説明

振動検出装置及び弾球遊技機

【課題】弾球遊技機に生じた振動を検出するにあたり、善意の遊技者に迷惑がかかることがないような振動検出装置及び弾球遊技機を提供する。
【解決手段】振動検出基板は、3軸加速度センサが加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号を入力し(S21)、該入力した電気信号のレベルが、不正入賞が起こりうる振動を想定して記憶した基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定し(S22)、到達している(YES)と判定したことを条件として、エラー信号を出力する(S26)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に生じた振動を検出するための振動検出装置,及び振動検出機能を備える弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示すように、パチンコ機に生じた振動を検出する振動検出手段を備え、当選状態を発生させる当選孔にパチンコ玉が導かれたタイミングと、このタイミングの直前に振動検出手段が振動を検出したタイミングとの時間的差分が、予め定められた特定時間間隔よりも長い場合にのみ当選状態を発生させるパチンコ機が知られている。これによれば、遊技者がパチンコ機を叩くことで振動を発生させて当選孔にパチンコ玉を導くという不正が行われた場合には当選状態を発生させないので、かかる不正入賞を効率良く防止できる一方、不正とは関係ない振動を不正と判断しないことができる。ここで前記振動検出手段は、水平方向の振動のみを検出し、また前後方向の振動のみを検出する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−159717号公報(請求項1〜3,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、弾球遊技機の一例である上記のパチンコ機では、不正を行うつもりが無い善意の遊技者が遊技しているパチンコ機において、当該パチンコ機に隣接する台や当該パチンコ機の裏面側の台で遊技をしている遊技者がそれらの台を叩いた場合であっても、その振動を検出して誤作動を生じ、善意の遊技者に迷惑がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、弾球遊技機に生じた振動を検出するにあたり、善意の遊技者に迷惑がかかることがないような振動検出装置及び弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための最良の形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
【0007】
まず請求項1に係る発明は、対応する弾球遊技機(パチンコ機10)に生じた振動による加速度を、少なくともX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向について検出し、該検出したXYZ各々の軸方向の加速度を電気信号(Xout信号,Yout信号,Zout信号)で出力する加速度検出手段(3軸加速度センサ20)と、前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶する基準レベル記憶手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)と、前記加速度検出手段が加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号を入力し、該入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定する信号レベル判定手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)と、該信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したことを条件として、予め定められた基準レベル到達時処理(エラー信号又は玉詰まり信号の出力)を実行する基準レベル到達時処理手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)と、を備えることを特徴とする振動検出装置である。
【0008】
また請求項2に係る発明は、請求項1に記載した振動検出装置であって、対応する弾球遊技機(パチンコ機10)から出力される所定の入賞信号(V入賞信号)を入力する入賞信号入力手段(呼出ランプ装置40のパチンコ機用通信部41b,又はホールコンピュータ50の通信部51)をさらに備え、前記基準レベル到達時処理手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記信号レベル判定手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に前記入賞信号入力手段に入賞信号が入力したことを条件として、前記基準レベル到達時処理(エラー信号の出力)を実行することを特徴とする振動検出装置である。
【0009】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載した振動検出装置であって、前記基準レベル到達時処理手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、予め定められた信号(エラー信号又は玉詰まり信号)を外部出力する処理を前記基準レベル到達時処理として実行することを特徴とする振動検出装置である。
【0010】
また請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、前記基準レベル記憶手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することが可能な基準レベル設定手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)をさらに備えることを特徴とする振動検出装置である。
【0011】
また請求項5に係る発明は、請求項4に記載した振動検出装置であって、前記基準レベル設定手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記加速度検出手段(3軸加速度センサ20)から出力される前記XYZ各々の軸方向の電気信号に応じて、前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することを特徴とする振動検出装置である。
【0012】
また請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、前記基準レベル記憶手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶し、前記信号レベル判定手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているか否かを判定し、前記基準レベル到達時処理手段(呼出ランプ装置40又はホールコンピュータ50に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記信号レベル判定手段による判定結果の各々に対応した複数の前記基準レベル到達時処理(エラー信号,玉詰まり1信号,又は玉詰まり2信号の出力)を実行可能であり、該信号レベル判定手段がいずれかの組み合わせに到達していると判定したことを条件として、該判定結果に対応した基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする振動検出装置である。
【0013】
また請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、前記加速度検出手段(3軸加速度センサ20)は、前記XYZ各々の軸の原点を補正する原点補正機能を有することを特徴とする振動検出装置である。
【0014】
また請求項8に係る発明は、振動による加速度を、少なくともX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向について検出し、該検出したXYZ各々の軸方向の加速度を電気信号(Xout信号,Yout信号,Zout信号)で出力する加速度検出手段(3軸加速度センサ20)と、前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶する基準レベル記憶手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)と、前記加速度検出手段が加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号を入力し、該入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定する信号レベル判定手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)と、該信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したことを条件として、予め定められた基準レベル到達時処理(エラー信号又は玉詰まり信号の出力)を実行する基準レベル到達時処理手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32,及び遊技制御基板17)と、を備えることを特徴とする弾球遊技機(パチンコ機10’)である。
【0015】
また請求項9に係る発明は、請求項8に記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、所定の入賞(V入賞)を検出する入賞検出手段(遊技制御基板17)をさらに備え、前記基準レベル到達時処理手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32,及び遊技制御基板17)は、前記信号レベル判定手段(振動検出基板30の制御部32)が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に前記入賞検出手段が入賞を検出したことを条件として、前記基準レベル到達時処理(エラー信号の出力)を実行することを特徴とする弾球遊技機である。
【0016】
また請求項10に係る発明は、請求項8又は9に記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、前記基準レベル到達時処理手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32,及び遊技制御基板17)は、予め定められた信号(エラー信号又は玉詰まり信号)を外部出力する処理を前記基準レベル到達時処理として実行することを特徴とする弾球遊技機である。
【0017】
また請求項11に係る発明は、請求項8〜10のいずれか1つに記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、前記基準レベル記憶手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することが可能な基準レベル設定手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)をさらに備えることを特徴とする弾球遊技機である。
【0018】
