説明

捕集装置

【課題】空気中の粒子を効率的に帯電させることによって捕集精度を高めた捕集装置を提供する。
【解決手段】捕集装置100は通気口61とファン20が配された通気口とを両端とした内空状の筒状筐体60を有し、その内部に、通気口61側から順に、正負両極イオンを発生可能なイオン発生ユニット10、メッシュ状の電極32、および集塵基板35を有した電極33が配される。集塵モードにおいてファン20によって外部空気が通気口61から吸引される。イオン発生ユニット20からは単極イオンが放出され、空気中の粒子が帯電される。そして、高圧ユニット34によって高圧印加された電極32,33間に構成される電界によって、帯電された粒子がこれら電極間に達すると電極33に吸着され、集塵基板35で捕集される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は捕集装置に関し、特に、空気中の粒子を捕集するための捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負イオン、または負イオンおよび正イオンを発生させるためのイオン発生装置があり、従来、該イオン発生装置を用いて空気を除菌することがなされている。
【0003】
該イオン発生装置での実際の除菌効果を検証する方法として、その空間に捕集装置を設置し、または該イオン発生装置に捕集装置を搭載し、空気中の浮遊粒子を捕集して細菌等である生物由来の粒子であるか否かを分析する方法が考えられる。
【0004】
空気中の粒子を捕集するための捕集装置としては、たとえば、特開2005−283212号公報(以下、特許文献1)が、装置内に導入された空気に対して放電することによって浮遊粒子を帯電させ、集塵電極に吸着させることで、浮遊粒子を捕集する装置を開示している。詳しくは、線状または輪状の金属細線に高圧電圧を印加して放電電極として用い、イオンを発生させる。そして、検出対象の空気を当該金属細線の近傍を通過させることで空気中の浮遊粒子を帯電させ、静電気力を利用して集塵電極で集塵するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−283212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の浮遊粒子を帯電させて捕集する装置は、放電により発生させた単極イオンによって帯電させるものであるため放電電極付近の浮遊粒子、たとえば特許文献1であれば輪状の電極内を通過した浮遊粒子を帯電させるに過ぎず、捕集精度が必ずしも高くない、という問題がある。
【0007】
一方で、上述のように、イオン発生装置での除菌効果を検証する場合には、同じ空間内、または同じ装置内にイオン発生機構が存在することから、特許文献1のような単極イオンを発生させるための機構と機能的に重複している、という問題がある。
【0008】
また、特許文献1に開示されているような輪状の電極や針状電極に高電圧を印加することで局所的に浮遊粒子を捕集する構成では、電極付近を通過する塵埃は帯電するが、それ以外の塵埃は帯電されない。そのため、捕集効率向上に限界がある、という問題がある。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、空気中の粒子を効率的に帯電させることによって捕集精度を高めた捕集装置を提供することを目的の一つとし、さらに、局所的に高効率に空気中の粒子を捕集することのできる捕集装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、捕集装置は、第1の通気口を有した筐体と、筐体内に配される、正負両イオンを発生可能なイオン発生器と、動作モードを第1のモードと第2のモードとに切り替えるための制御装置とを有し、制御装置は、第1のモードではイオン発生器から正負両イオンを発生させ、第2のモードではイオン発生器から正負イオンのうちのいずれか一方のイオンを発生させる。
【0011】
好ましくは、捕集装置は、第1の通気口から導入される空気中の粒子を捕集するための捕集機構をさらに備え、イオン発生器は、筐体内であって、第1の通気口と捕集機構との間に配される。
【0012】
より好ましくは、捕集機構は、筐体内に設置されたときに第1の通気口に向く側に配された第1の電極を含み、筐体は、イオン発生器および捕集機構を挟んで第1の通気口から遠い側に配置される第2の通気口を有する。
【0013】
より好ましくは、捕集機構は、筐体内に設置されたときに第1の通気口から遠い側に配される第2の電極をさらに含み、制御装置は、第2のモードで、第1の電極と第2の電極との間に、第2のモードでイオン発生器から発生させるイオン極に応じた方向の電位差を生じるように、第1の電極および/または第2の電極に電圧を印加させる。
【0014】
より好ましくは、第1の電極は通気性を有し、筐体の第1の通気口から第2の通気口へ向かう方向と直交または略直交方向の断面とほぼ等しい面形状である。
【0015】
より好ましくは、第1の電極は針形状であり、第1の電極の針形状の先端は第2の通気口へ向かう方向に設けられる。
【0016】
好ましくは、捕集機構は、第2のモードから第1のモードへのモードの切替え時に、筐体内から捕集機構を取り除くための機構をさらに備える。
【0017】
より好ましくは、第2の電極には捕集基板が配され、捕集基板以外の箇所に通気孔が設けられる。
【0018】
より好ましくは、捕集機構は、第1の電極と第2の電極との間に、通気孔を有する絞り板をさらに含む。
【0019】
好ましくは、捕集装置は第1の通気口を通って筐体内外の空気を移動させるためのファンをさらに有し、制御装置は、第1のモードでは筐体内の空気を第1の通気口から筐体外へ排気する気流を発生させ、第2のモードでは第1の通気口を通って筐体外の空気が筐体内に吸引される気流を発生させるよう、ファンの回転方向を制御する。
