説明

折り畳み式つる性植物の支持ネット

【課題】建物の壁面や窓の緑化に利用できる、簡単に組立と分解ができ、且つ設置したときの安定性に優れたつる性植物の支持ネットを提供すること。
【解決手段】2本の支柱部材と、該2本の支柱部材の上端部間を連結する連結部材と、該連結部材と前記2本の支柱部材の間に張設される柔軟性のあるネット部材とから構成されるつる性植物の支持ネットであって、連結部材は支柱部材の上端部と折り曲げ自在に連結されており、ネット部材は連結部材と2本の支柱部材で囲まれる平面の少なくも半分を満たす大きさを有しており、2本の支柱部材は2本の紐状部材でたすき掛けに連結されるようになっており、ネット部材をほぼ完全に拡幅したとき、2本の紐状部材は2本の支柱部材の間でX字状に緊張状態を形成するようになっている折り畳み式つる性植物の支持ネット。この支持ネットは、コンパクトに折り畳みが可能で、梱包や運搬に便利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる性植物を手軽に育成するための支持柱とネットを組み合わせた、折り畳み式つる性植物の支持ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物の内部あるいは外部を緑化するため、つる性植物を建物の壁面に沿って成長させることが行われている。また、アパートやマンションのベランダ等で、楽しみながら緑化を図ると共に各種の実用的な植物を育てることも広く行われている。特に最近では、環境問題に対する意識の高まりと相まって、いわゆる「みどりのカーテン」として、建物の壁面や窓あるいはベランダの壁面等に、ヘチマ、ゴーヤ、キュウリ、ブラックベリー等のつる性植物を這わせることによって、夏季の強い日差しを和らげ室温の上昇を抑え、結果的に冷房の使用を抑制し地球温暖化対策にも役立てようとする試みが行われている。
【0003】
つる性植物を建物の壁面や窓に這わせるための装置あるいは道具としては、従来、さまざまなものが知られている。例えば、建物の壁や窓に固定するタイプのかなり大掛かりな構造物からなるもの(例えば、特許文献1と2参照)、あるいは移動可能で比較的簡便なものも色々な形態のものが提案されている(例えば、特許文献3〜12参照)。しかしながら、組立と分解が容易で梱包や運搬に便利で、且つ設置したとき安定性に優れたつる性植物の支持ネットは、特に折り畳み式のものは、本発明者の知る限り実用化されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−219号公報
【特許文献2】特開2006−16762号公報
【特許文献3】特開平8−112039号公報
【特許文献4】特開平8−140502号公報
【特許文献5】特開平9−252654号公報
【特許文献6】特開2000−64691号公報
【特許文献7】特開2002−142573号公報
【特許文献8】特開2004−254504号公報
【特許文献9】特開2006−191850号公報
【特許文献10】特開2007−151528号公報
【特許文献11】登録実用新案第3068875号
【特許文献12】登録実用新案第3094280号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、建物の壁面や窓の緑化に利用できる、特にアパートやマンションのベランダ等で、簡単に組立と分解ができ、梱包や運搬に便利で、且つ設置したとき安定性に優れたつる性植物の支持ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2本の支柱部材と、該2本の支柱部材の上端部間を連結する連結部材と、該連結部材と前記2本の支柱部材の間に張設される柔軟性のあるネット部材とから構成されるつる性植物の支持ネットであって、連結部材は支柱部材の上端部と折り曲げ自在に連結されており、ネット部材は連結部材と2本の支柱部材で囲まれる平面の少なくも半分を満たす大きさを有しており、2本の支柱部材は2本の紐状部材でたすき掛けに連結されるようになっており、ネット部材をほぼ完全に拡幅したとき、2本の紐状部材は2本の支柱部材の間でX字状に緊張状態を形成するようになっていることを特徴とする折り畳み式つる性植物の支持ネットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の支持ネットは、簡単に組立と分解ができ、且つ設置したとき安定性に優れているので、建物の壁面や窓の緑化に利用できるだけでなく、特にアパートやマンションのベランダ等で使用するのに便利である。しかもコンパクトに折り畳みが可能であるので、梱包や運搬が容易であり、特に通信販売による取扱に便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、つる性植物を手軽に育成するための支持柱とネットを組み合わせた、折り畳み式のつる性植物の支持ネットである。つる性植物とは、一般的には、自らの力で体を支えるのではなく、他の樹木等を支えにすることで高いところへ茎を伸ばす植物として定義されるが、本発明においては、厳密な定義によることなく、広く、つるを有する植物である、ツタ、ヘチマ、ゴーヤ、キュウリ、スイカ、かぼちゃ、ブラックベリー等を意味する。
