説明

掃除シート、掃除器具、及びこれらの使用

【課題】種々のタイプの汚れを除去し、閉じ込めることが一層可能な構造体を有する掃除シートを提供する。
【解決手段】掃除シート10は、約30〜約120g/cmの坪量とした1箇所以上の高坪量領域12と、前記高坪量領域の坪量の約80%以下の坪量とした1箇所以上の低坪量領域14とを備える。多坪量を備えることに加えて、巨視的に三次元の掃除シートは、加熱されその後冷却されると収縮して、巨視的三次元構造を形成するスクリム材料を含むことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、ダスト、糸屑、毛髪、砂、食品屑及び草などの除去及び捕捉に特に適する掃除シートに関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
乾燥ダスト型掃除のために不織布シートを使用することは、当該技術分野で知られている。こうしたシートは、接着力、絡み力又はその他の力を介して繊維が結合されている繊維複合材を一般に利用している。例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。長持ちする拭き取りシートを形成するため、補強手段が、フィラメント又は網目構造の形態のステーブルファイバに組み合わされてきた。例えば、特許文献3、特許文献4及び特許文献5を参照。又、過酷な拭き取り処理に耐えることができる製品を提供するため、先行技術の不織布シートは、1種以上の上述の力を介して強く結合された繊維を用いてきた。こうした強い結合は長持ちする材料を得る一方で、微粒子ダストを収集し保持する材料の能力に悪い影響を及ぼし得る。この問題を処理する努力の中で、シズノ(Shizuno)らによる特許文献6は、絡み合い係数が小さいシートを形成するように二層が軽く水流交絡されている、高分子網目及び少なくとも1つの不織層から成る掃除シートを記載している。得られたシートは、複合繊維が軽く水流交絡されているために、強度、耐久性及び改善されたダスト収集性能をもたらすと言われている。より大きい範囲の繊維をダストとの接触のために利用できるので、絡み合い係数が小さい(即ち、500m以下)シートは、より優れた掃除性能をもたらすと言われている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,629,047号明細書
【特許文献2】米国特許第5,144,729号明細書
【特許文献3】米国特許第4,808,467号明細書
【特許文献4】米国特許第3,494,821号明細書
【特許文献5】米国特許第4,144,370号明細書
【特許文献6】米国特許第5,525,397号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献6に記載されているシートが、先行技術の不織掃除シートに関わる問題の幾つかを解決すると言われている一方で、これらのシートは、少なくともマクロ組織レベルで概ね均一な坪量であると思われ、又マクロ組織レベルで本質的に均一な厚さである。即ち、正常及び期待坪量並びに厚さの変化及び変動が、水流交絡中の流体差圧の結果として、ランダムに発生しうる。しかし、この構造体は、坪量に関して異なる別個の領域を有するとは見なされなかった。例えば、ミクロ組織レベルで繊維間の空間の坪量が測定されるとすれば、不織構造体における穴を測定しないかぎり、実際にはこうした領域の坪量がゼロよりも大きいとき、ゼロの見掛け坪量が生じるであろう。こうした変化及び変動は、水流交絡処理の正常且つ予期された結果である。技量を有する技術者は、特許文献6に記載されたものを含め、巨視的な感覚で本質的に均一な坪量及び厚さを有するものと、こうした変動を有する不織繊維を解釈してきた。均一な坪量を有するシートの結果は、多様なサイズ、形状などの汚れを収集し捕捉するために、その材料が特には適しないことである。
【0005】
従って、汚れの除去を改善する掃除シートを提供することが引き続き必要とされている。この点において、出願人らは、驚くべきことに、特にシートが不織構造体の形態をとっている時、掃除シート中に高坪量及び低坪量の領域を形成することにより、汚れの除去及び捕捉の改善向上が、特に種々の大きさ、形状及び堅さなどを有する汚れに遭遇するとき、達成されることを発見した。もう一つの点で、出願人は、巨視的な感覚において掃除シートの三次元性を高めることにより、汚れの除去性の向上が達成されることを発見した。
【0006】
従って、本発明の目的は、先行技術の問題を克服すると共に、特に種々のタイプの汚れを除去し、閉じ込めることが一層可能な構造体を提供することである。詳しくは、本発明の目的は、本質的に連続の高坪量領域と、特に前記連続の高坪量領域で取り囲まれた低坪量の個別領域とを有する不織構造体を提供することである。もう一つの目的は、明確な三次元性を有する不織構造体を提供することであり、これについては詳細に後述する。
【0007】
他の目的は、特に、シートを分離するためのミシン目を有するロール形態で、又はシートを有用な長さに分離するための手段のいずれかによってシートを包装し、更に、得ることができる改善されたプロセス及び/又は利点、特に消費者に対して直感的に明白ではない利点を消費者に知らせる包装中にシートを包装することにより、掃除のための改善されたプロセス及び消費者及び使用者のためのシートの好ましい利点を提供することである。他の目的は、特に異なった坪量及び/又は三次元構造を有する後述のシート用の、添加剤、特に基体への汚れの粘着を改善する添加剤を入れた掃除シートを提供することであり、こうした組合せは特別な性能の利点を有し、改善された利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本発明は、坪量によって区別される少なくとも2つの領域を有する掃除シートに関する。特に、掃除シートは、約30〜約120g/mの坪量を有する1箇所以上の高坪量領域と、前記高坪量領域の坪量の約80%以下の坪量を有する1箇所以上の低坪量領域とを備えている。1つの好ましい態様において、第1の領域は相対的に高い坪量のものであり、本質的に連続の網目構造からなる。第2の領域は、高坪量の第1の領域で取り囲まれた相対的に低い坪量の相互に孤立した複数の領域からなる。特に、好ましい掃除シートは、約30〜約120g/mの坪量を有する連続領域と、前記高坪量領域で取り囲まれた複数の不連続領域とからなり、その不連続領域は規則的な反復態様で配置され、連続領域の坪量の約80%より小さい坪量を有している。
【0009】
1つの実施形態において、掃除シートは、坪量に関して異なる複数の領域に加えて、実質的に巨視的な三次元性を有する。本明細書中で用いられる「巨視的三次元性」という用語は、三次元掃除シートを説明するために用いられるときには、観察者の目とシートの平面との間の垂直距離が約12インチであるとき、裸眼に三次元模様が容易に見えることを意味する。換言すると、本発明の三次元構造は非平面の掃除シートであり、そのシートの一表面又は両表面が多重面で存在し、これらの面間距離は、構造体が約12インチ離れて観察されるときに裸眼で観察できる。対比として、「平面」という用語は、観察者の目とウェブの面との間の垂直距離が約12インチ以上であるとき、裸眼では容易には見えない、1方側又は両側で微細規模の表面収差を有する掃除シートについて言う。換言すると、巨視的には、シートの一方又は両方の表面が多重面で存在して三次元的であるとは観察者は見ない。本発明の巨視的に三次元の構造は、加熱されその後冷却されると、収縮して巨視的三次元構造を形成するスクリム材料をオプションとして含む。三次元性を形成させるために収縮力を生ずるその他の材料は以下に説明される。巨視的三次元性は本明細書中では、シートの任意表面の隣接する山と谷との間の平均距離として本明細書中で定義される「平均高低差」、及び任意表面の隣接山間の平均距離である「平均ピーク間」距離の用語で記載される。巨視的三次元性は、掃除シートの外面の「表面形状指数」の用語で記載されるが、表面形状指数は、表面の平均高低差をその表面の平均ピーク間距離で除して得られる比である。1実施例において、シートの外面の両方は、記載された平均ピーク間距離及び表面地形特性を有する。平均ピーク間距離及び平均高低差を測定する方法は、後記の試験方法の部で詳細に説明される。
【0010】
