説明

排水用側溝装置

【課題】重量の重いU字溝を用いたり撤去が必要な型枠を用いるようなことなく、容易に能率よく施工することができる排水用側溝装置を提供する。
【解決手段】基礎1の上に金属板製のベースプレート2を設置し、このベースプレート2の上に高さ調整機構としてのボルト5を介して金属板製のトラフ7および側溝枠8を設けて排水路を構成する。ボルト5にはトラフ7および側溝枠8を支持する支持用のナット21とその締結用のナット22とが螺着されている。施工の際に前記支持用のナット21を回してトラフ7および側溝枠8の高さのレベルを調整し、その調整後に締結用のナット22で締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路沿いや公園等の敷地内に施工される排水用側溝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路沿いや公園等の敷地内に排水用側溝を施工する従来の方法としては、掘り起こした地盤中にコンクリート製の複数のU字溝を順次直列状に繋ぎ合わせるように敷設して側溝を構成する方法や、掘り起こした地盤中に複数の型枠を所定形状に組み付けて設置し、その型枠内にコンクリートを打設し、その養生後に型枠を撤去して側溝を構成する方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、コンクリート製のU字溝は比較的重量が重く、したがってその長手方向の寸法も比較的小さな寸法となっており、このようなU字溝を複数地盤中に敷設して排水用側溝を構成する方法では、その施工に多大な労力と時間を要し、能率が悪い。特に、その各U字溝の上端の位置を所定のレベルに合わせる作業が面倒で、より一層能率性が低下する。
【0004】
また、側溝にはその上端の開口を覆う蓋体を装着することになるが、単にU字溝で構成される側溝では、その蓋体を支持するための受枠を側溝とは別の工程で設けなければならないという面倒な点がある。
【0005】
一方、型枠を用いる方法では、その型枠の組み付けに面倒な作業を要し、またコンクリートの打設後における型枠の撤去が必要で、その撤去にも面倒な作業とコストがかかるという問題がある。
【0006】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、重量の重いU字溝を用いたり撤去が必要な型枠を用いるようなことなく、容易に能率よく施工でき、かつ高さのレベル出しも容易に行なえる排水用側溝装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の排水用側溝装置は、基礎の上に設置固定される金属板製のベースプレートと、前記ベースプレートの上に高さ調整機構を介して支持される金属板製のトラフと、前記トラフの両側上部に、互い対向して並列するように設置される一対の金属板製の側溝枠とで構成される。
【0008】
前記並列する側溝枠の上端部には、互に対向して側溝枠間の開口を覆う蓋体を支持するための受枠が一体的に設けられる。また、前記高さ調整機構は、前記ベースプレートの上に垂直に設けられたボルトと、このボルトに螺着された支持用のナットおよび締結用のナットとを備え、前記支持用のナットで前記トラフを支持し、そのトラフおよび該トラフの上に設置される前記側溝枠を前記支持用のナットと前記締結用のナットとで締め付けて締結し、そのトラフおよび側溝枠を前記支持用のボルトで前記ベースプレートの上の所定のレベルの位置に支持する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、重量の重いU字溝を用いたり撤去が必要な型枠を用いるようなことなく、金属板製の軽量なベースプレート、トラフ、側溝枠を用いて容易に能率よく排水用側溝を施工することができる。そしてその側溝の上端のレベルの位置を高さ調整機構により的確にかつ能率よく調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1には施工後の排水用側溝装置の断面図を、図2にはその排水用側溝装置の平面図を、図3にはその排水用側溝装置の分解状態の斜視図を示してある。
【0012】
図に示す符号1は、排水用側溝を設置すべき地盤の上に設けられたコンクリート製の基礎で、この基礎1の上にベースプレート2が設けられる。このベースプレート2は、一方向に長い平面的な梯子状をなし、1つのベースプレート2の長さは例えば2000mm程度であり、このようなベースプレート2の複数が基礎1の上に順次直列状に繋ぎ合わされて所定の区間に設置され、それぞれコンクリート釘3を用いて基礎1に固定される。
【0013】
ベースプレート2の上面には、高さ調整機構を構成する複数のボルト5が垂直に取り付けられている。これらボルト5は、ベースプレート2の幅方向に沿って左右に並び、かつベースプレート2の長さ方向に沿って所定の間隔ごとに配置するようにベースプレート2に取り付けられている。そして前記各ボルト5を介してベースプレート2の上にトラフ7と側溝枠8とが上下に重なるように支持される。
【0014】
トラフ7は、一方向に長い樋状の主部10と、この主部10の両側上縁部からその外側に水平に突出するフランジ部11とを一体的に有し、前記主部10の底部が断面V字状をなしている。
【0015】