【0020】
より好ましくは、制御装置は、第2のモードで発生する気流の流量を第1のモードで発生する気流の流量よりも少なくするよう、ファンの回転量を制御する。
【0021】
好ましくは、第1のモードは除菌モードであり、第2のモードは捕集モードである。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、空気中の粒子の捕集精度を高めることができる。また、除菌装置と捕集装置との両機能を備える場合に、それぞれの別個の装置で実現するよりも小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態にかかる捕集装置の、システム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成を示す図であって、集塵モードでの構成の具体例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成を示す図であって、除菌モードでの構成の具体例を示す図である。
【図4】イオン発生ユニットの外観の具体例を示す図である。
【図5】イオン発生ユニットの回路構成の具体例を示す図である。
【図6】図5中の正側の回路構成の具体例を示す図である。
【図7】制御装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図8】イオン発生ユニットで発生させるイオンを切り替えるための機構の、他の例を示す図である。
【図9】イオン発生ユニットで発生させるイオンを切り替えるための機構の、他の例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成の他の具体例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成を示す図であって、集塵モードでの構成の具体例を示す図である。
【図12】一般的な針状の電極を用いた捕集装置での捕集結果と、第2の実施の形態にかかる捕集装置での捕集結果とのそれぞれを表わした顕微鏡写真である。
【図13】第2の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成の他の具体例を示す図である。
【図14】第3の実施の形態にかかる捕集装置の基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0025】
実施の形態にかかる捕集装置100は空気中の埃や生物由来の粒子(細菌等)を捕集するための装置であって、一例として、図1に示されるように、空気清浄機1に含まれるものとする。図1を参照して、捕集装置100を含む空気清浄機1は、捕集装置100の他、操作指示を受け付けるためのスイッチ110と、制御装置200とを含む。その他、図示されない、空気を導入するための吸引口、排気するための排気口、などを含む。さらに、空気清浄機1は、記録媒体を装着するための通信部150を含む。通信部150は、ケーブル400で外部装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)300など接続するためのものであってもよい。または、通信部150は、インターネットを介して他の装置と通信するための通信回線を接続するためのものであってもよい。または、通信部150は、赤外線通信やインターネット通信などで他の装置と通信するためのものであってもよい。なお、捕集装置100は、空気清浄機1の他、エアコンなどに組み込まれてもよい。
【0026】
[第1の実施の形態]
図2および図3を参照して、第1の実施の形態にかかる捕集装置100Aは、一方端に絞り孔を有する通気口61、他方端にファン20が配された通気口を備えた、内空状の筒状筐体60を有し、その内部に、イオン発生ユニット10を含む。イオン発生ユニット10は、通気口61付近に配される。
【0027】
通気口61の絞り孔の位置をイオン発生ユニット10の位置と対応させることで、後述するように捕集装置100A内に吸引される空気をイオン発生ユニット10付近を通過させることができる。つまり、通気口61の絞り孔は位置決めとして機能する。また、通気口61に絞り孔を設けることで捕集装置100A内に吸引される空気の流量を制限することができ、その結果、捕集装置100A内の流速を抑えることができる。つまり、通気口61の絞り孔は流速調整機構としても機能する。しかしながら、通気口61の絞り孔は必須ではなく、設けられなくてもよい。すなわち通気口61は、筐体60の断面と同形状の通気口であってもよい。
【0028】
筐体60の、イオン発生ユニット10とファン20との間に位置する部分は欠落し、当該部分に、集塵ユニット30または除菌ユニット50が接続可能に構成される。図2および図3に示されるように、集塵ユニット30および除菌ユニット50は、いずれも、筐体60と平行な回転軸40に当接され、回転軸40を軸とした回転可動に設けられる。回転軸40は回転機構41によって回転する。図2に示された基本構成は、回転軸40が回転し、それに伴って筐体60に集塵ユニット30が接続されたときの基本構成であり、図3に示された基本構成は、筐体60に除菌ユニット50が接続されたときの基本構成である。
【0029】
図2を参照して、集塵ユニット30は、筐体60とほぼ同径の、内空状の筒状筐体31を有し、筐体60と接続されることで、全体として1つの内空状の筒状筐体を構成する。
【0030】
