排紙装置
【課題】排紙トレイを移動させてオフセット排紙機能を実現する排紙装置において、事前の情報の記憶に頼らずに、排紙トレイの位置を把握可能とする。
【解決手段】排紙装置は、用紙が積載される排紙トレイと、排紙トレイを移動させるクランク22と、クランク22を回転させる駆動部21と、クランク22に設けられた被検出板23,24と、固定位置に配置され、被検出板23,24の有無を検出するセンサ25と、センサ25の検出結果を用いて駆動部21を制御することで、排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、制御部は、所定のタイミングから、駆動部21によりクランク22を回転させ、センサ25で検出される被検出板23,24の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、所定のタイミングにおける排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行う。
【解決手段】排紙装置は、用紙が積載される排紙トレイと、排紙トレイを移動させるクランク22と、クランク22を回転させる駆動部21と、クランク22に設けられた被検出板23,24と、固定位置に配置され、被検出板23,24の有無を検出するセンサ25と、センサ25の検出結果を用いて駆動部21を制御することで、排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、制御部は、所定のタイミングから、駆動部21によりクランク22を回転させ、センサ25で検出される被検出板23,24の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、所定のタイミングにおける排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット排紙機能を有する排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置において、オフセット排紙機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。オフセット排紙機能は、排紙される印刷物を、ジョブ等の単位ごとに位置をずらして積層させることで区切りを設ける機能である。
【0003】
オフセット排紙機能を実現するために、用紙が積載される排紙トレイが、用紙の排出方向に対して直交する方向に離間した複数の用紙受取位置の間で移動可能な排紙装置が知られている。
【0004】
このような排紙装置において、電源が投入された際、複数の用紙受取位置のうちの1つである基準位置に排紙トレイを配置する初期化動作を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−70708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、初期化動作で排紙トレイを基準位置に配置する排紙装置では、初期化動作後(電源投入後)の最初の印刷物は、基準位置に配置された排紙トレイに排紙される。このため、電源遮断前の最後の印刷物が、基準位置に配置された排紙トレイに排紙されており、そのまま排紙トレイ上に残されていた場合、その印刷物に対して、初期化動作後の最初の印刷物がオフセットされずに排紙されることになる。すなわち、オフセット排紙機能の使用を選択しているにもかかわらず、異なる単位の印刷物が混同されてしまうことがあった。
【0007】
電源投入時における用紙受取位置を排紙装置が把握できれば、上述のような印刷物の混同を回避するための処置が可能となる。電源投入時における用紙受取位置を把握するために、例えば、排紙装置が、電源遮断前の最後の排紙動作における用紙受取位置を示す情報を、電源投入時まで記憶しておくことが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような情報を記憶するためには、記憶媒体の容量を消費する。特に、高速多枚数の印刷装置においては、各種の処理のために記憶媒体の容量を効率的に使用することが求められる。このような場合、上記のように用紙受取位置を示す情報の記憶のために記憶媒体の容量を使用することは望ましくない。したがって、排紙装置は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握できることが望ましい。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、排紙トレイを移動させてオフセット排紙機能を実現する排紙装置において、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る排紙装置の第1の特徴は、用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイを移動させるクランクと、前記クランクを回転させる駆動部と、前記クランクに、1または2以上の間隔をあけて設けられた被検出板と、前記クランクの回転に伴い、前記被検出板と前記間隔とが交互に通過する固定位置に配置され、前記被検出板の有無を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を用いて前記駆動部を制御することで、前記排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、前記制御部は、所定のタイミングから、前記駆動部により前記クランクを回転させ、前記検出部で検出される前記被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、前記所定のタイミングにおける前記排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行うことにある。
【0011】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴は、前記制御部は、前記位置判定処理後、その結果が示す前記排紙トレイの用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に前記排紙トレイを配置するよう前記駆動部を制御することにある。
【0012】
本発明に係る排紙装置の第3の特徴は、表示部をさらに備え、前記制御部は、前記位置判定処理の結果、前記排紙トレイの位置が、前記複数の用紙受取位置とは異なる異常位置であった場合、前記排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を前記表示部に表示させることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る排紙装置の第1の特徴によれば、制御部が、クランクを回転させ、検出部で検出される被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、排紙トレイの用紙受取位置を判定する。これにより、排紙装置は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握可能である。
