説明

折り畳み式作業足場

【課題】 足場板を分割構成した折り畳み式作業足場において、足場設置時や撤去時の作業性に優れた折り畳み式作業足場を提供する。
【解決手段】 対向配置した一対の脚体2a、2bの脚柱5同士を伸縮自在なパンタグラフ状の筋交い3にて連結し、この筋交い3の伸縮方向の略中央部に中間支柱15を備えると共に、各脚体2a、2b間には長手方向の略中央部で二分割した足場板4a、4bを架設し、これら各足場板4a、4bの基端部をそれぞれ中間支柱15の上端部に軸着して山折りに折り畳み可能に構成する。そして、作業足場1を設置するときには水平に展開させた各足場板4a、4bの遊端部側を筋交い3拡張時の各脚体2a、2b上端部にて支持する一方、作業足場1を撤去するときには筋交い3を収縮させて近接させた各脚体2a、2bを、山折りに折り畳まれる各足場板4a、4bにて両側から挟み込んで収納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装工事や小規模の建築工事現場などで使用される折り畳み可能な作業足場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内装工事や小規模の建築工事現場などにおいては、設置及び撤去作業が容易で、搬送や保管性などにも優れる折り畳み式の作業足場が広く一般的に採用されている。この折り畳み式作業足場は、例えば、下端部に移動用のキャスターを備えた脚柱を二本並設し、これら各脚柱同士を横架材にて連結して枠状の脚体を形成すると共に、この脚体を一対対向配置して各脚体の脚柱同士を伸縮自在なパンタグラフ状の筋交いにて連結して成り、設置時にはこのパンタグラフ状の筋交いを拡張させた状態で各脚体の横架材間に足場板を架設して作業足場とする一方、撤去時には架設した足場板を取り外した後、パンタグラフ状の筋交いを折り畳むことでコンパクトに収納可能としたものであって、例えば、特許文献1〜3に示されるようなものが公知である。
【0003】
また、本出願人も同様の折り畳み式の作業足場を既に出願済みであり(特許文献4)、この発明に係る折り畳み式作業足場では、作業足場に架設される足場板を長手方向の略中央部で二分割し、かつこれら各足場板の基端部をそれぞれ左右各脚体の上端部に回動自在に軸着して成り、作業足場撤去時には水平支持された各足場板をそれぞれ基端部を中心として回動させて各脚体に沿わせるように垂下させて収納するようにしており、収納時の嵩スペースを上記特許文献1〜3に示される従来方式のものよりも比較的コンパクトに抑えられる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−14516号公報
【特許文献2】実公平4−1244号公報
【特許文献3】実公平6−36166号公報
【特許文献4】特開2009−121100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献4の折り畳み式作業足場では、作業足場の設置時や撤去時に各足場板を回動させる際、各足場板の遊端部側を脚体上端部よりも更に大きく振り上げていくような操作を伴うため、床上にいながら手を上に伸ばすようにして作業を行う作業員にとってはあまり作業性のよいものではなく、特に高所作業用として脚体上端部までの高さが比較的高いタイプの脚体を採用した場合などには作業員の手が十分に届きにくい状況も起こり得、作業効率や作業安全性の低下が懸念される。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、足場板を分割構成した折り畳み式作業足場において、足場設置時や撤去時の作業効率や作業安全性に優れた折り畳み式作業足場を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る折り畳み式作業足場では、下端部にキャスターを備えた二本の脚柱を横架材にて連結して脚体を形成し、該脚体を一対対向配置して各脚体の脚柱同士を伸縮自在なパンタグラフ状の筋交いにて連結し、前記脚体間に足場板を架設して成る折り畳み