排熱回生システム
【課題】膨張機で適正処理できる量に、膨張機へ流入される冷媒の量を調整できる排熱回生システムを得ることを目的とする。
【解決手段】冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機2と、膨張機2からの冷媒を凝縮する凝縮器3と、膨張機3の駆動力が伝達されるように出力軸7を介して連結され、凝縮器3からの冷媒を圧送するポンプ4と、ポンプ4からの冷媒を加熱して膨張機2へ送る蒸発器5とを備える排熱回生システムにおいて、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、第1圧力センサ13の出力に基づいて、流量調整弁11の駆動を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【解決手段】冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機2と、膨張機2からの冷媒を凝縮する凝縮器3と、膨張機3の駆動力が伝達されるように出力軸7を介して連結され、凝縮器3からの冷媒を圧送するポンプ4と、ポンプ4からの冷媒を加熱して膨張機2へ送る蒸発器5とを備える排熱回生システムにおいて、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、第1圧力センサ13の出力に基づいて、流量調整弁11の駆動を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車などのエンジンを冷却する冷却水や排ガスからの排熱をランキンサイクルの利用により動力として回生する排熱回生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の廃熱利用装置は、液相作動流体(液相冷媒)を圧送するポンプ、液体の冷媒を加熱して、気相作動流体(気相冷媒)とする発熱機器(蒸発器)、気相作動流体(気相冷媒)のエネルギーを機械的エネルギーに変換する膨張機、及び膨張機から流出される膨張後の気相冷媒を凝縮液化しポンプに送る凝縮器を備えるランキンサイクルと、回転電機とを備え、膨張機、ポンプ、及び電動機が、同軸に接続され、膨張機の吸入側と吐出側とが、バイパス流路によりバイパスされ、バイパス流路を開閉する開閉手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来の廃熱利用装置では、起動時に開閉手段を開状態とし、膨張機の吸入側に導かれた液相冷媒の大部分を、膨張機を通さずに、膨張機の吐出側に導くことで、ランキンサイクルの起動の安定化が図られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−97387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の廃熱利用装置は、開閉手段を開状態とすることで、気相冷媒の大部分を、膨張機を通さずに膨張機の吐出側に導いて、起動の安定化を図ることができるものの、運転中に膨張機に吸入される気相冷媒の流入量を調整できない。
【0006】
ここで、ポンプと膨張機が同軸に接続されるので、ポンプと膨張機は、同一の回転速度で回転されることになる。
【0007】
従来の廃熱利用装置と同種の排熱回生システムにおいては、特定の回転速度でポンプと膨張機とが回転される場合を除き、ポンプから吐出される冷媒(液相)の量と、膨張機で適正処理できる冷媒(気相)の量は異なる。
従来の廃熱利用装置と同種のシステムでは、ポンプから吐出される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多いと、ポンプの吐出側での圧力が異常に高くなり、高圧の冷媒が流れる機器の破損につながる恐れがある。
【0008】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ポンプから吐出される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプと膨張機が一体に駆動されている場合でも、膨張機で適正処理できる量に、膨張機へ流入される冷媒の量を調整できる排熱回生システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の排熱回生システムは、冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機と、膨張機からの上記冷媒を凝縮する凝縮器と、膨張機の駆動力が伝達されるように出力軸を介して連結され、凝縮器からの冷媒を圧送するポンプと、ポンプ4からの冷媒を加熱して膨張機へ送る蒸発器とを備える排熱回生システムであって、ポンプから蒸発器に至るまでの冷媒流路と膨張機から凝縮器を介してポンプに至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整手段を有する第1バイパス手段と、ポンプから圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサと、第1圧力センサの出力に基づいて、流量調整手段の駆動を制御する冷媒流量制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る排熱回生システムによれば、ポンプから圧送される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプと膨張機が一体に駆動されている場合でも、第1圧力センサの出力に基づいて、ポンプから圧送される冷媒のうち、適量の冷媒を膨張機から凝縮器を介してポンプに至る低圧側の冷媒流路に、第1バイパス流路を介して戻すことで、膨張機へ流入される冷媒の流量が、膨張機で適正処理できる流量となるので、冷媒の異常な圧力上昇による機器の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムを構成する膨張機とポンプのそれぞれについての冷媒の流量特性を示す図である。
【図3】参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図4】参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より遅い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図5】参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図6】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ4及び膨張機が適合回転速度より速く回転されている場合を示している。
【図8】この発明の実施の形態2に係る排熱回生システムの構成図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、適合回転速度より速い速度で膨張機が回転される場合を示している。
【図12】この発明の実施の形態4に係る排熱回生システムの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る排熱回生システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの構成図である。なお、図1には、自動車の駆動力を発生するエンジンからの排熱を利用する排熱回生システムが示されている。
【0014】
図1において、排熱回生システム1Aは、冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機2と、膨張機2からの冷媒を凝縮する凝縮器3と、凝縮器3からの冷媒を圧送するポンプ4と、ポンプ4からの冷媒を、外部から導入される熱により加熱して膨張機2へ送る蒸発器5とを備えている。ここでは、外部から導入される熱とは、エンジン8により加熱されたエンジン8の冷却水の熱である。
冷媒としては、R134aを用いているが、このものに限定されない。
【0015】
また、排熱回生システム1Aは、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成するとともに、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整手段としての流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得する高圧側温度センサとしての第1温度センサ14と、第1圧力センサ13の出力に基づいて流量調整弁11の開度を制御するとともに、第1温度センサ14の出力に基づいて、膨張機2の回転速度を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【0016】
排熱回生システム1Aは、蒸発器5から膨張機2へ冷媒を導く第1配管21と、膨張機2から凝縮器3に冷媒を導く第2配管22と、凝縮器3からポンプ4へ冷媒を導く第3配管23と、ポンプ4から蒸発器5へ冷媒を導く第4配管24とを備えている。
【0017】
エンジン8には、蒸発器5との間を循環する冷却水が流れる。
蒸発器5とエンジン8との間には、蒸発器5からエンジン8に冷却水を導く低温側配管9aと、エンジン8から蒸発器5へ冷却水を導く高温側配管9bとが接続されている。
そして、冷却水は、蒸発器5から低温側配管9aを介してエンジン8に導かれ、エンジン8の熱(排熱)を奪って加熱された後、高温側配管9bを介して蒸発器5の内部に流れ、再度低温側配管9aを流れるという循環経路を循環する。
【0018】
また、第1バイパス手段10Aは、流量調整弁11と、流量調整弁11を介して第4配管24内から第2配管22内に至る第1バイパス流路を形成するバイパス配管12Aを備えている。即ち、第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続している。
より具体的には、バイパス配管12Aは、第4配管24内から流量調整弁11に至る冷媒流路を形成する第5配管12aと、流量調整弁11から第2配管22内に至る冷媒流路を形成する第6配管12bとを備えている。
【0019】
そして、流量調整弁11の開度を調整することで、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能とさている。
【0020】
膨張機2とポンプ4とは、膨張機2の駆動力がポンプ4に伝達されるように出力軸7を介して連結されている。また、膨張機2及びポンプ4は、筺体6に一体に取り付けられている。
膨張機2及びポンプ4の駆動に連動して軸周りに回転される出力軸7が、筺体6から延出されている。そして、ロータ(図示せず)を有する回転電機としての発電機30が、出力軸7の回転に連動してロータが回転されるように出力軸7に連結されている。
【0021】
第1圧力センサ13は、例えば、抵抗ひずみケージ式圧力センサであり、第1温度センサ14は、例えば、サーミスタや熱電対である。
第1圧力センサ13は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得可能に第4配管24に設けられている。
第1温度センサ14は、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得可能に第1配管21に設けられている。
【0022】
冷媒流量制御手段16は、例えば、図示しないCPU、RAM、及びROMなどを有するマイコンであり、第1圧力センサ13、及び第1温度センサ14の出力を読み取り可能に、第1圧力センサ13及び第1温度センサ14に接続される。
また、冷媒流量制御手段16は、流量調整弁11の駆動を制御可能に流量調整弁11に接続されている。そして、流量調整弁11は、冷媒流量制御手段16が出力する制御指令値に基づいて、弁の開度が設定されるように構成されている。
【0023】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2の回転速度を制御可能に膨張機2に接続されている。具体的には、冷媒流量制御手段16は、図示しない発電機30のロータを回転させるのに必要なトルク(吸収トルク)を設定可能になっている。即ち、吸収トルクを大きくすると、出力軸7を回転させるのに必要なトルクが大きくなるので、冷媒の流通により回転される膨張機2の回転速度が遅くなる。また、反対に、吸収トルクを小さくすると、出力軸7を回転させるのに必要なトルクが小さくなるので、膨張機2の回転速度が速くなる。
【0024】
次いで、排熱回生システム1Aを構成する膨張機2とポンプ4の冷媒流量特性について説明する。
なお、膨張機2の冷媒流量特性とは、膨張機2の回転速度に対して、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量であり、ポンプ4の冷媒流量特性とは、ポンプ4の回転速度に対して、ポンプ4から圧送される冷媒流量である。
【0025】
図2はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムを構成する膨張機とポンプのそれぞれについての冷媒の流量特性を示す図である。
ここでは、ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至る高圧側の冷媒の圧力と、膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4の至る低圧側の冷媒の圧力は、一定の条件となっている。高圧側の冷媒の圧力は、2.6MPaであり、低圧側の冷媒の圧力は、0.8MPaであり、高圧側と低圧側の差圧が1.8MPaとなっている。
【0026】
図2において、横軸には、一体に回転されるポンプ4と膨張機2の回転速度(rpm)を示し、縦軸には、冷媒流量を質量流量(kg/min)として示している。
そして、ポンプ4及び膨張機2のそれぞれの回転速度が、700〜3000(rpm)の範囲にある場合のポンプ4及び膨張機2の冷媒流量特性について測定した。
【0027】
まず、膨張機2における冷媒の流量特性について説明する。
図2に示されるように、膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、膨張機2の回転速度におおよそ比例している。
但し、膨張機2の入口における冷媒の流動抵抗に起因し、ポンプ4の回転速度が単位速度だけ速くなったときの冷媒流量の増加量が、回転速度が速くなる領域ほど、漸次減少している。
回転速度が約700(rpm)のときに膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、1.8(kg/min)程度であり、回転速度が3000(rpm)のとに膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、5.6(kg/min)程度になっている。
【0028】
次いで、ポンプ4の冷媒流量特性について説明する。
ポンプ4から圧送される冷媒流量は、ポンプ4の回転速度におおよそ比例している。
但し、回転速度が上がると、ポンプ4内において、高圧の吐出側から低圧の入口側への冷媒漏れが相対的に減少するのに起因して、ポンプ4の回転速度が単位速度だけ速くなったときの冷媒流量の増加量が、回転速度が速くなる領域ほど、漸次増大している。
【0029】
回転速度が700(rpm)のときの冷媒流量が、0.8(kg/min)程度であり、回転速度が3000(rpm)のときの冷媒流量が、9.0(kg/min)程度になっている。
【0030】
そして、ポンプ4及び膨張機2のそれぞれの回転速度が、おおよそ2000(rpm)程度のときに、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致されている。
