説明

振動部材およびそれを使用した口腔刺激付与装置

【課題】口腔内の所望の場所を十分マッサージまたは掃除でき、しかもいつでも気軽に使用できると共に、使用していることを他人に気づかれにくい振動部材と口腔刺激付与装置を提供する。
【解決手段】振動部材2aは、その全体が口腔内に挿入された状態で、口腔内を移動可能にされると共に、唇と歯との間に挿入可能な大きさとされている。振動部材2aの表面には、突起7を設けたり、ブラシ毛が装着されることが好ましい。このような振動部材2aを電線8で電力供給部に接続するなどで口腔内刺激付与装置が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の掃除またはマッサージ等に用いることのできる振動部材およびその振動部材を使用した口腔刺激付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から歯の掃除の道具として、電動歯ブラシが知られている。これは通常の歯ブラシに比べ掃除効率が良いとされているが、大きくて重いものが多い。これに対して、手を使わずに、口腔内清掃具を咀嚼することで口腔内の清掃を実現する技術が提案されている。これは主として、老化または運動麻痺等によって手の不自由な方、もしくは寝たきりで口腔保清にも介護が必要な方等、体の不自由な方の十分な口腔内清掃を実現する技術である(特許文献1参照)。
【0003】
また、歯に装着する、または上下の歯で噛んで固定される振動部材により、口腔内に刺激を付与する技術も、従来から提案されている(特許文献2および3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−153922号公報
【特許文献2】特開2000−175983号公報
【特許文献3】特開2005−319254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、口腔内の掃除は、健常者であっても、必ずしも十分には行われていないと考えられる。たとえば、広く流通している柄付きの歯ブラシまたは電動歯ブラシで、奥歯の全ての部分を十分にブラッシングする技術を身につけている者は多くない。また、虫歯や歯周病の進行を抑制すべく、柄付きの歯ブラシまたは電動歯ブラシを用い、歯茎のマッサージをする際にも同様に、そのマッサージ効果は十分に得られていない。これは、朝または夕方の短時間のうちにブラッシングまたはマッサージをしなければならないことも、その一因と考えられる。また、電動歯ブラシは大きく、持ち運びも大変であり、人知れず歯を磨くことはできない。
【0006】
また、振動部材を歯に装着しながら、または上下の歯で噛んで固定しながらのマッサージは、マッサージされる者に負担を強いることとなる。何故なら、振動部材が口腔内の一定の箇所に留まって振動を付与すると、その一定の領域に集中して振動が付与されることとなり、口腔全体のマッサージが十分でなく、また長時間のマッサージに耐えることが困難である。また、振動部材を噛んで固定する場合は、その固定のための噛む力を必要とし、マッサージされる者が疲れ、これも長時間のマッサージに耐えることが困難である。さらに、振動部材を歯に装着する場合、使用者の歯並びによっては、使用困難な者がいることも考えられ、これも使用者の負担となる。また従来のマッサージ器具は、形状が大きく、持ち運びも大変であり、しかも、マッサージをしていることを気づかれないようにすることはできない。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、口腔内の所望の場所を十分マッサージまたは掃除でき、しかもいつでも気軽に使用できると共に、使用していることを他人に気づかれにくい口腔刺激付与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の、口腔へ振動を付与する振動部材は、その全体が口腔内に挿入された状態で、口腔内を移動可能にされると共に、唇と歯との間に挿入可能な大きさとされている。
【0009】
この発明によれば、振動部材の全体を口腔内に挿入するため、手を使わずに口腔内へ刺激を付与でき、使用をしていることを他人に知られ難いため、いつでも気軽に使用できる。また、振動部材が口腔内を移動しながら歯または歯茎を刺激するため、柄付きの歯ブラシが届き難い部分にも十分に刺激の付与または掃除が可能である。さらに、振動部材が唇と歯との間に挿入可能な大きさとされていることから、歯の前面側も十分掃除またはマッサージができる。
【0010】
他の発明は、上述の発明に加え、表面に突起を有している。この突起が歯茎への押圧力を集中させ、マッサージ効果を高める。また、突起が歯の間に入り込むことで掃除がより完全となる。
【0011】
他の発明は、上述の発明に加え、表面にブラシ毛が装着されている。この構成を採用することで、柄付きの歯ブラシが届き難い部分にも、振動部材の振動によるブラッシング作用で、口腔全体に渡る歯磨きができ、従来よりも高い歯の掃除効果、または歯茎へのマッサージ効果を得ることができる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の口腔刺激付与装置は、その全体が口腔内に挿入された状態で、口腔内を移動可能にされると共に、唇と歯との間に挿入可能な大きさとされている振動部材と、口腔外に設置されて振動部材への電力を供給する電力供給部を有し、電力供給部と振動部材とが、電力の供給経路となる電線にて接続されている。
【0013】
