説明

排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス中窒素酸化物の浄化方法

【課題】燃焼灰中に高濃度のカリウム化合物を含む排ガスに対しても、性能劣化の小さい排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】本発明に係る排ガス浄化用触媒は、酸化チタン(TiO)、硫酸アルミニウム(Al(SO))、バナジウム(V)、およびモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物からなる組成物であって、酸化チタンに対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウムが水の存在下で接触して、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とが、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスの燃焼排ガス中に含まれるカリウム化合物による触媒性能の劣化を防止した排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス中窒素酸化物の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大気中の二酸化炭素(以下、COという)濃度の増大に起因する地球の温暖化を防止するため、CO排出量の低減が緊急の課題となっている。CO排出低減策として、省エネによる化石燃料使用量の低減、燃焼排ガス中のCOの回収・隔離など化石燃料を使用する上での対策、及び太陽電池や風力発電などの自然エネルギーの利用などが進められている。これに加えて、バイオマスを燃料にした発電がCOの増加を招かない方法として注目され、特に欧州を中心にバイオマス専焼あるいは化石燃料との混焼する形で盛んに採用され始めている。
【0003】
ところで、燃焼排ガス中には窒素酸化物が含まれており、このような窒素酸化物を除去するために触媒が使用される。このような触媒を使用した従来例として、排ガスをアンモニア存在下で、酸化チタンと、窒素酸化物除去反応に活性な成分と、結晶水を有する金属硫酸塩とを含有する触媒に、接触させる方法(例えば、特許文献1参照)や、硫酸イオンを酸化チタンに吸着させることで、脱硝触媒の活性化向上を図った方法(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【0004】
また、バイオマス燃料の燃焼ガスには潮解性の炭酸カリウムが含まれ、これが低温時に潮解して液状となり、脱硝触媒の細孔にしみこんで触媒の活性点を変質させることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−291628号公報
【特許文献2】特開平1−15137号公報
【特許文献3】WO99/02262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バイオマス燃焼の排ガスにおいては、上述したように、木材チップ、ピートなど植物由来燃料の燃焼灰に、潮解性の炭酸カリウムが大量に含まれているので、排ガスの脱硝に用いられる触媒の性能を急速に劣化させてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、燃焼灰中に高濃度のカリウム化合物を含む排ガスに対しても、性能劣化の小さい排ガス浄化用触媒及びその製造方法、並びに排ガス中窒素酸化物の浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る排ガス浄化用触媒は、酸化チタン(TiO)、硫酸アルミニウム(Al(SO))、バナジウム(V)、およびモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物からなる組成物であって、酸化チタンに対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウムが水の存在下で接触して、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とが、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持されたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る排ガス浄化用触媒の製造方法は、酸化チタン(TiO)、硫酸アルミニウム(Al(SO))、バナジウム(V)、およびモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物からなる排ガス浄化用触媒の製造方法であって、酸化チタンに対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウムを水の存在下で接触させることにより、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とを、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る排ガス中窒素酸化物の浄化方法は、バイオマス専焼、またはバイオマスと石炭とを混焼した排ガスに、アンモニア(NH)を還元剤として前記排ガス中に吹き込んだ後、該排ガスを上記排ガス浄化用触媒の排ガス浄化用触媒と接触させて、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元除去することを特徴としている。
【0011】
