説明

抜き型枠方式の擁壁構築方法

【課題】施工の作業性が良く出来高が確実に見込め、控え厚さや勾配に制限がないため設計の自由度が高い工法を提供する。
【解決手段】基礎ブロックの上面前方部に設置した1段目の前壁部材の背面上部に1段目の前壁接続部材の下部を固着し、基礎ブロックの上面後方部に1段目の型枠支持部材の下端部を固着し、1段目の型枠支持部材に1段目の抜き型枠パネルを支持させ、法面と1段目の抜き型枠パネルとの間に裏込砕石を充填し、1段目の前壁部材と1段目の抜き型枠パネルとの間に胴込コンクリートを打設し、1段目の抜き型枠パネルを上方に引き抜いて、1段目の胴込コンクリートが硬化した後、1段目の前壁接続部材の上部に2段目の前壁部材の背面下部を固着し、1段目の型枠支持部材に2段目の型枠支持部材を接続し、2段目の型枠支持部材に2段目の抜き型枠パネルを被せて支持させ、以下、これら作業を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面の崩落防止のために施工される土留め擁壁、特に抜き型枠を利用した擁壁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抜き型枠方式の擁壁構築方法は間知積み等で既に使用されているが、図51に示したように間知ブロック100と裏込砕石層101との間に、控え角度(間知ブロック100の基礎コンクリート102に対する傾斜角度)を規制する角材や鉄筋などの保持材103及び抜き型枠104を挟み込み、胴込コンクリート105を間知ブロック100と抜き型枠104の間に打設した後、抜き型枠104を撤去している。
【0003】
このような一般的な間知積み擁壁では、胴込コンクリート105の打設時に保持材103が動き易く、保持材103が動くと折角規制した傾斜角度が変化してしまうため、設計通りの勾配を有する擁壁が得られないことになる。そのため、コンクリートの打設に当たっては保持材103が動かないように入念に注意する必要があり、施工手間がかかって作業性が良くなく、等厚の比較的控え厚さ(擁壁の前面と背面との間の距離)の小さい小型擁壁にしか対応できない。また、出来高の見込みがアバウトにしかできない。
抜き型枠工法の施工の確実性を高める工夫も種々提案されているが(特許文献1、特許文献2参照)、埋め殺しとなる部材が多いこと、設計の自由度がそれほど高くないなどの難点がある。
【0004】
図52に示した工法では、擁壁用ブロック106と裏型枠107を鉄筋等のセパレータ109で相互に連結し、一定間隔に保持した擁壁用ブロック106と裏型枠107間に胴込コンクリート108を打設するようにした工法も提案されているが(特許文献3参照)、この工法では、控え厚さが大きい場合、セパレータ109の強度が不足し、不安定になり易い。この弱点は、セパレータと鉄パイプを併用して解消するとしているが(特許文献4参照)、裏型枠やセパレータは最終的に埋め殺しとなるため、経済性が良くない。
また、連続して控え厚さが変化する(前背面勾配が異なる)と対応し難い。断続的に控え厚さが変化する場合、控え厚さの変化点は弱点となり易く、これを補うためには、多少なりとも無駄な断面が発生してしまう。また、擁壁用ブロック106に控え部や扶壁部が存在する分だけ材料コストが嵩む。
【0005】
図53に示した工法(特許文献5参照)では、1段目の擁壁用ブロック110と後壁板111の間に方形連結支構枠体112を介在させて胴込コンクリート113を打設し、1段目の擁壁用ブロック110にボルト接合した2段目の擁壁用ブロック110の背面に控杆部材114をボルト接合し、控杆部材114の後端部の型枠板添部115と裏込砕石層116の間に抜き型枠板17を挟み付け、抜き型枠板117と2段目の擁壁用ブロック110との間に胴込コンクリート113を打設している。
【0006】
