説明

振動型駆動装置の制御装置および振動型駆動装置の出力特性検出方法

【課題】振動子の製作工程や形状により生じた出力特性のバラツキを、振動子が振動型駆動装置として取り付けられた状態で検出することが可能となる振動型駆動装置の制御装置を提供する。
【解決手段】制御手段による制御のもとで、
複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子に対し、被駆動体との接触面と垂直な方向に駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、被駆動体との接触面と平行な方向に駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることにより駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を駆動信号生成手段により印加する一方、
検出対象の振動子以外の振動子には、第1の振動モードの振動を励起する交流電圧のみを駆動信号生成手段により印加し、出力特性検出手段によって、検出対象の振動子の出力特性を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動型駆動装置の制御装置および振動型駆動装置の出力特性検出方法に関し、特に振動型駆動装置の出力特性を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の質点に楕円運動を生じさせ、被駆動体を駆動するタイプの振動型駆動装置に関する様々な提案(例えば、特許文献1など)がなされている。このような振動型駆動装置の基本的な構成として、例えば図13(a)に示すような構成が知られている。
図13(a)は、従来例における振動型駆動装置の基本的な構成の一例を示す外観斜視図である。
図13(a)に示すように、この振動型駆動装置の振動子は、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4を備え、弾性体4の裏面には圧電素子(電気−機械エネルギー変換素子)5が接合されている。弾性体4の上面の所定位置には、複数の突起部6が設けられている。
この構成によれば、圧電素子5に交流電圧を印加することにより、弾性体4の長辺方向における2次の屈曲振動と、弾性体4の短辺方向における1次の屈曲振動とが同時に発生し、突起部6に楕円運動が励起される。
そして、突起部6に被駆動体7を加圧接触させることにより、被駆動体7を突起部6の楕円運動によって直線的に駆動することができるようになっている。つまり、突起部6がこの振動子の駆動部として作用する。
【0003】
図13(b)は、図13(a)に示した振動型駆動装置における圧電素子5の分極領域の一例を示す模式図である。
また、図14(a)、(b)は、従来例における弾性体4の振動モードを示す斜視図であり、図15(a)は、従来例における弾性体4の突起部6に励起する楕円運動を説明するための図である。
上記圧電素子5は、図13(b)に示した振動型駆動装置における圧電素子5の分極領域の一例に示すように、2つの電極A1、A2を備えている。
上記2つの電極A1、A2に同相の交流電圧V1,V2を印加することにより、上記矩形の弾性体4において長辺方向と平行な方向に延びた2本の節を有する1次の屈曲振動を励振する。
これが図14(a)に示す第1の振動モードとなる。
また、2つの電極A1、A2に逆相の交流電圧V1,V2を印加することにより、矩形の弾性体4の短辺方向と平行な方向に延びた3本の節を有する2次の屈曲振動を励振する。これが図14(b)に示す第2の振動モードとなる。
そして、上記第1の振動モードと第2の振動モードの組み合わせにより突起部6に楕円運動を励振し、このとき、突起部6に被駆動体を加圧接触させると、被駆動体を直線的に駆動することができるようになっている。
ここで、図14(a)に示す第1の振動モードによって、突起部6には、被駆動体との加圧接触する接触面と垂直な方向に変位する第1の振幅(以下、Z軸振幅ともいう)が励起される。
また、図14(b)に示す第2の振動モードによって、突起部6には、接触面と平行な方向に変位する第2の振幅(以下、X軸振幅ともいう)が励起される。
【0004】
上記第1の振動モードと第2の振動モードの2つの振幅モードを組み合わせることにより、所定の突起部6に図15(a)に示すように楕円運動が励起することができ、Z軸振幅とX軸振幅の大きさの比が、楕円運動の楕円比に影響を与える。
図15(b)は、2相の電圧V1,V2の位相差を−180度〜180度で変化させたときの第1の振動モード及び第2の振動モードの振幅を説明するためのグラフである。
分極された圧電素子5における2つの電極A1、A2に印加する2相の交流電圧V1,V2の位相差を−180度〜180度に変化させたときの、第1の振動モードと第2の振動モードの振幅は、それぞれ図15(b)のP1とP2に示すようになる。
同図の横軸が位相差を示し、縦軸が第1の振動モードと第2の振動モードの振幅を示している。
第1の振動モードと第2の振動モードの組み合わせにより突起部6に楕円運動が励起し、印加する交流電圧V1,V2の位相差を変更することにより、所定の突起部6の励起する楕円運動の楕円比を調整することができる。図15(b)の下部に、横軸の位相差に応じた楕円形状を示す。
そして、交流電圧V1,V2の位相差の正負の符号を切り替えることにより、直線的に駆動する振動型駆動装置の駆動方向を切り替えることができる。
さらに、位相差を任意の値から正負の符号を含めて連続的に切り替える(例えば、位相差を正負の符号を含めて90度から−90度まで連続的に変更する)ことにより、駆動方向と速度を連続的に変化させることが可能になる。