本発明者らは、脱硝触媒がバイオマス燃焼灰に含まれるカリウム化合物により被毒を受ける過程を詳細に検討した結果、触媒に付着するカリウム化合物の多くが炭酸塩として存在し、脱硝装置の停止時に触媒が高湿潤状態に晒されると、触媒に付着したカリウム化合物が潮解して触媒中にしみ込み、酸化チタン上に存在するアンモニアの吸着点に吸着してしまい、アンモニアの吸着を阻害することにより触媒活性が失活することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
脱硝反応に用いられる還元剤であるアンモニアは酸化チタン上の酸点であるOH基に(式1)のように吸着する。他方、触媒中に進入した炭酸カリウム中のカリウムイオンもOH基に(式2)のように吸着し、その吸着力がアンモニアより強いためアンモニアの吸着を阻害する。これがカリウムによる脱硝触媒の失活の原因であり、バイオマス燃焼排ガス中の脱硝触媒で急激な脱硝率の低下をもたらす。
NH+HO-Ti-(TiO上の活性点) → NH-O-Ti- ・・・・・(式1)
1/2KCO+HO-Ti-(TiO上の活性点)
→ K-O-Ti- +1/2HO+1/2CO ・・・・・(式2)
【0013】
これに対して、本発明に係る触媒は、酸化チタン(TiO)と硫酸アルミニウム(Al(SO))とを水の存在下で予め混合することにより、酸化チタンの活性点の一部に硫酸イオンを吸着させておくことを特徴とする。こうすることにより、触媒中に進入したカリウムイオンの大半は、酸化チタン表面のOH基よりも強い酸である硫酸イオンとまず反応し(式3)、その結果、酸化チタン上にOH基を作り出す。このOH基がアンモニア(NH)の吸着点となり、上記(式2)でカリウム化合物との反応によるアンモニアの吸着点の減少を防止するため、カリウム化合物による触媒性能の劣化速度を飛躍的に小さくすることができる。さらに、硫酸アルミニウムは、他の硫酸塩に比べて分解温度が比較的高いため、触媒の実運用条件となる350〜400℃付近のガス温度において、アルミニウムイオンが酸化チタン上のOH基に吸着した硫酸イオンを安定に保持する役割を担い、その結果、長期間に亘ってカリウム化合物に対する耐久性を維持することができる。
Al(SO)+6(HO-Ti-) → 3SO(-Ti-)+2Al(OH)
・・・・・(式3)
3KCO+3SO(-Ti-)+3H
→ 3KSO+6(HO-Ti-)+3CO ・・・・・(式4)
【0014】
また、上記のように硫酸イオンを酸化チタン上のOH基に吸着させると、硫酸根の電子吸引作用によって、硫酸根に隣接するOH基が超強酸点となりアンモニアの吸着が促進されるため、脱硝性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃焼灰中に高濃度のカリウム化合物を含む排ガスであっても、性能劣化の小さい排ガス浄化用触媒を実現することができ、バイオマス燃焼排ガス中で長期間高い脱硝性能を維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0017】
本発明は、レアメタルであるモリブデン(Mo)やタングステン(W)の一部を硫酸塩に置き換えることによって、高い初期性能と耐久性を確保しつつ、モリブデンやタングステンの使用量の大幅な削減を図ったものである。
【0018】
すなわち、本発明に係る排ガス浄化用触媒は、酸化チタン(TiO)に対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウム(Al(SO))が水の存在下で接触して、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウム(V)のオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン(M)及び/又はタングステン(W)のオキソ酸またはオキソ酸塩とが、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持されたものである。
【0019】
また、本発明に係る排ガス浄化用触媒の製造方法は、酸化チタン(TiO)に対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウム(Al(SO))を水の存在下で接触させることにより、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウム(V)のオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)のオキソ酸またはオキソ酸塩とを、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持させることである。
【0020】
さらに、本発明に係る排ガス中窒素酸化物の浄化方法は、バイオマス専焼、またはバイオマスと石炭とを混焼した排ガスに、アンモニア(NH)を還元剤として前記排ガス中に吹き込んだ後、該排ガスを上記排ガス浄化用触媒と接触させて、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元除去することである。
【0021】
酸化チタン(TiO)に安定に吸着され得る硫酸イオンは、通常使われる100〜300m/g程度の比表面積を有する酸化チタン原料では1〜5wt%程度であり、それ以上ではアンモニア(NH)の吸着し得るOH基がなくなり、大きな活性低下を引き起こす。したがって、酸化チタン原料の種類にも依るが、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は6wt%以下、望ましくは4.5wt%以下にすることが、脱硝活性に影響せずに高い耐久性を賦与でき好結果を与え易い。また、添加量は少ない方には特に制限は無いが、カリウム化合物に対する顕著な耐久性と硫酸根による活性向上効果を賦与するためには、酸化チタンに対して1wt%以上担持することが望ましい。
【0022】