筐体31の内部には、高圧ユニット34を間に挟んで電気的に接続され、長手方向(筒状の高さ方向)に相対して位置する電極32と電極33とが配される。電極32と電極33とは、いずれも、筐体31断面をほぼ覆う大きさとする。具体的には、電極32および電極33の形状は、図2に表わされているように、集塵ユニット30の長手方向(筒状の高さ方向)と直交または略直交する方向の断面とほぼ同じ面形状である。そこで、電極32は通気を確保するための構造を有する。好ましくは電極32は、メッシュ状電極である(図2の例)。または、電極32は、5mm〜30mm程度の径の孔を有した板状電極であってもよい。電極32も、同様に、1以上の通気孔36を有した板状電極である。これにより、後述する制御によって集塵ユニット30を空気が通過しやすくなる。
【0031】
さらに電極32の通気孔36が施されていない位置には、集塵基板35が配される。集塵基板35として、たとえば、75mm×25mm程度のスライドガラスを採用することで電極32から集塵基板35を外してそのまま観察が可能となり、後述する方法で捕集された空気中の粒子の検証が容易となる。
【0032】
図3を参照して、除菌ユニット50は、筐体60とほぼ同径の、内空状の筒状筐体51を有し、筐体60と接続されることで、全体として1つの内空状の筒状筐体を構成する。
【0033】
図4を参照して、イオン発生ユニット10の具体例としては、2箇所削孔された直方体のケースを有し、該ケースから図示しない12V程度の直流電源に接続するためのラインが伸びる。2つの孔のほぼ中央には、それぞれ、正極の針状電極11Aと、負極の針状電極11Bとが位置する。
【0034】
図5を参照して、ケース内の回路構成の具体例としては、大きくは、正極側の回路と負極側の回路とからなり、それぞれ、スイッチ12A,12Bによって、直流電源に接続/非接続となる。各回路は、トランジスタと圧電素子とを有する直流を交流に変換するための変換回路と、高圧発生回路13A,13Bとを含む。
【0035】
より詳しくは、正極側の回路については、図6を参照して、スイッチ12Aが閉じると、1.5V〜12V程度である直流電源からの電流は変換回路によって直流に変換され、ダイオードによって正極側に整流された後に保護回路を経て高圧発生回路13Aに入力される。高圧発生回路13Aは圧電素子を含み、正極側に整流された入力電圧を昇圧させて高電圧を発生させる。高電圧は正極の針状電極11Aに供給され、電極11Aの先端でコロナ放電が生じる。これにより、正イオンが発生し、電極11Aが設けられたイオン発生ユニット10のケースの孔からケース外に放出される。
【0036】
負極側の回路についても、図6の回路のダイオードの向きを逆とするのみで、後は同様である。すなわち、スイッチ12Bが閉じると、負極の針状電極11Bの先端でもコロナ放電が生じ、これにより負イオンが発生してケース外に放出される。
【0037】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表わされる。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表わされる。
【0038】
正イオンおよび負イオンの両極性のイオンを放出する場合には、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0039】
制御装置200は、イオン発生ユニット10、ファン20の図示しない駆動機構、高圧ユニット34、回転軸40の回転機構41、およびスイッチ110に接続される。制御装置200は図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含み、スイッチ110からの操作信号などによってCPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、イオン発生ユニット10、ファン20の駆動機構、高圧ユニット34、および回転軸40の回転機構41に対して制御信号を出力し、これらの動作を制御する。
【0040】
捕集装置100Aは、集塵モードと除菌モードと二種類の動作モードを有する。制御装置200は、スイッチ110による操作、または所定のタイミングなどで、これらの動作モードを切り替えるための制御を行なう。制御装置200は、制御の1つとして、動作モードに応じて回転軸40の回転機構41に対して制御信号を出力し、所定角度、回転軸40を回転させる。これにより、集塵モードのときには図2に示されるように筐体60に集塵ユニット30が接続され、除菌モードのときには図3に示されるように筐体60に除菌ユニット50が接続される。
【0041】
図7を参照して、制御装置200は、スイッチ110からの操作信号を受け付けるための入力部201と、入力部201からの操作信号または所定の処理によって動作モードの切替のタイミングを判断するための判断部202と、イオン発生ユニット10に接続されて、イオン発生ユニット10でのイオン発生を制御するためのイオン発生制御部203と、ファン20の図示しない駆動機構に接続されて、ファン20の駆動を制御するためのファン駆動制御部204と、回転軸40の回転機構41に接続されて、回転軸40の回転を制御することで集塵ユニット30と除菌ユニット50との切替を制御するためのユニット切替制御部205と、高圧ユニット34に接続されて、高圧ユニット34での電極32および/または電極33に対する電圧の印加を制御するための印加制御部206とを含む。これら機能は、制御装置200の図示しないCPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することでCPUに形成されるものであってもよいし、電気回路等のハードウェアで実現されるものであってもよい。
【0042】
スイッチ110が、動作モードを除菌モードとするための除菌スイッチ、および動作モードを集塵モードとするための集塵スイッチを含む場合、判断部202は、これらスイッチの押下を示す操作信号が入力部201から入力されたときに、動作モードを指示された動作モードとすると判断する。このように判断されることで、ユーザの指示するタイミングで除菌モード、集塵モードに切り替えることが可能となる。
