挿入部位、取り出し部位及び器具経路の位置に関するキューを与える皮膚挿入器具及びキット、及び使用方法
器具を挿入及び取り出す部位並びに経路の正確な位置に関するキューを自らが与える皮膚挿入器具、その器具を使用して該当部位にマーキングする方法、器具により与えられたキューを除去する方法、並びに器具及び位置のキューを除去するための材料を包含するキットを開示する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第60/997,400号(出願日:2007年10月3日)の優先権の利益を享受するものであり、上記出願の内容は参照されることにより明細書の開示の一部とされる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、カテーテルのような皮膚挿入器具に関し、より詳細には、被験者に器具を挿入及び取り出す部位並びに経路の正確な位置に関するキューを自らが与える皮膚挿入器具、その器具を使用して該当部位にマーキングする方法、器具により与えられたキューを除去する方法、並びに器具及び位置のキューを除去するための材料を包含するキット、に関する。
【発明の背景】
【0003】
本明細書全体を通して様々文献を引用するが、これら文献は本発明の属する技術をより詳細に説明するためのものであり、これらの文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
皮膚挿入器具は臨床的環境で日常的に使用されている。皮膚挿入器具としては、縫合、糸、套管針、固定ピン又はクリップ、ワイヤ又はケーブル及びカテーテルが挙げられる。皮膚挿入器具の挿入及び取り出し部位に検出可能なマークを付けることは、器具を除去しようとする臨床医にとって重要な補助手段になり得る。場合により、部位の正確な位置は、穿刺傷により与えられるコントラストから検出できることもあろうが、他の場合(特に小さな器具)には、器具の除去の後に短時間で部位を特定することが困難な場合がある。
【0005】
皮膚挿入器具を挿入した位置を鮮明に特定することは、器具の除去に続く傷の回復が悪い患者に、部位の保護を適確に行うのに役立つ。カテーテルを除去する場合、特定の患者には、同じ部位や静脈の使用を避けるために、以前のカテーテルが挿入されていた位置を知ることは有益な場合がある。これによって、感染の危険性を下げると共に、同じ静脈に対する機械的な傷の反復を回避することにより、静脈炎又は深部静脈血栓症血等の管合併症の可能性を下げるのに役立つ。また、品質の悪い血管、出血障害又は挿入が困難な静脈を有する患者には、挿入手順を失敗する危険性があるので、同じ挿入経路を再度使用するのが有益である場合があろう。
【0006】
様々な方法及び器具が、身体部位の位置を確認するために使用されている。例えば、器具挿入の位置を示すために、手術用マーキングペンが使用されている(例えば、Porex Surgical Products Groupから市販のTLS(商品名)手術用マーカー、又はCardinal Healthから市販のConvertors(登録商標) Surgical Marking Pens)。着色剤を供給する注射器(米国特許第5,192,270号)、皮膚の中にマークを押し込む器具(米国特許第5,147,307号)、組織マーキングプローブ(米国特許第6,780,179号)、及び組織のマーキング及びシーラント管用の生物分解性重合体(PCT公開国際特許第WO03/093338 A2号)も開示されている。位置を特定するが、マーカー器具の埋め込みを必要とする、埋め込み可能な医療用マーカーも開示されている(米国特許第6,228,055号、PCT公開国際特許出願第WO 2006/022786号)。米国特許第5,713,858号には、除去部位のキューが関与しない、永久的に埋め込み可能な案内カテーテルを使用して体の組織に繰り返し到達する方法が記載されている。身体の空洞にマークを付けるための器具及び方法も記載されている(米国公開特許出願第2006/0200024号)。多くの文献が、抗菌染料の医療器具への応用を開示している(例えば、米国特許第5,607,417号、第5,709,672号、第6,361,786号、第6,551,346号、第6,617,142号、米国公開特許出願第2003/0078242 A1号、第2005/0131356 A1号、及び第2005/0197634 A1号)。しかしながら、挿入及び/又は除去の際にそれ自身が経皮部位にマークを付ける器具、例えばカテーテルは報告されていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、被検者の皮膚を通る皮膚挿入器具を挿入する部位及び/又は取り出す部位、及び/又は被験者体内を通る皮膚挿入器具の経路、にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、前記皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを与える、器具を提供する。
【0008】
本発明は、被検者を通る、皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出す部位、及び/又は器具の経路にマークを付けるための、皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる方法であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを与える、方法も提供する。
【0009】
本発明は、酸化し得る位置キュー染料ステインの脱色方法であって、ステインに過酸化物を塗布し、前記過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法を提供する。
【0010】
本発明は、位置キュー染料ステインを除去するためのキットであって、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなる、キットを提供する。
【0011】
本発明は、真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付ける、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、及び真皮マークを脱色する、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿ったマークを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、該キットが、挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるために、酸化し得る、目に見える染料マークを皮膚の表面上に付与する、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って染料マークを付与する皮膚挿入器具、及び該マークの除去に使用するための、非イオン化金属粒子、及び所望により過酸化物を含んでなる、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水/ACN/MeOH中ゲンチアナバイオレット(gentian violet)(GV)(ScienceLab)50μg/mL/CHA標準200μg/mLのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図2】Tecothane(登録商標)2095A中にコンパウンディングしたゲンチアナバイオレットのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図3】ゲンチアナバイオレットStandard(Aldrich)のHPLCクロマトグラム@588nm。
【図4】Tecothane(登録商標)2095A Tube試料から得たゲンチアナバイオレットのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図5】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の588nmにおけるクロマトグラム。
【図6】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の588nmにおけるクロマトグラム。
【図7】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の253nmにおけるクロマトグラム。
【図8】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の253nmにおけるクロマトグラム。
【図9】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の280nmにおけるクロマトグラム。5.896分ピークは溶剤による。
【図10】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の280nmにおけるクロマトグラム。5.974分ピークは溶剤による。
【図11】経皮カテーテル含浸(impregnation)のマーキング部位に関するブタ皮膚染色設定。ゲンチアナバイオレットとクロロヘキシジンの異なった比及び濃度を代表する22種類の異なったカテーテル処理を評価した。
【図12】図11の設定から得たブタ皮膚染色結果を示す。
【図13】寒天プレート上の局所的ゲンチアナバイオレット(GV)ステインの、銀活性化された過酸化水素による除去。図13(A)は、10μl 0.1%GV + 100μlH2O2、図13(B)は、10μl 0.1%GV+100μlH2O2 + 0.00867 gAgである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位、及び/又は経路、にマークを付けるための、皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる方法であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを付与する、方法を提供する。
【0014】
本発明は、被検者の皮膚を通る皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるための、及び/又は被験者を通る皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを含んでなる、器具を提供する。
【0015】
皮膚挿入器具は、皮膚挿入器具の挿入部位、皮膚挿入器具の取り出し部位、皮膚挿入器具の挿入部位及び取り出し部位の両方、及び/又は体内における器具の経路にマークを付けるキューを付与することができる。挿入部位及び取り出し部位は、同じ部位でも、異なった部位でもよい。器具は、器具が体内又は身体空洞、例えば胃腸管系、耳道、呼吸系、鼻道、及び泌尿系、内で器具が接触する表面にマークを付けることにより、被験者の組織、脈管及び空洞を通る器具の経路にマークを付けることができる。
【0016】
皮膚挿入器具は、皮膚の表面上に、挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるためのキューを付与することができる。皮膚の表面上のキューは、皮膚を通して挿入された皮膚挿入器具の、皮膚挿入器具が皮膚を横断した部分の周辺部の輪郭を描くことができる。例えば、キューは、表皮上に輪郭を与える円でよい。皮膚挿入器具は、組織、脈管及び空洞を通る器具の、挿入部位と取り出し部位との間の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを与える。キューは、硬質及び軟質組織の両方を通る器具のトンネル経路の全部又は一部にマークを付けることができる。
【0017】
選択的なマーキングは、例えば皮膚挿入器具の所望の区域だけにキューを付けることにより、及びキューの上にある区域に水溶性のマスクコーティングを付けることにより、達成することができる。この水溶性マスクコーティング層は、キューが移動し得る前に、最初に溶解する必要があろう。これによって、埋め込み手順の際に、キューが埋め込み者に移動するのも阻止される。水溶性コーティングの例には、炭水化物(例えば糖又はデキストラン)、デンプン、重合体(ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール)、タンパク質(アルブミン、ゼラチン)、バイオポリマー(カルボキシメチルセルロース、アルジネート、キトサン)、及び塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。類似の効果は、溶解させるのではなく、加水分解する表面コーティング(例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキソラン、及び共重合体のようなポリエステル材料)を使用しても達成することができる。コーティングは、加水分解又は溶解ではなく、酵素分解によっても除去することができる(リピド、コラーゲン又は他の不溶性タンパク質)。部分的に水和する器具では、キューを、器具の表面下にある層の中に埋め込むこともできるが、これは、挿入に続いて水和し、表面に拡散するための時間を必要とする。器具の、キューが埋め込まれている区域だけがキューを移動させる。
【0018】
キューは、目に見える染料を包含する。好ましくは、皮膚は、受容者(recipient)の皮膚の色に対して明瞭な視覚的コントラストを与える色でマークを付ける。キューは、励起波長の電磁エネルギーを皮膚に作用させた時にのみ、検出される試剤でよい。この試剤は、例えば蛍光染料、りん光染料又はX線試剤でよいが、これらに限定されるものではない。蛍光染料の例としては、例えばクマリン、ナフタルイミド、ペリレン、ローダミン、ベンズアントロン、ベンゾキサントン、及びベンゾチオキサントンが挙げられる。りん光染料の例としては、例えば亜鉛、カルシウム及びストロンチウム硫化物又は活性化試剤、例えば銅、ビスマス又はマンガン、とのアルミン酸塩が挙げられる。X線試剤の例としては、バリウム、ビスマス及び他の金属酸化物及びそれらの塩が挙げられる。励起は、電磁スペクトルの可視領域でよいが、可視領域の外でもよい。キューは、可視電磁領域の外側で検出される染料でよい。そのような染料の例としては、紫外(UV)又はブラックライト可視染料、例えばプテリジン、又は赤外(IR)可視染料、例えばスクアライン、が挙げられる。可視領域の外側で放射する染料は、放射波長を可視信号に変換するか、又は別の様式で、例えば電気信号を使用して、検出する特殊な観察器具と共に使用することができる。キューは、音響的コントラスト、熱的コントラスト又は感触的コントラストにより与えることができる。例えば、キューは、表面粗さを与える微小球/微小粒子でよいか、又は中空であるか、又は気泡を含む場合には、超音波により検出することができよう。熱変色性染料(例えばフルオラン染料)は、局所的な加熱により現像することができる。キューは、第二成分(指示薬成分)を皮膚に塗布しない限り、目に見えず、次いで、指示薬及びキューが重なり合っている区域で画像形成するか、又は他の様式で検出できるものでよい。そのようなキュー及び指示薬成分の例としては、塩基(例えば炭酸ナトリウム)により現像されるフェノールフタレインインク、同様に現像されるチモールフタレイン、ニンヒドリンにより現像される塩基、酸化性試剤(例えばアジド又は有機ハロゲン)により現像されるロイコ染料(オキサジン、Leuco Crystal Violet、トリス(4−ジエチルアミノo−トリル)メタン、ビス(4−ジエチルアミノo−トリル)フェニルメタン、ビス(4−ジエチルアミノo−トリル)−チエニル−2−メタン、ビス(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)フェニルメタン、2−(2−クロロフェニル)アミノ−6−N,N−ジブチルアミノ−9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6 N,N−ジエチルアミノ9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、ベンゾ[a]−6−N,N ジエチルアミノ9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、2−(2−クロロフェニル)アミノ−6−N,N−ジブチルアミノ−9−(2−メチルフェニルカルボキシアミド)フェニルキサンテン、3,6−ジメトキシ−9−(2−メトキシカルボニル) フェニルキサンテン、3,6−ジエトキシ−9 (2−メトキシカルボニル) フェニルキサンテン、ベンゾイルロイコMethylene Blue及び3,7−ビスジエチルアミノフェノキサジンを包含する)、ヨウ素により現像されるデンプン、硫化ナトリウムにより現像される硫酸鉄、炭酸ナトリウムにより現像される硫酸鉄、及び炭酸ナトリウムにより現像される硫酸銅が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
