説明

抗RSVGタンパク質抗体

【課題】RSV感染に対する抵抗性を増強する抗体を提供する。
【解決手段】RSVのGタンパク質の保存されたエピトープに結合し、ヒト被検体に投与したときには最小限の免疫原性である個々のモノクローナル抗体及びフラグメントは、RSV感染を処置することに有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互引用】
【0001】
本出願は、2007年10月25日に出願されたアメリカ合衆国仮出願61/000,469、及び2008年8月15日に出願されたアメリカ合衆国仮出願61/089,401の利益を主張する。これらの出願の記載内容は、引用によって本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、RSウィルス(respiratory syncytial virus:RSV)由来のGタンパク質に含まれる機能的に重要なエピトープと免疫反応性であり、ヒト被検体に投与される場合には、最小限の免疫原性(minimally immunogenic)である抗体に向けられる。これらの抗体は、RSV感染に対するヒト被検体の抵抗性を増強すること、並びに、既に感染した個々の感染のレベルを減少させること、もしくはRSV感染に起因する症状を改善する(ameliorate)ことに使用することができる。
【背景技術】
【0003】
RSV感染は、アメリカ合衆国、ヨーロッパ、オーストラリア及び日本を含む世界的で、長年にわたり、かつ悪性の問題となっている。それは、特に、未熟児、児童及び高齢者、そして、実際には弱い免疫システムを有する全ての個人において問題である。1歳未満のおよそ3分の2の子供、及び1歳から4歳までの間のほとんど全ての子供がRSVに少なくとも1度は感染し、ほとんどの[子供]が医療上の注意を必要とせずに回復したと見積もられる。しかしながら、5−10%[の子供]が慢性化した重篤な感染(幼児期の後期における喘鳴(wheezing)及び喘息様の症状に関する病因(predisposing)となることが信じられる因子)を有する。RSVは、2つの主要な表面糖タンパク質、F及びGを有する。RSVに対する唯一の市販のモノクローナル抗体は、未熟児におけるRSVによる感染を防止するための予防的な使用のためのみに認可され、Fタンパク質に対して向けられる。この抗体、パリビズマブ(palivizumab, Synagis(登録商標)、MedImmuneから)は、Fタンパク質配列のストレイン(ないし株:strain)の間の保存のため、広範囲にわたって有用である。これに対して、Gタンパク質は、およそ100個のシーケンスされたストレインにおいてほとんど不変(invariant)である中央の(central)「CX3C」ドメインを除いて、極めて可変(variable)である。この領域(ないし部位:region)は、フラクタルカイン(fractalkine)受容体と相互作用することが示されているモチーフを含む。その相互作用は、ウィルスに対する有効な(ないし効果的な)免疫反応を抑制することによって、RSVに特徴的な慢性化した病気の過程に対して寄与すると信じられている:Tripp, R. A, et al., Nature Immunology (2001) 2:732-738。この領域は、また、有効な免疫反応を抑制することに寄与すると再び(again)信じられているToll−様受容体4(Toll-like Receptor 4)のアンタゴニスト(ないし拮抗剤)となることも示されている:Polack, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2005) 102: 8996-9001; Shingai, et al., Int'l Immunology (2008) epub July 8。
【0004】
ワクチン接種によるRSVの予防における最初の試みは、逆効果であることがわかった。増強された病気及び肺の好酸球増加(eosinophilia)が、ホルマリンで不活性化したRSV又はRSV G糖タンパク質を用いたワクチン接種と関連し、このことは、ケモカイン フラクタルカインを模倣するCX3C領域が設計されたGタンパク質における上記の保存された配列に起因している(Haynes, L. M., et al., J. Virol. (2003) 77: 9831-9844)。ストレインの間のこのタンパク質の配列の保存の欠如のため、Gタンパク質に向けられた抗体を使用する受動的な免疫化は、一般的には、非実用的であると考えられている。
【0005】
その後、同一のグループによって、RSV感染又はワクチン接種に起因する抗Gタンパク質抗体の応答が、Gタンパク質のフラクタルカインCX3C受容体への結合の阻害及びRSV Gタンパクが質媒介した白血球走化性の調整と関連することが確認され(Harcourt, J. L., et al., J. I. D. (2004) 190:1936-1940)、そして、この結合の阻害がT細胞の応答に逆に影響を与えることが確認された(Harcourt, J. L., et al, J. Immunol. (2006) 176:1600-1608)。さらに最近のワクチン研究(efforts)は、ホルマリン固定ワクチンと関連した病気の悪化を回避しているが、新規のワクチンによって与えられた免疫は、急速に衰退すること(数週間から数ヶ月で)がわかっており、天然のRSVに対する免疫的な記憶が弱いことと符号する:Yu, et al., J. Virol. (2008) 82:2350-2357。反復した感染は、多くの他のウィルスとは異なり、このウィルスに共通(common)である。Gタンパク質の免疫抑制的な特徴は、この影響に関する原因となり得る。
【0006】
Gタンパク質に対して向けられたモノクローナル抗体は、20年より前から知られている。Anderson, L. J., et al., J. Virol. (1988) 62:4232-4238は、F及びGタンパク質モノクローナル抗体(mAbs)の混合物、及び個々のモノクローナル抗体のRSVを中和する能力を記載する。Gタンパク質への結合に関連するモノクローナル抗体、特に131−2Gが、Sullender, W., Virol. (1995) 209:70-79によって、抗原性の解析において、後に研究された。この抗体は、RSVの主要なストレインを表すRSV群A及びBの両方に結合することがわかった。
【0007】
更に、Mekseepralard, C., et al., J. Gen. Virol. (2006) 87:1267-1273は、受動的に投与されたF及びGタンパク質に対する抗体が、げっ歯類のモデルにおける実験上の感染に対して保護的であることを示す初期の諸論文を概説する。これらの文献は、Routledge, et al., J. Gen. Virol. (1988) 69:293-303; Stott, E. J., et al., J. Virol. (1986) 60:607-613; Taylor, G., et al., Immunol. (1994) 52: 137-142; 及び Walsh, E. E., et al., Infect. Immun. (1984) 43:756-758を含む。上記文献において、Mekseepralardらは、インビトロにおいて補体の存在下で、又はマウスにインビボで使用した場合に、ウィルスを中和するために、Gタンパク質に対して生産された特異的なモノクローナル抗体(1C2)は、グリコシル化を必要としたことを記載した。該著者は、Gタンパク質の173−186番目のアミノ酸が保存され、1C2が保存された領域(ないし部位)に対して向けられたことを記載するが、非免疫性の抗体を調製する方法は、相対的に粗い、すなわち、マウスのFabのヒトFc領域へのキメラ化であった。
【0008】
更に、Corbeil, S., et al., Vaccine (1996) 14:521-525は、マウスのモノクローナル抗体18A2B2を用いた受動的な免疫化の後に、補体系がRSVによるチャレンジ(攻撃)からのマウスの保護に関与することを実証するが、この抗体はインビトロにおいて中和する能力を示さない。
【0009】
PCT国際出願公開WO00/43040は、RSVによる感染に関連する気道の炎症の改善における抗サブスタンスP抗体の使用を記載する。公知の炎症誘発性の媒介物質であるサブスタンスPの生産は、RSVのGタンパク質の投与によって増強され、Gタンパク質が欠損したRSVの変異株、又は機能を喪失するポイントミューテーションを中央の保存された領域に保有するRSVの変異株には存在しない:Haynes, et al., J Virol (2003) 77:9831-9844。
【0010】
アメリカ合衆国特許公開2006/0018925は、Gタンパク質のCX3C領域の、その受容体との相互作用をブロックすることができる抗体及び小さい(small)ペプチドを記載し、クレームしている。これらの組成物は、RSV感染の調節及び免疫の誘導に有用であることが示唆される。これらの抗体の治療上及び予防的な価値の実証に採用されるマウス抗体のヒトへの適合化が示唆されるけれども、そのようなヒトに適合した形態は、実際には生産されず、又は記載されていなかった。
【0011】
Symphogen(社)によるPCT国際出願公開WO2007/101441は、RSV感染の処置のための組換え型のポリクローナル抗体に向けられる。ポリクローナルな組換え型の抗体は、ヒトの血清から単離された個々のモノクローナル抗体から構成される。この出願公開の表5は、サブタイプAのRSV Gタンパク質の164−176番目のアミノ酸における「保存された領域(ないし部位)(conserved region)」に結合すると言われる12個のモノクローナル抗体を開示する。これらの5つがGタンパク質に対する親和性に関して試験され、100−500pMの範囲における親和性が発見された。これらの抗体の2つは、プラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization test:PRNT)を使用して、中和能力に関して試験され、1つは、およそ2.5μg/mlのEC50値を示し、他の1つは、中和の特徴を全く示さなかった。
【発明の概要】
【0012】
[発明の開示]
Gタンパク質に関する高い親和性及び強力な中和能力を有し、群A及びBの両方のストレインと免疫反応性である抗体を含み、Fタンパク質と比べた場合にRSV Gタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体が、RSVに最近感染したことが確認されたヒトのドナーから確認(ないし同定)された。更に、マウスの抗Gタンパク質抗体(初めてAnderson, et al., J. Virol. (1988) 62:4232-4238によって開示された)は、ヒト被検体に投与された場合に、免疫的な拒絶の機会を最小化するように修正(ないし変更)されている。本発明の抗体は、ヒト被検体におけるRSVに対する治療製剤として、そして、RSV抵抗性を増加することにも有用である。特に、サブタイプAのGタンパク質の160−176番目の位置(positions)の内の保存されたモチーフに対する抗体は、既に感染した被検体からウィルスを除去する(ないしクリアする)ことにおいて、そして、RSV感染に特徴的な気道炎症を減少させることにおいて、並びに予防的な使用に関して、治療上有効である。
【0013】
従って、1つの視点において、本発明は、RSVのAストレインのGタンパク質のおよそ160−176番目の位置の内のエピトープに結合し、そして、ヒト被検体に投与された場合に最小限の免疫原性であるモノクローナル抗体又はその免疫反応性のフラグメントに向けられる。これらの抗体は、RSVの中和に関する標準的なプラーク形成アッセイにおいて中和能力を示し、<500ng/ml、好ましくは<200ng/ml、より好ましくは<100ng/mlのようなアッセイにおいて、EC50を実証する。本発明の抗体は、<1nM、好ましくは<500pM、さらに好ましくは<100pMのRSV−A2のGタンパク質に関する親和性も有する。1つの実施形態において、本発明の抗体は、RSVの複数の(multiple)ストレインにまたがる高度なアミノ酸の同一性を有する領域(ないし部位:region)におけるRSVのGタンパク質に含まれるCX3Cケモカインモチーフの30個の残基の内に、又は直接的に、該モチーフの少なくとも一部分(a portion)において結合する。CX3Cケモカインモチーフは、ストレインRSV−A2のおよそ、182−186番目のアミノ酸の位置であり、他のストレインにおけるGタンパク質の対応する位置(position)にある。本発明の抗体がその内で結合する関連する領域は、RSV−A2のGタンパク質の160−176番目の残基の内、及び他のストレインにおけるGタンパク質の対応する位置の内に含まれることがわかった。この領域は、Aストレイン内に高度に保存され、A及びBストレインの間でいくつかの(a few)アミノ酸の違いしか含まない。特に高度に保存された領域は、RSV A2の164−176番目の位置における配列:HFEVFNFVPCSICを有する。好ましくは、本発明の抗体は、配列:FEVFNF、又は、配列:VFNFVPCSICを含むエピトープに結合する。1つの実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸同一性が保存されたこの領域と免疫反応性であるため、このウィルスの群Aストレイン及び群Bストレインの両方のGタンパク質と免疫反応性であり、従って、ほとんどのストレインのGタンパク質と免疫反応性である。
