説明

排気ダクト

【課題】厨房等で発生する排煙に含まれる油脂、塵埃、臭気等の浮遊物をより効果的に除去することのできる排気ダクトを提供すること。
【解決手段】排気ダクト1は、吸気口21および排気口22を有し、吸気口21から排気口22に向けて排煙を流通させるダクト本体2と、ダクト本体2の途中に設けられ、排煙に含まれる浮遊物を加熱して焼却する加熱手段5と、ダクト本体2の加熱手段5よりも排気口22側に設けられ、加熱手段5により加熱された排煙を冷却する冷却手段6とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクト、特に厨房で使用される排気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスコンロ等を備える調理器具の使用により発生する排煙を排気する装置として、調理器具の直方に位置する吸気口と、厨房の外部(屋外)に臨むように位置する排気口とを有する排気ダクトが知られている。このような排気ダクトには、通常、排煙に含まれる油脂、塵埃、臭い成分等の浮遊物(以下、単に「浮遊物」と言う)を除去するフィルタ(例えばグリースフィルタ)が設置されていて、このフィルタにより浮遊物が除去された状態の排煙が、排気口から排気されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の排気装置は、連設する複数のパイプと、その途中に設けられ、グリースフィルタを装着したフィルタ装着部とを有している。そして、最も下方(加熱料理部側)のパイプの開口から排煙を吸気する。吸気された排煙は、グリースフィルタを通過し、これにより、排煙に含まれる油脂が除去される。油脂が除去された排煙は、排気口から排気される。
【0004】
しかしながら、このような排気装置では、グリースフィルタを用いて浮遊物を除去するよう構成されているため、浮遊物を完全に除去することが困難である。さらに、グリースフィルタは、経時的にその除去性能が悪化するため、使用期間が長期になるほど、浮遊物の除去がより困難となってしまう。したがって、このような排気装置によっては、浮遊物が大量に含まれたままの排煙を排気口から厨房の外部に排気してしまうおそれがあり、排気口付近に油脂による汚れが発生したり、排気口から異臭が発生したりする。
【0005】
【特許文献1】特開2004−132576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、厨房等で発生する排煙に含まれる油脂、塵埃、臭気等の浮遊物をより効果的に除去することのできる排気ダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
(1) 吸気口および排気口を有し、前記吸気口から前記排気口に向けて排煙を流通させるダクト本体と、
前記ダクト本体の前記吸気口側端部または途中に設けられ、前記排煙に含まれる浮遊物を加熱して焼却する加熱手段と、
前記ダクト本体の前記加熱手段よりも前記排気口側に設けられ、前記加熱手段により加熱された前記排煙を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする排気ダクト。
【0008】
これにより、厨房等で発生する排煙に含まれる油脂、塵埃、臭気等の浮遊物をより効果的に除去することができる。
【0009】
(2) 前記ダクト本体は、その横断面積が前記吸気口側の横断面積よりも小さい小横断面積部を有し、前記小横断面積部に前記加熱手段が設けられている上記(1)に記載の排気ダクト。
【0010】
これにより、排煙の流路を狭くすることができ、その狭くなった部分に加熱手段を設けることにより、効率的に排煙を加熱し焼却することができる。
【0011】
(3) 前記小横断面積部は、前記吸気口側から前記排気口側に向けて横断面積が漸減する横断面積漸減部を有している上記(2)に記載の排気ダクト。
これにより、加熱手段に向けて排煙を円滑に流通させることができる。
【0012】
(4) 前記加熱手段は、前記ダクト本体内に設けられ、通電により発熱する電熱線を有している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の排気ダクト。
これにより、加熱手段の構成を簡単なものとすることができる。
【0013】
(5) 前記電熱線は、前記ダクト本体内の流路を遮るように突出して設けられている上記(4)に記載の排気ダクト。
これにより、より確実かつ効率的に排煙を加熱し焼却することができる。
【0014】
(6) 前記加熱手段は、バーナーを有している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の排気ダクト。
