説明

排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法

【課題】 担持される触媒成分として遷移金属化合物を用いても、高水準の触媒活性を実現する触媒をもたらす触媒担体として有用な、排ガス浄化用触媒担体を提供すること、並びに、そのためにアルミナを含有する超微粒子とセリアを含有する超微粒子とが極めて高い分散性で均一に混合されている排ガス浄化用触媒担体の製造を可能とする方法を提供すること。
【解決手段】 アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との混合物からなる排ガス浄化用触媒担体であって、
前記担体に0.1質量%以上含有されるすべての金属元素について、球面収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析により20nm角の微小分析範囲における前記金属元素の含有率(質量%)を300箇所の測定点で測定して得られた各金属元素の含有率の標準偏差が10以下となる条件を満たすように、前記第一の超微粒子と前記第二の超微粒子とが均一に分散しており、
BET法により求めた比表面積が110m/g以上であり、
前記第二の超微粒子が、X線回折法により求めた平均結晶子径が5〜11nmのものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化用触媒担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガス浄化用触媒としては、白金、ロジウム及びパラジウム等の貴金属をアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリア等からなる金属酸化物担体に担持した三元触媒が広く知られている。また、触媒活性の向上を目的として、複数種の金属酸化物担体を混合又は積層してそれぞれの金属酸化物担体の特性を利用することも行われている。例えば、セリアは、排ガス中の酸素濃度が高い時には酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低い時には酸素を放出する酸素吸蔵能(OSC能)を有するが、耐熱性が比較的低い。従ってセリアとジルコニア又はアルミナとを固溶体化又は混合して用いて、触媒の耐熱性を改良することが行われている。
【0003】
また、特開2006−43654号公報(特許文献1)には、セリア又はジルコニアからなる第一の金属酸化物担体と、アルミナ、セリア又はジルコニアからなる第二の金属酸化物担体とを含み、第一及び第二の金属酸化物担体が共に100nm未満の一次粒子径を有しており、該一次粒子が互いに混合されている排ガス浄化用触媒担体が開示されている。さらに、特開2006−298759号公報(特許文献2)には、排ガス浄化用触媒担体として、アルミナ、セリア及びジルコニアからなり、共沈法によって得られる複合酸化物が開示されている。
【0004】
また、特開2009−242226号公報(特許文献3)には、触媒担体として用いられるアルミナ粒子の製造方法として、アルミナ粒子とセリウム等の金属成分とが含まれる液体を粒子が分散した状態で前記液体の存在下で加圧しながら加熱することにより、粒径が10〜100nmのアルミナ粒子を得る方法が開示されている。さらに、特開2008−12527号公報(特許文献4)には、アルミナ等の金属化合物粒子と分散剤とが含まれる液体を粒子が分散した状態となるpHに調整し、前記液体の存在下で加圧しながら加熱することにより、粒径が20nm程度の金属酸化物粒子を得る方法が開示されている。
【0005】
一方、従来、触媒担体に担持させる金属としては、上述のような貴金属が広く知られているが、近年では、貴金属に比べてより安価な銅からなる銅系触媒も排ガス浄化用触媒として有効であることが開示されている。例えば、特開平10−28842号公報(特許文献5)には銅等の遷移金属及びアルミニウムからなり触媒活性を有するスピネル及びスピネルに更にセリア等の貴金属を付加的に添加した担体材料が開示されている。また、特開2010−51864号公報(特許文献6)には、アルミナを基材として、銅層と、銅層の下側に、亜鉛酸化物とCuAl、CuAlO及びAlからなる群の中から選ばれた少なくとも1種類とを含有する複合層を少なくとも有する形態で構成された層と、前記複合層の下側の基材表面に亜鉛及びAlを有する混合層とを有する還元析出型銅触媒が開示されている。しかしながら、このような銅系触媒は、前記貴金属を用いた触媒に比較して、触媒活性、特にNOx還元活性において未だ充分ではないという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−43654号公報
【特許文献2】特開2006−298759号公報
【特許文献3】特開2009−242226号公報
【特許文献4】特開2008−12527号公報
【特許文献5】特開平10−28842号公報
【特許文献6】特開2010−51864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の触媒担体においては、例えば、セリアとジルコニアとを固溶体化又は混合して用いた場合には、セリアとジルコニアとを固溶体化した一次粒子の大きさ(結晶子径)が小さいほど触媒活性が高くなることは知られている。しかしながら、上記特許文献1〜4に記載されているような従来の複合金属酸化物担体においては、一次粒子の結晶子径や該粒子の分散がナノサイズレベルで制御されていないために、このような複合金属酸化物を担体として用いて得られる触媒における触媒活性は必ずしも十分ではなく、耐熱性の向上にも限界があるということを本発明者らは見出した。さらに、このような従来の触媒担体においては、特に触媒成分として銅等の遷移金属化合物を用いた場合において十分な触媒活性を得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、担持される触媒成分として遷移金属化合物を用いた場合であっても、高水準の触媒活性を有する触媒を得ることを可能とする排ガス浄化用触媒担体、並びに、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルミニウムイオンとセリウムイオンとを含有する第一の原料溶液と、高分子分散剤を含有する第二の原料溶液とを、特定の剪断速度となっている領域に独立に直接導入し、均質混合して得られたコロイド溶液を所定のpH条件に調整した後、得られたコロイド溶液を水熱処理し、水熱処理後のコロイド溶液を脱脂して熱処理することにより、アルミナを含有する超微粒子とセリアを含有する超微粒子とが極めて高い分散性で均一に混合されており、その結晶子径及び比表面積がナノサイズレベルで制御された排ガス浄化用触媒担体が得られるようになることを見出した。そして、その排ガス浄化用触媒担体を用いれば触媒成分として銅のような遷移金属化合物を用いた場合であっても高水準の触媒活性を有する触媒が得られるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体は、
アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との混合物からなる排ガス浄化用触媒担体であって、
前記担体に0.1質量%以上含有されるすべての金属元素について、球面収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析により20nm角の微小分析範囲における前記金属元素の含有率(質量%)を300箇所の測定点で測定して得られた各金属元素の含有率の標準偏差が10以下となる条件を満たすように、前記第一の超微粒子と前記第二の超微粒子とが均一に分散しており、
BET法により求めた比表面積が110m/g以上であり、
前記第二の超微粒子が、X線回折法により求めた平均結晶子径が5〜11nmのものであることを特徴とするものである。
【0011】
前記本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、窒素吸着法により求めた中心細孔直径が8〜20nmであり、細孔容積が0.2〜0.6cm/gであることが好ましい。さらに、前記第二の超微粒子が、ジルコニア及び/又はイットリアを更に含有することがより好ましく、アルミナの含有量が30〜80質量%であることが特に好ましい。
【0012】
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体の表面に担持されている金属及び遷移金属化合物からなる群から選択されるいずれか一種とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、
アルミニウムイオンとセリウムイオンとを含有する第一の原料溶液と、高分子分散剤を含有する第二の原料溶液とを、1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合し、コロイド溶液を得る工程と、
コロイド溶液のpHを、該コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件に調整する工程と、
前記コロイド溶液を70〜90℃の温度条件で水熱処理する工程と、
前記水熱処理後のコロイド溶液を脱脂し、酸化雰囲気において700〜1050℃の温度条件で熱処理することにより排ガス浄化用触媒担体を得る工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0014】
前記本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記第一の原料溶液が、ジルコニウムイオン及び/又はイットリウムイオンを更に含有することが好ましい。
【0015】
また、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記水熱処理後のコロイド溶液のpHを、該コロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件に調整する工程を、前記水熱処理工程の後にさらに備えることが好ましい。
【0016】
