説明

折り畳み手織り機

【課題】織りかけ布を手織り機から取り外したり、また、織りかけの布を手織り機に取り付けて手織りを継続できるようにし、手織り機を効率的に利用できるようにする。
【解決手段】折りたたみ手織り機、織りの組み立てを取り外す可能性を持つ。織りの組み立てを、縦糸の巻き取り軸26と縦糸、天秤30、そうこうワク38、伝達棒37、踏み木の結紐小片32、筬52、布巻き取り軸19とその布からなるものとし、織りの組み立てを、輸送用のケースに入れられ未完成の布は他の手織り機に移すことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み手織り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一人の織り手で機を織り進めることのできる手織り機がある。そして、昨今にあっては手織物教室などに置かれている手織り機を用いて、生徒の織り手が織物を織り上げる学習が行われるようにもなってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これまでに知られている手織り機では、未完成の布(織物)がかかっていいてその織り手が休暇などでいない場合、織りかけの布を外すことができないことから、その手織り機を他の織り手が使用することができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、織りかけ布を手織り機から取り外したり、また、織りかけの布を手織り機に取り付けて手織りを継続できるようにすることを課題とし、手織り機を効率的に利用できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、天秤カセット31に収められた天秤30と伝達棒37と結紐小片32とそうこうワク38とが、踏み木15の上下操作で上下移動する折り畳み可能な手織り機であり、縦糸巻き取り軸26と縦糸とそうこうワク38と筬52と布巻き取り軸19と布とが一体で取り外し可能であることを特徴とする折り畳み手織り機を提供して上記課題を解消するものである。
【0005】
そして、本発明において、折り畳み手段であるモータを有するとともに、車輪を有して、前記車輪により移動可能に設けられていることが良好である。
【0006】
また、本発明において、X型に交差する対のフレーム1,2を有し、X型に展開したフレーム1,2の間に着脱可能に回動可能に掛け渡す突張棒3と、突張棒3をフレームに固定する固定ピン7を有するものであることが良好である。
【0007】
また、本発明において、縦糸巻き取り軸26は、歯車に噛合するブレーキレバーにより一方方向回転可能に規制され、前記ブレーキレバーのオン・オフはマグネット23とブレーキレバー17に含まれるブレーキ解除棒で行われるものとすることが良好である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、織り手がその人の織り掛けの布を移動させることが可能であり、次の人が自分の未完成の布を持ってきて織りを続けることが出来るという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに本発明を図示の一例に基づいて詳細に説明する。
本発明の折り畳み手織り機は、天秤カセット31に纏められた天秤30と、伝達棒37と、踏み木15に掛け止める結紐小片32と、前記踏み木15により動かされる複数のそうこうワク38とを一つの纏まりとして取り外して、他の手織り機に移動可能な織り機の組み立てを特徴とする。
そして、本発明の織り機は容易に折り畳むことができるものであり、同時に繰り返しの折り畳み、開閉にも堅実さを失わないタイプの構造をもつものである。
【0010】
この手織り機はX型に組み合わされたフレーム1、2を持つ。図示のように胸木46を含むフレーム1は、2個の側面セット、その中間のセットから成る。間丁を含むフレーム2は2個の側面セット、その中間のセットから成る。
胸木42を含むフレーム1は、間丁を含むフレーム2の内側に入る。胸木42を含むフレーム1の側面の外寸法は、間丁を含むフレーム2の側面の内寸法に等しい。この二つのフレーム1,2は、頭部に回転止めを持った雄ねじと蝶ネジ8を用いて中央で組み合わされ、側面から見た時に対称なX型を成している。
上記フレーム1,2の組み合わせは、織り機使用に際して、突張棒3を側面の材の間に水平に張り渡すことで強固にされる。水平となる突張棒3の最初の端は、頭部に回転止めを持った雄ねじと蝶ネジ8を用いて間丁を含むフレーム2の内側にしっかり締め付けられる。さらに突張棒3の2番目の端(最初の端とは反対側の端)は適するようにその長さと角度を斜めに切ってある。その斜めに切られた端は胸木42を含むフレーム1上に横たわり金属の植え込み棒7で強固に固定される(図1、図2参照)。
