説明

抗IGF−1Rヒト・モノクローナル抗体製剤

本発明は、抗IGF-1Rヒト・モノクローナル抗体製剤、その調製方法、及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗IGF-1Rヒト・モノクローナル抗体製剤、その調製方法、及びその使用に関する。
【0002】
ある側面において、本発明は、以下の:
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−約0.001〜約1%の少なくとも1種類の界面活性剤、及び
−約1〜約100mMのバッファー、
を含み、
−約5.0〜約7.0のpH、
であるIGF-1R製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
IGF-IR(1型インスリン様成長因子受容体)は、癌化(oncogenic transformation)の促進、増殖、及び癌細胞の生存に関与している。高レベルのIGF-IR発現が、広範囲なヒト悪性腫瘍において報告されている。加えて、高レベルのIGF-I及びIGF-II発現が、腫瘍及び関連するストロマ細胞において指摘されているので、オートクリン又はパラクリン様式で癌細胞増殖を刺激するかもしれない。疫学的研究で、五分位点以上のIGF-I血漿レベルと前立腺癌、結腸癌、肺癌、及び乳癌の高い危険性に相関関係があることが明らかになった。癌細胞の増殖におけるその役割に加えて、IGF-IRは、成長因子の枯渇、足場非依存性、又は細胞傷害性薬物療法によって引き起こされるアポトーシスから細胞を保護する。
【発明の開示】
【0004】
癌細胞におけるIGF-IRの機能を抑制する1つの有望なストラテジーは、IGF-IRの細胞外ドメインに結合して、レセプターの活性化を阻害するヒト抗IGF-IR抗体を利用することである。I型ヒト・インスリン様成長因子受容体(IGF-IR)に特異的に結合し、そして、癌細胞におけるその受容体のシグナル伝達及び増殖の機能を抑制する、huMab IGF-1Rと表される、前述のような拮抗性をもつ完全ヒト・モノクローナル抗体が開発されてきた。
【0005】
本発明の製剤に含まれる抗体は、出願人が権利所有者であり、且つ、その内容、特に、特許請求の範囲を本明細書で援用するPCT特許出願番号WO 2005/005635で最初に説明された。WO 2005/005635に記載のとおり、前述の抗体は、IGF-IRに結合し、IGF-I及びIGF-IIのIGF-IRへの結合を抑制する、そして、それは、以下の:
a)IgG1アイソタイプであり、
b)1:3〜3:1の、IGF-IのIGF-IRへの結合の阻害:IGF-IIのIGF-IRへの結合の阻害に関するIC50値の比を示し、
c)0.5%の加熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)を含む培地中、HT29細胞を使用した細胞リン酸化アッセイにおいて、前述の抗体を含まないそのようなアッセイと比較したときに、5nMのIGF-IRリン酸化の濃度にて、少なくとも80%、好ましくは、少なくとも90%を抑制し、そして、
d)0.5%の加熱不活性化胎児ウシ血清(FCS)を含む培地中、1細胞あたり400,000〜600,000分子のIGF-IRを与える3T3細胞を使用した細胞リン酸化アッセイにおいて、前述の抗体を含まないそのようなアッセイと比較したときに、10μMの濃度にてpkBリン酸化として計測されるIGF-IR刺激活性を示さない、
ことを特徴とする。
【0006】
本発明による製剤に含まれる抗体は、抗腫瘍治療を必要としている患者の利益を示し、そして、腫瘍増殖の低減と、進行までの時間の有意な延長をもたらす。本発明による製剤に含まれる抗体は、IGF脱調節に関連する疾患、特に、腫瘍疾患に罹患している患者に利益をもたらす新規の、独創的な特性を有する。本発明の製剤に含まれる抗体は、先に触れた特性によって特徴づけられる。それ故に、前記特性は、特に、IGF-IRへの特異的な結合、先に触れた比でのIGF-I及びIGF-IIのIGF-IRへの結合の阻害、IgG1アイソタイプであること、IC50値の200倍の濃度にてIGF-IR過剰発現細胞においてでさえIGF-IRシグナル伝達を活性化しないことである。「IGF-I様活性」をもたない抗体は、治療薬として使用される場合に、大いなる利点をもたらす。
【0007】
用語「抗IGF-1Rヒト・モノクローナル抗体」又は「huMAb IGF-IR」は、その内容、特に、特許請求の範囲が本明細書で援用されるWO 2005/005635に記載されており、且つ特許請求の範囲で規定されている抗体を意味する。
【0008】
用語「抗体」は、本発明による特徴的な性質が保持される限り、全抗体に制限されることなく、抗体フラグメント、ヒト抗体、ヒト化抗体、及び遺伝子操作された抗体を含めた種々の抗体を網羅する。
【0009】
