説明

排水処理装置および排水処理方法

【課題】フッ素を含む排水にカルシウム分を添加してフッ化カルシウムを生成することによりフッ素分を除去する排水処理に於いて、カルシウム分の有効利用を図る。
【解決手段】本発明の排水処理装置10は、フッ素を含む被処理水12に添加されてフッ化カルシウムを生成させるカルシウム分が貯留される薬品槽15と、フッ化カルシウムを被処理水12から分離する濾過膜13と、フッ化カルシウムが分離された被処理水12からフッ素イオンを除去するRO濾過装置14とを備え、フッ素と未反応であるカルシウム分がRO濾過装置14により濃縮された被処理水12が、濾過膜13よりも前段に返送される構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水からフッ素分を除去する排水処理装置および排水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、産業廃棄物を減らすこと、また産業廃棄物を分別し再利用することは、エコロジーの観点から重要なテーマであり、緊急の企業課題である。この産業廃棄物の中には、被除去物が含まれた様々な流体がある。
【0003】
これらは、汚水、廃液、排水等の言葉で表現されているが、以下、水や薬品等の流体中に被除去物である物質が含まれているものを排水と称して説明する。
【0004】
半導体装置を製造する工程の途中では大量の排水が発生する。半導体工場で使用されたフッ素は、そのほぼ全量が再利用困難な排水として排出される。
【0005】
例えば、ドライ(プラズマ)エッチング装置やプラズマCVD装置では、ウエハ加工または、装置内のクリーニングにおいて四フッ化炭素(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、パーフルオロシクロロブタン(C)など、フッ素系のガスが使用される場合が多い。これらのガスの多くは、CFとしてチャンバー外に排出されることになるが、地球温暖化促進作用を有する物質(Perfluorocompounds(PFCs)ガス)であるため、除害処理が必要となる。この除害処理においてフッ素は水に吸収され、希薄フッ化水素酸排水(廃液)が排出される。またフッ素系材料(例えばフッ化水素酸)を用いるウエットエッチング装置では、ウエハ加工後の廃薬液である濃厚フッ化水素酸排水(廃液)や、純水リンスの排水である希薄フッ化水素酸排水(廃液)が排出される。尚、以降フッ化水素酸をフッ酸と称して説明する。
【0006】
フッ素濃度が高い排水が自然界に流出すると、生態系のバランスを狂わせることが知られている。従って、排水からフッ素を除去することは、産業上にてきわめて重要なことである。例えば、フッ素を含む排水の放流条件は水質汚濁防止法や地方自治体の条例等で基準値が決められている。具体的には、排水中に含まれるフッ素の濃度は8mg/L以下でなければならない。更に、排出されるフッ素の総量規制も行われる可能性がある。
【0007】
一方、排水から除去されたフッ素は、フッ酸などにすることにより半導体処理装置において再利用が可能である。除去法の一例を挙げると、フッ素を含有した排水(廃液)をカルシウム化合物と反応させ、フッ化カルシウムを生成することにより、排水からフッ素をフッ化カルシウムとして除去できる。
【0008】
更に、排水に含まれるフッ素分をフッ化カルシウムとして除去した後に、更に濾過処理を施すことにより高度の排水処理を行うことも知られている。
【0009】
下記特許文献1では、カルシウム分とフッ素分とを含む水を、カチオン交換塔とRO膜分離装置とを使用して処理する方法が開示されている。特に、当該公報の図1およびその説明箇所を参照すると、Ca・F含有水のPHをPH調整槽1にて調整した後に、カチオン交換塔2によりCaを除去し、その後にRO膜分離装置3によりFを除去する。このようにすることで、カチオン交換塔2により予め水中のCaが除去されるので、CaFによるRO膜の閉塞が防止される。
【0010】
また、下記特許文献2では、被処理水に炭酸カルシウム等を添加して難溶性のフルオロアパタイトを生成し、このフルオロアパタイトを膜濾過した後にイオン処理する方法が開示されている。具体的には、図1およびその説明箇所を参照すると、先ず、原水槽1に、カルシウムイオン含有水とフッ素イオン含有水とが混合された原水が貯留されている。そして、この原水に、炭酸カルシウムとリン酸とを添加することによりフルオロアパタイトが生成される。また、生成されたフルオロアパタイトはMF膜濾過装置2により除去され、更にRO膜濾過装置4により処理水が浄化されている。
【特許文献1】特開平10−244259号公報
【特許文献2】特開2001−149950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2に記載された技術では、以下のような課題があった。
【0012】
即ち、特許文献1に記載された技術では、Ca成分を除去するためのカチオン交換塔を使用しているので、処理設備が大型化し、処理操作が複雑になる問題があった。
【0013】
また、特許文献2に記載された技術では、フルオロアパタイトを生成させるために、処理水のPHの調整や特殊添加剤の添加を行う必要があるので、このことが処理コストを上昇させてしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の排水処理装置は、フッ素を含む被処理水にカルシウム分を添加してフッ化カルシウムを生成させる添加手段と、前記フッ化カルシウムを前記被処理水から分離する第1分離手段と、前記フッ化カルシウムが分離された前記被処理水からフッ素イオンを除去する第2分離手段と、を備え、前記フッ素と未反応である前記カルシウム分が前記第2分離手段により濃縮された前記被処理水が、前記第1分離手段よりも前段に返送されることを特徴とする。
【0015】
本発明の排水処理方法は、フッ素分を含む被処理水にカルシウム分を添加することによりフッ化カルシウムを生成するステップと、第1分離手段により前記フッ化カルシウムを前記被処理水から分離するステップと、第2分離手段により前記フッ化カルシウムが分離された前記被処理水からフッ素イオンを除去するステップと、を備え、前記フッ素と未反応である前記カルシウム分が前記第2分離手段により濃縮された前記被処理水を、前記第1分離手段よりも前段に返送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1分離手段によりフッ素分をフッ化カルシウムの状態で分離した後に、フッ素と未反応のカルシウム分を第2分離手段により濃縮し、第1分離手段よりも前段に返送している。従って、フッ化カルシウムの生成に寄与しなかったカルシウム分を再利用できるので、フッ素分の除去に必要とされるカルシウムの全量が低減され、その分処理コストが低減される。
【0017】
更に、第1分離手段にてフッ化カルシウムを除去した後に、第2分離手段にてフッ素イオンを除去するので、第2分離手段の早期の閉塞が抑止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態として、フッ化水素酸(フッ化水素(HF)の水溶液)を含む排水の処理を行う排水処理装置と、それを用いたフッ化水素酸の排水処理方法を説明する。尚、以下フッ化水素酸をフッ酸と称する。
【0019】
