説明

排尿情報測定便器

【課題】 簡便な構成で測定開始水位を精度良く、短時間で創成する方法を示すものである。
【解決手段】 本発明では、排泄物が混ざっていることが懸念される溜水を、ポンプなどのアクチュエーターを使用せずに移動することができるため、測定開始水位創成機能の動作信頼性が高い。また物理的なサイホン現象を利用した溜水水位の変更であるため、水位創成のために複雑な測定制御機能、フィードバック機能を必要とせず、高精度で再現性の高い測定開始水位の創成を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水配管に接続されたトラップと、サイホン現象を誘引するゼット吐水流を生じさせるために前記トラップに設けられたゼット吐水手段とを有し、サイホン現象によって前記ボール内の溜水を排出する便器を用いた排尿情報測定便器において、
特に下水配管に接続された便器の衛生性を確保しつつ適切な測定開始水位を創成し、排尿情報測定準備時間に関して使用者が使い勝手の悪化を感じさせないことに好適な排尿情報測定便器の制御方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の排尿情報測定便器では、排尿前にボール内の溜水水位をトラップの溢流水位より所定量低い水位に下げた後にボール内に排尿を行なって、排尿前後の溜水水位差を計測することによって尿量をはじめとする各種の排尿情報の測定を行なっている(例えば、特許文献1参照)。
このような場合、ボールを収集容器として利用することによって、排尿方向に個人差があっても排泄される全ての尿を回収できるため、性別や個人差に関係なく容易に排尿情報が測定できる反面、測定開始水位を創成するための準備動作に時間を要し、使用者にとってはこの準備動作が完了する間の時間が測定待ち時間となり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0003】
そのため、測定のために使用者が便器内に排泄した排泄物を下水配管に排出した後に、トラップ内に再び封水を形成するために行なうリム給水動作時に、従来のトラップ溢流水位より低いの所定水位で停止したまま待機して次回の測定時の測定開始水位とすることによって、測定開始時のこの準備動作を不要とするものもある(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この場合もリム給水の水路開閉手段の動作特性に個体差があるため、排尿情報測定便器毎に個別調整が不可欠であること、また個別調整を実施しても現場の給水圧条件に変動があると、目標としている所定水位に測定開始水位を創成することができない。このように測定開始水位が変動すると、測定可能範囲量が変動するという問題があった。特に溜水の封水深が浅くなった場合には、下水配管内で発生した圧力変動でトラップの破封が発生し、トイレ内に下水配管内の悪臭が侵入する恐れもあった。
【特許文献1】特開2005−009945号公報
【特許文献2】特開2006−126165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は簡便な構成で測定開始水位を精度良く、短時間で創成する方法を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、 被験者の排泄物を受けるボールと、
前記ボールと下水配管とを接続するとともに前記下水配管との連通を水封する溜水を形成するトラップ部を有するトラップと、
前記ボール内に前記溜水を前記下水配管に搬送する送出水を供給する送出水供給手段と、

前記溜水を排出することによって前記溜水のボール側の溜水水位であるボール部溜水の水位を、前記トラップの溢流水位よりも低い所定水位である測定開始水位まで低下させる測定開始水位形成手段と、
前記ボール部溜水の水位を測定する溜水水位測定手段と、
前記溜水水位測定手段によって測定される被験者の排泄物による前記所定水位からの水位変化より排泄量を求める排尿情報算出手段と
を備えた排尿情報測定便器において、
前記測定開始水位形成手段は、
一端を前記トラップの最頂部より上流側で前記所定水位の高さの壁面に設けられた開口部に接続され、他端を前記下水配管に連通された逆U字部を持つ管路で構成された排水トラップを備え、
前記送出水供給手段から前記排水トラップに給水することによって前記溜水の一部を前記排水トラップから前記下水配管に排出させて前記測定開始水位を形成する、
ことを特徴とすることにより、
排泄物が混ざっていることが懸念される溜水を、簡便に移動することができるため、測定開始水位創成機能の動作信頼性が高い。また物理的なサイホン現象を利用した溜水水位の変更であるため、水位創成のために複雑な測定制御機能、フィードバック機能を必要とせず、高精度で再現性の高い測定開始水位の創成を可能とした。
【0006】
また、請求項2記載の発明のよれば、前記トラップは下流端に前記下水配管と接続する排水ソケット部材を備え、前記排水トラップの下流端が前記排水ソケット部材に接続されていることを特徴とすることにより、
測定開始水位創成のために排出した溜水の排出経路を便器部分だけで構成する必要がないため、高さ方向の設計自由度が増した他、排水ソケットを床に固定してから便器を取り付け、次いで付属部品を取り付けていくという従来からの施工方法を踏襲した施工作業の実現を可能とした。
【0007】
また、請求項3記載の発明のよれば、前記測定開始水位形成手段は、さらに測定開始水位形成時のみに前記排水トラップに給水する排水トラップ給水手段を有することを特徴とすることにより、測定開始水位創成を短時間で実現できるため、使用者にとってはこの準備動作が完了する間の時間が測定待ち時間が長く、使い勝手が悪いと感じることを無くすことを可能とした。