また、圧電素子に印加する交流電圧の周波数を共振周波数に近づけることにより、速度を速くすることができ、印加する交流電圧の周波数を共振周波数から遠ざけることにより、速度を遅くすることができることが一般的に知られている。
このような構成による振動子を複数用い、上記楕円運動により推力を得ることによって1つの被駆動体を相対駆動することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−320846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように複数の振動子で1つの被駆動体を相対駆動する場合、つぎのような課題を有している。
すなわち、複数の振動子で1つの被駆動体を相対駆動する際、各々の振動子の出力特性にバラツキがあると、出力特性のズレにより相対駆動時に効率を低下させることになる。
そのため、各々の振動子の出力特性を調整することが必要となる。そして、この出力特性の調整に際して各々の振動子の出力特性を検出するため、振動子を装置に組み込む前に単独で出力特性を検知しておくことが必要となる。
このようなことから、出力特性を検知するための出力特性測定装置への取り付けによる分解、組立て等の余分な作業が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、振動子の製作工程や形状により生じた出力特性のバラツキを、振動子が振動型駆動装置として取り付けられた状態で検出することが可能となる振動型駆動装置の制御装置および振動型駆動装置の出力特性検出方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動型駆動装置の制御装置は、電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の制御装置であって、
前記複数の振動子における各々の振動子に、前記交流電圧を印加する駆動信号生成手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子に印加する交流電圧の駆動周波数と位相差を決定し、該決定された駆動周波数と位相差を前記駆動信号生成手段に出力して該駆動信号生成手段を制御する制御手段と、
前記被駆動体の駆動速度と前記駆動信号生成手段における駆動周波数との比較によって、前記複数の振動子における各々の振動子の出力特性を検出する出力特性検出手段と、を有し、
前記制御手段による制御のもとで、
前記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることにより前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を前記駆動信号生成手段により印加する一方、
前記検出対象の振動子以外の振動子には、前記第1の振動モードの振動を励起する交流電圧のみを前記駆動信号生成手段により印加し、
前記出力特性検出手段によって、前記検出対象の振動子の出力特性を検出することを特徴とする。
また、本発明の振動型駆動装置の制御装置の制御装置は、電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の制御装置であって、
前記複数の振動子における各々の振動子に、前記交流電圧を印加する駆動信号生成手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子に印加する交流電圧の駆動周波数と位相差を決定し、該決定された駆動周波数と位相差を前記駆動信号生成手段に出力して該駆動信号生成手段を制御する制御手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子の出力特性の関係を検出する出力特性検出手段と、を有し、
前記複数の振動子は、少なくとも第1の振動子と第2の振動子とによる2つの振動子を備え、前記制御手段による制御のもとで、
前記第1の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることによって前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を、前記駆動信号生成手段により印加する一方、
前記第2の振動子には、前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に駆動力を発生させる交流電圧を、前記駆動信号生成手段により印加し、
前記出力特性検出手段によって、前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする。
また、本発明の振動型駆動装置の出力特性検出方法は、電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の出力特性検出方法であって、
前記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることにより前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を印加する一方、
前記検出対象の振動子以外の振動子には、前記第1の振動モードのみの振動を励振する交流電圧を印加し、
前記検出対象の振動子の出力特性を検出することを特徴とする。
また、本発明の振動型駆動装置の出力特性検出方法は、電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の出力特性検出方法であって、
前記複数の振動子は、少なくとも第1の振動子と第2の振動子とによる2つの振動子を備え、
前記第1の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることによって前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を印加する一方、
