説明

挿入具

【課題】 使用者が使用中に簡単かつ安全に取り扱えて、使用後は使い捨て処理するのが簡単かつ安全である、注入セットのための使い捨て可能な挿入具を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、インシュリンなどのような治療物質の間欠投与または連続投与を施すための注入セットの挿入具に関する。この挿入具はニードルユニットおよびカニューレハウジングを備え、ニードルユニットはニードルハブと担体本体部から構成される。カニューレハウジングとニードルハブは互いに離脱自在に接続され、両部材が接続されると、挿入用の針がカニューレの内側に設置される。担体本体部はセットハウジングに相関的に後退位置と進入位置の間で移動する。両部材が互いから切離されると、ニードルユニットとカニューレハウジングとはばねユニットによって強制的に進入位置に移動され、この位置で、針とカニューレが皮下設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インシュリンなどのような治療物質を間欠投与または連続投与するための注入セットの挿入具に関するものである。かかる挿入具は、挿入用針を含んでいるニードルユニットと、患者体内に経皮設置される柔軟な可塑性カニューレを保有しているカニューレハウジングとを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第EP 688232 B1号は、患者体内に設置される柔軟な可塑性カニューレを保管するカニューレハウジングを備えている、低いプロファイル(ロー・プロファイル)の角度付けされた注入セットに関するものである。カニューレハウジングは、挿入中はニードルハブにロックされ、挿入セットは手で設置され、すなわち、挿入セットには挿入具が備えられていない。
【0003】
米国特許出願第2002/0077599 A1号は低いプロファイル(ロー・プロファイル)の角度付けされた注入セットの挿入具に関するものであり、かかる挿入具は底面壁が設けられた挿入具ハウジングと、挿入具ハウジングに滑動自在に接続されて後退位置と張出位置の間で底面壁と実質的に平行な方向に移動するようにした保定具とを備えている。挿入具は挿入具ハウジングの外面に接続されているベース部材も備えている。保定具はカニューレハウジングを解放自在に受容するようになっている。保定具30は、使用時には、前方に移動して、針27とカニューレ26に適切な角度で皮膚を刺通させて適切な距離で皮下層に入らせる。続いて、解放ボタン66を押すことにより、カニューレハウジング28を挿入具組立体10から解放することができる。その後、取付パッド80が皮膚に固定され、針27が取り出されることで、カニューレ26を適所に残存させる。
【0004】
この米国出願は、幾分複雑な構造に関連しており、このような複雑さゆえに2個のハウジングを使用する必要があり、これらハウジング、すなわち、上方ハウジングと下方ハウジングは好適な素材から構成されており、ネジ、インターロックタブ、粘着剤、熱固定法、これらの何らかの組合せ、または、それ以外の周知の締め手段(図5の参照番号23)により一緒に保定することができる。
【0005】
米国特許第6,293,925号に記載されている挿入具は、注入器と挿入セットを備えている。注入器は、選択された挿入角度で、抑制された挿入力と挿入速度で皮膚を貫いて針を設置するように設計されている。注入器は、そのばね装填式プランジャーにヘッドが設けられており、挿入セットを受容して支持するにあたり挿入部が外方向に突出したままにすることで、患者の皮膚を貫いて経皮設置することができるように図っている。プランジャーは、駆動用ばねが所定のばね力をプランジャーヘッドに付与する態様で圧縮されることで、ロック位置まで後退して、その位置に保定される。図30および図31は、注入器の使用準備をする場合に、皮下挿入セット14がどのように注入器と一緒に組立てられるかを図示している。
【0006】
【特許文献1】欧州特許第EP 688232 B1号
【特許文献2】米国特許出願第2002/0077599 A1号
【特許文献3】米国特許第6,293,925号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は注入セットの簡単で張出さない挿入具を提供することであり、かかる挿入具は使用者による使用時の取扱と使用後の廃棄が簡単かつ安全となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、角度付けされた注入セットの使い捨て可能で低プロファイルの挿入具に関するものであり、かかる挿入具はセットハウジング、カニューレハウジング、ニードルハブ、ばねユニット、担体本体部(キャリヤボディ)とを備えており、
・セットハウジングには内面にガイド手段が設けられて、担体本体部の移動を確実にし、
・カニューレハウジングは皮下設置される柔軟なカニューレを保有しており、
・ニードルハブは皮膚を刺通す針を含んでおり、
・カニューレハウジングとニードルハブは、互いに離脱自在に固定され、固定した時には、針はカニューレに相接しており、針はカニューレの内側に設置されているのが好ましく、
・担体本体部には外面にガイド手段が設けられており、このガイド手段は、担体本体部がセットハウジング(1)に対して後退位置から進入位置まで移動するのを確実にし、
・担体本体部は解放手段に接続されており、解放手段が操作されると、担体本体部、カニューレハウジング、および、ニードルハブはばねユニットにより強制的に進入位置まで移動させられ、進入位置では、使用者が装置を皮膚に押し当てたままにすると、針とカニューレが皮下設置され、
・ニードルハブと担体本体部には離脱不能なインターロック手段が設けられている。
【0009】
「相接して」という語は、針がカニューレに適切に近接して設置されることで、針がカニューレの内側にあるか、脇にあるか、周囲にあるかに関わらず、カニューレの皮下挿入を確実に行えるようにした状態を意味する。
【0010】
