説明

拘束された非対称拡散体を備える光学素子

【課題】拘束された非対称拡散体を備える光学素子を提供する。
【解決手段】本発明は、光学膜を有する光学素子を提供する。光学素子は、その中にシャフトを有し、光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームを備え、光学膜は、その周縁に複数のスロットを有し、該周縁が支持フレーム上に設けられる。本発明は、各スロット内に設けられ、支持フレーム内に突出し、制御された張力によってシャフト上でスライド可能なピンと、光学膜に対して制御された張力を与えるためにシャフト上でスライド可能なばね機構とをさらに提供する。光学膜は、非対称拡散体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非対称拡散体を含む単一の光学素子及び光学ディスプレイ、より詳細には、LCDモニタ及びLCDテレビに使用され得る液晶ディスプレイ(LCD)におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、ラップトップコンピュータ、携帯用計算機、デジタル腕時計及びテレビなどのデバイスに用いられる光学ディスプレイである。一部のLCDは、ディスプレイの側面に位置する光源を、光源からLCDパネルの背面に光を導くように配置される導光体とともに含んでいる。他のLCD、例えば一部のLCDモニタ及びLCDテレビ(LCD−TV)は、LCDパネルの背後に配置される多数の光源を用いて直接照明される。この配置は、光パワー要件が一定水準のディスプレイ輝度を達成するためにディスプレイサイズの二乗に比例して増大するのに対し、ディスプレイの側面に沿って光源を設置するために利用できるスペースはディスプレイサイズに対して直線的に増大するだけであるため、より大型のディスプレイでますます一般的になっている。さらに、一部のLCD用途、例えばLCD−TVなどは、ディスプレイが他の用途よりも遠い距離から見えるように十分に明るいことを必要とし、LCD−TVに関する視角要件は、LCDモニタ及び携帯用デバイスに関する視角要件とは一般に異なる。
【0003】
一部のLCDモニタ及び大部分のLCD−TVは、多数の冷陰極蛍光灯(CCFL)によって背後から一般に照明される。これらの光源は、ディスプレイの全幅にわたって延びる線形であり、その結果、ディスプレイの背面は、暗領域によって隔てられた一連の明るいストライプで照明される。そのような照明プロファイルは望ましくないので、LCDデバイスの背面で照明プロファイルを滑らかにするために拡散板が使用されている。
【0004】
一部のLCDモニタ及び大部分のLCD−TVは、ランプの反対側にある拡散板に隣接する照明管理膜の配列を一般に積み重ねている。これらの照明管理膜は、コリメート拡散膜、プリズム光配向膜及び反射偏光子膜を一般に備えている。一部の膜は、最初に除去しなければならない保護カバーシートとともに供給され、その後、各照明管理膜がLCDのバックライトユニットに個別に取り付けられるので、LCDディスプレイを製造するためのこれらの個々の照明管理膜の取り扱いは、非常に大きな労働力を要する。また、各膜の個別の棚卸し及び追跡は、LCDディスプレイを製造するための総費用を増大させる場合がある。さらに、これらの照明管理膜は個別に取り扱われるので、組立工程の間に膜により多くの破損の危険がある。
【0005】
現在、LCD−TVの拡散板は、ガラス、ポリスチレンビーズ及びCaCO粒子を含む種々の分散相とともにポリメチルメタクリレート(PMMA)のポリマーマトリクスを一般に用いている。これらの板は、ディスプレイ製造業者が常にディスプレイの形状因子を薄くして重量を減らそうとしているのに、厚くて重い。拡散板は、ランプによってもたらされる高い湿度及び高温に曝された後に変形し又は反ることが多く、そしてそれはディスプレイの表示異常を引き起こす。加えて、拡散板は、ポリマーマトリクス全体に拡散粒子を均一に分布させるためにカスタマイズされた押出配合を必要とし、そしてそれはコストをさらに増大させる。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0082699号には、自己支持形基体と光学的拡散膜の独立した層を積層することによって拡散板のコストを削減する1つの手法が記載されている。ここでは、これらの層同士を積層するための接着剤の使用が、光吸収材料を追加することによるシステムの効率低下をもたらす。また、層同士を積層するための追加の加工費は自滅的である。また、この以前の開示は、拡散板の厚い形状因子及び重い重量の問題を解決していない。この解決策は、拡散板の反りの問題にも対処していない。また、一般に少なくとも1つの空隙が2つの隣接する照明管理層の間に必要とされるため、特別な積層技術が、照明管理層の配列全体を1つの一体ユニットにすることを可能にするために使用されなければならない。空隙を必要とする隣接層の周辺の周りを積層するこれらの特別な積層技術は、コストがかかり、一般に照明管理配列の物理的一体性を維持するのに有効ではない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0082699号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、拡散板を、非常に薄い形状因子も著しく軽い重量も有する光学拡散膜に置き換えることが望ましい。高水準の光均一性を維持しながら寸法安定性も高度な光の透過も有する拡散膜を有することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、その中にシャフトを有し、前記光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、その周縁に複数のスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記光学膜と、前記各スロット内に設けられ、前記支持フレーム内に突出し、制御された張力によって前記シャフト上でスライド可能なピンと、前記光学膜に対して制御された張力を与えるために前記シャフト上でスライド可能なばね機構とを備え、前記光学膜が非対称拡散体である光学素子を提供する。
【0009】
本発明は、光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、その周縁に複数のスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記光学膜と、その端部に穴をさらに有し、前記光学膜に対して制御された張力を与えるために前記各スロット内に設けられる引張ストラップと、前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、前記光学膜が非対称拡散体である光学素子を提供する。
【0010】
本発明は、多層光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、その端部に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張ストラップと、前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、前記外層膜が、光方向転換膜と非対称拡散膜とを備え、かつ前記引張ストラップによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子を提供する。
【0011】
本発明は、多層光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、その端部に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張ストラップと、前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、前記外層膜が、光学的に透明な膜を備え、かつ前記引張ストラップによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子を提供する。
【0012】
本発明は、多層光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、その中に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張グロメットと、前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張グロメットを固定するピンとを備え、前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、前記外層膜が、光方向転換膜と非対称拡散膜とを備え、かつ前記引張グロメットによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子を提供する。
【0013】
本発明は、多層光学膜を有する光学素子であって、該光学素子が、前記多層光学膜の外縁周辺に設けられる端部支持要素を備え、前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、前記外層膜が光学的透過基体を備え、前記内層膜が非対称拡散体を備える光学素子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
定義
便宜上、本明細書及び実施例で用いられる特定の用語がここに集められている。
【0015】
「拡散」及び「拡散する」は、反射による光散乱又は光拡散、粒子、面、層若しくは領域からの屈折又は回折を含むものとここに定義される。
【0016】
「拡散板」及び「拡散膜」並びに「拡散体」は、1つ以上の光線に対して散乱特性又は拡散特性を与える光学素子とここに見なされる。光線の角度の変化は、屈折、反射、拡散、回折又は入射光の方向を変化させることで知られている他の特性に起因してもよい。拡散板及び拡散膜は厚くても薄くてもよく、また、ここに言及される拡散板は、拡散膜又は拡散シートについて言及し、光機能は類似であってもよい。ここで示唆されているように、拡散板(又は拡散膜)は、薄くてもよく、また、異なる特性を提供する多くの層又は領域を組み込むことができる。拡散板は、体積中に又は1つ以上の面上に、所望の光学性能、熱的性能、機械的性能、電気的性能又は環境性能を与える他の特徴又は材料を組み込むことができる。
【0017】
光散乱素子の「利得」は、所与の方向の理論的に完全な拡散体の輝度に対する同方向の光透過材の最大輝度の比である。材料である特定のシートの利得を測定するためには、既知量の光がシートに向けられ、最大輝度が標準的な輝度計を用いて測定される。その後、測定された光の最大輝度は、理論的に「完全」な拡散材と比較される。
【0018】
不完全な拡散体の場合の利得は、理論的に完全な拡散体の輝度の値で割った最大輝度(ML)の値である。理論的に完全な透過型ランベルト拡散材の場合には、1フートキャンドル(10.76ルーメン/m)の照明を材料に与えると、すべての角度で1フートランベルトの輝度が得られる。従って、透過光の観点から材料による最大輝度が1フートランベルトに等しい場合には、理論上の拡散体に対するその利得は、透過角度に対して1.0である。不完全な拡散体の場合には、利得は、最大(ML)になり、所与の観察方向(通常は、拡散体の平面に対して直角に測定される)に対して1より大きい。従って、高い利得のスクリーンは、概して、他の角度よりも平面に対して直角に観察されるときにより明るい。材料を経由して透過した光が供給された光の量よりも多いことはあり得ないので、より少ない光が最大輝度の角度以外の角度で透過されなければならない。
【0019】
「多層光学膜」は、層と層の間に空隙を有する個別の膜を含む。多層光学膜は、必ずしも一体の膜又は積層された膜であることを要しない。
【0020】
「視野角」(AOV)は、材料の平面における2つの垂直軸に対するすべての角度に関する照明の測定である。これらは、X軸すなわち水平軸、及びY軸すなわち垂直軸と呼ばれている。視野角は、「半値全幅」という手法を適用することによって測定される。半値全幅でのAOV(a(1/2))は、測定された輝度が測定されかつ書き留められた最大輝度の2分の1のときの、(材料の平面に直角から測定される)角度の絶対値の和から計算される。例えば、+35°と−35°の角度が水平方向において最大輝度の2分の1を有するように測定される場合には、スクリーンの水平方向のAOV(a(1/2))は70°である。
