説明

排ガス処理装置

【課題】軸動力を上げずに有害なガス成分を効率よく除去できる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】ケーシング11内に設けられた主板20の径方向外端部20cに、当該主板20の前面20bに生じた液滴を微細化する微細化部24を設けることで液滴径を小さくし、より多くの有毒なガス成分を洗浄液に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の製造工程で発生する排ガスから有害な成分を除去する排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造時の各工程において、酸性ガスやアルカリ性ガスの他、二酸化珪素等の粉塵を含む排ガスが排出されるが、それらの排ガスは毒性を有するため、大気に放出する前に無害化処理を行う必要がある。無害化処理を行う装置として、粉塵に対して目詰まりし難い多孔板塔、スプレー塔等の湿式洗浄塔が挙げられる。しかし、このような湿式洗浄塔を使用して排ガスを処理すると、羽根車や塔体に粉塵が付着することから、定期的な洗浄が必要とされメンテナンス費が嵩むという問題があった。
【0003】
その問題を解決する排ガス処理装置として、排ガスを径方向外側へ向けて送り出す羽根車と、この羽根車が内部に設けられるケーシングと、羽根車を回転させる駆動部と、排ガスがケーシングに導かれる経路に配置され羽根車に向けて洗浄液を噴霧する噴射ノズルとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この排ガス処理装置では、羽根車へ向けて噴霧された洗浄液は当該羽根車上で液滴となり、この液滴と排ガスとが接触することで当該排ガスに含まれる粉塵や有毒なガス成分が除去されるようになっている。
【特許文献1】特開昭62−210029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の排ガス処理装置において、噴霧された霧状の洗浄液は、羽根車上に付着し、更に遠心力により径方向外端部に伝わって液滴となる。排ガス中の粉塵に対しては、当該液滴が羽根車を離れてからケーシングにぶつかるまで間に捕獲することができる。しかし、排ガス中の有毒なガス成分に関しては、当該ガス成分はケーシング内の略全体に行き渡っているのに対して、洗浄液は羽根車上に偏って存在しているため、一部の当該ガス成分しか洗浄液に接触させることができず、上記排ガス処理装置のみでは当該ガス成分を効率良く除去することができないという問題がある。
【0006】
そこで、多くの当該ガス成分を洗浄液に接触させるため、羽根車の回転速度を大きくして羽根車上の液滴径を小さくすることが考えられる。しかし、このようにすると羽根車を回転させるための軸動力が、必要とされる静圧に対して過大となってしまう。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、軸動力を上げずに有毒なガス成分を効率よく除去できる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち本発明の排ガス処理装置は、排ガスを径方向外側へ向けて送り出す羽根車と、この羽根車が内部に設けられ排ガスの吸込口と吐出口とを有するケーシングと、前記羽根車を回転させる駆動部と、排ガスが前記ケーシングに導かれる経路に配置されて前記羽根車に向けて洗浄液を噴霧することで当該羽根車上に液滴を生じさせる噴射ノズルと、を備えた排ガス処理装置において、前記羽根車の径方向外端部に、当該羽根車に生じた前記液滴を微細化する微細化部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の排ガス処理装置によれば、羽根車に生じた液滴が微細化部により微細化させられるので、羽根車の回転速度を上げずに液滴径を小さくすることができる。これにより、多くの有毒なガス成分が洗浄液に接触させられ、軸動力を上げずに当該ガス成分を効率よく除去することができる。
【0011】
また、前記微細化部を、前記羽根車の径方向外縁から径方向外方へ突出する多数の針状部を有するものとして、この針状部により羽根車に生じた液滴を細分化すればよい。
【0012】
また、前記多数の針状部を、前記羽根車の回転方向に向かって傾斜するように列設することで、液滴径をより小さくすることができる。
【0013】
また、前記微細化部は繊維強化プラスチックよりなり、前記多数の針状部は当該繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維により構成すれば、当該微細化部を容易に製作することができる。
【0014】
また、前記羽根車を、円盤状の主板と、この主板に対向配置された環状の側板とを備えたものとした場合、前記液滴微細化部は、当該主板の径方向外端部に設けられていればよい。
