GITR抗体、またはエピトープタグに融合された該抗体が含まれる。該ヒト化抗GITR抗体分子の他の挿入変異体には、該抗体の血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドの、ヒト化抗GITR抗体のNまたはC末端への融合体が含まれる。
【0080】
もう1つのタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体においては、ヒト化抗GITR抗体分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されており、その位置に異なる残基が挿入されている。置換突然変異誘発に関して最も関心のある部位には超可変ループが含まれるが、FR改変体も想定される。
【0081】
該抗体のもう1つのタイプのアミノ酸変異体は該抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。改変は、該抗体に見出される1以上の炭水化物部分を欠失させること、および/または該抗体に存在しない1以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型またはO結合型である。N結合型はアスパラギン残基の側鎖への該炭水化物部分の結合を意味する。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は該アスパラギン側鎖への該炭水化物部分の酵素結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は潜在的なグリコシル化部位を生成する。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸(5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも用いられうるが、最も一般にはセリンまたはトレオニン)への糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースの1つの結合を意味する。
【0082】
該抗体へのグリコシル化部位の付加は、簡便には、前記トリペプチド配列の1つを含有するようにアミノ酸配列を改変することにより達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。該改変は、元の抗体の配列への1以上のセリンまたはトレオニン残基の付加またはそれによる置換によっても行われうる(O結合型グリコシル化部位の場合)。
【0083】
さらにもう1つのタイプのアミノ酸変異体は、最終的なヒト化抗体の、より大きな化学的安定性をもたらす、残基の置換である。例えば、アスパラギン(N)残基は、げっ歯類CDR内のいずれかのNG配列におけるイソアスパルタートの生成の可能性を軽減するように改変されうる。DG配列において同様の問題が生じうる。ReissnerおよびAswad(2003)Cell.Mol.Life Sci.60:1281。イソアスパルタート生成は抗体のその標的抗原への結合を軽減し又は完全に阻止しうる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731(p.734)。1つの実施形態においては、該アスパラギンはグルタミン(Q)に改変される。また、げっ歯類CDRにおけるメチオニン残基は、抗原結合アフィニティーを減少させ最終抗体調製物における分子不均一性にも寄与しうるメチオニン硫黄の酸化の可能性を軽減するように改変されうる。同誌。1つの実施形態においては、該メチオニンはアラニン(A)に改変される。ついで、そのような置換がGITR結合アフィニティーを非許容レベルに減少させないことが保証されるように、該置換を有する抗体をスクリーニングする。
【0084】
ヒト化GITR特異的抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の種々の方法により製造される。これらの方法には、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)、またはヒト化抗GITR抗体の既に製造された変異体もしくは非変異体のオリゴヌクレオチド媒介(もしくは部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発およびカセット突然変異誘発による製造が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
通常、該ヒト化抗GITR抗体のアミノ酸配列変異体は、該重鎖または軽鎖のいずれかを有する元のヒト化抗体アミノ酸配列に対して少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この場合、この配列に対する同一性または相同性は、ヒト化抗GITR残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の百分率(%)として定義され、これは、それらの配列を整列させ、必要に応じて、最大の配列同一性%が得られるようにギャップを導入した後で得られ、この場合、配列同一性の一部として保存的置換は考慮されない。該抗体配列に対する、N末端、C末端または内部の伸長、欠失または挿入はいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼさないと解釈されるものとする。
【0086】
該ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンのいずれかのクラスから選択されうる。好ましくは、該抗体はIgG抗体である。IgG、IgG、IgGおよびIgGを含むいずれかのイソタイプが使用されうる。IgGイソタイプの変異体も想定される。該ヒト化抗体は2以上のクラスまたはイソタイプからの配列を含みうる。所望の生物活性を得るための必要な定常ドメイン配列の最適化は、実施例に記載されている生物学的アッセイにおいて該抗体をスクリーニングすることにより、容易に達成される。
【0087】
同様に、本発明における組成物および方法においては、いずれかのクラスの軽鎖が使用されうる。特に、カッパ、ラムダまたはそれらの変異体が本発明の組成物および方法において有用である。
【0088】
該非ヒト抗体からのCDR配列のいずれかの適当な部分が使用されうる。該CDR配列が、使用されるヒトおよび非ヒト抗体配列と異なるものとなるように、該CDR配列は少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により突然変異誘発されうる。そのような突然変異は最低限度のものであると想定される。典型的には、該ヒト化抗体残基の少なくとも75%、より頻繁には90%、最も好ましくは95%以上は該非ヒトCDR残基のものに合致している。
【0089】
該ヒト抗体からのFR配列のいずれかの適当な部分が使用されうる。該FR配列が、使用されるヒトおよび非ヒト抗体配列と異なるものとなるように、該FR配列は少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により突然変異誘発されうる。そのような突然変異は最低限度のものであると想定される。典型的には、該ヒト化抗体残基の少なくとも75%、より頻繁には90%、最も好ましくは95%以上、98%以上または99%以上は該ヒトFR残基のものに合致している。
【0090】
CDRおよびFR残基は、Kabatの標準的な配列決定に従い決定される。Kabatら(1987)Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda Md。配列番号1〜11は種々のげっ歯類抗ヒトGITR抗体の重鎖可変ドメイン配列を示し、配列番号12〜22は該軽鎖可変ドメイン配列を示す。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

1つの実施形態においては、CDRには、本明細書に開示されているいずれかの単一配列CDRの変異体(配列番号23〜88)が含まれ、この場合、該変異体は、表1のデータを用いて決定される、開示されている配列に対する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の保存的アミノ酸置換を含む。
【0093】
また、キメラ抗体も想定される。前記のとおり、典型的なキメラ抗体は、特定の種に由来する又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同である重鎖および/または軽鎖の一部分を含み、一方、該鎖の残部は、別の種に由来する又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列と同一または相同であり、また、記載されている生物活性を示す、そのような抗体のフラグメントも含まれる。米国特許第4,816,567号およびMorrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855を参照されたい。
【0094】
二重特異性抗体も本方法および組成物において有用である。本明細書中で用いる「二重特異性抗体」なる語は、少なくとも2つの異なる抗原エピトープに対する結合特異性を有する抗体、典型的にはモノクローナル抗体を意味する。1つの実施形態においては、該エピトープは同一抗原からのものである。もう1つの実施形態においては、該エピトープは2つの異なる抗原からのものである。二重特異性抗体の製造方法は当技術分野で公知である。例えば、二重特異性抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアの共発現を用いて組換え製造されうる。例えば、Milsteinら(1983)Nature 305:537−39を参照されたい。あるいは、二重特異性抗体は、化学的連結を用いて製造されうる。例えば、Brennanら(1985)Science 229:81を参照されたい。二重特異性抗体には、二重特異性抗体フラグメントが含まれる。例えば、Holligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444−48、Gruberら(1994)J.Immunol.152:5368を参照されたい。
【0095】
さらに他の実施形態においては、異なる定常ドメインが、本発明において提供されるCDRに由来するヒト化VおよびV領域に付加されうる。例えば、本発明の抗体(またはフラグメント)の特定の意図される用途が、改変されたエフェクター機能を要するものである場合、IgG1以外の重鎖定常ドメインが使用されうる。IgG1抗体は長い半減期およびエフェクター機能(例えば、補体活性化および抗体依存性細胞性細胞傷害)をもたらすが、そのような活性は該抗体の全ての用途に望ましいわけではないであろう。そのような場合、例えばIgG4またはIgG2定常ドメインが使用されうる。
【0096】
また、本発明の抗体の親形態および操作改変形態が化学的部分にコンジュゲート化されうる。該化学的部分としては、とりわけ、重合体、放射性核種または細胞毒性因子が挙げられうる。好ましくは、該化学的部分は、対象の体内での該抗体分子の半減期を増加させる重合体である。適当な重合体には、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDaまたは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が含まれるが、これらに限定されるものではない。Leeら(1999)(Bioconj.Chem.10:973−981)はPEGコンジュゲート化一本鎖抗体を開示している。Wenら(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、放射性金属キレーター(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))に結合したPEGに抗体をコンジュゲート化させることを開示している。
【0097】
また、本発明の抗体および抗体フラグメントまたはGITR可溶性タンパク質もしくはそのフラグメントは、標識、例えば99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H,131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feにコンジュゲート化されうる。
【0098】
また、本発明の抗体および抗体フラグメントまたはGITR可溶性タンパク質もしくはそのフラグメントは、蛍光または化学発光標識、例えば発蛍光団、例えば希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアナート、フコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタラデヒド、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジミウム塩標識,シュウ酸塩エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識および安定フリーラジカルにコンジュゲート化されうる。
