説明

振動造型機

【課題】振動テーブルの空気ばねの変位量を検知する手段として極めて精度が高く、振動テーブルに敷設するのに適した小型で軽量の検知手段により振動モーターの制御を適正に行うようにすること。
【解決手段】基台に複数の空気ばねを介して振動テーブルを設け、該振動テーブルに振動モーター配置してなる振動造型機であって、前記空気ばねの少なくとも1つの圧縮変形を検知するレーザー距離検知手段と、該レーザー距離検知手段の検知結果に基づいて振動テーブルに加わる荷重を算定する演算装置を設け、該演算装置の出力を前記制御装置に入力して振動モーターを制御するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自硬性鋳物砂等を用いて鋳型を造型するのに用いるところの振動造型機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自硬性鋳物砂により鋳型(中子、主型)を造型するのは、一般に、振動テーブルに載置した型枠に自硬性鋳物砂を充填し、該振動テーブルを上下に振動させて、鋳物砂を密なる状態に充填して行く方式が採られている。
このような振動テーブルとしては、従来一般に、テーブルに取り付けた振動モーター(バランスウエイト、アンバランスウエイトを備えたもの)を駆動し、テーブルを上下の方向(或いは水平方向、その方向の合成等)に所要の振動をさせて型枠内の鋳物砂に微細の振動(例えば振幅が0.1mm乃至0.3mm)を付与して型枠内で流動せしめて密なる状態に充填をしてゆくように構成されているが、自硬性鋳物砂の均一な充填を行うためには、振動モーターの振動数、振幅、強さ(特に加速度)を制御してやる必要がある。
【0003】
このように、振動モーターを種々の自硬性鋳物砂等の充填条件に応じて制御して行く技術としては、次の文献に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平08−090161。鋳物砂充填要振動テーブルの振動方法。
【特許文献2】特開2001−079647。鋳物砂振動充填方法と該方法に用いる鋳物砂振動充填装置。
【特許文献3】特開2003−062644。振動式砂充填装置における振動テーブルの振動方法。
【0004】
このような鋳物砂振動充填装置においては、自硬性鋳物砂を上下に流動させ、或いは円運動させる等、均一で密なる充填を行うようにするためには、所望の振動を現出させる必要があり、このためには、振動モーターの駆動条件を最適なものに制御してやる必要があるもので、その為に必要なファクターとして、鋳物砂に対する振動方向を決定するファクター以外に、強さ(縦、水平加速度)を決定するファクターとして、型枠に暫時充填される自硬性鋳物砂の総重量、即ち、荷重が重要である。
【0005】
特に、自硬性鋳物砂は、型枠(中子、主型)に暫時、場合によっては複数回充填されるので、その都度総重量が変動して行くと共に型枠に充填されて行くと、振動テーブル全体の重心位置が上方に移動して行くことになり、振動モーターのパワー制御と共に振動発生の方向をコントロールする正逆回転方向等の制御或いはバランスウエイト乃至アンバランスウエイトの調整が必要となる。
【0006】
これまでは、自硬性鋳物砂の充填重量の検出については、振動テーブルをフロアーに支持する空気ばねの内圧の変化(圧力上昇)を検知するか、光電管や超音波を用いて空気ばねの変位量(収縮距離)を検知し、そのデータをマイクロコンピューターに入力し、その変位量とばね定数から充填された自硬性鋳物砂の重量を算出し、その結果に基づいて、振動テーブルの重心位置の算定を含め、振動モーターの正逆回転方向、回転数、加速度を決定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した自硬性鋳物砂の充填重量の検出方法として、空気ばねの内圧を検知する手段を用いる場合には、感圧計は感度が高くなく、計測精度を上げることが出来難いために、正確な重量データをコントローラーに送ることが出来ず、其の結果として、振動モーターの制御が適正に行われておらず、自硬性鋳物砂に対する所要の振動を付与することができ難く、鋳型に対する良好な充填を行い難いという問題があった。