これにより、加熱手段の構成を簡単なものとすることができる。
【0015】
(7) 前記冷却手段は、前記加熱手段の近傍に設けられている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の排気ダクト。
【0016】
これにより、加熱手段により加熱された排煙を、その加熱直後に冷却することができるため、ダクト本体内が過剰に高温となってしまうことを防止できる。
【0017】
(8) 前記冷却手段は、冷媒を用いて熱交換するよう構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の排気ダクト。
これにより、より確実かつ効率的に排煙を冷却することができる。
【0018】
(9) 前記冷却手段は、内部に前記冷媒が流通する冷却管を有し、該冷却管は、前記ダクト本体内の流路を遮るように突出して設けられている上記(8)に記載の排気ダクト。
これにより、冷却手段の構成が簡単なものとなる。
【0019】
(10) 前記冷媒が吸熱した熱を利用する熱利用機構を有している上記(8)または(9)に記載の排気ダクト。
これにより、熱エネルギーを有効活用することができる。
【0020】
(11) 前記熱利用機構は、前記冷媒が吸熱した熱を利用して、水を加温し温水とするものである上記(10)に記載の排気ダクト。
これにより、熱エネルギーを有効活用することができる。
【0021】
(12) 前記ダクト本体の前記加熱手段より前記吸気口側には、前記排煙に含まれる前記浮遊物の少なくとも一部を除去するフィルタが配置されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の排気ダクト。
【0022】
これにより、加熱手段の手前(排煙の流通方向上流側)で、浮遊物の一部をあらかじめ除去することができ、このフィルタと加熱手段とにより、より確実に排煙に含まれる浮遊物を除去することができる。
【0023】
(13) 前記フィルタは、略V字状に配設されており、
前記加熱手段は、前記フィルタと対面して設けられ、略V字状をなし、通電により発熱する電熱線を有している上記(12)に記載の排気ダクト。
【0024】
これにより、フィルタおよび電熱線の表面積をそれぞれ大きくすることができ、効率的に排煙に含まれる浮遊物を除去することができる。
【0025】
(14) 前記加熱手段は、さらに、前記電熱線よりも前記排気口側に設けられ、通電により発熱する排気口側電熱線を有している上記(13)に記載の排気ダクト。
【0026】
これにより、電熱線の表面積をさらに大きくすることができ、効果的に排煙に含まれる浮遊物を除去することができる。
【0027】
(15) 前記電熱線が前記排気口側電熱線よりも高温となるよう前記加熱手段が作動する上記(14)に記載の排気ダクト。
【0028】
これにより、排煙の流通方向上流側にて排煙を加熱した後、さらに、その下流側にて排煙を加熱できるため、排煙をより高温に加熱することができる。その結果、より確実に、排煙に含まれる浮遊物を焼却することができる。
【0029】
(16) 前記ダクト本体には、前記吸気口から前記排気口に向けて前記排煙を強制的に流通させるファンが設けられている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の排気ダクト。
これにより、吸気口から排気口に向けて排煙を円滑に流通させることができる。
【0030】
(17) 前記ダクト本体の前記冷却手段より前記排気口側には、前記ダクト本体内の温度が所定温度を超えた時に、前記ダクト本体内の流路を遮断するシャッタが配置されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の排気ダクト。
【0031】
これにより、厨房内で火災等が発生した場合に、ダクト本体を介して炎が厨房の外部へ進出してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の排気ダクトを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の排気ダクトの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す排気ダクトが備える加熱手段を説明するための図、図3は、図1に示す排気ダクトが備える冷却手段を説明するための図である。なお、以下の説明では、図1ないし図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、排煙の流通(流動)方向の上流側および下流側をそれぞれ単に「上流側」および「下流側」と言う。
【0033】
