説明

捺染スクリーン紗用中空モノフィラメント

【課題】 捺染スクリーン紗に用いた際に、印刷欠点が発生しない、捺染スクリーン紗用ポリエステル中空モノフィラメントを提供すること。
【解決手段】 繊維軸方向に中空で、圧縮変位率が10%以上25%未満、曲硬さ指数Bhiが5.0以上10.0未満、繊度27〜44dtex、繊維の直径が48μm以上78μm以下で中空率が10%以上30%未満であることを特徴とする捺染スクリーン紗用中空モノフィラメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン紗用モノフィラメントに関するものであり、詳しくは衣類への印刷や看板への印刷などの捺染に使用する織り密度が100メッシュ以上355メッシュ以下、即ちタテ糸・ヨコ糸本数が共に1インチ当たり100本以上355本以下で構成する捺染スクリーン紗に用いられるポリエステルモノフィラメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
捺染スクリーン紗としては、従来はシルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなる織物が広く使用されてきたが、近年は柔軟性や耐久性、コストパフォーマンスに優れる合繊メッシュ織物が好んで使用され、中でもポリエステルモノフィラメントはスクリーン用適正が高く、広く普及している。
【0003】
捺染スクリーン紗の製造工程は、特に走行フィラメントと小ピッチ配列の筬刃の接触頻度および摩擦力が増大し、フィラメント表面が削り取られてヒゲ状あるいは粉末状のスカムが発生しやすい。このスカムは織機汚れとなるばかりでなく、スクリーン紗の中に織り込まれてしまうと印刷時に重大な欠点となる。
【0004】
また、精密印刷用途のスクリーン紗に比べて太繊度のモノフィラメントで構成される捺染スクリーン紗は、印刷工程でスキージを往復させてインキをスクリーン紗の下に押し出す繰り返しの動作により、スクリーン紗に目ずれが生じ易く、目ずれの発生した状態で印刷されると印刷パターンが崩れるだけでなく、色むら等が発生し、重大な欠点となる。
【0005】
前記用途における要求品質を満足するために、スカム発生などが無く、目ずれのない捺染スクリーン紗用原糸を提供することが重要な課題となる。
【0006】
従来、スクリーン紗用モノフィラメントについては、スカム発生の軽減を目的とする改善技術の提案が多くなされている。
【0007】
例えば、カルボン酸残基量が25eq/10以下で極限粘度が0.7以上〜1.2以下の高粘度ポリエチレンテレフタレートを使用したスクリーン紗用中空モノフィラメントが提案されているが、高粘度のポリエチレンテレフタレートを使用すると高モジュラスで高強度のモノフィラメントが得られるものの、剛性が高く圧縮変位率が低いため、スクリーン紗の製造工程における筬刃でのスカム発生を完全防止するには至っていない(特許文献1参照)。また、芯鞘型複合モノフィラメントにおいて、芯部ポリマーの極限粘度が0.70以上、鞘部ポリマーの極限粘度が0.40以上、破断強度が5.5cN/dtex以上のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの提案では、単に極限粘度の著しく低いポリエステルとすることにより、ポリマーのソフト性を向上させてスカム発生を軽減することを図っているが、スクリーン紗生産性が劣るばかりでなく、スカムが繊維状に発生しやすい為に、スクリーン紗に繊維状スカムが織り込まれてしまい、印刷に用いた場合の印刷欠点を誘発してしまう(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭64−052815号公報(第2頁左欄13行)
【特許文献2】特開2003−213528号公報(第2頁右欄7行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決し、捺染スクリーン紗に用いた際に、印刷欠点が発生しない、捺染スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明は、繊維軸方向に中空で、圧縮変位率が10%以上25%未満、曲硬さ指数Bhiが5.0以上10.0未満、繊度27dtex以上〜44dtex以下、繊維直径が48μm以上78μm以下で中空率が10%以上30%未満であることを特徴とする捺染スクリーン紗用中空モノフィラメントにより解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクリーン紗用中空モノフィラメントは、圧縮変位率や曲堅さ指数を適正なものとすることにより、従来のモノフィラメントでは得られなかった優れたスカム抑制や目ずれ防止効果を有し、印刷に好適な捺染スクリーン紗用モノフィラメントを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明において得られるモノフィラメントは、繊維軸方向に中空であることが必要である。中空であることにより、スクリーン紗の製造工程において、筬刃の擦過に対し、モノフィラメントの直径が変位するため、スカムの発生が抑制できるだけでなく、スクリーン紗として印刷工程で使用する際、スキージの擦過による目ずれが発生しにくい。
【0013】
