説明

押下ヘッド

【課題】部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制する。
【解決手段】押下部材5の頂壁部15において弁部材4の後端部4aに上方から対向する部分には、下方に向けて摺接凸片18が突設され、弁部材4の後端部4aに第1摺接面4dが形成されるとともに、摺接凸片18には第1摺接面4dに当接する第2摺接面18aが形成され、これらの両摺接面4d、18aは、前方から後方に向かうに従い上方に向けて傾斜し、弁部材4を前方付勢する第1付勢部材20は、上下方向に沿って延設された状態で弁部材4の後端部4aに連結されるとともに、押下部材5を押下して第1摺接面4dと第2摺接面18aとを摺接させることで弁部材4を後退移動させたときに、後方に向けて弾性的に撓み変形させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着する押下ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の押下ヘッドとして、例えば下記特許文献1に示されるような、頂壁部、この頂壁部の外周縁部から下方に向けて延設された周壁部、およびノズル孔を備えるとともに、内部に吐出器のステム内に連通しかつノズル孔を介して外部に連通可能な弁室が画成されたヘッド本体と、天壁部、およびこの天壁部の下面から下方に向けて延設されてステムに嵌合された装着筒を備える装着筒部材と、が備えられた構成が知られている。
弁室には、前方付勢状態で前記ノズル孔を閉塞する弁部材が設けられている。この弁部材の後端部には、下方に向かうに従い前方に向けて屈曲させられてその下端部が前記天壁部上に配置され、かつ装着筒部材に対するヘッド本体の押下時に弁部材を後退移動させるように揺動可能に支持された梃子部材が連結されている。
以上の構成において、ヘッド本体の頂壁部を押圧すると、梃子部材の下端部が装着筒部材の天壁部により押し上げられて、梃子部材はその上端部が後方へ移動させられるように揺動する。これにより、弁部材が梃子部材の上端部とともに後方へ移動させられてノズル孔が開口する。
【特許文献1】特開2002−326044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の押下ヘッドでは、ノズル孔を開閉させるための部品として、例えば装着筒部材や梃子部材等が設けられており、しかもこれらの部品を連動させる必要もあり、部品点数が多く構造が複雑であるという問題があった。
また、例えば、梃子部材の下端部と装着筒部材の天壁部との間、梃子部材の上端部と弁部材の後端部との間、あるいは梃子部材を前述のように揺動可能に支持する支持部等に、押下時にがたつきが生じるおそれがあるため、設計の難易度が高いという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制することができる押下ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の押下ヘッドは、上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着される押下ヘッドであって、前端のノズル孔を通して内部が外部に連通可能とされたノズル筒部材、前記ステム内とノズル筒部材内とを連通させる連通筒部材、およびこの連通筒部材を径方向外側から囲う規制筒部材を備えるヘッド本体と、前記ノズル筒部材内に前方付勢状態で前後動可能に設けられ前記ノズル孔を開閉させる弁部材と、前記ノズル筒部材を上方から覆う頂壁部、およびこの頂壁部に下方に向けて延設され前記規制筒部材と連係することで径方向の移動が規制された案内壁部を備えるとともに、前記ヘッド本体に対して上下動可能に配設された押下部材と、が設けられ、前記弁部材は前後方向に沿って延びる棒状に形成されるとともに、その後端部は前記ノズル筒部材から後方に突出し、前記押下部材の頂壁部において前記弁部材の後端部に上方から対向する部分には、下方に向けて摺接凸片が突設され、前記弁部材の後端部に第1摺接面が形成されるとともに、前記摺接凸片には前記第1摺接面に当接する第2摺接面が形成され、これらの両摺接面は、前方から後方に向かうに従い上方に向けて傾斜し、前記弁部材を前方付勢する第1付勢部材は、上下方向に沿って延設された状態で前記弁部材の後端部に連結されるとともに、前記押下部材を押下して第1摺接面と第2摺接面とを摺接させることで前記弁部材を後退移動させたときに、後方に向けて弾性的に撓み変形させられることを特徴とする。
【0006】