【0043】
判断部202での他の判断としては、たとえば、スイッチ110が除菌スイッチを備え、動作モードとして除菌モードでの動作を開始した後、予め規定した時間の経過の後に集塵モードに切り替えると判断してもよい。このように判断されることで、規定された時間除菌動作が行なわれた後に、集塵動作が自動的に行なわれ、集塵基板35を観察することで上記規定された時間での除菌の効果を検証することが可能となる。
【0044】
判断部202は、上のようにして動作モードを切り替えるタイミングを判断すると、イオン発生制御部203、ファン駆動制御部204、ユニット切替制御部205、および印加制御部206に対して、動作モードを除菌モードから集塵モードに、または集塵モードから除菌モードに切り替えることを指示する制御信号を出力する。イオン発生制御部203、ファン駆動制御部204、ユニット切替制御部205、および印加制御部206には、それぞれ、各動作モードでの制御が予め記憶されており、判断部202からの制御信号に従って、動作モードを切り替えるための制御を実行する。
【0045】
イオン発生制御部203は、イオン発生ユニット10の構成が図5に示されたものである場合、各動作モードでの制御として、除菌モードではスイッチ12A,12Bの両スイッチをONし、集塵モードではスイッチ12Aまたはスイッチ12Bのうちの規定されているいずれか一方をONし、他方をOFFする制御を記憶している。従って、イオン発生制御部203は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはONされているスイッチ12A,12Bのうちの予め規定されているいずれか一方をOFFし、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはOFFされているスイッチ12Aまたはスイッチ12BをONし両スイッチ12A,12BをONとする。これにより、除菌モードではイオン発生ユニット10から正負両極のイオンが発生し、集塵モードではイオン発生ユニット10から正負いずれかの単極のイオンが発生する。
【0046】
なお、イオン発生ユニット10の、発生させるイオンを切り替えるための構成は図5のスイッチ12A,12Bには限定されない。他の構成として、たとえば、図8のように、イオン発生ユニット10が、ケースに削孔された孔の一方を塞ぐための可動式の遮蔽板14を備えてもよい。遮蔽板14は、図示しない駆動機構に接続されて、図8(A)に表わされるいずれの孔も塞がない状態(状態1とする)、図8(B)に表わされる電極11Aが位置する側の孔を塞ぐ状態(状態2とする)、および図8(C)に表わされる電極11Bが位置する側の孔を塞ぐ状態(状態3とする)のいずれかの状態となるよう、スライド移動する。この構成の場合、イオン発生制御部203は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には遮蔽板14を状態1から状態2または状態3のうちの予め規定されているいずれか一方を孔を塞ぐ状態となるようスライド移動させ、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には遮蔽板14を状態2または状態3から状態1となるようスライド移動させるための制御信号を、図示しない遮蔽板14の駆動機構に対して出力する。
【0047】
または、イオン発生ユニット10の、発生させるイオンを切り替えるための他の構成として、たとえば、図9のように、イオン発生ユニット10が、それぞれ遮蔽板14A,14Bで電極11Aが位置する側の孔、電極11Bが位置する側の孔が塞がれた2つのイオン発生ユニット10A,10Bからなり、それぞれから伸びる直流電源に接続するためのラインの接続状態がスイッチ等によって切替可能としてもよい。ラインの接続状態を切り替えるためのスイッチ等は、図示しない駆動機構に接続されて、イオン発生ユニット10A,10Bの両方が直流電源に接続された状態(状態1とする)、イオン発生ユニット10Aのみが接続されてイオン発生ユニット10Bが接続されない状態(状態2とする)、およびイオン発生ユニット10Aが接続されずイオン発生ユニット10Bのみが接続された状態(状態3とする)のいずれかの状態となるよう、接続状態を切り替える。この構成の場合、イオン発生制御部203は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはラインの接続状態を状態1から状態2または状態3のうちの予め規定されているいずれか一方のイオン発生ユニットのラインが接続された状態となるよう切り替えさせ、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはラインの接続状態を状態2または状態3から状態1となるよう切り替えさせるための制御信号を、図示しないスイッチ等の駆動機構に対して出力する。
【0048】
このようにすることでも、除菌モードではイオン発生ユニット10から正負両極のイオンが発生し、集塵モードではイオン発生ユニット10から正負いずれかの単極のイオンが発生する。
【0049】