そして、回転速度が2000(rpm)から離れるほど、ポンプ4から圧送される冷媒流量と膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量の差が増大される。
【0031】
排熱回生システム1Aにおいて、ランキンサイクルの高圧と低圧が一定の条件下では、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致させることを実現できる特定の回転速度、ここでは、2000(rpm)でのみ、運転が可能となる。
以下、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致するポンプ4と膨張機2の回転速度を適合回転速度とする。
【0032】
排熱回生システム1Aにおいて、流量調整弁11の制御機能がないもの、言い換えれば、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量の調整機能がないものを参照用の排熱回生システムとする。
【0033】
以下、参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図を図3に示す。
図3は参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度で回転される場合の様子を示している。
【0034】
図3において、ランキンサイクル中、a点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
【0035】
冷媒は、a点に表される液体状態で、ポンプ4に流入して昇圧されてb点に表される状態となってポンプ4から吐出され、第4配管24を介して蒸発器5に送られて、蒸発器5内を通過する。蒸発器5には、外部からエンジン8により通常90〜100℃に加熱された冷却水が流通している。冷却水は、蒸発器5で、冷媒と熱交換を行うことで冷却される。
逆に、冷媒は、冷却水の熱を吸収して加熱され、圧力を一定に保ったまま、蒸発器5の出口で、c点に表される100℃に近い高温で高圧の蒸気となる。
【0036】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d点で表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。この際、膨張機2が膨張する過程で、出力軸7を回転させる動力が発生する。この動力は、ポンプ4の駆動力として利用されたり、自動車の駆動用として取り出したり、出力軸7に連動して回転されるロータを有する発電機30によって電気エネルギーとして変換することで、自動車の照明等の電力源として利用したりできる。
【0037】
そして、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて、圧力を一定に保ったまま冷却され、a点で示されるように、30℃よりやや低い低温の液体となり、凝縮器3から第3配管23を介してポンプ4に送られ、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。なお、凝縮器3は、自動車の走行時の走行風や図示しないファン等により冷媒を冷却する機能を有している。
冷媒は、ポンプ4、蒸発器5、膨張機2、及び凝縮器3を通過する流路を循環することで、以上のランキンサイクルの通りに、その状態が変遷する。
【0038】
次いで、参照例の排熱回生システムにおいて、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より遅い回転速度で、回転される場合の動作について説明する。
図4は参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より遅い回転速度で回転される場合の様子を示している。
ランキンサイクル中、a1点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b1点はポンプ4の出口での冷媒の状態、c1点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d1点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図4では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転される場合のモリエル線図を点線にて併記している。
【0039】
冷媒の循環経路は、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転されている場合と同じである。
冷媒は、a1点に表される状態でポンプ4に流入して昇圧され、b1点に表される状態となってポンプ4から吐出される。この際、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒流量より少なくなっているので、ポンプ4の出口での冷媒の圧力は、b1点に表されるように、膨張機2が適合回転速度で回転される場合に比べて低下した状態となる。その後、蒸発器5を通過する冷媒は、エンジン8の冷却水により、圧力を一定に保ったまま加熱されて、蒸発器5の出口、言い換えれば膨張機2の入口では、c1点に表されるように、100℃に近い高温で高圧の蒸気とされている。
【0040】
その後、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d1点に表されるように、圧力が低下するとともに、温度が50℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて冷却され、a1点で示される状態に戻り、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
冷媒は、以上のランキンサイクルの通りに、その状態が繰り返し変遷する。
【0041】
次いで、参照例の排熱回生システムにおいて、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の動作について説明する。
図5は参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【0042】
ランキンサイクル中、b2点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c2点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d2点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図5では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転される場合のモリエル線図を点線にて併記している。
【0043】
冷媒の循環経路は、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転されている場合と同じである。
冷媒は、a点に表される状態でポンプ4に流入して昇圧され、b2点に表される状態となってポンプ4から吐出される。この際、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒流量より多くなっているので、ポンプ4の出口での冷媒の圧力は、b2点に表されるように、膨張機2が適合回転速度で回転される場合に比べて増大した状態となる。
【0044】
その後、蒸発器5を通過する冷媒は、エンジン8の冷却水により、圧力を一定に保ったまま加熱されて、蒸発器5の出口、言い換えれば膨張機2の入口では、c2点で表されるように、おおよそ100℃に近い高温で高圧の蒸気とされている。
【0045】
その後、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d2点に表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が30℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入され、圧力を一定に保ったまま冷却されることで、a点で示される状態に戻り、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
【0046】
以上のように、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で参照例の排熱回生システムが動作される場合、高圧側の冷媒の圧力が高くなるので、高圧の冷媒が流れる機器が破損する恐れもある。
【0047】
そこで、排熱回生システム1Aでは、ポンプ4から吐出された冷媒の一部を、流量調整弁11を駆動して、第1バイパス手段10Aが構成する第1バイパス流路を介して凝縮器3に戻し、蒸発器5へは膨張機2で適正処理できる量の冷媒を流すように構成されている。
【0048】
以下、排熱回生システム1Aの動作の詳細について説明する。
図6はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
初期状態では、流量調整弁11の開度は、例えば、半分開かれているものとする。
なお、説明の便宜上、図6ではステップ101〜ステップ112をS101〜S112と記載する。
【0049】
ステップ101で、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力から、ポンプ4から圧送される高圧側の冷媒の圧力PHと、膨張機2に入力される冷媒の温度THEを取得する。
【0050】
ここで、上限圧力敷居値PH(MAX)と上限温度敷居値THE(MAX)を以下のように設定する。
上限圧力敷居値PH(MAX)は、排熱回生システム1Aを構成する各構成機器のうち、とりわけランキンサイクルの高圧側に配置される機器の耐圧や使用する冷媒などを考慮して予め設定される許容最大圧力よりやや小さな値に設定した値である。
また、上限温度敷居値THE(MAX)は、使用する冷媒や膨張機2等に使用される潤滑油の使用上限温度、及び高圧側に配置される機器の耐圧などを考慮して、予め設定される許容最大温度よりやや小さな値に設定した値である。
【0051】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きいか否かを判断する。
【0052】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きいと判断すると、流量調整弁11の開度が、所定量大きくなるように流量調整弁11の開度を制御して、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を所定量大きくし(ステップ103)、ステップ101に戻る。
【0053】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きくないと判断すると、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)から判断基準圧力値PNを引いた値より小さいか否かを判断する(ステップ104)。
判断基準圧力値PNは、使用する冷媒の種類などによって予め設定され、上限圧力敷居値PH(MAX)から判断基準圧力値PNを引いた値は、高圧側の冷媒の圧力として好ましい範囲の下限を下回らないように適宜設定される。本実施例では、例えば、0.1〜0.5(MPa)に設定される。
【0054】
ステップ104で、冷媒流量制御手段16は、PH<(PH(MAX)−PN)であると判断すると、流量調整弁11の開度が最小か否かを判断する(ステップ105)。
ステップ105で、流量調整弁11の開度が最小であると判断すると、ステップ107に進む。
ステップ105で、流量調整弁11の開度が最小でないと判断すると、流量調整弁11の開度が、所定量小さくなるように流量調整弁11の開度を制御して、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を所定量小さくし(ステップ106)、ステップ101に戻る。
【0055】
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きいか否かを判断する。
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きいと判断すると、膨張機2の回転速度を所定速さだけ速め(ステップ108)、ステップ101に戻る。
【0056】
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きくないと判断すると、温度THEが、(上限温度敷居値THE(MAX)−判断基準温度値TN)より小さいか否かを判断する(ステップ109)。
判断基準温度値TNは、使用する冷媒の種類などによって予め設定され、上限温度敷居値THE(MAX)から判断基準温度値TNを引いた値は、膨張機2に入力される冷媒の温度として、好ましい範囲の下限を下回らないように、適宜設定される。本実施例では、判断基準温度値TNは、例えば、10℃〜50℃の間で設定される。
【0057】
ステップ109で、冷媒流量制御手段16は、THE<THE(MAX)−TNであると判断すると、膨張機2の回転速度を所定速さだけ遅くし(ステップ110)、ステップ101に戻る。
なお、この実施の形態1では、冷媒として、R134aを用いているが、この場合、上限温度敷居値THE(MAX)は、190℃程度に設定される。ステップ109,110の制御を行うことで、温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)を超えることはない。また、冷媒が、エンジンにより温められた冷却水との熱交換により加熱されるものとしたが、例えば、冷媒が、200℃を超えるような熱源としてのエンジンの排気ガスとの熱交換により加熱されるような場合でも、ステップ109,110の制御が行われるため、温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)を超えることはない。
【0058】
ステップ109で、冷媒流量制御手段16は、THE<THE(MAX)−TNでないと判断すると、ポンプ4及び膨張機2等の運転停止指令が出力されたか否か、即ち、冷媒を循環させる駆動系統(ポンプ4、膨張機2、凝縮器3など)の運転停止指令が出力されたか否かを判断する(ステップ111)。
例えば、ポンプ4及び膨張機2の回転は、エンジン8が停止されたときなどを条件に、排熱回生システム1Aの運転停止指令が出力される。
【0059】
ステップ111で、冷媒流量制御手段16は、運転停止指令が出力されていないと判断すると、ステップ101に戻り、運転停止指令が出力されたと判断すると、言い換えれば、駆動系統が停止したと判断すると、膨張機2の回転速度、及び流量調整弁11の開度の制御を終了する。
【0060】
以上のように動作する排熱回生システム1Aでは、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より所定以上速い速度で回転される場合に、言い換えれば、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理される冷媒流量より大きく、ランキンサイクルの高圧側の冷媒の圧力が、許容される上限の圧力に近づいて上限圧力敷居値PH(MAX)を超えた場合に、以下のような制御が行われる。
【0061】
即ち、冷媒流量制御手段16が、ランキンサイクルの高圧側に設けられた圧力センサ13の出力に基づいて、ポンプ4から圧送される冷媒のうち、蒸発器5を介して膨張機2に入力される冷媒の流量が、適正処理可能な流量に近づくように、流量調整弁11の開度を制御することで、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を調整する。
