説明

押しボタン式スイッチ

【課題】 組み付けの精度及び作業性を向上してなる押しボタン式スイッチを得ること。
【解決手段】 基板200と、基板に配置された操作子300とを備え、操作子を基板に向かって押すことにより、基板に設けられた接点Aと操作子に設けられた移動接点Bとが接触するものであり、操作子は、その底面に移動接点が設けられた棒状部311と、当該操作子を支える基端部320と、棒状部と基端部とを連結する可撓部331とを備えた押しボタン式スイッチにおいて、棒状部を挿通するとともに基端部と嵌合するガイド部材400を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板に配置された操作子とを備えた押しボタン式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板に配置された操作子を基板に向かって押すことにより、基板に設けられた接点と操作子に設けられた移動接点とが接触する構成の押しボタン式スイッチが知られている。操作子は、その底面に移動接点が設けられた棒状部と、当該操作子を支える基端部と、棒状部と基端部とを連結する可撓部とを備え、棒状部が押されると可撓部が弾性変形し、押さえる力を解除すると可撓部の弾性力にて最初の状態に復帰する構成となっている。この種の押しボタン式スイッチは、特許文献1及び2にも開示されている。
【特許文献1】実開昭58−180495号公報
【特許文献2】特開2003−132762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、前述した押しボタン式スイッチについては、基板と操作子とを正確に組み付けて、基板の接点と操作子の移動接点との離合を良好に維持する必要がある。この点、操作子は、全体がゴム製の部材を用いるのが一般的であり、微妙な位置ずれを生じる場合が顕著であった。例えば、特許文献1に記載されているように、操作子に凸部を設け、基板にその凸部を挿入する孔部を設けた場合は、凸部がゴム製であることから、安定した位置決め及び嵌合状態が得られないという不都合がある。また、特許文献2に記載されているように、所定のカバーにて操作子を基板に押さえ込む場合は、基板、操作子、及びカバーを同時に位置決めして組み付けることになるため、組み付けの作業性が悪いという不都合がある。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み付けの精度及び作業性を向上してなる押しボタン式スイッチを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願第1請求項に記載した発明は、基板と、前記基板に配置された操作子とを備え、前記操作子を前記基板に向かって押すことにより、前記基板に設けられた接点と前記操作子に設けられた移動接点とが接触するものであり、前記操作子は、その底面に前記移動接点が設けられた棒状部と、当該操作子を支える基端部と、前記棒状部と前記基端部とを連結する可撓部とを備えた押しボタン式スイッチにおいて、前記棒状部を挿通するとともに、前記基端部と嵌合するガイド部材を設けた構成の押しボタン式スイッチである。
【0005】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記ガイド部材には凸部を設けるとともに、前記基端部には前記ガイド部材の凸部を挿入する孔部を設けた構成の押しボタン式スイッチである。
【0006】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項2において、前記基板には、前記ガイド部材の凸部を挿入する孔部を設けた構成の押しボタン式スイッチである。
【0007】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記基端部には凸部を設けるとともに、前記ガイド部材には前記基端部の凸部を挿入する孔部を設けた構成の押しボタン式スイッチである。
【0008】
本願第5請求項に記載した発明は、請求項4において、前記基端部の凸部は、前記ガイド部材の孔部から延出する長さとし、その延出した部分の傾きにて前記基端部と前記ガイド部材との嵌合状態が判別可能となるようにした構成の押しボタン式スイッチである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み付けの精度及び作業性を向上してなる押しボタン式スイッチを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本例の押しボタン式スイッチ100は、図1乃至図4に示す電波修正式目覚し時計1の背部に設けられたものである。スイッチとしての機能は、特に限定はしないが、本例では電波の受信又はその制御に係る操作を行うものとなっている。この押しボタン式スイッチ100は、基板200、操作子300、及びガイド部材400を設けてなるものであり、時計1の内部に設けられた所定の形状の支持体11に、電波受信用のアンテナ12とともに固定されている。時計1の裏蓋10からは、後述する第1棒状部311の先端、及び第2棒状部312の先端が露呈している。尚、図例した第1棒状部311は、裏蓋10を貫通する高さとなっており、第2棒状部312は、裏蓋10の内側に留まる高さとなっている。これは、スイッチの機能に対する操作上の便宜を考慮した構成である。
【0011】
図5乃至図8に示すように、押しボタン式スイッチ100は、ボルト13を用いて支持体11にアンテナ12及び基板200を固定し、更に、ガイド部材400に操作子300を装着し、ボルト13を用いて支持体11にそのガイド部材400を固定して組み付けられる。支持体11、アンテナ12、基板200、及びガイド部材400の要所には、ボルト13を挿通する通孔及びボルト13を螺合する雌ねじ部がそれぞれ設けられている。
【0012】
操作子300は、インジェクト成形された全体がゴム製の部材であり、その底面に移動接点Bが設けられた第1棒状部311及び第2棒状部312と、当該操作子を支える基端部320と、各棒状部311,312と基端部320とをそれぞれ連結する第1可撓部331及び第2可撓部332とを備えている。押しボタン式スイッチ100は、各棒状部311,312を基板200に向かって押すことにより、基板200の要所にプリントされた接点Aと、第1棒状部311の底面及び第2棒状部312の底面に設けられた移動接点Bとがそれぞれ接触する構成となっている。各可撓部331,332は、各棒状部311,312が押されるとそれぞれ弾性変形し、各棒状部311,312及び各可撓部331,332は、押さえる力を解除すると各可撓部331,332の弾性力にて最初の状態に復帰する。
