説明

持続放出組成物

本発明は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって、当該各ミニインプラント又はペレットは;持続放出支持材;及び医薬組成物を含み、当該医薬組成物は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み、前記ミニインプラント又はペレットは、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記持続放出装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、持続放出装置、及び特にミニインプラント又はペレット型の持続放出装置に関する。より特異的には、本発明は、ヒトを含む動物におけるホルモン産生に関連する様々な適応症の治療を提供する持続放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬物デリバリー系が先行技術において知られている。
【0003】
例えば、制御薬物放出製剤は疎水性ポリマー材料を担体として使用し、それは生体内へ投与後、非分解性である。かかる製剤からの薬物放出を制御する2つの方法がある:一方は、アルブミンの如き添加物を使用する方法(日本特許公報(特公平)第61959/1995号)、及び他方は、疎水性ポリマーのみからなる外層を形成することによる方法(日本特許公報(特公平)第187994/1995号)である。
【0004】
しかしながら、疾患適応症が、高い閾値の血しょう濃度の達成を必要とし、及び/又は複数の薬物デリバリーを必要とし、及び/又は高濃度で長期間に渡って続けられる持続放出を必要とする際に、先行技術において知られる薬物デリバリー系は、通常、不十分な薬物運搬能力、及び遅過ぎて持続期間中に渡る高い血中濃度を得られない放出率を示す。
【0005】
当該薬物デリバリー系の大きさを、1又は複数の次元(例えば、長さ又は直径)で増大することによりデリバリーされた活性を増大することは理論上可能であるが、例えば、処置される動物にとって有害となり又は致命的ともなり得る「薬物投棄」を導き得るように、予想結果を得られないだろう。あるいは、当該装置の大きなサイズは、特にウシといった比較的大きな動物に対してさえ、その使用をさけるだろう。
【0006】
例えば、かかる薬物デリバリー移植片は、動物の耳の中の皮下に設置され得る。これは、当該移植片の大きさが大きくなり過ぎると物理的に不可能となり得る。
【0007】
視床下部ホルモン、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(本明細書中において「LHRH」と示され、GnRHとしても知られる。)の予防接種が、1970年代初頭から、生殖を制御する免疫学的方法として実証された。
【0008】
去勢手術は、獣医学、及び家畜動物管理において、最も広範に実施される外科的処置である。家庭的な家畜とペットの雄雌のかなりの割合は、通常外科的に去勢され、性的成熟に伴って起こる様々な所望しない特性を回避している。当該特性は、好戦的、散漫、性的行動、健康状態の悪化、生殖器の腫瘍、及び妊娠を含む。
【0009】
同様に、精巣がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、前立腺肥大又は子宮内膜症の如き、ヒト及び動物の双方の生殖腺及び他の生殖器の疾患の制御及び治療が深刻である。
【0010】
イヌの如き家畜について、性腺摘出よりも安全で侵襲性の少ない避妊薬の必要性があり、可能性のある種畜の場合には完全に元に戻せる。認容されるために、動物用避妊薬は繁殖に関与しなければならないが、しかし使用中のごく僅かな副作用がある。可逆的な避妊薬は、処置された動物及びその子の双方について、使用中止後もごく僅かな副作用とすることが必要である。特に雄について、これらの基準の多くを満たすだろう有用なものは、現在のところほとんど選択の余地がない。
【0011】
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の強力なアゴニストは、長期投与が、黄体形成ホルモンの分泌を顕著に低減することより、1つの選択肢として見出される。
【0012】
同様に、性的発達の間及び成熟したとき、雄のブタは、脂肪組織中に主にアンドロステノン及びスカトールといった物質を蓄積し、豚肉における雄ブタの汚染の主な引き金としてみなされる。当該肉の汚染を避けるために、新鮮な肉の消費とする予定である雄ブタは、最近まで、性的成熟前に食肉処理していた。他の国では、離乳前の雄ブタの去勢により汚染が克服される。しかしながら、去勢は、成長能力に深刻な低下、及び脂肪の過剰沈着をもたらす。雄ブタの汚染は性的成熟と共に増大するので、屠殺体重の増大は、雄ブタの汚染の危険要因の増大に関連する。
【0013】
性的発達及び雄ブタの汚染を阻害する1つの方法はLHRHに対する予防接種である。しかしながら、今日までに報告された大抵のワクチンの処方計画は適さない、なぜならば、それらは、多くの注入、又はワクチン接種と屠殺との長期の間隔を必要とするアジュバント注入後の生ずるサイト反応を必要とするからである。
【0014】
さらに、ワクチン投与計画は、当該動物におけるテストステロン濃度を低下させる長期間をもたらす長期治療を必要とする。雄ブタの如き家畜動物の場合、成長能力における深刻な低下をもたらし、食肉処理における低減された枝肉重量及び質となる。
【0015】
さらに、かかるワクチン投与計画は、処置されなかった動物が雄ブタの汚染を発達させるだろうことを確実とするために十分な抗体応答をデリバリーしない。
【0016】
例えば、ある実験において、雄ブタのワクチン接種は、精巣発育の可変の抑制、及び雄ブタ汚染の抑制をもたらす。ワクチンとして使用されるLHRH複合体は、20匹のワクチン接種されたブタの内の僅か90%に抗体応答を与える。
【0017】
モデルが提示するには、大抵の消費者に許容されるために、アンドロステノン及びスカトールそれぞれについて、脂肪の0.5〜1.0μg/g及び脂肪の0.20μg/gの閾値を求めることが必要である(Bonneau et al.,”An international study on the importance of androstenone and skatole for boar taint:IV.Simulation studies on consumer dissatisfaction with entire male pork and the effect of sorting carcasses on the slaughter line,main conclusions and recommendations”−Meat Sci(2000)54:285−295)。
【0018】
もし、動物の100%をうまく処置する効果を有する医薬組成物が提供されるならば、先行技術における重要な進歩である。
【0019】
さらに、先行技術において、治療と応答との間に重大な時間のずれがある。もし、より早い活性の兆候、及び活性反応の持続を産生することが可能ならば、治療され得る潜在的適応症の本質及び範囲は大いに拡張され得る。
【0020】
それ故、先行技術に関する1又は複数の困難さ及び欠陥を克服すること又は少なくとも緩和することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0021】
本発明の第1態様において、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラントは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記持続放出装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
出願人は、当該持続放出装置が、使用の際に、意外にも、速やかな活性の開始、並びに活性反応の持続を産生することを見出した。
【0023】
従って、当該持続放出装置は、前立腺がん、精巣がん、前立腺肥大、卵巣がん、及び子宮内膜症などを含む、ヒト及び動物の両方の生殖の制御、並びに性腺及び他の生殖組織の制御及び治療に特に適している。
【0024】
当該持続放出装置は、雄又は雌の動物の性的成熟に関連する特徴、及び/又は季節繁殖行動の間の特徴の調節にさらに利用され得、当該調節は、例えば、上がる又は好戦的、散漫、健康状態の悪化、性的行動、発情周期、繁殖及び妊娠を含む攻撃性を例示的に含む物理的及び/又は習慣的特徴の抑制である。
【0025】
特に短期間に渡る生殖の制御を通して、特に雄のブタ由来の豚肉における雄ブタ汚染である肉汚染の現象を含む、望まれない官能特性を制御することが可能である。さらに、当該処置が短期間のものであるので、当該方法は、処置される動物の枝肉品質を改良するように機能し得る。
【0026】
多くのテストステロン産生は精巣細胞にて行われ、かなり少量が副腎で産生される。出願人は、意外にも、当該持続放出装置が、精巣細胞及び副腎の双方に由来するテストステロン濃度を低下するのに十分量のアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度をもたらすことを見出した。
【0027】
理論に縛られることなく、当該出願人は、睾丸由来のテストステロン、及び副腎由来のテストステロン双方の低下は、スカトール濃度における同時に起こる低下をもたらすことを信じる。
【0028】
好ましくは、当該持続放出ミニインプラント又はペレットは、組み合わせて、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値でLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供し得、ここで当該長期間の例は、選択的活性について、約1〜52週間であり、好ましくは約2〜48週間であり、より好ましくは約2〜4週間であり、そして最も好ましくは1〜2週間である。
【0029】
好ましくは、当該持続放出装置は、アゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が雄ブタの汚染を低減又は削減するのに十分量であることを提供し得る。
【0030】
好ましくは、当該LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの量は、約1〜20mg、より好ましくは2〜10mg、最も好ましくは2〜6mgである。
【0031】
好ましくは、当該ミニインプラント又はペレットの長さが約0.05〜1.5cm、より好ましくは0.1〜1cm、最も好ましくは0.1〜0.5cmである。
【0032】
好ましくは、当該ミニインプラント又はペレットの内径が約0.5〜2.0mm、より好ましくは0.75〜1.75mm、最も好ましくは0.8〜1.4mmである。
【0033】
好ましくは、当該ミニインプラント又はペレットの外径が約0.5〜3.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mm、最も好ましくは1.0〜1.6mmである。
【0034】
本発明に関する各持続放出ミニインプラント又はペレットは、生体適合性であり、かつ、生分解性となり得る。