【0021】
「非対称比」は、水平方向及び垂直方向のAOV(a(1/2))の大きい方を垂直方向及び水平方向のAOV(a(1/2))の小さい方で割ったものであり、拡散体の水平輝度と垂直輝度との間の非対称度の尺度である。
【0022】
「非対称拡散膜又は領域」は、1.5より大きい非対称比を有する膜又は領域とここで定義される。
【0023】
「偏光子」は、吸収又は反射偏光子を含むとここに定義される。これらは、染料及びヨウ素に基づく偏光子及び反射偏光子を含む。また、線形又は円形偏光子も含まれる。これらの実施形態で用いられるとき、偏光子は、光リサイクル性を増大させるために、波長板又は複屈折膜と組み合わせることができることは一般に知られている。例えば、4分の1波長膜は、光が偏光子の方へ戻るように反射されたときに、より多くの光が偏光子を通過できるように、反射偏光子と組み合わせて、光の偏光状態を回転させることができる。
【0024】
「光学的結合」は、一方の領域から他方の領域に通り過ぎる光の強度が領域間の屈折率の差によるフレネル界面反射損失によって実質的に低下しないように2つの領域又は層が結合した状態とここに定義される。「光学的結合」方法は、相互に結合される2つの領域が同様の屈折率を有する結合方法、又は実質的に近い若しくは領域又は層の中間の屈折率を有する光学接着剤を用いる方法を含む。「光学的結合」の例としては、屈折率整合光学接着剤を用いる積層、領域又は層を別の領域又は層の上にコーティングする積層、又は実質的に近い屈折率を有する2つ以上の層又は領域を結合するために加えられる圧力を用いる加熱積層が挙げられる。熱転写は、材料の2つの領域を光学的に結合するために使用することができるもう1つの方法である。製造では、2つの構成要素が、押出、コーティング、キャスティング又は成形などの形成プロセスの間に組み合わせられてもよい。例えば、2つの層は、それらが互いに接触して結合又は連結されるように一緒に同時押出することができる。これらの場合には、層又は領域は、光学的結合とここに見なされる。
【0025】
「プリズム」又は「プリズムシート」若しくは「プリズム構造」は、所望の方向に向かって光を屈折又は反射する表面凹凸構造とここに定義される。この屈折及び反射は、膜を通過する光に対してコリメート特性を与えることができる。その構造は、細長いプリズム構造、マイクロレンズ構造及び他の表面凹凸構造のアレイを含むことができる。これらの特徴は、断面プロファイル、表面粗さによって、又は他の表面特性化手段によって定義することができる。
【0026】
「コリメート膜」及び「コリメート構造」は、基体上の構造の場合は、膜又は構造から出射する一層多くの光線が膜面又は基体面の表面法線に向かって向けられる膜又は構造とここに定義される。コリメート特性は、プリズム構造、円錐構造、マイクロレンズ構造、ピラミッド構造、半球構造又は前記構造の線形アレイ、円形アレイ、ランダムアレイ、規則的アレイ、半ランダムアレイ若しくは平面アレイなどの屈折構造によって達成可能である。
【0027】
ここに用いられる「粒子」及び「ドメイン」は、それらの周囲と明らかに異なる1つ以上の材料の個別の領域について言及する。これらは、有機粒子、無機粒子、分散相ドメイン、分散粒子を含む。これらは、形状に制限がなく、繊維状、球状、楕円状又は平面状のような形状であってもよい。
【0028】
本発明の好ましい非対称拡散膜は、製造に用いられる材料及びプロセスに高い柔軟度を提供する。本発明では、構造的要件と光学的要件は、拘束機構が構造的性能を提供し、薄い非対称拡散膜が光学的性能を提供するというように、分けられている。これらの機能を分離することによって、薄い非対称拡散シートを用いることのコスト優位性は、全費用を削減することに利用することができる。非対称拡散膜を有する基体を含まないことによって、高水準の光学的性能と低い製造コストが実現される。加えて、拡散体が基体ではなく膜に含まれるときに、拡散特性をより正確に制御することが容易である。非対称拡散膜を用いることによって、最適な光学的性能は、拡散体がいかなる厚さでも提供可能である。
【0029】
直接照明液晶ディスプレイデバイス100の典型的な実施形態の概略分解図が図1に示されている。このようなディスプレイデバイス100は、例えば、LCDモニタ又はLCD−TVで使用可能である。ディスプレイデバイス100は、一般にパネル板134の間に配置される液晶の層136を備える液晶パネル140を備える前部パネルアセンブリ130の使用に基づいている。板134は、ガラスから形成されることが多く、液晶層136内の液晶の配向を制御するために、それらの内面に電極構造及び配向層を含むことができる。電極構造は、液晶パネル画素を規定するように一般に配置され、液晶の配向をする液晶層の領域は、隣接する領域とは無関係に制御可能である。また、カラーフィルタは、表示される画像に色を付与するために、1つ以上の板134に含まれていてもよい。
【0030】
上部吸収偏光子138は液晶層136の上方に配置され、下部吸収偏光子132は液晶層136の下方に配置される。吸収偏光子138,132と液晶パネル140の組み合わせは、バックライト110からディスプレイ100を介して観察者への光の透過を制御する。一部の液晶ディスプレイでは、吸収偏光子138、132は、それらの透過軸に垂直に配置され得る。液晶層136の画素が活性していないときには、それらを通過する光の偏光が変化しなくてもよい。従って、吸収偏光子138、132が垂直に整列しているときには、下部吸収偏光子132を通過する光は、上部吸収偏光子138によって吸収される。他方、画素が活性しているときには、下部吸収偏光子132を介して伝播する光の少なくとも一部が、上部吸収偏光子138を介しても伝播するように、それらを通過する光の偏光が回転する。例えば、コントローラ150による液晶層136の異なる画素の選択的活性化は、特定の所望の位置でディスプレイから出る光をもたらし、従って、観察者によって見られる画像を形成する。コントローラは、例えば、コンピュータ又はテレビ画像を受信して表示するテレビコントローラを含むことができる。1つ以上の任意層139が、例えば、ディスプレイ表面に機械的及び/又は環境的保護を与えるために、上部吸収偏光子138の上に設けられてもよい。1つの典型的な実施形態では、層139は、吸収偏光子138上のハードコートを含むことができる。
【0031】
当然のことながら、一部のタイプの液晶ディスプレイは、上記とは異なる態様で動作することができる。例えば、吸収偏光子が平行に整列していてもよく、液晶パネルが、非活性状態にあるときに光の偏光を回転してもよい。とにかく、そのようなディスプレイの基本構造は、依然として上記の構造と同様である。
【0032】
バックライト110は、液晶パネル120を照らす光を生成する多数の光源114を含む。LCD−TV又はLCDモニタに用いられる光源114は、ディスプレイデバイス100にわたって延長する線形冷陰極蛍光管であることが多い。しかしながら、他のタイプの光源、例えば、白熱電球、アーク灯、発光ダイオード(LED)、平面蛍光パネル又は外部蛍光パネルなどが用いられてもよい。光源のこのリストは、限定又は網羅することを意図したものではなく、単なる例である。
【0033】
また、バックライト110は、液晶パネル140から離れる方向に光源114から下向きに伝播する光を反射するための反射体112を含むことができる。また、反射体112は、以下に説明されるように、ディスプレイデバイス100内で光を再循環するのに役立つ。反射体112は、鏡面反射体であってもよいし、又は拡散反射体であってもよい。適切な拡散反射体の例としては、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの拡散的に反射する粒子がたっぷり入っているポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリマーが挙げられる。
【0034】
照明管理層120の配列は、バックライト110と前部パネルアセンブリ130の間に配置される。照明管理層は、ディスプレイデバイス100の動作を改善するために、バックライト110から伝播する光に作用する。例えば、照明管理層120の配列は、拡散板122を含むことができる。拡散板122は、光源から受ける光を拡散するために用いられ、液晶パネル140への入射照明光の均一性の増大をもたらす。従って、これは、観察者によってより均一に明るいと認識される画像をもたらす。
【0035】
また、照明管理層120の配列は、反射偏光子128を含むことができる。光源114は、通常は非偏光を生成するが、下部吸収偏光子132は、1つの偏光状態を透過するだけであるため、光源114によって生成された光の約半分は、液晶層136まで透過されない。しかしながら、反射偏光子128は、さもなければ下部吸収偏光子に吸収される光を反射するのに用いることができるため、この光は、反射偏光子128と反射体112との間の反射によって再循環可能である。反射偏光子128によって反射される光の少なくとも一部が偏光解消され、その後に、反射偏光子128及び下部吸収偏光子132を介して液晶層136に透過される偏光状態で反射偏光子128に戻されることがある。この態様では、反射偏光子128が液晶層136に達する光源114から放出された光の一部分を増大するのに使用可能であるため、ディスプレイデバイス100によって生成される画像がより明るい。
【0036】
任意の適切なタイプの反射偏光子は、例えば、連続/分散相偏光子、ワイヤグリッド反射偏光子又はコレステリック反射偏光子などの拡散反射偏光子膜(DRPF)や多層光学膜(MOF)反射偏光子などを用いることができる。
【0037】
また、照明管理層120の配列は、光配向膜126を含むことができる。光配向膜は、ディスプレイの軸により近い方向に軸外の光を向け直す表面構造を含む膜である。これは、液晶層136を介して軸上に伝播する光の量を増大し、従って、観察者によって見られる画像の明るさを増大させる。一例は、屈折及び反射によって照明光を方向転換する多数のプリズム隆起を有するプリズム光配向膜である。
【0038】
典型的に、制御された張力は、膜の穴又はスロットを通って突出するピンを有するばね型機構の使用によって提供される。制御された張力を提供するためのもう1つの手段は、ばね型機構として、膜の穴又はスロットを通って突出する引張ストラップを用いることである。
【0039】
ばね型機構は、膜の周辺の周りに位置するフレームにさらに固定される。「ばね型機構」は、可動域にわたって均一な張力を実質的に維持することができる任意の機構とここで定義される。その可動域は、設計温度及び湿度範囲下で張力をかけた膜の寸法の最大予想変化と少なくとも同じくらい遠い距離でなければならない。「実質的に維持する」は、張力を元の力の少なくとも50%に維持するとここで定義される。好ましくは、張力は、元の力の少なくとも75%に維持することが可能である。「膜」という用語は、500μm未満の厚さを有する材料のシートとここで定義される。
【0040】
本発明の光学素子の1つの典型的な実施形態が図2に概略的に示されている。光学素子200は、非対称拡散膜214と、膜の周辺の周りに位置する支持フレーム212とを含む。「周辺」は、膜のすべての薄い端部に沿って描かれた仮想的な実線とここで定義される。典型的にLCDディスプレイの場合には、矩形の周辺を作り出す4つの直交する端部がある。また、後続の図に示されるように、他の光学膜が、非対称拡散膜より上で、照明管理層の配列に加えられることもできる。図2は、非対称拡散膜214が張力によって支持される1つの手段を示している。ピン216は、膜のスロット220を通って突出する。ピンは、張力の方向に対して垂直である少なくとも1つの面を有する。ピン216は、シャフト222上でスライドする。シャフト222は、フレーム212によって両端で固定される。フレームは、固定面として張力を与えるのに役立ち、また、張力をかけた膜がフレームの上面に接触していくらか引っ張られることによって位置的に維持される面を形成するのに役立つこともできる。ばね218は、シャフト222上でスライドし、ピン216に接触して圧縮され、適用位置に最も近い膜の端部に対して垂直な方向に加えられる張力を光学拡散膜214に生じさせる。多くのこのようなばね型機構が、様々な位置で、拡散膜214の周辺の周りに配置される。