【0099】
本発明の抗体分子またはタンパク質分子を種々の部分にコンジュゲート化するための当技術分野で公知のいずれかの方法が使用可能であり、それらには、Hunterら(1962)Nature 144:945;Davidら(1974)Biochemistry 13:1014;Painら(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.,(1982)Histochem.and Cytochem.30:407に記載されているものが含まれる。抗体およびタンパク質のコンジュゲート化方法は一般的なものであり、当技術分野で非常によく知られている。
【0100】
V.ヒト抗GITR抗体の生物活性
ヒト化抗GITR抗体において望ましいものとして本明細書中で特定されている特性を有する抗体はインビトロでの抑制性生物活性または適当な結合アフィニティーに関してスクリーニングされうる。アゴニスト抗体は、実施例5に記載されている生物学的アッセイを用いて、アンタゴニスト抗体から識別されうる。アゴニスト活性を示す抗体はGITRの活性を遮断しないが、その代わりに、典型的にはGITRシグナリングにより媒介される応答を刺激するであろう。
【0101】
関心のある抗体(例えば、GITRの結合を遮断する抗体)により結合されるヒトGITR上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするためには、通常の交差遮断アッセイ、例えば、ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory,HarlowおよびDavid Lane編(1988)に記載されているものが行われうる。同一エピトープに結合する抗体はそのようなアッセイにおいて交差遮断する可能性があるが、全ての交差遮断抗体が厳密に同一のエピトープにおいて必ずしも結合するわけではないであろう。なぜなら、交差遮断は、共通エピトープまたは更には近傍の非共通エピトープにおいて結合した抗体による抗体結合の立体障害により生じうるからである。
【0102】
あるいは、該抗体が関心エピトープに結合するかどうかを判定するために、例えばChampeら(1995)J.Biol.Chem.270:1388−1394に記載されているエピトープマッピングが行われうる。本発明のGITR抗体に対する機能性エピトープを決定するためには、CunninghamおよびWells(1989) Science 244:1081−1085に記載されている「アラニンスキャニング突然変異誘発」、またはヒトGITR内のアミノ酸残基の点突然変異誘発の何らかの他の形態も用いられうる。しかし、突然変異誘発研究は、GITRの全体的な三次元構造に決定的に重要であるが抗体−抗原接触には直接的に関与しないアミノ酸残基をも示しうる。したがって、この方法を用いて決定された機能性エピトープを証明するためには、他の方法が必要かもしれない。
【0103】
特異的抗体により結合されるエピトープは、ヒトGITRのフラグメントを含むペプチド(配列番号41)への該抗体の結合を評価することによっても決定されうる。GITRの配列を含む一連の重複ペプチドは合成可能であり、例えば直接ELISA、競合ELISA(該ペプチドが、マイクロタイタープレートのウェルに結合したGITRへの抗体の結合を妨げるその能力に関して評価される場合)において、またはチップ上で、結合に関してスクリーニングされうる。そのようなペプチドスクリーニング法は、幾つかの不連続的機能性エピトープ、すなわち、GITRポリペプチド鎖の一次配列沿いに連続的でないアミノ酸残基を含む機能性エピトープを検出し得ない可能性がある。
【0104】
また、本発明の抗体により結合されるエピトープは、構造的方法、例えば、X線結晶構造決定(例えば、WO2005/044853)、分子モデリングおよび核磁気共鳴(NMR)分光法、例えば、関心のある抗体との複合体における結合状態または遊離状態の場合のGITRにおける不安定アミド水素のH−D交換速度のNMR決定により決定されうる(Zinn−Justinら(1992)Biochemistry 31:11335−11347;Zinn−Justinら(1993)Biochemistry 32:6884−6891)。
【0105】
X線結晶学に関しては、結晶化は、当技術分野における公知方法のいずれか(例えば、Giegeら(1994)Acta Crystallogr.D50:339−350;McPherson(1990)Eur.J.Biochem.189:1−23)、例えば、マイクロバッチ(microbatch)(例えば、Chayen(1997)Structure 5:1269−1274)、懸滴蒸気拡散(hanging−drop vapor diffusion)(例えば、McPherson(1976)J.Biol.Chem.251:6300−6303)、種入れ(seeding)および透析を用いて達成されうる。少なくとも約1mg/mL、好ましくは約10mg/mL〜約20mg/mLの濃度を有するタンパク質調製物を使用することが望ましい。結晶化は、約10%〜約30%(w/v)の範囲の濃度を有する、ポリエチレングリコール1000−20,000(PEG;平均分子量は約1000〜約20,000Daの範囲、好ましくは約5000〜約7000Da、より好ましくは約6000Da)を含有する沈殿剤溶液において最も良く達成されうる。また、タンパク質安定剤、例えば、約0.5%〜約20%の範囲の濃度のグリセロールを含めることが望ましいかもしれない。該沈殿剤溶液においては、好ましくは約1mM〜約1000mMの範囲の濃度の、適当な塩、例えば塩化ナトリウム、塩化リチウムまたはクエン酸ナトリウムも望ましいかもしれない。該沈殿剤は、好ましくは、約3.0〜約5.0、好ましくは約4.0のpHに緩衝化される。該沈殿剤溶液において有用な具体的なバッファーは様々でありうるが、当技術分野においてよく知られている。Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Third ed.,(1994)Springer−Verlag,New York。有用なバッファーの具体例には、HEPES、Tris、MESおよび酢酸塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。結晶は、2℃、4℃、8℃および26℃を含む広範囲の温度で成長しうる。
【0106】
抗体:抗原結晶は、よく知られたX線回折技術を用いて研究可能であり、コンピュータソフトウェア、例えばX−PLOR(Yale University,1992,Molecular Simulations,Inc.により頒布;例えば、Blundell & Johnson(1985)Meth.Enzymol.114 & 115,H.W.Wyckoffら編,Academic Press;米国特許出願公開第2004/0014194号を参照されたい)、およびBUSTER(Bricogne(1993)Acta Cryst.D49:37−60;Bricogne(1997)Meth.Enzymol.276A:361−423,Carter & Sweet編,;Roversiら(2000)Acta Cryst.D56:1313−1323)を用いて精密化されうる。
【0107】
本発明の抗体の場合と同じエピトープに結合する追加的な抗体は、例えば、GITRに対して産生された抗体を該エピトープへの結合に関してスクリーニングすることにより、または該エピトープ配列を含むヒトGITRの断片を含むペプチドで動物を免疫化することにより得られうる。同じ機能性エピトープに結合する抗体は、類似した生物活性、例えば受容体結合の遮断を示すと予想されうるであろう。そのような活性は該抗体の機能アッセイにより確認されうる。
【0108】
抗体アフィニティーは、標準的な分析を用いて決定されうる。好ましいヒト化抗体は、約1×10−7以下、好ましくは約1×10−8以下、より好ましくは約1×10−9以下、最も好ましくは約1×10−10以下、または更には1×10−11MのK値でヒトGITRに結合するものである。
【0109】
本組成物および方法において有用な抗体およびそのフラグメントは、生物学的に活性な抗体およびフラグメントである。本明細書中で用いる「生物学的に活性な」なる語は、所望の抗原エピトープに結合し直接的または間接的に生物学的効果を発現しうる抗体または抗体フラグメントに関するものである。本明細書中で用いる「特異的」なる語は標的抗原エピトープへの該抗体の選択的結合を意味する。抗体は、与えられた一連の条件下でGITRへの結合を無関係な抗原または抗原混合物への結合と比較することにより結合の特異性に関して試験されうる。該抗体が、無関係な抗原または抗原混合物よりもGITRに少なくとも10倍、好ましくは50倍強力に結合する場合、それは特異的とみなされる。GITRに「特異的に結合する」抗体は、GITR由来配列を含まないタンパク質には結合しない。すなわち、本明細書中で用いる「特異性」はGITR特異性を意味し、問題のタンパク質に存在しうる他のいずれの配列に関するものでもない。例えば、本明細書中で用いられる場合、GITRを含むポリペプチドに「特異的に結合する」抗体は、典型的には、GITRとFLAG(登録商標)ペプチドタグとを含む融合タンパク質であるFLAG(登録商標)−GITRに結合するが、それはFLAG(登録商標)ペプチドタグの単独体には、あるいはそれがGITR以外のタンパク質に融合している場合には、結合しない。
【0110】
本発明のGITR特異的結合性化合物、例えばアゴニスト性GITR特異的抗体は、微生物感染に対する免疫応答の増強(これに限定されるものではない)を含むいずれかの様態で、その生物活性を増強しうる。
【0111】
IV.医薬組成物
GITR抗体を含む医薬組成物または無菌組成物を製造するためには、該サイトカイン類似体またはムテイン、それに対する抗体、またはその核酸を、医薬上許容される担体または賦形剤と混合する。例えば、Remington’s Pharmaceutical SciencesおよびU.S. Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照されたい。
【0112】
治療用および診断用物質の製剤は、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水性溶液または懸濁液の形態で、生理的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより製造されうる。例えば、Hardmanら(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw−Hill,New York,NY;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,WilliamsおよびWilkins,New York,NY;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,NYを参照されたい。
【0113】
単独で又は免疫抑制剤と組合せて投与された該抗体組成物の毒性および治療効力は、例えばLD50(集団の50%に致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法により決定されうる。毒性効果と治療効果との用量比は治療係数であり、それはED50に対するLD50の比として表されうる。高い治療係数を示す抗体が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量の範囲の決定において使用されうる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全く伴わないED50を含む循環濃度の範囲内である。該投与量は、使用される剤形および投与経路に応じて、この範囲内で変動しうる。
【0114】
投与様式は特には重要でない。適当な投与経路には、例えば経口、直腸、経粘膜または腸投与;非経口運搬、例えば筋肉内、皮下、脊髄内注射、および鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射が含まれうる。本発明の方法を実施するための又は該医薬組成物中で使用される抗体の投与は、種々の通常方法、例えば経口摂取、吸入、局所適用または皮膚、皮下、腹腔内、非経口、動脈内または静脈内注射により行われうる。
【0115】
あるいは、例えば、関節炎関節、または免疫病理学により特徴づけられる病原体誘発性病変内への直接的な該抗体の注射により、全身的方法ではなく局所的方法により、しばしば、デポー剤または徐放製剤で、該抗体を投与することが可能である。さらに、標的化ドラッグデリバリーシステムにおいて該抗体を投与することが可能であり、例えば、関節炎関節または免疫病理学により特徴づけられる病原体誘発性病変を標的化する、例えば組織特異的抗体で被覆されたリポソームにおいて、該抗体を投与することが可能である。該リポソームは罹患組織を標的化し、該罹患組織により選択的に取り込まれるであろう。
【0116】