この発明によれば、振動部材の全体を口腔内に挿入するため、手を使わずに口腔内へ刺激を付与でき、使用をしていることを他人に知られ難いため、いつでも気軽に使用できる。また、振動部材が口腔内を移動しながら歯または歯茎を刺激するため、柄付きの歯ブラシが届き難い部分にも十分に刺激の付与または掃除が可能である。さらに、振動部材が唇と歯との間に挿入可能な大きさとされていることから、歯の前面側も十分掃除またはマッサージができる。また、電力供給装置を口腔外に設置する構成を採用することで、大容量の電池等を電力供給手段に用いることができ、長時間の口腔内刺激付与装置の使用が可能となる。また、振動部材に電線が接続されていることにより、その電線が振動部材の移動可能領域を制限し、使用者が誤って振動部材を飲み込んでしまうのを抑制できる。
【0014】
他の発明は、上述の発明に加え、電線には、振動部材を不使用時には覆い、使用時には露出させるカバーが保持されている。この構成を採用することにより、このカバーは、振動部材の良好な衛生状態を維持する。そして、そのカバーが電線に保持されていることにより、そのカバーの紛失を効果的に防止できる。
【0015】
他の発明は、上述の発明に加え、振動部材は、唇と歯との間に挿入され易くするための扁平状とされると共に、食道を通過できる大きさとされている。振動部材を扁平状とすることで、前歯と唇の間のような狭い領域へも、より容易に振動部材を移動し、保持させることができる。また振動部材を、食道を通過できる大きさとすることで、万が一、使用者が誤って振動部材を飲み込んでしまったとしても、容易に消化器系を通過して体外に排出される。
【0016】
他の発明は、上述の発明に加え、振動部材には、紐の一端が装着され、紐の他端が口腔外に設置された状態で、口腔外にある紐には口腔に挿入できない形状の誤飲防止部材が配置されている。この構成を採用することにより、振動部材を食道内に到達させるのを誤飲防止部材が阻むこととなり、仮に振動部材が食道内に到達したとしても、誤飲防止部材または口腔外にある紐を、口腔外の方向に引っ張ることで振動部材を食道内から容易に取り出すことができることとなる。
【0017】
他の発明は、上述の発明に加え、カバーと振動部材との間の電線には、口腔に挿入できない形状の誤飲防止部材が装着されている。この構成を採用することにより、振動部材を食道内に到達させるのを誤飲防止部材が阻むこととなり、仮に振動部材が食道内に到達したとしても、誤飲防止部材を口腔外の方向に引っ張ることで振動部材を食道内から容易に取り出すことができる。
【0018】
他の発明は、上述の発明に加え、電線は、その一部が振動部材の中に収容され、その一部の電線は、電線の張力が緩和された状態とされている。この構成を採用することにより、振動部材の振動または電線を引っ張る動作によっても、容易に接続部の電気接続が損なわれないようにすることができる。
【0019】
他の発明は、上述の発明に加え、電線には、電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐が、電線に沿って配置され、電線および紐を共に振動部材とは逆側に引っ張ると、紐の張力が電線よりも優先して高められる。この構成を採用することにより、電線を振動部材とは逆側に引っ張る力が加えられた場合でも、電線の断線および電線と振動部材との電気接続部分の破壊に伴う断線が抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、口腔内の所望の場所を十分マッサージまたは掃除でき、しかもいつでも気軽に使用できると共に、使用していることを他人に気づかれにくい口腔刺激付与装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態の振動部材および口腔内刺激付与装置について説明する。まず、図1から図5を参照しながら、第1の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置および振動部材について説明する。図1(A)は、口腔内刺激付与装置1の一部を構成する、振動部材2aの縦断面概要図で、図1(B)は、口腔内刺激付与装置1の振動部材2aの斜視図である。振動部材2aは、いわゆる扁平状のボタン型の振動モータ3と、この振動モータ3を被覆し、振動モータ3への水分の到達を防ぐと共に口腔の内壁への接触によっても口腔の内壁を傷付け難い柔らかい材質(ゴム系)の樹脂部4を有する。この振動部材2aは、全体として扁平かつ平面楕円形状で、その平面部における外形で囲まれる面積(この本願では、「平面図面積」という。)が、1.5cmとされている。
【0022】
また、振動モータ3と樹脂部4との間には、隙間5が設けられている。この隙間5は、樹脂部4の内、振動モータ3の上下面となる大きな平面と対向する部分にのみ存在し、外側面および振動モータ3の側面と対向する部分には存在しない。この隙間5は、振動モータ3が樹脂部4の中に封止された状態でも、樹脂部4が振動モータ3の振動を過剰に抑えることなく、十分な振動量が得られるように機能する。この隙間5を設けるために、樹脂部4と振動モータ3の2つの対向する平面との接触は、樹脂部4の内面壁に設けられた複数の第1の突起6のみによりなされている。この第1の突起6の形状および配置は、任意とすることができる。また、樹脂部4の外面壁には、口腔の刺激付与領域への押圧力を集中させて口腔刺激効果を強めるための第2の突起7が外面壁全体に渡って設けられている。
【0023】
振動モータ3は、たとえば厚みが3mm、径が10mm程度の小型の円盤状のものである。振動モータ3を扁平状かつ小型とすることにより、振動部材2aを扁平かつ平面楕円形状とすることができ、唇と歯との間に挿入可能な大きさにでき、口腔(歯および歯茎)全体に渡る刺激付与または掃除が可能となる。また、使用者の意思により口腔内での振動部材2aの配置を舌、歯または頬の肉の動きにより自由に変えることで振動部材2aが口腔内を移動し、振動付与領域を自由に変えることができる。なお、隙間5は、たとえば第1の突起6の高さを約1mmとして、その分の距離(1mm)の隙間5としている。
【0024】