【0014】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴によれば、制御部が、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイを配置させる。これにより、印刷装置は、排紙トレイに残された印刷物に対してオフセットした位置に用紙を排紙できる。この結果、異なる単位の印刷物の混同を防止できる。
【0015】
本発明に係る排紙装置の第3の特徴によれば、制御部は、位置判定処理の結果、排紙トレイの位置が異常位置であった場合、排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を表示部に表示させる。これにより、ユーザに排紙トレイ上の印刷物を取り除かせ、排紙される印刷物と排紙トレイ上の印刷物との混同を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る排紙装置の斜視図である。
【図2】排紙トレイを除いた排紙装置の斜視図である。
【図3】排紙トレイおよび排紙トレイ取付板を除いた排紙装置の斜視図である。
【図4】排紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】オフセット機構部の斜視図である。
【図6】オフセット機構部の斜視図である。
【図7】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図8】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図9】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図10】排紙装置の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】排紙装置の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る排紙装置の斜視図、図2は、排紙トレイを除いた排紙装置の斜視図、図3は、排紙トレイおよび排紙トレイ取付板を除いた排紙装置の斜視図、図4は、排紙装置の制御系の構成を示すブロック図、図5、図6は、オフセット機構部の斜視図である。以下の説明おける上下方向、左右方向、前後方向は、図1〜図3において示す上下方向、左右方向、前後方向を示すものとする。
【0020】
図1〜図4に示すように、本実施の形態に係る排紙装置1は、排紙トレイ2と、排紙トレイ取付板3と、オフセット機構部4と、排紙ローラ5と、排紙モータ6と、入力部7と、表示部8と、制御部9とを備える。
【0021】
排紙トレイ2は、印刷済みの用紙が積載されるものである。排紙トレイ2は、排紙装置1が設置される印刷装置の左側に配置されている。排紙トレイ2には、右側から左側に向かって用紙が送り出される。排紙トレイ2の右側端部は、左側端部よりも下方に配置されている。すなわち、排紙トレイ2は、傾斜している。排紙トレイ2の上面は、略平面状に形成されている。これにより、排紙された用紙は、排紙トレイ2から飛び出さず、排紙トレイ2の上面に沿って右側に滑落する。排紙トレイ2は、前後方向(オフセット方向)に移動可能になっている。
【0022】
排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2が取り付けられるものである。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2とともに前後方向に移動する。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2よりひと回り小さな板状に形成されている。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2の下面に配置されている。排紙トレイ取付板3は、長穴11を有する。長穴11は、左右方向に細長い長円形状の貫通穴である。長穴11には、後述するクランク22のシャフト32が挿通される。これにより、排紙トレイ取付板3は、クランク22の回転の動きを、前後方向の直線的な動きに変換する。これにより、排紙トレイ取付板3は、前後方向に移動する。
【0023】
オフセット機構部4は、オフセット排紙機能を実現するために、排紙トレイ取付板3とともに排紙トレイ2を前後方向に移動させる。図5、図6に示すように、オフセット機構部4は、駆動部21と、クランク22と、第1および第2の被検出板23,24と、センサ25とを備える。ここで、図5は、表側(右上側)から見たオフセット機構部4を示し、図6は、裏側(左下側)から見たオフセット機構部4を示している。
【0024】
駆動部21は、クランク22を回転させる。駆動部21は、オフセットモータ26と、ベルト27と、ウォーム28とを備える。
【0025】
オフセットモータ26は、クランク22を回転させるための駆動力を発生する。オフセットモータ26は、一方向にのみ回転可能なモータからなる。オフセットモータ26は、出力軸29を有する。出力軸29は、ベルト27に駆動力を伝達する。
【0026】
ベルト27は、オフセットモータ26の駆動力をウォーム28へと伝達する。ベルト27は、オフセットモータ26の出力軸29とウォーム28との間に掛け渡されている。
【0027】
ウォーム28は、ベルト27により伝達されたオフセットモータ26の駆動力をクランク22へと伝達するものである。
【0028】
クランク22は、排紙トレイ取付板3とともに排紙トレイ2を前後方向に移動させるものである。クランク22は、ウォームホイール31と、シャフト32とを有する。
【0029】
ウォームホイール31は、ベルト27およびウォーム28を介して伝達されるオフセットモータ26の駆動力により、中心軸33を中心として回転する。
【0030】
シャフト32は、排紙トレイ取付板3にウォームホイール31の動きを伝達するものである。シャフト32は、ウォームホイール31の表面31aに立設されている。ウォームホイール31の表面31aは、排紙トレイ取付板3に対向する面である。シャフト32は、ウォームホイール31の中心軸33から離間して配置されている。シャフト32は、排紙トレイ取付板3の長穴11に挿通されている。これにより、ウォームホイール31が回転したとき、長穴11の長手方向のシャフト32の動きは、排紙トレイ取付板3に伝わらず、長穴11の短手方向(前後方向)のシャフト32の動きが排紙トレイ取付板3に伝達される。したがって、ウォームホイール31が回転すると、排紙トレイ取付板3は前後方向に往復動作する。このような機構により、一方向にのみ回転可能なオフセットモータ26で、前後の両方向への排紙トレイ2の移動を実現している。