この工法では、控え厚さを規制している控杆部材114の長さを調節すれば、連続して控え厚さが変化する(前背面勾配が異なる)断面にも対応できるとしているが、現場で使用する控杆部材114が多様化し、混乱する可能性がある。また、基本的に点在する控杆部材114により規制されるため、確実性に乏しいという難点がある。控杆部材114の本数を増やすか、控杆部材114を大型化することによって、この難点を解消することはできるが、控杆部材114が埋め殺しとなることを考えれば、コスト面の問題がある。
【0007】
【特許文献1】特公昭56−2845号公報
【特許文献1】特開平10−306460号公報
【特許文献2】特開2003−003495号公報
【特許文献3】特許第3197848号公報
【特許文献4】特許第3707678号公報
【特許文献5】特公昭56−2845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、施工の作業性が良く出来高が確実に見込めるとともに、擁壁の控え厚さや勾配に制限がないため設計の自由度が高い、抜き型枠方式の擁壁構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の主たる特徴は、法面の前方に設けた基礎ブロックの上面前方部に1段目の前壁部材を前記基礎ブロックに対して傾斜させて設置し、1段目の前壁部材の背面上部に1段目の前壁接続部材の下部を固着して、1段目の前壁接続部材の上部を1段目の前壁部材の上方に突出させ、前記基礎ブロックの上面後方部に1段目の型枠支持部材の下端部を前記基礎ブロックに対して傾斜又は直立させて固着し、1段目の型枠支持部材に1段目の抜き型枠パネルを被せて支持させ、前記法面と1段目の抜き型枠パネルとの間に1段目の裏込砕石を充填し、1段目の前壁部材と1段目の抜き型枠パネルとの間に1段目の胴込コンクリートを打設し、1段目の胴込コンクリートが硬化する前に1段目の抜き型枠パネルを1段目の型枠支持部材より外して上方に引き抜き、1段目の胴込コンクリートが硬化した後、1段目の前壁接続部材の前記上部に2段目の前壁部材の背面下部を固着し、1段目の型枠支持部材の前記上位連結機能部に2段目の型枠支持部材の下位連結機能部を直接又は介在部材を介して間接に接続し、2段目の型枠支持部材に2段目の抜き型枠パネルを被せて支持させ、前記法面と2段目の抜き型枠パネルとの間に2段目の裏込砕石を充填し、2段目の前壁部材と2段目の抜き型枠パネルとの間に2段目の胴込コンクリートを2段目の型枠支持部材の上位連結機能部にかからない位置まで打設し、2段目の胴込コンクリートが硬化する前に2段目の抜き型枠パネルを2段目の型枠支持部材より外して上方に引き抜き、これら作業を法面の高さと前壁部材の高さ寸法に対応して複数回繰り返すことである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、1段目の抜き型枠の支持は、下端部を基礎コンクリートの上面後部に固着した一段面の型枠支持部材によって行なわれ、2段目の抜き型枠の支持は、下位連結機能部を1段目の型枠支持部材の上位連結機能部に接続した2段目の型枠支持部材によって行なわれ、以下同様に下側の型枠支持部材に縦接続された上側の型枠支持部材によって上側の抜き型枠の支持が行なわれるものであり、従来のような間知ブロックと抜き型枠の間に不安定に挟まれる角材等の保持材、あるいは擁壁用ブロックと裏型枠間に接続されるセパレータや控杆部材といった部材を使用しないため、施工の作業性が改善されており、施工の出来高の見込みが十分に高い確実性をもって行なうことができる。
【0011】
また、長さ方向に接続して基礎コンクリートに固着される型枠支持部材群の固着位置と、基礎ブロックまたは基礎コンクリートに対する傾斜角度を変更することによって、擁壁の控え厚さと勾配を制限無しに規制変更することができ、擁壁の設計の自由度が飛躍的に向上する。控え厚さと勾配は、高さ方向に連続的に規制されるため、確実性が高い。
更にまた、擁壁の前面と背面が独立した構造であるため、施工箇所がカーブ等で前背面の延長が変化したりする場合や、背面が垂直となる小型重力式擁壁の場合にも対応し易い。
