説明

押して切る粘着テープ

【課題】粘着テープの長手方向に沿って複数の切れ込みを連続的に形成し、手指で粘着テープ表面を上方から押すことにより容易に切断可能な粘着テープを提供する。
【解決手段】フィルム基材の少なくとも一面に粘着層を備えた押して切る粘着テープであって、フィルム基材の短手方向の中央に,フィルム基材の長手方向に沿って,複数の貫通する切れ込みが間隔を空けて連続的に配置され、さらにそれらの長手方向がフィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)をもって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装、紙などの貼り付けに用いる帯状粘着テープ及び、容器と蓋の固定、食品パックの束の結束など一時的な固定に用いる帯状粘着テープであって、短手方向の中央付近に、粘着テープの長手方向に沿って複数の切れ込みまたは、切れ込みの集合が間隔を開けて連続的に形成された、切断容易性を有する「押して切る粘着テープ」及び「押して切る粘着テープの製造器具」に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、帯状の粘着テープの切断には、ハサミやテープカッター等の切断具を用いるか、指で粘着テープを挟んでねじ切るといったことが行われてきた。
しかし、子供にとって切断具の使用は困難な場合がある。また、切断具が手元にない場合に、指でねじ切ろうとすると、粘着テープの手切れ性が悪いために切断できない場合や切断できても粘着テープ同士が互いに付着し合う場合があり、所望通りの切断に多くの手間がかかって煩雑であった。
また、容器と蓋の固定、食品パックの束の結束や、ダンボール箱の蓋の封印など一時的な固定に粘着テープが用いられてきたが、開封に手間がかかったり、カッターなどの刃物を用いると商品を傷つけたりする恐れがあった。
このような事態を回避する目的で、粘着テープにミシン目等の切断部を設けて切断を容易とするような技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「切断部を備えた粘着テープ」という名称で、所定の長さに切断可能な粘着テープに関する考案が開示されている。
特許文献1に開示された考案は、テープ基材の少なくとも一方の面に粘着剤を塗布したテープ本体の長手方向に、テープ本体を一定の間隔で切断可能なミシン目状の切り込み部を設けたことを特徴とする切断部を備えた粘着テープに関する考案である。
このような特徴の考案においては、ミシン目状に切り込み部を設けたことにより、切断金具等を使用することなく確実、容易に粘着テープを切断できる。
【0004】
次に、特許文献2には、「易裂性粘着テープ」という名称の発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、非伸長性で、寸法安定性のプラスチックフィルムからなる基材の片面全面に微細な凹部を形成し、フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けたことを特徴とする。
このような構成の発明においては、包装作業時等に加わる引張強度に耐える強度を有するとともに、切断器具を必要とせずに容易に端部から切り裂くことができる程度の端裂抵抗を有する。
【0005】
特許文献3には、「切れ目を入れた強力粘着テープ」という名称の考案が開示されている。
特許文献3に開示された考案は、強力粘着テープの側面から20度以内の角度をもって切り込みが設けられ、この切れ込みは両側面より交互に設けられるという特徴を有する。
このような構成の強力粘着テープにおいては、切れ込みを設けたことにより、側面から容易に粘着テープを切断できる。
【0006】
特許文献4には、「手切れ性粘着テープ及びその製造装置」という名称で、手切れ性を維持し、引張強度等を向上させた粘着テープ及びその製造装置に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、帯状プラスチックフィルム基材の一面に粘着層を設けて形成した粘着テープにおいて、この長手方向に沿って一定間隔をおいて連続する孔を形成し、各孔は角部を有しない形状で、テープ側縁より1.5mm以上の内側に設けられ、テープの幅方向に手切れ性が容易となるという特徴を有する。
このような構成の手切れ性粘着テープにおいては、手切れ性は損なわれず、また各孔における製造及び取扱作業時に応力が集中する箇所がないため、引張強度及び引張伸び率が向上する。
【0007】
特許文献5には、「粘着テープ」という名称で、粘着テープの意図しない切断を防止し、しかも弱い手指の力で容易に切断できる易切断性粘着テープに関する発明が開示されている。
特許文献5に開示された発明は、プラスチックフィルムからなる任意の幅の粘着テープの端縁部から離れた内側にテープの長手方向に沿って傷痕を設けたことを特徴とする。
このような構成の粘着テープにおいては、切断起点となる傷痕がテープの端縁部から離れた内側の位置に付与されているため、テープの端縁部の強度の低下は全くなく、端縁部又は端縁部近くに傷痕を付与した従来技術の易切断性粘着テープで問題であった過大張力や変動張力、斜め張力による端縁部からの意図しない切断の欠点が大幅に改良されている。
【0008】
特許文献6には、「ミシン目入り一般包装用粘着テープ」という名称で、テープを貼付後に、容易に手で切り離すことのできる粘着テープに関する考案が開示されている。
特許文献6に開示された考案は、一般包装用粘着テープの幅の中央部附近に、テープの長さ方向に沿ってミシン目を入れたことを特徴とする。
このような構成のミシン目入り一般包装用粘着テープにおいては、複数の段ボール箱を並べてその合わせ目に粘着テープを貼付して数箱を連結する。よって、これらをまとめて運搬することができるとともに、テープのミシン目部を手で軽く叩いて簡単に切り離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平7−1053号公報
【特許文献2】特開平8−199123号公報
【特許文献3】実開平1−153350号公報
【特許文献4】特開2008−189865号公報
【特許文献5】特開平11−005956号公報
【特許文献6】実開昭62−83840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された考案においては、ミシン目状のスリットを設けた切り込み部を設けたことにより、切断金具等を使用することなく確実、容易に粘着テープを切断できる。
しかし、包装、容器と蓋の固定、食品パックの束の結束、紙などの貼り付けなどに用いられる粘着テープのフィルム基材は薄いので、この方法では引張強度が確保できず切れてしまう。また、手指で切断する場合には、切り込み部を間に入れてその両側の切り込み部でない部分を手指で挟持しテープをねじ切る必要があるので、両手を必要とする。よって、作業中に片手がふさがっている場合には、その作業を中断してテープを切断後に作業を再開しなければならず、容易に粘着テープを切断できるとはいえない場合がある。また、手指が粘着面に触れるので、指紋の跡が粘着テープに残り美観を損ねる場合がある。さらに、切断後に粘着テープが手指に絡みつき粘着テープを貼り付けることが困難な場合がありうる。
【0011】
次に、特許文献2に開示された発明においては、包装作業時等に加わる引張強度に耐える強度を有するとともに、切断器具を必要とせずに容易に端部から切り裂くことができる程度の端裂抵抗を有する。
しかしながら、フィルムの手切れ性向上のため基材フィルムの側端部は凹部の形成密度を大にしている。一方、幅方向中心部領域は引張力に抗するよう側端部よりも粗密度に形成される。したがって、手切れ性はもっぱら基材フィルムの側端部において良好であり、最初に基材フィルムの側端部を引き裂く際に、その方向によっては中心部に切れ込みが及ばず側端部のみが分離する可能性がある。これを防止するためには、特許文献1に開示された考案と同様に切断したい部分を手指で確実に挟持しテープをねじ切る必要があるので、煩雑となる場合がある。よって、作業効率が低下するおそれがある。また、全面に微細な凹部を形成するためテープ表面への印刷に影響を与える可能性がある。
【0012】
特許文献3に開示された考案においては、20度以内の角度で切れ込みを設けたことにより、側面から容易に粘着テープを切断できる。
しかし、側縁部に切れ込みをつけるため、側縁にかかる力により粘着テープは非常に切れやすくなる。このため、粘着テープの巻体からフィルム基材を剥がす時に側縁部に力が加わると裂けてしまい巻体から剥がすことが難しい。
【0013】
特許文献4に開示された発明においては、手切れ性は損なわれず、また引張強度及び引張伸び率が向上する。
しかし、取扱作業時に応力が集中する箇所がないため、かえってテープの切断方向が一定とはならないことが考えられる。よって、所望通りに切断できず新たに切断器具等が必要となる可能性があり、手切れ性が維持されているとはいえない。さらに、粘着テープの側縁部近くにスリットがあるため、取り扱い中に側縁部が分離して手にまとわりつく可能性があり、作業性が悪い。また、スリットのため粘着テープの外観品質やテープ表面への印刷に影響を与える。
【0014】
特許文献5に開示された発明においては、本願と同様に粘着テープを上から押して切断する。粘着テープには、短手方向に沿って0.5mm間隔で傷痕を7列千鳥状に付与した例があるように、この切断方法はミシン目を切るように上から押す力で不特定の隣接する傷跡をつないで切断する方法である。この粘着テープは切断した切断端のすぐ近くに多くの傷跡があるため、巻体から粘着テープの切断端を剥がす際に切断端近くの傷跡に力が加わり粘着テープ縦に切れてしまい使用できない可能性が高い。また、一時的固定にこの粘着テープを用いると意図せぬ力により傷痕群に沿って切れる可能性が高い。
【0015】
特許文献6に開示された考案においては、包装用粘着テープの短手方向中央部にミシン目が形成されたもので、ミシン目部分から切断して連結された段ボール箱の分離を行うものである。この粘着テープは、ミシン目を利用して切るため、輸送中などに外部からの力により切れやすい可能性がある。さらに、段ボール箱の合わせ目とミシン目を一致させる必要があるため、箱の連結時に注意が必要である。
【0016】
上記のように切断器具を用いないで粘着テープを切断する場合の解決すべき主な課題は、簡単な操作で切断可能でありながら引張強度を確保できることである。また、切断時に粘着面に触れないこと及び側縁部のみが切れないこと、切断時や粘着テープを巻体から剥がす時などに粘着テープが意図に反して切れないこと、粘着テープの外観品質維持や、物品の一時的な固定に用いた粘着テープが物品の固定解除時以外に切れにくく、必要時には固定解除しやすいこと等である。
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するために、指先や爪で粘着テープ表面を上方から押すことにより、粘着テープの長手方向の任意の位置で容易に切断可能な押して切る粘着テープを提供することを目的とする。さらには、引張強度と切断容易性を調整可能な押して切る粘着テープを提供することを目的とする。また、押して切る粘着テープの製造器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、帯状フィルム基材の少なくとも一面に粘着層を備えた,押して切る粘着テープであって、帯状フィルム基材の短手方向の中央に,帯状フィルム基材の長手方向に沿って,複数の貫通する切れ込みが間隔を空けて連続的に配置され、さらにそれら貫通する切れ込みの長手方向が帯状フィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)をもって形成されたことを特徴とする。
なお、本願において帯状フィルム基材とは、粘着テープの支持体を指し、短手方向の中央とは、略中央あるいは中央付近も含む概念である。
【0018】
請求項1記載の押して切る粘着テープを切断するには、押して切る粘着テープの長手方向の任意の部分を手で固定するか、物体に貼りつけ固定し、押して切る粘着テープの短手方向の中央付近を帯状フィルム基材面に対し上から、指の先端部分か爪の部分で押す。これにより押して切る粘着テープの固定された部分と押した部分との間に引っ張る力が生じる。この引っ張る力が、帯状フィルム基材の短手方向中央につけた切れ込み自体を拡張する力となる。また、帯状フィルム基材は幾らかの伸長性があるため、切れ込みは押した部分から離れるほど拡張し難くなることから、