硫酸イオンを吸着せしめた酸化チタンに添加する活性成分としては、バナジウム(V)のオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)のオキソ酸またはオキソ酸塩が使用可能であり、その添加量には特に制限は無いが、酸化チタンに対し各々0atom%を超えて3atom%以下の割合に選定される。酸化チタン原料の比表面積が大きい場合には高い値を、低い場合には添加量を少なく選定すると、脱硝性能を高く維持でき、またSOの酸化性能を低く抑えることができ好都合である。
【0023】
これらの活性成分の添加方法はどのような方法であっても良いが、水の存在下でニーダを用いて混練もしくは加熱混練する方法が経済的であり優れている。
【0024】
活性成分担持後の触媒成分は、公知の方法によりハニカム状に成形して用いられる他、網状に加工したステンレス製金属基板やセラミック繊維の網状物に目を埋めるように塗布して板状化した後、波型などにスペーサ部を成形したものを積層した構造体として用いることができる。特に、後者のように触媒体を板状化して用いると、カリウム化合物を含む灰が触媒間に堆積し難いので好結果を与え易い。
【0025】
以下、本発明についての各実施例、及び各実施例に対する比較例について説明する。
【0026】
(実施例1)
酸化チタン(TiO:石原産業製、比表面積290m/g)900g、硫酸アルミニウム(Al(SO))13〜14水和物70.4g、20wt%シリカゾル(日産化学製、OSゾル)396g、及び水100gをニーダに入れて30分間混練し、硫酸イオンを酸化チタンの表面に吸着させた。
【0027】
また、硫酸イオンを吸着した酸化チタンに、三酸化モリブデン17.0g、メタバナジン酸アンモニウム41.5gを添加して、ニーダ内で更に1時間混練し、モリブデン(Mo)とバナジウム(V)の化合物を担持した。
【0028】
さらに、シリカアルミナ系セラミック繊維(東芝ファインレックス)149gを徐々に添加しながら、ニーダ内で20分間混練して均一なペースト状物を得た。得られたペースト状物を、厚さ0.2mmのSUS430製鋼板をメタルラス加工した厚さ0.7mmの基材の上におき、これを二枚のポリエチレンシートに挟んで一対の加圧ローラを通してメタルラス基材の網目を埋めるように塗布した。
【0029】
そして、ペースト状物が塗布されたものを乾燥後、450℃で2時間焼成して触媒を得た。この触媒の組成は、原子比でTi/Mo/V=96/1/3であり、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は、酸化チタン(TiO)に対して4.5wt%である。
【0030】
(実施例2)
実施例1のうちで硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量を23.5gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。このときの硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は、酸化チタン(TiO)に対して1.5wt%である。なお、この触媒の組成は、実施例1と同様、原子比でTi/Mo/V=96/1/3である。
【0031】
(実施例3)
実施例1のうちで硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量を47.0gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。このときの硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は、酸化チタン(TiO)に対して3.0wt%である。なお、この触媒の組成は、実施例1と同様、原子比でTi/Mo/V=96/1/3である。
【0032】
(実施例4)
実施例1のうちで硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量を93.9gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。このときの硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は、酸化チタン(TiO)に対して6.0wt%である。なお、この触媒の組成は、実施例1と同様、原子比でTi/Mo/V=96/1/3である。
【0033】
(実施例5)
実施例1のうちでメタバナジン酸アンモニウムの添加量を6.7gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。この触媒の組成は、原子比でTi/Mo/V=98.5/1/0.5であり、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は酸化チタン(TiO)に対して4.5wt%である。
【0034】
(実施例6)
実施例1のうちでメタバナジン酸アンモニウムの添加量を13.3gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。この触媒の組成は、原子比でTi/Mo/V=98/1/1であり、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は酸化チタン(TiO)に対して4.5wt%である。
【0035】
(実施例7)
実施例1のうちで三酸化モリブデンの添加量を51.7gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。この触媒の組成は、原子比でTi/Mo/V=94/3/3であり、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は酸化チタン(TiO)に対して4.5wt%である。
【0036】
(実施例8)
