振動型アクチュエータ
【課題】電極とグランド端子との電気的接触を回避できるとともに、電気接続の作業性の向上を図ることができるフレキシブルプリント基板を備える振動型アクチュエータの提供を目的とする。
【解決手段】
フレキシブルプリント基板6を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータが開示される。フレキシブルプリント基板6の電極端子部6aは、駆動素子10,12,14,16に対して電圧を印加するための電極30,32,34,36と、駆動子を接地するためのグランド端子40とを有する。駆動子の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36が配置され、振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40が配置される。
【解決手段】
フレキシブルプリント基板6を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータが開示される。フレキシブルプリント基板6の電極端子部6aは、駆動素子10,12,14,16に対して電圧を印加するための電極30,32,34,36と、駆動子を接地するためのグランド端子40とを有する。駆動子の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36が配置され、振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子などの電歪素子によって駆動子を加振させることで、ねじ部を介して駆動子と螺合状態で嵌合する移動子を移動させることができる振動型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ部を介して互いに螺合する駆動子および移動子と、前記駆動子を加振する圧電素子(駆動素子)とを有する振動型アクチュエータが、例えば特許文献1に開示されている。このような構成の振動型アクチュエータでは、前記圧電素子によって駆動子が振動されると、駆動子の振動が移動子に伝達され、移動子が回転される。移動子は、駆動子とねじ部を介して螺合されているため、移動子自体の回転力によってねじの軸方向へ移動される。
【0003】
ところで、前記特許文献1に開示される振動型アクチュエータは、硬質基板を介して駆動素子に電力が供給される構造であるため、アクチュエータに対する配線取り付けの自由度が低い。そのため、駆動素子への給電をフレキシブルプリント基板によって行なうアクチュエータ構造も考えられている。そのような構造の一例が図15に示されている。
【0004】
図15に示される振動型アクチュエータ100は、筒状のナット部材としての駆動子104と、駆動子104の内周面の雌ネジと螺合する雄ネジを外周に有するネジ状シャフトとしての移動子102とを備えている。駆動子104の外周の4つの平面にはそれぞれ、駆動子104を加振する駆動素子としての圧電素子110,112,114,116が取り付けられている。この場合、例えば、互いに対向して配置される一対の圧電素子110,112には、フレキシブルプリント基板106を介して第1の電源(駆動信号生成部、すなわち交流電圧発生部)が電気的に接続され、一方、残る2つの対向する一対の圧電素子114,116には、第1の電源よりも位相が90度進んだ、または遅れた、交流電圧を印加する同様の第2電源がフレキシブルプリント基板106を介して電気的に接続されており、また、駆動子104はフレキシブルプリント基板106を介して接地される。
【0005】
したがって、圧電素子110,112に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子110(または、圧電素子112)が伸長し、他方の圧電素子112(または、圧電素子110)が収縮する。同様に、圧電素子114,116に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子114(または、圧電素子116)が伸長し、他方の圧電素子116(または、圧電素子114)が収縮する。そのため、圧電素子110,112、並びに、圧電素子114,116に印加される電圧のタイミングを順次切り替えることで、圧電素子110,112,114,116を保持する駆動子104が加振(固有振動数で振動)され、それにより、駆動子104の振動が移動子102に伝達されて移動子102が回転され、移動子102がねじの軸方向へ移動される。
さらに上記第2の電源を第1の電源に対して交流電圧の位相が、90度進ませるか遅らせるかで、ネジ状シャフトの移動方向を決定できる。
【0006】
各圧電素子110,112,114,116に対して給電するためのフレキシブルプリント基板106は、図13に示されるように、前記電源に電気的に接続される給電端子部106cと、圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続される電極端子部106aと、給電端子部106cと電極端子部106aとを接続する長尺な接続ストリップ106bとから成り、図15に示されるように電極端子部106aを駆動子104の周囲に巻装することにより電極端子部106aの各電極130,132,134,136を対応する圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続するようになっている。具体的には、図14に明確に示されるように、電極端子部106aには、それを駆動子104の周囲に巻き付けた状態で各圧電素子110,112,114,116のそれぞれに個別に対応して位置される(図14の二点鎖線参照)ように電極端子部106aの端縁にその長手方向に沿って所定間隔で配列される4つの電極130,132,134,136が設けられている。これらの電極130,132,134,136は、圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続される圧電素子接続ランドを協働して形成しており、対応する圧電素子110,112,114,116に対して半田付けされるととともに、接続ストリップ106bの全長にわたって延びる電気ライン200を介して給電端子部106cの対応する端子に対して電気的に接続される。また、電極端子部106aには、駆動子104を接地するためのグランドワイヤが接続される丸穴形状のグランド端子140が設けられており、このグランド端子140は、電極端子部106aの先端または後端に配置されてグランドワイヤ接続ランドを形成している。