押した部分に最も近い切れ込みが拡張し始める。さらに、粘着テープを長手方向に引っ張る力が作用しているので、切れ込みは押して切る粘着テープの短手方向の両側縁部に向かって拡張する。従って、切断時に押して切る粘着テープが長手方向に裂けることがない。また、切れ込みは押して切る粘着テープの短手方向の中央に形成されているので、特許文献4のように側縁部のみが切れることがない。
また、本発明の押して切る粘着テープにおいては、切断には一つの切れ込みしか関与しないので、特許文献1におけるミシン目状の切り込み部のように粘着テープの短手方向に沿って隣接する切れ込み同士を近づけてつながりやすくする必要がない。
【0019】
さらに、粘着テープを押して切るために切れ込みを拡張させるには、切れ込みまたは、その周辺に局所的な強い力を加える必要がある。よって、指の先端や爪の部分で粘着テープの表面を押すことが必要である。さらに、押す場所も粘着テープの側縁部付近の表面を押すと粘着テープはよじれて力を逃がすために、粘着テープ中央を押したほうが力を加えやすい。よって、切れ込みは粘着テープの短手方向中央に配置する。また、粘着テープの任意の部分で切断できるように複数の切れ込みを長手方向に沿って間隔をあけ連続して配置する。
【0020】
なお、押して切る粘着テープには巻体からはがす時や使用時、製造時においても長手方向に対し引っ張る力が作用する。押して切る粘着テープにはこの引っ張る力によって切断されない引張強度と粘着テープ面を押すことで容易に切断できることが求められる。
必要な引張強度や粘着テープの表面を押した場合の切断のしやすさは実際の利用場面や使用目的によって異なるが、押して切る粘着テープは切れ込みの角度α、切れ込みの長さによって調整ができることを以下に説明する。
【0021】
本発明は切れ込みを拡張させることで粘着テープを切断する。しかし、切れ込みの角度αが0度の場合は、粘着テープを長手方向に引っ張っても、切れ込みが拡張されないため、引張強度はほとんど低下しない。切れ込みの長さが同じ場合においては、角度αの絶対値が0度から大きくなる、すなわち切れ込みの長手方向が粘着テープの短手方向と平行な状態に近づくにつれ、切れ込みが拡張されやすく引張強度は低下する。角度αの絶対値が90度の時、引張強度は最も低い。なお、後述の実験結果によれば、角度αの絶対値が90度の時と比較して、引張強度が有意に高くなり、かつ、切断できる範囲として、角度αは10度≦|α|≦60度であることが望ましい。
なお、切れ込みの角度は、複数の切れ込みにおいて一定である必要はなく、切れ込み毎に異なっても良い。
【0022】
一方、切れ込みの角度αが同じであれば、切れ込みの長さが長いほど拡張されやすいので切断しやすくなるが、長すぎると引張強度は低下する。逆に、切れ込みの長さが短いほど強くなる。例えば、切れ込みの角度αが90度のときは、引張強度を確保するには、切れ込みの長さを短くするしかないが、短すぎると切れ込みが拡張されにくく、本発明の特徴である一つの切れ込みを拡張させて切断することが困難になる。よって、具体的には、切れ込みの長さは0.3mm以上で3mm以下、好ましくは2mm以下であることが望ましい。その理由は、一般的なOPPフィルム等のテープでは、0.3mm未満の切れ込みでは切れ込みの拡張ができず、テープを変形させてしまい切ることは困難である一方、切れ込みが5mm程度になってしまうと、引張強度が大きく低下してしまうのである。さらに、切れ込みが長いと巻き体等から剥がす時に切れ込みの片側が剥がれても、もう片側が巻き体に残り、切れ込みの部分から裂け易くなる。特に、斜めに剥がす場合などの剥がす方向に対し、切れ込みの方向が90度に近いほど、このような現象が起こる。従って、0.3mm以上で3mm以下、好ましくは2mm以下が望ましいのである。さらに、2mm以下が好ましいのは、切れ込みの長さが0.3mm以上では切断が可能であるため、引張強度をテープの材料を選ばずに担保するにはなるべく短い寸法であることが望ましいためである。
【0023】
押して切る粘着テープの帯状フィルム基材は幾らかの伸縮性があるため、切れ込みを押す位置が切れ込みから離れるほど切れ込みは拡張され難くなり、押して切る粘着テープが切断しにくくなる。このため、長手方向の切れ込み同士の間隔は狭いほうが良い。しかしながら、前述したように押して切る粘着テープの切断では、長手方向に切れることはないが、切れ込みの長手方向の間隔が狭すぎると、巻体から粘着テープを剥がすときなどの力により粘着テープの切れ込みが長手方向につながり縦切れすることがある。このような縦切れを防止するために、具体的には粘着テープの長手方向の切れ込みの間隔は、切れ込みの長さの1倍以上で、少なくとも2mm以上が望ましい。
その理由は、切れ込みの長さよりも短い間隔では、粘着テープが長手方向に切れてしまい易く、いわゆる縦切れの状態となってしまうので、切れ込みの長さの1倍以上であることが望ましい。さらに、発明者による実験結果では、一般的なOPPテープ等の材質では、テープ幅を1mm幅と2mm幅に切って引張り試験を実施した結果、2mm幅では長く伸びて切れ難くなったため、切れ込みの長さが短い場合であっても、2mm程度の間隔があることが望ましいのである。
ここで、長手方向の切れ込み同士の間隔とは、長手方向に隣接する切れ込みの端部と端部の長手方向の最短の間隔を指す。
【0024】
なお、複数の切れ込みが連続的に形成されることには、押して切る粘着テープの長手方向に沿って均等間隔をおいて形成されることのほか、複数の切れ込みが均等間隔をおいて形成されたのちに切れ込みのない一定長さ部分が連なり、さらにこの組み合わせが繰り返されるという場合も含まれる。このような切れ込みの連続的な形成により、任意に意図した位置で押して切る粘着テープが切断される。
【0025】
請求項1における切れ込みとは、フィルム基材の一部が単に厚さ方向に切れ込んでいる状態にあるものを指し、開口部がなく面積を有しないものをいう。よってフィルム基材の一部を故意に取り除いて形成したために一定の面積が形成されたものは含めないが、レーザー等による切り込み時や切り込み後にフィルム基材が縮小するなどして発生するわずかな面積の開口部は、請求項1における切れ込みに含める。また、貫通する切れ込みとは、フィルム基材を貫通したものをいうが、実際の切れ込みの形成時に発生するわずかに未貫通の切れ込みを排除するものではない。
切れ込みの形は、直線状の他に曲線、突起物により形成される不定形のものを含む。
【0026】
切れ込みは、開口面積を有する穴と比べほとんど開口面積を有さないために、粘着層がフィルムの表面に漏出しにくい。従って、べたついたり汚れたりしにくい。また、汚れないことで切れ込みも目立つようにならないため、外観品質を維持できる。また、穴としてフィルム基材の一部を取り除いて形成すると、取り除いた基材の処理が必要になるので望ましくなく、切れ込みが望ましいのである。
上記構成の押して切る粘着テープにおいては、切れ込みの長さ、切れ込みの角度、切れ込みの長手方向についての間隔を調整することにより、押して切る粘着テープの長手方向の引張強度と、押して切る粘着テープの切り易さが調整できる。なお、この引張強度及び切り易さは、使用目的、使用方法に適するよう調整される。
【0027】
次に、請求項2記載の発明は、請求項1記載の押して切る粘着テープにおいて、複数の貫通する切れ込みは、帯状フィルム基材の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内に,帯状フィルム基材の長手方向に沿って間隔を空けて連続的に配置され列を形成し,この列は複数列設けられ、さらに複数の貫通する切れ込みの列のうち,一部またはすべての列の複数の貫通する切れ込みにおいて,これら切れ込みの長手方向が帯状フィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)をもって形成されたことを特徴とする。
【0028】
押して切る粘着テープの短手方向の幅が広くなるにつれ、上から指先や爪で押す位置が中央付近からその周辺にばらつく可能性がある。
また、帯状フィルム基材は幾らかの伸長性を持つため、力が作用した場所から離れるにつれ切れ込みを拡張させる力が弱くなる。よって、帯状フィルム基材の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内に切れ込みの列を複数列配置することで、押す位置がばらついてもいずれかの切れ込みに十分な力が作用し安定的に切断することができる。なお、2/3の範囲内には略2/3の範囲内であるものも含まれる。
さらに、切れ込みの列と列の間を指先や爪で押した場合は、角度αの絶対値が小さな場合でも切れ込みが拡張するので必要な引張強度を確保でき、かつ切断しやすい。
また、両側縁部近くには切れ込みを配列しないため、請求項1の場合と同様に巻き体から粘着テープを剥がす時に側縁部のみが切れることがない。
なお、帯状フィルム基材の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内に,帯状フィルム基材の長手方向に沿って間隔を空けて連続的に配置される列とは、帯状フィルム基材の長手方向に平行な列以外に、帯状フィルム基材の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内を蛇行する列も含める。
【0029】
切れ込みの長手方向が前記帯状フィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)であれば、列によって異なる角度であっても良いし、切れ込みごとに角度αが異なっても良い。請求項1と同様に角度αの絶対値が小さくなるほど引張強度は低下しない。
【0030】
帯状フィルム基材を上方から指先で押したときの押して切る粘着テープの切断の仕組みは請求項1と同様であり、1つの切れ込みしか関与しないので、粘着テープの短手方向にミシン目を形成する必要はない。押して切る際には、粘着テープの長手方向に引っ張る力により切れ込みの裂ける方向が両側側縁部に向かうため、ジグザグに長手方向に向かって切れることがない。また、裂ける方向を切れ込みの配置(切れ込み同士の間隔)や切れ込みの向き(角度α)でコントロールする必要がない。
しかしながら、短手方向に切れ込みを並べて配置する並行配列の場合は、切れ込みの角度αの符号が同一では、一部の切れ込みがテープの切断端に残る場合がある。テープの切断端に残った切れ込みは、粘着テープを巻体から剥がす時に意図しない切断の原因となるので望ましくない。
短手方向に並べて切れ込みを配置する場合は、巻体から粘着テープの断端方向を見てハの字型を形成するように、中央から右側に位置する切れ込みの角度αは−10度≦α≦−60度、左側に位置する切れ込みの角度αは10度≦α≦60度が望ましい。または、逆ハの字でも良い。
短手方向に切れ込みを並べて配置しない千鳥配列の場合や、巻体から粘着テープの切断端を剥がすことがあまりないなど利用上問題がない場合は、この限りではない。
【0031】
切断時などに粘着テープの縦切れを防ぐために、同一列の粘着テープの長手方向の切れ込みの間隔は、具体的には、切れ込みの長さの1倍以上で、少なくとも2mm以上とすることが望ましい。
さらに異なる列同士で千鳥配列に切れ込みを配置する場合は、巻体から粘着テープの切断端を剥がす際に意図しない切断が起きないように、切断端から最寄りの切れ込みの端部までの最短の間隔を2mm以上開けたほうが良い。このため、列とは無関係に長手方向の切れ込みの間隔は2mm以上開けることが望ましい。ただし、巻体から粘着テープの切断端を剥がすことがあまりないなど利用上問題がない場合はこの限りではない。
列と列の間隔も、具体的には切れ込みの長さの1.5倍以上とし、さらに少なくとも3mm以上とすることが望ましい。これは、同一列に配置された場合と同様な理由に加えて、列と列の切れ込みがつながると粘着テープの切断に直結するため、列間での安全率を1.5倍としていることに他ならない。
このように切れ込みの間隔や列の間隔を開けることで、巻体から粘着テープの切断端を剥がす時や切断時などに意図しない切断を起こしにくい。
【0032】
上記構成の押して切る粘着テープにおいては、切れ込みの列の数、列の間隔、切れ込みの長さ、切れ込みの角度、切れ込みの長手方向についての間隔を調整することにより、押して切る粘着テープの長手方向の引張強度と、押して切る粘着テープの切り易さが調整できる。なお、この引張強度及び切り易さは、使用目的、使用方法に適するよう調整される。
この他、請求項1に記載の押して切る粘着テープと同様の作用を有する。
【0033】
次に、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の押して切る粘着テープにおいて、貫通する切れ込みの各々に代えて、少なくとも一列のミシン目状に連続する切れ込みの集合で構成されたことを特徴とする。