【0008】
また、請求項4記載の発明のよれば、前記送出水供給手段は前記溜水搬送手段の動作時間を制御することによって前記送出水の供給態様を制御することを特徴とすることにより、
測定開始水位創成を短時間で実現できるため、使用者にとってはこの準備動作が完了する間の時間が測定待ち時間が長く、使い勝手が悪いと感じることを無くすことを可能とした。
【0009】
また、請求項5記載の発明のよれば、前記送出水供給手段は前記溜水搬送手段の送出出力を制御することによって前記送出水の供給態様を制御することを特徴とすることにより、
溜水を下水配管にむけて排出する便器洗浄モードと、前記トラップの溢流水位まである溜水を測定開始水位に変更する測定開始水位創成モードを、同一の溜水搬送手段で実現することを可能とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溜水の水位を短時間で所定の水位に設定できるとともに、測定のために使用する水の量を低下できて節水効果も得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明を実施した第1の実施例における排尿情報測定装置全体を示す斜視図である。図1を使用して、本実施例における排尿情報測定装置の全体構成について以下に述べる。
【0012】
本実施例における排尿情報測定装置1は、便器洗浄機能などの通常の便器機能を備えた洋風大便器4と、洋風大便器4に一体的に組み込まれた衛生洗浄装置7と、洋風大便器4の背後に設置されたキャビネット18と、被験者がそれらの各種の動作を指示する操作を行なったり、得られた測定結果等を表示するために壁に設けられた操作・排泄される尿の一部を直接採取して含まれる操作・表示部70とで構成されている。
【0013】
洋風大便器4は陶器製でありボールの上部には樹脂製の便座171が回動自在に取り付けられている。本実施例では一般的に採用される便ふたを省略した事例を示している。医療機関で使用される他場合、便ふたを回動させるために実施する動作が、身体に疾病を抱えている患者にとっては負担になるということに配慮したものであり、反対に患者の上半身を支えることを配慮した背もたれ172をキャビネット18に設置している。
【0014】
キャビネット18の内部には、被験者が洋風大便器4に排泄する尿の量である尿量や単位時間当たりの排泄速度である尿流率等の尿量情報の測定を行うために溜水の水位変化を計測する機構部等を備えた尿量計測部50と、尿量計測部50の動作制御や情報処理等を行う尿量計測制御部60と、が収納されている。その他、必要に応じて尿中の特定成分濃度等を計測する尿成分測定部などを、キャビネット18の内部に収納しても良い。収納するものの占有体積により、キャビネット18の大きさ・形状は変更が可能である。
【0015】
操作・表示部70は、排尿情報測定用のリモコン72と、衛生洗浄装置操作用のリモコン71とを備え、排尿情報測定結果等を出力するプリンター73はキャビネット18の上方に配置している。被験者の操作性・視認性を配慮した時に、操作・表示部70と排尿情報測定用のリモコン72は壁に取り付けることが推奨されるが、操作の動線を配慮し、プリンター73も壁取り付けとすることも可能である。
【0016】
リモコン72は被験者がトレイに入室し、排尿情報を測定する時に操作するもので、測定開始を指示する測定開始スイッチと、排尿が終了したことを指示する排尿終了スイッチとが設置されている。さらに、リモコン72には被験者の測定履歴などの個人情報を取得するために必要な個人別スイッチやIDカードの読み込み手段等の個人認証手段、及び、電子データの入出力装置等が設けられている。
【0017】
測定結果はプリンター73を使用して被験者に開示されるようになっているが、リモコン72の表示部で被験者に開示しても良い。さらにまた、本排尿情報測定装置を医療機関に設置した場合は、複数の被験者データを看護師が所定の時刻にリモコン72を操作して、プリンター73からデータを取り出すことも考えられる。
【0018】
施工時やメンテナンス実施時の操作は、リモコン71またはリモコン72のスイッチに所定手順の操作を実施することで切替設定されるようになっている。切替方法としては、所定のスイッチを長時間押したりするものであり、施工時やメンテナンス実施時のみに実施される行為としては、溜水水位と溜水量の検量関係を記憶させたり、導圧配管に水を充填させるような行為である。
【0019】
便器内の溜水は、排水ソケット15を介して下水排水口16に排出される。下水排水口16は建物の建築作業によって構成されるものであるが、その位置精度は一般的に考えられる機械工作品よりも大きな公差が必要である。便器4の位置は下水排水口16と一体になるため、下水排水口16の位置ばらつきによって移動することになる。キャビネット18は、前面の前板181と、左右に設けられた側板182と、天井部を覆う甲板183で構成されることになるが、便器位置がずれるということは、その位置に合わせて前板181と側板182と甲板183の大きさを変えなければならないことを示している。
【0020】
本実施例では、特に全長が長く加工の難しい側板182の加工を省略する方法を示している。先ず、前板181の形状を固定寸法とし、便器4と一体化する。前板181は図示しないフレームと一体になっており、側板182と甲板183はフレームに取り付ける構成としている。側板182の奥行き方向寸法は、便器4に発生する前後方向の位置ズレに対して、その前方公差上限位置でも前板181が側板182の前方端よりはみ出さない寸法で形成されている。従って、側板182に対して、便器4と前板181が前後方向にずれるだけである。