【0007】
そして、このような構成のフレキシブルプリント基板106では、一般に、図14に明確に示されるように、圧電素子110,112,114,116への電圧印加に伴う駆動子104の振動波形Lの2つの節部A,Bの一方Aに、圧電素子接続ランド(電極130,132,134,136)とグランドワイヤ接続ランド(グランド端子140)とがまとめて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7309943号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このように、2つの節部A,Bの一方Aに圧電素子接続ランドとグランドワイヤ接続ランドとがまとめて形成されていると、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板106が幅狭になるにつれて、電極130,132,134,136とグランド端子140とが互いに近接し、接触(短絡)する虞がある。また、電極130,132,134,136とグランド端子140とが互いに近接することで、電気接続の作業性も悪化してしまう。すなわち、電極130,132,134,136を対応する圧電素子110,112,114,116に対して半田付けした後に細いグランドワイヤをグランド端子140に接続する場合には、電極130,132,134,136の半田付けによってフレキシブルプリント基板の自由度がなくなってしまうため、基板106の先端または後端にあるグランド端子140の小さい丸穴に細いグランドワイヤを通して接続する作業が困難になる。また、逆に、グランドワイヤをグランド端子140に対して先に接続してしまうと、その後の圧電素子110,112,114,116に対する電極130,132,134,136の接続に際して位置の自由度がなくなり、微調整ができなくなる。また、グランド端子140が電極端子部106aの先端または後端に配置されていると、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板106への負荷が細いグランドワイヤに伝わり切断される虞がある。
【0010】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、電極とグランド端子との電気的接触を回避できるとともに、電気接続の作業性の向上を図ることができ、特に、グランドワイヤに対して負荷をかけない位置でグランドワイヤをグランド端子に対して容易に接続することができるフレキシブルプリント基板を備える振動型アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、フレキシブルプリント基板を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータであって、前記フレキシブルプリント基板が前記駆動子に取り付けられる電極端子部を有し、該電極端子部が、前記駆動素子に対して電圧を印加するための電極と、前記駆動子を接地するためのグランド端子とを有し、前記駆動素子への電圧印加に伴う前記駆動子の振動波形の第1の節部に前記電極が配置され、前記第1の節部とは異なる前記振動波形の第2の節部に前記グランド端子が配置されることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、電圧印加用の電極とグランド端子とが駆動子の振動波形の互いに異なる2つの節部に振り分けて配置されているため、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板が幅狭になっても、電極とグランド端子とが互いに近接するのを防止でき、接触(短絡)の危険を回避できるととともに、電極およびグランド端子のいずれを先に電気接続しても、それぞれの接続の自由度を確保でき、微調整を伴う電気的な接続が可能になる。すなわち、電気接続の作業性の向上を図ることができる(電気接続の作業が容易になる)。
【0013】
また、上記構成では、前記駆動子が複数の駆動素子を備え、前記フレキシブルプリント基板の前記電極端子部が前記複数の駆動素子に対応する複数の電極を有し、前記各電極が、電極端子部を駆動子の周囲に巻き付けた状態で各駆動素子のそれぞれに個別に対応して位置されるように電極端子部の長手方向に沿って所定間隔で配列されることが好ましい。また、この場合には、前記グランド端子が、前記電極端子部の長手方向端部を除く長手方向に沿う位置で、前記電極の配列の長手方向寸法内に収まるように設けられることが好ましい。これによれば、グランド端子が電極端子部の先端または後端に配置されないため、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板への負荷が細いグランドワイヤに伝わって切断されるといった事態を回避できる。
【0014】
また、上記構成において、前記グランド端子は、端部が開放するU字状の接続開口を有していることが好ましい。これによれば、グランド端子のU字形状に起因して、グランドワイヤの位置を大まかに設定することができ、細いグランドワイヤを穴に通すことなく、接続作業を容易化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極とグランド端子との電気的接触を回避できるとともに、電気接続の作業性の向上を図ることができ、特に、グランドワイヤに対して負荷をかけない位置でグランドワイヤをグランド端子に対して容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動型アクチュエータの斜視図