「抗体フラグメント」は、その完全長抗体の一部、一般に、少なくともその抗原結合部分又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、抗体フラグメントから形成された、二重特異性抗体、一本鎖抗体分子、免疫毒素、及び多特異的な抗体が含まれる。加えて、抗体フラグメントは、VH鎖の特徴、すなわち、VL鎖と共に会合することができること、又はIGF-1Rに結合するVL鎖の特徴、すなわち、VH鎖と共に機能性抗原結合ポケットへと会合し、その結果、IGF-IとIGF-IIのIGF-IRへの結合を阻害する特性を提供することができること、を有する1本鎖ポリペプチドを含む。
【0010】
「抗体フラグメント」は、また、それ自体はエフェクター機能(ADCC/CDC)を提供できないが、適切な抗体定常ドメインと組み合わせられた後に、本発明による様式によりこの機能を提供する前述のフラグメントを含む。
【0011】
用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書中では、単一アミノ酸組成物から成る抗体分子の調製物を指す。従って、用語「ヒト・モノクローナル抗体」は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域をもち、単一結合特異性を示す抗体を指す。1つの態様において、ヒト・モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた、ヒト重鎖導入遺伝子とヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムをもつヒト以外のトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック・マウス、から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって作製される。
【0012】
用語「キメラ抗体」は、通常、組み換えDNA技術によって調製された、ある起源若しくは種からの可変領域、すなわち、結合領域と、別の起源若しくは種から得られた定常領域の少なくとも一部を含むモノクローナル抗体を指す。マウス可変領域とヒト定常領域を含むキメラ抗体が、特に好まれる。そのようなマウス/ヒト・キメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNA断片と、ヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNA断片を含む発現免疫グロブリン遺伝子の生成物である。本発明によって網羅される「キメラ抗体」の他の形態は、クラス又はサブクラスが本来の抗体のものから修飾されているか、又は変更されているものである。そのような「キメラ」抗体は、また、「クラス・スイッチ抗体」とも呼ばれる。キメラ抗体の作製方法には、当該技術分野で現在周知である従来の組み換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を必要とする。例えば、Morrison, S. L., et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81(1984)6851-6855;米国特許番号第5,202,238号、及び同第5,204,244号を参照のこと。
【0013】
用語「ヒト化抗体」は、フレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)が親免疫グロブリンのものと比較して、異なった特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように修飾された抗体を指す。好ましい態様において、マウスCDRが、ヒト抗体のフレームワーク領域内に移植されて、「ヒト化抗体」を調製する。例えば、Riechmann, L, et al., Nature 332(1988)323-327;及びNeuberger, M. S., et al., Nature 314(1985)268-270を参照のこと。特に好ましいCDRsは、キメラ抗体及び二機能性抗体について先に示した抗原を認識する配列を表すものに相当する。
【0014】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域をもつ抗体を含むことが意図されている。可変重鎖は、好ましくは、生殖系列配列DP-50(GenBank LO6618)由来であり、そして、可変軽鎖は、好ましくは、生殖系列配列L6(GenBank X01668)由来である。前記抗体の定常領域は、ヒトIgG1型の定常領域である。そのような領域は、アロタイプであってもよく、例えば、Johnson, G., and Wu, T. T., Nucleic Acids Res. 28(2000)214-218及びそこに参照されているデータベースによって記載されており、そして、本発明によるADCC、好ましくは、CDCを誘導する特性を保持する限り有用である。