上記のミシン目状に連続する切れ込みの集合とは、貫通する切れ込みよりも微小な切れ込みが貫通する切れ込みの長手方向と同方向の直線上に切れ込みと同じ長さに並ぶものをいう。
従って、押して切る粘着テープの上方から力が加えられると、これらの微小な切れ込み同士が連結(連続)し、貫通する切れ込みにほぼ等しい1つの切れ込みを形成する。その後の切れ方は請求項1と同じである。
従って、指先や爪による局所的な力をテープ面に加えることでミシン目状に連続する微小な切れ込みの集合とほぼ等しい1つの貫通した切れ込みが完成し、この切れ込みが粘着テープ両端の側縁に到達し切断されるという作用を有する。
ミシン目を構成する切れ込みは微小であるため、粘着テープを長手方向に引っ張っても切れ込みが拡張し難い。このため、一本の切れ込みと比較すると、同じ長さのミシン目状に連続する微小な切れ込みの集合は強い引張強度を有する。
【0034】
さらに、複数列のミシン目状に連続する微小な切れ込みの集合の場合は、押して切る粘着テープに上方からの力を加えると、列と列の微小な切れ込みも連結(連続)しやすくなり、一列の場合よりも切断しやすくなるという作用を有する。
ただし、微小な切れ込み集合の列数が多いほど、粘着テープの切断端の周辺では、切れずに残った微小な切れ込みも多くなるため、巻体から粘着テープの切断端を剥がす時に意図しない切れを起こしやすい。このため、粘着テープの使用方法に応じ切れ込みの列数を決めることとするが、切れ込みの集合の列数は2列、または1列が望ましい。
【0035】
この微小な切れ込みの間隔及び微小な切れ込みの列と列の間隔は押して切る粘着テープに上方から局所的な力が加わると容易に切断可能な間隔とする。
この他、請求項1又は請求項2に記載の押して切る粘着テープと同様の作用を有する。
【0036】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の押して切る粘着テープにおいて、帯状フィルム基材は、切れ込みを含む一部に粘着層を備えない部分を持つことを特徴とする。
一時的な物品の固定に粘着テープを用いる場合、固定の解除は粘着テープを切断するか、粘着テープを物品から剥ぎとることが必要になる。
一時的な固定に押して切る粘着テープを使用した場合は、切れ込み及び切れ込み周辺部が他の物に粘着していると、力を加えても切れ込みが拡張しないため切断できない。しかし、帯状フィルム基材の切れ込みを含む一部に粘着層を備えない部分を持つことで、爪や指先などで力を加えると切れ込みが拡張し、粘着テープが裂け易くなる。さらに、切れ込みが拡張した方向にも粘着層を備えないほうが粘着テープを切断しやすいため、切れ込み及び側縁部までを含むその周辺部に粘着層を備えない部分があっても良い。反対に、押して切る粘着テープの用途によっては完全な切断が不要な場合もあるため、一部の切れ込みや側縁部を含むその周辺部が粘着層を備えても良い。
【0037】
帯状フィルム基材への粘着層の塗布は、例えば粘着テープの長手方向に沿って、短手方向の幅の半分程度まで塗布するほうが粘着テープを製造しやすい。このような場合の、短手方向中央部から左右に2列の切れ込みを持つ粘着テープでは、一列は結束するものに粘着するため切れ込みが拡張せず切断されない。このように粘着層を備えることで切断されない場合は、切れ込みを備える意味が乏しいことから切れ込みを省略してもよい。
一時的な物品の固定の解除として、粘着テープを物品から剥ぎとる場合は、切断端の周辺部に粘着層がないと物品に粘着していないので、この部分を掴み剥がしやすい。物品の固定に必要な粘着テープの長さが予めわかっている場合は、必要な長さごと、あるいは一定の長さごとに切れ込みを設けこの切れ込み及び切れ込み周辺部から片側または両側側端部まで粘着層を備えないことで実現できる。
この他、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の押して切る粘着テープと同様の作用を有する。
【0038】
また、請求項5記載の発明は、押して切る粘着テープの切れ込みを形成するために、円筒の円周面に複数の突起が設けられ、この円周面が帯状フィルム基材の表面に接して回転することで、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の切れ込みを形成可能に複数の突起が所望の間隔で構成されたことを特徴とする。
円筒状の円周面に形成される突起は、粘着テープの帯状フィルム基材に切れ込みを生じることができる鋭利さを備える。この突起は目的とする長さの切れ込みを形成可能であれば、1個でも、複数の突起が集合したものであっても良い。
または、請求項3のミシン目状に連続する切れ込みの集合を形成する場合は、複数の突起がミシン目状の切れ込みを形成するが、突起同士の間隔が狭いとミシン目状にならずに一つの連続した切れ込みを形成してしまう可能性が高くなるので、間隔を適宜拡げる。または、浅く刺すことにより形成する。突起の先端はタガネ状等の円錐状以外でも良い。
突起の高さは、巻体に巻かれた帯状フィルム基材の最上層の基材に切れ込みを入れられる高さとする。
複数の突起のついた円筒の円周面を粘着テープのフィルム基材に押し付けることで、突起がフィルム基材に切り込みを形成するとともにスパイクの役割を果たし、粘着テープの動きに伴い複数の突起のついた円筒も回転するため、連続的に配置された切れ込みが形成される。また、円周面の突起以外の部分にゴムなど摩擦の高いものを用いさらに空転を防いでも良い。
【0039】
突起のついた円筒の円周面が粘着テープに接する仕組みとしては、円筒の自重や、バネやゴムなどの弾性体の力により円筒を固定している軸が可動する構造や、円筒の軸を固定しておき粘着テープを引っ張る力により円周面が粘着テープに接するようにする構造がある。
これにより、粘着テープの使用にともない巻体の外周までの直径が減少しても、常に円筒の突起を持つ円周面が粘着テープの表面に接することができる。
円筒の突起を持つ円周面が粘着テープ面に加える力は、突起により粘着テープの基材フィルム面に切れ込みが生じる強さとする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の請求項1記載の押して切る粘着テープにおいては、押して切る粘着テープの中央付近にテープ面に対して上方から指先や爪などによる集中した力が加えられると中央に配列された切れ込みの一つが側縁部に向け伸長し粘着テープは切断される。このため切断時に粘着テープが長手方向に裂けにくいという効果を有する。
また、切断時の操作も粘着テープの短手方向中央部付近を指の先端部分か爪の部分で押すだけなので、子供でも片手で行うことができる。
さらに、切断時に粘着テープの粘着層に指が触れないため、切断後にテープが指に付着し、不快な思いをすることや絡んで使用不能となること、指紋の跡が粘着テープに残ることがない。
また、粘着テープを例えば巻体から剥がす時などの切断時以外においても、切れ込みが粘着テープ短手方向の中央付近にあることから、側縁部のみが切れることがない。
さらに、使用目的により粘着テープに求められる引張強度と切断のしやすさは異なるが、粘着テープのフィルムの材質や厚さを考慮したうえで、切れ込みの長さと切れ込みの角度αを調整することで必要な引張強度と切断のしやすさを確保できる。例えば、後述する図3(a)に示すように、角度αを小さくしても必要な引張強度を確保しながら切れ込みの長さを長くすることができるので、切れ込みからやや離れた位置を押した場合でも粘着テープの切断が可能である。このため、単位面積当たりの切れ込みの数を少なくできる。このように、押して切る粘着テープは様々な構成とすることができるので、汎用性が高い。また、押して切る粘着テープの切れ込みは小さく、開口面積がほとんどないため、外観上も優れている。
加えて、切れ込み同士の間隔を調整することで、粘着テープを特定の位置において切断できることから、産業利用で常に一定長さで使用するといった用途において、経費削減や製品の均一化に貢献することができる。
また、押して切る粘着テープは、切れ込み付近への局所的な力で極めて容易に粘着テープを切断可能である反面、輸送中や取り扱い中に粘着テープに面的な力が加わった場合は、切れ込みがあまり拡張しないため粘着テープは切れにくい。また、切れ込み付近以外に局所的な力が加わった場合も同様である。さらに、粘着テープの側縁部に力が加わった場合は、テープがねじれて力を逃がすことから、粘着テープは切れにくい。このため、本発明の押して切る粘着テープは、容器の蓋の一時的な固定や食品パックを束ねる時の粘着テープに適する。
【0041】
本発明の請求項2記載の押して切る粘着テープにおいては、複数列のうちのいずれかの切れ込みに力が作用することから、短手方向の長さが24mmの幅の広い粘着テープでも安定的に切断することができる。
押して切る粘着テープを一時的な固定に用いた場合には、開封が容易になる。例えば、ダンボール箱の封緘に押して切る粘着テープを用いると蓋と本体、蓋同士が固定される。開封する場合は、蓋と本体の間の隙間に位置する切れ込み周辺を爪でこするだけでいずれかの切れ込みから裂け始め、蓋と本体を分離することができる。続いて、蓋同士の合わせ目周辺も同様に行うことで、蓋を容易に開封することができる。
この他、請求項1に記載の押して切る粘着テープと同様の有利な効果を有する。
【0042】
本発明の請求項3記載の押して切る粘着テープにおいては、ミシン目状に連続する切れ込みを構成する微小な切れ込み同士を連結させるために力が必要であることから、貫通した1つの切れ込みを備える粘着テープと比較すれば、切断容易性がわずか低下するものの、粘着テープ自身の引張強度を向上させることができる。
また、ミシン目状に連続する切れ込みの集合は、くさび形にとがった先端を持つ細い針等を帯状フィルム基材に貫通させ形成できるので、加工作業が容易になり製造上のメリットが大きい。さらに外観に与える影響も小さい。
この他、請求項1及び2に記載の押して切る粘着テープと同様の有利な効果を有する。
【0043】
本発明の請求項4記載の押して切る粘着テープを一時的な固定に用いた場合、固定の解除は、粘着テープを切断するか、粘着テープを剥ぎとることが必要になる。粘着テープの切断においては、切れ込みを含む一部に粘着層を持たないため切断しやすい。例えば、結束用テープに利用した場合、切断時に切れ込み周辺に粘着層があると切断したい部分が商品などに粘着し、切れ込みが拡張せず切断することが困難な場合がある。しかし、請求項4記載の押して切る粘着テープにおいては、切れ込みを含む一部に粘着層がないため、容易に切断が可能である。また、長手方向に沿って部分的に粘着層を持たない部分を作ることで、特定の意図した場所での切断が可能になる。また、切断に用いる切れ込み周辺が粘着層を持たない場合は、切断端の周辺部が物品に粘着していないので、この部分を掴み剥がしやすい。
さらに、切れ込みを含む一部に粘着層を備えない部分を持つ押して切る粘着テープは、切れ込みから粘着物質がテープ表面ににじみ出ることがなく、外観品質を高く保つことができる。
この他、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の押して切る粘着テープと同様の有利な効果を有する。
【0044】
請求項5記載の押して切る粘着テープの製造器具においては、請求項1から請求項3の押して切る粘着テープの容易な作成が可能である。また、一部に粘着層を備えない部分を持つ粘着テープと組み合わせることで、請求項4の押して切る粘着テープを作成できる。
【0045】
以上より、これまで述べた構成を持つ本発明は、必要な引張強度を確保した上で、粘着層に触れずに粘着テープを切断可能である。しかも、粘着テープの側縁部のみが切断されることがない上に、ハサミ等の器具を用いないで簡単に切断することができる。従って、切断時にストレスがなく不快感がない。また、切れ込みが小さく目立たないことから、外観や印刷に与える影響が小さい。さらに、引張強度と切断のしやすさが調整可能であるために、物品の一時的な固定場面で特に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る押して切る粘着テープの外観斜視図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明に係る押して切る粘着テープの切れ込みの拡大図である。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれOPPフィルム及びセロハンテープにおける引張強度と角度の関係を示す図である。