【図2】図1の振動型アクチュエータの分解斜視図
【図3】図1の振動型アクチュエータの主要部の平面図
【図4】図1の振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の電極端子部の構成図
【図5】振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の変形例の先端側拡大斜視図
【図6】図5のフレキシブルプリント基板の全体を示す斜視図
【図7】変形例に係る振動型アクチュエータの主要部の斜視図
【図8】フレキシブルプリント基板の他の変形例の全体斜視図
【図9】図8のフレキシブルプリント基板の先端側の拡大斜視図
【図10】他の変形例に係る振動型アクチュエータの主要部の斜視図
【図11】本発明の他の実施形態に係る振動型アクチュエータの斜視図
【図12】図11の振動型アクチュエータの分解斜視図
【図13】従来技術の振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の全体斜視図
【図14】図13のフレキシブルプリント基板の電極端子部の構成図
【図15】フレキシブルプリント基板によって駆動素子に給電する従来の振動型アクチュエータの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態に係る振動型アクチュエータ50を示している。図示のように、振動型アクチュエータ50は、アクチュエータ本体1と、アクチュエータ本体1を保持する筐体51とから成る。筐体51は、上側ハウジング52と下側ハウジング54とから成り、これらのハウジング52,54間でアクチュエータ本体1の後述する駆動子4を振動可能に挟持する。また、上側ハウジング52は、複数(図では4個)の取り付け穴52aを有しており、これらの取り付け穴52aに下側ハウジング54に突設された取り付けピン55を挿入して係合させることにより下側ハウジング54に対して取り付けられる。また、アクチュエータ本体1の外周には支持部材60を挟んでおり、筐体51がアクチュエータ本体1を振動自在に保持している。
【0018】
図3に示されるように、アクチュエータ本体1は、筒状のナット部材としての駆動子4(例えば金属製)と、駆動子4の内周面の雌ネジと螺合する雄ネジを外周に有するネジ状シャフトとしての移動子2とを備えている。駆動子4の外周の4つの平面にはそれぞれ、駆動子4を加振する駆動素子としての圧電素子10,12,14,16が取り付けられている。なお、圧電素子12は圧電素子10とは反対側に取り付けられていて隠れているので、図3には図示されていない。互いに対向して配置される一対の圧電素子10,12には、フレキシブルプリント基板6を介して図示しない第1の電源(駆動信号生成部、すなわち交流電圧発生部)が電気的に接続され、一方、残る2つの対向する一対の圧電素子14,16には、第1の電源よりも位相が90度進んだ交流電圧を印加する同様の第2電源(図示せず)がフレキシブルプリント基板6を介して電気的に接続されるようになっている。
【0019】
なお、駆動子4はフレキシブルプリント基板6を介して接地される。また、圧電素子10,12,14,16は、電歪効果を発揮する圧電セラミックで形成されており、それぞれの誘電分極の向きが厚み方向である。
したがって、このような構成では、圧電素子10,12に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子10(または、圧電素子12)が伸長し、他方の圧電素子12(または、圧電素子10)が収縮する。同様に、圧電素子14,16に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子14(または、圧電素子16)が伸長し、他方の圧電素子16(または、圧電素子14)が収縮する。そのため、圧電素子10,12、並びに、圧電素子14,16に印加される電圧のタイミングを順次切り替えることで、圧電素子10,12,14,16を保持する駆動子4が加振(固有振動数で振動)され(本実施形態では、駆動子4の振動波形に節部が2箇所できるような駆動モードで圧電素子が駆動される)、それにより、駆動子4の振動が移動子2に伝達されて移動子2が回転され、移動子2がねじの軸方向へ移動される。
【0020】
図4に示されるように、各圧電素子10,12,14,16に対して給電するためのフレキシブルプリント基板6は、前記電源に電気的に接続される給電端子部6cと、圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続される電極端子部6aと、給電端子部6cと電極端子部6aとを接続する長尺な接続ストリップ6bとから成り、図3に示されるように電極端子部6aを駆動子4の周囲に巻装する(取り付ける)ことにより電極端子部6aの各電極30,32,34,36を対応する圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続するようになっている。具体的には、電極端子部6aには、それを駆動子4の周囲に巻き付けた状態で各圧電素子10,12,14,16のそれぞれに個別に対応して位置される(図4の二点鎖線参照)ように電極端子部6aの端縁にその長手方向に沿って所定間隔で配列される4つの電極30,32,34,36が設けられている。圧電素子10,12,14,16に対して電圧を印加するためのこれらの電極30,32,34,36は、圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続される圧電素子接続ランドを協働して形成しており、対応する圧電素子10,12,14,16に対して半田付けされるととともに、接続ストリップ6bの全長にわたって延びる電気ライン20を介して給電端子部6cの対応する端子に対して電気的に接続される。また、電極端子部6aには、駆動子4を接地するためのグランドワイヤ5が挿入される丸穴形状のグランド端子40が設けられており、このグランド端子40は、電極端子部6aの長手方向端部(先端)に配置されてグランドワイヤ接続ランドを形成している。
【0021】