治療用物質に関する投与計画の選択は、該物質の血清または組織代謝回転速度、症状の程度、該物質の免疫原性、および生物学的マトリックスにおける標的細胞の接近可能性を含む幾つかの要因に左右される。好ましくは、投与計画は、許容可能なレベルの副作用と調和して患者に運搬される治療用物質の量を最大にする。したがって、運搬される生物学的物質(生物学的製剤)の量は、部分的には、個々の物質および治療される状態の重症度に左右される。抗体、サイトカインおよび小分子の適当な用量を選択する際の指針が入手可能である。例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(編)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel Dekker,New York,NY;Baertら(2003)New Engl.J.Med.348:601−608;Milgromら(1999)New Engl.J.Med.341:1966−1973;Slamonら(2001)New Engl.J.Med.344:783−792;Beniaminovitzら(2000)New Engl.J.Med.342:613−619;Ghoshら(2003)New Engl.J.Med.348:24−32;Lipskyら(2000)New Engl.J.Med.343:1594−1602を参照されたい。
【0117】
適当な用量の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られている若しくは疑われている又は治療に影響を及ぼすと予想されるパラメータまたは因子を用いて、臨床家によりなされる。一般に、用量は、最適用量より幾分少ない量から開始し、ついで、負の副作用と比較して所望または最適効果が得られるまで、少しずつ増量する。重要な診断尺度には、例えば炎症の症状の尺度、または産生される炎症性サイトカインのレベルが含まれる。好ましくは、使用される生物学的物質(生物学的製剤)は、治療のために標的化される動物と同じ種から実質的に誘導され(例えば、ヒト対象の治療のためのヒト化抗体)、それにより該薬剤に対する免疫応答を最小化する。
【0118】
抗体、抗体フラグメントおよびサイトカインは、連続的注入により、または例えば、1日、週1〜7回、1週間、2週間、毎月、隔月などの間隔での投与により投与されうる。投与は、静脈内、皮下、局所、経口、鼻腔内、直腸内、筋肉内、大脳内、髄腔内投与または吸入により行われうる。好ましい投与プロトコールは、有意な望ましくない副作用をもたらさない最大用量または投与頻度を含むものである。毎週の全用量は、一般に、少なくとも0.05μg/kg、0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.2mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg体重以上である。例えば、Yangら(2003)New Engl.J.Med.349:427−434;Heroldら(2002)New Engl.J.Med.346:1692−1698;Liuら(1999)J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451−456;Portieljiら(20003)Cancer Immunol.Immunother.52:133−144を参照されたい。小分子治療用物質、例えばペプチド模倣体、天然物または有機化合物の所望用量は、モル/kgで、抗体またはポリペプチドの場合とほぼ同じである。
【0119】
本明細書中で用いる「抑制する」または「治療する」または「治療」は、自己免疫疾患もしくは病原体誘発性免疫病理に関連した症状の進展の遅延、および/または進展する若しくは進展すると予想されるそのような症状の重症度の軽減を含む。該用語は更に、制御されない又は望ましくない既存の自己免疫関連または病原体誘発性免疫病理学的症状の改善、追加的な症状の予防、およびそのような症状の根本原因の改善もしくは予防を含む。したがって、該用語は、自己免疫または病原体誘発性免疫病理学的疾患または症状を有する、あるいはそのような疾患または症状を進展させる可能性を有する脊椎動物対象に、有益な結果がもたらされていることを示す。
【0120】
本明細書中で用いる「治療的有効量」または「有効量」なる語は、単独で又は追加的治療用物質と組合せて細胞、組織または対象に投与されると自己免疫疾患または病原体誘発性免疫病理関連疾患または状態あるいは該疾患の進行を予防または改善するのに有効である、GITR特異的結合性化合物(例えば抗体)の量を意味する。治療的有効量は更に、症状の改善、例えば、関連医学的状態の治療、治癒、予防または改善をもたらすのに十分な、あるいはそのような状態の治療、治癒、予防または改善の速度の増加をもたらすのに十分な、該化合物の量を意味する。単独で投与される個々の有効成分に適用される場合、治療的有効量はその成分のみに関するものである。組合せに適用される場合、治療的有効量は、組合されて投与されるか連続的に投与されるか同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす、有効成分の組合された量を意味する。治療用物質の有効量は該症状を、典型的には少なくとも10%、通常は少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%軽減するであろう。
【0121】
第2の治療用因子、例えばサイトカイン、抗体、ステロイド、化学療法物質、抗生物質、抗ウイルス物質または放射線との共投与または治療のための方法は当技術分野でよく知られている。例えば、Hardmanら(編)(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th ed.,McGraw−Hill,New York,NY;PooleおよびPeterson(編)(2001)Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PA;ChabnerおよびLongo(編)(2001)Cancer Chemotherapy and Biotherapy,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PA.を参照されたい。
【0122】
化学療法物質には以下のものが含まれる:アルキル化剤、例えばチオテパ(thiotepa)およびCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミド(cyclosphosphamide);アルキルスルホナート、例えばブスルファン(busulfan)、イムプロスルファン(improsulfan)およびピポスルファン(piposulfan);アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン(carboquone)、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa);エチレンイミンおよびメチルアメルアミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスルアミド(triethiylenethiophosphaoramide)およびトリメチロロメラミン(trimethylolomelamime);アセトゲニン(acetogenin)(特にブルラタシン(bullatacin)およびブルラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(camptothecin)(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン(bryostatin);カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);ドュオカルマイシン(duocarmycin)(合成類似体KW−2189およびCB 1−TM1を含む);エリューテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);窒素マスタード、例えばクロラムブシル(chlorambucil)、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イフォスファミド(ifosfamide)、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロルエタミンオキシド塩酸塩、メルファラン(melphalan)、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard);ニトロソウレア、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)およびラニムスチン(ranimustine);抗生物質、例えばエンジイン抗生物質[例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシン・ガンマ1Iおよびカリケアマイシン・オメガI1(例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照されたい);ダイネマイシン(dynemicin)、例えばダイネマイシンA;ビスホスホナート、例えばクロドロナート(clodronate);エスペラマイシン(esperamicin);ならびにネオカルジノスタチン(neocarzinostatin)発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団]、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン(actinomycin)、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン(bleomycin)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン(chromomycin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(doxorubicin)(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン(epirubicin)、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycin)、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycin)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン(puromycin)、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメックス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗物質、例えばメトトレキセート(methotrexate)および5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート(methotrexate)、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン(thioguanine);ピリミジン類似体、例えばアンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン、カルモフール(carmofur)、シタラビン(cytarabine)、ジデオキシウリジン(dideoxyuridine)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビン(enocitabine)、フロクスリジン(floxuridine);アンドロゲン、例えばカルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)プロピオナート、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラクトン(testolactone);抗アドレナール、例えばアミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane);葉酸補充物、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン(aceglatone);アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジクオン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン(lentinan);ロニダミン(lonidamine);メイタンシノイド(maytansinoid)、例えばメイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン(ansamitocin);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトザントロン(mitoxantrone);モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン(pentostatin);フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン(procarbazine);PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特にT−2毒素、ベルラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(vindesine);ダカルバジン(dacarbazine);マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール(mitobronitol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(arabinoside)(「Ara−C」);シクロホスファミド(cyclophosphamide);チオテパ(thiotepa);タキソイド、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(paclitaxel)(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(商標)パクリタキセルのクレモフォア非含有アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,I11.)、およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(doxetaxel(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル(chlorambucil);GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン(gemcitabine);6−チオグアニン;メルカプトプリン(mercaptopurine);メトトレキセート(methotrexate);白金類似体、例えばシスプラチン(cisplatin)およびカルボプラチン(carboplatin);ビンブラスチン(vinblastine);白金;エトポシド(etoposide)(VP−16);イフォスファミド(ifosfamide);ミトザントロン(mitoxantrone);ビンクリスチン(vincristine);NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン(vinorelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド(teniposide);エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン(daunomycin);アミノプテリン(aminopterin);XELODA(登録商標)カペシタビン(capecitabine);イバンドロネート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluoromethylornithine)(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;ならびに前記のいずれかのものの医薬上許容される塩、酸または誘導体。
【0123】
また、例えば以下のような、腫瘍に対するホルモン作用を調節または抑制するよう作用する抗ホルモン剤も含まれる:抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェン(tamoxifen)(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)およびFARESTON.トレミフェン(toremifene);副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼインヒビター、例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール(megestrol)、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン(exemestane)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール(fadrozole)、RIVISOR(登録商標)ボロゾール(vorozole)、FEMARA(登録商標)レトロゾール(letrozole)およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール(anastrozole);ならびに抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド(leuprolide)およびゴセレリン(goserelin);ならびにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC−アルファ、RalfおよびH−Rasのような異常細胞増殖に関与するシグナリング経路における遺伝子の発現を抑制するもの;リボザイム、例えばVEGF発現インヒビター(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)およびHER2発現インヒビター;ワクチン、例えば遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH;ならびに前記のいずれかのものの医薬上許容される塩、酸または誘導体。
【0124】
特に、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−βは、増殖、恒常性、血管新生および創傷治癒のような、細胞機能における一連の多面的効果を示す。TGF−β機能の異常調節は癌の進行に関与する。ほとんどの癌は、腫瘍による過剰なトランスフォーミング増殖因子βの産生により特徴づけられ、これは腫瘍増殖を促進し、上皮から間葉への移行を媒介しうる。TGF−βはまた、免疫系内で極めて重要な役割を果たしており、リンパ球の増殖、分化および生存の調節を介して寛容を維持している。TGF−βは、Treg機能の増強および腫瘍免疫の低下における重要な抑制因子であることが判明している。GITRアゴニスト、例えば抗体と組合されたTGF−βインヒビターの投与が想定される。
【0125】
また、抗ウイルス治療用物質との共投与も想定される。抗ウイルス物質には、ウイルスを破壊する任意の薬物が含まれる。抗ウイルス物質には、ウイルスの複製を抑制するように機能するインターフェロン、プロテアーゼインヒビター、および逆転写酵素インヒビター、またはHIVに対する高活性抗レトロウイルス療法(HAART)の組合せに含まれる物質が含まれうる。
【0126】
典型的な獣医対象、実験対象または研究対象には、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ウマおよびヒトが含まれる。
【0127】
VII.抗体の製造
1つの実施形態においては、本発明の抗体の組換え製造のために、2本の鎖をコードする核酸を単離し、更なるクローニング(該DNAの増幅)または発現のために1以上の複製可能ベクター内に挿入する。モノクローナル抗体をコードするDNAは、通常の方法を用いて(例えば、該抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合しうるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離され配列決定される。多数のベクターが利用可能である。該ベクター成分は一般に、以下のもの(それらに限定されるものではない)のうちの1以上を含む:シグナル配列、複製起点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーターおよび転写終結配列。1つの実施形態においては、本発明のヒト化抗GITR抗体の軽鎖および重鎖は共に、同一ベクター、例えばプラスミドまたはアデノウイルスベクターから発現される。
【0128】
本発明の抗体は、当技術分野で公知のいずれかの方法により製造されうる。1つの実施形態においては、抗体は、培養内の哺乳類または昆虫細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎(HEK)293細胞、マウス骨髄腫NSO細胞、乳児ハムスター腎(BHK)細胞、スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)卵巣(Sf9)細胞内で発現される。1つの実施形態においては、CHO細胞から分泌された抗体を回収し、標準的なクロマトグラフィー法、例えばプロテインA、カチオン交換、アニオン交換、疎水性相互作用およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーにより精製する。得られた抗体を濃縮し、20mM 酢酸ナトリウム(pH5.5)中で保存する。
【0129】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗体は、WO2005/040395に記載されている方法に従い、酵母内で製造される。簡潔に説明すると、関心のある抗体の個々の軽鎖または重鎖をコードするベクターを種々の酵母一倍体細胞、例えば酵母ピチア・パストリス(Pichia pastoris)の種々の接合型(該酵母一倍体細胞は場合によっては相補的栄養要求体である)内に導入する。ついで該形質転換一倍体酵母細胞を接合または融合させて、重鎖および軽鎖の両方を産生しうる二倍体酵母細胞を得る。ついで該二倍体株は、完全に構築された生物活性抗体を分泌しうる。それらの2本の鎖の相対発現レベルは、例えば、種々のコピー数を有するベクターを使用することにより、または種々の強度の転写プロモーターを使用することにより、または一方または両方の鎖をコードする遺伝子の転写を駆動する誘導可能プロモーターから発現を誘導することにより最適化されうる。
【0130】
1つの実施形態においては、複数の異なる抗GITR抗体(「元」の抗体)のそれぞれの重鎖および軽鎖を酵母一倍体細胞内に導入して、複数の軽鎖を発現する1つの接合型の一倍体酵母株のライブラリー、および複数の重鎖を発現する異なる接合型の一倍体酵母株のライブラリーを作製する。一倍体株のこれらのライブラリーを接合(またはスフェロプラストとして融合)させて、軽鎖および重鎖の種々の可能な順列を含む抗体の組合せライブラリーを発現する一連の二倍体酵母細胞を得る。ついで抗体の該組合せライブラリーをスクリーニングして、該抗体のいずれかが、元の抗体より優れた特性(例えば、GITRに対する、より高いアフィニティー)を有するかどうかを判定することが可能である。例えば、WO2005/040395を参照されたい。
【0131】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗体は、抗体可変ドメインの一部分が分子量約13kDaのポリペプチドに連結されたヒトドメイン抗体である。例えば、米国特許公開第2004/0110941号を参照されたい。そのような単一ドメインの低分子量物質は合成の容易さ、安定性および投与経路に関する多数の利点をもたらす。
【0132】
VIII.用途
本発明は、増殖または炎症の障害および状態の治療および診断のための、抗GITR抗体およびそのフラグメントの使用方法を提供する。
【0133】
本発明は、試験細胞、組織または体液におけるGITRの発現レベルを、対照からの好ましくは同じタイプの細胞、組織または体液におけるGITRレベルと比較して分析することにより、微生物感染または癌の存在を診断するための方法を提供する。本明細書中に示されているとおり、例えば対照と比較した場合の患者におけるGITR発現のレベルの増加が癌の存在に関連づけられる。
【0134】
典型的には、定量的診断アッセイの場合、被験患者が癌または感染症を有することを示す陽性結果は、該細胞、組織または体液が、少なくとも2倍高い、5倍高い、10倍高い、15倍高い、20倍高い、25倍高いGITR発現レベルを有するものである。
【0135】
宿主に由来するサンプルにおける、本発明の例えばGITRのような遺伝子およびタンパク質の発現のレベルを決定するために使用されうるアッセイ技術は、当業者によく知られている。そのようなアッセイ方法には、ラジオイムノアッセイ、逆転写PCR(RT−PCR)アッセイ、定量的リアルタイムPCRアッセイ、免疫組織化学的アッセイ、in situハイブリダイゼーションアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイおよびフローサイトメトリーアッセイ、例えば、腫瘍関連マクロファージのM2対M1表現型決定のための二色FACS分析が含まれる(Mantovaniら,(2002)TRENDS in Immunology 23:549−555)。
【0136】