図1(A)に示す電線8は、後述する電力供給部からの電力を伝達し、振動モータ3を動作させる。この電線8は、銅線の側面を樹脂で被覆した広く流通しているものを用いることができる。振動モータ3と電線8との電気接続は、はんだ付けまたは導電性接着剤の固着力等により実現され、その接続部は第1の接着剤9により保護・固定されている。また、この電線8は、振動部材2aの移動可能領域を制限して、使用者が誤って振動部材2aを飲み込んでしまうのを抑制する役割をも担っている。その役割を実効あるものとするため、電線8と振動部材2aとの固着力を高めるべく、電線8の側面を被覆する樹脂と、振動モータ3の2つの対向する平面をつなぐ側面とを、第2の接着剤10にてさらに固着している。この第2の接着剤10で形成される部分の外周面には、たとえば第3の突起11が全周に渡って、または間隔をおいて複数箇所に設けられている。この第3の突起11は、振動モータ3が樹脂部4の中に封止された状態を維持することで、両者間の位置が振動によりずれて、樹脂部4が可塑変形して劣化するのを防止する。
【0025】
図2は、第1の実施の形態に係る口腔刺激付与装置1の全体像を示す図である。口腔刺激付与装置1は、振動部材2a、電線8、カバー13および電力供給部14から構成されている。なお、図2では、電力供給部14の電池15の収容部と後述するコネクタ18の部分については、電池15、コネクタ18が表れるような一部切り欠き図としている。この実施の形態の電力供給部14は、携帯に適したペン型の形状としている。電源スイッチ兼用フック16は、そのフックを使用者が身に付けている着衣の一部に引っ掛けておき、口腔刺激付与装置1を着衣に固定することができる。また、ストラップ用フック17に掛けたストラップを、使用者の首や手首に掛けて、口腔刺激付与装置1を携帯することもできる。
【0026】
また、電源スイッチ兼用フック16は、たとえばそのフック部分を電力供給部14側に押し込むことで口腔刺激付与装置1の電源をオン・オフできる。すなわち、一度押し込むとオンになり、再度押し込むとオフになるというように、押し込むたびにオン・オフを繰り返すものとなっている。ここで、ストラップ用フック17は、後述の図14に示すように、電源スイッチ兼用フック16の一部に穴を設けることで形成でき、そのときは電源スイッチ兼用フック16とストラップ用フック17とを一部材として扱うことができる。
【0027】
図2に示す電力供給部14と電線8との接続は、チャック式の取り外し自由なコネクタ18にてなされている。なお、コネクタ18は、他の部材との区別を図るため、黒塗り状態としている。図3(A)は、図2におけるコネクタ18の部分を示しており、図3(B)は、電力供給部14からコネクタ18の部分を矢印方向に外した状態を示している。コネクタ18を取り外し自由としたのは、口腔マッサージに適した振動部材2aと、歯の掃除に適した後述する振動部材2bとを取り替えるのに便利なためである。また、長時間の使用により振動部材2aが劣化した場合等に、新しい振動部材2aへと交換する際に便利なためである。
【0028】
また、図2に示すコネクタ18と電池15の間には、電力供給が行われている事を知らせるための、ランプ19および音声発生部20が配置されている。これらの一方または両方を使用することにより、振動部材2aを口腔外へ置いたままにした場合に、たとえば目または耳の不自由な方に対して無駄な電力供給がされていることを知らせることができる。ランプ19および音声発生部20への電力供給は、たとえば電池15と振動部材2aとの電気接続経路に直列または並列に、ランプ19および音声発生部20への電力供給経路を設ける。すると、振動部材2aへ電力供給すると同時にランプ19および音声発生部20への電力供給がなされ、振動部材2aへ電力供給を停止すると同時にランプ19および音声発生部20への電力供給が停止する機構となる。
【0029】
図2に示す電力供給部14の電池15の下部には、収容部21を設けている。収容部21には、たとえば振動部材2aを洗浄するための、アルコール系等の液体を収容し、液滴状またはスプレー状に、その液体を吐出させる機構を設けることができる。この場合、収容部21に収容したアルコール系の液体は、洗浄ばかりでなく消臭作用を有するため、振動部材2aの洗浄剤として好適である。また、収容部21には、たとえば振動部材2aまたは後述する振動部材2bを用いて歯の掃除をする際に用いるペースト状の歯磨き粉を収容し、所定量分吐出させる機構を設けることもできる。
【0030】
図2に示すカバー13は、振動部材2aが誤飲されるのを阻止する誤飲防止部材としての機能を果たすと共に、振動部材2aを収容し、その良好な衛生状態を維持する機能を果たす。ここで、カバー13は、振動部材2aを使用しない時には振動部材2aを覆い(収容し)、使用時には振動部材2aを露出させるよう、回転軸22により上蓋13aと下の容器13bとが開閉自由な構造となっている。カバー13の一部には、電線8が通過可能で、かつ振動部材2aを通過させない大きさの穴23設けられている。この穴23に電線8を通過させ、たとえばその通過させた後に穴23の径よりも大きなストッパー24を、カバー13と電力供給部14との間の電線8に取り付け固定することで、口腔刺激付与装置1の使用時に、カバー13を振動部材2aと電力供給部14との間の電線8で保持でき、カバー13の紛失を効果的に防止できると共に、振動部材2aが誤って食道内に入ってしまうのを防止できる。また、電力供給部14とカバー13の間の電線8を引っ張ることで、振動部材2aを容易にカバー13内に収容できると共に、仮に振動部材2aが食道内に入ったとしても、容易に取り出すことができる。
【0031】
上蓋13aに設けられている貫通孔となる空気穴25は、水洗い後等の湿った状態の振動部材2aがカバー13内に収容されたとしても、水分を容易にカバー13の外に排出できるようにするものである。また、この空気穴25によって湿った状態の振動部材2aをカバー13に収容した場合であっても自然乾燥でき、水分の存在に起因するカビ等の発生および、ばい菌の増殖等を抑制できる。