また、本実施形態のフレキシブルプリント基板6では、図4に明確に示されるように、圧電素子10,12,14,16への電圧印加に伴う駆動子4の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36(圧電素子接続ランド)が配置され、第1の節部Aとは異なる振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40(グランドワイヤ接続ランド)が配置されるように、電極端子部6aが駆動子4に対して巻装される。
【0022】
以上のように、本実施形態では、電圧印加用の電極30,32,34,36とグランド端子40とが駆動子4の振動波形Lの互いに異なる2つの節部A,Bに振り分けて配置されている(グランドワイヤ接続ランドを圧電素子接続ランドと反対側に位置させている)ため、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板6が幅狭になっても、電極30,32,34,36とグランド端子40とが互いに近接するのを防止でき、接触(短絡)の危険を回避できるととともに、電極30,32,34,36およびグランド端子40のいずれを先に電気接続しても、それぞれの接続の自由度を確保でき、微調整を伴う電気的な接続が可能になる。すなわち、電気接続の作業が容易になり、電気接続の作業性の向上を図ることができる。
【0023】
図5および図6は、前述した振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の変形例を示している。図7はフレキシブルプリント基板6Aを圧電素子10,12,14,16が取り付けられた駆動子4の周囲に巻装した図である。図示のように、このフレキシブルプリント基板6Aのグランド端子40Aは、電極端子部6aの長手方向端部(先端)に配置されるとともに、端部が開放するU字状の接続開口40aを有している。この場合、接続開口40aは、電極30,32,34,36と反対側を向いて開放している。なお、それ以外の構成は前述した実施形態と同一である。図7に示すように、U字形状のグランド端子40Aの開口部にグランドワイヤ5が係合されている。
【0024】
このような構成によれば、グランド端子40AのU字形状に起因して、グランドワイヤ5の位置を大まかに設定することができ、細いグランドワイヤ5を穴に通す必要がないので、接続作業を容易化できる。
【0025】
図8および図9は、前述した振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の他の変形例を示している。図10はフレキシブルプリント基板6Bを圧電素子10,12,14,16が取り付けられた駆動子4の周囲に巻装した図である。図示のように、このフレキシブルプリント基板6Bのグランド端子40Bは、電極端子部6aの長手方向端部を除く長手方向に沿う端縁位置に設けられており、電極30,32,34,36の配列の長手方向寸法W内(図9参照)に収まるように設けられている。上記同様、図9に示されるように、圧電素子10,12,14,16への電圧印加に伴う駆動子4の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36(圧電素子接続ランド)が配置され、第1の節部Aとは異なる振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40B(グランドワイヤ接続ランド)が配置されるように、電極端子部6aが駆動子4に対して巻装される。また、このグランド端子40Bも、端部が開放するU字状の接続開口40aを有するとともに、その開口40aが電極30,32,34,36と反対側を向いて開放している。図10に示すように、U字形状のグランド端子40Bの開口部にグランドワイヤ5が係合されている。
【0026】
このような構成によれば、グランド端子40Bが電極端子部6aの先端または後端に配置されないため、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板6Bへの負荷が細いグランドワイヤ5に伝わって切断されるといった事態を回避できる。
【0027】
図11および図12は、本発明の他の実施形態に係る振動型アクチュエータ50Aを示しており、アクチュエータ本体1と、アクチュエータ本体1を保持する筐体とから成る。前記筐体は、金属製の上側カバー72と下側カバー70とから成り、これらのカバー70,72間でアクチュエータ本体1の駆動子4を振動可能に挟持する。この場合、アクチュエータ本体1は、ショア硬度40程度のシリコンゴム接着剤でカバー70,72に加圧保持されることなく固定される。したがって、駆動子4の振幅の低下を少なくでき、そのため、振動の節部以外の部位でアクチュエータ本体1をケース70,72に対して固定することも可能になる。
【符号の説明】
【0028】
1 アクチュエータ本体
2 移動子
4 駆動子
5 グランドワイヤ
6,6A,6B フレキシブルプリント基板
6a 電極端子部
10,12,14,16 圧電素子(駆動素子)
30,32,34,36 電極
40,40A グランド端子
40a 接続開口
50,50A 振動型アクチュエータ
L 振動波形
A 第1の節部
B 第2の節部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子などの電歪素子によって駆動子を加振させることで、ねじ部を介して駆動子と螺合状態で嵌合する移動子を移動させることができる振動型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ部を介して互いに螺合する駆動子および移動子と、前記駆動子を加振する圧電素子(駆動素子)とを有する振動型アクチュエータが、例えば特許文献1に開示されている。このような構成の振動型アクチュエータでは、前記圧電素子によって駆動子が振動されると、駆動子の振動が移動子に伝達され、移動子が回転される。移動子は、駆動子とねじ部を介して螺合されているため、移動子自体の回転力によってねじの軸方向へ移動される。
【0003】