前記第2の振動子には、前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に駆動力を発生させる交流電圧を印加し、
前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動子の出力特性のバラツキを、振動子が振動型駆動装置として取り付けられた状態で検出することが可能となる振動型駆動装置の制御装置および振動型駆動装置の出力特性検出方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る振動型駆動装置の構成を説明する外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る振動型駆動装置の制御動作を説明するブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る振動子の駆動周波数と駆動速度の関係を示すグラフである。
【図4】第1の実施形態に係る駆動力と摩擦力を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態に係る振動型駆動装置における出力特性の検出方法を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る振動型駆動装置の各々の振動子における駆動周波数と駆動速度の関係を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態に係る振動型駆動装置の各々の振動子における駆動速度と駆動周波数の関係を示すグラフである。
【図8】第1の実施形態に係る振動型駆動装置の別形態の動作を説明する図である。
【図9】第2の実施形態に係る振動型駆動装置における出力特性の検出方法を説明する図である。
【図10】第2の実施形態に係る振動型駆動装置の出力特性検出方法を説明するフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係る振動型駆動装置の振動子8aと振動子8bの駆動周波数の関係を示すグラフである。
【図12】第3の実施形態に係る振動型駆動装置の構成図である。
【図13】従来例を説明するための図であり、(a)は振動型駆動装置の基本的な構成の一例を示す外観斜視図である。(b)は上記(a)に示した振動型駆動装置における圧電素子の分極領域の一例を示す模式図である。
【図14】従来例における弾性体の振動モードを示す斜視図である。
【図15】従来例を説明するための図であり、(a)は弾性体の突起部に励起する楕円運動を説明するための図である。(b)は第1の振動モード及び第2の振動モードの振幅を説明するためのグラフである。(c)は振動子の周波数と速度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態における振動型駆動装置の制御装置および振動型駆動装置の出力特性検出方法について、図を用いて説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における振動型駆動装置(振動型アクチュエータ)の構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態の振動型駆動装置は、2つの振動子により1つの被駆動体を相対駆動させる構成を備え、この2つの振動子により2倍の推力を発生させることが可能とされている。
図1に示すように、本実施形態の振動型駆動装置の振動子8aは、矩形の板状に形成された金属材料から成る弾性体4aを備え、弾性体4aの裏面には圧電素子(電気−機械エネルギー変換素子)5aが接合されている。
弾性体4aの上面の所定位置には、駆動部として作用する2つの突起部6aが設けられている。図1に示す振動子は突起部に楕円運動を生じさせ、被駆動体を駆動する。同様に振動子8bは、弾性体4bには圧電素子5bが接合されており、弾性体4bの所定位置には2つの突起6bが設けられている。
図1に示す、圧電素子5a、5bは、図13(b)に示す2群の電極A1,A2が設けられており、図13(b)の紙面方向に分極処理されている。
この構成による振動子は印加する交流電圧の位相差を変更することにより、図1に示す突起部6a、6bに励起する楕円運動の楕円比率を変更することができる。
【0012】
図1に示す、振動子は、図15(c)に示すように、振動子の圧電素子に印加する交流電圧の駆動周波数を共振周波数に近づけることにより、速度を速くすることができる。また、印加する交流電圧の周波数を共振周波数から遠ざけることにより、速度を遅くすることができる。
また、共振周波数を速度のピークとし、共振周波数よりも高周波数側ではなだらかに駆動速度が減少し、且つ低周波側では急激に駆動速度が減少するような特性となる。
また、突起部6a、6bに励起する接触面と平行な方向に変位(励振)する振幅(第2の振幅)を大きくすることにより、被駆動体の移動速度を速くすることができる。
また、接触面と平行な方向に変位する振幅を小さくすると共に接触面と垂直な方向に変位(励振)する振幅(第1の振幅)をある程度に保つことにより、被駆動体の移動速度を安定的に遅くすることができる。
また、図14(a)に示す第1の振動モードの振動(突起部6に、被駆動体との加圧接触する接触面と垂直な方向に変位する第1の振幅が励起されるモードの振動)と、図14(b)に示す第2の振動モード(突起部6に、接触面と平行な方向に変位する第2の振幅が励起されるモードの振動)の位相差を切り替えることにより、振動型駆動装置の駆動方向を切り替えることができる。
また、図13(b)に示す、圧電素子5の電極V1,V2に対して印加する交流電圧の位相差を−180度〜180度で変化させたとき所定の突起部6a、6bに励起する楕円運動の楕円比を調整することができる。