図1に示すように、排気ダクト1は、吸気口21および排気口22を有するダクト本体2と、吸気口21に接続されたフード3と、吸気口21を覆うように設けられたフィルタ装置4と、ダクト本体2の途中に設けられた加熱手段5、冷却手段6、防火シャッタ7、ファン8とを有している。
【0034】
このような排気ダクト1は、例えば、厨房に設置されたガスコンロを備える調理器具100の上方に吸気口21が位置するように配置される。そして、ファン8を回転させ、その吸引力により、調理器具100による調理中に発生する排煙等を吸気口21からダクト本体2内に流通させ、ダクト本体2内にて、加熱手段5により排煙に含まれる油脂、塵埃、臭い成分などの浮遊物(以下、単に「浮遊物」とも言う)を除去した後、排気口22から厨房の外部(屋外)へ排気するものである。
【0035】
図1に示すように、ダクト本体2は、調理器具100の上方に設けられている。また、ダクト本体2は、途中で略90°に屈曲した略「L」字状をなし、吸気口21が調理器具100の上方に位置するとともに、排気口22が厨房の外部(屋外)に臨んでいる。また、ダクト本体2の横断面形状は、略正方形をなしている。
【0036】
なお、ダクト本体2の形状としては、特に限定されず、例えば、直線状であてもよいし、不規則に湾曲または屈曲するものであってもよい。また、ダクト本体2の横断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、三角形、長方形、五角形以上の多角形であってもよい。
【0037】
ダクト本体2は、吸気口21と屈曲部23の間に、小横断面積部24を有している。
小横断面積部24は、横断面積が上流側から下流側に向けて漸減する横断面積漸減部241と、逆に横断面積が上流側から下流側に向けて漸増する横断面積漸増部242と、横断面積が上流側から下流側に向けて一定の横断面積一定部243とからなる。
【0038】
また、横断面積漸減部241、横断面積一定部243および横断面積漸増部242は、この順で上流側から下流側に向けて連設している。
【0039】
横断面積一定部243は、小横断面積部24の最も横断面積が小さい部位である。本実施形態では、この横断面積一定部243に後述する電熱線51が配置されている。なお、電熱線51は、加熱手段5の一部を構成するものである。このように、小横断面積部24を設け、かつ、その最も横断面積の小さい部位に加熱手段5を設けることにより、後述するように効率的に排煙を加熱し浮遊物を焼却することができる。
【0040】
また、電熱線51の上流側をテーパ状の横断面積漸減部241とすることにより、電熱線51に向けて排煙を円滑に流通させることができる。また、加熱手段5の下流側をテーパ状の横断面積漸増部242とすることにより、加熱手段5により焼却された排煙を冷却手段6に向けて円滑に流通させることができる。
【0041】
このようなダクト本体2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼など、耐熱性および耐腐食性を有する不燃材料等が挙げられる。
【0042】
以上のようなダクト本体2の外周であって小横断面積部24に対応する部位には、断熱層25が形成されている。小横断面積部24には、電熱線51が設けられているため特に高温となり易い。そのため、この小横断面積部24の外周に断熱層25を設けることにより、高温となった小横断面積部24が外部空間に露出することを防止している。
【0043】
このような断熱層25の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂材料、各種セラミックスなどが挙げられる。
【0044】
フード3は、吸気口21の下方に設けられている。
フード3は、図1中下側から上側に向けて横断面積が漸減するテーパ状をなしていて、吸気口21に接続する上部開口31と、上部開口31の横断面積(開口面積)よりも大きい開口の下部開口32とを有している。また、下部開口32は、調理器具100の上面全域を包含するように設けられている。これにより、調理器具100から発生した排煙を確実に吸気口21へ導くことができる。
【0045】
このようなフード3の構成材料としては、ダクト本体2の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0046】
フィルタ装置4は、吸気口21を覆うように設けられている。このようなフィルタ装置4は、排煙がダクト本体2内へ流通する前に、排煙に含まれる浮遊物(特に、油脂)をある程度、分離し除去する機能を有する。
【0047】
このフィルタ装置4は、図1に示すように、一対のフィルタ(グリースフィルタ)41、42をV字をなすように基部43に装着して構成されているものである。基部43には図示しない3つの開口が形成されており、そのうちの1つはダクト本体2の吸気口21と接続し、残りの2つはフィルタ41、42により覆われている。