ところで、前記特許文献1に開示される振動型アクチュエータは、硬質基板を介して駆動素子に電力が供給される構造であるため、アクチュエータに対する配線取り付けの自由度が低い。そのため、駆動素子への給電をフレキシブルプリント基板によって行なうアクチュエータ構造も考えられている。そのような構造の一例が図15に示されている。
【0004】
図15に示される振動型アクチュエータ100は、筒状のナット部材としての駆動子104と、駆動子104の内周面の雌ネジと螺合する雄ネジを外周に有するネジ状シャフトとしての移動子102とを備えている。駆動子104の外周の4つの平面にはそれぞれ、駆動子104を加振する駆動素子としての圧電素子110,112,114,116が取り付けられている。この場合、例えば、互いに対向して配置される一対の圧電素子110,112には、フレキシブルプリント基板106を介して第1の電源(駆動信号生成部、すなわち交流電圧発生部)が電気的に接続され、一方、残る2つの対向する一対の圧電素子114,116には、第1の電源よりも位相が90度進んだ、または遅れた、交流電圧を印加する同様の第2電源がフレキシブルプリント基板106を介して電気的に接続されており、また、駆動子104はフレキシブルプリント基板106を介して接地される。
【0005】
したがって、圧電素子110,112に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子110(または、圧電素子112)が伸長し、他方の圧電素子112(または、圧電素子110)が収縮する。同様に、圧電素子114,116に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子114(または、圧電素子116)が伸長し、他方の圧電素子116(または、圧電素子114)が収縮する。そのため、圧電素子110,112、並びに、圧電素子114,116に印加される電圧のタイミングを順次切り替えることで、圧電素子110,112,114,116を保持する駆動子104が加振(固有振動数で振動)され、それにより、駆動子104の振動が移動子102に伝達されて移動子102が回転され、移動子102がねじの軸方向へ移動される。
さらに上記第2の電源を第1の電源に対して交流電圧の位相が、90度進ませるか遅らせるかで、ネジ状シャフトの移動方向を決定できる。
【0006】
各圧電素子110,112,114,116に対して給電するためのフレキシブルプリント基板106は、図13に示されるように、前記電源に電気的に接続される給電端子部106cと、圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続される電極端子部106aと、給電端子部106cと電極端子部106aとを接続する長尺な接続ストリップ106bとから成り、図15に示されるように電極端子部106aを駆動子104の周囲に巻装することにより電極端子部106aの各電極130,132,134,136を対応する圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続するようになっている。具体的には、図14に明確に示されるように、電極端子部106aには、それを駆動子104の周囲に巻き付けた状態で各圧電素子110,112,114,116のそれぞれに個別に対応して位置される(図14の二点鎖線参照)ように電極端子部106aの端縁にその長手方向に沿って所定間隔で配列される4つの電極130,132,134,136が設けられている。これらの電極130,132,134,136は、圧電素子110,112,114,116に対して電気的に接続される圧電素子接続ランドを協働して形成しており、対応する圧電素子110,112,114,116に対して半田付けされるととともに、接続ストリップ106bの全長にわたって延びる電気ライン200を介して給電端子部106cの対応する端子に対して電気的に接続される。また、電極端子部106aには、駆動子104を接地するためのグランドワイヤが接続される丸穴形状のグランド端子140が設けられており、このグランド端子140は、電極端子部106aの先端または後端に配置されてグランドワイヤ接続ランドを形成している。
【0007】
そして、このような構成のフレキシブルプリント基板106では、一般に、図14に明確に示されるように、圧電素子110,112,114,116への電圧印加に伴う駆動子104の振動波形Lの2つの節部A,Bの一方Aに、圧電素子接続ランド(電極130,132,134,136)とグランドワイヤ接続ランド(グランド端子140)とがまとめて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7309943号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このように、2つの節部A,Bの一方Aに圧電素子接続ランドとグランドワイヤ接続ランドとがまとめて形成されていると、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板106が幅狭になるにつれて、電極130,132,134,136とグランド端子140とが互いに近接し、接触(短絡)する虞がある。また、電極130,132,134,136とグランド端子140とが互いに近接することで、電気接続の作業性も悪化してしまう。すなわち、電極130,132,134,136を対応する圧電素子110,112,114,116に対して半田付けした後に細いグランドワイヤをグランド端子140に接続する場合には、電極130,132,134,136の半田付けによってフレキシブルプリント基板の自由度がなくなってしまうため、基板106の先端または後端にあるグランド端子140の小さい丸穴に細いグランドワイヤを通して接続する作業が困難になる。また、逆に、グランドワイヤをグランド端子140に対して先に接続してしまうと、その後の圧電素子110,112,114,116に対する電極130,132,134,136の接続に際して位置の自由度がなくなり、微調整ができなくなる。また、グランド端子140が電極端子部106aの先端または後端に配置されていると、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板106への負荷が細いグランドワイヤに伝わり切断される虞がある。
