説明

振り出し容器

【課題】塊となった収容物の粉砕が可能であり、また、特に容器本体の内周に付着した粉体、粒状体等を確実に掻き落とすことができ、しかもその操作を簡単に行える優れた振り出し容器を提案する。
【解決手段】上端を開口した有底筒状の容器本体Aと、容器本体A上端開口を閉塞して装着した振り出し孔33付きの閉蓋具Bとを備えた振り出し容器であって、閉蓋具Bを容器本体Aに対して回動可能に装着し、容器本体Aの周壁11内周面に外側縁を密接して下端を容器本体A底部近傍まで垂下した棒状をなし、容器本体Aに対する閉蓋具Bの回動により容器本体A内周を摺動する掻き落とし用のヘラB3を、閉蓋具Bより垂設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
振り出し容器として、粉末等の収納物が固まる場合があっても、塊を容易に粉砕でき、その結果内容物の振り出しを常時円滑に行える振り出し容器が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載された振り出し容器は、容器体の上端部に嵌着させたキャップ本体に振り出し孔を穿設し、また、キャップ本体に上記振り出し孔を開閉可能に閉塞する蓋板を一体に設けた容器であって、容器体内の収納物上方に上下動可能に可動筒を設け、該筒内周面に桟を掛け渡すとともに、桟下面に先端が尖った塊化収納物粉砕用の突起を垂設している。
【0004】
特許文献1に記載された振り出し容器は、容器を倒立させて収納物を振り出す際に、可動筒は容器体に対して相対的に上下動し、収納物に塊等が存在しても突起により粉砕されるため、振り出し孔に塊が引っ掛かる等内容物の振り出しが阻害されることがなく或いは塊のまま振り出されることがないという特徴を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−091406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明ではこの様な塊となった収容物の粉砕が可能であり、また、特に容器本体の内周に付着した粉体、粒状体等を確実に掻き落とすことができ、しかもその操作を簡単に行える優れた振り出し容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上端を開口した有底筒状の容器本体Aと、容器本体A上端開口を閉塞して装着した振り出し孔33付きの閉蓋具Bとを備えた振り出し容器であって、閉蓋具Bを容器本体Aに対して回動可能に装着し、容器本体Aの周壁11内周面に外側縁を密接して下端を容器本体A底部近傍まで垂下した棒状をなし、容器本体Aに対する閉蓋具Bの回動により容器本体A内周を摺動する掻き落とし用のヘラB3を、閉蓋具Bより垂設した。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、掻き落とし用のヘラB3を、閉蓋具Bに穿設した挿通係止孔24より挿通して、上端を挿通係止孔24に係止させて装着した。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、掻き落とし用のヘラB3は、上端部の頭部50と、頭部50下面より垂設した横断面非円形の棒状部51とからなり、挿通係止孔24は、下部のヘラ挿通部24bの上に上部の係止部24aを連設してなり、ヘラ挿通部24bは、棒状部51の横断面形状と同じ横断面形状で棒状部51が挿通可能に形成され、係止部24aは、ヘラ挿通部24bより大径に形成されて頭部50を嵌合係止する。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段に於いて、ヘラ挿通部24bの下端周縁部より下方へ案内壁25を垂設した。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段において、閉蓋具Bは、容器本体Aに対して回動可能に装着するとともに、頂部に振り出し孔33を備えたキャップ本体B1と、キャップ本体B1の上面を開閉可能に設けた蓋体B2とを備え、振り出し孔33に着脱可能に嵌合する栓42を蓋体B2より垂設した。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段に於いて、キャップ本体B1を、容器本体A外周に回動可能に嵌合させた周壁部20の上端縁より頂壁部21を延設するとともに、頂壁部21に窓23を穿設した本体部B1aと、本体部B1aに対して連結片30を介して開閉可能に設けるとともに、窓23に嵌着した振り出し孔33付きの蓋板部B1bとで構成した。
【0013】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第6の手段に於いて、本体部B1aと、蓋板部B1bと、蓋体B2とを合成樹脂により一体に成形した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、閉蓋具Bより掻き落とし用のヘラB3を垂設しているため、容器本体Aの周壁11内周に付着した粉状、粒状の収容物を確実に掻き落とすことができ、周壁11に付着した収容物で内部が見えない等の不都合を容易に解消できる。その際、収容物内に形成された塊も粉砕が可能である。しかも、容器本体Aに対して閉蓋具Bを相対的に回動させるという極めて簡単な操作によりその掻き落とし操作を行うことができる。