【0041】
非対称拡散膜214は、張力をかけたときに自己支持形である。ここで「自己支持形」とは、膜自体の重量に照明管理配列に使用されるその他の光学膜の重量を加えた下で膜の面均一性を維持するものと定義される。「面均一性」は、拡散膜の最長側面の長さの180°未満の元の位置からの面外偏位を有するものと定義される。
【0042】
張力をかけた非対称拡散膜214と1つ以上の他の照明管理層が、バックライトとLCDパネルとの間に配置される照明管理配列に含まれてもよい。張力をかけた非対称拡散膜214は、照明管理配列を支持するための安定構造を提供する。張力をかけた膜は、従来の拡散板システムのように反るようなタイプではない。
【0043】
非対称拡散膜214の典型的な実施形態は、一般にポリマー膜を含む。このようなポリマー非対称拡散膜は、光拡散構造が膜の体積中にある体積拡散体か、光拡散構造が膜の表面上にある表面拡散体のどちらかである。非対称拡散体214は、体積レリーフ又は表面レリーフに基づく、非対称であっても対称であってもよい拡散領域を含むことができる。
【0044】
非対称体積拡散膜
非対称体積拡散体は、膜の体積中に、それらの主軸に関して少なくともいくらか整列している非球状ドメインを含む領域を有する。これらのドメインは、膜のマトリクスポリマーとは異なる屈折率を有する。
【0045】
非対称体積拡散体214は、2つ以上の拡散領域又は層を含むことができる。1つ以上の拡散領域は、非対称拡散プロファイルを有することができる。好ましい実施形態では、剛体の実質的に透明な材料は、2つの拡散領域を分離する。好ましい実施形態では、非対称拡散領域は、バックライトの輝度均一性が改善されるように整列している。別の好ましい実施形態では、光源の線形アレイ又はグリッドアレイを用いたバックライトの空間輝度プロファイルは、1つ以上の非対称拡散領域の使用によって実質的に均一である。
【0046】
x−z面及びy−z面の拡散量は、バックライト及びディスプレイの輝度均一性及び潜在的視野角に影響を及ぼす。一方の面の拡散量を他方の面の拡散量よりも優先的に増大させることによって、視野角は非対称に拡大する。例えば、y−z面より多くのx−z面の拡散によって、ディスプレイの視野角(輝度及びディスプレイコントラストに関係している)は、x方向に拡大可能である。バックライトにおける非対称拡散膜214の1つ以上の拡散層によって導入される拡散非対称性は、ディスプレイの視野角及び角度強度プロファイル並びにバックライト及びディスプレイシステムの光学効率にわたってより一層の制御を可能にすることができる。別の実施形態では、拡散量が拡散層の面内で変化する。別の実施形態では、拡散量が層の面(z方向)に垂直な面内で変化する。好ましい実施形態では、拡散量は、1つ以上の光源にごく接近した領域内でより大きい。
【0047】
非対称拡散体における強拡散の軸の配列は、光源又はバックライトの端部に対して平行、垂直又は斜めに整列させることができる。好ましい実施形態では、強拡散の軸がバックライトにおける線形光源の長さに対して垂直に整列している。
【0048】
1つ以上の非対称拡散層内の粒子は、繊維状、回転楕円状、円筒状、他の非対称形状又はこれらの形状の1つ以上の組み合わせであってもよい。粒子の形状は、y−z面よりもx−z面において実質的に多くの拡散が生じるように設計することができる。粒子又はドメインの形状は、x、y又はz方向のうちの1つ以上に沿って空間的に変化してもよい。変化は、規則的、半ランダム又はランダムであってもよい。
【0049】
拡散層内の粒子は、拡散層若しくは線形光源の端部又は光源のアレイに対して垂直、平行又は斜めに整列させることができる。好ましい実施形態では、拡散層内の粒子が光源の線形アレイに対して平行である1つの軸に沿って実質的に整列している。
【0050】
粒子は、連続相材料の体積中に含まれてもよいし、連続相材料の表面又は実質的に平坦な面から突出してもよい。
【0051】
ここに記載される1つ以上の光拡散層内の粒子は、低濃度でも高濃度でもよい。拡散層が厚いときには、低濃度の粒子が必要とされる。光拡散層が薄いときには、高濃度の粒子が必要とされる。分散相の濃度は、1重量%未満〜50重量%であってもよい。一定の条件において、50重量%より高い粒子濃度が材料及び製造技術の厳選によって達成されてもよい。より高い濃度は、より薄い拡散層を可能にし、結果として、より薄いバックライト及びディスプレイを可能にする。
【0052】
粒子とマトリクスの屈折率差は、非常に小さくても又は大きくてもよい。屈折率差が小さい場合には、そのときにより高濃度の粒子が1つ以上の方向に十分な拡散を得るために必要とされる場合がある。屈折率差が大きい場合には、そのときにより少ない(より低濃度の)粒子が十分な拡散と輝度均一性を得るために一般的に必要とされる。粒子とマトリクスの屈折率差は、x、y又はz方向のうちの1つ以上において、ゼロであってもよいし、ゼロより大きくてもよい。
【0053】
個々のポリマー相の屈折率は、膜による光散乱の程度に寄与する1つの因子である。低屈折率材料と高屈折率材料の組み合わせは、より大きい散乱角をもたらす。複屈折材料が使用される場合には、x、y及びz方向の屈折率が被加工材の拡散量又は反射量にそれぞれ影響を及ぼす場合がある。一部の用途では、熱的品質、機械的品質又は低コストなどの特定の品質のために特定のポリマーを用いることができるが、(x、y又はz方向、又はそれらの複数の組み合わせにおける)材料間の屈折率差が所望の拡散量又は反射などの他の光学特性を生成するのに適さない場合がある。これらの場合には、平均体積屈折率を増大又は減少させるために、一般にサイズが1ミクロン未満の小さい粒子を用いることが当技術分野で知られている。好ましくは、光がこれらの追加粒子から直接散乱することはなく、また、これらの粒子の追加が吸収又は後方散乱を実質的に増大させることもない。
【0054】
追加粒子は、追加されるポリマーの屈折率及び粒子の量と粒子の有効屈折率とに基づく平均屈折率を増大又は減少させることができる。そのような添加物としては、米国特許第6,773,801号で論じられているように、エアロゲル、ゾル‐ゲル材料、シリカ、カオリン、アルミナ、MgF(屈折率は1.38)、SiO(屈折率は1.46)、AlF(屈折率は1.33〜1.39)、CaF(屈折率は1.44)、LiF(屈折率は1.36〜1.37)、NaF(屈折率は1.32〜1.34)及びThF(屈折率は1.45〜1.5)の微粒子などを挙げることができ、考慮することができる。あるいは、高屈折率を有する微粒子は、チタニア(TiO)若しくはジルコニア(ZrO)又は他の金属酸化物の微粒子などを用いてもよい。
【0055】
拡散層の1つ以上の面は、平坦でない面を含んでもよい。表面プロファイルは、x、y又はz方向に1nm〜3mmに及び得る突起又は窪みを含んでもよい。プロファイル又は個別の特徴は、周期的、ランダム、半ランダム又は他の均一若しくは非均一構造を有してもよい。表面特徴は、コリメーション、抗ブロッキング、屈折、対称拡散、非対称拡散又は回折などの機能を拡散板に与えるように設計することができる。好ましい実施形態では、表面特徴は、コリメーション特性を提供するプリズム構造の線形アレイである。別の好ましい実施形態では、ウェットアウトを防止し、抗ブロッキング特性又は光コリメーション特性を提供する半球突起を含む。
【0056】
拡散層の1つ以上の面は、コリメーション特性を提供する表面プロファイルを含んでもよい。コリメーション特性は、大角度から入射する光線をディスプレイの垂線に近い角度(より小さい角度)に向ける。特徴は、プリズムの線形アレイ、ピラミッドのアレイ、円錐のアレイ、半球のアレイ又はより多くの光をバックライトの表面に垂直な方向に向けるのに知られた他の特徴の形態であってもよい。特徴のアレイは、規則的、不規則的、ランダム、秩序的、半ランダム又は光が屈折、反射、全内部反射、回折又は散乱によってコリメートされ得る他の配列であってもよい。
【0057】
本発明の強化された非対称拡散体は、追加の光学的、機械的、環境的、熱的又は電気的利点を提供する材料、添加物、構成材、混合物、被覆物、処理物、層又は領域を含んでもよい。拡散膜の特性としては、光学特性としての増大した光処理量、1つ以上の軸に沿って増大/減少した拡散、低減又は増大した複屈折性、増大した輝度均一性、改善した色安定性、低減したヘーズ、機械/物理特性としての増大した剛性、縮小した厚さ、減量した重量、増大した引っ掻き抵抗性、低減/増大した鉛筆硬度、抗ブロッキング特徴、環境特性としての低減した反り、増大した耐光性、増大した耐湿性、増大した耐光性、増大した紫外線吸収、熱特性としての増大した耐熱性、上昇した軟化温度、電気特性としての低下した表面抵抗のうちの1つ以上を挙げることができる。
【0058】
非対称表面拡散膜
非対称表面拡散体は、膜の表面上に、それらの主軸に関して少なくともいくらか整列しているホログラフィック構造又は非球状ドメインを含む構造を有する。ホログラフィック構造は、通常は、記録された材料ツールから膜の上にエンボス加工される。非球状ドメインは、膜のマトリクスポリマーとは異なる屈折率を有する。少なくともいくらか整列している非球状ドメインの一実施形態は、アナモルフィックマイクロレンズの最密アレイである。「アナモルフィック」とは、2つの直交方向のそれぞれに異なる倍率の画像を生成する特徴を言う。
【0059】
非対称拡散膜構成
拡散膜は、連続相及び分散相を含む1つ以上の光散乱領域から構成することができる。別の実施形態では、拡散膜は、非対称散乱特性を示す光散乱表面特徴の領域を含んでもよい。別の実施形態では、1つ以上の拡散層が、非対称拡散膜214の2つ以上の構成要素を接合する接着剤であってもよい。また、膜は、実質的に光学的に透明で、かつ連続相であり得る基体を含んでもよい。基体、分散相又は連続相に選ばれる材料は、1つ以上のポリマー材料又は無機材料であってもよい。
【0060】
そのようなポリマーとしては、これらに限定されないが、アクリル系、スチレン系、オレフィン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、セルロース系、ポリエステル−カーボネート系などが挙げられる。具体例としては、ポリ(メチルメタクリレート)及びそのコポリマー、ポリスチレン及びそのコポリマー、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリエチレン及びそのコポリマー、ポリプロピレン及びそのコポリマー、ポリ(エチレン−プロピレン)コポリマー、ポリ(ビニルアセテート)及びそのコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びそのコポリマー、ビスフェノールAポリカーボネート及びそのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)及びそのコポリマー、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)及びそのコポリマー、ポリアリレート、ポリアミドコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリエーテルイミド及びそのコポリマー、ポリエーテルスルホン及びそのコポリマー、ポリスルホン及びそのコポリマー及びポリシロキサンが挙げられる。
【0061】
多くのメタクリレート及びアクリレート樹脂が本発明の1つ以上の相に適している。メタクリレート系としては、これらに限定されないが、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、メチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート−アクリレートコポリマー及びメチルメタクリレート−スチレンコポリマー(例えば、MS樹脂)などのポリメタクリレート系が挙げられる。好ましいメタクリル樹脂としては、ポリ(アルキルメタクリレート)及びそのコポリマーが挙げられる。最も好ましいメタクリル樹脂としては、ポリ(メチルメタクリレート)及びそのコポリマーが挙げられる。アクリレート系としては、これらに限定されないが、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)及びそのコポリマーが挙げられる。
