説明

排水管用液体洗浄剤組成物

【課題】配水管に適用するのに適した高い粘度を有し、低温保管時の安定性に優れ、さらに糸曳き性の低い排水管用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩、(b)アルカリ金属の水酸化物、(c)アルキルジメチルアミンオキサイド、(d)脂肪酸のアルカリ金属塩、
(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含有し、界面活性剤の総量が1.5質量%以上であり、(c)成分として、(c−1)ドデシルジメチルアミンオキサイド及び、(c−2)テトラデシルジメチルアミンオキサイドを含有し、(c−1)及び(c−2)の総量が(c)成分中80質量%以上であり、(c−2)と(d)との質量比が、(d)/(c−2)=0.5〜2である、排水管用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次亜塩素酸アルカリ金属塩を主成分とする漂白洗浄剤組成物は多く知られており、浴室、浴槽、洗面台、台所、及びそれらの排水管等の硬質表面に付着した汚れの除去を目的として広範囲に使用されている。上記の如き漂白洗浄剤組成物は、適用される硬質表面が水平面に限らず傾斜面、垂直面など様々であることから、いかなる表面に適用された場合にも優れた漂白洗浄性能を発揮させるために、対象となる汚れへの付着滞留性が要求されている。
【0003】
このような要求に応えるべく、組成物に粘度を付与することで付着滞留性を向上することが試みられている。例えば特許文献1には、飽和C8〜C18脂肪酸又はC10〜C18アルキルサルコシンのアルカリ金属塩と特定のトリアルキルアミンオキシドとの混合物、及びサルフェート又はスルホネートタイプの合成洗浄剤を用いた漂白液体組成物が開示されている。また、特許文献2には、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩、第3級アミンオキサイド、アルキル基部分の炭素数が8〜20の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を用いた漂白剤組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、次亜塩素酸アルカリ金属塩、アルカリ剤及び界面活性剤を含有し、特定の電気伝導度を有する排水管洗浄剤組成物が開示され、実施例として、ヤシ脂肪酸ナトリウムとヤシジメチルアミンオキシド、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの組み合わせが例示されている。
【特許文献1】特公昭63−33800号
【特許文献2】特開2001−107087号
【特許文献3】特開2003−113398号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組成物の付着滞留性を向上する方法としてトリガースプレーヤーなどで泡状に噴霧する手段が知られているが、細長い排水管内を洗浄する場合には、大量に噴霧しなければならず不向きである。また、組成物に粘度を付与することで付着滞留性を向上する試みがなされており、組成物に粘度を付与する方法として、ポリマー系、無機鉱物系の増粘剤を配合する手段が知られているが、次亜塩素酸塩の分解や低温保管時の配合系の安定性という点から好ましくなく、あまり実用化されていないのが現状である。さらに、組成物に粘度を付与する方法として種々の界面活性剤を配合する手段が知られており、次亜塩素酸塩の分解や低温保管時の配合系の安定性という点から、使用できる界面活性剤の種類が限られている中で、少ない配合量で効率よく高い粘度を付与する努力がなされて来ている。しかし、これらの組成物では、組成物を収納した容器を傾けて排水管の内部に組成物を注入後、容器を起こした際に糸を曳き、手、衣類、容器自体や排水口の周辺に付着し、薬傷や脱色する可能性があるという課題があった。
【0005】
特許文献1記載の漂白液体組成物は、増粘系であるとはいえ、25℃の粘度が10〜200mPa・sであり、付着滞留性に劣り、また、糸曳き性があるため容器に充填して使用する場合の排出時に液切れが悪いものとなる。特許文献2記載の漂白剤組成物も、主にディスペンサーを用いて噴霧するため、比較的低粘度(25℃の粘度は30〜200mPa・sが好適)であり、配水管に用いるには十分な粘度とは言い難い。また、特許文献2では糸曳き性について、なんら触れられていない。さらに、特許文献3記載の排水管洗浄剤組成物は、優れた付着滞留性を示し、温度変化に伴う粘度変化が小さいとされているが、糸曳き性について何ら触れられていないと同時に、段落0016には、粘度が300mPa・sを超えると系の安定性が劣化すると記載されており、高い粘度を付与することと品質が両立できないことを示唆している。なお、配水管用の洗浄剤組成物として市販されている次亜塩素酸系の製品には、増粘系であることをうたったものもあるが、糸曳き性があるため使い勝手は必ずしもよいとはいえない。