【図4】(a)乃至(c)は、それぞれ切れ込みの長さが1mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが5mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが2mmのセロハンテープにおける引張強度と切れ込み角度の関係を示す図である。
【図5】(a)乃至(c)は、それぞれ切れ込みの長さが1mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが5mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが2mmのセロハンテープにおける引張強度と切れ込み角度の関係を示す図である。
【図6】は、実施例1に係る押して切る粘着テープの平面図である。
【図7】は、実施例1に係る押して切る粘着テープの利用例である。
【図8】は、実施例1に係る第1の変形例の平面図である。
【図9】は、実施例1に係る第2の変形例の平面図である。
【図10】は、実施例2に係る押して切る粘着テープの平面図である。
【図11】は、実施例2に係る第1の変形例の平面図である。
【図12】は、実施例2に係る第2の変形例の平面図である。
【図13】は、実施例2に係る第3の変形例の平面図である。
【図14】は、実施例2に係る第4の変形例の平面図である。
【図15】は、実施例2に係る第4の変形例の利用例である。
【図16】は、実施例3に係る押して切る粘着テープの平面図である。
【図17】は、実施例3の切れ込みの平面図である。
【図18】は、実施例3の切れ込みの平面図である。
【図19】は、実施例3の切れ込みの第1の変形例の平面図である。
【図20】は、実施例3の切れ込みの第2の変形例の平面図である。
【図21】は、実施例4に係る押して切る粘着テープの平面図である。
【図22】は、実施例4に係る押して切る粘着テープの利用例である。
【図23】は、実施例4に係る第1の変形例の使用状態図である。
【図24】は、実施例4に係る第2の変形例の使用状態図である。
【図25】は、実施例4に係る第3の変形例の平面図である。
【図26】は、実施例4に係る第4の変形例の使用状態図である。
【図27】は、実施例4に係る第5の変形例の平面図である。
【図28】は、実施例4に係る第5の変形例の使用状態図である。
【図29】は、実施例4に係る第6の変形例の平面図である。
【図30】は、実施例4に係る第7の変形例の平面図である。
【図31】は、実施例5に係る押して切る粘着テープの製造器具の外観斜視図である。
【図32】は、実施例5に係る押して切る粘着テープの製造器具を用いて製造した切れ込みの図である。
【図33】は、実施例5に係る変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明に係る押して切る粘着テープの概要について、図1乃至図5を用いて説明する。なお、以下の発明を実施するための形態、実施例、変形例、図面における符号の説明においては、「押して切る粘着テープ」を単に「粘着テープ」と記載する。
図1は、本発明に係る粘着テープの外観斜視図である。
図1に示すように、本発明に係る粘着テープ1は、巻体5を形成しフィルム基材2の裏面に粘着層4を備え、フィルム基材2の短手方向の中央に、その長手方向に沿って複数の切れ込み3が一定間隔をおいて1列に連続的に設けられる。さらに、切れ込み3はフィルム基材2を貫通する。なお、切れ込み3は、必ずしも完全な中央でなくても中央付近に形成されてもよい。すなわち、本願における中央は、略中央を含む概念である。なお、巻体5は、粘着テープ1がそれ自体、あるいは芯の周囲に巻回されて構成される状態を示すものである。
フィルム基材2には、ポリプロピレンを材質とした二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムという)、アセテート等の合成樹脂やセロハンを材質としたフィルムを一種または、複数種を重ねて帯状に成形したものが用いられる。
【0048】
図2(a)及び図2(b)は、それぞれ本発明に係る粘着テープの切れ込みの拡大図である。
図2(a)に示すように、粘着テープ1aに備えられる長さaを有する切れ込み3aは、角度αをもって設けられる。角度αは、切れ込み3aの長手方向と粘着テープ1aの長手方向とがなす角度であり、切れ込み3の長手方向が粘着テープ1aの長手方向と平行である場合を0度、短手方向と平行である場合を90度または−90度とする。また、角度αの符号は、時計周りの場合がプラス、反時計回りの場合がマイナスで示される。
図2(b)は、粘着テープ1bに備えられる切れ込み3bが、粘着テープ1bの長手方向に沿って2列に亘って連続して設けられる場合を示しており、2列に亘って設けられた切れ込み3b間の間隔を説明するための模式図である。図2(b)において、bは同じ列の長手方向の切れ込み3bの間隔、cは切れ込み3bの2つの列の間隔、dは互いに異なる列に存在する切れ込み3bの上端と下端の長手方向の間隔、eは互いに異なる列に存在する切れ込み3bの上端と上端の長手方向の間隔である。この切れ込み3bの位置関係は、図中に示される最短距離b,c,d,eをもって表現される。例えば、e=0、すなわちフィルム基材2の短手方向に水平に配置される場合は、切れ込み3bは並行配列であり、これ以外は千鳥配列である。なお、図2(b)において、粘着テープ1bの上端は押して切った時の切断端を示している。
次に、具体的な切れ込みの角度と引張強度、切れ易さの関係の測定結果を説明する。
【0049】
図3(a)及び図3(b)は、それぞれOPPフィルム及びセロハンテープにおける引張強度と切れ込み角度の関係を示すグラフである。
ここで、引張強度とは、粘着テープを長手方向に引っ張った時の切れにくさをいう。測定では、市販の幅18mmのOPP製粘着テープと幅20mmのセロハンテープを用いて、粘着テープの切断時の荷重(g)を引張強度とした。なお、測定は切れ込みの角度αを変えて行った。以下に、具体的な測定方法について詳細に述べる。
【0050】
切れ込みは、所定の長さとなるように細工用カッターナイフを用い鉄製の定規の上で形成した。鉄製の定規には薄く油脂を塗ってテープを剥がす際に、テープが定規に粘着し切れ込みが拡大しないようにした。
切れ込みはテープの短手方向中央に1箇所形成した。このテープの一端を水平においた淵の丸い板に固定し、他端を鉛直に垂らす。鉛直に垂らした粘着テープの端末部は円柱の周面に貼付した。円柱とテープを固定した板までの間隔は4cm程度とした。この円柱にバネばかりと補助おもりをぶら下げ、バネばかりを鉛直方向になるべく一定の速さで引き下げる。粘着テープが切断されるとバネばかりの目盛が0に戻るが、記録紙をバネばかりの目盛に挟むことで、切断直前の最大値を記録した。切れ込みの角度αは10度もしくは20度から90度までの10度ごとに変化させ、同一の切れ込みの角度で7回から25回繰り返し最大値を計測した。この最大値に補助おもりの重さや円柱の重さを加算した値をグラム単位で表し引張強度の測定値とした。
【0051】
上記測定による測定結果は、図3乃至図5に示されるとおりである。それぞれ、横軸は切れ込みの角度α(度)を示し、縦軸は引張強度(g)を示す。
まず図3(a)は、切れ込みの長さが1mmのOPPフィルムと5mmのOPPフィルムに関する切れ込みの角度ごとの引張強度の測定値の平均値を示す図である。この図において、切れ込みの長さが1mmの場合では、角度αが90度において1441(g)の引張強度となっている。そして、長さが5mmの場合では、角度αが20度において同程度の引張強度となっている。すなわち、角度αを小さくしても、切れ込みの長さを長くすることで同程度の引張強度を確保することができる。
図3(b)は、切れ込みの長さが2mmのセロハンテープに関する切れ込みの角度ごとの引張強度の測定値の平均値を示す図である。測定値の統計値を表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
次に、図4(a)乃至図4(c)は、それぞれ切れ込みの長さが1mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが5mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが2mmのセロハンテープにおける引張強度の測定値と切れ込み角度の関係を示す図である。
これらの図は、図3(a)及び図3(b)と同一の測定結果を示した図であり、表1に示した統計値を加味し、より詳細な測定結果を示したものである。
図4(a)乃至図4(c)では、箱ひげ図と平均の菱形を付して測定値を表した。
箱ひげ図は、四角形の箱の上端と下端が分位点の25%と75%を示し、箱内の横線が中央値メディアンを示す。箱から上下に伸びる線をひげという。箱ひげ図は測定値の分布を示すもので、正規分布の場合は中央値メディアンを挟んで四角形の箱の上端と下端及び分位点の25%と75%の位置が等間隔に並ぶ。ひげから離れた測定値は外れ値となる。箱ひげ図から測定値は概ね正規分布から大きく外れていないため、平均値を代表値とすることができる。平均の菱形の中央横線は標本平均を示し、菱形の上下端の間はその95%信頼区間を示す。菱形の横幅は標本数を表す(具体的な標本数は表1を参照)。菱形が同じ引張強度にあれば平均値に差がないことがわかる。
図3(a),図4(a),図4(b)及び表1より、OPPフィルムにおいては、切れ込みの長さaが短くなるほど粘着テープの引張強度は高くなる。
また、図3(a),図3(b),図4(a),図4(b),図4(c)及び表1より、OPPフィルム及びセロハンテープのいずれにおいても、切れ込みの角度αが小さくなるほど引張強度は強くなる。
【0054】
しかしながら、切れ込み角度αが90度から60度までの引張強度は統計的に有意な差がない可能性が考えられる。これを検証するため、切れ込みの角度αが90度の時の引張強度と比較して有意差が出る90度以外の角度αを求めた。この検証は、Tukey−KramerのHSD検定により行った。この結果を以下の図5(a)乃至図5(c)において示す。
図5(a)乃至図5(c)は、それぞれ切れ込みの長さが1mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが5mmのOPPフィルム、切れ込みの長さが2mmのセロハンテープにおける引張強度と切れ込み角度の関係の測定値を示す図である。
これらの図において、向かって右端に表示された円は、Tukey−KramerのHSD検定の結果を図示したもので、角度ごとに円が示され、円の中心はその角度の平均値を示す。円の大きさで最小有意差が示される。よって円が重なっていなければ危険率5%で平均値に有意な差があることを意味する。切れ込みの角度αが90度の引張強度の平均値と有意な差がある場合は、円が重ならず横軸ラベルの角度αを示す字体が斜字で示される。逆に、危険率5%で引張強度に統計的に有意な差がないと円が重なって示され、角度αも90度と同じ字体で示される。
図5(a)に示した切れ込み1mmのOPPフィルムでは、切れ込み角度αが90度と80度では引張強度に有意な差が見られないが、70度以下では有意な差が見られた。また、図5(b)に示した切れ込み5mmのOPPフィルムでは、切れ込み角度αが90度と80度、70度では有意な差が見られないが60度では有意な差が見られた。さらに、図5(c)に示した切れ込み2mmのセロハンテープでは、切れ込み角度αが90度と80度では有意な差が見られないが70度以下では有意な差が見られた。
以上から、切れ込みの角度αが60度以下では、90度に比べ引張強度が有意に高くなることが判明した。
【0055】
次に、表2に請求項1に対応する粘着テープを上から押した時の切断の容易さと切れ込みの角度の関係について示した。測定は、市販の18mmの幅のOPP製粘着テープと20mm幅のセロハンテープを用い、切れ込みの角度を10度ごとに変え測定した。測定は切れ込みの入った粘着テープの一方を固定し、一方を手で引っ張りながら粘着テープの切れ込みの近くを上から爪で押した。同一角度で複数回行い、押した時の切断の容易性を「良く切れる。」「切れる。」「切れにくい。」「切れない。」の4段階で評価した。
表2に示すように、切れ込みの角度αが10度の場合は、20度に比べかなり切れにくくなっている。そして切れ込みの角度αが0度ではほとんど切れない状態になる。これらの結果から、切れ込み角度αが20度以下の場合では、切れ込み角度αが減少するほど粘着テープの切断の容易性が低下することがわかる。
【0056】
【表2】

【実施例1】
【0057】
本発明の実施の形態に係る実施例1の粘着テープについて、図6乃至図9及び表3を用いて詳細に説明する(主に、請求項1に対応)。