図1を参照して、排水処理装置10の構成を説明する。本実施の形態の排水処理装置10は、フッ素分を含む被処理水12にカルシウム分を添加することによりフッ化カルシウムが生成される第1処理槽11A(添加手段)と、浸漬された濾過膜13(第1分離手段)によりフッ化カルシウムが濾過される第2処理槽11Bと、濾過膜13により濾過された被処理水12を更に高度に濾過するRO濾過装置14(第2分離手段)と、RO濾過装置14に濃縮された被処理水12を第1処理槽11Aに返送する第6経路P6とを主要に備えた構成と成っている。
【0020】
第1処理槽11Aは、フッ素分を含む排水である被処理水12が貯留され、この被処理水12にカルシウム分が添加されることにより、フッ化カルシウムが生成されるタンクである。
【0021】
本実施の形態に於いて被処理水12とは、フッ素分を含む排水である。この排水は、半導体処理工場から排出されるものであり、たとえば半導体、ガラス、金属等のエッチング工程、CVD膜の形成などのウエハ加工工程、あるいは半導体処理装置のクリーニングによって排出される。
【0022】
例えば、ドライ(プラズマ)エッチング装置やプラズマCVD装置では、CF、C、Cなど、フッ素系のガスが使用される場合が多い。またこれらのガスはウエハ加工後にチャンバー内をクリーニングする際にも、使用される。これらのガスの多くは、CFとしてチャンバー外に排出されることになるが、地球温暖化促進作用を有する物質(Perfluorocompounds(PFCs)ガス)であるため、除害処理が必要となる。この除害処理において燃焼、分解されたフッ素は水に吸収され、希薄フッ化水素酸排水が排出される。またウエットエッチング装置では、エッチングの際の腐食性を向上させるためにフッ酸を用いるため、ウエハ加工後の廃薬液である濃厚フッ化水素酸排水や、純水リンスの排水である希薄フッ化水素酸排水が排出される。
【0023】
第1処理槽11Aにて、被処理水12に含まれるフッ化水素(HF)は、水素イオン(H)とフッ素イオン(F)に99.9%以上解離される(下記式A)。また、この解離を促進させるために、第1処理槽11Aの内部においてプロペラ等の攪拌手段により被処理水12を攪拌しても良い。
【0024】
HF → H+F (式A)
第1経路P1は、上記した環境から排出された被処理水12が、第1処理槽11Aに供給される経路である。第1経路P1を経由して、例えばフッ素イオン(F)を含む被処理水12が第1処理槽11Aに導入される。一例として、第1経路P1からは、フッ素イオン濃度が100mg/Lの被処理水が、10t/day供給される。ここで、フッ化水素を含む被処理水のPHは例えばPH3〜4程度であり、非常に強い酸性である。このことから、アルカリ薬剤としてNaOHを添加することにより、被処理水12のPHを7から9の間にしても良い。
【0025】
薬品槽15は、被処理水12に含まれるフッ素分を固定化させるために、カルシウム分の水溶液が貯留されるタンクである。使用されるカルシウム分としては、塩化カルシウム(CaCl)または水酸化カルシウム(Ca(OH))が採用される。ここで、コストの安さや溶解度積の高さを考慮すると、使用されるカルシウム分としては塩化カルシウムの方が好適である。一例として、薬品槽15には、塩化カルシウムを35重量%含む水溶液が貯留される。
【0026】
薬品槽15に貯留された水溶液は、第2経路P2(添加手段)を経由して第1処理槽11Aに導入される。
【0027】
第1処理槽11Aでは、第1経路P1から導入された被処理水12に含まれるフッ素イオンと、第2経路P2から導入されたカルシウム分とが化合して、フッ化カルシウムが生成される。具体的には、以下の式(B)に示す反応により、被処理水12に含まれるフッ素分はフッ化カルシウムとして固定化される。
【0028】
2F+CaCl → CaF+2Cl (式B)
上記式(B)を参照すると、被処理水12に含まれるフッ素イオンをフッ化カルシウムにするためには、理論上はフッ素イオンの1/2のモル数のカルシウムが必要とされる。例えば、上記したようにフッ素イオンの濃度が100mg/Lの被処理水を10t/day処理するためには、35重量%の濃度の塩化カルシウム水溶液が5.5L/day必要とされる。しかしながら、投入したカルシウム分の全量がフッ素イオンと化合するのではなく、投入されたカルシウム分の一部はフッ素イオンと化合しない。従って、本実施の形態では、理論的に必要とされる量よりも多量の塩化カルシウムを被処理水12に投入している。具体的には、被処理水12に含まれるフッ素分の全量を固定化するために理論的に必要とされる量の2倍以上の量の塩化カルシウムを、第2経路P2を経由して第1処理槽11Aに投入している。この様にすることで、第1処理槽11Aから排出される被処理水12に含まれるフッ素イオンの濃度を、例えば4mg/L以下とすることができる。このフッ素イオンの濃度は、一般的な放流基準を満たしている。
【0029】
本実施の形態では、このように理論値よりも多量のフッ化カルシウムを被処理水に添加しているので、処理コストが増大する恐れがある。このことから、処理コストを低減させるために、RO濾過装置14により濃縮された被処理水を第1処理槽11Aに返送し、カルシウム分を再利用している。この事項は、後述する。
【0030】
上記のようにフッ素イオンがフッ化カルシウムとして固定化された被処理水12は、第3経路P3を経由して第2処理槽11Bに導入される。
【0031】
第2処理槽11Bでは、濾過膜13(第1分離手段)により被処理水12を濾過することにより、被処理水12からフッ化カルシウムを分離する。ここで、濾過膜13としては、流体中にて濾過を行うことが可能な濾過機構を全般的に採用可能である。更には、フッ化カルシウムを沈殿することにより、被処理水から分離しても良い。本実施形態では、濾過膜13の表面に形成された自己形成膜を用いた濾過を行うことで、フッ化カルシウムと被処理水12との固液分離を行っている。この自己形成膜の詳細については後述する。
【0032】
第2処理槽11Bに浸漬された濾過膜13により濾過された被処理水12は、フッ化カルシウムが殆ど分離されて除去された状態であり、カルシウム分と未反応のフッ素イオン(F)を例えば4mg/L程度含んでいる。更には、フッ素分と未反応のカルシウムイオン(Ca2+)も、濾過された被処理水12に含まれている。被処理水12に残留したフッ素イオンやカルシウムイオンは、次段のRO濾過装置14により除去される。
【0033】
上記した自己形成膜は、被処理水12中にて生成されたフッ化カルシウムを含む被除去物から成る自己形成膜でも良い。即ち、濾過膜13の濾過面に吸着された被除去物により、被処理水12が濾過される。また、フッ化カルシウムの回収を行う際には、この自己形成膜も、濾過膜13から剥離して回収される。
【0034】
散気装置18は、被処理水12中にて、下方から濾過膜13に気泡を供給する働きを有する。具体的には、散気装置18には、外部に設けた不図示のポンプから気体が供給され、気泡を発生させる。散気装置18から発生した気泡は、濾過膜13の濾過面に沿って上方に移動していく。このように、散気装置18から気泡を発生させることにより、濾過膜13の表面に形成される自己形成膜の厚みを一定以下にすることが可能となる。このことから、自己形成膜の閉塞を抑制し、有る程度のフラックスを確保しつつ、被処理水12の濾過を行うことが可能となる。
【0035】