【0035】
当該組成物は、上記の通り、少なくとも1つのLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含む。
【0036】
当該LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分は、いずれかの好適な型となり得る。LHRHの活性誘導体が使用され得る。誘導体は、前駆体断片、部分、一部、化学当量、塩、変異体、天然由来の相同体及び類似体、合成又は組み換え源、含有融合蛋白質、及び活性をコードするDNA/RNA配列を含む。当該LHRHアゴニストとして、[D−Trp6]LHRH、デカペプチル(Decapeptyl)、ロイプロリド、ゾランデックス(Zolandex)、ブセレリン又はデスロレリン(D−Trp−Pro−des−Gly10−LHRHエチルアミド)、及びそれらの塩は、好適であることが見出される。
【0037】
当該LHRHアンタゴニストとして、ガニレリックス、アバレリックス、セトロレリックスアセテート(Ac−D−Nal(2)(4Cl)、D−Pal(3)3、D−Clt6、D−Ala10)LHRH又はパモ酸セトロレリックス及びそれらの塩は、好適であることが見出される。
【0038】
当該LHRHアゴニスト/アンタゴニストは、当該医薬組成物中に比較的多量に存在し得る。当該LHRHアゴニスト/アンタゴニストは、当該医薬組成物の総重量に基づき、約40〜70重量%、好ましくは約40〜60重量%の量で存在し得る。
【0039】
当該医薬組成物は、第2医薬活性成分をさらに含み得る。当該第2医薬活性成分は、下記のものからなる群より選択される1又は複数により非制限的に示され得る。
【0040】
アセトン血症製剤 同化剤
麻酔薬 鎮痛薬
抗酸剤 抗関節炎薬
抗体 抗けいれん薬
抗真菌薬 抗ヒスタミン薬
抗感染薬 抗炎症薬
抗菌剤 駆虫剤
抗原虫薬 抗潰瘍薬
抗ウイルス製剤 行動変容薬(Behaviour
modification drug)
生物製剤 血液及び代用血液
気管支拡張薬及び去痰薬 がん治療及び関連医薬
心血管薬 中枢神経系薬
抗コクシジウム剤及び抗コクシジオイデス真菌症薬
避妊薬
造影剤 糖尿病治療薬
Dluretics 排卵薬
成長ホルモン 成長促進剤
造血剤 止血薬
【0041】
ホルモン補充療法 ホルモン及び類似体
免疫賦活剤 鉱物
筋肉弛緩剤 天然物
栄養補助食品及び栄養剤 肥満治療薬
眼科薬 骨粗しょう薬
疼痛治療薬 ペプチド及びポリペプチド
呼吸薬 鎮静剤及びトランキライザー
移植品 尿酸性化薬
ワクチン及びアジュバント ビタミン
【0042】
当該第2医薬活性成分は、不水溶性薬、水溶性薬又はそれらの混合物を含み得る。
【0043】
当該持続放出装置は、全ての雄動物に使用する際、スカトール濃度を著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供し得る。好ましくは、当該スカトール濃度は、脂肪の0.2μg/g未満まで低下される。
【0044】
本明細書中に使用される用語「著しく低下」は、雄ブタの汚染を低減又は削減するのに十分な低下をいう。
【0045】
当該持続放出装置は、全ての雄動物に使用する際、テストステロン濃度を、付随して著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供し得る。好ましくは、当該テストステロン濃度は、血清の約1ng/mL未満まで低下される。最も好ましくは、当該テストステロン濃度は、血清の約0.2ng/mL未満まで低下される。
【0046】
当該持続放出装置は、全ての雄動物に使用する際、アンドロステノン濃度を、付随して著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供し得る。好ましくは、当該アンドロステノン濃度は、脂肪の約0.5μg/g未満まで低下される。最も好ましくは、当該アンドロステノン濃度は、脂肪の約0.2μg/g未満まで低下される。
【0047】
本発明に関する持続放出装置において有用な水溶性医薬活性物は、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、糖蛋白質、ポリサッカリド、ホルモン、及び核酸の如き薬物を含む。
【0048】
LHRHアゴニスト/アンタゴニスト成分と成長ホルモン成分との組み合わせは、特に好まれる。
【0049】
合成成長ホルモンであって、例えば組み換え型ブタソマトトロピン(rPST)が使用され得る。
【0050】
第2医薬活性成分は、好適な量の医薬組成物中に存在し得る。当該第2医薬活性成分は、医薬組成物の総量に基づき、約8〜50重量%、好ましくは約15〜30重量%の量で存在し得る。
【0051】
好ましい形態について、当該持続放出装置は、同じか又は異なる大きさ、かつ、同じか又は異なる配合の複数のミニインプラントを含み得る。
【0052】
当該ミニインプラントは、1回処理において同時に投与され得る。当該ミニインプラントは、1回処理を通じて、例えば単回投与又は下記のようなものを通じて投与され得る。
【0053】
本発明に関する医薬組成物は、LHRHアゴニスト/アンタゴニスト成分のための担体をさらに含む。
【0054】
当該医薬担体は、短期間又は長期間に渡る当該組成物からの医薬活性成分の放出を許容するように選択される。
【0055】
当該担体は、水溶性又は不水溶性基質を含む。
【0056】
水溶性基質は、薬物分散の中への水の浸潤を制御する役割を有する基質である。投与される動物又はヒトの体温で固形状態(製剤の形式として)にあり、及び生理学的許容性のある水溶性基質である限り、水溶性基質に関して制限はない。
【0057】
1つの水溶性基質又は複数の水溶性基質の組み合わせが使用され得る。当該水溶性基質は、合成ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンポリプロピレン グリコール)、糖質(例えば、スクロース、ラクトースマンニトール、グルコース、コンドロイチン硫酸ナトリウム)、ポリサッカリド(例えば、デキストラン)、アミノ酸(例えば、グリシン及びアラニン)、無機塩類(例えば、塩化ナトリウム)、有機塩類(例えば、クエン酸ナトリウム)及び蛋白質(例えば、ゼラチン及びコラーゲン及びそれらの混合物)からなる1又は複数の群より、特異的に選択され得る。
【0058】
さらに、当該水溶性基質は、水溶性であって、かつ、生体内で活性を有する基質を含み得、例えば、低分子量薬、ペプチド、蛋白質、糖蛋白質、ポリサッカリド、又はワクチンとして使用される抗生物質、すなわち水溶性薬物である。
【0059】
さらに、当該水溶性基質が両親媒性基質、つまり有機溶媒及び水の双方に溶解するとき、それらの溶解性を変化させることにより、例えば親油性薬物の放出を制御する効果を有する。両親媒性基質は、ポリエチレングリコール又はそれらの誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール又はそれらの誘導体、脂肪酸エステル、及び糖類のアルキル硫酸ナトリウム、そしてより特異的には、ポリエチレングリコール、ポリオキシステアレート40、ポリオキシエチレン[196]ポリオキシプロピレン[67]グリコール、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコール、ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール、脂肪酸のスクロースエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デゾキシコリン酸ナトリウム(又はデオキシコール酸ナトリウム(DCA)であって、平均分子量が1500超のものからなる群より選択される1又は複数を非制限的に含む。
【0060】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、スクロース、ラクトース、マンニトール、デキストラン、塩化ナトリウム、又はDCA、あるいは、それらの複数の組み合わせが好まれる。
【0061】
当該不水溶性担体は、不水溶性ポリマー、樹脂、及び水溶性アクリレートを含むラテックス、メタクリレート及び他のカルボキシポリマー、ろう、リン脂質及びリポ蛋白質を含む脂質からなる1又は複数の群より選択され得る。
【0062】
当該医薬担体は、医薬活性成分の総重量に基づき、約1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の量から構成され得る。
【0063】
各持続放出ミニインプラント又はペレットは、付加的な担体又は賦形剤、滑剤、充填剤、可塑剤、結合剤、着色料、及び安定剤を含み得る。
【0064】
好適な充填剤は、滑石、二酸化チタン、でんぷん、カオリン、セルロース(微結晶又は粉末)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0065】
本発明に関する各持続放出ミニインプラント又はペレットは、当該被膜ロッド又はマトリクス形式のものとなり得る。被膜ロッド様形状が好まれる。
【0066】
当該ミニインプラント又はペレットの大きさ、数、及び積載量は、選択された医薬活性成分、及び/又は抗原/アジュバントを伴って変動する。
【0067】
大きさ、数、及び積載量の最適な組み合わせは、簡単な実験を通して確立され得る。
【0068】
例えば、各持続放出ペレットは、1つのロッド形状移植片の約0.1〜0.5倍、好ましくは約0.20〜0.40倍の長さとなり得、選択された医薬活性成分に依存して、所望の閾値血中濃度を提供することを可能とする。
【0069】
例えば、獣医用適用において、本発明に関する通常のブタ移植片は、約1.5mmの外径×約1cmの長さのサイズを有し、0.25cmの長さの4つの移植片として投与され得る。
【0070】
当該持続放出デリバリー装置は、被膜ロッド又は分散されたマトリクス構造形式をとり得る。かかるペレット系は、有効となるために要求される閾値血しょう濃度を達成すること、及び十分な期間に渡ってそれらの血中濃度を維持することが不可能なので従来かかる疾患に適用されなかった医薬活性成分を伴った、長期間に渡る疾患の治療を可能とする。
【0071】
好ましくは、当該持続放出デリバリー装置は、LHRHアゴニスト/アンタゴニストの約ゼロ次放出を提供し得る。
【0072】
当該持続放出支持材は、支持マトリクス又はロッド形状、好ましくは被膜ロッド構造をとり得る。当該持続放出支持材は、開口円筒型ロッド形状をとり得る。
【0073】
当該持続放出支持材は、生分解性又は生体適合性材料、好ましくは生体適合性疎水性材料から形成され得る。当該生体適合性材料は、ポリエステル、ポリアミノ酸、シリコーン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリビニルアルコールからなる群より選択され得る。好ましくは、当該持続放出支持材はシリコーン材料である。シリコーンロッドが好ましい。当該シリコーン材料は、多孔質シリコン又はバイオシリコン材料となり得、例えば、国際特許公開PCT/GB99/01185に記載の通りであり、その全内容を本願明細書中に援用する。メソ多孔性又は多結晶性シリコン、あるいはそれらの混合が使用され得る。
