説明

押下式液体吐出容器

【課題】押下式液体吐出容器が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制する。
【解決手段】ポンプ部14のレバー部18を、その他端部18bが下方に移動するように一端部18aを中心に回動させたときに、その下面において作動部材12の上端面に対向する部分に下方に向けて突設された押圧部18cによりこの作動部材12を下方に向けて押圧することによってノズル13から容器本体11内の液体を吐出させる吐出補助具19が設けられ、支持部17は、この押下式吐出容器10の周方向位置においてノズル13が開口する位置に配置され、レバー部18は、その他端部18bが、支持部17に取り付けられた一端部18aに対してこの押下式液体吐出容器10の中心軸線Oを挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押下式液体吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、内部に液体が充填される容器本体と、この容器本体内から上方付勢されて起立する作動部材を上下動させることにより、容器本体内の液体を前記作動部材のノズルから吐出可能なポンプ部とを備える構成が知られている。
【特許文献1】実用新案登録第2566681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の押下式液体吐出容器では、この容器が置かれる環境温度が低いと、この容器本体内に充填された液体の粘度が高くなり、作動部材を指で強く押圧しなければノズルから適量の液体を吐出させることができなくなるという問題があった。このような問題を解決するために、例えば、作動部材に対する上方付勢力を低減することが考えられるが、この場合、液体を吐出させた後、作動部材への押圧力を解除したときに、この作動部材が上方に復元移動し難くなるおそれがあり、あるいはこれに代えて、作動部材の内部において、容器本体内からノズルに至る液体の流路断面積を大きくして、この液体の流動抵抗を低減することが考えられるが、この場合、押下式液体吐出容器が置かれる環境温度が高くなり液体の粘度が低下すると、作動部材を押圧したときに大量の液体が吐出されるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、押下式液体吐出容器が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制することができる押下式液体吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の押下式液体吐出容器は、内部に液体が充填される容器本体と、この容器本体内から上方付勢されて起立する作動部材を上下動させることにより、容器本体内の液体を前記作動部材のノズルから吐出可能なポンプ部とを備える押下式液体吐出容器であって、前記ポンプ部には、容器本体の上端部側から上方に向けて起立する支持部と、この支持部に一端部が取り付けられて、この一端部を中心に他端部側が上下動するように回動可能に設けられたレバー部とを備える吐出補助具が設けられ、この吐出補助具は、レバー部を前記他端部側が下方に移動するように回動させたときに、その下面において前記作動部材の上端面と対向する部分に下方に向けて突設された押圧部によりこの作動部材を下方に向けて押圧することによってノズルから容器本体内の液体を吐出させる構成とされ、前記支持部は、この押下式吐出容器の周方向位置において前記ノズルが開口する位置に配置され、前記レバー部は、前記他端部が、支持部に取り付けられた前記一端部に対してこの押下式液体吐出容器の中心軸線を挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在していることを特徴とする。
この発明によれば、前記吐出補助具が備えられているので、レバー部の他端部側の上面を指で下方に向けて押圧し、このレバー部を、その一端部を中心に他端部側が下方に移動するように回動させて、これらの一端部と他端部との間に位置する前記押圧部で作動部材の上端面を押圧することによって、ノズルから容器本体内の液体を吐出することが可能になり、指で作動部材の上端面を直接押圧してノズルから液体を吐出させるのに比べて、指による押圧力を低減させることができる。したがって、押下式液体吐出容器が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制することができる。