本発明のシート及び類似のシート、特に本明細書中で記載されたような低レベルで添加剤を含有するシート、及び特に添加剤が少なくとも1つの連続エリアにわたり均一に付与されているシートは、改善された清掃処理において用いることができ、シートの消費者及び使用者のために望ましい利点をもたらすために用いられるが、これらの利点の一部は、後述する通り、消費者に対して直感的に明白ではないものである。従って、シートの分離を助けるミシン目を有するロール形態で、又はシートを有用な長さに分離するための手段でのいずれかでシートを包装する、及び/又は得ることができる改善されたプロセス及び/又は利点、特に消費者に対して直感的に明白ではない利点を消費者に知らせる包装中にシートを包装することが望ましい。少なくとも1つ以上のエリアで好ましくは実質的に均一に付与されている添加剤を有する掃除シートは、こうした添加剤の望ましい低いレベルを有するシートを含め、併用で特別の性能の利点をもたらし、こうした併用は、特にシートが本明細書中で記載された望ましい構造を有する時、改善された利点をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[発明の詳細な説明]
1.定義
本明細書中で用いられる「含む(comprising)」という用語は、本発明の実施において、種々の構成部分、種々の成分又は種々のステップが協働して用いられることができることを意味する。従って、「含む(comprising)」という用語は、より限定的用語「から本質的に構成される(consisting essentially of)」及び「から構成される(consisting of)」を包含する。
【0012】
本明細書中で用いられる「水交絡」という用語は、一般に、疎繊維材料(例えば、ポリエステル)の層を穴付きパターン形成部材上で支持し、十分大きい水圧差に曝して個々の繊維を機械的に絡ませて布地を形成する、材料を製造する方法を意味する。穴付きパターン形成部材は、例えば、織スクリーン、多孔金属板などから作成してもよい。
【0013】
本明細書中で用いられる「Z−寸法」という用語は、本発明の掃除シートの長さ及び幅に直交する寸法又はその成分を意味する。Z−寸法は、通常はシートの厚さに対応する。
【0014】
本明細書中で用いられる「X−Y寸法」という用語は、掃除シートの厚さに直交する面又はその成分に関係する。X寸法及びY寸法は、通常はシートの長さ及び幅又はそのシート成分の長さ及び幅にそれぞれ対応する。
【0015】
本明細書中で用いられる「層」という用語は、その主寸法がX−Yである、即ち、長さ及び幅に沿っている、掃除シートの部材即ち構成要素をいう。層という用語は材料の単一層即ち単一シートに必ずしも限定されないことが理解されるべきである。従って、層は必要な種類の材料の幾つかのシート又はウェブの積層体又は組合せからなることが可能である。従って、「層」という用語は、「複数の層)」及び「層をなした」という用語を包含する。
【0016】
本発明の目的において、掃除シートの「上」層は、被掃除表面から相対的に遠く離れている(即ち、器具の意味では、使用中に器具ハンドルに相対的に近い)層である。「下」層という用語は逆に、被掃除表面に相対的に近い(即ち、器具の意味では、使用中に器具ハンドルから相対的に遠くに離れている)掃除シートの層を意味する。
【0017】
本明細書中で用いられるすべての百分率、比率及び割合は、異なるように記載しない限り重量による。
【0018】
2.掃除シート
本発明は、種々のサイズ、形状、堅さなどのダスト、糸屑、毛髪、草、砂、食品屑及びその他の物質を種々の表面から除去するために有用な掃除シートに関する。好ましくは、掃除シートは、消費者パネル試験において改善された掃除性能を実証するであろう。
【0019】
接触及び保持を含む種々の手段によって、ダスト、糸屑及びその他の空中浮遊物質を表面及び空気から減少させる、或いは除去する掃除シートの能力の結果として、本シートは、同様の掃除目的のための他の製品及び実施技術に比べて、表面上及び大気中のこうした物質のレベルのより大幅な低下を生ずる。この能力は、本明細書中に記載された添加剤を含有するシートにおいて特に明らかである。前述した特許文献6のシートでさえ、本明細書中の好ましい構造体よりも低い程度とはいえ、この利点をもたらすことが可能であり、従って、特に、除ダストシートが通常は使用されてこなかった椅子張り材料、掛け布、敷物、衣類などのような従来用いなかった表面上で、特許文献6のものを含むシートの使用を奨励するために、包装上に、或いは包装に関連して、この情報を提供することが重要である。汚れ、特に微粒子、及び特にアレルギー反応を引き起こす微粒子の粘着を改善するために有効な量でシートの少なくとも1つの連続エリア上に均一に付与された低レベルの添加剤を使用すると、汚れの粘着に対する驚くべき制御レベルをもたらす。少なくとも添加剤がシート上に存在するエリアにおいて、低レベルは、こうした用途のために重要である。油が液として、又はスプレーとして利用される従来からの除塵作業と異なり、本シートを用いるとき、特にこうした従来用いなかった表面上で目に見える染みができる危険ははるかに少ないからである。好ましい構造体は又、より大きな粒子をより微小なサイズに破壊するのでなく、より大きな粒子を捕捉することによって利点をもたらす。
【0020】
アレルゲンが一般にダストの形態をとっているため、そして、呼吸で吸い込まれる小さい粒子の量レベルを低減させることは特に望ましいため、アレルギー症の消費者は、本明細書中のシート、特に好ましい構造体を使用することから特に恩恵を受ける。この利点のために、先行技術の手順のように汚れが目で明らかに見えるようになった時だけでなく、規則的なベースでシートを用いることが重要である。
【0021】
a.多重坪量
本発明は、坪量によって区別される少なくとも2つの領域を有する掃除シートに関する。特に、掃除シートは、約30〜約120g/m(好ましくは約40〜約100g/m、更に好ましくは約50〜約90g/m、なお更に好ましくは約60〜約80g/m)の坪量を有する1箇所以上の高坪量領域と、前記高坪量領域の坪量の約80%以下の坪量を有する1箇所以上の低坪量領域とを備えている。この点で好ましい掃除シートは、連続した高坪量領域と、その連続した高坪量領域によって取り囲まれ、規則的な反復パターンで配置され、前記連続領域の坪量の約80%以下の坪量を有する複数の不連続領域とを含む。
【0022】
好ましくは、掃除シートの低坪量領域は、高坪量領域の坪量の約60%以下、更に好ましくは約40%以下、なお更に好ましくは約20%以下の坪量を有する。掃除シートは、好ましくは約20〜約110g/m、更に好ましくは約40〜約100g/m、なお更に好ましくは約60〜約90g/mの総坪量を有する。低坪量領域に関して、巨視的穴が存在するようなゼロに、坪量がならないことが好ましい。ゼロであれば、汚れが掃除シートを通して完全に通り抜け、汚れが掃除シートに保持されないからである。換言すれば、シートの閉じ込めレベルは、こうした状況では最適化されない。
【0023】
連続の高坪量領域が分散した低坪量領域を取り囲む実施において、掃除シートの総表面積の少なくとも約5%が低坪量領域であることが好ましい。掃除シートの総表面積の更に好ましくは少なくとも約10%、なお更に好ましくは少なくとも約15%、なお更に好ましくは少なくとも約20%、なお更に好ましくは少なくとも約30%が低坪量領域である。分散した高坪量領域が連続の低坪量領域により取り囲まれる実施において、掃除シートの総表面積の少なくとも約5%が分散した高坪量領域であることが望ましい。掃除シートの総表面積の更に好ましくは少なくとも約10%、なお更に好ましくは少なくとも約15%、なお更に好ましくは少なくとも約20%、なお更に好ましくは少なくとも約30%が高坪量領域である。
【0024】
連続した高坪量領域が分散した低坪量領域を取り囲む好ましい実施において、分散した低坪量領域は、X方向及びY方向の一方又は両方に互い違いに配置していてもよく、或いは並んでいてもよい。好ましくは、高坪量領域の本質的に連続した網目配置は、分散した低坪量領域を取り囲むパターン化された網目配置を形成する。但し、付記したように、小さい遷移領域を入れることができる。
【0025】
高坪量領域及び低坪量領域の坪量の中間の坪量を有する小さい遷移領域が存在してもよいことは、当業者に対して明らかになろうが、その遷移領域は、それ単独で、どちらの隣接領域の坪量とは異なる坪量からなるとみなされるほど面積において大きくならないものとする。こうした遷移領域は、本発明による構造体を製造するに際して知られ、且つ固有の通常の製造改変の範囲内にある。こうした所定の領域がある坪量を持つと考えられるとき、かかる所定の領域(高坪量、低坪量を問わず)内で通常の予想された坪量の変化及び変動が起きうることも認められるであろう。例えば、繊維間の空間の坪量がミクロ組織的レベルで測定されるとすれば、実際にはこうした領域の坪量がゼロよりも大きいとき、ゼロの見掛け坪量が生じるであろう。繰り返すが、こうした変化及び変動は製造プロセスの通常の予想される結果である。
【0026】
