振動式部品搬送装置
【課題】複合振動式の部品搬送装置において、低コストで水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生を抑えられるようにする。
【解決手段】トラフ(部品搬送部材)が取り付けられる上部振動体2と基台3との間に中間振動体4を設け、中間振動体4と基台3とを水平振動用板ばね5で連結し、上部振動体2と中間振動体4とを鉛直振動用板ばね6で連結した振動式部品搬送装置において、水平振動用板ばね5を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定するようにした。これにより、低コストで水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生を抑えることができ、その結果、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整でき、部品搬送に適した所望の振動が容易に実現できる。
【解決手段】トラフ(部品搬送部材)が取り付けられる上部振動体2と基台3との間に中間振動体4を設け、中間振動体4と基台3とを水平振動用板ばね5で連結し、上部振動体2と中間振動体4とを鉛直振動用板ばね6で連結した振動式部品搬送装置において、水平振動用板ばね5を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定するようにした。これにより、低コストで水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生を抑えることができ、その結果、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整でき、部品搬送に適した所望の振動が容易に実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加振機構の駆動により部品搬送部材を振動させて部品を搬送する振動式部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動式部品搬送装置には、部品搬送部材に対して部品搬送に最適な振動を付与することを目的として、部品搬送部材の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整できる構成とした複合振動式のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1に記載された部品搬送装置は、図9に示すように、トラフ(部品搬送部材)51の支持部材52と床上に設置される基台53との間に中間振動体54を設け、鉛直方向に向けた第1の板ばね(水平振動用板ばね)55で基台53と中間振動体54とを連結し、水平方向に向けた第2の板ばね(鉛直振動用板ばね)56でトラフ支持部材52と中間振動体54とを連結し、トラフ51に固定された接続板57と基台53との間に、水平方向の振動を発生させる第1の加振機構58と鉛直方向の振動を発生させる第2の加振機構59を設けたものである。
【0004】
そして、前記各加振機構58、59は基台53上に設置される交流電磁石60、61と接続板57に取り付けられる被振動板62とで構成され、各加振機構58、59の電磁石60、61に印加する電圧を別々に制御することにより、トラフ51の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整できるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記のような複合振動式の部品搬送装置では、水平振動用板ばねが鉛直方向の2箇所の固定位置で固定されているため、図10に示すように、水平振動用板ばねAが水平方向に振動する際に鉛直方向にも振幅Zとなる振動を発生させ、この水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動が、第2の加振機構で発生させた鉛直方向の振動に加算されて部品搬送部材に伝わってしまう。従って、部品搬送部材の水平方向の振動を鉛直方向の振動に影響しないように調整することはできず、実際に部品搬送部材に所望の振動を付与することは困難である。
【0006】
これに対して、部品搬送部材の鉛直方向の振動を検出し、その検出値を鉛直方向振動用の加振機構の印加電圧設定回路にフィードバックして設定電圧を制御するようにすれば、所望の振動を実現できる可能性もあるが、その場合には、振動センサやフィードバック制御の回路が別途必要となり、また電磁石への負荷も高くなることから、製造コストやランニングコストが大幅に上昇することが避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭55−84707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、複合振動式の部品搬送装置において、低コストで水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生を抑えられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材と第2の弾性部材のうちの一方を水平振動用弾性部材、他方を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定するようにした。これにより、図11に示すように、水平振動用弾性部材Bはその水平方向の変形が鉛直方向の変位につながらなくなり、高コストの制御手段等を設けてなくても、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。