【0074】
本発明において使用される生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸−グリコール酸)共重合体(PLGA)の如きポリエステル、ポリアラニンの如き疎水性ポリアミノ酸、ポリロイシン、ポリ無水物、ポリ(グリセロール−セバケート)(PGS)、Biopol、Pluronicポリオール(ポロキサマー)などにより、非制限的に例示され得る。当該疎水性ポリアミノ酸は、疎水性アミノ酸から形成されるポリマーを意味する。
【0075】
本発明において使用される非生分解性ポリマーは、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの如きポリメタクリレート、エチレン酢酸ビニル共重合体などにより、非制限的に例示される。
【0076】
より好ましくは、国際特許公開PCT/AU02/00865(その全内容を本願明細書中に援用する。)に記載されるようなシリコーンエラストマーが使用され得る。例えば、当該シリコーンエラストマーは、強化用繊維としてヒュームド・シリカを含むメチル−ビニルシロキサンポリマーから形成される。当該持続放出支持材は、当該持続放出装置の約40〜65重量%、好ましくは約45〜60重量%を含み得、残りは医薬組成物を形成する。
【0077】
好適な結合剤は、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの組み合わせを含む。
【0078】
本発明に関する持続放出移植片は、ロッド様形状を有し得、例えば、円筒、角柱、及び楕円円筒から選択される。当該装置が注射型器具を使用して投与されるとき、円筒型装置が好ましい、というのは、当該注射器本体及び注射針は通常、円筒形状を有するからである。
【0079】
本発明に関する持続放出移植片は、「Preparation of sustained release pharmaceutical composition」と題される同時係属国際特許公開PCT/AU2002/000868に従って製造され得、その全内容を本願明細書中に援用する。
【0080】
本発明の薬剤の内層は、横断面から見ると、異なる水溶性薬剤の複数の層を含み得る。これらの層は、単一重心を有する同心円の形状をとり得、又はその各重心が断面における異なる点にある複数の内層として現れ得る。当該薬剤が複数の内層を含むとき、当該内層中に1又は複数の薬剤が存在し得る。例えば、当該薬剤は、各層が異なる薬剤を含み、あるいは、当該内層の1つ又は全てに複数の薬剤があるように存在し得る。
【0081】
本発明の薬剤の大きさは、例えば皮下投与の場合、比較的小さく、例えば、通常の大きさの1/4〜1/10であり得る。例えば注射型器具を使用する場合、当該形状は円筒であり得、及びその場合の断面直径は好ましくは0.2〜16mmであり、軸長は好ましくは約0.2〜7.5mm、好ましくは約0.5〜5mm、より好ましくは約1〜4mmであり得る。
【0082】
本発明に関する持続放出移植片は、持続的ゼロ次放出を可能とするために、好ましくは二重層構造を有する。当該二重層構造は:
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト含有内層;及び
水不浸透性外層、
を含む。
【0083】
当該水不浸透性外層は、シリコーン材料により形成され得る。より好ましくは、水不浸透性外層は、液体シロキサンを含む液体コーティング組成物から形成され得る。
【0084】
本出願人は、驚くべきことに、二重層構造を有する持続放出ミニインプラントは予期しなかった放出特性を示すことを見出した。予想に反して、最大血中濃度は、移植片の長さによって変化し、並びに、持続放出が維持される期間も同様である(表4A及び4Bを参照のこと)。理論に束縛されずに考えると、特に小分子について、放出は、被膜ロッド移植片の開口末端からのみでなく、不透水外層を通じても生じていることが仮定される。
【0085】
望ましくは、当該ロッド様移植片は、外皮膜層を含む。当該外層の厚さは、材料特性及び所望の放出率の機能に従って選択されるべきである。当該外層の特定の機能が果たされる限り、当該外層の厚さは重要ではない。当該外層の厚さは、好ましくは約0.05mm〜3mm、より好ましくは0.05mm〜0.25mm、及び最も好ましくは0.05〜0.1mmである。
【0086】
片方の末端のみに開口を伴う薬剤は、溶液中に当該薬剤の片方の末端をディッピングすることにより又は当該薬剤の片方の末端を外層材料から製造されたキャップで被膜することにより、製造され得る。さらに、当該製造は、もう片方の閉口を伴う外層ケーシングへの別々に製造される内層の挿入、及び当該ケーシングにおける内層の製造を含み得る。
【0087】
本発明の好ましい態様において、当該持続放出装置は、マーカー成分をさらに含む。
【0088】
出願人は、食肉処理に先立ち又はその際に、当該持続放出装置の除去を保証するために、マーカー成分が望まれることを見出した。
【0089】
当該マーカー成分は、染料成分又は金属マーカー成分を含み得る。当該マーカー成分は、放射性透明体成分を含み得、当該放射性透明体成分は出願人らの国際特許公開PCT/AU02/01661に記載される型のものであり、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0090】
本発明の更なる態様において、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性の調節のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置はスカトール濃度を著しく低下するために十分量である前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供する、上記持続放出装置を提供する。
【0091】
好ましくは、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度は、スカトール及びテストステロン濃度を付随して著しく低下するのに十分量である。より好ましくは、当該LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度は、スカトール、テストステロン、及びアンドロステノン濃度を付随して著しく低下するのに十分量である。
【0092】
好ましくは、当該LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの量は、約1〜20mg、より好ましくは、2〜6mgである。
【0093】
さらに好ましい態様において、1回処理におけるデリバリーのためにパッケージされた複数の持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出キットであって、
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のための所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記複数の持続放出ミニインプラント又はペレットはLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記持続放出キットを提供する。
【0094】
好ましくは、ミニインプラント又はペレットの数は、3又はそれより多く、より好ましくは、4又はそれより多い。
【0095】
さらに好ましい態様において、各ミニインプラント又はペレットは以下の:
LHRHアゴニスト/アンタゴニスト含有内層;及び
水不浸透性外層、
を含む。
【0096】
場合により、当該持続放出キットは、持続放出デリバリー装置をさらに含む。例えば、獣医用適用において、標準的大きさのペレットの皮下デリバリーの注入器具は、持続放出デリバリー装置として使用され得る。
【0097】
複数のペレットは、標準的注入器具を利用してデリバリーされ得、好ましくは、治療される動物の体の中で、個別のペレットとして次々に分散する、標準的注入器具における使用のための単一カートリッジにおいて、デリバリーされ得る。
【0098】
本発明のさらに好ましい形状において、複数の持続放出ミニインプラント又はペレットは、生分解性鞘中に提供され得る。当該生分解性鞘は、水溶性材料で形成され得る。
【0099】
当該生分解性鞘中に利用される水溶性材料は、下記の1又は複数の水溶性基質から選択され得る。
【0100】
本発明のさらなる態様において、治療を必要とする動物(人間を含む)における、兆候のかかる治療又は予防処置方法であって、1又は複数の持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置を前記動物に投与することを含み:
前記各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のための所望の閾値で又はそれを超えてアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記治療又は予防処置方法を提供する。
【0101】
好ましくは、当該持続放出装置は、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値でLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する、複数のミニインプラント又はペレットを含む。
【0102】
好ましくは、当該処置は、ホルモン産生及び/又はホルモン関連化合物の産生の低下を提供する。
【0103】
上述の通り、当該持続放出装置は、使用の際、活性の速やかな発生及び効果の持続を提供し得ることが見出される。この事は、単発治療において、及び追加治療の必要なしで持続放出装置を投与することにより達成され得る。
【0104】
当該投与方法は、経口、皮下又は筋肉内注射、皮内注射、腹腔内注射、眼球内又は耳内、経鼻の挿入又は留置、膣内又はintradwelling又は直腸内挿入又は留置であって、例えば坐薬又は経口投与利用のものを含み得る。
【0105】
当該処置される動物は、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ、ラクダ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、有袋動物、水牛(バッファロー)、ヤク、霊長類の動物、ヒト、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及びシチメンチョウを含むトリ、ラット及びマウスを含むげっ歯類動物、魚、及びは虫類からなる群より選択され得る。
【0106】
本発明に関する方法は、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、及びヒトの如き大型動物であって、選択された適応症の有効治療のための、前もって必要な閾値薬物活性血中濃度を達成するために高容量が必要とされる場合に、特に適用され得る。
【0107】
さらに上記のように、当該持続放出処置は、前立腺がん、精巣がん、前立腺肥大、卵巣がん、及び子宮内膜症などを含む疾患適応症の治療を含む、ヒト及び動物双方の、生殖の調節、並びに生殖腺及び他の生殖組織の制御及び処置に特に適する。