さらに、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記高分子分散剤が少なくとも一種の重量平均分子量が3000〜15000のポリアルキレンイミンであり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件が1.0〜6.0であり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件が9.0〜11.0であることが好ましい。
【0017】
さらに、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記高分子分散剤が少なくとも一種の重量平均分子量が1000〜5000のポリアクリル酸であり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件が5.0〜10.0であることが好ましい。
【0018】
なお、本発明の製造方法によって、アルミナを含有する超微粒子とセリアを含有する超微粒子とが極めて高い分散性で均一に混合されている本発明の排ガス浄化用触媒担体が得られるようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、金属化合物結晶子等のナノ粒子は水等の水性溶液中では凝集しやすく、通常、高分子分散剤を添加してナノ粒子に吸着させて凝集を抑制している。本発明に用いられる高分子分散剤(ポリアルキレンイミン及びポリアクリル酸等)もナノ粒子に吸着して凝集を抑制するものと推察されるが、高分子分散剤を添加して通常の攪拌を行なっただけでは粒子径の大きな凝集体が形成する傾向にある。これは、通常、高分子分散剤が一次粒子よりも大きく、架橋構造を形成し易いため、高分子分散剤の架橋反応に伴って高分子分散剤が吸着したナノ粒子が凝集するため、また、高分子分散剤が複数の金属化合物結晶子に同時に吸着するためであると推察される。
【0019】
一方、本発明の製造方法においては、前記高分子分散剤の添加に加えて反応場に所定の剪断力を付与しているため、金属化合物結晶子の凝集構造が破壊されるのと同時に高分子分散剤がナノ粒子に吸着し、ナノ粒子は、そのままの状態、又は粒子径が比較的小さい凝集体の状態でコロイド溶液中に存在するものと推察される。また、高分子分散剤はコロイド溶液中で安定に存在するため、粒子径が大きな凝集体が形成されにくく、さらに、本発明の製造方法においては、このようなコロイド溶液が液中における分散状態を維持し得るpH条件にあるため、ナノ粒子は、そのままの状態、又は粒子径が比較的小さい凝集体の状態でコロイド溶液中で安定に分散しているものと推察される。
【0020】
また、通常、水熱処理により担体の比表面積が増大する傾向にあるが、他方、多孔体の規則性は低下する傾向にある。しかしながら、本発明の製造方法においては、前述のナノ粒子が均一に分散したコロイド溶液を特定の低い温度条件で水熱処理することにより、各粒子の結晶化が促進されると共に空孔のないより均一で完全な結晶が形成されるため、比表面積が大きく耐熱性があり、且つ、均一な細孔直径を有する多孔体を得ることができると本発明者らは推察する。そして、このような水熱処理後のコロイド溶液を脱脂し、特定の温度条件で熱処理することによって、アルミナを含有する超微粒子とセリアを含有する超微粒子とが極めて高い分散性で均一に混合されている本発明の排ガス浄化用触媒担体が得られるようになると本発明者らは推察する。
【0021】
また、このような本発明の排ガス浄化用触媒担体を触媒担体として用いることによって、触媒活性とその高温耐久性を高水準で実現する理想的な触媒が得られるようになる理由も必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、アルミナを含有する超微粒子とセリアを含有する超微粒子とが極めて高い分散性でナノレベルで均一に混合されているため、アルミナを含有する超微粒子が拡散障壁として機能し、高温雰囲気下でも粒子成長が抑制されるため、高温まで高比表面積が維持されるようになる。また、一次粒子の結晶子径が小さいと銅化合物を触媒とした場合に、銅化合物と一次粒子との親和性が強くなって酸化銅の還元性が劣化したり、結晶子径が大きいと一次粒子(セリア含有粒子)における酸化銅粒子の還元性能が劣化してしまうが、本発明は一次粒子の結晶子径が特定の範囲にあるため、このような触媒活性の低下を抑制できる。さらに、各超微粒子の凝集が小さく粒子間の間隙が疎な状態で配置されることにより、大きな細孔容積が達成されるようになると同時に、高温でも細孔直径が維持されるためガス拡散性の低下が抑制される。そのため、このような本発明の排ガス浄化用触媒担体を触媒担体として用いることによって、拡散律速領域で理想的な触媒活性が実現されると共にその高温耐久性が高水準になると本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、担持される触媒成分として遷移金属化合物を用いた場合であっても、高水準の触媒活性を有する触媒を得ることを可能とする排ガス浄化用触媒担体、並びに、その製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に用いられるコロイド溶液の製造装置の好適な一実施形態を示す模式縦断面図である。
【図2】図1に示すホモジナイザー10の先端部(攪拌部)を示す拡大縦断面図である。
【図3】図1に示す内側ステータ13の側面図である。
【図4】図1に示す内側ステータ13の横断面図である。
【図5】実施例1〜5及び比較例1〜6において得られた排ガス浄化用触媒担体を用いて得られた触媒において、担体における第二の超微粒子の平均結晶子径とNO50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0025】
先ず、本発明の排ガス浄化用触媒担体について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体は、アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との混合物からなる複合金属酸化物多孔体である。なお、ここでいう「超微粒子」とは、金属酸化物又は複合金属酸化物の結晶子の一次粒子又は互いに結合せずに独立した二次粒子をいう。
【0026】
第一の超微粒子はアルミナ(Al)を含有していればよいが、耐熱性を有する触媒担体が得られるという観点から、セリウム以外の希土類元素(La、Pr、Y、Sc等)の酸化物及びアルカリ土類金属(Sr、Ca、Ba等)の酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を更に含有していてもよい。第一の超微粒子がアルミナと他の金属酸化物とを含有する複合金属酸化物又は金属酸化物混合物の場合、第一の超微粒子におけるアルミナの含有率は95モル%以上であることが好ましい。
【0027】
第二の超微粒子はセリア(CeO)を含有していればよいが、ジルコニア(ZrO)、セリウム以外の希土類元素(La、Pr、Y、Sc等)の酸化物及びアルカリ土類金属(Sr、Ca、Ba等)の酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物を更に含有していてもよい。中でも、酸素ストレージ能と耐熱性を有するという観点から、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、ランタナ(La)からなる群から選択される少なくとも一種を更に含有することが好ましく、ジルコニア(ZrO)及び/又はイットリア(Y)を更に含有することがより好ましい。このような第二の超微粒子としては、CeO−ZrO−Y−La4元系複合金属酸化物;CeO−ZrO−Y3元系複合金属酸化物;CeO−ZrO、CeO−Y及びCeO−La等の2元系複合金属酸化物からなることが特に好ましい。第二の超微粒子がセリアと他の金属酸化物とを含有する複合金属酸化物又は金属酸化物混合物の場合、第二の超微粒子におけるセリアの含有率は10モル%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明の排ガス浄化用触媒担体中における第一の超微粒子の含有量は特に制限されないが、得られる排ガス浄化用触媒担体中のアルミナの含有量が30〜80質量%となる含有量であることが好ましく、37〜71質量%となる含有量であることがさらに好ましい。アルミナの含有量が前記下限未満では、アルミナの拡散障壁としての機能が小さくなる傾向にあり、他方、アルミナの含有量が前記上限を超えると、セリア及び/又はセリアと他の金属酸化物とを含有する複合金属酸化物や金属酸化物混合物の量が低下するため、セリアのOSC能が十分に発揮されない傾向にあり、さらには、触媒成分となる貴金属や遷移金属化合物の還元性能が低下する傾向にある。
【0029】
本発明の排ガス浄化用触媒担体中における第二の超微粒子の含有量は特に制限されないが、得られる排ガス浄化用触媒担体中のセリアの含有量が20〜70質量%となる含有量であることが好ましく、20〜60質量%となる含有量であることがさらに好ましい。セリアの含有量が前記下限未満では、セリアのOSC能が十分に発揮されない傾向にありさらには、触媒成分として酸化銅を用いたときの還元性能が低下する傾向にあり、他方、セリアの含有量が前記上限を超えると、触媒担体の耐熱性が低下し、セリアのOSC能が低下する傾向にある。
【0030】
また、前記第二の超微粒子がCeO−ZrO−Yからなる場合には、得られる排ガス浄化用触媒担体中のセリアの含有量は20〜70質量%であり、ジルコニアの含有量は6〜40質量%であり、イットリアの含有量は1〜5質量%であることが好ましい。さらに、前記第二の超微粒子がCeO−ZrOからなる場合には、得られる排ガス浄化用触媒担体中のセリアの含有量は20〜75質量%であり、ジルコニアの含有量は6〜40質量%であることが好ましい。また、本発明の排ガス浄化用触媒担体において第二の超微粒子がCeO−Yからなる場合には、得られる排ガス浄化用触媒担体におけるセリアの含有量は20〜75質量%であり、イットリアの含有量は1〜5質量%であることが好ましい。
【0031】