【0014】
RSV感染を処置するまたはRSVに対する抵抗性を強める本発明の方法の使用に関して、本発明のモノクローナル抗体又はフラグメントは、群A及びBの両方における複数(ないし多数:multiplicity)のストレインと免疫反応性であり得、そして単一のモノクローナル抗体は、所望の効果を有するために十分であり得る。或いは、処置されるべき、又は抵抗性が形成されるべき被検体は、単一[種類](single)を上回るモノクローナル抗体を投与されることができ、ここで、特にプロトコル内の1つの抗体は、群Aのストレインとより高い反応性を有し、他の1つは、群Bのストレインとより高い反応性を有する。
【0015】
本発明は、本発明の単一の抗体又は免疫反応性のフラグメント、あるいは2つを上回らない本発明の抗体又はフラグメントを活性試薬として含む、炎症の改善を含む予防又は処置に有用な医薬組成物も含む。
【0016】
本発明の他の視点は、ヒト被検体におけるRSVを処置する、又はこれらの被検体における抵抗性を誘導する抗体を使用する方法を含む。
【0017】
本発明のモノクローナル抗体は、組み換え的(recombinantly)に生産することができ、従って、本発明は、そのような生産のための組み換え物質、並びにこれらの抗体の生産のための細胞系列(cell lines)、又は不死化細胞、及びヒト以外の多細胞生物(ないし組織)もしくはそれらの細胞、あるいは細菌(microbial)細胞を含む。1つの実施形態において、ヒト被検体から得られた細胞は、「不死化した(immortalized)」形態で生産され、ここで、それらを特徴づけることができ、かつクローン化された配列をコードするために十分な期間、抗体の分泌が可能なように修正されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ヒト被検体由来の種々のRSV抗原に対する抗体のppmでの頻度を示すプロットである。所望のストレインに独立的な抗G表現型(Gab)は、ほとんどまれ、全体的にはおよそ百万個あたりに10個(parts per million: ppm)であり、ある被検体においては1ppmと同じぐらい低い。「混合型(Mix)」とは、F及びGの両方に結合する抗体を意味し、F及びGが配列の相同性を有さない場合に、結合は、おそらく、共有する炭水化物決定因子に起因する。
【0019】
【図2−A】図2Aは、CX3C領域、及び保存されたジスルフィド結合の位置(location)を指し示すRSV Gタンパク質の図である。模式図のバージョンは、全てのストレインに包括的であるが、位置(position)の特異的な番号は、1つのストレインから次のストレインまでわずかに異なる。
【0020】
【図2−B】図2Bは、RSV Gタンパク質からの12塩基のペプチドと重複するパネルに対するRSVに曝された被検体由来の血清の結合をプロットし、中央の保存された領域に免疫原性が無いことを明らかにする。
【0021】
【図2−C】図2Cは、Gタンパク質における位置の関数としての、75個を上回るRSVのストレインのコレクションに関する多型性の頻度をプロットし、中央の保存された領域における、そして、Gタンパク質の可溶形態を形成する他のスプライシングサイトにおける著しい保存を明らかにする。
【0022】
【図3】図3は、重複する配列を有するペプチドのアレイに対するイラスト的なマウスのモノクローナル抗体(131−2G)のプローブの結果を示す。この実験は、モノクローナル抗体が結合するエピトープを確認(ないし同定)する。図示した例において、エピトープは、CX3Cモチーフの30残基内(within)にある。
【0023】
【図4−A】パネルA(図4A)は、2人のドナー由来の血液の概略のプロットを表す。パネルAは、Ga/Gb交差反応性のクローンの有用な頻度を有するドナーを示す。プロットにおける各点は、単一のクローンの分泌された抗体フットプリントに関する3つのプローブへの相対的な結合を示す。
【図4−B】パネルB(図4B)は、2人のドナー由来の血液の概略のプロットを表す。パネルBは、Ga/Gb交差反応性のクローンの有用な頻度を有さないドナーを示す。プロットにおける各点は、単一のクローンの分泌された抗体フットプリントに関する3つのプローブへの相対的な結合を示す。
【図4−C】パネルC(図4C)は、単一のEBVで形質転換されたB細胞の分泌したタンパク質のフットプリントの数値化した(ないし定量化した)プロファイルである。
【図4−D】パネルD(図4D)は、パネルCの細胞からの抗体遺伝子で形質転換されたHEK293細胞由来の4つの子孫の細胞のプロファイルを示す。このプロファイルは、パネルCにおける特性と一致し、パネルDにおいて、複製のものによる定義されたようなアッセイの精度の内にある。
【0024】
【図5−A】図5Aは、代表的な本発明の抗体の重鎖(パネルA)の配列を示す。
【図5−B】図5Bは、代表的な本発明の抗体の軽鎖(パネルB)の配列を示す。
【0025】
【図6−A】図6Aは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルA(図6A)は、センサーの表面への抗体の結合を示す。
【図6−B】図6Bは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルB(図6B)は、Gaタンパク質が表面を横切って流れ、そして結合した抗体によって捕獲された場合のセンサーの信号の増加を示し、その後、結合したGaタンパク質が表面から離脱するように表面がバッファーで洗浄された場合の信号の衰退を示す。
【図6−C】図6Cは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルC(図6C)は、パネルA及びB(図6A及びB)と同様にGbタンパク質に関するオンレート(on-rate)及びオフレートを示す。
【図6−D】図6Dは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルD(図6D)は、センサーの表面への抗体の結合を示す。
【図6−E】図6Eは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルE(図6E)に示すように、抗体3D3は、Gタンパク質に結合し、辛うじて検出可能なオフレート(off-rate)を示さない。パネルE(図6E)は、Gaタンパク質が表面を横切って流れ、そして結合した抗体によって捕獲された場合のセンサーの信号の増加を示し、その後、結合したGaタンパク質が表面から離脱するように表面がバッファーで洗浄された場合の信号の衰退を示す。
【図6−F】図6Fは、本発明の2つの抗体の親和性の測定のBiacoreを用いた結果を示す。パネルFに示すように、抗体3D3は、Gタンパク質に結合し、辛うじて検出可能なオフレート(off-rate)を示さない。パネルF(図6F)は、パネルD及びEと同様にGbタンパク質に関するオンレート(on-rate)及びオフレートを示す。
【0026】
【図7】図7は、マイクロプレートをコートするために生きたウィルスを使用するELISAアッセイにおいて測定された、Synagis(登録商標)Fタンパク質結合抗体と比較したときの種々の本発明の抗体の結合のグラフである。
【0027】
【図8】図8は、X軸のGタンパク質への親和性に対してY軸のウィルスへの結合をプロットするグラフである。2つの能力は相関するが、但し、3D3は、Gタンパク質へのその親和性から予測されるだろう親和性よりもわずかに少ない生きたウィルスへの親和性を示す。
【0028】
【図9−A】図9Aは、ストレインA2へのいくつかの抗体の結合の比較を示す。
【図9−B】図9Bは、ストレインA5へのいくつかの抗体の結合の比較を示す。
【0029】
【図10】図10は、中和アッセイの結果を示す。結果は、抗体のμgに対してプロットされたプラークの数で示される。
【0030】
【図11】図11は、RSVストレインBの中和における本発明の抗体3G12とSynagisの比較を示す。
【0031】
【図12】図12は、本発明の2つの抗体とSynagis(登録商標)市販抗体の予防的な活性の比較を示す。
【0032】
【図13】図13A−Cは、RSVの感染後モデルマウスにおけるモノクローナル抗体131−2Gの治療上の有効性を示し(感染の+3日後の処置)、減少した肺炎の他の測定値(ないし尺度:measures):NK細胞及びPMN細胞(パネルB)及びインターフェロン−ガンマ(IFNγ)(パネルC)の減少、に伴うウィルス負荷の投与量依存的な減少を含む(パネルA)。
【0033】
【図14】図14は、本発明の抗体の高い親和性の効力の利点を強調する、3G12、3D3又はSynagis(登録商標)の抗体を低い投与量で処置したモデルマウスにおけるウィルス性の力価(titer)のタイムコースを示す。
【0034】
【図15】図15は、感染の+3日後に処置した場合のRSV感染マウスの肺におけるRSVのコピー数に対する抗体の影響を測定する投与量/応答曲線である。
【0035】
【図16】図16は、感染の+3日後の処置の後、感染の最後の段階でウィルス負荷を減少させる、Synagis(登録商標)、3D3及び3G12の比較した能力を示す。
【0036】
【図17】図17は、RSV感染マウスの肺におけるBAL細胞に対するコントロール抗体、抗F抗体及び抗G抗体の影響を示す。処置は、感染の+3日後の処置であった。
【0037】
【図18】図18A−Bは、感染の+3日後に投与された場合に、RSV感染マウスにおける炎症の減少において、抗Gモノクローナル抗体のF(ab’)2に特異的なフラグメントが完全な形の(ないし無傷の:intact)モノクローナル抗体と同じ程度に有効であるが、ウィルス負荷の減少において有効でないことを示す。
【0038】
【図19】図19A−Cは、予防的な日(−1日)から感染の+3日後及び+5日後までの範囲にわたる抗体の投与の様々な時間における、抗Gモノクローナル抗体のBAL(気管支肺胞洗浄(液))におけるIFNγの生産に対する影響を示す。
【0039】
【図20】図20は、RSVに感染した高齢の患者由来のRSVのGタンパク質の中央の保存された領域に対する抗体の力価を示す。患者は、臨床上の兆候及び症状の重さ(重篤であるか、又は軽度であるか)に従って選択された。中央の保存された領域への有意(appreciable)の力価の不在は、重篤な病気に相関する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本願で使用する場合、用語「処置する(treat)」とは、RSVに既に感染している被検体におけるウィルス負荷を減らすこと、又はそのような被検体における病気の症状を改善することを意味する。そのような症状は、細気管支炎、気道炎症、肺の中のうっ血、及び呼吸困難を含む。
【0041】
用語「抵抗性を与える(confers resistance to」」とは、予防的な影響を意味し、ここで、RSVのチャレンジ(攻撃)によるウィルス性の感染は、重症度が少なくとも減少する。
【0042】
「不死化細胞(immortalized cells)」とは、修正されていない最初に単離された細胞よりも顕著な期間(ないし世代:passages)生存することができる細胞を意味する。本発明の文脈で使用される場合、「不死化した(immortalized)」は、非常に長い期間(period)にわたって細胞が抗体を分泌し続けることを必ずしも意味せず、最初の培養細胞よりも長く生存することができることのみを意味する。抗体の分泌が起こる期間(time)は、その確認(ないし同定)及びコードするヌクレオチド配列の回収に十分であることのみが必要である。
【0043】
語句「ヒト被検体に投与されたときの最小限の免疫原性(minimally immunogenic when administered to human subjects)」とは、ヒトにおける投与に対する応答が、ヒト抗体又はヒトに適合した抗体がそのようなヒトに投与されたときに得られる応答と同様であることを意味する。ヒト抗体又はヒトに適合した抗体は、処置されたヒトの5−10%において応答を誘発することが知られている。免疫応答の誘発において、あるバックグラウンドレベルの「ノイズ」があるので、ヒトから単離された抗体でさえこのことが要当する。免疫応答は、(体)液性又は細胞性、あるいはその両方であり得る。特に、サイトカインの上昇したレベルを、個々のこのパーセントにおいて見つけることができる。
【0044】
語句「RSV Gタンパク質の保存された領域(conserved region of the RSV G protein)」とは、CX3C領域のいずれかサイドに50個以内のアミノ酸、好ましくは、30個以内のアミノ酸、更に好ましくは、20個以内のアミノ酸を含むアミノ酸配列を意味し、図2Aに、特定のストレインについて示される。保存された領域は、CX3C−特異的領域からのGタンパク質の上流部分において主に延在する。従って、ストレインA2のRSV Gタンパク質をモデルとして使用する場合には、本発明の抗体に適用可能な保存された領域は、およそ、160から188番目までの残基、好ましくは、160−176番目に延在する。
【0045】
