説明

捕虫器

【課題】設置場所によって捕虫効率が低下することを抑制することができる捕虫器を提供すること。
【解決手段】捕虫器10は、虫を誘引する発光手段11と、この発光手段11を囲むように繰り出される捕虫シート12と、この捕虫シート12の繰り出しを許容し当該捕虫シート12を保持する繰出手段15と、回転可能に設けられて捕虫シート12を透過した光を遮蔽可能な遮光手段16とを備えて構成されている。遮光手段16には、捕虫シート12を透過した光を反射する反射面38が設けられ、発光手段11から捕虫器10外部に発せられる光の向きを調整可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫器に係り、更に詳しくは、光に誘引された虫を捕虫シートに接着して捕獲することができる捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、食品や粘着シート、精密機械等の製品に虫が混入することを防止するために捕虫器が利用され、かかる捕虫器としては、例えば、特許文献1に開示されている。図5に示されるように、同文献の捕虫器50は、虫を誘引する発光源51と、この発光源51を収納するとともに、発光源51を挟む同図中左右両側に開口52A、52Bを有する箱状の筐体52と、発光源51からの発光により誘引された虫を接着して捕獲可能な捕虫シート53と、筐体52の各開口52A側に回転可能にそれぞれ設けられたルーバー55とを備えている。各ルーバー55における回転方向の向きは、捕虫器50の手前側に位置するユーザに対し、発光源51からの光が見えないように設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記捕虫器50にあっては、図5に示されるように、室内の角部Cの近傍に設置されると、当該角部C寄り(図5中左側)の開口52Aから発せられる光は、隣接する壁Wによって捕虫器50の外部に照射されず、虫の誘引効果が低下してしまい、ひいては捕虫効率が低下してしまう、という不都合を招来する。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、設置場所によって捕虫効率が低下することを抑制できる捕虫器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、虫を誘引する発光手段と、この発光手段を囲む少なくとも2面に繰り出される捕虫シートと、この捕虫シートの繰り出しを許容し当該捕虫シートを保持する繰出手段と、回転可能に設けられ、前記捕虫シートを透過した光を遮蔽可能な遮光手段とを備えた捕虫器であって、
前記捕虫シートは、帯状をなす基材シートの一方の面に積層された接着剤層を含み、
前記遮光手段には、捕虫シートを透過した光を反射する反射手段が設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記遮光手段は複数設けられ、且つ、相互に独立して回転可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転可能な遮光手段に反射手段を設けたので、反射手段により発光手段から捕虫器の外部に発せられる光の向きを調整可能となる。これにより、遮光手段により発光手段の光がユーザの目に入ることを抑制しつつも、例えば、室内の角部の近傍に設置しても、反射手段を介して発光手段からの光を当該捕虫器の外部に照射することができ、捕虫シートに効率良く虫を誘引して捕獲することが可能となる。
【0009】
また、複数の遮光手段を相互に独立して回転可能としたので、例えば、平面視で発光手段を挟む両側に遮光手段をそれぞれ設け、室内の角部の近傍に捕虫器を設置した場合、各遮光手段の向きを調整して反射手段で発光手段の光を反射させることで、角部を形成する各壁それぞれに平行に光を照射可能となる。これにより、発光手段の光を目に入り難くすることができ、且つ、発光手段の光による虫の誘引効果を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る捕虫器の概略正面断面図。
【図2】(A)は、捕虫シートの正面図、(B)は、(A)のA矢視断面図。
【図3】前記捕虫器の使用状態を示す断面図。
【図4】前記捕虫器の他の使用状態を示す断面図。
【図5】従来例に係る捕虫器の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書の方向若しくは位置を示す用語は、特に明示しない限り、図1を正面から見た場合を基準とし、「前」とは同図中手前側を示す一方、「後」とは、同奥行き側について用いられ、「左」「右」も同様に正面から見た場合を基準とする。
更に、「光」は、虫を誘引可能な波長の光であり、可視光線だけでなく紫外線や赤外線等の不可視光線も含む概念として用いる。
【0012】
図1〜図4において、捕虫器10は、虫を誘引する発光手段11と、この発光手段11の近傍に繰り出される捕虫シート12と、発光手段11等を支持する支持手段13と、捕虫シート12の繰り出しを許容し保持可能に設けられた繰出手段15と、捕虫シート12を透過した光を遮蔽可能な複数の遮光手段16とを備えて構成されている。
【0013】
前記発光手段11は、図示しない電力源に接続される蛍光灯により構成されている。なお、蛍光灯は、虫を誘引可能な波長の光、例えば紫外線を発光するものが好ましい。
【0014】
捕虫シート12は、図2(A)及び(B)に示されるように、帯状をなす基材シート12Aと、この基材シート12Aの一方の面(図2(B)中上面)に積層された接着剤層12Bとからなる2層構造になっており、この接着剤層12B側に剥離シート12Cが仮着されている。基材シート12Aの短手方向両端、すなわち、図2中左右両端に沿う位置には、接着剤層12Bを積層しない非接着領域12Dがそれぞれ設けられている。
【0015】
