拡散器
【課題】組立作業を容易とすることができる拡散器を提供する。
【解決手段】薬剤瓶3から延出した吸上芯96を、内部構成体13に設けられた挿通穴97を介して上方へ延出する。挿通穴97を横長の楕円形の開口部で構成する。挿通穴97の短軸99の長さ寸法を、吸上芯96の直径とほぼ同寸法に設定し、当該吸上芯96の前後方向への移動を阻止する。支柱101に設けられたヒータ102の加熱部104を円筒状に形成し、挿通穴97の真上に配置する。加熱部104の直径Dを、挿通穴97の短軸99の長さ寸法より大きな寸法に設定し、加熱部104を吸上芯96に遊嵌する。吸上芯96で吸い上げられた薬剤を加熱部104で外周部から加熱して薬剤の蒸散を促進するとともに、蒸散した薬剤を揮散穴を介して外部に揮散する。
【解決手段】薬剤瓶3から延出した吸上芯96を、内部構成体13に設けられた挿通穴97を介して上方へ延出する。挿通穴97を横長の楕円形の開口部で構成する。挿通穴97の短軸99の長さ寸法を、吸上芯96の直径とほぼ同寸法に設定し、当該吸上芯96の前後方向への移動を阻止する。支柱101に設けられたヒータ102の加熱部104を円筒状に形成し、挿通穴97の真上に配置する。加熱部104の直径Dを、挿通穴97の短軸99の長さ寸法より大きな寸法に設定し、加熱部104を吸上芯96に遊嵌する。吸上芯96で吸い上げられた薬剤を加熱部104で外周部から加熱して薬剤の蒸散を促進するとともに、蒸散した薬剤を揮散穴を介して外部に揮散する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を気化して拡散させる拡散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤瓶に収容された液状薬剤を気化して放出する際には、拡散器が用いられていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この拡散器は、薬剤瓶を拡散器本体にセットする際に、前記薬剤瓶から延出した吸上芯を取付部材に設けられた挿通穴へ挿通するとともに、その上部に設けられた円筒状の加熱部に遊嵌するように構成されており、前記吸上芯を外周部から加熱部で加熱することによって、当該吸上芯で吸い上げられた薬剤の蒸散効率を高めるように構成されている。
【0004】
前記挿通穴の周囲部には、振り止めガイドが上方へ向けて突設されており、前記吸上芯の位置ずれを防止できるように構成されている。これにより、前記吸上芯が位置ずれし、その一部が前記加熱部に接触する状態を回避できるように構成されており、前記加熱部による効率的な蒸散効果が確保できるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−200152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような拡散器にあっては、吸上芯が挿通する挿通穴の周囲部に細長の振り止めガイドが複数突設されているため、組立時に配線や他部材が引っ掛かる恐れがあった。
【0006】
これにより、配線の引き回しなどの組立作業を慎重に行う必要があり、組立時には苦労を要した。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、組立作業を容易とすることができる拡散器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の拡散器にあっては、拡散器本体にセットされた薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を備えた構成部品と、前記挿通穴を挿通した前記吸上芯に遊嵌する筒状の加熱部とを備えた拡散器において、前記挿通穴を、前記吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成した。
【0009】
すなわち、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴は、吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成されている。このため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯は、前記挿通穴の前記開口部分に挿入された状態で不用意な移動が防止される。
【0010】
そして、前記開口部分の周囲の少なくとも一部には、空気通流部が連続して設けられており、前記吸上芯を前記挿通穴の前記開口部分に挿入した状態において、当該吸上芯の外周部には、前記空気通流部が空き空間として確保される。
【0011】
また、請求項2の拡散器においては、前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成した。
【0012】
すなわち、前記吸上芯を前記挿入穴に挿入する際には、前記挿入穴が開口した壁面の傾斜面に沿って前記吸上芯が案内される。
【0013】
さらに、請求項3の拡散器では、前記挿通穴を楕円形の開口部で構成するとともに、該挿通穴の短軸の長さ寸法を、円筒状に形成された前記加熱部の直径より短く設定した。
【0014】
すなわち、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴は、楕円形の開口部で構成されている。このため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯は、前記挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸方向への移動が防止される。
【0015】
また、前記挿通穴は楕円形に形成されており、短軸方向での幅寸法は、当該挿通穴の中心部にて最大となるように構成されている。このため、当該挿通穴を挿通した吸上芯が、当該挿通穴の中心から長軸方向へ移動しようとした場合、当該挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することとなり、当該長軸方向への移動が規制される。これにより、前記吸上芯は、前記挿通穴の中心部に位置決めされる。
【0016】
そして、前記吸上芯が前記挿通穴の中心部に位置決めされた状態においては、前記吸上芯の前記長軸方向側部に、空き空間が確保される。
【0017】
また、前記挿通穴の短軸の長さ寸法は、前記加熱部の直径より短く設定されている。このため、前記挿通穴によって位置決めされる前記吸上芯は、円筒状に形成された前記加熱部への干渉が確実に防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の拡散器にあっては、吸上芯を挿通穴の開口部分に挿通した状態で当該吸上芯の不用意な移動を阻止することができる。これにより、前記挿通穴の周囲部に細長の振り止めガイドを突設すること無く、前記吸上芯の前記加熱部への不用意な接触を防止することができる。
【0019】
したがって、組立時に配線や他部材が引っ掛かりが生じ得る前記振り止めガイドを廃止することができるため、組立作業性を向上することができる。
【0020】