さらに、支持部が、この押下式吐出容器の周方向位置においてノズルが開口する位置に配置され、レバー部が、前記他端部が、支持部に取り付けられた前記一端部に対して前記中心軸線を挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在しているので、ノズルから液体を吐出する際に指で押圧するレバー部の他端部側の上面が、ノズルが開口している周方向位置に対して前記中心軸線を挟んでこの押下式液体吐出容器の径方向で対向する位置に配置されていることになり、レバー部を前記回動させてノズルから液体を吐出したときに、この液体が、レバー部の他端部側の上面を押圧している指に付着するのを防ぐことができる。
【0006】
ここで、前記吐出補助具は前記ポンプ部に対して着脱可能とされてもよい。
この場合、吐出補助具をポンプ部に装着するか否かを需要者が選択することが可能になり、この容器の取り扱い性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る押下式液体吐出容器によれば、押下式液体吐出容器が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制することができる。
また、吐出補助具がポンプ部に対して着脱可能とされた場合には、吐出補助具をポンプ部に装着するか否かを需要者が選択することが可能になり、この容器の取り扱い性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図3は、この発明の第1実施形態として示した押下式液体吐出容器の概略構成を示すものである。
本実施形態の押下式液体吐出容器10は、内部に液体が充填される容器本体11と、この容器本体11内から上方付勢されて起立する作動部材12を上下動させることにより、容器本体11内の液体を作動部材12のノズル13から吐出可能なポンプ部14とを備えている。なお、作動部材12は、容器本体11の上部内面部に嵌合されたシリンダ部材12bと、このシリンダ部材12bの上部内面に上下摺動可能に嵌め込まれた図示されない筒状ピストンと、この筒状ピストンから起立したステム12cと、このステム12cの上端に圧縮ばね15により上方に付勢された状態で装着されたヘッド部12aとを備えている。
【0009】
図示の例では、ノズル13は、ヘッド部12aの外周面にその径方向外方に向けて突設されている。また、ポンプ部14には、作動部材12を容器本体11に取り付ける取り付け部材14cが備えられ、この取り付け部材14cは、平面視円形の平板部14aと、この平板部14aの下面に垂設されるとともに、平板部14aよりも小径の筒部材14dとを備え、この筒部材14dの内周面に雌ねじ部が形成されている。ここで、作動部材12は、平板部14aにおいて、筒部材14dと同軸上で、かつこの筒部材14dの径方向内側に位置する部分に貫設され、この作動部材12のうち平板部14aの上面から突出するヘッド部12aが、作動部材12の内部に設けられた圧縮ばね15により、平板部14aに対して上方付勢されている。
【0010】
そして、ポンプ部14は、筒部材14dの雌ねじ部が容器本体11の上端開口部に形成された雄ねじ部に螺合した状態で、作動部材12のうち平板部14aの下面から下方に突出したシリンダ部材12bが容器本体11内に配置されるようになっている。さらに、容器本体11の下部内面には、この容器本体11内の負圧化により上昇摺動可能に嵌合された中皿16が設けられている。
【0011】
以上の構成において、圧縮ばね15の弾性力に抗して作動部材12のヘッド部12aを押し下げたときに、作動部材12内に設けられた図示されないシリンダ内の内容物が加圧されて、この内容物がノズル13から吐出されるようになっている。そして、この押し下げを解除すると、圧縮ばね15の弾性力により作動部材12のヘッド部12aが上方に復元移動し、かつ前記シリンダ内が負圧化し、中皿16が容器本体11の内部を上昇摺動して内容物がこのシリンダ内に吸い上げられるようになっている。
【0012】
そして、本実施形態では、ポンプ部14には、容器本体11の上端部側から上方に向けて起立する支持部17と、この支持部17の上端部に一端部18aが取り付けられて、この一端部18aを中心に他端部18b側が上下動するように回動可能に設けられたレバー部18とを備える吐出補助具19が設けられている。この吐出補助具19は、レバー部18を、前記他端部18b側が下方に移動するように回動させたときに、その下面において作動部材12の上端面に対向する部分に下方に向けて突設された押圧部18cによりこの作動部材12を下方に向けて押圧することによってノズル13から容器本体11内の液体を吐出させるようになっている。
また、支持部17は、この押下式吐出容器10の周方向位置においてノズル13が開口する位置に配置され、レバー部18は、その他端部18bが、支持部17に取り付けられた一端部18aに対してこの押下式液体吐出容器10の中心軸線Oを挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在している。
【0013】
なお、押下式液体吐出容器10の中心軸線Oは、容器本体11、および作動部材12のヘッド部12aそれぞれの径方向に直交し、かつこの径方向の中央部を通る直線とされている。