皮膚挿入器具は、キューで被覆する、及び/又はキューで含浸させることができる。キューは、接触により、皮膚挿入器具から皮膚に直接移動させることができる。キューは、皮膚挿入器具に塗布し、次いで皮膚挿入器具から隣接する組織に、擦り落とすか、又は拡散により徐々に浸出させることができる。この場合、挿入部位を取り囲む皮膚の、皮膚挿入器具に直接隣接する小さな輪状区域にマークを付けるのに十分なキューだけを塗布するのが望ましい。マーキングの程度は、器具に装填するキューの濃度により制御することができる。
【0020】
キューは、例えばトリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、又はそれらの混合物でよい。キューは、例えばゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、又はそれらの混合物でよい。
【0021】
好ましいキューはゲンチアナバイオレットである。ゲンチアナバイオレットは、皮膚挿入器具の皮膚を通過する部分に、器具の皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在することができる。別の例では、器具中のゲンチアナバイオレットの濃度は、1.1質量%、1.5質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、4質量%、5質量%、7.5質量%又は10質量%を超える。ゲンチアナバイオレットの濃度は、例えば20質量%まででよい。ゲンチアナバイオレットは、皮膚挿入器具の皮膚を通過する部分に、器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で、好ましくは50〜500μg/cm2の濃度で存在することができる。
【0022】
皮膚挿入器具は、単一種類のキュー、又は二種類以上のキューの組合せを包含することができる。
【0023】
皮膚挿入器具は、例えば縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル又はカテーテルでよい。好ましい皮膚挿入器具はカテーテルである。
【0024】
カテーテル等の皮膚挿入器具は、例えばシリコーンエラストマー、熱可塑性樹脂、ポリウレタン、フルオロポリマー、及びポリオレフィンの一種以上から製造することができる。染料、例えばゲンチアナバイオレットを処理する方法としては、例えば押出、射出成形、吹込成形、圧縮成形、又は他のいずれかのホットメルト製法が挙げられる。押出の前に、ポリウレタン樹脂を、染料で予備被覆するか、又はポリウレタン樹脂を染料粉末とコンパウンディングすることができる。カテーテルのような器具は、例えばゲンチアナバイオレットを熱可塑性樹脂、例えばポリウレタンと共に、207℃未満の温度で押し出すことを含む方法によっても製造することができ、その際、ゲンチアナバイオレットの濃度は熱可塑性樹脂に対して0.05質量%〜20質量%である。この方法で使用する熱可塑性樹脂は、好ましくは加工温度が低い(207℃未満)ポリウレタン、例えばTecothane(登録商標)、Carbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Texin(登録商標)及びPellethane(登録商標)、である。染料の分解が起こる温度より高い加工温度を必要とするポリウレタン又は他の熱可塑性樹脂は、それらの熱可塑性樹脂を、例えば可塑化により、処理し、加工温度を染料が分解する温度より低い温度に下げない限り、この方法には適していない。
【0025】
本明細書で開示する方法のいずれかにより製造されたキュー含有皮膚挿入器具も提供される。そのような皮膚挿入器具の一例は、熱可塑性樹脂、例えば加工温度が207℃未満のポリウレタンを含んでなるカテーテルであり、その際、器具の少なくとも経皮部分におけるゲンチアナバイオレットの濃度は、熱可塑性樹脂の0.05質量%〜20質量%である。
【0026】
キューは、挿入した皮膚挿入器具を除去した後、ある時間検出可能なままであるが、永久的ではない(例えば摩耗又はクリーニングにより、最終的には除去される)のが望ましい。
【0027】
本発明は、真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを脱色する方法であって、過酸化物をステインに塗布し、過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法を提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。過酸化物の例としては、過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素が好ましい過酸化物である。好ましくは、染料ステインは、ゲンチアナバイオレット真皮ステインである。好ましくはゲンチアナバイオレット:銀のモル比は1:1未満である。
【0028】
本発明は、真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを除去するための、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなるキットをさらに提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛の一種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。過酸化物の例としては、過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素が好ましい過酸化物である。無機過酸化物、例えばマグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物を含むキットは、酸、例えば重硫酸ナトリウムも含んでなることができる。
【0029】
本発明は、真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、並びに、真皮表面上の及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿った染料ステインを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、a)挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるために、視認できる染料マークを皮膚の表面上に付与する、及び/又は染料マークを皮膚挿入器具の経路に沿って付与する皮膚挿入器具、及びb)非イオン化金属粒子を含んでなる、キットも提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛の一種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。キットは、過酸化物、例えば過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトン、をさらに含んでなることができる。過酸化水素が好ましい過酸化物である。無機過酸化物、例えばマグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物、を含むキットは、酸、例えば重硫酸ナトリウムも含んでなることができる。好ましくは、皮膚挿入器具は、ゲンチアナバイオレット染料マークを皮膚上に付与する。器具は、被験者を通る器具の経路の、全部又は一部にマークを付与することもできる。
【実施例】
【0030】
本発明を下記の実験詳細項で説明するが、この項は、本発明を理解し易くするために記載するのであって、その後に記載する特許請求の範囲で規定する本発明の範囲を限定するものではない。
【実験の詳細】
【0031】
例I−II.−ゲンチアナバイオレットのTecothane(登録商標)−2095A樹脂中への配合
コンパウンディング及び押出製法によりゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095A樹脂中に配合する実験を行った。この例では、ゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095Aペレット上に、樹脂をゲンチアナバイオレット/エタノール混合物中に浸漬することにより被覆し、溶剤を通常の条件で蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆したペレットを押出機又はコンパウンダー中に供給し、チューブ又はストランドペレット化されたペレットを製造した。ゲンチアナバイオレットは、粉末としてポリマー樹脂と共に直接供給し、コンパウンディング及び押出することもできる。驚くべきことに、本明細書に開示する高温製法を使用することにより、これまで開示されているよりも、はるかに高いゲンチアナバイオレットの装填を、ゲンチアナバイオレットの化学構造を分解することなく、達成することができた。
【0032】
例1 Tecothane(登録商標)−2095A樹脂と0.5%ゲンチアナバイオレットのコンパウンド
ゲンチアナバイオレット(Sciencelab,Houston,TX)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich, St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)−2095A(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト(chemical fume hood)中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0033】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した(starve−fed)。押出機は、スクリュー速度231rpmに設定し、バレル区域温度は329°F(165℃)〜338°F(170℃)に設定した。押出物は、小さなペレットにペレット化した。
【0034】
例2 ゲンチアナバイオレットを装填したTecothane(登録商標)チューブ
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)20gをエタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)1000mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、コンパウンディングの前に、65℃及び30インチHgで4時間乾燥させた。
【0035】
乾燥したゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を5/8インチのRandcastle単軸スクリュー(CedarGrove,NJ)マイクロ押出機中に重力供給した。マイクロ押出機は、スクリュー速度20rpmに設定し、バレル区域温度は360°F〜375°Fに設定した。5FrチューブをBH25ツール(San Marcos,CA)から引き出した。
【0036】
Tecothane(登録商標)中にコンパウンディングしたゲンチアナバイオレットのHPLCによる分析
コンパウンディングした樹脂及びチューブ試料からゲンチアナバイオレット含有量をHPLC法により分析した。GV装填した樹脂又はコンパウンディングしたペレットに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の大体10〜20ペレット(使用した原料の重量に応じて)に相当する0.1〜0.3gを秤量し、50mL遠心分離管中、THF(5mL又は7.5mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで全ての重合体が溶解するまでボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(5又は7.5mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0037】
チューブに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の1cm断片を測定して切断し、50mL遠心分離管中、THF(10mL又は20mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで5分間又は重合体が管の底に付着しなくなるまで、ボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(10mL又は20mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0038】
HPLC分析は、Agilent 1200 Series LC上で、Agilent Eclipse XDB−CN 5μ 4.6x150mmカラム及び対応するガードカラムを使用して行った。勾配プログラムは、2個の溶剤貯蔵部、すなわち、
MP A:100%DI水/0.2%トリフルオロ酢酸
MP B:100%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸
プログラム:0〜5分 35%B、5〜6分 35〜40%B、6〜12分 40%B、12〜16分 35%B
を使用して実行した。
【0039】
コンパウンディングした樹脂及び押し出したチューブのゲンチアナバイオレット含有量を表1に示す。表2は、標準対試料におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。面積百分率は、標準及び試料(Sciencelab)に関して図1及び2にそれぞれ示す、クロマトグラムに示す他のピークではなく、3個のピークの総面積だけを基にしている。表3は、標準対試料(Aldrichから市販)におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。図3及び図4は、標準(Aldrich)及びチューブ試料のクロマトグラフをそれぞれ示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
例III.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響
Tecothane(登録商標)押出w/30%充填材におけるゲンチアナバイオレット
押し出したゲンチアナバイオレットは、処理温度217℃で分解する(約209℃で開始)が、約207℃未満での処理は、ゲンチアナバイオレットを分解しないことが分かった。温度の影響に関する驚くべき発見の一つは、特定区分のポリウレタンは分解温度未満で加工できるが、他の区分は加工できないことである。
【0044】
安定したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング条件
バレル温度
区域1〜5=170℃
区域6=175℃
溶融物温度=194℃
スクリュー速度=100 rpm
圧力=約180 bar
【0045】
分解したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング温度
区域1〜6=217℃
【0046】
コンパウンディングは、Sigma Aldrich ACS等級ゲンチアナバイオレット、ロット016K3691で行った。HPLC分析は、例Iに及びIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の1cm断片を切断し、測定することによりにより、行った。
【0047】
図5〜10におけるクロマトグラムは、安定したゲンチアナバイオレットに続く分解したゲンチアナバイオレットを、588nm、253nm、及び280nmで示す。217℃試料から得た分解ピークは、253及び280nm波長における新しいピークとして明らかである。低い加工温度のクロマトグラムは、ゲンチアナバイオレット原料のクロマトグラムと同一であった。
【0048】