【0021】
側板182の前方端部(木口)には、R形状を有する軟質部材が設けられており、被験者の腕や肘が前方端部(木口)にあたってもけがをしないように配慮されている。医療機関で使用することを想定した場合、視覚に疾病を持っていたり、高齢になって視力の低下した被験者も想定される。そのような被験者の使用を想定した場合は、側板182の前方端部(木口)と面材を別の色、つまりコントラストのある黒と白を採用すると、便器4の位置を明確に判別することができるという利点も持っている。
【0022】
図2は本発明を適用した排尿情報測定装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。
なお、ここで各構成要素を繋いでいる実線は水管路を示し、破線は水以外の情報等の接続経路を示す。
【0023】
排尿情報測定装置1は大きくは便器部3と、排尿情報測定部5と、操作・表示部70と、に分かれている。便器部3と排尿情報測定部5とが分けられて構成されているのは、両者の製造拠点が異なることと、施工業者が異なることに配慮されている。即ち、複数の製造拠点で夫々梱包されて輸送されてきた両者は施行現場において、一般的には、給排水を担当する設備業者が便器部3の設置及び上下水道との接続を行ない、医療機器の施工工事を担当する業者が排尿情報測定部5を設置して便器部3と排尿情報測定部5とを結ぶ給排水配管と信号経路の接続を行なって排尿情報測定装置1を完成させた後に、排尿情報測定装置1のシステムとしての動作確認を実施することができるようにしている。そのために、この便器部3の動作と排尿情報測定部5の動作との連携を図る連係動作制御手段80が、この両者にまたがって設けられている。
【0024】
便器部3は、排泄物を受けてこれを下水配管に搬送する通常の便器としての機能を備えた洋風大便器4と、洋風大便器4に一体的に組み込まれ用便後の使用者の局部を洗浄するための衛生洗浄手段7aを備えた衛生洗浄装置7と、洋風大便器4と衛生洗浄装置7の動作を制御する便器制御部40とで構成されている。
【0025】
洋風大便器4は、被験者が排泄を行うボール20と、下水配管との連通を水封する溜水23をボール20に貯留するためにボール20に連接されたトラップ14と、ボール20への給水を行う便器給水手段30とを備え、トラップ14は排水ソケット15を介してトイレ室内に設けられた下水配管に連通する下水配管口16に接続されている。
【0026】
トラップ14の管路途中には、排水トラップ141が接続されている。排水トラップ141の下流端は排水ソケット15に接続され、溜水23を下水配管へ排出可能な構成になっている。排水トラップ141の満水水位W2よりもトラップ14の満水水位W1は、低い位置に設定されている。排水トラップ141はトラップ14に対して流路断面積が小さく、同一の給水量であった場合、排水トラップ141はトラップ14よりサイホン現象が誘引されやすくなっている。
【0027】
ボール20の内面には、リム吐水口21が上縁部に、ゼット吐水口22が下部に、夫々設けられており、いづれも便器給水手段30によって供給される水をボール20内に吐出させる開口部となっている。
【0028】
便器給水手段30は、リム吐水口21と、ゼット吐水口22とへそれぞれ水を供給するリム給水手段31とゼット給水手段32と、を備えている。
【0029】
外部の給水源から排尿情報測定装置1への給水は、装置給水手段12を経て、分岐金具131によってさらに、衛生洗浄手段7aと、洋風大便器4のボール20に給水するリム給水手段31と、ゼット給水手段32と、に分岐された給水路で供給される。
【0030】
ゼット給水手段32は、分岐金具131からの給水を貯留する給水貯留手段32aと、給水貯留手段32aに貯留された貯留水を洋風大便器4に送る貯留水搬送手段32bと、貯留水搬送手段32bによって搬送される水の搬送先をゼット吐水口22又は排水トラップ141に切り替える送出先切替手段32cと、を備えている。
【0031】
便器制御部40には、衛生洗浄手段7aと便器給水手段30の給水動作とを制御する給水制御手段41と、排尿情報測定装置1全体の連携動作を制御するために設けられた後述する連係動作制御手段80を構成する状態表示手段82a及び状態受信手段82bと、が設けられている。
【0032】
また、排尿情報測定部5は、尿量測定部6で構成されており、尿量測定部6はさらに、溜水23の水位変化を計測するために必要な機構を備えた尿量計測部50と、尿量計測部50の動作の制御や得られた計測情報を加工し尿量等の測定情報の算出等を行なう尿量計測制御部60と、を備えている。
【0033】
尿量計測部50には、被験者の排泄による排尿量等を測定するために溜水23の水位変化を計測する溜水水位計測手段51と、下水配管内の圧力変動によって溜水23の水位が受ける影響量を計測する下水圧変動量計測手段52と、ボール20内の溜水23の水位と水量との関係(以下、この関係を「検量関係」と呼ぶ)を計測する検量関係計測手段53と、尿量計測部50と下水配管との連絡管路を水封することによって空気の流通を遮断するための配管縁切り手段55と、が設けられている。
【0034】
溜水水位計測手段51は、後述する計測管路57で溜水23と接続されており、この管路を介して両者は連通している。なお、計測管路57には溜水水位計測手段51の破損防止等のために不要時に管路の閉止を行なう計測管路開閉手段57aが設けられている。
【0035】