そして、前記吸上芯を前記挿通穴の前記開口部分に挿入した状態において、当該吸上芯の外周部には、空気通流部を空き空間として確保することができる。
【0021】
このため、前記加熱部の熱で発生した空気の流れを、前記空気通流部を介してその下方から上方へ対流させることができる。これにより、前記吸上芯から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0022】
また、請求項2の拡散器においては、前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成することで、前記吸上芯を前記挿入穴に挿入する際に、前記挿入穴が開口した壁面の傾斜面に沿って前記吸上芯を案内することができる。
【0023】
これにより、前記吸上芯を挿通穴に挿入する際に、当該吸上芯が前記挿入穴近傍の壁面に当接して折れてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0024】
さらに、挿入穴が、加熱部近傍にある為、吸液芯が加熱部に接触することを、より確実に回避することができる。
【0025】
さらに、請求項3の拡散器では、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を、楕円形の開口部で構成したため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯を、前記挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸方向への移動を規制することができる。また、前記挿通穴を挿通した吸上芯が、当該挿通穴の中心から長軸方向へ移動しようとした場合には、当該挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、当該吸上芯の前記長軸方向への移動を規制することができる。
【0026】
このため、前記吸上芯の前記挿通穴における短軸方向及び長軸方向への移動を防止することができ、当該吸上芯を、前記挿通穴の中心部に位置決めすることができる。
【0027】
そして、前記吸上芯が前記挿通穴の中心部に位置決めされた状態においては、前記吸上芯の前記長軸方向側部に、空き空間を確保することができる。
【0028】
このため、前記加熱部の熱で発生した空気の流れを、前記空き空間を介してその下方から上方へ対流させることができ、前記吸上芯から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0029】
そして、楕円形に形成された前記挿通穴の短軸の長さ寸法を、前記加熱部の直径より短く設定することで、前記挿通穴で位置決めされた前記吸上芯の前記加熱部への干渉を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる拡散器としての芳香器1を示す図である。該芳香器1は、芳香器本体2にセットされた薬剤容器としての薬剤瓶3内の液状薬剤を気化して放出する装置であり、当該芳香器1は、トイレや居住空間で使用されるものである。
【0032】
この芳香器1の拡散器本体としての芳香器本体2は、図2にも示すように、後壁面を形成する後カバー11と、該後カバー11の前側に取り付けられる前カバー12と、該前カバー12と前記後カバー11との間に配置される構成部品としての内部構成体13とで構成されている。
【0033】
前記後カバー11は、光を透過しない有色の不透明な樹脂によって前方が開口した容器状に形成されており、その下部には、切欠部21が設けられている。前記後カバー11は、上部が断面円弧状に形成されており、その中央部には、薬剤を揮散する為の揮散穴22が開設されている。
【0034】
また、前記後カバー11の上部には、内側に延出する一対の係止ピン31,31が前記揮散穴22より前方側に設けられており、当該後カバー11の側面には、前後方向に延在する上部リブ32,32と、支持リブとしての下部リブ33,33とが左右の部位に設けられている。前記下部リブ33,33の前端部には、リブ挿通穴34,34が設けられており、固定用のタッピンねじ35,35を挿通できるように構成されている。
【0035】
この後カバー11の側面上部には、図1に示したように、複数のスリット41,・・・からなる空気取入口42,42が左右に形成されており、該空気取入口42,42から芳香器本体2内に外部の空気を取り込めるように構成されている。前記空気取入口42,42の各スリット41,・・・は、断面円弧状に形成された前記後カバー11の上部に設けられており、当該後カバー11の下部側面に設けられた場合と比較して、当該芳香器本体2の中心寄りに配置されるように構成されている。
【0036】
前記後カバー11には、図2に示したように、軸部44を介してスライド板45が支持されており、スライド板45は、前記軸部44を中心に回動できるように構成されている。前記スライド板45には、操作ノブ46が突設されており、該操作ノブ46は、前記後カバー11に設けられた操作ノブ挿通穴47を介して外部に延出している。
【0037】
これにより、前記操作ノブ46を操作して前記スライド板45を前記軸部44を中心に回動することによって、当該スライド板45が前記空気取入口42,42を構成する各スリット41,・・・の開口面積を可変できるように構成されている。
【0038】
前記後カバー11の下部には、一対の矩形穴71が設けられており、前記内部構成体13に設けられたコンセントプラグ72,72を前記矩形穴71,71を介して、当該後カバー11より後方へ延出できるように構成されている。また、前記後カバー11の下縁中央部には、係止爪73が上方へ向けて突設されている。
【0039】
前記内部構成体13は、光を透過する透光性を有した半透明の樹脂で形成されており、中央部に設けられた中央板81を中心に構成されている。該中央板81の左右側縁部には、一般部82より一段高い支持片としての段差面83,83が形成されており、当該中央板81が補強されている。
【0040】
該中央板81には、上方に膨出した円形膨出部91が形成されており、該円形膨出部91には、その下方から前記薬剤瓶3の首部が挿入されるように構成されている。前記中央板81の後縁には、下方に垂下する挟持板92が設けられており、該挟持板92と前記中央板81に形成された前記段差面83との間には、間隙84,84が形成されている。前記挟持板92の下縁中央には、凹部93が形成されており、該凹部93には、前記後カバー11に設けられた前記係止爪73が係合するように構成されている。
【0041】
前記挟持板92は、前記前カバー12の下部と対向するように構成されており、当該挟持板92は、図1に示したように、前記前カバー12との間に配置された前記薬剤瓶3の瓶本体95を前記前カバー12と共に前後から挟持できるように構成されている。これにより、前記挟持板92と前記前カバー12とで挟持された前記薬剤瓶3は、その首部が前記円形膨出部91に挿入された状態で保持されるとともに、図3及び図4に示すように、前記首部より延出した吸上芯96が前記円形膨出部91に設けられた挿通穴97を介して上方へ延出するように構成されている。これにより、当該芳香器本体2の下部には、図1に示したように、前記薬剤瓶3が下方からセットされる下方開口状の容器保持空間98が形成されている。