本発明の抗体は、いくつかの望ましい特徴を有する。第1に、それらは、複数のRSVストレインからのGタンパク質と免疫反応性であり、典型的には、A型ストレイン及びB型ストレインの両方からのGタンパク質と免疫反応性である。第2に、それらは、Gタンパク質に対して極めて高い親和性を有し、それらの中のいくつかは、<2pMの範囲内である。従って、本発明の抗体は、少なくとも10nM、好ましくは、1nM、更に好ましくは、500pM、更に好ましくは、100pM又は50pM、10pM又は1pM、そして、これらの好ましい例示的な点(ないしポイント)の間の全ての値の親和性を有する。Fタンパク質に向けられた市販の抗体であるSynagis(登録商標)は、約5nMの親和性を有することが確立されている。Fタンパク質に対するより高い親和性の抗体であるNumax(登録商標motavizumab)は、約50pMの親和性を有するものと見積もられる。本発明の抗体は、治療剤(therapeutics)としての役割を果たす(ないし、振る舞う)優れた能力を示し、感染のピークにおいて、肺の中のウィルスの数を低下させる能力を発揮する。それらは、典型的には感染がその過程を過ぎた時点でも、この能力を発揮する。RSV感染から回復しつつある被検体は、ウィルスを放出(shed)し続けることがあり、そのため、臨床後の期間(setting)において他のものを感染させることがあり得るので、このことは特に有用である。その抗体及びそのフラグメントは、肺における炎症を含む感染の症状も処置する。
【0046】
本発明の抗体は、2つの実験的な仕方で取得される。1つのアプローチにおいて、Gタンパク質の保存された領域と免疫反応性となることが知られた上記の既存のモノクローナル抗体、131−2Gが、最初にシーケンスされ、次に、ヒトの定常領域を修正されたヒト可変領域(重鎖及び軽鎖の両方)と融合することによってヒトに適合化された。可変領域は、131−2G抗体由来の可変領域に対する高い相同性に基づいて選択され、次に、131−2G由来の高頻度可変性(hypervariable)のアミノ酸を取り込ませて修正した。そのようなヒトへの適合化の方法は一般的に知られているが、アミノ酸置換の正確な選択が決定できることを条件とする。131−2Gの場合には、オリジナルなハイブリドーマ系統は、1つを上回る軽鎖を発現するため、実際にはRSVの保存されたモチーフに結合する原因となる1つの軽鎖の決定が必要である。これは、本発明の発明者らによって決定されており、1つの実施形態において、本発明の抗体は、モノクローナル抗体131−2Gのヒトに適合した形態において例示される。
【0047】
それに代わる他の方法において、本発明の抗体は、アメリカ合衆国特許7,413,868、PCT国際公開WO2005/045396及びWO2008/008858(これらの全ては、引用によって本願に組み込まれるものとする)に開示の独占的市販の(proprietary)セルスポット(CellSpot、登録商標)方法を使用して、ヒトのドナーに感染した(ないし曝された)RSVから回収される。
【0048】
この方法において、40人のRSVに感染したドナーのサンプルを解析し、[1回の]プロセスにおいて、1つの血液サンプルあたり、〜500,000個の抗体生産細胞を産出した。従って、総計では、Gタンパク質の保存された領域に特異的な抗体の生産のために解析された〜20,000,000個の異なるB細胞があった。約10%のドナーのみがGa/Gbに特異的なクローン(すなわち、ストレインに独立的である)の有用な頻度を有し、そのようなクローンは、最大頻度の検体においてさえ、たった〜1/50,000細胞の比率で存在した。全体的には、所望の細胞の頻度は、〜0.003%であり、標準的な方法によって回収するためには非現実的なほど低い頻度であるが、セルスポット(登録商標)を使用すれば容易に到達できる。図1は、24人のドナーのRSV抗原に対する反応性のスペクトルを示す。この図において示すように、A及びBストレインの両方由来のGタンパク質と交差反応性の抗体が発見されたこれらの個々でさえ、これらの抗体の罹病率(prevalence)は、Fタンパク質、あるいは、Ga又はGbのみと免疫反応性の抗体のそれよりも低い。驚くほど多い数のクローンがF及びGタンパク質の両方(「mix」と記載する)を認識するが、このことは共有された炭水化物の決定因子を認識するものと思われる。そのような抗炭水化物抗体の親和性は典型的には弱く、更なる考察から除外した。このドナーの集団内において発見された1pMの親和性を有する最も親和性が高い抗体は、Ga/Gbに特異的なクローンの頻度が非常に小さい(〜1ppm)ドナーの1人に由来する。すなわち、この高度に好ましいクローンの発見は、全てのドナー由来の全レパートリー(repertoire)の包括的なスクリーニングなしでは起こりそうになかったであろう。
【0049】
このスクリーニングを実行するために、エプスタイン−バーウィルスでB細胞を不死化し、上記の方法に従って評価した(詳細は、実施例2参照)。成功裏のB細胞を確認(ないし同定)し、確認されたモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列を取得し、シーケンスした。次に、これらを、哺乳類の細胞系列において、抗体を生産するように組み換え的に操作した。
【0050】
Gタンパク質の機能の重要な視点(側面:aspect)は、50番目の残基に近い他の(alternative)スプライシングサイトによって形成された該タンパク質の分泌形態「s(G)」に存する。ウィルスがs(G)を欠くように操作することにより、肺浸潤細胞(pulmonary infiltrating cells)のレベルを減少させる結果となった(Maher, et al., Microbes Infect. (2004) 6:1049-1055)。その逆に、s(G)によりマウスを初回抗原刺激(priming)すると、IL−5の生産及び、肺の好酸球増加(eosinophilia)を増強する(Johnson, et al., J Virol (1998) 72:2871-2880)。従って、s(G)の活性を抑制することは、RSVの有効な処置に重要である。このゴールを達成することは、当該技術分野(例えば、アメリカ合衆国特許7,083,950)において一般的に知られているように、高い親和性の抗体を必要とする。中央の保存された領域が、免疫調節因子(immuno-modulatory agent)としてのs(G)の機能と特に関連するので、s(G)に対する有効な抗体は、このモチーフをターゲットとすべきである。
【0051】
被検体に感染したRSVからのヒトB細胞のレパートリーの本願発明者らの調査は、ストレインA及びBの両方からのGタンパク質に結合する抗体(Ga/Gbと交差反応性の抗体)の調査において不偏(unbiased)である。調査が包括的である(40人の被検体、〜500,000個のB細胞をそれぞれ調査した)ので、マッピングに適するリニア状(直線状)のエピトープと結合する全てのGa/Gbと交差反応性の抗体が、中央の保存された領域内における互いにいくつか(a few)の残基内のエピトープを認識することは、著しい発見である。この領域は、図2B(Plotnicky-Gilquin, et al., Virology (2002) 303:130-137)に概説するように免疫原性が弱いことが知られており、本願が報告するこの領域に高い親和性のクローンの頻度が低いことと符合する。本願発明者らは、>75個のRSV単離体由来のGタンパク質の公開された配列を調査することによって、この領域の更なる特徴付けを行った。該タンパク質のほとんどの残基は、このコレクションにおいて数個(several)から多数(many)の多型性を示す。2つの領域:s(G)を形成する他の(alternative)スプライシングサイト、及び全てのGa/Gbと交差反応性の抗体が結合する中央の保存された領域は、著しく多型性が無い(free)(図2C)。すなわち、本願発明者らは、決定的な(critical)機能性を指し示す高度に保存された領域も免疫原性が弱いことを発見した。種々のメカニズム、例えば、免疫システムの静止(rest)を示すための組織適合性の抗原との組合せで、この領域を効果的に表すことに適するタンパク分解性の近くの切断サイトの不在を、弱い免疫原性に関して考慮することができる。そのメカニズムが何であろうとも、この驚くべき結果:生存したこれらのウィルスがこの領域に対する低い免疫原性を示すことは明確である。そのため、本願発明者らは、適する抗体の受動的な移行(ないし受動的送達:passive transfer)によってこの領域に対する免疫システムの活性を増強することは、有効であると予測し、そして、このことは、本願発明者らの動物モデルのケースにおいて証明されている。他のスプライシングサイトは、等しく(ないし同様に)保存されていても、免疫原性が非常に低いことはなく、その重要性がs(G)の形成のみと関係することを示唆し、そのため、それを受動的な免疫療法の弱いターゲットにする。
【0052】
ヒト又はヒトに適合した本発明の抗体の生産は、チャイニーズハムスター(Chinese hamster)の卵巣細胞、又は昆虫細胞などの他の真核生物の細胞系列における生産などの
従来の組み換え技術によって達成される。他には、技術が植物及びトランスジェニック動物(例えば、ウシのミルク)又は単一の細胞系由来の微生物、植物あるいは昆虫[細胞]における抗体を含む組み替え物質の生産のためにも知られている。
【0053】
更に、抗体をコードするヌクレオチド配列を利用できるので、同様のエピトープ、例えば、Fab、F(ab’)又はFフラグメントに結合する関連するフラグメントを組み換え的に(あるいは、タンパク質それ自体のタンパク分解性の処理によって)生産することができ、その抗体は、単鎖の形態で生産することができる。組換え型の抗体の生産の操作に関する種々の技術は、本願発明の分野において知られている。
【0054】
治療での使用のために、組み換え的に生産された抗体又はフラグメントは、適する賦形剤を使用して医薬組成物に処方され、標準的なプロトコルに従って投与される。医薬組成物は、それらの唯一の有効成分として、本発明のモノクローナル抗体又はフラグメント、特に、A及びBストレインの両方のGタンパク質と交差反応性であるモノクローナル抗体又はフラグメントを有することができる。あるいは、1つがAストレインのGタンパク質とより強力に反応し、他の1つがBストレインのGタンパク質とより強力に反応する2つのモノクローナル抗体が唯一の有効成分であり得る。これらの全てのケースにおいて、Fタンパク質と免疫反応性の1以上の抗体、又は、RSVあるいは炎症に対して有効な他の治療剤を含む更なる治療剤が存在し得る。従って、ステロイド性及び非ステロイド性の両方の抗炎症性化合物などの抗炎症性剤を組成物に含ませることができる。これらの化合物は、ビタミンなどの栄養上の物質、又は抗体以外の任意の他の有益な化合物も含むことができる。
【0055】
1つの実施形態において、感染に対する抵抗性を増加させるために、投与する製剤を使用するときに、補体含有Fc領域を含む完全抗体が採用される。典型的には、抗体は、ヒト被検体の0.01−20mg/kgの投与レベル、又は0.01−5mg/kgの範囲内の量、あるいは、これらの範囲内の中間の量で投与される。1つの実施形態において、0.1−1.0mg/kgの範囲における量が採用される。数日、数週間、又は数ヶ月隔てられた反復される投与は、有益であり得る。ブースター(追加免疫)は、1、2、5又は10年後にも提供することができる。
【0056】
他の実施形態において、ウィルス負荷を減少させるための治療上の効果のために、補体含有Fc領域を含有する完全抗体も採用される。そのようなプロトコルにおいて投与される量は、0.001−50mg/kgの桁(ないしオーダー)であるか、もしくは、0.01、1又は10mg/kgなどのこの範囲における中間の値が採用される。反復される投与も使用することができる。治療上の処置は、感染の診断後、できるだけ早急に投与されるが、数日内の投与も本発明の範囲内である。反復される投与も採用することができる。肺における炎症反応を減少させるために、抗体の免疫特異的フラグメントのみが採用される必要がある。投与量のレベルは、抗体全体(whole antibodies)についての投与量レベルと同様である。免疫特異的フラグメント及び抗体全体(entire antibodies)の混合物の投与も本発明の範囲内に含まれる。
【0057】
本発明の抗体組成物の投与は、典型的には、注射、一般的には、静脈注射による。そのため、非経口的な投与が好ましい。しかしながら、任意の実施可能な投与の形態が含まれる。
【0058】
製剤(formulations)は、抗体組成物の投与に関する分野で一般的に知られた方法で調整される。適切な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 最新版, Mack Publishing Co., Easton, PA(引用によって本願に組み込まれる)などの、一般的なフォーミュラリー(formularies)において見つけることができる。典型的には、製剤(formulations)は、バッファー、抗酸化剤などを含む等張液、並びに、リポソーム、ミセル、ナノ粒子などの送達ビヒクルを含むエマルジョンを含む非経口的な投与に適するものである。
【0059】
所望の(投与)プロトコル及び製剤は、処置する医者の判断、並びに、被検体の特異的な状態に依存する。投与量のレベルは、適正であれば、被検体の年齢、通常の健康状態、そして、感染の重症度に依存する。
【0060】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明を限定しない。