例IV.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響(196℃〜219℃)
0.5%GVを含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0049】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表4に示す。
【0050】
HPLC分析は、例I及びIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の幾つかのペレットを選択することにより、行った。
【0051】
GV含有量は、加工温度206℃まで実質的に変化しなかった。分解は、209℃で開始すると思われ、219℃でより酷くなった。
【0052】
【表4】
【0053】
例V.− 押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響−高温
GV0.5%を含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
樹脂ペレットにGVを装填するための試料調製は、例IVと同様である。ゲンチアナバイオレットは、(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から購入し、Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)を使用した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表5に示す。
【0054】
押出可能なGV含有量の劇的な低下により明らかなように、GVの重大な分解は220℃より上である。
【0055】
【表5】
【0056】
例VI.−経皮カテーテルの埋め込み部位のマーキング
本例は、カテーテルを埋め込んだ後に、カテーテル表面から周囲の組織中へのゲンチアナバイオレットの浸出により、患者の皮膚上で明らかになる染色を模擬するために、ブタの皮膚を使用する。
【0057】
材料/方法
試料調製
カテーテル部分を被覆又は含浸させた。被覆は、カテーテル部分を、染料及び被覆重合体(例えばポリウレタン)を含む溶液中に浸漬することにより行った。含浸は、染料を溶解させた膨潤溶剤中に浸漬することにより行った。膨潤溶剤は、重合体マトリックスのメッシュを膨脹させ、染料をカテーテルの壁中に拡散させた。被覆又は膨潤溶液中の、染料の様々な濃度を使用し、ある範囲の染料装填量を有する部分を形成した。次いで、溶剤を蒸発させた。カテーテルは、その本来の寸法近くに収縮したが、染料は重合体マトリックス中に閉じ込められた。
【0058】
ディップコーティングした試料、被覆溶液は、
THF(JT BakerロットC41832)258.5g、
メタノール(Fisherロット067887)91.3g、
60DロットCD5DRE024 17.215g
を使用して調製した。
【0059】
一つのゲンチアナバイオレット(Sciencelab)原溶液を、被覆溶液150mLに0.21gを加えることにより、調製した(0.14%)。別のクロロヘキシジンジアセテート(CHA)(ロットRZ3026851)原溶液を、被覆溶液150mLに3.75gを加えることにより、調製した(2.5%)。試料1〜9を表6に従って調製した。
【0060】
【表6】
【0061】
含浸させた試料、含浸原溶液は下記の比、すなわち、
85%メチルエチルケトン(Fisherロット067353)、
10%脱イオン水、
5%アセトン(Fisherロット063123)
に従って調製した。
【0062】
セット1用のゲンチアナバイオレット原溶液は、0.34996gを含浸溶液250mLに加えることにより調製した(0.14%)。セット2用のクロロヘキシジンジアセテート(CHA)原溶液は、8.75gを含浸溶液350mLに加えることにより調製した(2.5%)。セット3用のゲンチアナバイオレット原溶液は、1.000gを原溶液200mLに加えることにより調製した。セット3用の試料は、原料の連続的な希釈により調製した。セット1〜3用の試料は、表7に従って調製した。
【0063】
【表7】
【0064】
試料を加熱炉中、真空下、50℃で24時間乾燥させ、メタノールですすぎ、再度真空下で一晩乾燥させ、調製を完了した。
【0065】
薬物含有量分析 薬物含有量分析は、各試料(n=3)の1cm下で部分を切断し、測定し、50mL遠心分離管中、THF(10mL又は20mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで5分間、又は管の底部に重合体が付着しなくなるまで、ボルテックス処理した。次いで、等量(10mL又は20mL)のDI水を加え、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてから、HPLC分析にかけた。
【0066】
分析は、Agilent 1200 Series LC上で、Agilent Eclipse XDB−CN 5μ 4.6x150mmカラムと対応するガードカラムを使用して行った。勾配プログラムは、2個の溶剤貯蔵部、すなわち、
MP A:100%DI水/0.2%トリフルオロ酢酸
MP B:100%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸
プログラム:0〜5分 35%B、5〜6分 35〜40%B、6〜12分 40%B、12〜16分 35%B
を使用して実行した。
波長A=280nm、波長B=588nm。濃度は、6点の標準曲線に基づいて計算した。
【0067】
ブタ皮膚の調製:ブタ真皮の新鮮な部分を地元の屠殺場から入手し、使用まで冷蔵した。無菌の解剖刀を使用し、ブタの皮膚中に22個の小さな穴を切断した。これらの穴は、カテーテル部分の直径より僅かに小さく切断し、確実に緊密にはまるようにした。ゲンチアナバイオレットとクロロヘキシジンの様々な比及び濃度を代表する22個の異なったカテーテルを評価した。含浸した試料はクロロヘキシジン塩基を使用し、被覆した試料はクロロヘキシジンジアセテートを使用した。カテーテル部分に標識を付け、ブタ皮膚の中に挿入し、次いでブタ皮膚をプラスチック容器中に密封し、37℃で24時間培養した。ブタ皮膚染色の配置を図11に示す。
【0068】
結果
24時間培養の後、カテーテル部分を引抜き、周囲の皮膚を、カテーテルがあった位置の輪郭を描く染色に関して検査した(図12)。表6〜9における様々なカテーテル部分に対する番号コードを、図12におけるブタ皮膚の写真に付け、染色程度と処理条件を相関させた。試料分析を表8及び9に示す。数値は3点の平均であり、相対的な標準偏差(RSD)を示す。RSDの半分強が5%未満であり、90%強が10%未満であり、試料分析及び調製が一貫していることを示している。図12に示すように、22試料の全てが、皮膚の表面及び/又はカテーテルのトンネル経路にマーキングするのに効果的であった。
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
例VII.−ヒドロキシルラジカルを使用するゲンチアナバイオレットの真皮脱色
概論
本明細書で説明したように、ゲンチアナバイオレット(GV)は、処理したカテーテルから浸出し、カテーテルの挿入部位の周囲に真皮ステインを残すことができる。カテーテルを取り出した後、このステインを除去する手段は、美的な有益性を与えることができる。染料廃水汚染物は環境汚染の源であるので、織物工業界では、染料流出物の脱色に対する関心が高まっている(Roxonら、1967)。GVの物理的及び化学的脱色が研究されている(Saquib及びMuneer、2003)。GVの脱色は酸化により達成されることが報告されている。
【0072】
本例では、酸化性化学種として過酸化水素(H2O2)の使用を試験したが、その活性化方法は変えてある。H2O2によるGVの脱色を、3種類の異なった活性化技術、すなわちH2O2の光分解(UV光による)、非イオン性銀(Ag)ナノ粒子によるH2O2の分解、及びアスコルビン酸(ビタミン−C)によるH2O2の分解、により試験した。特定の活性化方法がGVを無色(酸化された)形態に転化し得ることが確認された。
【0073】
材料/方法
下記の材料、すなわちCrystal Violet ACS(ロット#036K0709、(Sigma−Aldridge)(ゲンチアナバイオレットとクリスタルバイオレットは同じ化合物の互換的名称である)、過酸化水素(30%ACSロット#060350、Fisher Scientific)、ナノ粒子銀、アスコルビン酸、及びTRIS(ヒドロキシメチルアミノメタン)(ロット#、Fisher BioReagenys) を使用した。
【0074】
下記の3手順を評価した。
手順1:H2O2によるGVの光酸化
1.1:GV0.15g(0.1%w/v)を3%H2O2150mlに溶解させた。この溶液をUV光(Bio−lab hood)に2時間露出した。5分毎に溶液5mlを抜き出した。
1.2:10μlのDI水中0.1%GVを寒天プレート上に落とした(spiked)。寒天プレートを染色した後(水の大部分を液滴から蒸発)、UV光の下でH2O2をステイン上に、50μlずつ、5分毎に2時間、ピペットで滴下した。
手順2. AgでH2O2を活性化することによる、GVの酸化
2.1:銀ナノ粒子10.6 mgを3%のH2O240mlに一定攪拌しながら加えた。水中0.1%GVを様々な増加(10μl〜1ml)で、紫色が持続するまで加えた。モル濃度比(GV:Ag)を計算し、GVが酸化されなくなる時のモル比を決定した。
2.2:10μlのDI水中0.1%GVを寒天プレート上に落とした。寒天プレートを染色した後(水の大部分を液滴から蒸発)、Ag0.009gをステインの表面上に付け。H2O2100μlをAg上にピペットで滴下した。
手順3. ビタミンCでH2O2を活性化することによるGVの酸化
1%ビタミンC(w/v)を3%のH2O2100mlに溶解させた。TRIS緩衝剤7gもH2O2に溶解させた。水中0.1%GVを、紫色が持続するまで10μlずつ加えた。
【0075】
結果及び考察
手順1:UV光で処理した試験試料の全てで色の変化は観察されなかった。UV光下で多くの時間置いた後も、溶液及び寒天ステインは紫色のままであった。H2O2は光分解的に解裂し、OHを形成することが報告されている(Peyton及びGlaze 1988)ので、ここで使用したUV光の強度が、これらのラジカルを発生するには不十分であったのかも知れない。
【0076】
手順2:0.1%GV溶液をAg+H2O2溶液にピペットで加えた時、紫色は淡い黄色に薄れることが観察された。この淡い黄色は、より多くのGVを加えるにつれて、紫色が永久的に残るまで、より暗くなっていった。この時点におけるGV:Agのモル比は、1:1と計算された。同様に、寒天上の紫色ステインは、10分後に淡い黄色になることが観察された(図13B)。
【0077】
手順3:ビタミンCをH2O2に加えることにより、溶液のpHが低下することが観察された。TRIS緩衝剤酸性溶液をpH6〜7に中和するために加えた。0.1%GVの最初の10μl増加を加えることにより、溶液は紫色になり、持続された。
【0078】
全ての試験技術で、非イオン系銀を使用した時だけ、過酸化水素は、GVから紫色を中性に(紫色から淡い黄色に)することができた。ビタミンCもUV光も、ここで試験した濃度では、十分に強力な活性化剤ではなかった。
【0079】
参照文献
・Peyton GR, Glaze WH. 紫外放射線による、オゾンを含む水中汚染物の分解(Destruction of pollutant in water with ozone in contamination with ultraviolet radiation)。Environ Sci Technol 1988; 22:761−7。
・Roxon JJ, Ryan AJ, Wright SE. 腸内細菌による水溶性アゾ染料の還元(Reduction of water−soluble azo dyes by intestinal bacteria). Food Cosmet Toxicol 1967; 5:367−9。
・Saquib, M. Muneer, M. 水性懸濁液における、TiO2が仲介するトリフェニルメタン染料(ゲンチアナバイオレット)の光触媒分解(TiO2−mediated photocatalytic degradation of a triphenylmethane dye (gentyan violet), in aqueous suspensions). Dyes and Pigments 56 (2003) 37−49。
・PCT公開国際特許出願第WO 03/093338A2号(2003年11月13日公開)Biopsy Sciences, LLC,組織及びシーラント管にマークを付けるための生物分解性重合体(Biodegradable polymer for marking tissue and sealant tracts)。
・PCT公開国際特許出願第WO 2006/022786A1号(2006年3月2日公開)Mullen,組織マーキング器具及び系。
・米国公開特許出願第US 2003/0078242A1号(2003年4月24日公開)Raadら、表面含浸用の広範囲な抗菌活性を有する新規な防腐剤誘導体(Novel antiseptic derivatives with broad spectrum antimicrobial activity for the impregnation of surfaces)。
・米国公開特許出願第US 2005/0131356A1号(2005年6月16日公開)Ashら、抗菌特性を示す医療用器具(Medical devices exhibiting antibacterial properties)。
・米国公開特許出願第US 2005/0197634A1号(2005年9月8日公開)Raadら、含浸医療用器具を防腐剤組成物で被覆するための方法(Methods for coating an impregnating medical devices with antiseptic compositions)。
・米国公開特許出願第2006/0200024号(2006年9月7日公開)Knapp、身体空洞にマークを付けるための器具及び方法(System and method for marking body cavities)。
・米国特許第5,147,307号(1992年9月15日公布)Gluck、解剖学的マーカー器具及び方法(Anatomical marker device anf method)。
・米国特許第5,192,270号(1993年3月9日公布)Carswell,Jr、皮下注射器及びマーキング注射方法(Hypodermic syringe and a method foe marking injections)。
・米国特許第5,607,417号(1997年3月4日公布)Batichら、活性成分徐放用の組成物及び器具(Compositions and devices for controlled release of active ingredients)。
・米国特許第5,709,672号(1998年1月20日公布)Illner、抗菌/抗真菌特性が改良されたSilastic及び重合体を基材とするカテーテル(Silastic and polymer−based catheters with improved antimicrobial/antifungal properties)。
・米国特許第5,713,858号(1998年2月3日公布)Heruthら、永久的に移植可能な案内カテーテル(Permanently implantable guiding catheter)。
・米国特許第6,228,055号(2001年5月8日公布)Foersterら、身体組織中の特定位置にマーキングし、限定するための器具(Devices for marking and defining particular locations in body tissue)。
・米国特許第6,361,786号(2002年3月26日公布)Shanbrom、殺菌剤処理した重合体状材料(Microbicide treated polymeric materials)。
・米国特許第6,551,346号(2003年4月22日公布)Crossleyら、感染を防止する方法及び器具(Method and apparatus to prevent infections)。
・米国特許第6,617,142号(2003年9月9日公布)Keoghら、医療用器具表面に生物分子を取り付ける方法(Method for attachment of biomolecules to medical device surfaces)。