【0008】
この感圧計を用いる方式での自硬性鋳物砂重量算出の精度(誤差)は、±5%程度であり、いま少しその精度を高める必要性がある。
また、自硬性鋳物砂の重量データに基づいて振動テーブルの重心位置が算定されるものであるから、振動モーターのパワー制御だけでなく、所定の重心位置を想定した振動モーターの振動方向、振幅、回転方向等の制御或いはバランスウエイト乃至アンバランスウエイトの調整にも誤差が生じてくる。
【0009】
上述した圧力変動を感圧計で検出する方式に比べ、光電管や超音波を用いて空気ばねの圧縮変形長さ(収縮量)を検知する距離測定方法を基にした重量算出方式は検知精度が比較的高い利点があるが、一方において、耐振性を考慮すると光電管は振動テーブルに敷設するのに適しているものではなく、また、敷設に際して嵩高くなると共に外乱発生が多くなりがちな環境下にある鋳造工場においては信頼性に欠ける問題があり、他方において、超音波手段は装置として敷設場所が難しく、これら自体の計測精度は、何れも、±2mm程度であり、出来るだけ精度の高い自硬性鋳物砂重量(複数回充填の差異)を検出する必要が求められている。
【0010】
特に、中子の型枠への自硬性鋳物砂の充填においては、複数回充填において、暫時増加する重量が、100Kg程度といった比較的僅少の変化である場合もあり、総重量の変動(追加の量の検知)は出来るだけ正確に検出しなければならない。また、主型の場合に、縦方向(上下の方向)に長い型であると、少量の自硬性鋳物砂の追加充填でもその全体の重心位置の上方(真上或いは斜め上方)への変動が大きくなり、これに合わせた振動モーターの制御が要求されることになるので、この点を含めて、総重量の変動(追加の量の検知)は出来るだけ正確に検出しなければならない。出来れば、空気ばねの変位を、1/2000m単位で測定でき、精度として±0.5mm以下の精度で検知したい。
【0011】
何故ならば、振動テーブル(定盤荷重が3トン程度として)にかかるワーク荷重が、例えば、軽量の中子等であれば、2トン程度であり、その場合の空気ばねの変位量は、50mm程度であり、その複数回に分けて充填される自硬性鋳物砂の変化量による空気ばねのその都度の変位量は、略1mm程度であるためである。
【0012】
また、本発明は、工場のフロアー(凹所)に設置される振動テーブルという比較的狭い空間に位置される空気ばねの変位量を検知しなければならないものであるので、その検知手段が小型である必要は勿論のこと、空気ばね自体がその上下方向(縦方向)の長さが比較的短いものであるのに加え(ワーク荷重の無い状態で、略140mm程度)、余り大きな圧縮変形量を来たさない空気ばねの変形量を的確に検知してその検知手段の能力を十分に発揮させるには、どのようにしてこの検知手段を敷設すればよいかという問題もある。
【0013】
本発明の第1の目的は、振動テーブル上の型枠への自硬性鋳物砂の充填に求められる重量検知が、振動モーターの好適な振動制御にとって重大なファクターとなる点に鑑み、振動テーブルの空気ばねの変位量を検知する手段として極めて精度が高く、振動テーブルに敷設するのに適した小型で軽量の検知手段により振動モーターの制御を適正に行うようにすることにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、精度の高い検知手段を用いたとしても、振動テーブルの下側の空気ばねの変位量を検知するに、狭い空間にうまく配置すると共に、空気ばねが上下方向(縦方向)の長さも比較的短いものであるので(ワーク荷重の無い状態で、略140mm程度)、その圧縮変形による変位量を的確に検知できるように検知手段を配置工夫して、検知手段の検知能力を有効に引き出すことができるようにすることにある。
【0015】