【0010】
一方、前記鉛直振動用弾性部材は、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したり、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したりすればよい。
【0011】
また、前記水平振動用弾性部材の固有振動数を、水平方向と鉛直方向とで異ならせたり、前記水平振動用弾性部材の鉛直方向の剛性を、水平方向の剛性よりも高くしたりすることにより、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動をより効果的に抑制することができる。
【0012】
上記の構成において、前記水平振動用弾性部材としては、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを用いることができるが、望ましくは、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを部品搬送方向に沿って複数並べ、各板ばねの固定箇所の間に間座を設けたものを用いるとよい。これは、第1の加振機構の設置時の傾き等によって中間振動体にモーメントが作用する場合、水平振動用弾性部材が捻り剛性の低い1枚の板ばねであると、図12に示すように板ばねCが捻れ、この捻れが水平方向の振動に伴う捻れ振動となって中間振動体に部品搬送方向に対するピッチング振動を発生させ、部品搬送に最適な所望の振動を実現しにくくなるからである。すなわち、水平振動用弾性部材として複数の板ばねで間座を挟んだ捻り剛性の高いものを用いることにより、中間振動体にモーメントが作用する場合でも、図13に示すように水平振動用弾性部材Dの捻れが抑えられ、所望の振動を実現しやすくなる。
【0013】
一方、前記鉛直振動用弾性部材としては、表裏面を鉛直方向に向けた板ばねを用いることができる。
【0014】
前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けて、各電磁石への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御できるようにすれば、水平方向の振動と鉛直方向の振動を容易に所望の振動に近づけることができる。
【0015】
また、前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM(Pulse Width Modulation)信号に変換するPWM信号発生手段を設けて、PWM方式で各加振機構を駆動することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の振動式部品搬送装置は、上述したように、上部振動体または基台と中間振動体とを連結する水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したものであるから、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。従って、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整することができ、部品搬送に適した所望の振動を容易に実現できる。しかも、この構成は、フィードバック制御手段等を必要とせず、低コストで構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の部品搬送装置の正面断面図
【図2】図1のトラフを除いた上面図
【図3】図1の側面図
【図4】図1の部品搬送装置の各加振機構の印加電圧設定回路の概略図
【図5】図1の鉛直振動用板ばねの配置の変形例を示す正面断面図
【図6】図5のトラフを除いた上面図
【図7】第2実施形態の部品搬送装置の正面断面図
【図8】図7のトラフを除いた上面図
【図9】従来の部品搬送装置の正面図
【図10】従来の水平振動用板ばねの振動挙動の説明図
【図11】本発明の水平振動用弾性部材の通常の変形形態の説明図
【図12】本発明の水平振動用弾性部材の捻れ変形の説明図
【図13】本発明の別の水平振動用弾性部材の変形形態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図8に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は第1実施形態の振動式部品搬送装置を示す。この部品搬送装置は、直線状の搬送路1aが形成されたトラフ(部品搬送部材)1を上部振動体2の上面に取り付け、上部振動体2と床上に設置される基台3との間に中間振動体4を設け、中間振動体4と基台3とを第1の弾性部材としての板ばね5で連結し、上部振動体2と中間振動体4とを第2の弾性部材としての板ばね6で連結し、中間振動体4と基台3の間に水平方向の振動を発生させる第1の加振機構7を設け、上部振動体2と基台3の間に鉛直方向の振動を発生させる第2の加振機構8を設けたものである。
【0019】
前記基台3は、その両端に柱状の板ばね取付部3aが立設されており、床面に固定された防振ゴム等の防振部材(図示省略)に支持されている。
【0020】
前記中間振動体4は、矩形枠形状に形成され、その短手方向の縁部が外面側で基台3の板ばね取付部3aの上端部と対向し、内面側で上部振動体2の下部と対向するように配置されている。また、その外周側の四隅には、部品搬送方向(図中の左右方向)に突出する板ばね取付部4aが設けられている。
【0021】