本発明の一実施形態のよると、ニードルハブと担体本体部を単体として作成するにあたり、例えば、セットハウジングの可動部とニードルハブを一緒に成形する、または、挿入用の針をセットハウジングの可動部に直接固定するといった手段が採用される。本発明によると、欧州特許第EP 688232 B1号で明らかなセットなどのような、担体本体部とニードルハブの間に離脱不能な接続を設けている、本質的に周知の注入セットを使用することもできるが、この周知の注入セットでは、挿入具の製造中に、担体本体部とニードルハブとを含んでいるニードルユニットがセットハウジングの中に固定される。離脱不能な接続は、例えば、2つの構成部材装置を接着、溶接、または、機械的インターロックにより形成することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、担体本体部とニードルハブの間の離脱不能な接続は、セットハウジングの中実部分によって被覆されているニードルハブの一部に複数の開口部を設け、更に、これに対応する突起部を担体本体部に設けることにより形成される。セットハウジングがニードルユニットの周囲に設置されると(「周囲」という語は、セットハウジングの素材が少なくとも対向する2側面でニードルユニットを被覆することを意味する)、セットハウジングの弾性により対向するこれら2側面が一緒に圧搾されることでニードルハブと担体本体部を一緒に圧搾するか、または、本質的に剛性のセットハウジングの対向する2側面によって設けられた拘束空間により担体本体部の突起部とニードルハブの開口部とが強制的に一緒に接合されて、ニードルハブの開口部と担体本体部の突起部が共に完全に嵌合してしまうと、担体本体部とニードルハブの間に離脱不能な接続が形成されるか、いずれかの態様で離脱不能な接続が形成される。
【0012】
本発明のまた別な実施形態によると、ニードルユニットは使用後に挿入具にロックされる。ニードルユニットが使用後に挿入具にロックされると、使用者は、使用後に挿入具とニードルユニットの両方を把持する代わりに、挿入具を握るだけで、挿入具とニードルユニットの両方を取り出すことができるようになる。図1から図3に例示されている実施形態によると、ニードルユニットは、拘束空間内しか移動することができないため、挿入具にロックされる。拘束空間は3側面がU字型のセットハウジングによって境界が区分されているが、そのうち2側面は、セットハウジングのガイド手段が側方への移動を阻むようにした場合のガイド手段とニードルユニットによって区分され、また、残り1側面は、ニードルユニットが固定点を越えて前方に移動するのを防止しているストッパー12によって区分される。
【0013】
本発明のまた別な実施形態によると、ニードルユニットは、針が患者の皮膚を刺通すことができる進入位置から、使用された針と接触してしまう危険を軽減するための後退位置まで後戻りさせることができる。
【0014】
本発明のまた別な実施形態によると、セットハウジングの下方部は、挿入中の使用者に最も近接した側に位置するが、引伸ばされて、ベースラインに関して上向きにされる(ベースラインは針に平行な線であるが、針より下方レベルにあり、ここでいう「下方レベル」という語は、使用者により近いほうのレベルであって、通常はセットハウジングの低いほうの憐によって設けられたレベルのことを意味する)。下方部をこのように引伸ばし、または、このように突出させることで患者の皮膚と挿入具を適切に接触させ、適切な角度でカニューレが挿入されるように図るとともに、この引伸ばされた部分、または、突出部が取付パッドを適切な位置まで持ち上げて、皮膚と接触できるようにする。
【0015】
ニードルユニットが後退位置にある場合、突出部の端部は、挿入用の針の端部の正面で針・カニューレによって形成されたラインを超えて渡されるのが好ましい。こうすることで、引伸ばし部に開口を設ける必要が生じるが、これは、針・カニューレがその開口の中を通り抜けることができるようにするためである。図1から図3の実施形態によると、これは、突出部を2本の脚部に分離することにより達成される。この実施形態では、突出部は数学的に切れ目無く連続する曲率として形成されるが、不連続であってもよく、すなわち、1箇所以上が途切れていてもよい。
【0016】
本発明のまた別な局面では、セットハウジングは1個の部材片から作成されている。ニードルハブハウジングが1個の部材片から構成されているということは、担体本体部と挿入具のセットを包囲しているケース部材を組立てたり固定したりするのに、ネジなどの部材を必要としないことを意味する。セットハウジングは成形、すなわち、射出成形やそれ以外の周知の技術により製造される。セットハウジングはまた、例えば、後で一緒に接着または溶接される2個の半分体として製造されてもよい。セットハウジングは可塑材、金属、または、これ以外の、必要な各種機械特性を有している好適な素材から作成されてもよい。
【0017】
本発明による挿入具は簡単な構造でできているとともに構成部材数も比較的少なく、従って、製造と組立てに要する費用が少なくて済む。これにより、挿入具は使い捨てできる製品としての用途に特に好適となる。
【0018】
また別な実施形態では、セットハウジングは1個のU字型部材片から形成されている。セットハウジングがU字型であるということは、セットハウジングが矩形または楕円形の平坦な部材片から構成されており、この部材片が折り曲げられて、側面から見た場合の部材片の両端が2本の実質的に平行な脚部を形成し、これら脚部が一方端で直線または弧状線で接続されたような態様になっていることを意味するが、この場合、両脚部は必ずしも同じ長さでなくてもよい。部材片は折り曲げられた形状をしているが、折り曲げ処理によって構築されるという意味ではなく、例えば、折り曲げられた形状に成形されている場合もある。セットハウジングがU字型である場合、挿入具が注入装置の挿入位置にある時には、下方脚部と呼ばれる部分は使用者と接触している方の脚部である。
【0019】
また別な実施形態では、セットハウジングは丸味を帯びたプロファイルの、または、多面を設けて中を切り抜いたプロファイルの1本のパイプ片として形成される。
【0020】
また別な実施形態では、ばねユニットは、第1位置ではセットハウジングに固定され、第2位置では担体本体部またはニードルユニットに固定されるが、この場合、ばねユニットが偏倚されると、第1位置は第2位置に比べてセットハウジングの前端に近接して載置され、セットハウジングの前端は挿入作業中の使用者に最も近い位置にあるセットハウジングの端部のことである。このような特徴の結果として、解放手段が作動すると、担体本体部とニードルハブ(両方が一緒になって単体を形成している)がハウジングに対して前に引張られる。ばねユニットは、弛緩した偏倚されていない位置に後退するような素材から作成されるが、ゴム、可塑材、または、金属から作成されているのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態を例示している添付の図面を参照しながら、後段でより詳細に本発明を説明してゆく。
【0022】
図1から図3に示す挿入具セットはセットハウジング1と、ニードルユニットと、カニューレハウジング3とを備えており、ニードルユニットは本実施形態ではニードルハブ2から構成されており、ニードルハブ2は挿入用の針6とニードルハブ2に離脱不能に接続されている担体本体部4とを有しており、また、カニューレハウジングは横方向に突出しているカニューレ5を有している。