図15(b)の下部に、横軸の位相差に応じた楕円形状を示す。位相差を正負の符号を含めて90度から−90度まで連続的に変更することにより、駆動方向と速度が連続的に変化させることが可能になる。
上記構成によって、図1の振動子8a、および8bそれぞれに振動を励振することにより、被駆動体(スライダ)3を駆動することが可能となる。
【0013】
つぎに、本実施形態における振動型駆動装置の制御装置及び制御動作を、図2のブロック図を用いて説明する。
図2は、図1に示す振動型駆動装置の制御装置を説明するブロック図である。
振動型駆動装置(振動型アクチュエータ)10は、振動子8a、振動子8b及び被駆動体3を備える。
被駆動体3は、振動子の突起部に励起する楕円運動により駆動する。
位置検出手段14は、被駆動体3の位置を検出するものであり、例えば、リニアスケールやエンコーダにて構成される。
位置検出手段14の出力側には制御演算手段18が接続されている。制御演算手段18は位置検出手段の検出位置と不図示の位置決めのための目標値を比較して制御演算を行い、振動型駆動装置の各々の振動子の駆動周波数と位相差を決定する。
制御演算手段18の出力側には駆動信号生成手段11、駆動信号生成手段12が接続されている。
駆動信号生成手段はパルス発生器と昇圧回路により構成されており、制御演算手段18の出力を受けて、実際に振動子の圧電素子5に印加する交流電圧を生成する。
位置検出手段14の出力側には速度検出手段15が接続されており、検出位置の微分演算により被駆動体3の速度を検出する。
速度検出手段15の出力側には出力特性検出手段16が接続されている。
出力特性検出手段16の入力側には駆動信号生成手段により生成される駆動周波数と位相差の情報が接続されている。
そして、後述する方法で速度検出手段15により検出される被駆動体3の駆動速度と、駆動信号生成手段による駆動周波数と、を比較して出力特性を検出することができるように構成されている。
出力特性調整手段17は出力特性検出手段16により検出された振動子の各々の出力特性結果に基づいて、調整値を演算し制御演算手段に設定する。
【0014】
つぎに、本実施の形態における振動型駆動装置の出力特性を、図3を用いて説明する。
上記した構成によって、1つの振動子で駆動する場合と比べて約2倍の推力を出力することが可能となるが、2つの振動子の出力特性が個体差等により異なる場合に、所望の出力を得られなくなる可能性がある。
図3は個別に測定された振動型駆動装置の各々の振動子の出力特性を示し、各々の振動子の駆動周波数と駆動速度の関係は出力特性aと出力特性bとなる。
図3に示す出力特性aと出力特性bの2つの振動子で1つの被駆動体を相対駆動する際、2つの振動子に同じ周波数を設定すると、出力特性aと出力特性bでは駆動力が異なることになる。
例えば、出力特性aと出力特性bに同じ周波数を設定した場合、出力特性aと出力特性bの差異に相当する駆動力の違いが生じるために、接触部に余計なすべりが生じることで振動型駆動装置の駆動効率を落とすことになる。
図3に示す振動子の出力特性aと出力特性bの出力特性の差異は、振動子の製作工程や形状により生じた個体バラツキであり、この個体差を振動子が装置に取り付けられた状態で検出することが、本発明が達成すべきであるとしているところの課題である。
ここで、図1に示す2つの振動子のうち1つの振動子の特性を検知する場合は、他方の振動子は駆動力を発生しないようにしておく必要がある。
ところが、駆動力を発生させない振動子8bに交流電圧を印加しない場合は、被駆動体3と突起部6bが摩擦により接触することで、摩擦力が被駆動体3と突起部6bに発生する。
その摩擦力が大きい場合は、特性を検知する振動子の駆動力で被駆動体3を駆動することができなくなる可能性がある。
【0015】
図4に、本実施形態に係る駆動力と摩擦力を説明するための図を示す。
図4に示すように、2つの振動子により相対駆動する被駆動体3が配置されている。
被駆動体3は不図示のガイドに支持された矩形の板であり、振動型駆動装置の駆動力の方向と同一方向に駆動することができる。
図4に示す振動子8aの所定の突起部6aに第2の振幅を励起する第2の振動モードの振動を大きくする。
または、振動子8aの突起部6aに第1の振幅を励起する第1の振動モードの振動と、突起部6aに第2の振幅を励起する第2の振動モードの振動を同時に励起する。
これにより、楕円運動を励起させ、駆動力41aの方向に駆動力を発生させることができる。
振動子8aの駆動力は図4に示す駆動力41aの矢印で示され、振動子8aの突起部6aに励起する接触面と平行な方向に変位する振幅により変更できる。また、振動子8bも同様の構成である。
【0016】
図4(a)に示す振動子8bに交流電圧を印加しない場合は、被駆動体3と突起部6bが摩擦により接触することで、摩擦力41bが被駆動体3と突起部6bに発生する。
例えば、振動子8bに交流電圧を印加せず、振動子8aの突起部6aに駆動力41aを発生させた場合、振動子8bの突起部6bと被駆動体3の間に摩擦力が生じ、その摩擦力が大きい場合は、駆動力41aで被駆動体3を駆動することができない。
そこで、駆動力を与えない振動子の摩擦力により装置が駆動できない状態を回避するために、図4(b)に示す駆動状態で特性を検知する。
図4(b)に示す振動子8bには2つの電極に印加する交流電圧の位相差を0°とすることにより、第1の振動モードの振動のみを励振することができる。
この結果、振動子8bに交流電圧を印加せず摩擦力が生じる場合と比べて、振動子8bと被駆動体3に発生する摩擦力を小さくすることができる。
【0017】
つぎに、本実施形態における振動型駆動装置の出力特性検出方法について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、STEP1において、特性検出を起動する命令が下され出力検出動作が開始される。