【0108】
当該持続放出装置は、動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性の調節にさらに好適である。
【0109】
生殖の制御を通じて、特に短期間に渡り、肉の汚染現象、特に雄ブタからの豚肉における雄ブタ汚染を含む望まない官能特性を制御することが可能である。さらに、当該処置が係る短期間であるので、当該方法は、処置される動物の枝肉品質を改良するために機能し得る。
【0110】
従って、本発明の好ましい態様において、ヒトを含む動物における有性生殖を調節する方法であって、当該方法は、処置される前記動物に持続放出装置を投与することを含み、ここで当該装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラントは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記有性生殖を調節する方法を提供する。
【0111】
当該方法は、動物、特に雄動物の生殖能力を一時的又は永久的に制御するために利用され得る。一時的処置が望まれる場合、処置の中断は、処置された動物により標準的性活動への復帰を一般的に提供する。
【0112】
一時的適用について、当該ミニインプラントは、望まれるときに、当該移植片が体内で移動しないように及び薬剤活性の組織蓄積をもたらさないように、容易に(例えば外科的に)除去され得る。
【0113】
当該方法は、動物の性的成熟の始まり、及び/又は季節繁殖行動の間に関連する、雄及び雌動物における身体的及び/又は行動的パターンを調節するためにさらに利用され得る。
【0114】
さらに好ましい態様において、LHGHにより直接的又は間接的に調節される細胞の増殖を阻害する方法であって、当該方法は、処置される前記動物に持続放出装置を投与することを含み、ここで、当該装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記細胞の増殖を阻害する方法を提供する。
【0115】
当該処置される細胞は、精巣細胞、乳腺細胞、前立腺細胞、卵巣細胞又は腫瘍胎児性細胞、特にかかる細胞の悪性型から選択される。
【0116】
当該処置される細胞は、前立腺又は子宮内膜細胞を含む増生細胞となり得る。
【0117】
当該処置される細胞は、ヒトを含む動物起源のものである。
【0118】
本発明における持続放出装置は、好ましくは、特に、豚肉における肉の汚染、特に雄ブタ汚染の除去を含む、家畜の枝肉品質を改良するために利用され得る。
【0119】
さらに、本発明におけるさらなる態様において、規定時間で及び事前に選択された短期間の間に処置されるように、全ての動物に持続放出装置を投与することを含む動物の枝肉品質を改良する方法であって、当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記動物の枝肉品質を改良する方法を提供する。
【0120】
出願人らは、驚くべくことに、LHRHアゴニスト活性の促進された発現及び活性の延長期間を考えると、持続放出装置を伴う処置は約1〜2週間の如き短期間の内のいずれかまで短くされ得ることを見出した。さらに、処置の開始は、例えば、食肉処理の2〜4週間前まで遅らせられ得る。出願人らは、投与がさらなる処置なしの単発処置で実施され得、そして当該動物の実質的100%に所望の効果を引き起こさせるだろうことをさらに確立した。
【0121】
現在のところ、去勢が家畜管理のための使用される際に、繁殖動物は、未成熟な歳で選択され、そしてその後、群れの残りから隔離し続けるかもしれず、農業経営コストを増大する。本発明は、繁殖動物を分離する必要性を除去し、当該繁殖動物が性的成熟に達するまで当該繁殖動物の選択を遅らせることを可能とする。さらに、成熟動物の身体的特徴が、繁殖動物を選択する際に配慮され得る。実際には、選択は、当該装置の効果が元に戻せるので、処置後でさえ実施され得る。
【0122】
本発明のさらなる態様において、規定の時間で及び事前に選択された短期間の間に、全ての雄ブタに持続放出装置を投与することを含む、雄ブタの汚染を抑制又は除去する方法であって、ここで当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、スカトール濃度を著しく低下するそれらの血中濃度を産生するために十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供する、上記汚染を抑制又は削除する方法を提供する。
【0123】
好ましくは、当該装置は、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストのゼロ次放出を提供する。
【0124】
当該方法は、スカトール濃度を著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供する。好ましくは、当該スカトール濃度は、脂肪の約0.2μg/g未満まで低下させられる。
【0125】
当該方法は、テストステロン濃度を付随して著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供する。好ましくは、当該テストステロン濃度は、血清の約1ng/mL未満まで低下させられる。最も好ましくは、当該テストステロン濃度は、血清の0.2ng/mL未満まで低下させられる。
【0126】
当該方法は、アンドロステノン濃度を付随して著しく低下するのに十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供する。好ましくは、当該アンドロステノン濃度は、脂肪の約0.5μg/g未満まで低下させられる。最も好ましくは、当該アンドロステノン濃度は、脂肪の0.2μg/g未満まで低下させられる。
【0127】
本発明の他の態様において、動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性を調節する方法であって、処置される当該動物に持続放出装置を投与することを含み、当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、スカトール濃度を著しく低下するそれらの血中濃度を提供するために十分量である前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供する、上記特性を調節する方法を提供する。
【0128】
好ましくは、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度は、スカトール及びテストステロン濃度を付随して著しく低下するために十分量である。より好ましくは、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度は、スカトール、テストステロン、及びアンドロステノン濃度を付随して著しく低下するために十分量である。
【0129】
本発明のさらなる態様において、上記方法により産生された、実質的に雄ブタ汚染のない、ブタの枝肉又はそれらの一部を提供する。
【0130】
処置の期間を低減することにより、全ての動物が、去勢された動物で、かつより多くの餌を効果的に与えた場合よりも、相当に早く及びより効果的に(高い筋肉生成、及び少ない脂肪を伴って)成長するだろうことが一般的に理解されるだろう。
【0131】
上述のように、ある程度の雄ブタの汚染現象は、雄ブタの脂肪組織中のアンドロステノン及びスカトールを含む基質の蓄積に関連する。雄ブタ汚染の実質的な除去は、血清の約2ng/mL未満まで低下されたテストステロン濃度、及びそれぞれ脂肪組織の0.5〜1.0μg/g未満及び0.2μg/g未満のフェロモンであるアンドロステノン及びスカトールを、通常必要とする(J Animal Science 2001 79:2524−2535を参照のこと。)。出願人らは、驚くべきことに、本発明に関する持続放出装置を伴った処置は、先行刊行文献に報告されるよりも著しく低い濃度で、所望の低減された濃度に到達し、かつ維持するのに十分な効果の速やかな発現を許容することを見出した。
【0132】
本願明細書中に開示され定義される発明は、言及される複数の個々の特徴、あるいは本文又は図面から明らかなことの内の全ての択一的組み合わせまで拡張されることが理解されるだろう。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明のさまざまな択一的な態様を構築する。
【0133】
本発明は付随する実施例に関してさらに十分に説明されるだろう。しかしながら、以下の説明は単なる例示であり、上記の本発明を制限する何らかのものとして捉えるべきでないことを理解すべきである。
【実施例】
【0134】
実施例1
ブタにおける固形緩徐放出移植片からの酢酸デスロレリン放出に関する試験
試験番号:DSL−P−03−001
試験場所:Pig Research and Training Centre(PRTC)
Victorian Institute of Animal Science
Department of Primary Industries
600 Sneydes Road
Werribee Victoria Australia 3030
【0135】
移植片
3つの異なる移植片配合を評価した。
配合番号第1号は、添加物としてDOC及びマンニトールを伴う酢酸デスロレリンからなる。
配合番号第2号は、添加物としてNaCl及びデキストランを伴う酢酸デスロレリンからなる。
配合番号第3号は、添加物を伴わない酢酸デスロレリンからなる。
【0136】
移植片の大きさ及び処置の継続時間
ブタ群を異なる移植片の長さで、異なる期間について、処置した。
【0137】
ブタ群を1cm、0.5cm又は0.25cmの長さの移植片で処置した。全移植片は、1.5mmの直径を有していた。ブタを生後14、18、又は20週間で処置した。全てのブタを、生後22週間で犠牲にした。それ故、ブタを、それぞれ8、4、又は2週間の間、処置した。
【0138】
測定
主な測定は、体脂肪中の、アンドロステノン及びスカトールといった雄ブタの汚染基質の濃度とした。血清テストステロンの測定のために、処置後様々な時間で、末梢血サンプルを回収した。毎日の餌の摂取量、週ごとの体重増大、及び食肉処理時の睾丸の大きさをも測定した。
【0139】
ブタの体脂肪中のアンドロステノン及びスカトールの濃度を、VIAS Endocrinology(内分泌学) HPLCサービス VIAS SOP ナンバー840(脂肪の0.2μg/gのアンドロステノンについて、及び脂肪の0.3μg/gのスカトールについての最小検出濃度を有する。)により測定した。
【0140】
血清テストステロン測定を、Diagnostic Products Corporation,Los Angeles,California,United States of Americaにより供給されるCoat−A−Count(登録商標)総テストステロン放射免疫測定(血清の0.2ng/mLの最小検出濃度を有する。)を使用して、Fiona Armour,University of Melbourne Veterinary Clinic and Hospitalにより実施した。
【0141】
【表1】