前記第1の板ばね5は、表裏面を部品搬送方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を基台3の板ばね取付部3aに他端部を中間振動体4の板ばね取付部4aにそれぞれ固定されて、中間振動体4を水平方向に振動可能に支持する水平振動用板ばね(水平振動用弾性部材)となっている。この水平振動用板ばね5は、水平方向の厚み寸法が鉛直方向の幅寸法に比べてかなり小さく、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が大きく異なり、また鉛直方向の剛性が水平方向の剛性よりも十分に高いものとなっている。
【0022】
一方、前記第2の板ばね6は、表裏面を鉛直方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を上部振動体2の下部に他端部を中間振動体4の長手方向縁部にそれぞれ固定されて、上部振動体2を鉛直方向に振動可能に支持する鉛直振動用板ばね(鉛直振動用弾性部材)となっている。
【0023】
また、前記第1の加振機構7は、基台3上に設置される交流電磁石9と、この電磁石9と所定の間隔をおいて対向するように中間振動体4に取り付けられる可動鉄心10とで構成されている。なお、可動鉄心10は、この例では中間振動体4に取り付けたが、上部振動体2に取り付けるようにしてもよい。一方、前記第2の加振機構8は、基台3上に設置される交流電磁石11と、この電磁石11と所定の間隔をおいて対向するように上部振動体2に取り付けられる可動鉄心12とで構成されている。
【0024】
第1の加振機構7の電磁石9に通電すると、電磁石9と可動鉄心10との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と水平振動用板ばね5の復元力により、中間振動体4に水平方向の振動が発生し、この振動が鉛直振動用板ばね6を介して上部振動体2およびトラフ1に伝わる。また、第2の加振機構8の電磁石11に通電すると、電磁石11と可動鉄心12との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と鉛直振動用板ばね6の復元力により、上部振動体2およびトラフ1に鉛直方向の振動が発生する。そして、この水平方向の振動と鉛直方向の振動により、トラフ1に供給された部品が直線状搬送路1aに沿って搬送される。
【0025】
従って、各加振機構7、8の電磁石9、11への印加電圧を別々に設定することにより、トラフ1の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。
【0026】
図4は各加振機構7、8の電磁石9、11へ印加電圧を設定する回路を示す。第1の加振機構7の回路には、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段13が設けられている。基準波形発生手段13では、波形の種類(例えば、正弦波)とその波形の周期(周波数)の設定値に応じた基準波形を発生させる。一方、第2の加振機構8の回路には、基準波形発生手段13で発生した基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段14が設けられている。
【0027】
そして、各加振機構7、8の回路において、基準波形発生手段13または位相差調整手段14で発生した波形を、波形振幅調整手段15で所定の振幅に調整して、PWM信号発生手段16でPWM信号に変換した後、電圧増幅手段17で昇圧し、それぞれの電磁石9、11へ印加するようになっている。これにより、各電磁石9、11への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御して、水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。なお、PWM方式で各加振機構を駆動しない場合は、PWM信号発生手段16は不要となる。
【0028】
この振動式部品搬送装置は、上記の構成であり、第1の加振機構7の駆動によって中間振動体4に振動が発生するとき、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定された水平振動用板ばね5は、水平方向にのみ変形して元の状態に戻る動作を繰り返す(図11参照)。これにより、中間振動体4に発生する振動は、鉛直方向の振動をほとんど含まず、ほぼ水平方向のみの振動となる。
【0029】
また、水平振動用板ばね5は、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が大きく異なるので、これによっても水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。
【0030】
すなわち、一般に、複合振動式の部品搬送装置で部品搬送速度を大きくしようとするときには、少ない電力で効率よく水平方向の振動の振幅を大きくするために、各加振機構をトラフの水平方向の固有振動数付近の周波数で駆動することが多い。この際、水平振動用板ばねの水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が同じであるか、もしくは数Hz程度しか離れていない場合には、水平方向の振動によって生じる中間振動体の鉛直方向の振動が無視できない大きさとなる。しかし、この実施形態の部品搬送装置では、水平振動用板ばね5の水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数に十分な差があるので、水平振動に起因する中間振動体4の鉛直方向の振動を小さく抑えることができる。