前記支持手段13は、脚部材19と、この脚部材19から立設されて発光手段11を支持する背面フレーム20と、背面フレーム20の前方に設けられたカバー部材21と、背面フレーム20及びカバー部材21の間であって、背面フレーム20の上部に設けられるとともに、遮光手段16の上側を支持する上部カバー22とを備えている。背面フレーム20及びカバー部材21は、発光手段11から前後に発せられる光を遮蔽可能に設けられ、発光手段11が発する光のうち、捕虫シート12を透過した光だけが捕虫器10の外部に発せられるようになっている。カバー部材21は、ステンレス板等によって形成され、発光手段11側(後面側)が鏡面21Aとされる。
【0016】
前記繰出手段15は、ロール状に巻回された捕虫シート12を支持する支持軸25と、支持軸25から繰り出された捕虫シート12を下方に導くガイドローラ29と、下方に導かれた捕虫シート12を発光手段11の下方及び上方で案内する3本のローラ17と、捕虫シート12から剥離された剥離シート12Cを上方で案内する2本の剥離用ローラ30と、各ローラ17及び各剥離用ローラ30によって案内された捕虫シート12及び剥離シート12Cを一緒に巻き取る巻取軸35と、巻取軸35に連結された操作ハンドル36とを備え、背面フレーム20に支持されている。巻取軸35は、操作ハンドル36の操作により図1中矢印R1方向に回転可能となっており、剥離シート12Cが剥離された捕虫シート12の接着剤層12Bを発光手段11の反対側に表出した状態で、当該発光手段11を囲むように繰り出し可能になっている。
【0017】
前記遮光手段16は、背面フレーム20及びカバー部材21間における左右両側にそれぞれ3体ずつ設けられている。各遮光手段16は、上下に細長い板状に形成され、その上下両端側で脚部材19と上部カバー22とにより回転可能に支持されている。なお、各遮光手段16の回転は、相互に独立して行えるようになっており、一の遮光手段16の回転に連動して他の遮光手段16が回転しないようになっている。各遮光手段16は、捕虫シート12を透過した光を遮蔽可能に設けられ、ユーザの目Eに光が入ることが抑制される(図3、図4参照)。各遮光手段16の一方の面は、鏡面仕上げ等により反射手段としての反射面38が設けられ、この反射面38により捕虫シート12を透過した光が反射し、捕虫器10の外部に発せられる。
【0018】
ここで、例えば、図3に示されるように、前記捕虫器10が室内の角部Cの近傍に設置された場合の遮光手段16の向きの調整方法を例示すると、全ての遮光手段16によって背面フレーム20とカバー部材21との間を全閉した状態から、これら全ての遮光手段16を時計方向に45°程度回転する。これにより、隣り合う遮光手段16の間から発光手段11の光が外部に発せられ、同図中右側の各遮光手段16における反射面38に反射された光が右側後方の壁Wに向かって照射され、左側の各遮光手段16における反射面38に反射された光が捕虫器10より前方の壁Wに向かって照射されることとなる。
【0019】
なお、図3では、各遮光手段16の回転角度を同一としているが、同図中点線で示されるように、各遮光手段16それぞれの向きを独立して変更し、室内により良く光が放散されるよう調整してもよい。また、左側の各遮光手段16だけ全閉状態としてもよく、発光手段11から左側に発せられる光を反射面38により右側に反射し、右側から発せられる光をより明るくすることができる。
【0020】
また、図4に示されるように、反射面38で反射した光が各壁Wに略平行に照射されるように各遮光手段16の向きを相互に独立して回転して調整することもできる。図4の状態では、壁WにユーザUが接近したとしても、意図的に壁Wに顔を近付けて捕虫シート12側を覗き込まない限り、ユーザUの肩が邪魔して発光手段11の光が目Eに入らないように調整することができる。
【0021】
従って、このような実施形態によれば、各遮光手段16を回転して反射面38の向きを変更し、発光手段11から室内に発せられる光の向きを調整可能となる。これにより、捕虫器10の設置場所に応じて、当該捕虫器10から発せられる光をより強くしたり、光が発する範囲をより拡げたりすることができるようになる。その結果、虫の誘引能力を高めてより遠くを飛来する虫を誘引することができ、多くの虫を捕獲することが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0023】
例えば、発光手段11において、紫外線の光源は蛍光灯に替えてLED(発光ダイオード)等の他の発光源によって構成してもよい。
【0024】
また、前記実施形態では、発光手段11を囲む左右両面側に捕虫シート12を繰り出したが、発光手段11の上側や下側に捕虫シート12を繰り出し、当該繰り出し位置で捕虫を行えるようにしてもよい。
【0025】
更に、捕虫器10は、自立タイプに限られず、壁や天井等に取り付け可能な構成としてもよい。
また、反射手段として鏡を遮光手段に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10 捕虫器
11 発光手段
12 捕虫シート
12A 基材シート
12B 接着剤層
15 繰出手段
16 遮光手段
38 反射面(反射手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を誘引する発光手段と、この発光手段を囲む少なくとも2面に繰り出される捕虫シートと、この捕虫シートの繰り出しを許容し当該捕虫シートを保持する繰出手段と、回転可能に設けられ、前記捕虫シートを透過した光を遮蔽可能な遮光手段とを備えた捕虫器であって、
前記捕虫シートは、帯状をなす基材シートの一方の面に積層された接着剤層を含み、
前記遮光手段には、捕虫シートを透過した光を反射する反射手段が設けられていることを特徴とする捕虫器。
【請求項2】
前記遮光手段は複数設けられ、且つ、相互に独立して回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の捕虫器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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