【0142】
注:
1.生後14、18、20、及び22週間でのブタの血液サンプル。
2.生後18、20、及び22週間でのブタの血液サンプル。
3.生後20、及び22週間でのブタの血液サンプル。
4.生後22週間で測定された雄ブタ汚染基質。
5.生後22週間で測定された睾丸の大きさ。
6.測定された毎日の餌の摂取量及び週ごとの体重増大。
7.対照のブタであって、針を耳の中のみに挿入し、何も移植しなかった。
【0143】
動物及び群
動物は、PRTCから調達され、雄の大きな白色の/在来種のブタからなる。雄ブタを、分娩週数23、24、及び25週間から選択し、選択時にそれぞれ生後15、14、及び13週間だった。
【0144】
ブタを、処置の時期に基づいて4群に分けた。
【0145】
第1群 14週間で処置した。
・分娩週数25週から選択された12匹のブタ−選択時に生後13週間
・ブタは、生後14週間で移植された。
・ブタの割り当て番号−31〜42
【0146】
第2群 18週間で処置した。
・分娩週数24週から選択された9匹のブタ−選択時に生後14週間
・ブタは、生後18週間で移植された。
・ブタの割り当て番号−10〜18
【0147】
第3群 20週間で処置した。
・分娩週数24週から選択された18匹のブタ−選択時に生後14週間
・ブタは、生後20週間で移植された。
・ブタの割り当て番号−19〜30、43〜48
【0148】
第4群 18週間で処置した。
・分娩週数23週から選択された9匹のブタ−選択時に生後15週間
・ブタは、生後18週間で移植された。
・ブタの割り当て番号−1〜9
【0149】
ブタをPRTCの実験用飼育施設内の別個の囲いの中で飼育した。識別として、ブタを、耳切り(分娩時につけられる)及び耳標により特定した。
【0150】
結論
ブタの脂肪における雄ブタ汚染基質の除去、及びブタの血清中のテストステロン濃度に関する酢酸デスロレリンの影響を、表1A〜1D及び表2A〜2Fに示す。
【0151】
【表2】