前記側溝枠8は、トラフ7の上部両側の一対のフランジ部11の上に互いに対向して並列するように設置される。トラフ7の上に設置される一対の側溝枠8は、側溝装置の施工が終了するまでは、図3に示すように複数のスペーサ部材19により互いに所定の間隔で対向するように連結されて一体的な枠ユニット9として組み立てられている。
【0016】
枠ユニット9として組み立てられている各側溝枠8は一方向に長い側板12をそれぞれ有し、これら側板12の上下縁にはその外側に水平に突出するフランジ部13,14が一体に形成され、また側板12の外面には前記フランジ部13,14の相互間に渡って延びる補強桟15が取り付けられ、さらに側板12の両端側の端縁にはその外側に突出して垂直に配置するフランジ部16が一体に形成されている。そして、各側板12の上端縁のフランジ部13の上には、互いに向き合うように断面L状の受枠17が取り付けられ、これら受枠17の内側の平面部には所定の間隔をあけて複数のボルト18が図1に示すように取り付けられている。並列して並ぶ両側溝枠8を連結する前記スペーサ部材19は受枠17の内側に設けられた前記ボルト18に嵌合され、そのボルト18に螺着された袋ナット29により側溝枠8に固定されている。
【0017】
枠ユニット9の両側溝枠8は、図1に示すように、その下部のフランジ部14がトラフ7の上部のフランジ部11の上に重なるようにトラフ7の上に配置され、この状態でベースプレート2に設けられた高さ調整用の各ボルト5を介してベースプレート2の上に支持される。すなわち、図1および図3に示すように、前記ボルト5には支持用のナット21が螺着されており、これらボルト5のナット21の上部側が互いに重なる前記フランジ部11,14を貫通し、そのフランジ部11,14が前記ナット21で支持される。そしてボルト5の前記フランジ部11,14の上部側に締結用のナット22が螺着され、これらナット22の締め付けで前記フランジ部11,14がボルト5に固定され、これによりトラフ7および側溝枠8が互いに締結されてベースプレート2の上に支持され、トラフ7および一対の側溝枠8により雨水等の水を流通させる排水路が構成される。
【0018】
そして、前記締結用のナット22を緩め、支持用のナット21を回してその位置を変えることより、トラフ7および側溝枠8の高さのレベルを調整することができるようになっている。
【0019】
側溝枠8の上部に互いに向き合うように設けられた受枠17の内側には、側溝装置の施工終了後に図1に示すように両側溝枠8間の上部の開口を塞ぐ蓋体25が脱着可能に嵌合される。この蓋体25は通水用の複数のスリット26および取付用の複数の透孔27を有し、前記透孔27が受枠17の内側の前記ボルト18に嵌合され、さらに蓋体25の上方側から前記透孔27を通して前記ボルト18にキャップナット28が螺着され、これらキャップナット28の締め付けにより蓋体25が受枠17に固定される。
【0020】
なお、前記ベースプレート2、トラフ7、側溝枠8は例えばステンレス板で形成され、前記蓋体25は鋳鉄で形成される。
【0021】
このような排水用側溝装置は、図2に示すように、地盤中の枡部30に向って延びるように施工される。実際の施工に際しては、地盤中に設けた基礎1の上にベースプレート2を必要数順次直列状に継ぎ合わせて所定の長さの区間に渡るように設置してコンクリート釘3で固定する。そして、ベースプレート2の上面に高さ調整用のボルト5を取り付け、これらボルト5に支持用のナット21を螺着する。
【0022】
次に、トラフ7のフランジ部11を前記ボルト5に差し込み、前記支持用のナット21でトラフ7を支持する。この後、トラフ7の上に枠ユニット9として組み立てられている一対の側溝枠8を取り付ける。トラフ7に枠ユニット9の側溝枠8を取り付ける際には、各側溝枠8の下部のフランジ部14を前記ボルト5に差し込みながらトラフ7の両側のフランジ部11の上に重ね合わせる。そして前記ボルト5に締結用のナット22を螺着し、これら締結用のナット22と前記支持用のナット21とで前記フランジ部11,14を挟み付けてトラフ7および側溝枠8をボルト5に締結する。この際、支持用のナット21の位置を調整してトラフ7および側溝枠8を所定のレベル位置に定める。
【0023】
トラフ7および枠ユニット9の側溝枠8は1つのベースプレート2と同じ長さに形成されており、したがって継ぎ合わされた各ベースプレート2の上には同様の手順でそれぞれトラフ7および側溝枠8を取り付ける。そして、その互いに隣り合う一方の側溝枠8の端部のフランジ部16と他方の側溝枠8の端部のフランジ部16とをボルトおよびナットとによる締結具(図示せず)で締結してその隣り合う側溝枠8およびトラフ7を連結する。
【0024】
また、枡部30に向く側の側溝枠8の端面には、図2および図4に示すように、排水用の端板35を取り付ける。すなわち、図4に示すように、端板35を並列する前記一対の側溝枠8の端部のフランジ部16に突き当ててその両フランジ部16にボルト36およびナット37とで締結する。この端板35は側溝枠8の高さとトラフ7の高さとの合算分より大きな高さを有し、この端板35により並列する一対の側溝枠8間の端面およびトラフ7の端面が閉塞される。そしてこの端板35にはトラフ7の端面と対向する部分に円筒状の排水口39が突出形成され、この排水口39が前記枡部30の側面に接続され、これによりトラフ7の内側を流れる水が前記排水口39を通して枡部30に排出される。