最終的に埋め殺しとなるのは、控え厚さに関係なく鉄筋等からなる抜き型枠支持部材のみであるから安価である。
前壁部材として控え部や扶壁部がないものを使用できるから、製造し易く加工もし易い。
【実施例】
【0012】
図1は本発明方法によって構築される擁壁の道路側から見たときの斜視図であり、図2は法面側から見たときの斜視図であり、いずれにおいても裏込砕石と胴込コンクリートの図示は省略してある。図3は抜き型枠を撤去し、前壁部材を一段積み上げたときの法面側からの斜視図である。
胴込コンクリートは前壁部材と抜き型枠の間の空間に打設されるのであるが、この打設用空間は次に示す手順に従って形成される。
【0013】
図23に示したように擁壁が構築される斜面部は予定する擁壁の控え厚さと裏込砕石層の厚さを考慮して一定幅にわたって切削され、切削部の締め固められた基礎面1には均しコンクリート2が打設される。均しコンクリート2の上面には敷きモルタル3が施工され、水平に形成された敷きモルタル3の上面には、プレキャストの基礎ブロック4が据付けられる。尚、プレキャストの基礎ブロック4を使用する代わりに、基礎ブロック相当分をコンクリートの現場打設によって形成することもできる。
【0014】
図4と図5に示したように基礎ブロック4の上面前部には、前後2個で左右二組のナット型インサート5が成形時に垂直に埋設されている。基礎ブロック4の上面後部には、左右幅方向にV字型溝6が形成されており。V字型溝6の前側斜面6aには左右4個のナット型インサート7が等間隔に成形時に埋設されている。尚、この後側のナット型インサート7は、施工現場においてプレキャストまたは現場打設の基礎ブロック4にインサート挿入用孔部を所要の傾斜角度にてドリルで穿設し、ナット型インサート7を埋設するようにしてもよい。
【0015】
実施例では図6から図9に示したように、前壁部材8は前面部に凹凸模様を付してプレキャスト成形したパネル状の部材であり、前壁部材8の背面上部には上下左右4個のナット型インサート9が埋設され、前壁部材8の背面下部には上下左右4個のナット型インサート10が埋設されている。前壁部材8の下部中央には水抜き孔11が貫通して設けられている。前壁部材8の上辺部には積上げ時の掛合用凸部12が左右幅方向に形成され、下辺部には掛合用凹部13が左右幅方向に形成されている。
【0016】
図10と図11に示したように、1段目の前壁部材8を基礎ブロック4に設置固定するための基礎部用の固着部材14は、二つのアングル型材14aと14bを側面視V字状となるように接合することによって構成されており、水平に配置される何ぐる型材には前後2個の透孔15が設けられ、斜めに配置されたアングル型材14bには上下2個の透孔16が設けられている。アングル型材14aとアングル型材14bの交差角度は、予定する擁壁の勾配に合致している。
【0017】
図12、図13及び図14に示したように、前壁部材8を上下に接続する前壁接続部材17は一本のアングル型材によって構成されており、前壁接続部材15の下部には上下2個の透孔18が設けられ、前壁接続部材17の上部には上下2個の長孔状の透孔19が設けられている。さらにまた、前壁接続部材17の上部には、上下2個のナット20が前記透孔19とは位相をずらせて溶接されている。
【0018】
図25に示したように1段目の前壁部材8の背面下部には、前記透孔16から前記ナット型インサート10に螺合されるボルト21によって、予め左右2本の基礎部用固着部材14が連結されている。また、1段目の前壁部材8の背面上部には、前記透孔18から前記ナット型インサート9に螺合されるボルト22によって、予めさゆう2本の前壁接続部材17の下部が連結されている。各前壁接続部材17の上部は前壁部材8の上方に突き出ている。
【0019】