図10は、連続した高坪量領域が分散した低坪量領域を取り囲む、本発明の好ましい不織シートの一部の写真である。指定番号を示していないが、連続の高坪量領域が光の網目配置として見え、低坪量領域がより暗い個別領域であることが分かる。図11は、図10に示したシートのこの態様を更に描写している、不織シート10の一部の平面図である。特に、図11において、不織シート10は、連続した高坪量領域12と分散した低坪量領域14とを有している。この代表的な図において、オプションのスクリム材料を図示していない。低坪量領域14が、本質的に同じサイズで単一の井戸状の形として描かれているが、これらの領域は、異なるサイズ及び形状の粒子の捕捉を促進するために種々のサイズのものであってもよい。低坪量領域14及び、従って連続した高坪量領域12の形状が、構造体全体を通して異なることも認められるであろう。
【0027】
高坪量領域12と低坪量領域14との間の少なくとも20%の坪量差(同じ構造体10内で)は大きいと考えられ、本開示の目的のために別の領域を画成する。高坪量領域12と低坪量領域14のそれぞれにおける坪量の定量的測定のために、従って、こうした領域12と領域14との間の坪量差の定量的測定のために、1994年1月11日にファン(Phan)らに発行された米国特許第5,277,761号に開示された柔らかいX線の画像分析などの定量的方法を利用することができ、この特許は引用により本明細書に組み入れられる。この方法は、高坪量及び低坪量の領域が、図2に示したものなどの連続/個別パターンで配列されていない場合にも適用できる。
【0028】
低坪量領域と高坪量領域の相対的面積は、画像分析技術を用いて定量的に測定できる。こうした測定を行うためのソフトウエアプラットホームは以下のものである。
IAソフトウエアは、オプティマス(Optimas Corp.)(ワシントン州ボーセル)から入手できる商用画像分析ソフトウエアパッケージ、オプティマス6.11のマクロ言語を用いて開発されている。
【0029】
入力画像:
プログラムへの入力は、光学顕微鏡によって得られたシートの画像である。これらの画像は、8ビット単色グレーにディジタル化される。画像のサイズは、512画素×486画素である。物理的測定において、画像は、およそ14.5mm×11.0mmのエリアである。
【0030】
画像分析:
以下に概要が示された同じ手順を用いて、全てのディジタル画像が分析される。
ステップ1:画像における関心領域(ROI)を選択する。
(これは、照明が画像全体を通して均一ではないために行われる。従って、両端まわりの境界は分析から除外される。すべての画像に対して同じ関心領域が選択される。)
ステップ2:ROI内で3×3平均値算出フィルタを走らせる。
(平均値算出フィルタはディジタル画像におけるノイズを減少させる。)
ステップ3:小孔エリアを分割するためにグレーレベル論理限界(T)を自動計算する。
(小孔は画像において暗く見える。オプティマスマクロ言語によって提供されるGetAutoThreshold機能を利用して、ROI内のダークエリアを分離する。論理限界を選択するためのGetAutoThresholdによって提供される多くのオプションの中で、「平均値に関する領域における最小値のためのサーチ」は、最良の結果を提供すると考えられる。GetAutoThreshold上のオプティマス6.11オンラインヘルプを参照すること。)
ステップ4:ゼロ(0)〜10.0であるべき論理限界を選択し、小孔であるべきこの限界内でグレー値を有するすべての画素を識別する。
(GetAutoThresholdで自動的に選択される論理限界は、10グレーレベルによって更に決定してもよい。)
ステップ5:小孔エリアのオブジェクトを作る。
ステップ6:小孔エリアごとに、小孔サイズ(平方ミリメートル)及び同等の平方ミリメートルエリアをもつ円の直径を抽出する。
【0031】
出力結果:
画像分析の出力は、エクセル表計算に書き込まれる。各画像当たりの出力は、論理限界、見つけられた小孔エリアの数、ROIの総エリアに対する総小孔エリアの百分率及び個々の小孔サイズ及び同等直径のリストを含む。
【0032】
出願人は、サイズ、高さ及び/又は坪量などの物理的寸法に関して選択され最適化された、相対的に低い坪量の個別領域の巨視的エリアを掃除シートに導入することにより、比較的大きいサイズ、異なる形状及び堅さの砂、草、食品屑及びその他の汚れなどの大きなサイズの物質の除去及び捕捉の改善をもたらすシートを製作することが可能であることを見出した。同時に、相対的に高い坪量の領域は、微細なダスト、糸屑及び粉末などのより小さいサイズの物質を除去し捕捉する。複数の低坪量領域を取り囲む連続した高坪量領域を備える好ましいシートに関して、坪量差は重要な側面であるが、不連続の低坪量領域の相対的なサイズも重要である。出願人は、砂及びより小さい食品屑などの大きな粒子ダストの収集及び捕捉に関して、実質的に多数の個々の低坪量領域の面積は、約0.02〜約0.5mm、更に好ましくは約0.08〜約0.4mm、なお更に好ましくは約0.1〜約0.3mmであることが好ましいことを見出した。かなりの数の個々の分散した低坪量領域の最も長い寸法は、約100〜約1200μmの範囲であることも好ましく、更に好ましくは約250〜約1000μmの範囲である。当業者は、個々の低坪量領域のサイズが、製品の望まれる最終用途に応じて、これより大きくても或いは小さくてもよいことを認めるであろうが、これらの範囲は典型的な家庭掃除のために好ましい。異なるサイズの不連続領域を個々の掃除シート中に入れることも望ましいことがある。これは、掃除シートを製造する際に不織材料を用いるとき、異なる穴サイズのパターン形成ベルトを用いることにより達成することができる。相対的に低い坪量を有することに加えて、掃除シートの不連続領域が連続した高坪量領域よりも相対的に小さい厚さ(即ち、Z方向の厚さ)を有することが好ましい。これは、構造体が係合した大きな粒子を閉じ込めるシートの能力を更に高める。理論により拘束されることを望まないが、出願人は、低坪量領域が、より大きな粒子を封じ込めるために繊維間に十分な間隔を形成するものと考えている。又、これらの領域におけるより小さい厚さは、より大きな粒子を構造体の表面からより離れるように保って、更に後で被掃除表面を拭き取る間に、閉じ込められた粒子が被掃除表面と接触する度合を低下させる。
【0033】
厚さの差に関して、不連続領域と連続領域との間の厚さの差は、少なくとも約25%であることが好ましい。更に好ましくは、厚さの差は、少なくとも約40%、なお更に好ましくは少なくとも約55%である。それぞれの領域の厚さを測定する手段は試験方法の部分に記載されている。
【0034】
本発明の掃除シートは、好ましくは、特にCD方向に伸びを示し、それは、単独製品として用いられるか、掃除器具と併用で用いられるかどうかを問わず順応性を改善する。この点で、これらの構造体は、好ましくは少なくとも約10%、更に好ましくは少なくとも約20%、更に好ましくは少なくとも約35%、なお更に好ましくは少なくとも約45%、なお更に好ましくは60%の500gにおけるCD伸びを有する。
【0035】
前述したように、水交絡プロセスは新しくない。しかし、本発明の好ましい掃除シートは、繊維の水交絡複合材を含む。この場合、水交絡プロセスで用いられるパターン形成部材(本明細書中で形成ベルトとも呼ばれる。)は、シート上に形成される構造体中に、連続領域と不連続領域との間で望ましい坪量差、及びこれらの領域間で望ましい厚さの差をもたらす構造を有する。特定のパターン形成部材の選択が重要ではないが、前記部材が掃除シートの連続領域と不連続領域との間で坪量の巨視的な差をもたらすために十分な開口(即ち、穴サイズ)を有することが重要である。この点で、パターン形成部材は、好ましくは、合計で約20〜約45%の開口エリアを設けるためにインチ当たり約15〜約60の開口を有する。特に好ましい実施において、形成ベルトは、MD及びCD方向に配列されたポリエステル繊維(フィラメント)から形成される。好ましいベルトは、以下の特性を有する。
【0036】
メッシュ:
MD 23フィラメント/インチ
CD 17フィラメント/インチ
フィラメント直径(インチ)−CD及びMD 0.24ポリエステル
空気透過率(ft/min) 685
【0037】
ここでMDは、交絡プロセスの機械方向を指し、CDは、交絡プロセスの横方向を指す。これらの特性を有するベルトは、ウィスコンシン州アップルトンのアルバニー(Albany International、Engineered Fabrics Division)からベルト23Cとして入手できる。
【0038】