・米国特許第6,780,179号(2004年8月24日公布)Leeら、その場で組織マーキングし、向きを安定化させるための方法及び器具(Methods and systems for in situ tissue marking and orientation stabilization)。
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第60/997,400号(出願日:2007年10月3日)の優先権の利益を享受するものであり、上記出願の内容は参照されることにより明細書の開示の一部とされる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、カテーテルのような皮膚挿入器具に関し、より詳細には、被験者に器具を挿入及び取り出す部位並びに経路の正確な位置に関するキューを自らが与える皮膚挿入器具、その器具を使用して該当部位にマーキングする方法、器具により与えられたキューを除去する方法、並びに器具及び位置のキューを除去するための材料を包含するキット、に関する。
【発明の背景】
【0003】
本明細書全体を通して様々文献を引用するが、これら文献は本発明の属する技術をより詳細に説明するためのものであり、これらの文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
皮膚挿入器具は臨床的環境で日常的に使用されている。皮膚挿入器具としては、縫合、糸、套管針、固定ピン又はクリップ、ワイヤ又はケーブル及びカテーテルが挙げられる。皮膚挿入器具の挿入及び取り出し部位に検出可能なマークを付けることは、器具を除去しようとする臨床医にとって重要な補助手段になり得る。場合により、部位の正確な位置は、穿刺傷により与えられるコントラストから検出できることもあろうが、他の場合(特に小さな器具)には、器具の除去の後に短時間で部位を特定することが困難な場合がある。
【0005】
皮膚挿入器具を挿入した位置を鮮明に特定することは、器具の除去に続く傷の回復が悪い患者に、部位の保護を適確に行うのに役立つ。カテーテルを除去する場合、特定の患者には、同じ部位や静脈の使用を避けるために、以前のカテーテルが挿入されていた位置を知ることは有益な場合がある。これによって、感染の危険性を下げると共に、同じ静脈に対する機械的な傷の反復を回避することにより、静脈炎又は深部静脈血栓症血等の管合併症の可能性を下げるのに役立つ。また、品質の悪い血管、出血障害又は挿入が困難な静脈を有する患者には、挿入手順を失敗する危険性があるので、同じ挿入経路を再度使用するのが有益である場合があろう。
【0006】
様々な方法及び器具が、身体部位の位置を確認するために使用されている。例えば、器具挿入の位置を示すために、手術用マーキングペンが使用されている(例えば、Porex Surgical Products Groupから市販のTLS(商品名)手術用マーカー、又はCardinal Healthから市販のConvertors(登録商標) Surgical Marking Pens)。着色剤を供給する注射器(米国特許第5,192,270号)、皮膚の中にマークを押し込む器具(米国特許第5,147,307号)、組織マーキングプローブ(米国特許第6,780,179号)、及び組織のマーキング及びシーラント管用の生物分解性重合体(PCT公開国際特許第WO03/093338 A2号)も開示されている。位置を特定するが、マーカー器具の埋め込みを必要とする、埋め込み可能な医療用マーカーも開示されている(米国特許第6,228,055号、PCT公開国際特許出願第WO 2006/022786号)。米国特許第5,713,858号には、除去部位のキューが関与しない、永久的に埋め込み可能な案内カテーテルを使用して体の組織に繰り返し到達する方法が記載されている。身体の空洞にマークを付けるための器具及び方法も記載されている(米国公開特許出願第2006/0200024号)。多くの文献が、抗菌染料の医療器具への応用を開示している(例えば、米国特許第5,607,417号、第5,709,672号、第6,361,786号、第6,551,346号、第6,617,142号、米国公開特許出願第2003/0078242 A1号、第2005/0131356 A1号、及び第2005/0197634 A1号)。しかしながら、挿入及び/又は除去の際にそれ自身が経皮部位にマークを付ける器具、例えばカテーテルは報告されていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、被検者の皮膚を通る皮膚挿入器具を挿入する部位及び/又は取り出す部位、及び/又は被験者体内を通る皮膚挿入器具の経路、にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、前記皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを与える、器具を提供する。
【0008】
本発明は、被検者を通る、皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出す部位、及び/又は器具の経路にマークを付けるための、皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる方法であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを与える、方法も提供する。
【0009】
本発明は、酸化し得る位置キュー染料ステインの脱色方法であって、ステインに過酸化物を塗布し、前記過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法を提供する。
【0010】
本発明は、位置キュー染料ステインを除去するためのキットであって、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなる、キットを提供する。
【0011】
本発明は、真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付ける、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、及び真皮マークを脱色する、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿ったマークを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、該キットが、挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるために、酸化し得る、目に見える染料マークを皮膚の表面上に付与する、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って染料マークを付与する皮膚挿入器具、及び該マークの除去に使用するための、非イオン化金属粒子、及び所望により過酸化物を含んでなる、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水/ACN/MeOH中ゲンチアナバイオレット(gentian violet)(GV)(ScienceLab)50μg/mL/CHA標準200μg/mLのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図2】Tecothane(登録商標)2095A中にコンパウンディングしたゲンチアナバイオレットのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図3】ゲンチアナバイオレットStandard(Aldrich)のHPLCクロマトグラム@588nm。
【図4】Tecothane(登録商標)2095A Tube試料から得たゲンチアナバイオレットのHPLCクロマトグラム@588nm。
【図5】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の588nmにおけるクロマトグラム。
【図6】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の588nmにおけるクロマトグラム。
【図7】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の253nmにおけるクロマトグラム。
【図8】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の253nmにおけるクロマトグラム。
【図9】170℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングしたTecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の280nmにおけるクロマトグラム。5.896分ピークは溶剤による。
【図10】217℃で0.5%GV(Aldrich ACS等級)とコンパウンディングした分解Tecothane(登録商標)(w/30%BiOCl)の280nmにおけるクロマトグラム。5.974分ピークは溶剤による。
【図11】経皮カテーテル含浸(impregnation)のマーキング部位に関するブタ皮膚染色設定。ゲンチアナバイオレットとクロロヘキシジンの異なった比及び濃度を代表する22種類の異なったカテーテル処理を評価した。
【図12】図11の設定から得たブタ皮膚染色結果を示す。
【図13】寒天プレート上の局所的ゲンチアナバイオレット(GV)ステインの、銀活性化された過酸化水素による除去。図13(A)は、10μl 0.1%GV + 100μlH2O2、図13(B)は、10μl 0.1%GV+100μlH2O2 + 0.00867 gAgである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位、及び/又は経路、にマークを付けるための、皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる方法であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを付与する、方法を提供する。
【0014】
本発明は、被検者の皮膚を通る皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるための、及び/又は被験者を通る皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、皮膚挿入器具が、皮膚挿入器具の挿入部位、取り出し部位及び/又は経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを含んでなる、器具を提供する。
【0015】
皮膚挿入器具は、皮膚挿入器具の挿入部位、皮膚挿入器具の取り出し部位、皮膚挿入器具の挿入部位及び取り出し部位の両方、及び/又は体内における器具の経路にマークを付けるキューを付与することができる。挿入部位及び取り出し部位は、同じ部位でも、異なった部位でもよい。器具は、器具が体内又は身体空洞、例えば胃腸管系、耳道、呼吸系、鼻道、及び泌尿系、内で器具が接触する表面にマークを付けることにより、被験者の組織、脈管及び空洞を通る器具の経路にマークを付けることができる。
【0016】
皮膚挿入器具は、皮膚の表面上に、挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるためのキューを付与することができる。皮膚の表面上のキューは、皮膚を通して挿入された皮膚挿入器具の、皮膚挿入器具が皮膚を横断した部分の周辺部の輪郭を描くことができる。例えば、キューは、表皮上に輪郭を与える円でよい。皮膚挿入器具は、組織、脈管及び空洞を通る器具の、挿入部位と取り出し部位との間の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを与える。キューは、硬質及び軟質組織の両方を通る器具のトンネル経路の全部又は一部にマークを付けることができる。
【0017】
選択的なマーキングは、例えば皮膚挿入器具の所望の区域だけにキューを付けることにより、及びキューの上にある区域に水溶性のマスクコーティングを付けることにより、達成することができる。この水溶性マスクコーティング層は、キューが移動し得る前に、最初に溶解する必要があろう。これによって、埋め込み手順の際に、キューが埋め込み者に移動するのも阻止される。水溶性コーティングの例には、炭水化物(例えば糖又はデキストラン)、デンプン、重合体(ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール)、タンパク質(アルブミン、ゼラチン)、バイオポリマー(カルボキシメチルセルロース、アルジネート、キトサン)、及び塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。類似の効果は、溶解させるのではなく、加水分解する表面コーティング(例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキソラン、及び共重合体のようなポリエステル材料)を使用しても達成することができる。コーティングは、加水分解又は溶解ではなく、酵素分解によっても除去することができる(リピド、コラーゲン又は他の不溶性タンパク質)。部分的に水和する器具では、キューを、器具の表面下にある層の中に埋め込むこともできるが、これは、挿入に続いて水和し、表面に拡散するための時間を必要とする。器具の、キューが埋め込まれている区域だけがキューを移動させる。
【0018】
キューは、目に見える染料を包含する。好ましくは、皮膚は、受容者(recipient)の皮膚の色に対して明瞭な視覚的コントラストを与える色でマークを付ける。キューは、励起波長の電磁エネルギーを皮膚に作用させた時にのみ、検出される試剤でよい。この試剤は、例えば蛍光染料、りん光染料又はX線試剤でよいが、これらに限定されるものではない。蛍光染料の例としては、例えばクマリン、ナフタルイミド、ペリレン、ローダミン、ベンズアントロン、ベンゾキサントン、及びベンゾチオキサントンが挙げられる。りん光染料の例としては、例えば亜鉛、カルシウム及びストロンチウム硫化物又は活性化試剤、例えば銅、ビスマス又はマンガン、とのアルミン酸塩が挙げられる。X線試剤の例としては、バリウム、ビスマス及び他の金属酸化物及びそれらの塩が挙げられる。励起は、電磁スペクトルの可視領域でよいが、可視領域の外でもよい。キューは、可視電磁領域の外側で検出される染料でよい。そのような染料の例としては、紫外(UV)又はブラックライト可視染料、例えばプテリジン、又は赤外(IR)可視染料、例えばスクアライン、が挙げられる。可視領域の外側で放射する染料は、放射波長を可視信号に変換するか、又は別の様式で、例えば電気信号を使用して、検出する特殊な観察器具と共に使用することができる。キューは、音響的コントラスト、熱的コントラスト又は感触的コントラストにより与えることができる。例えば、キューは、表面粗さを与える微小球/微小粒子でよいか、又は中空であるか、又は気泡を含む場合には、超音波により検出することができよう。熱変色性染料(例えばフルオラン染料)は、局所的な加熱により現像することができる。キューは、第二成分(指示薬成分)を皮膚に塗布しない限り、目に見えず、次いで、指示薬及びキューが重なり合っている区域で画像形成するか、又は他の様式で検出できるものでよい。そのようなキュー及び指示薬成分の例としては、塩基(例えば炭酸ナトリウム)により現像されるフェノールフタレインインク、同様に現像されるチモールフタレイン、ニンヒドリンにより現像される塩基、酸化性試剤(例えばアジド又は有機ハロゲン)により現像されるロイコ染料(オキサジン、Leuco Crystal Violet、トリス(4−ジエチルアミノo−トリル)メタン、ビス(4−ジエチルアミノo−トリル)フェニルメタン、ビス(4−ジエチルアミノo−トリル)−チエニル−2−メタン、ビス(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)フェニルメタン、2−(2−クロロフェニル)アミノ−6−N,N−ジブチルアミノ−9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6 N,N−ジエチルアミノ9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、ベンゾ[a]−6−N,N ジエチルアミノ9−(2−メトキシカルボニル)フェニルキサンテン、2−(2−クロロフェニル)アミノ−6−N,N−ジブチルアミノ−9−(2−メチルフェニルカルボキシアミド)フェニルキサンテン、3,6−ジメトキシ−9−(2−メトキシカルボニル) フェニルキサンテン、3,6−ジエトキシ−9 (2−メトキシカルボニル) フェニルキサンテン、ベンゾイルロイコMethylene Blue及び3,7−ビスジエチルアミノフェノキサジンを包含する)、ヨウ素により現像されるデンプン、硫化ナトリウムにより現像される硫酸鉄、炭酸ナトリウムにより現像される硫酸鉄、及び炭酸ナトリウムにより現像される硫酸銅が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