図26に示したように左右2本の基礎部用固着部材14は、前記透孔15から前記ナット型インサート5に螺合されるボルト23によって、基礎ブロック4の上面前部に連結される。図15と図16に示したように、2段目以上の前壁部材8の背面上部には、前記透孔18から前記ナット型インサート9に螺合されるボルト22によって、予め左右2本の前壁接続部材17が連結されている。
【0020】
図20と図21に示したように、抜き型枠を装着位置に支承するために使用される型枠支持部材24は丸棒状の鉄筋で構成されており、該鉄筋の上端部には上位連結機能部25として雄ネジ部が形成され、該鉄筋の下端部には下位連結機能部26として雄ネジ部が形成されている。図26に示したように、型枠支持部材24は下位連結機能部26を前記ナット型インサート7に螺合することによって、基礎ブロック4の上面後部に連結され、所定の傾斜角度で配置される。
【0021】
基礎ブロック4に連結される1段目の型枠支持部材24は図20に示したものであり、2段目の以降の型枠支持部材24は図21に示したものであり、前者は後者よりも長く設定されている。図22は上下に接続される型枠支持部材24,24の間に配置される筒状の介在部材27を示しており、介在部材27の上下端部には、逆向きの雌ネジ部が形成されている。上下の型枠支持部材24,24は、上位連結機能部25と下位連結機能部26を介在部材の雌ネジ部に螺合することによって連結される。
【0022】
図17と図18に示したようにパネル状の抜き型枠28には、上辺部の前面側にU字状の折返し部29が形成されており、折返し部29の背面側には左右2個の抜取り操作用のU字型手掛け体30が溶接されている。図27に示したように、1段目の抜き型枠28の下辺部を基礎ブロック4の前記溝6に挿入して抜き型枠28を型枠支持部材24に添接したとき、型枠支持部材24の上位連結機能部25には前記折返し部29が被せられる。
【0023】
図19に示したように左右幅方向に並べられる抜き型枠28の幾つかには、左側辺部または右側辺部に水抜きパイプ32の係合用切欠部31が形成されている。この切欠部31は、前壁部材8の前記水抜き孔11よりも高い位置に形成されている。図28に示したように前面に向かって下り傾斜の水抜きパイプ32は上端開口部が抜き型枠28の背面側に突き出るようにセットされる。
【0024】
図29に示したように抜き型枠28に合わせて背面を埋め戻し、裏込砕石層33を法面34と抜き型枠28の間に形成する。このとき、前記手掛け体30は裏込砕石層33の上面側に突出するよう配慮される。次に図30に示したように、胴込コンクリート35が1段目の前壁部材8と吹き型枠28の間に打設される。胴込コンクリート35の上面レベルは、1段目の型枠支持部材24の上位連結機能部25にコンクリートが付着しないように裏込砕石層33の上面レベルよりも少し低く設定される。
【0025】
図31に示したように、胴込コンクリート35の打設が終了したら、コンクリートが硬化する前に、前記手掛け体30を利用して抜き型枠28を上方に引き抜き撤去する。図32と図33に示したように、水抜きパイプ32をセットしてある区域においては、前記切欠部31の縦長形状を利用して多少斜め上方に引き抜き、水抜きパイプ32の位置がずれないように注意する。
【0026】
胴込コンクリート35が硬化して作業が可能になってから、2段目の前壁部材8の係合用凹部13を1段目の前壁部材8の係合用凸部12に合わせて2段目の前壁部材8を積上げ、前記透孔19から前記ナット型インサート10に螺合されるボルト36によって2段目の前壁部材8を1段目の前壁接続部材17を介して1段目の前壁部材8に接続する。また、図34に示したように、前記介在部材27を介して1段目の型枠支持部材24に2段目の型枠支持部材24を継ぎ足す。
【0027】
そして、前記したのと同様に、図35に示したように2段目の型枠支持部材24に2段目の抜き型枠28を被せ装着した後、図36に示したように背面を埋め戻して2段目の裏込砕石層33を形成し、図37に示したように2段目の胴込コンクリート35を打ち継ぎ、図38に示したように2段目の抜き型枠28を抜取る。以下、図39から図41に示すように所要段数について上記の作業を繰り返し、擁壁を完成させる。