なお、図1乃至図2で示した構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。図6は実施例1に係る粘着テープの平面図、図7は同じくその利用例を示す図である。
表3に実施例1に係る粘着テープ6の構成についてまとめる。表3における切れ込みの長さa,切れ込みの長手方向の間隔b,切れ込みの短手方向の間隔cは、図図2(a)及び2(b)に示したものである。なお、本例示により本願発明が制限されるものではない。
【0058】
【表3】

【0059】
図6に示すように、実施例1に係る粘着テープ6は、フィルム基材2の裏面に粘着層4を備え、複数の切れ込み7が設けられている。切れ込み7は長さa(図2(a)参照、以下同じ)が0.8mmであり、フィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ6の長手方向に沿って3mmの均等間隔b(図2(b)参照、以下同じ)をおいて一列に設けられ、切れ込み配列8を形成する。フィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが12mmのフィルムである。また、切れ込み7は角度αが30度をもって設けられる。
切れ込み7は、粘着テープ6の厚さ方向に対しほぼ垂直に開けられ、その縦断面は線状である。その深さは、フィルム基材2の厚さとほぼ等しくフィルム基材2を貫通している(図示せず)。なお、図6において、粘着テープ6の上端は押して切った時の切断端を示している。
【0060】
次に、実施例1に係る粘着テープ6の作用について説明する。
実際に粘着テープ6を切断するには、粘着テープ6の長手方向における任意の部分を手で固定するか、または他の物体に貼付して固定し、巻体5(図示せず。図1(a)の符号5参照、以下同じ。)から剥がされた粘着テープ6の短手方向の中央付近を上方より指の先端部分か爪の部分で押す。すると、力が加わった周辺の切れ込み7には粘着テープ6の長手方向に引っ張る力が働き、切れ込み7が拡張する。力を加え続けることで切れ込み7はさらに拡張して粘着テープ6の両側縁部に向かって伸長し、粘着テープ6が切断される。
また、複数の切れ込み7がフィルム基材2の長手方向に沿って一定間隔をおいて連続的に設けられることから、長手方向のいずれの位置において力を加えても粘着テープ6が切断されるという作用をももたらす。
また、切れ込み7の長さを変化させると、粘着テープの引張強度と切れやすさが変化するという作用を有する。
【0061】
次に、実施例1に係る粘着テープ6の効果について説明する。
粘着テープ6は、指先や爪で押さえることのみで容易に切断できる。
従来技術では、両手を用いて切断する必要があったが、粘着テープ6では極めて切断容易である点が特に優れている。また、粘着テープ6をフィルム基材2の側から押さえることから、粘着層4に指が触れずに切断可能である。よって、快適に使用できるとともに、指紋が粘着層4に残らず美観も優れたものとなる。さらに切断時や切断後に粘着テープが指に付着したり、絡んで使用不能となったりすることを防止できる。
他にも、粘着テープ6がその長手方向に沿って裂け難いため、巻体5から粘着テープ6を剥がすときに意図しない切れ方をして粘着テープ6の一部が巻体5に残ることがない。
また、切れ込み7が粘着テープ6の短手方向の中央付近にあること、及び、切断端の近くに切れ込み7がないことから、例えば巻体5から粘着テープ6の切断端を剥がす時などに各側縁部のみが破断することや中央から縦切れすることがない。よって、所望の長さの粘着テープ6片を外観上も美しく採取できる。
加えて、粘着テープ6の長手方向のいずれの位置においても粘着テープ6は切断されるため、利便性があり、必要以上の長さを切り取ることもないので、経済性もよい。
また、切れ込み7の角度α、長さa、間隔bを調整することにより長手方向の引張強度と切りやすさを調整できる。よって、フィルム基材2の材質や使用目的、使用方法に合わせ引張強度と切りやすさを調整できるので、様々な仕様の粘着テープを製作可能であり、汎用性が高い。
【0062】
本実施例に係る粘着テープの切断の容易性は、巻体5から必要分を切り取る場合の他に、一時的な固定に用いた粘着テープを切断するような場合に特に便利である。
次に、粘着テープ6の利用例について説明する。図7に示すように、粘着テープ6は、コンビニエンスストア等で販売される弁当などに用いられる容器本体9とその蓋9aを固定している。
もちろん蓋を容器からはずす場合は、粘着テープ6の切断が必要であるが、容器よりも蓋が大きいため、容器本体9と蓋9aから離れている粘着テープ6の中心部分を上から指先や爪で押すと片手で簡単に切断できる。切断片は容器本体9に粘着して残るため手にまとわりつくことがなく開封に手間がかからない。また、テープの側縁部ではなく、テープ中心部に局所的な強い力が働かないと切断しないため、輸送中に粘着テープ6が不意に切断される可能性は小さく、一時的な固定にも適する粘着テープであると言える。
【0063】
次に、実施例1に係る第1の変形例について、図8を用いて説明する。図8は実施例1に係る粘着テープの第1の変形例の平面図である。
図8に示すように、実施例1の第1の変形例に係る粘着テープ6aは、フィルム基材2に複数の切れ込み7aが設けられる。フィルム基材2は、セロハンを材質とした短手方向の長さが12mmのフィルムである。また、切れ込み7aは長さaが1.0mmである。なお、セロハンフィルムはOPPフィルムに比べ裂けにくいため、切れ込み7aの長さaは、切れ込み7の長さaよりも大きいものとした。
そして、切れ込み7aの角度αは、30度及び−30度である。切れ込み7aにおいては、30度と−30度の角度αが交互に繰り返され、切れ込み配列8aが形成されている。その他の構成は、実施例1の粘着テープ6と同様である。
【0064】
続いて、粘着テープ6aの作用及び効果について説明する。
実施例1の第1の変形例である粘着テープ6aでは、切れ込み7aの角度αが交互に変わるために、中央付近から両端方向へ少し外れた位置を押しても、その位置に最も近接する切れ込み7aが拡張し、粘着テープ6aが切断されるという作用を有する。従って、短手方向の中央付近を押す場合と比較しても切断の容易性が大きく変わることがない。この点に関し、実施例1の粘着テープ6(図6参照)では、押す位置が短手方向の中央付近から向かって左側に外れた場合は、右側に外れた場合より切れ込み7が拡張し難くなって、若干切断しにくくなる可能性があった。粘着テープ6aでは、このような可能性はほとんどないことから、粘着テープ6に比べ安定的に切断できるという効果を有する。
この他、実施例1の第1の変形例に係る粘着テープ6aは、実施例1に係る粘着テープ6と同様の作用及び効果を有する。なお、図8において、粘着テープ6aの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0065】
次に、実施例1に係る第2の変形例について、図9を用いて説明する。図9は実施例1に係る粘着テープの第2の変形例の平面図である。
図9に示すように、実施例1の第2の変形例に係る粘着テープ6bは、フィルム基材2に複数の切れ込み7bが設けられる。フィルム基材2は、アセテートを材質とした短手方向の長さが12mmのフィルムである。
粘着テープ6bは、フィルム基材2に、複数(3個)の切れ込み7bが均等間隔をおいて連続したのち、切れ込み7bのない部分が一定長さで連なり、さらにこの組み合わせが繰り返された、一列からなる切れ込み配列8bを形成する。このとき、切れ込み7bの長さa及び間隔bは切れ込み7と同様であり、フィルム基材2を貫通する。切れ込み角度αは−30度である。また、切れ込み7bの長さa、個数及び切れ込み7bのない部分の長さは自在に変化される。
さらに、3個連続した切れ込み7bのうち中央の切れ込み7bを挟んだ両側に、一ヶ所ずつ切れ込み位置マーク10が備えられる。なお、切れ込み位置マーク10は三角形状であるが、この形状のみに限られない。その他の構成は、実施例1の粘着テープ6と同様である。なお、図9において、粘着テープ6bの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0066】
そして、粘着テープ6bの作用及び効果について説明する。
実施例1の第2の変形例である粘着テープ6bでは、切れ込み7bが形成された位置を押すことで切断されるという作用を有するが、切れ込み7bのない部分を押すと切断されない。
しかし、粘着テープ6bでは、切れ込み位置マーク10が設けられているので、これを押すことで常に切れ込み7bの周辺で切断が行われる。このため、粘着テープ6bを一定の長さに切断することができるという効果を有する。
この他、実施例1の第2の変形例に係る粘着テープ6bは、実施例1に係る粘着テープ6と同様の作用及び効果を有する。
【0067】
なお、実施例1に係る粘着テープは、本実施例に示す構造に限定されるものではない。例えば、切れ込みの長さa及び間隔bは、表3に記載された以外の値でも良い。このとき、長さaは0.3mm以上で3mm以下であれば良く、2mm以下が好ましい。また、間隔bは、切れ込みの長さaの1倍以上で、少なくとも2mm以上であれば良い。
これらの寸法に関する根拠については、既に課題を解決するための手段の欄で述べたとおりである。
【実施例2】
【0068】
本発明の実施の形態に係る実施例2の押して切る粘着テープについて、図10乃至図15及び表4を用いて詳細に説明する(主に、請求項2に対応)。
なお、図1乃至図9で示した構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
以下に、実施例2に係る粘着テープ11の構成について図10及び表4を参照しながら具体的に述べる。図10は実施例2に係る粘着テープの平面図である。表4における切れ込みの長さa,切れ込みの長手方向の間隔b,切れ込みの短手方向の間隔c,互いに異なる列に存在する切れ込み3bの上端と下端の長手方向の間隔d,互いに異なる列に存在する切れ込み3bの上端と上端の長手方向の間隔eは、図2(b)に示したものである(以降、表5において同じ)。なお、本例示により本願発明が制限されるものではない。
【0069】
【表4】

【0070】
図10に示すように、実施例2に係る粘着テープ11は、フィルム基材2に複数の切れ込み12が設けられ、切れ込み配列13を形成する。切れ込み配列13は、フィルム基材2の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内に設けられる。
フィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが18mmのフィルムである。また、切れ込み12は長さaが0.8mmであり、フィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ11の長手方向に沿って3mmの均等間隔bをおいて2列に設けられ、各列はフィルム基材2の短手方向中央から互いに遠ざかる方向へ3mmずつ離隔している。すなわち、間隔c(図2(b)参照、以下同じ)は6mmである。また、間隔d(図2(b)参照、以下同じ)は3mm、間隔e(図2(b)参照、以下同じ)は0mmであり、切れ込み配列13は並列配列である。
また、切れ込み角度αは、図10の左側の列が10度、右側の列が−10度である。
この他の構成は、実施例1に係る粘着テープ6と同様である。なお、図10において、粘着テープ11の上端は押して切った時の切断端を示している。
【0071】
次に、実施例2に係る粘着テープ11の作用について説明する。
粘着テープ11は、2列の切れ込み12が備えられていることから、押さえる位置が粘着テープ11の短手方向の中央付近から両端側に外れても、押さえた位置の近くに切れ込み12があるため、切れ込み12が拡張し、その結果粘着テープ11が切断される。また、切れ込み配列13の列の間を上から押した場合においても、切れ込み12が拡張し同様に粘着テープ11が切断される。これは、切れ込みの角度αの絶対値が小さな値であっても同様である。
この他、実施例2に係る粘着テープ11は、実施例1に係る粘着テープ6と同様の作用を有する。
【0072】
さらに、実施例2に係る粘着テープ11の効果について説明する。
実施例2の粘着テープ11は、短手方向の長さが18mmであり、テープの幅がやや広いため短手方向の中央付近から外れた位置に指先や爪による力が加わる可能性がある。
粘着テープ11では、切れ込み12が2列に亘って配置されているため、安定的に切断できる。また、切れ込みの角度αの絶対値が小さい場合においても、切断が容易である。一方で、角度αの絶対値が小さいことから、切れ込み12が2列に配列されているにもかかわらず、高い引張強度を維持している。