皮膚挿入器具は、キューで被覆する、及び/又はキューで含浸させることができる。キューは、接触により、皮膚挿入器具から皮膚に直接移動させることができる。キューは、皮膚挿入器具に塗布し、次いで皮膚挿入器具から隣接する組織に、擦り落とすか、又は拡散により徐々に浸出させることができる。この場合、挿入部位を取り囲む皮膚の、皮膚挿入器具に直接隣接する小さな輪状区域にマークを付けるのに十分なキューだけを塗布するのが望ましい。マーキングの程度は、器具に装填するキューの濃度により制御することができる。
【0020】
キューは、例えばトリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、又はそれらの混合物でよい。キューは、例えばゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、又はそれらの混合物でよい。
【0021】
好ましいキューはゲンチアナバイオレットである。ゲンチアナバイオレットは、皮膚挿入器具の皮膚を通過する部分に、器具の皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在することができる。別の例では、器具中のゲンチアナバイオレットの濃度は、1.1質量%、1.5質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、4質量%、5質量%、7.5質量%又は10質量%を超える。ゲンチアナバイオレットの濃度は、例えば20質量%まででよい。ゲンチアナバイオレットは、皮膚挿入器具の皮膚を通過する部分に、器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgゲンチアナバイオレットの濃度で、好ましくは50〜500μg/cm2の濃度で存在することができる。
【0022】
皮膚挿入器具は、単一種類のキュー、又は二種類以上のキューの組合せを包含することができる。
【0023】
皮膚挿入器具は、例えば縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル又はカテーテルでよい。好ましい皮膚挿入器具はカテーテルである。
【0024】
カテーテル等の皮膚挿入器具は、例えばシリコーンエラストマー、熱可塑性樹脂、ポリウレタン、フルオロポリマー、及びポリオレフィンの一種以上から製造することができる。染料、例えばゲンチアナバイオレットを処理する方法としては、例えば押出、射出成形、吹込成形、圧縮成形、又は他のいずれかのホットメルト製法が挙げられる。押出の前に、ポリウレタン樹脂を、染料で予備被覆するか、又はポリウレタン樹脂を染料粉末とコンパウンディングすることができる。カテーテルのような器具は、例えばゲンチアナバイオレットを熱可塑性樹脂、例えばポリウレタンと共に、207℃未満の温度で押し出すことを含む方法によっても製造することができ、その際、ゲンチアナバイオレットの濃度は熱可塑性樹脂に対して0.05質量%〜20質量%である。この方法で使用する熱可塑性樹脂は、好ましくは加工温度が低い(207℃未満)ポリウレタン、例えばTecothane(登録商標)、Carbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Texin(登録商標)及びPellethane(登録商標)、である。染料の分解が起こる温度より高い加工温度を必要とするポリウレタン又は他の熱可塑性樹脂は、それらの熱可塑性樹脂を、例えば可塑化により、処理し、加工温度を染料が分解する温度より低い温度に下げない限り、この方法には適していない。
【0025】
本明細書で開示する方法のいずれかにより製造されたキュー含有皮膚挿入器具も提供される。そのような皮膚挿入器具の一例は、熱可塑性樹脂、例えば加工温度が207℃未満のポリウレタンを含んでなるカテーテルであり、その際、器具の少なくとも経皮部分におけるゲンチアナバイオレットの濃度は、熱可塑性樹脂の0.05質量%〜20質量%である。
【0026】
キューは、挿入した皮膚挿入器具を除去した後、ある時間検出可能なままであるが、永久的ではない(例えば摩耗又はクリーニングにより、最終的には除去される)のが望ましい。
【0027】
本発明は、真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを脱色する方法であって、過酸化物をステインに塗布し、過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法を提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。過酸化物の例としては、過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素が好ましい過酸化物である。好ましくは、染料ステインは、ゲンチアナバイオレット真皮ステインである。好ましくはゲンチアナバイオレット:銀のモル比は1:1未満である。
【0028】
本発明は、真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを除去するための、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなるキットをさらに提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛の一種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。過酸化物の例としては、過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素が好ましい過酸化物である。無機過酸化物、例えばマグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物を含むキットは、酸、例えば重硫酸ナトリウムも含んでなることができる。
【0029】
本発明は、真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、並びに、真皮表面上の及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿った染料ステインを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、a)挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付けるために、視認できる染料マークを皮膚の表面上に付与する、及び/又は染料マークを皮膚挿入器具の経路に沿って付与する皮膚挿入器具、及びb)非イオン化金属粒子を含んでなる、キットも提供する。非イオン化金属の例としては、銀、金、白金、銅、鉄及び亜鉛の一種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀が好ましい非イオン化金属である。ナノ粒子が好ましい種類の粒子である。銀ナノ粒子が最も好ましい。キットは、過酸化物、例えば過酸化水素、無機過酸化物(マグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物)、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン、及び過酸化メチルエチルケトン、をさらに含んでなることができる。過酸化水素が好ましい過酸化物である。無機過酸化物、例えばマグネシウム、カルシウム、及びバリウム過酸化物、を含むキットは、酸、例えば重硫酸ナトリウムも含んでなることができる。好ましくは、皮膚挿入器具は、ゲンチアナバイオレット染料マークを皮膚上に付与する。器具は、被験者を通る器具の経路の、全部又は一部にマークを付与することもできる。
【実施例】
【0030】
本発明を下記の実験詳細項で説明するが、この項は、本発明を理解し易くするために記載するのであって、その後に記載する特許請求の範囲で規定する本発明の範囲を限定するものではない。
【実験の詳細】
【0031】
例I−II.−ゲンチアナバイオレットのTecothane(登録商標)−2095A樹脂中への配合
コンパウンディング及び押出製法によりゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095A樹脂中に配合する実験を行った。この例では、ゲンチアナバイオレットをTecothane(登録商標)−2095Aペレット上に、樹脂をゲンチアナバイオレット/エタノール混合物中に浸漬することにより被覆し、溶剤を通常の条件で蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆したペレットを押出機又はコンパウンダー中に供給し、チューブ又はストランドペレット化されたペレットを製造した。ゲンチアナバイオレットは、粉末としてポリマー樹脂と共に直接供給し、コンパウンディング及び押出することもできる。驚くべきことに、本明細書に開示する高温製法を使用することにより、これまで開示されているよりも、はるかに高いゲンチアナバイオレットの装填を、ゲンチアナバイオレットの化学構造を分解することなく、達成することができた。
【0032】
例1 Tecothane(登録商標)−2095A樹脂と0.5%ゲンチアナバイオレットのコンパウンド
ゲンチアナバイオレット(Sciencelab,Houston,TX)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich, St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)−2095A(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト(chemical fume hood)中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0033】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した(starve−fed)。押出機は、スクリュー速度231rpmに設定し、バレル区域温度は329°F(165℃)〜338°F(170℃)に設定した。押出物は、小さなペレットにペレット化した。
【0034】
例2 ゲンチアナバイオレットを装填したTecothane(登録商標)チューブ
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)20gをエタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)1000mlに溶解させた。Tecothane(登録商標)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、コンパウンディングの前に、65℃及び30インチHgで4時間乾燥させた。
【0035】
乾燥したゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を5/8インチのRandcastle単軸スクリュー(CedarGrove,NJ)マイクロ押出機中に重力供給した。マイクロ押出機は、スクリュー速度20rpmに設定し、バレル区域温度は360°F〜375°Fに設定した。5FrチューブをBH25ツール(San Marcos,CA)から引き出した。
【0036】
Tecothane(登録商標)中にコンパウンディングしたゲンチアナバイオレットのHPLCによる分析
コンパウンディングした樹脂及びチューブ試料からゲンチアナバイオレット含有量をHPLC法により分析した。GV装填した樹脂又はコンパウンディングしたペレットに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の大体10〜20ペレット(使用した原料の重量に応じて)に相当する0.1〜0.3gを秤量し、50mL遠心分離管中、THF(5mL又は7.5mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで全ての重合体が溶解するまでボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(5又は7.5mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0037】
チューブに対するHPLC分析は、各試料(n=3)の1cm断片を測定して切断し、50mL遠心分離管中、THF(10mL又は20mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで5分間又は重合体が管の底に付着しなくなるまで、ボルテックス処理した。次いで、等量の脱イオン(DI)水を加え(10mL又は20mL)、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。次いで、各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてからHPLC分析を行った。
【0038】
HPLC分析は、Agilent 1200 Series LC上で、Agilent Eclipse XDB−CN 5μ 4.6x150mmカラム及び対応するガードカラムを使用して行った。勾配プログラムは、2個の溶剤貯蔵部、すなわち、
MP A:100%DI水/0.2%トリフルオロ酢酸
MP B:100%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸
プログラム:0〜5分 35%B、5〜6分 35〜40%B、6〜12分 40%B、12〜16分 35%B
を使用して実行した。
【0039】
コンパウンディングした樹脂及び押し出したチューブのゲンチアナバイオレット含有量を表1に示す。表2は、標準対試料におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。面積百分率は、標準及び試料(Sciencelab)に関して図1及び2にそれぞれ示す、クロマトグラムに示す他のピークではなく、3個のピークの総面積だけを基にしている。表3は、標準対試料(Aldrichから市販)におけるゲンチアナバイオレットピークの相対的ピーク面積の比較を示す。図3及び図4は、標準(Aldrich)及びチューブ試料のクロマトグラフをそれぞれ示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
例III.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響
Tecothane(登録商標)押出w/30%充填材におけるゲンチアナバイオレット
押し出したゲンチアナバイオレットは、処理温度217℃で分解する(約209℃で開始)が、約207℃未満での処理は、ゲンチアナバイオレットを分解しないことが分かった。温度の影響に関する驚くべき発見の一つは、特定区分のポリウレタンは分解温度未満で加工できるが、他の区分は加工できないことである。
【0044】
安定したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング条件
バレル温度
区域1〜5=170℃
区域6=175℃
溶融物温度=194℃
スクリュー速度=100 rpm
圧力=約180 bar
【0045】
分解したゲンチアナバイオレットのコンパウンディング温度
区域1〜6=217℃
【0046】
コンパウンディングは、Sigma Aldrich ACS等級ゲンチアナバイオレット、ロット016K3691で行った。HPLC分析は、例Iに及びIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の1cm断片を切断し、測定することによりにより、行った。
【0047】