【0048】
フィルタ41、42としては、特に限定されず、公知のものを好適に用いることができる。例えば、本実施形態のフィルタ41は、図1中紙面手前側から紙面奥側に向けて延在する板状のステンレス板411を複数並設してなるものを用いている。このようなフィルタ41は、隣接する一対のステンレス板411、411間の空間(流路)を排煙が通過する際に、排煙に含まれる油脂をステンレス板411に対して捕捉除去するものである。なお、フィルタ42については、フィルタ41の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0049】
加熱手段5は、前述したように、小横断面積部24の横断面積一定部243に設けられている。この加熱手段5は、フィルタ装置4にて除去しきれなかった排煙に含まれる浮遊物(例えば油脂、塵埃、臭い成分など)を焼却する機能を有している。
【0050】
図2に示すように、加熱手段5は、電熱線51と、電源52と、電熱線51と電源52とを接続する導線53とを有している。
【0051】
電熱線51は、例えば、1本の線材を螺旋状に旋巻してなる長尺物を蛇行させたものであり、面状をなしている。このような形状とすることにより、ダクト本体2の流路に臨む電熱線51の表面積を大きくすることができる。そのため、排煙を効率的に加熱し浮遊物を焼却することができる。
【0052】
また、電熱線51の両端は、ダクト本体2の外側に露出しており、導線53を介して電源52に接続される。そして、電源52により電熱線51へ通電すると、電熱線51が発熱するようになっている。電熱線51の発熱温度としては、特に限定されないが、500〜800℃であることが好ましい。これにより、より確実に浮遊物を焼却することができる。
【0053】
また、電熱線51は、排煙の流通方向に対して直交する面上(ダクト本体2の横断面上)に設けられている。すなわち、電熱線51は、ダクト本体2内の流路を遮るように突出して設けられている。これにより、より多くの排煙を電熱線51と接触させることができ、排煙を効果的に加熱し浮遊物を焼却することができる。
【0054】
このような電熱線51としては、特に限定されず、ニッケルクロム系電熱線、鉄クロム系電熱線等を用いることができる。
【0055】
このような加熱手段5によれば、排煙に含まれる浮遊物を焼却することができるため、排気口22から排気される排煙を、油脂や臭い等が除去されたクリーンなものとすることができる。特に、本実施形態では、フィルタ41、42により予め、ある程度の浮遊物を除去しているため、その効果が顕著なものとなる。
【0056】
冷却手段6は、ダクト本体2の小横断面積部24下流側に設けられている。このような冷却手段6は、前述した加熱手段5により加熱され、高温となった排煙を冷却する機能を有している。これにより、排気口22から高温の排煙が排気されてしまうことを防止することができるとともに、防火シャッタ7の誤作動を防止することができる。
【0057】
図3に示すように、冷却手段6は、冷媒循環回路61と、内部を水が通過する水道管62とを有している。また、冷媒循環回路61は、内部を冷媒が通過する冷却管611と、前記冷媒を冷却管611内で循環させるポンプ612とで構成されている。
【0058】
冷却管611は、ダクト本体2の内側に位置する第1の熱交換部611aと、ダクト本体2の外側に位置する第2の熱交換部611bとに分けられる。また、第2の熱交換部611bには、水道管62の一部が近接している。
【0059】
第1の熱交換部611aは、冷却管611を蛇行させたものであり、面状をなしている。このような形状とすることにより、ダクト本体2内での第1の熱交換部611aの全長を長くすることができ、ダクト本体2内での第1の熱交換部611aの表面積が大きくなる。そのため、排煙が第1の熱交換部611aを通過する際に、その排煙をより確実に冷却することができる。
【0060】
また、第1の熱交換部611aは、排煙の流通方向に対して直交する面(電熱線51が形成されている面と平行な面)上に設けられている。すなわち、第1の熱交換部611aは、ダクト本体2内の流路を遮るように突出して設けられている。これにより、排煙をより効果的に冷却することができる。
【0061】
また、第1の熱交換部611aは、前述した電熱線51の近傍に設けられているため、加熱手段5により加熱された排煙をすぐに冷却することができる。これにより、ダクト本体2内の温度が過度に上昇してしまうことを防止することができる。
【0062】