式作業足場であって、前記筋交いの伸縮方向の略中央部に中間支柱を備えると共に、前記足場板は長手方向の略中央部で二分割し、かつこれら各足場板の基端部をそれぞれ前記中間支柱の上端部に軸着して山折りに折り畳み可能に構成し、作業足場設置時には水平に展開させた各足場板の遊端部側を筋交い拡張時の各脚体上端部にて支持する一方、作業足場撤去時には筋交いを収縮させて近接させた各脚体を山折りに折り畳まれる各足場板にて両側から挟み込んで収納するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る折り畳み式作業足場によれば、下端部にキャスターを備えた二本の脚柱を横架材にて連結して脚体を形成し、該脚体を一対対向配置して各脚体の脚柱同士を伸縮自在なパンタグラフ状の筋交いにて連結し、前記脚体間に足場板を架設して成る折り畳み式作業足場であって、前記筋交いの伸縮方向の略中央部に中間支柱を備えると共に、前記足場板は長手方向の略中央部で二分割し、かつこれら各足場板の基端部をそれぞれ前記中間支柱の上端部に軸着して山折りに折り畳み可能に構成し、作業足場設置時には水平に展開させた各足場板の遊端部側を筋交い拡張時の各脚体上端部にて支持する一方、作業足場撤去時には筋交いを収縮させて近接させた各脚体を山折りに折り畳まれる各足場板にて両側から挟み込んで収納するようにしたので、作業足場設置時や撤去時における各足場板の回動操作を脚体上端部付近よりも下位側の比較的低い範囲で行え、床上にいながら手を上に伸ばすようにして作業を行う作業員にとっても十分に余裕を持って容易に作業を行うことができ、作業効率や作業安全性の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る折り畳み式作業足場の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】作業足場を折り畳んだ状態を示す、図1に相当する図である。
【図5】作業足場の折り畳み・展開操作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る折り畳み式作業足場によれば、対向配置した一対の脚体を連結するパンタグラフ状の筋交いの伸縮方向の略中央部に中間支柱を備えると共に、各脚体間に架設する足場板を長手方向の略中央部で二分割し、かつこれら各足場板の基端部をそれぞれ前記中間支柱の上端部に軸着して山折りに折り畳み可能に構成する。
【0011】
そして、作業足場設置時には、各足場板を水平に展開させた後、パンタグラフ状の筋交いを拡張させながら各脚体を所定間隔まで引き離し、これら各脚体上端部にて水平に展開させた前記各足場板の遊端部側を支持させて設置作業を完了する。一方、作業足場撤去時には、筋交いを収縮させながら各脚体を近接させると共に、水平に展開された各足場板を山折りに折り畳んで、近接させた前記脚体を両側から挟み込むように収納して撤去作業を完了する。
【0012】
このとき、各足場板は、展開時、或いは折り畳み時にかかわらず、常に脚体上端部付近よりも下位側の比較的低い範囲で回動操作させる構成としているため、床上にいながら手を上に伸ばすようにして作業を行う作業員にとっても十分に余裕を持って容易に作業を行え、例え高所作業用として脚体上端部までの高さが比較的高いタイプの脚体を採用した場合でも作業足場の設置・撤去作業を効率よくかつ安全に実施できる。
【0013】
このように、上記折り畳み式作業足場は、脚体間に架設される足場板を長手方向の略中央部にて二分割し、その中央部分を中心として山折りに折り畳んで収納させるようにしたので、折り畳んだときの嵩スペースが抑えられて運搬性や保管性に優れると共に、設置或いは撤去作業時の作業高さを低く抑えられて作業効率及び作業安全性の向上が期待できる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
1は本発明に係る折り畳み式作業足場であって、対向配置した一対の脚体2a、2bと、それらを連結する伸縮自在なパンタグラフ状の筋交い3、及び各脚体2a、2b間に架設され、その長手方向の略中央部で二分割した足場板4a、4bとから主体を構成している。
