押釦スイッチ
【課題】 打鍵の繰り返しによる可動接点の割れを防止し、長寿命化が可能な押釦スイッチを提供する。
【解決手段】 金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部5aを有する可動接点5と、金属材からなり可動接点5に常時接続されるコモン接点3、及び可動接点5に対向して配置されドーム部5aが反転することにより接離可能な固定接点4と、可動接点5のドーム部5aの外周縁部5cを支持する受け面を有する基台2とを備え、受け面をコモン接点3、固定接点4、及び可動接点5よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、受け面に支持された可動接点5の外周縁部5cとは異なるドーム部5aの外周部に、コモン接点3との接続部を形成した。
【解決手段】 金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部5aを有する可動接点5と、金属材からなり可動接点5に常時接続されるコモン接点3、及び可動接点5に対向して配置されドーム部5aが反転することにより接離可能な固定接点4と、可動接点5のドーム部5aの外周縁部5cを支持する受け面を有する基台2とを備え、受け面をコモン接点3、固定接点4、及び可動接点5よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、受け面に支持された可動接点5の外周縁部5cとは異なるドーム部5aの外周部に、コモン接点3との接続部を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点を押圧反転させて固定接点との接離を行う押釦スイッチに係り、特に各種電子機器の入力操作部等へ使用される押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押釦スイッチの構造としては、ドーム状の可動接点の外周縁部を金属材からなる外側固定接点上に載置した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の押釦スイッチの構造を図11に示す。図11は従来の押釦スイッチの断面図であり、同図において、31は内底面に外側固定接点33A,33Bおよび中央固定接点35がインサート成形によって植設された絶縁樹脂製の箱形ケースで、外側固定接点33A,33B上には弾性金属薄板製のドーム状可動接点40が載せられて、ドーム状可動接点40を介して外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35が接離するスイッチ接点を構成している。
【0003】
そして、その上部には、ドーム状可動接点40の上面に押圧部37Aが当接するように操作体37が上下動可能に載せられると共に、操作体37の上面のボタン部37Bが箱形ケース31の開口部を覆うカバー38の中央孔38Aから上部に突出して操作部となっている。
ドーム状可動接点40の形状は、外周部40Aが円錐台状で、その内側の中央部40Bが僅かに上方に膨らんだ略球面状で、両者の境目は滑らかな曲線で結ばれた形状になるように弾性金属薄板を絞り加工した構成のものになっている。
【0004】
このように構成された従来のプッシュスイッチは、使用電子機器の操作ボタンを介して操作体37の上面のボタン部37Bが下方に押されると、操作体37が下方に動くと共に下面の押圧部37Aがドーム状可動接点40を押すことによってドーム状可動接点40は節度感を伴って反転動作し、ドーム状可動接点40を介して外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35との間が電気的に接続される。
【0005】
この後、操作体37の上面のボタン部37Bを押す力を除くとドーム状可動接点40の弾性復元力によって元の状態に復帰し、外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35との間はオープンとなるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−67002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の押釦スイッチにおいては、ドーム状可動接点は金属薄板にドーム状の絞り加工を施すことで形成しており、その外周縁部と固定接点との当接面を隙間なく均一に形成するのは困難で、そのため、可動接点の打鍵を繰り返すことにより、ドーム状可動接点の外周縁部が部分的に硬い固定接点と擦れ合うことになり、上記不均一部での応力集中による可動接点の割れが発生し易くなり、長寿命化ができないという問題があった。
【0008】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、打鍵の繰り返しによる可動接点の割れを防止し、長寿命化が可能な押釦スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり前記可動接点に常時接続されるコモン接点、及び前記可動接点に対向して配置され前記ドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、前記可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、前記受け面を前記コモン接点、前記固定接点、及び前記可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、前記受け面に支持された前記可動接点の外周縁部とは異なる前記ドーム部の外周部に、前記コモン接点との接続部を形成したことを特徴とする押釦スイッチ。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記基台を合成樹脂で形成すると共に、前記受け面を前記基台に一体に形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記コモン接点に弾接させた構成とした。