切れ込み12は、粘着テープ11の両側縁部や切断端の近傍に配置されないことから、各側縁部のみが破断されて粘着テープ11の巻体5や手にまとわり付いたり縦切れしたりすることがない。
この他、実施例2に係る粘着テープ11は、実施例1に係る粘着テープ6と同様の効果を有する。
【0073】
次に、実施例2に係る第1の変形例について、図11及び表4を用いて説明する。図11は、実施例2に係る第1の変形例の平面図である。
図11に示すように、粘着テープ11aは、実施例2の粘着テープ11の切れ込み12と同様の長さaを有する切れ込み12aを2列に配列している。粘着テープ11の構成と異なる部分は、千鳥配列で切れ込み配列13aを形成し、切れ込み12aの長手方向の間隔bが5mmで設けられていることである。
その他の構成は、実施例2の粘着テープ11と同様である。なお、図11において、粘着テープ11aの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0074】
次に、粘着テープ11aの作用及び効果について説明する。
粘着テープ11aは、切れ込み12aの長手方向の間隔bが切れ込み12の間隔bよりも大きいため、単位面積当たりの切れ込みの数が粘着テープ11に比較して減少している。よって、粘着テープ11aが予期しない切断をする可能性は粘着テープ11よりも低いという作用を有する。また、この減少により、美観の維持に貢献できるという効果を発揮している。
この他、実施例2に係る粘着テープ11と同様の作用及び効果を有する。
【0075】
次に、実施例2に係る第2の変形例について、図12及び表4を用いて説明する。図12は、実施例2に係る第2の変形例の平面図である。
図12に示すように、粘着テープ11bは、フィルム基材2の長手方向に沿って複数の切れ込み12bが設けられ、切れ込み配列13bを形成している。フィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが24mmのフィルムである。切れ込み12bは、6mmの一定間隔bをおいて連続的に設けられている。さらに、切れ込み配列13bにおいては、フィルム基材2の短手方向の中央に一列、中央の列から垂直に互いに遠ざかる方向へ3mmずつ離して合計3列が設けられる。切れ込み配列13bは、左右の列同士の関係において並行配列を形成している。中央列の切れ込み12bは、長手方向においても左右の列の切れ込み12bの中間に位置している。よって、切れ込み配列13bは、中央列と左右の列との関係において、千鳥配列を形成している。
また、切れ込み12bの長さは0.8mmで、切れ込み角度αは向かって左側の列が10度、中央の列が−10度、右側の列が−10度である。なお、図12において、粘着テープ11bの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0076】
次に、粘着テープ11bの作用及び効果について説明する。
粘着テープ11bは、短手方向の長さが粘着テープ11aよりも広くなっているが、切れ込み12bが3列に亘って配列されていることから、短手方向の中央付近から押さえる位置が離れた場合であっても、その周囲に分布する切れ込み12bが多い。従って、切れ込み12bが拡張され、粘着テープ11bが切断されるという作用を有する。
よって、粘着テープ11bは、幅が広いにもかかわらず安定的に切断できる。
この他、粘着テープ11bは、実施例2の第1の変形例に係る粘着テープ11aと同様の作用及び効果を有する。
【0077】
次に、実施例2に係る第3の変形例について、図13を用いて説明する。具体的な構成は、表4に示すとおりである。
図13は、実施例2に係る第3の変形例の平面図である。
図13に示すように、粘着テープ11cは、フィルム基材2の長手方向に沿って複数の切れ込み12cが3列設けられ、千鳥配列である切れ込み配列13cを形成している。
切れ込み角度αは、すべての列で10度である。この点のみが粘着テープ11bと異なり、その他の構成は粘着テープ11bと同様である。なお、図13において、粘着テープ11cの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0078】
次に、粘着テープ11cの作用及び効果について説明する。
粘着テープ11cは、粘着テープ11bと同様の作用を有する。しかし、図13で示すように切断の契機となる切れ込み12cが左側の列の場合は、切断端に右列の切れ込み12cが残ってしまう(符号Xで囲まれた箇所の切れ込み12c参照)。このような場合は、巻体5から粘着テープ11cをはがす時に残った切れ込み12cから粘着テープの長手方向に切れてしまう可能性がある。これは、複数列の切れ込みがすべて同一の切れ込み角度αである場合に生じる。しかし、巻体5から粘着テープ11cを剥がすことがあまり無いような利用方法では、このようなことは問題にならないため、切れ込み12cの方向が同一であっても良い。
粘着テープ11cは、切れ込み12cの方向が同一であるため、刃物等による切れ込みの形成を行いやすい。
この他、実施例2の第2の変形例に係る粘着テープ11bと同様の効果を有する。
【0079】
次に、実施例2に係る第4の変形例について、図14及び表4を用いて説明する。
図14は、実施例2に係る第4の変形例の平面図である。
図14に示すように、粘着テープ11dは、複数の切れ込み12dが5列設けられ、切れ込み配列13dを形成している。切れ込み12dは、0.8mmの長さaを有し、5mmの一定間隔bをおいて連続的に設けられている。粘着テープ11dの短手方向の長さは50mmである。
切れ込み配列13dにおいて、列は中央に1列、フィルム基材2の短手方向中央から互いに遠ざかる方向へ3mmと6mmずつ離して左右各2列の合計5列が設けられる。間隔dは0.55mm、間隔eは1.1mmである。よって、切れ込み配列13dは、5列すべてにおいて千鳥配列を形成する。
また、切れ込み角度αは、すべて−45度である。
【0080】
さらに、粘着テープ11dの作用について、図15を用いて説明する。図15は、実施例2に係る第4の変形例の利用例で、粘着テープ11dをダンボール箱本体14の蓋14aの封緘用として利用した例である。
図15において、段ボール箱本体14と蓋14aは、粘着テープ11dにより互いに固定される。蓋14aを開封する場合は、段ボール箱本体14と蓋14aの隙間に沿って貼付された粘着テープ11dの表面を爪で押しながらなぞる。粘着テープ11dは、間隔dが0.55mmであるため,この隙間の周辺にはいずれかの切れ込み12dが存在することになる。この切れ込み12dに力が加わると拡張する。
この拡張が段ボール箱本体14と蓋14aの隙間に沿って伸長し、その結果粘着テープ11dが短手方向に沿って切断される。反対側の粘着テープ11dも同様に切断できる。次に蓋14aと蓋14aの間の隙間を爪で押しながらなぞる。粘着テープ11dの切れ込み12dは5列いずれも間隔cが3mmで形成されているため、蓋14a同士の隙間の周辺にいずれかの切れ込み12dが存在する。この切れ込み12dに力が加わると、前述したと同様に粘着テープ11dが隙間に沿って長手方向に切断され、蓋14aを開けることができる。
なお、粘着テープ11dは短手方向の幅が50mmと広いため、巻体5から必要量を切り取る場合は押して切ることができない可能性が考えられる。これは、切断時に長手方向に引っ張る力よりも押す力が勝った場合には、切れ込み12dの伸長が側縁部に向かわずに斜めに向かうためである。よって、このような場合においては、必要量の切り取りは従来通りの器具を用い切断する必要がある。
【0081】
続いて、粘着テープ11dの効果について説明する。
粘着テープ11dは、段ボール箱本体14の蓋14aなどの一時的な固定に用いた場合に道具を必要とせずに簡単に開封することができる。開封は爪でなぞるだけなのでカッターなどと異なり切る際に内部の物を傷つけることがない。また、押して切るテープの切断にはひとつの切れ込みしか必要がないので、切れ込みの数を減らすことができること及び、切断には隙間付近の切れ込みに局所的な力が必要であるため面的に加わる力では切断しにくいため、輸送中などに加わる意図しない力で切断しにくいことが利点である。
粘着テープ11dの変形例として、切れ込みの場所がわかるように切れ込みとその周辺部に着色しても良い。また、蓋14a同士の隙間に確実に切れ込みが存在するように、切れ込み配列13dを粘着テープ1hの中央から短手方向左右に3mmほどの幅(すなわち、図2(b)の符号c)で緩やかに蛇行するように配列しても良い。
【0082】
なお、実施例2に係る粘着テープは、本実施例に示す構造に限定されるものではない。例えば、すべてのαが10度≦|α|≦60度でなくとも良く、今回の作用効果を発揮し得るものであれば、一部のαが60度<|α|≦90度であっても良い。
また、切れ込みの間隔b,c,d,eは、表4に記載された以外の値でも良い。このとき、間隔bは、切れ込みの長さaの1倍以上で、少なくとも2mm以上であれば良い。また、間隔cは切れ込みの長さaの1.5倍以上とし、少なくとも3mm以上であれば良い。
なお、これらの寸法の根拠については既に課題を解決するための手段の欄で述べたとおりである。
【実施例3】
【0083】
実施例3の粘着テープについて、図16乃至図20及び表5を用いて詳細に説明する(主に、請求項3に対応)。なお、図1乃至図15で示した構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
以下に、実施例3に係る粘着テープ15の構成について図16乃至図18と表5を参照しながら具体的に述べる。図16は、実施例3に係る粘着テープの平面図である。図17及び図18は、それぞれ図16の粘着テープに係る切れ込みの平面図である。なお、本例示により本願発明が制限されるものではない。
【0084】
【表5】

【0085】
図16に示すように、実施例3に係る粘着テープ15は、フィルム基材2の裏面に粘着層4を備え、複数の切れ込み16が設けられている。
粘着テープ15のフィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが12mmのフィルムである。切れ込み16は長さaが1.4mmであり、5個の長さ0.2mmの微小な切れ込み16pが間隔0.1mmおきにミシン目状に連続して構成される(図17参照)。そして、切れ込み16はフィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ15の長手方向に沿って3mmの均等間隔bをおいて一列に設けられ、切れ込み配列17を形成する。切れ込み16の角度αは30度である。この他の構成は、実施例1に係る粘着テープ6と同様である(図6参照)。なお、図16において、粘着テープ15の上端は押して切った時の切断端を示している。
【0086】
次に、実施例3に係る粘着テープ15の作用について説明する。
粘着テープ15は、短手方向の中央付近を、上方より押すと、切れ込み16における0.1mm幅のフィルム基材2が切断され、長さ0.2mmの微小な切れ込み16p同士が連結する。
連結された切れ込み16aを図18に示す。この切れ込み16aの長さaは1.4mmである。
また、それぞれの微小な切れ込み16pは、粘着テープ15の長手方向における引っ張りに対し、より拡張し難い傾向にある。
この他、切れ込み16aを備えた粘着テープ15の作用は実施例1の粘着テープ6と同様である。
【0087】
次に、実施例3に係る粘着テープ15の効果について説明する。
図17と図18に示すように、切れ込み16を構成する微小な切れ込み16pが上から押す力で容易につながり、切れ込み16aになる。微小な切れ込み16pは、より拡張し難い傾向にあることから、粘着テープ15はより高い引張強度を有する。すなわち、ミシン目状の切れ込み16は、実施例1に係る粘着テープ6の切れ込み7(図6参照)のようなミシン目状でない切れ込みよりも引張強度を強くできる。従って、切れ込みの角度αをより大きくしても十分な引張強度を維持することが可能である。
この他、切れ込み16を備えた粘着テープ15の効果は実施例1の粘着テープ6と同様である。
【0088】
次に、切れ込み16の第1の変形例に係る切れ込みについて、図19を用いて説明する。図19は、実施例3の第1の変形例の切れ込みを模式的に示した平面図であるが、必ずしもこの図の通りでなくて良い。
図19に示すように、第1の変形例に係る切れ込み16bは、微小な切れ込み16qが0.1mmの間隔を開けて平行に2列並んだものである。