【0062】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2に入力される冷媒の温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)より高くなると、膨張機2の回転速度を速め、冷媒の温度THEが(上限温度敷居値THE(MAX)−判断基準温度値TN)より低くなると、膨張機2の回転速度を遅くする制御をするので、膨張機2に流入する冷媒の温度が、許容上限温度を上回ることが防止される。
【0063】
次いで、以上のように動作する排熱回生システム1Aの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図について説明する。
図7はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速く回転されている場合を示している。
ランキンサイクル中、a3点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b3点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c3点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d3点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図7では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速く回転され、かつ冷媒の流量を調整しない参照例の排熱回生システムのモリエル線図を点線にて併記している。
【0064】
排熱回生システム1Aの冷媒の循環経路は、参照用の排熱回生システムについて説明したものと同じである。
冷媒は、a3点に表される液体状態で、ポンプ4に流入して昇圧されてb3点に表される状態となってポンプ4から吐出され、第4配管24を介して蒸発器5に送られて、蒸発器5内を通過する。この際、冷媒は、エンジン8の冷却水により通常90〜100℃に加熱されたエンジン8の冷却水を冷却する一方で、冷却水の熱を吸収して加熱され、蒸発器5の出口で、c3点で表される100℃に近い高温高圧の蒸気となる。
【0065】
ここで、排熱回生システム1Aでは、ポンプ4から吐出する冷媒の流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒の流量より多い条件でポンプ4と膨張機2が一体に駆動されている場合でも、ポンプ4から吐出する冷媒の一部を、第1バイパス流路を介して凝縮器3に戻すことで、膨張機2に流入される冷媒の流量が、膨張機2で適正処理出来る流量となる。このため、ランキンサイクルにおいて、冷媒の状態が、b3点からc3点に移る際の冷媒の圧力が、図7に示されるように、冷媒の流量制御をしない参照例の排熱回生システムに比べて抑えられる。
【0066】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d3点で表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。参照用の排熱回生システムと同様、この動力は、ポンプ4の駆動力として利用されたり、自動車の駆動用として取り出したり、出力軸7に連動して回転されるロータを有する発電機30によって電気エネルギーとして変換することで、自動車の照明等の電力源として利用したりできる。
このため、排熱回生システム1Aを用いることで、自動車の燃費が向上する等、排熱回生システム1Aを含む系のエネルギー効率が向上する。
【0067】
さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入され、圧力を一定に保ったまま冷却されのち、ポンプ4の入口側に送られ、a3点で示されるように、低温の液体にされた状態に戻る。そして、冷媒は、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
【0068】
この実施の形態1の排熱回生システム1Aは、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、第1圧力センサ13の出力に基づいて、流量調整弁11の駆動を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【0069】
このような構成にすることで、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で回転されていた場合でも、言い換えれば、ポンプ4から吐出される冷媒の量が、膨張機2で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプ4と膨張機2が一体に駆動されている場合でも、第1圧力センサ13の出力が、膨張機2で適正処理できる冷媒の流量に対応する冷媒の圧力に変更されるように、流量調整弁11を制御して、冷媒の一部を、高圧側の冷媒流路から低圧側の冷媒流路に戻すことで以下の効果が得られる。
即ち、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて、膨張機2で処理できる流量で、冷媒が膨張機2に流入されるので、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる。さらに、エンジン等の排熱を、電気エネルギーに変換する発電機の駆動源として利用する排熱回生システム1Aを安定して稼働できる。
【0070】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得する第1温度センサ14の情報に基づいて、膨張機2の回転速度を制御している。
これにより、膨張機2に異常に高温となる冷媒が流入されることを避けることができ、一層、排熱回生システム1Aを安定して稼働させることができる。
【0071】
また、従来の廃熱利用装置では、膨張機で処理しきれず、膨張機から吐出される高温の冷媒が、蒸発器や凝縮器に導入されるように構成されているが、このような場合、凝縮器での放熱量も大きくなり、凝縮器や蒸発器を大型にする必要性が生じ、排熱回生システム自体が大型化してしまう。
一方、排熱回生システム1Aでは、膨張機2への冷媒流量を調整する第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路から凝縮器3に戻されるように構成されている。このため、凝縮器3での放熱量が抑えられ、凝縮器3や蒸発器5を大型にする必要性がなくなり、排熱回生システム1Aを小型化できる。
また、膨張機2の出力側での温度上昇が防止できるので、膨張機2の出力の予期せぬ低下も防止され、効率を低下させることなく安定して膨張機2を稼働できる。
【0072】
なお、この実施の形態1では、第1圧力センサ13は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力を取得可能に、第4配管24に設けられるものとして説明した。しかし、例えば、第1圧力センサ13は、第1配管21側に設けてもよい。ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至るまでの冷媒流路を流れる高圧の冷媒の圧力は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力と見なすことができ、第1圧力センサ13を第1配管21側に設けても、ポンプ4から圧送される高圧の冷媒の圧力に関する情報を取得可能である。
【0073】
また、第1温度センサ14は、蒸発器5を通過した後に膨張機2に流入される冷媒の温度を取得可能に、第1配管21に設けられるものとして説明した。しかし、第1温度センサ14は、例えば、筺体6などに設けるものでもよい。筺体6の温度と、膨張機2に流入される冷媒の温度とは、相関関係にあるので、筺体6に設けた第1温度センサ14から、膨張機2に流入される冷媒の温度を推測可能である。
このように、第1温度センサ14も、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得可能なものであれば、設置場所は限定されない。
【0074】
また、この実施の形態1では、第1温度センサ14の出力に基づいて、冷媒流量制御手段16が、膨張機2の回転速度を調整するものとして説明したが、第1温度センサ14の出力に基づいて膨張機2の回転速度を調整させる構成は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
この場合でも、第1圧力センサ13の出力に基づいて膨張機2に流入される制御がなされるので、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて適切な流量の冷媒が、膨張機2に流入されることになり、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる効果が失われるわけではない。
【0075】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係る排熱回生システムの構成図である。
図8において、上記実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0076】
図8において、排熱回生システム1Bは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Bを有する他は、排熱回生システム1Aと同様である。
第1バイパス手段10Bの構成は、第1バイパス流路を開閉自在に設けられる開閉手段としての開閉弁33を、流量調整弁11とは別個に備えている他は、第1バイパス手段10Aと同様である。
ここで、冷媒の流量を調整する流量調整弁11としては、完全に冷媒の流れを遮断することができないのが一般的である。
【0077】
そこで、この実施の形態2では、第1バイパス手段10Bにより構成される第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33を設けている。
【0078】
冷媒流量制御手段16は、ポンプ4と膨張機2が適合回転速度より小さな速度で回転され、ポンプ4からの吐出量に対して、膨張機2により適正処理可能な冷媒の量が、十分に大きい場合、言い換えれば、ポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に冷媒を戻す必要のない場合は、開閉弁33を閉じるように構成されている。
逆に、冷媒流量制御手段16は、ポンプ4と膨張機2が適合回転速度より大きな速度で回転され、ポンプ4からの吐出量に対して、膨張機2により適正処理される冷媒の量が、小さい場合、開閉弁33を開けるように構成されている。
【0079】
この実施の形態2によれば、第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33が設けられているので、ポンプ4から圧送されて、第1バイパス流路を流れる冷媒の流れを確実に止めることができる。
これにより、冷媒流量制御手段16が、ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のない条件で、排熱回生システム1Bが運転されている場合には、開閉弁33を閉じて、第1バイパス流路を遮断し、ポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に冷媒を戻す必要のある条件で、排熱回生システム1Bが運転されている場合には、開閉弁33を開けて、第1バイパス流路の遮断を解消することで、実施の形態1の効果に加えて、排熱回生システム1Bの運転効率を改善できるという効果が期待できる。
【0080】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの構成図である。
図9において、上記実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0081】
図9において、排熱回生システム1Cは、第1バイパス手段10Aに並列に設けられる第2バイパス手段40と、凝縮器3とポンプ4を接続する第3配管23を流れる冷媒の圧力及び温度を取得可能に、言い換えれば、ポンプ4に入力される冷媒の圧力及び温度を取得可能に、第3配管23に設けられる第2圧力センサ51及び低圧側温度センサとしての第2温度センサ52とを備えている。
排熱回生システム1Cの他の構成は、排熱回生システム1Aと同様である。
【0082】
第2バイパス手段40は、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第2バイパス流路を構成し、第2バイパス流路に組み込まれる冷媒タンク41、及び第2バイパス流路を開閉自在に設けられる冷媒流入選択手段としての第2開閉弁43a,43bを有する。
【0083】
さらに、具体的には、第2バイパス手段40は、冷媒タンク41と、絞り42a,42bと、第2開閉弁43a,43bと、これらを介してポンプ4の出口側と凝縮器3の入口側を接続する第2バイパス配管45とを備え、ポンプ4から圧送される冷媒の一部を冷媒タンク41内に移送可能に構成されている。
【0084】
第2バイパス配管45は、第4配管24内の空間から冷媒タンク41に至る冷媒流路を形成する第7配管45aと、冷媒タンク41から第2配管22内の空間に至る冷媒流路を形成する第8配管45bとを備えている。
【0085】
そして、絞り42aが、第7配管45aの冷媒流量を調整可能に第7配管45aの一部に組み入れられ、また、開閉弁43aが、第7配管45aの冷媒流路を遮断可能に設けられている。
また、絞り42bが、第8配管45bの冷媒流量を調整可能に第8配管45bの一部に組み入れられ、また、開閉弁43bが、第8配管45bの冷媒流路を遮断可能に設けられている。
【0086】
なお、第2圧力センサ51は、第1圧力センサ13と同様、例えば、抵抗ひずみケージ式圧力センサであり、第2温度センサ52も、第1温度センサ14と同様、例えば、サーミスタや熱電対である。
【0087】
絞り42a,42bは、排熱回生システム1Cの運転開始に先立って、予め開度を調整してあり、運転中は、開度を固定にするものとしている。しかし、絞り42a,42bとして、流量調整弁11と同様のものを用い、冷媒流量制御手段16が適宜、絞り42a,42bの開度を調整可能なようにしてもよい。
【0088】
また、冷媒流量制御手段16を構成するROMには、冷媒の圧力−飽和温度特性が、予め格納されている。
【0089】
ここで、実施の形態1に説明した排熱回生システム1Aでは、流量調整弁11の制御により、ポンプ4から圧送された冷媒の一部を、第1バイパス流路を介して凝縮器3の入口側に適宜戻すことで、膨張機2に流入される冷媒の圧力を適切な大きさに保っている。
【0090】
図7のモリエル線図のa3点とa点との比較からわかるように、ポンプ4及び膨張機3が、適合回転速度より速い回転速度で回転されている場合、適合回転速度でポンプ4及び膨張機3を回転させたときに比べて高圧側の圧力が下がるので、ポンプ4に流れ込む冷媒の温度が低下する。これに起因して、排熱回生システム1Aの運転上は問題とはならないものの、ポンプ4の入口での冷媒の温度とポンプ4の入口での冷媒の圧力に対応する冷媒の飽和温度との差で表される過冷却度が大きくなる。
過冷却度が大きくなると、排熱回生システム1Aが冷媒を循環させる際のランキンサイクルの熱効率が低下する。
【0091】
そこで、本実施の形態3の排熱回生システム1Cでは、第2圧力センサ51及び第2温度センサ52の出力に基づいて、冷媒流量制御手段16が、過冷却度を演算する。そして、過冷却度が、適切な範囲から外れた場合に、冷媒流量制御手段16は、過冷却度を適切な値に戻す方向に、冷媒タンク41に移送される冷媒の量が調整されるように、開閉弁43a,43bの開度を設定するように構成する。