また、本実施形態では、支持部17は、平板部14aの上面のうち、この押下式吐出容器10の周方向位置においてノズル13が開口する位置に、この平板部14aを形成する材質と同一の材料により一体的に形成されて立設されており、これにより、前記のように筒部材14dの雌ねじ部と、容器本体11の上端開口部に形成された雄ねじ部とを螺合したときに、支持部17が容器本体11の上端部側から上方に向けて起立させられる。
【0014】
図示の例では、レバー部18の前記延在する長さは、容器本体11の胴部の外径と略同等とされ、この長さ方向中央部に押圧部18cが設けられている。この押圧部18cは、レバー部18の下面から下方に向かうに従い漸次縮径されるとともに、その下端部が、下方に向けて凸の曲面形状とされている。ここで、レバー部18は、前記延在する方向に延びる平面視長方形とされた押下板18dと、この押下板18dの前記一端部18a側の端部における両側部から下方に向けて垂設された平板状の一対の脚部18eとを備えている。なお、押下板18dの上面において前記他端部18b側に位置する部分には、この押下板18dの幅方向(前記延在した方向に直交する方向)に延びる突条18gが複数形成されており、レバー部18の押下板18dの上面を指で押圧したときに、この指が押下板18dの上面に対して滑り難くなっている。
【0015】
また、支持部17は、ノズル13をその径方向で挟み込むように平板部14aの上面に立設された一対の柱部と、これらの柱部をつなぐように平板部14aの上面に立設された壁部とを備え、この壁部には、その上端および厚さ方向に貫通し、かつ前記中心軸線O方向に延びる第1長穴17aが形成されている。そして、これらの柱部の上端部にそれぞれ設けられたピンが、レバー部18の脚部18e、18eに形成された各貫通孔に挿入されることによって、前記のように、レバー部18が支持部17に回動可能に支持されている。
【0016】
さらに、押下板18dの前記一端部18a側の端部には、第1長穴17aのうち支持部17の前記壁部の上端に開口する部分と対向するように、この端面に開口し、かつ前記他端部18b側に向けて延びる第2長穴18fが形成されている。これらの第1、第2長穴17a、18fにより、レバー部18を、一端部18aを中心に他端部18bが下方に向けて移動するように回動させるか否かにかかわらず、ノズル13やヘッド部12aが支持部17およびレバー部18に干渉しないようになっている。
【0017】
以上説明したように、本実施形態による押下式液体吐出容器10によれば、吐出補助具19が備えられているので、レバー部18の他端部18b側の上面を指で下方に向けて押圧し、このレバー部18を、その一端部18aを中心に他端部18b側が下方に移動するように回動させて、これらの一端部18aと他端部18bとの間に位置する押圧部18cで作動部材12の上端面を押圧することによって、ノズル13から容器本体11内の液体を吐出することが可能になり、指で作動部材12の上端面を直接押圧してノズル13から液体を吐出させるのに比べて、指による押圧力を低減させることができる。したがって、押下式液体吐出容器10が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制することができる。
【0018】
さらに、本実施形態では、支持部17がこの押下式吐出容器10の周方向位置においてノズル13が開口する位置に配置され、レバー部18が、その他端部18bが、支持部17に取り付けられた一端部18aに対して前記中心軸線Oを挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在しているので、ノズル13から液体を吐出する際に指で押圧するレバー部18の他端部18b側が、ノズル13が開口している周方向位置に対して前記中心軸線Oを挟んでこの押下式液体吐出容器10の径方向で対向する位置に配置されていることになり、レバー部18を前記回動させてノズル13から液体を吐出したときに、この液体が、レバー部18の他端部18b側の上面を押圧している指に付着するのを防ぐことができる。
【0019】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、ポンプ部14の平板部14aの上面に、吐出補助具19の支持部17が一体的に形成された構成を示したが、これに代えて、ポンプ部14に対して吐出補助具19を着脱可能に設けるようにしてもよい。この場合、吐出補助具19をポンプ部14に装着するか否かを需要者が選択することが可能になり、この容器10の取り扱い性を向上させることができる。
【0020】