【0015】
用語「組み換えヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を遺伝子導入した、SP2-0、NS0、若しくはCHO細胞などの宿主細胞、又は動物(例えば、マウス)から単離された抗体、あるいは、宿主細胞内にトランスフェクトさせた組み換え発現ベクターを使用して発現された抗体などの、組み換え手段によって調製されるか、発現されるか、作り出されるか、又は単離されるすべてのヒト抗体を含むことが意図されている。そのような組み換えヒト抗体は、再構成された形態のヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域をもつ。本発明による組み換えヒト抗体は、生体内における体細胞超変異を受ける。これにより、組み換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、且つ、それに関連するものの、生体内においてヒト抗体生殖系列レパートリーの中に天然では存在しないかもしれない配列である。
【0016】
本明細書で使用する「結合」は、約10-13〜10-8M(KD)、好ましくは、約10-13〜10-9Mの親和性でIGF-IRに結合する抗体を指す。
【0017】
用語「核酸分子」は、本明細書で使用する場合、DNA分子とRNA分子を含むことが意図されている。核酸分子は、1本鎖であるか又は二本鎖であるかもしれないが、好ましくは、二本鎖DNAである。
【0018】
「定常ドメイン」は、抗原への抗体の結合に直接関与していないが、エフェクター機能(ADCC、補体結合、及びCDC)に関与する。本発明による抗体の定常ドメインは、IgG1型のものである。これらの特徴を有するヒト定常ドメインは、Rabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)、及びBruggemann, M., et al., J. Exp. Med. 166(1987)1351-1361;Love, T. W., et al., Methods Enzymol. 178(1989)515-527によって詳細に説明されている。例は、WO 2005/005635の配列番号5〜8に示されている。他の有用、且つ、好ましい定常ドメインは、本願発明のためにDSMZに寄託されたハイブリドーマ細胞株から得られる抗体の定常ドメインである。本発明に有用な定常ドメインは、補体結合をもたらす。ADCC及び、場合によりCDCは、可変ドメインと定常ドメインの組合せによってもたらされる。
【0019】
「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))は、本明細書中では、抗原に抗体が結合するのに直接関与する軽鎖と重鎖の組のそれぞれを意味する。可変ヒト軽鎖及び重鎖のドメインには、同じ一般構造があり、そして、各ドメインには、3つの「超可変領域」(又は、相補性決定領域、CDRs)によって接続されている、その配列が広範囲にわたって保存されている4つのフレームワーク(FR)領域が含まれる。フレームワーク領域は、β-シート立体構造をとり、そして、CDRsは、そのβ-シート構造を接続するループを形成するかもしれない。各鎖におけるCDRsは、フレームワーク領域によってそれらの三次元構造に折りたたまれ、そして、その他の鎖からのCDRsと共に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖及び軽鎖CDR3領域は、本発明による抗体の結合特異性/親和性に特に重要な役割を果たしているので、そのため、本発明のさらなる目的を提供する。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「超可変領域」又は「抗体の抗原結合部分」は、抗原結合性に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域には、「相補性決定領域」又は「CDRs」からのアミノ酸残基が含まれる。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書中に規定される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン領域である。それ故に、抗体の軽鎖及び重鎖には、N末端からC末端のドメイン、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4が含まれる。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も貢献する領域である。CDRとFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)の標準的な定義、及び/又は「超可変ループ」からのそれらの残基に従って決定される。
【0021】