実施例1で用いた三酸化モリブデン17.0gをメタタングステン酸アンモニウム24.4gに変え、他は実施例1と同様にして触媒を調製した。この触媒の組成は、原子比でTi/W/V=96/1/3であり、硫酸アルミニウム(Al(SO))の添加量は酸化チタン(TiO)に対して4.5wt%である。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、硫酸アルミニウム(Al(SO))を添加せず、それ以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0038】
(比較例2)
実施例5において、硫酸アルミニウム(Al(SO))を添加せず、それ以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0039】
(比較例3)
実施例6において、硫酸アルミニウム(Al(SO))を添加せず、それ以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0040】
(比較例4)
実施例7において、硫酸アルミニウム(Al(SO))を添加せず、それ以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0041】
(比較例5)
実施例8において、硫酸アルミニウム(Al(SO))を添加せず、それ以外は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0042】
(比較例6)
実施例1において、酸化チタン(TiO)に硫酸アルミニウム(Al(SO))13〜14水和物、三酸化モリブデン、メタバナジン酸アンモニウム、シリカゾル、水とを最初から同時に混ぜてニーダで90分間混練し、それ以降の処理は実施例1と同様にして触媒を調整した。
【0043】
(実施例と比較例との比較)
実施例1〜8及び比較例1〜6で調整された各触媒を20mm幅×100mm長さに切り出し、バイオマス燃焼灰中に含まれるカリウム化合物による劣化を模擬するため、炭酸カリウムの水溶液を触媒成分に対しKOとして、0.5wt%添加となるように含浸後150℃で乾燥した。そして、模擬試験後の触媒と模擬試験前の触媒とを三枚用いて、表1の条件(ガス組成、ガス流量、温度、及び触媒充填量についての条件)で脱硝性能を測定し各触媒のカリウム劣化に対する耐毒性を評価した。
【表1】

【0044】
評価結果を表2に纏めて示す。
【表2】

【0045】
表2から分かるように、実施例1〜8で調整された触媒は模擬試験前後での脱硝性能(脱硝率)の低下が小さいのに対し、比較例6を除いて、比較例1〜5で調整された触媒は模擬試験前後での脱硝性能(脱硝率)が大きく低下している。このように、各実施例1〜8で調整された触媒は、カリウム化合物による劣化を大幅に軽減することができ、これにより、バイオマス燃焼排ガスの脱硝装置の性能を長期に亘って高く維持することが可能となる。その結果、触媒交換の頻度を大幅に減らすことができ、脱硝装置の運転費用を大きく低減することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0047】
例えば、酸化チタンに対して硫酸アルミニウムの添加量が、1wt%を超えて6wt%以下の範囲であり、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とが、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持された触媒であれば、本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン(TiO)、硫酸アルミニウム(Al(SO))、バナジウム(V)、およびモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物からなる組成物であって、
酸化チタンに対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウムが水の存在下で接触して、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とが、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持されたことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
酸化チタン(TiO)、硫酸アルミニウム(Al(SO))、バナジウム(V)、およびモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物からなる排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
酸化チタンに対して、1wt%を超えて6wt%以下の硫酸アルミニウムを水の存在下で接触させることにより、硫酸イオン及びアルミニウムイオンを吸着した酸化チタンに、バナジウムのオキソ酸塩またはバナジル塩と、モリブデン及び/又はタングステンのオキソ酸またはオキソ酸塩とを、0atom%を超えて3atom%以下の割合で担持させることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
【請求項3】
バイオマス専焼、またはバイオマスと石炭とを混焼した排ガスに、アンモニア(NH)を還元剤として前記排ガス中に吹き込んだ後、該排ガスを請求項1記載の排ガス浄化用触媒と接触させて、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物を還元除去することを特徴とする排ガス中窒素酸化物の浄化方法。

【公開番号】特開2012−35216(P2012−35216A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179055(P2010−179055)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】