本発明の掃除シートは、織りプロセス又は不織プロセスのいずれかを用いて、或いは形状、特にベルトの形状に製作される溶融材料を用いる成形操作によって、及び/又はフィルム上に行われる機械的作用/修正を含む成形操作によって、製造することができる。その構造体は、必須の三次元要件及び坪量要件を知られれば、たくさんの方法(例えば、スパンボンド、メルトブロー、樹脂結合、エアスルー結合など)によって製造される。しかしながら、好ましい構造体は不織の、特に当該技術分野で公知の水交絡によって形成されるものであるが、これは極めて好ましい開放構造をもたらすからである。従って、好ましい掃除シートは、本明細書中で記載された特性を有する不織構造体である。本発明の好ましい不織掃除シートを形成するために特に適する材料には、天然セルロース及び、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース(例えば、レイヨン(登録商標))などの合成繊維、及びそれらの配合物を含んでいる。木綿又はそれらの混合物などの天然繊維及び種々のセルロース源から派生されるものも有用である。本発明の水交絡繊維シートを製造するための好ましい出発材料は合成材料であり、それは、梳綿、スパンボンド、メルトブロー、エアレイ又はその他の構造体の形態をとってもよい。ポリエステル、特に梳綿ポリエステル繊維は特に好ましい。繊維の疎水性度又は親水性度は、除去しようとする汚れのタイプ、添加剤が存在する時、付与される添加剤のタイプ、生分解性、入手可能性、及びこうした配慮の組合せのいずれかの観点で、シートの望まれる目的に応じて最適化される。一般に、生分解性の良い材料は親水性であるが、より有効な材料は疎水性である傾向である。
【0039】
掃除シートは、単一繊維層から形成してもよいが、好ましくは、少なくとも2つの分離層の複合材である。好ましくは、シートは、水交絡プロセスを介して製造される不織繊維である。この点で、繊維の個別層の水交絡前に、交絡による層の結合前に層の各々を若干絡み合わせ、その後結合することが望ましい。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態において、最終シートの一体性を高めるために、例えば、熱手段又は接着剤などの化学的手段を経る積層化を通して、又は水交絡を介して、繊維材料と合わせて配列される高分子網(本明細書中で「スクリム」材料とも呼ぶ。)を入れることは好ましい。本明細書中で有用なスクリム材料は、米国特許第4,636,419号に詳細に記載されており、この特許は引用により本明細書中に組み入れられる。該スクリムは、押出しダイで直接成形してもよいし、或いは押出フィルムからフィブリル化、又はエンボス、それに引き続く延伸及びスプリットによって得ることができる。該スクリムは、ポリエチレン又はポリプロピレン、それらのコポリマーなどのポリオレフィン、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6及びナイロン66などから得ることができる。スクリム材料は、種々の商業的供給元から入手できる。本発明において有用な好ましいスクリム材料は、コンウェド・プラスチックス(Conwed Plastics)(ミネソタ州ミネアポリス)から入手できるポリプロピレンスクリムである。
【0041】
b.オプションの巨視的三次元性
上述した通り、1つの実施において、多重坪量掃除シートは又、巨視的に三次元である。これらのシートは、好ましくは、例えば紙タオルと比べて相対的に開放構造である。こうした1つの好ましい実施において、巨視的に三次元の掃除シートは、第1表面と第2表面とを有し、スクリム又はその他の収縮性材料を含んでいる。こうした1つの好ましい実施において、掃除シートは、少なくとも一方の外面の平均ピーク間距離が好ましくは少なくとも約1mmであり、前記外面の表面形状指数が好ましくは約0.01〜約5である第1外面と第2外面とを有し、収縮性材料(好ましくはスクリム)を含む。平均ピーク間距離及び平均高低差を測定する方法は、後述の試験方法の部分に詳しく記載されている。
【0042】
掃除シートの外形形状に関係なく、少なくとも一つの外面の平均ピーク間距離は、好ましくは少なくとも約1mm、更に好ましくは少なくとも約2mm、なお更に好ましくは少なくとも約3mmである。1つの実施において、平均ピーク間距離は、約1〜約20mm、特に約3〜約16mm、更に特に約4〜約12mmである。少なくとも一つの外面の表面形状指数は、好ましくは、約0.01〜約10、好ましくは約0.1〜約5、更に好ましくは約0.2〜約3、なお更に好ましくは約0.3〜約2である。少なくとも一つの外面は、好ましくは、少なくとも約0.5mm、更に好ましくは少なくとも約1mm、なお更に好ましくは少なくとも約1.5mmの平均高低差を有する。少なくとも一つの外面の平均高低差は、典型的には約0.5〜約6mm、更に典型的には約1〜約3mmである。
【0043】
図1乃至図9はすべて、巨視的三次元性を有する掃除シートの態様を図示している。上述され、且つ図10及び図11に示されたように、これらのシートも異なる坪量の領域を有すると理解されるが、これらのシートのこの態様は、図1乃至図9に関して示されておらず、且つ述べられてもいない。
【0044】
図1は、本発明による巨視的に三次元の多層掃除シート20を示している。掃除シート20は側縁22と端縁24とを有する。側縁22は、シート20の長さに概して平行に延びており、端縁24はシートの幅に概して平行に延びている。オプションとして、シート20は、シートの外縁まわりに延びる端シール26を有することが可能である。こうした端シール26は、加熱によって、接着剤の使用によって、又は加熱と接着剤の併用によって形成することができる。
【0045】
掃除シート20は、第1層100と第2層200とを備える。好ましくは、掃除シートは第3層300も有する。第2層200は、第1層100と第3層300との間に配置することができる。図1において、第1層100の一部が切り取られて示され、下にある第2層200と第3層300の部分を見せている。
【0046】
第1層100は、当該技術分野で知られているような織材料、不織材料、紙ウェブ、発泡体及び布団綿などから形成することができる。特に好ましい材料は、繊維又はフィラメントを「空気式堆積」法又は特定の「湿式堆積」法のようにランダムに、或いは特定の「湿式堆積」法及び「梳綿」法のように一定の配向度で配分させた不織ウェブである。第1層100の繊維又はフィラメントは、天然繊維又は天然由来繊維(例えば、木パルプ繊維、木綿リンター、レーヨン及びバガス繊維)又は合成繊維(例えば、ポリオレフィン、ポリアミド又はポリエステル)とすることができる。第3層300は第1層100と実質的に同じにでき、或いは代えて異なった材料及び/又は構造のものとすることができる。
【0047】
1つの実施において、第1層100及び第3層300は、それぞれ繊維の長さ900メートル当たり約4.0未満、好ましくは約3.0未満、更に好ましくは約2.0グラム未満のデニールを有する合成不織繊維の水交絡ウェブを含むことが可能である。適当な第1層100(適する第3層300も同様)は、繊維長さ9000メートル当たり約1.5グラム未満のデニールを有するポリエステル繊維の水交絡ウェブであり、該ウェブは平方メートル当たり約30グラムの坪量を有する。適当なウェブは、ノースカロライナ州ベンソンのピージーアイ・ノンウォーブン(PGI Nonwovens)から商品名PGI9936で入手できる。
【0048】
第2層200は、第1層100に(及び存在する場合は第3層300に)不連続状態で結合され、第2層の収縮によって第1層のギャザーを形成する。収縮機構には、第2層の熱収縮及び弾性特性が挙げられるが、それらに限定されない。上述したように、こうした1つの実施において、第2層200は、隣接フィラメントにより形成される開口を有するフィラメントの網様の配列を含む。或いは、第2層は、必要な収縮機構を提供するために、フィルムを貫通する開口をオプションとして有する高分子フィルムの形態をとり得る。こうしたフィルムは、表面の三次元性をもたらすギャザー形成機能を提供するために十分な弾性を有する必要がある。フィルムは、開口の代わりに又は開口に加えて、表面凹みを形成するためにエンボスすることができる。もう一つの変形において、収縮作用は、加熱及び再冷却すると収縮する繊維を入れることにより発生させることができる。このアプローチにおいて、繊維の幾つかは収縮しないが、それらは収縮性繊維に機械的に結合されるので、こうした繊維が十分なレベルで含まれている限り、シート全体は、収縮性繊維が収縮すると「ひだがつく」。
【0049】