本明細書中では用語「IGF-IRへの結合」は、試験管内におけるアッセイ、好ましくは、抗体を表面に結合させ、そして、IGF-IRの結合を表面プラズモン共鳴法(SPR)によって計測する結合アッセイにおけるIGF-IRへの抗体の結合を意味する。結合は、10-8M以下、好ましくは、10-13〜10-9Mの結合親和力(KD)を意味する。
【0022】
IGF-IRへの結合は、BIAcoreアッセイ(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala, Sweden)によって調査され得る。結合の親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体からの抗体の結合に関する速度定数)、kd(解離定数)、及びKD(kd/ka)によって規定される。本発明による抗体は、10-10M以下のKDを示す。
【0023】
IGF-IRへのIGF-I及びIGF-IIの結合は、また、本発明による抗体によって阻害される。前記阻害は、腫瘍細胞上のIGF-IRへのIGF-I/IGF-IIの結合に関するアッセイによりIC50として計測される。そのようなアッセイは、実施例7に記載されている。そのようなアッセイにおいて、前述の腫瘍細胞(例えば、HT29)の表面に準備されたIGF-IRに結合した放射性標識IGF-I若しくはIGF-II、又はそのIGF-IR結合フラグメントの量は、抗体濃度の増加なしに、及び抗体濃度を増加させて計測される。IGF-IRへのIGF-I及びIGF-IIの結合に関する本発明による抗体のIC50値は、2nM以下であり、IGF-IRへのIGF-I/IGF-IIの結合に関するIC50値の比は、約1:3〜3:1である。IC50値は、少なくとも3つの独立した測定値の平均値又は中央値として計測される。単独のIC50値は、範囲外であるかもしれない。
【0024】
用語「IGF-IRへのIGF-I及びIGF-IIの結合の阻害」は、本明細書中では、試験管内アッセイにおいてHT29(ATCC HTB-38)腫瘍細胞の表面に準備されたIGF-IRへのI125-標識IGF-I又はIGF-IIの結合を阻害することを指す。阻害は、2nM以下のIC50値を意味する。
【0025】
用語「界面活性剤」は、本明細書中では、医薬として許容される界面活性剤を意味する。本発明の製剤において、界面活性剤の量は、重量/体積で表される百分率が記載されている。最も一般的に使用される重量/体積の単位は、mg/mLである。好適な医薬として許容される界面活性剤には、限定しないが、ポリエチレン-ソルビタン-脂肪酸エステル、ポリエチレン-ポリプロピレン・グリコール、ポリオキシエチレン-ステアラート、及びドデシル硫酸ナトリウムが含まれる。好ましいポリエチレン-ソルビタンは、ポリエチレン(20)-ソルビタン・エステル(ポリソルベート20に対する別名、商標Tween 20(登録商標)で販売されている)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80に対する別名、商標Tween 80(登録商標)で販売されている)である。好ましいポリエチレン-ポリプロピレン・グリコールは、Pluronic(登録商標)F68又はPoloxamer 188(登録商標)という名称で販売されているものである。好ましいポリオキシエチレン-ステアラートは、商標Myrj(登録商標)で販売されているものである。好ましいポリオキシエチレン・モノラウリル・エーテルは、商標Brij(登録商標)で販売されているものである。ポリエチレン-ソルビタン-ポリエチレン(20)-ソルビタン-エステル(Tween 20)とポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(Tween 80)が使用されるとき、それらは、一般に、約0.001〜約1%、好ましくは約0.005〜約0.1%、そして、さらに好ましくは約0.01%〜約0.02%w/vの量で使用される。
【0026】
用語「バッファー」は、本明細書中では、医薬として許容されるバッファーを意味する。好適な医薬として許容されるバッファーには、限定しないが、ヒスチジン・バッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファー、及びリン酸バッファーが含まれる。好ましいバッファーには、当該技術分野で知られている等張化剤、及び酸又は塩基を用いたpH調節剤を伴ったL-ヒスチジン、又はL-ヒスチジンとL-ヒスチジン・ハイドロクロライドの混合物が含まれる。先に触れたヒスチジン・バッファーは、一般に、約1mM〜約100mM、好ましくは約5mM〜約50mM、そして、より一層好ましくは約20mMの量で使用される。使用されるバッファーに関係なく、pHは、約5.0〜約7.0、好ましくは約5.5〜約6.5、そして、一層好ましくは約6.0を含めた値に調整される。
【0027】