【0015】
掻き落とし用のヘラB3を、閉蓋具Bに穿設した挿通係止孔24より挿通して、上端を挿通係止孔24に係止させて装着した場合には、閉蓋具Bと掻き落とし用のヘラB3を別部材で形成することができ、柔軟で弾力性に富んだ材質の選択が可能となる。また、掻き落とし用のヘラB3の装着も極めて容易に行える利点も兼ね備えている。
【0016】
掻き落とし用のヘラB3は、上端部の頭部50と、頭部50下面より垂設した横断面非円形の棒状部51とからなり、挿通係止孔24は、下部のヘラ挿通部24bの上に上部の係止部24aを連設してなり、ヘラ挿通部24bは、棒状部51の横断面形状と同じ横断面形状で棒状部51が挿通可能に形成され、係止部24aは、ヘラ挿通部24bより大径に形成されて頭部50を嵌合係止する場合は、同様に掻き落とし用のヘラB3の装着が極めて容易であり、しかも掻き落とし用のヘラB3の所定の向きの装着が極めて簡単に行える。
【0017】
ヘラ挿通部24bの下端周縁部より下方へ案内壁25を垂設した場合には、掻き落とし用のヘラB3を下方まで捻じれなく適正な向きに垂下させることができる。
【0018】
閉蓋具Bは、容器本体Aに対して回動可能に装着するとともに、頂部に振り出し孔33を備えたキャップ本体B1と、キャップ本体B1の上面を開閉可能に設けた蓋体B2とを備え、振り出し孔33に着脱可能に嵌合する栓42を蓋体B2より垂設した場合には、容器本体A内の密閉性をより向上させることができる。
【0019】
キャップ本体B1を、容器本体A外周に回動可能に嵌合させた周壁部20の上端縁より頂壁部21を延設するとともに、頂壁部21に窓23を穿設した本体部B1aと、本体部B1aに対して連結片30を介して開閉可能に設けるとともに、窓23に嵌着した振り出し孔33付きの蓋板部B1bとで構成した場合には、必要に応じて蓋板32を開いての収容物の詰め替えを容易に行える利点を兼ね備える。
【0020】
本体部B1bと、蓋板部B1bと、蓋体B2とを合成樹脂により一体に成形した場合には、製造が容易であり、組み付け操作も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】振り出し容器の立て断面図である。(実施例1)
【図2】開放状態の閉蓋具の平面図である。(実施例1)
【図3】振り出し容器の要部断面図である。(実施例1)
【図4】図1のx−x線に沿う横断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1乃至図4は振り出し容器1の一例を示し、振り出し容器1は、容器本体Aと、閉蓋具Bとを備えている。
【0024】
容器本体Aは、底壁10の周縁部より周壁11を起立した上端開口の有底筒状をなす。周壁11の少なくとも内周は、後述する掻き落とし用のヘラが円滑に摺動するために円周面に形成されている。また、周壁11の外周上端部には嵌合用の凹部12を周設している。
【0025】
閉蓋具Bは、キャップ本体B1と、蓋体B2とを備えており、また、掻き落とし用のヘラB3を備えている。
【0026】
キャップ本体B1は合成樹脂により形成され、更に、本体部B1aと蓋板部B1bとで構成している。本体部B1aは、容器本体Aの外周上端部に回動可能に嵌合させた周壁部20の上端縁より頂壁部21を延設し、頂壁部21の周縁部には蓋体B2を嵌合させるための環状の嵌合凹部22を凹設しており、嵌合凹部22の一部には指挿入用の幅広部22aを設けている。また、頂壁部21の中央部には蓋板部B1bを嵌合するための窓23を穿設している。また、窓23後方の頂壁部21には掻き落とし用のヘラB3を挿通して上端部を嵌合係止させるための挿通係止孔24を穿設しており、挿通係止孔24の下端縁より案内壁25を下方へ垂設している。
【0027】
挿通係止孔24は、図1及び図2で明らかな如く、円形の係止部24aと、その下方のヘラ挿通部24bとで構成されている。
【0028】
蓋板部B1bは、本体部B1aに対して帯長な連結片30を介して開閉可能に形成されたもので、窓23内に液密に嵌合するシール筒31を蓋板32裏面より垂設し、蓋板32には振り出し孔33を穿設している。蓋板32の一部縁部からは指掛け用の摘み34を突設している。成形時には図2に示す如く、本体部B1aから側方に開いた状態で本体部B1aと一体に形成されている。
【0029】
蓋体B2は合成樹脂製で、周壁40上端縁より頂壁41を延設した伏皿状をなし、周壁40後部を公知の弾性ヒンジ機構44を介してキャップ本体B1の後部に開閉可能に連結している。従って、本例では本体部B1aと、蓋板部蓋板部B1bと、蓋体B2とを合成樹脂により一体に形成している。この弾性ヒンジ機構44は蓋体B2を所定の開蓋角度で係止可能な機能を備える。また、頂壁41裏面には各振り出し孔33に嵌合する栓42をそれぞれ垂設している。尚、栓42は図示例の如き筒栓に限らず棒栓であっても良い。また、周壁40前部には指掛け突片43を突設している。
【0030】