本発明の第3の目的は、精度の高い重量検知手段を複数用いることによって、振動テーブルの所定位置の空気ばねの変位量の差異を検知し、該検知データに基づいて、自硬性鋳物砂を暫時充填したときの型枠全体の振動テーブル上の平面視における重心の位置を推定し、これによって振動モーターを適正に制御するようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にかかる振動造型機は、上記目的を達成するために、基台1に複数の空気ばね2a〜2jを介して振動テーブル3を設け、該振動テーブル3に正逆転自在でバランスウエイトを位置調節自在に設けた少なくとも一対の振動モーター4A,4Bを、前記振動テーブル3の対向する位置に配置し、該振動モーター4A,4Bの駆動を制御する制御装置5を備えた振動造型機であって、
前記空気ばね2a〜2jの少なくとも1つの収縮変位を検知するレーザー距離検知手段6と、
該レーザー距離検知手段6の検知結果に基づいて振動テーブル3に加わる荷重を算定する演算装置7を設け、
該演算装置7の出力を前記制御装置5に入力して振動モーター4A,4Bを制御するように構成した、
という手段を講じたものである。
【0017】
本発明に言う振動造型機は、振動(例えば、0.2mm〜0.3mmの微振幅)を主として用いるが、このような振動域のみを利用するものに限定されるものではない。また、その振動発生のための振動モーター4A,4Bについては、正逆転は電気的制御によるが、内蔵するバランスウエイトを、所定の回転角だけ回動変位させて位置固定する既存の型のものを用いるのが好ましい。更に、ここでは一対の振動モーター4A,4Bが配置されているが、実施例に示す如く、所要のパワーを発揮し、所要の振動パターンを発生させるために2基(4A,4C:4B,4D)を一対として、夫々を振動テーブル3に対向配置するのが好ましい。
【0018】
上記レーザー距離検知手段6としては、気体、固体等、その発光手段は適宜公知の手段を用いればよく、また、検知結果はデジタル信号として出力されるものであれば、演算装置7への入力もそのまま行い得るので好ましいが、アナログで出力されるものでもよい。このレーザー距離検知手段6のレーザーセンサー本体6Bは、レーザービームの発信、受信を行う主要部を差し、これ自体が機器としての本体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる振動造型機によれば、精度の高いレーザー距離検知手段を備えることによって、振動テーブル上の型枠への鋳物砂(例えば自硬性)の充填に求められる比較的軽量で増加する鋳物砂の重量検知、即ち、全体としての総荷重の変動検知が可能になり、振動モーターの好適な振動制御にとって重大なファクターとなる振動テーブルにかかる荷重を、従来に比べて正確に計測し(略1/2000m単位の測定で、±0.5mm以下の精度)、振動モーターを適正に制御することができて、密度の高い充填が可能になるという利点がある。
そして、このようなレーザー距離検知手段は、比較的小型軽量で、嵩も低いものであり、場所的に制限を受ける振動テーブル下の狭い空間にも容易に敷設可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施に際しては、請求項2に記載の通り、前記レーザー距離検知手段6が、前記振動テーブル3側から垂下された検知バー6Aと、該検知バー6Aに向けてレーザービームを発信するように、基台1側から上方に延設された支持体8に設けられたレーザーセンサー本体部6Bとから構成されている。
【0021】
この構成によって、前記空気ばね2aの圧縮変形を、前記検知バー6Aが前記レーザーセンサー本体部6Bから下方に離間することによる距離の増加として捉えることが出来るのであり、空気ばね2aの上下端長さの縮小をそのまま捉えるのではなく、2点間の距離増大として検知することによって、短い距離測定に不向きなレーザー距離検知手段6の検知能力を十分に発揮させる状態で検知を行うことが出来る。
【0022】