【0032】
図4は、図2に示したカバー13の構造および、カバー13内に振動部材2aを収容した状態を示している。図4(A)は、カバー13の側面図で、穴23が円形の形状をしていることを示している。図4(B)は、カバー13の平面図で、空気穴25が円形の形状をしていることを示している。穴23および空気穴25の形状は、円形ではなく三角形、四角形、楕円形等の、その他の形状としても良いが、穴の形成または成形のし易さを考慮すると、円形であることが好ましい。図4(C)は、内部を透視した状態のカバー13の側面図で、振動部材2aが収容されている状態を示している。
【0033】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る口腔刺激付与装置1の使用状態の一例を示す図である。振動部材2aは、使用者の口腔に挿入されている。その振動部材2aから導出される電線8が使用者の唇から口腔の外へと出ている。電線8にはストッパー24が固定されており、電線8を通過させた穴23を有するカバー13を電力供給部14と使用者の唇との間の電線8部分で保持している。
【0034】
使用者は、電力供給部14が有するストラップ用フック17に掛けたストラップ26を使用者の首に掛けて、口腔刺激付与装置1を携帯している。さらに電力供給部14を固定するため、電源スイッチ兼用フック16を使用者が身に着けている着衣の胸ポケット27に引っ掛けている。この口腔刺激付与装置1の使用状態では、使用していることを他人に気づかれにくいため、いつでも気軽に使用できる。また、使用時でも両手を別のことに使えることから、仕事中、読書中等、時間帯を選ばずに使用できる。その結果、従来の柄付きの歯ブラシでの使用時間を大きく越える長時間の使用が可能となり、より確実な歯の掃除、または、より効果的なマッサージが可能となる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置1Aおよび振動部材2bについて図6および図7を参照しながら説明する。この口腔内刺激付与装置1Aは、口腔内刺激付与装置1とは振動部材のみが異なるものであり、振動部材2bとその周辺のみを説明すると共に、口腔内刺激付与装置1と同一部材には同一番号を付して説明することとする。
【0036】
図6は、第2の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置1Aの振動部材2bを示す図で、第2の突起7を有しない樹脂部4dの外面壁に植毛技術によりブラシ毛12を装着させた振動部材2bの縦断面概要図である。この振動部材2bは、その他の点では振動部材2aと同一構成となっている。振動部材2bは、振動モータ3が作動することによりブラシ毛12にその振動が伝達し、電動歯ブラシと同様の刺激を口腔へ付与できる。そして、この刺激は、従来の広く流通している柄付きの電動歯ブラシが届き難い歯および歯茎の部分にも付与できるため、従来の電動歯ブラシよりもより高い、歯の掃除効果および歯茎へのマッサージ効果を得ることができる。
【0037】
このような振動部材2bは、図7に示すように、カバー13によって保持、保護される。この振動部材2bを用いることで、従来の柄付きの歯ブラシよりも歯の各領域へ振動部材2bを素早く行き渡らせることができることから、人によっては歯の掃除時間を短縮し得る。また、所望の場所のみを重点的かつ確実に掃除できる。
【0038】
以上、各実施の形態における口腔刺激付与装置1,1Aまたは振動部材2a,2bについて説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り種々変更実施可能である。たとえば、隙間5、第1の突起6、第2の突起7および第3の突起11のいずれか1つまたは複数は、必須のものではない。よってこれらの部材を含ませることで振動部材2a,2bの構造を徒に複雑にする場合には省略することができる。但し、隙間5を設けないと振動モータ3からの振動伝達が若干弱まることが多いため、隙間5は設けた方が良い。
【0039】
また振動モータ3としては、外形が円柱のいわゆる円筒型のものを用いることができる。円筒型の振動モータ3の場合、第1の突起6は、振動モータ3の外周面全体に分散されて配置されたり、外周面に沿って連続して形成される、らせん状または円環状のものとして配置されることとなる。さらに第1の突起6に代替できる部材として、スポンジまたは板ばね等のばね材のような伸縮可能な部材を、振動モータ3の平板面と樹脂部4,4dとの間に設けることができる。また、カバー13および電力供給部14の形状、機能および動作等は、適宜変更可能である。
【0040】
さらに、電力供給部14を主として構成する電池15、電源スイッチ兼用フック16、ストラップ用フック17、コネクタ18、ランプ19、音声発生部20、収容部21のうち、電池15を除いては省略することができる。ここで電池15についても、電力の供給を直接コンセントから得る構成、または振動部材2a,2bの中にコイン型等の小型の電池を装着する構成とすれば、省略することができる。振動部材2a,2bの中にコイン型等の電池を装着する構成とする場合は、電線8も省略できる。その場合、電線8に相当する振動部材2a,2bの誤飲防止部材として、電線の機能を果たさないが、振動部材2a,2bの移動可能領域を制限する紐等を用いることができる。このように、振動部材としては電線8を有しないものを説明したが、振動部材としては、電線8、カバー13またはコネクタ18等の一部または全てを有するものとしても良い。一方、口腔内刺激付与装置1,1Aとしては、振動部材と電池手段が必須の構成要件であり、この2つの構成要素のみとしたり、これらの構成に1つまたは複数の部材が加わったものとしても良い。
【0041】