このような構成として、例えば図4および図5に示されるように、ポンプ部14に平板部14aを設けずに、内周面に雌ねじ部22aが形成されたキャップ状体22に、作動部材12を回転自在に挿入してポンプ部14を構成する一方、このポンプ部14とは別体のリング状体21の外周部に、その中心軸線方向に延びる支持部17を立設し、この支持部17に前記実施形態と同様にしてレバー部18を取り付けるようにしてもよい。なお、ポンプ部14において、作動部材12のヘッド部12aを、キャップ状体22の天板部22bの上面から上方に突出させる。ここで、リング状体21の内径部は、その上面側21aが下面側21bよりも内径が大きくされ、下面側21bの内径は、容器本体11の雄ねじ部11aの外径よりも大きく、かつキャップ状体22の外径よりも小さくされ、前記上面側21aの半径と前記下面側21bの半径との差が、キャップ状体22の開放端部におけるその径方向の肉厚と略同等とされている。
【0021】
これにより、図4および図5に示されるように、リング状体21を前記下面側21bから容器本体11の雄ねじ部11aに挿入した状態で、作動部材12に設けられたキャップ状体22の雌ねじ部22aと雄ねじ部11aとを螺合すると、キャップ状体22の開放端面と容器本体11の上端部との間に、リング状体21の内径部において上面側21aと下面側21bとの間に位置する段部21cが挟み込まれて締め付けられることによって、容器本体11とポンプ部14と吐出補助具19とが組付けられるような構成を採用することができる。
【0022】
また、前記実施形態では、押下式液体吐出容器として、いわゆる中皿上昇式吐出容器を示したが、これに代えて、例えば、スクイズ変形可能で復元自在な可撓性を有する外層の内側に、内容物を収容し、かつ内圧の減少によりしぼみ変形する可撓性に富む内層を剥離可能に積層して、壜体状にブロー成形された容器本体を備えるとともに、外層における前記口部の形成部分に、外層と内層との間に外気を吸入する空気孔が形成された積層剥離ボトルに採用してもよいし、あるいは中皿上昇式ではない一般の吐出ポンプ付きの容器に採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
押下式液体吐出容器が置かれる環境温度の低下により液体の粘度が高くなっても、適量の液体を吐出するのに要する指による押圧力が高くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態として示した押下式液体吐出容器の半断面図である。
【図2】図1に示す押下式液体吐出容器において、レバー部を回動させて押圧部により作動部材の上端面を押圧している状態の一部を示すものである。
【図3】図1に示す押下式液体吐出容器の上面図である。
【図4】本発明の第2実施形態として示した押下式液体吐出容器を組立てる状態を示すものである。
【図5】本発明の第2実施形態として示した押下式液体吐出容器の一部半断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 押下式液体吐出容器
11 容器本体
12 作動部材
13 ノズル
14 ポンプ部
17 支持部
18 レバー部
18a 一端部
18b 他端部
18c 押圧部
19 吐出補助具
O 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が充填される容器本体と、この容器本体内から上方付勢されて起立する作動部材を上下動させることにより、容器本体内の液体を前記作動部材のノズルから吐出可能なポンプ部とを備える押下式液体吐出容器であって、
前記ポンプ部には、容器本体の上端部側から上方に向けて起立する支持部と、この支持部に一端部が取り付けられて、この一端部を中心に他端部側が上下動するように回動可能に設けられたレバー部とを備える吐出補助具が設けられ、この吐出補助具は、レバー部を前記他端部側が下方に移動するように回動させたときに、その下面において前記作動部材の上端面と対向する部分に下方に向けて突設された押圧部によりこの作動部材を下方に向けて押圧することによってノズルから容器本体内の液体を吐出させる構成とされ、
前記支持部は、この押下式吐出容器の周方向位置において前記ノズルが開口する位置に配置され、前記レバー部は、前記他端部が、支持部に取り付けられた前記一端部に対してこの押下式液体吐出容器の中心軸線を挟んでその径方向で対向する位置に配置されるように延在していることを特徴とする押下式液体吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の押下式液体吐出容器において、
前記吐出補助具は前記ポンプ部に対して着脱可能とされていることを特徴とする押下式液体吐出容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−297083(P2007−297083A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125462(P2006−125462)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】