【0023】
セットハウジング1には放出ボタン7が設けられており、この放出ボタン7は作動状態になると、ばねユニット13を放出してニードルユニット2、4、および、カニューレハウジング3を前方に移動させて進入位置に至らせる。放出ボタン7が作動状態になると、ニードルユニットの可撓性部分8が押し下げられて、図示されていない停止部から解放される。可撓性部分8は図2、図3、および、図7に例示されており、これらの図ではニードルユニットは進入位置にあり、図4ではニードルユニットセットはハウジング1から隔絶されているのが例示されている。
【0024】
図1から図3と図5から図7は本発明の実施形態を例示しており、これらの図では、セットハウジング1はU字型で、上方脚部1aと下方脚部1bが設けられている。この実施形態では、上方脚部と下方脚部は互いに平行で、それぞれの一方端でニードルユニット2、4の高さと凡そ同じ長さの部材片により接続されている。上方脚部1aと下方脚部1bの間の距離は、カニューレハウジング3と接続されているニードルユニット2、4の高さと全体的形状で決まり、また、上方脚部1aと下方脚部1bの間の距離はガイド手段9a、9b、9cを設けるのに十分な長さが必要であるが、ニードルユニット2、4とカニューレハウジング3が後退位置と進入位置の間を移動している間は、ガイド手段がこれら部材を適所に保持する。
【0025】
図1から図3のセットハウジング1のガイド手段は2本の互いに対向する外向きにL字型の異形部材9aが下方脚部から直立し、フランジ部9bが上方脚部1aから下方向に延び、フランジ部9cは上方脚部1aの両側部から内向きに延び、ニードルユニット4の両側部9eと接触している。これに対応するニードルユニット2のガイド手段はニードルユニット2の底面にあり、2本の内向きにL字型の異形部材(図面では図示されていない)が設けられているが、これら異形部材はセットハウジング1に設けられた外向きにL字型の異形部材に対応しており(図5を参照のこと)、また、ニードルユニット4の上面には2本のフランジ部9dが頂面から直立しており、上方脚部1aおよびフランジ部9bと接触状態に保たれる。
【0026】
下方脚部1bの端部では、2本の上向きに折り曲げられた部分10が形成されている。これらの部分10は、使用者がカニューレを挿入する際に、使用者に正しい挿入角度を示してくれる。この部分10はまた、カニューレ5が挿入される際に、カニューレハウジング3と接続状態に設置される取付パッド14が適正な準備完了位置にくることを確実にする。
【0027】
下方脚部1bから延びている本質的に三角形の異形部材11は取扱を容易にするために設けられているが、これは、機能挿入具セットの全体が非常に小型で、そうでもなければ使用者が器用でもない限り、取扱が困難となる恐れがあるかれらである。
【0028】
放出ボタン7が作動状態になるとニードルユニット2、4を前方に押す、ばねユニット13が図6および図7に例示されている。ばねユニット13はセットハウジング1とニードルユニット2、4との間でU字型セットハウジング1の閉じている方の端部に設置されている。ばねユニット13は突起部18aにニードルハブ2の後方端で固定され、突起部18bにセットハウジング1の内側で固定される。ばねユニット13はどのような好適なばねでもよいが、本実施形態では、ばねユニット13はコイルばねであるのが好ましく、かかるばねがニードルユニット2、4をセットハウジングの端部から離れる方向に押す。
【0029】
ばねユニット13はセットハウジング1とニードルユニット2、4の間でU字型セットハウジング1の閉じている方の端部に設置された平板ばねでもよいし、或いは、ばねユニット13はセットハウジング1の前面とニードルユニット2、4の背面との第に弾性接続部を形成し、ニードルユニット2、4を引張るようにしてもよい。
【0030】
放出ボタン7が使用された際にニードルユニット2、4の前方移動を制御するために、セットハウジング1の下方脚部1bにはストッパ12が設けられている。図1から図3の本実施形態では、ニードルユニット2、4に設けられている対応する突起がストッパ12に当たると、ニードルユニット2、4は前方への移動を停止する。図5から図7の実施形態では、2枚のフランジ部9fが下方脚部1bに溝として形成されているトラック内を移動し、ストッパ12aは2本のトラック19のうちの一方または両方の端部に接触するフランジ部9fとして設けられている。
【0031】
ニードルユニット2、4が前方へ移動するのを止めるストッパ12がないならば、ニードルユニットの前面が使用者の皮膚に接触すると、ニードルユニット2、4が停止する。ストッパ12を使用することで挿入深さを制御するのが容易になり、また、ストッパ12がニードルユニット2、4をセットハウジング1にロックして、使用後に挿入具とニードルユニット2、4とを単一部品として取外すことができるようになる。
【0032】
また別な好ましい実施形態では、ストッパ12はU字型セットハウジング1の上方脚部1aの端部および下方脚部1bの端部により形成されている。脚部1aの端部と脚部1bの端部のうちの一方または両方が内向きに曲がっている場合、脚部の端部が上方脚部1aと下方脚部1bの間の距離を限定する位置は、U字型セットハウジングの開いている方の端部の位置となる。この距離がニードルユニット2、4の高さよりも短い長さに限られる場合には、内向きに曲がった脚部の端部がストッパ12としての機能を果たす。
【0033】
図5では、ニードルハブ2がカニューレハウジング3および担体本体部4から離脱状態にあるのが例示されている。この好ましい実施形態では、ニードルハブ2の後方の半分体に2個の開口部15が設けられており、これら開口部は担体本体部4に設けられた2個の突起部16に対応している。突起部16が開口部15に設置されている場合、ニードルハブ2と担体本体部4は互いに相関的に水平平面にロックされる(本実施形態では、水平平面はニードルハブ2の開口部と担体本体部4の突起部との間の接触面に対して直交する平面である)。接合状態にあるニードルハブ2と担体本体部4が設けられているニードルユニット2、4がセットハウジング1の中に設置されると、セットハウジング1の脚部1aと脚部1bはニードルユニット2、4の2つの互いに対向する側を被覆し、垂直方向の移動を阻止する。
【0034】
挿入具セットは、製造されて使用準備ができた状態にされると、通常は、梱包され、セットに仕立てられ、無菌状態にされ、いつでも使用できるようにして使用者に届けられる。使用者が包みを開くと、ニードルユニット2、4はカニューレハウジング3に接続されて、注入セットが出来上がっており、注入セットは後退位置に置かれている。取付パッド14はカニューレハウジング3の下方側に設置されており、取付パッドの粘着面は剥し紙で覆われている。使用者は取付パッドから剥し紙を取外し、挿入具のベース部10すなわち脚部1bを適切な角度で皮膚に押付けて設置し、その後で使用者が放出ボタン7を押す。