第1の熱交換部611aでは、冷媒と排煙との間で冷却管611を介して熱交換が行われる。すなわち、冷媒が排煙の熱を吸収することにより排煙が冷却される。一方、第2の熱交換部では、冷媒と水との間で水道管62を介して熱交換が行われる。すなわち、第1の熱交換部611aで熱を帯びた冷媒が水を加温する。これにより、冷媒が吸熱され、再び、第1の熱交換部611aにて排煙の熱を吸収することができる。このようなサイクルを繰り返すことにより、冷却手段6は、排煙を冷却するとともに、水を加温することができる。
【0063】
このように、冷却手段6が、排煙の熱(第1の熱交換部611aで吸収した熱)を利用して、水道管62内を通過する水を加温するようになっているため(すなわち、冷却手段6が熱利用機構を構成しているため)、熱エネルギーを有効活用できる。加温された水(温水)は、例えば、厨房内にて調理、皿洗い等の用に供される。なお、第1の熱交換部611aで吸収した熱の利用方法としては、これに限定されず、例えば、料理を一定温度に保つために用いられるホットプレートの加熱等に用いてもよい。
【0064】
冷却管611、水道管62の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、銅、アルミ、鉄等の金属材料などの熱伝導率の比較的高い材料が挙げられる。
【0065】
また、冷却管611内を流通する冷媒としては、特に限定されないが、例えは、水、冷却水などが挙げられる。
【0066】
また、水道管62の途中に、水道管62内の流路を開閉するバルブを設け、温水を使用するときにだけバルブを開状態としてもよい。
【0067】
防火シャッタ7は、冷却管611と屈曲部23の間に設けられており、ダクト本体2内の温度が所定温度を超えると、ダクト本体2内の流路を遮断するようになっている。この防火シャッタは、例えば、厨房で火災が発生した場合など、炎がダクト本体2を介して厨房の外部(屋外)へ導かれてしまうことを防止する機能を有している。
【0068】
防火シャッタ7は、ダクト本体2内に回動可能に設置された複数の板部材71と、ダクト本体2内の温度を検知する温度検知素子72と、温度検知素子72の検知結果に基づいて板部材71を回動する回動手段73とを有している。
【0069】
複数の板部材71は、図1中の左右方向に並設されている。また、各板部材71は、図1中紙面手前側から紙面奥側に向けて延在する軸Jまわりに回動可能となっている。このような各板部材71は、通常(ダクト本体2内の温度が所定温度より低い場合)、図1に示すように、板面が左右方向を向いており、隣接する板部材71、71間に空間(流路)が形成されている。
【0070】
温度検知素子72は、ダクト本体2内であって、板部材71の上流側近傍に設けられている。このような温度検知手段としては、ダクト本体2内の温度を検知することができれば、特に限定されないが、例えば、サーミスタなどが挙げられる。温度検知素子72により検知された温度に関する情報(信号)は、ダクト本体2の外部に設けられた回動手段73に送られる。
【0071】
回動手段73は、例えばモータを備えており、温度検知素子72で検知されたダクト本体2内の温度が所定温度を超えた場合には、そのモータを作動して各板部材71を軸Jまわりに回動させ、各板部材71の板面が図1中の上下方向に向くようにする。これにより、隣接する板部材71の縁部同士が接触し、ダクト本体2内の流路が遮断される。なお、所定温度としては、特に限定されないが、通常、80〜280℃に設定される。
【0072】
これにより、前述したように、厨房で火災が発生した場合など、炎がダクト本体2を介して厨房の外部へ導かれてしまうことを防止することができる。
【0073】
ファン8は、ダクト本体2の排気口22付近に設けられている。このファン8は、ダクト本体2内を、吸気口21から排気口22に向けて排煙を強制的に流通させる機能を有する。なお、ファン8の配置としては、特に限定されず、例えば、屈曲部23付近に配置してもよい。
【0074】
以上のような排気ダクト1によれば、排煙に含まれる浮遊物を焼却することができ、排煙から浮遊物をより確実に除去することができる。その結果、排気口22から排気される排煙を、油脂や臭い等の除去されたクリーンなものとすることができる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、本発明の排気ダクトの第2実施形態について説明する。
【0076】
図4は、本発明の第2実施形態に係る排気ダクトを示す図、図5は、図4に示す排気ダクトが備える加熱手段を示す斜視図である。
【0077】
以下、第2実施形態の排気ダクトについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0078】