続いて、切れ込み16bの作用について説明する。切れ込み16bは上方からの力により微小な切れ込み16qが2列間でもつながるため16bは切れ込み16よりも拡張され易い。しかし、切れ込み16bを構成する微小な切れ込み16qの長さは、16pと同じく短いため、引っ張る力に対しては拡張され難い。従って、引張強度へはあまり影響を与えない。
なお、列数が増えるほど切断しやすくなるが、意図しない力や巻体5からはがす時に切れやすくなることを考慮して列数を決める必要がある。
【0089】
次に、切れ込み16の第2の変形例に係る切れ込みについて、図20を用いて説明する。図20は、実施例3の第2の変形例の切れ込みを模式的に示した平面図であるが、必ずしもこの図の通りでなくて良い。
図20に示すように、第2の変形例に係る切れ込み16cは、0.1mm間隔をおいて0.2mmの微小な不定形の切れ込み16rが連続したものである。切れ込み16cは、フィルム基材2の長手方向に対する角度を30度となるように直径0.3mmの鋭利な針を5本並べ、これをフィルム基材2へ刺入することで形成される。
その他の構成は、切れ込み16と同様であり、作用についても切れ込み16と同様である。
また、効果については、切れ込み16cは微小な不定形の切れ込み16rから形成されるため切れやすさにばらつきが生じるが、不定形の切れ込み16rを鋭利な針の他突起物で形成できるため加工の簡便さが大きな利点である。
この他、切れ込み16cの効果は、切れ込み16と同様である。
【実施例4】
【0090】
本発明の実施の形態に係る実施例4の押して切る粘着テープについて、図21乃至図30及び表5を用いて詳細に説明する(主に、請求項4に対応)。
なお、図1乃至図20で示した構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
以下に、実施例4に係る粘着テープ18の構成について図21及び表4を参照しながら具体的に述べる。図21は、実施例4に係る粘着テープの平面図である。なお、本例示により本願発明が制限されるものではない。
【0091】
図21に示すように、実施例4に係る粘着テープ18は、フィルム基材2に、複数の切れ込み19が設けられている。本実施例のフィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが9mmのフィルムである。フィルム基材2には、粘着層4を備えない部分(図中斜線ハッチング部、以降の図において同じ)が設けられている。この部分は、粘着テープ18の短手方向中央から両側縁部に向かうおおよそ2/3の範囲内である。
切れ込み19は長さaが2mmであり、フィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ18の長手方向に沿って2mmの均等間隔をおいて一列に設けられ、切れ込み配列20を形成する。切れ込み19の角度αは60度である。なお、図21において、粘着テープ18の上端は押して切った時の切断端を示している。
【0092】
次に、粘着テープ18の作用について、図22を用いて説明する。図22は、実施例4に係る粘着テープの利用例である。
図22に示すように、粘着テープ18は、袋21の開口部を結束している。粘着テープ18の端部は、袋21に粘着させることなく、はがれないように粘着テープ18同士を粘着させている。但し、袋21に粘着されている粘着テープ18においても、当然ながら粘着層4を備えない斜線部分はこの袋21に粘着していない。
具体的な開封方法は、粘着テープ18と袋21の結束部分を引っ張りながら粘着テープ18と袋21の境目付近の粘着テープ面を上から親指の爪で押すと、切れ込み19は粘着していないため拡張する。粘着テープ18の側縁部は、幾重にも折りたたまれた状態にある袋21の結束部分に粘着しているため、結束部分を広げるように扱うと粘着テープ18が長手方向に引っ張られるようになる。従って、切れ込み19は側縁部に向かって伸長し、粘着テープ18が切断される。
なお、巻体5から粘着テープ18を必要量切り取る場合の作用は実施例1に係る粘着テープ6と同様である。
【0093】
次に、粘着テープ18の効果について、説明する。
粘着テープ18は、これを結束用テープに用いた場合、簡単に切断することができる。従来の結束用の粘着テープは、手での切断が不可能に近く、また粘着力が強いためこれをはがして取ることもほぼ不可能であったが、粘着テープ18はこのような課題を十分に解決するものである。また、結束時に粘着テープ18には長手方向に強い力が加わるが、切れ込み19の長さaと切れ込みの角度αを適宜設定することにより、引張強度を調整できる。よって、結束中に不用意に切断され難く、結束を失敗しにくい。
この他、実施例1に係る粘着テープ6と同様の効果を有する。
【0094】
次に、実施例4に係る第1の変形例及び第2の変形例について、図23及び図24を用いて説明する。図23は、実施例4に係る第1の変形例の使用状態図であり、図24は、実施例4に係る第2の変形例の使用状態図である。
図23に示すように、本実施例の第1の変形例に係る粘着テープ18aは、その長手方向に所望の長さを有する粘着層4を備えない部分を繰り返し設けるものである。粘着層4を備えない部分の長さは用途によって定められるとよい。また、本変形例では短手方向全体に粘着層4を備えない部分を形成させているが、実施例4のように短手方向の一部分において粘着層4を備えない部分のものを用いてもよい。本変形例においてもフィルム基材2に、複数の切れ込み19aが設けられている。本実施例のフィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが18mmのフィルムである。切れ込み19aは長さaが0.8mmであり、フィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ18aの長手方向に沿って3mmの均等間隔をおいて一列に設けられ、切れ込み配列20aを形成する。切れ込み19aの角度αは30度である。
本変形例では、粘着層4を備えない部分は、長手方向に沿って長さ6cmの範囲内としている。なお、透明なフィルム基材2と粘着層4を着色することで粘着層4の有無を明確にすることができる。
【0095】
そして、図24に示すように、本実施例の第2の変形例に係る粘着テープ18bは、切れ込み19bのない一定長さ部分を備える。この切れ込み19bのない部分が、粘着層4を備えている。この他の構成は、粘着テープ18aと同様である。なお、粘着層4を備えない部分については、変形例1と同様に短手方向全体に形成されているが、短手方向の一部分において備えるようにしてもよい。
【0096】
次に、粘着テープ18a及び粘着テープ18bの作用について説明する。
図23に示すように、粘着テープ18aにおいては、粘着層4を持たない部分が結束物21aと結束物21aの間に位置している。このような場合は、この部分の切れ込み19aは結束物21aに粘着していないため、テープ中央を指先か爪で押すことにより近くの切れ込み19aが拡張して粘着テープ18aの側端部に伸長し、粘着テープ18aは切断される。結束物21aが柔軟に変化する場合は、テープ中央を押しても、結束物21aが変形するためにテープを引っ張る力が作用しないので切ることができない。この場合は、人差し指と中指を粘着テープ18aと結束物21aの間に入れ、粘着テープ18aを手前に引きながら親指の先か爪で粘着テープ18aを押すと切断することができる。
続いて、図24に示すように、粘着テープ18bにおいては、結束物21aには粘着層4を持たない部分が位置している。例えば、結束物21aが、柔軟性を備えていない場合では、切れ込み19bを上から押しても結束物21aが凹まずに支持体となって切れ込み19bが拡張しないため、粘着テープ18bは切断されない。しかし、結束物21aがウィンナーの袋のように食品と共に空気の入ったパックのように形が容易に変化するものでは、粘着テープ18bと結束物21aの間に人指し指と中指を挿入することが可能である。そのようにして親指の指先でテープ中央を押すと切れ込み19bが拡張し、粘着テープ18bが切断される。その後粘着層4を持たない切断端をつかみ剥ぎとることで結束を解除できる。
【0097】
さらに、粘着テープ18a及び粘着テープ18bの効果について説明する。
粘着テープ18a及び粘着テープ18bは、いずれもウィンナーの袋のように食品と共に空気の入った柔軟性を備えたパック等の結束に適する。この場合は、粘着層4を備えない部分の位置に関わらず、器具を用いずに指で容易に切断することができる。特に、図24に示されるように、粘着テープ18bの粘着層4を備えない部分が結束物21aに密着する場合は、切れ込み19bは粘着層4を持たずに空気の入ったパックに押されているため、輸送時等に粘着テープ18bに圧力がかかっても、パック自身が一定量変形するだけで粘着テープ18bの切れ込み19bに局所的な力が加わる可能性が小さく、切れ込み19bの隙間が広がる可能性も低い。このため、輸送中などに強い力が作用しても切れることが少ないのである。
粘着層4にも切れ込みのある粘着テープ18aは、巻体5から必要な長さを切り取る場合にも押すことのみで切断できる。しかし、粘着テープ18bの切断は器具が必要である。
【0098】
次に、実施例4に係る第3の変形例及び第4の変形例について、図25及び図26を用いて説明する。図25は、実施例4に係る第3の変形例の平面図であり、図26は、実施例4に係る第4の変形例の使用状態図である。
図25に示すように、本実施例の第3の変形例に係る粘着テープ18cは、フィルム基材2に、複数の切れ込み19cが設けられている。本実施例の粘着テープ18cは、粘着層4を備えない部分を形成している点を除き、実施例2に係る粘着テープ11(図10参照)と同じ構成である。この粘着層4を備えない部分は、粘着テープ18cの短手方向中央から一方の側縁部までを占める部分である。
さらに、図26に示すように、本実施例の第4の変形例に係る粘着テープ18dは、粘着テープ18cの切れ込み19cのうち、粘着層4が備えられた側の切れ込みが省略されたものであって、切れ込み19dのみを備えている。その他の構成は、粘着テープ18cと同様である。図26においては、粘着テープ18dを用いて結束物21aを結束している。
【0099】
次に、粘着テープ18c及び粘着テープ18dの作用について説明する。
粘着テープ18cの作用は、粘着テープ11と同様であるが、一時的な固定に用いた場合では、粘着テープ18cを引っ張りながら粘着層4を備えない部分に設けられた切れ込み19cを押さえると、切れ込み19cが粘着層4を備えない側縁部まで容易に拡張される。粘着層4を持たない部分を掴んで粘着している部分を剥がすと切れ込み19cが拡張し、粘着テープ18cを切断することができる。
粘着テープ18dは、長手方向のどの部分でも粘着層4を備えない部分を持つので、粘着テープ18dと結束物21aの間に人指し指と中指を入れることができれば、任意の部分で切断される。切断は、人指し指と中指を入れ切れ込み19dの存在する付近を上方から親指の先で押すと近くの切れ込み19dが拡張し、粘着テープ18dの粘着層4を持たない部分が切断される。結束物21aに粘着している粘着テープ18dを切断するためには、粘着テープ18cと同様に粘着層4のない部分を掴んで剥がすと切断することができる。
【0100】
次に、粘着テープ18c及び粘着テープ18dの効果について説明する。
粘着テープ18cにおける粘着層4を備える部分の切れ込み19cは、一度結束物等に粘着させると、粘着テープ18cの切断には利用できない。しかし、巻体5から必要な長さを切り取るときには、結束物等に粘着されていないため押すことにより切断できる。しかし、粘着テープ18dは切れ込み19dが片側のみなので巻体5から必要な長さを切り取るときには、器具を用いて行う方が良い。
粘着テープ18c及び粘着テープ18dは、形状が変化しない結束物でも、結束物間に位置する部分において容易に切断できる点が優れる。また、長手方向のどの部分でも粘着層4を備えない部分を持つので、粘着テープ18dと結束物21aの間に人指し指と中指を入れることができれば、任意の部分で切断できる。
さらに、粘着層4を持たない部分が粘着テープ18c,18dの長手方向に平行であるため、粘着層4の塗布が簡単である。
この他、実施例2に係る粘着テープ11と同様の作用及び効果を有する。
【0101】
次に、実施例4に係る第5の変形例について、図27を用いて説明する。
図27は、実施例4に係る第5の変形例の平面図である。
図27に示すように、本実施例の第5の変形例に係る粘着テープ18eは、フィルム基材2に、複数の切れ込み19eが設けられている。