【0015】
更に、前記主板と前記側板との間に、前記噴射ノズルから噴霧された前記洗浄液の一部を液滴化させる環状の分散板が設けられていることが好ましい。
【0016】
この場合、噴霧された洗浄液を分散板でも液滴化させることができるので、より多くの洗浄液を液滴化させることができる。また、一般に排ガス処理装置を大型化した場合、主板と側板との間の幅が大きくなり、多量の排ガスが当該部分を通るため、小型の排ガス処理装置に比較して、主板上の液滴と接触できない有毒なガス成分の割合が高くなってしまう。本発明の分散板を設けると、主板と側板との間でも洗浄液を液滴化させることができるので、分散板を設けた分だけ液滴と接触できない有毒なガス成分の割合を下げることができる。従って、上記分散板を設けることで排ガス処理装置を大型化した場合でも、有毒なガス成分を効率良く除去することができる。
【0017】
更に、前記主板に、前記噴射ノズルから噴霧され当該主板に到達した洗浄液の一部を前記ケーシング内の空間に拡散させる拡散部が設けられていることが好ましい。
【0018】
この場合、拡散部により主板に到達した洗浄液の一部がケーシング内の空間に拡散させられるので、より多くの有毒なガス成分を噴射された霧状の洗浄液と接触させることができる。
【0019】
また、前記拡散部は、前記主板の回転軸心を中心として放射状に延びる複数の拡散翼で構成されているものとすればよい。
【発明の効果】
【0020】
上記の通り、本発明によれば、微細化部により洗浄液の液滴が微細化され、多くの有毒なガス成分が洗浄液に接触させられるので、軸動力を上げずに当該ガス成分を効率よく除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る排ガス処理装置1が使用された排ガスの処理システム2の要部を表す処理フロー図である。この処理システム2には、前処理された排ガス3に含まれる有毒なガス成分(以下、単にガス成分という)及び粉塵を除去する排ガス処理装置1と、この排ガス処理装置1から排出された処理ガス4が送られるミストキャッチャー塔5と、このミストキャッチャー塔5で分離された水分を溜めておく循環タンク6と、この循環タンク6に溜められた水分を排ガス処理装置1へ送るための循環ポンプ7とが設置されている。
【0022】
排ガス処理装置1に送られてきた排ガス3は、当該排ガス処理装置1で水分を多量に含む処理ガス4となり、この処理ガス4をミストキャッチャー塔5に通すことで当該処理ガス4中の水分がガス成分及び粉塵と共に分離され、浄化ガス8となって大気に放出される。また、ミストキャッチャー塔5で分離された水分は、循環タンク6に溜められ、この循環タンク6に溜められた水分は、循環ポンプ7によって、再び排ガス処理装置1に送られる。なお、循環タンク6には、真水を補給する給水部30や、オーバーフローした水分を排水する排水部31、オーバーフローセンサ32等が設けられており、各箇所の配管には、バルブや圧力計等が設けられている。
【0023】
図2(a)は、排ガス処理装置1の正面図であり、図2(b)は、排ガス処理装置1の一部を切り欠いた側面図である。排ガス処理装置1は、排ガス3を径方向外側へ向けて送り出す羽根車10と、この羽根車10が内部に設けられたケーシング11と、羽根車10を回転させる駆動モータ12(駆動部)と、洗浄液を噴霧するための噴射ノズル13とを備えている。以下の説明において、図2(b)における左側を前側といい、図2(b)における右側を後側という。
【0024】
ケーシング11は、前容体14と後容体15で構成されている。後容体15の中心部に貫通孔15aが形成されており、ケーシング11の後側に配置された駆動モータ12に繋がる駆動軸16が当該貫通孔15aに貫通されている。前容体14と後容体15とはいずれも容器状に形成されており、このうちの前容体14の前部には排ガス通路となる開口された開口部14aが形成されている。この開口部14aには、ケーシング11の内部から外部へ延びる筒状の拡径部17が固定されている。
【0025】
この拡径部17は、ケーシング11の内部から外部に向かうに従って拡径されており、導入されてきた排ガス3がケーシング11内の羽根車10に吸い込まれる吸込口18を構成している。また、ケーシング11の側壁部には、前容体14の一部と後容体15の一部が合わさって構成された吐出口19が設けられており、当該ケーシング11に吸い込まれた排ガス3は、当該吐出口19から処理ガス4となって排出される。
【0026】
拡径部17の前端には、前後方向に延びる筒状の導入管33が取り付けられている。この導入管33の側面には、ノズル管導入部34が設けられており、洗浄液を通すノズル管35が、当該ノズル管導入部34を介して導入管33の前後方向中途部へ導入されている。ノズル管35の先端には、ケーシング11へ向けられた噴射ノズル13が設けられており、ノズル管35を通ってきた洗浄液27は、この噴射ノズル13からケーシング11内の羽根車10へ向かって噴霧されるようになっている。
