説明

指による作動および制御メカニズムを有する手装着装置

【課題】タッチに関して高度な正確さを有するタッチ感知装置を提供する。
【解決手段】容量変化を検出し容量変化を第1の電気信号に変換する容量センサと、物理的ショックを検出し物理的ショックを第2の電気信号に変換する圧電センサと、表示ユニットとを含み、表示ユニットに表示された情報が第1の電気信号と第2の電気信号とによって制御される感知装置を開示する。容量センサの厚みおよび面積は、感知装置が高度に信頼できる感度を有するように最適値に設計されている。本発明の感知装置は、容量センサに加えて、物理的ショックを検出する圧電センサをさらに含み、ユーザが選択できる別の感知技術を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国特許法第119条(e)により、2011年5月31日に出願された米国仮特許出願シリアルナンバー第61491335号に基づく優先権を主張しており、その出願の全体は本明細書中に参照として組み入れられている。
【0002】
本発明は感知装置に関し、特に容量/振動感度を有するタッチ/タップ作動装置に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、タッチセンシティブ装置がますます普及し、プッシュボタンスイッチを用いて装置の機能を選択および制御する従来の装置に取って代わりつつある。タッチセンシティブ装置では通常、容量センサが用いられる。しかし、装置がますます小型化している一方で、容量センサの表面積は同じ割合で減少しておらず、これはセンサの数が減少することを意味している。ユーザ操作を可能にするより多くの方法を有する装置が望まれる。
【0004】
さらに、市場入手可能なタッチセンシティブ装置には、誤作動という共通の問題がある。例えばユーザの意図に反してユーザの指または他の身体部分がタッチエリアに近づいたり、タッチエリアに水が落ちたりすると、誤作動につながり得、ユーザにとっては不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の背景に照らして、本発明の目的は、タッチに関して高度な正確さを有する、現行の装置に代わるタッチセンシティブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一局面において、容量変化を検出し容量変化を第1の電気信号に変換する容量センサと、物理的ショックを検出し物理的ショックを第2の電気信号に変換する圧電センサと、表示ユニットとを含み、表示ユニットに表示された情報は第1の電気信号と第2の電気信号とによって制御される、感知装置である。
【0007】
本発明の一例としての実施形態では、表示ユニットに表示された情報は、時間、図、文字および記号を含む。感知装置は、オーディオ信号を出力するオーディオ出力ユニットをさらに含み、オーディオ出力ユニットは、第1の電気信号と第2の電気信号とによって制御される。
【0008】
別の例としての実施形態では、本発明の感知装置は、容量センサによって感知された信号を処理する第1の処理回路と、圧電センサによって感知された信号を処理する第2の処理回路とをさらに含む。
【0009】
別の実施形態では、本発明の感知装置は、第3の電気信号に基づいて心拍数をモニタする心拍数モニタをさらに含む。加えて感知装置は、感知装置がユーザの手首に装着されることを可能にする取付バンドをさらに含む。
【0010】
さらに別の実施形態では、第1の処理回路が、0〜10pFの容量を有する較正キャパシタを含む。容量変化が4〜30pFとなるように、容量センサが厚み2.0mmの結晶体を含み、さらに容量センサが約18mm2の面積を有する。
【0011】
一実施形態では、感知装置は、較正キャパシタの容量を調整する容量調整ユニットをさらに含んでおり、それによりユーザが容量センサの感度を調整することが可能となる。
【0012】
別の実施形態では、感知装置は、ユーザのニーズに基づいて、少なくとも1つの容量センサおよび圧電センサをディセーブルするディセーブル機能(disabling function)をさらに有する。
【0013】
別の局面において本発明は、ユーザによって感知装置の感知操作を行う方法であって、ユーザの動作によって容量変化を検出し容量変化を第1の電気信号に変換する工程と、ユーザの動作によって物理的ショックを検出し物理的ショックを第2の電気信号に変換する工程と、第1の電気信号と第2の電気信号とに基づいて情報を表示する工程とを含む方法である。
【0014】
一実施形態において、該方法は、第1の電気信号と第2の電気信号とに基づいてオーディオ信号を出力することをさらに含む。
【0015】
さらに別の実施形態において、該方法は、第3の電気信号に基づいてユーザの心拍数をモニタすることをさらに含む。
【0016】
さらなる実施形態において、該方法は、誤作動を低減するために0〜10pFの容量を有する較正キャパシタを用いることをさらに含む。
【0017】