ELISAアッセイは、まず、GITRに特異的な本発明の抗体、好ましくは36E5、3D6、61G6、6H6、61F6、1D8、17F10、35D8、49A1、9E5および31H6(「GITR抗体」と総称される)を製造することを含む。また、一般に、GITRに特異的に結合するレポーター抗体を製造する。該レポーター抗体は、検出可能な試薬、例えば放射性試薬、蛍光試薬または酵素試薬、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素またはアルカリホスファターゼに結合している。
【0137】
ELISAを行うためには、前記のGITR抗体の少なくとも1つを固体支持体(例えば、該抗体に結合するポリスチレンディッシュ)上でインキュベートする。ついで、非特異的タンパク質、例えばウシ血清アルブミンと共にインキュベートすることにより、該ディッシュ上のいずれかの遊離タンパク質結合部位を覆う。つぎに、分析すべきサンプルを該ディッシュ内でインキュベートし、その間にGITRは、該ポリスチレンディッシュに結合した特異的GITR抗体に結合する。未結合サンプルをバッファーで洗い落とす。GITRに特異的でありホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したレポーター抗体を該ディッシュ内に配置して、GITRに結合したいずれかのモノクローナル抗体への該レポーター抗体の結合を得る。ついで未結合レポーター抗体を洗い落とす。熱量測定用基質を含むペルオキシダーゼ活性に関する試薬を該ディッシュに加える。GITR抗体に連結された固定化ペルオキシダーゼは着色反応生成物を生成する。与えられた時間内に生じた色の量は、該サンプル中に存在するGITRタンパク質の量に比例する。定量的結果は、典型的には、標準曲線を参照することにより得られる。
【0138】
競合アッセイが行われうる。この場合、GITRに特異的な抗体を固体支持体に結合させ、標識GITRおよび宿主由来サンプルを該固体支持体上に通過させ、該固体支持体に結合した検出された標識の量を該サンプル中のGITRの量に相関することが可能である。
【0139】
前記試験は、患者から得られたホモジネートまたは可溶化組織のような種々の細胞、体液および/または組織抽出物に由来するサンプルに関して行われうる。組織抽出物は、通常、組織生検および剖検材料から得られる。本発明において有用な体液には、血液、尿、唾液もしくは任意の他の身体分泌物またはそれらの誘導体が含まれる。「血液」なる語は全血、血漿、血清または任意の血液誘導体を含むと意図される。
【0140】
本発明の抗体は、ウイルス感染を治療するために使用されうる。HIV感染は、中枢記憶細胞の生成および維持の欠損により特徴づけられる。CD8+中枢記憶細胞は対照より短い半減期を有し、HIV感染個体内に対照ほどは豊富に存在しない。また、CD4+およびCD8+ HIV特異的T細胞の両方の度数は高活性抗レトロウイルス療法(HAART)の開始後に急速に減少する。抗GITRによるCD4+に対する共刺激は、記憶CD8+応答を増強し該ウイルスの消失に寄与するメカニズムをもたらしうる。Tregsによる抑制を改善するための抗GITR抗体でのフレンドウイルス持続感染マウスの治療は、CD8+ T細胞によるIFNγ産生を有意に改善し、ウイルス負荷における有意な減少を可能にしたことが示されている(Dittmerら,(2004)Immunity 20:293−303)。
【0141】
HIV感染のもう1つの特徴は、HIV感染の初期に始まる、CD4+ T細胞の甚だしいアポトーシスである。CD4 T細胞の進行性アポトーシス性消失はHIV特異的細胞免疫応答の低下をもたらし、エイズの発症をもたらす。GITR共刺激は、T細胞をアポトーシスから保護することによりマウス抗原特異的サイトカイン分泌を増強することが示されている。Laheyら(2007)J Infect Dis.196:43−49は、HIV特異的CD4+ T細胞の抗GITR治療がそれらのサイトカイン発現を増強し、それらをアポトーシスから保護することを示した。
【0142】
ウイルスが原因で生じる感染の場合、本発明の抗体は、ウイルス感染を治療するための標準的療法の適用と同時、それより前または後の適用により組合されうる。そのような標準的療法はウイルスのタイプに応じて様々であるが、ほとんど全ての場合、該ウイルスに特異的な抗体(例えば、IgA、IgG)を含有するヒト血清の投与が有効でありうる。
【0143】
インフルエンザ感染は発熱、咳、筋肉痛、頭痛および倦怠感を引き起こし、これは、しばしば、季節的流行期に生じる。インフルエンザは、脳炎、心筋心嚢炎、グッドパスチャー症候群およびライエ症候群のような幾つかの感染後障害にも関連づけられている。インフルエンザ感染は正常な肺抗細菌防御をも抑制し、その結果、患者がインフルエンザから回復した際に細菌性肺炎の発症のリスクの増大を伴う。
【0144】
インフルエンザウイルス表面タンパク質は、突然変異および組換えから生じる顕著な抗原変異を示す。したがって、細胞傷害性Tリンパ球が、感染後のウイルスの排除のための、宿主の主要な手段である。インフルエンザはA、BおよびCの3つの主要型に分類される。A型インフルエンザは、それがヒトおよび多数の他の動物(例えば、ブタ、ウマ、鳥類およびアザラシ)に感染し汎流行性インフルエンザの主要原因である点で特有である。また、細胞が2つの異なるインフルエンザA株に感染すると、2つの親ウイルス型のセグメント化RNAゲノムが複製中に混合してハイブリッド複製体が生じ、新たな流行性株が生じる。B型インフルエンザは動物においては複製されず、したがってそれほど遺伝的変異は生じず、C型インフルエンザは単一の血清型しか有さない。
【0145】
ほとんどの通常の療法は、感染から生じる症状の対症療法であり、その一方で、実際には宿主の免疫応答が該疾患を消失させる。しかし、ある株(例えば、A型インフルエンザ)は、より重篤な疾患および死亡をもたらしうる。A型インフルエンザは、ウイルス複製を抑制する環状アミンインヒビターであるアマンタジンおよびリマンタジンの投与により、臨床的および予防的の両方で治療されうる。しかし、比較的高い頻度の副作用、狭い抗ウイルススペクトル(A型インフルエンザのみ)および該ウイルスが耐性になる傾向のため、これらの薬物の臨床的有用性は限られている。主要インフルエンザ表面タンパク質である赤血球凝集素およびノイラミニダーゼに対する血清IgG抗体の投与は肺感染を予防することが可能であり、一方、上気道および気管の感染を予防するためには粘膜IgAが必要である。インフルエンザの最も有効な現在の治療法は、ホルマリンまたはβ−プロピオラクトンで不活化されたウイルスの投与によるワクチン接種である。
【0146】
9〜11日間の潜伏期間の後、麻疹ウイルスに感染した宿主は発熱、咳、コリーザおよび結膜炎を発症する。1〜2日以内に、紅斑性斑丘疹性発疹が生じ、これは急速に全身に広がる。感染は細胞性免疫をも抑制するため、該宿主は、中耳炎、肺炎および感染後脳脊髄炎を含む細菌重複感染を発生するリスクが高くなる。急性感染は、栄養不良の青年の場合は特に、有意な罹患率および死亡率に関連づけられる。
【0147】
麻疹の治療はプール化ヒトIgGの受動投与を含み、これは、暴露後1週間以内に投与された場合であっても、非免疫対象における感染を予防しうる。
【0148】
しかし、生弱毒化ウイルスでの前免疫化が最も有効な治療であり、免疫化された者の95%以上において疾患を予防する。このウイルスの血清型は1つであるため、典型的には、1回の免疫化または感染が一生にわたって後続の感染の防御をもたらす。
【0149】
感染宿主の小集団において、麻疹は、中枢神経系の持続感染から生じる慢性進行性神経障害であるSSPEを引き起こしうる。SSPEは、ビリオンの構築および出芽を妨げる欠損を有する、麻疹のクローン性変異体により引き起こされる。これらの患者の場合、ウイルスの消失を促進するための本発明の抗体でのT細胞の再活性化が望ましいであろう。
【0150】
B型肝炎ウイルス(HB−V)は公知の血液媒介性病原体のなかで最も感染性である。それは急性および慢性肝炎、および肝癌、ならびに一生にわたる慢性感染の主要原因である。感染後、該ウイルスは肝細胞内で複製され、ついでそれは表面抗原HBsAgをも放出する。血清における過剰レベルのHBsAgの検出は、B型肝炎感染を診断するための標準的な方法として用いられる。急性感染は回復するか、またはそれは慢性持続的感染へと進行しうる。
【0151】
慢性HBVに対する現在の治療法は、肝細胞の表面上のクラスI白血球抗原(HLA)の発現を増加させることにより細胞傷害性Tリンパ球によるそれらの認識を促進させるα−インターフェロンを含む。また、ヌクレオシド類似体ガンシクロビル(ganciclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)およびラミブジン(lamivudine)も臨床治験においてHBV感染の治療における何らかの効力を示している。HBVの他の治療法は、PEG化(pegylated)α−インターフェロン、アデンフォビル(adenfovir)、エンテカビル(entecavir)およびテルビブジン(telbivudine)を含む。抗HBsAg血清抗体の非経口投与により受動免疫が付与されうるが、不活化または組換えHBsAgでのワクチン接種も感染に対する抵抗性を付与する。本発明の抗体は、治療上有利となるように、B型感染に対する通常の治療法と組合されうる。
【0152】
C型肝炎ウイルス(HC−V)感染は慢性形態の肝炎を招いて、肝硬変を引き起こしうる。症状は、B型肝炎から生じる感染に類似しているが、HB−Vの場合とは顕著に異なり、感染宿主は10〜20年間にわたり無症候性でありうる。HC−V感染の治療法はα−インターフェロンとリバビリンとの組合せの投与を含む。HC−V感染に対する有望な潜在的療法は、プロテアーゼインヒビターであるテラプレビル(telaprevir)(VX−960)である。他の治療法は以下のものを含む:抗PD−1抗体(MDX−1106,Medarex)、バビツキシマブ(bavituximab)(B2−糖タンパク質I依存的にアニオン性リン脂質ホスファチジルセリンに結合する抗体,Peregrine Pharmaceuticals)、抗HPVウイルスコートタンパク質E2抗体(例えば、ATL 6865−Ab68+Ab65,XTL Pharmaceuticals)およびCivacir(登録商標)(ポリクローナル抗HCVヒト免疫グロブリン)。本発明の抗体は、治療上有利となるように、C型肝炎感染に対するこれらの治療法の1以上と組合されうる。
【0153】
本発明の広い範囲は、以下の実施例を参照することにより最もよく理解される。これらの実施例は本発明をそれらの特定の実施形態に限定するものではない。本明細書に記載されている特定の実施形態は例示に過ぎず、本発明は、添付の特許請求の範囲の条項、およびそのような特許請求の範囲が主張する均等物の全範囲により限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、DTA−1(mGITRに特異的である;例えば、Shimizuら,(2002)Nature Immunol.3:135−142を参照されたい)と局所照射との組合せ治療の相乗効果を示す。「CR」は完全退縮を意味する。
【図2】図2は、NaismithおよびSprang(1998)Trends Biochem.Sci.23:74−79に記載されている方法により決定された、GITRのモジュールを示す。太字の残基は、本明細書に記載のとおりに決定されたコンホメーションDTA−1様エピトープを示す。 実施例[実施例1]
【0155】
全般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Maniatisら(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning,3rded,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217,Academic Press,San Diego,CA.に記載されている。標準的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology,VoIs.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NYにも記載されており、これは、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞および酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタンパク質発現(Vol.3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0156】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.1,John Wiley aad Sons,Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている。例えば、Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Ausubelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5−16.22.17;Sigma−Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45−89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384−391を参照されたい。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の製造、精製および断片化が記載されている(Coliganら(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;HarlowおよびLane,前掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的な技術が利用可能である。例えば、Coliganら(2001)Current Protcols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照されたい。