【0042】
前記内部構成体13の前記円形膨出部91天面に設けられた前記挿通穴97は、図5にも示すように、横長の楕円形の開口部で構成されており、円柱状に形成された前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの周囲の左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとで構成されている。
【0043】
この挿通穴97は、短軸99が前記後カバー11及び前記前カバー12側へ向けた前後方向に延在するとともに、長軸100が前記挟持板92に沿って延在するように配置されている。前記短軸99の長さ寸法は、前記吸上芯96の直径とほぼ同寸法に設定されており、当該吸上芯96の前後方向への移動が阻止されるように構成されている。
【0044】
前記中央板81の後縁部には、図3及び図4に示すように、矩形状の支柱101が前記円形膨出部91に沿って立設されており、この支柱101の上端部には、ヒータ102が設けられている。該ヒータ102は、前記支柱101を介して前記内部構成体13に支持されており、当該ヒータ102で加熱される加熱部104は、前記円形膨出部91に設けられた前記挿通穴97の真上に配置されるように構成されている。
【0045】
このヒータ102の前記加熱部104は、円筒状に形成されており、前記薬剤瓶3より延出した前記吸上芯96に遊嵌し、該吸上芯96の外周部を包囲する位置に配置されている。また、前記加熱部104の直径Dは、図5に示したように、楕円形の開口部で構成された前記挿通穴97の短軸99の長さ寸法より大きな寸法に設定されており、当該加熱部104は、前記吸上芯96に遊嵌するように構成されている。これにより、前記吸上芯96で吸い上げられた薬剤を前記ヒータ102の前記加熱部104で外周部から加熱することによって、当該薬剤の蒸散を促進するとともに、蒸散した薬剤を前記揮散穴22を介して外部に揮散できるように構成されている。
【0046】
前記ヒータ102には、図3にも示したように、電極111,111が設けられており、該電極111,111は、接続線112,112を介して制御基板113に接続されている。該制御基板113は、前記挟持板92の裏面に沿って固定されており、当該制御基板113の下部には、家庭用のACコンセントに差し込まれる前記コンセントプラグ72,72が設けられている。
【0047】
また、この制御基板113には、図4にも示したように、前記ACコンセントから供給された電源で発光する発光体としての左発光ダイオード121及び右発光ダイオード122が接続されており、各発光ダイオード121,122は、前記円形膨出部91の両脇に設けられたリブ123,123に係止された状態で固定されている。これにより、前記両発光ダイオード121,122が、前記支柱101及び前記ヒータ102より前カバー12側に配置されるように構成されている。
【0048】
前記円形膨出部91の側部には、サブ基板131が設けられており、該サブ基板131は、前記制御基板113に接続されている。該サブ基板131には、スイッチ132が設けられており、該スイッチ132に設けられた操作部133は、前記後カバー11に設けられたスイッチ穴134を介して(図2参照)、当該後カバー11の側部に突出するように構成されている。
【0049】
前記円形膨出部91に設けられた各リブ123,123の端部には、上下に延在する円筒部141,141が形成されており、該円筒部141,141は、前記段差面83,83に突設されるとともに該段差面83,83を貫通して下方に開口するように構成されている。これにより、前記段差面83の下方から挿入された固定用のタッピンねじ35,35を前記円筒部141,141に螺入できるように構成されている。
【0050】
前記前カバー12は、図2及び図6に示したように、前記内部構成体13と同様に光を透過する透光性を有した半透明の樹脂で形成されており、該前カバー12は、縦長の楕円形状に形成されている。この前カバー12の前面は、緩やかに湾曲した凹凸の無い平坦面で構成されており、その周縁部には、凸条部151が全周に渡って形成されている。これにより、この凸条部151の内側は、フィルム等の貼着物を貼着可能な貼着面152を構成している。
【0051】
前記前カバー12の上部には、後方に延出した上部支持片161,161が設けられており、両上部支持片161,161には、係止穴162,162が設けられている。この上部支持片161,161の前記係止穴162,162には、前記後カバー11に突設された前記係止ピン31,31が挿入された状態で係止されるよう構成されており(図2参照)、当該前カバー12の上部を前記後カバー11に固定できるように構成されている。
【0052】
この前カバー12の下部中央には、突出部171が突設されており、該突出部171は、前記薬剤瓶3の前記瓶本体95に設けられた凸部172を下方から支持し(図3参照)、当該薬剤瓶3の不用意な離脱を防止できるように構成されている。前記突出部171の両脇には、図6に示したように、前記後カバー11側へ向けて延出する延出片173,173が設けられており、両延出片173,173は、断面L字状に形成されている。各延出片173,173には、円形の延出片挿通穴174,174が設けられており、固定用のタッピンねじ35,35を挿通できるように構成されている。
【0053】
そして、図7に示すように、前記後カバー11に設けられた前記下部リブ33,33上に、前記前カバー12に設けられた前記延出片173,173を載置した状態で支持できるように構成されており、前記前カバー12に設けられた前記延出片173,173上には、前記内部構成体13に設けられた前記段差面83,83を載置した状態で支持できるように構成されている。
【0054】
これにより、前記後カバー11の前記下部リブ33,33に設けられた前記リブ挿通穴34,34及び前記前カバー12の前記延出片173,173に設けられた前記延出片挿通穴174,174を挿通するタッピンねじ35,35を、前記内部構成体13の前記段差面83,83に突設された円筒部141,141に螺入して、前記後カバー11の前記下部リブ33,33と前記内部構成体13の前記段差面83,83との間に前記前カバー12の前記延出片173,173を挟持した状態で、前記後カバー11と前記内部構成体13と前記前カバー12とを固定できるように構成されている。
【0055】
この固定状態において、前記後カバー11と前記前カバー12と前記内部構成体13とを固定する固定位置191は、前記各発光ダイオード121,122の下部であって、各発光ダイオード121,122の発光面より前記後カバー11側に設定されている。また、前記内部構成体13に設けられた前記各発光ダイオード121,122から前記前カバー12までの間は、空虚な空間192となるように構成されている。
【0056】
以上の構成にかかる本実施の形態において、薬剤瓶3の吸上芯96が挿通する内部構成体13の挿通穴97は、楕円形の開口部で構成されている。このため、この挿通穴97を挿通した前記吸上芯96は、前記挿通穴97の短軸99方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸99方向への移動が阻止される。