また請求項12に係る発明は、請求項11に記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、前記基準レベル設定手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記加速度検出手段(3軸加速度センサ20)から出力される前記XYZ各々の軸方向の電気信号に応じて、前記基準レベル記憶手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することを特徴とする弾球遊技機である。
【0019】
また請求項13に係る発明は、請求項8〜12のいずれか1つに記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、前記基準レベル記憶手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶し、前記信号レベル判定手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているか否かを判定し、前記基準レベル到達時処理手段(パチンコ機10’に設置した振動検出基板30の制御部32)は、前記信号レベル判定手段による判定結果の各々に対応した複数の前記基準レベル到達時処理(エラー信号,玉詰まり1信号,又は玉詰まり2信号の出力)を実行可能であり、該信号レベル判定手段がいずれかの組み合わせに到達していると判定したことを条件として、該判定結果に対応した基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする弾球遊技機である。
【0020】
さらに請求項14に係る発明は、請求項8〜13のいずれか1つに記載した弾球遊技機(パチンコ機10’)であって、前記加速度検出手段(3軸加速度センサ20)は、前記XYZ各々の軸の原点を補正する原点補正機能を有することを特徴とする弾球遊技機である。
【発明の効果】
【0021】
まず請求項1に係る振動検出装置によれば、対応する弾球遊技機において不正入賞等が起こりうる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを記憶させ、加速度検出手段から入力された電気信号のレベルが該記憶させた基準電気信号レベルに到達していることを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、他の要因により生じた振動を検出しても基準レベル到達時処理が実行されることがなく、善意の遊技者に迷惑がかかることがない。
【0022】
また請求項2に係る振動検出装置によれば、加速度検出手段から入力された電気信号のレベルが基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に所定の入賞信号が入力したことを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、不正入賞の発生を特定することができる。
【0023】
また請求項3に係る振動検出装置によれば、エラー信号等の予め定められた信号を外部出力する処理を基準レベル到達時処理として実行することにより、監視カメラ制御装置等の外部装置と連携することができるので、振動を加えた遊技者に対する監視を強化できる。
【0024】
また請求項4に係る振動検出装置によれば、弾球遊技機の設置状況や設置環境等の要因に応じて、遊技場において基準電気信号レベルを設定変更することができるので、それらの要因に影響されずに、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0025】
また請求項5に係る振動検出装置によれば、弾球遊技機を設置した状態で振動を加えた結果の実データを基準電気信号レベルとして記憶できるので、実際に遊技に影響する振動に基づいて、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0026】
また請求項6に係る振動検出装置によれば、対応する弾球遊技機において玉詰まり等が生じた場合に加えられる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶させておくことにより、不正入賞の発生だけでなく、不正以外の事象(例えば玉詰まり等)の発生も特定することができる。
【0027】
また請求項7に係る振動検出装置によれば、原点補正機能により、弾球遊技機の遊技島に対する取付角度の調整等に起因する原点ズレを補正することができるので、常に安定して、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0028】
また請求項8に係る弾球遊技機によれば、当該弾球遊技機において不正入賞等が起こりうる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを記憶させ、加速度検出手段から入力された電気信号のレベルが該記憶させた基準電気信号レベルに到達していることを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、他の要因により生じた振動を検出しても基準レベル到達時処理が実行されることがなく、善意の遊技者に迷惑がかかることがない。
【0029】
また請求項9に係る弾球遊技機によれば、加速度検出手段から入力された電気信号のレベルが基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に所定の入賞を検出したことを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、不正入賞の発生を特定することができる。
【0030】
また請求項10に係る弾球遊技機によれば、エラー信号等の予め定められた信号を外部出力する処理を基準レベル到達時処理として実行することにより、監視カメラ制御装置等の外部装置と連携することができるので、振動を加えた遊技者に対する監視を強化できる。
【0031】
また請求項11に係る弾球遊技機によれば、弾球遊技機の設置状況や設置環境等の要因に応じて、遊技場において基準電気信号レベルを設定変更することができるので、それらの要因に影響されずに、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0032】
また請求項12に係る弾球遊技機によれば、弾球遊技機を設置した状態で振動を加えた結果の実データを基準電気信号レベルとして記憶できるので、実際に遊技に影響する振動に基づいて、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0033】
また請求項13に係る弾球遊技機によれば、当該弾球遊技機において玉詰まり等が生じた場合に加えられる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶させておくことにより、不正入賞の発生だけでなく、不正以外の事象(例えば玉詰まり等)も特定することができる。
【0034】
さらに請求項14に係る弾球遊技機によれば、原点補正機能により、弾球遊技機の遊技島に対する取付角度の調整等に起因する原点ズレを補正することができるので、常に安定して、信号レベル判定手段による判定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態は、図1〜図8に示すように、弾球遊技機(パチンコ機10)に生じた振動を検出するための振動検出装置であり、また本発明の第2実施形態は、図9に示すように、振動検出機能を備える弾球遊技機(パチンコ機10’)である。
【0036】
ここで弾球遊技機とは、遊技球を弾発発射し、該遊技球を特定の領域(穴や孔を含む)に入賞させる遊技機であり、以下においては、該弾球遊技機が、遊技球であるパチンコ玉を弾発発射して遊技領域に打ち込み、該打ち込まれたパチンコ玉(以下「打込玉」という。)を入賞口に入賞させるパチンコ機10である例について説明する。以下においては、該パチンコ機10の左右方向をX軸方向,上下方向をY軸方向,及び前後方向(即ち紙面垂直方向)をZ軸方向とする。
【0037】
なお第1実施形態に係る振動検出装置,及び第2実施形態に係る弾球遊技機は、変形例を各々含む。以下においては、まず第1実施形態及びその変形例に係る振動検出装置について説明し、次に第2実施形態及びその変形例に係る弾球遊技機について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0038】
[1−1.第1実施形態に係る振動検出装置]
第1実施形態に係る振動検出装置は、図1に示すように、パチンコ機10に設置される3軸加速度センサ20と、該パチンコ機10に対応する呼出ランプ装置40に設置される、該3軸加速度センサ20に対応する振動検出基板30とからなる。この図1に示す例では、複数のパチンコ機10及び呼出ランプ装置40と、該複数の呼出ランプ装置40と通信可能なホールコンピュータ50と、該ホールコンピュータ50と通信可能な監視カメラ制御装置4及び場内放送装置5と、各呼出ランプ装置40と通信可能なリモコン60とで、遊技場における振動検出システム1を構成している。なお各パチンコ機10に対応して、玉貸ユニット2が設けられている。まず、図1〜図5を参照して、振動検出システム1の各構成要素について説明する。
【0039】
パチンコ機10は弾球遊技機の一例であって、パチンコ玉を遊技領域に打ち込むことにより遊技を行うものであり、ここでは対応する玉貸ユニット2との間でパチンコ玉の貸与に関する信号のやり取りが行われて玉貸処理が行われることにより該パチンコ機10からパチンコ玉が払い出される、いわゆるCR式のパチンコ機である。また、このパチンコ機10は、始動入賞口に打込玉が入賞することにより、役物の左右に設けられた羽根部材が開放されて、該役物の内部に打込玉を受け入れ可能となる、いわゆる「羽根モノ」と称されるパチンコ機である。このパチンコ機10は、遊技場に配置された遊技島(図示外)において、該パチンコ機10の機種等に従って設置されており、台番号により各パチンコ機10を個々に識別可能とされている。
【0040】
このパチンコ機10は、図2(a)に示すように、台枠10aの内部に遊技盤11が嵌め込まれてなるものである。台枠10aは、その下方に、賞球又は貸玉として払い出されたパチンコ玉を貯留するための上皿10b,該上皿10bで貯留しきれないパチンコ玉を貯留するための下皿,及び上皿10bに貯留されているパチンコ玉を遊技領域に打ち込むための操作を受け付ける発射ハンドル等を備え、その上方中央に、内部に嵌め込まれた遊技盤11の遊技領域を見通すためのガラス窓を備え、該ガラス窓の周囲に、演出のために効果音を発するスピーカ,及び点滅する複数のランプ10c等を備える。
【0041】
遊技盤11の表面には、図2(b)に示すように、ガイドレール11aが渦巻状に取り付けられており、該ガイドレール11aの内側に、略円形の遊技領域が形成されており、該ガイドレール11a同士に挟まれた領域として、遊技領域に連なる打ち出し路11bが形成されている。この遊技領域には、図示しないが、打込玉の流れを変えるための複数の釘や風車が設けられている。
【0042】
また遊技領域において、左下部及び右下部には、1回始動入賞口12,12が形成されており、中央下部には、2回始動入賞口13が形成されており、中央部には、役物15が設けられている。この役物15は、左右側部に、下端を支点として点線の位置まで開放される羽根部材14を備えていると共に、内部に、波形のステージ15b,及びV入賞口16を備えている。なお遊技領域の最下部には、いずれの入賞口又は役物にも入賞しなかった打込玉を排出するためのアウト口が形成されている。
【0043】