散気装置18から発生される気体としては、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたは窒素等の不活性ガスを採用することができる。空気を散気装置18から被処理水12に供給した場合は、空気に含まれる炭酸ガスと被処理水12に含まれるフッ化物イオンとが反応して、フッ化カルシウムの濃度が低下する恐れがある。散気装置18から供給されるガスとして不活性ガスを採用することにより、その恐れを排除することができる。
【0036】
第4経路P4は、濾過膜13にて濾過された濾過水が通過する経路である。第4経路P4の途中には、分岐した経路に貯留槽15Cが設けられている。
【0037】
貯留槽15Cは、濾過膜13により濾過された濾過水の一部分が貯留される。貯留槽15Cの位置は分離槽11Cに貯留された被処理水12の液面よりも上方に設定されている。貯留槽15Cに貯留された濾過水または水道水は、濾過膜13の表面に形成された自己形成膜を剥離させる際に、第4経路P4を逆流させて用いられる。
【0038】
第7経路P7は、沈殿したフッ化カルシウムを含む被除去物を、第2処理槽11Bからフィルタープレス17に輸送する経路である。具体的には、濾過膜13の表面に堆積した被除去物、第2処理槽11Bの下部に沈殿した被除去物が、フィルタープレス17に輸送される。輸送される被処理水12には、フッ化カルシウムが高純度に含まれている。また、被処理水12の中和処理が行われた場合は、移送される被処理水12には中和塩も含まれている。
【0039】
フィルタープレス17には、フッ化カルシウムを含む被除去物が第7経路P7により供給され、脱水処理を行うことにより被除去物の含水率が低下される。フィルタープレス17により脱水処理された被除去物の含水率は、例えば50重量%程度である。更に、被除去物を乾燥すると、フッ化カルシウムの純度が85重量%程度のブロック(固形物)が得られる。被除去物に高純度に含まれるフッ化カルシウムは、フッ素源として再利用される。
【0040】
第8経路P8は、フィルタープレス17に水を注入し、フィルタープレス17に収納された被除去物に含有される中和塩を洗浄する経路である。pH調整された被処理水中の被除去物には、例えば15重量%程度の中和塩(NaCl)が含有されている。第8経路P8から、フィルタープレス17に水を注入することで、中和塩の大部分はフィルタープレス17から外部に放出される。また、中和塩と比較してサイズが大きいフッ化カルシウムは、フィルタープレス17の内部に留まる。つまり、フィルタープレス17に水を注入することで、フィルタープレス17に収納された被除去物に含まれるフッ化カルシウムの純度を向上させることができる。
【0041】
受入槽19には、フィルタープレス17に注入された水が暫定的に貯留される。受入槽19に貯留された被処理水は、第9経路P9を介して第2処理槽11Bに返送されて、濾過処理される。
【0042】
ここで、上述した第1処理槽11Aおよび第2処理槽11Bは、同一の処理槽にしてもよい。このことにより、フッ化物イオンの固定および固液分離を同一の槽で行うことが可能となり、設備全体の構成を簡略化して小型化することができる。更には、槽の個数が少なくなるので、イニシャルコストおよびランニングコストも低減される。
【0043】
第4経路P4の途中にはポンプ20が改装されており、ポンプ20により発生される吸引圧により濾過膜13による濾過が行われると共に、ポンプ20により発生される加圧力によりRO濾過装置14(第2分離手段)による被処理水12の濾過が行われている。この様にポンプ20を、濾過膜13およびRO濾過装置14の濾過に併用することで、必要とされるポンプの台数が減少するので、設備に必要とされるコストが低減される。
【0044】
RO濾過装置14は、RO(Reverse Osmosis Membrane)膜により流体を濾過する装置であり、本実施の形態では、濾過膜13により濾過された被処理水12を更に濾過して浄化する作用を有する。具体的には、RO濾過装置14は、数ナノメートルの直径の孔を有する濾過膜から構成され、フッ素イオンやカルシウムイオン等の不純物を被処理水12から分離することができる。具体的には、フッ素イオンを4mg/L含む被処理水12をRO濾過装置14により処理することで、被処理水12の濃度を1mg/Lまで低減させることができる。また、RO濾過装置14では、フッ素イオンの他にもカルシウムイオンや塩化物イオンが被処理水12から除去される。さらにここで、RO濾過装置14に替えて、NF(Nanofiltration Membrane)膜を備えた濾過装置が採用されても良い。
【0045】
RO濾過装置14により濾過された被処理水12は、第5経路P5を経由して排水処理装置10の系外に放出される。第5経路P5を経由して放出される被処理水12は、フッ素イオン等の不純物が高度に除去された状態であるので、半導体製造工程における洗浄用水として利用することができる。更には、含有されるフッ素イオンの濃度が極めて低いので、そのまま河川等の自然界に放流することも可能である。
【0046】
一方、RO濾過装置14に残留した被処理水12は、フッ素イオン、カルシウムイオン、塩化物イオン等の不純物が濃縮された状態である。本実施の形態では、この濃縮された被処理水12を、第6経路P6を経由して、第1処理槽11Aに返送している。このことにより、フッ素イオンと未反応のカルシウムイオンを、フッ化カルシウムを生成するためのカルシウム分として再利用することが可能となる。結果的に、消費される塩化カルシウムの量を低減させつつ、第1処理槽11Aに於けるカルシウムイオンの濃度を高くすることができる。
【0047】
ここで、RO濾過装置14から被処理水が第1処理槽11Aに返送される経路である第6経路P6には、被処理水の導電率を計測することにより塩化物イオンの濃度を計測する導電率計32が介装されている。ここで、塩化物イオンの濃度を計測する手段としては、導電率計32の他にも塩化物イオン濃度計を採用することができるが、インラインにて使用可能な導電率計32の方がこの手段として好ましい。
【0048】
上記した構成の排水処理装置10を連続して稼働させると、添加された塩化カルシウムに含まれるカルシウムイオンは被処理水中のフッ素イオンと結合してフッ化カルシウムの生成に消費される。一方、塩化カルシウムから分離した塩化物イオンは、フッ化カルシウムの生成には寄与せずに被処理水に残留する。このことから、排水処理の進行と共に被処理水に含まれる塩化物イオンの濃度は非常に高くなり、このことによりRO濾過装置14による濾過処理が阻害される恐れがある。従って、被処理水が循環される経路(例えば第6経路P6)に設けた計測手段により計測される塩化物イオンの濃度が一定以上であるときは、循環する被処理水を入れ替えるようにしても良い。
【0049】
ここで、塩化物イオンの濃度を計測する手段は、被処理水の循環される経路であれば第6経路P6以外の場所に介装されることも可能であり、例えば、第3経路P3の途中等に備えることもできる。しかしながら、例えば第3経路P3の途中に導電率計32を介装すると、第3経路P3を通過する被処理水には懸濁物質(suspended solid:SS)が多量に含まれるので、導電率計32により塩化物イオンの濃度を高精度に求めることは困難になる。一方、第6経路P6では、RO濾過装置14によりSS等が高度に除去された被処理水12が通過するので、塩化物イオンの濃度を精度良く求めることが可能になる。更に、第6経路P6を通過する被処理水には高濃度に塩化物イオンが含有されるので、検出される塩化物イオンの値がセンサ(導電率計32)の感度に左右されにくくなり、塩化物イオンの濃度を精度良く求められる。