【0006】
本発明の課題は、配水管に適用するのに適した高い粘度を有し、低温保管時の安定性に優れ、さらに糸曳き性の低い排水管用洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩〔以下、(a)成分という〕、
(b)アルカリ金属の水酸化物〔以下、(b)成分という〕、
(c)アルキルジメチルアミンオキサイド〔以下、(c)成分という〕、
(d)脂肪酸又はそのアルカリ金属塩〔以下、(d)成分という〕、
(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩〔以下、(e)成分という〕を含有し、
界面活性剤の総量が1.5質量%以上であり、
(c)成分として、
(c−1)ドデシルジメチルアミンオキサイド〔以下、(c−1)成分という〕及び、
(c−2)テトラデシルジメチルアミンオキサイド〔以下、(c−2)成分という〕を含有し、
(c−1)成分及び(c−2)成分の総量が(c)成分中80質量%以上であり、
(c−2)成分と(d)成分との質量比が、(d)/(c−2)=0.5〜2である、
排水管用液体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配水管に適用するのに適した高い粘度を有し、低温保管時の安定性に優れ、さらに糸曳き性の低い排水管用洗浄剤組成物が提供される。すなわち、本発明によれば、対象面への付着滞留性と低温保管時の安定性に優れ、さらに容器を傾けて組成物を排水管の内部に注入後、容器を起こした際に糸を曳かず液切れの良い排水管用液体洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、(c)〜(e)成分の特定の界面活性剤を組み合わせて特定の比率で配合することによって、従来にない顕著な効果である高い粘度と優れた低温保管時の安定性を有し、さらに組成物を収納した容器を傾けて排水管の内部に組成物を注入後、容器を起こした際に糸を曳かずに液切れが良い安全な排水管用液体洗浄剤組成物が得られる。
【0010】
(a)成分の次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等が挙げられ、特に次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムは、製造上次亜塩素酸ナトリウムと当モルの塩化ナトリウムが混在するが、塩化ナトリウムが多量に存在する次亜塩素酸ナトリウムは貯蔵安定性を損なう場合があるため、予め塩化ナトリウムを低減化したものを用いることが好ましい。具体的には塩化ナトリウムの含有量が次亜塩素酸ナトリウムに対して10〜60モル%、好ましくは10〜40モル%のものが好適である。このような塩化ナトリウムを低減化した次亜塩素酸ナトリウムは、低食次亜塩素酸ナトリウムとして市販されている。本発明の排水管用液体洗浄剤組成物中における(a)成分の含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜4質量%がさらに好ましい。(a)成分の含有量が0.5質量%以上では良好な洗浄力が得られ、5質量%以下で次亜塩素酸アルカリ金属塩の良好な安定性が得られる観点からこのましい。
【0011】
(b)成分のアルカリ金属の水酸化物とは、排水管用液体洗浄剤組成物中に存在するアルカリ金属イオンとヒドロキシイオンとの組合せ、すなわち遊離アルカリを示し、他の対イオンとの組合せの場合はこの対象としない。(b)成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、特に水酸化ナトリウムが好ましい。本発明の排水管用液体洗浄剤組成物には、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性を向上する成分として(b)成分を含有しており、その含有量は、0.6〜3質量%が好ましく、0.6〜2質量%がより好ましく、0.8〜1.5質量%がさらに好ましい。(b)成分の含有量が0.6質量%以上では良好な次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性が得られ、3質量%以下では金属材料に対する損傷性が良好である観点から好ましい。
【0012】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物中における(c)成分のアルキルジメチルアミンオキサイドのアルキル基は、炭素数8〜18のものが挙げられ、直鎖であることが好ましい。