【0057】
また、前記挿通穴97は、前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとによって楕円形に形成されており、前記開口部分97aの直径を示す前記短軸99方向での幅寸法は、当該挿通穴97の中心部にて最大となるように構成されている。このため、当該挿通穴97を挿通した吸上芯96が、当該挿通穴97の中心から長軸100方向へ移動しようとした場合、当該挿通穴97の短軸99方向に位置する開口縁に当接することとなり、当該長軸100方向への移動も規制される。
【0058】
このため、前記吸上芯96は、前記挿通穴97の短軸99方向及び長軸100方向への移動が防止され、当該吸上芯96を前記挿通穴97の中心部に位置決めすることができる。これにより、前記挿通穴97の周囲部に細長の振り止めガイドを突設すること無く、前記吸上芯96の前記加熱部104への不用意な接触を防止することができる。
【0059】
したがって、組立時に配線や他部材が引っ掛かりが生じ得る前記振り止めガイドを廃止することができるため、組立作業性を向上することができる。
【0060】
そして、前記吸上芯96が前記挿通穴97の中心部、すなわち前記開口部分97aに位置決めされた状態においては、図5にも示すように、前記吸上芯96の前記長軸100方向側部に、前記空気通流部97bで構成された空き空間Kを確保することができる。
【0061】
このため、前記加熱部104の熱で発生した空気の流れを、前記空き空間Kを介してその下方から上方へ対流させることができる。これにより、前記吸上芯96から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0062】
また、楕円形に形成された前記挿通穴97の短軸99の長さ寸法は、前記加熱部104の直径Dより短く設定されている。このため、前記挿通穴97によって位置決めされる前記吸上芯96は、円筒状に形成された前記加熱部104への干渉が確実に防止される。
【0063】
なお、本実施の形態では、前記内部構成体13における円形膨出部91の天面を平坦に形成するとともに、この天面に前記吸上芯96が挿通する前記挿通穴97を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0064】
(第2の実施の形態)
【0065】
すなわち、図8及び図9に示すように、前記円形膨出部91の天面を、前記挿通穴97が設けられた中央部へ向かうに従って上方に突出した山形に形成することで、前記挿通穴97が設けられた天面の裏側面に、前記吸上芯96を前記挿通穴97に案内する傾斜面201を形成することができる。
【0066】
これにより、前記吸上芯96を前記挿入穴97へ挿入する際に、該挿入穴97が開口した天面裏側の傾斜面201に沿って前記吸上芯96を案内することができる。
【0067】
これにより、前記吸上芯96を前記挿通穴97に挿入する際に、当該吸上芯96が前記挿入穴97近傍の壁面に当接して折れてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0068】
また、前記各実施の形態にあっては、前記吸上芯96が挿通する挿通穴97を、図10の(a)に示すように、円柱状に形成された前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの周囲の左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとで構成し、横長の楕円形状に形成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0069】
(第3の実施の形態)
【0070】
すなわち、前記挿通穴97を、図10の(b)に示すように、円形状の開口部分301aと、該開口部分301aの周囲の四方に連続して設けられた空気通流部301b,・・・とからなる正方形状に形成しても良い。
【0071】
(第4の実施の形態)
【0072】
また、前記挿通穴97を、図10の(c)に示すように、円形状の開口部分311aと、該開口部分311aの周囲の四方に連続して設けられた空気通流部311b,・・・とからなる菱形に形成しても良い。
【0073】
(第5の実施の形態)
【0074】
さらに、前記挿通穴97を、図11の(a)に示すように、円形状の開口部分321aと、該開口部分321aの周囲の左右に連続して設けられた空気通流部321b,321bとからなる目形に形成しても良い。
【0075】
(第6の実施の形態)
【0076】
加えて、前記挿通穴97を、図11の(b)に示すように、円形状の開口部分331aと、該開口部分331aの周囲の右方に連続して設けられた空気通流部331bとからなる形状に形成しても良い。
【0077】
(第7の実施の形態)
【0078】
そして、前記挿通穴97を、図11の(c)に示すように、円形状の開口部分341aと、該開口部分341aの周囲より四方に延出した空気通流部341b,・・・とからなる形状に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の分解斜視図である。
【図3】同実施の形態の内部構成体を示す側面図である。
【図4】同実施の形態の内部構成体を示す平面図である。
【図5】同実施の形態の内部構成体からヒータを取り外した状態を示す平面図である。
【図6】同実施の形態の前カバーを示す斜視図である。
【図7】同実施の形態の要部の断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図9】同実施の形態を示す要部の断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第1の実施の形態を示す模式図で、(b)は、本発明の第3の実施の形態を示す模式図で、(c)は、本発明の第4の実施の形態を示す模式図である。
【図11】(a)は、本発明の第5の実施の形態を示す模式図で、(b)は、本発明の第6の実施の形態を示す模式図で、(c)は、本発明の第7の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1 芳香器
2 芳香器本体
3 薬剤瓶
13 内部構成体
96 吸上芯
97 挿通穴
97a 開口部分
97b 空気通流部
99 短軸
102 ヒータ
104 加熱部
201 傾斜面
D 直径
K 空き空間
301a 開口部分
301b 空気通流部
311a 開口部分
311b 空気通流部
321a 開口部分
321b 空気通流部
331a 開口部分
331b 空気通流部
341a 開口部分
341b 空気通流部