【0031】
ここで、水平振動用板ばねは、例えば、水平方向の厚み寸法が鉛直方向の幅寸法より大きい形状としても、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数に差をつけることができるが、後述する剛性の観点からは、この実施形態のような形状を採用することが好ましい。
【0032】
すなわち、この実施形態では、水平振動用板ばね5の水平方向寸法が鉛直方向寸法よりかなり小さく形成され、その鉛直方向の剛性が水平方向の剛性よりも十分に高くなっているので、中間振動体4の鉛直方向の振動をさらに小さくすることができる。
【0033】
上述したように、この実施形態の部品搬送装置は、トラフ1に発生する鉛直方向の振動がほぼ第2の加振機構8と鉛直振動用板ばね6による振動のみとなるので、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整でき、部品搬送に適した所望の振動を容易にトラフ1に付与することができる。
【0034】
図5および図6は上述した第1実施形態の鉛直振動用板ばね6の配置の変形例を示す。この変形例では、鉛直振動用板ばね6を、部品搬送方向(図中の左右方向)と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で、上部振動体2と中間振動体4の短手方向縁部に固定している。
【0035】
図7および図8は第2の実施形態を示す。この実施形態では、第1実施形態の水平振動用板ばね5に代わる水平振動用弾性部材18で中間振動体4と基台3とを連結している。この水平振動用弾性部材18は、表裏面を部品搬送方向(図中の左右方向)に向けた2枚の板ばね19を部品搬送方向に沿って並べ、各板ばね19の固定箇所の間に間座20を設けたもので、第1実施形態の水平振動用板ばね5と同様、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定されている。その他の部分の構成は、各加振機構7、8の電磁石9、11への印加電圧設定回路を含めて、第1実施形態と同じである。
【0036】
この第2実施形態の部品搬送装置は、水平振動用弾性部材18の捻り剛性が第1実施形態の水平振動用板ばね5よりも高いので、第1の加振機構7の設置時の傾き等によって中間振動体4にモーメントが作用する場合でも、水平振動用弾性部材18は捻れることなく、ほぼ水平方向にのみ変形する(図13参照)。従って、第1実施形態の装置よりも部品搬送に適した所望の振動を実現しやすい。
【0037】
なお、この第2実施形態についても、図5および図6に示した例と同じく、鉛直振動用板ばね6を、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で、上部振動体2と中間振動体4の短手方向縁部に固定するようにしてもよい。
【0038】
上述した各実施形態では、中間振動体と基台とを連結する第1の板ばねを水平振動用板ばねとし、上部振動体と中間振動体とを連結する第2の板ばねを鉛直振動用板ばねとしたが、これとは逆に、第1の板ばねが鉛直振動用板ばね、第2の板ばねが水平振動用板ばねとなるように構成してもよい。また、板ばねは各箇所に1枚ずつ配置したが、2枚以上重ねて使用してもよい。また、板ばねは水平振動用と鉛直振動用に4箇所ずつ配置したが、2箇所以上で構成してもよい。
【0039】
さらに、各実施形態では、水平振動用弾性部材および鉛直振動用弾性部材に板ばねを使用しているが、板ばね以外の弾性部材ももちろん用いることができる。また、各加振機構は、電磁石と可動鉄心とからなるものを使用しているが、これに限らず、同様の加振力を発生させることができるアクチュエータであればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 トラフ(部品搬送部材)
2 上部振動体
3 基台
4 中間振動体
5 第1の板ばね(水平振動用板ばね)
6 第2の板ばね(鉛直振動用板ばね)
7 第1の加振機構
8 第2の加振機構
9、11 電磁石
10、12 可動鉄心
18 水平振動用弾性部材
19 板ばね
20 間座
【技術分野】
【0001】
本発明は、加振機構の駆動により部品搬送部材を振動させて部品を搬送する振動式部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動式部品搬送装置には、部品搬送部材に対して部品搬送に最適な振動を付与することを目的として、部品搬送部材の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整できる構成とした複合振動式のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1に記載された部品搬送装置は、図9に示すように、トラフ(部品搬送部材)51の支持部材52と床上に設置される基台53との間に中間振動体54を設け、鉛直方向に向けた第1の板ばね(水平振動用板ばね)55で基台53と中間振動体54とを連結し、水平方向に向けた第2の板ばね(鉛直振動用板ばね)56でトラフ支持部材52と中間振動体54とを連結し、トラフ51に固定された接続板57と基台53との間に、水平方向の振動を発生させる第1の加振機構58と鉛直方向の振動を発生させる第2の加振機構59を設けたものである。
【0004】