本発明の第2実施形態にかかる排気ダクトは、小横断面積部が省略されていることと、加熱手段5の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0079】
本実施形態では、加熱手段5は、一対の電熱線511、512を有している。また、加熱手段5は、ダクト本体2の吸気口21側の端部に設けられている。
【0080】
電熱線511、512の形状は、それぞれ、前述した第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
図4および5に示すように、一対の電熱線511、512は、V字状に配設されていて、一対のフィルタ41、42とその下流側で対面するようになっている。
【0082】
具体的には、フィルタ41の下流側の面412と空隙を隔てて対向し、かつ面412と平行な面上に電熱線511が設けられており、これと同様に、フィルタ42の下流側の面422と空隙を隔てて対向し、かつ面422と平行な面上に電熱線512が設けられている。
【0083】
このような電熱線511、512は、それぞれ、導線53を介して電源52に接続される。電源52は、電熱線511、512に対して、それぞれ、独立して通電することができるよう構成されている。そのため、例えば、電熱線511、512の両者を通電により発熱させてもよいし、一方だけを通電により発熱させてもよい。また、電源52は、電熱線512と電熱線512とで、発熱温度(発熱量)を同じにすることができるし、異なるものとすることもできる。異なるものとする場合には、例えば、調理器具100との位置関係などによって電熱線511、512のそれぞれの発熱温度を設定できる。
【0084】
このような構成の一対の電熱線511、512を用いることにより、フィルタ41内を通過した排煙をその直後に加熱し焼却することができる。そのため、ダクト本体2内が油脂などにより汚れてしまうことを防止することができる。また、一対の電熱線511、512をV字状に配置することにより、電熱線511、512の表面積の合計を大きくすることができる。そのため、排煙をより効果的に加熱し、浮遊物をより効果的に焼却することができる。
【0085】
フィルタ41の下流側の面412と電熱線511との離間距離としては、特に限定されないが、3〜10cmであることが好ましい。フィルタ42の下流側の面422と電熱線512との離間距離についても、これと同様である。
【0086】
なお、本実施形態では、一対の電熱線511、512をV字状に配置したものについて説明したが、これに限定されず、1本の電熱線を湾曲等させて、V字状に形成したものを用いてもよい。
【0087】
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0088】
<第3実施形態>
次に、本発明の排気ダクトの第3実施形態について説明する。
【0089】
図6は、本発明の第3実施形態に係る排気ダクトを示す図である。
以下、第3実施形態の排気ダクトについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0090】
本発明の第3実施形態にかかる排気ダクトは、加熱手段5の構成が異なる以外は、前述した第2実施形態と同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0091】
本実施形態の加熱手段5は、一対の電熱線511、512の下流側であって、ダクト本体2の途中に設けられた電熱線513を有している。このような電熱線513を設けることにより、排煙の流通経路の異なる2ヶ所において、排煙を加熱し、浮遊物を焼却することができる。そのため、排煙から浮遊物をより確実に除去することができる。
【0092】
なお、電熱線513の構成は、前述した第1実施形態の電熱線51と同様であるため、その説明を省略する。
【0093】
また、3つの電熱線511、512、513は、それぞれ、電源52に接続される。電源52は、電熱線511、512、513に対して、それぞれ、独立して通電することができるようになっている。
【0094】
電源52は、好ましくは、電熱線511、512の発熱温度よりも、電熱線513の発熱温度が高くなるように、電熱線511、512、513に対してそれぞれ通電する。これにより、電熱線511、512によって、フィルタ41、42を通過した排煙をある程度加熱し、その下流側にて、電熱線513によってさらに高温に加熱することができる。その結果、フィルタ41、42の過度な昇温を防止しつつ、効果的に排煙を加熱し、浮遊物を焼却することができる。
【0095】