各実施の形態に係る樹脂部4,4dの材質は、ゴム系材料または発泡樹脂などの弾力性を有するものを選択することにより、口腔の内壁への接触によっても口腔の内壁を傷付け難いことから好ましい。但し、マッサージ効果を高めたい場合等には、他の硬い樹脂(発泡による空隙の少ない樹脂または発泡させない樹脂等)を用いることができる。そして、樹脂部4,4dの硬さを段階的に数種類用意し、使用者に選択させることもできる。また、樹脂部4,4dに相当する部材は、必ずしも樹脂で構成される必要は無く、織布、不織布等を適宜選択して用いることができる。
【0042】
また、各実施の形態に係る振動モータ3を樹脂部4,4dで被覆する方法は、振動部材2a,2bの製造を容易にできる観点からは、振動モータ3を溶融樹脂で被覆して、その溶融樹脂を硬化させる一体成形が好ましい。しかし、樹脂部4,4dの内面壁に設けられる第1の突起6を形成し難しい場合がある。また、溶融樹脂の溶融状態を維持するための温度に振動モータ3が耐えられない場合がある。これらの場合に対応するためには、予め振動モータ3を収容可能な凹部を有する樹脂成形体を2つ製造し、この凹部に振動モータ3を挿入した後に、双方の凹部の開口部同士を固着する方法となる第1変形例を採用することができる。この第1変形例を図8に基づいて説明する。
【0043】
図8(A)は、六方体の凹部28aを有する第1の樹脂成形体4aと、貫通孔28bを有する第2の樹脂成形体4bの断面図を示している。第1の樹脂成形体4aと、第2の樹脂成形体4bのそれぞれは、凹部28aと貫通孔28bの開口部同士を固着するための接合部29a,29bを有している。第1の樹脂成形体4aの接合部29aの凸部が、第2の樹脂成形体4bの接合部29bの凹部と嵌合するようになっている。図8(B)は、図8(A)に示す第1の樹脂成形体4aおよび第2の樹脂成形体4bを用いた場合の、図1(A)の振動部材2aを示す図に相当する、振動部材2a’を示す図である。よって、図1(A)に示した振動部材2aと同一となる部材には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0044】
振動部材2a’は、振動モータ3に電線8が接続され、その接続部が第1の接着剤9および第2の接着剤10で固定された接続部付き振動モータ3を、第2の樹脂成形体4bの貫通孔28bに挿入する。その後、樹脂成形体4aの凹部28aに振動モータ3の他端側を差し入れ、接合部29aと接合部29bとを嵌合して接着剤にて固定することで、振動部材2a’が製造される。必要に応じ、第2の接着剤10と第2の樹脂成形体4bとの接触部にも接着剤を用いて封止する。この封止は、水分が振動モータ3等に接触するのを避けることにも寄与する。
【0045】
第2の実施の形態に係る振動部材2bへのブラシ毛12の装着は、植毛技術によらず、樹脂部4への溶着等の他の技術を採用できる。このブラシ毛12の太さ、長さおよび硬さは、用途等によって適宜種々のものを採用できる。ここで、通常の歯の掃除または舌苔の除去を考慮した場合には、ブラシ毛12の太さは、概ね0.05mmから0.3mmまでの間、長さは概ね1mmから7mmまでの間のものが好ましい。また、たとえば、歯と歯の間の掃除に適したものとしては、ブラシ毛12は細いもの(太さが概ね0.05mmから0.15mmまでの間)が好ましく、長さは歯と歯の間に入り込める程度に長いもの(長さが概ね3mmから7mmまでの間)が好ましい。また、たとえば歯茎へのマッサージ効果を重視するなら、ブラシ毛12は強い刺激を伝達できるよう太いもの(太さが概ね0.15mmから0.3mmまでの間)が好ましく、長さは口腔内の移動が容易な程度に短いもの(長さが概ね1mmから4mmまでの間)が好ましい。
【0046】
第1の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置1の振動部材2a,2a’は、主としてマッサージ用であるが、掃除にも適用できる。一方、第2の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置1Aの振動部材2は、主に掃除用であるが、マッサージにも適用できる。口腔内刺激付与装置1として、振動部材2bを使用することも可能であり、口腔内刺激付与装置1Aとして、振動部材2a,2a’を使用することも可能である。また、上述したように、振動部材2a,2a’をそれぞれ用意し、使用目的により、いずれか一方を選択できるようにしても良い。
【0047】
また各実施の形態において使用される振動モータ3の寸法は、厚みが3mm、径が10mm程度のものを用いている。この寸法は、振動部材2a,2a’,2bまたは後述する振動部材2cの全体の大きさを、通常の使用者の食道を容易に通過できる大きさにできる寸法であり、万が一、使用者が誤って振動部材2a,2a’,2bを飲み込んでしまったとしても、樹脂部4,4dから露出した状態の振動モータ3が容易に食道を通過できる。そして振動部材2a,2a’,2bは、消化器系を通過して体外に排出されることとなる。この危険回避の観点、および唇と歯との間への振動部材2a,2a’,2bの挿入のし易さの観点からは、扁平型振動モータの場合は、概ね厚みが1mmから5mmまでの間、径が8mmから20mmまでの間の寸法、円筒型振動モータの場合は、概ね長さが3mmから10mmまでの間、径が1mmから5mmまでの間の寸法のものを用いることが好ましい。そして、平面図面積としては、0.25cm〜9cmがツボに個別的に接触させるに好ましく、0.75cm〜3cmとするのがさらに好ましい。また、平面形状としては、真円形または楕円形が好ましいが、四角形状、三角形状としても良い。
【0048】