【0050】
第11経路P11は、一端が第4経路P4の途中に連絡し、他端が第6経路P6の途中に連絡している。第11経路P11を被処理水が通過することにより、濾過膜13により濾過された被処理水はRO濾過装置14に供給されずに、第1処理槽11Aに戻されて循環される。また、第11経路P11には濾過膜13を通過した被処理水の濁度を計測する濁度計30が備えられている。そして、濁度計30により検出される被処理水の濁度が一定以上であれば(被処理水に含まれる被除去物の量が多ければ)、被処理水はRO濾過装置14に供給されずに、第11経路P11を経由して第1処理槽11Aに返送される。一方、濁度計30により検出される被処理水の濁度が一定以下であれば、被処理水はRO濾過装置14に供給される。この様にすることにより、多量のフッ化カルシウム等の被除去物を含む被処理水がRO濾過装置14に進入して、RO濾過装置14の濾過膜が早期に目詰まりしてしまうことが防止される。ここで、濁度計30に替えて、被処理水の水質を検出可能な光センサ、導電率計等を採用することもできる。しかしながら、RO濾過装置14に導入する被処理水の濁度を示す指標としてSDI(Silt Density Index)があり、濁度計30の出力はSDIと相関し易い。従って、この観点から、被処理水の濁度を検出する手段としては、濁度計30が好適である。
【0051】
第12経路P12は、一端が第5経路P5の途中に連絡し、他端が貯留槽15Cに連絡している。この第12経路P12を経由して、RO濾過装置14にて濾過された被処理水の一部が、貯留槽15Cに移送されて濾過水16として貯留される。この濾過水16は、濾過膜13に逆流されて、濾過膜13を構成する自己形成膜を剥離させるために使用される。従って、濾過水16としては濁度の低い清純な水を用意する必要があり、排水処理装置10を稼働させる最初の期間は、貯留槽15Cには水道水が貯留される。そして、濾過膜13およびRO濾過装置14による濾過が行われる定常運転が開始された後は、RO濾過装置14により濾過された被処理水の一部を貯留槽15Cに貯留させる。
【0052】
尚、貯留槽15Cに貯留される濾過水16の水頭は、第2処理槽11Bに貯留される被処理水12の水頭よりも高い。従って、濾過膜13の表面に形成された自己形成膜を剥離する際には、ポンプ等の駆動力を用いずに、両槽に貯留された流体の水頭差を用いて、貯留槽15Cに貯留された濾過水16を濾過膜13に逆流させることができる。従って、自己形成膜の剥離に、ポンプ等の動力が不要になり、処理装置のランニングコストが低減される。
【0053】
第10経路P10は、一端がポンプ20よりも前段の第4経路P4に連絡し、他端がポンプ20よりも後段の第4経路P4に連絡している。即ち、第10経路P10は第4経路P4のバイパス経路である。そして、第10経路P10には調整弁36が備えられており、第4経路P4の内部の圧力を検出する圧力計34の出力に従って、調整弁36が調整される。このことにより、ポンプ20により濾過膜13に与えられる吸引圧力とRO濾過装置14に与えられる加圧力が所定の値に調節される。 本実施の形態では、薬品槽15から投入されたカルシウム分は、フッ素イオンと化合してフッ化カルシウムとなる分を除外すると、第1処理槽11A→第2処理槽11B→RO濾過装置14→第1処理槽11Aの順番で循環される。従って、投入されたカルシウム分の殆ど全量を、フッ化カルシウム生成の為に使用することができる。
【0054】
更に、本実施の形態では、濾過膜13によりフッ化カルシウムが除去された被処理水12を、RO濾過装置14により更に濾過処理している。従って、RO濾過装置14の微細な濾過膜の孔が、フッ化カルシウムにより閉塞される恐れがないので、RO濾過装置14を長期間に渡り連続して使用することが可能となる。
【0055】
図2を参照して、上記したRO濾過装置14の詳細を説明する。RO濾過装置14は、被処理水12が処理される経路に対して直列に複数が配置されており、具体的には、第1RO濾過装置14A、第2RO濾過装置14Bおよび第3RO濾過装置14Cから、RO濾過装置14が構成されている。各々のRO濾過装置は、内部にRO濾過膜28を備えた構成となっている。さらにここでは、ポンプ20により加圧力を加えることで、第1RO濾過装置14A、第2RO濾過装置14Bおよび第3RO濾過装置14Cによる濾過が行われている。
【0056】
第1RO濾過装置14Aは、最前段に設けられており、濾過膜13(図1参照)で濾過されることによりフッ化カルシウムが除去された被処理水12が、第1RO濾過装置14Aに導入される。また、第1RO濾過装置14Aの内部ではポンプ20の加圧力による濾過が行われ、RO濾過膜28を透過した処理水は、フッ素イオンやカルシウムイオン等の不純物が除去された状態で、第5経路P5を経由して外部に放出される。一方、第1RO濾過装置14AのRO濾過膜28を透過しない処理水は、フッ素イオンやカルシウムイオン等の不純物が濃縮された状態で、第2RO濾過装置14Bに輸送される。この第1RO濾過装置14Aでは、例えば、導入された被処理水の55%がRO濾過膜28により濾過され、残りの45%の被処理水が第2RO濾過装置14Bに輸送される。
【0057】
第2RO濾過装置14Bでは、第1RO濾過装置14Aと同様に、RO濾過膜による被処理水の濾過を行う。ここでも、RO濾過膜を透過した処理水は第5経路P5から外部に取り出される。一方、RO濾過膜を透過せずに濃縮された被処理水は、フッ素イオンやカルシウムイオンが更に濃縮された状態で、第3RO濾過装置14Cに輸送される。ここで、第2RO濾過装置14BのRO濾過膜を透過して外部に放出される処理水の量は、RO濾過装置14に流入する被処理水の25%程度である。そして、20%程度の被処理水は第2RO濾過装置14Bにより濾過されずに更に濃縮された状態で、第3RO濾過装置14Cに導入される。
【0058】
第3RO濾過装置14Cでは、上記した第1RO濾過装置14A等と同様に、被処理水の更なる濾過が行われる。従って、第3RO濾過装置14CのRO濾過膜を透過した処理水は外部に放出され、RO濾過膜を透過しなかった処理水は更に濃縮された後に、第6経路P6を経由して第1処理槽11A(図1参照)に返送される。一例として、第3RO濾過装置14CのRO濾過膜を透過する被処理水の量は、RO濾過装置14に導入される被処理水の全量に対して11%程度である。そして、9%程度の被処理水は、第3RO濾過装置14CのRO濾過膜を透過せずに、カルシウムイオンの濃度が10倍程度に濃縮された状態で、第1処理槽11A(図1参照)に返送される。
【0059】
本実施の形態では、上記のように複数のRO濾過装置14を被処理水の経路に対して直列に配置させることにより、個々のRO濾過装置の閉塞を抑止して高度の濾過処理を行うことができる。具体的には、例えば、透過水比率を高めることにより、1つのRO濾過装置を使用して多量の被処理水を濾過することは可能である。しかしながら、この様にすると、RO膜による十分な濾過が行われずに導電率が上昇し、除去率が下がる。更には、RO膜の寿命が短くなってしまう、頻繁なRO膜の洗浄が必要とされる、等の問題が発生してしまう。
【0060】
このことから、本願発明では、図2に示すようにRO濾過装置を直列に3段に配置している。このことにより、例えば個々のRO濾過装置の透過水比率を55%としても、各々のRO濾過装置から濾過水が取り出されるので、装置全体としての水回収率を90%程度まで引き上げることができる。更に、水回収率が高くなるので、第3RO濾過装置14Cからは、含有されるカルシウムイオンが極めて高濃度の被処理水が得られる。従って、再利用のために返送される被処理水の量が低減されるので、第1分離手段(濾過膜13)の効率が上がり、この分コストを低減することができる。