また、下水圧変動量計測手段52も、排水ソケット15の内部と連通する後述する下水配管連絡管路522で下水配管に接続されているが、こちらは空気の流通を遮断して下水配管からの汚臭逆流を防止する配管縁切り手段55を介して接続されている。
【0036】
なお、本実施例では、溜水水位計測手段51には、溜水23の水位をその時に生じる水柱の圧力である水頭圧として計測する水頭圧計測手段51aと、実際の溜水23の水位測定に際して、予め基準となる水頭圧を創成して水頭圧計測手段51aの出力を校正する計測出力校正手段51bも合わせて内蔵されている。なお、この計測出力校正手段51bは溜水23の波立ちが溜水水位計測手段51の水位計測に与える影響を取り除く除振手段としても機能させている。
【0037】
また、尿量計測制御部60には、溜水水位計測手段51によって計測される水位情報に基づいて被験者が溜水23に排泄した尿等の排泄物の量や排尿速度などの尿量情報を求める尿量情報算出手段61と、検量関係計測手段53が行なう検量関係等の計測に必要な情報や計測結果等の測定情報を記憶する測定情報記憶手段62と、前述した便器給水手段30を給水制御手段41を介して制御することによって溜水23の水位を測定開始水位に形成する測定開始水位形成制御手段63と、が設けられている。さらに、排尿情報測定装置1の各機能の連係動作を制御する後述の連係動作制御手段80を構成している状態表示手段83aと状態受信手段83bと、が設けられている。
【0038】
尿量情報算出手段61には、溜水水位計測手段51によって計測される溜水23の水位から、検量関係記憶手段621に記憶されている水位と水量との検量関係を利用して溜水23の水量を演算によって求める溜水量算出手段61aと、下水圧変動量計測手段52の計測結果を用いて溜水水位計測手段51が計測した水位計測値を溜水水位測定開始時の下水圧の状態での値に修正する下水圧変動補正手段61bと、が備えられている。
【0039】
尿量情報算出手段61は以上述べた構成で、溜水水位計測手段51が計測する溜水水位値を下水圧変動補正手段61bによって修正した補正後の溜水水位値に基づいて、溜水量算出手段61aがその時の溜水量を算出することによって、排尿量他の尿量情報を求めている。
【0040】
本実施例の排尿情報測定装置1は前述したように、便器部3と排尿情報測定部5とを夫々独立した構成とするために、動作指示を行なう操作部も夫々別体の操作部としてリモコン71とリモコン72とを設ける構成とし、これらのリモコンはお互いの操作情報をやり取りしない独立のリモコンとしている。そして他方では、通常の便器のボール20を排尿情報測定時の排尿収集容器としても利用しているが、これらの装置の各動作間には、例えば通常の便器としての便器洗浄動作と尿量測定動作との間のように、一方の動作によって他方の動作が影響を受けて測定誤差を生じたり、器具が破損したりするものもある。従って、使用者によって行なわれる任意のリモコン操作による動作指示に対して、便器部3と排尿情報測定部5との間で、その時の動作状況に応じて各々をどのように動作させるかを規定する連係動作制御を行なう手段が必要であり、そのために本実施例でも、前述したように連係動作制御手段80を設けている。なお、この連係動作制御を行うためには具体的な制御回路が必要となるが、この中継基板81を介して排尿情報測定部5と便器部3とを接続した構成としている。
【0041】
なお、この中継基板81のように両者の制御回路基板とは別に回路基板を設ける代わりに、連係動作制御の対象となる便器部3の制御手段である便器制御部40、あるいは同じく対象となる排尿情報測定部5の制御手段である計測制御部40の、いずれかの制御回路基板にこの制御回路を一体的に組み込むことも、あるいは、さらに別な実施形態として、これら複数の制御回路を一つの回路基板として構成することも可能である。
【0042】
本実施例での連係動作制御手段80は、便器部3と排尿情報測定部5との間に制御回路基板としてを設けられた中継基板81と、尿量計測制御部60に設けられた状態表示手段83aと状態受信手段83b、便器制御部40に設けられた状態表示手段82aと状態受信手段82bと、を備えている。以下にその制御動作について説明する。
【0043】
状態表示手段82a・83aは、夫々便器部3または排尿情報測定部5の動作情報を中継基板81に送信する。中継基板81は送られてきた便器部3または排尿情報測定部5の動作情報を基にして、その時点の動作状態に応じて予め定められた連係動作情報を生成して記憶する。即ち、中継基板81が常時、両者の動作状態を集約して記憶する構成としている。
【0044】
そして、尿量計測制御部60または便器制御部40は夫々の動作を開始するに際しては、夫々に設けられている状態受信手段82b・83bによって中継基板81によって生成され記憶された前記の連係動作情報を参照し、便器部3または尿量測定部6の動作を夫々予め定められた通りに制御する。前記の連係動作情報は、排尿情報測定装置1全体として干渉動作が予見される時には干渉防止動作に切替を行ったり、駆動信号を遅滞させて伝送する等の整合・調整を行なうことで相互の干渉動作が生じないように予め定められている。
【0045】
図3は図2で示した本発明の第1の実施例である排尿情報測定装置1の便器部3と排尿情報測定部5の水管路関係の具体的な構成を示したものである。ただし、衛生洗浄装置7の詳細は省略している。
大便器4は排水ソケット15を介して下水配管口16に接続されている。トラップ14によって形成される溜水23には、下水配管との連通を遮断する封水の役割を持たせることで、下水配管内で発生した臭気や衛生害虫がトイレ内に侵入しないよう衛生面に配慮されている。