また樹脂部4,4dから振動モータ3が露出しない状態であっても、上述の好ましい寸法の振動モータを用いた上で、樹脂部4,4dや第1、第2の樹脂成形体4a、4bの露出面から振動モータ3表面までの距離、すなわち隙間5を含めた樹脂部4,4dや第1、第2の樹脂成形体4a、4bの厚み(片面側の厚み)が、0.5mmから6mmまでの間の寸法とすることが、上述の2つの観点から好ましい。ここで、この樹脂部4の厚みを0.5mm以下とすると、口腔刺激付与装置1,1Aの繰り返しの使用または長時間に渡る使用により、樹脂部4,4d、や第1、第2の樹脂成形体4a、4bが塑性変形により劣化し難くなる。また、この樹脂部4,4dや第1、第2の樹脂成形体4a、4bの厚みを6mm以下とすると、振動モータ3の振動を樹脂部4や第1、第2の樹脂成形体4a、4bが吸収しなくなり、口腔への十分な刺激付与が可能となる。
【0049】
また各実施の形態に係る第1の突起6は、振動モータ3が樹脂部4,4dや第1、第2の樹脂成形体4a、4bの内部で振動する自由度を高め、振動部材2a,2a’,2bが後述する振動部材2cの振動の強さを強めるために設けられている。このため、その配置の状態は、口腔刺激付与装置1,1Aの仕様等によって適宜変更できる。たとえば図9,図10に示すものとしても良い。この図9、図10は、振動部材の第2変形例を示す図で、図1に示す第1の突起6の配置の変形例を示している。図9は図10のc−c断面図で、図10は図9のA−A’断面図である。図9および図10に示す第1の突起6aは、扁平型の振動モータ3の対向する2つの平板面それぞれに3箇所(3点)ずつ、また2つの平板面を結ぶ周面に5箇所(5点)に当接している。その当接位置は、平板面に対しては、3箇所(3点)の点間距離が相互に略等しくなるよう、周面に対しては、5箇所(5点)および第1の接着剤9の位置との隣接する点間距離が略等しくなるよう配置されている。このように、第1の突起6aが等間隔に配置されることにより、振動モータ3を安定的に保持でき、安定した振動を付与することができる。また、扁平型の振動モータ3の周面にも第1の突起6aを配置することにより、振動モータ3の径方向にも大きな振動を許容できる。
【0050】
図9および図10に示す第1の突起6aは、たとえばゴム系材料から構成される。図1に示す樹脂部4に相当する部分(樹脂部4c)には、第1の突起6aが貫通する貫通穴30を設けている。第1の突起6aは、図9および図10に示すように第1の鍔部31および第2の鍔部32を有している。第1の突起6aは、鍔部31,32を含めると貫通穴30の径よりも大きいが、ゴム系材料の有する弾性変形により、その貫通穴30へ通過させることができる。そして、その通過後は第1の突起6aの形状が復元し、図9および図10に示すように、鍔部31,32が貫通穴30の双方の開口部周辺に密着して、樹脂部4cに対して一定の位置に固定できる。
【0051】
樹脂部4cは、PET(ポリエチレンテレフタレート)系等を主成分とする成形性に優れた樹脂を成形したものから構成される。図11(A)に、図9におけるB−B’断面において、樹脂部4cのみを表したものを図示する。樹脂部4cの成形の際には、図11(B)に示すように、図9に示す樹脂部4cの上部4c1と下部4c2とを別々に成形する。その成形の際には、第1の突起6aが貫通する貫通穴30を形成する。
【0052】
樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の成形後、樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の開口部の間に形成される空間に振動モータ3を収容し、樹脂部4cの上部4c1と下部4c2の開口部の接触部を接着剤または熱溶着で接着することで、図9に示す振動部材2cを得る。図9に示す第1の突起6aの鍔部31,32は、貫通穴30を覆うこととなり、水分が振動モータ3と接触するのを阻むように作用するが、必要に応じて第1の突起6aと樹脂部4cとの接触部を接着剤で封止して、さらに振動モータ3への水分接触防止機能を高めると良い。
【0053】
図9に示す、振動モータ3と電気接続し、電力供給部からの電力を伝達する電線8は、樹脂部4cの中では撓んだ状態の電線8aとして収容されている。すなわち、電線8は、その一部が振動部材2cを構成する樹脂部4cの中に収容され、その収容部分の電線8aは、その張力が緩和された状態とされている。これにより、電線8を振動部材2cから離れる方向に引っ張ったとしても、振動モータ3と電線8aとの電気接続部への衝撃を和らげることができ、断線等を抑制できる。また、振動モータ3の振動を、張力が緩和された状態の電線8aが吸収し、振動モータ3の振動に起因する振動モータ3と電線8aとの電気接続部の断線を抑制できる。さらに、電線8aが振動部材2cから離れる方向に移動するのを阻止する、ゴム系材料等からなる摩擦付与部材33を、電線8が樹脂部4cを通過する通過穴34の周囲に設けることで、電線8を振動部材2cから離れる方向に引っ張ったとしても、振動モータ3と電線8aとの電気接続部への衝撃をより和らげることができる。また、摩擦付与部材33は、電線8の振動部材2cから離れる方向への繰り返しの引っ張り等により、電線8aが樹脂部4cの外に引き出されても、電線8aの撓みが無くなるのを遅くして、振動部材2cの寿命を延ばすことに寄与する。
【0054】
また図9および図11(B)に示す、樹脂部4cの円錐の一部分の形状を有するテーパー部35は、振動モータ3側に向かうに従い広がるテーパーとなっている。これは、振動モータ3と電線8aとの接続部を補強する第1の接着剤9が、概ね振動モータ3側からその外側に向かうに従い、高さ位置が低くなることにかんがみ、第1の接着剤9および電線8aをより効果的に樹脂部4cによって押さえつけて、振動モータ3と電線8aとの接続部を補強することを企図したものである。
【0055】