[実施例1]
131−2Gのクローニングおよびヒトへの適合化
【0061】
モノクローナル抗体131−2Gのクローニングおよびシーケンシング。
製造元の指示(RNeasy(登録商標)キット: Qiagen Santa Clarita, Ca)に従って、全ての(total)mRNAを131−2Gハイブリドーマから抽出した。IgγのVH1からVH7の遺伝子ファミリーをターゲットするように設計(ないしデザイン)した7個のファミリー特異的な5´VγFR1プライマー、及び1個のコンセンサス3´Cγ1プライマーを131‐2G重鎖の可変領域の増幅およびシーケンスに使用した。1個のコンセンサス5´Vkプライマーを、各Vkファミリーを増幅するように設計し、1個のカッパー定常領域に特異的な逆(reverse)プライマーを、カッパー軽鎖の増幅とシーケンスに使用した。VHおよびVL転写産物を100ngの全てのRNAから、逆トランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR: reverse transcriptase polymerase chain reaction)を用いて増幅した。
【0062】
131‐2Gハイブリドーマについて:1つはカッパー軽鎖(κ)に、そして、1つは、ガンマ重鎖(γ1)に、2つのPCR反応を実行した。QIAGEN(登録商標)ワンステップRT‐PCRキットを増幅に用いた(Qiagenカタログ番号210212)。抽出したPCR産物を特異的な定常領域プライマーを使用して直接シーケンスした。V‐BASE2を使用して、そして、マウスの生殖系列データベースに対するVHおよびVL遺伝子のアライメントによって、得られた配列をIgV−およびJ−領域の公知の生殖系列{せいしょく さいぼう けいれつ}DNA配列と比較した。シーケンス解析:ヌクレオチド配列情報から、131‐2Gの重鎖及び軽鎖のV及びJ遺伝子セグメント(分節)に関するデータを得た。配列データに基づいて、131‐2GのIgVHおよびVK鎖のリーダー配列に特異的な新しいプライマーセット(複数)を設計した。V遺伝子の使用および配列解析:131‐2Gの重鎖遺伝子は、VH1生殖系列遺伝子ファミリー由来であり、D領域の生殖系列遺伝子はDSP2.2であり、そしてJ領域はJH3生殖系列由来であった。軽鎖遺伝子は、生殖系列遺伝子ファミリーである、Vカッパー1(K1A5)及びJカッパー4由来であった。