【0027】
図3は、羽根車10の一部を切り欠いた正面図であり、図4は、図3のA−A線断面図である。この羽根車10は、円盤状の主板20と、この主板20の前側に対向配置された環状の側板21と、主板20と側板21との間に設けられた前後方向に延びる羽根板22と、更に、主板20の回転中心部に設けられた拡散部23と、主板20の径方向外端部20cに設けられた微細化部24を備えている。
【0028】
主板20は、ケーシング11との所要の隙間が形成されるような直径を有しており、(図2(b)参照)その後面の中心部には駆動軸16が固定されている。図4に示すように、側板21は、前側に向かうに従って縮径するように形成されており、当該側板21の前端21aが、上記拡径部17の後端の直近に位置している。これにより、拡径部17まで送られてきた排ガス3は、羽根車10内の空間28へ吸い込まれるようになっている。
【0029】
図3及び図4に示すように、羽根板22は、周方向に向かって凸状に湾曲しており、その前端が側板21の後面に固定されると共にその後端が主板20の前面20bに固定されている。当該羽根板22は、主板20と側板21とを繋ぐようにして八枚設けられており、当該主板20の径方向外端の位置から側板21の径方向内端よりも若干内方へ突出する位置まで径方向に延びている。従って、羽根車10に吸い込まれてきた排ガス3は、隣接する羽根板22、22の間を通って当該羽根車10の径方向外側へ向かうようになっている。
【0030】
拡散部23は、主板20の回転中心部を中心として等角度で放射状に延びる8枚の拡散翼25で構成されている。図4に示すように、各拡散翼25は、羽根板22の径方向外端縁よりも短い前後方向長さの板状に形成されて主板20の前面に立設されている。このように構成された主板20、拡散翼25,羽根板22、及び側板21は、当該主板20に固定された駆動軸16により共に回転させられる。
【0031】
なお、主板20、拡散翼25,羽根板22、及び側板21は、いずれもガラス繊維強化プラスチック(GFRP)からなり、高い耐食性が確保されている。また、この材料に含まれるガラス繊維には撥水処理が施されており、洗浄液が各部材の表面で液滴となり易くなっている。なお、当該各部材の構成材料は上記材料に限定されるものではなく、要求される強度及び耐食性を確保できるものであれば、炭素繊維や他の補強繊維で強化されたFRP、或いはその他の材料で構成することもできる。本実施形態における主板20の直径は、約400mm、拡散翼25の径方向寸法は、約100mm、前後方向寸法(高さ)は、約60mmとなっている。なお、当該各部材の寸法はこれらに限定されるものでなく、適宜変更することができる。
【0032】
図3に示すように、微細化部24は、主板20の径方向外端部20cの全周に渡って設けられている。図3の拡大図に示すように、微細化部24は、多数の針状部26を有している。これら多数の針状部26は、主板20の径方向外縁20aから径方向外方へ突出して、当該主板20の径方向外縁20aに沿ってブラシ状となっている。
【0033】
また、多数の針状部26は、羽根車10の回転方向(図3の時計回り方向)に向かって傾斜している。微細化部24は、FRPで構成されており、多数の針状部26はFRPに含まれる配向させた強化繊維を露出させることによって構成されている。本実施形態における主板20の径方向外縁20aからの針状部26の突出長さは約5mmとなっている。なお、針状部26の突出長さは適宜変更することができる。
【0034】
上記微細化部24は、主板20の周方向に沿って複数の短冊状のGFRPを貼り付けたオーバーレイ層として構成されたものである。以下、この微細化部24の製作方法を詳細に説明する。所要長さ(周方向の長さに対応)及び所要幅(径方向長さに対応)の短冊状のガラス繊維織布を準備する。各ガラス繊維織布の長手方向の片側の縁部分は、当該縁部分から5mm以上の配向した多数のガラス繊維が斜めに突出するように処理されている。具体的には、切り取られたガラス繊維織布の長手方向の切断縁における長手方向に織り込まれたガラス繊維を取り除き、短手方向の繊維を長く突出させればよい。
【0035】
各ガラス繊維織布に常温硬化型の液状のポリエステルを含浸させ、含浸織布とする。なお、その際に、多数のガラス繊維を突出させた部分には、当該ポリエスエルが付着しないようにする。各含浸織布を、突出させた多数のガラス繊維を主板20の外端縁20aから径方向外方へ突出するようにして、外端部20cに沿って配置する。そして、配置した各含浸織布を上からローラで押さえつけ、当該各含浸織布を主板20に圧着する。その後、ポリエステルに含まれる気泡を除去するために脱泡処理し、常温にて硬化させ、微細化部24とする。なお、微細化部24を構成する材料として、耐食性を備えるものであれば、例えばカーボン繊維等の他の繊維材料や、ポリエステル以外のエポキシ樹脂等の他の樹脂を使用してもよい。