【0092】
具体的には、冷媒流量制御手段16は、過冷却度が上限過冷却度敷居値TSHより大きくなったり、下限過冷却度敷居値TSLより小さくなったりした場合に、第2バイパス手段40の開閉弁43a,43bを開き、冷媒の一部を冷媒タンク41に移動させて過冷却度を適切な値に調整する。
【0093】
また、これに併せて、排熱回生システム1Cでは、ランキンサイクルにおける高圧側の圧力を、許容上限圧力を超えないように排熱回生システム1Aと同様に制御している。
【0094】
以下、排熱回生システム1Cの動作の詳細について説明する。
図10はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【0095】
ステップ201〜ステップ210で、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力に基づいて、流量調整弁11と膨張機3の回転速度を制御するが、その制御は、実施の形態1のステップ101〜ステップ110と同様であるので、説明を省略する。
なお、開閉弁43a,43bは、初期状態では、閉じられている。
【0096】
ステップ211で、冷媒流量制御手段16は、第2圧力センサ51と第2温度センサ52の出力から、ポンプ4に流入される低圧側の冷媒の圧力PLと温度TLPを取得する。
【0097】
ステップ212で、冷媒流量制御手段16は、圧力PLでの冷媒の飽和温度TLを、圧力−飽和温度特性から取得する。
【0098】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔT(=TLP−TL)を演算し、過冷却度ΔTが、予め設定した上限過冷却度敷居値TSHより、大きいか否かを判断する(ステップ213)。
上限過冷却度敷居値TSHは、適正とされる過冷却度の範囲のうち、最大値よりやや小さな値に設定される。例えば、上限過冷却度敷居値TSHは、10℃程度に設定される。
【0099】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、上限過冷却度敷居値TSHより大きいと判断すると、開閉弁43aを開け、ポンプ4から圧送される冷媒の一部を、第7配管45a、絞り42a,及び開閉弁43aを介して冷媒タンク41に移送させ(ステップ214)、ステップ211の制御に戻る。
【0100】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、上限過冷却度敷居値TSHより小さいと判断すると、開閉弁43aを閉じ(ステップ215)、ステップ216に進む。
【0101】
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔT(=TLP−TL)が、予め設定した下限過冷却度敷居値TSLより小さいか否かを判断する。下限過冷却度敷居値TSLは、適正とされる過冷却度の範囲のうち、最小値よりやや大きな値に設定される。例えば、下限過冷却度敷居値TSLは、5℃程度に設定される。
【0102】
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、下限過冷却度敷居値TSLより小さいと判断すると、開閉弁43bを開け(ステップ217)、ステップ211に戻る。
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、下限過冷却度敷居値TSLより大きいと判断すると、開閉弁43bを閉じ(ステップ218)、ステップ219に進む。
ステップ219及びステップ220は、ステップ111及びステップ112と同様の制御動作である。
【0103】
次いで、以上のように動作する排熱回生システム1Cの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図について説明する。
図11はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、適合回転速度より速い速度で膨張機が回転される場合を示している。
ランキンサイクル中、a4点はポンプ4の入口、b3点はポンプ4の出口、c点は蒸発器5の出口、d4点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図11では、排熱回生システム1Aの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図を点線にて併記している。
【0104】
図11に示される排熱回生システム1Cのランキンサイクルでは、a4点に表されるように、液体状態で、ポンプ4に流入した冷媒は、b3点に示されるように、昇圧されてポンプ4の出口から吐出される。さらに、冷媒は、第4配管24を介して蒸発器5に導かれ、蒸発器5内を通過する。この際、冷媒は、圧力を一定に保ったままエンジン8の冷却水により加熱されて、蒸発器5の出口で、c3点に表される100℃に近い高温で高圧の蒸気となる。
【0105】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d4点に表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて、ポンプ4の入口側に至り、圧力を一定に保ったまま、a4点に表されるように、低温の液体にされた状態に戻る。
【0106】
ここで、図11において、第2バイパス手段40による冷媒の流量制御を行わない排熱回生システム1Aに場合に比べ、a3点とa4点に表されるように、ポンプ4の入口の冷媒の温度に、ほとんど変化ないが、ポンプ4の入口の冷媒の圧力は低下している。これにより、過冷却度は、小さく適切な値となる。
【0107】
この実施の形態3によれば、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力に基づいて、流量調整弁11と膨張機3の回転速度を制御しているのは、実施の形態1と同様である。
従って、排熱回生システム1Aと同様、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて適切な流量の冷媒が、膨張機2に流入されるので、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる。
【0108】
さらに、第2圧力センサ51の出力に対応する冷媒の飽和温度TL、及び第2温度センサ52の出力に基づいて、冷媒流入選択手段としての開閉弁43a,43bによる第2バイパス流路の開閉を選択し、冷媒タンク41への冷媒の流れ込みを冷媒流量制御手段16に制御させることで、過冷却度ΔTを適切な値に保っている。
これにより、排熱回生システム1Cの運転効率を向上させることができる。
【0109】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4に係る排熱回生システムの構成図である。
なお、上記実施の形態1〜3と同一または相当部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図12において、排熱回生システム1Dは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Bを備える他は、上記実施の形態3と同様である。
即ち、第1バイパス手段10Bが構成する第1バイパス流路を開閉自在に設けられる第1開閉手段としての開閉弁33が、流量調整弁11とは別個に設けられている。
開閉弁33は、第1バイパス手段10Bが構成する1バイパス流路を完全に遮断することを目的として設けられている。
冷媒流量制御手段16は、実施の形態2と同様に開閉弁を制御する。
【0110】
この実施の形態4の排熱回生システム1Dによれば、第2バイパス手段40を有し、冷媒流量制御手段16が、過冷却度ΔTが適切な値をとるように、開閉弁43a,43bの開閉制御を行う点は、実施の形態3と同様であり、排熱回生システム1Dの運転効率を向上させることができる。
【0111】
さらに、この実施の形態4によれば、第1バイパス手段10Bにより構成される第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33が設けられているので、第1バイパス流路を流れる冷媒の流れを確実に止めることができる。
ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のない条件で、排熱回生システム1Dが運転されている場合には、開閉弁33を閉じて、第1バイパス流路を遮断し、ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のある条件で、排熱回生システム1Dが運転されている場合には、開閉弁33を開けて、第1バイパス流路の遮断を解消させるように冷媒流量制御手段16に制御させることで、排熱回生システム1Dの運転効率を改善できる。
【0112】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5に係る排熱回生システムの構成図である。
図13において、排熱回生システム1Eは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Cを有する他は、排熱回生システム1Cと同様に構成されている。
【0113】
第1バイパス手段10Cは、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路と凝縮器3からポンプ4の入口側に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成するとともに、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する。
【0114】
具体的には、第1バイパス手段10Cは、流量調整弁11と、流量調整弁11を介して第4配管24内と第3配管23内とを接続するバイパス配管12Bと、第1バイパス流路を開閉自在に設けられる開閉弁33とを備えている。
第1バイパス配管12Bは、第4配管24内の空間から流量調整弁11に至る冷媒流路を形成する第9配管12cと、流量調整弁11から第3配管23内の空間に至る冷媒流路を形成する第10配管12dとを備えている。
そして、開閉弁33が、第10配管12dの冷媒流路を開閉自在に第10配管12dに設けられている。
【0115】
第1バイパス手段10Cの流量調整弁11を制御することで、ポンプ4から圧送されて、第1バイパス流路を介してポンプ4の入口側に導かれる冷媒の量を調整することが可能となっている。
冷媒流量制御手段16による流量調整弁11の駆動制御、及び開閉弁33の制御は、上記実施の形態1,2と同様に行われる。
【0116】
即ち、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理される冷媒流量より大きくなる場合には、以下のような制御がなされる。
冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13の出力に基づいて、ランキンサイクルの高圧側の冷媒の圧力が、許容される上限の圧力に近づいて上限圧力敷居値PH(MAX)を超えたと判断すると、上記実施の形態1と同様、第1バイパス流路に流れ込む冷媒の量が、膨張機2に流入される冷媒が適切な流量となるように流量調整弁11の開度及び開閉弁33の開閉を制御する。
【0117】
ここで、上記実施の形態1〜4の第1バイパス手段10A,10Bは、ポンプ4の出口から凝縮器3の入口側に至る第1バイパス流路を構成したが、この実施の形態5の第1バイパス手段10Cは、ポンプ4の出口側からポンプ4の入口側に至るバイパス流路を構成するものである。
但し、第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの高圧側の冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る低圧側の冷媒流路とを接続する点では、実施の形態1〜4と共通である。
このため、実施の形態5においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0118】
なお、この実施の形態5では、排熱回生システム1Dにおいて第1バイパス手段10Aに代え、バイパス手段10Cを適用したものとしているが、排熱開始排熱回生システム1Aにおいて、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Cを適用したものでもよい。
即ち、第1バイパス手段は、ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至る冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路が形成するように設けてあればよい。
また、バイパス手段10Cは、開閉弁33を有するものとしたが、開閉弁33は省略してもよい。
【0119】
また、上記各実施の形態では、回転電機は、発電機30であるものとして説明したが、回転電機は、電動機であってもよい。つまり、排熱回生システム1A〜1Eは、エンジン8の排熱を発電機30の駆動用の動力として利用するものに限定されず、例えば、電動機の出力をエンジンの動力源の一部として利用されるように電動機とエンジン8とを接続し、エンジン8の排熱をエンジン等の駆動用の動力として利用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1A〜1E 排熱回生システム、2 膨張機、3 凝縮器、4 ポンプ、5 蒸発器、7 出力軸、10A〜10C 第1バイパス手段、11 流量調整弁(流量調整手段)、13 第1圧力センサ、14 第1温度センサ(高圧側温度センサ)、16 冷媒流量制御手段、40 第2バイパス手段、41 冷媒タンク、43a,43b 冷媒流入選択手段、51 第2圧力センサ、52 第2温度センサ(低圧側温度センサ)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車などのエンジンを冷却する冷却水や排ガスからの排熱をランキンサイクルの利用により動力として回生する排熱回生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の廃熱利用装置は、液相作動流体(液相冷媒)を圧送するポンプ、液体の冷媒を加熱して、気相作動流体(気相冷媒)とする発熱機器(蒸発器)、気相作動流体(気相冷媒)のエネルギーを機械的エネルギーに変換する膨張機、及び膨張機から流出される膨張後の気相冷媒を凝縮液化しポンプに送る凝縮器を備えるランキンサイクルと、回転電機とを備え、膨張機、ポンプ、及び電動機が、同軸に接続され、膨張機の吸入側と吐出側とが、バイパス流路によりバイパスされ、バイパス流路を開閉する開閉手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来の廃熱利用装置では、起動時に開閉手段を開状態とし、膨張機の吸入側に導かれた液相冷媒の大部分を、膨張機を通さずに、膨張機の吐出側に導くことで、ランキンサイクルの起動の安定化が図られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−97387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の廃熱利用装置は、開閉手段を開状態とすることで、気相冷媒の大部分を、膨張機を通さずに膨張機の吐出側に導いて、起動の安定化を図ることができるものの、運転中に膨張機に吸入される気相冷媒の流入量を調整できない。
【0006】
ここで、ポンプと膨張機が同軸に接続されるので、ポンプと膨張機は、同一の回転速度で回転されることになる。