また、第4の解決手段として、前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記可動接点のドーム部の外周部に弾接させた構成とした。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明の押釦スイッチは、金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり可動接点に常時接続されるコモン接点、及び可動接点に対向して配置されドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、受け面をコモン接点、固定接点、及び可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、受け面に支持された可動接点の外周縁部とは異なるドーム部の外周部に、コモン接点との接続部を形成したことから、打鍵によって可動接点の外周縁部との隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となり、可動接点の割れを防止することができ、長寿命化が可能となる。
【0012】
また、基台を合成樹脂で形成すると共に、受け面を基台に一体に形成したことから、軟らかい材料からなる受け面を基台に一体形成することができ、製造が容易となる。
また、可動接点とコモン接点との接続部を、可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片をコモン接点に弾接させたことから、接触片を可動接点に一体形成できるので、組立が容易となる。また、固定接点とコモン接点を基台の同一平面に形成できるので、固定接点やコモン端子、及び外部端子の配置自由度を大きくできる。
また、可動接点とコモン接点との接続部を、コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を可動接点のドーム部の外周部に弾接させたことから、接続部を可動接点とは別体に形成したので、反転ばねとしての可動接点の設計自由度を大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6に示す。図1は本発明の実施例に係る押釦スイッチを示す平面図、図2は第1のハウジングを示す平面図、図3は第2のハウジングを示す平面図、図4は可動接点を示す平面図、図5は本発明の押釦スイッチの動作説明図、図6は図4とは異なる可動接点を用いた押釦スイッチの変形例を示す平面図である。
【0014】
図1乃至図5において、本発明の押釦スイッチは、コモン接点3が配設された第1のハウジング1と、固定接点4が配設された第2のハウジング2と、第1及び第2のハウジング1、2に収納され、コモン接点3及び固定接点4と接続される可動接点5と、可動接点5と第1のハウジング1の上部に貼着されるインシュレーター6から主に構成されている。
【0015】
第1のハウジング1は、合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成され、中央に矩形状の開口部1aを有している。この第1のハウジング1の一側板部1bには、導電性の金属材からなるコモン接点3が、インサート成形等の方法で一体に埋設されており、このコモン接点3から前記開口部1a内に一対の接触片3a、3aが延設して形成されている。また、この接触片3aの先端は若干下方に屈曲されたものとなっており、この屈曲部3bが後述する可動接点5のドーム部5aの外周部に弾接するものとなっている。また、前記コモン接点3の両端側は、前記第1のハウジング1の両側部から外方に突出されて外部端子3c、3cが設けられている。
【0016】
基台となる、第2のハウジング2は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成されている。この第2のハウジング2の一側部側には、導電性の金属材からなる固定接点4が、同じくインサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、第2のハウジング2の中央には、円形と矩形からなる平面状の窪み部2a、2bが形成されており、このうち円形の窪み部2aの中央に前記固定接点4の接点部4aが表出して設けられている。また、前記固定接点4の両端側は、前記第2のハウジング2の両側部から外方に突出されて外部端子4b、4bが設けられている。
【0017】
可動接点5は、リン青銅板やステンレス板等の導電性の金属薄板からなり、円板状に形成され、中央に反転可能なドーム部5aを有し、外側にドーム部5aと連接するスカート部5bを有し、このスカート部5bの外周に円形の外周縁部5cを有している。この可動接点5は、前記第2のハウジング2の窪み部2a、2b内に収納され、前記スカート部5bの外周縁部5cが窪み部2a、2bに載置されてドーム部5aの頂部下面が前記固定接点4の接点部4aと対向されて配置されるものとなっている。この時、前記可動接点5は、円形の外周縁部5cが前記平面状の窪み部2a、2bの平面に支持されており、この窪み部2a、2bが可動接点5の受け面となっている。
【0018】
このように、基台となる前記第2のハウジング2を合成樹脂等の絶縁材で形成すると共に、前記可動接点5の受け面を、この第2のハウジング2に一体に形成したことから、軟らかい材料からなる受け面を第2のハウジング2に一体形成することができ、製造が容易となっている。
【0019】
前記第2のハウジング2の上面側には、前記第1のハウジング1が嵌着されており、この時、前記開口部1a内に前記可動接点5が臨むように載置され、開口部1a内に延設された前記コモン接点3の一対の接触片3a、3aが、ドーム部5aの外周部上に延出すると共に、先端に形成された前記屈曲部3bが前記可動接点5のドーム部5aの外周部と弾接して電気的に接続されている。
【0020】
このように、前記可動接点5と前記コモン接点3との接続部を、コモン接点3の一部から延設した前記接触片3aで形成し、この接触片3aを可動接点5のドーム部5aの外周部に弾接させたことから、前記接続部を可動接点5とは別体に形成したので、反転ばねとしての前記可動接点5の設計自由度を大きくできるものとなっている。