そして、このようなレーザー距離検知手段6の本体であるレーザーセンサー本体部6Bは、精密電子機器として振動テーブ3側に設けたくないものであるとの前提に立てば、一方の前記振動テーブル3側に設ける前記検知バー6Aを短く、或いは振動テーブル3の下面に向けて上方に延設し、他方のレーザー距離検知手段6を逆に基台1の側に向けて下降延設する方法が考えられるが、前記基台1(ばね架台)についても、その高さはせいぜい350〜400mm程度であるので、それほど下方に配置できるものでもない。このように両者を配置しても、鋳物砂充填によりワーク荷重が増大すると、その検知バー6Aとレーザーセンサー本体部6Bとの2点間距離は縮むものであるから、あまりに検知距離が短くなれば、レーザー距離検知手段6の本来の機能が十分に発揮され難くなる。
【0023】
本発明は、このような虞がなく、空気ばね2aの圧縮変形を、検知バー6Aとレーザーセンサー本体部6Bとの2点間の距離増大(離間)として検知できると共に、当初にレーザーセンサー本体部6Bを、基台1側から上方に延設した支持体8に設けるようにするので、上方のスペースを有効利用でき、例えば、本体長さが略150mm〜200mm程度であっても、その敷設スペースを十分に確保できるという利点もある。
【0024】
更に、本発明においては、上記請求項3に記載のように、前記レーザー距離検知手段6が、前記空気ばね2a〜2jのうち、互いに最も離れた位置にある少なくとも2基の空気ばね2a、2jに対応して設けられ、これらの空気ばね2a、2jの変位量を検出するように構成されていることが好ましい。
【0025】
このように、異なる位置の空気ばね2a、2jの圧縮変形に差異が現れるとした場、即ち、型枠、充填する鋳物砂の平面的な重量分布がある場合(中子、消失模型等による型枠内での鋳物砂の密度分布)に、これを精密に検知することができるので、その荷重の差異を演算装置7に入力することで、その後の振動モーター4A,4Bの制御をより精密に行うことができ、型枠内の充填された鋳物砂に優れた振動伝達が行い得て、鋳型成形の精度をより高めることができる。
【実施例】
【0026】
本発明にかかる振動造型機の好適実施例について、図面を参照して以下詳述する。図1に示すのは、振動造型機の側面図、図2は、その平面図、図3は、振動造型機の振動テーブルの側部を一部切り欠いた全体の縦断正面図である。図4は、図3における空気ばねの部分を拡大した側面図であり、レーザー距離検知手段6の敷設状態を分かり易く示す。図5は、レーザー距離検知手段6からのデータ信号に基づき振動モーターを制御するブロック図である。
【0027】
図1から図4に示すように、この実施例では、ワーク荷重として、2トン乃至25トン程度の処理能力を持つ振動テーブル3(5トン)について説明する。
工場のフロアーに設けられた凹所に、基台(ばね架台)1が敷設され、ここに10個の空気ばね2a〜2jを介して振動テーブル3を載置し、固定してある。
【0028】
前記振動テーブル3に正逆転自在でバランスウエイトを位置調節自在に設けた二対の振動モーター4A,4B,4C,4Dを、前記振動テーブル3の対向する両サイドの位置に配置し、夫々の振動モーター4Aと4C,4Bと4Dとは連動連結されている。これらの振動モーター4A,4B,4C,4Dは、振動力が0.75Gを発生するものである。そして、それぞれが、可動式のバランスウエイトを備えており、回転方向に所定の回転角範囲で位置を変動させて固定できる構成とされているが、この振動モーター自体の構成については公知の構成であり、ここでの詳細説明を省く。
【0029】
また、これらの振動モーター4A,4B,4C,4Dは、図5に示す制御装置5によって駆動制御される。この制御装置5は、インバーターを備え、正逆転駆動、回転数の制御を行う、これまでの制御装置と同様の回路を備えているものであるが、既存の回路構成の説明については、ここでは省略する。また、この制御装置5には、後述する演算装置7からのデータ信号が入力される。
【0030】
