説明

捕虫シート

【課題】捕虫シートを捕虫器に取り付けた状態で長期に亘って確実に保持することができるようにすること。
【解決手段】帯状をなす基材シート29と、この基材シート29の一方の面に積層された接着剤層30とを備えて捕虫シート13が構成されている。基材シート29の短手方向両端に沿って接着剤層30を積層しない第1の非接着領域31が設けられている。基材シート29の長手方向一端側には、剛性を有する引掛シート32が装着されている。基材シート29の長手方向他端側には、第2の非接着領域36が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫シートに係り、更に詳しくは、捕虫器に取り付けた状態でも長期に亘って確実に保持することができる捕虫シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、食品や粘着シート、精密機械等の製品に虫が混入することを防止するために捕虫器が利用されている(特許文献1参照)。特許文献1の捕虫器は、捕虫シートを用いており、この捕虫シートの面形状は、方形に形成されているとともに、外周に沿って接着剤層を積層しない領域が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−92964号公報
【特許文献2】特開2002−156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の捕虫シートは、折り曲げて枠体上に置いただけのものであり、固定手段等を介して保持していないため、捕虫シートが意図することなく移動してしまって、捕虫できない姿勢になり易い、という不都合がある。
【0005】
また、特許文献2の捕虫シートは、帯状の基材シートの長手方向両側に孔がそれぞれ設けられ、これらの孔をフックに挿通することで、捕虫シートがフレームに引っ掛け保持される。ところが、同文献は、1枚の基材シートに孔加工が施され、孔周りの剛性や強度を強くするといった補強が特に行われていないため、捕虫期間中に孔周りが破れて落下し、結果として捕虫ができなくなる、という不都合がある。また、紫外線を誘引手段とした場合、この紫外線光によって基材シートが劣化し、孔周りが破れやすくなる、という不都合を招来する。
【0006】
ところで、捕虫器に用いられる捕虫シートにあっては、捕虫後に単位面積当たりの捕虫数を簡単に評価できるようにする要求がある。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、前述した不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、捕虫器に取り付けた状態でも長期に亘って確実に保持することができる捕虫シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、接着層の領域毎に捕獲した虫をカウントし易くすることができる捕虫シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状をなす基材シートと、この基材シートの一方の面に積層された接着剤層とを備えた捕虫シートにおいて、
前記基材シートの短手方向両端に沿って接着剤層を積層しない第1の非接着領域を設け、
前記基材シートの長手方向一端側に剛性を有する引掛シートを装着するとともに、長手方向他端側に第2の非接着領域を設けた、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記基材シートには、所定間隔毎に罫線が施される、という構成が好ましくは採用される。
【0010】
また、前記接着剤層をカバーする剥離シートを含み、この剥離シートに所定間隔毎に罫線が施される、という構成を採ることが好ましい。
【0011】
更に、前記接着剤層をカバーする剥離シートを含み、この剥離シートには、基材シートの罫線と略直交する方向に延びる罫線が所定間隔毎に施されるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基材シートの長手方向一端側に剛性を有する引掛シートを装着したので、フック等により引っ掛け保持する場合や、紫外線を誘引手段として使用する場合であっても、破れ等が生じることを回避でき、捕虫シートを長期に亘って確実に保持することが可能となる。しかも、基材シートの短手方向両端に沿って第1の非接着領域を設け、長手方向他端側に第2の非接着領域を設けたので、これら非接着領域を利用してフックやマグネット等で捕虫器に保持させることができ、捕虫シートの取り付け安定性を向上させることができる。
【0013】
また、基材シートに所定間隔毎に罫線を施した場合、例えば、罫線の間隔毎に捕虫数を容易にカウントして評価することが可能となる。剥離シートに所定間隔毎に罫線を施した場合、捕虫後の接着剤層に剥離シートを再接着することで、同様に評価することができる。
【0014】
更に、基材シートの罫線と略直交する方向に延びる罫線を剥離シートに施した場合、捕虫後の接着剤層に剥離シートを接着することで、各罫線により升目を形成することができ、単位面積当たりの捕虫数をより簡単に評価することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書の方向若しくは位置を示す用語は、特に明示しない限り、図1中矢印A方向から見た場合を基準とし、「前」とは矢印A方向から見た場合の手前側を示す一方、「後」とは、同奥行き側について用いられ、「左」「右」も同様に矢印A方向から見た場合を基準とする。
【0016】
図1には、実施形態に係る捕虫シートを用いた捕虫器の概略斜視図が示され、図2には、その分解斜視図が示されている。これらの図において、捕虫器10は、虫を誘引する誘引手段11と、この誘引手段11を支持するフレーム12と、このフレーム12の前後両側にそれぞれ設けられる帯状の捕虫シート13と、この捕虫シート13をフレーム12に取り付けるための取付手段14とを備えて構成されている。
【0017】
前記誘引手段11は、図示しない電力源に接続される蛍光灯16により構成され、フレーム12の内部で支持されている。なお、蛍光灯16は、虫を誘引可能な波長の光、例えば紫外線を発光するものが好ましい。
【0018】
前記フレーム12は、前後に開口18を有する箱状に形成されている。具体的には、左右一対の側面フレーム19と、前後両側にそれぞれ設けられ、開口18が形成された前面フレーム21及び後面フレーム22と、上下両側にそれぞれ設けられた上面フレーム23及び下面フレーム24とからなる。フレーム12は、後述するマグネットが着脱できるように着磁性を有する金属等の素材により構成されるが、マグネット以外の、例えば、クリップ等で捕虫シート13を取り付ける場合は、着磁性を有する金属で構成する必要はない。また、前、後面フレーム21、22の左右両側には、側面フレーム19が延長されたように突出部26がそれぞれ設けられ、それら突出部26の相対面間距離は、捕虫シート13の左右幅と略同一に設定され、捕虫シート13の短手方向の位置ずれを規制することができるようになっている。底面フレーム24には、脚部材27が取り付けられ、この脚部材27により捕虫器10全体が自立可能となっている。