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を気化して拡散させる拡散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤瓶に収容された液状薬剤を気化して放出する際には、拡散器が用いられていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この拡散器は、薬剤瓶を拡散器本体にセットする際に、前記薬剤瓶から延出した吸上芯を取付部材に設けられた挿通穴へ挿通するとともに、その上部に設けられた円筒状の加熱部に遊嵌するように構成されており、前記吸上芯を外周部から加熱部で加熱することによって、当該吸上芯で吸い上げられた薬剤の蒸散効率を高めるように構成されている。
【0004】
前記挿通穴の周囲部には、振り止めガイドが上方へ向けて突設されており、前記吸上芯の位置ずれを防止できるように構成されている。これにより、前記吸上芯が位置ずれし、その一部が前記加熱部に接触する状態を回避できるように構成されており、前記加熱部による効率的な蒸散効果が確保できるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−200152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような拡散器にあっては、吸上芯が挿通する挿通穴の周囲部に細長の振り止めガイドが複数突設されているため、組立時に配線や他部材が引っ掛かる恐れがあった。
【0006】
これにより、配線の引き回しなどの組立作業を慎重に行う必要があり、組立時には苦労を要した。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、組立作業を容易とすることができる拡散器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の拡散器にあっては、拡散器本体にセットされた薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を備えた構成部品と、前記挿通穴を挿通した前記吸上芯に遊嵌する筒状の加熱部とを備えた拡散器において、前記挿通穴を、前記吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成した。
【0009】
すなわち、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴は、吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成されている。このため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯は、前記挿通穴の前記開口部分に挿入された状態で不用意な移動が防止される。
【0010】
そして、前記開口部分の周囲の少なくとも一部には、空気通流部が連続して設けられており、前記吸上芯を前記挿通穴の前記開口部分に挿入した状態において、当該吸上芯の外周部には、前記空気通流部が空き空間として確保される。
【0011】
また、請求項2の拡散器においては、前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成した。
【0012】
すなわち、前記吸上芯を前記挿入穴に挿入する際には、前記挿入穴が開口した壁面の傾斜面に沿って前記吸上芯が案内される。
【0013】
さらに、請求項3の拡散器では、前記挿通穴を楕円形の開口部で構成するとともに、該挿通穴の短軸の長さ寸法を、円筒状に形成された前記加熱部の直径より短く設定した。
【0014】
すなわち、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴は、楕円形の開口部で構成されている。このため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯は、前記挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸方向への移動が防止される。
【0015】
また、前記挿通穴は楕円形に形成されており、短軸方向での幅寸法は、当該挿通穴の中心部にて最大となるように構成されている。このため、当該挿通穴を挿通した吸上芯が、当該挿通穴の中心から長軸方向へ移動しようとした場合、当該挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することとなり、当該長軸方向への移動が規制される。これにより、前記吸上芯は、前記挿通穴の中心部に位置決めされる。
【0016】
そして、前記吸上芯が前記挿通穴の中心部に位置決めされた状態においては、前記吸上芯の前記長軸方向側部に、空き空間が確保される。
【0017】
また、前記挿通穴の短軸の長さ寸法は、前記加熱部の直径より短く設定されている。このため、前記挿通穴によって位置決めされる前記吸上芯は、円筒状に形成された前記加熱部への干渉が確実に防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の拡散器にあっては、吸上芯を挿通穴の開口部分に挿通した状態で当該吸上芯の不用意な移動を阻止することができる。これにより、前記挿通穴の周囲部に細長の振り止めガイドを突設すること無く、前記吸上芯の前記加熱部への不用意な接触を防止することができる。
【0019】
したがって、組立時に配線や他部材が引っ掛かりが生じ得る前記振り止めガイドを廃止することができるため、組立作業性を向上することができる。
【0020】
そして、前記吸上芯を前記挿通穴の前記開口部分に挿入した状態において、当該吸上芯の外周部には、空気通流部を空き空間として確保することができる。
【0021】
このため、前記加熱部の熱で発生した空気の流れを、前記空気通流部を介してその下方から上方へ対流させることができる。これにより、前記吸上芯から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0022】
また、請求項2の拡散器においては、前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成することで、前記吸上芯を前記挿入穴に挿入する際に、前記挿入穴が開口した壁面の傾斜面に沿って前記吸上芯を案内することができる。
【0023】
これにより、前記吸上芯を挿通穴に挿入する際に、当該吸上芯が前記挿入穴近傍の壁面に当接して折れてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0024】
さらに、挿入穴が、加熱部近傍にある為、吸液芯が加熱部に接触することを、より確実に回避することができる。
【0025】
さらに、請求項3の拡散器では、薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を、楕円形の開口部で構成したため、この挿通穴を挿通した前記吸上芯を、前記挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸方向への移動を規制することができる。また、前記挿通穴を挿通した吸上芯が、当該挿通穴の中心から長軸方向へ移動しようとした場合には、当該挿通穴の短軸方向に位置する開口縁に当接することによって、当該吸上芯の前記長軸方向への移動を規制することができる。
【0026】