【0035】
放出ボタン7を押すと、ニードルユニット2、4がカニューレハウジング3と一緒に放出されて進入位置まで前に押出され、カニューレ5の内部に設置された挿入用の針6が皮膚を刺通すと、カニューレが皮下に設置される。
【0036】
カニューレは、例えば、欧州特許第EP 688232号に記載されているような周知のタイプのものでよいが、この特許では、カニューレ5はカニューレハウジング3の中の直線穿孔の中に配置されている。かかる欧州特許の文献によるカニューレハウジングには貫通孔の他にも2個の案内開口部と2個のロック開口部が設けられている。このような開口部は、貫通経路の中心軸線を含んでいるとともに背面に直交して延びている平面について面対称の形状に成形されている。ガイド開口部は断面形状が実質的に矩形の細長い開口部であり、これら開口部は接続用の針または接続用ハブに設けられた嵌合ガイドピン17を受容する。図3、図5、図6、および、図7では、ニードルユニット2、4はカニューレハウジング3から分離されて例示されているので、ニードルハブ2のガイドピン17を図中に確認することができる。
【0037】
取付パッド14で被覆されているカニューレ5とカニューレハウジング3が適所に置かれると、使用者はカニューレハウジング3をニードルユニット2、4からロック解除して切り離し、セットハウジング1とこのセットハウジング1にロックされているニードルユニットとを含んだままの挿入具セットの残存部分を取出す。欧州特許第EP 688232号では、カニューレハウジングとニードルハブとの間の適切な離脱自在な接続が例示されており、この具体例は引例に挙げることにより本件の一部をなすものとする。
【0038】
使用済みの挿入具の残存部分を確実な方法で使い捨て処理するために、使用者はニードルユニット2、4を引張って後退位置に引き戻し、挿入具の残存部分を開封済み梱包材の中に移す。
【0039】
挿入具とニードルユニットを廃棄した後で、使用者は、現時点で使用者の皮膚に固定されているカニューレハウジング3を接続用ハブに接続させることができる。
【0040】
接続ハブはホースの中を通してルアー接合部材に接続される。ルアー接合により、インシュリンなどのような好適な治療物質をポンプで汲み上げて投与することができるようになる。接続用ハブは注射器の挿入用の針に好適な入口を設けた閉鎖部でもある。このような閉鎖部は3日間までの期間は適所に残存させることができて、その間に、使用者はこの入口から注入されるインシュリンなどの薬物治療を受け、皮膚への外傷を緩和するよう図ることができる。
【0041】
図8から図10に例示されている第3の実施形態による挿入具セットはセットハウジング1、ニードルハブ2を含んでいるニードルユニット、および、カニューレハウジング3を備えており、ニードルハブ2は挿入用の針6とニードルハブ2に切離し出来ないように接続された担体本体部4とを有しており、カニューレハウジング3はカニューレ5を有している。
【0042】
図8では、この実施形態をどのように搬送することができるかが例示されており、すなわち、ニードルユニット2、4は弛緩状態におかれ、すなわち、全く偏倚されていないか、または、ほんの僅かだけ前方位置に偏倚されており、針はハードケース上面20で覆われているが、このハードケースは使用前に装置から取外されなければならない。セットハウジング1は縦断面に切取った形状が楕円形である1本のパイプ片として形成される。ハードケース上面20と対向して、セットハウジング1は取外し可能な平坦カバー21で覆われている。平坦カバーには粘着剤が付着されてカバー21とセットハウジング1を密着封鎖を確実に行えるようにしてもよいし、或いは、平坦カバーはセットハウジングに溶接されてもよいが、このようなカバーのどれも、同時に、輸送に耐えるのに必要な強度を有しており、装置を密封式に封鎖するのであれば、うまく使える。ニードルユニット2、4はハンドル22に離脱できないように接続されており、かかるハンドルの下方側には突起部23が設けられて、ばねユニット13を固定するように図っている(図9aおよび図9bを参照のこと。担体本体部4の上側には矩形プレートの形態のガイド手段9dが設けられており、担体本体部4のガイド手段9dは、セットハウジング1の下向きにL字型の異形部材の形態のガイド手段9bに嵌合する。
【0043】
L字型の異形部材と矩形プレートの組合せにより、確実に、担体本体部は上下動する可能性が制限された状態になって、非常に抑制された態様でセットハウジング1の壁に沿って誘導される。本実施形態のばねユニット13はO字型リングの形態の弾性部材から構成されている。ばねは、セットハウジング1の下方前面部に位置p1で固定されているとともに、担体本体部4の下方部分には位置p2で固定されている。本実施形態では、ばねユニット13は担体本体部4の担体部の背後で固定され、更に、前記担体部を超えて固定されているが、これにより、担体本体部4の下方部分のみが、ばねユニット13によって前方に引張られるように、ばねが偏倚されると、担体本体部4は僅かに傾斜した位置に持ってこられ、このような傾斜位置により担体本体部4を後退位置にロックし、または、ロック状態を支援するが、これは、ガイド手段9dの後方半分体に突起部30が設けられているからである(図12、図15、図19、図20を参照のこと)。ばねユニット13が偏倚されると、担体本体部4が低い1点で前方に引張られているせいで生じた下向きの力の影響をこの突起部30が受けることになる。
【0044】
使用者が装置を付与しようとする場合は、(1)ハンドル22の下方側の突起部23がセットハウジング1の下方側の内側に設けられている隆起部24を越えるまで、または、(2)ガイド手段9dに設けられている突起部30がセットハウジング1のL字型縦断面のガイド手段9bの端部またはそこに設けられた下方小部を越えるまで、いずれかの状態になるまでハンドル22を引張ることにより、ニードルユニット2、4を後退位置へ移動させる(図10を参照のこと)。次いで、使用者は上向に折れ曲がった部分10を皮膚に押付け、ニードルユニット2、4を放出させる。
【0045】