本発明における圧縮変位率とは、中空モノフィラメントの側面を直径500μmの平面を有する円盤状加圧機で原点荷重1gf、最大荷重10gf、荷重付加速度0.5gf/秒の条件で圧縮させたときの糸直径変位を読み取り、次式(1)から求めたもので、同一の中空モノフィラメントから3本の試料を採取し、n3の測定を行って平均を求めたものである。
(1)圧縮変位率(%)=(L1/D)×100
ここで、上記式中におけるDは試験に供する前の原糸の直径(μm)、L1は最初に試料に与えた原点荷重1gf時点での変位と最大荷重10gfにおける変位との変位差の絶対値(μm)である。本発明の中空モノフィラメントの圧縮変位率は10%以上25%未満であることが必要である。圧縮変位率が10%未満では圧縮変位が小さく、スクリーン紗製造工程で筬刃による擦過でスカムが発生してしまう。また、圧縮変位率が25%を超えると中空モノフィラメントが潰れすぎて寸法安定性に欠け、スクリーン紗のメッシュ部が小さくなり、メッシュ部を通過するインキの量が少なく、印刷精度が粗くなるといった問題があるため、より好ましくは10%以上20%未満が良い。
【0014】
また、本発明における曲硬さ係数Bhiとは、次式(2)から求めた数値であって、式中Bhは中空糸の曲硬さ、具体的には間隔1cmに設置された2本のピン(各φ2mmの銅線)に結んで渡されたサンプルの中央をJ字型フック(φ1mmの銅線)で引き上げてサンプルを折り曲げるときの最大折り曲げ力(単位;mmN)である。また、式(2)中のφは中空モノフィラメントの直径(μm)である。本発明の中空モノフィラメントの曲硬さ係数Bhiは5.0以上10.0未満であることが必要である。Bhiが5.0未満だと中空モノフィラメントの剛性が弱く、寸法安定性に欠けるといった問題がある。一方、曲硬さ係数Bhiが10.0以上であるとスクリーン紗のメッシュ部の凹凸が大きく、スキージの擦過により目ずれし易くなる。より好ましくは5.0以上8.0未満であれば良い。
【0015】
【数1】

【0016】
本発明において、捺染スクリーン紗用モノフィラメントとして要求される糸の太さ、即ち繊維直径として48μm以上78μm以下を得るためには、繊度は27dtex以上〜44dtex以下であることが必要である。捺染用途で要求されるモノフィラメントの繊維直径は48μm以上であるが、48μmより小さいと捺染の際、スクリーンのメッシュが小さくなり、捺染用のインキが十分に通過せず、印刷パターン欠点が発生し易くなる。一方、78μmを超えると得られるスクリーン紗のメッシュは大きくなり、印刷精度が劣るといった問題や、繊維直径が大きいことで製織工程で筬刃の擦過により、削り節状の欠点がスクリーンに織り込まれてしまうことから48μm以上78μm以下であることが必要であるが、本発明の効果を更に得るためには繊維直径は48μm以上65μm以下であることが好ましく、繊度は27dtex以上33dtex以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明において十分な変位を得るため、中空率は10%以上30%未満であることが必要であるが、本発明の効果を更に得るためには10%以上〜29%未満であることが好ましい。
【0018】
本発明におけるポリエステルとは、繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレートであり、製織時の筬刃や隣接するモノフィラメントとの摩擦低減効果を高める酸化チタンを0.3〜0.6wt%含有することが好ましい。
【0019】
本発明における極限粘度はスクリーン紗として必要な強度や寸法安定性、および製織工程や捺染工程でのスカム防止効果を得るために0.50〜0.65の範囲が好ましい。
【0020】
本発明における破断強度は、4.0cN/dtex〜5.7cN/dtexであればスクリーン紗として必要十分な寸法安定性を得られることから好ましい。
【0021】
本発明のモノフィラメントは、衣類への印刷や看板への印刷などの捺染に使用する織り密度が100メッシュ以上355メッシュ以下、即ちタテ糸・ヨコ糸本数が共に1インチ当たり100本以上355本以下で構成する捺染スクリーン紗に用いられることが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
1.圧縮変位率(%)
中空モノフィラメントの側面を直径500μmの平面を有する円盤状加圧機で原点荷重1gf、最大荷重10gf、荷重付加速度0.5gf/秒の条件で圧縮させたときの糸直径変位を読み取り、次式(1)から求めたもので、同一の中空モノフィラメントから3本の試料を採取し、n3の測定を行って平均を求めたものである。
(1)圧縮変位率(%)=(L1/D)×100
ここで、上記式中におけるDは試験に供する前の原糸の直径(μm)、L1は最初に試料に与えた原点荷重1gf時点での変位と最大荷重10gfにおける変位との変位差の絶対値(μm)である。
2.曲硬さ係数Bhi
曲硬さ係数Bhiとは、次式(2)から求めた数値であって、式中Bhは中空糸の曲硬さ、具体的には間隔1cmに設置された2本のピン(各φ2mmの銅線)に結んで渡されたサンプルの中央をJ字型フック(φ1mmの銅線)で引き上げてサンプルを折り曲げるときの最大折り曲げ力(単位;mmN)である。また、式(2)中のφは中空モノフィラメントの直径(μm)である。
【0023】
【数2】

【0024】
3.繊度(dtex)
周長1mの検尺機で100m巻き取った重量を100倍に換算して算出した。
4.繊維直径(μm)