別の実施形態において、該方法は、較正キャパシタの容量を調整することをさらに含み、それによりユーザが感度を調整することを可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の利点は数多くある。本発明の感知装置は容量センサに加えて、物理的ショックを検出する圧電センサをさらに含み、これによりユーザが選択できる別の感知技術を提供する。圧電センサは専用の表面積を有する必要はなく、そのため表面積を最小にしながら別の感知メカニズムを提供することができる。較正キャパシタを備えた容量センサの結晶体の厚みおよび表面積は、感知装置が高度に信頼できる感度を有するように最適値に設計されている。
【0019】
本発明の別の利点は、感知装置が感知ディセーブル機能を有し、それにより誤作動を防止することである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による感知装置の平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による感知装置の断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による感知装置のタッチセンシティブ回路の回路図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるタッチ検出回路の出力を示す波形図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による感知装置のショックセンシティブ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書および請求の範囲において、「含む」という語は、それに続く要件を含むがそれ以外のものを除外するわけではないことを意味する。
【0022】
本明細書および請求の範囲において、「連結」または「接続」という語は、特に断りがない限り、1以上の電気的手段を介して直接的または間接的に電気的に連結または接続されることを意味する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態による感知装置の平面図である。感知装置の中央に、ユーザに対して情報を表示する表示ユニット20がある。一実施形態では、表示ユニット20はLCDディスプレイであり、時間、図、文字および記号を表示することができる。表示ユニット20の周囲では、容量変化を検出可能な容量センサ上に複数の感知パッド22がある。一例としての実施形態では、容量は所定の範囲4〜30pF内で変化する。一例としての実施形態では、容量センサの感知パッド22は必要に応じて透明である。感知装置はさらに取付ストラップ24を有しており、ユーザの手首に装着可能となっている。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態による感知装置の断面図である。感知パッド22上に、誘電材料により形成された結晶体カバー26がある。誘電材料は例えば、鉱物ガラス、有機ガラスまたはサファイアである。表示ユニット20は、数字、図、文字および記号という形態で情報を表示可能な液晶ディスプレイ28を有する。一実施形態では、感知装置は、電子回路30にパワーを供給して感知装置全体を駆動させる電池32を含む。
【0025】
上記装置の動作に関して、図3に、本発明の一実施形態による感知装置のタッチセンシティブ回路の回路図を示す。感知パッド22がユーザの指でタッチされると、タッチ検出回路34によって容量変化が検出され、それによって容量変化が第1の電気信号に変換され、その後マイクロプロセッサ36に出力される。マイクロプロセッサ36は、信号を認識し、信号に基づいて、表示すべき時間を変更するなどの特定の機能を果たす。その後、制御信号および関連データが表示ユニット20に送信されて、表示ユニット20が適切な情報をユーザに表示する。好ましい実施形態では、容量センサとタッチ検出回路34との間に較正キャパシタCs0がある。較正キャパシタCs0は、0〜10pFの容量範囲を有し、他方、容量変化は所定の範囲4〜30pF内で起こる。Cs0の容量を調整することにより、感知装置の感度をチューニングすることができる。Cs0がないと、感知装置は感度が良すぎて、誤作動が頻繁に起こり得る。しかしCs0の容量が高すぎると、ユーザが感知パッド22に触れても感知装置が応答しないということが起こり得る。そのためCs0の容量は、感知装置が適度な感度を有するが意図しないタッチまたは水の滴下が起こった場合に誤作動しないように最適化される。
【0026】
本発明の一実施形態では、誤作動の割合をさらに低減するために、感知装置は、較正キャパシタCs0の容量を調整する容量調整ユニットを含んでおり、ユーザが個人のニーズに応じて容量センサの感度を調整できるようになっている。
【0027】
図3に示すように、容量センサは指でスイッチオンされて、基板電位をグラウンド電位にする。タッチ検出回路34は以下の式に基づいて容量変化を検出する。
【0028】
【数1】

【0029】
Cを容量とすると、Aは2枚の基板の重複領域であり、εrは基板間の材料の相対的静的誘電率(permittivity)(誘電率(dielectric constant)と呼ぶこともある)(真空の場合、εr=1)であり、ε0は電気定数(ε0≒8.854×10-12Fm-1)であり、dは基板間の距離である。