【0062】
様々なスチレン樹脂が本発明のポリマー相に適している。そのような樹脂としては、例えば、シンジオタクチックポリスチレンなどのビニル芳香族ポリマーが挙げられる。本発明に有用なシンジオタクチックビニル芳香族ポリマーとしては、ポリ(スチレン)、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリルスチレン)、ポリ(スチレンハライド)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニルエステルベンゾエート)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)及びポリ(アセナフタレン)のほかにその水素化ポリマー及び混合物又はこれらの構造単位を含むコポリマーが挙げられる。ポリ(アルキルスチレン)の例としては、以下の異性体、すなわち、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)及びポリ(ブチルスチレン)の異性体が挙げられる。ポリ(アリルスチレン)の例としては、ポリ(フェニルスチレン)の異性体が挙げられる。ポリ(スチレンハライド)に関しては、例として、以下の異性体、すなわち、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)及びポリ(フルオロスチレン)の異性体が挙げられる。ポリ(アルコキシスチレン)の例としては、以下の異性体、すなわち、ポリ(メトキシスチレン)及びポリ(エトキシスチレン)の異性体が挙げられる。これらの例の中で、好ましいスチレン樹脂ポリマーは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−第三ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)及びスチレンのコポリマー及びp−メチルスチレンのコポリマーである。最も好ましいスチレン樹脂としては、ポリスチレン及びそのコポリマーが挙げられる。
【0063】
特定のポリエステル樹脂及びコポリエステル樹脂が本発明の相に適している。そのような樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)及びそのコポリマー、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)及びそのコポリマー、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)及びそのコポリマー、及びポリ(ブチレンテレフタレート)のコポリマーが挙げられる。樹脂の酸成分は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸又は前記酸の混合物を含むことができる。ポリエステル及びコポリエステルは、フタル酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むがこれらに限定されない少量の他の酸又は酸(又は等価なエステル)の混合物によって調整することができる。樹脂のグリコール成分は、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ブチレングリコール又は前記グリコールの混合物を含むことができる。また、コポリエステルは、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA及びハイドロキノンを含むがこれらに限定されない少量の他のグリコール又はグリコールの混合物によって調整することができる。好ましいポリエステル樹脂としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールの混合物と、テレフタル酸とイソフタル酸又はそれらの等価なエステルの混合物との反応によって形成されるコポリエステルが挙げられる。最も好ましいポリエステル樹脂としては、1,4−シクロへキサンジメタールとエチレングリコールの混合物と、テレフタル酸又はそれの等価なエステルとの反応によって形成されるコポリエステルが挙げられる。
【0064】
特定のポリカーボネート樹脂及びコポリカーボネート樹脂が本発明の相に適している。ポリカーボネート樹脂は、通常は、溶液重合又は溶融重合によってカーボネート前駆体とジフェノールを反応させることによって得られる。ジフェノールは、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆる「ビスフェノールA」)であるが、他のジフェノールが、ジフェノールの全部又は一部として用いられてもよい。他のジフェノールの例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル−)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンが挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、全ジフェノールの総量の50モル%以上、特に好ましくは70モル%以上の量でビスフェノールAを含む樹脂であることが好ましい。カーボネート前駆体の例としては、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、上記ジフェノールのビスクロロホルメート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート及びジナフチルカーボネートが挙げられる。これらの中で、ホスゲン及びジフェニルカーボネートが特に好ましい。
【0065】
多くのポリ(アルキレン)ポリマーが本発明の相に適している。そのようなポリアルキレンポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリ(4−メチル)ペンテン、そのコポリマー、その塩素化された変種及びそのフッ化された変種が挙げられる。
【0066】
特定のセルロース樹脂が本発明の相に適している。そのような樹脂としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、セルロースナイトレートが挙げられる。また、ジエチルフタレートなどの各種可塑剤を含むセルロース樹脂も本発明の範囲内である。
【0067】
非対称拡散膜添加物
添加物、構成材、混合物、被覆物、処理物、層又は領域が、追加の特性を提供するために、前述の相上又は相内に結合されてもよい。これらは、無機材料でも有機材料でもよい。これらは、膜が歪まないように増大した耐熱性を提供するように選択することができる。これらは、高い湿度に曝されたときに膜が反ったり他の特性を低下させたりしないように増大した耐湿性を提供するように選択することができる。これらの材料は、バックライト内で他の構成要素と接触したときのウェットアウトを低下させることによって改善された光学性能を提供するように設計することができる。これらは、ディスプレイ又はバックライトシステム内で他の構成要素の引っ掻き抵抗性を増大、減少又は一致させるように選択することができる。これらは、帯電防止特性を達成するために、非対称拡散膜の表面抵抗又は体積抵抗を低減するように選択することができる。
【0068】
添加物は、非対称拡散膜の1つ以上の層の構成要素中にあってもよい。これらは、製造工程中に組み合わせられる表面層または機能層上に追加される被覆物であってもよい。これらは層の体積中又は被覆物中に分散されてもよいし、又はこれらは表面に適用されてもよい。
【0069】
非対称拡散膜214は、例えば、層のうちの1つに、紫外線吸収材料又は紫外線の影響に対して耐性がある材料を含むことによって、紫外線(UV)からの保護を提供することができる。適切な紫外線吸収化合物は、市販されており、例えば、デラウェア州ウィルミントンのCytec Technology Corporationから入手可能なCyasorb(登録商標)UV−1164及びニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsから入手可能なTinuvin(登録商標)1577を含む。
【0070】
他の材料が紫外線の悪影響を低減するために光学拡散層214に含まれてもよい。そのような材料の一例は、ヒンダードアミン系光安定化組成物(HALS)である。一般に、最も有用なHALSは、テトラメチルピペリジンに由来するものであり、ポリマー第三アミンと見なすことができるものである。適切なHALS組成物は、例えば、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから「Tinuvin」という商標名の下で市販されている。
【0071】
帯電防止モノマー又は不活性添加物が非対称拡散膜の層又は表面の1つ以上に加えられてもよい。反応性及び不活性の帯電防止添加物は、よく知られており、文献中にかなり列挙されている。高温の第4アミン又は導電性ポリマーが用いられてもよい。帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及び他の長鎖アルキルアルコール、グリセリルモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート及び多価アルコールなどの他の脂肪酸エステルが用いられてもよい。好ましい実施形態では、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが用いられてもよい。
【0072】
拡散膜サイズ
非対称拡散膜214の寸法は、光源からディスプレイまでの光路間に実質的に位置するように延長されてもよい。小型ディスプレイの場合には、拡散板が、腕時計のディスプレイの場合のように1cm以下の一方向における寸法を有してもよい。大型ディスプレイでは、拡散板の寸法が、一般に、少なくとも最終観察面の一次元と同じ大きさである。拡散板又は膜の厚さは、0.5mm〜100ミクロン未満であってもよい。
【0073】
輝度均一性のために十分な拡散を達成するように薄い非対称的に拡散する膜を用いる能力は、膜による光のより少ない吸収を可能にする。また、薄い非対称に拡散する層は、より薄い基体を用いる能力を可能にし、従って、より薄いバックライトを達成する。
【0074】
非対称拡散膜構造
拡散膜は、入射光を対称又は非対称に拡散し得る1つ以上の拡散層を含んでもよい。層は、膜の表面又は膜内のいずれか一方又は両方に位置してもよい。好ましい実施形態では、非対称拡散層が実質的に散乱しない透明層の下方に位置している。また、3つの拡散層が用いられてもよく、それらは実質的に拡散しない領域によって分離されていてもよく、1つ以上の拡散層の軸が互いに対して平行、垂直又は斜めであってもよい。非対称拡散膜は、ここに論じられるコリメート特性又は他の光学的、熱的、機械的、電気的及び環境的特性を提供するために追加の層又は要素を含んでもよい。
【0075】
非対称拡散膜の製造方法
本発明の一実施形態では、非対称拡散膜材料を生産するための方法は、第1の光学的に透明な材料と第2の光学的に透明な材料を選択し(ここで、第1及び第2の光学的に透明な材料は、x、y及びz方向の少なくとも1つにおいてゼロ又はゼロより大きい屈折率差を有し、互いに混和しない)、両材料の活発な混合、溶融混合、配合、素練り又は簡易押出加工などによって第1の材料中に第2の材料を分散させ、その混合物から膜、シート又は被覆物を形成し(膜を硬化させることを含む)、及び必要に応じて、非対称光学特性を生じさせるためにシート成形加工の一体部分として材料を適応させるステップを含む。材料の選択としては、室温で固体であり、加熱時には、高温で流体となる、例えば熱可塑性ポリマー材料などの光学的に透明な材料が挙げられる。
【0076】