【0019】
前記捕虫シート13は、図3に示されるように、帯状の基材シート29の一方の面に接着剤層30が積層されている。基材シート29の短手方向両端すなわち左右両端側には、接着剤層30を積層しない第1の非接着領域31が設けられている。基材シート29の長手方向一端側すなわち上端側には、厚紙等で構成される剛性を有する引掛シート32が設けられている。また、引掛シート32には、左右一対の孔34が設けられている。各孔34は、丸孔部34Aと、この丸孔部34Aの上方に連なる長孔部34Bとからなり、いわゆるだるま孔となっている。基材シート29の下端側には、シート35を設けることで第2の非接着領域36が形成されている。シート35は、前記引掛シート32と同素材としてもよいし、異なる素材により構成してもよい。
【0020】
前記取付手段14は、前、後面フレーム21、22における開口18の上方に設けられた保持手段39と、捕虫シート13の下端側に設けられた挟持手段40と、捕虫シート13の長手方向すなわち上下方向中間部に設けられた補助挟持手段41とを備えている。
【0021】
前記保持手段39は、先端に大径部が形成された左右一対のフック部材42からなり、各フック部材42に孔34を挿通することで捕虫シート13の上端側を保持するようになっている。フック部材42の大径部の寸法は、丸孔部34Aの寸法より小さく、且つ、長孔部34Bの左右幅より大きく形成されている。また、フック部材42の基部の寸法は、長孔部34Bの左右幅と同一又は若干大きく形成されている。
【0022】
前記挟持手段40及び補助挟持手段41は、マグネット40A、41Aによりそれぞれ構成され、その磁性によりフレーム12に着脱自在に設けられている。挟持手段40のマグネット40Aは、基材シート29の第1の非接着領域31を利用して、捕虫シート13を前、後面フレーム21、22に取り付け可能に設けられている。また、マグネット41Aは、第2の非接着領域36を利用して、捕虫シート13を前、後面フレーム21、22に取り付け可能に設けられている。
【0023】
前記フレーム12へ捕虫シート13を取り付ける場合は、フック部材42に引掛シート32の丸孔部34Aを挿通した後、捕虫シート13を下方にずらす。その後、第1及び第2の非接着領域31、36にマグネット40A、41Aを装着することで捕虫シート13の取り付けが完了する。この状態で、捕虫シート13の左右両側に沿って突出部26が位置するので、捕虫シート13の面方向の移動やずれを規制することが可能となる。
【0024】
前記捕虫器10は、蛍光灯16を発光させると、その光は、基材シート29及び接着剤層30を透過して外部に発せられる。すると、その光に誘引されて虫が蛍光灯16に向かって飛来し、接着剤層30に接触した虫が当該接着剤層30に接着されて捕獲される。なお、図4に示されるように、基材シート29に罫線37が施された捕虫シート13を使用した場合、捕虫の最中又は捕虫後に、罫線37で区切られた領域毎に捕獲された虫の数を容易にカウントすることができる。
【0025】
従って、このような実施形態によれば、引掛シート32に孔34を形成したので、捕虫期間中に孔周りが破れて捕虫シート13が落下するようなことはなくなる。また、誘引手段11に紫外線を発光可能な蛍光灯16を使用したとしても、劣化することなく長期に亘って確実に捕虫シート13を保持することができる。しかも、第1及び第2の非接着領域31、36を設けたので、マグネット40A、41Aが接着剤層30に接着することなく捕虫シート13を捕虫器10に取り付けることが可能となる。
【0026】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
例えば、図4に示されるように、接着剤層30をカバーする剥離シート48に上下方向所定間隔毎に罫線49を施してもよい。これによれば、捕虫後、捕虫シート13と剥離シート48とを接着することで、基材シート29の罫線37と、剥離シート48の罫線49とで升目が形成でき、単位面積当たりの捕虫数をより効果的にカウントすることが可能となる。
なお、罫線は基材シート29と剥離シート48とに分けて設ける以外に、それらの何れか一他方に施すようにしてもよい。
【0028】
また、前記第2の非接着領域36は、図5に示されるように、シート35を省略して接着剤層30を積層しないことで形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態に係る捕虫シートが用いられた捕虫器の概略斜視図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】捕虫シートの断面図。
【図4】変形例に係る捕虫シートの概略斜視図。
【図5】他の変形例に係る捕虫シートの部分概略斜視図。
【符号の説明】
【0030】
10 捕虫器
13 捕虫シート
29 基材シート
30 接着剤層
31 第1の非接着領域
32 被引掛シート
35 シート
36 第2の非接着領域
37 罫線
48 剥離シート
49 罫線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をなす基材シートと、この基材シートの一方の面に積層された接着剤層とを備えた捕虫シートにおいて、
前記基材シートの短手方向両端に沿って接着剤層を積層しない第1の非接着領域を設け、
前記基材シートの長手方向一端側に剛性を有する引掛シートを装着するとともに、長手方向他端側に第2の非接着領域を設けたことを特徴とする捕虫シート。
【請求項2】
前記基材シートには、所定間隔毎に罫線が施されていることを特徴とする請求項1記載の捕虫シート。
【請求項3】
前記接着剤層をカバーする剥離シートを含み、この剥離シートに所定間隔毎に罫線が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載の捕虫シート。
【請求項4】
前記接着剤層をカバーする剥離シートを含み、この剥離シートには、基材シートの罫線と略直交する方向に延びる罫線が所定間隔毎に施されていることを特徴とする請求項2記載の捕虫シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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