【0021】
インシュレーター6は、可撓性を有する合成樹脂等の絶縁材シートからなり、下面に接着剤等からなる粘着層が設けられており、前記第1のハウジング1の開口部1aを覆うように、第1のハウジング1の上面に貼着されている。この時、前記第1のハウジング1の開口部1a内に配設された前記接触片3a、3a及び前記可動接点5のドーム部5aの上面側も同時にインシュレーター6の粘着層に貼着されるものとなり、接触片3aと可動接点5との接触を確実なものにすると共に、可動接点5の位置決めが行なわれる。また、インシュレーター6によって、接点部への塵埃の侵入を防止するものとなっている。
【0022】
次に、図5(a)、図5(b)を用いて上記構成の押釦スイッチの動作を説明する。先ず図5(a)に示す初期の状態(可動接点5が操作部材7によって押圧されていない状態)では、可動接点5は、コモン接点3とは接触片3aを介して電気的に接続されているが、スカート部5bの外周縁部5cが窪み部2a、2bに載置されてドーム部5aの頂部下面が固定接点4の接点部4aと対向されて配置され、固定接点4とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0023】
この状態から、図5(b)に示すように、可動接点5のドーム部5aがインシュレーター6を介して操作部材7によって押圧されると、ドーム部5aが下方へ反転してドーム部5aの頂部下面が固定接点4の接点部4aと接触することで、コモン接点3と固定接点4とが可動接点5を介して電気的に接続され、スイッチはオン状態となる。
【0024】
このように、上記実施例によれば、前記可動接点5の外周縁部5cの受け面を、前記第2のハウジング2の平面状の窪み部2a、2bで形成しており、固定接点4等の金属材に比べて軟らかい材料からなる合成樹脂等の絶縁部材で形成したことから、操作部材7の押圧によって可動接点5が反転動作を繰り返しても、打鍵によって可動接点5の外周縁部5cとの隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となると共に、可動接点5の割れを防止することができるので、スイッチ接点部の長寿命化が可能となっている。
【0025】
図6に示すのは、第2のハウジング2の窪み部2a、2bに載置される可動接点の変形例を示し、この場合、可動接点8は、中央にドーム部8aを有するが、外形が円形ではなく、対向する外周部が直線状にカットされた楕円状に形成されている。この場合でも、直線状のカット部8dを除くスカート部8bの外周縁部8cが、第2のハウジング2の平面状の窪み部2a、2bに載置されて受け面となっており、動作時においても上記実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例においては、可動接点の小型化が図れ、スイッチ全体の小型化が可能となる。
【0026】
尚、本実施例では、可動接点8は、ドーム部8aが楕円状にカットされており、このカット部8dが窪み部2aの固定接点4の接点部4aに繋がる延設部上に橋架された状態で載置されている。そして、カット部8dを除いたスカート部8bの外周縁部8cが、第2のハウジング2に埋設された固定接点4の接点部4aに繋がる延設部上にないため、固定接点4の延設部上の樹脂厚を薄くしたり、あるいは延出部を窪み部2aの表面上に露出させたとしても、可動接点8のスカート部8bの外周縁部8cと固定接点4とが接触する虞がない。このため、本実施例では第2のハウジング2の薄型化が図れ、スイッチ全体の薄型化が可能となる。
【0027】
図7乃至図10は、本発明の押釦スイッチの他の実施例を示し、図7は押釦スイッチの平面図、図8はハウジングの平面図、図9(a)は可動接点の平面図、図9(b)は可動接点の正面図、図10(a)、図10(b)は押釦スイッチの動作説明図である。
【0028】
図において、本実施例の押釦スイッチは、コモン接点12及び固定接点13が配設されたハウジング11と、ハウジング11に収納され、コモン接点12及び固定接点13と接続される可動接点14と、可動接点14とハウジング11の上部に貼着されるインシュレーター15から主に構成されている。
【0029】
基台となるハウジング11は、合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成されている。このハウジング11の一側部側には、導電性の金属材からなるコモン接点12が、インサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、このハウジング11の他側部側には、同じく導電性の金属材からなる固定接点13が、同じくインサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、ハウジング11の中央には、やや小さな円形と、やや大きな楕円形とこの両方を連結する長尺状からなる平面状の窪み部11a、11b、11cが形成されている。
【0030】
これらの窪み部のうち、円形の窪み部11aの中央には、前記コモン接点12の接点部12aが表出して設けられており、また、楕円形の窪み部11bの中央には、前記固定接点13の接点部13aが表出して設けられている。また、前記コモン接点12の両端側は、前記ハウジング11の両側部から外方に突出されて外部端子12b、12bが設けられており、また、前記固定接点13の両端側は、同じく前記ハウジング11の両側部から外方に突出されて外部端子13b、13bが設けられている。
【0031】
可動接点14は、リン青銅板やステンレス板等の導電性の金属薄板からなり、楕円形の反転部14aと、この反転部14aから長尺状の桟部14bを介して先端側に形成された小円形の接触片14cとを有している。また、楕円形の反転部14aには、中央に反転可能なドーム部14dを有し、対向する外側にドーム部14dと連接する一対のスカート部14eを有し、このスカート部14eの外周に一対の円弧形の外周縁部14fを有している。
【0032】