【0007】
従来の廃熱利用装置と同種の排熱回生システムにおいては、特定の回転速度でポンプと膨張機とが回転される場合を除き、ポンプから吐出される冷媒(液相)の量と、膨張機で適正処理できる冷媒(気相)の量は異なる。
従来の廃熱利用装置と同種のシステムでは、ポンプから吐出される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多いと、ポンプの吐出側での圧力が異常に高くなり、高圧の冷媒が流れる機器の破損につながる恐れがある。
【0008】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ポンプから吐出される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプと膨張機が一体に駆動されている場合でも、膨張機で適正処理できる量に、膨張機へ流入される冷媒の量を調整できる排熱回生システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の排熱回生システムは、冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機と、膨張機からの上記冷媒を凝縮する凝縮器と、膨張機の駆動力が伝達されるように出力軸を介して連結され、凝縮器からの冷媒を圧送するポンプと、ポンプ4からの冷媒を加熱して膨張機へ送る蒸発器とを備える排熱回生システムであって、ポンプから蒸発器に至るまでの冷媒流路と膨張機から凝縮器を介してポンプに至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整手段を有する第1バイパス手段と、ポンプから圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサと、第1圧力センサの出力に基づいて、流量調整手段の駆動を制御する冷媒流量制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る排熱回生システムによれば、ポンプから圧送される冷媒の量が、膨張機で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプと膨張機が一体に駆動されている場合でも、第1圧力センサの出力に基づいて、ポンプから圧送される冷媒のうち、適量の冷媒を膨張機から凝縮器を介してポンプに至る低圧側の冷媒流路に、第1バイパス流路を介して戻すことで、膨張機へ流入される冷媒の流量が、膨張機で適正処理できる流量となるので、冷媒の異常な圧力上昇による機器の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムを構成する膨張機とポンプのそれぞれについての冷媒の流量特性を示す図である。
【図3】参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図4】参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より遅い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図5】参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【図6】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ4及び膨張機が適合回転速度より速く回転されている場合を示している。
【図8】この発明の実施の形態2に係る排熱回生システムの構成図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、適合回転速度より速い速度で膨張機が回転される場合を示している。
【図12】この発明の実施の形態4に係る排熱回生システムの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る排熱回生システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの構成図である。なお、図1には、自動車の駆動力を発生するエンジンからの排熱を利用する排熱回生システムが示されている。
【0014】
図1において、排熱回生システム1Aは、冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機2と、膨張機2からの冷媒を凝縮する凝縮器3と、凝縮器3からの冷媒を圧送するポンプ4と、ポンプ4からの冷媒を、外部から導入される熱により加熱して膨張機2へ送る蒸発器5とを備えている。ここでは、外部から導入される熱とは、エンジン8により加熱されたエンジン8の冷却水の熱である。
冷媒としては、R134aを用いているが、このものに限定されない。
【0015】
また、排熱回生システム1Aは、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成するとともに、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整手段としての流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得する高圧側温度センサとしての第1温度センサ14と、第1圧力センサ13の出力に基づいて流量調整弁11の開度を制御するとともに、第1温度センサ14の出力に基づいて、膨張機2の回転速度を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【0016】
排熱回生システム1Aは、蒸発器5から膨張機2へ冷媒を導く第1配管21と、膨張機2から凝縮器3に冷媒を導く第2配管22と、凝縮器3からポンプ4へ冷媒を導く第3配管23と、ポンプ4から蒸発器5へ冷媒を導く第4配管24とを備えている。
【0017】
エンジン8には、蒸発器5との間を循環する冷却水が流れる。
蒸発器5とエンジン8との間には、蒸発器5からエンジン8に冷却水を導く低温側配管9aと、エンジン8から蒸発器5へ冷却水を導く高温側配管9bとが接続されている。
そして、冷却水は、蒸発器5から低温側配管9aを介してエンジン8に導かれ、エンジン8の熱(排熱)を奪って加熱された後、高温側配管9bを介して蒸発器5の内部に流れ、再度低温側配管9aを流れるという循環経路を循環する。
【0018】
また、第1バイパス手段10Aは、流量調整弁11と、流量調整弁11を介して第4配管24内から第2配管22内に至る第1バイパス流路を形成するバイパス配管12Aを備えている。即ち、第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続している。
より具体的には、バイパス配管12Aは、第4配管24内から流量調整弁11に至る冷媒流路を形成する第5配管12aと、流量調整弁11から第2配管22内に至る冷媒流路を形成する第6配管12bとを備えている。
【0019】
そして、流量調整弁11の開度を調整することで、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能とさている。
【0020】
膨張機2とポンプ4とは、膨張機2の駆動力がポンプ4に伝達されるように出力軸7を介して連結されている。また、膨張機2及びポンプ4は、筺体6に一体に取り付けられている。
膨張機2及びポンプ4の駆動に連動して軸周りに回転される出力軸7が、筺体6から延出されている。そして、ロータ(図示せず)を有する回転電機としての発電機30が、出力軸7の回転に連動してロータが回転されるように出力軸7に連結されている。
【0021】
第1圧力センサ13は、例えば、抵抗ひずみケージ式圧力センサであり、第1温度センサ14は、例えば、サーミスタや熱電対である。
第1圧力センサ13は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得可能に第4配管24に設けられている。
第1温度センサ14は、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得可能に第1配管21に設けられている。
【0022】
冷媒流量制御手段16は、例えば、図示しないCPU、RAM、及びROMなどを有するマイコンであり、第1圧力センサ13、及び第1温度センサ14の出力を読み取り可能に、第1圧力センサ13及び第1温度センサ14に接続される。
また、冷媒流量制御手段16は、流量調整弁11の駆動を制御可能に流量調整弁11に接続されている。そして、流量調整弁11は、冷媒流量制御手段16が出力する制御指令値に基づいて、弁の開度が設定されるように構成されている。
【0023】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2の回転速度を制御可能に膨張機2に接続されている。具体的には、冷媒流量制御手段16は、図示しない発電機30のロータを回転させるのに必要なトルク(吸収トルク)を設定可能になっている。即ち、吸収トルクを大きくすると、出力軸7を回転させるのに必要なトルクが大きくなるので、冷媒の流通により回転される膨張機2の回転速度が遅くなる。また、反対に、吸収トルクを小さくすると、出力軸7を回転させるのに必要なトルクが小さくなるので、膨張機2の回転速度が速くなる。
【0024】
次いで、排熱回生システム1Aを構成する膨張機2とポンプ4の冷媒流量特性について説明する。
なお、膨張機2の冷媒流量特性とは、膨張機2の回転速度に対して、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量であり、ポンプ4の冷媒流量特性とは、ポンプ4の回転速度に対して、ポンプ4から圧送される冷媒流量である。
【0025】
図2はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムを構成する膨張機とポンプのそれぞれについての冷媒の流量特性を示す図である。
ここでは、ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至る高圧側の冷媒の圧力と、膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4の至る低圧側の冷媒の圧力は、一定の条件となっている。高圧側の冷媒の圧力は、2.6MPaであり、低圧側の冷媒の圧力は、0.8MPaであり、高圧側と低圧側の差圧が1.8MPaとなっている。
【0026】
図2において、横軸には、一体に回転されるポンプ4と膨張機2の回転速度(rpm)を示し、縦軸には、冷媒流量を質量流量(kg/min)として示している。
そして、ポンプ4及び膨張機2のそれぞれの回転速度が、700〜3000(rpm)の範囲にある場合のポンプ4及び膨張機2の冷媒流量特性について測定した。
【0027】
まず、膨張機2における冷媒の流量特性について説明する。
図2に示されるように、膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、膨張機2の回転速度におおよそ比例している。
但し、膨張機2の入口における冷媒の流動抵抗に起因し、ポンプ4の回転速度が単位速度だけ速くなったときの冷媒流量の増加量が、回転速度が速くなる領域ほど、漸次減少している。
回転速度が約700(rpm)のときに膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、1.8(kg/min)程度であり、回転速度が3000(rpm)のとに膨張機2で適正処理可能な冷媒流量は、5.6(kg/min)程度になっている。
【0028】
次いで、ポンプ4の冷媒流量特性について説明する。
ポンプ4から圧送される冷媒流量は、ポンプ4の回転速度におおよそ比例している。
但し、回転速度が上がると、ポンプ4内において、高圧の吐出側から低圧の入口側への冷媒漏れが相対的に減少するのに起因して、ポンプ4の回転速度が単位速度だけ速くなったときの冷媒流量の増加量が、回転速度が速くなる領域ほど、漸次増大している。
【0029】
回転速度が700(rpm)のときの冷媒流量が、0.8(kg/min)程度であり、回転速度が3000(rpm)のときの冷媒流量が、9.0(kg/min)程度になっている。
【0030】
そして、ポンプ4及び膨張機2のそれぞれの回転速度が、おおよそ2000(rpm)程度のときに、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致されている。
そして、回転速度が2000(rpm)から離れるほど、ポンプ4から圧送される冷媒流量と膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量の差が増大される。
【0031】
排熱回生システム1Aにおいて、ランキンサイクルの高圧と低圧が一定の条件下では、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致させることを実現できる特定の回転速度、ここでは、2000(rpm)でのみ、運転が可能となる。
以下、ポンプ4から圧送される冷媒流量と、膨張機2で適正処理可能な最大の冷媒流量とが一致するポンプ4と膨張機2の回転速度を適合回転速度とする。
【0032】
排熱回生システム1Aにおいて、流量調整弁11の制御機能がないもの、言い換えれば、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量の調整機能がないものを参照用の排熱回生システムとする。
【0033】
以下、参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図を図3に示す。
図3は参照用の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度で回転される場合の様子を示している。
【0034】
図3において、ランキンサイクル中、a点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
【0035】
冷媒は、a点に表される液体状態で、ポンプ4に流入して昇圧されてb点に表される状態となってポンプ4から吐出され、第4配管24を介して蒸発器5に送られて、蒸発器5内を通過する。蒸発器5には、外部からエンジン8により通常90〜100℃に加熱された冷却水が流通している。冷却水は、蒸発器5で、冷媒と熱交換を行うことで冷却される。
逆に、冷媒は、冷却水の熱を吸収して加熱され、圧力を一定に保ったまま、蒸発器5の出口で、c点に表される100℃に近い高温で高圧の蒸気となる。
【0036】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d点で表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。この際、膨張機2が膨張する過程で、出力軸7を回転させる動力が発生する。この動力は、ポンプ4の駆動力として利用されたり、自動車の駆動用として取り出したり、出力軸7に連動して回転されるロータを有する発電機30によって電気エネルギーとして変換することで、自動車の照明等の電力源として利用したりできる。
【0037】
そして、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて、圧力を一定に保ったまま冷却され、a点で示されるように、30℃よりやや低い低温の液体となり、凝縮器3から第3配管23を介してポンプ4に送られ、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。なお、凝縮器3は、自動車の走行時の走行風や図示しないファン等により冷媒を冷却する機能を有している。
冷媒は、ポンプ4、蒸発器5、膨張機2、及び凝縮器3を通過する流路を循環することで、以上のランキンサイクルの通りに、その状態が変遷する。