【0061】
更に、1つのRO濾過装置では、補足されるフッ素イオンの割合は80%程度であるが、この様にRO濾過装置を3段に配置させることにより、フッ素イオンが補足される割合を理論値で99%程度まで引き上げることができる。
【0062】
また、処理水の経路に対して直列に第1RO濾過装置14A等が3段に備えられているが、備えられるRO濾過装置の数は、2段でも4段以上でも良い。
【0063】
ここで、第1処理槽11Aに貯留された被処理水12に含まれるカルシウムイオンの濃度を監視する監視手段を設けても良い。即ち、この監視手段により計測されるカルシウムイオンの濃度が一定以下の時のみ、薬品槽15から第2経路P2を経由して、塩化カルシウムの水溶液を供給する。この様にすることで、第1処理槽11Aに貯留された被処理水12に含まれるカルシウム分の濃度を一定以上にしつつ、消費される塩化カルシウムの量を低減させることができる。
【0064】
以上が本実施の形態である排水処理装置10の構成である。
【0065】
図1および図3を参照して、次に、上記した構成の排水処理装置10を使用した排水の処理方法を説明する。図3のフローチャートに示すように、本実施の形態の排水処理方法は、フッ化カルシウムを生成するステップS1と、濾過処理によりフッ化カルシウムの固液分離を行うステップS2と、更なる濾過処理を行うことによりフッ素イオンを除去するステップS3と、ステップS3により濃縮されたカルシウム分を返送するステップS4と、フッ化カルシウムを回収するステップS5とを主要に備えている。
【0066】
ステップS1:フッ化カルシウムを生成するステップ
図1を参照して、先ず、半導体製造工程等から排出されたフッ素分を含む被処理水12を、第1経路P1を経由して第1処理槽11Aに導入する。この被処理水12には、例えば100mg/L程度の濃度でフッ素イオンが含まれている。フッ酸を含む被処理水12は極めて強い酸性を示すので、第1処理槽11Aの内部または第1処理槽11Aよりも前段で中和処理を行い、被処理水12のPHを例えば7〜9の値に制御されても良い。
【0067】
次に、薬品槽15から第2経路P2を経由して第1処理槽11Aにカルシウム分を添加する。ここでは、塩化カルシウムの水溶液が、薬品槽15から第1処理槽11Aに添加される。ここで、理論的には、添加されるカルシウムの量は、被処理水12に含まれるフッ素イオンの1/2のモル数が必要とされる。しかしながら、投入されたカルシウム分の一部分はフッ素イオンと結合しないので、本実施の形態では、理論的に必要とされる量よりも多量(例えば2倍以上、更に好適には5倍以上)の塩化カルシウムが投入される。
【0068】
第1処理槽11Aに塩化カルシウムの水溶液を投入することにより、被処理水12に含まれるフッ素イオンとカルシウムイオンとが化合して、フッ化カルシウムとして固定化される。フッ化カルシウムが生成された被処理水12は、第3経路P3を経由して第2処理槽11Bに移送される。
【0069】
ステップS2:膜濾過によりフッ化カルシウムを被処理水から分離するステップ
本ステップでは、前ステップにより生成されたフッ化カルシウムを、被処理水12から分離させる。フッ化カルシウムを被処理水12から分離させる装置としては、濾過が可能なフィルタが採用可能であり、一例として孔径が0.2μmの平膜型のフィルタが濾過膜13として採用される。更に、濾過膜13としては、堆積した被除去物(フッ化カルシウム)から成る自己形成膜が採用される。濾過膜13により濾過された濾過水は、第4経路P4を経由してRO濾過装置14に輸送される。本ステップにて用いられる濾過膜13は、フッ化カルシウムの通過は阻止するが、原子レベルの大きさのフッ素イオンは透過させる濾過膜である。従って、濾過膜13により濾過された被処理水12にはフッ素イオンが4mg/L程度の濃度で残留している。このフッ素イオンは、前ステップS1に於いて、カルシウム分と結合しなかったものである。
【0070】
また、濾過膜13により濾過された被処理水12の一部は、貯留槽15Cに貯留される。そして、貯留槽15Cに貯留された濾過水16は、濾過膜13の表面に付着した自己形成膜を剥離させる為に使用される。具体的には、濾過膜13による濾過を連続して行うことにより、濾過膜13の表面に付着した自己形成膜が閉塞してフラックスが徐々に低下する。そして、このフラックスの量が一定以下となったときは、濾過膜13による濾過を停止する。更に、貯留槽15Cに貯留された濾過水16を濾過膜13に逆流させて、濾過膜13の表面に付着した自己形成膜を剥離させる。更にこの後に、濾過膜13による濾過を再開させて被処理水を循環させることにより、濾過膜13の表面に自己形成膜が再び形成される。
【0071】
また、装置を動作させる初期段階に於いては、貯留槽15Cには水道水が貯留される。そして、定常運転時に於いては、RO濾過装置14により濾過された被処理水が、第12経路P12を経由して貯留槽15Cに貯留されても良い。
【0072】
また、濾過膜13により被処理水12の濾過を行っている間は、散気装置18により濾過膜13の表面に気泡を通過させる。このことにより、濾過膜13の表面に形成される自己形成膜の膜厚を制御して、濾過能力を保持させることができる。
【0073】
尚、本ステップの濾過は、第4経路P4に介装されたポンプ20の吸引力により行うが、このポンプ20は加圧手段として次ステップに於いても用いられる。ポンプ20による濾過膜13による濾過の制御方法としては、吸引圧が一定になるようにポンプ20の回転を制御しても良いし、濾過膜13により濾過される被処理水の流量が一定になるように制御しても良い。また、ポンプ20が設けられた箇所の前後の第4経路P4をバイパスさせる第10経路P10が設けられており、この第10経路P10には調整弁36が介装されている。本ステップでは、圧力計34により計測される圧力の値に応じて調整弁36を調整することにより、濾過膜13に作用する吸引圧力と、RO濾過装置14に作用する加圧力とを適切な値に制御している。
【0074】
ここで、濁度計30により検出された被処理水の濁度が、所定の値を満たしていないときは、濾過膜13により濾過された被処理水はRO濾過装置14に導入されずに、第11経路P11および第6経路P6を経由して、第1処理槽11Aに返送される。例えば、排水処理装置10を稼働させて初期の段階に於いては、濾過膜13の表面に十分に自己形成膜が形成されないので、濾過膜13により濾過された被処理水の濁度が十分でない。この場合は、濾過膜13により濾過された被処理水は第11経路P11を経由して第1処理槽11Aに返送される。一方、濾過膜13の表面に十分に自己形成膜が形成されて、濁度計30により計測される濁度が所定の値を満たしていたら、濾過膜13により濾過された被処理水はRO濾過装置14に導入される。
【0075】
ステップS3:フッ化カルシウムが除去された被処理水を更に濾過処理するステップ