この発明では、押下部材を押下すると、押下部材が、ヘッド本体の規制筒部材により径方向の移動が規制された状態で、前記摺動凸片の第2摺接面を介して弁部材の第1摺接面上を下方に向けて摺動する。そして、押下部材に加えた押下力が第1摺接面および第2摺接面を介して弁部材に伝達され、この弁部材が第1付勢部材による前方付勢力に抗して後方に移動させられてノズル孔が開口する。その後さらに、押下部材を押下していくと、この押下部材がヘッド本体とともに下方に向けて押し下げられることにより、ステムも押し下げられ、内容物がステム内、連通筒部材内、およびノズル筒部材内をこの順に通過して、ノズル孔に到達して外部に吐出される。そして、押下部材の押下を解除すると、ステムが上方に復元移動し、かつ第1付勢部材の前方付勢力によって弁部材が第1摺接面を介して押下部材の前記第2摺接面上を摺動することで、押下部材が上方に復元移動させられつつ弁部材が前方に復元移動させられてノズル孔を閉塞する。
このように、弁部材を後方に移動させてノズル孔を開口するときに、押下部材に加えた押下力を、例えば前記従来の押下ヘッドのように装着筒部材および梃子部材等を介することなく、前述の両摺接面を介して直接、弁部材に伝達することが可能になり、部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制することができる。
また、前記第1摺接面が、弁部材においてノズル筒部材から後方に突出した後端部に形成されて、ステムからノズル孔に至る内容物の通路の外側に位置しているので、内容物の液密性を容易に確保することができる。
さらに、第1付勢部材が上下方向に沿って延設された状態で弁部材の後端部に連結されているので、弁部材の構造の簡素化、およびこの押下ヘッドの前後方向のコンパクト化を図りつつ、内容物の通路の液密性を確実に確保することができる。
なお、ノズル筒部材、連通筒部材および規制筒部材を備えるヘッド本体が一体に形成された場合には、部品点数の低減および構造の簡素化をより一層実現することができる。
【0007】
ここで、前記押下部材の頂壁部と前記ヘッド本体のノズル筒部材との間には、前記押下部材をヘッド本体に対して上方付勢する第2付勢部材が備えられ、この第2付勢部材は、前記押下部材若しくはヘッド本体と一体に形成されてもよい。
この場合、第2付勢部材が設けられているので、押下部材の押下を解除したときに、押下部材および弁部材を確実に復元移動させることが可能になる。また、この第2付勢部材が押下部材若しくはヘッド本体と一体に形成されているので、部品点数の低減および構造の簡素化をより一層確実に実現することができる。
【0008】
また、前記第1付勢部材は、正面視形状が下方に向けて開口する逆U字状となるように屈曲された線材とされるとともに、その下端部が前記連通筒部材に固定され、かつ上端部内に前記弁部材の後端部が嵌合されてもよい。
この場合、前述の作用効果が確実に奏されるとともに、第1付勢部材を容易に組付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る押下ヘッドによれば、部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施形態では、吐出器2からみて押下ヘッド1側(図1における上側)を上方とし、その反対側(図1における下側)を下方とする。また、後述するノズル筒部材12においてノズル孔11が形成された先端側(図1における左側)を前方とし、その反対側(図1における右側)を後方とする。
この実施形態に係る押下ヘッド1は、上方付勢状態で押込み可能にステム2aを起立した吐出器2に装着されるものであって、前端のノズル孔11を通して内部が外部に連通可能とされたノズル筒部材12、ステム2a内とノズル筒部材12内とを連通させる連通筒部材13、およびこの連通筒部材13を径方向外側から囲う規制筒部材14を備えるヘッド本体3と、ノズル筒部材12内に前方付勢状態で前後動可能に設けられノズル孔11を開閉させる弁部材4と、ノズル筒部材12を上方から覆う頂壁部15、およびこの頂壁部15に下方に向けて延設され規制筒部材14と連係することで径方向の移動が規制された案内壁部16を備えるとともに、ヘッド本体3に対して上下動可能に配設された押下部材5と、を備えている。
【0011】
ここで、ステム2a、連通筒部材13および規制筒部材14は上下方向に沿って延びる共通軸上に配設されている。以下、この共通軸を軸Oという。
ヘッド本体3のノズル筒部材12は、前後方向に沿って延在し両端が開口した筒状に形成されている。ノズル筒部材12の内周面には、前後方向に沿って延びる凸リブ12aが周方向に間隔をあけて複数突設されている。図示の例では、凸リブ12aはノズル筒部材12の前側部分における内周面に設けられている。
【0012】
ヘッド本体3の連通筒部材13は、ノズル筒部材12の後端部に下方に向けて延設されている。連通筒部材13の上端開口縁における後側部分は、径方向内側に向けて張り出す張り出し部13aを介してノズル筒部材12に連結されている。また、本実施形態では、連通筒部材13の下端部における後側には、その外周面との間に前後方向の隙間をあけた状態で収納片13bが配設されている。この収納片13bおよび連通筒部材13それぞれの下端が、連結片13cにより連結されている。