前記空気ばね2a〜2jの内の1つの空気ばね2aの圧縮変形を検知するレーザー距離検知手段6を設けてある。このレーザー距離検知手段6は、前記振動テーブル3側から垂下された検知バー6Aと、該検知バー6Aに向けてレーザービームを発信するように、基台1側から上方に延設された支持体8に設けられたレーザーセンサー本体部6Bとから構成されている。前記レーザーセンサー本体部6Bとしては、この実施例では、半導体レーザーからなるもので、例えば、20cm乃至40mの測定範囲を持ち、測定結果をデジタルで出力可能なタイプ(LDS−5:商品名)を用いている。
【0031】
上記一方のレーザーセンサー本体部6Bを支持する支持体8の下端部は、図4にも示すように、前記基台1の上部に固定され、そこから湾曲されて振動テーブル3の下面に向けて上方に伸び、其の上端部にレーザーセンサー本体部6Bが設けられ、そのレーザービームが検知バー6Aに向けて下向きに発信されるように構成されている。その支持体8の上方に伸びる長さは、ここでは、約200mmに設定されている。
【0032】
他方の前記検知バー6Aは、図4に示すように、側面視がL字型で、その上端が振動テーブル3のフレーム枠3Aの内面壁に固定され、下端が基台1の側方で湾曲され、その受光部6Cとなる湾曲部分が、レーザーセンサー本体部6Bに向けられると共に反射率が高くなるように鏡面仕上げとされている。この検知バー6Aの垂下している長さが、ここでは約200mmである。
【0033】
このように構成することで、レーザーセンサー本体部6Bと検知バー6Aの受光部6Cとの間の距離を約200mmに設定することができ、レーザー測定機能を十分に発揮させることができると共に鋳物砂充填によるワーク荷重増大に伴い空気ばね2a〜2jが圧縮変形すると、この離間距離状態から検知バー6Aがレーザーセンサー本体部6Bに対して下動変位して行くので、測定距離が短くなるものではなく、測定精度が悪くなるという虞はない。
【0034】
そして、図5に示すように、前記レーザー距離検知手段6の検知結果に基づいて振動テーブル3に加わる荷重を算定する演算装置7が設けられている。この演算装置7によって、前記空気ばね2aの圧縮変位量が入力されることで、充填された自硬性鋳物砂を含めたワーク荷重を算出し、これを上記制御装置5に入力し、ワーク荷重に対応した所期設定の条件に対応する振動を発生させるように振動モーター4A,4B,4C,4Dを駆動制御することになる。
【0035】
このように構成したことにより、振動テーブル3に、例えば、中子型枠が設置され、中子を造型しようとした場合には、充填する自硬性鋳物砂は複数回に分けて暫時投入される。これに伴い、ワーク荷重が暫時増大することになるが、これは、空気ばね2a〜2jの圧縮変形として捉えられる。
【0036】
この空気ばね2aが下方に変位すると、上記レーザーセンサー本体部6Bと検知バー6Aの受光部6Cとの間の距離が増大することなる。この変位量をレーザー計測によって精密に捉え、そのデータを演算装置7に入力し、変化するワーク荷重を正確に把握して、これを基にして振動モーター4A,4B,4C,4Dを的確に駆動するのであり、これによって、自硬性鋳物砂に対する適正且つ効果的な振動を付与し、良好な流動性を得て密なる充填を行って精密な造型ができるのである。
【0037】
また、精密な測定による正確なワーク荷重の把握は、暫時型枠に充填される自硬性鋳物砂の増大が、その重心位置に顕著に影響する場合が多多あり(特に縦方向に長い鋳型の場合)、その重心位置の変動が振動を発生させる場合に重要なファクターとなるので、この観点からもより正確な総重量の算出が要求されるが、本発明は、このような要求にも応えることができる。
【0038】
(変形例)
この変形例では、前記レーザー距離検知手段6が、前記空気ばね2a〜2jのうち、互いに最も離れた位置にある少なくとも2基の空気ばね2a、2j、ここでは、対角線上に配置された2基の空気ばね2a、2jに、上述したレーザー距離検知手段6を夫々設けるのである。この考えは、従来に比べて非常に高い精度の測定が可能になったレーザー手段を採用したことによって、両空気ばね2a、2jの微細の変位差を検知できることになったことによるものである。
【0039】