本ステップでは、ポンプ20の加圧力を用いてRO濾過装置14による更なる濾過を行い、被処理水に含まれるフッ素イオンを除去する。上記したように、前ステップにて濾過を行った濾過膜13は、比較的粒径が大きいフッ化カルシウムは補足するものの、原子レベルの大きさのイオンは補足されない。従って、濾過膜13を透過した被処理水には、4mg/L程度にフッ素イオンが残留している。残留するフッ素イオンの濃度がこの程度であると、そのまま河川等の自然界に放出することは可能であるが、半導体製造工程に於ける洗浄水等として利用するには適当ではない。このことから、本実施の形態では、RO濾過装置14を用いて、濾過膜13を透過した濾過水を更に浄化処理している。RO濾過装置14により濾過された被処理水は第5経路P5を経由して外部に放出される。一方、RO濾過装置14の内部のRO濾過膜を透過せずにカルシウムイオン等が濃縮された被処理水は、第6経路P6を経由して、第1処理槽11Aに返送されてカルシウム源として再利用される。
【0076】
RO濾過装置14は、ポンプ20により与えられる加圧力により被処理水を濾過している。上記したように、ポンプ20は濾過膜13とRO濾過装置14で共用されている。
【0077】
図2に示したように、RO濾過装置14は、被処理水の処理経路に対して直列に配置された複数のRO濾過装置14から構成されている。具体的には、被処理水12が処理される経路の上流側から、第1RO濾過装置14A、第2RO濾過装置14Bおよび第3RO濾過装置14Cが配置されている。そして、ポンプ20の加圧力により先ず第1RO濾過装置14Aに被処理水が導入される。第1RO濾過装置14Aの内部のRO濾過膜28を透過した処理水は、第5経路P5を経由して外部に放出される。一方、RO濾過膜28を透過しなかった被処理水ではカルシウムイオンやフッ素イオンが濃縮され、第2RO濾過装置14Bに移送される。第2RO濾過装置14Bに於いても、第1RO濾過装置14Aと同様にRO膜による濾過が行われ、濾過された被処理水は第5経路P5を介して外部に放出され、濾過されなかった被処理水は更なる濃縮が行われた後に第3RO濾過装置14Cに移送される。更に、第3RO濾過装置14Cでも同様のRO濾過膜による濾過が行われ、RO濾過膜を透過した被処理水は第5経路P5を経由して外部に放出され、RO濾過膜を透過しなかった被処理水は第6経路P6を介して、再利用される。即ち、図1に示す第1処理槽11Aに返送される。ここで、3段に配置されたRO濾過装置により濃縮されて第6経路P6を通過する被処理水では、カルシウムイオンやフッ素イオンが例えば10倍程度に濃縮されている。
【0078】
ステップS4:濃縮されたカルシウム分を返送するステップ
本ステップでは、RO濾過装置14により濾過されなかった被処理水12を、第6経路P6を経由して第1処理槽11Aに返送して、フッ化カルシウムを生成するために再利用する。上記したように、本実施の形態では、被処理水12に残留するフッ素イオンを少なくするために、添加されるカルシウム分(塩化カルシウム)の量は、理論的に必要とされる量の2倍から10倍の範囲である。このことから、第1処理槽11A、第2処理槽11BおよびRO濾過装置14を経由した被処理水12には、フッ素分と結合しなかったカルシウムイオンが多量に含まれており、更に、RO濾過装置14により被処理水12は10倍程度に濃縮されている。
【0079】
第1処理槽11Aに返送された被処理水に含まれるカルシウムイオンは、第1経路P1から導入された被処理水に含まれるフッ素分をフッ化カルシウムとして固定化するために使用される。
【0080】
ここで、第1処理槽11Aが省略されて第2処理槽11Bにてフッ素分の固定化が行われる場合は、高濃度にカルシウム分を含む被処理水は第6経路P6を経由して第2処理槽11Bに返送される。
【0081】
上記した返送を行うことにより、薬品槽15から第1処理槽11Aに添加されたカルシウム分は、フッ素イオンと化合してフッ化カルシウムを生成する分を除き、排水処理装置10の処理経路を循環することとなる。従って、薬品槽15から供給されるカルシウム分の殆どがフッ素イオンの固定化に寄与し、第5経路P5から外部に放出されるカルシウム分が殆ど存在しない。このことから、フッ素イオンの固定化に必要とされるカルシウム分が少なくなり、処理コストが低減される。
【0082】
更に、第6経路P6を通過する被処理水に含まれるイオン(例えば塩化物イオン)の濃度は、導電率計32により計測されている。そして、計測されたイオンの量が所定量以上であれば、循環する被処理水が入れ替えられる。
【0083】
上記したステップS1乃至ステップS4を進行させると、生成されたフッ化カルシウムが、第2処理槽11Bの下部に沈殿する。この沈殿したフッ化カルシウムを回収するために本実施の形態では、以下のステップS5を行う。
【0084】
ステップS5:第2処理槽11Bに沈殿したフッ化カルシウムを回収するステップ
本ステップでは、先ず、第2処理槽11Bの底部に沈殿したフッ化カルシウムを含有する被除去物を、第7経路P7を経由してフィルタープレス17に移送する。
【0085】
次に、フィルタープレス17に水を注入することにより、被処理水12に含有された中和塩(NaCl)を洗浄して除去する。pH調整された被処理水12には中和塩が含まれているので、被処理水12から分離した被除去物にも、フッ化カルシウムの他に中和塩や、他のカルシウム塩(例えば炭酸カルシウム)が含有されている。また、例えばウェットエッチング装置からの排水の場合には、ケイ素が含まれる場合もある。フィルタープレス17に水を注入することにより、中和塩は水に溶解して外部に放出される。フッ化カルシウムは径が大きいので、水により洗浄されてもフィルタープレス17から外部に放出されない。このようにすることで、被除去物に含有されるフッ化カルシウムの濃度が向上される。
【0086】
次に、フィルタープレス17により被除去物を脱水した後に、半固形化された状態の被除去物を取り出す。この状態で被除去物の含水率は50重量%程度に成っている。次に、被除去物を乾燥させることで、固形化された被除去物のブロックが形成される。本形態では、フッ化カルシウムを85重量%含む被除去物が得られる。
【0087】
本実施の形態では、高分子凝集剤等の凝集剤を用いずに固液分離処理を行うことから、フッ化物イオンを含む排水から、固定化されたフッ化カルシウムを高純度に得ることができる。得られたフッ化カルシウムは、強酸(例えば硫酸)と反応させることにより、フッ酸として半導体製造工程にて再利用することができる。
【0088】
更には、本願で得られる高純度のフッ化カルシウムを、鉄鋼に混入されるフラックスとして用いることも可能である。また、得られたフッ化カルシウムに塩酸を添加したら、塩化カルシウムを得ることもできる。更にまた、フッ化カルシウムを再利用するために添加する硫酸や塩酸等は、半導体工場にて常備される薬品であるので、工場内に新たな設備を追加する事なく、フッ化カルシウムの再利用を行うことができる。
【0089】
次に、図4乃至図6を参照して、上記した濾過膜13として適用可能な濾過機構(フィルタ装置23)の詳細を説明する。下記の形態では、自己形成膜を用いた濾過機構を説明するが、本発明には他の形態の濾過装置を適用することも可能である。例えば、濾過膜13として、高分子化合物からなる通常の濾過膜を使用することも可能である。
【0090】
図4を参照して、フィルタ装置23は、フッ化カルシウムである被除去物が混入された被処理水を、被除去物から形成した自己形成膜から成るフィルタで除去するものである。
【0091】
具体的に説明すると、本実施形態のフィルタ装置23は、有機高分子の第1フィルタ21の表面に、フッ化カルシウムを含む被除去物から形成した第2フィルタ22(自己形成膜)が形成されたものである。この自己形成膜である第2フィルタ22を用いて、被除去物が混入された被処理水が濾過される。