この可動接点14は、楕円形の反転部14aが前記ハウジング11の窪み部11b内に収納され、前記スカート部14eの外周縁部14fが窪み部11bに載置されてドーム部14dの頂部下面が前記固定接点13の接点部13aと対向されて配置されるものとなっている。この時、前記可動接点14は、一対の円弧形の外周縁部14fが前記平面状の窪み部11bの平面に支持されており、この窪み部11bが可動接点14の受け面となっている。
【0033】
また、長尺状の前記桟部14bが前記窪み部11cに収納され、小円形の前記接触片14cが前記窪み部14aに収納され、接触片14cが前記コモン接点12の接点部12a上に載置されて、桟部14bの有する弾性によって接触片14cが接点部12aと弾接した状態で電気的に接続されて配置されるものとなっている。
【0034】
このように、前記可動接点14と前記コモン接点12との接続部を、前記可動接点14のドーム部14dの外周部から延設した前記接触片14cで形成し、この接触片14cを前記コモン接点14に弾接させたことから、接触片14cを可動接点14に一体形成できるので、組立が容易となっている。また、前記固定接点13と前記コモン接点12を基台となるハウジング11の同一平面に形成できるので、固定接点13やコモン端子12、及び外部端子13b、12bの配置自由度を大きくできるものとなっている。
【0035】
インシュレーター15は、可撓性を有する合成樹脂等の絶縁材シートからなり、下面に接着剤等からなる粘着層が設けられており、前記ハウジング11の窪み部11a、11b、11cを覆うように、ハウジング11の上面に貼着されている。この時、前記ハウジング11の窪み部11a、11b、11c内に配設された前記可動接点14のドーム部14dの上面側、及び桟部14bの上面側も同時にインシュレーター15の粘着層に貼着されるものとなり、接触片14cとコモン接点12の接点部12aとの接触を確実なものにすると共に、可動接点14の位置決めが行なわれる。また、インシュレーター15によって、接点部への塵埃の侵入を防止するものとなっている。
【0036】
次に、図10(a)、図10(b)を用いて上記構成の押釦スイッチの動作を説明する。先ず図10(a)に示す初期の状態(可動接点14が操作部材7によって押圧されていない状態)では、可動接点14は、コモン接点12とは接触片14cを介して電気的に接続されているが、スカート部14eの外周縁部14fが窪み部11bに載置されてドーム部14dの頂部下面が固定接点13の接点部13aと対向されて配置され、固定接点13とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0037】
この状態から、図10(b)に示すように、可動接点14のドーム部14dがインシュレーター15を介して操作部材7によって押圧されると、ドーム部14dが下方へ反転してドーム部14dの頂部下面が固定接点13の接点部13aと接触することで、コモン接点12と固定接点13とが可動接点14を介して電気的に接続され、スイッチはオン状態となる。
【0038】
このように、本実施例においても、前記可動接点14の外周縁部14fの受け面を、前記ハウジング11の平面状の窪み部11bで形成しており、固定接点13等の金属材に比べて軟らかい材料からなる合成樹脂等の絶縁部材で形成したことから、操作部材7の押圧によって可動接点14が反転動作を繰り返しても、打鍵によって可動接点14の外周縁部14fとの隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となると共に、可動接点14の割れを防止することができるので、スイッチ接点部の長寿命化が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係る押釦スイッチを示す平面図である。
【図2】本発明の第1のハウジングを示す平面図である。
【図3】本発明の第2のハウジングを示す平面図である。
【図4】本発明の可動接点を示す平面図である。
【図5】本発明の押釦スイッチの動作説明図である。
【図6】本発明の図4とは異なる可動接点を用いた押釦スイッチの変形例を示す平面図である。
【図7】本発明の押釦スイッチの他の実施例を示す平面図である。
【図8】本発明の押釦スイッチの他の実施例のハウジングを示す平面図である。
【図9】本発明の押釦スイッチの他の実施例の可動接点を示す平面図及び正面図である。
【図10】本発明の押釦スイッチの他の実施例の動作説明図である。
【図11】従来の押釦スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:第1のハウジング
1a:開口部
1b:一側板部
2:第2のハウジング(基台)
2a:窪み部(受け面)
2b:窪み部(受け面)
3:コモン接点
3a:接触片
3b:屈曲部
3c:外部端子
4:固定接点
4a:接点部
4b:外部端子
5:可動接点
5a:ドーム部
5b:スカート部
5c:外周縁部
6:インシュレーター
7:操作部材
8:可動接点
8a:ドーム部
8b:スカート部
8c:外周縁部
8d:カット部
11:ハウジング(基台)
11a:窪み部
11b:窪み部(受け面)
11c:窪み部
12:コモン接点
12a:接点部
12b:外部端子
13:固定接点
13a:接点部
13b:外部端子
14:可動接点
14a:反転部
14b:桟部
14c:接触片
14d:ドーム部
14e:スカート部
14f:外周縁部
15:インシュレーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点を押圧反転させて固定接点との接離を行う押釦スイッチに係り、特に各種電子機器の入力操作部等へ使用される押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押釦スイッチの構造としては、ドーム状の可動接点の外周縁部を金属材からなる外側固定接点上に載置した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の押釦スイッチの構造を図11に示す。図11は従来の押釦スイッチの断面図であり、同図において、31は内底面に外側固定接点33A,33Bおよび中央固定接点35がインサート成形によって植設された絶縁樹脂製の箱形ケースで、外側固定接点33A,33B上には弾性金属薄板製のドーム状可動接点40が載せられて、ドーム状可動接点40を介して外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35が接離するスイッチ接点を構成している。