【0038】
次いで、参照例の排熱回生システムにおいて、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より遅い回転速度で、回転される場合の動作について説明する。
図4は参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より遅い回転速度で回転される場合の様子を示している。
ランキンサイクル中、a1点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b1点はポンプ4の出口での冷媒の状態、c1点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d1点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図4では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転される場合のモリエル線図を点線にて併記している。
【0039】
冷媒の循環経路は、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転されている場合と同じである。
冷媒は、a1点に表される状態でポンプ4に流入して昇圧され、b1点に表される状態となってポンプ4から吐出される。この際、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒流量より少なくなっているので、ポンプ4の出口での冷媒の圧力は、b1点に表されるように、膨張機2が適合回転速度で回転される場合に比べて低下した状態となる。その後、蒸発器5を通過する冷媒は、エンジン8の冷却水により、圧力を一定に保ったまま加熱されて、蒸発器5の出口、言い換えれば膨張機2の入口では、c1点に表されるように、100℃に近い高温で高圧の蒸気とされている。
【0040】
その後、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d1点に表されるように、圧力が低下するとともに、温度が50℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて冷却され、a1点で示される状態に戻り、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
冷媒は、以上のランキンサイクルの通りに、その状態が繰り返し変遷する。
【0041】
次いで、参照例の排熱回生システムにおいて、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の動作について説明する。
図5は参照例の排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速い回転速度で回転される場合の様子を示している。
【0042】
ランキンサイクル中、b2点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c2点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d2点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図5では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転される場合のモリエル線図を点線にて併記している。
【0043】
冷媒の循環経路は、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度で回転されている場合と同じである。
冷媒は、a点に表される状態でポンプ4に流入して昇圧され、b2点に表される状態となってポンプ4から吐出される。この際、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒流量より多くなっているので、ポンプ4の出口での冷媒の圧力は、b2点に表されるように、膨張機2が適合回転速度で回転される場合に比べて増大した状態となる。
【0044】
その後、蒸発器5を通過する冷媒は、エンジン8の冷却水により、圧力を一定に保ったまま加熱されて、蒸発器5の出口、言い換えれば膨張機2の入口では、c2点で表されるように、おおよそ100℃に近い高温で高圧の蒸気とされている。
【0045】
その後、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d2点に表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が30℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入され、圧力を一定に保ったまま冷却されることで、a点で示される状態に戻り、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
【0046】
以上のように、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で参照例の排熱回生システムが動作される場合、高圧側の冷媒の圧力が高くなるので、高圧の冷媒が流れる機器が破損する恐れもある。
【0047】
そこで、排熱回生システム1Aでは、ポンプ4から吐出された冷媒の一部を、流量調整弁11を駆動して、第1バイパス手段10Aが構成する第1バイパス流路を介して凝縮器3に戻し、蒸発器5へは膨張機2で適正処理できる量の冷媒を流すように構成されている。
【0048】
以下、排熱回生システム1Aの動作の詳細について説明する。
図6はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
初期状態では、流量調整弁11の開度は、例えば、半分開かれているものとする。
なお、説明の便宜上、図6ではステップ101〜ステップ112をS101〜S112と記載する。
【0049】
ステップ101で、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力から、ポンプ4から圧送される高圧側の冷媒の圧力PHと、膨張機2に入力される冷媒の温度THEを取得する。
【0050】
ここで、上限圧力敷居値PH(MAX)と上限温度敷居値THE(MAX)を以下のように設定する。
上限圧力敷居値PH(MAX)は、排熱回生システム1Aを構成する各構成機器のうち、とりわけランキンサイクルの高圧側に配置される機器の耐圧や使用する冷媒などを考慮して予め設定される許容最大圧力よりやや小さな値に設定した値である。
また、上限温度敷居値THE(MAX)は、使用する冷媒や膨張機2等に使用される潤滑油の使用上限温度、及び高圧側に配置される機器の耐圧などを考慮して、予め設定される許容最大温度よりやや小さな値に設定した値である。
【0051】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きいか否かを判断する。
【0052】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きいと判断すると、流量調整弁11の開度が、所定量大きくなるように流量調整弁11の開度を制御して、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を所定量大きくし(ステップ103)、ステップ101に戻る。
【0053】
ステップ102で、冷媒流量制御手段16は、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)より大きくないと判断すると、圧力PHが、上限圧力敷居値PH(MAX)から判断基準圧力値PNを引いた値より小さいか否かを判断する(ステップ104)。
判断基準圧力値PNは、使用する冷媒の種類などによって予め設定され、上限圧力敷居値PH(MAX)から判断基準圧力値PNを引いた値は、高圧側の冷媒の圧力として好ましい範囲の下限を下回らないように適宜設定される。本実施例では、例えば、0.1〜0.5(MPa)に設定される。
【0054】
ステップ104で、冷媒流量制御手段16は、PH<(PH(MAX)−PN)であると判断すると、流量調整弁11の開度が最小か否かを判断する(ステップ105)。
ステップ105で、流量調整弁11の開度が最小であると判断すると、ステップ107に進む。
ステップ105で、流量調整弁11の開度が最小でないと判断すると、流量調整弁11の開度が、所定量小さくなるように流量調整弁11の開度を制御して、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を所定量小さくし(ステップ106)、ステップ101に戻る。
【0055】
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きいか否かを判断する。
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きいと判断すると、膨張機2の回転速度を所定速さだけ速め(ステップ108)、ステップ101に戻る。
【0056】
ステップ107で、冷媒流量制御手段16は、温度THEが、上限温度敷居値THE(MAX)より大きくないと判断すると、温度THEが、(上限温度敷居値THE(MAX)−判断基準温度値TN)より小さいか否かを判断する(ステップ109)。
判断基準温度値TNは、使用する冷媒の種類などによって予め設定され、上限温度敷居値THE(MAX)から判断基準温度値TNを引いた値は、膨張機2に入力される冷媒の温度として、好ましい範囲の下限を下回らないように、適宜設定される。本実施例では、判断基準温度値TNは、例えば、10℃〜50℃の間で設定される。
【0057】
ステップ109で、冷媒流量制御手段16は、THE<THE(MAX)−TNであると判断すると、膨張機2の回転速度を所定速さだけ遅くし(ステップ110)、ステップ101に戻る。
なお、この実施の形態1では、冷媒として、R134aを用いているが、この場合、上限温度敷居値THE(MAX)は、190℃程度に設定される。ステップ109,110の制御を行うことで、温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)を超えることはない。また、冷媒が、エンジンにより温められた冷却水との熱交換により加熱されるものとしたが、例えば、冷媒が、200℃を超えるような熱源としてのエンジンの排気ガスとの熱交換により加熱されるような場合でも、ステップ109,110の制御が行われるため、温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)を超えることはない。
【0058】
ステップ109で、冷媒流量制御手段16は、THE<THE(MAX)−TNでないと判断すると、ポンプ4及び膨張機2等の運転停止指令が出力されたか否か、即ち、冷媒を循環させる駆動系統(ポンプ4、膨張機2、凝縮器3など)の運転停止指令が出力されたか否かを判断する(ステップ111)。
例えば、ポンプ4及び膨張機2の回転は、エンジン8が停止されたときなどを条件に、排熱回生システム1Aの運転停止指令が出力される。
【0059】
ステップ111で、冷媒流量制御手段16は、運転停止指令が出力されていないと判断すると、ステップ101に戻り、運転停止指令が出力されたと判断すると、言い換えれば、駆動系統が停止したと判断すると、膨張機2の回転速度、及び流量調整弁11の開度の制御を終了する。
【0060】
以上のように動作する排熱回生システム1Aでは、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より所定以上速い速度で回転される場合に、言い換えれば、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理される冷媒流量より大きく、ランキンサイクルの高圧側の冷媒の圧力が、許容される上限の圧力に近づいて上限圧力敷居値PH(MAX)を超えた場合に、以下のような制御が行われる。
【0061】
即ち、冷媒流量制御手段16が、ランキンサイクルの高圧側に設けられた圧力センサ13の出力に基づいて、ポンプ4から圧送される冷媒のうち、蒸発器5を介して膨張機2に入力される冷媒の流量が、適正処理可能な流量に近づくように、流量調整弁11の開度を制御することで、第1バイパス流路を通ってポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に戻る冷媒流量を調整する。
【0062】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2に入力される冷媒の温度THEが上限温度敷居値THE(MAX)より高くなると、膨張機2の回転速度を速め、冷媒の温度THEが(上限温度敷居値THE(MAX)−判断基準温度値TN)より低くなると、膨張機2の回転速度を遅くする制御をするので、膨張機2に流入する冷媒の温度が、許容上限温度を上回ることが防止される。
【0063】
次いで、以上のように動作する排熱回生システム1Aの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図について説明する。
図7はこの発明の実施の形態1に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、ポンプ及び膨張機が適合回転速度より速く回転されている場合を示している。
ランキンサイクル中、a3点はポンプ4の入口における冷媒の状態、b3点はポンプ4の出口における冷媒の状態、c3点は蒸発器5の出口における冷媒の状態、d3点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図7では、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速く回転され、かつ冷媒の流量を調整しない参照例の排熱回生システムのモリエル線図を点線にて併記している。
【0064】
排熱回生システム1Aの冷媒の循環経路は、参照用の排熱回生システムについて説明したものと同じである。
冷媒は、a3点に表される液体状態で、ポンプ4に流入して昇圧されてb3点に表される状態となってポンプ4から吐出され、第4配管24を介して蒸発器5に送られて、蒸発器5内を通過する。この際、冷媒は、エンジン8の冷却水により通常90〜100℃に加熱されたエンジン8の冷却水を冷却する一方で、冷却水の熱を吸収して加熱され、蒸発器5の出口で、c3点で表される100℃に近い高温高圧の蒸気となる。
【0065】
ここで、排熱回生システム1Aでは、ポンプ4から吐出する冷媒の流量が、膨張機2で適正処理できる冷媒の流量より多い条件でポンプ4と膨張機2が一体に駆動されている場合でも、ポンプ4から吐出する冷媒の一部を、第1バイパス流路を介して凝縮器3に戻すことで、膨張機2に流入される冷媒の流量が、膨張機2で適正処理出来る流量となる。このため、ランキンサイクルにおいて、冷媒の状態が、b3点からc3点に移る際の冷媒の圧力が、図7に示されるように、冷媒の流量制御をしない参照例の排熱回生システムに比べて抑えられる。
【0066】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d3点で表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。参照用の排熱回生システムと同様、この動力は、ポンプ4の駆動力として利用されたり、自動車の駆動用として取り出したり、出力軸7に連動して回転されるロータを有する発電機30によって電気エネルギーとして変換することで、自動車の照明等の電力源として利用したりできる。