本発明の実施形態に従って、様々な厚さ及び構造の膜及び被覆物を含む光学素子は、フィルムキャスティング、シートキャスティング、異形押出、インフレーションフィルム押出、同時押出、射出成形などの手段を用いて製造することができる。材料は、個別の拡散膜として用いられてもよいし、又は強化された拡散膜を提供するために他の材料又は効果と結合されてもよい。拡散体は、他の素子と組み合わせたり、又は拡散、正透過、反射、利得、ヘーズ、透明度、後方散乱、1以上の方向における出射光プロファイルの角度変更、保存される偏光の割合及び分光透過率に関する光学性能又は吸収特性を改善する特徴を含むことができる。
【0077】
膜の体積中に非対称拡散プロファイルを生産するための多くの異なる機構がある。これらは、材料を延伸させる、すなわち、粒子を対称形状にさせるように材料を延伸させることにより粒子を整列させることによって、非対称領域を生成することを含む。他の整列方法、例えば押出成形や当業界で周知の他の方法なども用いることができる。
【0078】
本発明の別の実施形態では、入射光を非対称に散乱する表面凹凸構造は、フィルムキャスティング、シートキャスティング、異形押出、インフレーションフィルム押出、同時押出、射出成形によって、拡散膜の1つ以上の表面上に生成される。好ましい実施形態では、拡散膜の屈折率がx、y又はz方向のうちの1つ以上で実質的に等方性である。
【0079】
拡散膜は、追加の光学品質を提供するために追加の特徴又は材料を組み込むことが可能である。特徴の例としては、基体又は拡散体の1つ以上の表面に規則的、ランダム、半ランダムな表面特徴をエンボス加工することが挙げられる。これは、上記のように、回折構造、ホログラフィック構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造又は他の構造であってもよい。添加物は、光学的、機械的、熱的及び環境的耐性を含む多くの性能要件を改善するように材料中に使用することができる。
【0080】
本発明の別の典型的な実施形態が図3に概略的に示されている。光学素子300は、ポリマー非対称拡散膜314と、その膜の周辺の周りに位置する支持フレーム312とを含む照明管理膜の配列である。また、他の光学膜がポリマー非対称拡散膜の上で照明管理層の配列に追加される。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜334は、ポリマー非対称拡散膜314に隣接して配置される。光配向膜335は、非対称拡散膜の向かい側に、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜334に隣接して配置される。反射偏光子膜336は、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜の向かい側に、光配向膜335に隣接して配置される。図3は、非対称拡散膜314が張力によって支持される1つの手段を示している。ピン316は、膜のスロット320を通って突出する。ピンは、張力の方向に対して垂直である少なくとも1つの面を有する。ピン316は、シャフト322上でスライドする。シャフト322は、フレーム312によって両端で固定される。また、ばね318は、シャフト322上でスライドし、ピン316に接触して圧縮され、適用位置に最も近い膜の端部に対して垂直な方向に加えられる張力を非対称拡散膜314に生じさせる。多くのこのようなばね型機構が、様々な位置で、拡散膜314の周辺の周りに配置される。張力をかけた非対称拡散膜314は自己支持形である。他の光学膜334、335及び336は、スロット326を通って膜から突出するピン324を介してフレーム312によってすべて拘束される。図3の光学素子300は、従来のLCDディスプレイの拡散板及び任意の光学膜の代わりに用いることができる。
【0081】
本発明の別の典型的な実施形態が図4に概略的に示されている。光学素子400は、ポリマー非対称拡散膜414と、その膜の周辺の周りに位置する支持フレーム412とを含む照明管理膜の配列である。また、他の光学膜がポリマー非対称拡散膜の上で照明管理層の配列に追加される。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜434は、ポリマー非対称拡散膜414に隣接して配置される。光配向膜435は、非対称拡散膜414の向かい側に、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜434に隣接して配置される。反射偏光子膜436は、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜434の向かい側に、光配向膜435に隣接して配置される。図4は、非対称拡散膜414が張力によって支持される代替手段を示している。ピン416は、膜のスロット420を通って突出する。ピンは、張力の方向に対して垂直である少なくとも1つの面を有する。ピン416は、フレーム412の内面上でスライドするサブフレーム413内に固定される。シャフト422は、サブフレーム413の端部にある穴423内にスライドする。シャフト422は、フレーム412によって一端で固定される。また、ばね418は、シャフト422上でスライドし、サブフレーム413とフレーム412の両方の内面に接触して圧縮され、適用位置に最も近い膜の端部に対して垂直な方向に加えられる張力を非対称拡散膜414に生じさせる。416のような、多くのこのようなピンは、矩形の拡散膜の414のそれぞれの側にそれぞれ位置する少なくとも4つの異なるサブフレーム413上に配置される。張力をかけた非対称拡散膜414は自己支持形である。また、他の光学膜434、435及び436は、各膜に切り込むスロット426を通って膜から突出するピン416を介してサブフレーム413によって拘束される。各スロットは、特定の膜に加えられる張力を生じさせるために精密嵌合として切り込まれることも可能であるが、張力が加えられなくても膜がサブフレームによって拘束されるように特大のスロットとして切り込まれることも可能である。図4の光学素子400は、従来のLCDディスプレイの拡散板及び任意の光学膜の代わりに用いることができる。
【0082】
本発明の別の典型的な実施形態が図5に概略的に示されている。光学素子500は、ポリマー非対称拡散膜514と、その膜の周辺の周りに位置する支持フレーム512とを含む照明管理膜の配列である。フレーム512は、膜とともにLCDの製造者に提供される個別の存在であってもよいし、従来のLCDバックライトにおける既存のフレームであってもよい。また、他の光学膜がポリマー光学拡散膜の上で照明管理層の配列に追加される。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜534は、ポリマー非対称拡散膜514に隣接して配置される。光配向膜535は、非対称拡散膜514の向かい側に、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜534に隣接して配置される。図5は、非対称拡散膜514が張力によって支持される代替手段を示している。この手段では、光配向膜535も張力によって支持される。引張ストラップ518は、非対称拡散膜514と光配向膜535の両方のスロット520及び521をそれぞれ通って突出する。引張ストラップは、任意の弾性材料を含むことができる。好ましい材料は、エラストマである。好ましいエラストマは、85℃の設計温度下でLCDに用いられたときに、耐用期間に関する性能を維持するエラストマである。このようなエラストマとしては、架橋されるポリウレタン、シリコーンゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−トリフルオロエチレンランダムコポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−ヘキサフルオロエチレンランダムコポリマー、高強度ブナN系ゴムなどが挙げられる。これらのエラストマは、タルク、ガラス繊維及び他のよく知られたエラストマ補強添加物などの無機充填物で補強されてもよい。これらのエラストマにおける安定剤及び環境保護剤、例えば、酸化防止剤及び紫外線安定剤などの使用は周知であり、LCDの耐用期間にわたって性能をさらに改善するために使用することができる。ピン516は、引張ストラップの各端部にある穴517を通って突出する。ピン516は、膜の周辺の周りに位置するフレーム512内に固定される。518及び516のような、少なくとも4つのこのような引張ストラップ及びピンは、それぞれ、膜の周辺の周りに配置される。張力をかけた非対称拡散膜514及び光配向膜535は自己支持形である。ビーズコーティングが施されたコリメート膜534は、2つの張力をかけた膜によって、その間に挟まれるように、その表面に対して垂直に拘束される。また、他の光学膜も、2つの張力をかけた膜の間に配置される場合には、それらの表面に対して垂直に拘束可能である。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜534を面内方向に拘束するために、ピン540が膜534の穴541とスロット542の両方を通ってフレーム512内に挿入される。これらのピンは、同様に、2つの張力をかけた膜の間に配置される任意の他の光学膜から突出することも可能である。ピンで留められた穴541は、膜534の並進運動を防止する。ピンで留められたスロット524は、膜534の回転を防止すると同時に、スロットの細長い方向に熱膨張を可能にする。図5の光学素子500は、従来のLCDディスプレイの拡散板及び任意の光学膜の代わりに用いることができる。
【0083】
本発明の別の典型的な実施形態が図6に概略的に示されている。光学素子600は、ポリマー非対称拡散膜614と、その膜の周辺の周りに位置する支持フレーム612とを含む照明管理膜の配列である。フレーム612は、膜とともにLCDの製造者に提供される個別の存在であってもよいし、従来のLCDバックライトにおける既存のフレームであってもよい。また、他の光学膜がポリマー非対称拡散膜の上で照明管理層の配列に追加される。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜634は、ポリマー非対称拡散膜614に隣接して配置される。光配向膜635は、非対称拡散膜614の向かい側に、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜634に隣接して配置される。図6は、非対称拡散膜614が張力によって支持される代替手段を示している。この手段では、光配向膜635も張力によって支持される。引張グロメット618は、非対称拡散膜614と光配向膜635の両方のスロット620及び621をそれぞれ通って突出する。引張グロメットは、任意の弾性材料を含むことができる。好ましい材料は、エラストマである。好ましいエラストマは、85℃の設計温度下でLCDに用いられたときに、耐用期間に関する性能を維持するエラストマである。このようなエラストマとしては、架橋されるポリウレタン、シリコーンゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−トリフルオロエチレンランダムコポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−ヘキサフルオロエチレンランダムコポリマー、高強度ブナN系ゴムなどが挙げられる。これらのエラストマは、タルク、ガラス繊維及び他のよく知られたエラストマ補強添加物などの無機充填物で補強されてもよい。これらのエラストマにおける安定剤及び環境保護剤、例えば、酸化防止剤及び紫外線安定剤などの使用は周知であり、LCDの耐用期間にわたって性能をさらに改善するために使用することができる。ピン616は、引張グロメットの穴617を通って突出する。ピン616は、膜の周辺の周りに位置するフレーム612内に固定される。618及び616のような、少なくとも4つのこのような引張グロメット及びピンは、それぞれ、膜の周辺の周りに配置される。張力をかけた非対称拡散膜614及び光配向膜635は自己支持形である。ビーズコーティングが施されたコリメート膜634は、2つの張力をかけた膜によって、その間に挟まれるように、その表面に対して垂直に拘束される。また、他の光学膜も、2つの張力をかけた膜の間に配置される場合には、それらの表面に対して垂直に拘束可能である。ビーズコーティングが施されたコリメート膜634を面内方向に拘束するために、ピン640が膜634の穴641及びスロット642の両方を通ってフレーム612内に挿入される。これらのピンは、同様に、2つの張力をかけた膜の間に配置される任意の他の光学膜から突出することも可能である。ピンで留められた穴641は、膜634の並進移動を防止する。ピンで留められたスロット624は、膜634の回転を防止すると同時に、スロットの細長い方向に熱膨張を可能にする。図6の光学素子600は、従来のLCDディスプレイの拡散板及び任意の光学膜の代わりに用いることができる。