遊技盤11の裏面には、1回始動入賞口12への打込玉の入賞を検出する1回始動入賞センサ12a,2回始動入賞口13への打込玉の入賞を検出する2回始動入賞センサ13a,羽根部材14を駆動するためのソレノイド14a,役物15の内部への打込玉の入賞を検出する役物入賞センサ15a,V入賞口16への打込玉の入賞を検出するV入賞センサ16a,パチンコ機10における遊技状態を制御するための遊技制御基板(メイン基板)17,ランプ10cの点灯・消灯・点滅を制御するためのランプ制御基板18,及び図示しない玉払出装置を制御するための払出制御基板19等が取り付けられており、これらは図1に示すように接続されている。なお、図示しないが、払出制御基板19は、玉貸ユニット2に挿入されたプリペイドカードの残額を表示する残額表示器,該残額を使用した玉貸操作を受け付ける玉貸ボタン,及び挿入されているプリペイドカードの返却操作を受け付ける返却ボタンとも接続されている。
【0044】
ここで遊技制御基板17は入賞検出手段の一例であって、所定の入賞を検出するものであり、ここでは該所定の入賞として、V入賞口16への入賞(即ちV入賞センサ16aから出力されるV入賞信号)を検出する。なお入賞検出手段として機能する遊技制御基板17は、1回始動入賞口12への入賞(即ち1回始動入賞センサ12aから出力される1回始動入賞信号),2回始動入賞口13への入賞(即ち2回始動入賞センサ13aから出力される2回始動入賞信号),及び役物15への入賞(即ち役物入賞センサ15aから出力される役物入賞信号)も検出する。この遊技制御基板17で検出した各入賞信号は、呼出ランプ装置40に入力され、該呼出ランプ装置40からホールコンピュータ50に送信される。
【0045】
このパチンコ機10では、以下のようにして遊技が進行する。まず遊技者により玉貸ユニット2にプリペイドカードが挿入されて玉貸ボタンが操作されると、パチンコ機10と玉貸ユニット2との間でパチンコ玉の貸与に関する信号のやり取りが行われて、プリペイドカードの残額を使用した玉貸処理が行われ、該残額の範囲内で所定数のパチンコ玉がパチンコ機10から払い出されて貸与され、上皿10bに貯留される。次に遊技者により発射ハンドルが操作されると、上皿10bに貯留されているパチンコ玉が1発ずつ弾発発射され、打ち出し路10bを通って遊技領域に導かれる。
【0046】
遊技領域に導かれた打込玉が1回始動入賞口12に入賞し、該入賞が1回始動入賞センサ12aにより検出されると、遊技制御基板17の制御によりソレノイド14aが駆動して、羽根部材14が所定時間(例えば0.4秒)だけ1回開放された後に再び閉鎖される。また打込玉が2回始動入賞口13に入賞し、該入賞が2回始動入賞センサ13aにより検出されると、遊技制御基板17の制御によりソレノイド14aが駆動して、羽根部材14が所定時間(例えば0.4秒)だけ2回開放された後に再び閉鎖される。
【0047】
開放された羽根部材14から役物15の内部に打込玉が入賞すると、該打込玉の入賞が役物入賞センサ15aにより検出され、該打込玉が波形のステージ15b上に導かれる。このステージ15b上を左右に往復移動する打込玉が、中央から落下してV入賞口16に入賞し、該入賞がV入賞センサにより検出されると、遊技制御基板17の制御により大当りが発生し、中央以外から落下するとハズレとなる。大当りが発生すると、羽根部材14の18回の開放又は役物15の内部への10個の打込玉の入賞で該大当りの1ラウンドが終了し、内部抽選により決定されたラウンド数(例えば2ラウンド,7ラウンド,又は15ラウンド)だけ該大当りが繰り返される。なお1回始動入賞口12,2回始動入賞口13,又は役物15への入賞が各センサにより検出されると、払出制御基板19の制御により、玉払出装置から所定数の賞球が払い出される。
【0048】
ここで図3を参照して、パチンコ機10に対して振動が加えられることが多い領域について説明する。上述の如く、このパチンコ機10においては、V入賞口16への打込玉の入賞が大当りの発生に直結するため、ステージ15b上を左右に往復移動する打込玉が中央に到達するタイミングで、遊技者が上皿10b(図3の領域E1)をかなり強めに叩いて振動を発生させ、該打込玉をV入賞口16に導くという不正が行われることがある。
【0049】
また、このパチンコ機10においては、開放された左側の羽根部材14から役物15に入賞するように、パチンコ玉が遊技領域の左上側に打ち込まれることが多く、この部分において打込玉が釘に挟まって玉詰まりを生ずることがあり、この場合には、遊技者が遊技盤11の左上(図3の領域E2)のガラス窓を弱めに叩いて振動を発生させ、該玉詰まりを解消しようとする。さらに、このパチンコ機10においては、該パチンコ機10の左上側に設けられた補給シュート3からパチンコ玉が供給されるが、該補給シュート3の直下で玉詰まりを生ずることがあり、この場合には、遊技者が台枠10aの左上(図3の領域E3)を強めに叩いて振動を発生させ、該玉詰まりを解消しようとする。ただし、これら玉詰まりを解消しようとする行為は、不正行為ではない。
【0050】
図2(b)に戻り、遊技盤11の左下隅には、3軸加速度センサ20が設置されている。具体的には、図2(c)に示すように、箱形の3軸加速度センサ20が、板状の基台21にマウントされ、該基台21の裏面に設けられた中空円筒状の支柱22により、遊技盤11に対して並行に支持されている。この基台21及び支柱22は、パチンコ機10に生じた振動が3軸加速度センサ20に伝わりやすく(即ち感度が良く)、かつ該振動の減衰が早い部材により構成され、例えばゴムやシリコン等の軟性部材である。3軸加速度センサ20を駆動する電力を電源から供給するための電力線や、3軸加速度センサ20から出力される信号線等は、支柱22の中空部を通って、遊技盤11の裏面に導かれる。
【0051】
この3軸加速度センサ20は加速度検出手段の一例であって、対応するパチンコ機10に加えられた振動による加速度を、少なくともX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向について検出し、該検出したXYZ各々の軸方向の加速度を電気信号で出力するものである。ここでX軸方向の加速度はXout信号で出力され、Y軸方向の加速度はYout信号で出力され、Z軸方向の加速度はZout信号で出力される。これらXout信号,Yout信号,及びZout信号は、いずれもアナログ信号であり、各信号を伝達する3本の各信号線を介して出力され、振動検出基板30に入力される。なお図1では、図示の都合上、3軸加速度センサ20の制御部32と振動検出基板30のA/Dコンバータ31とを接続する信号線を、1本の線で表わしているが、実際には前記3本の線である。以下においては、Xout信号,Yout信号,及びZout信号を「加速度信号」とも総称する。
【0052】
ここでの3軸加速度センサ20は、ピエゾ抵抗式加速度センサ(例えば松下電工株式会社製のGS3)であって、シリコンにより形成されたフレーム,おもり,及びビームを備え、中空正方形状のフレームの上面に十字状のビームが配置され、該ビーム上にピエゾ抵抗が配置され、フレームの内部に配置されたおもりが該ビームに吊り下げ支持されるような構造となっている。この3軸加速度センサ20では、電源から電力が供給されて駆動している状態で加速度が加わると、おもりが移動してビーム上に歪みが発生し、この歪みによってビーム上に配置されたピエゾ抵抗に応力が生じ、抵抗値が変化するが、この抵抗値の変化をブリッジ回路で電気信号として取り出し、専用ASIC(特定用途向け集積回路)により増幅・補正して、加速度に比例した電圧として出力している。
【0053】
具体的には、この3軸加速度センサ20は、図4(a)に示すように、印可加速度が−3.0gで0.5V,同0gで1.5V,及び同3.0gで2.5Vの出力電圧となるような直線に従って加速度信号を出力するように構成されている。また3軸加速度センサ20は、図4(b)に示すように、Y軸回りに回転させると、Xout信号として、回転角度が0度で1.5V,同90度で約1.18V,同180度で1.5V,同270度で約1.82Vの出力電圧となるような正弦波に従って加速度信号を出力し、Yout信号として、回転角度に拘わらず1.5Vの出力電圧の加速度信号を出力し、Zout信号として、回転角度が0度で約1.82V,同90度で1.5V,同180度で約1.18V,同270度で1.5Vの出力電圧となるような正弦波に従って加速度信号を出力するように構成されている。さらに3軸加速度センサ20は、図4(c)に示すように、X軸回りに回転させると、Xout信号として、回転角度に拘わらず1.5Vの出力電圧の加速度信号を出力し、Yout信号として、回転角度が0度で1.5V,同90度で約1.18V,同180度で1.5V,同270度で約1.82Vの出力電圧となるような正弦波に従って加速度信号を出力し、Zout信号として、回転角度が0度で約1.82V,同90度で1.5V,同180度で約1.18V,同270度で1.5Vの出力電圧となるような正弦波に従って加速度信号を出力するように構成されている。
【0054】
ここで3軸加速度センサ20は、前記XYZ各々の軸の原点を補正する原点補正機能を有する。この3軸加速度センサ20が設置されているパチンコ機10においては、遊技場の営業終了後において、遊技島に対する取付角度(いわゆる「寝かせ」)の調整が行われることがあり、また該調整を行わなくても、遊技場の営業終了後には営業開始時と比較して遊技島に対する取付角度が変化していることがある。このようにパチンコ機10の取付角度が変化すると、3軸加速度センサ20の回転角度も変化することになり、図4(b)(c)に示すように、微小な変化であっても出力電圧が初期設定とは異なるようになるため、後述する信号レベル判定手段による判定に支障を来すようになる。そこで、遊技場の営業開始時において3軸加速度センサ20に電力を供給したときに、前記原点補正機能によりXYZ各々の軸の原点を補正するように構成されており、具体的には、例えば電力供給時の回転角度が10度であれば、該10度で出力される出力電圧を減算した加速度信号を出力するように設定を変更する。これによれば、原点補正機能により、パチンコ機10の遊技島に対する取付角度の調整等に起因する原点ズレを補正することができるので、常に安定して、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0055】
図1に戻り、振動検出基板30は、制御部32と、該制御部32に接続されるA/Dコンバータ31とを有するものであり、この第1実施形態では、呼出ランプ装置40の内部に設置され、制御部32が呼出ランプ装置40の制御部42と通信可能に接続されている。
【0056】
A/Dコンバータ31は、3軸加速度センサ20から入力されたアナログの加速度信号を、該加速度信号の出力電圧に応じて、−16〜+16の32段階に区分されるレベルの加速度信号のうちのいずれかのレベルの加速度信号にデジタル変換し、該変換した加速度信号のレベルを制御部32に入力するものである。
【0057】
制御部32は、CPU,RAM,ROM,EEPROM(不揮発性の半導体メモリ)等を備え、ROMに記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行されることにより、各種の処理を行うものである。
【0058】
この制御部32のEEPROMは基準レベル記憶手段の一例であって、前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶するものであり、ここでは前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶するものである。具体的には、3軸加速度センサ20が前記図2(b)に示す位置に設置された場合を想定して、図5に示すように、第1〜第3の3つの基準電気信号レベルの組み合わせが記憶されている。
【0059】