用語「等張化剤(isotonicity agents)」は、本明細書中では、医薬として許容される等張化剤を意味する。等張化剤は、等張製剤を提供するために使用される。等張製剤は、液体であるか、又は固体、例えば、凍結乾燥状態から再構成された液体であり、そして、例えば、生理学的な塩類溶液や血清のようなそれが比較される、いくつかの他の溶液と同じ張度をもつ溶液を意味する。好適な等張化剤には、限定しないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコース、グリセリン、並びにアミノ酸、糖、及びその組合せ物から成る群からのいずれかの成分が含まれる。等張化剤は、一般に、約5mM〜約350mMの総量で使用される。
【0028】
用語「液体」は、本発明による製剤に関連して本明細書中で使用される場合、少なくとも約2〜約8℃の温度の液体である製剤を意味する。
【0029】
用語「凍結乾燥されたもの」は、本発明による製剤に関して本明細書中で使用される場合、当該技術分野で知られているいずれかの凍結乾燥方法、例えば、市販の凍結乾燥デバイスによって、製剤を凍らせ、それに続いて、凍っている内容物から氷を蒸散させることによって乾燥させた製剤を意味する。
【0030】
用語「アミノ酸」は、本明細書中では、限定しないが、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギンアスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンを含む約1〜約100mg/mLの量のアミノ酸を意味する。
【0031】
用語「糖」は、本明細書中では、約25mM〜約500mMの量で使用される医薬として許容される糖を意味する。好適な糖には、限定しないが、トレハロース、サッカロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン(いわゆる「メグルミン」)、ガラクトサミン、及びノイラミン酸が含まれる。
【0032】
用語「安定化剤」は、例えば、限定しないが、前項に記載のアミノ酸及び糖、並びに当該技術分野で知られているあらゆる種類及び分子量の市販のシクロデキストリン及びデキストランのような、医薬として許容される安定化剤を指す。
用語「抗酸化剤」は、医薬として許容される抗酸化剤を意味する。
【0033】
先に触れたとおり、ある側面にいて、本発明は、以下の:
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−約0.001〜約1%の少なくとも1種類の界面活性剤、及び
−約1〜約100mMのバッファー、
を含み、
−約5.0〜約7.0のpH、
であるIGF-1R製剤に関する。
【0034】
本発明による製剤は、好ましくは、約0.001〜約1%の少なくとも1種類の界面活性剤を含む。
【0035】
特定の態様において、本発明による製剤は、以下の:
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−約0.005〜約0.05%の少なくとも1種類の界面活性剤、及び
−約1〜約100mMのバッファー、
を含み、
−約5.0〜約7.0のpH、
である。
【0036】
本発明による製剤は、液状、凍結乾燥状態、又は凍結乾燥状態から再構成された液状であってもよい。
【0037】
特定の態様において、本発明による製剤は、凍結乾燥製剤である。本発明による凍結乾燥製剤には、記載の抗IGF-1Rヒト・モノクローナル抗体のその濃度にて液体製剤によって達成されることが一般的に困難である、粒子状物質の形成及びより高い分子量への凝集に関して安定性向上の利点がある。
【0038】
本発明による製剤は、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は、例えば、医薬技術分野で知られているものなどのその他の非経口投与手段(parental administration means)によって投与されてもよい。
【0039】
本発明の製剤は、約5mM〜約350mMの量で1種類以上の等張化剤をさらに含んでもよい。好適な等張化剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム、グルコースを含めた糖、グリセリン、アミノ酸、及びその組合せ物から成る群から選ばれ得る。
【0040】
本発明の製剤は、約25mM〜約500mMの量で糖をさらに含んでもよい。好適な糖は、トレハロース、サッカロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、及びその組合せ物から成る群から選択され得る。
【0041】