【0013】
また、本発明では、(c)成分として、(c−1)成分のドデシルジメチルアミンオキサイド及び(c−2)成分のテトラデシルジメチルアミンオキサイドを含有し、(c−1)成分及び(c−2)成分の総量が(c)成分中80質量%以上であり、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。なお、特許文献3の実施例で用いられているヤシジメチルアミンオキサイドのように、ヤシ油脂肪酸由来のアルキル組成を持つアルキルジメチルアミンオキサイドは、通常、(c−1)成分及び(c−2)成分の総量が60〜70質量%程度であり、(c)成分についての本発明の要件を満たさない。また、ヤシジメチルアミンオキサイドの使用量を増やして本発明の(c−1)成分及び(c−2)成分の総量を増加させても、後述の比較例5のように、本発明の効果を得ることはできない。
【0014】
本発明では、(c−1)成分のドデシルジメチルアミンオキサイドと(c−2)成分のテトラデシルジメチルアミンオキサイドの質量比(c−1)/(c−2)は、0.1〜2.5が好ましい。
【0015】
また、炭素数16以上のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイドの総量は、糸曳き性の点から、(c)成分中20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
また、炭素数10以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイドの総量は、好適な粘度を得る観点から、(c)成分中20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく5質量%以下が好ましい。
【0017】
また、(c)成分の含有量は、組成物中、高粘度、保存安定性、及び低糸曳き性の観点から、0.5〜2.5質量%が好ましく、0.8〜2.0質量%がより好ましく、1.0〜1.6質量%がさらに好ましい。
【0018】
また、(c−1)成分の含有量は、組成物中、高粘度、保存安定性、及び低糸曳き性の観点から、0.1〜1.2質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましく、0.2〜0.8質量%がさらに好ましい。
【0019】
また、(c−2)成分の含有量は、組成物中、高粘度、保存安定性、及び低糸曳き性の観点から、0.2〜1.6質量%が好ましく、0.3〜1.4質量%がより好ましく、0.4〜1.2質量%がさらに好ましい。
【0020】
(d)成分の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩としては、炭素数8〜18の脂肪酸やそのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。なかでも炭素数10〜16の脂肪酸が好ましく、炭素数10〜14の脂肪酸がより好ましい。また、直鎖脂肪酸、分岐鎖脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれを用いても差し支えないが、低温安定性の面でアルキル基に分布があると好ましい。最も好ましい脂肪酸又はそのアルカリ金属塩は、炭素数12の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩の含有量が(d)成分の全量中、70質量%を占めるものであり、これは、高い粘度と低温保管時の安定性が良好であるため好ましい。
【0021】
本発明では、(c)成分に含まれる(c−2)成分と(d)成分との質量比が、(d)/(c−2)=0.5〜2であり、0.8〜2、更に1.2〜2が好ましい。この質量比の範囲では、使用時に糸を曳かない良好な糸曳き性が得られるため好ましい。
【0022】
また、(d)成分の含有量は、組成物中、高粘度、保存安定性、及び低糸曳き性の観点から、0.2〜1.2質量%が好ましく、0.4〜1.0質量%がより好ましく、0.6〜0.8質量%がさらに好ましい。
【0023】
(e)成分のアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましい。また、塩はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。(e)成分の含有量は、組成物の粘度と低温保管時の安定性の観点から、組成物中、0.1〜0.35質量%が好ましく、0.1〜0.3質量%がより好ましく、0.15〜0.25質量%がさらに好ましい。
【0024】