【0152】
【表3】

【0153】
【表4】

【0154】
【表5】

【0155】
【表6】

【0156】
【表7】

【0157】
【表8】

【0158】
【表9】

【0159】
【表10】

【0160】
【表11】

【0161】
結論:実施例1
この試験から、配合番号第3号が、0.25cmの移植片を有し、特に生後20〜22週の2週間の間ブタを処置するために1cm処方の25%のみを使用した時に、最も高い見込みを示すことを結論付けた。
【0162】
新たな実験を計画し、デスロレリンの用量をの増大を評価し、さらに複数の移植片使用することによる長さ0.25cmに争点をあてる。
【0163】
実施例1のワクチン製剤を下記の表3に記載のように改良した。
【0164】
実施例2
ブタにおける緩除型移植片からの酢酸デスロレリンの放出試験
試験番号:DSL−P−04−001
試験場所:Pig Research and Training Centre(PRTC)
Victorian Institute of Animal Science
Department of Primary Industries
600 Sneydes Road
Werribee Victoria Australia 3030
【0165】
移植片
3つの異なる移植片を評価した。
移植片番号第3号は、添加物を伴わない36%での酢酸デスロレリン、及び外径1.5mmからなる。
移植片番号第4号は、添加物を伴わない54%での酢酸デスロレリン、及び内径1.5mmからなる。
移植片番号第5号は、添加物を伴わない36%での酢酸デスロレリン、及び外径2.0mmからなる。
【0166】
移植片の大きさ及び処置の継続時間
ブタ群を異なる移植片の長さで処置したが、しかし、全ての処置は、1cmの総移植片となるように加えた。ブタを2又は4週間処置した。
【0167】
ブタ群を1cm、2×0.5cm、及び4×0.25cmの長さを有する移植片で処置した。ブタを生後18又は20週間で処置した。全てのブタを、生後22週間で犠牲にした。それ故、ブタを2又は4週間の間、処置した。
【0168】
測定
主な測定は、体脂肪中の、アンドロステノン及びスカトールといった雄ブタの汚染基質の濃度とした。血清テストステロンの測定のために、処置後様々な時間で、末梢血サンプルを回収した。毎日の餌の摂取量、週ごとの体重増大、及び食肉処理時の睾丸の大きさをも測定した。
【0169】
ブタの体脂肪中のアンドロステノン及びスカトールの濃度を、VIAS Endocrinology(内分泌学) HPLCサービス VIAS SOP ナンバー840(脂肪の0.2μg/gのアンドロステノンについて、及び脂肪の0.3μg/gのスカトールについての最小検出濃度を有する。)により測定した。
【0170】
血清テストステロン測定を、Diagnostic Products Corporation,Los Angeles,California,United States of Americaにより供給されるCoat−A−Count(登録商標)総テストステロン放射免疫測定(血清の0.2ng/mLの最小検出濃度を有する。)を使用して、Fiona Armour,University of Melbourne Veterinary Clinic and Hospitalにより実施した。
【0171】
【表12】

【0172】
注:
1.生後18、20、21、及び22週間でのブタの血液サンプル。
2.生後20、21、及び22週間でのブタの血液サンプル。
3.生後22週間で測定された雄ブタ汚染基質。
【0173】
動物及び群
動物は、PRTCから調達され、及び雄の大きな白色の/在来種のブタからなる。ブタをPRTCの実験用飼育施設内の別個の囲いの中で飼育した。識別として、ブタを、耳切り(分娩時につけられる)及び耳標により特定した。
【0174】
結論
ブタの脂肪における雄ブタ汚染基質の除去、及びブタの血清中のテストステロン濃度に関する酢酸デスロレリンの影響を、表4A〜4Eに示す。
【0175】
【表13】