【0046】
さらに、トラップ14の管壁には、トラップ14の逆U字形状部の溢流水位Hを規定する最頂部よりボール20側で、かつ、溢流水位Hより低い位置に、排水トラップ流入口145が開口されている。この排水トラップ流入口145には、トラップ14の流路断面積より小さな断面積の細管で逆U字形状の形状部を持つ排水トラップ141の一端が接続されており、その他端は排水ソケットの壁面であって排水トラップ流入口145の位置より低い位置に開口された排水トラップ流入口146に接続されている。そして後述するように、この排水トラップ141は本発明による測定開始水位形成手段の構成要素として機能する。
【0047】
上水道などの外部給水源からの給水は、装置給水手段12を構成する止水栓121、定流量弁122、開閉弁123を経て、給水管路分岐手段である分岐金具131でリム吐水口21に向けたリム給水管路311と、ゼット吐水口22に向けたゼット給水管路321に分岐されて供給されている。リム給水管路311にはリム給水手段31として、開閉弁312、バキュームブレーカー313、フラッパー弁314、が下流側に向けてこの順に設けられている。バキュームブレーカー313とフラッパー弁314とは夫々、管路内の残水抜き作用と外部給水源に向けた逆流防止作用とを担っている。
【0048】
ゼット給水管路321には、分岐金具131から分岐した最上流に、エアギャップを経て給水を一定量貯留する給水貯留手段32aとしての給水貯留タンク322が設けられ、さらに下流側に向けて順に分岐金具132、フラップ弁323、給水ポンプ324が配設されて、いづれもゼット給水手段31を構成している。なお、給水貯留タンク321には定量貯水を制御するフロートスイッチ等が設けられているが、本図では省略されている。そして、給水貯留タンク321に溜められた水は、貯留水搬送手段32aとしての給水ポンプ324によって、ゼット給水管路321を経由してボール20内の下部のトラップ14に向けて開口したゼット吐水口22に供給されている。
【0049】
給水搬送手段として本実施例で用いられている給水ポンプ324は、単位時間当たりに、トラップ14から流出する量より多くの水を供給することによってトラップ14を満水状態とすることが可能な程度に大きな給水率や、排水トラップ141を満水状態とすることが可能な程度に小さな給水率に制御可能な給水動作を行えるものである。
【0050】
本発明における送出先切替手段32cとして、ゼット給水管路321の途中に開閉弁142と、開閉弁142の上流側に分岐部147とが設けられており、分岐部148より排水トラップ管路144が排水トラップ141の壁面に開口された排水トラップ吐水口143に接続されている。
【0051】
便器洗浄を行う場合は、開閉弁142を開放して給水ポンプ324から大給水率で供給される水をゼット吐水口22から吐水させることにより、トラップ14は満水水位W1となってサイホン現象が誘発され、溜水23は排水ソケット15を経て下水排水口16に排出され、空水位X1になる。次いで、リム吐水口21からボール20内に給水されることにより、トラップ14の溢流水位Hに水位は復帰する。
【0052】
また測定開始水位創成を行う場合は、開閉弁142を閉じた状態で排水トラップ吸入口145に対して排水トラップ141の満水水位W2となるよう、前述の便器洗浄時より少ない給水率で給水ポンプ324を稼動させて排水トラップ管路144を経由して排水トラップ吐水口143から水を吐水する。すると、排水トラップ141内でサイホン現象が誘発され、溜水23は排水トラップ141から排水ソケット15を経て下水排水口16に排出され、溜水23の水位は排水トラップ吸入口145の位置となり、この水位が測定開始水位Yとして取り扱われる。
このように、本実施例では測定開始水位創成のために専用に機能する排水トラップ管路144とその先端に設けられた排水トラップ吐水口143とで構成される本発明における排水トラップ給水手段を備えている。
【0053】
本実施例では給水ポンプ324による給水の送出先切替手段32cとしてゼット給水管路321の途中に開閉弁142と分岐部147とを設けた構成としているが、このような構成は、排水トラップ141は単純な管路構成となるため、溜水23に異物等が混在していても詰まり等が発生しにくいよう配慮したためである。さらに、万一の詰まり等を配慮し、排水トラップ141は着脱可能な構成を採用すると、より長期的な動作信頼性が確保されることになる。
【0054】
従って、送出先切替手段32cの構成としては、この他にもゼット給水管路321の途中に排水トラップ管路144とゼット給水管路321とを選択的に切り替える流路切替弁を設けても良く、また排水トラップ管路144とゼット給水管路321とに各々開閉弁を設けて排他的に動作させるような構成も採用可能である。
【0055】
本方式を採用した場合、短時間で測定開始水位が形成されるため、測定開始時に測定開始水位形成動作を行っても、被験者は待ち時間が短いため使い勝手面の問題を感じることがない。従って、このように測定開始時に測定開始水位形成を行ない、待機中は溢流水位とするようにすれば測定中は封水深を下げることが可能なため、溜水量が小さかったり、封水深が浅い、便器洗浄使用水量の低減を考えた便器を使用する場合においても、十分な測定範囲を確保することができる。また待機中の溜水水位はトラップ14の溢流水位であるから、下水配管内で発生した圧力変動によって溜水切れ(破封)が発生する恐れが小さく、下水配管内の臭気がトイレ内にもれたり、衛生害虫がトイレ内に侵入するような、衛生性の問題に注意を計る必要がないという利点がある。
【0056】