最上段には天端部ロック37が設置され、最上段の抜け型枠支持部材24の上位連結機能部25を埋没させるように頂部コンクリート38が打設される。
【0028】
図42から図44は上下に接続された前壁部材8の寝起きの微調整の方法を示すものである。前壁部材8を前に起こす場合には、例えば図43に示したように、前壁接続部材17の上部を前壁部材8の背面下部に連結している前記上下2本のボルト36のうち、下位の方のボルト36を少し緩める一方、上位の方のボルト36を下位のボルト36よりも大きく緩め、そして、前壁接続部材17の上部に固設してある前記上下2個のナット20のうち、上位の方のナット20に螺合した調整ボルト39を捻じ込んで、調整ボルト39の前端で前壁部材8の背面下部を押圧する。
【0029】
反対に、前壁部材8を後に寝かす場合には、例えば図44に示したように、前壁接続部材17の上部を前壁部材8の背面下部に連結している前記上下2本のボルト36のうち、上位の方のボルト36を少し緩める一方、下位の方のボルト36を上位のボルト36よりも大きく緩め、そして、前壁接続部材17の上部に固設してある前記上下2個のナット20のうち、下位の方のナット20に螺合した調整ボルト40を捻じ込んで、調整ボルト40の前端で前壁部材8の背面下部を押圧する。
【0030】
抜き型枠支持部材24の寝起きを調整するには、例えば図45に示したように金属パイプ41を抜き型枠支持部材24に嵌め、金属パイプ41を前方または後方に押し引きして、抜き型枠支持部材24の角度を丁張等の基準に合わせる。
【0031】
図46から図50は本発明の別の実施態様を示すものであり、図46の実施態様では、プレキャストコンクリート製の基礎ブロック4の前後方向の寸法は、均しコンクリート2の寸法より若干小さい程度としてあり、全奥行きにわたって一体に成形されている。このようなプレキャスト製品を使用する場合には、控え厚さと前背面勾配が簡単に決まり、比較的小型な擁壁の構築に適し、施工が早くて正確に行なわれる。
【0032】
図47に示した実施態様では、プレキャスト製の基礎ブロック4は前後2個に分割され、前方側ブロック4Aと後方側ブロック4Bの間に感覚を置いて均しコンクリート2に据え付けられている。
このように分割型の基礎ブロック4を使用すると、控えが大きい場合でも材料の無駄がない。カーブした現場では、前背面の延長が変わってくるが、自由度が大きいので対応しやすい。
【0033】
図48に示した実施態様では、現場打ちの基礎コンクリート4を使用しており、ナット型インサート5及びナット型インサート7としては後施工アンカーを使用している。後施工アンカーとしてのナット型インサート5,7は正確に位置決めして施工する必要があるが、最も経済性が良くて、自由度が高い。
【0034】
図49の実施態様は、前壁部材8を勾配吊り装置で吊り上げた場合を示しており、重心一が前壁部材8の前側になる。勾配吊り装置の取付治具43は、前壁接続部材17に前記透孔19を利用してボルト接合され、勾配つり装置の吊りワイヤー44の先端は、取付治具43に設けた複数個の受孔45のどれかを選択して挿入固定される。このように前壁接続部材17を介して所定の勾配に吊り上げて施工することが可能である。
【0035】
図50の実施態様では、小型重力式擁壁に適用した場合であり、擁壁の背面46は垂直であり、複数の抜き型枠支持部材24は垂直方向に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明方法の一実施例を適用した擁壁の1段目部分を示す道路側からの斜視図である。
【図2】図1の擁壁の1段目部分の法面側からの斜視図である。
【図3】図1の擁壁の法面側からの斜視図であり、1段目の抜き型枠を引き抜き、2段目の前壁部材を積み上げた状態を示している。
【図4】図1の擁壁に使用した基礎ブロックの平面図である。