【0010】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、電極とグランド端子との電気的接触を回避できるとともに、電気接続の作業性の向上を図ることができ、特に、グランドワイヤに対して負荷をかけない位置でグランドワイヤをグランド端子に対して容易に接続することができるフレキシブルプリント基板を備える振動型アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、フレキシブルプリント基板を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータであって、前記フレキシブルプリント基板が前記駆動子に取り付けられる電極端子部を有し、該電極端子部が、前記駆動素子に対して電圧を印加するための電極と、前記駆動子を接地するためのグランド端子とを有し、前記駆動素子への電圧印加に伴う前記駆動子の振動波形の第1の節部に前記電極が配置され、前記第1の節部とは異なる前記振動波形の第2の節部に前記グランド端子が配置されることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、電圧印加用の電極とグランド端子とが駆動子の振動波形の互いに異なる2つの節部に振り分けて配置されているため、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板が幅狭になっても、電極とグランド端子とが互いに近接するのを防止でき、接触(短絡)の危険を回避できるととともに、電極およびグランド端子のいずれを先に電気接続しても、それぞれの接続の自由度を確保でき、微調整を伴う電気的な接続が可能になる。すなわち、電気接続の作業性の向上を図ることができる(電気接続の作業が容易になる)。
【0013】
また、上記構成では、前記駆動子が複数の駆動素子を備え、前記フレキシブルプリント基板の前記電極端子部が前記複数の駆動素子に対応する複数の電極を有し、前記各電極が、電極端子部を駆動子の周囲に巻き付けた状態で各駆動素子のそれぞれに個別に対応して位置されるように電極端子部の長手方向に沿って所定間隔で配列されることが好ましい。また、この場合には、前記グランド端子が、前記電極端子部の長手方向端部を除く長手方向に沿う位置で、前記電極の配列の長手方向寸法内に収まるように設けられることが好ましい。これによれば、グランド端子が電極端子部の先端または後端に配置されないため、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板への負荷が細いグランドワイヤに伝わって切断されるといった事態を回避できる。
【0014】
また、上記構成において、前記グランド端子は、端部が開放するU字状の接続開口を有していることが好ましい。これによれば、グランド端子のU字形状に起因して、グランドワイヤの位置を大まかに設定することができ、細いグランドワイヤを穴に通すことなく、接続作業を容易化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極とグランド端子との電気的接触を回避できるとともに、電気接続の作業性の向上を図ることができ、特に、グランドワイヤに対して負荷をかけない位置でグランドワイヤをグランド端子に対して容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動型アクチュエータの斜視図
【図2】図1の振動型アクチュエータの分解斜視図
【図3】図1の振動型アクチュエータの主要部の平面図
【図4】図1の振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の電極端子部の構成図
【図5】振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の変形例の先端側拡大斜視図
【図6】図5のフレキシブルプリント基板の全体を示す斜視図
【図7】変形例に係る振動型アクチュエータの主要部の斜視図
【図8】フレキシブルプリント基板の他の変形例の全体斜視図
【図9】図8のフレキシブルプリント基板の先端側の拡大斜視図
【図10】他の変形例に係る振動型アクチュエータの主要部の斜視図
【図11】本発明の他の実施形態に係る振動型アクチュエータの斜視図
【図12】図11の振動型アクチュエータの分解斜視図
【図13】従来技術の振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の全体斜視図
【図14】図13のフレキシブルプリント基板の電極端子部の構成図
【図15】フレキシブルプリント基板によって駆動素子に給電する従来の振動型アクチュエータの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態に係る振動型アクチュエータ50を示している。図示のように、振動型アクチュエータ50は、アクチュエータ本体1と、アクチュエータ本体1を保持する筐体51とから成る。筐体51は、上側ハウジング52と下側ハウジング54とから成り、これらのハウジング52,54間でアクチュエータ本体1の後述する駆動子4を振動可能に挟持する。また、上側ハウジング52は、複数(図では4個)の取り付け穴52aを有しており、これらの取り付け穴52aに下側ハウジング54に突設された取り付けピン55を挿入して係合させることにより下側ハウジング54に対して取り付けられる。また、アクチュエータ本体1の外周には支持部材60を挟んでおり、筐体51がアクチュエータ本体1を振動自在に保持している。
【0018】