第1の突起6aは、口腔への押圧力を集中させてマッサージ効果を高める機能を有する。また、図12に示すように、図9における第1の突起6aの外側露出部にブラシ毛12を植毛技術等により装着したものを用いることにより、図6に示す歯ブラシとして機能する振動部材2bと同様の機能を具備した振動部材2cが得られる。ここで、ブラシ毛12の植毛技術等による装着は、樹脂部4cよりも通常柔らかいゴム形材料からなる第1の突起6aに対して行うことで製造が容易になる。
【0056】
図13は本発明の各実施の形態に係る誤飲防止部材の他の例を示す図で、図13(A)は、誤飲防止部材36の平面図、図13(B)は、図13(A)に示すA−A’断面と共に誤飲防止部材36の保持用穴38に電線8および保持体39を装着した状態を示す図である。誤飲防止部材36は、振動部材2a,2a’,2b,2cを誤って飲み込まないように、たとえば図5に示すカバー13と唇との間、すなわち、カバー13と口の中の振動部材2a,2a’、2b、2cとの間の電線8またはカバー13とストッパー24が無い電線8に保持され、口腔に挿入できない寸法または形状のものである。
【0057】
誤飲防止部材36は、たとえば直径50mmのポリエチレン系等の樹脂からなり、図13(A)に示すように、この誤飲防止部材36が口を塞いでしまうときのために呼吸用穴37を有している。電線8への保持は、たとえば図13(B)に示すように、電線8を誤飲防止部材36の保持用穴38に通過させ、所望の位置でゴム系材料等の、他の部材と摩擦を生じさせる材料からなる保持部材39を保持用穴38と電線8との間に詰め込み、実現する。この誤飲防止部材36は、たとえば寝たきりの人が本実施の形態に係る口腔刺激付与装置1,1Aを使用する際に有用となる。なお、図13(B)では電線8を示しているが、これに代えて単なる紐としても良いことは言うまでもない。また、誤飲防止部材36から振動部材2a,2a’,2b,2cまでの距離を、概ね4cm以下にすることで、振動部材2a,2a’,2b,2cを使用者の食道へと到達させないことができる。
【0058】
図14は、図2に示した本発明の各実施の形態に係る電力供給部14の変形例を示している。この電力供給部14の説明にあたり、図2に示した電力供給部14と同一となる部材には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。また、電力供給部14の電池15の収容部については、電池15が表れるような一部切り欠き図としている。電源スイッチ兼用フック16は穴を有しており、その穴をストラップ用フック17に用いている。また電源スイッチ兼用フック16はスライド式の電源スイッチ40を有している。この電源スイッチ40は、黒く示した部分を指などで白く示した方向(図14において右方向)にスライドさせ、また元に戻すスライド動作により、本実施の形態に係る口腔刺激付与装置1,1Aの電源をオン・オフするものである。また、コネクタ18も電源スイッチ兼用フック16と一体化している。
【0059】
図15は、図14に示した本発明の各実施の形態に係る電力供給部14の収容部21と電池15収容部の部分断面図であって、収容部21の内部および電池15が表れるような一部切り欠き図としている。電池15の収容部の外周には凹み41が形成されており、収容部21を形成する筒状体の開口端がへこみ41に嵌め込まれることで、収容部21と電池15の収容部とが結合する。収容部21と電池15の収容部の外壁は、樹脂等の弾性変形可能な材料からなるため、収容部21の開口端が凹み41に嵌め込まれる動作が許容される。また、その動作を繰り返し行っても収容部21と電池15の収容部との結合の強度が急激には劣化することが無い。
【0060】
また、ペースト状の歯磨き粉等が入っているチューブ42は、電池15の収容部の内壁面に形成されたねじ溝と、チューブ42の外周面に形成されたねじ山43とでねじ結合により電池15の収容部に隣接して固定されている。この固定は、ねじを外す動作により解くことができるため、チューブ42の交換が容易である。さらに、電池15の端子である板ばね44は、ランプ19、音声発生器20、およびコネクタ18への接続のため、導電板45と一体化している。
【0061】
図16は、各実施の形態において使用される電線8の強化を図る構成を説明するための図で、電線8に、電線8よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐46が、電線8に沿って配置される状態の一例を示している。図16(A)には、リング状部46aおよびそのリング状部46aから導出する線状部46bを有する紐46が示されている。そのリング状部46aで、振動部材2,2a(図16では、代表例として振動部材2aを示す)の周面を、締め付けながら振動部材2a,2a’に固定する(図16(B)参照)。そして、紐46の線状部46bを電線8に沿って配置し、固定具47によって固定している。この固定は、電線8を紐46の線状部46bよりも撓ませた状態で行う(図16(B))。こうすることで、電線8および紐46を共に振動部材2から遠ざかる方向に引っ張っても、紐46の張力が電線8よりも優先して高められる。すなわち、引っ張り力は、電線8には伝わらない。よって、電線8を振動部材2とは逆側に引っ張る力が加えられた場合でも、電線8の断線および電線8と振動部材2との電気接続部分の破壊に伴う断線が抑制される。この紐46の材質は、特に限定されないが、金属等が好適である。ただし、口腔内刺激付与装置1の使用者が、口腔内に金属が接触するのを嫌う場合には、その金属の線側面を樹脂で被覆したり、引っ張り強度の強い樹脂繊維である、アラミド繊維等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置に使用される振動部材を示す図で、(A)はその断面概要図で、(B)はその斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る口腔内刺激付与装置の外観を示す図である。