【0013】
ヘッド本体3の規制筒部材14は、その上端開口縁における前端部分がノズル筒部材12の下面に連結され、連通筒部材13を径方向外側から囲繞している。また、規制筒部材14の上端部には径方向内方に向けて第1係合凸部14aが突設されている。さらに図示の例では、規制筒部材14の上端開口縁における後側部分、および連通筒部材13の張り出し部13aそれぞれの上下方向に沿った位置は互いに一致している。そして、ノズル筒部材12の後端開口部は、ヘッド本体3において後方に開放されている。
本実施形態では、ノズル筒部材12、連通筒部材13および規制筒部材14は一体に形成されている。
【0014】
弁部材4は前後方向に沿って延びる棒状に形成されるとともに、その後端部4aはノズル筒部材12から後方に突出している。弁部材4においてノズル筒部材12内に位置する前側部分4bの後端部における外周面には、後方から前方に向かうに従い漸次拡径されたシール筒部4cが突設されている。また、弁部材4の後端部4aにおいて、上下および前後双方向に対して直交する左右方向の両端部には、前方から後方に向かうに従い上方に向けて傾斜した第1摺接面4dが各別に形成されている。さらに、弁部材4の前側部分4bは、ノズル筒部材12内に複数の凸リブ12aにより径方向外側から支持された状態で配設されている。
【0015】
押下部材5の案内壁部16は、ヘッド本体3の規制筒部材14内に挿入されるとともに、筒状体が前記軸O回りに沿って二つに等分割されてなる一対の周壁により構成され、前記軸Oを径方向で挟んだ前記左右方向の両側に配設されている。そして、これらの案内壁部16の両周端縁のうち、前側に位置する前側周端縁同士の間の隙間にノズル筒部材12が配置され、後側に位置する後側周端縁同士の間に弁部材4の後端部4aが位置している。また、案内壁部16の下端部には径方向外方に向けて第2係合凸部16aが突設されている。
【0016】
また本実施形態では、押下部材5の頂壁部15において弁部材4の第1摺接面4dに上方から対向する部分には、下方に向けて摺接凸片18が突設されている。なお図示の例では、摺接凸片18は、頂壁部15において両案内壁部16の後側周端縁同士の間に位置する部分に設けられている。そして、各摺接凸片18の下端面が、前方から後方に向かうに従い上方に向けて傾斜した第2摺接面18aとなっており、第1摺接面4dに当接している。また、これらの両摺接面4d、18aは互いに平行となっている。
【0017】
なお図示の例では、頂壁部15の外周縁部には、案内壁部16を径方向外側から囲繞する外筒19が下方に向けて延設されている。この外筒19の前端部には、上下方向に沿って延びるスリット19aが形成されており、このスリット19aを通して、ヘッド本体3のノズル筒部材12の前側部分が外筒19から径方向外側に突出している。また、外筒19は、ヘッド本体3における規制筒部材14の上部を径方向外側から囲繞している。
【0018】
弁部材4を前方付勢する第1付勢部材20は、上下方向に沿って延設された状態で弁部材4の後端部4aに連結されている。本実施形態では、第1付勢部材20は、正面視形状が下方に向けて開口する逆U字状となるように屈曲された線材とされ、その下端部が連通筒部材13の下端部における外周面と収納片13bとの間に差し込まれて固定され、かつ上端部内に弁部材4の後端部4aが嵌合されている。また、図示の例では、第1付勢部材20は、連通筒部材13の外周面に沿って上下方向に延びる下側部分20aと、下側部分20aよりも前側に配置され上下方向に延びる上側部分20bと、下方から上方に向かうに従い漸次前方に向けて延在し下側部分20aと上側部分20bとを連結する中間部分20cと、を備えている。
【0019】
さらに本実施形態では、押下部材5の頂壁部15とノズル筒部材12との間に、押下部材5を上方付勢する第2付勢部材21が備えられ、この第2付勢部材21は、ノズル筒部材12と一体に形成されている。図示の例では、第2付勢部材21は、ノズル筒部材12の上面に突設され、前方から後方に向かうに従い漸次上方に向けて延びる板材となっている。また、押下部材5の前記第2係合凸部16aが、ヘッド本体3の前記第1係合凸部14aに下側から係合することで、押下部材5は、規制筒部材14からの上側へ向けた離脱が防止された状態で第2付勢部材21により上方付勢されている。
【0020】
ここで、吐出器2は、装着キャップ22とポンプ本体23とを備えている。
装着キャップ22は、図示されない容器体の口部に螺着される内筒部22aと、この内筒部22aを径方向外側から囲繞する外筒部22bと、ポンプ本体23の後述するシリンダ23aの上端開口部が装着される折り返し部22cと、を備えている。
外筒部22bは、上側に位置する小径筒部22dと、小径筒部22dと同軸に配設されるとともに下側に位置する大径筒部22eと、これらの両筒部22d、22eを連結するフランジ部22fと、を備えている。なお、フランジ部22fは、小径筒部22dの下端と大径筒部22eの上端とを連結している。