次に、STEP2において、出力検出対象を振動子8aにセットする。
次に、TEP3において、出力検出対象振動子に印加する周波数を予め決められた周波数上限値に設定する。
ここで、周波数上限とは実際の制御において、振動子の印加電圧として設定する周波数の最大値である。本実施形態の出力検出動作は、振動型駆動装置の駆動周波数を高い周波数から低い周波数に掃引することにより行う。
次に、STEP4において、振動子8aの位相差を90度に設定する。
このSTEP4において、出力検出する対象である振動子8aの位相差を十分な駆動力を発生することができる位相差90度に設定する。
次に、STEP5において、出力検出対象でない振動子8bの駆動周波数を共振周波数近くに設定し、かつ位相差を0度に設定する。
前述したように所定の突起部6bの励起する楕円運動の楕円比を図15(b)下部に示す位相差0度に対応する楕円比にすることで、第1の振幅のみを励起することができる。
また、振動子8bの駆動周波数を共振周波数近くに設定することで、第1の振幅を大きくすることができる。振幅が小さい場合に比べて、被駆動体3と突起部6bの接触時間を少なくすることができ、被駆動体3の駆動方向への接触による影響を少なくすることができる。
【0018】
続くSTEP6において、被駆動体の速度検出をする。前述したSTEP1〜STEP5は、この時点では振動子8aの出力検出を行っている。
次に、STEP7において、出力検出対象である振動子8aに印加される周波数に対するSTEP6により検出された速度を記憶する。
次に、STEP8において、出力検出対象である振動子8aに印加している周波数が予め決められた周波数下限に達したか否かを判断する。
ここで、周波数下限とは実際の制御において、振動子の印加電圧として設定する周波数の最小値である。周波数下限に達していなければSTEP9に進み、達していればSTEP10に進む。
STEP9においては、出力検出対象である振動子8aに印加する周波数を下げる。
この出力検知動作は、振動型モータの駆動周波数を高い周波数から低い周波数に掃引して速度検出している。そのため、周波数を下げ、その後STEP6に進み前述の動作を繰り返す。
STEP10においては、振動型駆動装置の出力特性の検出が終了したか判断する。振動型駆動装置の出力特性の検出が終了していなければSTEP11に進み、終了していればSTEP12に進む。
STEP11においては、出力特性を検出する対象を振動子8aから振動子8bに変更する。その後STEP3に進み前述の動作を繰り返す。この動作により、振動子8aの出力特性を検出した後に振動子8bの出力特性を検出することができる。
STPE12において、出力検出動作が終了する。
以上STEP1〜STEP12の方法において、振動子8aの出力特性を検出した後に、振動子8bの出力特性を検出することで、図3に示すような、前述した各々の振動子の出力特性を検出することができる。
【0019】
つぎに、本実施形態の振動型駆動装置の制御装置における図2に示す出力特性調整手段17による調整について、図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施の形態に係る、各々の振動子の出力特性の一例である。出力特性aは振動子8aの出力特性を示し、出力特性bは振動子8bの出力特性を示す。
出力特性の調整において出力特性調整手段17による調整は、出力特性aと出力特性bが一致するように調整を行う。
出力特性調整動作の調整値である出力特性差は、各々の振動子の出力特性bと出力特性aにおける、駆動速度に対する駆動周波数の差から求められる。
例えば、図6に示すような出力特性aと出力特性bから、調整値を導出する場合、出力特性aと出力特性bの任意の駆動速度v1において駆動周波数を求め、その差分(f1−f2)を演算することで出力特性差1を導出する。
そして、振動子8bの出力特性bに任意の周波数が設定された場合、その任意の周波数から出力特性差を減算した周波数を振動子8aに印加する。
例えば、図6に示す調整前周波数f1が振動子8bに設定された場合、f1から出力特性差1を減算してf2を導出する。そして、導出されたf2を振動子8aに印加することで、出力特性aと出力特性bの特性差を一致させることができる。ここで出力特性差はすべての駆動速度において駆動周波数を求め、差分を導出し平均化処理してもよい。
また、図7に示すように各々のすべての駆動速度において駆動周波数を求め不図示のメモリに記憶し、駆動速度において不図示のメモリに記憶された駆動速度対駆動周波数を使用してもよい。
例えば、図7に示す駆動速度v21で駆動したい場合は、振動子8aに不図示のメモリに記憶された駆動周波数f21を印加し、振動子8bに不図示のメモリに記憶された駆動周波数f22を印加することで、出力特性を調整してもよい。
【0020】
本実施形形態によれば、前記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子のみに対し、出力特性を検出することができる。
すなわち、複数の振動子により1つの被駆動体を相対駆動させる振動型駆動装置において、複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子の突起部のみに対し駆動力を発生させて出力特性を検出するのと同じ時間に、上記検出対象の振動子以外の振動子には、突起部に第1の振幅を励起する第1の振動モードの振動のみを励起する。
これにより、上記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子のみに対し、出力特性を検出することができる。