131−2Gは、以下に示すIgH−VJ558VHlファミリーのVセグメントを使用する

131−2Gは、以下に示すIgκV1サブグループのVセグメントを使用する。

【0063】
131‐2Gモノクローナル抗体のヒトへの適合化。
抗体(Ab)の、そのコグネイトの(cognate)抗原(Ag)への結合は、高度に特異的な相互作用である。この特異性は、抗体結合サイトと抗原決定因子の間の構造的な相補性に起因する。抗体結合サイトは、主に高頻度可変(hypervariable)、又は相補性決定領域(CDRs)からの残基で構成され、時折、非高頻度可変(non-hypervariable)(又はフレームワーク:framework)領域からの残基が、全体ドメイン構造(overall domain structure)に影響を及ぼし、そして、それにより、結合サイトに影響を及ぼす。
【0064】
マウスのVH遺伝子セグメントのレパートリーは、ヒトのレパートリーの2倍のサイズであり、ヒトIgH遺伝子座に比べて、より機能的な遺伝子を含む。マウス及びヒトの遺伝子座は、お互いに広範囲の類似性を有さない。VHおよびVLドメインの最初の(first)2つのCDRsは、カノニカル構造として知られる主鎖構造の小さい(small)レパートリー構造を有する。特定のカノニカル構造の存在は、主に、CDRsの長さ、及び、配列中の特定のサイトにおける鍵となる残基(key residues)の存在によって決定される。VH1ファミリー(VH1 1‐2)の同一のカノニカル構造の組み合わせは、ヒトのVH1とマウスのVH1ファミリーのメンバー間で共有される。131‐2Gの重鎖及び軽鎖の配列解析と、131‐2GがIgH−VJ558VH1ファミリー及びIgκ1ファミリーのVセグメントを使用するという事実とに基づいて、両鎖を整列させ(aligned)、ヒトVH1及びVK1ファミリーのメンバーと比較した。配列の相同性は、ヒトVH1‐8及びVk1‐18の生殖系列配列に対して、それぞれ70%及び77%の同一性になることを見出した。これらの生殖系列を、ヒトに適合した131‐2Gモノクローナル抗体(mAb)のヒトのフレームワークとして選択した。
【0065】
モノクローナル抗体131‐2Gのエピトープマッピング。
RSV溶解物及び精製したGaタンパク質を使用したウエスタンブロット分析は、131‐2Gがリニア状エピトープを認識することを示唆した。131‐2Gの結合ドメインを、RSV‐GA2タンパク質配列由来の重複するペプチドのセットを使用してマップさせた。図2Aは、保存されたCX3Cモチーフの位置を含むGタンパク質配列を示す。詳細なエピトープマッピングを得るために、1つの残基ずつシフトした12‐mer(12量体)のGa由来ペプチドのファミリーについて、スキャンを実行した。そのようなペプチドのアレイを、1μg/mlの131-2Gモノクローナル抗体でプローブした。131‐2Gの結合を、ヤギ抗マウスペルオキシダーゼ標識抗体と、スーパーシグナル化学発光検出システム(super signal chemiluminescence detection system, Pierce, Rockford IL, USA)とを組み合わせて検出した。図3に概説するように、131‐2G抗体は、RSV-Gaタンパク質の残基157から176までにわたる、8つの連続したペプチドと反応する。131‐2Gによって認識されるエピトープは、ペプチド配列(157)SKPNNDFHFEVF(169)及び(169)HFEVFNFVPCSI(176)の内である。8つのペプチドからの共通配列に基づいて、131‐2Gの結合ドメインを、残基164−168にマップさせた。
【0066】
3つの方法を、131‐2G及び類似する(analogous)ヒトモノクローナル抗体の親和性を特徴付けるために使用した。第一に、結合シグナルを、ELISA様式において、固定した量の抗体の段階希釈物に対するプローブについて測定した。この滴定曲線の中間点(midpoint)は、親和性の近似値である。131‐2Gの場合には、中間点は4nMである。第二に、131‐2Gの親和性を、商業的な分析実験室において、オンレートとオフレートの割合に基づいてBiacore分析によって測定して、親和性を、7nMとして算出した。第三に、セルスポット(登録商標)ビーズに担持したGaタンパク質(the Ga protein on Cell Spot(登録商標) beads)の血清アルブミンでの希釈物は、多数のコピーのタンパク質が抗体フットプリントと相互作用する機会を減少させる。結果として起こる生の(raw)シグナルからの多座配位の結合活性効果(multi-dentate avidity effects)の抑制は、公知の基準に対しクローンのセットの親和性に関する順位付けを可能にする。この親和性の測定は、ヒト抗体を131−2Gと比較すること、及び高い親和性のクローンを効率よく選択することに使用することができる。これら全ての方法は、Gタンパク質抗原の一貫したソースの利用可能性によって改善される。本願発明者らの初期の研究では、抗原は、ウィルス感染細胞から抽出された。この仕方で調製した抗原の品質の可変性に起因して、本願発明者らは、Gタンパク質生産のための組み換え発現システムを開発したが、それは、より信頼性があることが証明された。

[実施例2]
RSV‐Ga/Gbに対する抗体を分泌するヒトB細胞の単離
【0067】
RSV感染が確認された40人の成人からの末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells:PBMCs)を、抗ウィルス抗体を生産するヒトB細胞について調査した。RSV付着Gタンパク質に対する所望の抗体を有する被検体を、抗RSV‐G特異的モノクローナル抗体のクローニングに使用した。調査の結果は、〜10%の被検体が1/100000を上回る所望の細胞の頻度を有したものであった。しかしながら、低い頻度の被検体であっても目的の被検体であり、実際には、確認(ないし同定)した最も高い親和性の抗体は、所望のB細胞のタイプの頻度が非常に低いドナー(〜1ppm)から由来した。
【0068】
まれで好ましい細胞の調査及び回収を達成するために、本願発明者らは、上述のセルスポット(CellSpot登録商標)技術を使用した。セルスポット(登録商標)アッセイ法は、単一の細胞から分泌されるIgGを、細胞の近隣にフットプリントとして捕らえることによって、ELISA相当のアッセイを単一の細胞の寸法に近い実際上の(virtual)ウェルにまで効率的に縮小する。結果として、何百万の細胞を容易に解析することができる。更には、顕微鏡多重化試薬(microscopic multiplexing reagents:組み合わせで着色した蛍光ラテックス微小球、US6,642,062参照)の使用によって、各クローンの分泌抗体のフットプリントを、複数の生化学的なプローブを用いて、特異性及び/又は親和性について詳細に特徴付けることができる。定量的アッセイの忠実度は、オリジナルの確認アッセイと一致する表現型を示すクローン化された発現細胞を含む調査集団から極めてまれで好ましい細胞の回収を可能にすることに十分である。
【0069】
スクリーニングの基準は、2つの主要なストレインのファミリーの両方からのGタンパク質(Ga及びGbと表記する)に結合すること、かつ、Fタンパク質(他の主要なウィルスコートタンパク質)には結合しないことであった。クローンを順序付ける親和性の順位付けは、血清アルブミンでビーズに担持した抗原を希釈することによっても達成することができる。これは、分泌されたIgGフットプリントに対する多座配位の(multi-dentate)結合の機会(「結合活性」効果:an "avidity" effect)を減少させるため、より高い内因性の親和性を選択する。Gタンパク質は、2つのRSVストレインの一方或いは他方に感染したベロ細胞から精製した。
【0070】
該方法は、ヒトB細胞に適用され、標準的な磁石分離法(magnetic separation method)を使用してPBMCsからB細胞でない細胞を欠乏させる(なくする)ことによって開始する。細胞をIMDM/20%HI‐FCSに1×10(1e6)/mlで再懸濁し、EBV(感染したB95‐8細胞の上清から直接ペレットにした)を、1:100の希釈率で加え、そして細胞を37℃で2時間インキュベートした。余分なウィルスを、そして細胞を洗い流し、IMDM(20%FCS、20%巨大細胞腫馴化培地(Giant cell tumor conditioned medium)、2μg/ml CpG(ODN2006)、及び10ng/mL IL‐10)において調査するだけのために培養するか、又は、磁石ポジティブ選別を使用して表面IgGに関してさらに選別した。細胞を、200‐300細胞/ウェルで、放射線照射したヒト肺細胞(MRC‐5、5000細胞/ウェル)上で、IMDM(20%HI‐FCS、20%巨大細胞腫馴化培地(Giant cell tumor conditioned medium)、2μg/ml CpG(ODN2006)、及び10ng/ml IL‐10)において培養した。培地を2−3日毎に補充した。ウェルの二分の一(one half)の内容物を6日目に、セルスポット(登録商標)において解析した。次に、調査アッセイによりポジティブの少数のウェルの残りの細胞を、同一の支持細胞及び同一の培養条件で、10、5、1及び、0.5細胞/ウェルまでに希釈した。4‐5日後、これら限界希釈プレートをELISA又は、セルスポット(登録商標)によって再度アッセイした。
【0071】
次に、限界希釈におけるポジティブウェルの内容物を、逆トランスクリプターゼ‐PCRを使用して抗体の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを回収する処理に供した。PBMCsを解凍してからRT‐PCR介してコードするmRNAを回収するまでの全所要時間は、10−12日であった。
【0072】
図4は、この実験からのイラスト的なデータを示す。好ましいドナー及び好ましくないドナーの血液サンプルのセルスポット(登録商標)プロファイリングの例を、パネルA及びB(図4A、4B)に示す。パネルC(図4C)に、最初の検出における好ましいクローンのプロファイルを、その細胞由来の抗体をクローン化したcDNAで形質転換したHEK293細胞の子孫から分泌した抗体のパネルD(図4D)の増殖(replicate)プロファイルと共に示す。これらのプロファイルは、アッセイの正確性の範囲内で同一であり、好ましいクローンの回収が成功したことを示す。
【0073】
図1に示すように、抗RSV抗体の大部分は、Fタンパク質、又はFとGとに共通する抗原決定基(ほとんどのものは、2つのタンパク質が配列相同性を有さないため、おそらく炭化水素である)に向けられる。大半がGa又はGbにのみ結合するGタンパク質特異的抗体の[配列変動性:sequence variability]は、公知のGタンパク質の高い配列変動性と符合する。全体的には、〜2000万の個々のB細胞を調査した。12個の最も有望な抗体をRT−PCRによって回収した。かくて、全体的には、好ましいクローンの頻度は、100万分の1未満であり、そして5000万を上回るELISA相当のアッセイが、これらのまれなクローンを発見するために必要であった。従って、セルスポット(登録商標)技術は、他の方法で可能であろうよりも、より包括的なクローンの調査を可能にした。結果として得られたクローンの品質は、より限定的なスクリーニングによって発見されたクローンの品質よりも優れており、高品質なセットのクローンのコンセンサスな特徴は、所望の抗体の予測されない特徴を明らかにする。