ファン駆動制御部204は、各動作モードでの制御として、除菌モードではファン20の回転方向を送風方向が捕集装置100Aから通気口61側の端部を通って排気される方向、すなわち、図3の矢印B方向となる向きの回転方向とし、集塵モードではファン20の回転方向をその逆向き、すなわち図2の矢印A方向となる向きの回転方向とする制御、を記憶している。さらに、ファン20の回転量(回転速度、または時間当たりの回転回数)を、除菌モードでは大量とし、集塵モードでは少量とする制御を記憶している。具体例としては、除菌モードでは最大4000L(リットル)/分程度、集塵モードでは最大50L/分程度とする制御を記憶している。従って、ファン駆動制御部204は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはファン20の回転方向を除菌モードのときの回転方向と逆向きとし、かつ回転量を落とし、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合にはファン20の回転方向を集塵モードのときの回転方向と逆向きとし、かつ回転量を上げる。これにより、除菌モードではファン20から外部の空気が捕集装置100A内部に吸い込まれて通気口61から排気され、集塵モードでは除菌モードよりも遅い流速で通気口61から外部の空気が捕集装置100A内部に吸い込まれる。
【0050】
ユニット切替制御部205は、各動作モードでの制御として、図2、3に曲線矢印で表わされるように、除菌モードでは回転機構41に回転軸40を筐体60の欠落部分に除菌ユニット50が接続される回転位置まで回転させ、集塵モードでは回転軸40を筐体60の欠落部分に集塵ユニット30が接続される回転位置まで回転させる制御を記憶している。従って、ユニット切替制御部205は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には回転機構41に回転軸40を筐体60の欠落部分に除菌ユニット50が接続されている回転位置から集塵ユニット30が接続される回転位置まで回転させ、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には集塵ユニット30が接続されている回転位置から除菌ユニット50が接続される回転位置まで回転させる。これにより、除菌モードでは筐体60に除菌ユニット50が接続されて図3に示される構成となり、集塵モードでは筐体60に集塵ユニット30が接続されて図2に示される構成なる。
【0051】
印加制御部206は、各動作モードでの制御として、除菌モードでは高圧ユニット34で電極32および電極33に対する電圧を印加させず、集塵モードでは高圧ユニット34で電極32および電極33の両電極または予め規定された一方の電極に電圧を印加させる制御を記憶している。
【0052】
電極32および/または電極33に印加させる電圧の関係(電位差の方向)は、イオン発生ユニット10において集塵モードで発生するイオンの種類に関連する。すなわち、集塵モードにおいてイオン発生ユニット10から負イオンが発生する場合、すなわち、集塵モードにおいてスイッチ12BがONしかつスイッチ12AがOFFする場合、または上記状態2となる場合には、印加制御部206は、高圧ユニット34に、電極32よりも電極33が高電位となるよう両電極または予め規定された一方の電極に高電圧を印加させる制御を行なう。集塵モードにおいてイオン発生ユニット10から正イオンが発生する場合、すなわち、集塵モードにおいてスイッチ12BがOFFしかつスイッチ12AがONする場合、または上記状態2となる場合には、印加制御部206は、高圧ユニット34に、電極33よりも電極32が高電位となるよう両電極または予め規定された一方の電極に高電圧を印加させる制御を行なう。
【0053】
従って、印加制御部206は、判断部202から、動作モードが除菌モードから集塵モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には高圧ユニット34で電極32および電極33の両電極または予め規定された一方の電極に電圧を印加させ、集塵モードから除菌モードに切り替わることを示す制御信号が入力された場合には高圧ユニット34に電極32および電極33の両電極または予め規定された一方の電極に対する電圧の印加を終了させる。これにより、除菌モードでは電極32と電極33との間に電位差が発生しないものの、集塵モードでは電極32と電極33と間に電位差が発生し、これら電極間に電界が構成される。たとえば、高圧ユニット34が、電極32よりも電極33が高電位となるよう両電極または予め規定された一方の電極に高電圧を印加することで、集塵モードでは図2の矢印Eに示される向きの電界が生じる。
【0054】
イオン発生制御部203、ファン駆動制御部204、ユニット切替制御部205、および印加制御部206において、判断部202からの制御信号にしたがって以上の制御が行なわれることで、各動作モードで捕集装置100Aは次のように動作することになる。
【0055】
すなわち、除菌モードでは、ユニット切替制御部205での制御によって筐体60に除菌ユニット50が接続され、捕集装置100Aは図3の構成となる。この状態でファン駆動制御部204での制御によってファン20が駆動することで、外部の空気が図3の矢印Bに示されるようにファン20から捕集装置100A内に吸い込まれ、イオン発生ユニット10の付近を経由して通気口61から捕集装置100A外へ排気される。このとき、イオン発生ユニット10からはイオン発生制御部203での制御によって正負の両極性イオンが放出される。上述のようにクラスターイオンであるこれらイオンはファン20の駆動により付近を経由する気流によって、捕集装置100A外へ放出される。これにより、捕集装置100Aの置かれた空間内の浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0056】
集塵モードでは、ユニット切替制御部205での制御によって筐体60に集塵ユニット30が接続され、捕集装置100Aは図2の構成となる。この状態でファン駆動制御部204での制御によってファン20が駆動することで、外部の空気が図2の矢印Aに示されるように通気口61から捕集装置100A内に吸い込まれ、イオン発生ユニット10の付近を経由した後に集塵ユニット30内を通過してファン20の配される通気口から捕集装置100A外へ排気される。