本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、第一の超微粒子と第二の超微粒子とが均一に分散しており、前記多孔体に0.1質量%以上含有されるすべての金属元素について、球面収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いたエネルギー分散型X線分光分析(EDS)により20nm角の微小分析範囲における前記金属元素の含有率(質量%)を300箇所の測定点で測定して得られた各金属元素の含有率の標準偏差が10以下となる条件を満たすものである。このように第一の超微粒子と第二の超微粒子とが極めて高い分散性で均一に混合されているため、本発明の排ガス浄化用触媒担体は耐熱性に優れており、かかる担体を触媒担体として用いることにより触媒活性とその高温耐久性を高水準で実現した触媒が得られるようになる。
【0032】
なお、このような標準偏差は、STEM(JEOL製、JEM−2100F Csコレクター)付属のEDS装置(200KV TEM、ADF−STEM像)を用いて、20nm角のエリアでAl、Ce、Zr、Yの各含有率(金属換算した場合の含有率(質量%))を300箇所の測定点で測定し、担体全体における各金属の含有率を基準として算出される全測定点における測定値の標準偏差である。担体全体における各金属の含有率は、担体における金属の全質量に対するAl、Ce、Zr、Yの各含有率(質量%)であり、ICP発光分析装置(リガク社製、CIROS 120EOP)を用いて、担体における金属の全質量及びAl、Ce、Zr、Yの各質量を測定することにより求められる。
【0033】
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、BET法により求めた比表面積が110m/g以上である。比表面積が前記下限未満では、触媒を凝集させることなく担持せしめることが困難となるため、触媒性能が低下する。このような比表面積は大きいことが好ましいが、触媒担体中のアルミナの含有量を30〜80%とした場合には、前記比表面積が110〜200m/gであることが特に好ましく、110〜160m/gであることがより好ましい。
【0034】
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、窒素吸着法により求めた中心細孔直径が8〜30nmであることが好ましく8〜20nmであることがより好ましい。中心細孔直径が前記下限未満になると排ガス浄化用触媒として使用したときのガス拡散性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると排ガスの吸着性能が低下する傾向にある。
【0035】
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、窒素吸着法により求めた細孔容積が0.2〜0.6cm/gであることが好ましく、0.3〜0.55cm/gであることがより好ましい。細孔容積が前記下限未満になると排ガス浄化用触媒として使用したときのガス拡散性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると排ガスの吸着性能が低下する傾向にある。
【0036】
なお、本発明において、比表面積、中心細孔直径及び細孔容積は下記のような窒素吸着法により求められる。すなわち、先ず、排ガス浄化用触媒担体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを所定の圧力で導入し、定容量式ガス吸着法又は重量法によりその平衡圧における窒素吸着量を求める。次に、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧における窒素吸着量を求める。得られた窒素吸着量を平衡圧に対してプロットすることにより窒素吸着等温線が得られる。次いで、得られた窒素吸着等温線からBET等温吸着式により排ガス浄化用触媒担体の比表面積を求めることができ、例えば、全自動比表面積測定装置(カンタクローム株式会社製、「Autosorb−1」)を用い、液体窒素温度(−196℃)におけるN吸着を利用したBET一点法により算出することができる。
【0037】
また、同じく窒素吸着等温線から相対圧が最高値となるときの窒素吸着量を求めることにより排ガス浄化用触媒担体の細孔容積を求めることができる。さらに、得られた窒素吸着等温線からCranston−Inklay法、Pollimore−Heal法又はBJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求め、この細孔径分布曲線の最大ピークにおける細孔直径を排ガス浄化用触媒担体の中心細孔直径とする。
【0038】
本発明の排ガス浄化用触媒担体において、前記第二の超微粒子のX線回折法により求めた平均結晶子径は5〜11nmである。平均結晶子径が前記下限未満になると十分な触媒活性が得られず、他方、前記上限を超えても十分な触媒活性が得られない。なお、このような第二の超微粒子の平均結晶子径は、X線回析(XRD)による測定を行って得られる第二の超微粒子の(111)面に由来するピークの半値幅に基づいて、シェラーの式:
D=0.9λ/βcosθ
(式中、Dは結晶子径を示し、λは使用X線波長を示し、βはXRDの測定試料の半値幅を示し、θは回折角を示す)
を計算することにより求めることができる。このような結晶子径を確認する際におけるX線回折測定の方法としては、測定装置として、リガク社製の「RINT−2200」を用いて、スキャンステップ0.01°、発散及び散乱スリット1deg、受光スリット0.15mm、CuKα線、40kV、20mA、スキャン速度1°/minの条件で測定する方法を採用する。
【0039】
本発明の排ガス浄化用触媒担体としては、アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との他に、添加成分として優れた触媒活性を示すCuAl及びCuO等を含有していてもよい。このような添加成分の量は特に制限されず、目的とする触媒の用途等に応じて適宜調整されるが、排ガス浄化用触媒担体(添加成分を除く)100質量部に対して0.1〜10質量部程度であることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒は、前記本発明の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体の表面に担持されている金属及び遷移金属化合物からなる群から選択されるいずれか一種とを備えるものである。本発明の排ガス浄化用触媒においては、担体となる本発明の排ガス浄化用触媒担体の超微粒子が極めて高い分散性で均一に混合されており、一次粒子の結晶子径がナノメートルサイズで制御されているため、担持される金属が貴金属以外の遷移金属や遷移金属化合物であっても優れた触媒活性を実現することができる。
【0041】
このような金属としては、貴金属、遷移金属、それらの合金が挙げられる。前記貴金属としては、白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金等が挙げられるが、得られる触媒が排ガス浄化用の触媒等として有用なものとなるという観点から白金、ロジウム、パラジウムが好ましい。前記遷移金属としては、Cu、Fe、Ni、Co、Mn、Zn、W、Mo、Nb、Sn、Ta、Ag等が挙げられる。これらの金属は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、高いNOx還元性能が発揮されるという観点からはCuが好ましく、COやCH化合物の高い酸化性能を有するという観点からはCu、Fe、Mn、Agが好ましい。前記合金としては、Cu/Mn、Cu/Fe、Fe/Mn、Ag/Cu、Ag/Ni、Cu/Ni、Fe/Ni等が挙げられる。
【0042】
前記遷移金属化合物としては、前記遷移金属の酸化物;水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩等の塩;炭化物;窒化物;硫化物;及びこれらの中間生成物、並びに、前記遷移金属の複合酸化物等が挙げられる。具体的には、CuO、CuO、Cu(OH)、CuCO、CuFe、CuAl等が挙げられる。このような遷移金属化合物としては、得られる触媒が排ガス浄化用の触媒等として有用なものとなるという観点から、CuO、CuAl、CuO、Cu(OH)を用いることが好ましい。
【0043】
また、このような金属及び金属化合物の担持量は特に制限されず、得られる触媒の用途等に応じて適宜調整されるが、排ガス浄化用触媒担体100質量部に対して0.1〜10質量部程度であることが好ましい。
【0044】
本発明の触媒においては、その形態は特に制限されず、例えば、前記触媒を粒子の形態のまま用いてもよく、或いは、前記触媒を基材に担持したハニカム形状のモノリス触媒や、前記触媒をペレット形状に成形したペレット触媒の形態等として用いてもよい。ここで用いられる基材も特に制限されず、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等を好適に採用することができる。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、チタン酸アルミ、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材を好適に採用することができる。さらに、本発明の触媒においては、その効果を損なわない範囲で各種触媒に用いることが可能な他の成分(例えば、NOx吸蔵材等)が適宜担持されていてもよい。
【0045】
次に、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法は、
アルミニウムイオンとセリウムイオンとを含有する第一の原料溶液と、高分子分散剤を含有する第二の原料溶液とを、1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合し、コロイド溶液を得る工程と、
コロイド溶液のpHを、該コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件に調整する工程と、
前記コロイド溶液を70〜90℃の温度条件で水熱処理する工程と、