[実施例3]
RSV‐Ga/Gbに対するヒト抗体のクローニング
【0074】
再配置された(rearranged)Ig重鎖およびIg軽鎖の遺伝子のポジティブのELISAウェルからの増幅は、セミネステッドポリメラーゼ連鎖反応(semi-nested PCR)を使用して行った。ア・プリオリに未知のV遺伝子の再配置物の増幅のために、ヒトのIg遺伝子座(Ig Locus)におけるほとんど全てのV遺伝子セグメントを認識するファミリー特異的V遺伝子プライマーのコレクションを構築した。5´プライマーを、Cγ、Cκ及びCλの遺伝子セグメントに特異的なプライマー混合物と一緒に使用した。限界希釈したRSV‐G特異的B細胞のクロナリティー(clonality)を、異なった(distinct)子孫の細胞由来のV遺伝子増幅産物の配列比較によって明確に(ないし一義的に:unequevocally)決定し、そして増幅した全長のV遺伝子の再配列物を、IgG発現ベクターにクローン化した。この方法は、また、V−、D−、及びJ−遺伝子の使用、そして、体細胞変異体の存在及びパターン(化)などの、更なる問題(issues)に取り組むことにも有用であった。
【0075】
方法
単離したヒトB細胞由来の全体の(total)mRNAを、商業的に入手可能なRNA精製キットを使用して抽出した(RNeasy;Qiagen(Germany))。逆転写‐PCRを、全体の(total)RNA調製物と、プライマーとしてのオリゴヌクレオチドとを使用して実行した。各サンプルについて3つのPCR反応を実行した:1つは軽鎖カッパー(κ)、1つは軽鎖ラムダ(λ)、そして1つはガンマ重鎖(γ)について実行した。QIAGEN(登録商標)ワンステップRT−PCRキット(Qiagenカタログ番号210212)を増幅に使用した。一組の(coupled)RT−PCR反応において、cDNAを、RT酵素(Omniscript(登録商標)及び、 Sensiscript(登録商標))の固有の配合(unique blend)で、C‐κ、C‐λ、又は、C‐γ遺伝子のCH1領域のコンセンサス[配列]と対応するアンチセンス配列に特異的プライマーを使用して合成し、RTを、50℃で1時間実行し、次にcDNAのPCR増幅を、高い特異性及び感度のため、HotStarTaq DNAポリメラーゼによって行った。各PCR反応は、5´センスプライマーの混合物を使用した。プライマー配列は、VH、VK及び、VLのリーダー配列に基づいた。PCR反応は、最初のホットスタートを95℃で15分間で行い、次に、95℃で30秒間(変性)、60℃で45秒間(アニーリング)、そして72℃で1分間(伸張)の20サイクルを行った。
【0076】
検出のためのネステッドPCR及び可変Igフラグメントの発現ベクターへのクローニング
第2ラウンドにおいて、5μlの最初の増幅反応のアリコットを適用した。使用したプライマーは、5´BglIIの制限サイト、及び3´XbaIの制限サイトを有する。30回のPCRサイクルを実行した。増幅の第1ラウンド及び第2ラウンドに、同一の条件を使用した。5マイクロリッターの各反応物を、1%アガロースゲル上に載せて分離し、そして、次に、エチジウムブロマイドで染色した。V‐C PCR産物は、それぞれ500及び450bpのVH及びVLの再配置したフラグメントを増幅することが予測される。およそ500bpの分子サイズを有するPCRバンド(複数)はポジティブの結果を示した。PCR産物を精製し(Qiagenゲル精製キット、カタログ番号28704)、そして、抽出したPCR産物を、特異的な定常領域プライマーを使用して直接的にシーケンスした。クローン化したフラグメントの配列を、組み換え体の生産のために調製したプラスミドをシーケンスすることによって確認した。
【0077】
図5Aは、可変領域、D及びJ結合領域、フレームワーク(FR)、そして相補性決定領域(CDR)を含む、ヒト被検体から単離した本発明の抗体の重鎖のアミノ酸配列、並びに、ヒトに適合した131‐2Gの重鎖のアミノ酸配列を示す。Aストレイン由来のGタンパク質のみと免疫反応性である抗体3F9を除く全てのリストした抗体は、A及びBストレインの両方から由来のGタンパク質と免疫反応性である。図5Bは、これらの抗体の軽鎖に関する類似の配列情報を示す。配列のリスト中のダッシュ(Dashes)は、異なる長さの遺伝子配列のアライメント補正を表す。
【0078】
哺乳類細胞におけるインビトロの抗体生産のために、上記のPCRフラグメントを消化し、ヒトガンマ1、またはヒトカッパー又はラムダの定常領域を有する個々の発現ベクターにクローン化した。重鎖及び、軽鎖をコードする発現ベクターを293(ヒト腎臓)細胞系列(Invitrogen)に共形質転換(co-transfected)した。発現プラスミドを、陽イオン性の脂質ベースの形質転換試薬(293 fectin(登録商標);Invitrogen)を使用して導入した。各形質転換反応に関して、20μgの精製したプラスミドおよび、40μLの293fectin(登録商標)を、[それぞれ]1mLのOpti‐MEM(登録商標、Invitrogen)に混合して、結合する前に5分間室温でインキュベートし、そして、20分間室温で複合体を形成させるようにした。DNA‐293fectin複合体を、90mmペトリプレートに蒔いた3×10の細胞に加え、37℃、8%COでインキュベートした。最終工程において、上清を形質転換から72時間が経過した後に遠心(3,000g、15分間、4℃)によって回収して、分泌抗体を回収した。

[実施例4]
本発明の抗体のエピトープマッピング及び親和性の決定
【0079】
前述の先行技術(prior art)の抗体131‐2Gのエピトープマッピングに関する実施例1に記載の技術を使用して、本発明の抗体に対応するエピトープを決定した。本発明の抗体の親和性は、131‐2Gモノクローナル抗体に関する実施例1に記載の方法を使用して決定した。
【0080】
下記の表1に示すように、3つの抗体は、立体構造的なエピトープに結合する‐すなわち、それらは重複するペプチドを結合することによっては、マップしない。特異的な配列をマップする本発明の抗体を表1に示す。測定したオンレート及びオフレートから算出してpMで示した組み換えGaタンパク質及びGbタンパク質に関する標準的なBiacoreアッセイを使用して決定した親和性定数も示す。これら抗体の2つのデータを図6に示す。パネルA、B及びC(図6A、6B、6C)は、3G12の結合データを示し、パネルD、E、およびF(図6D、6E、6F)は、3D3のデータを示す。上段の列は、抗体を用いたバイオセンサーチップのローディングを示し、中段の列は、チップにGaタンパク質を横切って流した後に、バッファーで洗浄することから上昇するシグナルを示し、下段の列は、Gbタンパク質に関する同様の結果を示す。シグナルの増加(上昇)は、オンレートの算出を許容し、一方では、洗浄中の減少は、オフレートの算出を許容する。オフレートに対するオンレートの割合は、親和性定数、Kdである。