【0057】
イオン発生ユニット10からはイオン発生制御部203での制御によって正イオンまたは負イオンの単極イオンが発生する。イオン発生ユニット10から負イオンが放出される場合、集塵モードではファン20で吸い込む流量が除菌モードよりも小さいため、イオン発生ユニット10付近を通過する空気中の粒子は負に帯電される。
【0058】
負電荷を帯びた粒子は気流に乗って集塵ユニット30の電極32に到達する。電極32はメッシュ状電極または孔を有した板状電極などの通気性を有した電極であるため、ファン20による吸い込み力によって、負電荷を帯びた粒子は電極32を通過して集塵ユニット30内に到達する。
【0059】
集塵ユニット30では、印加制御部206での制御によって、イオン発生ユニット10から負イオンが放出される場合には電極32よりも電極33が高圧となるよう高電圧が印加されており、図2の矢印Eに示される向きの電界が生じている。このため、電界内に負電荷を帯びた粒子が到達することで、高電位側の電極33に向かう静電気力を受けて電極33に吸着される。その結果、集塵ユニット30に到達した空気中の粒子は集塵基板35を含む電極33に捕集される。負電荷を帯びた粒子が捕集された後の空気は、ファン20による吸い込み力によって電極33に設けられた通気孔36を通過して、ファン20の配される通気口から捕集装置100A外へ排気される。
【0060】
以上のように、捕集装置100Aでは、除菌に用いられる正負の両極性イオンを発生させるためのイオン発生ユニット10を用いて、いずれか一方の単極イオンを発生させるよう切り替えて浮遊粒子の帯電用に用いて集塵動作を行なう。そのため、集塵モードにおける動作時には、通過する空気に向けてイオン発生ユニット10から単極イオンが放出されることになり、たとえば特開2005−283212号公報に開示されているような、通常の線状や輪状に高圧電圧を印加することによる発生するイオンを用いて帯電させる場合よりも、効率的に粒子を帯電させることができる。そのため、集塵精度を向上させることができる。
【0061】
特に、捕集装置100Aでは、イオン発生制御部203での制御によってイオン発生ユニット10から正イオンまたは負イオンのいずれの単極イオンも容易に発生させることができる。細菌等の微生物の捕集においては正イオンに帯電させる方が負イオンに帯電させるよりも効率的に捕集されるとも言われている。そのため、集塵モードにおいて正イオンを発生させることで、より効率的に細菌等の微生物を捕集することができる。
【0062】
また、イオン発生ユニット10を除菌用のイオン発生装置と集塵時の帯電用のイオン発生装置とを兼ねさせることができるため、両装置用に異なるイオン発生装置を備える構成とするよりも小型化を実現できる。
【0063】
なお、上述のように、除菌モードの後集塵モードとすることで、除菌モードにおける除菌効果を検証することができる。その際、上述のように、電極33から集塵基板35を取り外して観察することができる。そのため、好ましくは、集塵ユニット30には、図10に示されるように、電極33よりも電極32側に、集塵基板35の備えられる位置に孔を有した絞り板37が備えられる。絞り板37によって、静電気力を受けて電極33に吸着される負電荷を帯びた粒子は絞り板37に設けられた孔を通過し、電極33上のその位置に対応した集塵基板35に集中的に捕集される。これにより、集塵基板35での観察を容易にすることができる。
【0064】
以上の説明では、イオン発生ユニット10が正負の両極性イオンを発生させるものであり、イオン発生制御部203が集塵モードにおいていずれか一方の単極イオンを発生させるとしている。しかしながら、イオン発生ユニット10として、従来の、単極イオンを発生させるもの、たとえば負イオンを発生させる従来のイオン発生装置を用いることもできる。この場合、制御装置200はイオン発生制御部203を含まなくてもよい。この場合であっても、制御装置200は上述と同様の制御を行なうことで、捕集装置10の動作モードを除菌モードと集塵モードとすることができる。すなわち、除菌モードでは発生させた負イオンを捕集装置10から通気口61を通って外部に放出させ、集塵モードではファン20での吸引方向および流量を変化させることで、通気口61から捕集装置10内に外部の空気を吸引し、集塵ユニット30の負イオンで浮遊粒子を帯電させて捕集する。
【0065】
なお、以上の説明では、図2に示されるように集塵ユニット30に捕集機構として電極32と電極33とが配され、これらの電位差によって電荷された空気中の粒子を引き寄せる方向の電界を発生させることで空気中の粒子を捕集している。しかしながら、捕集機構はこのような電極対を用いるものに限定されず、その他、電荷された空気中の粒子を引き寄せる方向の電界を有する空間を生じせしめるものであればいかなる構成であってもよい。すなわち、ここでの「捕集機構」には、上記電極対そのもののみならず、たとえば電極対などによって生じせしめる、電界を有する空間をも含まれる。
【0066】
さらに、以上の説明では、イオン発生ユニット10を含む筐体60部分とファン20を含む筐体60部分とに対して集塵ユニット30または除菌ユニット50が接続されることで捕集装置100Aが構成されるものとしている。しかしながら、上述のように、集塵ユニット30に替えて電荷された空気中の粒子を引き寄せる方向の電界を有する空間が用意されてもよい。かかる空間は、たとえば、外付けのユニット(内の空間)として構成されてもよい。そのような場合を含めて、空気中の粒子を捕集するための捕集装置としては、かかる空間に対して捕集可能な粒子を送り込むための構成としての、少なくともイオン発生ユニット10と発生させるイオンを集塵モードと除菌モードとに応じて切り替えるための制御機構(イオン発生制御部203等)とを含む装置が該当する。