そして、各々の出力特性を検出し、各々の振動子の出力特性を調整することで、振動型駆動装置の製作工程や形状により生じた個体バラツキを調整して駆動することができる。
なお、本実施形態では出力特性を検出する振動子を1つとして構成したが、本発明はこのような構成に限られるものではなく、上記検出対象の振動子を複数の振動子として、複数の振動子による合成された出力を検出するようにしてもよい。また、例えば、図8に示すように第1の振動子8aと第2の振動子8b以外に、さらに第3の振動子8cによる3つ以上の振動子を有する振動型駆動装置を構成する。そして、第1の振動子8aと第2の振動子8bに突起部に楕円運動を励振し駆動力81a,81bを与え、この第1の振動子8aと第2の振動子8b以外の第3の振動子8cには第1の振動モードの振動を励振することにより、駆動力を与えた振動子8a,8bの合力の出力特性を検知するように構成することも可能である。
【0021】
[第2の実施形態]
第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる形態の特性検知時の駆動方法および特性検知の動作による構成例について説明する。
第1の実施形態では複数の振動子を用いた駆動装置において、特性を検出する振動子には駆動力を与え、それ以外の振動子は第1の振動モードの振動のみを励振することにより駆動力が発生しない状態として検出を行った。第1の実施形態の方法においては特性検出時に被駆動体3と振動子は相対的に移動されることになる。
本実施形態では被駆動体と振動子が略相対移動しない状態、又は僅かに移動する状態においても各々の振動子の特性検知を可能とする例を示す。
本実施形態の構成および振動子の出力差に対して達成されるべき課題は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略し、ここでは第1の実施形態と異なる特性検知時の駆動方法および特性検知の動作についてのみ説明する。
【0022】
まず、本実施の形態の振動型駆動装置における出力特性の検出方法について、図9を用いて説明する。
図9は、本実施形態の振動型駆動装置における駆動力の作用方向を示す図である。
図9には2つの振動子により相対駆動する被駆動体3が配置されている。
図9に示す振動子8aと振動子8bの構成は、図8に示す第1の実施形態と同様の構成であり、第2の振幅の変位に向きを切り替えることにより、振動子の駆動方向を切り替えることができる。
図9に示す振動子8bの所定の突起部6bに振動子8aの駆動力の方向とは逆の駆動力を発生させる。
図9に示す被駆動体3には不図示の位置検出手段が配置されており、位置を検出している。
ここで、振動子8aに第1の振動モードと第2の振動モードの振動を励起し、駆動力91aを発生させ、楕円比率を固定するのと同じ時間に、振動子8bにも第1の振動モードと第2の振動モードの振動を励起し、被駆動体3の位置が動かないように駆動力91bを発生させる。
このように、駆動力91aの出力と釣り合うように駆動力91bの駆動周波数を調整して第2の振幅の大きさを変更し、これにより調整された駆動周波数に基づいて、振動子8aと振動子8bの出力特性の差(出力特性の関係)を検出することができる。
【0023】
つぎに、本実施形態の振動型駆動装置の制御装置における出力特性の検出方法と制御動作について説明する。
本実施形態の振動型駆動装置の制御装置の制御動作は、図2のブロック図に示す第1の実施形態と同様であるので説明を省略し、出力特性の検出方法について説明する。
図10は、本実施形態の振動型駆動装置における各々の振動子の出力特性の検出方法を説明するするフローチャートである。
まず、STEP1において、振動型駆動装置の特性検出を起動する命令が下され出力検出動作が開始される。
次に、STEP2において、すべての振動子の周波数を予め決められた周波数上限値に設定する。
周波数上限値は第1の実施形態と同様に決められている。また、振動子aの位相差を90度、振動子bの位相差を−90度に設定する。
次に、STEP3において、被駆動体の速度検出をする。
【0024】
続くSTEP4は速度比較部である。ここで、図10に示す、VaはSTEP3により検出される被駆動体の検出速度であり、Vsは、十分に低い速度である。
STEP4では、STEP3により検出された速度Vaが、Vsと比較して大きい場合はSTEP5に進み、−Vsと比較して小さい場合は、STEP6に進む。
さらに、検出した速度Vaの絶対値がVs以下の場合は、被駆動体と振動子が相対移動しない状態、又は僅かに移動する状態と判断してSTEP7に進む。
ここで、振動子8aの駆動力91aに対して、振動子8bの駆動力91bが一致するようにSTEP3〜STEP6の動作を繰り返す。
STEP7においては、振動子8aと振動子8bの周波数を記憶する。
続くSTEP8においては、振動子に印加している周波数が周波数下限に達したか判断する。達していなければSTEP9に進み、達していればSTEP10に進む。周波数下限値は第1の実施形態と同様に決められている。
STEP9においては、周波数を下げる。本出力検知動作は、振動型駆動装置の駆動周波数を高い周波数から低い周波数に掃引している。このため、周波数を下げ、その後STEP3に進み前述の動作を繰り返す。
そして、STEP10において、出力検出動作が終了する。
【0025】
つぎに、本実施形態の振動型駆動装置の制御装置における図2に示す出力特性調整手段17による調整について説明する。
出力特性調整動作の調整値は、振動子8aの駆動周波数における振動子8bの駆動周波数から求められる。
図11に示すグラフは、上記出力特性検出動作の検出結果である。この図11に示すグラフは、振動子8aに任意の周波数を印加し、振動子が相対移動しない状態、又は僅かに移動する状態にしたときの振動子8bの周波数をあらわした図である。例えば、振動子8aと振動子8bの特性が一致している場合は、図11に示す1:1の線となる。