本実施例のフィルム基材2は、OPPを材質とした短手方向の長さが18mmのフィルムである。切れ込み19eは長さaが0.8mmであり、フィルム基材2の短手方向の中央に、粘着テープ18eの長手方向に沿って3mmの均等間隔bをおいて2列に設けられる。各列はフィルム基材2の短手方向中央から互いに遠ざかる方向へ3mmずつ離隔しており、切れ込み配列20eを形成する。切れ込み19eの角度αは、向かって左側の列が30度、右側の列が−30度である。
また、粘着層4を持たない部分は粘着テープ18eの長手方向に沿った長さ1cmの範囲内である。なお、図27において、粘着テープ18eの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0102】
次に、粘着テープ18eの作用及び効果について、図28を用いて説明する。
図28は、実施例4に係る第5の変形例の使用状態図である。
図28に示すように、粘着テープ18eは、箱本体22と蓋22aの固定に用いられており、蓋22aの開封部分には粘着層4を持たない部分を位置させている。蓋22aを開封する場合は、粘着テープ18eの上から箱本体22と蓋22aの間を爪で押すと局所的な力により、蓋22aが箱本体22の内部に押し込まれ、粘着テープ18eと蓋22aの間に空間が生じる。押し込まれることにより粘着テープ18eに力が加わり、近くの切れ込み19eが拡張して粘着テープ18eの側縁部に伸長し、粘着テープ18eが切断される。
さらに、粘着テープ18eは、押すことのみにより切断されるため、蓋22aを極めて容易に開封可能である。局所的でない力が蓋22a全体に加わった場合は、蓋22aはやや内側に凹むが、その程度では切れ込み19eは拡張しないため、意図しない力によって蓋22aは開封されにくい。
【0103】
次に、実施例4に係る第6の変形例について、図29を用いて説明する。
図29は、実施例4に係る第6の変形例の平面図である。
図29に示すように、本実施例の第6の変形例に係る粘着テープ18fは、フィルム基材2に、複数の切れ込み19fが設けられている。
本実施例の粘着テープ18fは、粘着層4を持たない部分を備えている点を除き、実施例2の第2の変形例に係る粘着テープ11b(図12参照)と同じ構成である。
粘着層4を持たない部分は、長手方向に沿って長さ2cmであって、短手方向において片側から5/6の範囲内である。
【0104】
次に、粘着テープ18fの作用及び効果について、説明する。
粘着テープ18fは、向かって左側の斜線以外の部分は粘着層4を備えるため、結束物に貼付すると上方から押すだけでは切れ込み19fは拡張せず、粘着テープ18fは切断されない。しかし、例えば蓋22a(図28参照)を固定する目的で粘着テープ18fを利用している場合は、蓋22aを強く押さえると蓋22aが箱22に押し込まれて粘着層4が蓋22aから剥がれ、粘着テープ18fは粘着テープ18eと同様に切断される。
粘着テープ18fは、粘着テープ18eと同様に蓋22a等の一時的固定に用いられるが、粘着テープ18eと異なり一部に粘着層4を持つため、粘着テープ18eよりも強い力で蓋22aと箱本体22の間を爪で押す必要がある。しかし、逆に粘着テープ18eより強く固定されることから、輸送中に粘着テープ18fが切断される可能性は少なくなる。なお、粘着層4のない部分の面積は、実際の利用に適するよう適宜変更すれば良く、図29以外であっても良い。
この他、実施例2の第2の変形例に係る粘着テープ11bと同様の作用及び効果を有する。
【0105】
次に、実施例4に係る第7の変形例について、図30を用いて説明する。
図30は、実施例4に係る第7の変形例の平面図である。
図30に示すように、本実施例の第7の変形例に係る粘着テープ18gは、フィルム基材2に、複数の切れ込み19gが設けられている。
本実施例の粘着テープ18gは、粘着層4を持たない部分を備えている点を除き、実施例1の第2の変形例に係る粘着テープ6b(図9参照)と同じ構成である。
粘着層4を持たない部分は、切れ込み19gがある部分を中心に粘着テープ18gの長手方向に沿って長さ4cmの範囲内である。なお、図30において、粘着テープ18gの上端は押して切った時の切断端を示している。
【0106】
次に、粘着テープ18gの作用及び効果について説明する。
粘着テープ18gは、巻体5から必要長さを切り取る時に、切れ込み位置マーク10が示す部分を指先か爪で押すことにより切れ込み19gが拡張し、その結果切断される。
粘着テープ18gは、予め三角形で示す切れ込み位置マーク10でしか切れないので一定の使用長となり無駄がない。切断された端末に粘着層4を持たないので両端末を持って対象物に貼りつけても指に粘着しないので貼り付けやすい。また、指紋が残らないので美観を維持できる。さらに、粘着テープ18gを剥がす時にこの部分を掴むことで剥がしやすい。よって、粘着テープ18gは輸送中等の一時的な工業製品の部品の固定に利用できる。
この他、実施例1の第2の変形例に係る粘着テープ6bと同様の作用及び効果を有する。
【実施例5】
【0107】
本発明の実施の形態に係る実施例5の押して切る粘着テープの製造器具について、図31乃至図33を用いて詳細に説明する(主に、請求項5に対応)。
なお、図1乃至図30で示した構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。図31は、実施例5に係る押して切る粘着テープの製造器具の外観斜視図であり、図32は、実施例5に係る押して切る粘着テープの製造器具を用いて製造した切れ込みの図である。図33は、実施例5の押して切る粘着テープの製造器具に係る変形例の側面図である。
以下に、実施例5に係る粘着テープの製造器具23の構成について具体的に述べる。なお、本例示により本願発明が制限されるものではない。
【0108】
図31に示すように、実施例5に係る粘着テープの製造器具23は、鋭利な細い針を直線状に並べた突起24aを円周面に持つ回転可能な円筒24と、円筒24の中心軸24bを支える支持体25と、を備える。この支持体25は、中心軸24bの反対側にも支持軸25aを備える。また、支持体25にはバネ26が取り付けられ円筒24を粘着テープ27に押し付ける。なお、突起24aは、フィルム基材2の1枚のみを貫通するように、高さや、円筒24の位置を決めるものとする。
図31においては、円筒24の円周面が粘着テープ27の巻体5にバネ26で押し付けられ、粘着テープ27が巻体5からはがされるのに合わせ、切れ込み28が形成されている状態を示している。
【0109】
続いて、粘着テープの製造器具23の作用について説明する。
突起24aを持つ円筒24の円周面がバネ26で粘着テープ27に押し付けられることで、突起24aが粘着テープ27の最表層のフィルム基材2のみに切れ込み28が形成される。突起24aはスパイクの役割もはたし、粘着テープ27が巻体5からはがされるのに合わせ、円筒24を回転させさらなる切れ込み28が形成される。なお、粘着テープ27がはがされると巻体5の厚みが減るが、バネ26に押された支持体25により常に円筒24の円周面は粘着テープ27に押し付けられる。
また、突起24aを構成する鋭利な針により、切れ込み28のみならず切れ込み16c(図20参照)が形成される。さらにこの針の間隔を狭めれば、実施例1の切れ込み7(図6参照)も形成される。あるいは、突起24aを複数列にすれば、実施例2の切れ込み配列13(図10参照)が形成される。図32に、この針の間隔を狭めた場合に形成された切れ込み29を示す。
【0110】
さらに、粘着テープの製造器具23の効果について説明する。粘着テープの製造器具23は、簡単な構造のため、テープホルダーに取り付けて使用するほか、フィルム基材2の製造過程で利用しても良い。テープホルダーに取り付けた場合は、市販の粘着テープに切れ込みを入れることができる。
【0111】
なお、粘着テープの製造器具23は図31に示した構造に限定されない。例えば、 図33に示すように、実施例5の変形例も考えられる。粘着テープの製造器具23aは、円筒24の前後にそれぞれ回転体30,31を備え、テープホルダー32に巻体5とともに取り付けられる。このとき、粘着テープ27の経路上(図中A)において、フィルム基材2が円筒24の円周面に常に接するよう、円筒24に対する回転体30,31の位置が調整される。なお、円筒24の回転軸24bは、テープホルダー32に固定されている。
このような粘着テープの製造器具23aにおいては、テープホルダー32から粘着テープ27を引っ張り出す時の力により、粘着テープ27が円筒24の円周面に押し付けられる。これは、巻体5が薄くなった場合(粘着テープ27の経路,図中B)であっても同様である。
この他の作用は、実施例5と同様である。この変形例では、実施例5よりも簡易な構造とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
請求項1乃至請求項5に記載された発明は、粘着テープのフィルム基材を指先や爪で押さえるのみで容易に切断できると同時に、粘着テープの長手方向の引張強度を維持しているので包装や、紙などの貼り付けなどに用いる物品の梱包用粘着テープ並びに、容器と蓋の固定、食品パックの束の結束などに用いる結束用粘着テープ及び、その製造器具として適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1,1a,1b,6,6a,6b,11,11a〜11d,15,18,18a〜18g,27…粘着テープ 2…フィルム基材 3,3a,3b,7,7a,7b,12,12a〜12d,16,16a〜16c,19,19a〜19g,28,29…切れ込み 4…粘着層 5…巻体 8,8a,8b,13,13a〜13d,17,20,20a,20e…切れ込み配列 9…容器本体 9a,14a,22a…蓋 10…切れ込み位置マーク 14…段ボール箱本体 16p,16q…微小な切れ込み 16r…不定形の切れ込み 21…袋 21a…結束物 22…箱本体 23,23a…粘着テープの製造器具 24…円筒 24a…突起 24b…中心軸 25…支持体 25a…支持軸 26…バネ 30,31…回転体 32…テープホルダー α…切れ込みの角度 a…切れ込みの長さ b…同じ列の長手方向の切れ込みの間隔 c…切れ込みの列の間隔 d…互いに異なる列に存在する切れ込みの上端と下端の長手方向の間隔 e…互いに異なる列に存在する切れ込みの上端と上端の長手方向の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状フィルム基材の少なくとも一面に粘着層を備えた,押して切る粘着テープであって、前記帯状フィルム基材の短手方向の中央に,前記帯状フィルム基材の長手方向に沿って,複数の貫通する切れ込みが間隔を空けて連続的に配置され、さらにそれら貫通する切れ込みの長手方向が前記帯状フィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)をもって形成されたことを特徴とする押して切る粘着テープ。
【請求項2】
前記複数の貫通する切れ込みは、前記帯状フィルム基材の短手方向の中央から両側縁部までの長さの各2/3の範囲内に,前記帯状フィルム基材の長手方向に沿って間隔を空けて連続的に配置され列を形成し,この列は複数列設けられ、さらに前記複数の貫通する切れ込みの列のうち,一部またはすべての列の前記複数の貫通する切れ込みにおいて,これら切れ込みの長手方向が前記帯状フィルム基材の長手方向に対し角度α(10度≦|α|≦60度)をもって形成されたことを特徴とする請求項1記載の押して切る粘着テープ。
【請求項3】
前記貫通する切れ込みの各々に代えて、少なくとも一列のミシン目状に連続する切れ込みの集合で構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押して切る粘着テープ。
【請求項4】
前記帯状フィルム基材は、前記切れ込みを含む一部に前記粘着層を備えない部分を持つことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の押して切る粘着テープ。
【請求項5】
前記押して切る粘着テープの切れ込みを形成するために、円筒の円周面に複数の突起が設けられ、この円周面が前記帯状フィルム基材の表面に接して回転することで、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の切れ込みを形成可能に前記複数の突起が所望の間隔で構成されたことを特徴とする押して切る粘着テープの製造器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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