【0084】
本発明の別の典型的な実施形態が図7に概略的に示されている。光学素子700は、2つの透明膜734及び735の間にポリマー非対称拡散膜714を含む。「透明」とは、ASTM D−1003−00を用いて測定したときに、70%を超える視感透過率を有するものとここで定義される。外側透明膜の典型的な厚さの範囲は、50〜400μmである。支持フレーム712は、膜の周辺の周りに配置される。典型的にLCDディスプレイの場合には、矩形の周辺を作り出す4つの直交する端部がある。また、後続の図に示されるように、他の光学膜が、ポリマー非対称拡散膜より上で、照明管理層の配列に加えられることもできる。図7は、非対称拡散膜714が、張力によりそれ自体が支持される外側透明膜によって支持される1つの手段を示している。引張ストラップ718は、外側透明膜のスロット720及び721を通って突出する。ピン716は、引張ストラップ718の穴またはスロットを通って突出する。ピン716は、フレーム712内に固定される。多くのこのような引張ストラップが、様々な位置で、外側透明膜の周辺の周りに配置される。あるいは、2つの引張ストラップ718が用いられて、それぞれが外側透明膜735及び734のスロット720及び721をそれぞれ通って突出することも可能である。このような場合には、外側透明膜735及び734のそれぞれが個別に張力を受ける。非対称拡散膜714は、張力をかけた外側透明膜によって支持される。張力をかけた外側透明膜734及び735は自己支持形である。
【0085】
張力をかけた外側透明膜は、収縮、熱膨張係数及びクリープに関して高度の寸法安定性を有していなければならない。好ましくは、周囲温度(23℃)から85℃まで加熱されるときの収縮が1.5%未満である必要がある。熱収縮測定は、幅が約35mmで長さが最小約6インチ(152.4mm)の寸法を有するサンプルを用いて行われる。各ストリップは、予め設定された6インチのゲージ長を得るために、パンチの中に置かれる。実際のゲージ長は、6インチのサンプルを測定するために予め設定された6インチのインバーの棒で較正されたデバイスを用いて測定される。この長さは、デジタルマイクロメータを用いて0.0001インチまで記録される。一旦、初期の長さが決定されると、サンプルは、必要な時間間隔の間、規定の温度で炉の中に置かれる(この場合には85℃の試験条件で24時間)。サンプルは、その後、炉から取り出され、23℃で相対湿度が50%に設定された制御された環境の中に、最短で約2時間、但し一般的には約24時間置かれる。最終サンプルの長さは、初期の長さを決定するために用いられた機器と同一のものを用いて再測定される。収縮は、以下の式を用いて、百分率で報告される。
【数1】

収縮に関連する負(−)の記号は変化の方向を示すことが知られている。
【0086】
張力をかけた外側透明膜の(23℃での)熱膨張係数は、望ましくは、ASTM法D−696によって測定されるときに、4.0×10−5μm/μm/℃未満であることが必要である。
【0087】
その引張クリープコンプライアンスは、望ましくは、23℃で20分間一定の引張荷重を受けた後に測定したときに、6×10−10Pa−1未満であることが必要である。引張クリープコンプライアンスは、歪みが負荷応力に対して直線的に比例するように膜が反応を示すように低い応力下で測定される。引張歪みは、測定開始時の初期長さで割られる長さの純変化によって定義される。引張クリープコンプライアンスは、負荷応力で割られる引張歪みと定義される。膜のサンプルは、50MPa未満などの低い定荷重を維持可能で、かつ1ミクロンの精度で膜の試料の長さを測定可能な差動伸長装置で測定される。
【0088】
高い寸法安定性を有する膜は、上記のように、収縮、熱膨張係数及びクリープの好ましい最小値(それぞれ、1.5%、4.0×10−5μm/μm/C及び6×10−10Pa−1)を満たす膜とここで定義される。低い寸法安定性を有する膜は、上記したように、収縮、熱膨張係数及びクリープの好ましい最小値(それぞれ、1.5%、4.0×10−5μm/μm/℃及び6×10−10Pa−1)を満たさない膜である。
【0089】
張力をかけた外側透明膜734及び735の典型的な実施形態としては、半結晶性ポリマーを含む膜が挙げられる。半結晶性ポリマーマトリクスは、可視光に対して実質的に透明であり得るため好ましく、最高85℃までの高温での試験後に1.0%未満の収縮を有する寸法安定性を有することができる。好ましくは、半結晶性ポリマー膜の引張クリープコンプライアンスは、5×10−10Pa−1未満である。また、これらのポリマーは、一般に、熱膨張係数に関して上述の基準も満たす。これらの基準のすべてを満たす適切なポリマーは、ポリエステル及びそのコポリマーである。望ましくは、これらのポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)ポリエステル及び任意のそれらのコポリマーである。PETは、PENよりコストがはるかに低いため特に適している。
【0090】
本発明の別の典型的な実施形態が図8に概略的に示されている。光学素子800は、ポリマー非対称拡散膜814と、その膜の周辺の周りに位置する支持フレーム812とを含む照明管理膜の配列である。フレーム812は、膜とともにLCDの製造者に提供される個別の存在であってもよいし、従来のLCDバックライトにおける既存のフレームであってもよい。また、他の光学膜がポリマー非対称拡散膜の上で照明管理層の配列に追加される。ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜833は、ポリマー非対称拡散膜814に隣接して配置される。光配向膜836は、非対称拡散膜814の向かい側に、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜833に隣接して配置される。図8は、非対称拡散膜814、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜833及び光配向膜836が張力をかけた外側透明膜834及び835によってどのように支持されるのかを示している。この手段では、外側透明膜834及び835の両方は、それら自体が張力によって支持される。引張ストラップ818は、外側透明膜835及び834の両方のスロット820及び821をそれぞれ通って突出する。ピン816は、引張ストラップの各端部にある穴817を通って突出する。ピン816は、膜の周辺の周りに位置するフレーム812内に固定される。818及び816のような、少なくとも4つのこのような引張ストラップ及びピンは、それぞれ、膜の周辺の周りに配置される。光学膜814、833及び836は、2つの張力をかけた外側透明膜によって、その間に挟まれるように、その表面に対して垂直に拘束される。また、他の光学膜も、2つの張力をかけた外側透明膜の間に配置される場合には、それらの表面に対して垂直に拘束可能である。図8の光学素子800は、従来のLCDディスプレイの拡散板及び任意の光学膜の代わりに用いることができる。
【0091】
本発明の光学素子の別の典型的な実施形態では、ともに自己支持形である2つの一体的に結合した光学的透過基体がポリマー非対称拡散膜の両側に並置される。あるいは、ともに自己支持形であり、一方の基体が光学的に拡散する2つの光学的透過基体が用いられることも可能である。本発明の光学素子の様々な典型的な実施形態が図9に概略的に示されている。この図は、eまで分類される、2つの光学的透過基体を互いにくっつけるための5つの異なる手段による同一の照明管理層を示している。照明管理層900の配列は、第1光学的透過基体912と、その基体に隣接するポリマー非対称拡散膜914とを含む。第2光学的透過基体913は、第1光学的透過基体912の向かい側で、ポリマー非対称拡散膜914に隣接している。また、他の光学膜も、後続の図に示されているように、ポリマー非対称拡散膜914の上で、かつ基体913の下において、照明管理層の配列に追加することができる。図9aは、基体912及び913が互いにくっつけられる1つの手段を示している。ピン917すなわち端部支持要素は、基体912及び913の両方に形成された穴にはめることができる。ピンは、光学素子の外縁周辺の周りに配置することができる。ピンは、基体の穴に圧入することも、接着剤を用いて基体に接着することも、又はその両方のいずれも可能である。また、非対称拡散膜914の穴又はスロット915は、光学拡散膜を貫通するピンのために設けられている。穴又はスロット915は、様々な温度及び湿度条件で基体と異なる変化率で非対称拡散膜の膨張又は収縮を可能にするようにある程度大きめであることが好ましい。図9bは、基体912及び913が互いにくっつけられる別の手段を示している。端部結合クリップ919すなわち端部支持要素は、プラスチック結合クリップを有するプラスチックノートブックと同様に用いられる。これらのクリップは、接着剤の使用で基体に接着することができる。光学的透過基体の外縁周辺に隣接する結合クリップの内面は、基体中の光導体による光の損失を防止するために、反射性の極めて高い材料であってもよい。また、図9cは、端部結合クリップ919の使用を示している。この場合には、クリップは、スペーサ911によって間隔が維持される基体に圧迫力を及ぼす。基体及びスペーサに加わるクリップの圧迫力は、クリップと基体との間の摩擦力を介して基体及びスペーサを一体的に結合する。図9dは、ピン923を介して2つの光学的透過基体912及び913のそれぞれに固定される端部基体921の使用を示している。これらのピン923は、端部基体921と基体912及び913の穴に圧入されるか若しくは接着剤で固定されるか又はその両方のいずれかである。光学的透過基体の端部に隣接する端部基体の内面は、基体中の光導体による光の損失を防止するために、反射性の極めて高い材料であってもよい。図9eは、静電力によってともに保持される非対称拡散膜914とともに基体912及び913を示している。個別のクリップ又は基体は、層同士の間に作用する静電力が層同士を結合するため、必要とされない。これは、照明管理層の配列の一方の側に非常に高い正電圧をかけると同時に、反対側に非常に高い負電圧を加えることによって達成することができる。
【0092】
基体912及び913は、ともに自己支持形である材料のシートであり、照明管理配列においてそれらの間の層を支持するために用いられる。光学的透過基体の一方又は両方は、それ自体で自己支持形であってもよい。基体912及び913は、例えば、ディスプレイのサイズに応じて、全厚が最大数mmであってもよい。典型的に基体は、それぞれ0.25mm〜4mmの厚さである。好ましくは、基体はそれぞれ0.75mm〜1.25mmの厚さである。光学的透過基体の一方または両方は、それ自体で自己支持形であってもよい。
【0093】
基体912及び913は、可視光に対して実質的に透明な任意の材料、例えば、ガラス及びポリマーを含む有機又は無機材料で作られることが可能である。適切なガラスとしては、フロートガラス、すなわち、フロートプロセスを用いて作られたガラス、又は厚さ及び純度などの固有性がフロートガラスより良く制御されたLCDガラスと呼ばれるLCD品質ガラスが挙げられる。LCDガラスを形成するための1つの手法は、ローラ間でガラスを形成することである。
【0094】
基体912及び913、非対称拡散膜914並びに1つ以上の他の照明管理層は、バックライトとLCDパネルとの間に配置される照明管理配列に含まれていてもよい。基体912及び913は、単一の光学素子において照明管理配列を支持するための安定構造を提供する。基体912及び913は、特に基体912及び913がガラスなどの耐歪性材料から形成される場合には、反りが従来の拡散板システムよりも少ない傾向がある。