【0092】
第1フィルタ21は、自己形成膜を付着させることができれば原理的に考えて有機高分子系、無機系(セラミック系)とどちらでも採用可能である。ここでは、平均孔径0.25μm、厚さ0.1mmのポリオレフィン系の高分子膜を採用した。このポリオレフィン系から成るフィルタ膜の表面写真を図5(B)に示した。
【0093】
また、第1フィルタ21はフレーム24の両面に設けられた平膜構造を有し、流体の液面に対して垂直になるように浸漬されている。フレーム24の中空部25からポンプ26により吸引することで、ろ液27(被処理水)を取り出せる。
【0094】
次に、第2フィルタ22は第1フィルタ21の表面全体に付着され、被除去物の凝集した粒子を吸引することで固形化された自己形成膜である。この自己形成膜は、ゲル状あるいはケーキ状に凝集したものでも良い。
【0095】
上記した被除去物の自己形成膜である第2フィルタ22を形成し、被除去物を取り除く濾過について説明する。
【0096】
図5(A)を参照して、第1フィルタ21は多数のフィルタ孔21Aを有し、このフィルタ孔21Aの開口部および第1フィルタ21の表面に層状に形成されている被除去物の自己形成膜が第2フィルタ22である。第1フィルタ21の表面にはフッ化カルシウムから成る被除去物の凝集粒子があり、この凝集粒子はポンプからの吸引圧力により第1フィルタ21を介して吸引され、流体の水分が吸い取られるために乾燥(脱水)してすぐに固形化して第1フィルタ21の表面に第2フィルタ22が形成される。
【0097】
第2フィルタ22は被除去物の凝集粒子から形成されるので、直ちに所定の膜厚になり、この第2フィルタ22を利用して被除去物の凝集粒子の濾過が開始される。従ってポンプ26(図4参照)で吸引しながら濾過を続けると、第2フィルタ22の表面には凝集粒子の自己形成膜が積層されて厚くなり、やがて第2フィルタ22は目詰まりして濾過を続けられなくなる。この間に被除去物のフッ化カルシウムは固形化されながら、第2フィルタ22の表面に付着して被処理水が第1フィルタ21を通過して濾過水として取り出される。
【0098】
図5(A)において、第1フィルタ21の片面には、フッ化カルシウム等の被除去物が混入された被処理水があり、第1フィルタ21の反対面には、第1フィルタ21を通過した濾過水が生成されている。矢印の方向に被処理水は吸引されて流れ、この吸引により被処理水12中の凝集粒子が第1フィルタ21に近づくにつれて固形化されていく。更に、いつかの凝集粒子が結合した自己形成膜が第1フィルタ21表面に吸着されて第2フィルタ22が形成される。この第2フィルタ22の働きで溶液中の被除去物は固形化されながら被処理水の濾過が行われる。
【0099】
このように第2フィルタ22を介して被処理水をゆっくりと吸引することで、被処理水中の水が濾過水として取り出せ、被除去物は乾燥して固形化し第2フィルタ22表面に積層されて被除去物の凝集粒子は自己形成膜として捕獲される。
【0100】
第1フィルタ21は被処理水に垂直に立って浸漬され、被処理水は被除去物が分散した状態となっている。ポンプ26により第1フィルタ21を介して被処理水を微弱な吸引圧力で吸引をすると、第1フィルタ21の表面に被除去物の凝集粒子が互いに結合して、第1フィルタ21の表面に吸着される。なおフィルタ孔21Aより径の小さい凝集粒子S1は第1フィルタ21を通過するが、第2フィルタ22を成膜する工程では濾過水は再び被処理水に循環されるので問題はない。
【0101】
次に、上記した自己形成膜による濾過の処理を順番に説明する。
【0102】
先ず、被処理水を第1フィルタ21にて濾過することで、第1フィルタの表面に第2フィルタを成膜する。この成膜する工程では、被処理水は極めて微弱な吸引圧力で吸引されているので凝集粒子S1はいろいろな形状の隙間を形成しながら積層され、極めて膨潤度の高い柔らかな自己形成膜の第2フィルタ22となる。被処理水中の水はこの膨潤度の高い自己形成膜を浸透して吸引されて第1フィルタ21を通過して濾過水として取り出され、最終的に被処理水は濾過されることになる。
【0103】
また、被処理水の底面(図1に示す散気装置18)から気泡Aを送ることで、第1フィルタ21の表面に沿って被処理水に並行流を形成している。これは第2フィルタ22が第1フィルタ21の表面全体に均一に付着するためと第2フィルタ22に隙間を形成して柔らかく付着するためである。具体的には1.8リットル/分のエアー流量に設定をしているが、第2フィルタ22の膜質により選択される。
【0104】
上記した成膜工程により第2フィルタ22が十分に形成され、濾過された被処理水が所定の透明度を達成したら、濾過工程に移行する。この濾過工程では、第2フィルタ22の表面に微弱な吸引圧力によりフッ化カルシウムから成る凝集粒子S1が吸着されながら徐々に積層される。このときに精製水は第2フィルタ22および更に積層される凝集粒子S1を浸透して第1フィルタ21から濾過水として取り出される。
【0105】
しかし、長時間濾過を続けると、第2フィルタ22表面には厚く自己形成膜が付着されるために上述した隙間もやがて目詰まりを起こし、濾過水は取り出せなくなる。このために濾過能力を再生するにはこの積層された自己形成膜を除去することが必要になる。
【0106】
濾過能力の再生の一例を説明すると以下の通りである。
【0107】
例えば、図4を参照して、第1フィルタ21の中空部25は微弱な吸引圧力により、外側と比較すれば負圧となっているので、第1フィルタ21は内側に窪んだ形状になっている。従って、その表面に吸着される第2フィルタ22も同様に内側に窪んだ形状になっている。
【0108】
再生工程ではこの微弱な吸引圧力が停止させてほぼ大気圧に戻すことにより、第1フィルタ21は元の状態に戻る。これにより第2フィルタ22およびその表面に吸着された自己形成膜も同様に元の状態に戻る。この結果、まず自己形成膜を吸着していた吸引圧力がなくなるので、自己形成膜は第1フィルタ21への吸着力を失うと同時に外側に膨らむ力を受ける。これにより、吸着した自己形成膜は自重で離脱を始める。
【0109】
更に、この再生工程で中空部25に濾過水を逆流させると、第1フィルタ21が元の状態に戻るのを助け且つ濾過水の静水圧が加わり更に外側に膨らむ力が加わる。更に、第1フィルタ21の内側からフィルタ孔21A(図5(A)参照)を通して濾過水が第1フィルタ21と第2フィルタ22の境界にしみ出して第1フィルタ21の表面から第2フィルタ22の自己形成膜が離脱するのを促進する。上記逆流は、図1に示す貯留槽15Cに暫定的に貯留された濾過水16を、濾過膜に流入させることで行うことができる。
【0110】
上述のように第2フィルタ22を再生させながら濾過を続けると、被処理水12の被除去物の濃度が上昇し、やがて被処理水12の粘度も増加する。従って、被処理水12の被除去物の濃度が所定の濃度を超えたら、濾過作業を停止し沈殿させるために放置する。すると第2処理槽11B(図1)の底に濃縮スラリーが貯まり、このケーキ状の濃縮スラリーを回収する。回収された濃縮スラリーは、フィルタープレス17(図1参照)を用いて脱水し、更に圧縮または熱乾燥してその中に含まれる水を除去して減量する。
【0111】
このスラリーはフッ酸原として再利用することができる。つまり、貯留槽15Cに貯留された濾過水16を逆流させて自己形成膜の剥離を繰り返すことで、フッ酸の原料となる濃縮スラリーの濃縮効率を向上させることができる。