【0030】
再び図2を参照すると、一実施形態において、結晶体カバー26の厚みは2.0mmに選択されている。さらに結晶体カバー26の厚みは、容量センサの感度に影響を与え得る。7.6〜8.0の範囲の誘電率を有するガラスなどの同一媒体を用いた場合、結晶体カバー26が薄いほど感度は上がる。本発明で結晶体カバー26の厚みが2.0mmに選択されている理由は、この厚みが感度の要件を満たしており、さらに誤作動の割合を低減できるからである。さらに感知パッド22の表面積もまた容量センサの感度に影響を与えるため、感知の正確さを向上させるに最適である18mm2に入念に設計されている。結晶体カバー26の最適な厚みと感知パッド22の最適な表面積とを用いることにより、検出される容量変化は4〜30pFとなり、これにより信頼できる感度を提供しながら誤作動の割合を低減することができる。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態によるタッチ検出回路34の出力を示す波形図である。ソースSは一定の間隔で容量センサに電圧パルスを印加する。感知パッド22間の容量が異なると、処理回路の挙動も異なる。例えば容量が大きいほど、処理回路の応答は遅い。ユーザが時刻t0に感知パッドにタッチし時刻t1に離した場合、処理回路のタッチ検出回路34は時刻t0’に出力信号Aを出力する。信号Aはマイクロプロセッサ36に送られて、タッチ作動が認識される。
【0032】
別の実施形態では、感知装置は、物理的ショックを検出する圧電センサをさらに含む。圧電センサは、感知装置をタップするか、感知装置を振ることによりスイッチオンすることができる。図5は、本発明の一実施形態による感知装置のショックセンシティブ回路の回路図である。好ましい実施形態では、圧電センサはショック検出器としてブザー38を用いる。ユーザが感知装置をタップするか、感知装置を振ると、ショック検出回路40によってショックが検出される。その後ショック検出回路40は、検出した物理的ショックを第2の電気信号に変換し、マイクロプロセッサ36に送り、処理が行われる。マイクロプロセッサは第2の電気信号に基づいて適切なデータを表示ユニット20に送り、表示ユニット20がユーザに対して情報を表示する。圧電センサは、誤ってセンサの表面に圧力が加わったときにも誤作動し得る。
【0033】
本発明のさらなる実施形態では、感知装置にディセーブル機能を追加して、容量センサおよび圧電センサの誤作動を全体的に回避するようにしている。ディセーブル機能がオンされると、容量センサおよび圧電センサはディセーブルされる。一実施形態では、感知装置を2度続けてタップすることによりセンサがオンになり、再び感知装置を2度続けてタップすることによりディセーブル機能がオンになる。
【0034】
一実施形態では、マイクロプロセッサ36が、2種類のセンサから生成された信号間の優先順位を設定する。例えば、ユーザが感知パッド22をタップすると、タップによる物理的ショックとユーザが感知パッド22にタッチすることによる容量変化とにより、両方のセンサが作動する可能性がある。一実施形態では、圧電センサから生成された第2の電気信号のみがマイクロプロセッサ36に送られ、第1の電気信号はマイクロプロセッサ36に無視されるか或いは容量センサが第1の電気信号を生成することさえしない。
【0035】
別の実施形態ではマイクロプロセッサ36が、両方の信号が同時に処理されることを可能とする。これにより、少なくとも1つの容量パッドにタッチしながら装置をタップするか、または振るなどの、さらなる形態のユーザ操作が可能となる。
【0036】
さらに別の実施形態では、感知装置は、オーディオ信号を出力するオーディオ出力ユニットを含む。オーディオ出力ユニットは、上記の第1の電気信号と第2の電気信号とによって制御される。オーディオ出力ユニットはアラームとして使用可能であり、ユーザの操作に対する応答音を生成することもできる。
【0037】
別の実施形態では、感知装置は心拍数モニタをさらに含む。心拍数モニタは、心拍数検出器として独自の圧電センサを用いることができる。感知装置がユーザの手首に装着されている場合、心拍数モニタは、独自の圧電センサの感度を調整することによってユーザの心拍数を検出することができる。さらに別の実施形態では、感知装置は、心拍数モニタとして高感度の第2の圧電センサをさらに含む。心拍数モードでは、心拍数モニタはマイクロプロセッサ36に対して第3の電気信号を生成し、マイクロプロセッサ36が第3の電気信号を処理し、その後結果を表示ユニット20に表示する。
【0038】
本発明の一実施形態では、感知装置は、信頼できるタッチ認識および心拍数モニタ機能を有する時計である。このような時計は年配の人々または心臓発作を起こす可能性のある人々に適している。なぜならこれらの人々がいつでも心拍数をモニタすることができるからである。上記時計はさらに、従来の時計よりも誤作動の割合が低い。
【0039】
本発明の一例としての実施形態を十分に記載した。上記記載は特定の実施形態で行ったが、本発明はこれらの特定の詳細を改変して実施可能であることは当業者には明らかである。従って本発明は、本明細書に記載した実施形態に限定されると解釈すべきではない。