【0031】
第1および第2の被検出板23,24は、制御部9が排紙トレイ2の位置を制御するために設けられているものである。第1および第2の被検出板23,24は、ウォームホイール31の裏面31bに立設されている。第1および第2の被検出板23,24は、ウォームホイール31と同心の円弧形状に湾曲した板部材からなる。第1および第2の被検出板23,24はそれぞれ、円周の約4分の1の長さに形成されている。第1および第2の被検出板23,24は、狭い隙間をあけて隣接して配置されている。第1および第2の被検出板23,24の間の隙間(間隔)は、その隙間でセンサ25がOFFとなる大きさがあればよい。
【0032】
センサ25は、検出対象位置における第1および第2の被検出板23,24の有無を検出する。センサ25は、ウォームホイール31の裏面31b側の固定位置に配置されている。クランク22が回転すると、被検出板23,24とそれらの間の空間(間隔)が交互にセンサ25の検出対象位置を通過する。センサ25は、検出対象位置に、第1の被検出板23または第2の被検出板24が存在するときにはON信号を出力し、第1の被検出板23も第2の被検出板24も存在しないときにはOFF信号を出力する。センサ25は、例えば、光学式のセンサからなる。センサ25は、請求項の検出部に相当する。
【0033】
排紙ローラ5は、印刷装置によって搬送されてきた印刷済みの用紙を排紙トレイ2へと送り出すものである。排紙ローラ5は、排紙トレイ2の右側に配置されている。
【0034】
排紙モータ6は、排紙ローラ5を回転駆動させるものである。
【0035】
入力部7は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部7は、操作ボタン、タッチパネル等を有する。入力部7は、排紙装置1が設置される印刷装置に対する入力操作も受け付ける。
【0036】
表示部8は、各種の画面等を表示するものである。表示部8は、液晶表示パネル等からなる。表示部8は、排紙装置1が設置される印刷装置に関する各種の画面等も表示する。
【0037】
制御部9は、排紙装置1の各部の動作を制御する。制御部9は、排紙装置1が設置される印刷装置全体の動作も制御する。制御部9は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0038】
制御部9は、オフセット排紙機能の使用時において、センサ25の検出結果を用いて駆動部21のオフセットモータ26を制御することで、排紙トレイ2を複数の用紙受取位置の間で移動させる。用紙受取位置は、排紙トレイ2が用紙を受け取る際の前後方向における位置である。本実施の形態の排紙装置1は、第1および第2の被検出板23,24の2つを備えることにより、3段階のオフセット排紙が可能な構成である。すなわち、排紙装置1では、前後方向に離間した3つの用紙受取位置が設定されている。
【0039】
また、制御部9は、電源投入時において、初期化動作を実行する。初期化動作において、制御部9は、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する位置判定処理を行う。具体的には、制御部9は、電源が投入されると、オフセットモータ26によりクランク22を回転させ、センサ25で検出される第1および第2の被検出板23,24の有無の変化、およびこの変化に要する時間を用いて、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する。そして、制御部9は、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイ2を配置するよう駆動部21を制御する。
【0040】
次に、排紙装置1の動作について説明する。
【0041】
排紙装置1が設置される印刷装置で印刷が行われると、制御部9は、排紙モータ6により排紙ローラ5を駆動させる。これにより、排紙ローラ5は、印刷装置から搬送されてくる印刷済みの用紙を排紙トレイ2へと送り出す。これにより、用紙は、排紙トレイ2上に積載される。
【0042】
排紙装置1では、オフセット排紙機能が使用可能である。ユーザは、入力部7を操作して、オフセット排紙機能の使用を選択指示できる。オフセット排紙機能の使用が指示されている場合、制御部9は、ジョブ等の所定の単位ごとに、排紙トレイ2の用紙受取位置を変更させるオフセット処理を行う。
【0043】
オフセット処理について説明する。まず、センサ25による第1および第2の被検出板23,24の検出状態と排紙トレイ2の用紙受取位置との関係について説明する。図7〜図9は、排紙トレイ2の第1〜第3の用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板23,24の位置を示す図である。図7〜図9は、ウォームホイール31の裏面31b側から見た第1および第2の被検出板23,24とセンサ25との位置関係を模式的に示している。ウォームホイール31は、裏面31b側から見て反時計回りに回転する。このため、第1および第2の被検出板23,24は、図7〜図9に矢印で示す方向に移動する。
【0044】
図7は、第1および第2の被検出板23,24のうち回転方向における前側にある第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示すように、最も前側に位置する。そして、このとき、排紙トレイ2は、図1に実線で示す第1の用紙受取位置に配置される。第1の用紙受取位置は、第1〜第3の用紙受取位置のなかで最も前側にあり、排紙トレイ2の基準位置である。オフセット排紙機能が使用されない場合、排紙トレイ2は、基準位置である第1の用紙受取位置に配置される。
【0045】
図8は、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示す位置から略90°回転した位置にある。そして、このとき、排紙トレイ2は、第2の用紙受取位置に配置される。第2の用紙受取位置は、第1の用紙受取位置と第3の用紙受取位置の間にある。
【0046】
図9は、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達し、センサ25がONからOFFに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示す位置から略180°回転した位置にある。そして、このとき、排紙トレイ2は、図1に破線で示す第3の用紙受取位置に配置される。第3の用紙受取位置は、クランク22が回転したときのシャフト32の軌跡の円の直径に相当する距離だけ、第1の用紙受取位置から後方向に離間した位置である。