使用者がニードルユニット2、4を後退位置から解放したい場合、ニードルユニットが上記(1)の操作によってロックされている場合には使用者は2つの圧点7を一緒に押せばよいし、ニードルユニットが(2)の操作によってロックされている場合には使用者は7aの位置を押し下げればよい。セットハウジング1の上側と下側の両方に指示された圧点7aが設けられて、使用者が反対方向に指圧を加えることができるようにするのが好ましい。圧点7が互いに向けて押される場合、両圧点の間の線に直交するハウジングの直径は拡張され、担体本体部4の上側に設けられたガイド手段9dが内向きにL字型の異形部材に捕獲されると、突起部23が隆起部24から解放されて上昇させられる。これにより、ばねユニット13を活性化させ、ニードルユニット2、4とそこに装着されているカニューレハウジング3とを進入位置まで前方に移動させる。圧点7aを押し下げる場合、使用者はガイド手段9dの前端を押し下げてガイド手段9dの後方端の突起部をセットハウジング1の手段9bから切離し、これにより、ばねユニット13を活性化させ、ニードルユニット2、4とそこに装着されているカニューレハウジング3とを進入位置まで前方に移動させる。
【0046】
図11および図12に例示されているのは、上述とは異なる種類のばねユニット13が設けられた第4の実施形態である。この実施形態のばねユニット13は2個の平板ばねから作成されており、その各々は、ばねユニットが偏倚されていない状態ではC字型に形成されている。平板ばねがC字型に形成されているということは、これら平板ばねの凹状湾曲部は1箇所しかないということであり、平板ばねがどのような形状に成形され、湾曲部の端部13aと端部13bの各々でどのように固定されるかは平板ばねについて選ばれた素材と形状で決まる。平板ばね13はセットハウジング1の底面壁に固定されるにあたり、C字型ばねユニット13の後方端13aがセットハウジング1に関して静止状態になるような態様で実現される。平板ばねの前端13bはニードルユニット2、4の面4aを押圧して載置されるか、または、ニードルユニット2、4に固定される。本実施形態では、C字型ばねユニット13はニードルユニット2、4の後方端とセットハウジング1の後方端の間に設置され、ハンドル22が引き戻されると、ばねユニット13が偏倚され、C字型ばねユニットの2つの端部13a、13bは一緒に近接した位置に寄せられる。放出ボタン17が作動されると、ばねユニット13は偏倚されていない形状に戻り、ニードルユニット2、4が前方に押出されることになる。
【0047】
図12Aには、平板ばね13の実施形態がセットハウジング1の頂面壁に固定されるにあたり、僅かにC字型に成形されたばねユニット13の後方端13aがセットハウジング1に関して静止状態になるような態様で実現されているのが例示されている。平板ばねの前端13bはニードルユニット2、4の面を押圧して載置されるか、または、ニードルユニット2、4に固定されるが、本実施形態では、前端13b針のレベルより低い位置でニードルユニット2、4の前部に固定されている。
【0048】
平板ばねがセットハウジング1に後方端13aの位置でどのように固定されるかは、これら平板ばねがどのような素材で作成されているかで決まるが、それは、素材の選択が平板ばねが成形されて呈する形状に影響を及ぼすからであり、とりわけ、厚みを左右するからである。平板ばねが可塑材から作成されている場合、例えば、平板ばねが成形により製造されるとすれば、平板ばねがハウジング1に固定される部位の素材は凡そあらゆる形状を呈し得る。素材が適切な厚さであるならば、平板ばねの突起部25はセットハウジング1に設けられている開口部の中に圧入される。平板ばねが金属などでできているのならば、平板ばねに突起部25を形成する経費が高くつくことになり、こういった場合、突起部を形成する代わりに、セットハウジング1に固定されることになる平板ばねに3面を囲まれた矩形スリットを切除し、切抜き部26を形成するのが効率的である。このスリットにより、切抜き部26が平板ばねの面から外れる位置に屈曲して、平板ばねがセットハウジング1を押圧して載置されるようにすることができる。平板ばねがセットハウジング1に固定される場合、突起部25によって固定されるか、または、切抜き部26によって固定されるかのいずれかの手段によるが、溶接や接着などによって平板ばねをセットハウジングに更にそれ以上に固定する必要はなくなる。
【0049】
図13は挿入具の第5の実施形態を例示しており、この実施形態では、ばねユニット13は円形ばねから形成されている。円形ばねユニット13の最後方端13aはセットハウジング1に不動に固定されており、円形ばねユニット13の前部13bはニードルユニット2、4に固定されるか、または、ハンドル22に固定され、或いは、可動ニードルユニット2、4またはハンドル22を押圧してわずかに偏倚された状態で載置される。ばねユニット13は、細長い部分13cがセットハウジング1の底面壁に沿って延びるような形状であってもよい。このような細長い部分13cはその長尺部に沿ってどちらの方向に固定されていてもよいが、セットハウジング1の前面に近い位置p1で固定されるのが好ましい。
【0050】
図13Aは、円形ばねユニット13の最後方部13aがセットハウジング1の上方部分(針のレベルより上の部位)に押圧して載置され、円形ばねユニット13の前部13bはハンドル22に固定されるが、その場合、特殊形状部をハンドル22に対してわずかに偏倚された状態で押圧して載置するだけで実現される。
【0051】
図14は、ばねユニットがS字型に形成されるとともに金属または可塑材の平板ばねから構成されている第6の実施形態を例示している。ニードルユニット2、4が最前位置にくると、S字型ばねの前部13bはニードルユニットの面4aに固定され、または、前記面4aを押圧して載置されるが、その場合、わずかに偏倚された状態になるのが好ましい。S字型ばねの最後方端はセットハウジング1の底面に固定される。最後方端は細長い部分13cによってハウジングに固定されるのが好ましいが、この細長い部分は2本の対向する内向きに折り曲げられ、直立したL字型異形部材によって形成された軌道内に設置され、後方端で固定されるが、かかる固定の手段としては、例えば、セットハウジング1に設けられた開口部の中にばねユニット13の突起部25を押込むことによって実現され、また、前端でも固定され、その固定手段としては、細長い部分に切抜き部を形成して設けられた3面で囲まれた矩形スリット26がセットハウジング1の前端縁を捕獲することによって実現される。ハンドルとニードルユニットが引き戻されると、S字部分の2箇所の端部が一緒に押されてばねを偏倚させ、放出ボタンが作動されると、ばねがニードルユニット2、4を前方へ押し出す。
【0052】
第6の実施形態によるばねユニット13は数字の「8」の字の形状にされて、普通のS字よりも湾曲部の数が多くなるようにしてもよいし、数字の「8」の字よりも正円を2つ並置したものに近い形状にしてもよい。
【0053】