【0176】
【表14】

【0177】
【表15】

【0178】
【表16】

【0179】
【表17】

【0180】
DSL−P−04−001についての要約表4E中に記載された処置により得られた結果は、去勢形式を含む様々な処置形式を使用する際、以前観察されなかった。2週間における0〜0.1ng/mLのテストステロン到達濃度の証拠は刊行物中において報告されていない、及び、同様に、2〜4週間における「0」のアンドロステノン到達濃度の報告もない。要約表に報告された全3つの好ましい処置として得られたスカトール濃度は、著しく、かつ一貫して所望の<0.20μg/脂肪グラム未満であり、ゼロ付近までのテストステロン及びアンドロステノンにおける低減は、使用された処置の直接的効果を反映し、著しく低いスカトール濃度ももたらすことを示した。
【0181】
実施例3
ブタにおける緩徐放出移植片からの酢酸デスロレリン放出に関する試験
試験番号:DSL−P−04−002
試験場所:Pig Research and Training Centre(PRTC)
Victorian Institute of Animal Science
Department of Primary Industries
600 Sneydes Road
Werribee Victoria Australia 3030
【0182】
移植片
3つの異なる移植片配合を評価した。
移植片配合番号第2号は、内径1.4mm及び外径1.6mmを有する54%での酢酸デスロレリンからなる。
【0183】
移植片の大きさ及び処置の継続時間
3つのブタ群を以下のように処置した。
・第1ブタ群−10匹の雄ブタ−処置なし(対照)。
・第2ブタ群−5匹の雄ブタ−9.6mgのデスロレリン−2週間の処置。
・第3ブタ群−5匹の雄ブタ−9.6mgのデスロレリン−4週間の処置。
【0184】
ブタ群を、1cmを切った0.25cmの長さ(すなわち、4×0.25cm)の移植片で処置した。
【0185】
第2ブタ群を14日間(2週間)処置し、及び
第3ブタ群を28日間(4週間)処置した。
【0186】
第1群のブタは0日目で生後18〜21週間であり、第2群のブタは0日目で生後21〜22週間であり、第3群のブタは0日目で生後18〜22週間であった。この実験において、全てのブタが120〜125kgの同じ体重範囲において処置を終了することを試みた。
【0187】
測定
主な測定は、体脂肪中の、アンドロステノン及びスカトールといった雄ブタの汚染基質のレベルだった。血清テストステロンの測定のために、処置後様々な時間で、末梢血サンプルを回収した。毎日の餌の摂取量、週ごとの体重増大、平均1日増体量(ADG)、飼料転換比率、P2の厚さ、及び超過時間におけるP2の変化をも測定した。
【0188】
ブタの体脂肪中のアンドロステノン及びスカトールの濃度を、VIAS Endocrinology(内分泌学) HPLCサービス VIAS SOP ナンバー840(脂肪の0.2μg/gのアンドロステノンについて、及び脂肪の0.3μg/gのスカトールについての最小検出濃度を有する。)により測定し、及びテストステロンを、Immulite(登録商標)総テストステロン分析測定、(Diagnostic Products Corporation,Los Angeles,California,United States of America)(血清の0.15ng/mLの最小検出濃度を有する。)を使用して、VIAS Endocrinology Serviceにより測定した。
【0189】
動物及び群
動物は、PRTCから調達され、及び雄の大きな白色の/在来種のブタからなる。
【0190】
ブタをPRTCの実験用飼育施設内の別個の囲いの中で飼育した。ブタを、耳切り(分娩時につけられる)及び耳標により特定した。
【0191】
結論
ブタの脂肪における雄ブタ汚染基質の除去、及びブタの血清中のテストステロン、アンドロステノン、及びスカトール濃度に関する酢酸デスロレリンの影響を、飼料転換比率(FCR)、平均1日増体量(ADG)、及び脂肪の厚さ(P2)とともに表5A〜5Dに示す。
【0192】
【表18】