例えば、振動子8aに図11に示す周波数f31を設定した場合、振動子8bには周波数f32を印加することで、振動子8aと振動子8bの出力を一致させることができる。
振動子8aにf31が設定された場合、振動子8aの駆動周波数から調整値f34を減算することで振動子8bの駆動周波数を導出することができる。
また、すべての駆動周波数に対する調整値を不図示のメモリに記憶し、振動子8bの駆動周波数を導出してもよい。
【0026】
本実施形態によれば、少なくとも第1の振動子と第2の振動子とによる2つの振動子の内のいずれか1個の振動子の出力特性を検出することにより、各々の振動子の出力特性の差を検出しバラツキを調整することができる。
すなわち、少なくとも2つの振動子により少なくとも1つの被駆動体を相対駆動させる振動型駆動装置において、少なくとも2つの振動子の内の一方の突起部には駆動力を発生させる。そして、少なくとも2つの振動子の内のもう一方の突起部には、被駆動体が相対移動しない又は僅かに移動するように、逆方向の駆動力を発生させることで、逆方向の駆動力の情報から少なくとも2つの振動子の個体差を検出することができる。
このような構成によれば、振動子の製作工程や形状により生じた個体バラツキがある場合でも、検出した個体差より出力特性を調整して駆動することができる。
【0027】
[第3の実施形態]
第3の実施形態として、3つの振動子によりリング形状の被駆動体を回転駆動させるようにした構成例について説明する。
上記した第1、第2の実施形態では、2つの振動子により1つの被駆動体を相対駆動させる振動型駆動装置を例にあげて説明を行ったが、振動型駆動装置の形態はこれに限定されるものではない。
例えば、図12に示すようなものも適用可能である。
図12に示す振動子は上記した第1、第2の実施形態と同様な構成であり、本実施形態ではこのような振動子を3つ用い、この3つの振動子によりリング形状の被駆動体を回転駆動させるように構成される。
リング形状の被駆動体は不図示のガイドで回転以外の動作はできないようになっている。
この構成において、第1の実施形態と同様な方法で各々の振動子の出力特性を検出することができる。
すなわち、図12において、振動子8cの印加電圧位相差を90度として駆動力を発生させ、他の振動子8d、8eは印加電圧を0度として摩擦力を低減させると共に駆動力を発生させないようにする。
この状態で振動子8cの駆動周波数を高い側から低い側に掃引しながら速度を検出することにより振動子8cの周波数−速度特性を得ることができる。
同様に振動子8dに駆動力を与え他の振動子は摩擦力を低減させると共に駆動力を発生させない状態で振動子8dの特性を得ることができる。同様に振動子8eの特性も得ることが出来る。
【0028】
また、第2の実施形態と同様な方法で、各々の特性を検知することも可能である。
すなわち、振動子8cを被駆動体が時計回りに移動するための駆動力を与え、同時に振動子8dを被駆動体が半時計回りに移動するための駆動力を与え、さらに同時に振動子8eは摩擦力を低減させるために接触面に垂直な振動のみ与える。この状態で振動子8cの周波数を高いほうから低い方に掃引し、被駆動体が移動しないように振動子8dの周波数を調整することにより振動子8cと振動子8dの周波数の関係を得ることができる。同様に他の振動子の組み合わせでの周波数の関係も得ることができる。
以上の方法で得た各々の振動子の周波数と速度の関係を基に制御を行うことにより、効率を損なわずに被駆動体2を駆動することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
2:被駆動体
3:被駆動体
4、4a、4b:弾性体
5、5a、5b:圧電素子
6、6a、6b:突起部
7:被駆動体
8a、8b:振動子
10:振動型駆動装置
11:駆動信号生成手段a
12:駆動信号生成手段b
14:位置検出手段
15:速度検出手段
16:出力特性検出手段
17:出力特性調整手段
18:制御演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の制御装置であって、
前記複数の振動子における各々の振動子に、前記交流電圧を印加する駆動信号生成手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子に印加する交流電圧の駆動周波数と位相差を決定し、該決定された駆動周波数と位相差を前記駆動信号生成手段に出力して該駆動信号生成手段を制御する制御手段と、
前記被駆動体の駆動速度と前記駆動信号生成手段における駆動周波数との比較によって、前記複数の振動子における各々の振動子の出力特性を検出する出力特性検出手段と、を有し、
前記制御手段による制御のもとで、
前記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることにより前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を前記駆動信号生成手段により印加する一方、
前記検出対象の振動子以外の振動子には、前記第1の振動モードの振動を励起する交流電圧のみを前記駆動信号生成手段により印加し、
前記出力特性検出手段によって、前記検出対象の振動子の出力特性を検出することを特徴とする振動型駆動装置の制御装置。
【請求項2】
前記検出対象の振動子は、1つの振動子、または複数の振動子による構成を備え、
前記出力特性検出手段によって、前記1つの振動子による出力が検出され、または前記複数の振動子による合成された出力が検出されることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置の制御装置。
【請求項3】
電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の制御装置であって、