【0003】
そして、その上部には、ドーム状可動接点40の上面に押圧部37Aが当接するように操作体37が上下動可能に載せられると共に、操作体37の上面のボタン部37Bが箱形ケース31の開口部を覆うカバー38の中央孔38Aから上部に突出して操作部となっている。
ドーム状可動接点40の形状は、外周部40Aが円錐台状で、その内側の中央部40Bが僅かに上方に膨らんだ略球面状で、両者の境目は滑らかな曲線で結ばれた形状になるように弾性金属薄板を絞り加工した構成のものになっている。
【0004】
このように構成された従来のプッシュスイッチは、使用電子機器の操作ボタンを介して操作体37の上面のボタン部37Bが下方に押されると、操作体37が下方に動くと共に下面の押圧部37Aがドーム状可動接点40を押すことによってドーム状可動接点40は節度感を伴って反転動作し、ドーム状可動接点40を介して外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35との間が電気的に接続される。
【0005】
この後、操作体37の上面のボタン部37Bを押す力を除くとドーム状可動接点40の弾性復元力によって元の状態に復帰し、外側固定接点33A,33Bと中央固定接点35との間はオープンとなるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−67002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の押釦スイッチにおいては、ドーム状可動接点は金属薄板にドーム状の絞り加工を施すことで形成しており、その外周縁部と固定接点との当接面を隙間なく均一に形成するのは困難で、そのため、可動接点の打鍵を繰り返すことにより、ドーム状可動接点の外周縁部が部分的に硬い固定接点と擦れ合うことになり、上記不均一部での応力集中による可動接点の割れが発生し易くなり、長寿命化ができないという問題があった。
【0008】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、打鍵の繰り返しによる可動接点の割れを防止し、長寿命化が可能な押釦スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり前記可動接点に常時接続されるコモン接点、及び前記可動接点に対向して配置され前記ドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、前記可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、前記受け面を前記コモン接点、前記固定接点、及び前記可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、前記受け面に支持された前記可動接点の外周縁部とは異なる前記ドーム部の外周部に、前記コモン接点との接続部を形成したことを特徴とする押釦スイッチ。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記基台を合成樹脂で形成すると共に、前記受け面を前記基台に一体に形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記コモン接点に弾接させた構成とした。
また、第4の解決手段として、前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記可動接点のドーム部の外周部に弾接させた構成とした。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明の押釦スイッチは、金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり可動接点に常時接続されるコモン接点、及び可動接点に対向して配置されドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、受け面をコモン接点、固定接点、及び可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、受け面に支持された可動接点の外周縁部とは異なるドーム部の外周部に、コモン接点との接続部を形成したことから、打鍵によって可動接点の外周縁部との隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となり、可動接点の割れを防止することができ、長寿命化が可能となる。
【0012】
また、基台を合成樹脂で形成すると共に、受け面を基台に一体に形成したことから、軟らかい材料からなる受け面を基台に一体形成することができ、製造が容易となる。
また、可動接点とコモン接点との接続部を、可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片をコモン接点に弾接させたことから、接触片を可動接点に一体形成できるので、組立が容易となる。また、固定接点とコモン接点を基台の同一平面に形成できるので、固定接点やコモン端子、及び外部端子の配置自由度を大きくできる。
また、可動接点とコモン接点との接続部を、コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を可動接点のドーム部の外周部に弾接させたことから、接続部を可動接点とは別体に形成したので、反転ばねとしての可動接点の設計自由度を大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6に示す。図1は本発明の実施例に係る押釦スイッチを示す平面図、図2は第1のハウジングを示す平面図、図3は第2のハウジングを示す平面図、図4は可動接点を示す平面図、図5は本発明の押釦スイッチの動作説明図、図6は図4とは異なる可動接点を用いた押釦スイッチの変形例を示す平面図である。