掻き落とし用のヘラB3は、合成樹脂或いはエラストマー等の比較的軟質の材質で形成され、特に柔軟で弾力性に富む材質が好ましく使用できる。上端の円板状をなす頭部50の下面から、容器本体Aの底部近傍まで至る棒状部51を垂下している。棒状部51は、横断面形状が半円柱状の基部51aより鋭角三角形状の摺動突部51bを突設した形態をなしており、基部51aを案内壁25内面の円弧状面に嵌合させて摺動突部51bの頂部が容器本体Aの内周面に圧接する如く構成している。案内壁25の内面と基部51aの外面とは略同形状であり案内壁25が下方に垂下しているため、掻き落とし用のヘラB3が一定方向を確実に向く様に構成されている。案内壁25の長さは特に限定はないが、容器本体Aの内部の深さの1/4程度あれば充分に上記目的を達成することができる。
【0031】
掻き落とし用のヘラB3を装着する際には、挿通係止孔24の上方から棒状部51を挿通すれば、棒状部51はヘラ挿通部24b及び案内壁25により所定方向に向いた状態で挿入され、上端の頭部50が係止部24aに嵌合係止されて装着され、棒状部51の摺動突部51bが容器本体Aの周壁11内周面に圧接した状態で装着される。
【0032】
上記の如く構成された振り出し容器1を使用する場合は、蓋体B2を開いた後容器本体Aを傾け、振り出し孔33より収容物を振り出すことができる。また、必要に応じて容器本体Aに対して閉蓋具Bを回動させれば、容器本体Aの周壁11内周に付着した収容物を掻き落とすことができ、また、収容物を攪拌することが可能で、収容物にできた塊を粉砕することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…振り出し容器
A…容器本体
10…底壁、11…周壁、12…嵌合用の凹部
B…閉蓋具
B1…キャップ本体
B1a…本体部
20…周壁部、21…頂壁部、22…嵌合凹部、22a…幅広部、23…窓、24…挿通係止孔、
24a…係止部、24b…ヘラ挿通部、25…案内壁
B1b…蓋板部
30…連結片、31…シール筒、32 …蓋板、33…振り出し孔、34…指掛け用の摘み
B2…蓋体
40…周壁、41…頂壁、42…栓、43…指掛け突片、44…弾性ヒンジ機構
B3…掻き落とし用のヘラ
50…頭部、51…棒状部、51a…基部、51b…摺動突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端を開口した有底筒状の容器本体(A)と、容器本体(A)上端開口を閉塞して装着した振り出し孔(33)付きの閉蓋具(B)とを備えた振り出し容器であって、閉蓋具(B)を容器本体(A)に対して回動可能に装着し、容器本体(A)の周壁(11)内周面に外側縁を密接して下端を容器本体(A)底部近傍まで垂下した棒状をなし、容器本体(A)に対する閉蓋具(B)の回動により容器本体(A)内周を摺動する掻き落とし用のヘラ(B3)を、閉蓋具(B)より垂設したことを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
掻き落とし用のヘラ(B3)を、閉蓋具(B)に穿設した挿通係止孔(24)より挿通して、上端を挿通係止孔(24)に係止させて装着した請求項1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
掻き落とし用のヘラ(B3)は、上端部の頭部(50)と、頭部(50)下面より垂設した横断面非円形の棒状部(51)とからなり、挿通係止孔(24)は、下部のヘラ挿通部(24b)の上に上部の係止部(24a)を連設してなり、ヘラ挿通部(24b)は、棒状部(51)の横断面形状と同じ横断面形状で棒状部(51)が挿通可能に形成され、係止部(24a)は、ヘラ挿通部(24b)より大径に形成されて頭部(50)を嵌合係止する請求項2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
ヘラ挿通部(24b)の下端周縁部より下方へ案内壁(25)を垂設した請求項3に記載の振り出し容器。
【請求項5】
閉蓋具(B)は、容器本体(A)に対して回動可能に装着するとともに、頂部に振り出し孔(33)を備えたキャップ本体(B1)と、キャップ本体(B1)の上面を開閉可能に設けた蓋体(B2)とを備え、振り出し孔(33)に着脱可能に嵌合する栓(42)を蓋体(B2)より垂設した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項6】
キャップ本体(B1)を、容器本体(A)外周に回動可能に嵌合させた周壁部(20)の上端縁より頂壁部(21)を延設するとともに、頂壁部(21)に窓(23)を穿設した本体部(B1a)と、本体部(B1a)に対して連結片30を介して開閉可能に設けるとともに、窓(23)に嵌着した振り出し孔(33)付きの蓋板部(B1b)とで構成した請求項5に記載の振り出し容器。
【請求項7】
本体部(B1a)と、蓋板部(B1b)と、蓋体(B2)とを合成樹脂により一体に成形した請求項6記載の振り出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116487(P2012−116487A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265270(P2010−265270)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】