【0193】
【表19】

【0194】
【表20】

【0195】
【表21】

【0196】
【表22】

【0197】
第2群、及び第3群におけるブタ群から除去された選択移植片は、2及び4週間の処置期間を超えて、当該活性酢酸デスロレリンの約33%及び54%が当該移植片から放出されたことを明らかとした(表5Eを参照のこと。)。
【0198】
この実施例において記載された処置で得られた結果は、去勢形式を含む他の処置形式を使用した以前には観察されたことはなかった。2週間における0〜0.12ng/mLの血清テストステロン到達濃度の証拠は刊行物中において報告されていない、及び、同様に、2〜4週間における0〜0.1μg/mLのアンドロステノン到達濃度の報告もない。得られたスカトール濃度は、著しく、かつ一貫して所望の<0.20μg/脂肪グラム未満であり、ゼロ付近までのテストステロン及びアンドロステノンにおける低減は、使用された処置の直接的効果を反映し、著しく低いスカトール濃度ももたらすことを示した。血清テストステロン、アンドロステノン、及びスカトールの全3つの濃度における同時に起こる低減は、刊行された文献中に示されていない。
【0199】
本明細書中に記載及び定義された本発明は、当該文章又は図表から言及される又は明らかである複数の個々の特徴の全ての択一的組み合わせまで拡張されることが理解されるだろう。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明の様々な択一的態様を構成する。
【0200】
本願明細書中に使用される用語「含む(comprises)」(又はその文法上の変形)は、用語「含む(includes)」と同等であり、及び交互に使用され得、そして他の要素又は特徴の存在を除外するように受けとるべきではないことも理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記持続放出装置。
【請求項2】
長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値でLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する、複数のミニインプラント又はペレットを含む、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項3】
前記長期間が約1〜52週間である、請求項2に記載の持続放出装置。
【請求項4】
前記長期間が約2〜4週間である、請求項3に記載の持続放出装置。
【請求項5】
前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの総量が、約1〜20mgである、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項6】
前記各ミニインプラント又はペレットの長さが約0.05〜1.5cmである、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項7】
前記各ミニインプラント又はペレットの内径が約0.5〜2.0mmである、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項8】
前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分が、LHRHの活性誘導体又は活性断片である、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項9】
前記LHRHアゴニストが、[D−Trp6]LHRH、デカペプチル(Decapeptyl)、ロイプロリド、ゾランデックス(Zolandex)、ブセレリン又はデスロレリン(D−Trp−Pro−des−Gly10−LHRHエチルアミド)、及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項10】
前記LHRHアンタゴニストが、ガニレリックス、アバレリックス、セトロレリックスアセテート(Ac−D−Nal(2)(4Cl)、D−Pal(3)3、D−Clt6、D−Ala10)LHRH又はパモ酸セトロレリックス及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項11】
前記医薬組成物が、合成ポリマー、糖類、ポリサッカリド、アミノ酸、無機塩、有機塩、蛋白質、樹脂、ラテックス、ろう、及び脂質からなる群より選択される担体をさらに含む、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項12】
前記医薬組成物が、ラクトース、スクロース、デオキシコール酸ナトリウム、マンニトール、塩化ナトリウム、及びデキストランからなる群より選択される担体をさらに含む、請求項11に記載の持続放出装置。
【請求項13】
前記担体が、前記医薬活性成分の総重量に基づき、約1〜30重量%の量において存在する、請求項11に記載の持続放出装置。
【請求項14】
全ての雄動物に使用する際、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、スカトール濃度を著しく低下するために十分量である、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項15】
全ての雄動物に使用する際、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項14に記載の持続放出装置。
【請求項16】
全ての雄動物に使用する際、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項15に記載の持続放出装置。
【請求項17】
前記医薬成分が、不水溶性医薬活性、水溶性医薬活性又はそれらの混合から選択される第2医薬活性成分をさらに含む、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項18】
前記第2医薬活性成分が、天然又は合成成長ホルモンである、請求項17に記載の持続放出装置。
【請求項19】
前記第2医薬活性成分が、前記医薬成分の総重量に基づき、約8〜50重量%の量で存在する、請求項17に記載の持続放出装置。
【請求項20】
前記装置が、同じか又は異なる大きさの複数のミニインプラントを含む、請求項2に記載の持続放出装置。
【請求項21】
各持続放出ミニインプラント又はペレットが、被膜ロッド又はマトリクス形式である、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項22】
前記持続放出支持材が、被膜ロッド構造又は開口円筒型ロッド形式である、請求項21に記載の持続放出装置。
【請求項23】
前記持続放出支持材がシリコーン材料である、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項24】
前記持続放出支持材が、前記装置の総重量に基づき、約40〜65重量%の量で存在する、請求項1に記載の持続放出装置。
【請求項25】
少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性の調節のために所望の閾値で又はそれを超えてLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置はスカトール濃度を著しく低下するために十分量である前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を提供する、上記持続放出装置。
【請求項26】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項25に記載の持続放出装置。
【請求項27】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項26に記載の持続放出装置。
【請求項28】
前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの総量が、約1〜20mgである、請求項25に記載の持続放出装置。
【請求項29】
前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの総量が、約2〜6mgである、請求項28に記載の持続放出装置。
【請求項30】
1回処理におけるデリバリーのためにパッケージされた複数の持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出キットであって、
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、使用に際し、選択された適応症の治療のための所望の閾値で又はそれを超えてアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記複数の持続放出ミニインプラント又はペレットは前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記持続放出キット。
【請求項31】
3〜12のミニインプラント又はペレットを含む、請求項30に記載の持続放出キット。
【請求項32】
持続放出デリバリー装置をさらに含む、請求項30に記載の持続放出キット。
【請求項33】
前記複数の持続放出ミニインプラント又はペレットが、生分解性鞘中に提供される、請求項30に記載の持続放出キット。
【請求項34】
治療を必要とする人間を含む動物における、適応症のかかる治療又は予防処置のための方法であって、1又は複数の持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置を、前記動物に投与することを含み:
前記各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のための所望の閾値で又はそれを超えてアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記治療又は予防処置のための方法。
【請求項35】
前記持続放出装置が、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値で、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する複数のミニインプラント又はペレットを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記処置が、ホルモン産生又はホルモン関連化合物の産生の低下を提供する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記持続放出装置が、経口あるいは皮下又は筋肉内注射、皮内注射、腹腔内注射、眼球内又は耳内、経鼻の挿入又は留置、膣内又は体内(intradwelling)又は直腸内の挿入又は留置で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記処置される動物が、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ、ラクダ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、有袋動物、水牛(バッファロー)、ヤク、霊長類の動物、ヒト、トリ、げっ歯類動物、魚、及びは虫類からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記処置が、生殖の調節、並びに生殖腺及び他の生殖組織の制御及び処置を提供する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記適応症が、前立腺がん、精巣がん、前立腺肥大、卵巣がん、及び子宮内膜症からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記処置が、動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性の調節を提供する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
ウシにペレットを経口投与することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ヒトを含む動物における有性生殖を調節する方法であって、処置される前記動物に持続放出装置を投与することを含み、当該装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてアゴニストの放出を提供し、前記装置は前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記有性生殖を調節する方法。
【請求項44】
前記持続放出装置が、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値で、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する、複数のミニインプラント又はペレットを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
LHGHにより直接的又は間接的に調節される細胞の増殖を阻害する方法であって、処置される前記動物に持続放出装置を投与することを含み、当該装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含む持続放出装置であって:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項46】
前記持続放出装置が、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値で、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する、複数のミニインプラント又はペレットを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が、精巣細胞、乳腺細胞、前立腺細胞、卵巣細胞又は腫瘍胎児性細胞から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
規定時間で及び事前に選択された短期間の間に処置されるように、全ての動物に持続放出装置を投与することを含む、動物の枝肉品質を改良する方法であって、当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、選択された適応症の治療のために所望の閾値で又はそれを超えてアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供し、前記装置は前記アゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、上記動物の枝肉品質を改良する方法。
【請求項49】
前記持続放出装置が、長期間の間、所定の閾値と少なくとも等しい値で、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度を組み合わせて提供する、複数のミニインプラント又はペレットを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
動物の性的成熟、及び/又は季節繁殖行動の始まりに関連する特性を調節する方法であって、処置される当該動物に持続放出装置を投与することを含み、当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、スカトール濃度を著しく低下するそれらの血中濃度を産生するために十分な前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供する、上記特性を調節する方法。
【請求項51】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記装置が、前記LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
規定の時間で及び事前に選択された短期間の間に、全ての雄ブタに持続放出装置を投与することを含む、雄ブタの汚染を低減又は除去する方法であり、ここで当該持続放出装置は、少なくとも1つの持続放出ミニインプラント又はペレットを含み:
当該各ミニインプラント又はペレットは;
持続放出支持材;及び
医薬組成物を含み、
当該医薬組成物はLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニスト成分を含み;
前記ミニインプラント又はペレットの大きさ、及び/又は数、及び/又は積載量は、スカトール濃度を著しく低下するそれらの血中濃度を産生するために十分なLHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの放出を提供する、上記雄ブタの汚染を低減又は削除する方法。
【請求項55】
前記装置が、LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの約ゼロ次放出を提供する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を付随して著しく低下するために十分量である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、スカトール濃度を脂肪の0.2μg/g未満まで低下するために十分量である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を血清の1.0ng/mL未満まで付随して低下するために十分量である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を脂肪の0.5μg/g未満まで付随して低下するために十分量である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、テストステロン濃度を血清の0.2ng/mL未満まで低下するために十分量である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
LHRHアゴニスト及び/又はアンタゴニストの血中濃度が、アンドロステノン濃度を脂肪の0.2μg/g未満まで低下するために十分量である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項54に記載の方法により産生された、実質的に雄ブタ汚染のないブタの枝肉又はそれらの一部。

【公表番号】特表2008−500973(P2008−500973A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513613(P2007−513613)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000766
【国際公開番号】WO2005/117934
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504004142)スマート ドラッグ システムズ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】