【0036】
次に、排ガス3に含まれるガス成分と粉塵が排ガス処理装置1によって除去されていく点を説明する。導入管33に入ってきた排ガス3は、吸込口18から羽根車10内の空間28へ吸い込まれる。それと共に、導入管33内に設けられた噴射ノズル13から霧状となった霧状洗浄液27が、羽根車10内へ向かって連続して噴霧される。主板20に到達した霧状洗浄液の一部は、拡散翼25によって羽根車10内の空間28へ拡散され、ガス成分及び粉塵と接触して当該ガス成分及び粉塵が捕捉される。
【0037】
主板20に到達して拡散翼25で拡散されなかた霧状洗浄液は、遠心力によって当該主板20の前面20bを径方向外側へ向かって伝って液滴化する。液滴化した液滴洗浄液は、主板20の微細化部24に到達し、多数の針上部26で微細化されて微細洗浄液となる。その際、多数の針上部26が、回転方向に向かって傾斜しているので、液滴洗浄液はより小さい液滴に微細化される。この微細洗浄液は、主板20を離れてケーシング11の内面へ衝突していく。これにより、主板20付近のガス成分及び粉塵は、主板20の前面20bに存在する液滴洗浄液及び、微細化部24に存在する微細化洗浄液、更に主板20から離れた微細化洗浄液によって捕捉される。また、主板20と側板21との間の空間28でも、拡散翼25で拡散された霧状洗浄液、噴射ノズル13から噴霧された霧状洗浄液によってガス成分及び粉塵は捕捉される。
【0038】
このように、本実施形態の排ガス処理装置1の主板20には、微細化部24が設けられているので、当該主板20の前面20bに生じた液滴洗浄液を微細化して、その液滴径を小さくすることができる。更に、主板20に、噴射ノズル13から噴霧された霧状洗浄液を拡散させる複数の拡散翼25が設けられているので、主板20に到達した霧状洗浄液を当該主板20で液滴化せずに拡散させ、小さい液滴径のままで存在させておくことができる。
【0039】
上記本実施形態の排ガス処理装置1によれば、主板20の前面20b、主板20付近、更に主板20と側板21との間の空間28を含むケーシング11内の空間に、液滴径の小さい洗浄液が多量に存在するので、粉塵のみならず多くのガス成分を当該洗浄液と接触させて捕捉することができる。従って、軸動力を上げて羽根車10の回転速度を上げなくとも、多量のガス成分を洗浄液と接触させて効率よく除去することができる。
【0040】
また、羽根車10には、常に洗浄液が接触するので、当該羽根車10に粉塵が付着し難く、メンテナンスが容易である。また、羽根車10は洗浄液によって常時洗浄されている状態とされるので、初期の送風能力を長時間に渡って維持することができ、且つ羽根車10への粉塵の付着により回転がアンバランスとなることを防止することができる。このように、当該排ガス処理装置1を使用すれば、処理システム2の保守管理が非常に容易となる。また、多孔板塔やスプレー塔等の湿式洗浄塔よりも装置がコンパクトであり、小さい設置スペースに設置することができ経済的である。
【0041】
図5及び図6は、本発明に係る排ガス処理装置の第2実施形態を示している。本実施形態の排ガス処理装置40が、第1実施形態の排ガス処理装置1と異なる点は、拡散翼25が設けられておらず、主板20と側板21との間に環状の分散板41が設けられている点である。なお、第1実施形態と共通する点は同符号を付してその説明を省略する。
【0042】
分散板41は、側板21の後端と主板20間の略中央部で当該主板20に対向配置されており、その内径寸法及び外径寸法は、当該側板21の内径寸法及び外径寸法と略同じとなっている。また、分散板41の径方向外端部41aには、第1実施形態と同様の微細化部42が設けられている。また、主板20の径方向外端部20cにも、第1実施形態と同様に微細化部24が設けられている。上記分散板41の存在により、噴射ノズル13から噴霧された霧状洗浄液を、当該分散板41と主板20とで液滴化することができる。そして、分散板41に設けられた微細化部42により、分散板41の径方向外端部41aまで伝わってきた液滴洗浄液を微細化することができる。
【0043】