内筒部22aは、外筒部22bのフランジ部22fの下面に下方に向けて延設されている。
折り返し部22cは、外筒部22bの小径筒部22dの径方向内側に位置する外周壁と、外周壁の径方向内側に位置する内周壁と、外周壁および内周壁それぞれの上端を連結する上壁と、を備え、縦断面視逆U字状に形成されている。
【0021】
ポンプ本体23は、上端開口部が折り返し部22cに差し込まれたシリンダ23aと、シリンダ23aの径方向内側に上下動可能に配設されたステム2aと、シリンダ23a内に配設され、ステム2aの上下動に伴って上下動させられるピストン23bと、その他ステム2aを上方付勢する図示されないコイルスプリングや弁体等と、を備えている。
ステム2aの上端部は、折り返し部22cよりも上方に位置し、ヘッド本体3の連通筒部材13内に嵌合されている。
本実施形態では、弁部材4を後方に移動させてノズル孔11を開口させるのに要する押下部材5への押下力が、ステム2aの上方付勢力よりも小さくなっている。なお、このような押下部材5への押下力とステム2aの上方付勢力との関係は、例えばステム2aを上方付勢する前記コイルスプリング、第1付勢部材20および第2付勢部材21それぞれのバネ定数、あるいは弁部材4およびノズル筒部材12の内周面側、並びに第1摺接面4dおよび第2摺接面18aそれぞれの摩擦係数等を適宜選択することで実現される。
【0022】
以上の構成において、押下部材5を押下すると、まず、第2付勢部材21が押下部材5の頂壁部15により下方に向けて弾性的に撓み変形させられつつ、押下部材5が第2摺接面18aを介して弁部材4の第1摺接面4d上を下方に向けて摺動する。このように押下部材5がヘッド本体3に対して下方に移動するときに、ヘッド本体3の規制筒部材14が押下部材5の径方向の移動を規制しているので、押下部材5に加えた押下力が、第1摺接面4dおよび第2摺接面18aを介して弁部材4にこの弁部材4を後方に移動させる力として伝達される。これにより、弁部材4が、第1付勢部材20による前方付勢力に抗してこの第1付勢部材20を後方に向けて弾性的に撓み変形させつつ、後方に移動させられ、ノズル孔11が開口する。
【0023】
その後さらに、押下部材5を押下していくと、この押下部材5がヘッド本体3とともに下方に向けて押し下げられることにより、ステム2aも押し下げられ、内容物がステム2a内、連通筒部材13内、およびノズル筒部材12内をこの順に通過して、ノズル孔11に到達して外部に吐出される。
そして、押下部材5の押下を解除すると、ステム2aが上方に復元移動し、かつ第1付勢部材20の前方付勢力および第2付勢部材21の上方付勢力によって、弁部材4の第1摺接面4dと押下部材5の第2摺接面18aとが摺接しつつ、押下部材5が上方に復元移動させられるとともに、弁部材4が前方に復元移動させられてノズル孔11を閉塞する。
なお、以上の過程において、弁部材4のシール筒部4cは、ノズル筒部材12の内周面に液密状態で当接あるいは摺接する。
【0024】
以上説明したように本実施形態に係る押下ヘッド1によれば、弁部材4を後方に移動させてノズル孔11を開口するときに、押下部材5に加えた押下力を、例えば前記従来の押下ヘッドのように装着筒部材および梃子部材等を介することなく、前述の両摺接面4d、18aを介して直接、弁部材4に伝達することが可能になり、部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制することができる。
また、第1摺接面4dが、弁部材4においてノズル筒部材12から後方に突出した後端部4aに形成されて、ステム2aからノズル孔11に至る内容物の通路の外側に位置しているので、内容物の液密性を容易に確保することができる。
【0025】
さらに、第1付勢部材20が、上下方向に沿って延設された状態で弁部材4の後端部4aに連結されているので、弁部材4の構造の簡素化、およびこの押下ヘッド1の前後方向のコンパクト化を図りつつ、内容物の通路の液密性を確実に確保することができる。
また、ノズル筒部材12、連通筒部材13および規制筒部材14を備えるヘッド本体3が一体に形成されているので、部品点数の低減および構造の簡素化をより一層実現することができる。
【0026】
さらに、第2付勢部材21が設けられているので、押下部材5の押下を解除したときに、押下部材5および弁部材4を確実に復元移動させることが可能になる。また、この第2付勢部材21がヘッド本体3と一体に形成されているので、部品点数の低減および構造の簡素化をより一層確実に実現することができる。
さらに、第1付勢部材20が、正面視形状が下方に向けて開口する逆U字状となるように屈曲された線材とされるとともに、その下端部が連通筒部材13に固定され、かつ上端部内に弁部材4の後端部4aが嵌合されているので、前述の作用効果が確実に奏されるとともに、第1付勢部材20を容易に組付けることができる。