ここで第1の組み合わせは、V入賞口16への不正入賞を意図する遊技者がパチンコ機10の上皿10c(図3の領域E1)をかなり強めに叩いたときに起こりうる振動を想定して記憶された、XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルである。また第2の組み合わせは、遊技領域の左上側で生じた玉詰まりの解消を意図する遊技者が遊技盤11の左上(図3の領域E2)のガラス窓を弱めに叩いたときに起こりうる振動を想定して記憶された、XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルである。さらに第3の組み合わせは、補給シュートの直下で生じた玉詰まりの解消を意図する遊技者が台枠10aの左上(図3の領域E3)を強めに叩いたときに起こりうる振動を想定して記憶された、XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルである。
【0060】
これらの基準電気信号レベルは、振動検出基板30がメーカーから出荷される際に、前記想定に基づいて求められた値が予め記憶されているが、後述する基準レベル設定手段により設定変更可能である。
【0061】
また制御部32は信号レベル判定手段の一例であって、3軸加速度センサ20が加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号(ここでは前記A/Dコンバータ31により変換した加速度信号のレベル)を入力し、該入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定するものであり、ここでは入力した電気信号のレベルが基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているか否かを判定する。
【0062】
具体的には、後述する図7(a)に示すように、入力された加速度信号(入力信号)のレベルが、図5に示す第1〜第3の基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているかを判定する(S22,S28,S30)。ここで基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定するに当たっては、該基準電気信号レベルがプラスの値のときには、入力信号のレベルが当該プラスの値の基準電気信号レベル以上である場合に到達していると判定し、該基準電気信号レベルがマイナスの値のときには、入力信号のレベルが当該マイナスの値の基準電気信号レベル以下である場合に到達していると判定する。例えば入力されたXout信号のレベルが−4以下であり、Yout信号のレベルが−8以下であり、Zout信号が+4以上である場合に、第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していると判定する。
【0063】
また制御部32は基準レベル到達時処理手段の一例であって、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したことを条件として、予め定められた基準レベル到達時処理を実行するものであり、ここでは信号レベル判定手段による判定結果の各々に対応した複数の基準レベル到達時処理を実行可能であり、該信号レベル判定手段がいずれかの組み合わせに到達していると判定したことを条件として、該判定結果に対応した基準レベル到達時処理して、予め定められた信号を外部出力する。
【0064】
具体的には、図5に示すように、第1の組み合わせに到達していると判定した場合には、エラー信号を外部出力し、第2の組み合わせに到達していると判定した場合には、玉詰まり1信号を外部出力し、第3の組み合わせに到達していると判定した場合には、玉詰まり2信号を外部出力する。この第1実施形態では、制御部32から外部出力されたエラー信号,玉詰まり1信号,及び玉詰まり2信号は、呼出ランプ装置40の制御部42に入力される。
【0065】
ここで基準レベル到達時処理手段として機能する制御部32は、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある所定時間内に後述する入賞信号入力手段(呼出ランプ装置40のパチンコ機用通信部41a)に入賞信号が入力したことを条件として、基準レベル到達時処理を実行するものである。
【0066】
具体的には、図7(a)に示すように、信号レベル判定手段により第1の組み合わせに到達している(S22でYES)と判定した場合には、所定時間(例えば3秒)内に、前記入賞検出手段(パチンコ機10の遊技制御基板17)によりV入賞口16への入賞が検出されて、該遊技制御基板17から出力されたV入賞信号が入賞信号入力手段(呼出ランプ装置40のパチンコ機用通信部41a)に入力されたこと(S25でYES)を条件として、前記エラー信号を外部出力する。
【0067】
即ち遊技者が図3の領域E1に加えた振動により不正入賞が発生したことを特定して、基準レベル到達時処理を実行するようにしたものである。ここでは前記所定の入賞がV入賞口16への入賞なので、所定時間としては、基準電気信号レベルに到達していると判定された後であって、ステージ15b上にある打込玉が落下してV入賞口16に入賞するまでの平均時間(例えば3秒)が設定されている。
【0068】
さらに制御部32は基準レベル設定手段の一例であって、後述する任意設定モード(図6のS17〜S20)の実行により、前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することが可能なものであり、また後述する現場設定モード(同S12〜S15)の実行により、3軸加速度センサ20から出力される前記XYZ各々の軸方向の電気信号に応じて、前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更するものである。具体的には、リモコン60の操作により、該リモコン60から呼出ランプ装置40のリモコン用通信部46,及び制御部42を介して送信されてきたコマンドに基づいて、制御部32が基準レベル設定手段として機能して基準電気信号レベルの設定変更が行われるが、これについては図6を参照して後述する。
【0069】
呼出ランプ装置40は、パチンコ機10に対応して(ここではパチンコ機10の上部に隣接して)設けられ、遊技場の店員の呼出や遊技データの表示を行うためのものである。この呼出ランプ装置40は、図2(a)に示すように、横長の箱形の形状を呈するものであり、その全面に呼出ボタン43,ランプ44,ディスプレイ45,及びリモコン用通信部46等を備え、図1に示すように、その内部にパチンコ機用通信部41a,ホールコンピュータ用通信部41b,制御部42,及び振動検出基板30等を備え、これら呼出ランプ装置40に備えられる各機器は、図1に示すように接続されている。
【0070】
パチンコ機用通信部41aは入賞信号入力手段の一例であって、対応するパチンコ機10から出力される所定の入賞信号を入力するものであり、ここでは該パチンコ機10の遊技制御基板17から出力される各入賞信号が入力される。ホールコンピュータ用通信部41bは、ホールコンピュータ50の後述する第1通信部51aと通信可能に接続され、呼出ランプ装置40とホールコンピュータ50との間における通信を司るものである。このホールコンピュータ用通信部41bから第1通信部51aに対しては、対応するパチンコ機10の遊技制御基板17から入力された各入賞信号や、呼出ランプ装置40に設置された振動検出基板30から入力されたエラー信号,玉詰まり1信号,及び玉詰まり2信号が送信される。
【0071】
制御部42はCPU,RAM,ROM,EEPROM等を備え、ROMに記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行されることにより、呼出ランプ装置40に設けられる各構成要素の動作を制御して各種の処理を行うものである。ここでRAMには、対応するパチンコ機10の遊技制御基板17から出力されたパルス状のV入賞信号の入力数が、大当り回数として記憶されている。またEEPROMには、対応するパチンコ機10の台番号が記憶されている。
【0072】
この制御部42は、振動検出基板30の制御部32から出力されたエラー信号が入力されると、エラー処理として、エラーの発生を示す態様でランプ44を点灯する制御を行うと共に、EEPROMで記憶している台番号を含むエラー信号を、ホールコンピュータ用通信部41bからホールコンピュータ50に対して送信する処理を行う。
【0073】
また制御部42は、振動検出基板30の制御部32から出力された玉詰まり1信号が入力されると、第1玉詰まり処理として、図3の領域E2における玉詰まりを示す態様でランプ44を点灯する制御を行うと共に、EEPROMで記憶している台番号を含む玉詰まり信号を、ホールコンピュータ用通信部41bからホールコンピュータ50に対して送信する処理を行う。さらに制御部42は、振動検出基板30の制御部32から出力された玉詰まり2信号が入力されると、第2玉詰まり処理として、図3の領域E3における玉詰まりを示す態様でランプ44を点灯する制御を行うと共に、EEPROMで記憶している台番号を含む玉詰まり信号を、ホールコンピュータ用通信部41bからホールコンピュータ50に対して送信する処理を行う。ここで送信される玉詰まり信号は、第1の玉詰まり処理及び第2の玉詰まり処理において共通のものである。
【0074】
呼出ボタン43は、遊技場の店員を呼び出す操作を受け付けるものである。この呼出ボタン43が操作されると、ランプ44が発光されて、遊技場の店員が呼び出される。ディスプレイ45は、制御部42のRAMで記憶している大当り回数や、ホールコンピュータ50から読み出した遊技データ等を表示するものである。
【0075】
リモコン用通信部46は、リモコン60との間で電波のやり取りを行うことにより、呼出ランプ装置40とリモコン60との間における通信を司るものである。ここでリモコン60からは、各種のコマンドが、呼出ランプ装置40を介して振動検出基板30の制御部32に対して送信される。また振動検出基板30の制御部32からは、該制御部32のEEPROMで記憶されている基準電気信号レベル(図5を参照)が、呼出ランプ装置40を介してリモコン60に対して送信される。
【0076】
ホールコンピュータ50は、遊技場内の所定箇所(例えば管理事務所等)に設けられ、パチンコ機10により発生した遊技データや玉貸ユニット2による売上等を管理するものである。このホールコンピュータ50は、図1に示すように接続される第1通信部51a,第2通信部51b,制御部52,及びハードディスク53等を備えており、記憶手段である該ハードディスク53で、遊技データや売上等が記憶されている。
【0077】
第1通信部51aは、前述の如く、各呼出ランプ装置40のホールコンピュータ用通信部41bと通信可能に接続されている。また第2通信部51bは、監視カメラ制御装置4,及び場内放送装置5と通信可能に接続されている。
【0078】
制御部52はCPU,RAM,ROM等を備え、ハードディスク53に記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行されることにより、ホールコンピュータ50に設けられる各構成要素の動作を制御して各種の処理を行うものである。
【0079】