本実施形態の排ガス処理装置40によれば、主板20だけでなく分散板41でも液滴洗浄液を生じさせ、この液滴洗浄液を微細化部42で微細化させるので、多量のガス成分及び粉塵を洗浄液に接触させて効率良く除去することができる。また、本実施形態に示す分散板41が設けられていない排ガス処理装置の場合、大型化すると主板と側板との間の幅が大きくなり、多量の排ガスが当該部分を通るため、小型の排ガス処理装置に比較して、主板上の液滴と接触できない有毒なガス成分が多くなってしまう。本発明のように分散板41を設ければ、主板20と側板21との間でも洗浄液を液滴化させることができるので、液滴と接触できない有毒なガス成分が少なくなる。従って、排ガス処理装置40を大型化した場合でも、上記分散板41を設けることで有毒なガス成分を効率良く除去することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は例示であり、限定的なものではない。例えば、微細化部の針状部の配向方向や長さ、微細化部を設ける箇所を変更してもよい。ケーシング、主板、側板、翼板の形状、寸法等は適宜変更すればよい。また、排ガス処理装置は、各種の排ガスの処理システムに適用することができ、排ガス処理装置の前後に設ける設備は限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、半導体製造装置で発生する排ガスから有害な成分を除去するための、例えば排ガス処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排ガス処理装置が使用された排ガスの処理システムの要部を表す処理フロー図である。
【図2】(a)は、排ガス処理装置の正面図であり、(b)は、排ガス処理装置の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】羽根車の一部を切り欠いた正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る排ガス処理装置の羽根車の一部を切り欠いた正面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1、40 排ガス処理装置
2 処理システム
5 ミストキャチャー塔
10 羽根車
11 ケーシング
13 噴射ノズル
18 吸込口
19 吐出口
20 主板
21 側板
22 羽根板
24、42 微細化部
23 拡散部
25 拡散翼
26 針状部
27 洗浄液
41 分散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを径方向外側へ向けて送り出す羽根車と、
この羽根車が内部に設けられ排ガスの吸込口と吐出口とを有するケーシングと、
前記羽根車を回転させる駆動部と、
排ガスが前記ケーシングに導かれる経路に配置されて前記羽根車に向けて洗浄液を噴霧することで当該羽根車上に液滴を生じさせる噴射ノズルと、
前記羽根車の径方向外端部に設けられて当該羽根車に生じた前記液滴を微細化する微細化部と、を備えていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記微細化部は、前記羽根車の径方向外縁から径方向外方へ突出する多数の針状部を有している請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記多数の針状部は、前記羽根車の回転方向に向かって傾斜するように列設されている請求項2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記微細化部は、繊維強化プラスチックよりなり、前記多数の針状部は、当該繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維により構成されている請求項2又は3に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記羽根車は、円盤状の主板と、この主板に対向配置された環状の側板とを備えており、前記微細化部が、当該主板の径方向外端部に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記主板と前記側板との間に、前記噴射ノズルから噴霧された前記洗浄液の一部を液滴化させる環状の分散板が設けられている請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記主板に、前記噴射ノズルから噴霧され当該主板に到達した洗浄液の一部を前記ケーシング内の空間に拡散させる拡散部が設けられている請求項5又は6に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記拡散部は、前記主板の回転軸心を中心として放射状に延びる複数の拡散翼で構成されている請求項7に記載の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−112905(P2009−112905A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286540(P2007−286540)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000107941)セイコー化工機株式会社 (5)
【Fターム(参考)】