前記水熱処理後のコロイド溶液を脱脂し、酸化雰囲気において700〜1050℃の温度条件で熱処理することにより排ガス浄化用触媒担体を得る工程と
を含むことを特徴とする方法であり、この製造方法によると前記本発明の排ガス浄化用触媒担体を得ることができる。
【0046】
(コロイド溶液調製工程)
前記アルミニウムイオンとセリウムイオンとを含有する第一の原料溶液は、アルミニウム化合物と、セリウム化合物と、目的とする前記第一及び第二の超微粒子の組成に応じて他の金属化合物とを、溶媒に溶解させることにより得られる。
【0047】
このようなアルミニウム化合物、セリウム化合物、他の金属化合物としては、それらの金属の塩(酢酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等)が好適に用いられ、中でも、副生成物としてHCl等の腐食性溶液を生成しない、また排ガス浄化用触媒担体として使用した場合に性能劣化成分となる硫黄を含まない、という観点から酢酸塩又は硝酸塩が特に好ましい。
【0048】
前記高分子分散剤を含有する第二の原料溶液は、高分子分散剤と、必要に応じてアンモニウム塩(酢酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等)、アニモニア水、酸(酢酸、硝酸等)、過酸化水素水等とを、溶媒に溶解させることにより得られる。前記高分子分散剤としては、ポリアルキレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールが好ましく、液中で高い分散性能を発揮できるという観点から、ポリアルキレンイミン及びポリアクリル酸が特に好ましい。
【0049】
本発明に用いられる溶媒としては、水、水溶性有機溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリル等)、水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
【0050】
コロイド溶液を得る工程においては、1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に、第一の原料溶液及び第二の原料溶液が独立に直接導入され、均質に混合される。このように均質混合することにより、水等の金属化合物結晶子が凝集し易い溶媒においても、金属化合物結晶子をそのままの状態、又は径がより小さく均一な凝集体の状態で液中で分散させることが可能となる。
【0051】
このような混合方法に用いられる装置としては、例えば、図1に示すものが挙げられる。以下、図面を参照しながら、本発明に好適な装置ついて詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
図1に示す製造装置は、攪拌装置としてホモジナイザー10を備えており、ホモジナイザー10の先端部(攪拌部)が反応容器20内に配置されている。ホモジナイザー10の先端部は、図2に示すように、凹型のローター11と、ローター11の外周との間に所定のギャップの領域が形成されるように配置された凹型の外側ステータ12と、ローター11の内周との間に所定のギャップの領域が形成されるように配置された凸型の内側ステータ13とを備えている。さらに、ローター11は、回転シャフト14を介してモーター15に接続されており、回転することが可能な構造となっている。
【0053】
そして、図1に示す製造装置においては、複数のノズル、すなわち、原料溶液Aを導入するためのノズル16Aと原料溶液Bを導入するためのノズル16Bとが、それぞれ内側ステータ13におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられている。また、ノズル16Aには流路17Aを介して原料溶液Aの供給装置(図示せず)が、ノズル16Bには流路17Bを介して原料溶液Bの供給装置(図示せず)がそれぞれ接続されており、ローター11と内側ステータ13との間の領域に原料溶液Aと原料溶液Bとをそれぞれ独立して直接的に導入することが可能な構造となっている。
【0054】
さらに、図1に示す製造装置においては、図3及び図4に示すように、ノズル16A及びノズル16Bが、内側ステータ13におけるローター11に対向する面において、ローター11の回転軸Xに対して直交する所定の面Yの外周方向に交互に設けられている。
【0055】
なお、図3及び図4においては、ノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ12個ずつ設けられているが(24孔タイプ)、ノズル16A及びノズル16Bの数は特に限定されるものではない。従って、ノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ1個ずつ設けられていればよいが(2孔タイプ)、原料溶液A及び原料溶液Bが前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間をより短縮できるという観点から、ノズル16A及びノズル16Bの数はそれぞれ10個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましい。一方、ノズル16A及びノズル16Bのそれぞれの数の上限は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、ノズルの詰まりをより確実に防止するという観点から、交互に配置されたノズル16A及びノズル16Bの開口部の直径が0.1mm程度以上の寸法を取り得るようにすることが好ましい。このようにノズルの開口部の直径は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、ノズルの詰まりをより確実に防止するという観点から、0.1〜1mm程度であることが好ましい。
【0056】
また、図3及び図4においては、ノズル16A及びノズル16Bが、ローター11の回転軸Xに対して直交する一つの面Yの外周方向に一列に交互に設けられているが、複数の面の外周方向に複数の列において交互に設けられていてもよい。
【0057】
以上説明した図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとから原料溶液A及び原料溶液Bがそれぞれ導入される領域、すなわち図1及び図2においてはローター11の内周と内側ステータ13の外周との間の領域において、剪断速度が1000〜200000sec−1となるように設定され、2000〜100000sec−1となるように設定されることがより好ましい。この領域の剪断速度が前記下限未満になると、金属化合物結晶子の凝集と複数の結晶子に高分子分散剤が吸着した構造が破壊されず、より大きな凝集体が残存するようになる。他方、この領域の剪断速度が前記上限を超えると、高分子分散剤が破壊されるため、安定したコロイド溶液が得られない。
【0058】
このような剪断速度を達成するための条件としては、ローターの回転速度及びローターとステータとの間のギャップの大きさが影響するため、前記領域の剪断速度が前記条件を満たすようにそれらを設定する必要がある。具体的なローター11の回転速度は特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、例えば、内側ステータ13の外径12.0mm、ローター11と外側ステータ12との間のギャップ0.2mm、及びローター11と内側ステータ13との間のギャップ0.5mm、外側ステータ12の内径18.8mmの場合には、ローター11の回転速度を好ましくは2000〜20000rpm、より好ましくは3000〜15000rpmに設定することによって前記剪断速度を達成することが可能となる。また、内側ステータ13とローター11との間のギャップを0.2mmにすれば、ローター11の最大回転速度を好ましくは8387rpm、より好ましくは6291rpmまで下げることができる。
【0059】
また、ローター11と内側ステータ13との間のギャップの大きさも特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましい。さらに、ローター11と外側ステータ12との間のギャップの大きさも特に制限されず、装置の大きさによっても変わってくるが、0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましい。このギャップの大きさの変化に対応してローター11の回転速度を調整することにより前記範囲の剪断速度を達成することが可能となる。これらのギャップが前記下限未満になるとギャップの詰まりが発生し易くなる傾向にあり、前記上限を超えると効果的な剪断力を付与できない傾向にある。
【0060】
また、図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとからそれぞれ供給された原料溶液A及び原料溶液Bが、前記領域に導入されてから1msec以内(特に好ましくは0.5msec以内)に均質混合されるようにノズル16A及びノズル16Bが配置されていることが好ましい。なお、ここでいう原料溶液が前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間とは、ノズル16A(又はノズル16B)から導入された原料溶液A(又は原料溶液B)が隣接するノズル16B(又はノズル16A)の位置に到達し、ノズル16B(又はノズル16A)から導入された原料溶液B(又は原料溶液A)と混合されるまでの時間をいう。
【0061】
以上、本発明に好適に用いられる装置について説明したが、本発明においては前記原料溶液Aとして第一の原料溶液を用い、前記原料溶液Bとして第二の原料溶液を用いても、その逆であってもよい。また、本発明は、図1に示す製造装置を用いる方法に限定されるものではない。例えば、図1に示す製造装置においては、ノズル16Aとノズル16Bとがそれぞれ内側ステータ13におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられているが、ノズル16Aとノズル16Bとがそれぞれ外側ステータ12におけるローター11に対向する面にそれぞれ設けられていてもよい。そのように構成すれば、ローター11と外側ステータ12との間の領域に原料溶液Aと原料溶液Bとをそれぞれ独立して直接的に導入することが可能となる。なお、その領域における剪断速度は前記条件を満たすように設定する必要がある。