図3に示されるように、アクチュエータ本体1は、筒状のナット部材としての駆動子4(例えば金属製)と、駆動子4の内周面の雌ネジと螺合する雄ネジを外周に有するネジ状シャフトとしての移動子2とを備えている。駆動子4の外周の4つの平面にはそれぞれ、駆動子4を加振する駆動素子としての圧電素子10,12,14,16が取り付けられている。なお、圧電素子12は圧電素子10とは反対側に取り付けられていて隠れているので、図3には図示されていない。互いに対向して配置される一対の圧電素子10,12には、フレキシブルプリント基板6を介して図示しない第1の電源(駆動信号生成部、すなわち交流電圧発生部)が電気的に接続され、一方、残る2つの対向する一対の圧電素子14,16には、第1の電源よりも位相が90度進んだ交流電圧を印加する同様の第2電源(図示せず)がフレキシブルプリント基板6を介して電気的に接続されるようになっている。
【0019】
なお、駆動子4はフレキシブルプリント基板6を介して接地される。また、圧電素子10,12,14,16は、電歪効果を発揮する圧電セラミックで形成されており、それぞれの誘電分極の向きが厚み方向である。
したがって、このような構成では、圧電素子10,12に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子10(または、圧電素子12)が伸長し、他方の圧電素子12(または、圧電素子10)が収縮する。同様に、圧電素子14,16に対して電圧を印加すると、逆圧電効果によって一方の圧電素子14(または、圧電素子16)が伸長し、他方の圧電素子16(または、圧電素子14)が収縮する。そのため、圧電素子10,12、並びに、圧電素子14,16に印加される電圧のタイミングを順次切り替えることで、圧電素子10,12,14,16を保持する駆動子4が加振(固有振動数で振動)され(本実施形態では、駆動子4の振動波形に節部が2箇所できるような駆動モードで圧電素子が駆動される)、それにより、駆動子4の振動が移動子2に伝達されて移動子2が回転され、移動子2がねじの軸方向へ移動される。
【0020】
図4に示されるように、各圧電素子10,12,14,16に対して給電するためのフレキシブルプリント基板6は、前記電源に電気的に接続される給電端子部6cと、圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続される電極端子部6aと、給電端子部6cと電極端子部6aとを接続する長尺な接続ストリップ6bとから成り、図3に示されるように電極端子部6aを駆動子4の周囲に巻装する(取り付ける)ことにより電極端子部6aの各電極30,32,34,36を対応する圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続するようになっている。具体的には、電極端子部6aには、それを駆動子4の周囲に巻き付けた状態で各圧電素子10,12,14,16のそれぞれに個別に対応して位置される(図4の二点鎖線参照)ように電極端子部6aの端縁にその長手方向に沿って所定間隔で配列される4つの電極30,32,34,36が設けられている。圧電素子10,12,14,16に対して電圧を印加するためのこれらの電極30,32,34,36は、圧電素子10,12,14,16に対して電気的に接続される圧電素子接続ランドを協働して形成しており、対応する圧電素子10,12,14,16に対して半田付けされるととともに、接続ストリップ6bの全長にわたって延びる電気ライン20を介して給電端子部6cの対応する端子に対して電気的に接続される。また、電極端子部6aには、駆動子4を接地するためのグランドワイヤ5が挿入される丸穴形状のグランド端子40が設けられており、このグランド端子40は、電極端子部6aの長手方向端部(先端)に配置されてグランドワイヤ接続ランドを形成している。
【0021】
また、本実施形態のフレキシブルプリント基板6では、図4に明確に示されるように、圧電素子10,12,14,16への電圧印加に伴う駆動子4の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36(圧電素子接続ランド)が配置され、第1の節部Aとは異なる振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40(グランドワイヤ接続ランド)が配置されるように、電極端子部6aが駆動子4に対して巻装される。
【0022】
以上のように、本実施形態では、電圧印加用の電極30,32,34,36とグランド端子40とが駆動子4の振動波形Lの互いに異なる2つの節部A,Bに振り分けて配置されている(グランドワイヤ接続ランドを圧電素子接続ランドと反対側に位置させている)ため、アクチュエータの小型化に伴ってフレキシブルプリント基板6が幅狭になっても、電極30,32,34,36とグランド端子40とが互いに近接するのを防止でき、接触(短絡)の危険を回避できるととともに、電極30,32,34,36およびグランド端子40のいずれを先に電気接続しても、それぞれの接続の自由度を確保でき、微調整を伴う電気的な接続が可能になる。すなわち、電気接続の作業が容易になり、電気接続の作業性の向上を図ることができる。
【0023】
図5および図6は、前述した振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の変形例を示している。図7はフレキシブルプリント基板6Aを圧電素子10,12,14,16が取り付けられた駆動子4の周囲に巻装した図である。図示のように、このフレキシブルプリント基板6Aのグランド端子40Aは、電極端子部6aの長手方向端部(先端)に配置されるとともに、端部が開放するU字状の接続開口40aを有している。この場合、接続開口40aは、電極30,32,34,36と反対側を向いて開放している。なお、それ以外の構成は前述した実施形態と同一である。図7に示すように、U字形状のグランド端子40Aの開口部にグランドワイヤ5が係合されている。
【0024】
このような構成によれば、グランド端子40AのU字形状に起因して、グランドワイヤ5の位置を大まかに設定することができ、細いグランドワイヤ5を穴に通す必要がないので、接続作業を容易化できる。
【0025】