図5〜10におけるクロマトグラムは、安定したゲンチアナバイオレットに続く分解したゲンチアナバイオレットを、588nm、253nm、及び280nmで示す。217℃試料から得た分解ピークは、253及び280nm波長における新しいピークとして明らかである。低い加工温度のクロマトグラムは、ゲンチアナバイオレット原料のクロマトグラムと同一であった。
【0048】
例IV.−押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響(196℃〜219℃)
0.5%GVを含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
ゲンチアナバイオレット(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)5gを99%エタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)250mlに溶解させた。Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)樹脂1000gをゲンチアナバイオレット/エタノール溶液に加えた。エタノール溶剤を、ドラフト中、通常条件で一晩かけて蒸発させた。次いで、ゲンチアナバイオレット被覆されたペレットを、コンパウンディングの前に、50℃及び30インチHgで24時間乾燥させた。
【0049】
乾燥させたゲンチアナバイオレット被覆された樹脂を、K−tronフィーダー(Pitman,NJ)から、18mm Leistritzインターメッシング二軸スクリュー押出機(Somerville,NJ)中に、2.5kg/時間の速度で少量供給した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表4に示す。
【0050】
HPLC分析は、例I及びIIに記載した方法を使用し、各試料(n=3)の幾つかのペレットを選択することにより、行った。
【0051】
GV含有量は、加工温度206℃まで実質的に変化しなかった。分解は、209℃で開始すると思われ、219℃でより酷くなった。
【0052】
【表4】
【0053】
例V.− 押し出したゲンチアナバイオレットの分解に対する温度の影響−高温
GV0.5%を含むコンパウンディングしたCarbothane(登録商標)樹脂
樹脂ペレットにGVを装填するための試料調製は、例IVと同様である。ゲンチアナバイオレットは、(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から購入し、Carbothane(登録商標)−3585A−B20(Noveon,Cleaveland,OH)を使用した。各作業に対する加熱プロファイルを変化させた。各作業から得た溶融物の温度を表5に示す。
【0054】
押出可能なGV含有量の劇的な低下により明らかなように、GVの重大な分解は220℃より上である。
【0055】
【表5】
【0056】
例VI.−経皮カテーテルの埋め込み部位のマーキング
本例は、カテーテルを埋め込んだ後に、カテーテル表面から周囲の組織中へのゲンチアナバイオレットの浸出により、患者の皮膚上で明らかになる染色を模擬するために、ブタの皮膚を使用する。
【0057】
材料/方法
試料調製
カテーテル部分を被覆又は含浸させた。被覆は、カテーテル部分を、染料及び被覆重合体(例えばポリウレタン)を含む溶液中に浸漬することにより行った。含浸は、染料を溶解させた膨潤溶剤中に浸漬することにより行った。膨潤溶剤は、重合体マトリックスのメッシュを膨脹させ、染料をカテーテルの壁中に拡散させた。被覆又は膨潤溶液中の、染料の様々な濃度を使用し、ある範囲の染料装填量を有する部分を形成した。次いで、溶剤を蒸発させた。カテーテルは、その本来の寸法近くに収縮したが、染料は重合体マトリックス中に閉じ込められた。
【0058】
ディップコーティングした試料、被覆溶液は、
THF(JT BakerロットC41832)258.5g、
メタノール(Fisherロット067887)91.3g、
60DロットCD5DRE024 17.215g
を使用して調製した。
【0059】
一つのゲンチアナバイオレット(Sciencelab)原溶液を、被覆溶液150mLに0.21gを加えることにより、調製した(0.14%)。別のクロロヘキシジンジアセテート(CHA)(ロットRZ3026851)原溶液を、被覆溶液150mLに3.75gを加えることにより、調製した(2.5%)。試料1〜9を表6に従って調製した。
【0060】
【表6】
【0061】
含浸させた試料、含浸原溶液は下記の比、すなわち、
85%メチルエチルケトン(Fisherロット067353)、
10%脱イオン水、
5%アセトン(Fisherロット063123)
に従って調製した。
【0062】
セット1用のゲンチアナバイオレット原溶液は、0.34996gを含浸溶液250mLに加えることにより調製した(0.14%)。セット2用のクロロヘキシジンジアセテート(CHA)原溶液は、8.75gを含浸溶液350mLに加えることにより調製した(2.5%)。セット3用のゲンチアナバイオレット原溶液は、1.000gを原溶液200mLに加えることにより調製した。セット3用の試料は、原料の連続的な希釈により調製した。セット1〜3用の試料は、表7に従って調製した。
【0063】
【表7】
【0064】
試料を加熱炉中、真空下、50℃で24時間乾燥させ、メタノールですすぎ、再度真空下で一晩乾燥させ、調製を完了した。
【0065】
薬物含有量分析 薬物含有量分析は、各試料(n=3)の1cm下で部分を切断し、測定し、50mL遠心分離管中、THF(10mL又は20mL)中で温浸することにより、行った。試料を45分間放置し、次いで5分間、又は管の底部に重合体が付着しなくなるまで、ボルテックス処理した。次いで、等量(10mL又は20mL)のDI水を加え、試料を再度5分間ボルテックス処理し、次いで10分間遠心分離した。各試料の一部をHPLCバイアルに加え、キャップをしてから、HPLC分析にかけた。
【0066】
分析は、Agilent 1200 Series LC上で、Agilent Eclipse XDB−CN 5μ 4.6x150mmカラムと対応するガードカラムを使用して行った。勾配プログラムは、2個の溶剤貯蔵部、すなわち、
MP A:100%DI水/0.2%トリフルオロ酢酸
MP B:100%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸
プログラム:0〜5分 35%B、5〜6分 35〜40%B、6〜12分 40%B、12〜16分 35%B
を使用して実行した。
波長A=280nm、波長B=588nm。濃度は、6点の標準曲線に基づいて計算した。
【0067】
ブタ皮膚の調製:ブタ真皮の新鮮な部分を地元の屠殺場から入手し、使用まで冷蔵した。無菌の解剖刀を使用し、ブタの皮膚中に22個の小さな穴を切断した。これらの穴は、カテーテル部分の直径より僅かに小さく切断し、確実に緊密にはまるようにした。ゲンチアナバイオレットとクロロヘキシジンの様々な比及び濃度を代表する22個の異なったカテーテルを評価した。含浸した試料はクロロヘキシジン塩基を使用し、被覆した試料はクロロヘキシジンジアセテートを使用した。カテーテル部分に標識を付け、ブタ皮膚の中に挿入し、次いでブタ皮膚をプラスチック容器中に密封し、37℃で24時間培養した。ブタ皮膚染色の配置を図11に示す。
【0068】
結果
24時間培養の後、カテーテル部分を引抜き、周囲の皮膚を、カテーテルがあった位置の輪郭を描く染色に関して検査した(図12)。表6〜9における様々なカテーテル部分に対する番号コードを、図12におけるブタ皮膚の写真に付け、染色程度と処理条件を相関させた。試料分析を表8及び9に示す。数値は3点の平均であり、相対的な標準偏差(RSD)を示す。RSDの半分強が5%未満であり、90%強が10%未満であり、試料分析及び調製が一貫していることを示している。図12に示すように、22試料の全てが、皮膚の表面及び/又はカテーテルのトンネル経路にマーキングするのに効果的であった。
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
例VII.−ヒドロキシルラジカルを使用するゲンチアナバイオレットの真皮脱色
概論
本明細書で説明したように、ゲンチアナバイオレット(GV)は、処理したカテーテルから浸出し、カテーテルの挿入部位の周囲に真皮ステインを残すことができる。カテーテルを取り出した後、このステインを除去する手段は、美的な有益性を与えることができる。染料廃水汚染物は環境汚染の源であるので、織物工業界では、染料流出物の脱色に対する関心が高まっている(Roxonら、1967)。GVの物理的及び化学的脱色が研究されている(Saquib及びMuneer、2003)。GVの脱色は酸化により達成されることが報告されている。
【0072】
本例では、酸化性化学種として過酸化水素(H2O2)の使用を試験したが、その活性化方法は変えてある。H2O2によるGVの脱色を、3種類の異なった活性化技術、すなわちH2O2の光分解(UV光による)、非イオン性銀(Ag)ナノ粒子によるH2O2の分解、及びアスコルビン酸(ビタミン−C)によるH2O2の分解、により試験した。特定の活性化方法がGVを無色(酸化された)形態に転化し得ることが確認された。
【0073】
材料/方法
下記の材料、すなわちCrystal Violet ACS(ロット#036K0709、(Sigma−Aldridge)(ゲンチアナバイオレットとクリスタルバイオレットは同じ化合物の互換的名称である)、過酸化水素(30%ACSロット#060350、Fisher Scientific)、ナノ粒子銀、アスコルビン酸、及びTRIS(ヒドロキシメチルアミノメタン)(ロット#、Fisher BioReagenys) を使用した。
【0074】
下記の3手順を評価した。
手順1:H2O2によるGVの光酸化
1.1:GV0.15g(0.1%w/v)を3%H2O2150mlに溶解させた。この溶液をUV光(Bio−lab hood)に2時間露出した。5分毎に溶液5mlを抜き出した。
1.2:10μlのDI水中0.1%GVを寒天プレート上に落とした(spiked)。寒天プレートを染色した後(水の大部分を液滴から蒸発)、UV光の下でH2O2をステイン上に、50μlずつ、5分毎に2時間、ピペットで滴下した。
手順2. AgでH2O2を活性化することによる、GVの酸化
2.1:銀ナノ粒子10.6 mgを3%のH2O240mlに一定攪拌しながら加えた。水中0.1%GVを様々な増加(10μl〜1ml)で、紫色が持続するまで加えた。モル濃度比(GV:Ag)を計算し、GVが酸化されなくなる時のモル比を決定した。
2.2:10μlのDI水中0.1%GVを寒天プレート上に落とした。寒天プレートを染色した後(水の大部分を液滴から蒸発)、Ag0.009gをステインの表面上に付け。H2O2100μlをAg上にピペットで滴下した。
手順3. ビタミンCでH2O2を活性化することによるGVの酸化
1%ビタミンC(w/v)を3%のH2O2100mlに溶解させた。TRIS緩衝剤7gもH2O2に溶解させた。水中0.1%GVを、紫色が持続するまで10μlずつ加えた。
【0075】
結果及び考察
手順1:UV光で処理した試験試料の全てで色の変化は観察されなかった。UV光下で多くの時間置いた後も、溶液及び寒天ステインは紫色のままであった。H2O2は光分解的に解裂し、OHを形成することが報告されている(Peyton及びGlaze 1988)ので、ここで使用したUV光の強度が、これらのラジカルを発生するには不十分であったのかも知れない。
【0076】
手順2:0.1%GV溶液をAg+H2O2溶液にピペットで加えた時、紫色は淡い黄色に薄れることが観察された。この淡い黄色は、より多くのGVを加えるにつれて、紫色が永久的に残るまで、より暗くなっていった。この時点におけるGV:Agのモル比は、1:1と計算された。同様に、寒天上の紫色ステインは、10分後に淡い黄色になることが観察された(図13B)。
【0077】
手順3:ビタミンCをH2O2に加えることにより、溶液のpHが低下することが観察された。TRIS緩衝剤酸性溶液をpH6〜7に中和するために加えた。0.1%GVの最初の10μl増加を加えることにより、溶液は紫色になり、持続された。
【0078】
全ての試験技術で、非イオン系銀を使用した時だけ、過酸化水素は、GVから紫色を中性に(紫色から淡い黄色に)することができた。ビタミンCもUV光も、ここで試験した濃度では、十分に強力な活性化剤ではなかった。
【0079】
参照文献
・Peyton GR, Glaze WH. 紫外放射線による、オゾンを含む水中汚染物の分解(Destruction of pollutant in water with ozone in contamination with ultraviolet radiation)。Environ Sci Technol 1988; 22:761−7。
・Roxon JJ, Ryan AJ, Wright SE. 腸内細菌による水溶性アゾ染料の還元(Reduction of water−soluble azo dyes by intestinal bacteria). Food Cosmet Toxicol 1967; 5:367−9。
・Saquib, M. Muneer, M. 水性懸濁液における、TiO2が仲介するトリフェニルメタン染料(ゲンチアナバイオレット)の光触媒分解(TiO2−mediated photocatalytic degradation of a triphenylmethane dye (gentyan violet), in aqueous suspensions). Dyes and Pigments 56 (2003) 37−49。
・PCT公開国際特許出願第WO 03/093338A2号(2003年11月13日公開)Biopsy Sciences, LLC,組織及びシーラント管にマークを付けるための生物分解性重合体(Biodegradable polymer for marking tissue and sealant tracts)。
・PCT公開国際特許出願第WO 2006/022786A1号(2006年3月2日公開)Mullen,組織マーキング器具及び系。
・米国公開特許出願第US 2003/0078242A1号(2003年4月24日公開)Raadら、表面含浸用の広範囲な抗菌活性を有する新規な防腐剤誘導体(Novel antiseptic derivatives with broad spectrum antimicrobial activity for the impregnation of surfaces)。
・米国公開特許出願第US 2005/0131356A1号(2005年6月16日公開)Ashら、抗菌特性を示す医療用器具(Medical devices exhibiting antibacterial properties)。
・米国公開特許出願第US 2005/0197634A1号(2005年9月8日公開)Raadら、含浸医療用器具を防腐剤組成物で被覆するための方法(Methods for coating an impregnating medical devices with antiseptic compositions)。
・米国公開特許出願第2006/0200024号(2006年9月7日公開)Knapp、身体空洞にマークを付けるための器具及び方法(System and method for marking body cavities)。
・米国特許第5,147,307号(1992年9月15日公布)Gluck、解剖学的マーカー器具及び方法(Anatomical marker device anf method)。
・米国特許第5,192,270号(1993年3月9日公布)Carswell,Jr、皮下注射器及びマーキング注射方法(Hypodermic syringe and a method foe marking injections)。
・米国特許第5,607,417号(1997年3月4日公布)Batichら、活性成分徐放用の組成物及び器具(Compositions and devices for controlled release of active ingredients)。
・米国特許第5,709,672号(1998年1月20日公布)Illner、抗菌/抗真菌特性が改良されたSilastic及び重合体を基材とするカテーテル(Silastic and polymer−based catheters with improved antimicrobial/antifungal properties)。