【0047】
以上のように第1および第2の被検出板23,24の位置と第1〜第3の用紙受取位置とが対応している。このため、制御部9は、センサ25の検出結果を用いてオフセットモータ26を制御することで、排紙トレイ2を第1〜第3の用紙受取位置の間で移動させることができる。
【0048】
排紙装置1の電源がONである間は、制御部9は、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1〜第3の用紙受取位置のいずれであったか示す情報を記憶している。例えば、オフセット排紙機能の使用時において、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1の用紙受取位置であったとする。この場合、第1および第2の被検出板23,24は、図7に示す位置にある。
【0049】
これに対し、次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第2の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図7のように、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はONである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25を通過した時点で、センサ25がOFFとなる。その後、図8のように、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第2の用紙受取位置で停止する。この結果、第1の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0050】
さらに次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第3の用紙受取位置へと移動させるために、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図8のように、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はONである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、図9のように、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25を通過した時点で、センサ25がONからOFFに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第3の用紙受取位置で停止する。この結果、第2の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0051】
さらに次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第1の用紙受取位置へと移動させるために、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図9のように、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はOFFである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、図7のように、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達した時点で、センサ25がOFFからONに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第1の用紙受取位置で停止する。この結果、第3の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0052】
このようなオフセット処理により、排紙トレイ2上に印刷物が印刷の単位ごとに位置がずれるように積層され、印刷物の区切りが形成される。
【0053】
排紙装置1の電源が遮断されると、制御部9は、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1〜第3の用紙受取位置のいずれであったか示す情報は記憶せず、その後の電源投入時の初期化動作において、排紙トレイ2の位置判定処理を行う。なお、排紙装置1の電源は、排紙装置1が設置される印刷装置の電源と共通である。
【0054】
排紙装置1の電源投入時の初期化動作について説明する。図10、図11は、排紙装置1の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【0055】
電源が投入されると、図10のステップS10において、制御部9は、センサ25がONであるか否かを判断する。
【0056】
センサ25がONであると判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS20において、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させる。これにより、クランク22が回転を開始する。制御部9は、クランク22が一定速度で回転するようオフセットモータ26を駆動制御する。また、制御部9は、内蔵のタイマ(図示せず)により、オフセットモータ26の駆動開始から計測時間Tの計測を開始する。また、制御部9は、「0」を初期時間Tiniとして記憶する。この後、制御部9は、ステップS60の処理へと進む。
【0057】
ステップS10でセンサ25がOFFであると判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS30において、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させることによりクランク22の回転を開始させる。また、制御部9は、オフセットモータ26の駆動開始から計測時間Tの計測を開始する。
【0058】
次いで、ステップS40において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS40:NO)、制御部9は、ステップS40の処理を繰り返す。
【0059】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS40:YES)、ステップS50において、制御部9は、センサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、初期時間Tiniとして記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。この後、制御部9は、ステップS60の処理へと進む。