図示した実施において、第2層は、第1の複数のフィラメント220と第2の複数のフィラメント240とを有するフィラメントの網様配列を含む。フィラメント220は互いに概して平行に延び、フィラメント240は互いに概して平行に延び、フィラメント220に概して直角である。フィラメントは、フィラメント交叉部分260間で延びている。交叉する隣接フィラメント220及び240は、第2層200中に開口250を形成する。フィラメント交叉部分及び開口250は、規則的に反復する概して格子状のパターンで配列される。
【0050】
第2層200は、高分子網(本明細書中で「スクリム材料」と呼ぶ)を含むことが可能である。適当なスクリム材料は、米国特許第4,636,419号に記載されており、この特許は引用により本明細書中に組み入れられる。該スクリムは、ポリエチレン又はポリプロピレン、それらのコポリマーなどのポリオレフィン、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6及びナイロン66など、及びそれらの混合物から得ることができる。
【0051】
スクリム材料は、好ましくは、熱手段又は接着剤などの化学的手段による積層化を通して、層100及び層300に結合される。好ましくは、スクリム材料のフィラメントは、加熱すると層100及び300に対して収縮し、第2層200の収縮は、層100及び300にギャザーを形成させ、層100及び300の外面に巨視的な三次元組織を与える。これについては詳細に後述する。
【0052】
第2層200として有用な特に適するスクリム材料は、ミネソタ州ミネアポリスのコンウェド・プラスチックス(Conwed Plastics)から、ポリプロピレン/EVA樹脂と両面接着剤と加熱などによる収縮前にインチ当たり3フィラメント×2フィラメントのフィラメントカウントとを備えるTHERMANET(登録商標)ブランドの強化網として入手できる熱活性化強化網である。加熱後に、第2層200は、インチ当たり約3.5〜4.5フィラメントの間×インチ当たり約2.5〜3.5フィラメントの間のフィラメントカウントを有することが可能である。
【0053】
「両面接着剤」とは、EVA接着剤(エチル−酢酸ビニル接着剤)がフィラメントの両側に存在することを意味する。EVAの活性化温度は、大凡約85℃(約185°F)である。層100及び層300のポリエステル繊維へ層200を積層する間、EVA接着剤は、層200のフィラメント層と層100及び層300の繊維との間の結合を形成するために活性化される。理論によって限定されないが、比較的短い時間(例えば、約30秒未満)にわたり比較的低い圧力(例えば、50psi未満、更に好ましくは25psi未満)で層200のフィラメントをプレスしても、層100及び層300の不織繊維に連続的には結合させないことが考えられる。加熱すると生ずるポリプロピレンフィラメントの収縮と合わせて、この連続でない結合は、層100及び層300の外面の組織の改善をもたらす。
【0054】
図1において、フィラメント220は、シート20の側縁22及び長さに概して平行に延びる。同様に、フィラメント240は、シート20の端縁24及び幅に概して平行に延びる。
【0055】
或いは、フィラメント220は、シート20の長さ及び側縁22に対して約20度〜約70度の間、更に好ましくは約30度〜約60度の間の角度で傾斜させることができる。フィラメント240は、シート20の幅及び端縁24に対して約20〜約70度の間、更に好ましくは約30度〜約60度の間の角度で傾斜させることができる。
【0056】
図2は、フィラメント220が側縁22に対して約45度(図2において角度A)の角度で傾斜し、フィラメント240が端縁24に対して約45度(図2において角度B)の角度で傾斜している本発明の実施を示している。こうした配列は、シート20の長さ及び幅に対するフィラメント220、240の角度付き配向が、端22、24に平行に層200の網構造が変形することを可能にするという利点をもたらす。こうした変形は、シートの長さ及び幅に平行な弾性様挙動をシートに与える。
【0057】
「弾性様挙動」とは、問題の要素が、ある方向に引張を受けて伸ばされて、要素の前記方向の元の力を受けない寸法の少なくとも120%である前記方向で測定した伸び寸法を持つことができると共に、伸び引張を解除すると、その要素が力を受けない寸法の10%以内に回復することを意味する。
【0058】
本発明の1実施の重要な態様は、第1層100が第2層200に非連続的に結合されていることである。特に、第1層100は、フィラメント交叉部分260で第2層200に非連続的に結合できる一方で、フィラメント交叉部分260の中間にあるフィラメント220の部分、フィラメント240の部分、又はフィラメント220、240の両方部分は、第1層100に結合されないままである。
【0059】
その結果として、第1層100の外面の表面組織は、フィラメントの網様配列における開口の配置によって制限されず、むしろ、開口250の規則的な反復配置から切り離される。同様に、第3層300は、第2層に非連続的に結合されて、第1層100の外面に類似の表面組織を形成する。
【0060】
第1層100の表面組織は、分かりやすくするために、図1及び2から除外している。その表面組織を図3〜図8に示した。
【0061】
図3は、図5の写真において示されている第1層100の表面組織を示す図式図である。図4は、第1層100及び第3層300の表面組織を示す断面図である。図5は、第1層100のマクロ組織的に三次元の表面組織を示す顕微鏡写真である。図6は、拡大された第1層100の三次元表面を示す顕微鏡写真である。図7は、第1層100の三次元表面の透視図を示す走査型電子顕微鏡写真である。図8は、シートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【0062】
図3〜図8を参照すると、第1層100の部分は、第1層100に対する第2層200の収縮によってギャザーを形成されている。このギャザーは、図3〜図8に示したような巨視的三次元表面を第1層100に形成させる。同様に、第3層300は、第2層200の収縮によってギャザーを形成されて、巨視的三次元表面を第3層300に形成させることができる。
【0063】
第1層100の三次元表面は、相対的に高い山105及び相対的に低い谷107を持っている。第3層は山305及び谷307を持っている。図4において、層100の山を参照番号105A、105Bで示し、層100の谷を参照番号107A、107Bで示している。同様に、層300の山を305A、305Bで示し、谷を307A、307Bで示している。山105は、第1層100の外面上に長い隆起部120を形成し、山305は、第3層300の外面上に長い隆起部320を形成する。
【0064】
第1層100の外面のマクロ的三次元性は、山と隣接谷の「平均高低差」の項で、及び隣接山間の「平均ピーク間距離」の項で表すことができる。山105A/谷107Aの組合せに対する高低差は、図4における距離Hである。山105A、105Bの隣接組合せ間のピーク間距離は、図4において距離Dとして示されている。シートに関する「平均高低差」及び「平均ピーク間距離」は、試験方法の部分において後述するように測定される。外面の「表面形状指数」は、表面の平均高低差を表面の平均ピーク間距離で除して得られる比である。
【0065】
理論によって限定されること無く、表面形状指数は、表面の谷に物質を受け取り、捕捉する際のマクロ的三次元表面の有効性の指標である。任意の平均ピーク間距離に対する平均高低差の相対的に高い値は、物質を捕捉し、保持することができる深くて狭い谷を示す。従って、表面形状指数の相対的に高い値は、拭き取り中の物質の効果的な捕捉を示すと考えられる。
【0066】
本発明の掃除シートは、第2層200のフィラメント220の部分、フィラメント240の部分、又はフィラメント220、240の両方部分が第1層100に結合されていないという特徴を有する。図4を参照すると、フィラメント交叉部分260A、260Bの中間に延びるフィラメント220の部分は、第1層100に結合されていない。第1層100に結合されていないフィラメント220の部分は、参照番号220Uで示されている。フィラメント220と第1層100との間の間隙は、第1層100及びフィラメント220の中間にある中空空間180を形成する。同様に、フィラメント交叉部分260の中間に延びるフィラメント220の部分は、第3層300に結合されておらず、第3層300及びフィラメント220に中間にある中空空間380を形成する。
【0067】
図7及び図8も、シート20のこの特徴を示している。図7において、長い隆起部120、320は、第1層100及び第3層300の両方の外面上にそれぞれ見える。図8において、フィラメント220は、2つのフィラメント交叉部分260間に延びて見られる。2つのフィラメント交叉部分260間に延びているフィラメントの部分は、第1層から離れており、そして第1層に結合されていない。