【0016】
前記脚体2a、2bは、二本の脚柱5を平行に立設し、これら各脚柱5を複数の横架材6にて連結して枠状に形成している。また、前記脚柱5は外管7と、その内部に下方より摺動自在に嵌入した内管8とから成り、図5(a)中の矢印Aで示すように、内管8に対して外管7を適宜高さ位置で固定ピン等にて固定することによって脚体2a、2bの高さ調節を可能としている。また、前記外管7の下部側には、丸孔を穿設した係止片9を突設していると共に、外管7の中間部から上部側に亘り、外管7の長手方向に沿って適宜長さの長孔10を穿設したガイド片11を突設している一方、内管8の下端部には移動用のキャスター12を備えている。
【0017】
筋交い3は、多数のリンク材13をそれぞれ交差させ、連結ピンにて回動自在に軸着して連結することによって伸縮自在としたパンタグラフ状のものであり、その両端部において上位側となるリンク材13端部には、前記ガイド片11の長孔10の溝幅より若干小径の摺動ピン14を固着している一方、下位側となるリンク材13端部には係止片9の丸孔と略同径のピン孔を穿設している。
【0018】
そして、対向配置した一対の脚体2a、2bの脚柱5間に前記筋交い3を配置し、筋交い3端部のピン孔を係止片9の丸孔位置に合わせて連結ピンを挿入して軸着する一方、筋交い3端部の摺動ピン14をガイド片11の長孔10内に嵌合する。このように構成することにより、図5(c)中の矢印Bで示すように、各脚体2a、2bを離反させたり近接させたりするのに応じて摺動ピン14が長孔10内を摺動し、筋交い3を伸縮可能としている。
【0019】
また、前記各筋交い3の伸縮方向の略中央部にはそれぞれ中間支柱15を備えていると共に、これら一対の中間支柱15の上端部には横架材16を架設して連結している。前記中間支柱15は、外管17とその内部に下方より摺動自在に嵌入した内管18とから成り、該内管18の下端部を筋交い3の下位側連結部へ連結ピンにて軸着している一方、外管17の中間部を筋交い3の上位側連結部へ連結ピンにて軸着しており、図5(c)中の矢印Cで示すように、筋交い3の伸縮に応じて中間支柱15が上下方向へ伸縮し、筋交い3の伸縮を妨げないような構成としている。
【0020】
前記脚体2a、2b間に架設される足場板4a、4bは、その長手方向の略中央部で二分割しており、各足場板4a、4bの長さは筋交い3を拡張しきったときの各脚体2a、2bの間隔に対して略半分の長さとしていると共に、これら各足場板4a、4bの近接する基端部をそれぞれ前記中間支柱15の上端部付近に軸体19にて軸着しており、図5(c)中の矢印Dで示すように、中間支柱15の上端部を中心として山折りに折り畳み可能に構成している。
【0021】
そして、足場設置時には、各足場板4a、4bは、図1〜図3に示すように、水平に展開され、これら各足場板4a、4bの遊端部側を筋交い3拡張時の各脚体2a、2b上端部にて支持するようにしている一方、足場撤去時には、各足場板4a、4bは、図4に示すように、山折りに折り畳まれ、筋交い3を収縮させて近接させた状態の各脚体2a、2bを両側から挟み込んで収納するようにしている。
【0022】
また、各足場板4a、4bの上面隅部には複数の透孔20を穿設していると共に、足場板4a、4b展開時に前記透孔20の下位にあたる、脚体2a、2bの上端部には手摺材立設用の支持管21を備えており、足場設置時には、必要に応じて手摺材の下端部を前記透孔20を介して支持管21に嵌入させることにより、足場板4a、4b周囲に手摺材(図示せず)を立設可能としている。
【0023】
また、筋交い3と脚柱5とを振れ止め材22にて連結しており、該振れ止め材22は、外管23とその内部に摺動自在に嵌入した内管24とから成り、適宜長さに調節可能としている。
【0024】