このため、前記吸上芯の前記挿通穴における短軸方向及び長軸方向への移動を防止することができ、当該吸上芯を、前記挿通穴の中心部に位置決めすることができる。
【0027】
そして、前記吸上芯が前記挿通穴の中心部に位置決めされた状態においては、前記吸上芯の前記長軸方向側部に、空き空間を確保することができる。
【0028】
このため、前記加熱部の熱で発生した空気の流れを、前記空き空間を介してその下方から上方へ対流させることができ、前記吸上芯から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0029】
そして、楕円形に形成された前記挿通穴の短軸の長さ寸法を、前記加熱部の直径より短く設定することで、前記挿通穴で位置決めされた前記吸上芯の前記加熱部への干渉を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施の形態)
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる拡散器としての芳香器1を示す図である。該芳香器1は、芳香器本体2にセットされた薬剤容器としての薬剤瓶3内の液状薬剤を気化して放出する装置であり、当該芳香器1は、トイレや居住空間で使用されるものである。
【0032】
この芳香器1の拡散器本体としての芳香器本体2は、図2にも示すように、後壁面を形成する後カバー11と、該後カバー11の前側に取り付けられる前カバー12と、該前カバー12と前記後カバー11との間に配置される構成部品としての内部構成体13とで構成されている。
【0033】
前記後カバー11は、光を透過しない有色の不透明な樹脂によって前方が開口した容器状に形成されており、その下部には、切欠部21が設けられている。前記後カバー11は、上部が断面円弧状に形成されており、その中央部には、薬剤を揮散する為の揮散穴22が開設されている。
【0034】
また、前記後カバー11の上部には、内側に延出する一対の係止ピン31,31が前記揮散穴22より前方側に設けられており、当該後カバー11の側面には、前後方向に延在する上部リブ32,32と、支持リブとしての下部リブ33,33とが左右の部位に設けられている。前記下部リブ33,33の前端部には、リブ挿通穴34,34が設けられており、固定用のタッピンねじ35,35を挿通できるように構成されている。
【0035】
この後カバー11の側面上部には、図1に示したように、複数のスリット41,・・・からなる空気取入口42,42が左右に形成されており、該空気取入口42,42から芳香器本体2内に外部の空気を取り込めるように構成されている。前記空気取入口42,42の各スリット41,・・・は、断面円弧状に形成された前記後カバー11の上部に設けられており、当該後カバー11の下部側面に設けられた場合と比較して、当該芳香器本体2の中心寄りに配置されるように構成されている。
【0036】
前記後カバー11には、図2に示したように、軸部44を介してスライド板45が支持されており、スライド板45は、前記軸部44を中心に回動できるように構成されている。前記スライド板45には、操作ノブ46が突設されており、該操作ノブ46は、前記後カバー11に設けられた操作ノブ挿通穴47を介して外部に延出している。
【0037】
これにより、前記操作ノブ46を操作して前記スライド板45を前記軸部44を中心に回動することによって、当該スライド板45が前記空気取入口42,42を構成する各スリット41,・・・の開口面積を可変できるように構成されている。
【0038】
前記後カバー11の下部には、一対の矩形穴71が設けられており、前記内部構成体13に設けられたコンセントプラグ72,72を前記矩形穴71,71を介して、当該後カバー11より後方へ延出できるように構成されている。また、前記後カバー11の下縁中央部には、係止爪73が上方へ向けて突設されている。
【0039】
前記内部構成体13は、光を透過する透光性を有した半透明の樹脂で形成されており、中央部に設けられた中央板81を中心に構成されている。該中央板81の左右側縁部には、一般部82より一段高い支持片としての段差面83,83が形成されており、当該中央板81が補強されている。
【0040】
該中央板81には、上方に膨出した円形膨出部91が形成されており、該円形膨出部91には、その下方から前記薬剤瓶3の首部が挿入されるように構成されている。前記中央板81の後縁には、下方に垂下する挟持板92が設けられており、該挟持板92と前記中央板81に形成された前記段差面83との間には、間隙84,84が形成されている。前記挟持板92の下縁中央には、凹部93が形成されており、該凹部93には、前記後カバー11に設けられた前記係止爪73が係合するように構成されている。
【0041】
前記挟持板92は、前記前カバー12の下部と対向するように構成されており、当該挟持板92は、図1に示したように、前記前カバー12との間に配置された前記薬剤瓶3の瓶本体95を前記前カバー12と共に前後から挟持できるように構成されている。これにより、前記挟持板92と前記前カバー12とで挟持された前記薬剤瓶3は、その首部が前記円形膨出部91に挿入された状態で保持されるとともに、図3及び図4に示すように、前記首部より延出した吸上芯96が前記円形膨出部91に設けられた挿通穴97を介して上方へ延出するように構成されている。これにより、当該芳香器本体2の下部には、図1に示したように、前記薬剤瓶3が下方からセットされる下方開口状の容器保持空間98が形成されている。
【0042】
前記内部構成体13の前記円形膨出部91天面に設けられた前記挿通穴97は、図5にも示すように、横長の楕円形の開口部で構成されており、円柱状に形成された前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの周囲の左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとで構成されている。
【0043】
この挿通穴97は、短軸99が前記後カバー11及び前記前カバー12側へ向けた前後方向に延在するとともに、長軸100が前記挟持板92に沿って延在するように配置されている。前記短軸99の長さ寸法は、前記吸上芯96の直径とほぼ同寸法に設定されており、当該吸上芯96の前後方向への移動が阻止されるように構成されている。
【0044】
前記中央板81の後縁部には、図3及び図4に示すように、矩形状の支柱101が前記円形膨出部91に沿って立設されており、この支柱101の上端部には、ヒータ102が設けられている。該ヒータ102は、前記支柱101を介して前記内部構成体13に支持されており、当該ヒータ102で加熱される加熱部104は、前記円形膨出部91に設けられた前記挿通穴97の真上に配置されるように構成されている。
【0045】
このヒータ102の前記加熱部104は、円筒状に形成されており、前記薬剤瓶3より延出した前記吸上芯96に遊嵌し、該吸上芯96の外周部を包囲する位置に配置されている。また、前記加熱部104の直径Dは、図5に示したように、楕円形の開口部で構成された前記挿通穴97の短軸99の長さ寸法より大きな寸法に設定されており、当該加熱部104は、前記吸上芯96に遊嵌するように構成されている。これにより、前記吸上芯96で吸い上げられた薬剤を前記ヒータ102の前記加熱部104で外周部から加熱することによって、当該薬剤の蒸散を促進するとともに、蒸散した薬剤を前記揮散穴22を介して外部に揮散できるように構成されている。