そして、前記各加振機構58、59は基台53上に設置される交流電磁石60、61と接続板57に取り付けられる被振動板62とで構成され、各加振機構58、59の電磁石60、61に印加する電圧を別々に制御することにより、トラフ51の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整できるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記のような複合振動式の部品搬送装置では、水平振動用板ばねが鉛直方向の2箇所の固定位置で固定されているため、図10に示すように、水平振動用板ばねAが水平方向に振動する際に鉛直方向にも振幅Zとなる振動を発生させ、この水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動が、第2の加振機構で発生させた鉛直方向の振動に加算されて部品搬送部材に伝わってしまう。従って、部品搬送部材の水平方向の振動を鉛直方向の振動に影響しないように調整することはできず、実際に部品搬送部材に所望の振動を付与することは困難である。
【0006】
これに対して、部品搬送部材の鉛直方向の振動を検出し、その検出値を鉛直方向振動用の加振機構の印加電圧設定回路にフィードバックして設定電圧を制御するようにすれば、所望の振動を実現できる可能性もあるが、その場合には、振動センサやフィードバック制御の回路が別途必要となり、また電磁石への負荷も高くなることから、製造コストやランニングコストが大幅に上昇することが避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭55−84707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、複合振動式の部品搬送装置において、低コストで水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生を抑えられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材と第2の弾性部材のうちの一方を水平振動用弾性部材、他方を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定するようにした。これにより、図11に示すように、水平振動用弾性部材Bはその水平方向の変形が鉛直方向の変位につながらなくなり、高コストの制御手段等を設けてなくても、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。
【0010】
一方、前記鉛直振動用弾性部材は、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したり、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したりすればよい。
【0011】
また、前記水平振動用弾性部材の固有振動数を、水平方向と鉛直方向とで異ならせたり、前記水平振動用弾性部材の鉛直方向の剛性を、水平方向の剛性よりも高くしたりすることにより、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動をより効果的に抑制することができる。
【0012】
上記の構成において、前記水平振動用弾性部材としては、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを用いることができるが、望ましくは、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを部品搬送方向に沿って複数並べ、各板ばねの固定箇所の間に間座を設けたものを用いるとよい。これは、第1の加振機構の設置時の傾き等によって中間振動体にモーメントが作用する場合、水平振動用弾性部材が捻り剛性の低い1枚の板ばねであると、図12に示すように板ばねCが捻れ、この捻れが水平方向の振動に伴う捻れ振動となって中間振動体に部品搬送方向に対するピッチング振動を発生させ、部品搬送に最適な所望の振動を実現しにくくなるからである。すなわち、水平振動用弾性部材として複数の板ばねで間座を挟んだ捻り剛性の高いものを用いることにより、中間振動体にモーメントが作用する場合でも、図13に示すように水平振動用弾性部材Dの捻れが抑えられ、所望の振動を実現しやすくなる。
【0013】
一方、前記鉛直振動用弾性部材としては、表裏面を鉛直方向に向けた板ばねを用いることができる。
【0014】
前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けて、各電磁石への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御できるようにすれば、水平方向の振動と鉛直方向の振動を容易に所望の振動に近づけることができる。
【0015】
また、前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM(Pulse Width Modulation)信号に変換するPWM信号発生手段を設けて、PWM方式で各加振機構を駆動することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の振動式部品搬送装置は、上述したように、上部振動体または基台と中間振動体とを連結する水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したものであるから、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。従って、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整することができ、部品搬送に適した所望の振動を容易に実現できる。しかも、この構成は、フィードバック制御手段等を必要とせず、低コストで構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の部品搬送装置の正面断面図