【0157】
蛍光標示式細胞分取検出系(FACS(登録商標))を含むフローサイトメトリーのための方法が利用可能である。例えば、Owensら(1994)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(2001)Flow Cytometry,2nded.;Wiley−Liss,Hoboken,NJ:Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい。例えば診断試薬として使用される、核酸プライマーおよびプローブを含む核酸、ポリペプチドならびに抗体を修飾するのに適した蛍光試薬が入手可能である(Molecular Probes(2003)Catalog,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma−Aldrich(2003)Catalog,St.Louis,MO)。
【0158】
免疫系の組織学の標準的方法が記載されている。例えば、Muller−Harmelink(編)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology,Springer Verlag,New York,NY;Hiattら(2000)Color Atlas of Histology,Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA;Louisら(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw−Hill,New York,NYを参照されたい。
【0159】
例えば抗原断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能性ドメイン、グリコシル化部位および配列アライメントを決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースが利用可能である。例えば、GenBank,Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevada);Menneら(2000)Bioinformatics 16:741−742;Menneら(2000)Bioinformatics Applications Note 16:741−742;Wrenら(2002)Comput.Methods Programs Biomed.68:177−181;von Heijne(1983)Eur.J.Biochem.133:17−21;von Heijne(1986)Nucleic Acids Res.14:4683−4690を参照されたい。
[実施例2]
【0160】
抗ヒトGITR抗体のヒト化
抗体のヒト化は、全般的には、例えばPCT出願公開WO 2005/047324およびWO 2005/047326に記載されている。
【0161】
簡潔に説明すると、非ヒトVHドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号1〜11)を5つのヒトVH生殖系列アミノ酸配列(亜群IGHV1およびIGHV4からの1つの代表体、ならびに亜群IGHV3からの3つの代表体)の一群と比較する。VH亜群はM.−P.Lefranc(2001)“Nomenclature of the Human Immunoglobulin Heavy (IGH)Genes”,Experimental and Clinical Immunogenetics 18:100−116に列挙されている。ヒト化VHドメインを構築するために、最も厳密な一致(マッチ)を伴うヒト生殖系列配列のフレームワーク配列を使用する。
【0162】
本明細書に開示されているげっ歯類抗huGITR抗体はVLのカッパサブクラスの全てである。非ヒトVLドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号12〜22)を4つのヒトVLカッパ生殖系列アミノ酸配列の一群と比較する。その4つを含む群は、V.Barbie & M.−P.Lefranc(1998)“The Human Immunoglobulin Kappa Variable(IGKV)Genes and Joining(IGKJ)Segments”,Experimental and Clinical Immunogenetics 15:171−183およびM.−P.Lefranc(2001)“Nomenclature of the Human Immunoglobulin Kappa(IGK)Genes”,Experimental and Clinical Immunogenetics 18:161−174に列挙されている4つの確立されたヒトVL亜群のそれぞれからの1つの代表体から構成される。また、それらの4つの亜群は、Kabatら(1991−5th Ed.)“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242,pp.103−130に列挙されている4つの亜群に対応している。ヒト化VLドメインを構築するために、最も厳密な一致(マッチ)を伴うヒト生殖系列配列のフレームワーク配列を使用する。
【0163】
可変重鎖および軽鎖の標的アミノ酸配列が決定されたら、完全長ヒト化抗体をコードするプラスミドを作製することが可能である。該DNA配列を標的ヒト化抗体配列に変化させるために、クンケル(Kunkel)突然変異誘発(Kunkel TA.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 82:488−492)を用いてプラスミド配列を改変することが可能である。同時に、潜在的に最適な発現を得るためにコドン最適化が行われうる。
【0164】
本発明の抗体は、ヒト化抗体の受容(アクセプター)生殖系列配列を特定する方法を用いてヒト化されうる。該方法は、a)所望の生物活性を有する非ヒト抗体を特定し、b)非ヒト抗体VおよびVドメインのアミノ酸配列を決定し、c)該非ヒト抗体配列をヒト生殖系列配列の一群と比較し[ここで、該比較は、1)Kabat(前掲)に従い該非ヒトV配列に残基番号を割り当て、2)Kabat(前掲)に従い該配列におけるCDRおよびFR領域を表示し、3)該非ヒト配列とヒト抗体生殖系列配列とが同一である特定の残基位置において所定の数的スコアを割り当て、4)該残基スコアの全てを合計して各ヒト生殖系列配列に関する総スコアを得る小工程を含む]、d)最高総残基スコアを有するヒト生殖系列配列を受容生殖系列配列として特定する工程を含む。1つの実施形態においては、該方法は更に、5)小工程(4)の後で同一総残基スコアを有する生殖系列配列に対して、小工程(3)においてスコア化されなかった、非ヒト配列とヒト抗体生殖系列配列とが同一である各FR残基位置に、1の数的スコアを割り当て、6)該残基スコアの全てを合計して各ヒト生殖系列配列に関する総スコアを得る小工程を含む。特定の実施形態においては、該非ヒト抗体はGITRに特異的であり、GITRの生物活性を増強する。また、本発明においては、前記方法により製造された抗体を提供する。
【0165】
1つの実施形態においては、GITR抗体は、以下の方法を用いてヒト化される。まず、GITR抗体の非ヒトVおよびVドメインをクローニングし、配列決定し、アミノ酸配列を決定する。ついで、該非ヒトV配列を3つのヒトV生殖系列アミノ酸配列の一群と比較する。それらの3つの群は、亜群IGHV1、IGHV3およびIGHV4のそれぞれからの1つの代表体を含有する。該V亜群はM.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics,18:100−116(2001)に列挙されている。特に、それらの3つの生殖系列配列との比較は、Kabatの付番系に従い非ヒトV配列に残基番号を割り当てることから開始する。Kabatら,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(5th Ed.,1991)を参照されたい。ついで該非ヒトV配列をそれらの3つのヒト生殖系列配列のそれぞれと整列(アライメント)させる。V遺伝子はV残基1−94のみを含むため、これらの残基のみが該アライメントにおいて考慮される。つぎに該配列内の相補性決定(CDR)領域およびフレームワーク(FR)領域を表示する。CDRおよびFRは、Kabatら,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(5th Ed.,1991)およびC.Chothia & A.M.Lesk,J.Mol.Biol,196:901−917(1987)に記載されている定義の組合せに従い表示される。したがって、用いられるCDRの定義はCDR1に関しては残基26−35であり、CDR2に関しては残基50−65であり、CDR3に関しては残基95−102(Vドメイン)である。次の工程は、該非ヒト配列とヒト配列とが同一である特定された残基位置において数的スコアを割り当てることを含む。このスコア化の一例を以下の表4に示す。
【0166】
【表4】

残基位置に数的スコアを割り当てた後、該残基スコアの全てを合計する。該受容生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2以上の生殖系列配列が同一スコアを有する場合、以下のFR残基について、該非ヒト配列とヒト配列とが同一である各位置に関する合計に1を加える:1−23、25、36、38−47、66、68、70、72、74、75、77および79−93(最高60)。該残基スコアを再び合計し、該受容生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2以上の生殖系列配列が尚も同一スコアを有する場合には、いずれか一方が該受容生殖系列配列として用いられうる。
【0167】
該V配列がVのカッパサブクラスのメンバーである場合、GITR特異的抗体からの非ヒトV配列を4つのヒトVカッパ生殖系列アミノ酸配列の一群と比較する。それらの4つの配列は、V.Barbie & M.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics 15:171−183(1998)およびM.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics 18:161−174(2001)に列挙されている確立されているヒトV亜群のそれぞれからの1つの代表体から構成される。それらの4つの配列はまた、Kabatら,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242,pp.103−130(5th Ed.,1991)に列挙されている4つの亜群に対応している。それらの4つの生殖系列配列との該非ヒト配列の比較は、Kabatら,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(5th Ed.,1991)に従い、該非ヒトV配列残基への残基番号の割り当てから開始する。ついで該非ヒトV配列をそれらの4つのヒト生殖系列配列のそれぞれと整列(アライメント)させる。V遺伝子はV残基1−95のみを含むため、これらの残基のみが該アライメントにおいて考慮される。つぎに該配列における相補性決定(CDR)領域およびフレームワーク(FR)領域を表示する。CDRおよびFRは、Kabatら,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(5th Ed.,1991)およびC.Chothia & A.M.Lesk,J.Mol.Biol,196:901−917(1987)に記載されている定義の組合せに従い表示される。したがって、用いられるCDRの定義はCDR1に関しては残基24−36であり、CDR2に関しては残基50−56であり、CDR3に関しては残基89−97(Vドメイン)である。次の工程は、該非ヒト配列とヒト配列とが同一である特定された残基位置において数的スコアを割り当てることを含む。このスコア化の一例を以下の表5に示す。
【0168】
【表5】