【0009】
本発明を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の折り畳み式つる性植物の支持ネット1の使用時の状態を示している。2aと2bは2本の支柱部材、3は連結部材、4は十分に拡幅された状態のネット部材、5aと5bは2本の紐状部材である。支柱部材と連結部材は、プラスチック、金属パイプ、木、竹等で作られた細長い棒状の材料である。太さや長さに特に制限はないが、建物やマンションの壁や窓枠等に立て掛けて使用する態様を考えると、支柱部材は100〜300cm、連結部材は60〜300cmの範囲にあるものが好ましい。
【0010】
連結部材3の端部は、それぞれ支柱部材2aと2bの上端部と連結されており、連結部6aと6bを形成している。連結部は、例えば、蝶番、リベット、ねじ止、蛇腹等の手段で折り曲げ自在に構成されている。折り曲げ自在とは、図1において、支持部材2a又は2bが、それぞれ連結部6a又は6bを軸として、少なくとも左右に90度回転できることを意味する。支柱部材2aと2bの下端部の形状は特に限定されるものではないが、地面やプランターの土に突き刺して用いるためには、先端部分が尖った形状に加工されていても良い。あるいは、安全を考慮して、先端部分に、プラスチック製やゴム製等のカバー又はストッパーを取り付けても良い。支柱部材を地面や床面に直接配置して使用する場合も考慮して、ストッパーの形状を、平らな接地面を持ったようなものにしても良い。また、支持ネット自体の高さを調節できるように、支柱部材は伸縮自在の部材であっても良い。
【0011】
図1に示したように、2本の支柱部材2aと2bと連結部材3の間には、柔軟性のあるネット部材4が張設されている。柔軟性のあるネット部材とは、折り曲げや拡幅、あるいは巻き取り等を、自由に行うことができる程度の柔らかさを持ったネット部材(網状部材)を意味する。具体的には、例えば、プラスチック製のネット、天然又は合成繊維製の網、あるいは柔軟な金属繊維製の網が挙げられる。網目の大きさは特に限定されるものではない。かかるネット部材は、連結部材と2本の支柱部材で囲まれる平面の少なくも半分を満たす大きさを有している必要がある。図1では、連結部材3と支柱部材2aと2bで囲まれる平面の約3/4を、ネット部材4が占めていることが分かる。好ましいのは、ネット部材の占める割合が70〜90%である。
【0012】
本発明において、連結部材と2本の支柱部材の間にネット部材が張設された状態とは、図1に示したように、ネット部材4が、その上部分は連結部材に、左右部分は支柱部材に結合され、下部部分は特に拘束されていない状態を意味する。ネット部材は柔軟であるから、本発明の支持ネットは、ネット部材を張設したまま、支柱部材と連結部材を自由に折り畳むことができ、また、折り畳まれた3本の部材をネット部材で巻き込み被覆して収納できる(図2参照)。本発明において、ネット部材は予め連結部材と2本の支柱部材の間に張設されているのが好ましい。ネット部材と連結部材等を結合する手段は特に制限されるものではなく、接着材で固定、紐で縛りつける等の任意の手段・方法を採用することができる。
【0013】
本発明においては、ネット部材を使用時に張設するようにしてあっても良い。例えば、ネット部材の3辺で、ネットを構成する糸端のそれぞれにループを形成しておけば、連結部材と2本の支柱部材をこのループに通すことによって、容易にネット部材を張設することができる。ネット部材を使用時に張設するようなタイプの場合には、支柱部材だけでなく連結部材も、長さの調節が自由にできるような部材としておけば、使用場所に応じて、任意の大きさの支持ネットに組み立てることができるので好ましい。
【0014】