この制御部52は、呼出ランプ装置40のホールコンピュータ用通信部41bから出力されたエラー信号が入力されると、エラー処理として、該エラー信号に含まれる台番号を記憶すると共に、該記憶した台番号の呼出ランプ装置40から始動入賞信号(1回始動入賞信号又は2回始動入賞信号)を受信すると、該台番号を含む撮像指示信号を、第2通信部51bから監視カメラ制御装置4に送信する撮像指示処理を行う。この撮像指示信号を受信した監視カメラ制御装置4は、該撮像指示信号に含まれる台番号のパチンコ機10をズームアップして撮像する旨を、当該パチンコ機10の近傍にある監視カメラ(図示外)に対して指示する監視強化処理を行う。ここでエラー信号の入力に基づいて、該エラー信号に含まれる台番号のパチンコ機10を常時監視することとすると、他のパチンコ機10の監視がおろそかになるが、上述の如く、不正が行われる可能性が高いとき(即ち始動入賞したとき)のみ監視を強化するようにしたので、効果的な監視ができる。
【0080】
また制御部52は、呼出ランプ装置40のホールコンピュータ用通信部41bから出力された玉詰まり信号が入力されると、玉詰まり処理として、該玉詰まり信号に含まれる台番号を含む放送指示信号を、第2通信部51bから場内放送装置5に対して送信する放送指示処理を行う。この放送指示信号を受信した場内放送装置5は、該放送指示信号に含まれる台番号のパチンコ機10において玉詰まりが発生している旨を遊技場内において放送する場内放送処理を行う。これにより、該放送を聞いた遊技場の店員が当該パチンコ機10に向かい、玉詰まりを解消する処理を行うことができる。
【0081】
次に、図6及び図7(a)を参照して、第1実施形態に係る振動検出基板30の制御部32が実行する処理について説明する。
【0082】
まず図6は、パチンコ機10又は遊技盤11の設置時において振動検出基板30の制御部32が実行する設置時処理の一例を表すフローチャートである。この第1実施形態では、上述の如く、呼出ランプ装置40を介して、該呼出ランプ装置40に設置される振動検出基板30と、遊技場の店員が操作するリモコン60との間における電波のやり取りが行われるが、以下の説明では、呼出ランプ装置40の介在については省略する。
【0083】
3軸加速度センサ20が設置された遊技盤11を含む新規のパチンコ機10が設置されるか、又は3軸加速度センサ20が設置された新規の遊技盤11が既存の台枠10aに嵌め込まれ、それら3軸加速度センサ20と呼出ランプ装置40に設置されている振動検出基板30とが接続されると、制御部32は、S11又はS16で、リモコン60から現場設定モード信号又は任意設定モード信号の受信を待機する。このときリモコン60では、現場設定モード又は任意設定モードの選択を受付可能となり、カーソルをいずれかのモードに合わせて決定ボタンを操作すると、該選択されたモードが振動検出基板30の制御部32に対して送信される。
【0084】
このS11でリモコン60から現場設定モード信号の受信が有ると(YES)、制御部32は、S12〜S15に示す現場設定モードを実行する。まずS12で、制御部32のEEPROMで記憶している基準電気信号レベル(図5)をリモコン60に対して送信し、S13で、設定変更する組み合わせの指定を待機する。このときリモコン60では、図5に示す表がディスプレイ61に表示されて、設定変更する組み合わせの指定を受付可能となり、カーソルをいずれかの組み合わせ(例えば第1の組み合わせ)に合わせて決定ボタンを操作すると、該組み合わせの指定が振動検出基板30に対して送信される。
【0085】
このS13で設定変更する組み合わせの指定が有ると(YES)、S14で、3軸加速度センサ20から出力される加速度信号の入力を待機する。このS14の状態で、前記指定された組み合わせに対応する領域(ここでは図3の領域E1)に対して、不正入賞を意図する遊技者が加える程度のかなり強めの振動が遊技場の店員によりパチンコ機10に加えられると、該振動に応じて3軸加速度センサ20から出力された加速度信号がA/Dコンバータ31に入力され、デジタル変換された加速度信号のレベルの入力が有ると(YES)、該入力された加速度信号のレベルを、前記指定された組み合わせの基準電気信号レベルとして新たに記憶して、処理を終了する。なおS13で、予め定められた時間内に設定変更する組み合わせの指定が無く、またS14で、予め定められた時間内に加速度信号の入力が無い場合にも、処理を終了する。
【0086】
またS13で、第2の組み合わせが指定された場合には、該第2の組み合わせに対応する領域(図3の領域E2)に対して、玉詰まりの解消を意図する遊技者が加える程度の弱めの振動が遊技場の店員によりパチンコ機10に加えられると、該振動に応じて3軸加速度センサ20から出力された加速度信号のレベルが、第2の組み合わせの基準電気信号レベルとして新たに記憶される。またS13で、第3の組み合わせが指定された場合には、該第3の組み合わせに対応する領域(図3の領域E3)に対して、玉詰まりの解消を意図する遊技者が加える程度の強めの振動が遊技場の店員によりパチンコ機10に加えられると、該振動に応じて3軸加速度センサ20から出力された加速度信号のレベルが、第3の組み合わせの基準電気信号レベルとして新たに記憶される。なお設定変更ではなく、新規設定をする場合には、S13で、基準電気信号レベルの設定値が空欄である第4の組み合わせを指定すれば良い。
【0087】
この現場設定モードによれば、パチンコ機10を設置した状態で振動を加えた結果の実データを基準電気信号レベルとして記憶できるので、実際に遊技に影響する振動に基づいて、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0088】
前記S16でリモコン60から任意設定モード信号の受信が有ると(YES)、制御部32は、S17〜S20に示す任意設定モードを実行する。まずS17で、制御部32のEEPROMで記憶している基準電気信号レベル(図5)をリモコン60に対して送信し、S18で、設定変更する組み合わせの指定を待機する。このときリモコン60では、図5に示す表がディスプレイ61に表示されて、設定変更する組み合わせの指定を受付可能となり、カーソルをいずれかの組み合わせ(例えば第1の組み合わせ)に合わせて決定ボタンを操作すると、該組み合わせの指定が振動検出基板30に対して送信される。なお設定変更ではなく、新規設定をする場合には、基準電気信号レベルが空欄である第4の組み合わせを指定すれば良い。
【0089】
このS18で設定変更する組み合わせの指定が有ると(YES)、S19で、新たな基準電気信号レベルの入力を待機する。このときリモコン60では、新たな基準電気信号レベルの入力を受付可能となり、カーソルをいずれかの入力欄に合わせ、新たな基準電気信号レベルを入力して決定ボタンを操作すると、該新たな基準電気信号レベルが振動検出基板30に対して送信される。このS19で新たな基準電気信号レベルの入力が有ると(YES)、該入力された基準電気信号レベルを新たに記憶して、処理を終了する。なおS18で、予め定められた時間内に設定変更する組み合わせの指定が無く、またS19で、予め定められた時間内に新たな基準電気信号レベルの入力が無い場合にも、処理を終了する。
【0090】
この任意設定モードによれば、パチンコ機10の設置状況や設置環境等の要因に応じて、遊技場において基準電気信号レベルを設定変更することができるので、それらの要因に影響されずに、信号レベル判定手段による判定ができる。
【0091】
次に図7(a)は、遊技場の営業中において振動検出基板30の制御部32が実行する営業中処理の一例を表すフローチャートである。なお該営業中処理が行われる前に、3軸加速度センサ20においては、遊技場の営業開始時において電力が供給されたときに、前記原点補正機能によりXYZ各々の軸の原点が補正されている。
【0092】
まず制御部32は、S21で、3軸加速度センサ20から出力される加速度信号の入力を待機する。このS21の状態で、遊技者によりパチンコ機10に振動が加えられると、該振動に応じて3軸加速度センサ20から出力された加速度信号がA/Dコンバータ31に入力され、デジタル変換された加速度信号のレベルの入力が有ると(YES)、S22で、該入力された加速度信号のレベルがEEPROMで記憶している第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。
【0093】
このS22で第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S23で、制御部32に設けられたタイマによる計時をスタートし、S24で、該タイマによる計時が予め定められた所定時間(例えば3秒)を経過したか否かを判定する。このS24で所定時間を経過していない(NO)と判定された場合には、S25で、対応するパチンコ機10の遊技制御基板17から出力されるV入賞信号が、入賞信号入力手段であるパチンコ機用通信部41aに入力されたか否かを判定する。このS25でV入賞信号が入力された(YES)と判定された場合には、S26で、呼出ランプ装置40の制御部42に対してエラー信号を出力して、処理を終了する。
【0094】
これによれば、3軸加速度センサ20から入力された加速度信号のレベルが基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に所定の入賞信号が入力したことを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、不正入賞の発生を特定することができる。
【0095】
一方、S25でV入賞信号が入力されていない(NO)と判定された場合には、S24に戻り、該S24で所定時間を経過した(YES)と判定された場合、即ち図3の領域E1に振動が加えられてから所定時間内にV入賞口16への入賞が無い場合には、S27で、タイマをリセットして、処理を終了する。
【0096】
前記S22で第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合には、S28で、前記入力された加速度信号のレベルがEEPROMで記憶している第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。このS28で第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S29で、呼出ランプ装置40の制御部42に対して玉詰まり1信号を出力して、処理を終了する。
【0097】
一方、S28で第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合には、S30で、前記入力された加速度信号のレベルがEEPROMで記憶している第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。このS30で第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S31で、呼出ランプ装置40の制御部42に対して玉詰まり2信号を出力して、処理を終了する。なおS30で第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合にも、処理を終了する。
【0098】
これによれば、対応するパチンコ機10において玉詰まり等が生じた場合に加えられる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶させておくことにより、不正入賞の発生だけでなく不正以外の事象(ここでは玉詰まり)の発生も特定することができる。
【0099】
ここで振動検出基板30の制御部32からS26のエラー信号が入力された呼出ランプ装置40は、前記エラー処理(即ちランプ44の点灯,及びホールコンピュータ50に対するエラー信号の送信)を行う。またS29の玉詰まり1信号が入力された呼出ランプ装置40は、前記第1玉詰まり処理(即ちランプ44の点灯,及びホールコンピュータ50に対する玉詰まり信号の送信)を行う。さらにS31の玉詰まり信号が入力された呼出ランプ装置40は、前記第2玉詰まり処理(即ちランプ44の点灯,及びホールコンピュータ50に対する玉詰まり信号の送信)を行う。なお各処理において点灯されたランプ44は、遊技場の店員が操作するリモコン60からリセット信号を受信することにより消灯される。