【0027】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば前記実施形態では、押下部材5を上方付勢する第2付勢部材21として、ノズル筒部材12と一体に形成された構成を示したが、押下部材5の頂壁部15と一体に形成してもよく、また押下部材5の頂壁部15およびノズル筒部材12とは別部材としてもよい。さらに、第2付勢部材21として、前方から後方に向かうに従い漸次上方に向けて延びる板材を示したが、これに代えて例えば、上下方向に螺旋をなして延びるスプリング状に形成してもよい。また、第2付勢部材21は設けなくてもよい。
さらに、押下ヘッド1を装着する吐出器としては、前記実施形態で示した構成に限らず、例えばエアゾール式の吐出器等を採用してもよい。
また、前記実施形態では、押下部材5の案内壁部16をヘッド本体3の規制筒部材14内に挿入したが、案内壁部16を規制筒部材14の径方向外側に位置させてもよい。
さらに、第1付勢部材21は、前記実施形態に限らず例えば板材を採用する等、適宜変更してもよい。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
部品点数を低減して構造の簡素化を図り、容易に押下時のがたつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した押下ヘッドの概略縦断面図である。
【図2】図1に示す押下ヘッドの概略横断面図である。
【図3】図1および図2の押下ヘッドにおいて押下部材を押し下げた状態を示す概略縦断面図である。
【図4】図3に示す押下ヘッドの概略横断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 押下ヘッド
2 吐出器
2a ステム
3 ヘッド本体
4 弁部材
4a 弁部材の後端部
4d 第1摺接面
5 押下部材
11 ノズル孔
12 ノズル筒部材
13 連通筒部材
14 規制筒部材
15 頂壁部
16 案内壁部
18 摺接凸片
18a 第2摺接面
20 第1付勢部材
21 第2付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着される押下ヘッドであって、
前端のノズル孔を通して内部が外部に連通可能とされたノズル筒部材、前記ステム内とノズル筒部材内とを連通させる連通筒部材、およびこの連通筒部材を径方向外側から囲う規制筒部材を備えるヘッド本体と、
前記ノズル筒部材内に前方付勢状態で前後動可能に設けられ前記ノズル孔を開閉させる弁部材と、
前記ノズル筒部材を上方から覆う頂壁部、およびこの頂壁部に下方に向けて延設され前記規制筒部材と連係することで径方向の移動が規制された案内壁部を備えるとともに、前記ヘッド本体に対して上下動可能に配設された押下部材と、が設けられ、
前記弁部材は前後方向に沿って延びる棒状に形成されるとともに、その後端部は前記ノズル筒部材から後方に突出し、
前記押下部材の頂壁部において前記弁部材の後端部に上方から対向する部分には、下方に向けて摺接凸片が突設され、
前記弁部材の後端部に第1摺接面が形成されるとともに、前記摺接凸片には前記第1摺接面に当接する第2摺接面が形成され、これらの両摺接面は、前方から後方に向かうに従い上方に向けて傾斜し、
前記弁部材を前方付勢する第1付勢部材は、上下方向に沿って延設された状態で前記弁部材の後端部に連結されるとともに、前記押下部材を押下して第1摺接面と第2摺接面とを摺接させることで前記弁部材を後退移動させたときに、後方に向けて弾性的に撓み変形させられることを特徴とする押下ヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の押下ヘッドにおいて、
前記押下部材の頂壁部と前記ヘッド本体のノズル筒部材との間には、前記押下部材をヘッド本体に対して上方付勢する第2付勢部材が備えられ、この第2付勢部材は、前記押下部材若しくはヘッド本体と一体に形成されていることを特徴とする押下ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の押下ヘッドにおいて、
前記第1付勢部材は、正面視形状が下方に向けて開口する逆U字状となるように屈曲された線材とされるとともに、その下端部が前記連通筒部材に固定され、かつ上端部内に前記弁部材の後端部が嵌合されていることを特徴とする押下ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104941(P2010−104941A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281148(P2008−281148)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】