【0014】
図1乃至図5において、本発明の押釦スイッチは、コモン接点3が配設された第1のハウジング1と、固定接点4が配設された第2のハウジング2と、第1及び第2のハウジング1、2に収納され、コモン接点3及び固定接点4と接続される可動接点5と、可動接点5と第1のハウジング1の上部に貼着されるインシュレーター6から主に構成されている。
【0015】
第1のハウジング1は、合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成され、中央に矩形状の開口部1aを有している。この第1のハウジング1の一側板部1bには、導電性の金属材からなるコモン接点3が、インサート成形等の方法で一体に埋設されており、このコモン接点3から前記開口部1a内に一対の接触片3a、3aが延設して形成されている。また、この接触片3aの先端は若干下方に屈曲されたものとなっており、この屈曲部3bが後述する可動接点5のドーム部5aの外周部に弾接するものとなっている。また、前記コモン接点3の両端側は、前記第1のハウジング1の両側部から外方に突出されて外部端子3c、3cが設けられている。
【0016】
基台となる、第2のハウジング2は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成されている。この第2のハウジング2の一側部側には、導電性の金属材からなる固定接点4が、同じくインサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、第2のハウジング2の中央には、円形と矩形からなる平面状の窪み部2a、2bが形成されており、このうち円形の窪み部2aの中央に前記固定接点4の接点部4aが表出して設けられている。また、前記固定接点4の両端側は、前記第2のハウジング2の両側部から外方に突出されて外部端子4b、4bが設けられている。
【0017】
可動接点5は、リン青銅板やステンレス板等の導電性の金属薄板からなり、円板状に形成され、中央に反転可能なドーム部5aを有し、外側にドーム部5aと連接するスカート部5bを有し、このスカート部5bの外周に円形の外周縁部5cを有している。この可動接点5は、前記第2のハウジング2の窪み部2a、2b内に収納され、前記スカート部5bの外周縁部5cが窪み部2a、2bに載置されてドーム部5aの頂部下面が前記固定接点4の接点部4aと対向されて配置されるものとなっている。この時、前記可動接点5は、円形の外周縁部5cが前記平面状の窪み部2a、2bの平面に支持されており、この窪み部2a、2bが可動接点5の受け面となっている。
【0018】
このように、基台となる前記第2のハウジング2を合成樹脂等の絶縁材で形成すると共に、前記可動接点5の受け面を、この第2のハウジング2に一体に形成したことから、軟らかい材料からなる受け面を第2のハウジング2に一体形成することができ、製造が容易となっている。
【0019】
前記第2のハウジング2の上面側には、前記第1のハウジング1が嵌着されており、この時、前記開口部1a内に前記可動接点5が臨むように載置され、開口部1a内に延設された前記コモン接点3の一対の接触片3a、3aが、ドーム部5aの外周部上に延出すると共に、先端に形成された前記屈曲部3bが前記可動接点5のドーム部5aの外周部と弾接して電気的に接続されている。
【0020】
このように、前記可動接点5と前記コモン接点3との接続部を、コモン接点3の一部から延設した前記接触片3aで形成し、この接触片3aを可動接点5のドーム部5aの外周部に弾接させたことから、前記接続部を可動接点5とは別体に形成したので、反転ばねとしての前記可動接点5の設計自由度を大きくできるものとなっている。
【0021】
インシュレーター6は、可撓性を有する合成樹脂等の絶縁材シートからなり、下面に接着剤等からなる粘着層が設けられており、前記第1のハウジング1の開口部1aを覆うように、第1のハウジング1の上面に貼着されている。この時、前記第1のハウジング1の開口部1a内に配設された前記接触片3a、3a及び前記可動接点5のドーム部5aの上面側も同時にインシュレーター6の粘着層に貼着されるものとなり、接触片3aと可動接点5との接触を確実なものにすると共に、可動接点5の位置決めが行なわれる。また、インシュレーター6によって、接点部への塵埃の侵入を防止するものとなっている。
【0022】
次に、図5(a)、図5(b)を用いて上記構成の押釦スイッチの動作を説明する。先ず図5(a)に示す初期の状態(可動接点5が操作部材7によって押圧されていない状態)では、可動接点5は、コモン接点3とは接触片3aを介して電気的に接続されているが、スカート部5bの外周縁部5cが窪み部2a、2bに載置されてドーム部5aの頂部下面が固定接点4の接点部4aと対向されて配置され、固定接点4とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0023】
この状態から、図5(b)に示すように、可動接点5のドーム部5aがインシュレーター6を介して操作部材7によって押圧されると、ドーム部5aが下方へ反転してドーム部5aの頂部下面が固定接点4の接点部4aと接触することで、コモン接点3と固定接点4とが可動接点5を介して電気的に接続され、スイッチはオン状態となる。
【0024】
このように、上記実施例によれば、前記可動接点5の外周縁部5cの受け面を、前記第2のハウジング2の平面状の窪み部2a、2bで形成しており、固定接点4等の金属材に比べて軟らかい材料からなる合成樹脂等の絶縁部材で形成したことから、操作部材7の押圧によって可動接点5が反転動作を繰り返しても、打鍵によって可動接点5の外周縁部5cとの隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となると共に、可動接点5の割れを防止することができるので、スイッチ接点部の長寿命化が可能となっている。
【0025】