【0067】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態として、導入された空気中の粒子をより集中的に集塵基板上に捕集することができる捕集装置について説明する。
【0068】
第2の実施の形態にかかる捕集装置100Bは、図11に示されるように、筐体31の内部に、捕集装置100Aにおいてメッシュ状電極であった電極32に替えて、針状の電極32’を含む。針状の電極32’も電極33と高圧ユニット34を間に挟んで電気的に接続され、針状の電極32’の先端が電極33に向かう方向となるよう配置される。その他の構成は、捕集装置100Aの構成と同様とすることができる。
【0069】
電極32’として針状の電極を用いることにより、捕集装置100Bでは、電極32’と集塵基板35の電極32’の直下の位置との間の範囲で電界が構成される。捕集装置100Aと同様に、電極32’と電極32’との電位差はイオン発生ユニット10から発生させるイオン極に対応させるものであり、イオン発生ユニット10から負イオンが放出される場合には電極32’よりも電極33が高圧となるよう高電圧が印加される。これにより、電極32’と集塵基板35の電極32’の直下の位置との間の範囲で図11の矢印Eに表わされる向きに電界が構成される。
【0070】
イオン発生ユニット10から放出される負イオンによって、その付近を通過する空気中の粒子は負に帯電される。そして、イオン発生ユニット10からの単極のイオンによって負電荷を帯びた粒子は、電極32’と集塵基板35の電極32’の直下の位置との間に構成されている電界によって、集塵基板35の、局所的に針状の電極32’の直下の位置に捕集される。
【0071】
このように、捕集装置100Bでは、針状の電極32’を通過する時点で、空気中の粒子はイオン発生ユニット10から放出されるイオンによって概ね帯電されている。このため、一般的な針状の電極からの放電によってその周囲の空気中の粒子を帯電させて他方の電極に吸着させる捕集方法よりも、空気中の粒子がより効率的に捕集されることになる。
【0072】
発明者らは、一般的な針状の電極からの放電によってその周囲の空気中の粒子を帯電させて他方の電極に吸着させる捕集方法と、捕集装置100Bにおける捕集方法との両方法で実際の空気中の粒子を捕集し、その結果として、図12に示された捕集結果を得ている。図12(A)は一般的な針状の電極からの放電によってその周囲の空気中の粒子を帯電させる捕集方法による捕集結果であり、図12(B)はイオン発生ユニット10から放出されるイオンによって空気中の粒子を帯電させる捕集方法による捕集結果である。いずれも、所定面積分の集塵基板を2000倍に拡大した顕微鏡写真であり、図12(A)には221個の粒子、図12(B)には550個の粒子が測定された。これらの比較からも明らかなように、捕集装置100Bにおける捕集方法の方が従来の方法よりも針状の電極32’直下の捕集効率が約2倍高いことがわかった。
【0073】
また、捕集装置100Bでも、イオン発生制御部203での制御によってイオン発生ユニット10から正イオンまたは負イオンのいずれの単極イオンも容易に発生させることができる。細菌等の微生物の捕集においては正イオンに帯電させる方が負イオンに帯電させるよりも効率的に捕集されるとも言われている。そのため、集塵モードにおいて正イオンを発生させることで、より局所的かつ効率的に細菌等の微生物を捕集することができる。
【0074】
なお、捕集装置100Bでも、図13(A)に表わされたように、好ましくは絞り板37が設けられる。絞り板37は、第1の実施の形態において図10を用いて説明した捕集装置100Aの他の例に含まれるものと同じであり、絞り板37は、針状の電極32’の先端よりも、空気の導入方向の上流側に設けられる。具体的な形状は、図13(B)に表わされるように、集塵基板35の備えられる位置に対応した位置に孔を有する。
【0075】
イオン発生ユニット10からのイオンによって帯電した粒子は絞り板37に設けられた孔を通過することで、電極32’近傍から集塵ユニット30に導入され、電極32’と集塵基板35の電極32’の直下の位置との間に構成されている電界により近い位置に集められる。これにより、導入された空気中の粒子は集塵基板35により集中的に捕集される。
【0076】
[第3の実施の形態]
さらに、第1の実施の形態にかかる捕集装置100Aと、第2の実施の形態にかかる捕集装置100Bとを組み合わせることもできる。
【0077】
図14(A)は、捕集装置100Aと捕集装置100Bとを組み合わせた第3の実施の形態にかかる捕集装置100Cの基本構成を示す概略図である。また、図14(B)は、捕集装置100Cを長手方向(筒状の高さ方向)に見た図である。
【0078】
図14(A)および図14(B)を参照して、捕集装置100Cでは、捕集装置100Aに設けられた集塵ユニット30および除菌ユニット50と同じ構成の集塵ユニット30Aおよび除菌ユニット50と、捕集装置100Bに設けられた集塵ユニット30と同じ構成の集塵ユニット30Bとが、いずれも、筐体60と平行な回転軸40に当接され、回転軸40を軸とした回転可動に設けられる。回転軸40は回転機構41によって回転する。図14(A)に示された基本構成は、回転軸40が回転し、それに伴って筐体60に集塵ユニット30Aが接続されたときの基本構成であり、回転機構41の回転が制御装置200によって制御されることで、筐体60に集塵ユニット30Bまたは除菌ユニット50が接続される。
【0079】
上述のように、捕集装置100Aに設けられた集塵ユニット30ではメッシュ状の電極32を用いているため、集塵基板35との間に一様の電界が構成される。これにより、集塵基板35全域に均一に粒子が捕集される。一方、捕集装置100Bに設けられた集塵ユニット30では、針状の電極32’を用いているため、電極32’と集塵基板35の電極32’の直下の位置との間の範囲で電界が構成される。これにより、集塵基板35の電極32’の直下の位置に局所的に粒子が捕集される。