このため、排熱回生システム1Aを用いることで、自動車の燃費が向上する等、排熱回生システム1Aを含む系のエネルギー効率が向上する。
【0067】
さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入され、圧力を一定に保ったまま冷却されのち、ポンプ4の入口側に送られ、a3点で示されるように、低温の液体にされた状態に戻る。そして、冷媒は、再度、ポンプ4により昇圧されて吐出される。
【0068】
この実施の形態1の排熱回生システム1Aは、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する第1バイパス手段10Aと、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサ13と、第1圧力センサ13の出力に基づいて、流量調整弁11の駆動を制御する冷媒流量制御手段16とを備えている。
【0069】
このような構成にすることで、ポンプ4及び膨張機2が適合回転速度より速い回転速度で回転されていた場合でも、言い換えれば、ポンプ4から吐出される冷媒の量が、膨張機2で適正処理される冷媒の量より多い条件でポンプ4と膨張機2が一体に駆動されている場合でも、第1圧力センサ13の出力が、膨張機2で適正処理できる冷媒の流量に対応する冷媒の圧力に変更されるように、流量調整弁11を制御して、冷媒の一部を、高圧側の冷媒流路から低圧側の冷媒流路に戻すことで以下の効果が得られる。
即ち、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて、膨張機2で処理できる流量で、冷媒が膨張機2に流入されるので、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる。さらに、エンジン等の排熱を、電気エネルギーに変換する発電機の駆動源として利用する排熱回生システム1Aを安定して稼働できる。
【0070】
また、冷媒流量制御手段16は、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得する第1温度センサ14の情報に基づいて、膨張機2の回転速度を制御している。
これにより、膨張機2に異常に高温となる冷媒が流入されることを避けることができ、一層、排熱回生システム1Aを安定して稼働させることができる。
【0071】
また、従来の廃熱利用装置では、膨張機で処理しきれず、膨張機から吐出される高温の冷媒が、蒸発器や凝縮器に導入されるように構成されているが、このような場合、凝縮器での放熱量も大きくなり、凝縮器や蒸発器を大型にする必要性が生じ、排熱回生システム自体が大型化してしまう。
一方、排熱回生システム1Aでは、膨張機2への冷媒流量を調整する第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路から凝縮器3に戻されるように構成されている。このため、凝縮器3での放熱量が抑えられ、凝縮器3や蒸発器5を大型にする必要性がなくなり、排熱回生システム1Aを小型化できる。
また、膨張機2の出力側での温度上昇が防止できるので、膨張機2の出力の予期せぬ低下も防止され、効率を低下させることなく安定して膨張機2を稼働できる。
【0072】
なお、この実施の形態1では、第1圧力センサ13は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力を取得可能に、第4配管24に設けられるものとして説明した。しかし、例えば、第1圧力センサ13は、第1配管21側に設けてもよい。ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至るまでの冷媒流路を流れる高圧の冷媒の圧力は、ポンプ4から圧送される冷媒の圧力と見なすことができ、第1圧力センサ13を第1配管21側に設けても、ポンプ4から圧送される高圧の冷媒の圧力に関する情報を取得可能である。
【0073】
また、第1温度センサ14は、蒸発器5を通過した後に膨張機2に流入される冷媒の温度を取得可能に、第1配管21に設けられるものとして説明した。しかし、第1温度センサ14は、例えば、筺体6などに設けるものでもよい。筺体6の温度と、膨張機2に流入される冷媒の温度とは、相関関係にあるので、筺体6に設けた第1温度センサ14から、膨張機2に流入される冷媒の温度を推測可能である。
このように、第1温度センサ14も、膨張機2に流入される冷媒の温度に関する情報を取得可能なものであれば、設置場所は限定されない。
【0074】
また、この実施の形態1では、第1温度センサ14の出力に基づいて、冷媒流量制御手段16が、膨張機2の回転速度を調整するものとして説明したが、第1温度センサ14の出力に基づいて膨張機2の回転速度を調整させる構成は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
この場合でも、第1圧力センサ13の出力に基づいて膨張機2に流入される制御がなされるので、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて適切な流量の冷媒が、膨張機2に流入されることになり、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる効果が失われるわけではない。
【0075】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係る排熱回生システムの構成図である。
図8において、上記実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0076】
図8において、排熱回生システム1Bは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Bを有する他は、排熱回生システム1Aと同様である。
第1バイパス手段10Bの構成は、第1バイパス流路を開閉自在に設けられる開閉手段としての開閉弁33を、流量調整弁11とは別個に備えている他は、第1バイパス手段10Aと同様である。
ここで、冷媒の流量を調整する流量調整弁11としては、完全に冷媒の流れを遮断することができないのが一般的である。
【0077】
そこで、この実施の形態2では、第1バイパス手段10Bにより構成される第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33を設けている。
【0078】
冷媒流量制御手段16は、ポンプ4と膨張機2が適合回転速度より小さな速度で回転され、ポンプ4からの吐出量に対して、膨張機2により適正処理可能な冷媒の量が、十分に大きい場合、言い換えれば、ポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に冷媒を戻す必要のない場合は、開閉弁33を閉じるように構成されている。
逆に、冷媒流量制御手段16は、ポンプ4と膨張機2が適合回転速度より大きな速度で回転され、ポンプ4からの吐出量に対して、膨張機2により適正処理される冷媒の量が、小さい場合、開閉弁33を開けるように構成されている。
【0079】
この実施の形態2によれば、第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33が設けられているので、ポンプ4から圧送されて、第1バイパス流路を流れる冷媒の流れを確実に止めることができる。
これにより、冷媒流量制御手段16が、ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のない条件で、排熱回生システム1Bが運転されている場合には、開閉弁33を閉じて、第1バイパス流路を遮断し、ポンプ4の出口側から凝縮器3の入口側に冷媒を戻す必要のある条件で、排熱回生システム1Bが運転されている場合には、開閉弁33を開けて、第1バイパス流路の遮断を解消することで、実施の形態1の効果に加えて、排熱回生システム1Bの運転効率を改善できるという効果が期待できる。
【0080】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの構成図である。
図9において、上記実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0081】
図9において、排熱回生システム1Cは、第1バイパス手段10Aに並列に設けられる第2バイパス手段40と、凝縮器3とポンプ4を接続する第3配管23を流れる冷媒の圧力及び温度を取得可能に、言い換えれば、ポンプ4に入力される冷媒の圧力及び温度を取得可能に、第3配管23に設けられる第2圧力センサ51及び低圧側温度センサとしての第2温度センサ52とを備えている。
排熱回生システム1Cの他の構成は、排熱回生システム1Aと同様である。
【0082】
第2バイパス手段40は、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの冷媒流路と膨張機2から凝縮器3に至る冷媒流路との間を接続する第2バイパス流路を構成し、第2バイパス流路に組み込まれる冷媒タンク41、及び第2バイパス流路を開閉自在に設けられる冷媒流入選択手段としての第2開閉弁43a,43bを有する。
【0083】
さらに、具体的には、第2バイパス手段40は、冷媒タンク41と、絞り42a,42bと、第2開閉弁43a,43bと、これらを介してポンプ4の出口側と凝縮器3の入口側を接続する第2バイパス配管45とを備え、ポンプ4から圧送される冷媒の一部を冷媒タンク41内に移送可能に構成されている。
【0084】
第2バイパス配管45は、第4配管24内の空間から冷媒タンク41に至る冷媒流路を形成する第7配管45aと、冷媒タンク41から第2配管22内の空間に至る冷媒流路を形成する第8配管45bとを備えている。
【0085】
そして、絞り42aが、第7配管45aの冷媒流量を調整可能に第7配管45aの一部に組み入れられ、また、開閉弁43aが、第7配管45aの冷媒流路を遮断可能に設けられている。
また、絞り42bが、第8配管45bの冷媒流量を調整可能に第8配管45bの一部に組み入れられ、また、開閉弁43bが、第8配管45bの冷媒流路を遮断可能に設けられている。
【0086】
なお、第2圧力センサ51は、第1圧力センサ13と同様、例えば、抵抗ひずみケージ式圧力センサであり、第2温度センサ52も、第1温度センサ14と同様、例えば、サーミスタや熱電対である。
【0087】
絞り42a,42bは、排熱回生システム1Cの運転開始に先立って、予め開度を調整してあり、運転中は、開度を固定にするものとしている。しかし、絞り42a,42bとして、流量調整弁11と同様のものを用い、冷媒流量制御手段16が適宜、絞り42a,42bの開度を調整可能なようにしてもよい。
【0088】
また、冷媒流量制御手段16を構成するROMには、冷媒の圧力−飽和温度特性が、予め格納されている。
【0089】
ここで、実施の形態1に説明した排熱回生システム1Aでは、流量調整弁11の制御により、ポンプ4から圧送された冷媒の一部を、第1バイパス流路を介して凝縮器3の入口側に適宜戻すことで、膨張機2に流入される冷媒の圧力を適切な大きさに保っている。
【0090】
図7のモリエル線図のa3点とa点との比較からわかるように、ポンプ4及び膨張機3が、適合回転速度より速い回転速度で回転されている場合、適合回転速度でポンプ4及び膨張機3を回転させたときに比べて高圧側の圧力が下がるので、ポンプ4に流れ込む冷媒の温度が低下する。これに起因して、排熱回生システム1Aの運転上は問題とはならないものの、ポンプ4の入口での冷媒の温度とポンプ4の入口での冷媒の圧力に対応する冷媒の飽和温度との差で表される過冷却度が大きくなる。
過冷却度が大きくなると、排熱回生システム1Aが冷媒を循環させる際のランキンサイクルの熱効率が低下する。
【0091】
そこで、本実施の形態3の排熱回生システム1Cでは、第2圧力センサ51及び第2温度センサ52の出力に基づいて、冷媒流量制御手段16が、過冷却度を演算する。そして、過冷却度が、適切な範囲から外れた場合に、冷媒流量制御手段16は、過冷却度を適切な値に戻す方向に、冷媒タンク41に移送される冷媒の量が調整されるように、開閉弁43a,43bの開度を設定するように構成する。
【0092】
具体的には、冷媒流量制御手段16は、過冷却度が上限過冷却度敷居値TSHより大きくなったり、下限過冷却度敷居値TSLより小さくなったりした場合に、第2バイパス手段40の開閉弁43a,43bを開き、冷媒の一部を冷媒タンク41に移動させて過冷却度を適切な値に調整する。
【0093】
また、これに併せて、排熱回生システム1Cでは、ランキンサイクルにおける高圧側の圧力を、許容上限圧力を超えないように排熱回生システム1Aと同様に制御している。
【0094】
以下、排熱回生システム1Cの動作の詳細について説明する。
図10はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの動作を説明するフロー図である。
【0095】
ステップ201〜ステップ210で、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力に基づいて、流量調整弁11と膨張機3の回転速度を制御するが、その制御は、実施の形態1のステップ101〜ステップ110と同様であるので、説明を省略する。
なお、開閉弁43a,43bは、初期状態では、閉じられている。
【0096】
ステップ211で、冷媒流量制御手段16は、第2圧力センサ51と第2温度センサ52の出力から、ポンプ4に流入される低圧側の冷媒の圧力PLと温度TLPを取得する。
【0097】
ステップ212で、冷媒流量制御手段16は、圧力PLでの冷媒の飽和温度TLを、圧力−飽和温度特性から取得する。
【0098】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔT(=TLP−TL)を演算し、過冷却度ΔTが、予め設定した上限過冷却度敷居値TSHより、大きいか否かを判断する(ステップ213)。
上限過冷却度敷居値TSHは、適正とされる過冷却度の範囲のうち、最大値よりやや小さな値に設定される。例えば、上限過冷却度敷居値TSHは、10℃程度に設定される。
【0099】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、上限過冷却度敷居値TSHより大きいと判断すると、開閉弁43aを開け、ポンプ4から圧送される冷媒の一部を、第7配管45a、絞り42a,及び開閉弁43aを介して冷媒タンク41に移送させ(ステップ214)、ステップ211の制御に戻る。
【0100】
ステップ213で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、上限過冷却度敷居値TSHより小さいと判断すると、開閉弁43aを閉じ(ステップ215)、ステップ216に進む。
【0101】
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔT(=TLP−TL)が、予め設定した下限過冷却度敷居値TSLより小さいか否かを判断する。下限過冷却度敷居値TSLは、適正とされる過冷却度の範囲のうち、最小値よりやや大きな値に設定される。例えば、下限過冷却度敷居値TSLは、5℃程度に設定される。
【0102】
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、下限過冷却度敷居値TSLより小さいと判断すると、開閉弁43bを開け(ステップ217)、ステップ211に戻る。
ステップ216で、冷媒流量制御手段16は、過冷却度ΔTが、下限過冷却度敷居値TSLより大きいと判断すると、開閉弁43bを閉じ(ステップ218)、ステップ219に進む。
ステップ219及びステップ220は、ステップ111及びステップ112と同様の制御動作である。
【0103】