図6に示すのは、第2のハウジング2の窪み部2a、2bに載置される可動接点の変形例を示し、この場合、可動接点8は、中央にドーム部8aを有するが、外形が円形ではなく、対向する外周部が直線状にカットされた楕円状に形成されている。この場合でも、直線状のカット部8dを除くスカート部8bの外周縁部8cが、第2のハウジング2の平面状の窪み部2a、2bに載置されて受け面となっており、動作時においても上記実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例においては、可動接点の小型化が図れ、スイッチ全体の小型化が可能となる。
【0026】
尚、本実施例では、可動接点8は、ドーム部8aが楕円状にカットされており、このカット部8dが窪み部2aの固定接点4の接点部4aに繋がる延設部上に橋架された状態で載置されている。そして、カット部8dを除いたスカート部8bの外周縁部8cが、第2のハウジング2に埋設された固定接点4の接点部4aに繋がる延設部上にないため、固定接点4の延設部上の樹脂厚を薄くしたり、あるいは延出部を窪み部2aの表面上に露出させたとしても、可動接点8のスカート部8bの外周縁部8cと固定接点4とが接触する虞がない。このため、本実施例では第2のハウジング2の薄型化が図れ、スイッチ全体の薄型化が可能となる。
【0027】
図7乃至図10は、本発明の押釦スイッチの他の実施例を示し、図7は押釦スイッチの平面図、図8はハウジングの平面図、図9(a)は可動接点の平面図、図9(b)は可動接点の正面図、図10(a)、図10(b)は押釦スイッチの動作説明図である。
【0028】
図において、本実施例の押釦スイッチは、コモン接点12及び固定接点13が配設されたハウジング11と、ハウジング11に収納され、コモン接点12及び固定接点13と接続される可動接点14と、可動接点14とハウジング11の上部に貼着されるインシュレーター15から主に構成されている。
【0029】
基台となるハウジング11は、合成樹脂等の絶縁材からなり、外形が矩形状に形成されている。このハウジング11の一側部側には、導電性の金属材からなるコモン接点12が、インサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、このハウジング11の他側部側には、同じく導電性の金属材からなる固定接点13が、同じくインサート成形等の方法で一体に埋設されている。また、ハウジング11の中央には、やや小さな円形と、やや大きな楕円形とこの両方を連結する長尺状からなる平面状の窪み部11a、11b、11cが形成されている。
【0030】
これらの窪み部のうち、円形の窪み部11aの中央には、前記コモン接点12の接点部12aが表出して設けられており、また、楕円形の窪み部11bの中央には、前記固定接点13の接点部13aが表出して設けられている。また、前記コモン接点12の両端側は、前記ハウジング11の両側部から外方に突出されて外部端子12b、12bが設けられており、また、前記固定接点13の両端側は、同じく前記ハウジング11の両側部から外方に突出されて外部端子13b、13bが設けられている。
【0031】
可動接点14は、リン青銅板やステンレス板等の導電性の金属薄板からなり、楕円形の反転部14aと、この反転部14aから長尺状の桟部14bを介して先端側に形成された小円形の接触片14cとを有している。また、楕円形の反転部14aには、中央に反転可能なドーム部14dを有し、対向する外側にドーム部14dと連接する一対のスカート部14eを有し、このスカート部14eの外周に一対の円弧形の外周縁部14fを有している。
【0032】
この可動接点14は、楕円形の反転部14aが前記ハウジング11の窪み部11b内に収納され、前記スカート部14eの外周縁部14fが窪み部11bに載置されてドーム部14dの頂部下面が前記固定接点13の接点部13aと対向されて配置されるものとなっている。この時、前記可動接点14は、一対の円弧形の外周縁部14fが前記平面状の窪み部11bの平面に支持されており、この窪み部11bが可動接点14の受け面となっている。
【0033】
また、長尺状の前記桟部14bが前記窪み部11cに収納され、小円形の前記接触片14cが前記窪み部14aに収納され、接触片14cが前記コモン接点12の接点部12a上に載置されて、桟部14bの有する弾性によって接触片14cが接点部12aと弾接した状態で電気的に接続されて配置されるものとなっている。
【0034】
このように、前記可動接点14と前記コモン接点12との接続部を、前記可動接点14のドーム部14dの外周部から延設した前記接触片14cで形成し、この接触片14cを前記コモン接点14に弾接させたことから、接触片14cを可動接点14に一体形成できるので、組立が容易となっている。また、前記固定接点13と前記コモン接点12を基台となるハウジング11の同一平面に形成できるので、固定接点13やコモン端子12、及び外部端子13b、12bの配置自由度を大きくできるものとなっている。
【0035】
インシュレーター15は、可撓性を有する合成樹脂等の絶縁材シートからなり、下面に接着剤等からなる粘着層が設けられており、前記ハウジング11の窪み部11a、11b、11cを覆うように、ハウジング11の上面に貼着されている。この時、前記ハウジング11の窪み部11a、11b、11c内に配設された前記可動接点14のドーム部14dの上面側、及び桟部14bの上面側も同時にインシュレーター15の粘着層に貼着されるものとなり、接触片14cとコモン接点12の接点部12aとの接触を確実なものにすると共に、可動接点14の位置決めが行なわれる。また、インシュレーター15によって、接点部への塵埃の侵入を防止するものとなっている。
【0036】
次に、図10(a)、図10(b)を用いて上記構成の押釦スイッチの動作を説明する。先ず図10(a)に示す初期の状態(可動接点14が操作部材7によって押圧されていない状態)では、可動接点14は、コモン接点12とは接触片14cを介して電気的に接続されているが、スカート部14eの外周縁部14fが窪み部11bに載置されてドーム部14dの頂部下面が固定接点13の接点部13aと対向されて配置され、固定接点13とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0037】