破線で囲まれた尿量計測部50には、尿量計測部50を洗浄する清浄な水を供給するため分岐金具132を介して給水貯留タンク322に連通する尿量計測部給水管路581と、溜水23の水位を計測するためにボール20の略底部の内面に設けられた水位計測口から溜水水位計測手段50に連通する計測管路57と、下水配管と連通する下水配管連絡管路522と、が接続されている。そして、この尿量計測部給水管路581,計測管路57,下水配管連絡管路522,には管路の離接をワンタッチで簡単に行なえるワンタッチ接続金具543,544,545が夫々設けられており、さらには、計測管路57のワンタッチ接続金具544と大便器4との間及び測定部給水管路581のワンタッチ接続金具543と給水貯留タンク322との間には、夫々の管路を閉止するの止水栓541と止水栓542とが設けられている。従って、止水栓541と止水栓542とを閉めてワンタッチ接続金具543,544,545を外せば尿量計測部50は排尿情報測定装置1から取り外すことが可能な構成となっている。
【0057】
尿量計測部50には、測定管路57に接続された測定管511と、溜水23の水位を圧力として計測する水頭圧計測圧力センサ512と、が溜水水位計測手段50として配設されている。
【0058】
水位測定管511は、溜水23を含めてU字管管路系を形成するために大気に開放された大気開放端514と、トラップタンク551の中に延出され縁切りのための封水中に水没する水封端515と、を有している。そして、圧力センサ512は、溜水23の水位をこのU字管管路系の水頭圧として計測するために水位測定管511に設けられた構成となっている。
【0059】
また、水頭圧計測圧力センサ512は、設置された環境の温度変化やセンサ自身の経時変化によって出力が変化するため、本実施例では圧力センサ512の出力を校正するための計測出力校正手段51bをも備えている。即ち、測定管路57の開閉弁571を閉めた状態で、給水貯留タンク322に貯留された水を、分岐金具132、止水栓542、開閉弁582、開閉弁513を経て測定管511に導き、かつ、水封端515からトラップタンク551の中に溢れさせることで水位測定管511の中に一定高さの水柱を作り出す構成となっている。そして、その一定高さの水柱の時の水頭圧計測圧力センサ512の出力を計測することで、水頭圧計測圧力センサ512の出力と水位との関係を大気圧を基準とした水位に対応付ける出力校正を行なう。なお、トラップタンク551は、この出力校正時の測定管511からのオーバーフロー水を下水配管に排出させるために、内部に封水を形成する位置から延出した下水配管連絡管路522で排水ソケット15に接続されて、下水配管との接続管路を水封して縁切りを行なう縁切り手段として機能している。
【0060】
また本実施例の排尿情報測定装置1は、溜水23の水位と溜水量との関係を求める前述した検量関係計測手段53を備えて、大便器4が物理的寸法のバラツキが比較的大きい陶器製であっても、個々の大便器4に固有の検量関係を設置現場で計測して求めることも可能な構成としている。
【0061】
即ち、検量ポンプ531は任意の量を吸引できる定量吸引タイプのポンプが使用され、この検量ポンプ531で溜水23を吸引し、測定管路57、止水栓541、開閉弁571、開閉弁532、検量ポンプ531、トラップタンク551、下水配管連絡管路522を経て、下水配管に向けて排出できる構成になっている。そして、据付現場において溜水23の水位を測定範囲の最高水位以上の水位にして開閉弁513及び開閉弁582を閉止した状態から、検量ポンプ531で所定量分ずつ溜水23をボール20から吸引して排出し、吸引の都度の溜水水位によって発生する水頭圧を水頭圧計測センサ511で測定することにより水位を計測することによって、溜水水位と溜水量の検量関係が取得されるようになっている。
【0062】
本発明における下水圧変動量計測手段52としての下水圧計測センサ521はトラップタンク551に取り付けられ、トラップタンク551とソケット15とを連通する下水配管連絡管路522を介して下水配管内で発生している圧力変動状態を、圧力値として計測している。水圧変動補正手段61bによって、この下水圧影響量測定手段52による計測値に基づいて下水圧変動が溜水水位に与える影響量が算出され、溜水水位計測手段51が計測する水位計測値は常に下水圧変動が無い状態の値に換算される補正処理が行われるようになっている。
【0063】
図4は、本発明の第1の実施例における排尿情報測定装置1の動作を示すフローチャートである。
S101で被験者が個人認証操作を行なうと、S102で個人認証動作が行なわれて個人情報の取得が行なわれるとともに、測定準備動作が開始される。
本実施例では測定準備動作として、溜水23の水位の測定を開始する水位(以下、この水位を「測定開始水位」と呼ぶ)に形成する測定開始水位形成動作が行なわれる。なお、本実施例では待機時の水位にある溜水23を所定量だけ下水配管に排出し、測定開始水位を形成する。
【0064】
そのために、まずS103で、ゼット給水管路に設けられている開閉弁142を閉じる。次いでS104で給水ポンプ324を通常の便器給水動作時のゼット給水より小さな給水率で運転し、給水貯留タンク322の貯留水をゼット給水管路321の分岐部147から排水トラップ給水管路144を経由して排水トラップ吐水口143から吐水させる。すると、この吐水によって排水トラップ141内にサイホン現象が誘発され、溜水23は排水トラップ流入口145から吸引されて排水トラップ141を経由して排水トラップ流出口146から排水ソケット15内に流出し、下水配管に排出される。一定時間この流出が継続すると溜水23の水位は排水トラップ流入口145の位置となり、測定開始水位Yが創成される(S106)。