【0100】
そして呼出ランプ装置40からエラー信号を受信したホールコンピュータ50は、エラー処理として、監視カメラ制御装置4に対して前記撮像指示処理を行う。また玉詰まり信号を受信したホールコンピュータ50は、玉詰まり処理として、場内放送装置5に対して前記放送指示処理を行う。
【0101】
このように、エラー信号等の予め定められた信号を外部出力する処理を基準レベル到達時処理として実行することにより、監視カメラ制御装置4等の外部装置と連携することができるので、振動を加えた遊技者に対する監視を強化できる。
【0102】
以上に説明した振動検出装置によれば、対応するパチンコ機10において不正入賞等が起こりうる振動を想定してXYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを記憶させ、3軸加速度センサ20から入力された電気信号のレベルが該記憶させた基準電気信号レベルに到達していることを条件として、エラー信号の出力等の基準レベル到達時処理が実行されるので、他の要因により生じた振動を検出しても基準レベル到達時処理が実行されることがなく、善意の遊技者に迷惑がかかることがない。即ち、当該パチンコ機10に隣接する台や当該パチンコ機10の裏面側の台で遊技をしている遊技者がそれらの台を叩いた場合に生ずる加速度信号のレベルは、当該パチンコ機10を叩いた場合に生ずる加速度信号のレベルよりも相当に低いため、当該パチンコ機10を叩いた場合に生ずる加速度信号のレベルを基準電気信号レベルとして記憶させておくことにより、隣接する台や裏面側の台で生じた振動を検出してもエラー信号が出力されることがない。
【0103】
[1−2.第1実施形態の変形例に係る振動検出装置]
第1実施形態の変形例に係る振動検出装置は、図8に示すように、各パチンコ機10に設置される3軸加速度センサ20と、ホールコンピュータ50に設置される振動検出基板30とからなる。
【0104】
この変形例では、前記基準レベル記憶手段として機能する振動検出基板30の制御部32のEEPROMは、複数の加速度検出手段(3軸加速度センサ20)に対して、前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶しており、具体的には、ホールコンピュータ50に接続されるパチンコ機10のうちの3軸加速度センサ20が設置されている全てのパチンコ機10について、前記図5に示す基準電気信号レベルを各パチンコ機10毎に記憶している。
【0105】
また、この変形例では、前記基準レベル設定手段として機能する振動検出基板30の制御部32は、前記図6に示す設置時処理を複数の3軸加速度センサ20に対して並行して実行可能なマルチタスク機能を備えていると共に、前記信号レベル判定手段及び前記基準レベル到達時処理手段として機能する制御部32も、前記図7(a)に示す営業中処理を複数の3軸加速度センサ20に対して並行して実行可能なマルチタスク機能を備えている。
【0106】
また、この変形例では、前記基準レベル到達時処理手段として機能する制御部32から外部出力されたエラー信号,玉詰まり1信号,及び玉詰まり2信号は、ホールコンピュータ50の制御部52に入力される。
【0107】
さらに、この変形例では、ホールコンピュータ50の第1通信部51aが入賞信号入力手段として機能し、各パチンコ機10のユニット制御部21から出力されて呼出ランプ装置40に入力された各入賞信号が入力される。その他の構成要素は、前述した第1実施形態と同様である。
【0108】
次に、図6及び図7(a)を参照して、この変形例に係る振動検出基板30の制御部32が実行する処理について、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0109】
この変形例において、図6に示す設置時処理が実行される場合には、呼出ランプ装置40を介して、ホールコンピュータ50に設置される振動検出基板30と、遊技場の店員が操作するリモコン60との間における電波のやり取りが行われる。またS12又はS17の処理が行われる場合には、制御部32のEEPROMで記憶している基準電気信号レベルのうちの、リモコン60と電波のやり取りを行っている呼出ランプ装置40に対応するパチンコ機10について記憶している基準電気信号レベルを該リモコン60に対して送信し、以後は当該基準電気信号レベルを対象として処理が行われる。即ち、例えば1番台のパチンコ機10について基準電気信号レベルを設定変更する場合には、遊技場の店員は、該1番台に対応する呼出ランプ装置40に対してリモコン60からコマンドを送信すれば良い。
【0110】
また、この変形例において、図7(a)に示す営業中処理が実行される場合には、S21の状態で、遊技者によりあるパチンコ機10(例えば1番台)に振動が加えられると、該振動に応じて3軸加速度センサ20から出力された加速度信号がA/Dコンバータ31に入力され、デジタル変換された加速度信号のレベルの入力が有ると(YES)、S22で、該入力された加速度信号のレベルがEEPROMで当該パチンコ機10(ここでは1番台)について記憶している第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。
【0111】
このS22で第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S23で、制御部32に設けられたタイマによる計時をスタートし、S24で、該タイマによる計時が予め定められた所定時間(例えば3秒)を経過したか否かを判定する。このS24で所定時間を経過していない(NO)と判定された場合には、S25で、当該パチンコ機10(ここでは1番台)の遊技制御基板17から出力されるV入賞信号が、呼出ランプ装置40を介して、入賞信号入力手段である第1通信部51aに入力されたか否かを判定する。このS25でV入賞信号が入力された(YES)と判定された場合には、S26で、ホールコンピュータ50の制御部52に対してエラー信号を出力して、処理を終了する。
【0112】
一方、S25でV入賞信号が入力されていない(NO)と判定された場合には、S24に戻り、該S24で所定時間を経過した(YES)と判定された場合、即ち図3の領域E1に振動が加えられてから所定時間内にV入賞口16への入賞が無い場合には、S27で、タイマをリセットして、処理を終了する。
【0113】
前記S22で第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合には、S28で、前記入力された加速度信号のレベルがEEPROMで当該パチンコ機10(ここでは1番台)について記憶している第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。このS28で第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S29で、ホールコンピュータ50の制御部52に対して玉詰まり1信号を出力して、処理を終了する。
【0114】
一方、S28で第2の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合には、S30で、前記入力された加速度信号のレベルがEEPROMで当該パチンコ機10(ここでは1番台)について記憶している第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達しているか否かを判定する。このS30で第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合には、S31で、ホールコンピュータ50の制御部52に対して玉詰まり2信号を出力して、処理を終了する。なおS30で第3の基準電気信号レベルの組み合わせに到達していない(NO)と判定された場合にも、処理を終了する。
【0115】
ここで振動検出基板30の制御部32からS26のエラー信号が入力されたホールコンピュータ50は、エラー処理として、当該パチンコ機10を対象とした前記撮像指示処理を行うと共に、当該パチンコ機10に対応する呼出ランプ装置40に対してエラー信号を送信する処理を行う。またS29の玉詰まり1信号が入力されたホールコンピュータ50は、当該パチンコ機10を対象とした前記放送指示処理を行うと共に、当該パチンコ機10に対応する呼出ランプ装置40に対して玉詰まり1信号を送信する処理を行う。さらにS31の玉詰まり2信号が入力されたホールコンピュータ50は、当該パチンコ機10を対象とした前記放送指示処理を行うと共に、当該パチンコ機10に対応する呼出ランプ装置40に対して玉詰まり2信号を送信する処理を行う。
【0116】
そしてホールコンピュータ50からエラー信号を受信した呼出ランプ装置40は、エラー処理として、エラーの発生を示す態様でランプ44を点灯する制御を行う。また玉詰まり1信号を受信した呼出ランプ装置40は、第1玉詰まり処理として、図3の領域E2における玉詰まりを示す態様でランプ44を点灯する制御を行う。さらに玉詰まり2信号を受信した呼出ランプ装置40は、第2玉詰まり処理として、図3の領域E3における玉詰まりを示す態様でランプ44を点灯する制御を行う。なお各処理において点灯されたランプ44は、遊技場の店員が操作するリモコン60からリセット信号を受信することにより消灯される。
【0117】
[2−1.第2実施形態に係る弾球遊技機]
第2実施形態に係る弾球遊技機であるパチンコ機10’は、図9(a)に示すように、3軸加速度センサ20と、振動検出基板30とを備えている。この図9に示す例では、第1実施形態と同様に、複数のパチンコ機10,玉貸ユニット2,及び呼出ランプ装置40と、該複数の呼出ランプ装置40と通信可能なホールコンピュータ50と、該ホールコンピュータ50と通信可能な監視カメラ制御装置4及び場内放送装置5と、各呼出ランプ装置40と通信可能なリモコン60とで、遊技場における振動検出システム1’を構成している。
【0118】
この第2実施形態では、パチンコ機10に設置される振動検出基板30は、図2(c’)に示すように、基台21と3軸加速度センサ20との間に介在されている。そして3軸加速度センサ20及び振動検出基板30を駆動する電力を電源から供給するための電力線や、振動検出基板30から出力される信号線等は、支柱22の中空部を通って、遊技盤11の裏面に導かれる。
【0119】
また第2実施形態では、前記基準レベル到達時処理手段として機能する制御部32は、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある所定時間内に前記入賞検出手段(遊技制御基板17)が入賞を検出したことを条件として、基準レベル到達時処理を実行するものである。
【0120】
また第2実施形態では、呼出ランプ装置40は、制御部42に接続され、パチンコ機10’に設置される振動検出基板30の制御部32と通信可能な振動検出基板用通信部41cを備える。さらに前記基準レベル到達時処理手段として機能する制御部32から外部出力されたエラー信号,玉詰まり1信号,及び玉詰まり2信号は、振動検出基板用通信部41cを介して呼出ランプ装置40の制御部42に入力される。その他の構成要素は、前述した第1実施形態と同様である。
【0121】
次に、図6及び図7を参照して、この第2実施形態に係る振動検出基板30の制御部32が実行する処理について、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0122】
この第2実施形態において、図6に示す設置時処理が実行される場合には、呼出ランプ装置40を介して、該呼出ランプ装置40に対応するパチンコ機10に設置される振動検出基板30と、遊技場の店員が操作するリモコン60との間における電波のやり取りが行われる。なお、処理の具体的な内容は、前述した第1実施形態と同様である。