また、本発明では、(e)成分の含有量が0.1質量%以上0.2質量%未満の場合は、粘度と低温保管時の安定性が良好である観点から、(c−1)成分のドデシルジメチルアミンオキサイドと(c−2)成分のテトラデシルジメチルアミンオキサイドの好適な質量比は、(c−1)/(c−2)=0.4〜1.2が好ましく、0.5〜1がより好ましい。また、(e)成分の含有量が0.2〜0.35質量%の場合は、粘度と低温保管時の安定性が良好である観点から、(c−1)成分のドデシルジメチルアミンオキサイドと(c−2)成分のテトラデシルジメチルアミンオキサイドの好適な質量比は、(c−1)/(c−2)=0.1〜2.5が好ましく、0.2〜2がより好ましい。
【0025】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物は、(c)成分、(d)成分、(e)成分等、界面活性剤の総量が1.5質量%以上であり、1.5〜4質量%が好ましく、1.5〜3質量%がより好ましく、2〜3質量%がさらに好ましい。この範囲では、高い粘度と良好な次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性が得られるため好ましい。なお、(c)成分、(d)成分及び(e)成分以外のその他の界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルスルホベタイン等が挙げられる。
【0026】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物は、その他の任意成分として、香料を含有することができる。次亜塩素酸塩系に配合可能な香料成分の例としては、特開昭50−74581号公報及び特開昭62−205200号公報を参考にすることができ、単体香料及びそれらを組合せた配合香料であってもよい。香料は通常、組成物中に0.001〜0.5質量%含有されるが、安定性を損なう恐れがあるので、配合成分と含有量には注意を要する。
【0027】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物の残部は水であり、保存安定性の上で、微量に存在する金属イオンなどを除去したイオン交換水や蒸留水が好ましい。水の含有量は保存安定性の点から、組成物中80〜98質量%、更に90〜98質量%が好ましい。また、組成物の25℃におけるpHを12.5〜13.8に調整することが、保存安定性及び洗浄効果の点から好ましい。
【0028】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物は、排水管への付着滞留性の観点及び容器からの注ぎ安定性の観点から、B型粘度計を用いて20℃、回転数60rpm、60秒の条件で測定した粘度が400〜1500mPa・sの範囲であることが好ましく、450〜1200mPa・sの範囲がより好ましく、450〜1000mPa・sの範囲がさらに好ましい。
【0029】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物は、このような高粘度を有することから、適用される硬質表面が水平面に限らず傾斜面、垂直面など様々な表面に適用された場合にも優れた漂白洗浄性能を発揮させることができる。
【0030】
本発明の排水管用液体洗浄剤組成物を排水管に適用するには、組成物を充填した容器から直接注ぎ入れる方法が挙げられる。容器は、注ぎやすさを考慮した組成物を導くような構造を形成したり、十分量の組成物が一定時間に注げる口径を選択したものが好ましい。排水管は、台所、浴室、洗面台などに設置されたものが挙げられる。通常、一つの排水口について、排水管のつまりを予防するためには、1回に40mL〜200mLの量を、排水管のつまりを解消するためには、1回に100mL〜600mLの量で本発明の排水管用液体洗浄剤組成物を適用することが好ましい。
【実施例】
【0031】
実施例1
(a)次亜塩素酸ナトリウム3質量%、(b)水酸化ナトリウム1.3質量%、(c−1)ドデシルジメチルアミンオキサイド0.7質量%、(c−2)テトラデシルジメチルアミンオキサイド0.5質量%、(d)脂肪酸(ルナックL−70(花王製))0.8質量%、(e)アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量%、及びケイ酸ナトリウム0.35質量%と残部はイオン交換水からなる排水管用液体洗浄剤組成物(25℃のpHは13.4)を調製し、B型粘度計(TOKIMEC製)を用いて、20℃、60rpm、60秒の条件で粘度を測定したところ、600mPa・sであった。また、−5℃で28日間保管後の外観を確認したところ、初期の状態と同様、淡黄色透明の均一な液体であった。