・米国特許第5,713,858号(1998年2月3日公布)Heruthら、永久的に移植可能な案内カテーテル(Permanently implantable guiding catheter)。
・米国特許第6,228,055号(2001年5月8日公布)Foersterら、身体組織中の特定位置にマーキングし、限定するための器具(Devices for marking and defining particular locations in body tissue)。
・米国特許第6,361,786号(2002年3月26日公布)Shanbrom、殺菌剤処理した重合体状材料(Microbicide treated polymeric materials)。
・米国特許第6,551,346号(2003年4月22日公布)Crossleyら、感染を防止する方法及び器具(Method and apparatus to prevent infections)。
・米国特許第6,617,142号(2003年9月9日公布)Keoghら、医療用器具表面に生物分子を取り付ける方法(Method for attachment of biomolecules to medical device surfaces)。
・米国特許第6,780,179号(2004年8月24日公布)Leeら、その場で組織マーキングし、向きを安定化させるための方法及び器具(Methods and systems for in situ tissue marking and orientation stabilization)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる、皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は前記器具の経路にマークを付けるための方法であって、
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位、前記取り出し部位及び/又は前記経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを付与する、方法。
【請求項2】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位及び前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入部位及び前記取り出し部位が同じ部位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記挿入部位及び前記取り出し部位が異なった部位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚を通して挿入された部分の周辺部の輪郭を描くために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位と前記取り出し部位との間の前記器具の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを付与する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記キューが視認し得る染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記染料が、前記被験者の皮膚の色に対して視認できるコントラストを与える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キューが、励起波長の電磁エネルギーが前記皮膚に作用した時にのみ検出される試剤である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試剤が、蛍光染料、りん光染料又はX線試剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キューが、可視電磁領域の外側で検出される染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記キューが、音響的コントラスト、熱的コントラスト又は感触的コントラストにより与えられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記キューが、指示薬成分を前記皮膚に塗布するまで視認できないものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚挿入器具が前記キューで被覆される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記皮膚挿入器具が前記キューで含浸される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記キューが、トリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記キューが、ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記キューが、ゲンチアナバイオレットである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の20質量%までの濃度で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgの濃度で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり50〜500μg/cm2の濃度で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記皮膚挿入器具が、縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル、及びカテーテルからなる群から選択される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記皮膚挿入器具がカテーテルである、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
被検者の皮膚を通る器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は前記被験者を通る前記器具の経路にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位、前記取り出し部位及び/又は前記経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを含んでなる、皮膚挿入器具。
【請求項29】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項30】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項31】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位及び前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項32】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項28〜31のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項33】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通して挿入された部分の周辺部の輪郭を描くために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項28〜31のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項34】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位と前記取り出し部位との間の前記器具の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを付与する、請求項28〜33のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項35】
前記キューが目に視認し得る染料である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項36】
前記染料が、前記被験者の皮膚の色に対して視認できるコントラストを与える、請求項35に記載の皮膚挿入器具。
【請求項37】
前記キューが、励起波長の電磁エネルギーが前記皮膚に作用した時にのみ検出される試剤である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項38】
前記試剤が、蛍光染料、りん光染料又はX線試剤である、請求項37に記載の皮膚挿入器具。
【請求項39】
前記キューが、可視電磁領域の外側で検出される染料である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項40】
前記キューが、指示薬成分を前記皮膚に塗布するまで視認できない、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項41】
前記皮膚挿入器具が前記キューで被覆されている、請求項28〜40のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項42】
前記皮膚挿入器具が前記キューで含浸される、請求項28〜40のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項43】
前記キューが、トリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項44】
前記キューが、ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項45】
前記キューが、ゲンチアナバイオレットである、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項46】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項47】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の20質量%までの濃度で存在する、請求項46に記載の皮膚挿入器具。
【請求項48】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgの濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項49】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり50〜500μg/cm2の濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項50】
前記皮膚挿入器具が、縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル及びカテーテルからなる群から選択される、請求項28〜49のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項51】
前記皮膚挿入器具がカテーテルである、請求項28〜49のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項52】
真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを脱色する方法であって、過酸化物を前記ステインに塗布し、前記過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法。
【請求項53】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀、金、白金、銅、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀を含んでなる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記粒子がナノ粒子を含んでなる、請求項52〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン又は過酸化メチルエチルケトンを含んでなる、請求項52〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記過酸化物が過酸化水素を含んでなる、請求項52〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記真皮染料ステインが、ゲンチアナバイオレットステインである、請求項52〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
ゲンチアナバイオレット:銀のモル比が1:1未満である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記皮膚挿入器具の前記経路に沿った染料ステインが脱色される、請求項52〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記真皮表面上の染料ステインが脱色される、請求項52〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを除去するためのキットであって、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなる、キット。
【請求項63】
真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付ける、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、並びに、前記真皮表面上の及び/又は前記皮膚挿入器具の経路に沿った染料ステインを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、
a)前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、視認し得る染料マークを前記皮膚の前記表面上に付与する、及び/又は染料マークを前記皮膚挿入器具の前記経路に沿って付与する皮膚挿入器具、及び
b)非イオン化金属粒子
を含んでなる、キット。
【請求項64】
過酸化物をさらに含んでなる、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀、金、白金、銅、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項62〜64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項66】
前記非イオン化金属が非イオン化銀を含んでなる、請求項62〜64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項67】
前記粒子がナノ粒子を含んでなる、請求項62〜66のいずれか一項に記載のキット。
【請求項68】
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン又は過酸化メチルエチルケトンを含んでなる、請求項62及び64〜67のいずれか一項に記載のキット。
【請求項69】
前記過酸化物が過酸化水素を含んでなる、請求項62及び64〜67のいずれか一項に記載のキット。
【請求項70】
前記染料がゲンチアナバイオレットである、請求項62〜69のいずれか一項に記載のキット。
【請求項71】
前記器具が、前記被験者中にある前記皮膚挿入器具の全部又は一部の前記経路にマークを付ける、請求項63〜70のいずれか一項に記載のキット。
【請求項72】
前記器具が、前記真皮表面にマークを付ける、請求項63〜71のいずれか一項に記載のキット。
【請求項1】
皮膚挿入器具を被験者の皮膚を通して挿入することを含んでなる、皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は前記器具の経路にマークを付けるための方法であって、
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位、前記取り出し部位及び/又は前記経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを付与する、方法。