【0068】
隆起部120は、図3及び図5において平面図で示されている。隆起部120の少なくとも1部は、第2層200の少なくとも1つのフィラメントを横切って延びる。図4において、山105Aに対応する隆起部120は、少なくとも1つのフィラメント220を横切って延びる。
【0069】
隆起部が1つ以上のフィラメントを横切って延びるため、隆起部は、隣接フィラメント交叉部分260間の最大距離(層200の収縮及び層100と層300のギャザー形成後の隣接フィラメント交叉部分間距離)よりも大きい長さを有することがある。特に、隆起部120の長さは、図1における開口250の最大寸法よりも大きい(即ち、矩形開口250を横切って延びる対角線の長さよりも大きい)ことがある。隆起部120の長さは、図3において文字Lで示されている。長さLは、隆起部120の両端間の直線距離であり、隆起部120の両端は、隆起部120が谷107で終わる点である。
【0070】
Lの値は、隆起部120の一部について、少なくとも約1.0センチメートル、更に特に少なくとも約1.5センチメートルであることが可能である。1つの実施において、隆起部120の少なくとも一部は、少なくとも約2.0センチメートルの長さLを有する。長さLは、隣接フィラメント交叉部分間の距離の少なくとも2倍であることがある。
【0071】
例えば、隣接フィラメント交叉部分間の距離に対する隆起部120の長さを測定するために、掃除シート120は濡らされて、ライトテーブル又はその他の適当な背面照明源上に載せられる。こうした背面照明は、掃除シートの湿潤と組み合わされて、層100を通して層200のフィラメント交叉部分を可視化することができ、フィラメント交叉部分間の距離に対する隆起部120の長さをスケールで測定することができる。
【0072】
長い隆起部は、被掃除表面からの物質の除去を改善する柔らかくて変形自在の拭き取り要素となる。それに反して、第2層のフィラメントが第1層及び第3層に連続的に結合されるなら、第1層及び第3層のあらゆる組織特徴は、第2層200中の開口250に関連したエリアに限定されるであろう。
【0073】
長い隆起部の少なくとも一部は、他の隆起部の少なくとも一部とは異なる方向に延びる。図3を参照すると、隆起部120A、120B及び120Cは、それぞれ異なった方向に延びている。従って、種々の方向にシートを用いるとき、シートは物質を収集するのに有効である。
【0074】
図3及び図6は、隆起部120の少なくとも1部が種々の方向に延びる分岐を有することがあることも示している。図3において、隆起部120は、種々の方向に延びる3つの分岐123A、123B及び123Cを持って示されている。同様に、図6は、123A、123B及び123Cで示された少なくとも3つの分岐を有する隆起部120を示している。
【0075】
第1層100及び第3層300は、フィラメント交叉部分260で第2層200にしっかりと結合されている。図9は、フィラメント交叉部分260における第2層への層100及び層300両方の繊維の結合を示している。
【0076】
図4、図7及び図8を参照すると、第1層100の山105は、シート20の平面において第3層の山305から概してオフセットしている。例えば、図4において、第3層の山305Aは、山105Aの直ぐ下にはないが、代わりに、山105Aに組み合わさった谷107Aと概して整列している。従って、第1層の山105は、第3層の谷307と大凡整列し、第3層の山305は第1層の谷107に大体整列している。
【0077】
本発明は、多重層の掃除シートを製造する方法も包含する。第1の不織層、フィラメントの網様配列を含む第2層及び第3の不織層が準備される。第1層は、第2層と向かい合った状態で第2層の上表面に隣接して置かれる。第3層は、第2層と向かい合った状態で第2層の下表面に隣接して置かれる。
【0078】
その後、第1層及び第3層は、第2層の分散して間隔をあけた部分に不連続的に結合されて、フィラメント交叉部分間に延びるフィラメントの部分が第1層に結合されないままとなり、フィラメント交叉部分間に延びるフィラメントの部分が第3層に結合されないままとなる。第2層は、第1層及び第3層に対して収縮されて、第1層のギャザー付き巨視的三次元外面、及び第3層のギャザー付き巨視的三次元外面を形成する。結合及び収縮のステップは同時に又は逐次に行うことが可能である。
【0079】
第1層及び第3層への第2層の不連続的な結合のステップは、第1層及び第3層への第2層への相対的に連続の結合を避けるために比較的低い圧力で比較的短時間にわたり第1層、第2層及び第3層を加熱プレスするステップを含むことがある。
【0080】
1つの実施において、3つの層は、カンザス州ピッツバーグのエイチアイエックス(HIX Corp.)が製造しているBASIX B400ハンドプレスを用いて接合することができる。3つの層は、約330°Fの温度で約13秒にわたりハンドプレスでプレスすることにより接合される。ハンドプレスは、クリアランス、及び従ってプレスで発生される圧力を変えるための調節機能を有する。調節は、層100及び層300中に望みの組織を形成するために望み通りに変えることができる。
【0081】
c.その他の態様
本発明の掃除シートの何れの掃除性能は、シートへの汚れの粘着を高める界面活性剤又は滑剤を含むあらゆる多様な添加剤を用いてシートの繊維の処理、特に表面処理によって更に高めることができる。こうした添加剤は、利用されるときは、汚れを粘着させるシートの能力を高めるのに十分なレベルで掃除シートに添加される。こうした添加剤は、重量%で、好ましくは少なくとも約0.01%、更に好ましくは少なくとも約0.1%、更に好ましくは少なくとも約0.5%、更に好ましくは少なくとも約1%、なお更に好ましくは少なくとも約3%、なお更に好ましくは少なくとも約4%の含浸レベルで掃除シートに利用される。典型的には、含浸レベルは、約0.1%〜約25%、更に好ましくは約0.5%〜約20%、更に好ましくは約1%〜約15%、なお更に好ましくは約3%〜約10%、なお更に好ましくは約4%〜約8%、最も好ましくは約4%〜約6重量%である。好ましい添加剤は、蝋又は油(例えば、鉱油、石油ゼリーなど)と蝋の混合物である。適当な蝋は、種々の種類の炭化水素、特定の脂肪酸(例えば、飽和トリグリセリド)のエステル及び脂肪族アルコールを含んでいる。それらは、天然源(例えば、動物、植物又は鉱物)から誘導でき、或いは合成することができる。これらの種々の蝋の混合物も用いることができる。本発明において用いることができる幾つかの代表的な動物蝋及び植物蝋は、密蝋、カルナウバ蝋、鯨蝋、ラノリン、セラック蝋及びキャンデリアなどを含んでいる。本発明において用いることができる鉱物源からの代表的な蝋は、パラフィン蝋、石油蝋及び微結晶蝋などの石油ベース蝋、白色セレシン蝋、黄色セレシン蝋及び白色オゾケライト蝋などの化石蝋又は土蝋を含んでいる。本発明において用いることができる代表的な合成蝋は、ポリエチレン蝋などのエチレンポリマー、「ハロワックス」などの塩素化ナフタレン及びフィッシャー(Fischer−Tropsh Synthesis)が製造している炭化水素タイプ蝋などを含んでいる。
【0082】
鉱物油と蝋との混合物を利用するとき、成分は、好ましくは約1:99〜約7:3、更に好ましくは約1:99〜約1:1、なお更に好ましくは約1:99〜約3:7の油:蝋重量比で混合される。特に好ましい実施において、油:蝋重量比は約1:1であり、添加剤は、約5重量%の含浸レベルで利用される。好ましい混合物は、鉱油とパラフィン蝋との1:1混合物である。
【0083】
特に改善された掃除性能は、多坪量、巨視的三次元性及び添加剤を単一シート中に備えるときに達成される。前述したように、添加剤が有効なレベルで、且つ好ましくはシートの少なくとも1つの独立した連続エリアに対して実質的に均一に利用されるとき、これらの低いレベルは特に望ましい。特にシートへの汚れの粘着性を改善する添加剤の好ましいより低いレベルの使用は、驚くべき良好な掃除、空気におけるダスト抑制、好ましい消費者の印象、特に触感印象を与え、さらに、添加剤は、芳香剤、有害生物防除成分、殺菌剤を含む抗菌剤、及びその他の有益な成分の宿主、特に添加剤に可溶又は分散可能であるものを配合及び付与する手段を提供することができる。これらの利点は、例示のみのために示した。添加剤の低レベルは、添加剤が基体、包装及び/又は被処理表面に悪い影響を及ぼしうる場合特に望ましい。
【0084】