【0011】
X型としたフレーム1,2に上下にして天秤フレーム5の支柱4が取り付けられている。天秤フレーム5の前記支柱4は、頭部に回転止めを持った雄ねじと蝶ネジ8を用いて長孔9を介してフレーム1,2に固着されている。支柱4とフレーム1,2の間隙には適した介在物が用意される。その天秤フレーム5の支柱4には2組の長孔9が用意される。フレーム1、2の展開は制限付きで与えられたX型に長さと孔の間隔で決まり、動く軌道を限定され限定されたポジションまで開く。
布巻き取り軸19は胸木42のフレーム1の斜めになった部分の間にセットされる。
【0012】
好ましい状態を具体化するため胸木46と間丁を突張棒3はできるだけ縦糸に近く水平に側面の部材の間に設置されている。突張棒3は手織り機を折り畳む際は、上方に向けられる。
【0013】
本発明の折り畳み手織り機は、着脱式のモータ44を有して、折り畳み、開閉の為のモータードライブ機構42を備えているものである。前記モータードライブ機構42は手織り機の折り畳み開閉の為のウオームギヤを持つ。このモータードライブ機構42の働きにより折り畳み開閉を力を使うことなく可能とされている。
【0014】
本発明では、踏み木15と伝達棒37は準備された移動できる形で与えられる。これらはサイズと模様によって踏み木15と伝達棒37の数が調節される。
【0015】
この手織り機は常にどの織り手が自分の番になっても自分の布(布の組み立て)をかけて織れる運用状態にある。それに加え有効な使い方は手織り機自体を使用しないときには、この手織り機を折り畳んで脇にどけられるということである。
【0016】
その巻き取り軸はその一端に取り外し可能で、かつ一方方向回転可能な歯車を持っている。その巻き取り軸の一方方向回転可能な歯車の付いた方の端を孔に差し込み、他端をフレームの切り欠き部に落とし込む。はずす行程では最初に切り欠き部から持ち上げそして孔から引き抜く。縦糸巻き取り軸26はフレーム2にセットする。そして着脱は同じようにして行われる。
【0017】
織りあがった布と縦糸を付けたままで折りたたむには次のようにする。
最初に蝶ネジを緩める、次に布と縦糸を適した程度緩める。軸の回転をピンで止める。次に胸木をはずし伝達棒37の下部に用意されたところに移す。そして突張棒3を上方にあげ、筬枠を胸木に留める。このあとモーターの力が折りたたむために与えられる。手織り機を開くには逆の方向で動作し、完全に開かれた手織り機は脚先の底の部分でしっかりと支えられる。折り畳んだ状態では車輪11が荷重を受けた状態になり移動できる。
【0018】
未完成の布を入れて保管/輸送するために、ケース47を用意する。最初にケース47を突張棒3の上に載せて開く(図18参照)。次に縦糸を緩める。この後、伝達棒37と操作紐のついた結紐小片32を纏め、前記ケース47の底に入れ、中間布49で覆う(図16、図17参照)。
その中間布49の上に、天秤カセット31をフレーム5から持ち上げると、同時にそうこうワク38も持ち上げられるので、これらを外してそうこうを中間布49の上に載せるようにしてケース47に収め、さらにその上を他の中間布49で覆う。
そうこうを覆った前記布49の上に天秤カセット31を置き、中間布49で覆う。次に筬かまち53をはずし、筬52を持ち上げて縦糸ごとケース47に入れ、共に杼も入れ中間布49で覆う。
次に巻き取り軸19、26をフレーム1,2から外すが、前記巻き取り軸のギアはフレーム1,2側に残る。縦糸はゆるやかに巻き取り軸に巻いてケース47に収める。同じように布も巻き取り軸に巻いてケース47に並んで収め、カバー51で覆う。
【0019】
本発明では、完成されていない布は上に説明したように脇にどけ、他の完成していない布を手織り機に掛ける事ができて、前回やめたところから続けられる。いろいろな長さ、いろいろなタイプの縦糸を、前の織り手がその人の作品(布)を出来上がらせるのを待つことなく掛ける事ができる。
これは、織っている途中で布(織物)の組み立て(縦糸のかかった縦糸軸26、天秤30、糸そうこうの掛ったそうこうワク38、伝達棒37、踏み木に結び目を支持させるための結紐小片32、筬52、織りあがった布の巻き取られた巻き取り軸19)を取り外すことなく、または取り外しても折り畳んで仕舞うことができるからである。
織りを続ける時には、折りたたんだ手織り機を出してきて折り畳まれた状態から起こし、織りの組み立てを織れる状態に整えネジを締めつける。