[表1]

131−2Gと同一のエピトープ

[実施例5]
Gタンパク質との結合に対するウィルス粒子(Virions)との結合の比較
【0081】
図7は、標準的な西洋ワサビペルオキシダーゼアッセイを使用した、生ウィルスを採用して、結合を評価するELISAアッセイの結果を示す。様々なソースからのウィルスのプレップ(preps)を、10PFU/ウェル以上の濃度で、pH9.6の炭酸塩バッファー中で、4℃オーバーナイトで、プレートの表面をコートすることに使用した。プレートを、PBSTを含む5%ミルクで、1時間、室温でブロッキングした。抗体の段階的(serial)希釈液をウェルに、1時間室温でブロッキングバッファーにおいて加えた。検出のために、ヤギ抗ヒトFcガンマ‐HRP(Jackson Immuno.)の1:2000希釈物をブロッキングバッファーに1時間室温で加えた。プレートをPBSTで、十分に洗浄した。基質TMBのターンオ−バーを450nmで測定した。図7で示すように、3D3は、いくつかの他の本発明の抗体と同様に、良く生ウィルスに結合する。実質的に弱い親和性を有するSynagis(登録商標)抗体は、抗体濃度10ng/mlでさえ、生ウィルスに対してほんの少ししか結合しないことを示す。図8は、ウィルス粒子に対する結合と比較したときの、組み換えタンパク質に対する結合の相関関係を示す。
【0082】
図9A及び9Bは、上記のアッセイを使用した、本発明の抗体のストレインA2対A5への結合の比較上の能力を実証するグラフである。図9Aは、3D3及び3G12が、Synagis(登録商標)と比較してストレインA2に良く結合することを示す。PABは、全てのRSVタンパク質に対する市販のポリクローナルのヤギ抗体である(Chemicon、カタログ#ABI128)。
【0083】
図9Bは、これらの抗体がストレインA5にも結合することを示す(注、X軸の単位は、図9Aと異なる)。同様の実験(複数)は、本発明の抗体が、多種の臨床上の分離物に結合することを示す。

[実施例6]
中和アッセイ
【0084】
選択した本発明の抗体のインビトロにおけるウィルスを中和する能力を、標準的なプラークアッセイによって得た。HEp2細胞を12‐ウェルプレートに、2×10細胞/ウェルで蒔いた。次の日、抗体の段階希釈物を培地において産出した。およそ200PFU/ウェルのRSVを、ウサギ補体血清の存在下で、1時間室温で抗体に加えた。次に、抗体‐ウィルスの混合物を、200μL/ウェルの割合でHEp2細胞に加え、室温で2時間感染させた。この感染期間の後に、培地を取り除き、1%メチルセルロース含有培地を全てのウェルに加えた。プレートを35℃で6日間インキュベートし、この期間の後に、以下のように、細胞を固定し、プラーク数の測定のために染色した。メチルセルロースを細胞層から吸引し、そして細胞を100%メタノールで30分間、室温で固定する。次に、プレートを3回、5%ミルク含有PBSで洗浄する。一次抗体(ヤギ由来抗RSVポリクローナル抗体(Chemicon Cat#AB1128))を1:500の希釈率で、PBS+5%ミルクタンパク質に加え1時間保持する。プレートを3回、5%ミルク含有PBSで再び洗浄する。二次抗体(ImmunoPureペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヤギ抗体IgG(H+L))(Thermo Scientific, Cat#31402))を1:500の希釈率で、5%ミルクタンパク質含有PBSに加え1時間保持する。プレートを3回、1×PBSで洗浄する。プラークを、200μl/ウェルの1−ステップChloronaphthol substrate(Pierce, Cat#34012)を加え10分間保持することによって、可視化する。プレートを水でリンスし、そして風乾する。各ウェルのプラークを計測する。
【0085】
図10は、ヒト抗体のμgあたりのプラークの絶対数に関する結果を示し、Synagis(登録商標)抗体を結果に含む。これらデータは、試験した抗体のデータを示し、3D3が最も強力である。この分析によれば、3G12は、15ng/mlのIC50又は100pMの親和性を有するが、これに対して、市販の抗体であるSynagis(登録商標)は、2nMの親和性に相当する300ng/mlのIC50を有する。Synagis(登録商標)及び本発明の抗G抗体は、これらの条件下において、相乗的(synergistic)でないことを更に見出した。
【0086】
図11は、Synagis(登録商標)と比較した、ストレインBに関する3G12抗体の中和を示す。規格化した(normalized)データ(コントロールの%)は、1回の実験あたり、160‐180個のプラークの絶対数に基づく。インビトロにおいて、1pMから5nMまでの親和性を有する本発明の抗体(表1)は、10‐100ng/mlの間のEC50値を有する。

[実施例7]
マウスでの抗G予防
【0087】
本発明の抗体、Synagis(登録商標)及びヒトIgG1の、マウスにおけるRSV感染を防止する能力を試験した。感染前である−1日目に、コントロール群のマウスに培地及びPBSを腹腔内に(i.p.)注射した。試験群に、0.15、1.5及び、15mg/kgの抗体hIgG1(無免疫、アイソタイプコントロール)あるいは、3G12、3D3又はSynagis(登録商標)を注射した。これは、マウスあたり、およそ、3μg、30μg及び、300μgに相当する。
【0088】
0日目において、マウスに、1×10pfuのRSVのlongストレインを経鼻投与によって接種した。0日目及び5日目に、肺、気管支肺胞洗浄(液)(bronchial alveolar lavage:BAL)そして、血清を採取し、体重、肺重量、肺葉部(lung lobe section)におけるpfu、ウィルスの負荷(qPCRによる)、肺の組織、白血球の総数、FACS、そして、BALのIFNγを全て測定した。
【0089】
図12は、前述のリストからのプラークアッセイを使用した、ウィルスの肺負荷に基づく結果を示す。図12のデータは、このアッセイにおいて、3G12及び3D3が、Synagis(登録商標)と同等に有効であることを示す(Synagis(登録商標)の典型的なヒト投与量は、ヒトにおいて15mg/kgである)。