【0060】
ステップS60では、制御部9は、センサ25がONからOFFに変化したか否かを判断する。センサ25がOFFに変化はしていないと判断した場合(ステップS60:NO)、制御部9は、ステップS60の処理を繰り返す。
【0061】
センサ25がOFFに変化したと判断した場合(ステップS60:YES)、ステップS70において、制御部9は、このセンサ25がOFFに変化した時点の計測時間Tを、第1のON時間Ton1として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0062】
次いで、ステップS80において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS80:NO)、制御部9は、ステップS80の処理を繰り返す。
【0063】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS80:YES)、ステップS90において、制御部9は、このセンサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、第1のOFF時間Toff1として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0064】
次いで、ステップS100において、制御部9は、センサ25がONからOFFに変化したか否かを判断する。センサ25がOFFに変化はしていないと判断した場合(ステップS100:NO)、制御部9は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0065】
センサ25がOFFに変化したと判断した場合(ステップS100:YES)、ステップS110において、制御部9は、このセンサ25がOFFに変化した時点の計測時間Tを、第2のON時間Ton2として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0066】
次いで、ステップS120において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS120:NO)、制御部9は、ステップS120の処理を繰り返す。
【0067】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS120:YES)、ステップS130において、制御部9は、このセンサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、第2のOFF時間Toff2として記憶する。また、制御部9は、オフセットモータ26を停止させる。これにより、クランク22が回転を停止する。
【0068】
次いで、ステップS140において、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいか否かを判断する。具体的には、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2との差が閾値Th1未満であるか否かを判断する。
【0069】
初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいと判断した場合(ステップS140:YES)、ステップS150において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0070】
このステップS150の判定の理由について説明する。
【0071】
電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図9に示す位置にあり、センサ25はOFFになっている。したがって、この場合、図10のステップS30においてオフセットモータ26の駆動が開始される。オフセットモータ26の駆動が開始されてから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS50で記憶される初期時間Tiniとなる。すなわち、この初期時間Tiniは、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0072】
次いで、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0073】
次いで、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS90で第1のOFF時間Toff1として記憶される。第1のOFF時間Toff1は、この場合、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0074】
次いで、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、図9に示すように第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS110で第2のON時間Ton2として記憶される。第2のON時間Ton2は、この場合、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0075】
次いで、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS130で記憶される第2のOFF時間Toff2となる。第2のOFF時間Toff2は、この場合、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0076】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniおよび第2のOFF時間Toff2はともに、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなる時間である。よって、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくなる。後述するように、電源投入時の排紙トレイ2の位置が第3の用紙受取位置以外の場合では、この関係は成り立たない。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいと判断した場合(ステップS140:YES)、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS150)。
【0077】