【0123】
また、この第2実施形態において、図7(a)に示す処理が実行される場合には、S25で、入賞検出手段である遊技制御基板17がV入賞を検出したか否かを判定する。このS25でV入賞が検出された(YES)と判定された場合には、S26で、呼出ランプ装置40の制御部42に対してエラー信号を出力して、処理を終了する。一方、S25でV入賞が検出されていない(NO)と判定された場合には、S24に戻り、該S24で所定時間を経過した(YES)と判定された場合、即ち図3の領域E1に振動が加えられてから所定時間内にV入賞口16への入賞が無い場合には、S27で、タイマをリセットして、処理を終了する。なお、その他の処理の具体的な内容は、前述した第1実施形態と同様である。
【0124】
[2−2.第2実施形態の変形例に係る弾球遊技機]
第2実施形態の変形例に係る弾球遊技機であるパチンコ機10’は、前述した第2実施形態と同様の構成であるが、振動検出基板30の制御部32が、図7(a)の点線で囲ったS23〜S27の処理を行わない一方で図7(b)に示すS22’の処理を行うと共に、パチンコ機10’の遊技制御基板17が、図7(b)に示すS23’〜S27’の処理を行う点が、前述した第2実施形態と異なる。
【0125】
即ち、この変形例では、パチンコ機10’の遊技制御基板17が基準レベル到達時処理手段の一部として機能し、該遊技制御基板17が、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある所定時間内に前記入賞検出手段(遊技制御基板17)が入賞を検出したことを条件として、基準レベル到達時処理(エラー信号の出力)を実行するものである。
【0126】
具体的には、制御部32は、図7(a)に示すS22で第1の基準電気信号レベルの組み合わせに到達している(YES)と判定された場合に、図7(b)に示すように、S22’で、遊技制御基板17に対してエラー信号を出力して、処理を終了する。このエラー信号を受信した遊技制御基板17は、S23’で、該遊技制御基板17に設けられたタイマによる計時をスタートし、S24’で、該タイマによる計時が予め定められた所定時間(例えば3秒)を経過したか否かを判定する。このS24’で所定時間を経過していない(NO)と判定された場合には、S25’で、入賞検出手段である遊技制御基板17がV入賞を検出したか否かを判定する。このS25’でV入賞が検出された(YES)と判定された場合には、S26’で、呼出ランプ装置40の制御部42に対してエラー信号を出力して、処理を終了する。一方、S25’でV入賞が検出されていない(NO)と判定された場合には、S24’に戻り、該S24’で所定時間を経過した(YES)と判定された場合、即ち図3の領域E1に振動が加えられてから所定時間内にV入賞口16への入賞が無い場合には、S27’で、タイマをリセットして、処理を終了する。なお、その他の処理の具体的な内容は、前述した第1実施形態と同様であるため、玉詰まり1信号及び玉詰まり2信号は、制御部32から出力されて、呼出ランプ装置40の制御部42に入力される。
【0127】
[3.本発明の変形例]
最後に、本発明の変形例について説明する。
【0128】
上記の実施形態では、弾球遊技機がパチンコ機10である例について説明したが、これに限らず、該弾球遊技機は、例えばアレンジボール,ピンボール,スマートボール等であっても良い。即ち弾球遊技機は、遊技球を弾発発射し、該遊技球を特定の領域(穴や孔を含む)に入賞させる遊技機であれば良い。
【0129】
上記の実施形態では、パチンコ機10が羽根モノと称されるものである例について説明したが、これに限らず、該パチンコ機は、特定の入賞口に打込玉が入賞することにより大当りが発生するものであっても良い。このパチンコ機は一発台と称されるもので、例えばすり鉢状の凹面の3箇所に孔が設けられ、中央手前の孔が当選孔であり、右奥及び左奥の孔が落選孔であるような役物(いわゆる3穴クルーン)を備え、該役物に導かれて凹面上を円運動する打込玉が当選孔に入賞すると大当りが発生するものである。なおパチンコ機は、特定の入賞口への打込玉の入賞が大当りに直結しないもの(いわゆるデジパチ)であっても良い。
【0130】
上記の実施形態では、不正以外の事象として、玉詰まりを特定できる例について説明したが、これに限らず、該不正以外の事象として、例えばパチンコ機がデジパチと称さるものである場合には、図柄表示装置による図柄の表示が終了したときに該図柄表示装置が位置する部分のガラス窓を叩くような事象を特定できるようにしても良い。これによれば、当該部分を頻繁に叩く遊技者を特定して、注意を促すことができる。
【0131】
上記の実施形態では、図1,図8,及び図9に示すように、玉貸ユニット2及びパチンコ機10,10’が、両者の間でパチンコ玉の貸与に関する信号のやり取りをして、パチンコ機10,10’からパチンコ玉を払い出して貸与する、いわゆるCRユニット及びCR機である例について説明したが、これに限らず、玉貸ユニットからパチンコ玉を払い出して貸与する、いわゆる現金ユニット及び現金機であっても良い。
【0132】
上記の第1実施形態では、図1に示すように、呼出ランプ装置40が振動検出基板30を備える例について説明したが、これに限らず、玉貸ユニット2が振動検出基板30を備えるようにしても良く、また図示しないが、所定台数(例えば4台)のパチンコ機10と通信可能であり、ホールコンピュータ50に対して送信するデータを中継する台端末装置が、振動検出基板30を備えるようにしても良い。
【0133】
上記の第1実施形態では、図1に示すように、呼出ランプ装置40が振動検出基板30を備える例について説明したが、これに限らず、該振動検出基板30の基準レベル記憶手段,信号レベル判定手段,基準レベル到達時処理手段,及び基準レベル設定手段としての機能を、呼出ランプ装置40の制御部42が実行するようにしても良い。
【0134】
上記の第1実施形態の変形例では、図8に示すように、ホールコンピュータ50が振動検出基板30を備える例について説明したが、これに限らず、該振動検出基板30の基準レベル記憶手段,信号レベル判定手段,基準レベル到達時処理手段,及び基準レベル設定手段としての機能を、ホールコンピュータ50の制御部52が実行するようにしても良い。
【0135】
上記の第1実施形態の変形例では、図8に示すように、ホールコンピュータ50に設置される振動検出基板30のA/Dコンバータ31と、各パチンコ機10に設置される3軸加速度センサ20とが、各々別個の信号線で接続されている例について説明したが、該A/Dコンバータを呼出ランプ装置40又はパチンコ機10に設け、3軸加速度センサ20から出力される加速度信号を該A/Dコンバータに入力し、該A/Dコンバータによりデジタル変換された加速度信号を呼出ランプ装置40のホールコンピュータ用通信部41bからホールコンピュータ50の第1通信部51aに送信して、ホールコンピュータ50に設置される振動検出基板30の制御部32に入力するようにしても良い。これによれば、呼出ランプ装置40とホールコンピュータ50とを接続する既存の信号線を利用できるので、各パチンコ機10に設置された3軸加速度センサ20とホールコンピュータ50とを接続する新たな信号線を設ける必要がなくなる。
【0136】
上記の実施形態では、図2(b)に示すように、各パチンコ機10(弾球遊技機)に対して1つの3軸加速度センサ20(加速度検出手段)が設置される例について説明したが、これに限らず、不正を目的とする振動が加えられたこと,及び不正を目的としない振動が加えられたことの両方を検出できるのであれば、各パチンコ機10に対して設置する3軸加速度センサ20の数は特に限定されない。例えば遊技領域の左右2箇所に、大当りの発生に直結するV入賞口があるときには、遊技盤11の左右2箇所に3軸加速度センサ20を設置するようにしても良く、この場合には、振動検出基板30が、遊技盤11の右側に設置した3軸加速度センサ20で不正な振動を検出した旨を判定する第1不正判定手段,及び遊技盤11の左側に設置した3軸加速度センサ20で不正な振動を検出した旨を判定する第2不正判定手段として機能するようにすれば良い。
【0137】
上記の実施形態では、図2(b)に示すように、3軸加速度センサ20(加速度検出手段)が遊技盤11の左下隅に設置されている例について説明したが、これに限らず、該3軸加速度センサ20の設置箇所は、パチンコ機10に生じた振動が伝わりやすい箇所であれば良い。
【0138】
上記の実施形態では、図2(c)(c’)に示すように、3軸加速度センサ20(加速度検出手段)をマウントしている基台21が、中空円筒状の支柱22により遊技盤11に対して支持される例について説明したが、これに限らず、例えば該基台21は、2本以上の棒状の支柱により遊技盤11に対して支持されるようにしても良い。また基台21を設けずに、3軸加速度センサ20が支柱22のみで遊技盤11に対して支持されるようにしても良く、さらに基台21及び支柱22を設けずに、3軸加速度センサ20が遊技盤11に対して直接マウントされるようにしても良い。即ち3軸加速度センサ20は、パチンコ機10に生じた振動が伝わりやすいような形態で遊技盤11に対して支持されれば良い。
【0139】
上記の実施形態では、図2(c)(c’)に示す基台21及び支柱22の材質がゴムやシリコンである例について説明したが、該材質は、それら以外の軟性部材でも良く、また軟性部材でなくても良い。即ち該材質は、パチンコ機10に生じた振動が3軸加速度センサ20に伝わりやすく(即ち感度が良く)、かつ該振動の減衰が早い部材であれば良い。
【0140】
上記の実施形態では、図2(c)(c’)に示す加速度検出手段が、ピエゾ抵抗式加速度センサである例について説明したが、これに限らず、該加速度検出手段は、例えば静電容量式等であっても良く。その形式は特に限定されない。また該加速度検出手段は、XYZの3軸以外の軸方向の加速度を電気信号で出力するものであっても良い。
【0141】
上記の実施形態では、振動検出基板30のA/Dコンバータ31において、3軸加速度センサ20から入力されたアナログの加速度信号が、32段階に区分されるレベルのうちのいずれかのレベルの加速度信号にデジタル変換される例について説明したが、該デジタル変換される段数は32段階には限定されず、それより多くても少なくても良い。
【0142】
上記の実施形態では、図6に示す設置時処理が、新規のパチンコ機10又は遊技盤11が設置された場合に実行される例について説明したが、該設置時処理は、既存のパチンコ機10に対しても実行可能である。
【0143】
上記の実施形態では、所定の入賞がV入賞口16への入賞であり、図7に示すように、信号レベル判定手段により基準電気信号レベル(第1の組み合わせ)に到達していると判定されてから所定時間内にV入賞信号の入力又はV入賞の検出があったときに基準レベル到達時処理(エラー信号の出力)が行われる例について説明したが、これに限らず、例えば以下のようにしても良い。
【0144】
まず第1に、所定の入賞を1回始動入賞口12への入賞とした場合には、1回始動入賞センサ12aによる入賞の検出から、該入賞の検出に応じて羽根部材14が開き、打込玉が役物15に入賞してV入賞口16に入賞するまでの平均時間を前記所定時間として設定すると共に、1回始動入賞信号が振動検出基板30に入力されるように構成し、該1回始動入賞信号が入力されてから前記設定された所定時間内に信号レベル判定手段により基準電気信号レベルに到達していると判定されたときに基準レベル到達時処理が行われるようにしても良い。
【0145】