【0046】
前記ヒータ102には、図3にも示したように、電極111,111が設けられており、該電極111,111は、接続線112,112を介して制御基板113に接続されている。該制御基板113は、前記挟持板92の裏面に沿って固定されており、当該制御基板113の下部には、家庭用のACコンセントに差し込まれる前記コンセントプラグ72,72が設けられている。
【0047】
また、この制御基板113には、図4にも示したように、前記ACコンセントから供給された電源で発光する発光体としての左発光ダイオード121及び右発光ダイオード122が接続されており、各発光ダイオード121,122は、前記円形膨出部91の両脇に設けられたリブ123,123に係止された状態で固定されている。これにより、前記両発光ダイオード121,122が、前記支柱101及び前記ヒータ102より前カバー12側に配置されるように構成されている。
【0048】
前記円形膨出部91の側部には、サブ基板131が設けられており、該サブ基板131は、前記制御基板113に接続されている。該サブ基板131には、スイッチ132が設けられており、該スイッチ132に設けられた操作部133は、前記後カバー11に設けられたスイッチ穴134を介して(図2参照)、当該後カバー11の側部に突出するように構成されている。
【0049】
前記円形膨出部91に設けられた各リブ123,123の端部には、上下に延在する円筒部141,141が形成されており、該円筒部141,141は、前記段差面83,83に突設されるとともに該段差面83,83を貫通して下方に開口するように構成されている。これにより、前記段差面83の下方から挿入された固定用のタッピンねじ35,35を前記円筒部141,141に螺入できるように構成されている。
【0050】
前記前カバー12は、図2及び図6に示したように、前記内部構成体13と同様に光を透過する透光性を有した半透明の樹脂で形成されており、該前カバー12は、縦長の楕円形状に形成されている。この前カバー12の前面は、緩やかに湾曲した凹凸の無い平坦面で構成されており、その周縁部には、凸条部151が全周に渡って形成されている。これにより、この凸条部151の内側は、フィルム等の貼着物を貼着可能な貼着面152を構成している。
【0051】
前記前カバー12の上部には、後方に延出した上部支持片161,161が設けられており、両上部支持片161,161には、係止穴162,162が設けられている。この上部支持片161,161の前記係止穴162,162には、前記後カバー11に突設された前記係止ピン31,31が挿入された状態で係止されるよう構成されており(図2参照)、当該前カバー12の上部を前記後カバー11に固定できるように構成されている。
【0052】
この前カバー12の下部中央には、突出部171が突設されており、該突出部171は、前記薬剤瓶3の前記瓶本体95に設けられた凸部172を下方から支持し(図3参照)、当該薬剤瓶3の不用意な離脱を防止できるように構成されている。前記突出部171の両脇には、図6に示したように、前記後カバー11側へ向けて延出する延出片173,173が設けられており、両延出片173,173は、断面L字状に形成されている。各延出片173,173には、円形の延出片挿通穴174,174が設けられており、固定用のタッピンねじ35,35を挿通できるように構成されている。
【0053】
そして、図7に示すように、前記後カバー11に設けられた前記下部リブ33,33上に、前記前カバー12に設けられた前記延出片173,173を載置した状態で支持できるように構成されており、前記前カバー12に設けられた前記延出片173,173上には、前記内部構成体13に設けられた前記段差面83,83を載置した状態で支持できるように構成されている。
【0054】
これにより、前記後カバー11の前記下部リブ33,33に設けられた前記リブ挿通穴34,34及び前記前カバー12の前記延出片173,173に設けられた前記延出片挿通穴174,174を挿通するタッピンねじ35,35を、前記内部構成体13の前記段差面83,83に突設された円筒部141,141に螺入して、前記後カバー11の前記下部リブ33,33と前記内部構成体13の前記段差面83,83との間に前記前カバー12の前記延出片173,173を挟持した状態で、前記後カバー11と前記内部構成体13と前記前カバー12とを固定できるように構成されている。
【0055】
この固定状態において、前記後カバー11と前記前カバー12と前記内部構成体13とを固定する固定位置191は、前記各発光ダイオード121,122の下部であって、各発光ダイオード121,122の発光面より前記後カバー11側に設定されている。また、前記内部構成体13に設けられた前記各発光ダイオード121,122から前記前カバー12までの間は、空虚な空間192となるように構成されている。
【0056】
以上の構成にかかる本実施の形態において、薬剤瓶3の吸上芯96が挿通する内部構成体13の挿通穴97は、楕円形の開口部で構成されている。このため、この挿通穴97を挿通した前記吸上芯96は、前記挿通穴97の短軸99方向に位置する開口縁に当接することによって、前記短軸99方向への移動が阻止される。
【0057】
また、前記挿通穴97は、前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとによって楕円形に形成されており、前記開口部分97aの直径を示す前記短軸99方向での幅寸法は、当該挿通穴97の中心部にて最大となるように構成されている。このため、当該挿通穴97を挿通した吸上芯96が、当該挿通穴97の中心から長軸100方向へ移動しようとした場合、当該挿通穴97の短軸99方向に位置する開口縁に当接することとなり、当該長軸100方向への移動も規制される。
【0058】
このため、前記吸上芯96は、前記挿通穴97の短軸99方向及び長軸100方向への移動が防止され、当該吸上芯96を前記挿通穴97の中心部に位置決めすることができる。これにより、前記挿通穴97の周囲部に細長の振り止めガイドを突設すること無く、前記吸上芯96の前記加熱部104への不用意な接触を防止することができる。
【0059】
したがって、組立時に配線や他部材が引っ掛かりが生じ得る前記振り止めガイドを廃止することができるため、組立作業性を向上することができる。
【0060】
そして、前記吸上芯96が前記挿通穴97の中心部、すなわち前記開口部分97aに位置決めされた状態においては、図5にも示すように、前記吸上芯96の前記長軸100方向側部に、前記空気通流部97bで構成された空き空間Kを確保することができる。
【0061】
このため、前記加熱部104の熱で発生した空気の流れを、前記空き空間Kを介してその下方から上方へ対流させることができる。これにより、前記吸上芯96から蒸散された薬剤の拡散効率を高めることができる。
【0062】