残基位置に数的スコアを割り当てた後、該残基スコアの全てを合計する。該受容生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2以上の生殖系列配列が同一スコアを有する場合、以下のFR残基について、該非ヒト配列とヒト配列とが同一である各位置に関する合計に1を加える:1−3、5−23、35−42、44−49、57、59−88(最高67)。該残基スコアを再び合計し、該受容生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2以上の生殖系列配列が尚も同一スコアを有する場合には、いずれか一方が該受容生殖系列配列として用いられうる。
【0169】
前記の親モノクローナル抗体を、この方法を用いてヒト化した。配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108および110は可変重鎖ポリペプチドの配列であり、配列番号91、93、95、97、99、101、103、105、107、109および111は可変軽鎖の配列である。
[実施例3]
【0170】
KinExA技術を用いる抗ヒトGITR抗体に関する平衡解離定数(K)の決定
抗ヒトGITR抗体に関する平衡解離定数(K)を、KinExA300装置(Sapidyne Instruments Inc.,Boise Idaho,USA)を使用して決定する。KinExAは、抗体、抗原および抗体−抗原複合体の混合物中の未複合体化抗体の濃度を測定することに基づく動的排除アッセイ(Kinetic Exclusion Assay)の原理を利用する。固相固定化抗原に該混合物を非常に短時間にわたりさらすことにより、遊離抗体の濃度を測定する。実際には、これは、該溶液相抗原−抗体混合物を、フローセル内に捕捉された抗原被覆粒子に通過流動させることにより行われる。該装置により得られたデータを、特製ソフトウェアを使用して解析する。以下の仮定に基づく数学的理論を用いて、平衡定数を計算する。
【0171】
1.該結合は平衡に関する可逆的結合式に従う:
on[Ab][Ag]=koff[AbAg]
2.抗体および抗原は1:1で結合し、全抗体は抗原・抗体複合体+遊離抗体に等しい。
【0172】
3.装置のシグナルは遊離抗体濃度に直線的に関連づけられる。
【0173】
Sapidyne“Protocol for coating PMMA particles with biotinylated ligands having short or nonexistent linker arms”に従い、PMMA粒子(Sapidyne,Cat No.440198)をビオチン化GITR(またはその断片、例えば細胞外ドメイン)で被覆する。GITRのビオチン化のためには、EZ結合TFP PEO−ビオチン(Pierce,Cat.No.21219)を、該製造業者の推奨(Pierce bulletin 0874)に従い使用する。
[実施例4]
【0174】
BIAcore技術を用いるヒト化抗ヒトGITR抗体に関する平衡解離定数(K)の決定
同時係属共有譲渡米国特許出願第11/511,635号(2006年8月29日付け出願)の実施例4に記載されているのと実質的に同じ方法で、BIAcore測定を行う。簡潔に説明すると、標準的なアミン−カップリング法を用いて、結合相手をBIAcore CM5センサーチップ上に固定化する。BIAevaluationソフトウェア3.1を使用して、種々の相互作用に関する反応速度定数を決定する。該Kは、計算された解離および会合速度定数を使用して決定する。
【0175】
GITR抗体36E5、3D6、61G6、6H6、61F6、1D8、17F10、35D8、49A1、9E5および31H6は以下のK値を有していた。
【0176】
【表6】

[実施例5]
【0177】
抗GITR抗体の活性化の評価のためのバイオアッセイ
モノクローナル抗体がGITR活性を生物学的に増強する能力を、ナイーブT細胞の増殖に対する効果により評価した(例えば、Itoら(2006)PNAS 103(35):13138−43を参照されたい)。フィコール(Ficoll)遠心分離、およびそれに続く、STEMCELL TechnologiesのナイーブCD4 T細胞単離キットの使用により、ナイーブCD4 T細胞を末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。
【0178】
96ウェル組織丸底培養プレート内で、合計2×10個の新たに精製されたナイーブCD4 T細胞を、抗hGITR抗体またはイソタイプ抗体(これは抗CD3で予め被覆されている)の存在下、照射されたCD32発現L細胞と共に共培養した。
【0179】
表7Aおよび7BはナイーブCD4+ T細胞(KM$−R63はイソタイプ対照抗体である)の増殖に対する種々の用量の抗GITR抗体の効果を示す。
【0180】
【表7】

[実施例5]
【0181】
TGF−βおよびGITR抗体での腫瘍の治療
これまでの研究は、4T1腫瘍の遺伝子発現がTGF−β mRNAのレベルを増加させることを示している。TGF−βシグナリングの抑制による免疫抑制の除去と組合された抗GITRアゴニストによる免疫共刺激が相乗的抗腫瘍効力を誘導すると仮定した。
【0182】
この仮定を試験するために、1.5×10個の4T1腫瘍細胞をBalb/Cマウスの右脇腹に皮下移植した。腫瘍移植の4または7日後、マウスTGF−βに対する中和抗体(1D11;Bioexpress)を100μg/200μLで頚部に皮下注射し、3日ごとに合計7用量にわたって繰返した。抗マウスGITRアゴニスト抗体DTA−1を第7日、14日および21日に500μg/200μLで注射した。腫瘍体積を3日ごとに測定した。以下の表8に示されているとおり、DTA−1または抗TGF−βは単独では、それ自体はほどんど効果を示していない。組合せ治療は抗TGF−β治療の開始日(腫瘍移植の4または7日後)のいずれかに対する相乗効果を誘導する。
【0183】
【表8】

[実施例6]
【0184】
CT26腫瘍の抗体−放射線組合せ治療
CT26腫瘍細胞(3×10個)をBalb/cマウスの左脇腹に皮下移植した。DTA−1が単独では腫瘍殺傷効力を示さないことを観察した後、300mmまで成長した腫瘍に局所照射(10Gy)を適用した。該照射の1日後、DTA−1(500μg)を頚部領域に皮下注射し、合計3用量にわたって毎週繰返した。腫瘍体積を2〜5日ごとに測定した。局所照射およびDTA−1組合せ治療を行った10匹のマウスの群においては、5匹は完全に該腫瘍を拒絶し、3ヶ月まで生存した。DTA−1または照射は単独では腫瘍拒絶を示さなかった(例えば、図1を参照されたい)。
[実施例7]
【0185】
GITR抗体のエピトープマッピング
前記のとおり、DTA−1は、マウスGITRに対して産生されたアゴニスト抗体である(例えば、Shimizuら,前掲を参照されたい)。DTA−1は癌のマウスモデルにおいて強力な抗腫瘍活性を有することが示されている(例えば、Cohenら,(2006)Cancer Res.66:4904−4912;Ramirez−Montagutら,(2006)J.Immunol.176:6434−6442;Zhouら,(2007)J.Immunol.179:7365−7375;およびKoら,(2005)J.Exp.Med.202:885−891を参照されたい)。
【0186】
前記の抗体がヒトGITRタンパク質上のDTA−1様エピトープに結合したかどうかを判定するために、該DTA−1エピトープを、まず、マウスGITRタンパク質上でマッピングした。ヒトGITRもマウスGITRもそれらの結晶構造は入手できず、標準的な部位特異的突然変異誘発技術(例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:488−492を参照されたい)およびTNF受容体ファミリーのモジュラリティ(modularity)の一般的原理(例えば、NaismithおよびSprang,前掲を参照されたい)を用いて、DTA−1エピトープを決定した。
【0187】
DTA−1により認識されるマウスGITRエピトープが決定されたら、ヒトGITRにDTA−1結合をもたらすために、ヒトGITR上の対応残基を該マウス残基に変化させた。これから、ヒトGITR上のDTA−1様エピトープがモジュール3および4にわたり(図2を参照されたい)、前記で特定された抗体の2つにより認識されるヒトGITR(配列番号89)エピトープがGly57、Arg65、His67、Lys80、Phe81、Ser82およびGin86を含むことが決定された。
[実施例8]
【0188】
抗GITR抗体でのウイルス感染の治療
HIV感染は、中枢記憶細胞の生成および維持の欠損により特徴づけられる。CD8+中枢記憶細胞は対照より短い半減期を有し、HIV感染個体内に対照ほどは豊富に存在しない。また、CD4+およびCD8+ HIV特異的T細胞の両方の度数は高活性抗レトロウイルス療法(HAART)の開始後に急速に減少する。抗GITRによるCD4+に対する共刺激は、記憶CD8+応答を増強し該ウイルスの消失に寄与するメカニズムをもたらしうる。Tregsによる抑制を改善するための抗GITR抗体でのフレンドウイルス持続感染マウスの治療は、CD8+ T細胞によるIFNγ産生を有意に改善し、ウイルス負荷における有意な減少を可能にしたことが示されている(Dittmerら,(2004)Immunity 20:293−303)。
【0189】
HIV感染のもう1つの特徴は、HIV感染の初期に始まる、CD4+ T細胞の甚だしいアポトーシスである。CD4 T細胞の進行性アポトーシス性消失はHIV特異的細胞免疫応答の低下をもたらし、エイズの発症をもたらす。GITR共刺激は、T細胞をアポトーシスから保護することによりマウス抗原特異的サイトカイン分泌を増強することが示されている。Laheyら(2007)J Infect Dis.196:43−49は、HIV特異的CD4+ T細胞の抗GITR治療がそれらのサイトカイン発現を増強し、それらをアポトーシスから保護することを示した。
【0190】
ウイルスが原因で生じる感染の場合、本発明の抗体は、ウイルス感染を治療するための標準的療法の適用と同時、それより前または後の適用により組合されうる。そのような標準的療法はウイルスのタイプに応じて様々であるが、ほとんど全ての場合、該ウイルスに特異的な抗体(例えば、IgA、IgG)を含有するヒト血清の投与が有効でありうる。
【0191】
インフルエンザ感染は発熱、咳、筋肉痛、頭痛および倦怠感を引き起こし、これは、しばしば、季節的流行期に生じる。インフルエンザは、脳炎、心筋心嚢炎、グッドパスチャー症候群およびライエ症候群のような幾つかの感染後障害にも関連づけられている。インフルエンザ感染は正常な肺抗細菌防御をも抑制し、その結果、患者がインフルエンザから回復した際に細菌性肺炎の発症のリスクの増大を伴う。
【0192】
インフルエンザウイルス表面タンパク質は、突然変異および組換えから生じる顕著な抗原変異を示す。したがって、細胞傷害性Tリンパ球が、感染後のウイルスの排除のための、宿主の主要な手段である。インフルエンザはA、BおよびCの3つの主要型に分類される。A型インフルエンザは、それがヒトおよび多数の他の動物(例えば、ブタ、ウマ、鳥類およびアザラシ)に感染し汎流行性インフルエンザの主要原因である点で特有である。また、細胞が2つの異なるインフルエンザA株に感染すると、2つの親ウイルス型のセグメント化RNAゲノムが複製中に混合してハイブリッド複製体が生じ、新たな流行性株が生じる。B型インフルエンザは動物においては複製されず、したがってそれほど遺伝的変異は生じず、C型インフルエンザは単一の血清型しか有さない。
【0193】
ほとんどの通常の療法は、感染から生じる症状の対症療法であり、その一方で、実際には宿主の免疫応答が該疾患を消失させる。しかし、ある株(例えば、A型インフルエンザ)は、より重篤な疾患および死亡をもたらしうる。A型インフルエンザは、ウイルス複製を抑制する環状アミンインヒビターであるアマンタジンおよびリマンタジンの投与により、臨床的および予防的の両方で治療されうる。しかし、比較的高い頻度の副作用、狭い抗ウイルススペクトル(A型インフルエンザのみ)および該ウイルスが耐性になる傾向のため、これらの薬物の臨床的有用性は限られている。主要インフルエンザ表面タンパク質である赤血球凝集素およびノイラミニダーゼに対する血清IgG抗体の投与は肺感染を予防することが可能であり、一方、上気道および気管の感染を予防するためには粘膜IgAが必要である。インフルエンザの最も有効な現在の治療法は、ホルマリンまたはβ−プロピオラクトンで不活化されたウイルスの投与によるワクチン接種である。
【0194】
9〜11日間の潜伏期間の後、麻疹ウイルスに感染した宿主は発熱、咳、コリーザおよび結膜炎を発症する。1〜2日以内に、紅斑性斑丘疹性発疹が生じ、これは急速に全身に広がる。感染は細胞性免疫をも抑制するため、該宿主は、中耳炎、肺炎および感染後脳脊髄炎を含む細菌重複感染を発生するリスクが高くなる。急性感染は、栄養不良の青年の場合は特に、有意な罹患率および死亡率に関連づけられる。
【0195】
麻疹の治療はプール化ヒトIgGの受動投与を含み、これは、暴露後1週間以内に投与された場合であっても、非免疫対象における感染を予防しうる。
【0196】