また第2に、所定の入賞を2回始動入賞口13への入賞とした場合には、2回始動入賞センサ13aによる入賞の検出から、該入賞の検出に応じて羽根部材14が開き、打込玉が役物15に入賞してV入賞口16に入賞するまでの平均時間を前記所定時間として設定すると共に、2回始動入賞信号が振動検出基板30に入力されるように構成し、該2回始動入賞信号が入力されてから前記設定された所定時間内に信号レベル判定手段により基準電気信号レベルに到達していると判定されたときに基準レベル到達時処理が行われるようにしても良い。
【0146】
また第3に、所定の入賞を役物15への入賞とした場合には、役物入賞センサ15aによる入賞の検出から、打込玉がV入賞口16に入賞するまでの平均時間を前記所定時間として設定すると共に、役物入賞信号が振動検出基板30に入力されるように構成し、該役物入賞信号が入力されてから前記設定された所定時間内に信号レベル判定手段により基準電気信号レベルに到達していると判定されたときに基準レベル到達時処理が行われるようにしても良い。
【0147】
上記の実施形態では、ホールコンピュータ50において行われるエラー処理が、監視カメラ制御装置4に対して撮像指示信号を出力する撮像指示処理である例について説明したが、これに限らず、該エラー処理は、遊技場の店員が所持している端末装置や該店員が装着しているインカムに対して、不正が行われたパチンコ機10の台番号を通知する処理であっても良く、また不正が行われたパチンコ機10が設置されている遊技島の代表ランプを点灯させる処理であっても良い。
【0148】
上記の実施形態では、エラー信号が入力された場合のエラー処理や、玉詰まり信号が入力された場合の玉詰まり処理が、呼出ランプ装置40及びホールコンピュータ50において行われる例について説明したが、これに限らず、エラー信号や玉詰まり信号をパチンコ機10,10’にも入力し、該パチンコ機10,10’においてもエラー処理や玉詰まり処理が行われるようにしても良い。このエラー処理や玉詰まり処理としては、ランプ制御基板18の制御により、エラー又は球詰まりに応じた態様でランプ10cを点灯制御するようにしても良く、また専用のエラーランプや玉詰まりランプを設けて、それらを点灯制御するようにしても良い。またエラー処理としては、遊技を停止するようにしても良く、この場合には、パチンコ玉の発射を制御する発射制御基板に該発射の停止を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は第1実施形態に係る振動検出装置を含む振動検出システムの一例を表す機能ブロック図である。
【図2】図2(a)はパチンコ機及び呼出ランプ装置の一例を表す正面図であり、図2(b)は同パチンコ機の遊技盤の一例を表す正面図であり、図2(c)(c’)は同遊技盤に対する三軸加速度センサの取付構造の一例を表す斜視図である。
【図3】図3はパチンコ機に対して振動が加えられることが多い領域の一例を表す図である。
【図4】図4は三軸加速度センサから出力される電気信号の一例を表す図である。
【図5】図5は振動検出基板の制御部で記憶している基準電気信号レベルの一例を表す図である。
【図6】図6はパチンコ機又は遊技盤11の設置時において振動検出基板の制御部が実行する設置時処理の一例を表すフローチャートである。
【図7】図7は遊技場の営業中において振動検出基板の制御部が実行する営業中処理の一例を表すフローチャートであり、(a)は第1実施形態,第1実施形態の変形例,及び第2実施形態であり、(b)は第2実施形態の変形例である。
【図8】図8は第1実施形態の変形例に係る振動検出装置を含む振動検出システムの一例を表す機能ブロック図である。
【図9】図9(a)は第2実施形態に係るパチンコ機を含む振動検出システムの一例を表す機能ブロック図であり、図9(b)は同変形例の一部分を表す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
10…パチンコ機
16…V入賞口
16a…V入賞センサ
17…遊技制御基板
20…3軸加速度センサ
30…振動検出基板
32…制御部
40…呼出ランプ装置
50…ホールコンピュータ
60…リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する弾球遊技機に生じた振動による加速度を、少なくともX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向について検出し、該検出したXYZ各々の軸方向の加速度を電気信号で出力する加速度検出手段と、
前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶する基準レベル記憶手段と、
前記加速度検出手段が加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号を入力し、該入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定する信号レベル判定手段と、
該信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したことを条件として、予め定められた基準レベル到達時処理を実行する基準レベル到達時処理手段と、
を備えることを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載した振動検出装置であって、
対応する弾球遊技機から出力される所定の入賞信号を入力する入賞信号入力手段をさらに備え、
前記基準レベル到達時処理手段は、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に前記入賞信号入力手段に入賞信号が入力したことを条件として、前記基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする振動検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した振動検出装置であって、
前記基準レベル到達時処理手段は、予め定められた信号を外部出力する処理を前記基準レベル到達時処理として実行することを特徴とする振動検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、
前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することが可能な基準レベル設定手段をさらに備えることを特徴とする振動検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載した振動検出装置であって、
前記基準レベル設定手段は、前記加速度検出手段から出力される前記XYZ各々の軸方向の電気信号に応じて、前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することを特徴とする振動検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、
前記基準レベル記憶手段は、前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶し、
前記信号レベル判定手段は、前記入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているか否かを判定し、
前記基準レベル到達時処理手段は、前記信号レベル判定手段による判定結果の各々に対応した複数の前記基準レベル到達時処理を実行可能であり、該信号レベル判定手段がいずれかの組み合わせに到達していると判定したことを条件として、該判定結果に対応した基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする振動検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載した振動検出装置であって、
前記加速度検出手段は、前記XYZ各々の軸の原点を補正する原点補正機能を有することを特徴とする振動検出装置。
【請求項8】
振動による加速度を、少なくともX軸方向,Y軸方向,及びZ軸方向について検出し、該検出したXYZ各々の軸方向の加速度を電気信号で出力する加速度検出手段と、
前記XYZ各々の軸方向について予め定められた基準電気信号レベルを記憶する基準レベル記憶手段と、
前記加速度検出手段が加速度を検出したときに出力されるXYZ各々の軸方向の電気信号を入力し、該入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルに到達しているか否かを判定する信号レベル判定手段と、
該信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したことを条件として、予め定められた基準レベル到達時処理を実行する基準レベル到達時処理手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項9】
請求項8に記載した弾球遊技機であって、
所定の入賞を検出する入賞検出手段をさらに備え、
前記基準レベル到達時処理手段は、前記信号レベル判定手段が基準電気信号レベルに到達していると判定したタイミングと予め定められた関係にある時間内に前記入賞検出手段が入賞を検出したことを条件として、前記基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項10】
請求項8又は9に記載した弾球遊技機であって、
前記基準レベル到達時処理手段は、予め定められた信号を外部出力する処理を前記基準レベル到達時処理として実行することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1つに記載した弾球遊技機であって、
前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することが可能な基準レベル設定手段をさらに備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項12】
請求項11に記載した弾球遊技機であって、
前記基準レベル設定手段は、前記加速度検出手段から出力される前記XYZ各々の軸方向の電気信号に応じて、前記基準レベル記憶手段に記憶する前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルを設定変更することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1つに記載した弾球遊技機であって、
前記基準レベル記憶手段は、前記XYZ各々の軸方向の基準電気信号レベルの組み合わせを複数記憶し、
前記信号レベル判定手段は、前記入力した電気信号のレベルが前記基準レベル記憶手段に記憶される基準電気信号レベルの組み合わせのうちのいずれかの組み合わせに到達しているか否かを判定し、
前記基準レベル到達時処理手段は、前記信号レベル判定手段による判定結果の各々に対応した複数の前記基準レベル到達時処理を実行可能であり、該信号レベル判定手段がいずれかの組み合わせに到達していると判定したことを条件として、該判定結果に対応した基準レベル到達時処理を実行することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか1つに記載した弾球遊技機であって、
前記加速度検出手段は、前記XYZ各々の軸の原点を補正する原点補正機能を有することを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−209624(P2007−209624A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34356(P2006−34356)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】