図15は、ばねユニット13がコイルばねから形成されている挿入具の第7の実施形態を例示している。コイルばねユニット13の最後方部13aはセットハウジング1に対して不動に固定されており、コイルばねユニット13の前部13bはニードルユニット2、4に固定されていてもよいし、ハンドル22に固定されていてもよいし、或いは、可動ニードルユニットまたはハンドルの一部を押圧して、わずかに偏倚された状態に載置されるだけでもよい。ばねユニット13はその一部が、セットハウジング1の底面壁に沿って延びる軌道内に囲まれるようになっていてもよい。このような軌道はセットハウジング1と同じ素材から作成されているのが好ましい。軌道はセットハウジング1の底面壁から隆起した2枚の壁から構成されていてもよく、このような壁は互いに平行で内向きに丸くされ、或いは、互いに向かって傾斜していてもよい。ニードルユニット2、4の一部は下方部分に達するように形成され、この部分は軌道の中まで下降し、軌道の内側に滑りこんでいる。ばねユニット13の前端13bはこの部分に固定される、または、この部分を押圧して載置される。ハンドル22が後退位置に移動されると、この部分により軌道内のばねユニット13が偏倚されるのを確実にすることができるが、その際の手段として、ばねユニット13の可動端13bを静止端13aに向けて押し出すことによって実現される。
【0054】
図16は、ばねユニット13が円形または矩形の板ばねである挿入具の第8の実施形態を例示している。この板ばね13の後方端13aはセットハウジング1に不動に固定されており、後方端13bはセットハウジング1の頂面壁の一部に固定され、または、同頂面壁の一部を押圧して載置される。前端13bはニードルユニット2、4の下側に固定され、その場合の位置は、例えば、位置p2に固定される(図9aおよび図9bを参照のこと)。
【0055】
図17は、ばねユニット13がセットハウジング1の互いに対向する壁に固定されている挿入具の第9の実施形態を例示している。図17では、ばねユニット13の前端13bはセットハウジング1の側壁に固定されており、ばねユニット13の最後方部13aは可動ニードルユニット2、4に位置p3で固定され、または、同装置を同位置で押圧して載置されている。本実施形態では、ばねユニット13はニードルユニット2、4の下方部分を囲むループを形成しており、ばねユニットが偏倚されていない状態では位置p3に実際に接触することはない。ハンドル22が引き戻されてばねユニット13を偏倚させると、ループは変形され、ニードルユニット2、4の下方部分の周囲できつく締り、放出ボタンが作動されると、ループが元の形状に戻るにつれて、ニードルユニット2、4がばねユニット13により前方に引張られることになる。この実施形態は上述と同じ特徴を持つ金属ワイヤまたは別な素材から作成されるのが好ましい。
【0056】
平板ばねのばねユニット13について、その最前部が、図17のCおよび図17のDで細い実線で示されているように、位置p3を押圧して載置されるように構築し、更に、その最後部がセットハウジング1の側壁のそれぞれの背面位置で固定されるように構築することもできる。この場合、平板ばねは金属または可塑材から作成される。
【0057】
図18は渦巻きばね13が設けられた挿入具を例示しており、この実施形態では、渦巻きばねの一方端13aはニードルユニット2、4の底面部に固定されており、他方端13bはフックなどにセットハウジング1の前部の位置で固定されている。ニードルユニット2、4を後退させると、渦巻きばねは渦巻きの巻回が解かれ、維持装置を解放すると、渦巻きばねが巻き上がって前方に移動し、針とカニューレに適切な角度で皮膚を刺通させ、適切な距離で皮下層に進入させる。
【0058】
引張りばねを加工して圧縮ばねにすることもできるが、その場合、ばねワイヤの両端をばねの渦巻き・巻回部の中心に通してばねの反対側に渡すことで実現される。ワイヤの両端を引張ると、ばねが圧縮する。
【0059】
図19および図20に例示されているのは、ばねユニット13の第11の実施形態であり、かかるばねユニットは2枚の平板ばねから作成されており、平板ばねの各々がわずかに屈曲したS字型に形成されている。平板ばねがS字型に形成されているということは、平板ばねが凹状の湾曲部を2箇所有しているということを意味する。平板ばね13がセットハウジング1の頂面壁に固定されるにあたり、S字型のばねユニット13の後方端13aがセットハウジング1に関して不動に固定されるような態様で実現される。平板ばねの前端13bはニードルユニット2、4に固定されている。本実施形態では、S字型ばねユニット13はニードルユニット2、4の前端とセットハウジング1の後方端の間に設置されており、ハンドル22が引き戻されると、ばねユニット13は偏倚され、S字型ばねユニットの2箇所の端部13aと端部13bは一緒に近接した位置に寄せられる。放出ボタン17が作動されると、ばねユニット13は偏倚されていない形状に戻り、ニードルユニット2、4が前方に押し出されることになる。
【0060】
図21は、本発明の挿入具を挿入することができる注入セットを例示している。かかる注入セット注入部とコネクタ部とを備えており、注入部には挿入具が挿入されることになり、コネクタ部は、挿入具の挿入後に、例えば、インシュリンポンプと注入部との間に接続部を形成することができる。本実施形態では、コネクタ部は2本のアームにより形成される平面について、面対称となる。
【0061】
本件で例示されているばねユニットの各種実施形態の大半が圧縮ばねであるが、そのうちで例外的であるのは、弾性のO字型リングによって構成されているばねユニットが設けられた第3実施形態と、平板渦巻きばねによって構成されているばねユニットが設けられている第10実施形態であるが、これらのばねユニットは引張りばねユニットである。このうちの第10実施形態は、圧縮性と引張り性の両方を兼備したばねとして機能する丸ネジ加工品により構成されている。
【0062】
ばねユニットは、例えば、スチールから作成されたり、可塑性を有して作成されたりする。可塑性を有するばねユニットはポリオキシメチレン(POM)から作成されているのが好ましく、また、セットハウジング、ハードケース頂面部、および、担体本体部はポリプロピレン(PP)から作成されているのが好ましい。ばねユニットと担体本体部が一緒に担体として成形される場合は、好ましい素材はポリオキシメチレンである。
【0063】
本件の説明では、「平板ばね」という表現は「板ばね」を含んでいる。
【0064】