【0095】
基体912及び913を作るために使用される適切なポリマー材料は、非晶性又は半晶性であってもよく、ホモポリマー、コポリマーまたはそれらのブレンドを含んでもよい。ポリマー材料の例としては、これらに限定されないが、ポリ(カーボネート)(PC);ポリ(スチレン)(PS);アクリレート、例えば、ニュージャージー州ロッカウェーのCyro IndustriesによってACRYLITE(登録商標)ブランドの下で供給されているようなアクリルシートなど;イソオクチルアクリレート/アクリル酸などのアクリルコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);PMMAコポリマー;シクロオレフィン;シクロオレフィンコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN);エポキシ;ポリ(ビニルシクロヘキサン);PMMA/ポリ(フッ化ビニル)混合物;アタクチックポリ(プロピレン);ポリ(酸化フェニレン)合金;スチレンブロックコポリマー;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(塩化ビニル);ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリウレタン;ポリ(カーボネート)/脂肪族PET混合物などの非晶性ポリマー、並びにポリ(エチレン);ポリ(プロピレン);ポリ(エチレンテレフタレート)(PET);ポリ(エチレンナフタレート)(PEN);ポリアミド;イオノマー;ビニルアセテート/ポリエチレンコポリマー;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;フルオロポリマー;ポリ(スチレン)−ポリ(エチレン)コポリマー;PET及びPENコポリマーなどの半晶性ポリマーが挙げられる。
【0096】
紫外線の悪影響を低減するために、他の材料が光学的透過基体912及び913に含まれてもよい。そのような材料の一例は、ヒンダードアミン系光安定化組成物(HALS)である。一般に、最も有用なHALSは、テトラメチルピペリジンに由来するものであり、ポリマー第三アミンと見なすことができるものである。適切なHALS組成物は、例えば、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals Corporationから「Tinuvin」の商標名の下で市販されている。1つのそのような有用なHALS組成物は、Tinuvin622である。
【0097】
本発明の別の典型的な実施形態が図10に概略的に示されている。照明管理層1000の配列は、ともに自己支持形である光学的透過基体1012及び1013と、基体1012に隣接して基体の間に配置される非対称拡散膜1014とを含む。また、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1015は、非対称拡散膜1014に隣接して光学的透過基体1012及び1013の間に配置される。この実施形態では、光学的透過基体1012及び1013が、端部結合クリップ1019によって一体的に結合される。
【0098】
本発明の別の典型的な実施形態が図11に概略的に示されている。照明管理層1100の配列は、ともに自己支持形である光学的透過基体1112及び1113と、基体1112に隣接して基体の間に配置される非対称拡散膜1114とを含む。また、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1115は、非対称拡散膜1114に隣接して光学的透過基体1112及び1113の間に配置される。また、プリズム光配向膜1116は、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1115に隣接して光学的透過基体1112及び1113の間に配置される。この実施形態では、光学的透過基体1112及び1113が、端部結合クリップ1119によって一体的に結合される。
【0099】
本発明の別の典型的な実施形態が図12に概略的に示されている。照明管理層1200の配列は、ともに自己支持形である光学的透過基体1212及び1213と、基体1212に隣接して基体の間に配置される非対称拡散膜1214とを含む。また、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1215は、非対称拡散膜1214に隣接して光学的透過基体1212及び1213の間に配置される。また、プリズム光配向膜1216は、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1215に隣接して光学的透過基体1212及び1213の間に配置される。また、反射偏光子膜1218は、プリズム光配向膜1216に隣接して光学的透過基体1212及び1213の間に配置される。この実施形態では、光学的透過基体1212及び1213が、端部結合クリップ1219によって一体的に結合される。
【0100】
本発明の別の典型的な実施形態が図13に概略的に示されている。照明管理層1300の配列は、ともに自己支持形である光学的透過基体1312及び1313を含む。LCDディスプレイの光源に隣接する光学的透過基体1312は、上記の拡散膜214と同様に、非対称に拡散である。この実施形態では、光学的透過基体1312及び1313が、端部結合クリップ1319によって一体的に結合される。また、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1315は、光学的透過基体1312に隣接して光学的透過基体1312及び1313の間に配置される。また、プリズム光配向膜1316は、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜1315に隣接して光学的透過基体1312及び1313の間に配置される。また、反射偏光子膜1318は、プリズム光配向膜1316に隣接して光学的透過基体1312及び1313の間に配置される。
【0101】
2つ以上の光学膜が(図2〜図13のように)拘束される実施形態では、一般に、光学膜は互いに接着されていない。製造コストの観点から互いに接着される2つの光学膜には利点があり得るが、通常は、光学膜の1つ又はそれ以上は互いに接着されない。
【実施例】
【0102】
本発明の好ましい実施形態を実証するために、市販のLCDテレビが調達された。選ばれたテレビは、42インチLG Philips LCD TVのモデル42LB5Dであった。液晶パネル及び照明管理膜の配列が、バックライトユニットにおいてCCFLのアレイが露出しているテレビから除去された。従来の1.5mmのスラブ拡散体(42インチLG Philips TVによる)がCCFLの上に設置された。次に、従来の200μmのビーズコーティングが施されたコリメート拡散体(42インチLG Philips TVによる下部拡散体)がスラブ拡散体の上に配置された。次に、従来のプリズムコリメート膜(42インチLG Philips TVによる)が、ビーズコーティングが施されたコリメーション膜の上に配置された。最後に、従来の200μmのビーズコーティングが施されたコリメート拡散体(42インチLG Philips TVによる上部拡散体)が、プリズムコリメート膜の上に配置された。
【0103】
次に、バックライトのみの光学性能が、本発明を用いた後続のスタックアップを比較するために、輝度に関して試験された。
【0104】
照明管理膜がバックライトユニットから再度除去され、バックライトユニットには、次に、図5に示されているような本発明の引張支持装置が装備された。
【0105】
図5に示されているような装置に用いられる中心膜は、従前の従来型スタックアップに用いられた従来のプリズムコリメート膜(42インチLG Philips TVによる)と同一であった。図5に示されているような装置に用いられる上部膜は、従前の従来型スタックアップに用いられた従来の200μmのビーズコーティングが施されたコリメート拡散体(42インチLG Philips TVによる上部拡散体)であった。引張スタックアップに用いられる基部膜(CCFLの真上)は、市販の非対称体積拡散膜(マサチューセッツ州ケンブリッジにある「Fusion Optix,Inc.」によるADF7010)であった。ADF7010膜の非対称比は、6.5であった。非対称拡散体は、膜の高い拡散軸がCCFLに対して垂直に向けられるように置かれた。このように3つの膜は、図5に示されているように引張フレーム設計内に組み立てられた。26個の弾性ストラップが用いられ、それらは厚さ750μmのポリウレタン(McMaster−Carr #1446T41)から構成された。ストラップは、幅6mmに切断され、650gの張力がかけられた。上記の膜を用いた図5に記載されているような引張支持装置は、ねじを用いてバックライトユニットフレーム及び露出したCCFLの周縁の周りにある追加された中心支持材に固定された。
【0106】
次に、バックライトのみの光学性能が、張力をかけた照明管理層の出力を従来の照明管理層の出力と比較するために、再度試験された。CCFLを点灯すると、バックライトは、照明管理層の張力をかけた配列の背後にあるCCFLを視覚認知することなしに優れた均一性を示した。
【0107】
測定装置は、サンプルからの距離が1.2mmでスポットサイズが2mmのELDIM 160R EZ Contrastコンスコープであった。ELDIM 160R EZ Contrastコンスコープは、軸上輝度と、上記の照明管理層の各配列から発せられる40度の水平傾斜輝度とを決定するために用いられた。軸上輝度は、バックライトに対して垂直な発光の強度であり、40度の水平傾斜輝度は、CCFLの軸と平行な面における軸上から40度傾斜した軸からの発光の強度である。データは、カンデラ毎平方メートル(cd/m)での輝度として報告された。表1は、上述の測定の結果である。
【0108】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】拡散板を用いる典型的なバックライト付き液晶ディスプレイデバイスを示す図である。
【図2】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、前記膜の穴又はスロットを通って突出するばね機構により制御された張力によって支持され、かつ前記膜の周辺の周りにあるフレームに接続されている。
【図3】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、前記膜の穴又はスロットを通って突出するテンション機構により制御された張力によって支持され、かつ前記膜の周辺の周りにあるフレームに接続されている。
【図4】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、前記膜の周辺の周りにあるフレームに接続されたサブフレームを介して、ばね機構により制御された張力によって支持されている。
【図5】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、前記膜の周辺の周りにあるフレームに接続された引張ストラップにより制御された張力によって支持されている。
【図6】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、前記膜の周辺の周りにあるフレームに接続された引張グロメットにより制御された張力によって支持されている。
【図7】本発明の原理に従って非対称拡散膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、非対称拡散膜は、比較的高い寸法安定性を示す2つの外側透明膜の間に支持されており、制御された張力は、引張ストラップによって2つの外側透明膜に加えられるが、内側の膜には加えられない。