次いで、以上のように動作する排熱回生システム1Cの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図について説明する。
図11はこの発明の実施の形態3に係る排熱回生システムの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図であり、適合回転速度より速い速度で膨張機が回転される場合を示している。
ランキンサイクル中、a4点はポンプ4の入口、b3点はポンプ4の出口、c点は蒸発器5の出口、d4点は膨張機2の出口における冷媒の状態である。
また、図11では、排熱回生システム1Aの熱力学サイクルであるランキンサイクルのモリエル線図を点線にて併記している。
【0104】
図11に示される排熱回生システム1Cのランキンサイクルでは、a4点に表されるように、液体状態で、ポンプ4に流入した冷媒は、b3点に示されるように、昇圧されてポンプ4の出口から吐出される。さらに、冷媒は、第4配管24を介して蒸発器5に導かれ、蒸発器5内を通過する。この際、冷媒は、圧力を一定に保ったままエンジン8の冷却水により加熱されて、蒸発器5の出口で、c3点に表される100℃に近い高温で高圧の蒸気となる。
【0105】
高温高圧となった冷媒は、第1配管21を通って膨張機2に導かれ、膨張機2を通過する際に膨張して、d4点に表されるように、圧力が低下されるとともに、温度が40℃程度に低下した蒸気となって、膨張機2から吐出される。さらに、冷媒は、膨張機2から、第2配管22を通って凝縮器3に導入されて、ポンプ4の入口側に至り、圧力を一定に保ったまま、a4点に表されるように、低温の液体にされた状態に戻る。
【0106】
ここで、図11において、第2バイパス手段40による冷媒の流量制御を行わない排熱回生システム1Aに場合に比べ、a3点とa4点に表されるように、ポンプ4の入口の冷媒の温度に、ほとんど変化ないが、ポンプ4の入口の冷媒の圧力は低下している。これにより、過冷却度は、小さく適切な値となる。
【0107】
この実施の形態3によれば、冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13と第1温度センサ14の出力に基づいて、流量調整弁11と膨張機3の回転速度を制御しているのは、実施の形態1と同様である。
従って、排熱回生システム1Aと同様、高圧側の冷媒の圧力が異常に高くなることが抑制されて適切な流量の冷媒が、膨張機2に流入されるので、高圧側の冷媒が流れる機器の破損を防止できる。
【0108】
さらに、第2圧力センサ51の出力に対応する冷媒の飽和温度TL、及び第2温度センサ52の出力に基づいて、冷媒流入選択手段としての開閉弁43a,43bによる第2バイパス流路の開閉を選択し、冷媒タンク41への冷媒の流れ込みを冷媒流量制御手段16に制御させることで、過冷却度ΔTを適切な値に保っている。
これにより、排熱回生システム1Cの運転効率を向上させることができる。
【0109】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4に係る排熱回生システムの構成図である。
なお、上記実施の形態1〜3と同一または相当部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図12において、排熱回生システム1Dは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Bを備える他は、上記実施の形態3と同様である。
即ち、第1バイパス手段10Bが構成する第1バイパス流路を開閉自在に設けられる第1開閉手段としての開閉弁33が、流量調整弁11とは別個に設けられている。
開閉弁33は、第1バイパス手段10Bが構成する1バイパス流路を完全に遮断することを目的として設けられている。
冷媒流量制御手段16は、実施の形態2と同様に開閉弁を制御する。
【0110】
この実施の形態4の排熱回生システム1Dによれば、第2バイパス手段40を有し、冷媒流量制御手段16が、過冷却度ΔTが適切な値をとるように、開閉弁43a,43bの開閉制御を行う点は、実施の形態3と同様であり、排熱回生システム1Dの運転効率を向上させることができる。
【0111】
さらに、この実施の形態4によれば、第1バイパス手段10Bにより構成される第1バイパス流路を完全に遮断可能な開閉弁33が設けられているので、第1バイパス流路を流れる冷媒の流れを確実に止めることができる。
ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のない条件で、排熱回生システム1Dが運転されている場合には、開閉弁33を閉じて、第1バイパス流路を遮断し、ポンプ4の出口側から凝縮器3に冷媒を戻す必要のある条件で、排熱回生システム1Dが運転されている場合には、開閉弁33を開けて、第1バイパス流路の遮断を解消させるように冷媒流量制御手段16に制御させることで、排熱回生システム1Dの運転効率を改善できる。
【0112】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5に係る排熱回生システムの構成図である。
図13において、排熱回生システム1Eは、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Cを有する他は、排熱回生システム1Cと同様に構成されている。
【0113】
第1バイパス手段10Cは、ポンプ4から蒸発器5に至る冷媒流路と凝縮器3からポンプ4の入口側に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成するとともに、第1バイパス流路を流れる冷媒の流量を調整可能な流量調整弁11を有する。
【0114】
具体的には、第1バイパス手段10Cは、流量調整弁11と、流量調整弁11を介して第4配管24内と第3配管23内とを接続するバイパス配管12Bと、第1バイパス流路を開閉自在に設けられる開閉弁33とを備えている。
第1バイパス配管12Bは、第4配管24内の空間から流量調整弁11に至る冷媒流路を形成する第9配管12cと、流量調整弁11から第3配管23内の空間に至る冷媒流路を形成する第10配管12dとを備えている。
そして、開閉弁33が、第10配管12dの冷媒流路を開閉自在に第10配管12dに設けられている。
【0115】
第1バイパス手段10Cの流量調整弁11を制御することで、ポンプ4から圧送されて、第1バイパス流路を介してポンプ4の入口側に導かれる冷媒の量を調整することが可能となっている。
冷媒流量制御手段16による流量調整弁11の駆動制御、及び開閉弁33の制御は、上記実施の形態1,2と同様に行われる。
【0116】
即ち、ポンプ4から圧送される冷媒流量が、膨張機2で適正処理される冷媒流量より大きくなる場合には、以下のような制御がなされる。
冷媒流量制御手段16は、第1圧力センサ13の出力に基づいて、ランキンサイクルの高圧側の冷媒の圧力が、許容される上限の圧力に近づいて上限圧力敷居値PH(MAX)を超えたと判断すると、上記実施の形態1と同様、第1バイパス流路に流れ込む冷媒の量が、膨張機2に流入される冷媒が適切な流量となるように流量調整弁11の開度及び開閉弁33の開閉を制御する。
【0117】
ここで、上記実施の形態1〜4の第1バイパス手段10A,10Bは、ポンプ4の出口から凝縮器3の入口側に至る第1バイパス流路を構成したが、この実施の形態5の第1バイパス手段10Cは、ポンプ4の出口側からポンプ4の入口側に至るバイパス流路を構成するものである。
但し、第1バイパス流路は、ポンプ4から蒸発器5に至るまでの高圧側の冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る低圧側の冷媒流路とを接続する点では、実施の形態1〜4と共通である。
このため、実施の形態5においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0118】
なお、この実施の形態5では、排熱回生システム1Dにおいて第1バイパス手段10Aに代え、バイパス手段10Cを適用したものとしているが、排熱開始排熱回生システム1Aにおいて、第1バイパス手段10Aに代え、第1バイパス手段10Cを適用したものでもよい。
即ち、第1バイパス手段は、ポンプ4から蒸発器5を介して膨張機2に至る冷媒流路と膨張機2から凝縮器3を介してポンプ4に至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路が形成するように設けてあればよい。
また、バイパス手段10Cは、開閉弁33を有するものとしたが、開閉弁33は省略してもよい。
【0119】
また、上記各実施の形態では、回転電機は、発電機30であるものとして説明したが、回転電機は、電動機であってもよい。つまり、排熱回生システム1A〜1Eは、エンジン8の排熱を発電機30の駆動用の動力として利用するものに限定されず、例えば、電動機の出力をエンジンの動力源の一部として利用されるように電動機とエンジン8とを接続し、エンジン8の排熱をエンジン等の駆動用の動力として利用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1A〜1E 排熱回生システム、2 膨張機、3 凝縮器、4 ポンプ、5 蒸発器、7 出力軸、10A〜10C 第1バイパス手段、11 流量調整弁(流量調整手段)、13 第1圧力センサ、14 第1温度センサ(高圧側温度センサ)、16 冷媒流量制御手段、40 第2バイパス手段、41 冷媒タンク、43a,43b 冷媒流入選択手段、51 第2圧力センサ、52 第2温度センサ(低圧側温度センサ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機と、
上記膨張機からの上記冷媒を凝縮する凝縮器と、
上記膨張機の駆動力が伝達されるように出力軸を介して上記膨張機に連結され、上記凝縮器からの冷媒を圧送するポンプと、
上記ポンプからの冷媒を加熱して上記膨張機へ送る蒸発器と
を備える排熱回生システムであって、
上記ポンプから上記蒸発器に至るまでの冷媒流路と上記膨張機から上記凝縮器を介して上記ポンプに至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、上記第1バイパス流路を流れる上記冷媒の流量を調整可能な流量調整手段を有する第1バイパス手段と、
上記ポンプから圧送される上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサと、
上記第1圧力センサの出力に基づいて、上記流量調整手段の駆動を制御する冷媒流量制御手段と
を備えていることを特徴とする排熱回生システム。
【請求項2】
上記ポンプから上記蒸発器に至るまでの冷媒流路と上記膨張機から上記凝縮器に至る冷媒流路とを接続する第2バイパス流路を構成し、上記第2バイパス流路に組み込まれる冷媒タンク、及び上記第2バイパス流路を開閉自在に設けられる冷媒流入選択手段を有する第2バイパス手段と、
上記凝縮器から上記ポンプに導かれる上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第2圧力センサと、
上記凝縮器から上記ポンプに導かれる上記冷媒の温度に関する情報を取得する低圧側温度センサと
を備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記第2圧力センサの出力に対応する上記冷媒の飽和温度、及び上記低温側温度センサの出力に基づいて、上記冷媒流入選択手段による上記第2バイパス流路の開閉を行って、上記冷媒タンクへの上記冷媒の流れ込みを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱回生システム。
【請求項3】
上記蒸発器から上記膨張機に導かれる上記冷媒の温度に関する情報を取得する高圧側温度センサを備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記高圧側温度センサの出力に基づいて上記膨張機の回転速度を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排熱回生システム。
【請求項4】
上記第1バイパス流路を全閉可能な開閉手段を備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記第1圧力センサの出力に基づいて、上記開閉手段の開閉を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排熱回生システム。
【請求項1】
冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機と、
上記膨張機からの上記冷媒を凝縮する凝縮器と、
上記膨張機の駆動力が伝達されるように出力軸を介して上記膨張機に連結され、上記凝縮器からの冷媒を圧送するポンプと、
上記ポンプからの冷媒を加熱して上記膨張機へ送る蒸発器と
を備える排熱回生システムであって、
上記ポンプから上記蒸発器に至るまでの冷媒流路と上記膨張機から上記凝縮器を介して上記ポンプに至る冷媒流路との間を接続する第1バイパス流路を構成し、上記第1バイパス流路を流れる上記冷媒の流量を調整可能な流量調整手段を有する第1バイパス手段と、
上記ポンプから圧送される上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第1圧力センサと、
上記第1圧力センサの出力に基づいて、上記流量調整手段の駆動を制御する冷媒流量制御手段と
を備えていることを特徴とする排熱回生システム。
【請求項2】
上記ポンプから上記蒸発器に至るまでの冷媒流路と上記膨張機から上記凝縮器に至る冷媒流路とを接続する第2バイパス流路を構成し、上記第2バイパス流路に組み込まれる冷媒タンク、及び上記第2バイパス流路を開閉自在に設けられる冷媒流入選択手段を有する第2バイパス手段と、
上記凝縮器から上記ポンプに導かれる上記冷媒の圧力に関する情報を取得する第2圧力センサと、
上記凝縮器から上記ポンプに導かれる上記冷媒の温度に関する情報を取得する低圧側温度センサと
を備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記第2圧力センサの出力に対応する上記冷媒の飽和温度、及び上記低温側温度センサの出力に基づいて、上記冷媒流入選択手段による上記第2バイパス流路の開閉を行って、上記冷媒タンクへの上記冷媒の流れ込みを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱回生システム。
【請求項3】
上記蒸発器から上記膨張機に導かれる上記冷媒の温度に関する情報を取得する高圧側温度センサを備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記高圧側温度センサの出力に基づいて上記膨張機の回転速度を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排熱回生システム。
【請求項4】
上記第1バイパス流路を全閉可能な開閉手段を備え、
上記冷媒流量制御手段は、上記第1圧力センサの出力に基づいて、上記開閉手段の開閉を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排熱回生システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−44253(P2013−44253A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181269(P2011−181269)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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