【0040】
例えば、感知装置の形状は図1では円形に示しているが、ユーザの好みによって他の形状およびサイズを用い得ることは明らかである。例えば形状は、卵形状、正方形または矩形であり得る。結晶体カバー26は、雲母、プラスチックまたは様々な金属の酸化物など、他の誘電材料を用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知装置であって、
a)容量変化を検出し前記容量変化を第1の電気信号に変換する少なくとも1つの容量センサと、
b)物理的ショックを検出し前記物理的ショックを第2の電気信号に変換する圧電センサと、
c)表示ユニットと、
を含み、
前記表示ユニットに表示された情報は前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とによって制御される、感知装置。
【請求項2】
前記表示ユニットに表示された前記情報は、時間、図、文字および記号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
オーディオ信号を出力するオーディオ出力ユニットをさらに含み、前記オーディオ出力ユニットは、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とによって制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記容量センサによって感知された信号を処理する第1の処理回路と、前記圧電センサによって感知された信号を処理する第2の処理回路とをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第3の電気信号に基づいて心拍数をモニタする心拍数モニタをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記感知装置がユーザの手首に装着されることを可能にする取付バンドをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の処理回路が、誤作動を低減するために0〜10pFの容量を有する較正キャパシタを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記容量変化が4〜30pFとなるように、前記少なくとも1つの容量センサが厚み2.0mmの結晶体を含み、さらに前記少なくとも1つの容量センサが18mm2の面積を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記較正キャパシタの前記容量を調整する容量調整ユニットをさらに含んでおり、それによりユーザが前記容量センサの感度を調整することが可能となる、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
ユーザのニーズに基づいて、前記少なくとも1つの容量センサおよび前記圧電センサをディセーブルするディセーブル機能をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ユーザによって感知装置の感知操作を行う方法であって、
a)前記ユーザの動作によって容量変化を検出し前記容量変化を第1の電気信号に変換することと、
b)前記ユーザの前記動作によって物理的ショックを検出し前記物理的ショックを第2の電気信号に変換することと、
c)前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とに基づいて情報を表示することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とに基づいてオーディオ信号を出力することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第3の電気信号に基づいて前記ユーザの心拍数をモニタすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
誤作動を低減するために0〜10pFの容量を有する較正キャパシタを用いることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記較正キャパシタの前記容量を調整することをさらに含み、それにより前記ユーザが感度を調整することを可能とする、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−250038(P2012−250038A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123135(P2012−123135)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(512141873)アイディティ テクノロジ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】IDT Technology Limited
【Fターム(参考)】