このレーザー距離検知手段6は、上記実施例で説明した構成のものと変わりなく、前記振動テーブル3側から垂下された検知バー6Aと、該検知バー6Aに向けてレーザービームを発信するように、基台1側から上方に延設された支持体8に設けられたレーザーセンサー本体部6Bとから構成されているものである。
【0040】
このように、2基のレーザー距離検知手段6を、最も変位差が現れ易い位置にある2基の空気ばね2a、2jに対応させてその変位量を測定するようにしたので、その両者の変位量の差異から、ワーク荷重の総重量の変動のみならず、自硬性鋳物砂充填に伴う振動テーブル3の平面上に投影される重心位置の変動も演算装置7を用いて算定するようにできる。この結果に基づいて、2対の振動モーター4A,4B,4C,4Dに対する適正な制御が可能になるのである。
【0041】
尤も、上記レーザー距離検知手段6の数を増やし、上述の測定精度を高めるようにすることは好ましい。
また、2基のレーザー距離検知手段6の設置位置として、必ずしも、対角線上に位置する空気ばね2a、2jである必要はなく、その隣接する空気ばねであってもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかる振動造型機は、空気ばねを用いて振動テーブルを支持しているタイプであれば、振動を含む全ての振動造型機に適用できるものであり、鋳物砂としても、自硬性の鋳物砂以外であってもよく、その適用範囲は広いものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る振動造型機の側面図。
【図2】本発明に係る振動造型機の平面図。
【図3】本発明に係る振動造型機の一部縦断正面図。
【図4】本発明に係る振動造型機の要部の拡大側面図。
【図5】本発明に係る振動造型機の制御系のブロック図。
【符号の説明】
【0044】
1:基台
2a:空気ばね
2b:空気ばね
2c:空気ばね
2d:空気ばね
2e:空気ばね
2f:空気ばね
2g:空気ばね
2h:空気ばね
2i:空気ばね
2j:空気ばね
3:振動テーブル
4A:振動モーター
4B:振動モーター
4C:振動モーター
4D:振動モーター
5:制御装置
6:レーザー距離検知手段
6A:検知バー
6B:レーザーセンサー本体部
7:演算装置
8:支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台1に複数の空気ばね2a〜2jを介して振動テーブル3を設け、該振動テーブル3に正逆転自在でバランスウエイトを位置調節自在に設けた少なくとも一対の振動モーター4A,4Bを、前記振動テーブル3の対向する位置に配置し、該振動モーター4A,4Bの駆動を制御する制御装置5を備えた振動造型機であって、
前記空気ばね2a〜2jの少なくとも1つ2aの圧縮変形を検知するレーザー距離検知手段6と、
該レーザー距離検知手段6の検知結果に基づいて振動テーブル3に加わる荷重を算定する演算装置7を設け、
該演算装置7の出力を前記制御装置5に入力して振動モーター4A,4Bを制御するように構成した、
ことを特徴とする振動造型機。
【請求項2】
前記レーザー距離検知手段6が、前記振動テーブル3側から垂下された検知バー6Aと、該検知バー6Aに向けてレーザービームを発信するように、基台1側から上方に延設された支持体8に設けられたレーザーセンサー本体部6Bとから構成されていることを特徴とする請求項1の振動造型機。
【請求項3】
前記レーザー距離検知手段6が、前記空気ばね2a〜2jのうち、互いに最も離れた位置にある少なくとも2基の空気ばね2a、2jに対応して設けられ、これらの空気ばね2a、2jの変位量を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の振動造型機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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