また、楕円形に形成された前記挿通穴97の短軸99の長さ寸法は、前記加熱部104の直径Dより短く設定されている。このため、前記挿通穴97によって位置決めされる前記吸上芯96は、円筒状に形成された前記加熱部104への干渉が確実に防止される。
【0063】
なお、本実施の形態では、前記内部構成体13における円形膨出部91の天面を平坦に形成するとともに、この天面に前記吸上芯96が挿通する前記挿通穴97を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0064】
(第2の実施の形態)
【0065】
すなわち、図8及び図9に示すように、前記円形膨出部91の天面を、前記挿通穴97が設けられた中央部へ向かうに従って上方に突出した山形に形成することで、前記挿通穴97が設けられた天面の裏側面に、前記吸上芯96を前記挿通穴97に案内する傾斜面201を形成することができる。
【0066】
これにより、前記吸上芯96を前記挿入穴97へ挿入する際に、該挿入穴97が開口した天面裏側の傾斜面201に沿って前記吸上芯96を案内することができる。
【0067】
これにより、前記吸上芯96を前記挿通穴97に挿入する際に、当該吸上芯96が前記挿入穴97近傍の壁面に当接して折れてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0068】
また、前記各実施の形態にあっては、前記吸上芯96が挿通する挿通穴97を、図10の(a)に示すように、円柱状に形成された前記吸上芯96の断面形状に適合した円形状の開口部分97aと、該開口部分97aの周囲の左右側部に連続して設けられた空気通流部97b,97bとで構成し、横長の楕円形状に形成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0069】
(第3の実施の形態)
【0070】
すなわち、前記挿通穴97を、図10の(b)に示すように、円形状の開口部分301aと、該開口部分301aの周囲の四方に連続して設けられた空気通流部301b,・・・とからなる正方形状に形成しても良い。
【0071】
(第4の実施の形態)
【0072】
また、前記挿通穴97を、図10の(c)に示すように、円形状の開口部分311aと、該開口部分311aの周囲の四方に連続して設けられた空気通流部311b,・・・とからなる菱形に形成しても良い。
【0073】
(第5の実施の形態)
【0074】
さらに、前記挿通穴97を、図11の(a)に示すように、円形状の開口部分321aと、該開口部分321aの周囲の左右に連続して設けられた空気通流部321b,321bとからなる目形に形成しても良い。
【0075】
(第6の実施の形態)
【0076】
加えて、前記挿通穴97を、図11の(b)に示すように、円形状の開口部分331aと、該開口部分331aの周囲の右方に連続して設けられた空気通流部331bとからなる形状に形成しても良い。
【0077】
(第7の実施の形態)
【0078】
そして、前記挿通穴97を、図11の(c)に示すように、円形状の開口部分341aと、該開口部分341aの周囲より四方に延出した空気通流部341b,・・・とからなる形状に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の分解斜視図である。
【図3】同実施の形態の内部構成体を示す側面図である。
【図4】同実施の形態の内部構成体を示す平面図である。
【図5】同実施の形態の内部構成体からヒータを取り外した状態を示す平面図である。
【図6】同実施の形態の前カバーを示す斜視図である。
【図7】同実施の形態の要部の断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図9】同実施の形態を示す要部の断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第1の実施の形態を示す模式図で、(b)は、本発明の第3の実施の形態を示す模式図で、(c)は、本発明の第4の実施の形態を示す模式図である。
【図11】(a)は、本発明の第5の実施の形態を示す模式図で、(b)は、本発明の第6の実施の形態を示す模式図で、(c)は、本発明の第7の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1 芳香器
2 芳香器本体
3 薬剤瓶
13 内部構成体
96 吸上芯
97 挿通穴
97a 開口部分
97b 空気通流部
99 短軸
102 ヒータ
104 加熱部
201 傾斜面
D 直径
K 空き空間
301a 開口部分
301b 空気通流部
311a 開口部分
311b 空気通流部
321a 開口部分
321b 空気通流部
331a 開口部分
331b 空気通流部
341a 開口部分
341b 空気通流部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散器本体にセットされた薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を備えた構成部品と、前記挿通穴を挿通した前記吸上芯に遊嵌する筒状の加熱部とを備えた拡散器において、
前記挿通穴を、前記吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成したことを特徴とする拡散器。
【請求項2】
前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1記載の拡散器。
【請求項3】
前記挿通穴を楕円形の開口部で構成するとともに、該挿通穴の短軸の長さ寸法を、円筒状に形成された前記加熱部の直径より短く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の拡散器。
【請求項1】
拡散器本体にセットされた薬剤容器の吸上芯が挿通する挿通穴を備えた構成部品と、前記挿通穴を挿通した前記吸上芯に遊嵌する筒状の加熱部とを備えた拡散器において、
前記挿通穴を、前記吸上芯に適合した形状の開口部分と、該開口部分の周囲の少なくとも一部に連続して設けられた空気通流部とで構成したことを特徴とする拡散器。
【請求項2】
前記挿通穴が設けられた壁面に、前記吸上芯を前記挿通穴に案内する傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1記載の拡散器。
【請求項3】
前記挿通穴を楕円形の開口部で構成するとともに、該挿通穴の短軸の長さ寸法を、円筒状に形成された前記加熱部の直径より短く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の拡散器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−229384(P2007−229384A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58101(P2006−58101)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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