【図3】図2に示す口腔内刺激付与装置のコネクタとその周囲を示す図で、(A)は、コネクタが接続された状態を示す図であり、(B)は、電力供給部からコネクタを矢印方向に外した状態を示す図である。
【図4】図2に示す口腔内刺激付与装置のカバーを示す図で、(A)は側面図で(B)は平面図で、(C)はカバー内に振動部材を収容した状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る口腔刺激付与装置の使用状態の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る口腔刺激付与装置に使用される振動部材の断面概要である。
【図7】図6に示される振動部材をカバー内に収容した状態を示す図で、内部を透視した状態の図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る口腔刺激付与装置に使用される振動部材の第1変形例を示す図で、樹脂成形体を2つ製造し、樹脂成形体に振動モータを組み入れ、双方を固着する方法を説明する図で、(A)は2つの樹脂成形体を示す図で、(B)は2つの樹脂成形体の固着が完了した状態を示す図である。
【図9】本発明の各実施の形態に係る口腔刺激付与装置に使用される振動部材の第2変形例を示す図で、第1の突起の配置が変形された例を示す図である。
【図10】図9におけるA−A’断面を示す図である。
【図11】図9に示される振動部材の樹脂部を示す図で、(A)は図9におけるB−B’断面を示す図で、(B)は、図9に示す樹脂部の上部と下部とを切り離した(接合する前の)状態を示す図である。
【図12】図9に示される振動部材の第1の突起の変形例を示す図で、第1の突起にブラシ毛を装着した状態を示す図である。
【図13】本発明の各実施の形態に係る口腔刺激付与装置に使用される誤飲防止部材の他の例を示す図で、(A)はその平面図、(B)は、(A)に示すA−A’断面と共に誤飲防止部材の保持用穴に電線および保持体を装着した状態を示す図である。
【図14】本発明の各実施の形態に係る口腔刺激付与装置中の電力供給部の変形例を示す図である。
【図15】図14に示した電力供給部の収容部と電池の収容部の断面図であって、電力供給部の収容部の内部および電池が表れるようにした一部切り欠き図である。
【図16】本発明の各実施の形態において使用される電線8の強化を図る構成を説明するための図で、(A)は、電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐を、電線に沿って配置する前の状態を示す図で、(B)は、電線補強用の紐が電線に沿って配置された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1,1A 口腔内刺激付与装置
2a,2a’,2b,2c 振動部材
3 振動モータ
4,4d 樹脂部
4a 第1の樹脂成形体
4b 第2の樹脂成形体
5 隙間
6,6a 第1の突起
7 第2の突起(突起)
8,8a 電線(紐)
12 ブラシ毛
13 カバー(誤飲防止部材を兼ねる)
14 電力供給部
36 誤飲防止部材
46 電線補強用の紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔へ振動を付与する振動部材において、上記振動部材は、その全体が口腔内に挿入された状態で、上記口腔内を移動可能にされると共に、唇と歯との間に挿入可能な大きさとされていることを特徴とする振動部材。
【請求項2】
表面に突起を有することを特徴とする請求項1記載の振動部材。
【請求項3】
表面にブラシ毛が装着されていることを特徴とする請求項1記載の振動部材。
【請求項4】
その全体が口腔内に挿入された状態で、口腔内を移動可能にされると共に、唇と歯との間に挿入可能な大きさとされている振動部材と、口腔外に設置されて上記振動部材への電力を供給する電力供給部を有し、上記電力供給部と上記振動部材とが、上記電力の供給経路となる電線にて接続されていることを特徴とする口腔刺激付与装置。
【請求項5】
前記電線には、前記振動部材を不使用時には覆い、使用時には露出させるカバーが保持されていることを特徴とする請求項4記載の口腔刺激付与装置。
【請求項6】
前記振動部材は、前記唇と前記歯との間に挿入され易くするための扁平状とされると共に、食道を通過できる大きさとされていることを特徴とする請求項4記載の口腔刺激付与装置。
【請求項7】
前記振動部材には、前記電線の代わりに紐の一端が装着され、上記紐の他端が口腔外に設置された状態で、口腔外にある上記紐には口腔に挿入できない形状の誤飲防止部材が配置されていることを特徴とする請求項4,5または6記載の口腔刺激付与装置。
【請求項8】
前記カバーと前記振動部材との間の電線には、口腔に挿入できない形状の誤飲防止部材が装着されていることを特徴とする請求項5記載の口腔刺激付与装置。
【請求項9】
前記電線は、その一部が前記振動部材の中に収容され、上記一部の前記電線は、前記電線の張力が緩和された状態とされていることを特徴とする請求項4から8のいずれか1項記載の口腔刺激付与装置。
【請求項10】
前記電線には、前記電線よりも引っ張り強度の強い電線補強用の紐が、前記電線に沿って配置され、前記電線および上記紐を共に前記振動部材とは逆側に引っ張ると、上記紐の張力が前記電線よりも優先して高められることを特徴とする請求項4から9のいずれか1項記載の口腔刺激付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−12275(P2008−12275A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282373(P2006−282373)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(506197587)有限会社あいの企画 (2)
【Fターム(参考)】