そして、上記構成の作業足場1を作業現場に設置するときには、図5の(d)→(c)→(b)→(a)の順に作業を進めていく。先ず、折り畳んだ状態の作業足場1の両側に位置する各足場板4a、4bを、それぞれ基端部を中心として遊端部側を上方へ引き上げるように回動させていき、各足場板4a、4bを水平に展開させる。続いて、パンタグラフ状の筋交い3を拡張させながら各脚体2a、2bを左右に引き離していき、所定間隔引き離し終えた状態で水平に展開させた各足場板4a、4bの遊端部側を脚体2a、2b上端部にて支持させ、固定ピンなどで固定する。そして、作業現場の高さに応じ、脚体2a、2bの高さ調整を適宜行うと共に、必要に応じて足場板4a、4b周囲に手摺材(図示せず)を取り付けて設置作業を完了する。
【0025】
一方、作業足場1を現場から撤去するときには、図5の(a)→(b)→(c)→(d)の順に作業を進めていく。先ず、設置状態にある作業足場1から手摺材を取り外し、脚体2a、2b高さを最低位置まで引き下げる。続いて、足場板4a、4bと脚体2a、2bとの固定を解除した後、パンタグラフ状の筋交い3を収縮させながら各脚体2a、2bを近接させると共に、水平に展開された足場板4a、4bを山折りに折り畳み、近接させた前記各脚体2a、2bを両側から挟み込むようにしてコンパクトに収納させ、最後に拘束用の固定ピンなどで固定して撤去作業を完了する。
【0026】
このとき、各足場板4a、4bは、図5からも分かるように、その展開時、或いは折り畳み時にかかわらず、常に脚体2a、2b上端部付近よりも下位側の比較的低い範囲で回動操作させる構成としているため、床上にいながら手を上に伸ばすようにして上記作業を行う作業員にとっても十分に余裕を持って作業を行え、作業足場1の設置・撤去作業を効率よくかつ安全に実施できる。
【0027】
このように、上記折り畳み式作業足場は、長手方向の略中央部で二分割し、その中央部分を中心として山折りに折り畳み可能に構成したので、折り畳み時の嵩スペースを抑えて運搬性・保管性の向上を図れると共に、設置・撤去作業時の作業高さを作業員が余裕を持って作業が行える程度に低く抑えられ、作業効率及び作業安全性の向上が期待できる。
【0028】
また、パンタグラフ状の筋交い3を収縮させて各脚体2a、2bを近接させる一方、山折りに折り畳まれる二枚の足場板4a、4bにて前記各脚体2a、2bを両側から挟み込んで収納させるようにしたので、例えば設置作業時などにおいて、各脚体2a、2bの拘束を解除した途端にパンタグラフ状の筋交い3が勝手に拡張して各脚体2a、2bが勢いよく左右に展開してしまうような不測の事態を、左右に配される二枚の足場板4a、4bによって確実に回避でき、作業安全上有利である。
【符号の説明】
【0029】
1…折り畳み式作業足場 2a、2b…脚体
3…筋交い 4a、4b…足場板
5…脚柱 6…横架材
12…キャスター 15…中間支柱
19…中間支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部にキャスターを備えた二本の脚柱を横架材にて連結して脚体を形成し、該脚体を一対対向配置して各脚体の脚柱同士を伸縮自在なパンタグラフ状の筋交いにて連結し、前記脚体間に足場板を架設して成る折り畳み式作業足場であって、前記筋交いの伸縮方向の略中央部に中間支柱を備えると共に、前記足場板は長手方向の略中央部で二分割し、かつこれら各足場板の基端部をそれぞれ前記中間支柱の上端部に軸着して山折りに折り畳み可能に構成し、作業足場設置時には水平に展開させた各足場板の遊端部側を筋交い拡張時の各脚体上端部にて支持する一方、作業足場撤去時には筋交いを収縮させて近接させた各脚体を山折りに折り畳まれる各足場板にて両側から挟み込んで収納するようにしたことを特徴とする折り畳み式作業足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−52474(P2011−52474A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203233(P2009−203233)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【出願人】(598104436)日工セック株式会社 (18)