図1に示したように、本発明においては、2本の支柱部材2aと2bは、2本の紐状部材5aと5bでたすき掛けに、即ち、5aと5bが交差するように連結されている。そして、紐状部材の長さは、ネット部材4をほぼ完全に拡幅したとき、2本の紐状部材5aと5bが2本の支柱部材2aと2bの間でX字状に緊張状態を形成する、即ち、2本の支柱部材2aと2bの間にX字状に張設され得る長さが必要である。紐状部材の材質としては特に制限はなく、合成又は天然繊維等の柔軟性のある紐状のものであれば良い。支柱部材との結合のさせ方も特に制限されるものではなく、接着剤で接着させたり、粘着テープで止めたり、直接縛り付けるなど、任意の方法・手段を採用することができる。本発明において、前記2本の紐状部材がなくネット部材だけの場合には、支持ネットの安定性に欠けるが、2本の紐状部材がX字状に張設されることによって安定性が付与される。
【0015】
2本の紐状部材が交差するようになっている限り、支柱部材と紐状部材の結合の位置は特に制限されるものではないが、図1に示したように、2本の支柱部材2aと2bが、2本の紐状部材5aと5bで、拡幅されたネット部材の対角線に沿って、たすき掛けに連結されるようになっているものが好ましい。また、ネット部材を使用時に張設するようなタイプの場合には、この紐状部材も使用時に支柱部材と結合させるようになっていても良い。また、この紐状部材は、ネット部材の網目に絡ませて張設するのが安定性の点で好ましい。
【0016】
図1において、7aと7bはゴムや発泡体等の弾性のある物質で作成されたクッション部材である。本発明においては、連結部材の裏面側(壁面等に接する面側)に、クッション部材を取り付けるのが好ましい。クッション部材を取り付けることによって、支持ネットが壁面等を傷つけるのを防ぐことができるだけでなく、クッション部材の取り付け位置や大きさによっては、壁面等に安定的にたて掛けることができる。クッション部材の大きさや数や取り付け方は、何ら制限されるものではない。
【0017】
連結部材には、また、フックを取り付けてもよい。フックを取り付けた本発明の支持ネットは、壁面の横桟やベランダの手すり等に安定的にたて掛けて設置することができる。あるいは、マンションの窓枠等にフックを引っかけて下方に吊るし、つる性植物のつるを下方に這わせる形で使用することもできる。
【0018】
図2は、本発明の支持ネットを折り畳んだ状態を示している(紐状部材とクッシン部材は図示せず)。図2に示したように、本発明の支持ネットは、連結部材と支柱部材を折り畳み、それらをネット部材(紐状部材とクッション材等も含めて)で巻き込んで、コンパクトに纏めることができる。従って、運搬・運送に際して、あるいは収納に際して、非常に簡単で且つ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の支持ネットの使用時の状態を示す図である。
【図2】本発明の支持ネットの折り畳んだ状態を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 折り畳み式つる性植物の支持ネット
2a、2b 支柱部材
3 連結部材
4 十分に拡幅された状態のネット部材
5a、5b 紐状部材
6 連結部
7a、7b クッション部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の支柱部材と、該2本の支柱部材の上端部間を連結する連結部材と、該連結部材と前記2本の支柱部材の間に張設される柔軟性のあるネット部材とから構成されるつる性植物の支持ネットであって、連結部材は支柱部材の上端部と折り曲げ自在に連結されており、ネット部材は連結部材と2本の支柱部材で囲まれる平面の少なくも半分を満たす大きさを有しており、2本の支柱部材は2本の紐状部材でたすき掛けに連結されるようになっており、ネット部材をほぼ完全に拡幅したとき、2本の紐状部材は2本の支柱部材の間でX字状に緊張状態を形成するようになっていることを特徴とする折り畳み式つる性植物の支持ネット。
【請求項2】
2本の支柱部材が2本の紐状部材で、拡幅されたネット部材の対角線に沿って、たすき掛けに連結されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の折り畳み式つる性植物の支持ネット。
【請求項3】
連結部材に、クッション部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み式つる性植物の支持ネット。
【請求項4】
連結部材に、フックが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み式つる性植物の支持ネット。




【図1】
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【図2】
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