電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS30においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1.5周する。このとき、排紙トレイ2は第1の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時とは異なる用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていたとしても、その印刷物に対してオフセットした排紙となる可能性が高い。よって、制御部9は、ステップS150の判定後、オフセットモータ26を停止させたまま、初期化動作を終了する。
【0078】
ステップS140において、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはないと判断した場合(ステップS140:NO)、図11のステップS160において、制御部9は、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しいか否かを判断する。具体的には、制御部9は、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2との差が閾値Th2未満であるか否かを判断する。
【0079】
第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しいと判断した場合(ステップS160:YES)、ステップS170において、制御部9は、第1のOFF時間Toff1を第2のOFF時間Toff2で除した値が閾値Th3未満(Toff1/Toff2<Th3)であるか否かを判断する。閾値Th3は、1より小さく、0に近い値である。Toff1/Toff2<Th3であると判断した場合(ステップS170:YES)、ステップS180において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0080】
このステップS180の判定の理由について説明する。
【0081】
電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図7に示す位置にあり、センサ25はONになっている。したがって、この場合、図10のステップS20でオフセットモータ26の駆動が開始され、初期時間Tiniとして「0」が記憶される。
【0082】
オフセットモータ26の駆動が開始されると、この駆動開始から、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0083】
以降、ステップS90で記憶される第1のOFF時間Toff1、ステップS110で記憶される第2のON時間Ton2、ステップS130で記憶される第2のOFF時間Toff2はいずれも、前述した、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されている場合と同様の時間である。すなわち、第1のOFF時間Toff1は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。また、第2のON時間Ton2は、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。また、第2のOFF時間Toff2は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0084】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniは「0」とされるため、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはならない。第1の被検出板23と第2の被検出板24とは略同じ長さに形成されているので、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2は略等しくなる。第1のOFF時間Toff1は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間であり、第2のOFF時間Toff2は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。このため、Toff1/Toff2の値は、0に近い小さな値となる。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはなく(ステップS140:NO)、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しく(ステップS160:YES)、Toff1/Toff2<Th3である(ステップS170:YES)と判断した場合、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS180)。
【0085】
電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS10においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1周する。このとき、排紙トレイ2は第1の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時と同じ用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていると、その印刷物に対してオフセットされない排紙となり、異なる単位の印刷物の混同が生じる可能性が高い。
【0086】
そこで、ステップS180の判定後、ステップS190において、制御部9は、排紙トレイ2を第2の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、まず、オフセットモータ26の駆動を開始させる。そして、センサ25がONからOFFに変化した後、再度ONに変化した時点で、オフセットモータ26を停止させる。これにより、第1および第2の被検出板23,24は、図7に示す位置から図8に示す位置へと移動する。これに応じて、排紙トレイ2は、第1の用紙受取位置から第2の用紙受取位置へと移動する。
【0087】
ステップS170において、Toff1/Toff2≧Th3であると判断した場合(ステップS170:NO)、ステップS200において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0088】
このステップS200の判定の理由について説明する。
【0089】
電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図8に示す位置にあり、センサ25はONになっている。したがって、この場合、ステップS20でオフセットモータ26の駆動が開始され、初期時間Tiniとして「0」が記憶される。