さらに、25℃の環境下でスポイド(トランスファーピペット)(臨床器材株式会社製、臨床検査器材プラスチックスポイド、3ml)を用いて、組成物がおよそ1秒間隔で1滴落ちる強さでスポイトを指で撮み、組成物を滴下したところ、糸曳き性を示さず、液切れが良好であった。一方、市販の次亜塩素酸系排水管用洗浄剤である(1)パイプユニッシュ〔ジョンソン(株)〕、(2)パイプマンスムースジェル〔ライオン(株)〕、(3)濃厚パイプマン〔ライオン(株)〕について、25℃の条件下でそれぞれ糸曳き性を評価したところ、全て糸を曳いた。ここに記載した糸曳き性とは、液滴本体がピペットの先から離れた際、液滴本体とピペットの先の間に糸状のものが形成されることを糸曳き性があるという。
【0032】
実施例2
表1に示す排水管用液体洗浄剤組成物を調製した。これらの組成物について、粘度、保存安定性、糸曳き性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表中の排水管用液体洗浄剤組成物は、何れも25℃におけるpHが13.2〜13.5であった。
【0033】
<粘度の測定>
表1の組成物について、B型粘度計(TOKIMEC製)を使用して、20℃、60rpm、60秒の条件で測定した。
【0034】
なお、粘度が400〜1500mPa・sの範囲であることが、排水管への付着滞留性の観点及び容器からの注ぎ安定性の観点で好ましいことを示す。
【0035】
また、400〜1500mPa・sのような好適な範囲の組成物であるほど、適用される硬質表面が水平面に限らず傾斜面、垂直面など様々な表面に適用された場合にも優れた漂白洗浄性能を発揮できることを意味する。
【0036】
<保存安定性評価>
表1の組成物100mLをポリプロピレン製容器(容量120mL)に収納後、蓋をして−5℃で最大28日間静置し、組成物の外観の変化を経時で下記の基準で目視評価した。なお、表中の組成物は、調製直後は何れも均一透明な状態であった。
(評価基準)
4:28日保管では白濁や分離などが生じず、均一で透明な液体状態を維持できる。
3:15〜28日保管で白濁、分離、又は沈殿物を生成するなど不均一な液体となる。
2:3〜14日保管で白濁、分離、又は沈殿物を生成するなど不均一な液体となる。
1:1〜2日保管で白濁、分離、又は沈殿物を生成するなど不均一な液体となる。
【0037】
<糸曳き性評価>
表1の組成物について、スポイド(トランスファーピペット)(臨床器材株式会社製、臨床検査器材プラスチックスポイド、3ml)を用いて、組成物がおよそ1秒間隔で1滴落ちる強さでスポイトを指で撮み、組成物を滴下した際の糸曳き性を下記の基準で評価した。なお、下記の評価基準間では、目視による評価で明らかに認識できる相違が生じる。
(評価基準)
4:糸を曳かない。
3:0.2〜0.5秒糸を曳く。
2:0.5〜1秒糸を曳く。
1:1秒を超えて糸を曳く。
【0038】
【表1】

【0039】
(注)表中の成分は以下のものである。
・アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:ネオペレックスG−25(花王製)
・脂肪酸:ルナックL−70(花王製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩、
(b)アルカリ金属の水酸化物、
(c)アルキルジメチルアミンオキサイド、
(d)脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、
(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含有し、
界面活性剤の総量が1.5質量%以上であり、
(c)として、
(c−1)ドデシルジメチルアミンオキサイド及び、
(c−2)テトラデシルジメチルアミンオキサイドを含有し、
(c−1)及び(c−2)の総量が(c)中80質量%以上であり、
(c−2)と(d)との質量比が、(d)/(c−2)=0.5〜2である、
排水管用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
B型粘度計を用いて20℃、回転数60rpm、60秒の条件で測定した粘度が400〜1500mPa・sの範囲である請求項1記載の排水管用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−150319(P2010−150319A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327489(P2008−327489)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】