【0062】
第一の原料溶液及び第二の原料溶液における各原料溶液の送液速度は特に制限されないが、1.0〜30ml/minが好ましい。原料溶液の送液速度が前記下限未満になると金属化合物の結晶子やその凝集体の製造効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると金属化合物結晶子の凝集体の粒子径が大きくなる傾向にある。
【0063】
また、前記金属イオンを含む第一の原料溶液の陽イオン濃度としては0.005〜0.5mol/Lが好ましく、0.01〜0.3mol/Lがより好ましい。陽イオン濃度が前記範囲にあると金属化合物結晶子はそのままの状態、又は径が小さく均一な凝集体の状態で液中で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、陽イオン濃度が前記下限未満になると金属化合物の結晶子の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコロイド溶液中の金属化合物の結晶子及び/又はその凝集体(以下、場合により金属化合物微粒子という)間の距離が高分子分散剤の会合サイズよりも短くなるため、高分子分散剤の吸着による立体障害斥力が効果的に作用せず、結晶子や凝集体同士がさらに凝集する傾向にある。
【0064】
前記金属イオンを含む第一の原料溶液において、アルミニウムイオンとセリウムイオンとの比率は溶液1L当たりのモル比で92:8〜58:42であることが好ましい。アルミニウムイオンの含有量が前記下限未満になると得られる触媒担体粉末において、アルミナの拡散障壁としての機能が十分に発揮されない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとセリアの量が低下するため、十分なOSC性能が発揮されない傾向にある。
【0065】
また、アルミニウムイオンとセリウムイオン以外の他の金属イオンを含有する場合の他の金属イオンの含有量は特に制限されず、目的とする前記第一及び第二の超微粒子の組成に応じて調整することができるが、第一の原料溶液中の陽イオンの全量に対して35mol%以下であることが好ましい。前記他の金属イオンとしてジルコニウムイオンを含有する場合には、前記陽イオンの全量に対するジルコニウムイオンの含有量は2〜35mol%であることが好ましい。また、前記他の金属イオンとしてイットリウムイオンを含有する場合には、前記陽イオンの全量に対するイットリウムイオンの含有量は0.05〜4mol%であることが好ましい。さらに、ジルコニウムイオン及びイットリウムイオンを含有する場合には、前記陽イオンの全量に対するジルコニウムイオンの含有量は2〜35mol%であり、イットリウムイオンの含有量は0.05〜4mol%であることが好ましい。
【0066】
さらに、本発明に係るコロイド溶液を得る工程においては、高分子分散剤としてポリアルキレンイミン又はポリアクリル酸を用いることが好ましいが、用いる高分子分散剤に応じてそれぞれ以下の条件を満たすことがより好ましい。
【0067】
<高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いる場合>
ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は3000〜15000であることが好ましく、8000〜12000であることがより好ましい。ポリアルキレンイミンの重量平均分子量が前記範囲にあると金属化合物結晶子はそのままの状態、又は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、ポリアルキレンイミンの重量平均分子量が前記下限未満になるとポリアルキレンイミンが金属化合物微粒子に吸着しても立体障害による斥力が十分に発現せず、金属化合物微粒子が凝集する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリアルキレンイミンが架橋構造を形成し、大きな凝集体が形成する傾向にある。なお、前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(装置名:分子量分布測定システム(島津製作所社製)、溶媒:THF、カラム:GPC−80M、温度:40℃、速度:1ml/min)により測定され、標準物質(商品名:shodex STANDARD、昭和電工社製)で換算した値である。
【0068】
また、得られたコロイド溶液におけるポリアルキレンイミンの含有量としては、前記金属化合物の結晶子の単位表面積に対して5〜35mg/mが好ましく、5〜15mg/mがより好ましい。ポリアルキレンイミンの含有量が前記範囲にあると金属化合物結晶子はそのままの状態、又は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、前記ポリアルキレンイミンの含有量が前記下限未満になると金属化合物微粒子の表面をポリアルキレンイミンが十分に被覆することができず、金属化合物微粒子が凝集してより大きな凝集体が形成される傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコロイド溶液中に遊離のポリアルキレンイミンが多く存在するため、ポリアルキレンイミンの架橋反応が著しく進行し、粒子径の大きな凝集体が形成する傾向にある。
【0069】
また、得られたコロイド溶液のpHは1.0〜6.0に調整することが好ましい。コロイド溶液のpHが前記範囲にあるとポリアルキレンイミンは解離してNH基が形成され、金属化合物結晶子の負に帯電したサイト又はニュートラルなサイトに吸着して分散効果を付与する。その結果、金属化合物結晶子はそのままの状態、又は径が小さく均一な凝集体の状態で分散し、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、pHが前記下限未満になると金属化合物結晶子の表面が大きく正に帯電するため、解離してNH基が形成したポリアルキレンイミンは金属化合物結晶子に吸着しにくく、金属化合物微粒子間に十分な斥力が発現せず、金属化合物微粒子が凝集する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリアルキレンイミンの解離度が小さく、金属化合物微粒子へのポリアルキレンイミンの吸着量が減少し、金属化合物微粒子間に十分な斥力が発現せず、金属化合物微粒子が凝集する傾向にある。
【0070】
さらに、第一の原料溶液及び第二の原料溶液がそれぞれ導入される領域において、剪断速度が7500sec−1以下(より好ましくは6500sec−1以下)となるように設定されることが好ましい。この領域の剪断速度が前記上限を超えると、ポリアルキレンイミンが破壊されて、前記金属化合物微粒子に十分な斥力を付与することができず、より大きな凝集体が形成する傾向にある。
【0071】
<高分子分散剤としてポリアクリル酸を用いる場合>
ポリアクリル酸の重量平均分子量としては1000〜5000が好ましく、1000〜3000がより好ましい。ポリアクリル酸の重量平均分子量が前記範囲にあると金属化合物結晶子はそのままの状態又は粒子径が小さく均一な凝集体となり、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、ポリアクリル酸の重量平均分子量が前記下限未満になると高分子分散剤が結晶子に吸着しても立体障害や静電反発による斥力が十分に発現せず、結晶子同士が凝集する傾向にあり、他方、前記上限を超えると高分子分散剤が結晶子に比べて極端に大きくなり、分子内に吸着サイトが均質に多数存在するため、多数の結晶子に吸着し易くなり、より大きな凝集体が残存する傾向にある。なお、前記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(装置名:分子量分布測定システム(島津製作所社製)、溶媒:THF、カラム:GPC−80M、温度:40℃、速度:1ml/min)により測定され、標準物質(商品名:shodex STANDARD、昭和電工社製)で換算した値である。
【0072】
また、得られたコロイド溶液におけるポリアクリル酸の含有量としては、前記金属化合物の結晶子の単位表面積に対して5〜21mg/mが好ましく、5〜15mg/mがより好ましい。ポリアクリル酸の含有量が前記範囲にあると金属化合物結晶子の凝集体は粒子径が小さく均一なものとなり、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、ポリアクリル酸の含有量が前記下限未満になると金属化合物結晶子の表面を高分子分散剤が十分に被覆することができず、結晶子同士が凝集してより大きな凝集体が形成される傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコロイド溶液中に遊離の高分子分散剤が多く存在するため、多数の結晶子に吸着し、より大きな凝集体が残存する傾向にある。
【0073】
また、得られたコロイド溶液のpHは5.0〜10.0に調整することが好ましく、6.0〜9.0に調整することがより好ましい。特に、ポリアクリル酸として全繰り返し単位のうちの親水基を有するものの割合が90%以上100%以下のものを用いる場合には、コロイド溶液のpHを5.0以上10.0以下に調整することがさらに好ましい。また、親水基を有する繰り返し単位の割合が50%以上90%未満(より好ましくは75%以上90%未満)のものを用いる場合には、コロイド溶液のpHを7.0以上10.0以下に調整することがさらに好ましい。コロイド溶液のpHを前記範囲に調整することにより粒子径が小さく均一な金属化合物結晶子の凝集体を得ることができ、保存安定性に優れたコロイド溶液を得ることができる。一方、pHが前記下限未満になるとポリアクリル酸のカルボキシル基が解離しないため、ポリアクリル酸の金属化合物結晶子への吸着量が少なくなり、結晶子同士がさらに凝集する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、金属化合物の種類にもよるが、金属化合物結晶子の表面が負にチャージしやすく、カルボキシル基が解離したポリアクリル酸の吸着量が少なくなり、結晶子同士がさらに凝集する傾向にある。