【0090】
オフセットモータ26の駆動が開始されると、この駆動開始から、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0091】
次いで、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS90で第1のOFF時間Toff1となる。第1のOFF時間Toff1は、この場合、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0092】
次いで、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS110で第2のON時間Ton2として記憶される。第2のON時間Ton2は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0093】
次いで、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS130で第2のOFF時間Toff2として記憶される。第2のOFF時間Toff2は、この場合、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0094】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniは「0」とされるため、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはならない。第1の被検出板23と第2の被検出板24とは略同じ長さに形成されているので、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2は略等しくなる。第1のOFF時間Toff1は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間であり、第2のOFF時間Toff2は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。このため、Toff1/Toff2の値は、1より大きな値となる。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはなく(ステップS140:NO)、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しく(ステップS160:YES)、Toff1/Toff2≧Th3である(ステップS170:NO)と判断した場合、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS200)。
【0095】
電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS10においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1周する。このとき、排紙トレイ2は第2の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時と同じ用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていると、その印刷物に対してオフセットされない排紙となり、異なる単位の印刷物の混同が生じる可能性が高い。
【0096】
そこで、ステップS200の判定後、ステップS210において、制御部9は、排紙トレイ2を第3の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、まず、オフセットモータ26の駆動を開始させる。そして、センサ25がONからOFFに変化した時点で、オフセットモータ26を停止させる。これにより、第1および第2の被検出板23,24は、図8に示す位置から図9に示す位置へと移動する。これに応じて、排紙トレイ2は、第2の用紙受取位置から第3の用紙受取位置へと移動する。
【0097】
第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しくはないと判断した場合(ステップS160:NO)、ステップS220において、制御部9は、電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置であったと判定する。異常位置は、第1〜第3の用紙受取位置のいずれとも異なる位置である。例えば、排紙トレイ2が、電源遮断中に外部からの力を受けることにより、異常位置に移動してしまうことがある。
【0098】
次いで、ステップS230において、制御部9は、排紙トレイ2の用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を表示部8に表示させる。
【0099】
図12は、通知画面の一例を示す図である。図12に示すように、通知画面40は、排紙トレイ2の用紙を取り除くようユーザに指示するメッセージ41と、排紙トレイ2から用紙を取り除いたことの確認を受け付けるための確認ボタン42とが表示される。ユーザは、排紙トレイ2から用紙を取り除くと、確認ボタン42を押下する操作を行う。
【0100】
電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置である場合、排紙装置1は、初期化動作で第1〜第3の用紙受取位置のどれに排紙トレイ2を配置すれば、初期化動作直後の排紙動作において排紙される印刷物と排紙トレイ2上の印刷物との混同を回避できるか判断できない。このため、排紙装置1は、排紙トレイ2から用紙を取り除かせるために通知画面40を表示させる。
【0101】
次いで、ステップS240において、制御部9は、確認ボタン42が押下されたか否かを判断する。確認ボタン42が押下されていないと判断した場合(ステップS240:NO)、制御部9は、ステップS240の処理を繰り返す。
【0102】