本発明の製剤は、以下の構成要素:抗酸化剤、アスコルビン酸、グルタチオン、保存料、例えば、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルブタノール、チオメルサール、ベンザルコニウムクロライド、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 3000、3350、4000、6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、多価アルコール、グリセロール、エタノール、マンニトール、塩、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、トロメタミン、EDTA(例えば、Na-EDTA)の1種類以上をさらに含んでもよい。
【0042】
本発明の製剤は、本明細書中で先に規定されている安定化剤の1種類以上をさらに含んでもよく、そして、同様に、当該技術分野で知られている糖、糖アルコール、アミノ酸、及びデキストランなどの「凍結乾燥保護剤(lyoprotectants)」として当該技術分野で知られている構成要素をさらに含んでもよい。
【0043】
特定の態様において、本発明の製剤は、液状、凍結乾燥状態、又は凍結乾燥状態から再構成された液状のいずれかの以下の製剤:
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のTween 20 w/ v、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
を含む。
【0044】
本発明による製剤は、また、以下の具体的な製剤を含む:
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.03%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.05%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
【0045】
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.03%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
【0046】
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.05%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH6.0、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
−pH5.5、
又は
【0047】
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
−pH5.5、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
−pH6.0、
又は
【0048】
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
−pH6.0、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
−0.05%のポリソルベート20、
−pH6.0、
又は
【0049】
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−60mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
−pH6.0、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのスクシナート、
−250mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
−pH5.5、
又は
【0050】
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−60mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
−pH6.0。
【0051】
本発明による製剤の好ましい態様において、製剤は、凍結乾燥状態であり、且つ、適切な量の注射用水による再構成の後に、以下の:
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
を含み、
−pH5.5、
である。
【0052】
この製剤は、2〜8℃及び25℃にて約6カ月の保管によっても、1.5%未満の高分子量種しかなく、且つ、肉眼で見える粒子及び肉眼で見えない粒子の形成のない良好な安定性を示す。振盪、及び複数回の凍結-融解ステップを、液体製剤に与えて、例えば、加圧ろ過と充填、凍結乾燥、及び仕上げ作業によって、生産中に起こる可能性のある物理的ストレス条件をシミュレートした。この製剤は、5℃と25℃にて1週間の振盪後でも安定していることがわかった。肉眼で見える粒子及び肉眼で見えない粒子の形成を検出することはできず、且つ、可溶性凝集物の形成を示す高分子量種の画分の有意な増加は観察されなかった。
【0053】
【化1】