。なお、この時の測定開始水位Yは、トラップ14のボール20に向いた開口上端が露出してボール20内と下水配管内との空気の流通が可能な状態となる水位である破封水位X2より高い水位に設定することで、下水配管からの汚臭の逆流を防止している。なお、測定開始水位時の溜水量とトラップ14の溢流水位時の溜水量差が、最大尿量測定範囲である。
【0065】
測定開始水位の創成が完了すると測定準備動作は終了し、S107で測定準備が完了したことを、被験者に表示パネルや音声合成によって報知する。S108で被験者が排尿を開始すると溜水23の水位は上昇を始め、溜水水位計測手段51がこの水位変化を微小時間ごとに刻々計測する。S109で、計測された計測値と、予め検量関係記憶手段621に記憶されている溜水水位と溜水量の関係式と、下水圧変動量計測手段52が計測する下水圧変動量から下水圧変動補正手段61bが算出する補正量とを加味して、溜水量算出手段61aが微小時間ごとの溜水変化量から単位時間当たりの排尿量(以下、これを「尿流率」と呼ぶ)を算出する。実際に算出されるのは単位時間当たりの溜水変化量であるが、この時に溜水量の変化を及ぼしているのは排尿だけであるから、この量が単位時間当たりの排尿量ということになる。
【0066】
S110は溜水量算出手段61aがこの時々刻々算出される尿流率を記録する工程であり、S111で被験者による排尿終了操作を認識するまで記録動作を継続する。S112で排尿情報算出手段61は、得られた時々刻々の尿流率測定値から、医療行為に使用される各種排尿情報を演算するステップであり、例えば最大尿流率や最大尿流率到達時間などが演算され、S113において排尿情報として開示される。開示方法としては、被験者に対して測定値としてリモコン72に表示されるほか、プリンタ73で紙面に印刷されたり、電子媒体に記憶されたり、電子情報として遠隔伝送されたりするようになっている。
【0067】
排泄を終了した被験者は、S114で便器洗浄操作スイッチを操作すると、排尿混じりの溜水を下水配管に排出してボール面の洗浄を行う便器洗浄動作を以下のように実施する。即ち、S115でリム給水手段31がボール20に給水を行なうリム給水を行なって溜水水位をトラップの溢流水位に上昇させた後、S116でゼット給水手段32の給水ポンプ324によりボール20への給水動作を行ないサイホン現象を起動させて排泄物を含む溜水を下水配管に排出した後、S117で再びリム給水してボール面の洗浄を行うとともに溜水水位をトラップの溢流水位に復帰させ、S118で一連の測定動作は終了するようになっている。
【0068】
図5は本発明の第2の実施例であり、本発明における測定開始水位形成手段の別構成を示すものである。第1の実施例は便器が本来固有している給水路であるゼット給水管路321とは別の、測定開始水位創成のために使用する専用給水路である排水トラップ管路144を有しているのに対して、第2の実施例は便器固有の給水路の給水量制御だけで排水トラップ141にサイホン現象を誘引して測定開始水位する。
【0069】
次に、その構成について説明するが、第1の実施例と同じ構成の部分の説明は省略して、異なる部分についてのみ説明する。
本実施例における排水トラップ191の構成は、逆U字形状部の管路で構成されている基本構成は第1の実施例での排水トラップ141と同じであるが、第1の実施例の排水トラップ流入口146と同じ機能を持つ排水トラップ第1流入口148の他に、さらにゼット吐水口22に相対する位置のトラップ14管壁に開口する排水トラップ第2流入口149が設けられ、この排水トラップ第2流入口149を一端として排水トラップ141の最頂部の上流側に接続された、サイホン給水管192を有する点が第1の実施例の構成と異なる。
【0070】
測定開始水位を創成する場合、ゼット吐水口22に対して給水ポンプ324を通常の便器洗浄時での給水よりも小さな低給水率で駆動する。この場合、トラップ14は管路断面積が大きいため、この時の低給水率給水では満水水位W1とはならないが、排水トラップ191の管路断面積は小さく設定されているため、排水トラップ191は排水トラップ第2流入口149から流入する水によって満水水位W2となってサイホン現象が誘発される。このサイホン現象によって溢流水位Hであった溜水23の一部は排水トラップ191を経由して下水配管に排出され、溜水23の水位は測定開始水位Yに変化する。
【0071】
便器洗浄を行う場合は、ゼット吐水口22に対して給水ポンプ324を大給水率で駆動する。その場合、トラップ14は満水水位W1となり、サイホン現象が誘発される。その結果、溢流水位Hであった溜水23は排水トラップ191でもサイホン現象が誘発されるため排水トラップ191経由でも排出されるが、大部分はトラップ14から排出され、空水位X1に変化する。その後、リム吐水によってトラップ14の破封水位X2を超え、溢溜水位Hまで溜水を補給する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明を実施した第1の実施例における排尿情報測定装置全体を示す斜視図である。
【図2】第1の実施例における排尿情報測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施例における排尿情報測定装置の具体的な構成を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施例における排尿情報測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例における排尿情報測定装置の具体的な構成を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