【図5】図4の基礎ブロックの右側面図である。
【図6】図1の擁壁に使用した前壁部材の平面図である。
【図7】図6の前壁部材の正面図である。
【図8】図6の前壁部材の背面図である。
【図9】図6の前壁部材の右側面図である。
【図10】図1の擁壁に使用した基礎部用固着部材の右側面図である。
【図11】図10の固着部材の背面図である。
【図12】図1の擁壁に使用した前壁接続部材の右側面図である。
【図13】図12の前壁接続部材の背面図である。
【図14】図12の前壁接続部材の庭面図である。
【図15】図16の前壁部材と前壁接続部材との連結状態の背面図である。
【図16】図16の前壁部材と前壁接続部材との連結状態の右側面図である。
【図17】図1の擁壁に使用した抜き型枠の正面図である。
【図18】図17の抜き型枠の右側面図である。
【図19】図17の抜き型枠を並べたときの背面図である。
【図20】図1の擁壁に使用した抜き型枠支持部材の正面図である。
【図21】図1の擁壁に使用した別の抜き型枠支持部材の正面図である。
【図22】図1の擁壁に使用した抜き型枠支持部材の連結用介在部材の正面図である。
【図23】図1の擁壁の構築過程において、基礎面に均しコンクリートを設けたときの右側面図である。
【図24】図23の次の構築過程において、敷きモルタルを介して基礎ブロックを設置したときの右側面図である。
【図25】図24の次の構築過程において、基礎部用固着部材と前壁接続部材を予め連結してある前壁部材が、基礎ブロックに連結される直前の右側面図である。
【図26】図25の次の構築過程において、前壁部材を基礎ブロックに連結したときの右側面図である。
【図27】図26の次の構築過程において、抜き型枠支持部材を基礎ブロックに連結したときの右側面図である。
【図28】図27の次の構築過程において、抜き型枠を抜き型枠支持部材に被せ装着して、水抜きパイプを抜き型枠と前壁部材にセットしたときの右側面図である。
【図29】図28の次の構築過程において、背面を埋め戻して裏込砕石層を設けたときの右側面図である。
【図30】図29の次の構築過程において、胴込コンクリートを打設したときの右側面図である。
【図31】図29の次の構築過程において、抜き型枠を抜き取ったときの右側面図である。
【図32】水抜きパイプがセットされている区域において抜き型枠を抜き取るときの図31のA方向からの説明図である。
【図33】水抜きパイプがセットされている区域において抜き型枠を抜き取るときの図31のB方向からの説明図である。
【図34】図31の次の構築過程において、2段目の抜き型枠支持部材を1段目の抜き型枠支持部材に連結し、2段目の前壁部材を1段目の前壁部材に接続するときの右側面図である。
【図35】図34の次の構築過程において、2段目の抜き型枠支持部材に2段目の抜き型枠を被せ装着したときの右側面図である。
【図36】図35の次の構築過程において、背面の埋め戻しを行い、2段目の裏込砕石層を施したときの右側面図である。
【図37】図36の次の構築過程において、2段目の胴込コンクリートを打設したときの右側面図である。
【図38】図37の次の構築過程において、2段目の抜き型枠を抜き取ったときの右側面図である。
【図39】図38の後続の構築過程において、3段目の裏込砕石層と3段目の胴込コンクリートが施されたときの右側面図である。
【図40】図39の後続の構築過程において、4段目の抜き型枠支持部材が3段目の抜き型枠支持部材に連結されたときの右側面図である。
【図41】構築が完了したときの擁壁の右側面図である。
【図42】図41の擁壁の構築過程において前壁部材の寝起きの微調整を行う機構部分の右側面図である。
【図43】図42の微調整機構部分において前壁部材を前側に起こす場合の右側面図である。
【図44】図42の微調整機構部分において前壁部材を後に寝かす場合の右側面図である。
【図45】図41の擁壁の構築過程において抜き型枠支持部材の勾配を調整するときの右側面図である。