【請求項2】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位及び前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入部位及び前記取り出し部位が同じ部位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記挿入部位及び前記取り出し部位が異なった部位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚を通して挿入された部分の周辺部の輪郭を描くために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位と前記取り出し部位との間の前記器具の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを付与する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記キューが視認し得る染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記染料が、前記被験者の皮膚の色に対して視認できるコントラストを与える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キューが、励起波長の電磁エネルギーが前記皮膚に作用した時にのみ検出される試剤である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試剤が、蛍光染料、りん光染料又はX線試剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キューが、可視電磁領域の外側で検出される染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記キューが、音響的コントラスト、熱的コントラスト又は感触的コントラストにより与えられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記キューが、指示薬成分を前記皮膚に塗布するまで視認できないものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚挿入器具が前記キューで被覆される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記皮膚挿入器具が前記キューで含浸される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記キューが、トリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記キューが、ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記キューが、ゲンチアナバイオレットである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の20質量%までの濃度で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgの濃度で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり50〜500μg/cm2の濃度で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記皮膚挿入器具が、縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル、及びカテーテルからなる群から選択される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記皮膚挿入器具がカテーテルである、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
被検者の皮膚を通る器具の挿入部位及び/又は取り出し部位、及び/又は前記被験者を通る前記器具の経路にマークを付けるための皮膚挿入器具であって、前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位、前記取り出し部位及び/又は前記経路にマークを付けるのに有効な量で、キューを含んでなる、皮膚挿入器具。
【請求項29】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項30】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項31】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の前記挿入部位及び前記取り出し部位にマークを付けるキューを付与する、請求項28に記載の皮膚挿入器具。
【請求項32】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項28〜31のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項33】
前記皮膚挿入器具が、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通して挿入された部分の周辺部の輪郭を描くために、前記皮膚の表面上にキューを付与する、請求項28〜31のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項34】
前記皮膚挿入器具が、前記挿入部位と前記取り出し部位との間の前記器具の経路の全部又は一部にマークを付けるためのキューを付与する、請求項28〜33のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項35】
前記キューが目に視認し得る染料である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項36】
前記染料が、前記被験者の皮膚の色に対して視認できるコントラストを与える、請求項35に記載の皮膚挿入器具。
【請求項37】
前記キューが、励起波長の電磁エネルギーが前記皮膚に作用した時にのみ検出される試剤である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項38】
前記試剤が、蛍光染料、りん光染料又はX線試剤である、請求項37に記載の皮膚挿入器具。
【請求項39】
前記キューが、可視電磁領域の外側で検出される染料である、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項40】
前記キューが、指示薬成分を前記皮膚に塗布するまで視認できない、請求項28〜34のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項41】
前記皮膚挿入器具が前記キューで被覆されている、請求項28〜40のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項42】
前記皮膚挿入器具が前記キューで含浸される、請求項28〜40のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項43】
前記キューが、トリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、フルオロセイン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項44】
前記キューが、ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、メチレンブルー、トルイジンブルー、メチレンバイオレット、アズールA、アズールB、アズールC、ブリリアントクレゾールブルー、チオニン、メチレングリーン、ブロムクレゾールグリーン、ゲンチアナアクリジンオレンジ、ブリリアントグリーン、アクリジンイエロー、キナクリン、トリパンブルー、トリパンレッド、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、ゲンフォクトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項45】
前記キューが、ゲンチアナバイオレットである、請求項28〜42のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項46】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の1質量%を超える濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項47】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の、前記皮膚を通過する部分の20質量%までの濃度で存在する、請求項46に記載の皮膚挿入器具。
【請求項48】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり少なくとも15μgの濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項49】
ゲンチアナバイオレットが、前記皮膚挿入器具の、前記皮膚を通過する部分に、前記器具の面積1cm2あたり50〜500μg/cm2の濃度で存在する、請求項45に記載の皮膚挿入器具。
【請求項50】
前記皮膚挿入器具が、縫合、糸、套管針、チューブ、マルチルーメンチューブ、マルチプルチューブ、固定ピン、固定クリップ、ワイヤ、ケーブル及びカテーテルからなる群から選択される、請求項28〜49のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項51】
前記皮膚挿入器具がカテーテルである、請求項28〜49のいずれか一項に記載の皮膚挿入器具。
【請求項52】
真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを脱色する方法であって、過酸化物を前記ステインに塗布し、前記過酸化物を非イオン化金属粒子で処理することを含んでなる、方法。
【請求項53】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀、金、白金、銅、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀を含んでなる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記粒子がナノ粒子を含んでなる、請求項52〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン又は過酸化メチルエチルケトンを含んでなる、請求項52〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記過酸化物が過酸化水素を含んでなる、請求項52〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記真皮染料ステインが、ゲンチアナバイオレットステインである、請求項52〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
ゲンチアナバイオレット:銀のモル比が1:1未満である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記皮膚挿入器具の前記経路に沿った染料ステインが脱色される、請求項52〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記真皮表面上の染料ステインが脱色される、請求項52〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
真皮の表面上に、及び/又は皮膚挿入器具の経路に沿って存在する染料ステインを除去するためのキットであって、過酸化物及び非イオン化金属粒子を含んでなる、キット。
【請求項63】
真皮上の皮膚挿入器具の挿入部位及び/又は取り出し部位にマークを付ける、及び/又は皮膚挿入器具の経路にマークを付けるための、並びに、前記真皮表面上の及び/又は前記皮膚挿入器具の経路に沿った染料ステインを脱色するための皮膚挿入器具キットであって、
a)前記挿入部位及び/又は前記取り出し部位にマークを付けるために、視認し得る染料マークを前記皮膚の前記表面上に付与する、及び/又は染料マークを前記皮膚挿入器具の前記経路に沿って付与する皮膚挿入器具、及び
b)非イオン化金属粒子
を含んでなる、キット。
【請求項64】
過酸化物をさらに含んでなる、請求項63に記載のキット。
【請求項65】
前記非イオン化金属が、非イオン化銀、金、白金、銅、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項62〜64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項66】
前記非イオン化金属が非イオン化銀を含んでなる、請求項62〜64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項67】
前記粒子がナノ粒子を含んでなる、請求項62〜66のいずれか一項に記載のキット。
【請求項68】
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、ペルオキシ酸、パーエステル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセトン又は過酸化メチルエチルケトンを含んでなる、請求項62及び64〜67のいずれか一項に記載のキット。
【請求項69】
前記過酸化物が過酸化水素を含んでなる、請求項62及び64〜67のいずれか一項に記載のキット。
【請求項70】
前記染料がゲンチアナバイオレットである、請求項62〜69のいずれか一項に記載のキット。
【請求項71】
前記器具が、前記被験者中にある前記皮膚挿入器具の全部又は一部の前記経路にマークを付ける、請求項63〜70のいずれか一項に記載のキット。
【請求項72】
前記器具が、前記真皮表面にマークを付ける、請求項63〜71のいずれか一項に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A−13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A−13B】
【公表番号】特表2010−540164(P2010−540164A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527979(P2010−527979)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/011388
【国際公開番号】WO2009/045453
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502047224)アロウ・インターナショナル・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】ARROW INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】2400 Bernville Road, Reading, PA 19605, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/011388
【国際公開番号】WO2009/045453
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502047224)アロウ・インターナショナル・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】ARROW INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】2400 Bernville Road, Reading, PA 19605, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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