【実施例】
【0054】
本発明による静脈内投与用の液体、及び凍結乾燥医薬品製剤を、以下のとおり開発した:
液体製剤の調製
製造バッファー(約150mMのNaClを含む約10mMのヒスチジン・バッファー)中、約10及び25mg/mLのhuMab IGF-1Rの溶液を、大量の水、そして、最終的な製剤のためのそれぞれのバッファー塩系に対して透析した(製剤の厳密な組成物に関する表を参照のこと)。必要であれば、透析前に市販の遠心ろ過デバイスを使用してろ過することによってタンパク質濃度を高め、その後、透析バッファーでの希釈によって所望のタンパク質濃度に調節した。タンパク質を安定化させるため、及び張性を調節するための糖及び塩を、必要に応じて、透析バッファーに追加した。界面活性剤を、透析後に2〜40倍の原液として製剤に加えた。あるいは、バッファー交換及び濃縮を、市販の接線流ろ過デバイス、例えば、Sartorius Hydrosart膜(30’000Daの分子量カットオフ)を有するAKTA CF(GE Healthcare)、を使用することで実施した。例えば、糖、塩、又は界面活性剤などの構成要素を、バッファー交換後に、適切な量の濃厚原液を使用することによって加えた。すべての製剤を、0.22μmの低タンパク質吸着フィルターを通して無菌ろ過し、そして、Teflonコートされたゴム栓とalucrimpキャップによって閉じられる無菌の6mLガラス・バイアル内に無菌的に分注した。これらの製剤を、異なった時間間隔の間、異なった温度にて保存し、そして、分析のために、1)UV分光測定、2)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び3)溶液の濁度を測定するための光不透過度(light obscuration)によって個々の項に示された時点で取り出した。さらに、肉眼で見える粒子の分析を、Seidenader V90-T機器を使用して各サンプルについて実施した。肉眼で見えない粒子の存在を、HIAC Roycoデバイスによって評価した。
【0055】
凍結乾燥製剤の調製
25mg/mLのhuMab IGF-1Rの溶液を、液体製剤に関して先に記載したように調製した。すべての製剤を、0.22μmの低タンパク質吸着フィルターを通して無菌ろ過し、そして、無菌のガラスバイアル内に無菌的に分注した。そのバイアルを、凍結乾燥工程における使用に好適なTeflon(登録商標)コートされたゴム栓を用いて一部閉じ、そして、凍結乾燥機の乾燥チャンバーに移した。当該技術分野で知られているあらゆる凍結乾燥方法が、本発明の範囲内にあるものとする。例えば、この研究のために使用した凍結乾燥工程には、上昇速度が約1℃/min〜5℃/minの室温から約5℃への製剤の除熱(予冷却)と、それに続く、−40℃での凍結(凍結I)が含まれる。最初の乾燥ステップは、−40℃から−30℃へ0.3〜0.5℃/minの上昇速度にて適用され、その後、約75〜80mTorr(約10.0〜10.7Pa)のチャンバー圧、−30℃にて少なくとも50時間維持される可能性がある。第2の乾燥ステップは、−30℃から25℃へ0.1〜0.3℃/minの上昇速度にて行われ、そして、約50〜80mTorr(約6.7〜10.7Pa)のチャンバー圧、15℃にて少なくとも5時間維持される可能性がある。記載した凍結乾燥工程を使用して乾燥させたhuMab IGF-1R製剤が、約<5分の都合よく迅速な再構成時間をもつことがわかった。凍結乾燥を、LyoStar II Freeze-dryer(FTS Systems、Stone Ridge, NY, USA及びUsifroid Orion、Maurepas, France)により実施した。この研究における凍結乾燥ケーキのすべてが、カールフィッシャー法によって測定されるとおり約0.1〜5.0%の残留水分含量を持っていた。その凍結乾燥バイアルを、異なった時間間隔の間、異なった温度にて保存した。その凍結乾燥製剤を、1)UV分光測定、2)再構成時間の測定、3)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び4)溶液の濁度を測定するための光不透過度の分析前にそれぞれの注射用水(WFI)量を用いて再構成した。さらに、肉眼で見える粒子の分析を、Seidenader V90-T機器(Seidenader、Marktschwaben, Germany)を使用して各サンプルについて実施した。肉眼で見えない粒子の存在を、HIAC Roycoデバイスによって評価した。
【0056】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を実施し、製剤中の可溶性の高分子量種(凝集体)と、低分子量加水分解生成物を検出した。前記方法では、Merck Hitachi 7000 HPLC機器、又はUV検出器(検出波長λ(280nm))を備えたWaters Alliance 2795を使用した。両方の機器とも、TSK G3000 SWXLカラムを備えており;前記方法では、移動相として0.2MのK2HPO4/0.25MのKCL、pH7.0を使用した。流速は0.5mL/min(等張)、ランタイムは25℃のカラム温度にて30分間であった。タンパク質濃度の定量のためのUV分光法を、0.5mg/mLの抗体濃度にサンプルを希釈した後に、それぞれ、278nmの波長にてUvikon 932(Kontron Instruments)により、及び280nmにてVarian Cary Bio UV分光光度計により実施した。濁度の測定に関して、光不透過度を、室温にて、HACH 2100AN比濁計を使用してFTU(濁度の単位)単位により計測した。
【0057】
本願発明による液体huMAb IGF-1R医薬品製剤の組成、及び2〜8℃にて3カ月の保管後の安定性データ
製剤Aは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0058】
【表1】