【0025】
また、枡部30の反対側に向く側溝枠8の最端側の端面には、閉塞用の端板41を取り付ける。すなわち、端板41を並列する一対の側溝枠8の端部のフランジ部16に突き当ててその両フランジ部16にボルト43およびナット44とで締結する。この端板41は側溝枠8の高さとトラフ7の高さとの合算分より大きな高さを有し、この端板41により並列する一対の側溝枠8間の端面およびトラフ7の端面が閉塞される。なお、枡部30に向って一連に連なるトラフ7は、その底部が枡部30に向って斜め下方に0.2%程度の勾配で傾斜するように高低差が付けられている。
【0026】
側溝装置の施工が終了したのちには、図1に示すように、基礎1とトラフ7との間にモルタル45を充填し、また並列する側溝枠8の外側の車道側および歩道側の領域にそれぞれコンクリートを打設して基礎47,48を形成する。さらに、基礎47の上に、車道と側溝装置との間の境を仕切るための境界ブロック50をモルタル51を介して受枠17の上端とほぼ面一となるように設置し、この境界ブロック50の外側に道路用材を敷き込んで車道を仕上げる。また、基礎48の上にモルタル52を介して化粧タイルや化粧ブロックなどからなる複数の舗装材53を受枠17の上端とほぼ面一となるように敷き詰めて歩道を仕上げる。
【0027】
車道および歩道の養生後には、並列する側溝枠8の上部間に架設されているスペーサ部材部材19を取り外し、そのスペーサ部材19に替えて側溝枠8の上部間に蓋体25を装着し、キャップナット28でその蓋体25を固定する。なお、蓋体25としては、格子状をなすグレーチング構造のものを用いることも可能である。
【0028】
このような構成の側溝装置によれば、コンクリート製のU字溝を用いる場合に比べ、金属板からなるベースプレート2、トラフ7、側溝枠8は軽量であり、したがってその運搬や施工を容易に能率よく行なうことができる。そして、コンクリート打設用の型枠やその撤去の作業が全く不要であるから、作業性が向上すると同時にコストも軽減する。
【0029】
ベースプレート2の上に設置するトラフ7および側溝枠8の高さの位置は、ボルト5に螺着した支持用のナット21を回して上下に変位させるだけで容易に調整することができ、その調整で側溝枠8の上端の受枠17の位置を歩道や車道の路面基準レベルに的確に合わせることができる。
【0030】
さらに側溝枠8の上端部には、蓋体25を受けるための受枠17が一体的に設けられており、このため別途の施工で受枠17を取り付けるような作業が不要となり、より一層施工能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態に係る排水用側溝装置の断面図。
【図2】その排水用側溝装置の平面図。
【図3】その排水用側溝装置の分解状態の斜視図。
【図4】その排水用側溝装置の枡部側の端部とその反対側の端部の構造を示す側面図。
【符号の説明】
【0032】
1…基礎
2…ベースプレート
5…ボルト
7…トラフ
8…側溝枠
9…枠ユニット
10…主部
11…フランジ部
12…側板
13…フランジ部
14…フランジ部
15…補強桟
16…フランジ部
17…受枠
18…ボルト
19…スペーサ部材
21…支持用のナット
22…締結用のナット
25…蓋体
28…キャップナット
29…袋ナット
30…枡部
35…端板
39…排水口
41…端板
50…境界ブロック
53…舗装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上に設置固定される金属板製のベースプレートと、
前記ベースプレートの上に高さ調整機構を介して支持される金属板製のトラフと、
前記トラフの両側上部に、互い対向して並列するように設置される一対の金属板製の側溝枠と、
を具備することを特徴とする排水用側溝装置。
【請求項2】
前記並列する側溝枠の上端部には、互に対向して側溝枠間の開口を覆う蓋体を支持するための受枠が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水用側溝装置。
【請求項3】
前記高さ調整機構は、前記ベースプレートの上に垂直に設けられたボルトと、このボルトに螺着された支持用のナットおよび締結用のナットとを備え、前記支持用のナットで前記トラフを支持し、そのトラフおよび該トラフの上に設置される前記側溝枠を前記支持用のナットと前記締結用のナットとで締め付けて締結し、そのトラフおよび側溝枠を前記支持用のボルトで前記ベースプレートの上の所定のレベルの位置に支持することを特徴とする請求項1または2に記載の排水用側溝装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−107234(P2007−107234A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297963(P2005−297963)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000208651)第一機材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】