しかし、生弱毒化ウイルスでの前免疫化が最も有効な治療であり、免疫化された者の95%以上において疾患を予防する。このウイルスの血清型は1つであるため、典型的には、1回の免疫化または感染が一生にわたって後続の感染の防御をもたらす。
【0197】
感染宿主の小集団において、麻疹は、中枢神経系の持続感染から生じる慢性進行性神経障害であるSSPEを引き起こしうる。SSPEは、ビリオンの構築および出芽を妨げる欠損を有する、麻疹のクローン性変異体により引き起こされる。これらの患者の場合、ウイルスの消失を促進するための本発明の抗体でのT細胞の再活性化が望ましいであろう。
【0198】
B型肝炎ウイルス(HB−V)は公知の血液媒介性病原体のなかで最も感染性である。それは急性および慢性肝炎、および肝癌、ならびに一生にわたる慢性感染の主要原因である。感染後、該ウイルスは肝細胞内で複製され、ついでそれは表面抗原HBsAgをも放出する。血清における過剰レベルのHBsAgの検出は、B型肝炎感染を診断するための標準的な方法として用いられる。急性感染は回復するか、またはそれは慢性持続的感染へと進行しうる。
【0199】
慢性HBVに対する現在の治療法は、肝細胞の表面上のクラスI白血球抗原(HLA)の発現を増加させることにより細胞傷害性Tリンパ球によるそれらの認識を促進させるα−インターフェロンを含む。また、ヌクレオシド類似体ガンシクロビル(ganciclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)およびラミブジン(lamivudine)も臨床治験においてHBV感染の治療における何らかの効力を示している。HBVの他の治療法は、PEG化(pegylated)α−インターフェロン、アデンフォビル(adenfovir)、エンテカビル(entecavir)およびテルビブジン(telbivudine)を含む。抗HBsAg血清抗体の非経口投与により受動免疫が付与されうるが、不活化または組換えHBsAgでのワクチン接種も感染に対する抵抗性を付与する。本発明の抗GITR抗体は、治療上有利となるように、B型感染に対する通常の治療法と組合されうる。
【0200】
C型肝炎ウイルス(HC−V)感染は慢性形態の肝炎を招いて、肝硬変を引き起こしうる。症状は、B型肝炎から生じる感染に類似しているが、HB−Vの場合とは顕著に異なり、感染宿主は10〜20年間にわたり無症候性でありうる。HC−V感染の治療法はα−インターフェロンとリバビリンとの組合せの投与を含む。HC−V感染に対する有望な潜在的療法は、プロテアーゼインヒビターであるテラプレビル(telaprevir)(VX−960)である。他の治療法は以下のものを含む:抗PD−1抗体(MDX−1106,Medarex)、バビツキシマブ(bavituximab)(B2−糖タンパク質I依存的にアニオン性リン脂質ホスファチジルセリンに結合する抗体,Peregrine Pharmaceuticals)、抗HPVウイルスコートタンパク質E2抗体(例えば、ATL 6865−Ab68+Ab65,XTL Pharmaceuticals)およびCivacir(登録商標)(ポリクローナル抗HCVヒト免疫グロブリン)。本発明の抗GITR抗体は、治療上有利となるように、C型肝炎感染に対するこれらの治療法の1以上と組合されうる。
【0201】
【表9】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号59〜88からなる群から選択される3つのCDR配列を有する抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性フラグメント、および
b)配列番号23〜55からなる群から選択される3つのCDR配列を有する抗体重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性フラグメント
を含む、ヒトGITRに結合する結合性化合物。
【請求項2】
該CDRが、
a)配列番号56〜66からなる群からの少なくとも1つのCDRL1、配列番号67〜77からなる群からの少なくとも1つのCDRL2、および配列番号78〜88からなる群からの少なくとも1つのCDRL3、ならびに
b)配列番号23〜33からなる群からの少なくとも1つのCDRH1、配列番号34〜44からなる群からの少なくとも1つのCDRH2、および配列番号45〜55からなる群からの少なくとも1つのCDRH3
を含む、請求項1記載の結合性化合物。
【請求項3】
a)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108および110からなる群から選択され、かつ、
b)該軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列が、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109および111からなる群から選択される、請求項1記載の結合性化合物。
【請求項4】
a)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号90であり、該軽鎖可変ドメインの配列が配列番号91である、
b)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号92であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号93である、
c)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号94であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号95である、
d)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号96であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号97である、
e)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号98であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号99である、
f)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号100であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号101である、
g)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号102であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号103である、
h)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号104であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号105である、
i)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号106であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号107である、
j)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号108であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号109である、または
k)該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号110であり、該重鎖可変ドメインのアミノ酸配列が配列番号111である、請求項3記載の結合性化合物。
【請求項5】
交差遮断アッセイにおいてヒトGITRへの請求項4記載の結合性化合物の結合を遮断しうる抗体。
【請求項6】
請求項4記載の結合性化合物の軽鎖可変ドメインまたは重鎖可変ドメインの少なくとも1つをコードする単離された核酸。
【請求項7】
制御配列に機能的に連結された請求項6記載の核酸を含む発現ベクターであって、該制御配列が、該ベクターでトランスフェクトされる宿主細胞により認識される、発現ベクター。
【請求項8】
請求項7記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項8記載の宿主細胞を、該核酸配列が発現される条件下で培養し、それにより、軽鎖および重鎖可変ドメインを含むポリペプチドを得、該宿主細胞または培地から該ポリペプチドを回収することを含む、ポリペプチドの製造方法。
【請求項10】
γ1ヒト重鎖定常領域またはその変異体(該定常領域変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む)を含む重鎖定常領域を更に含む、請求項4記載の結合性化合物。
【請求項11】
γ4ヒト重鎖定常領域またはその変異体(該定常領域変異体は20個までの保存的に修飾されたアミノ酸置換を含む)を含む重鎖定常領域を更に含む、請求項4記載の結合性化合物。
【請求項12】
該結合性化合物が、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)およびジアボディからなる群から選択される抗体フラグメントである、請求項4記載の結合性化合物。
【請求項13】
ヒト対象における免疫応答を増強する方法であって、該方法が、それを要する対象に、GITRの生物活性を増強するのに有効な量の、GITRに特異的な抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与することを含み、該抗体が請求項5記載の抗体である、方法。
【請求項14】
該GITR抗体またはその抗原結合性フラグメントが抗TGFβ抗体と共に共投与される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
該GITR抗体またはその抗原結合性フラグメントが局所放射線と共に共投与される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
該免疫応答が増殖性障害に対するものである、請求項13記載の方法。
【請求項17】
該免疫応答がウイルス感染に対するものである、請求項13記載の方法。
【請求項18】
請求項4記載の抗体と医薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項19】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、該ハイブリドーマが、PTA−9889、PTA−9890、PTA−9891、PTA−9892、PTA−9893、PTA−10286、PTA−10287、PTA−10288、PTA−10289、PTA−10290およびPTA−10291からなる群から選択される、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項20】
ヒトGITRタンパク質に結合する抗体または抗原結合性フラグメントであって、該抗体または抗原結合性フラグメントが、ヒトGITRタンパク質(配列番号89)のモジュール3およびモジュール4にわたるエピトープを認識する、抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項21】
該エピトープがGly57、Arg65、His67、Lys80、Phe81、Ser82およびGln86を含む、請求項20記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項22】
PTA−9889、PTA−9890、PTA−9891、PTA−9892、PTA−9893、PTA−10286、PTA−10287、PTA−10288、PTA−10289、PTA−10290およびPTA−10291からなる群から選択されるハイブリドーマにより産生される抗体または抗体フラグメントの少なくとも1つを交差遮断する、請求項20記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503632(P2013−503632A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527963(P2012−527963)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047248
【国際公開番号】WO2011/028683
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(596129215)メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション (785)
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
【住所又は居所原語表記】One Merck Drive,Whitehouse Station,New Jersey 08889,U.S.A.
【Fターム(参考)】