図8および図9は、前述した振動型アクチュエータのフレキシブルプリント基板の他の変形例を示している。図10はフレキシブルプリント基板6Bを圧電素子10,12,14,16が取り付けられた駆動子4の周囲に巻装した図である。図示のように、このフレキシブルプリント基板6Bのグランド端子40Bは、電極端子部6aの長手方向端部を除く長手方向に沿う端縁位置に設けられており、電極30,32,34,36の配列の長手方向寸法W内(図9参照)に収まるように設けられている。上記同様、図9に示されるように、圧電素子10,12,14,16への電圧印加に伴う駆動子4の振動波形Lの第1の節部Aに電極30,32,34,36(圧電素子接続ランド)が配置され、第1の節部Aとは異なる振動波形Lの第2の節部Bにグランド端子40B(グランドワイヤ接続ランド)が配置されるように、電極端子部6aが駆動子4に対して巻装される。また、このグランド端子40Bも、端部が開放するU字状の接続開口40aを有するとともに、その開口40aが電極30,32,34,36と反対側を向いて開放している。図10に示すように、U字形状のグランド端子40Bの開口部にグランドワイヤ5が係合されている。
【0026】
このような構成によれば、グランド端子40Bが電極端子部6aの先端または後端に配置されないため、製品の取り扱い時、フレキシブルプリント基板6Bへの負荷が細いグランドワイヤ5に伝わって切断されるといった事態を回避できる。
【0027】
図11および図12は、本発明の他の実施形態に係る振動型アクチュエータ50Aを示しており、アクチュエータ本体1と、アクチュエータ本体1を保持する筐体とから成る。前記筐体は、金属製の上側カバー72と下側カバー70とから成り、これらのカバー70,72間でアクチュエータ本体1の駆動子4を振動可能に挟持する。この場合、アクチュエータ本体1は、ショア硬度40程度のシリコンゴム接着剤でカバー70,72に加圧保持されることなく固定される。したがって、駆動子4の振幅の低下を少なくでき、そのため、振動の節部以外の部位でアクチュエータ本体1をケース70,72に対して固定することも可能になる。
【符号の説明】
【0028】
1 アクチュエータ本体
2 移動子
4 駆動子
5 グランドワイヤ
6,6A,6B フレキシブルプリント基板
6a 電極端子部
10,12,14,16 圧電素子(駆動素子)
30,32,34,36 電極
40,40A グランド端子
40a 接続開口
50,50A 振動型アクチュエータ
L 振動波形
A 第1の節部
B 第2の節部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント基板を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータであって、
前記フレキシブルプリント基板が前記駆動子に取り付けられる電極端子部を有し、該電極端子部が、前記駆動素子に対して電圧を印加するための電極と、前記駆動子を接地するためのグランド端子とを有し、前記駆動素子への電圧印加に伴う前記駆動子の振動波形の第1の節部に前記電極が配置され、前記第1の節部とは異なる前記振動波形の第2の節部に前記グランド端子が配置されることを特徴とする振動型アクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動子が複数の駆動素子を備え、前記フレキシブルプリント基板の前記電極端子部が前記複数の駆動素子に対応する複数の電極を有し、前記各電極が、電極端子部を駆動子の周囲に巻き付けた状態で各駆動素子のそれぞれに個別に対応して位置されるように電極端子部の長手方向に沿って所定間隔で配列されることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項3】
前記グランド端子は、前記電極端子部の長手方向端部を除く長手方向に沿う位置で、前記電極の配列の長手方向寸法内に収まるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項4】
前記グランド端子は、端部が開放するU字状の接続開口を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項1】
フレキシブルプリント基板を介して駆動素子に電圧を印加することにより、駆動素子を保持する駆動子が加振され、駆動子の振動によって移動子が移動される振動型アクチュエータであって、
前記フレキシブルプリント基板が前記駆動子に取り付けられる電極端子部を有し、該電極端子部が、前記駆動素子に対して電圧を印加するための電極と、前記駆動子を接地するためのグランド端子とを有し、前記駆動素子への電圧印加に伴う前記駆動子の振動波形の第1の節部に前記電極が配置され、前記第1の節部とは異なる前記振動波形の第2の節部に前記グランド端子が配置されることを特徴とする振動型アクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動子が複数の駆動素子を備え、前記フレキシブルプリント基板の前記電極端子部が前記複数の駆動素子に対応する複数の電極を有し、前記各電極が、電極端子部を駆動子の周囲に巻き付けた状態で各駆動素子のそれぞれに個別に対応して位置されるように電極端子部の長手方向に沿って所定間隔で配列されることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項3】
前記グランド端子は、前記電極端子部の長手方向端部を除く長手方向に沿う位置で、前記電極の配列の長手方向寸法内に収まるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項4】
前記グランド端子は、端部が開放するU字状の接続開口を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−200484(P2010−200484A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42243(P2009−42243)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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