KEYENCE製VH8000を使用し、レンズ倍率1000倍でモニターした糸側面の2点間距離を10箇所測定した平均値で求めた。
5.中空率(%)
得られたモノフィラメントの断面写真を撮影し、糸部と空隙部の断面積比率で算出した。
6.極限粘度
オルソクロロフェノール中25℃で測定された値より算出した。
7.破断強度
オリエンテックス社製テンシロン引張試験機を用い、初期試料長20cm、引張速度2cm/分で測定した。
8.スカム抑制効果
スルーザー型製織機を使用し、タテ・ヨコ密度100メッシュ(100本/インチ)、回転数350rpmで織幅2.54m、長さ30mのスクリーン織物を15反連続で製織し、筬羽根部のスカム発生による汚れが進行して正常な製織を維持出来ず、停機せざるを得なくなった時点までの製織長を求め、200mを超えるものを○、150〜200mを△、150m未満を×とし、○および△を合格とした。
9.スクリーン紗の目ずれ度合い
印刷パターンの歪みを観察し、歪み発生時の印刷累計枚数にて、1500枚を超えるものを○、500〜1500枚を△、500枚未満を×とし、○および△を合格とした。
【0025】
実施例1
極限粘度0.630のポリエチレンテレフタレートを使用して、紡糸温度293℃にてスリット幅0.15mm、円周配置直径(PCD)0.60mm、単糸当たりのスリット開口部面積が0.295cmの吐出孔を単糸10本分配列した口金から10本の中空モノフィラメントを吐出した後、冷却風にて冷却固化させた後、一端巻き取ることなく表面温度97℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で約4.0倍で延伸熱セットして、中空モノフィラメント10本が1本のマルチフィラメント糸条として巻き取られた総繊度280dtex、重量10.0kgのパッケージを、山伝式分繊機で分繊し、繊度28.0dtex、重量1.0kgの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は15%、曲げ硬さ係数Bhiは6.5、繊維直 径が50μmで中空率は20%、破断強度は4.2cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は300mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1750枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは粉末状であり、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
【0026】
実施例2
使用する口金のスリット幅を0.10mm、円周配置直径(PCD)0.55mm、単糸当たりのスリット開口部面積を0.205cmとした以外は、実施例1と同様の方法で繊度27.9dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は10%、曲げ硬さ係数Bhiは7.8、繊維直径が49μmで中空率は10%、破断強度は4.5cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は252mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1620枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは粉末状であり、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
【0027】
実施例3
使用する口金のスリット幅を0.18mm、円周配置直径(PCD)0.65mm、単糸当たりのスリット開口部面積を0.355cmとした以外は、実施例1と同様の方法で繊度28.1dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は20%、曲げ硬さ係数Bhiは5.1、繊維直径が51μmで中空率は28%、破断強度は4.0cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は252mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1510枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは粉末状であり、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
【0028】
実施例4
紡糸する際の吐出量を増大した以外は、実施例1と同様の方法で繊度44.0dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は19%、曲げ硬さ係数Bhiは6.1、繊維直径は78μmで中空率は22%、破断強度は4.1cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は155mであり、該スクリーンを用いた印刷を行った結果では、印刷枚数521枚までパターンの歪みは発生せず、合格に値するスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。
【0029】
比較例1