【0074】
さらに、第一の原料溶液及び第二の原料溶液がそれぞれ導入される領域において、剪断速度が3000sec−1以上(より好ましくは6000sec−1以上)となるように設定されることが好ましい。この領域の剪断速度が前記下限未満になると、金属化合物結晶子の凝集と複数の結晶子に高分子分散剤が吸着した構造が破壊されず、より大きな凝集体が残存する傾向にある。
【0075】
本発明の触媒担体の製造方法においては、前記コロイド溶液を得る際において、コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件に調整する。前記pH条件は、用いる高分子分散剤等によって適宜設定されるが、高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いる場合は、前述の理由により、pH条件が1.0〜6.0であることが好ましい。一方、高分子分散剤としてポリアクリル酸を用いる場合は、前述の理由により、pH条件が5.0〜10.0であることが好ましく、6.0〜9.0であることがより好ましい。なお、ここでいうコロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得る状態とは、コロイド溶液中のナノ粒子やその凝集体の凝集が実質的に進行しない状態をいう。
【0076】
(水熱処理工程)
次いで、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記コロイド溶液を水熱処理する。本発明に係る水熱処理工程における水熱処理温度は、70〜90℃の範囲であることが必要である。温度が前記下限未満では、アルミニウム化合物の結晶化が不十分となり、また、セリアと他の金属酸化物との固溶体(セリア/ジルコニア固溶体、セリア/イットリア固溶体、セリア/ジルコニア/イットリア固溶体等)を形成せしめる場合に、原子の再配列が起こりにくくなる。他方、温度が前記上限を超えると、触媒担体の比表面積が小さくなり、さらに、セリアのみが単独で分離析出されてしまうため触媒の耐熱性が低下しやすくなる。また、このような水熱処理温度としては、アルミニウム化合物を析出させ、比表面積を大きくし、且つ、セリアと他の金属酸化物との固溶体を形成せしめる場合には原子の再配列を促し、空孔が形成されることを抑制できるという観点から、80〜90℃であることが特に好ましい。
【0077】
さらに、このような水熱処理工程における水熱処理時間は、水熱処理温度に応じて適宜調整することができるが、360〜1800分の範囲であることが好ましく、1200〜1440分の範囲であることがより好ましい。水熱処理時間が前記下限未満では、複合金属酸化物多孔体前駆体の溶解や再析出の促進効果が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、水熱処理による効果が飽和状態となり、生産性が低下することになる傾向にある。
【0078】
(凝集工程)
次いで、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記水熱処理を施したコロイド溶液のpHを、そのコロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件に調整することが好ましい。
【0079】
この工程におけるコロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件は、用いる高分子分散剤等によって適宜設定されるが、高分子分散剤としてポリアルキレンイミンを用いる場合は、pH条件が9.0〜12.0であることが好ましく、9.5〜10.5であることがより好ましい。一方、高分子分散剤としてポリアクリル酸を用いる場合は、pHを酸性側にするとアルミニウム化合物粒子が一部溶解することを抑制するという観点から、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法に凝集工程を含まなくてもよい。なお、ここでいうコロイド溶液が液中で分散した状態を維持できない状態とは、コロイド溶液中のナノ粒子やその凝集体の凝集が瞬時に進行する状態をいう。
【0080】
この工程においてpHを調整する方法は特に制限されず、例えばアンモニア水等のアルカリ又は硝酸等の酸を添加することによりpHが所定範囲内になるように調整すればよい。
【0081】
この工程では、コロイド溶液中において高分子分散剤がナノ粒子やその凝集体から脱離し、ナノ粒子やその凝集体の凝集が瞬時に進行して二種類以上の複合金属酸化物の均一分散状態を維持した凝集物が得られる。その際の温度や時間は特に制限されず、例えば、10〜40℃の温度で5〜60秒間程度撹拌して均一分散状態を固定化することが好ましい。
【0082】
(熱処理工程)
次いで、本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法においては、前記凝集工程で得られた凝集物を脱脂し、熱処理して前記本発明の排ガス浄化用触媒担体を得る。
【0083】
この工程における脱脂条件としては、特に制限されないが、酸化雰囲気(例えば、空気)中において、80〜100℃で1〜10時間の条件で乾燥し、その後、300〜400℃で1〜5時間の条件で脱脂することが好ましい。
【0084】
前記熱処理条件としては、酸化雰囲気(例えば、空気)中において、700〜1050℃の温度であることが必要である。温度が前記下限未満では、焼結が完結しないため、触媒使用時に焼結が進行して触媒性能が著しく低下する。他方、温度が前記上限を超えると、比表面積が小さくなり、第二の超微粒子の平均結晶子径が大きくなり、中心細孔直径が大きくなり、細孔容量が小さくなり、その結果、触媒性能が低下する。また、このような熱処理温度としては、より優れた触媒性能が得られる傾向にあるという観点から、800〜1050℃であることが特に好ましい。
【0085】
さらに、このような熱処理時間としては、特に制限されないが、前記温度を1〜10時間程度保持することが好ましい。この時間が前記下限未満では、凝集物を構成する金属化合物が十分に金属酸化物にならない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、高温・酸化雰囲気によりシンタリング等の性能低下を伴い易くなる傾向にある。
【0086】
本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法において、アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との混合物からなる排ガス浄化用触媒担体にさらにCuAl及びCuO等の添加成分をさらに含有せしめる場合は、前記添加成分を更に含有させる工程を含んでいてもよい。このような添加成分を含有させる方法は特に制限されないが、例えば、前記コロイド溶液と同様にCuを含有するコロイド溶液を調製し、前記コロイド溶液と共にCuを含有するコロイド溶液を均質混合する方法が好適に用いられる。
【0087】
次に、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。本発明の触媒の製造方法は、前記本発明の製造方法により得られた排ガス浄化用触媒担体の表面に金属及び遷移金属化合物からなる群から選択されるいずれか一種を担持させる工程を含む方法である。このような金属及び遷移金属化合物を担持させる具体的な方法は特に制限されないが、例えば、金属及び遷移金属化合物の塩(硝酸塩、塩化物、酢酸塩等)又は金属及び遷移金属化合物の錯体を水、アルコール等の溶媒に溶解した溶液に前記排ガス浄化用触媒担体を浸漬し、溶媒を除去した後に焼成及び粉砕するといった方法が好適に用いられる。なお、前記金属及び遷移金属化合物を担持させる工程において溶媒を除去する際における乾燥条件としては30〜150℃で10分以内程度が好ましく、また、焼成条件としては、酸化雰囲気(例えば、空気)中において250〜600℃で30〜60分程度が好ましい。また、所望の担持量になるまでこのような金属及び遷移金属化合物の担持工程を繰り返してもよい。
【実施例】
【0088】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
<コロイド溶液調製工程>
先ず、硝酸アンモニウムセリウム7.2g、オキシ硝酸ジルコニル3.2g、硝酸イットリウム1.0g、硝酸アルミニウム27.0gをイオン交換水500gに溶解して複合金属酸化物の原料となる陽イオンを含む第一の原料溶液を調製した。これらの添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=73:17:7:3(モル比)に相当する。次いで、硝酸アンモニウム31.3g、下記式(1)に示す重量平均分子量10000のポリエチレンイミン62.5g、硝酸115gをイオン交換水385gに溶解して第二の原料溶液を調製した。このポリエチレンイミンの添加量は、金属化合物の結晶子の表面積あたり6.7mg/mに相当する。
【0090】
【化1】

【0091】
次に、図1に示す製造装置(スーパーアジテーションリアクター)を用いてAlとCeO−ZrO−Y3元系金属化合物とを含有するコロイド溶液を作製した。なお、ステータ13としてはノズル16A及びノズル16Bがそれぞれ24個ずつ設けられている48孔タイプのものを使用した。そして、図1に示すように、ホモジナイザー10の先端を100mlビーカー20の中に浸るようにセットし、ホモジナイザー10におけるローター11を3400rpmの回転速度で回転させながら、上記第一の原料溶液と第二の原料溶液とをそれぞれ2.5ml/minの供給速度でチューブポンプ(図示せず)を用いてノズル16A及びノズル16Bからローター11と内側ステータ13との間の領域に送液して混合し、AlとCeO−ZrO−Y3元系金属化合物とを含有するコロイド溶液(pH1.0)を調製した。
【0092】