【図8】光学素子がLCDディスプレイのための全照明管理膜配列を含むように、非対称拡散膜、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜及び比較的高い寸法安定性を示す2つの外側透明膜の間に挿入される光配向膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、制御された張力は、引張ストラップによって2つの外側透明膜に加えられるが、内側の膜には加えられない。
【図9】本発明の原理に従ってともに自己支持形である2つの一体に結合された光学的透過基体の間に配置される非対称拡散膜を備える光学素子を示す図である。
【図10】本発明の原理に従ってともに自己支持形である2つの一体に結合された光学的透過基体の間に配置される非対称拡散膜及びビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜を備える光学素子を示す図である。
【図11】本発明の原理に従ってともに自己支持形である2つの一体に結合された光学的透過基体の間に配置される非対称拡散膜、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜及び光配向膜を備える光学素子を示す図である。
【図12】本発明の原理に従ってともに自己支持形である2つの一体に結合された光学的透過基体の間に配置される非対称拡散膜、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜、光配向膜及び反射偏光子膜を備える光学素子を示す図である。
【図13】本発明の原理に従ってともに自己支持形である2つの一体に結合された光学的透過基体の間に配置されるビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜、光配向膜及び反射偏光子膜を備える光学素子を示す図であり、ここで、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散膜に隣接する基体は、非対称拡散体である。
【符号の説明】
【0110】
100 直接照明液晶ディスプレイデバイス
110 バックライト
112 反射体
114 光源
120 照明管理層
122 拡散板
124 コリメート拡散膜
126 光配向膜
128 反射偏光子
130 前部液晶パネルアセンブリ
132 下部吸収偏光子
134 パネル板
136 液晶層
138 上部吸収偏光子
139 任意層
140 液晶パネル
150 コントローラ
200 光学素子
212 支持フレーム
214 ポリマー非対称拡散膜
216 ピン
218 ばね
220 スロット
222 シャフト
300 光学素子
312 支持フレーム
314 ポリマー非対称拡散膜
316 ピン
318 ばね
320 光学素子
322 シャフト
324 ピン
326 スロット
334 コリメート拡散膜
335 光配向膜
336 反射偏光子
400 光学素子
412 支持フレーム
413 サブフレーム
414 ポリマー非対称拡散膜
416 ピン
418 ばね
420 スロット
422 シャフト
423 穴
426 スロット
434 コリメート拡散膜
435 光配向膜
436 反射偏光子
500 光学素子
512 支持フレーム
514 ポリマー非対称拡散膜
516 ピン
517 引張ストラップの穴
518 引張ストラップ
520 光配向膜の穴
521 ポリマー光学拡散膜の穴
534 コリメート拡散膜
535 光配向膜
540 ピン
541 コリメート拡散膜の穴
542 コリメート拡散膜のスロット
600 光学素子
612 支持フレーム
614 ポリマー非対称拡散膜
616 ピン
617 引張グロメットの穴
618 引張グロメット
620 ポリマー光学拡散膜の穴
621 光配向膜の穴
634 コリメート拡散膜
635 光配向膜
640 ピン
641 コリメート拡散膜の穴
642 コリメート拡散膜のスロット
700 光学素子
712 支持フレーム
714 ポリマー非対称拡散膜
716 ピン
717 スロット又は穴
718 引張ストラップ(ばね)
720 スロット
721 スロット
734 透明引張膜
735 透明引張膜
800 光学素子
812 支持フレーム
814 ポリマー非対称拡散膜
816 ピン
817 引張ストラップの穴
818 引張ストラップ
820 外側透明膜のスロット又は穴
821 外側透明膜のスロット又は穴
833 コリメート拡散膜
834 透明引張膜
835 透明引張膜
836 光配向膜
900 照明管理層
911 スペーサ
912 第1光学的透過基体
913 第2光学的透過基体
914 ポリマー非対称拡散膜
915 ビーズコーティングが施された光コリメート膜
917 ピン
919 端部結合クリップ
921 端部基体
923 ピン
1000 照明管理層
1012 第1光学的透過基体
1013 第2光学的透過基体
1014 ポリマー非対称拡散膜
1015 コリメート膜
1019 端部結合クリップ
1100 照明管理層
1112 第1光学的透過基体
1113 第2光学的透過基体
1114 ポリマー非対称拡散膜
1115 コリメート拡散膜
1116 プリズム光配向膜
1119 端部結合クリップ
1200 照明管理層
1212 第1光学的透過基体
1213 第2光学的透過基体
1214 ポリマー非対称拡散膜
1215 コリメート拡散膜
1216 プリズム光配向膜
1218 反射偏光子膜
1219 端部結合クリップ
1300 照明管理層
1312 第1光学的透過基体
1313 第2光学的透過基体
1315 コリメート拡散膜
1316 プリズム光配向膜
1318 反射偏光子膜
1319 端部結合クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、
その中にシャフトを有し、前記光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、
その周縁に複数のスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記光学膜と、
前記各スロット内に設けられ、前記支持フレーム内に突出し、制御された張力によって前記シャフト上でスライド可能なピンと、
前記光学膜に対して制御された張力を与えるために前記シャフト上でスライド可能なばね機構とを備え、
前記光学膜が、非対称拡散体である光学素子。
【請求項2】
光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、
該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、
その周縁に複数のスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記光学膜と、
その端部に穴をさらに有し、前記光学膜に対して制御された張力を与えるために前記各スロット内に設けられる引張ストラップと、
前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、
前記光学膜が、非対称拡散体である光学素子。
【請求項3】
多層光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、
該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、
その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、
その端部に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張ストラップと、
前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、
前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、
前記外層膜が、光方向転換膜と非対称拡散膜とを備え、かつ前記引張ストラップによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、
前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子。
【請求項4】
前記内層膜が、該内層膜と同一面内の方向に拘束を与えるために二次的ピンを受け入れるための二次的スロット及び穴をさらに備える請求項3記載の光学素子。
【請求項5】
前記引張ストラップが、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンターポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−トリフルオロエチレンランダムコポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロ−ヘキサフルオロエチレンランダムコポリマー及び高強度ブナN系ゴムからなる群から選択される請求項3記載の光学素子。
【請求項6】
前記内層膜が、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散体を備える請求項3記載の光学素子。
【請求項7】
多層光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、
該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、
その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、
その端部に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張ストラップと、
前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張ストラップを固定するピンとを備え、
前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、
前記外層膜が、光学的に透明な膜を備え、かつ前記引張ストラップによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、
前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子。
【請求項8】
前記内層膜が、非対称拡散体と、ビーズコーティングが施されたコリメート拡散体と、光方向転換膜とを備える請求項7記載の光学素子。
【請求項9】
多層光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、
該光学素子の周辺の周りに設けられる支持フレームと、
その周縁にスロットを有し、前記周縁が前記支持フレーム上に設けられる前記多層光学膜と、
その中に穴をさらに有し、前記多層光学膜に対して制御された張力を与えるために前記スロット内に設けられる引張グロメットと、
前記穴内に設けられ、前記支持フレーム内に突出して、前記引張グロメットを固定するピンとを備え、
前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、
前記外層膜が、光方向転換膜と非対称拡散膜とを備え、かつ前記引張グロメットによって、その周縁の前記スロットで張力をかけられ、
前記内層膜が、張力をかけた前記外層膜によって、その表面に対して垂直に拘束される光学素子。
【請求項10】
多層光学膜を有する光学素子であって、
該光学素子が、前記多層光学膜の外縁周辺に設けられる端部支持要素を備え、
前記多層光学膜が、外層膜と内層膜とをさらに備え、
前記外層膜が、光学的透過基体を備え、
前記内層膜が、非対称拡散体を備える光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−134251(P2009−134251A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−196108(P2008−196108)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(307010188)ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス (51)
【Fターム(参考)】