【0112】
図6を参照して、図1に示す濾過膜13を用いて被処理水12を濾過した実験を説明する。図6は、濾過処理を行う際のフラックスの経時変化を示すグラフである。このグラフにて横軸は処理を連続して行った時間を示し、縦軸はフラックスの大きさを示している。
【0113】
先ず、この実験の条件を説明する。本実験では、0.1mの面積の濾過膜に、7kPaの吸引圧を与えて濾過を行った。被処理水では、フッ素イオンを1000mg/L含む排水に塩化カルシウムを加えて、フッ化物イオンがフッ化カルシウムとして固定化してある。フッ化カルシウムの径は、0.25μm程度である。そして、処理される被処理水の量とフッラックスとを定期的に計量することで実験を行った。
【0114】
この実験により、平均フラックスは0.4m/dayであり、本形態の濾過膜13は実用に十分耐えうることが証明された。更に、濾過膜により得られる濾過水に含まれるフッ化物イオンの濃度は、3.5mg/Lであり、この値は一般的な放流基準を満たしている。
【0115】
実験方法を具体的に説明すると、先ず、フッ化カルシウム等の被除去物を循環させることにより濾過膜の表面に自己形成膜を形成し、一定以上の透明度を有する濾過水が得られるようになった時点で、濾過を開始する。
【0116】
濾過を開始した時点のフラックスは、0.7m/day程度であり、濾過を継続するとフラックスは徐々に低下する。この原因は、濾過の経過に伴い自己形成膜の閉塞が進行するからである。濾過を開始してから130分経過した時点のフラックスは0.2m/day程度である。この時点で自己形成膜を濾過膜から剥離して、被処理水中にて濃縮された被除去物を回収する。
【0117】
自己形成膜の剥離および被除去物の回収が終了したら、新たな自己形成膜を濾過膜の表面に形成して、再び被処理水を濾過する。以上の工程を繰り替えることで、フッ化カルシウムを含む被除去物を、被処理水から分離することができる。
【0118】
上述の実験により、定期的に自己形成膜の剥離および再生を行うことで、十分なフラックスが確保できることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の排水処理装置を示す図である。
【図2】本発明の排水処理装置に備えられるRO濾過装置を示す図である。
【図3】本発明の排水処理方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の排水処理装置に適用されるフィルタ装置を説明する図である。
【図5】本発明の排水処理装置に適用されるフィルタ装置の(A)動作原理を説明する図、(B)第1フィルタの拡大図である。
【図6】本発明の排水処理装置に適用される濾過装置の特性を説明するための特性図である。
【符号の説明】
【0120】
10 排水処理装置
12 被処理水
13 濾過膜
14 RO濾過装置
14A 第1RO濾過装置
14B 第2RO濾過装置
14C 第3RO濾過装置
15 薬品槽
16 濾過水
17 フィルタープレス
18 散気装置
19 受入槽
20 ポンプ
21 第1フィルタ
22 第2フィルタ
23 フィルタ装置
24 フレーム
25 中空部
26 ポンプ
27 ろ液
28 RO濾過膜
30 濁度計
32 導電率計
34 圧力計
36 調整弁
P1 第1経路
P2 第2経路
P3 第3経路
P4 第4経路
P5 第5経路
P6 第6経路
P7 第7経路
P8 第8経路
P9 第9経路
P10 第10経路
P11 第11経路
P12 第12経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素を含む被処理水にカルシウム分を添加してフッ化カルシウムを生成させる添加手段と、
前記フッ化カルシウムを前記被処理水から分離する第1分離手段と、
前記フッ化カルシウムが分離された前記被処理水からフッ素イオンを除去する第2分離手段と、を備え、
前記フッ素と未反応である前記カルシウム分が前記第2分離手段により濃縮された前記被処理水が、前記第1分離手段よりも前段に返送されることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記第2分離手段は、前記被処理水が処理される経路に対して直列に複数個配置され、
最も後段に配置された前記2分離手段にて濃縮された前記被処理水が、前記第1分離手段よりも前段に返送されることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記第2分離手段は、RO膜またはNF膜を備えた濾過装置であることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記第1分離手段は、濾過膜に積層された前記フッ化カルシウムを含む自己形成膜であることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記第1分離手段に逆流される流体が貯留される貯留槽を備え、
前記貯留槽には前記第2分離手段により濾過された前記被処理水が貯留されることを特徴とする請求項4記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記第1分離手段は吸引型の濾過装置であり、前記第2分離手段は加圧型の濾過装置であり、
前記第1分離手段と前記第2分離手段との経路に介装されたポンプにより、前記第1分離手段に吸引圧を印加すると共に、前記第2分離手段に加圧を印加することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記ポンプが介装された箇所の前記経路をバイパスさせるバイパス経路を更に具備し、
前記バイパス経路を通過する前記被処理水の量を調整する調整弁が備えられることを特徴とする請求項6記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記被処理水が循環される経路に、前記被処理水に含まれるイオンの濃度を計測するイオン濃度計測手段を備えることを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項9】
前記第1分離手段を経た前記被処理水の濁度を検出する濁度検出手段を備え、
前記濁度検出手段により検出された前記被処理水の濁度が一定値以下であれば、前記被処理水を前記第2分離手段に供給することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項10】
フッ素分を含む被処理水にカルシウム分を添加することによりフッ化カルシウムを生成するステップと、
第1分離手段により前記フッ化カルシウムを前記被処理水から分離するステップと、
第2分離手段により前記フッ化カルシウムが分離された前記被処理水からフッ素イオンを除去するステップと、を備え、
前記フッ素と未反応である前記カルシウム分が前記第2分離手段により濃縮された前記被処理水を、前記第1分離手段よりも前段に返送することを特徴とする排水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−207953(P2009−207953A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50843(P2008−50843)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】