なお、ローター11の外径は18.4mm、ローター11と外側ステータ12との間のギャップは0.2mmであり、それらの間の領域における剪断速度は16000sec−1であった。また、内側ステータ13の外径は12.0mm、ローター11と内側ステータ13との間のギャップは0.5mmであり、それらの間の領域における剪断速度は4600sec−1であった。また、第一の原料溶液と第二の原料溶液とが前記領域に導入されてから均質混合されるまでの時間は0.37msecであった。ここで、均質混合されるまでの時間とは、ノズル16A又はノズル16Bから吐出された原料溶液A又は原料溶液Bがローター11の回転によって隣接するノズル16B又はノズル16Aに到達するまでの時間と定義されるものである。
【0093】
<水熱処理工程>
得られたコロイド溶液を密閉容器に入れ、80℃まで加熱して維持し、密閉容器内の圧力を0.1〜1.0MPaの範囲内に維持しつつ、24時間の水熱処理を施した。その後、水熱処理後の溶液を室温まで冷却した。
【0094】
<凝集工程>
水熱処理後のコロイド溶液に対して撹拌しながらアンモニア水を10秒間で添加する方法でpH9.5に調整して凝集物を得た。
【0095】
<熱処理工程>
得られた凝集物を大気中100℃で10時間保持して乾燥し、その後大気中250℃で5時間保持して脱脂し、さらにその後大気中900℃で5時間保持する条件で熱処理し、複合金属酸化物多孔体である触媒担体を得た。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量は、表5に示すように、Alは47.4質量%、CeOは37.3質量%、ZrOは11.5質量%、Yは3.9質量%であった。
【0096】
(実施例2)
熱処理温度を950℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0097】
(実施例3)
硝酸アンモニウム31.3g、重量平均分子量2000の親水基100%であるポリアクリル酸アンモニウム70g、25質量%のアンモニア水10gをイオン交換水420gに溶解した溶液を第二の原料溶液として用いたこと以外は実施例1と同様にしてコロイド溶液(pH6.5)を調製した。このコロイド溶液を用いて、凝集工程を行わずに水熱処理後のコロイド溶液をそのまま脱脂し、熱処理温度を1000℃とし、ローター11と内側ステータ13との間の領域における剪断速度を32500sec−1としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、このポリアクリル酸の添加量は、金属化合物結晶子の表面積あたり6.7mg/mに相当する。
【0098】
(実施例4)
熱処理温度を1000℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0099】
(実施例5)
熱処理温度を1050℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0100】
(比較例1)
熱処理温度を600℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0101】
(比較例2)
熱処理温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0102】
(比較例3)
第一の原料溶液と第二の原料溶液とを急速に導入し、回転数300rpmで12時間プロペラ攪拌することにより混合したこと以外は実施例1と同様にしてコロイド溶液を調製した。このコロイド溶液を用いて、熱処理温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0103】
(比較例4)
25質量%のアンモニア水40gをイオン交換水460gに溶解した溶液を第二の原料溶液として用いたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0104】
(比較例5)
水熱処理温度を100℃としたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0105】
(比較例6)
水熱処理温度を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。
【0106】
(実施例6)
硝酸アンモニウムセリウム12.3g、オキシ硝酸ジルコニル2.6g、硝酸イットリウム1.3g、硝酸アルミニウム24.1gをイオン交換水500gに溶解した溶液を第一の原料溶液として用い、第二の原料溶液に添加する硝酸アンモニウムを31.3gに代えて32.6gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、第一の原料溶液における添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=64:23:10:3(モル比)に相当する。得られた触媒担体において、アルミナの含有量は37.5質量%であった。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量を表5に示す。
【0107】
(実施例7)
硝酸アンモニウムセリウム5.3g、オキシ硝酸ジルコニル1.1g、硝酸イットリウム0.6g、硝酸アルミニウム31.7gをイオン交換水500gに溶解した溶液を第一の原料溶液として用い、第二の原料溶液に添加する硝酸アンモニウムを31.3gに代えて31.8gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、第一の原料溶液における添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=84:9:4:1(モル比)に相当する。得られた触媒担体において、アルミナの含有量は64.3質量%であった。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量を表5に示す。
【0108】
(実施例8)
硝酸アンモニウムセリウム4.2g、オキシ硝酸ジルコニル0.9g、硝酸イットリウム0.4g、硝酸アルミニウム33.0gをイオン交換水500gに溶解した溶液を第一の原料溶液として用い、第二の原料溶液に添加する硝酸アンモニウムを31.3gに代えて31.7gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、第一の原料溶液における添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=88:8:3:1(モル比)に相当する。得られた触媒担体において、アルミナの含有量は70.6質量%であった。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量を表5に示す。
【0109】
(実施例9)
硝酸アンモニウムセリウム13.3g、硝酸イットリウム1.0g、硝酸アルミニウム27.4gをイオン交換水500gに溶解した溶液を第一の原料溶液として用い、第二の原料溶液に添加する硝酸アンモニウムを31.3gに代えて33.7gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、陽イオンを含む塩の水溶液における添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=73:24:0:3(モル比)に相当する。得られた触媒担体において、アルミナの含有量は45.3質量%であった。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量を表5に示す。
【0110】
(実施例10)
硝酸アンモニウムセリウム6.0g、オキシ硝酸ジルコニル3.6g、硝酸イットリウム1.0g、硝酸アルミニウム27.4gをイオン交換水500gに溶解した溶液を第一の原料溶液として用い、第二の原料溶液に添加する硝酸アンモニウムを31.3gに代えて31.0gとしたこと以外は実施例1と同様にして触媒担体を得た。なお、陽イオンを含む塩の水溶液における添加量は陽イオン濃度0.1mol/L、Al:Ce:Zr:Y=73:6:4:1(モル比)に相当する。得られた触媒担体において、アルミナの含有量は47.5質量%であった。得られた触媒担体において、各金属酸化物の含有量を表5に示す。
【0111】
(比較例7)
触媒担体として市販のアルミナ粉末(商品名:AKP−50、住友化学社製)を用いた。
【0112】
(比較例8)
触媒担体として市販のセリア粉末(商品名:酸化セリウム、第一稀元素化学工業社製)を用いた。
【0113】
<特性評価>
実施例1〜10及び比較例1〜8で得られた触媒担体の各特性を以下の方法により測定し、評価した。
(平均結晶子径)
触媒担体のX線回折(XRD)パターンを、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名「RINT−2200」を用いて、スキャンステップ0.01°、発散及び散乱スリット1deg、受光スリット0.15mm、CuKα線、40kV、20mA、スキャン速度1°/minの条件で測定し、得られた第二の超微粒子の(111)面に由来するピークの半値幅に基づいて、シェラーの式:
D=0.9λ/βcosθ
(式中、Dは結晶子径を示し、λは使用X線波長を示し、βはXRDの測定試料の半値幅を示し、θは回折角を示す)
を用いて計算し、第二の微粒子の平均結晶子径を算出した。表1には実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた触媒担体における第二の超微粒子の平均結晶子径を示し、表3には実施例1及び6〜10で得られた触媒担体における第二の超微粒子の平均結晶子径を示す。なお、比較例5で得られた触媒担体においては、X線回折による測定によって蛍石構造のジルコニア固溶セリア結晶が破壊されたことを確認した。従って、比較例5で得られた触媒担体においては第二の微粒子の結晶子径の測定はできなかった。
【0114】
(比表面積、中心細孔直径、細孔容積)
自動比表面積/細孔分布測定装置(カンタクローム(株)製、商品名「Autosorb−1」)を用い、液体窒素温度(−196℃)条件で定容量式ガス吸着法により触媒担体の窒素吸着等温線を求めた。なお、触媒担体には測定前に120℃で2時間の真空脱気処理を施した。得られた窒素吸着等温線からBJH法により触媒担体の細孔径分布曲線を求め、触媒担体の中心細孔直径を算出した。また、前記窒素吸着等温線から触媒担体の細孔容量を算出し、BET法により触媒担体の比表面積を算出した。表1には、実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた触媒担体の比表面積、中心細孔直径及び細孔容積を示し、表3には実施例1及び6〜10で得られた触媒担体の比表面積、中心細孔直径及び細孔容積を示す。