【0020】
本発明では、縦糸を掛け織れる様に準備することが他所で例えば手なれた職人の手で可能で、出来上がった布を他の織り機に移動/配達ができる。この事で初心者が難しい縦糸の準備をすることなく、すぐに織り始める事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る手織り機の一例の使用状態の側面を示す説明図である。
【図2】一例の折り畳みの最初のステップで水平の突張棒が外されているところを示す説明図である。
【図3】一例の折り畳みの途中の状態を示す説明図である。
【図4】一例の折り畳まれた状態を示す説明図である。
【図5】一例において布巻き取り軸と縦糸巻き取り軸との取り外し方向を示す説明図である。
【図6】一例において布巻き取り軸の支持状態を示す説明図である。
【図7】一例において縦糸巻き取り軸の支持状態を示す説明図である。
【図8】天秤とフレームとの装着関係を示す説明図である。
【図9】天秤カセットに囲われた天秤を取り外すところを示す説明図である。
【図10】伝達棒の軸周辺部を示す説明図である。
【図11】踏み木の周辺部を示す説明図である。
【図12】伝達棒からの操作紐の踏み木への取り付けが結紐小片に依ることを示す説明図である。
【図13】伝達棒への操作紐の取り付けた結紐小片を示す説明図である。
【図14】縦糸巻き取り軸のブレーキを示す説明図である。
【図15】モータードライブ機構を示す説明図である。
【図16】織りの道具立ての収納/輸送ケースを示す説明図である。
【図17】織りの道具だての収納順序を示す説明図である。
【図18】織りの道具だての収納で最後に縦糸巻き取り軸が収納/輸送ケースに収納される段階を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1…胸木の付くフレーム
2…間丁の付くフレーム
3…水平突張棒
4…天秤フレームの支柱
5…天秤フレーム
6…固定ピン用の穴
7…水平突張棒の固定ピン
8…ロックボルトと蝶ネジ
9…長孔
10…安定させる脚
11…車輪
12…軸
13…掘り込み
14…めくら孔
15…踏み木
16…踏み木支部
17…ブレーキ
18…ブレーキ固定具
19…布巻き取り軸
20…ロックピン
21…ロックピン収納時
22…ロック用孔
23…マグネット
24…ブレーキ解除棒
25…ブレーキ解放棒の孔
26…縦糸巻き取り軸
27…シャフト
28…巻き上げ孔
29…操作紐
30…天秤
31…天秤カセット
32…結紐小片
33…操作紐用切り欠け
34…小片保持ピン
35…指先用くぼみ
36…保持用孔
37…伝達棒
38…そうこうワク
39…前方下部貫材
40…後方下部貫材
41…索
42…巻き上げ装置
43…案内車
44…脱着式モーター
45…目印
46…胸木
47…保管/輸送ケース
48…持ち手
49…中間布
50…ヒモ
51…カバー
52…筬
53…筬かまち

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天秤カセット31に収められた天秤30と伝達棒37と結紐小片32とそうこうワク38とが、踏み木15の上下操作で上下移動する折り畳み可能な手織り機であり、縦糸巻き取り軸26と縦糸とそうこうワク38と筬52と布巻き取り軸19と布とが一体で取り外し可能であることを特徴とする折り畳み手織り機。
【請求項2】
折り畳み手段であるモータを有するとともに、車輪を有して、前記車輪により移動可能に設けられている請求項1に記載の折り畳み手織り機。
【請求項3】
X型に交差する対のフレーム1,2を有し、X型に展開したフレーム1,2の間に着脱可能に回動可能に掛け渡す突張棒3と、突張棒3をフレームに固定する固定ピン7を有する請求項1または2に記載の折り畳み手織り機。
【請求項4】
縦糸巻き取り軸26は、歯車に噛合するブレーキレバーにより一方方向回転可能に規制され、前記ブレーキレバーのオン・オフはマグネット23とブレーキレバー17に含まれるブレーキ解除棒で行われる請求項1から3のいずれか一項に記載の折り畳み手織り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−114616(P2009−114616A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287078(P2008−287078)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(508333240)
【Fターム(参考)】