この状態から、図10(b)に示すように、可動接点14のドーム部14dがインシュレーター15を介して操作部材7によって押圧されると、ドーム部14dが下方へ反転してドーム部14dの頂部下面が固定接点13の接点部13aと接触することで、コモン接点12と固定接点13とが可動接点14を介して電気的に接続され、スイッチはオン状態となる。
【0038】
このように、本実施例においても、前記可動接点14の外周縁部14fの受け面を、前記ハウジング11の平面状の窪み部11bで形成しており、固定接点13等の金属材に比べて軟らかい材料からなる合成樹脂等の絶縁部材で形成したことから、操作部材7の押圧によって可動接点14が反転動作を繰り返しても、打鍵によって可動接点14の外周縁部14fとの隙間が埋まるように軟らかい材料からなる受け面がならされ、均一な支持が可能となると共に、可動接点14の割れを防止することができるので、スイッチ接点部の長寿命化が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係る押釦スイッチを示す平面図である。
【図2】本発明の第1のハウジングを示す平面図である。
【図3】本発明の第2のハウジングを示す平面図である。
【図4】本発明の可動接点を示す平面図である。
【図5】本発明の押釦スイッチの動作説明図である。
【図6】本発明の図4とは異なる可動接点を用いた押釦スイッチの変形例を示す平面図である。
【図7】本発明の押釦スイッチの他の実施例を示す平面図である。
【図8】本発明の押釦スイッチの他の実施例のハウジングを示す平面図である。
【図9】本発明の押釦スイッチの他の実施例の可動接点を示す平面図及び正面図である。
【図10】本発明の押釦スイッチの他の実施例の動作説明図である。
【図11】従来の押釦スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:第1のハウジング
1a:開口部
1b:一側板部
2:第2のハウジング(基台)
2a:窪み部(受け面)
2b:窪み部(受け面)
3:コモン接点
3a:接触片
3b:屈曲部
3c:外部端子
4:固定接点
4a:接点部
4b:外部端子
5:可動接点
5a:ドーム部
5b:スカート部
5c:外周縁部
6:インシュレーター
7:操作部材
8:可動接点
8a:ドーム部
8b:スカート部
8c:外周縁部
8d:カット部
11:ハウジング(基台)
11a:窪み部
11b:窪み部(受け面)
11c:窪み部
12:コモン接点
12a:接点部
12b:外部端子
13:固定接点
13a:接点部
13b:外部端子
14:可動接点
14a:反転部
14b:桟部
14c:接触片
14d:ドーム部
14e:スカート部
14f:外周縁部
15:インシュレーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり前記可動接点に常時接続されるコモン接点、及び前記可動接点に対向して配置され前記ドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、前記可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、前記受け面を前記コモン接点、前記固定接点、及び前記可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、前記受け面に支持された前記可動接点の外周縁部とは異なる前記ドーム部の外周部に、前記コモン接点との接続部を形成したことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
前記基台を合成樹脂で形成すると共に、前記受け面を前記基台に一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記コモン接点に弾接させたことを特徴とする請求項1、又は2記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記可動接点のドーム部の外周部に弾接させたことを特徴とする請求項1、又は2記載の押釦スイッチ。
【請求項1】
金属薄板からなり押圧されることにより反転可能なドーム部を有する可動接点と、金属材からなり前記可動接点に常時接続されるコモン接点、及び前記可動接点に対向して配置され前記ドーム部が反転することにより接離可能な固定接点と、前記可動接点のドーム部の外周縁部を支持する受け面を有する基台とを備え、前記受け面を前記コモン接点、前記固定接点、及び前記可動接点よりも軟らかい材料からなる絶縁部材で形成し、前記受け面に支持された前記可動接点の外周縁部とは異なる前記ドーム部の外周部に、前記コモン接点との接続部を形成したことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
前記基台を合成樹脂で形成すると共に、前記受け面を前記基台に一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記可動接点のドーム部の外周部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記コモン接点に弾接させたことを特徴とする請求項1、又は2記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前記可動接点と前記コモン接点との接続部を、前記コモン接点の一部から延設した接触片で形成し、この接触片を前記可動接点のドーム部の外周部に弾接させたことを特徴とする請求項1、又は2記載の押釦スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−86082(P2006−86082A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272033(P2004−272033)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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