ばねユニット13を使ってニードルユニット2、4を後退位置から進入位置に移動させる代わりに、磁石を使用することもできる。磁石を使用する場合は、ニードルユニット2、4を後退位置から進入位置に移動させるのに適切な斥力を備えている反発磁石を選択するべきである。2個のうち一方の磁石をセットハウジング1に設置し、もう一方の磁石をニードルユニット2、4に設置し、注入装置を搬送する。放出ボタンを作動させることによりニードルユニット2、4を解放すると、両磁石間の反発により、ニードルユニット2、4は進入方向に向かうよう強制される。両磁石ともセットハウジング内とニードルユニット内にそれぞれに成形され、磁石を保護して隠すように図ってもよい。更に、反発磁石は互いに異なる寸法に作成されて、磁場が変化するのを回避するべきである。
【0065】
図21は、コネクタ部40とカニューレハウジング3を備えている注入セットを例示している。カニューレハウジング3には添付の特許請求の範囲に記載の挿入具が挿入される。挿入具の挿入後、挿入用の針6が挿入具と一緒に取出され、コネクタ部40が図示の位置に設置される。本実施形態では、コネクタ部40は、針と平行であるとともにコネクタ部40の2本のアーム41を含む平面について対称である。このコネクタ部41はコネクタ針42も備えており、この針はカニューレハウジング3のバリア層を刺通す。
【0066】
コネクタ部40は図示されていない管の中を通るルアー接合部材に接続されていてもよい。ルアー接合により、インシュリンなどのような好適な治療物質をポンプで汲み上げることにより投与することができるようになる。コネクタ部はまた、注射器の針を挿入するのに好適な入口を設けた、或る種の閉鎖部であってもよい。このような閉鎖部は3日間程度までの期間は適所に残留させることができ、その期間中に、使用者は上記入口を通して注入されるインシュリンなどの薬物治療を受け、皮膚を繰り返し刺すことにより生じる皮膚への外傷を低減するように図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の挿入具の一実施形態の注入セットが後退位置にあるのを例示した上方側面図である。
【図2】挿入具の注入セットが進入位置にあるのを例示した上方側面図である。
【図3】挿入具の注入セットが進入位置にあって、カニューレハウジングがニードルユニットからすでに離脱しているのを例示した上方側面図である。
【図4】ニードルユニットがカニューレハウジングに装着されているのを例示した上方側面図である。
【図5】挿入具のまた別な実施形態に注入セットが設けられているのを例示した下方側面分解図である。
【図6】図5に例示されている挿入具に注入セットが設けられているのを例示した上方側面分解図である。
【図7】図5に例示されている挿入具で、ニードルユニットがカニューレハウジングから離脱した状態で進入位置にあるのを例示した上方側面図である。
【図8】挿入具の第3の実施形態が搬送準備が完了した状態に設置されているのを例示した上方側面図である。
【図9a】第3の実施形態の分解図である。
【図9b】第3の実施形態の分解図である。
【図10】第3の実施形態の担体本体部が挿入準備が完了した後退位置にあるのを例示した図である。
【図11】第4の実施形態にC字型ばねユニットが設けられているのを例示した側面図である。
【図12】ニードルユニットが第4の実施形態のばねユニットと組合わされたのを上方背面から見たところを例示した図である。
【図12A】第4の実施形態に類似しているばねユニットを上方前面から見たところを例示した図である。
【図13】第5の実施形態に円形ばねが設けられているのを横面側A、上側B、および、背面側Cから見たところを例示した図である。
【図13A】第2の実施形態に円形ばねが設けられているのを横面側から見たところを例示した図である。
【図14】第6の実施形態にS字型ばねユニットが設けられているのを上側から見たところを例示した図である。
【図15】第7の実施形態にコイル状ばねユニットが設けられて、進入位置Aと後退位置Bにあるのをそれぞれに横面側から見たところを例示した図である。
【図16】第8の実施形態に薄板ばねが設けられて、進入位置にあるのを横面側から見たところA、進入位置にあるのを背面側から見たところB、後退位置にあるのを横面側から見たところC、および、後退位置にあるのを上側から見たところDをそれぞれに例示した図である。
【図17】第9の実施形態にばねユニットが設けられたのがセットハウジングの両側に固定されて、進入位置にあるのを横面側から見たところA、後退位置にあるのを横面側から見たところB、進入位置にあるのを上側から見たところC、および、後退位置にあるのを上側から見たところDをそれぞれに例示した図である。
【図18】挿入具の第10の実施形態に渦巻ばねユニットが設けられているのを例示した図である。
【図19】S字型ばねユニットの第11の実施形態を例示した側面図である。
【図20】S字型ばねユニットの第11の実施形態を上側から見た図である。
【図21】本発明の挿入具を挿入することができる注入セットを例示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入セットの挿入具であって、前記挿入具は、セットハウジング(1)と、カニューレハウジング(3)と、ニードルハブ(2)と、ばねユニット(13)と、担体本体部(4)とを備えており、
前記セットハウジング(1)には内面にガイド手段(9a、9b、9c)が設けられて、担体本体部(4)の移動を案内し、
前記カニューレハウジング(3)は皮下設置される柔軟なカニューレ(5)を含んでおり、
前記ニードルハブ(2)は皮膚を刺通す挿入用の針(6)を含んでおり、
前記カニューレハウジング(3)と前記ニードルハブ(2)は、互いに離脱自在に接続され、接続時には、挿入用の前記針(6)は前記カニューレ(5)に相接しており、
前記担体本体部(4)には外面にガイド手段(9e、9f、9g)が設けられて、前記セットハウジング(1)に対して前記担体本体部が後退位置から進入位置まで移動するのを案内し、
前記ばねユニット(13)は解放手段(7)に接続されており、前記解放手段(7)が作動されると、前記カニューレハウジング(3)、前記ニードルハブ(2)、および、前記担体本体部(4)は、前記ばねユニット(13)により強制的に進入位置まで移動させられ、進入位置では、前記針(6)と前記カニューレ(5)が皮下設置され、
前記ニードルハブ(2)と前記担体本体部(4)には離脱不能なインターロック手段が設けられていることを特徴とする、挿入具。
【請求項2】
前記挿入用の針(6)は前記カニューレ(5)の内側に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の挿入具。
【請求項3】
前記ニードルハブ(2)と前記担体本体部(4)を単体として形成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の挿入具。
【請求項4】