【0013】
ガイド部材400は、操作子300の各棒状部311,312を挿通するとともに、操作子300の基端部320と嵌合する部材である。ガイド部材400には、第1棒状部311及び第2棒状部312をそれぞれ挿通する第1ガイド孔411及び第2ガイド孔412が設けられている。
【0014】
また、ガイド部材400には、基板200に向かって突出する凸部420を設けるとともに、操作子300の基端部320及び基板200には、このガイド部材400の凸部420を挿入する孔部340,210をそれぞれ設けている。
【0015】
更に、操作子300の基端部320には、基板200とは反対の方向に向かって突出する凸部350を設けるとともに、ガイド部材400には、基端部320の凸部350を挿入する孔部430を設けている。
【0016】
すなわち、操作子300の基端部320とガイド部材400とは、ガイド部材400の凸部420を基端部320の孔部340に挿入するとともに、基端部320の凸部350をガイド部材400の孔部430に挿入することにより、互いに嵌合する構成となっている。そして、基板200と操作子300とは、基端部320の孔部340から延出したガイド部材400の凸部420の先端部を更に基板200の孔部210に挿入して組み付けられる。このような構成によると、基板200に対する操作子300の組み付け精度を確実に向上することができる。また、操作子300は、ガイド部材400と嵌合させてから組み付けることができるので、その組み付け作業が容易となる利点もある。
【0017】
尚、本例の場合、基端部320の凸部350は、ガイド部材400の孔部430からある程度延出する長さとし、その延出した部分の傾きにて基端部320とガイド部材400との嵌合状態が判別可能となっている。すなわち、嵌合が正確になされていれば、凸部350の先端部の向きは孔部430に対する挿入方向と一致するが、嵌合が不正確になされていると、凸部350の先端部の向きがずれることとなる。嵌合状態は、凸部350を引っ張るなどして矯正することも可能である。
【0018】
以上説明したように、本例の押しボタン式スイッチは、操作子と嵌合するガイド部材を設けたことによって、組み付けの精度及び作業性を向上してなるものであり、目覚し時計のスイッチとして好適に利用することができる。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の押しボタン式スイッチは、目覚し時計をはじめ、各種製品に設けられるスイッチとして好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係り、目覚し時計を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、目覚し時計を示す背面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、目覚し時計の内部を示す背面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、目覚し時計の内部を示す側面断面図であり、図3のX−X断面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、押しボタン式スイッチを示す側面断面図である。
【図6】本発明の実施例に係り、押しボタン式スイッチを示す側面断面図の分解図である。
【図7】本発明の実施例に係り、操作子を示す説明図であり、(a)はその正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は上面図、(e)は下面図である。
【図8】本発明の実施例に係り、ガイド部材を示す説明図であり、(a)はその正面図、(b)はガイド孔中心を通る縦断面図、(c)は背面図、(d)は孔部中心を通る横断面図、(e)は下面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 目覚し時計
10 裏蓋
11 支持体
12 アンテナ
13 ボルト
100 押しボタン式スイッチ
200 基板
210 孔部
300 操作子
311 第1棒状部
312 第2棒状部
320 基端部
331 第1可撓部
332 第2可撓部
340 孔部
350 凸部
400 ガイド部材
411 第1ガイド孔
412 第2ガイド孔
420 凸部
430 孔部
A 接点
B 移動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に配置された操作子とを備え、前記操作子を前記基板に向かって押すことにより、前記基板に設けられた接点と前記操作子に設けられた移動接点とが接触するものであり、
前記操作子は、その底面に前記移動接点が設けられた棒状部と、当該操作子を支える基端部と、前記棒状部と前記基端部とを連結する可撓部とを備えた押しボタン式スイッチにおいて、
前記棒状部を挿通するとともに、前記基端部と嵌合するガイド部材を設けたことを特徴とする押しボタン式スイッチ。
【請求項2】
前記ガイド部材には凸部を設けるとともに、前記基端部には前記ガイド部材の凸部を挿入する孔部を設けたことを特徴とする請求項1記載の押しボタン式スイッチ。
【請求項3】
前記基板には、前記ガイド部材の凸部を挿入する孔部を設けたことを特徴とする請求項2記載の押しボタン式スイッチ。
【請求項4】
前記基端部には凸部を設けるとともに、前記ガイド部材には前記基端部の凸部を挿入する孔部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の押しボタン式スイッチ。
【請求項5】
前記基端部の凸部は、前記ガイド部材の孔部から延出する長さとし、その延出した部分の傾きにて前記基端部と前記ガイド部材との嵌合状態が判別可能となるようにしたことを特徴とする請求項4記載の押しボタン式スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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