【図2】図1のトラフを除いた上面図
【図3】図1の側面図
【図4】図1の部品搬送装置の各加振機構の印加電圧設定回路の概略図
【図5】図1の鉛直振動用板ばねの配置の変形例を示す正面断面図
【図6】図5のトラフを除いた上面図
【図7】第2実施形態の部品搬送装置の正面断面図
【図8】図7のトラフを除いた上面図
【図9】従来の部品搬送装置の正面図
【図10】従来の水平振動用板ばねの振動挙動の説明図
【図11】本発明の水平振動用弾性部材の通常の変形形態の説明図
【図12】本発明の水平振動用弾性部材の捻れ変形の説明図
【図13】本発明の別の水平振動用弾性部材の変形形態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図8に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は第1実施形態の振動式部品搬送装置を示す。この部品搬送装置は、直線状の搬送路1aが形成されたトラフ(部品搬送部材)1を上部振動体2の上面に取り付け、上部振動体2と床上に設置される基台3との間に中間振動体4を設け、中間振動体4と基台3とを第1の弾性部材としての板ばね5で連結し、上部振動体2と中間振動体4とを第2の弾性部材としての板ばね6で連結し、中間振動体4と基台3の間に水平方向の振動を発生させる第1の加振機構7を設け、上部振動体2と基台3の間に鉛直方向の振動を発生させる第2の加振機構8を設けたものである。
【0019】
前記基台3は、その両端に柱状の板ばね取付部3aが立設されており、床面に固定された防振ゴム等の防振部材(図示省略)に支持されている。
【0020】
前記中間振動体4は、矩形枠形状に形成され、その短手方向の縁部が外面側で基台3の板ばね取付部3aの上端部と対向し、内面側で上部振動体2の下部と対向するように配置されている。また、その外周側の四隅には、部品搬送方向(図中の左右方向)に突出する板ばね取付部4aが設けられている。
【0021】
前記第1の板ばね5は、表裏面を部品搬送方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を基台3の板ばね取付部3aに他端部を中間振動体4の板ばね取付部4aにそれぞれ固定されて、中間振動体4を水平方向に振動可能に支持する水平振動用板ばね(水平振動用弾性部材)となっている。この水平振動用板ばね5は、水平方向の厚み寸法が鉛直方向の幅寸法に比べてかなり小さく、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が大きく異なり、また鉛直方向の剛性が水平方向の剛性よりも十分に高いものとなっている。
【0022】
一方、前記第2の板ばね6は、表裏面を鉛直方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を上部振動体2の下部に他端部を中間振動体4の長手方向縁部にそれぞれ固定されて、上部振動体2を鉛直方向に振動可能に支持する鉛直振動用板ばね(鉛直振動用弾性部材)となっている。
【0023】
また、前記第1の加振機構7は、基台3上に設置される交流電磁石9と、この電磁石9と所定の間隔をおいて対向するように中間振動体4に取り付けられる可動鉄心10とで構成されている。なお、可動鉄心10は、この例では中間振動体4に取り付けたが、上部振動体2に取り付けるようにしてもよい。一方、前記第2の加振機構8は、基台3上に設置される交流電磁石11と、この電磁石11と所定の間隔をおいて対向するように上部振動体2に取り付けられる可動鉄心12とで構成されている。
【0024】
第1の加振機構7の電磁石9に通電すると、電磁石9と可動鉄心10との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と水平振動用板ばね5の復元力により、中間振動体4に水平方向の振動が発生し、この振動が鉛直振動用板ばね6を介して上部振動体2およびトラフ1に伝わる。また、第2の加振機構8の電磁石11に通電すると、電磁石11と可動鉄心12との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と鉛直振動用板ばね6の復元力により、上部振動体2およびトラフ1に鉛直方向の振動が発生する。そして、この水平方向の振動と鉛直方向の振動により、トラフ1に供給された部品が直線状搬送路1aに沿って搬送される。
【0025】
従って、各加振機構7、8の電磁石9、11への印加電圧を別々に設定することにより、トラフ1の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。
【0026】
図4は各加振機構7、8の電磁石9、11へ印加電圧を設定する回路を示す。第1の加振機構7の回路には、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段13が設けられている。基準波形発生手段13では、波形の種類(例えば、正弦波)とその波形の周期(周波数)の設定値に応じた基準波形を発生させる。一方、第2の加振機構8の回路には、基準波形発生手段13で発生した基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段14が設けられている。
【0027】