前記複数の振動子における各々の振動子に、前記交流電圧を印加する駆動信号生成手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子に印加する交流電圧の駆動周波数と位相差を決定し、該決定された駆動周波数と位相差を前記駆動信号生成手段に出力して該駆動信号生成手段を制御する制御手段と、
前記複数の振動子における各々の振動子の出力特性の関係を検出する出力特性検出手段と、を有し、
前記複数の振動子は、少なくとも第1の振動子と第2の振動子とによる2つの振動子を備え、前記制御手段による制御のもとで、
前記第1の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることによって前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を、前記駆動信号生成手段により印加する一方、
前記第2の振動子には、前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に駆動力を発生させる交流電圧を、前記駆動信号生成手段により印加し、
前記出力特性検出手段によって、前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする振動型駆動装置の制御装置。
【請求項4】
前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に前記第2の振動子に発生させる駆動力は、
前記第2の振動子の駆動部に生じさせる前記第2の振動モードによる前記被駆動体との接触面と平行な方向に変位する振幅を駆動周波数を調整して変更し、前記被駆動体が略相対移動しない状態となるように該駆動力を発生させ、
前記第2の振動子の駆動部における前記第2の振動モードによる振幅を変更する調整された前記駆動周波数に基づいて、前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする請求項3に記載の振動型駆動装置の制御装置。
【請求項5】
前記複数の振動子は、前記第1の振動子と第2の振動子以外に、さらに第3の振動子を備え、
該第3の振動子には前記第1の振動モードの振動のみを励振する交流電圧を前記駆動信号生成手段により印加することを特徴とする請求項4に記載の振動型駆動装置の制御装置。
【請求項6】
電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の出力特性検出方法であって、
前記複数の振動子のうちの出力特性を検出する検出対象の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることにより前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を印加する一方、
前記検出対象の振動子以外の振動子には、前記第1の振動モードのみの振動を励振する交流電圧を印加し、
前記検出対象の振動子の出力特性を検出することを特徴とする振動型駆動装置の出力特性検出方法。
【請求項7】
前記検出対象の振動子は、1つの振動子または複数の振動子による振動子であり、該1つの振動子による出力または該複数の振動子による合成された出力が検出されることを特徴とする請求項6に記載の振動型駆動装置の出力特性検出方法。
【請求項8】
電気−機械エネルギー変換素子及び駆動部を有する複数の振動子と、前記複数の振動子の駆動部と接触する被駆動体と、を備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への交流電圧の印加によって前記複数の振動子の駆動部に楕円運動を生じさせ、該駆動部と接触する前記被駆動体を相対移動させる振動型駆動装置の出力特性検出方法であって、
前記複数の振動子は、少なくとも第1の振動子と第2の振動子とによる2つの振動子を備え、
前記第1の振動子に対し、前記被駆動体との接触面と垂直な方向に前記駆動部を変位させる第1の振動モードの振動と、前記被駆動体との接触面と平行な方向に前記駆動部を変位させる第2の振動モードの振動と、を励起させることによって前記駆動部に楕円運動を生じさせる交流電圧を印加する一方、
前記第2の振動子には、前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に駆動力を発生させる交流電圧を印加し、
前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする振動型駆動装置の出力特性検出方法。
【請求項9】
前記第1の振動子の駆動部の楕円運動による駆動力を打ち消す方向に前記第2の振動子に発生させる駆動力は、
前記第2の振動子の駆動部に生じさせる前記第2の振動モードによる前記被駆動体との接触部と平行な方向に変位する振幅を駆動周波数を調整して変更し、前記被駆動体が略相対移動しない状態となるように該駆動力を発生させ、
前記第2の振動子の駆動部における前記第2の振動モードによる振幅を変更する調整された前記駆動周波数に基づいて、前記第1の振動子の出力特性と前記第2の振動子の出力特性の関係を検出することを特徴とする請求項8に記載の振動型駆動装置の出力特性検出方法。
【請求項10】
前記複数の振動子は、前記第1の振動子と第2の振動子以外に、さらに第3の振動子を備え、該第3の振動子には前記第1の振動モードの振動のみを励振する交流電圧を印加することを特徴とする請求項9に記載の振動型駆動装置の出力特性検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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