【0115】
(標準偏差)
先ず、得られた触媒担体について、STEM(JEOL製、JEM−2100F Csコレクター)付属のEDS装置(200KV TEM、ADF−STEM像)を用いて、20nm角のエリアでAl,Ce,Zr,Yの含有率(金属換算した場合の含有率(質量%))を300箇所の測定点で測定した。次いで、得られた触媒担体について、ICP発光分析装置(リガク社製、CIROS 120EOP)を用いて、触媒担体における金属の全質量及びAl、Ce、Zr、Yの各質量を測定し、触媒担体における金属の全質量に対するAl、Ce、Zr、Yの各含有率(質量%)を算出した。こうして得られた触媒担体全体における各金属の含有率を基準として、全測定点における各金属の含有率の測定値の標準偏差を算出した。実施例1〜5及び比較例1〜6得られた触媒担体における結果を表2に示し、実施例1及び6〜10で得られた触媒担体における結果を表4に示す。
【0116】
<触媒活性評価>
実施例1〜10及び比較例1〜8で得られた触媒担体の触媒活性を以下の方法により測定し、評価した。
【0117】
先ず、硝酸銅(Cu(NO・3HO)0.951gをイオン交換水584gに溶解した硝酸銅水溶液を用い、得られた触媒担体5gに対して0.25gとなるようにCuを担持し、大気中、600℃で5時間焼成して銅系触媒を得た。この触媒は、触媒担体に酸化銅粒子が担持され、還元雰囲気に晒されると酸化銅の一部が還元されて銅粒子となり、触媒活性を示すものである。
【0118】
次いで、得られた触媒1.0gを常圧固定床流通型反応装置(ベスト測器製)に設置し、CO(0.7容量%)、H(0.23容量%)、NO(0.12容量%)、C(0.16容量%)、CO(10容量%)、O(0.64容量%)、HO(3容量%)及びN(残部)からなるモデルガスを3500mL/minの流量で供給し、触媒入りガス温度が100℃となるように調整し、触媒入りガスのCO濃度、C濃度、NO濃度を測定した。その後、触媒入りガス温度を50℃/minの昇温速度で500℃まで昇温し、10分間保持する前処理を行った。次いで、触媒入りガスを100℃まで冷却した後、再度触媒入りガス温度を15℃/minの昇温速度で600℃まで昇温しつつ、触媒出ガスのCO濃度、C濃度、NO濃度を測定し、触媒入りガス及び触媒出ガスにおけるそれぞれの測定値の差からNO浄化率を算出した。そして、供給されたモデルガス中のNO浄化率がそれぞれ50%に到達する温度(T50−NO)を測定した。実施例1及び6〜10、比較例7〜8において得られた結果を表5に示す。また、実施例1〜5及び比較例1〜6において得られたT50−NO(℃)を縦軸とし、各実施例及び比較例で得られた担体における第二の超微粒子の平均結晶子径(nm)を横軸として、図5に示す。但し、比較例5において第二の超微粒子の結晶子径は測定できなかったため、平均結晶子径を仮に10nmとして示す。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
表1〜4に示した結果から明らかなように、本発明の製造方法によれば、高度に均一配置した2相以上の金属酸化物ナノ粒子(アルミナ粒子、セリア粒子)が物理的に混ざり合ってなる本発明の排ガス浄化用触媒担体を得ることができることが確認された。本発明の排ガス浄化用触媒担体を触媒担体として用いると、拡散障壁としてAlナノ粒子が微細かつ均一に機能性粒子(セリアを含有するナノ粒子)の間に配置されているため、極めて耐熱性に優れた担体となる。さらに、本発明によれば、比表面積、細孔径及び細孔容積を制御できるため、担持される金属や金属化合物種に応じた担体の調製が可能であり、優れた活性を示す触媒の調製が可能となる。
【0125】
また、実施例1と比較例5〜6との比較からも明らかなように、本発明に係る水熱処理を施すことにより、比表面積が増大するため、耐熱性が向上することが確認された。他方、水熱処理の温度が高温になると蛍石構造のジルコニア固溶セリア粒子の結晶構造が破壊されてしまうことから、十分な比表面積を有する均一な結晶が形成できないことが確認された。
【0126】
さらに、図5に示した結果から明らかなように、第二の超微粒子平均結晶子径が5〜11nmである本発明の排ガス浄化用触媒担体は、触媒活性に優れており、その範囲を外れると、触媒活性が急速に劣化することが確認された。
【0127】
また、本発明の排ガス浄化用触媒担体においては、アルミナの含有量が30〜80質量%の範囲であると特に触媒活性に優れることが確認された。これは、高温での熱処理においても、アルミナ粒子が拡散障壁として作用し、セリア粒子及び/又はジルコニア固溶セリア粒子の結晶子径を制御するためと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本発明によれば、担持される触媒成分として遷移金属化合物を用いた場合であっても、高水準の触媒活性を有する触媒を得ることを可能とする排ガス浄化用触媒担体、並びに、その製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0129】
10…ホモジナイザー、11…ローター、12…外側ステータ、13…内側ステータ、14…回転シャフト、15…モーター、16A,16B…ノズル、17A,17B…流路(供給管)、20…反応容器、A,B…反応溶液、X…回転軸、Y…回転軸Xに対して直交する面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナを含有する第一の超微粒子とセリアを含有する第二の超微粒子との混合物からなる排ガス浄化用触媒担体であって、
前記担体に0.1質量%以上含有されるすべての金属元素について、球面収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析により20nm角の微小分析範囲における前記金属元素の含有率(質量%)を300箇所の測定点で測定して得られた各金属元素の含有率の標準偏差が10以下となる条件を満たすように、前記第一の超微粒子と前記第二の超微粒子とが均一に分散しており、
BET法により求めた比表面積が110m/g以上であり、
前記第二の超微粒子が、X線回折法により求めた平均結晶子径が5〜11nmのものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
【請求項2】
窒素吸着法により求めた中心細孔直径が8〜20nmであり、細孔容積が0.2〜0.6cm/gであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒担体。
【請求項3】
前記第二の超微粒子が、ジルコニア及び/又はイットリアを更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒担体。
【請求項4】
アルミナの含有量が30〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体と、前記担体の表面に担持されている金属及び遷移金属化合物からなる群から選択されるいずれか一種とを備えることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項6】
アルミニウムイオンとセリウムイオンとを含有する第一の原料溶液と、高分子分散剤を含有する第二の原料溶液とを、1000〜200000sec−1の剪断速度となっている領域に独立に直接導入して均質混合し、コロイド溶液を得る工程と、
コロイド溶液のpHを、該コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件に調整する工程と、
前記コロイド溶液を70〜90℃の温度条件で水熱処理する工程と、
前記水熱処理後のコロイド溶液を脱脂し、酸化雰囲気において700〜1050℃の温度条件で熱処理することにより排ガス浄化用触媒担体を得る工程と
を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
【請求項7】
前記第一の原料溶液が、ジルコニウムイオン及び/又はイットリウムイオンを更に含有することを特徴とする請求項6に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
【請求項8】
前記水熱処理後のコロイド溶液のpHを該コロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件に調整する工程を、前記水熱処理工程の後にさらに備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
【請求項9】
前記高分子分散剤が少なくとも一種の重量平均分子量が3000〜15000のポリアルキレンイミンであり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件が1.0〜6.0であり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持できないpH条件が9.0〜11.0であることを特徴とする請求項8に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
【請求項10】
前記高分子分散剤が少なくとも一種の重量平均分子量が1000〜5000のポリアクリル酸であり、前記コロイド溶液が液中で分散した状態を維持し得るpH条件が5.0〜10.0であることを特徴とする請求項6又は7に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−187523(P2012−187523A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53596(P2011−53596)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】