そして、各加振機構7、8の回路において、基準波形発生手段13または位相差調整手段14で発生した波形を、波形振幅調整手段15で所定の振幅に調整して、PWM信号発生手段16でPWM信号に変換した後、電圧増幅手段17で昇圧し、それぞれの電磁石9、11へ印加するようになっている。これにより、各電磁石9、11への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御して、水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。なお、PWM方式で各加振機構を駆動しない場合は、PWM信号発生手段16は不要となる。
【0028】
この振動式部品搬送装置は、上記の構成であり、第1の加振機構7の駆動によって中間振動体4に振動が発生するとき、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定された水平振動用板ばね5は、水平方向にのみ変形して元の状態に戻る動作を繰り返す(図11参照)。これにより、中間振動体4に発生する振動は、鉛直方向の振動をほとんど含まず、ほぼ水平方向のみの振動となる。
【0029】
また、水平振動用板ばね5は、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が大きく異なるので、これによっても水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。
【0030】
すなわち、一般に、複合振動式の部品搬送装置で部品搬送速度を大きくしようとするときには、少ない電力で効率よく水平方向の振動の振幅を大きくするために、各加振機構をトラフの水平方向の固有振動数付近の周波数で駆動することが多い。この際、水平振動用板ばねの水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数が同じであるか、もしくは数Hz程度しか離れていない場合には、水平方向の振動によって生じる中間振動体の鉛直方向の振動が無視できない大きさとなる。しかし、この実施形態の部品搬送装置では、水平振動用板ばね5の水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数に十分な差があるので、水平振動に起因する中間振動体4の鉛直方向の振動を小さく抑えることができる。
【0031】
ここで、水平振動用板ばねは、例えば、水平方向の厚み寸法が鉛直方向の幅寸法より大きい形状としても、水平方向の固有振動数と鉛直方向の固有振動数に差をつけることができるが、後述する剛性の観点からは、この実施形態のような形状を採用することが好ましい。
【0032】
すなわち、この実施形態では、水平振動用板ばね5の水平方向寸法が鉛直方向寸法よりかなり小さく形成され、その鉛直方向の剛性が水平方向の剛性よりも十分に高くなっているので、中間振動体4の鉛直方向の振動をさらに小さくすることができる。
【0033】
上述したように、この実施形態の部品搬送装置は、トラフ1に発生する鉛直方向の振動がほぼ第2の加振機構8と鉛直振動用板ばね6による振動のみとなるので、水平方向と鉛直方向の振動をそれぞれ調整する際に、水平方向の振動を鉛直方向の振動にほとんど影響しないように調整でき、部品搬送に適した所望の振動を容易にトラフ1に付与することができる。
【0034】
図5および図6は上述した第1実施形態の鉛直振動用板ばね6の配置の変形例を示す。この変形例では、鉛直振動用板ばね6を、部品搬送方向(図中の左右方向)と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で、上部振動体2と中間振動体4の短手方向縁部に固定している。
【0035】
図7および図8は第2の実施形態を示す。この実施形態では、第1実施形態の水平振動用板ばね5に代わる水平振動用弾性部材18で中間振動体4と基台3とを連結している。この水平振動用弾性部材18は、表裏面を部品搬送方向(図中の左右方向)に向けた2枚の板ばね19を部品搬送方向に沿って並べ、各板ばね19の固定箇所の間に間座20を設けたもので、第1実施形態の水平振動用板ばね5と同様、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定されている。その他の部分の構成は、各加振機構7、8の電磁石9、11への印加電圧設定回路を含めて、第1実施形態と同じである。
【0036】
この第2実施形態の部品搬送装置は、水平振動用弾性部材18の捻り剛性が第1実施形態の水平振動用板ばね5よりも高いので、第1の加振機構7の設置時の傾き等によって中間振動体4にモーメントが作用する場合でも、水平振動用弾性部材18は捻れることなく、ほぼ水平方向にのみ変形する(図13参照)。従って、第1実施形態の装置よりも部品搬送に適した所望の振動を実現しやすい。
【0037】
なお、この第2実施形態についても、図5および図6に示した例と同じく、鉛直振動用板ばね6を、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で、上部振動体2と中間振動体4の短手方向縁部に固定するようにしてもよい。
【0038】
上述した各実施形態では、中間振動体と基台とを連結する第1の板ばねを水平振動用板ばねとし、上部振動体と中間振動体とを連結する第2の板ばねを鉛直振動用板ばねとしたが、これとは逆に、第1の板ばねが鉛直振動用板ばね、第2の板ばねが水平振動用板ばねとなるように構成してもよい。また、板ばねは各箇所に1枚ずつ配置したが、2枚以上重ねて使用してもよい。また、板ばねは水平振動用と鉛直振動用に4箇所ずつ配置したが、2箇所以上で構成してもよい。
【0039】