使用する口金のスリット幅を0.08mm、円周配置直径(PCD)0.55mm、単糸当たりのスリット開口部面積を0.194cmとした以外は、実施例1と同様の方法で繊度27.8dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は7.5%、曲げ硬さ係数Bhiは10.2、繊維直径は48μmで中空率は8%、破断強度は4.3cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は205mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数475枚でパターンの歪みが発生し、十分な寸法安定性が得られなかった。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは粉末状であり、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
【0030】
比較例2
使用する口金のスリット幅を0.20mm、円周配置直径(PCD)0.70mm、単糸当たりのスリット開口部面積を0.402cmとした以外は、実施例1と同様の方法で繊度27.5dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は25%、曲げ硬さ係数Bhiは4.8、繊維直径が51μmで中空率は33%、破断強度は4.0cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は120mであり、ヒゲ状のスカムが多量に筬羽根に付着し、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点となるものであった。また、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、スキージの擦過による中空割れが発生し、印刷枚数952枚でパターンの歪みが発生した。
【0031】
比較例3
紡糸する際の吐出量を増大した以外は、実施例1と同様の方法で繊度46.0dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの圧縮変位率は18%、曲げ硬さ係数Bhiは6.2、繊維直径は82μmで中空率は21%、破断強度は4.1cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、糸の直径が大きく、筬の擦過によって筬汚れがひどく、停機が頻発した。また該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、メッシュが粗くなるだけでなく、スクリーンに削り節状の欠点が織り込まれ、印刷精度も低下した。
【0032】
比較例4
紡糸する際の吐出量を減少させた以外は、実施例1と同様の方法で繊度24.2dtexの中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィラメントの中空率は21%、直径は43μm、圧縮変位率は21%、曲げ硬さ係数Bhiは5.9、破断強度は4.2cN/dtexであった。該モノフィラメントを用いて、100メッシュのスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は240mであったが、該スクリーンを用いた印刷を行った結果では、印刷枚数482枚でインキ不通過による欠点が発生し、パターン歪みとなった。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは、粉末状で、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
衣類への印刷や看板への印刷などの捺染に使用する織り密度が100メッシュ以上355メッシュ以下、即ちタテ糸・ヨコ糸本数が共に1インチ当たり100本以上355本以下で構成する捺染スクリーン紗に用いられるポリエステルモノフィラメントとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】中空モノフィラメントを紡糸する際に使用する単糸あたりの口金吐出孔の概略図である。
【符号の説明】
【0036】
W :スリット幅(mm)
φ :円周配置直径(PCD)(mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維軸方向に中空で、圧縮変位率が10%以上25%未満、曲硬さ指数Bhiが5.0以上10.0未満、繊度27〜44dtex、繊維直径が48μm以上78μm以下で中空率が10%以上30%未満であることを特徴とする捺染スクリーン紗用中空モノフィラメント。
【請求項2】
極限粘度が0.50〜0.65のポリエチレンテレフタレートからなり、破断強度が4.0cN/dtex〜5.7cN/dtexであることを特徴とする請求項1記載の捺染スクリーン紗用中空モノフィラメント。
【請求項3】
請求項1、または2記載の中空モノフィラメントを使用した織り密度が100メッシュ以上355メッシュ以下の捺染スクリーン印刷用メッシュ織物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−31596(P2008−31596A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207419(P2006−207419)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】