【図46】本発明方法の実施態様において、基礎ブロックをプレキャストの一体成形品としたときの右側面図である。
【図47】本発明方法の別の実施態様において、基礎ブロックをプレキャストの分割成形品としたときの右側面図である。
【図48】本発明方法の更に別の実施態様において、現場打ちの基礎コンクリートに後施工アンカーを使用したときの右側面図である。
【図49】本発明方法の他の実施態様において、勾配吊り装置によって前壁部材を吊り上げたときの右側面図である。
【図50】本発明方法の更に他の実施態様において、擁壁を小型重力式擁壁としたときの右側面図である。
【図51】従来方法による擁壁の右側面図である。
【図52】別の従来方法による擁壁の右側面図である。
【図53】更に別の従来方法による擁壁の右側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 基礎面
2 均しコンクリート
3 敷きモルタル
4 基礎ブロック
5 ナット型インサート
6 係合用溝
7 ナット型インサート
8 前壁部材
9 ナット型インサート
10 ナット型インサート
11 水抜き孔
12 掛合用凸部
13 掛合用凹部
14 基礎部用固着部材
15 透孔
16 透孔
17 前壁接続部材
18 透孔
19 透孔
20 固設ナット
21 ボルト
22 ボルト
23 ボルト
24 抜き型枠支持部材
25 上位連結機能部
26 下位連結機能部
27 接続用介在部材
28 抜き型枠
29 折返し部
30 手掛け体
31 切欠部
32 水抜きパイプ
33 裏込砕石層
34 法面
35 胴込コンクリート
36 ボルト
37 天端ブロック
38 頂部コンクリート
39 寝起き調整用ボルト
40 寝起き調整用ボルト
41 勾配調整用パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面の前方に設けた基礎ブロックの上面前方部に1段目の前壁部材を前記基礎ブロックに対して傾斜させて設置し、1段目の前壁部材の背面上部に1段目の前壁接続部材の下部を固着して、1段目の前壁接続部材の上部を1段目の前壁部材の上方に突出させ、前記基礎ブロックの上面後方部に1段目の型枠支持部材の下端部を前記基礎ブロックに対して傾斜又は直立させて固着し、1段目の型枠支持部材に1段目の抜き型枠パネルを被せて支持させ、前記法面と1段目の抜き型枠パネルとの間に1段目の裏込砕石を充填し、1段目の前壁部材と1段目の抜き型枠パネルとの間に1段目の胴込コンクリートを打設し、1段目の胴込コンクリートが硬化する前に1段目の抜き型枠パネルを1段目の型枠支持部材より外して上方に引き抜き、1段目の胴込コンクリートが硬化した後、1段目の前壁接続部材の前記上部に2段目の前壁部材の背面下部を固着し、1段目の型枠支持部材の前記上位連結機能部に2段目の型枠支持部材の下位連結機能部を直接又は介在部材を介して間接に接続し、2段目の型枠支持部材に2段目の抜き型枠パネルを被せて支持させ、前記法面と2段目の抜き型枠パネルとの間に2段目の裏込砕石を充填し、2段目の前壁部材と2段目の抜き型枠パネルとの間に2段目の胴込コンクリートを2段目の型枠支持部材の上位連結機能部にかからない位置まで打設し、2段目の胴込コンクリートが硬化する前に2段目の抜き型枠パネルを2段目の型枠支持部材より外して上方に引き抜き、これら作業を法面の高さと前壁部材の高さ寸法に対応して複数回繰り返すことを特徴とする抜き型枠方式の擁壁構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2007−291797(P2007−291797A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122978(P2006−122978)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(591047327)大和クレス株式会社 (17)
【Fターム(参考)】