これらの添加剤のための利用手段は、好ましくは、シート構造体の内部にあるシート上の点で添加剤の少なくとも実質的な量を利用する。処理しようとする皮膚及び/又は表面、及び/又は包装に接触している添加剤の量が制限されて、制限されなければ他の表面の機能を損なうか、又は機能を妨害する材料が、限定的な悪影響のみを引き起こしうるか、全く悪影響を引き起こしえないことは三次元構造及び/又は多坪量の特別な利点である。構造体内部に添加剤が存在することは、構造体内部に粘着した汚れが後の拭き取り処置によって除去されそうにない点で、極めて有益である。
【0085】
本発明は、シートの使用が汚れ(例えば、ダスト、糸屑など)除去及び/又は閉じ込めを含む掃除の利点をもたらすという、言葉及び/又は絵によって消費者に知らせる情報と関連している、掃除シートを入れる包装も含む。この情報は他の掃除製品に対して優れているという主張を含むことができる。非常に好ましい変形において、包装は、掃除シートの使用が大気中のダスト及び他の空中浮遊物質のレベルの低下をもたらすという、消費者に知らせる情報を保持する。シートの完全な利点を確実に理解してもらうために、布地、ペットなどを含む従来用いなかった表面上でシートを使用する可能性を消費者に知らせることが極めて重要である。従って、組成物の使用が本明細書中で論じたように空気中の微粒子汚れなどの改善された掃除、減少などの利点をもたらすという、言葉及び/又は絵によって消費者に知らせる情報と関連している包装の使用は重要である。情報には、消費者に知らせるための、例えば、有用なメディアのすべてにおける広告、及び包装又はシート自体上の文章及びアイコンを含めることができる。
【0086】
本明細書における好ましい構造体を含んでいない先行技術の製品は、より低い程度に利点をもたらすために用いることができ、又、これらの利点が過去に認められなかった範囲で、それらの利点を提供される情報に含めるべきである。そうしなければ、消費者は、従来の製品又は実施技術に対する改善された性能の十分な価値を知らないであろう。
【0087】
1つの特に好ましい実施において、掃除シートは、キャリアベルト上に梳綿ポリエステルの第1層(例えば、19g/m坪量)を導入し、第1層の上に網状のスクリム材料を置き、網状のスクリム材料の上に梳綿ポリエステル繊維ウェブの第2のランダムな層(28g/m坪量)を置くことにより作成される。(第1及び第2層の一方又は両方が、梳綿ポリエステルの多層から形成してもよいことは認識されるべきである)。3層の複合材は、その後、MD及びCD方向に走る素線又はフィラメントからなるメッシュ形成ベルト上で水交絡に供される。これは、繊維の2つの梳綿層の水交絡、及びスクリム材料との繊維層のそれぞれとの水交絡をもたらす。絡み合った複合材は、その後、乾燥プロセス中に熱に曝され、それは、CD方向におけるシートの約20%の収縮をもたらす。この収縮は、23.75g/mの推定坪量を有する底層及び35g/mの推定坪量を有する最上層をもたらす。最終的な裁断後に、シートは、シートの乾燥重量に対して、鉱油とパラフィン蝋との混合物(1:1w/w比)5%を両方の表面上に被覆される。シートの総坪量(スクリム材料を含む)は、コーティング後に約64〜68g/mである。
【0088】
3.掃除器具
もう一つの点で、本発明は、上述の掃除シートを含む掃除器具に関する。1つの態様において、掃除器具は、
a.ハンドルと、
b.約30〜約120g/mの坪量を有する1箇所以上の高坪量領域と、前記高坪量領域の坪量の約80%以下の坪量を有する1箇所以上の低坪量領域とを備える着脱可能なシートと
を含む。
【0089】
上述のように、本発明のこの態様において、掃除器具のシートが、坪量に関して異なる分散した領域を取り囲む連続の領域を有することが好ましい。連続の領域が分散した領域よりも相対的に高い坪量を有することが特に好ましい。器具のシート態様も、巨視的な三次元性を示すことができる。
【0090】
本発明の器具及び、別個に掃除シートは、木材、ビニル、リノリウム、無ワックスフロア、セラミック、FORMICA(登録商標)及び磁器などを含むすべての硬い表面基体に適合するように設計される。
【0091】
掃除器具のハンドルは、人間工学的に実際的な掃除をもたらす長い耐久性のいずれかの材料を含む。ハンドルの長さは、器具の最終使用者によって決定される。
【0092】
ハンドルは、好ましくは、掃除シートを取り外し自在に取り付けることができる支持ヘッドを一端に含む。使用しやすくするために、支持ヘッドは、公知の継手組立体を用いてハンドルに枢動可能に装着することができる。掃除シートが清掃処理中に装着されたままで残るかぎり、支持ヘッドへの掃除シートの装着のための適するいかなる手段も利用することができる。適当な装着手段の例には、クランプ、フックとループ(例えば、VELCRO(登録商標))などが挙げられる。好ましい実施において、支持ヘッドは、過酷な掃除中にヘッドにシートを機械的に装着されたままにするためにシートの上表面を掴む手段を含む。しかし、掴み手段は、便利な取り外し及び使い捨てのためにシートを容易に解放する。
【0093】
本発明の掃除器具において有用な掃除シートは、上述した通りである。
【0094】
4.試験方法
A.厚さに関する方法
サンプルの構造的変化を防止するために、サンプルを凍結破砕して、低坪量領域及び高坪量領域の断面画像を形成することが必要である。サンプルの断面顕微鏡画像を用いて、領域間の相対的な厚さの差を測定することができる。
【0095】
B.平均高低差
平均高低差は、Z−寸法測定器具(例えば、ボエックラー(Boeckeler Instruments)が販売しているMicrocodeII)を装備した光学顕微鏡(例えば、ドイツ国のツァィス社のツァィス・アクシオプラン)を用いて測定される。この手順には、シートの山又は谷領域を配置し、顕微鏡の焦点を合わせ、Z−寸法測定器具をゼロの目盛りに合わせることが含まれる。その後、顕微鏡を隣接谷又は山領域にそれぞれ移動させ、顕微鏡の焦点を当て直す。計器のディスプレイは、この山/谷対又は谷/山対間の高低差を示す。シート上のランダム位置で、この測定を少なくとも10回繰り返す。平均高低差は、これらの測定の平均である。
【0096】
C.平均ピーク間距離
平均ピーク間距離を測定するために、単純な光学顕微鏡を用いることができる。使用倍率は、2つの隣接ピーク間の距離を容易に測定するために十分であるべきである。シート上のランダムな位置で、この測定を少なくとも10回繰り返す。平均ピーク間距離は、これらの測定の平均である。
【0097】
D.500gにおけるCD伸び
CD伸びは、試験サンプルが500gの荷重下で示す百分率伸びの指標である。CD伸びは、100 Nのロードセルを備えるSintech Renew Instron 7310(Testwork ソフトウエアパッケージを含む)を用いて測定することができる。この計測器を用いて、荷重対%歪みカーブを作成する。試験パラメータは次の通りである。
サンプルの幅=30mm
ゲージ長さ=100mm
クロスヘッド速度=300mm/分
【0098】
作成されたカーブから、ソフトウエアは、500gの荷重における%歪み(%伸び)を得る。500gにおけるCD伸びとして、これを報告する。
【実施例】
【0099】
5.代表的な実施例
以下は、本発明の掃除シートを説明する例である。適宜、シートの機械的特性を表1に要約する。適宜、高められた三次元性を表2に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
[実施例1]
この実施例は、本発明の掃除シートを製造するための梳綿ウェブとスクリム(即ち、ポリプロピレンフィラメントの網)の組合せを示している。間にスクリムを備える2つの梳綿ポリエステル繊維ウェブを準備する。2つの梳綿ウェブ及びスクリムの組合せを、その後、穴付き形成ベルト(ウィスコンシン州アップルトンのアルバニー(Albany International,Engineered Fabrics Division)から入手できる23Cスクエアウィーブ)の上に置き、水交絡に供し、乾燥する。水交絡プロセスは、繊維を引き離して、2つの異なる坪量領域を形成させながら、繊維を絡み合わさせ、スクリムとも絡み合わさせる。乾燥プロセス中に、水による絡み合いシートは、ポリエステル不織繊維に対するポリプロピレンスクリムの収縮の結果として「キルトにされる」(即ち、より大きな三次元性が達成される)。この材料を表1及び2において実施例1と呼ぶ。
【0103】
好ましいオプションのステップとして、鉱油とパラフィン蝋との5重量%1:1混合物で不織シートを表面被覆する。処理されたこのシートを表1において実施例1Aと呼ぶ。
【0104】
もう一つの好ましい任意のステップとして、絡み合い不織シートを、例えば、180℃で10秒にわたりプレスにおける後続の加熱に供してもよい(この加熱は、表面処理を加える前、又は後に行うことができるが、好ましくは、添加剤の塗布前に実施する)。これは、実施例3に記載されたシートの三次元性に似た、さらにずっと高まった三次元性をもたらす。このシートを表1及び表2において実施例1Bと呼ぶ。