さらに、各実施形態では、水平振動用弾性部材および鉛直振動用弾性部材に板ばねを使用しているが、板ばね以外の弾性部材ももちろん用いることができる。また、各加振機構は、電磁石と可動鉄心とからなるものを使用しているが、これに限らず、同様の加振力を発生させることができるアクチュエータであればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 トラフ(部品搬送部材)
2 上部振動体
3 基台
4 中間振動体
5 第1の板ばね(水平振動用板ばね)
6 第2の板ばね(鉛直振動用板ばね)
7 第1の加振機構
8 第2の加振機構
9、11 電磁石
10、12 可動鉄心
18 水平振動用弾性部材
19 板ばね
20 間座
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材と第2の弾性部材のうちの一方を水平振動用弾性部材、他方を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする振動式部品搬送装置。
【請求項2】
前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品搬送装置。
【請求項3】
前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品搬送装置。
【請求項4】
前記水平振動用弾性部材の固有振動数を、水平方向と鉛直方向とで異ならせたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項5】
前記水平振動用弾性部材の鉛直方向の剛性を、水平方向の剛性よりも高くしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項6】
前記水平振動用弾性部材として、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項7】
前記水平振動用弾性部材として、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを部品搬送方向に沿って複数並べ、各板ばねの固定箇所の間に間座を設けたものを用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項8】
前記鉛直振動用弾性部材として、表裏面を鉛直方向に向けた板ばねを用いたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項9】
前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項10】
前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM信号に変換するPWM信号発生手段を設けたことを特徴とする請求項9に記載の振動式部品搬送装置。
【請求項1】
部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材と第2の弾性部材のうちの一方を水平振動用弾性部材、他方を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記水平振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする振動式部品搬送装置。
【請求項2】
前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品搬送装置。
【請求項3】
前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品搬送装置。
【請求項4】
前記水平振動用弾性部材の固有振動数を、水平方向と鉛直方向とで異ならせたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項5】
前記水平振動用弾性部材の鉛直方向の剛性を、水平方向の剛性よりも高くしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項6】
前記水平振動用弾性部材として、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項7】
前記水平振動用弾性部材として、表裏面を部品搬送方向に向けた板ばねを部品搬送方向に沿って複数並べ、各板ばねの固定箇所の間に間座を設けたものを用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項8】
前記鉛直振動用弾性部材として、表裏面を鉛直方向に向けた板ばねを用いたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項9】
前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
【請求項10】
前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM信号に変換するPWM信号発生手段を設けたことを特徴とする請求項9に記載の振動式部品搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−41107(P2012−41107A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181732(P2010−181732)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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