電熱線511、512の発熱温度としては、特に限定されないが、300〜600℃であるのが好ましい。また、電熱線513の温度としては、特に限定されないが、450〜1000℃であるのが好ましい。また、電熱線511、512の温度をそれぞれTとしたとき、電熱線513の温度は、1.5T〜2.0Tであることが好ましい。
【0096】
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0097】
<第4実施形態>
次に、本発明の排気ダクトの第4実施形態について説明する。
【0098】
図7は、本発明の第4実施形態に係る排気ダクトを示す部分断面斜視図である。
以下、第4実施形態の排気ダクトについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0099】
本発明の第4実施形態にかかる排気ダクトは、加熱手段5の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0100】
加熱手段5は、ダクト本体2の小横断面積部24に設けられたバーナー(ガスバーナー)54と、バーナー54に可燃性ガスを供給する可燃性ガス供給手段55とを有している。バーナー54は、可燃性ガス供給手段55から可燃性ガスが供給されるとともに、ダクト本体2内の空気が燃焼空気として取り入れられ、図示しない点火装置の作動により、点火されるようになっている。
【0101】
このようなバーナー54は、ダクト本体2の内周の対向する2辺の各辺に2固、計4つ配置されている。また、各バーナー54は、排煙の流通方向に沿って、複数の点火口541を有している。このようなバーナー54を用いることにより、加熱手段5の構成が簡単となる。
【0102】
以上のような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0103】
以上、本発明の排気ダクトを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、各実施形態を好適に組み合わせてもよい。
【0104】
また、前述した第1〜第3実施形態では、それぞれ、加熱手段として、蛇行させた電熱線を用いるものについて説明したが、電熱線の形状については、これに限定されない。例えば、電熱線が、直線状をなし複数並設しているものであってもよいし、渦巻き状をなしているものであってもよい。また、面状に形成されていなくてもよく、3次元的に不規則に湾曲してなるものであってもよい。
【0105】
また、前述した実施形態では、加熱手段として、電熱線やバーナーをもの知いたものについて説明したが、排煙に含まれる浮遊物を加熱し焼却することができれば、これに限定されず、例えば、レーザーなどを用いたものであってもよい。
【0106】
また、前述した実施形態では、冷却手段として、蛇行された冷却管を用いるものについて説明したが、冷却管の形状については、これに限定されない。例えば、冷却管が、直線状をなし複数並設しているものであってもよいし、渦巻き状をなしているものであってもよい。また、面状に形成されていなくてもよく、3次元的に不規則に湾曲してなるものであってもよい。
【0107】
また、前述した実施形態では、排煙の熱を利用して、水道管内を通過する水を加温する機構について説明したが、これに限定されず、例えば、水道管内に、水に代えて空気を通過させてもよい。加温された空気は、例えば暖房などの用に供される。
【0108】
また、前述した実施形態では、ダクト本体の吸気口付近にフィルタを配置したものについて説明した、これに限定されず、フィルタは省略してもよい。
【0109】
また、前述した実施形態では、防火シャッタとして、温度検知素子を用い、該温度検知素子の検知結果に基づいて、板部材を回動させるものについて説明したが、これに限定されず、例えば、設定温度以上に達すると溶断する温度ヒューズを用い、この温度ヒューズが溶断すると、板部材が回動し、竜路が遮断されるよう構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる排気ダクトを示す平面図である。
【図2】図1に示す排気ダクトが備える加熱手段を説明するための図である。
【図3】図1に示す排気ダクトが備える冷却手段を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る排気ダクトを示す図である。
【図5】図4に示す排気ダクトが備える加熱手段を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る排気ダクトを示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る排気ダクトを示す部分断面斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