【0059】
製剤Bは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.03%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0060】
【表2】

【0061】
製剤Cは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.05%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0062】
【表3】

【0063】
製剤Dは、10mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0064】
【表4】

【0065】
製剤Eは、10mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.03%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0066】
【表5】

【0067】
製剤Fは、10mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、0.05%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0068】
【表6】

【0069】
製剤Gは、10mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、140mMのNaCl、pH5.5の組成をもつ液体製剤である。
【0070】
【表7】

【0071】
製剤Hは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、250mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH5.5の組成をもつ液体製剤である。
【0072】
【表8】

【0073】
製剤Iは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、250mMのトレハロース二水和物、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0074】
製剤Jは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、250mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0075】
製剤Kは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、250mMのトレハロース二水和物、0.05%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0076】
製剤Lは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、60mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の組成をもつ液体製剤である。
【0077】
製剤Mは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのスクシナート、250mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH5.5の組成をもつ液体製剤である。
【0078】
【表9】

【0079】
本願発明による凍結乾燥huMAb IGF-1R医薬品製剤の組成、及び2〜8℃にて3カ月の保管後の安定性データ
製剤Nは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、60mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の再構成溶液の組成をもつ凍結乾燥製剤である。
【0080】
【表10】

【0081】
製剤Oは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、60mMのショ糖、0.01%のポリソルベート20、pH6.0の再構成溶液の組成物をもつ凍結乾燥製剤である。
【0082】
【表11】

【0083】
製剤Pは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのスクシナート、250mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH5.5の再構成溶液の組成物をもつ凍結乾燥製剤である。
【0084】
【表12】

【0085】
製剤Qは、25mg/mLのhuMab IGF-1R、20mMのL-ヒスチジン、250mMのトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20、pH5.5の再構成溶液の組成物をもつ凍結乾燥製剤である。
【0086】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−約0.001〜約1%の少なくとも1種類の界面活性剤、及び
−約1〜約100mMのバッファー、
を含み、
約5.0〜約7.0のpH、
である製剤。
【請求項2】
約0.001〜約1%の少なくとも1種の界面活性剤を含んで成る、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
液状、凍結乾燥状態、又は凍結乾燥状態から再構成された液状である、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
静脈内(i.v.)又は皮下(s.c.)又はその他の非経口投与手段により投与することができる、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
約5mM〜約350mMの量の1種類以上の等張化剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
等張化剤が、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム、グルコースが含まれる糖、グリセリン、アミノ酸、及びその組合せ物から成る群から選択される、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
約25mM〜約500mMの量の糖をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記糖が、トレハロース、サッカロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン(「メグルミン」)、ガラクトサミン、ノイラミン酸から成る群から選択される、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
医薬として許容される、抗酸化剤、アスコルビン酸、グルタチオン、保存料、特にm-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルブタノール、チオメルサール、ベンザルコニウムクロライド、シクロデキストリン、特に、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、特にPEG 3000、3350、4000、6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、多価アルコール、グリセロール、エタノール、マンニトール、塩、酢酸塩、特に酢酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、トロメタミン、EDTA、特にNa-EDTA
から成る群から選択される1種類以上の成分をさらに含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項10】
−約1〜約150mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のTween 20 w/ v、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0である、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.03%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.05%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.03%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか
又は
−10mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.05%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−140mMのNaCl、
を含んで成り、
pH5.5であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
を含んで成り、
pH5.5であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−0.01%のポリソルベート20、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
を含んで成り、
pH6.0であるか
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−250mMのトレハロース二水和物、
−0.05%のポリソルベート20、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−60mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
を含んで成り、
pH6.0であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのスクシナート、
−250mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
を含んで成り、
pH5.5であるか、
又は
−25mg/mLのhuMab IGF-1R、
−20mMのL-ヒスチジン、
−60mMのトレハロース二水和物、
−0.01%のポリソルベート20、
を含んで成り、
pH6.0である、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
IGF-IR受容体によって調節される疾患を治療するのに有用な薬剤の調製のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項13】
前記疾患が、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)及び前立腺癌から成る群から選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
本明細書に記載の発明。

【公表番号】特表2009−531371(P2009−531371A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502016(P2009−502016)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052569
【国際公開番号】WO2007/110339
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】