前記ニードルハブ(2)の一部に複数の開口部(15)を設け、これらの前記開口部が前記セットハウジング(1)の素材によって被覆されているようにし、前記担体本体部(4)に、前記ニードルハブ(2)の前記開口部(15)に対応する複数の突起(16)を設けることを特徴とする、請求項1に記載の挿入具。
【請求項5】
前記ニードルユニット(2、4)は前記ニードルハブ(2)を含んでおり、前記挿入具を体内に挿入した後は、前記担体本体部(4)は後退位置に設置されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の挿入具。
【請求項6】
前記セットハウジング(1)の下方ベース部には突起部(10)が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の挿入具。
【請求項7】
前記突起部(10)は前記挿入用の針(6)の長手方向の延長部と或る角度を形成することを特徴とする、請求項6に記載の挿入具。
【請求項8】
前記挿入具はストッパ(12、12a)を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の挿入具。
【請求項9】
前記ストッパ(12a)はフランジ(9f)のための軌道(19)の少なくとも1端を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載の挿入具。
【請求項10】
注入セットの挿入具であって、前記挿入具は、セットハウジング(1)と、カニューレハウジング(3)と、ニードルハブ(2)と、ばねユニット(13)と、担体本体部(4)とを備えており、
前記セットハウジング(1)には内面にガイド手段(9a、9b、9c)が設けられて、前記担体本体部(4)の移動を案内し、
前記カニューレハウジング(3)は皮下設置される柔軟なカニューレ(5)を保有しており、
前記ニードルハブ(2)は皮膚を刺通す挿入用の針(6)を含んでおり、
前記カニューレハウジング(3)と前記ニードルハブ(2)は、互いに離脱自在に接続され、接続時には、挿入用の前記針(6)は前記カニューレ(5)に相接しており、
前記担体本体部(4)には外面にガイド手段(9e、9f、9g)が設けられて、前記セットハウジング(1)に対して前記担体本体部が後退位置から進入位置まで移動するのを案内し、
前記ばねユニット(13)は解放手段(7、7a)に接続されており、前記解放手段(7、7a)が作動されると、前記カニューレハウジング(3)、前記ニードルハブ(2)、および、前記担体本体部(4)は、前記ばねユニット(13)により強制的に進入位置まで移動させられ、進入位置では、前記針(6)と前記カニューレ(5)が皮下設置され、
前記セットハウジング(1)は1個の部材片から形成されている、
ことを特徴とする、挿入具。
【請求項11】
前記挿入用の針(6)は前記カニューレ(5)の内側に設置されることを特徴とする、請求項10に記載の挿入具。
【請求項12】
前記セットハウジング(1)はU字型であることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の挿入具。
【請求項13】
前記U字型の下方脚部は突起部(10)を含んでおり、前記針(6)より下の位置にあって、前記針と平行なベース線と、或る角度を形成していることを特徴とする、請求項12に記載の挿入具。
【請求項14】
前記セットハウジングは、丸味付けされた縦断面形状または多面で囲まれた縦断面形状の1本の管部材片として形成されることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の挿入具。
【請求項15】
前記セットハウジング(1)は前記挿入具の搬送用梱包材の少なくとも一部を形成していることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項16】
前記セットハウジング(1)には硬質頂面部(20)が設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項17】
前記ばねユニット(13)は、第1位置(p1)で前記セットハウジング(1)に固定され、第2位置(p2)で前記担体本体部(4)または前記ニードルハブ(2)に固定されるが、この場合、前記ばねユニット(13)が偏倚されていない状態では、第1位置は第2位置に比べて前記セットハウジング(1)の前端に近接した位置にあることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項18】
前記ばねユニット(13)は弾性のO字型リングであることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項19】
前記ばねユニット(13)は第1位置で前記セットハウジング(1)に固定され、第2位置で前記担体本体部(4)または前記ニードルハブ(2)に固定されるが、この場合、前記ばねユニット(13)が偏倚されていない状態では、第1位置は第2位置に比べて前記セットハウジング(1)の後方端に近接した位置にあることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項20】
前記ばねユニット(13)は前記セットハウジング(1)の後方端と前記ニードルユニット(2、4)との間に設置される平板ばねであることを特徴とする、請求項1または請求項10に記載の挿入具。
【請求項21】
前記ばねユニット(13)は前記ニードルユニット(2、4)の両側に2箇所の凹状の湾曲部を設けた形状を呈しており、前記ばねユニットが偏倚されていない状態では、前記湾曲部は各々がその一方端(13b)で前記ニードルユニット(2、4)に固定され、その他方端(13a)で前記ニードルユニット(2、4)への前記固定部位より後方で前記セットハウジング(1)に固定されていることを特徴とする、請求項20に記載の挿入具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2008−522680(P2008−522680A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544738(P2007−544738)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/DK2005/050010
【国際公開番号】WO2006/061027
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(506324208)ウノメディカル アクティーゼルスカブ (25)
【Fターム(参考)】