[実施例8]
RSV‐Ga/Gbに対する抗体の治療効果
【0090】
RSV‐Gの保存されたモチーフに対する抗体は、治療効果を有することが示される。マウスを、0日目に、10pfuのRSVを鼻腔内的に感染させ、次に、3日目に、3mg/kgの抗体で腹腔内に注射して処置し、そして、5日目及び7日目に、気管支肺胞洗浄(液)中のウィルスの負荷をアッセイした。このモデルにおいて、感染物はヒトに比べてより容易に自然に排除される。それにも関わらず、抗体の処置は、RSVに結合しないコントロール抗体と比較して、投与量依存的な態様で、ウィルス排除率の促進を引き起こす(図13A)。各処置群は5頭の動物を有し、結果は、統計的に有意である。
【0091】
WO00/43040に記載のように、サブスタンスPに対する抗体は、RSVに起因する肺炎(RSV感染の臨床上の重要な特徴である慢性化した病態の動物モデル)を軽減することに有益である。サブスタンスPの上方への制御は、活性化Gタンパク質に依存する(Haynes, L. M., et al., J. Virol. (2003) 77:9831−9844)。本発明の抗体の処置の後に、炎症性NK細胞とPMN細胞の総数の減少(図13B)、並びに、サイトカイン(例えば、IFNγ)の減少(図13C)を含む、肺炎の尺度(measures)の減少も観察されている。
【0092】
更なる試験において、0日目に、マウスに10pfuのA型RSV longストレインを鼻腔内投与によって接種した。
【0093】
3日目において、4‐5匹のマウスの種々の群に以下の処置をした。
【0094】
第1群:0日目に感染を受けず、PBSを処置したコントロール群。
【0095】
第2群:0日目にRSV接種を受けて、そして3日にPBSを処置したネガティブコントロール群。
【0096】
第3群:0日目のにRSV接種を受けて、Synagis(登録商標)抗体の生理食塩水溶液を腹腔内にマウスあたり1、10又は100μg、あるいは、0.05、0.5又は5mg/kgで処置した群。
【0097】
第4群:0日目にRSVを接種し、モノクローナル抗体3D3を第3群と同様のプロトコルで投与した群。
【0098】
第5群:0日目にRSVの接種を受け、3G12を第3群及び4群と同一の量で投与した群。
【0099】
肺、及びBAL液を、0日、3日、5日、7日、そして10日目に採取した。更に、体重、肺重量、肺葉のpfu、qPCRによるウィルスの負荷、肺組織、白血球の総数、FACS、並びにBALのIFNγを測定した。10μgのモノクローナル抗体を投与した群のqPCRの結果を図14に示す。
【0100】
図14に示すように、Synagis(登録商標)処置および未処置のマウスのウィルス性の力価(titer)は、この比較的に低い抗体の投与量で同様の様態を示すが、これに対して、3D3を処置したマウス及び3G12を処置したマウスは、感染のピークの5日目において、著しく低い力価を有した。この実験は、インビトロにおけるより高い親和性がインビボにおけるより高い効力(potency)と相関することを実証する。
【0101】
図15は、7日目にqPCRによって測定したときに、3G12及び3D3が、Synagis(登録商標)よりも低い濃度において、RSVのコピー数を低くすることができたことを実証する投与量応答曲線を示す。3D3は特に強力であり、インビトロにおいて、より高い親和性を有することと再び一致した。
【0102】
同様に、図16に示すように、10日目にqPCRウィルス数を計測するときには、この時点において、ウィルス力価は、マウス免疫システムによる自然な排除に起因して、自然に非常に低いが、3D3は、様々な投与量の濃度において、Synagis(登録商標)よりもおよそ100倍強力である。この実験は、抗原の濃度が低下した時でさえ有効であり続ける高親和性抗体の有用性を強調する。ヒトの病気の経過は、マウスよりもかなり慢性化するため、長い期間にわたりウィルスを中和し続ける抗体の使用に関する明確な動機を提供する。
【0103】
更なる実験において、マウス抗Gモノクローナル抗体又はマウス抗Fモノクローナル抗体をマウスに、4匹の群(複数)において処置し、各実験を3回繰り返した。マウスを、0日目に免疫化し、3日目に抗体で処置し、そして、様々な有効性の兆候を3、5、7日目に測定した。
【0104】
有効性の指標の1つとして、図17に示す結果を有する3つの群における気管支肺胞洗浄(液)(BAL)中の炎症細胞を測定した。肺あたりのBAL細胞(数)を、0から140×10までのY軸上にプロットする。結果は、抗Fモノクローナル抗体(anti-F mAb)は、アイソタイプコントロールである非免疫抗体と比較して、5日目での肺あたりのBAL細胞数を低減させたが、これに対し、抗Gモノクローナル抗体(anti-G mAb)は、BAL細胞数を、実質的に更に[抗Fモノクローナル抗体よりも]低減させたことを示す。7日目までに、感染はその過程を進行していた。
【0105】
図18A及び、18Bは、ペプシンでの切断及び固定したタンパク質Aを使用したFcフラグメントの除去によって抗G抗体から得られた抗G F(ab´)と比較した抗Gモノクローナル抗体(マウス131‐2G)の有効性の比較を示す。インビトロでの抗G抗体の抗ウィルス効果にとって補体は重要であることを示す。このことは、抗ウィルス効果がpfu/肺組織重量(g)として測定される図18Aにおいて確認される。アッセイは、実施例6のように実施した。補体媒介活性に必要であるIgGのFc部分を欠く抗G抗体のF(ab´)フラグメントは、ウィルスの負荷を低減させることにおいては、コントロールよりも全く優れないが、これに対して、抗Gモノクローナル抗体は非常に有効である。しかしながら、図18Bに示すように、炎症を結果の測定として使用する場合には、抗Gモノクローナル抗体のF(ab´)フラグメントは、完全な抗体と同じ程度に十分に有効である。この実験は、Gタンパク質の中和は、気道炎症を低減することに重要な意味を持つことを実証する。ウィルスが活発に可溶型のGタンパク質を分泌し、そして、高い親和性の結合が可溶性の因子の中和に重要であるため、本発明の高い親和性の抗体が抗炎症効果に対する特別な有用性を有することが予測される。
【0106】
図19A、B及びCは、投与の時間の関数として、気道炎症のマーカーとしての役割を果たすサイトカインを用いたBAL中のIFNγの生産に対する抗Gモノクローナル抗体の影響を示す。全てのケースのコントロール非免疫抗体は、気道炎症に伴うIFNγ産生の増加を減少させない。しかしながら、抗Gモノクローナル抗体は、−1日(パネルA)又は3日目(パネルB)に投与されても、あるいは、5日目(パネルC)でさえも、IFNγレベルの著しい減少を7日目に結果として示す。この実験は、ウィルスの負荷のピークを十分に過ぎた炎症の処置のための、RSV Gタンパク質の中心の保存されたモチーフに対する抗体の有用性を実証する。

[実施例9]
感染した被検体における内在性抗体の特異性
【0107】
重篤なRSV病を有する4人の高齢者、及び軽度のRSV病を有する6人の高齢者からの血清サンプルを、以下に示す、A2ストレイン由来のRSV Gタンパク質の保存された領域を表す合成ペプチドを用いて免疫反応性に関して試験した。

アッセイを、実施例5に記載のELISAプロトコルを使用して実行した。このペプチドと免疫反応性の抗体のレベルは、病気の重症度に相関し、ここで、病気の軽度の形態を有する被検体は、より重篤な感染の兆候を有する被検体よりも、非常に高い力価を発揮した(図20参照)。これらの結果は、Gタンパク質のこの部分と免疫反応性の抗体が感染を改善することに有効であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体(mAb)又はその免疫反応性のフラグメントであって、
(a)RSウィルス(respiratory syncytial virus:RSV)ストレインA2のGタンパク質の160−176番目の残基の内のエピトープに結合すること、
(b)ヒト被検体に投与されたときには、最小限の免疫原性であること、及び
(c)中和のためのプラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization test:PRNT)アッセイにおいて500ng/ml未満のEC50を有すること
を特徴とするモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項2】
少なくとも1nMのRSV A2のGタンパク質に関する親和性を有することを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項3】
RSV群BストレインのGタンパク質の対応するエピトープにも結合することを特徴とする請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項4】
完全抗体の形態であることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
ヒトに適合した形態の131−2Gもしくはその免疫特異的フラグメントであるか、又は、1F12、3G12、1A5、3D3、1G1、2B11、5D8、2D10、3F9、1D4、1G8、6A12もしくは10C6、又はこれらの免疫特異的フラグメントであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項6】
完全抗体であることを特徴とする請求項5に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
唯一(sole)の有効成分として、単離された請求項1に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントを、医薬的に許容可能な賦形剤と共に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
唯一の有効成分として、請求項1に記載の前記モノクローナル抗体又はフラグメント、及びRSV群BストレインのGタンパク質と免疫反応性である更なるモノクローナル抗体又はそのフラグメントを、医薬的に許容可能な賦形剤と共に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
唯一の有効成分として、請求項1に記載の前記モノクローナル抗体又はフラグメント、及びRSVと免疫反応性の抗体以外の更なる薬剤を、医薬的に許容可能な賦形剤と共に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
前記更なる薬剤が抗RSV剤であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
唯一の有効成分として、請求項1に記載の前記モノクローナル抗体又はフラグメント、及びRSV群BストレインのGタンパク質と免疫反応性である更なるモノクローナル抗体又はそのフラグメントを、RSVと免疫反応性の抗体以外の更なる化合物及び医薬的に許容可能な賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項12】
前記更なる薬剤が抗RSV剤であることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
RSVのFタンパク質と免疫反応性の1つ以上のモノクローナル抗体又はそのフラグメントを更に含むことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
RSVに感染したヒト被検体において治療上の効果を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
RSVに感染したヒト被検体における気道炎症を減少させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントをコードする第1のヌクレオチド配列(1つ以上)を含む1つ以上の核酸分子、又は、前記第1のヌクレオチド配列(1つ以上)に対し、その(ないしはそれらの)全長にわたって相補的な第2のヌクレオチド配列(1つ以上)を含む1つ以上の核酸分子。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントを生産する組み換え宿主細胞又は不死化細胞。
【請求項18】
哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞又は植物細胞であることを特徴とする請求項17に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項19】
モノクローナル抗体又はその免疫反応性フラグメントを生産する方法であって、
請求項17に記載の細胞を培養するステップ、及び前記モノクローナル抗体又はフラグメントを回収するステップを含む方法。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントを生産することを特徴とするヒト以外のトランスジェニック動物、又はトランスジェニック植物。
【請求項21】
RSVに感染した被検体(subject)におけるRSVを処置する方法であって、
そのような処置を必要とする被検体であり、かつ、RSVに感染した被検体に、有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントを投与するステップを含む方法。
【請求項22】
ウィルス性の負荷を減少させる結果になることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記被検体がヒトであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
RSVに感染した被検体(subject)におけるRSVを処置する方法であって、
そのような処置を必要とする被検体であり、かつ、RSVに感染した被検体に、有効量の請求項7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項25】
ウィルス性の負荷を減少させる結果になることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記被検体がヒトであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ヒト被検体におけるRSVによる感染に対する抵抗性を強める方法であって、
そのような抵抗性を必要とするヒト被検体に、有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又はフラグメントを投与するステップを含む方法。
【請求項28】
ヒト被検体におけるRSVによる感染に対する抵抗性を強める方法であって、
そのような抵抗性を必要とするヒト被検体に、有効量の請求項7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2−A】
image rotate

【図2−B】
image rotate

【図2−C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−A】
image rotate

【図4−B】
image rotate

【図4−C】
image rotate

【図4−D】
image rotate

【図5−A】
image rotate

【図5−B】
image rotate

【図6−A】
image rotate

【図6−B】
image rotate

【図6−C】
image rotate

【図6−D】
image rotate

【図6−E】
image rotate

【図6−F】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−A】
image rotate

【図9−B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2011−500091(P2011−500091A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531283(P2010−531283)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/081175
【国際公開番号】WO2009/055711
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(504403150)トレリス バイオサイエンス、インク. (2)
【Fターム(参考)】