1……排気ダクト 2……ダクト本体 21……吸気口 22……排気口 23……屈曲部 24……小横断面積部 241……横断面積漸減部 242……横断面積漸増部 243……横断面積一定部 25……断熱層 3……フード 31……上部開口 32……下部開口 4……フィルタ装置 41、42……フィルタ 411……ステンレス板 412、422……面 43……基部 5……加熱手段 51、511、512、513……電熱線 52……電源 53……導線 54……バーナー 541……点火口 55……可燃性ガス供給手段 6……冷却手段 61……冷媒循環回路 611……冷却管 611a……第1の熱交換部 611b……第2の熱交換部 612……ポンプ 62……水道管 7……防火シャッタ 71……板部材 72……温度検知素子 73……回動手段 8……ファン 100……調理器具 J……軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を有し、前記吸気口から前記排気口に向けて排煙を流通させるダクト本体と、
前記ダクト本体の前記吸気口側端部または途中に設けられ、前記排煙に含まれる浮遊物を加熱して焼却する加熱手段と、
前記ダクト本体の前記加熱手段よりも前記排気口側に設けられ、前記加熱手段により加熱された前記排煙を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする排気ダクト。
【請求項2】
前記ダクト本体は、その横断面積が前記吸気口側の横断面積よりも小さい小横断面積部を有し、前記小横断面積部に前記加熱手段が設けられている請求項1に記載の排気ダクト。
【請求項3】
前記小横断面積部は、前記吸気口側から前記排気口側に向けて横断面積が漸減する横断面積漸減部を有している請求項2に記載の排気ダクト。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記ダクト本体内に設けられ、通電により発熱する電熱線を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項5】
前記電熱線は、前記ダクト本体内の流路を遮るように突出して設けられている請求項4に記載の排気ダクト。
【請求項6】
前記加熱手段は、バーナーを有している請求項1ないし3のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記加熱手段の近傍に設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項8】
前記冷却手段は、冷媒を用いて熱交換するよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項9】
前記冷却手段は、内部に前記冷媒が流通する冷却管を有し、該冷却管は、前記ダクト本体内の流路を遮るように突出して設けられている請求項8に記載の排気ダクト。
【請求項10】
前記冷媒が吸熱した熱を利用する熱利用機構を有している請求項8または9に記載の排気ダクト。
【請求項11】
前記熱利用機構は、前記冷媒が吸熱した熱を利用して、水を加温し温水とするものである請求項10に記載の排気ダクト。
【請求項12】
前記ダクト本体の前記加熱手段より前記吸気口側には、前記排煙に含まれる前記浮遊物の少なくとも一部を除去するフィルタが配置されている請求項1ないし11のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項13】
前記フィルタは、略V字状に配設されており、
前記加熱手段は、前記フィルタと対面して設けられ、略V字状をなし、通電により発熱する電熱線を有している請求項12に記載の排気ダクト。
【請求項14】
前記加熱手段は、さらに、前記電熱線よりも前記排気口側に設けられ、通電により発熱する排気口側電熱線を有している請求項13に記載の排気ダクト。
【請求項15】
前記電熱線が前記排気口側電熱線よりも高温となるよう前記加熱手段が作動する請求項14に記載の排気ダクト。
【請求項16】
前記ダクト本体には、前記吸気口から前記排気口に向けて前記排煙を強制的に流通させるファンが設けられている請求項1ないし15のいずれかに記載の排気ダクト。
【請求項17】
前記ダクト本体の前記冷却手段より前記排気口側には、前記ダクト本体内の温度が所定温度を超えた時に、前記ダクト本体内の流路を遮断するシャッタが配置されている請求項1ないし16のいずれかに記載の排気ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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