【0105】
[実施例2]
この実施例は、2つの繊維層間にスクリム材料を配置していない、梳綿繊維(ポリエステル)の2層の水交絡を示している。布地ベルト及び水交絡と乾燥の両条件は、実施例1と同様である。この材料を表1において実施例2と呼ぶ。
【0106】
[実施例3]
本発明による掃除シートは、第1層100、第2層200及び第3層300を有する。第1層100及び第3層300はそれぞれ平方メートル当たり約30グラムの坪量を有するポリエステル繊維の水交絡ウェブを含む。第2層は、ポリプロピレン/EVA樹脂と両面接着剤と第2層の収縮の前にインチ当たり3フィラメント×インチ当たり2フィラメントのフィラメントカウントを有する上述のTHERMANET(登録商標)ブランド強化網を含む。BASIX B400ハンドプレスで第1層100と第3層300との間に、第2層200を配置する。約330°Fの設定温度で約13秒にわたりハンドプレスでプレスすることにより、3つの層を接合する。
【0107】
[比較例A]
比較例Aは、均一な坪量を有する不織シートを示している。微細開口(例えば、100メッシュ)を有する形成ベルトを用いて、このシートを製造することができる。梳綿ウェブとスクリムの組合せを水交絡に供し、乾燥した。この布地ベルトは、ベルトの極めて微細な開口のためにシートに極めて均一な坪量をもたらす。鉱油とパラフィン蝋との5重量%1:1混合物で不織シートを表面被覆する(例えば、印刷、噴霧などにより)。
【0108】
[比較例B]
比較例Bは、均一な坪量を有し、一般に平面である不織シートを示している。このシートは、日本、東京の花王株式会社からクイックル(登録商標)として市販されている。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の掃除シートの3層の実施例を図式的に示す平面図であり、この図において、第2層はシートの側縁と端縁に対し平行に走るフィラメントを有するスクリム材料を含み、第1層の一部は切り取られて示され、第1層の表面特徴は明瞭化のために省略されている。
【図2】第2層のフィラメントが、掃除シートの側縁及び端縁に対して約45度の角度で傾斜されている本発明の代替実施例を図示している、図1に示された種類の図である。
【図3】第1層の巨視的に三次元外表面の組織、及び特に第1層の外面上の広範な隆起部を示している、図5の写真を図式的に示す平面図である。
【図4】第2層のフィラメントの1つに平行なシートの断面図であり、フィラメントの交差部分の中間に延びる、第1層に結合されていないフィラメントの部分、及びフィラメント交差部分の中間に延びる、第3層に結合されていないフィラメントの部分を示している。
【図5】図5は、第1層の巨視的三次元表面の組織、及び特に表面の長い隆起部を示す写真である。図5における目盛りはインチである。
【図6】異なる方向に延びた分枝を有する長い隆起部を示している、図5に示したタイプの拡大写真である。
【図7】第1層の巨視的三次元表面の透視図を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】フィラメント交差部分の中間に延びる、第1層に結合されていないフィラメントの部分を示す、掃除シートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】フィラメント交差部分における第2層への第1層及び第3層の結合を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】連続の高坪量領域及び複数の孤立した低坪量領域を示している、本発明の掃除シートの写真(12倍)である。
【図11】シートの坪量差の説明を容易にするための、図10に示したシートの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜120g/mの坪量を有する連続した高坪量領域と、
前記高坪量領域で取り囲まれた、複数の分散した不連続な低坪量領域と
を備える掃除シートであって、
前記低坪量領域は、規則的な反復パターンで配置されると共に、前記高坪量領域の坪量の80%以下の坪量を有し、
前記掃除シートはさらに、第1の外面及び第2の外面を有し、
該第1の外面及び該第2の外面の少なくとも一方は、少なくとも1mmの平均ピーク間距離と、0.01〜10の表面形状指数とを有する掃除シート。
【請求項2】
前記高坪量領域は、40〜100g/m、好ましくは50〜90g/mの坪量を有し、
前記低坪量領域の坪量は、前記高坪量領域の坪量の60%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の掃除シート。
【請求項3】
総表面積の少なくとも5%は前記低坪量領域からなり、
好ましくは、総表面積の少なくとも10%は前記低坪量領域からなり、
好ましくは、総表面積の少なくとも20%は前記低坪量領域からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の掃除シート。
【請求項4】
前記低坪量領域は、前記高坪量領域の厚さよりも薄い厚さを有し、
好ましくは、前記低坪量領域は、前記高坪量領域の厚さの75%以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の掃除シート。
【請求項5】
繊維材料と共に水による絡み合いに供されたスクリム材料を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の掃除シート。
【請求項6】
少なくとも0.01重量%の含浸レベルで、好ましくは少なくとも3重量%の含浸レベルで、添加剤により処理されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の掃除シート。
【請求項7】
前記添加剤は、油、蝋及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項6に記載の掃除シート。
【請求項8】
構造は巨視的に三次元であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の掃除シート。
【請求項9】
前記外面の少なくとも一方の平均高低差は、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mmであることを特徴とする、請求項1に記載の掃除シート。
【請求項10】
前記外面の少なくとも一方の表面形状指数は、0.1〜5、好ましくは0.2〜3であることを特徴とする、請求項1又は9に記載の掃除シート。
【請求項11】
ハンドルと、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の着脱可能な掃除シートと
を含むことを特徴とする掃除器具。
【請求項12】
使用すると、従来のダスト除去法に対して、空中浮遊微粒子物質及び/または表面上の微粒子汚れのレベルを低下させるという取扱説明書と組み合わされている、請求項11に記載の掃除器具。
【請求項13】
前記空中浮遊微粒子物質及び/または前記微粒子汚れはアレルゲンを有することを特徴とする、請求項12に記載の掃除器具。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の掃除シートを複数備える製造品であって、
前記掃除シートは、該掃除シートを使用すると、空中浮遊微粒子物質及び/または表面上の微粒子汚れを減少させるという取扱説明書と関連している包装中にある、製造品。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の掃除シートが表面に接触することを含む、表面を掃除する方法。
【請求項16】
アレルゲンのレベルを低下するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の掃除シートの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−307392(P2007−307392A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161618(P2007−161618)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【分割の表示】特願平10−550607の分割
【原出願日】平成10年5月20日(1998.5.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】