【0080】
そこで、捕集装置100Cは集塵モードとしてさらに全体に集塵するモードと局所的に集塵するモードとを有し、制御装置200は、スイッチ110から集塵モードのうちのいずれかの指示を受け付ける。制御装置200はその指示に応じて回転機構41の回転を制御することで、対応する側の集塵ユニットを筐体60に接続させる。
【0081】
このようにすることで、捕集装置100Cではユーザの指示に従って、全体的に均一な集塵と局所的な集塵とのいずれをも選択的に行なわせることが可能となる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 空気清浄機、10,10A,10B イオン発生ユニット、11A,11B 電極、12A,12B スイッチ、13A,13B 高圧発生回路、14,14A,14B 遮蔽板、20 ファン、30 集塵ユニット、31 筐体、32,32’,33 電極、34 高圧ユニット、35 集塵基板、36 通気孔、37 絞り板、40 回転軸、41 回転機構、50 除菌ユニット、51 筐体、60 筐体、61 通気口、100,100A,100B,100C 捕集装置、110 スイッチ、150 通信部、200 制御装置、201 入力部、202 判断部、203 イオン発生制御部、204 ファン駆動制御部、205 ユニット切替制御部、206 印加制御部、300 PC、400 ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通気口を有した筐体と、
前記筐体内に配される、正負両イオンを発生可能なイオン発生器と、
動作モードを第1のモードと第2のモードとに切り替えるための制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記第1のモードでは前記イオン発生器から正負両イオンを発生させ、前記第2のモードでは前記イオン発生器から正負イオンのうちのいずれか一方のイオンを発生させる、捕集装置。
【請求項2】
前記第1の通気口から導入される空気中の粒子を捕集するための捕集機構をさらに備え、
前記イオン発生器は、前記筐体内であって、前記第1の通気口と前記捕集機構との間に配される、請求項1に記載の捕集装置。
【請求項3】
前記捕集機構は、前記筐体内に設置されたときに前記第1の通気口に向く側に配された第1の電極を含み、
前記筐体は、前記イオン発生器および前記捕集機構を挟んで前記第1の通気口から遠い側に配置される第2の通気口を有する、請求項2に記載の捕集装置。
【請求項4】
前記捕集機構は、前記筐体内に設置されたときに前記第1の通気口から遠い側に配される第2の電極をさらに含み、
前記制御装置は、前記第2のモードで、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第2のモードで前記イオン発生器から発生させるイオン極に応じた方向の電位差を生じるように、前記第1の電極および/または前記第2の電極に電圧を印加させる、請求項3に記載の捕集装置。
【請求項5】
前記第1の電極は通気性を有し、前記筐体の前記第1の通気口から前記第2の通気口へ向かう方向と直交または略直交方向の断面とほぼ等しい面形状である、請求項3または4に記載の捕集装置。
【請求項6】
前記第1の電極は針形状であり、前記第1の電極の針形状の先端は前記第2の通気口へ向かう方向に設けられる、請求項3または4に記載の捕集装置。
【請求項7】
前記第2のモードから前記第1のモードへのモードの切替え時に、前記筐体内から前記捕集機構を取り除くための機構をさらに備える、請求項2〜6のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項8】
前記第2の電極には捕集基板が配され、前記捕集基板以外の箇所に通気孔が設けられる、請求項4〜7のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項9】
前記捕集機構は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、通気孔を有する絞り板をさらに含む、請求項4〜8のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項10】
前記第1の通気口を通って前記筐体内外の空気を移動させるためのファンをさらに有し、
前記制御装置は、前記第1のモードでは前記筐体内の空気を前記第1の通気口から前記筐体外へ排気する気流を発生させ、前記第2のモードでは前記第1の通気口を通って前記筐体外の空気が前記筐体内に吸引される気流を発生させるよう、前記ファンの回転方向を制御する、請求項1〜9のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記第2のモードで発生する気流の流量を前記第1のモードで発生する気流の流量よりも少なくするよう、前記ファンの回転量を制御する、請求項10に記載の捕集装置。
【請求項12】
前記第1のモードは除菌モードであり、
前記第2のモードは捕集モードである、請求項1〜11のいずれかに記載の捕集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−104578(P2011−104578A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122718(P2010−122718)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】