1…排尿情報測定装置
3…便器部
4…洋風大便器
5…排尿情報測定部
6…尿量測定部
7…衛生洗浄装置
7a…衛生洗浄手段
12…装置給水手段
121…止水栓
122…定流量弁
123…開閉弁
131…分岐金具
132…分岐金具
14…トラップ
141…排水トラップ
142…開閉弁
143…排水トラップ吐水口
144…排水トラップ給水管路
145…排水トラップ流入口
146…排水トラップ流出口
147…分岐部
148…排水トラップ第1流入口
149…排水トラップ第2流入口
15…排水ソケット
16…下水配管口
171…便座
172…背もたれ
18…キャビネット
181…前板
182…側板
183…甲板
191…排水トラップ
192…サイホン給水管
20…ボール
21…リム吐水口
22…ゼット吐水口
23…溜水
30…便器給水手段
31…リム給水手段
311…リム給水管路
312…開閉弁
313…バキュームブレーカー
314…フラッパー弁
32…ゼット給水手段
32a…給水貯留手段
32b…給水搬送手段
32c…送出先切替手段
321…ゼット給水管路
322…給水貯留タンク
323…フラップ弁
324…給水ポンプ
40…便器制御部
41…便器給水制御手段
50…尿量計測部
51…溜水水位計測手段
51a…水頭圧計測手段
51b…計測出力校正手段
511…水位測定管
512…水頭圧計測センサー
513…開閉弁
514…開放端(水位測定管)
515…水封端(水位測定管)
52…下水圧変動量計測手段
521…下水圧計測センサー
522…下水配管連絡管路
53…検量関係計測手段
531…検量ポンプ
532…開閉弁
541…止水栓(給水源側)
542…止水栓(便器側)
543…ワンタッチ接続金具(給水源側)
544…ワンタッチ接続金具(便器側)
545…ワンタッチ接続金具(下水配管側)
55…下水配管縁切り手段
551…トラップタンク
57…計測管路
57a…計測管路開閉手段
571…開閉弁
581…尿量計測部給水管路
582…開閉弁
60…尿量計測制御部
61…尿量情報算出手段
61a…溜水量算出手段
61b…下水圧変動補正手段
62…測定情報記憶手段
621…検量関係記憶手段
63…測定開始水位形成制御手段
70…操作・表示部
71…リモコン(便器部用)
72…リモコン(排尿情報測定部用)
73…プリンター
80…連係動作制御手段
81…中継基板
82a…状態表示手段(便器部用)
82b…状態受信手段(便器部用)
83a…状態表示手段(尿量測定部用)
83b…状態受信手段(尿量測定部用)
H…溢流水位
W1…満水水位(トラップ14用)
W2…満水水位(排水トラップ141用)
X1…空水位
X2…封水水位
Y…測定開始水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の排泄物を受けるボールと、
前記ボールと下水配管とを接続するとともに前記下水配管との連通を水封する溜水を形成するトラップ部を有するトラップと、
前記ボール内に前記溜水を前記下水配管に搬送する送出水を供給する送出水供給手段と、
前記溜水を排出することによって前記溜水のボール側の溜水水位であるボール部溜水の水位を、前記トラップの溢流水位よりも低い所定水位である測定開始水位まで低下させる測定開始水位形成手段と、
前記ボール部溜水の水位を測定する溜水水位測定手段と、
前記溜水水位測定手段によって測定される被験者の排泄物による前記所定水位からの水位変化より排泄量を求める排尿情報算出手段と
を備えた排尿情報測定便器において、
前記測定開始水位形成手段は、
一端を前記トラップの最頂部より上流側で前記所定水位の高さの壁面に設けられた開口部に接続され、他端を前記下水配管に連通された逆U字部を持つ管路で構成された排水トラップを備え、
前記送出水供給手段から前記排水トラップに給水することによって前記溜水の一部を前記排水トラップから前記下水配管に排出させて前記測定開始水位を形成する、
ことを特徴とする排尿情報測定便器。
【請求項2】
前記トラップは下流端に前記下水配管と接続する排水ソケット部材を備え、
前記排水トラップの下流端が前記排水ソケット部材に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の排尿情報測定便器。
【請求項3】
前記測定開始水位形成手段は、さらに測定開始水位形成時のみに前記排水トラップに給水する排水トラップ給水手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の排尿情報測定便器。
【請求項4】
前記送出水供給手段は前記溜水搬送手段の動作時間を制御する
ことによって前記送出水の供給態様を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の排尿情報測定便器。
【請求項5】
前記送出水供給手段は前記溜水搬送手段の送出出力を制御することによって前記送出水の供給態様を制御制御する
ことを特徴とする請求項1記載の排尿情報測定便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−248556(P2008−248556A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90773(P2007−90773)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】