確認ボタン42が押下されたと判断した場合(ステップS240:YES)、ステップS250において、制御部9は、排紙トレイ2を第1〜第3の用紙受取位置のいずれかへと移動させる。ここで、制御部9は、初期時間Tini、第1のON時間Ton1、第2のON時間Ton2、第1のOFF時間Toff1、第2のOFF時間Toff2から、電源投入時における第1および第2の被検出板23,24の位置を判断する。そして、制御部9は、オフセットモータ26を駆動させ、センサ25の検出出力を用いて、排紙トレイ2を異常位置から第1〜第3の用紙受取位置のいずれかに配置させる。以上により、制御部9は、初期化動作を終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態の排紙装置1では、制御部9が電源投入時の初期化動作において、排紙トレイ2の位置判定処理を行う。具体的には、制御部9は、クランク22を回転させ、センサ25で検出される第1および第2の被検出板23,24の有無の変化、およびこの変化に要する時間(Tini,Ton1,Ton2,Toff1,Toff2)を用いて、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する。これにより、排紙装置1は、電源遮断時の排紙トレイ2の位置を示す情報を記憶しておかなくとも、電源投入時における排紙トレイ2の位置が、第1〜第3の用紙受取位置のいずれであるかを把握できる。また、排紙装置1は、電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置であることも把握可能である。すなわち、排紙装置1は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイ2の位置を把握可能である。
【0104】
また、制御部9は、初期化動作において、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイ2を配置させる。これにより、排紙装置1は、初期化動作直後の排紙動作において、直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていても、その印刷物に対してオフセットした位置に用紙を排紙できる。この結果、異なる単位の印刷物の混同を防止できる。
【0105】
また、制御部9は、位置判定処理の結果、排紙トレイ2の位置が異常位置であった場合、通知画面40を表示部8に表示させる。例えば、電源遮断中に外部からの力を受けて、排紙トレイ2が異常位置に移動しているおそれがある。このような場合に、排紙装置1では、電源投入時において排紙トレイ2が異常位置にあると判定し、通知画面40により、ユーザに排紙トレイ2上の印刷物を取り除かせることができる。この結果、初期化動作直後の排紙動作において排紙される印刷物と排紙トレイ2上の印刷物との混同を回避できる。
【0106】
なお、本実施の形態では、電源投入時の初期化動作について説明したが、これ以外のタイミングで初期化動作を行ってもよい。
【0107】
また、本実施の形態では、3段階のオフセット排紙について説明したが、オフセット排紙の段階数はこれに限らない。例えば、クランク22に3つの被検出板を設置して4段階のオフセット排紙を実現する排紙装置や、1つの被検出板を設置して2段階のオフセット排紙を実現する排紙装置においても、本発明は適用可能である。
【0108】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0109】
1 排紙装置
2 排紙トレイ
3 排紙トレイ取付板
4 オフセット機構部
5 排紙ローラ
6 排紙モータ
7 入力部
8 表示部
9 制御部
11 長穴
21 駆動部
22 クランク
23 第1の被検出板
24 第2の被検出板
25 センサ
26 オフセットモータ
31 ウォームホイール
32 シャフト
40 通知画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット排紙機能を有する排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置において、オフセット排紙機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。オフセット排紙機能は、排紙される印刷物を、ジョブ等の単位ごとに位置をずらして積層させることで区切りを設ける機能である。
【0003】
オフセット排紙機能を実現するために、用紙が積載される排紙トレイが、用紙の排出方向に対して直交する方向に離間した複数の用紙受取位置の間で移動可能な排紙装置が知られている。
【0004】
このような排紙装置において、電源が投入された際、複数の用紙受取位置のうちの1つである基準位置に排紙トレイを配置する初期化動作を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−70708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、初期化動作で排紙トレイを基準位置に配置する排紙装置では、初期化動作後(電源投入後)の最初の印刷物は、基準位置に配置された排紙トレイに排紙される。このため、電源遮断前の最後の印刷物が、基準位置に配置された排紙トレイに排紙されており、そのまま排紙トレイ上に残されていた場合、その印刷物に対して、初期化動作後の最初の印刷物がオフセットされずに排紙されることになる。すなわち、オフセット排紙機能の使用を選択しているにもかかわらず、異なる単位の印刷物が混同されてしまうことがあった。
【0007】
電源投入時における用紙受取位置を排紙装置が把握できれば、上述のような印刷物の混同を回避するための処置が可能となる。電源投入時における用紙受取位置を把握するために、例えば、排紙装置が、電源遮断前の最後の排紙動作における用紙受取位置を示す情報を、電源投入時まで記憶しておくことが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような情報を記憶するためには、記憶媒体の容量を消費する。特に、高速多枚数の印刷装置においては、各種の処理のために記憶媒体の容量を効率的に使用することが求められる。このような場合、上記のように用紙受取位置を示す情報の記憶のために記憶媒体の容量を使用することは望ましくない。したがって、排紙装置は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握できることが望ましい。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、排紙トレイを移動させてオフセット排紙機能を実現する排紙装置において、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る排紙装置の第1の特徴は、用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイを移動させるクランクと、前記クランクを回転させる駆動部と、前記クランクに、1または2以上の間隔をあけて設けられた被検出板と、前記クランクの回転に伴い、前記被検出板と前記間隔とが交互に通過する固定位置に配置され、前記被検出板の有無を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を用いて前記駆動部を制御することで、前記排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、前記制御部は、所定のタイミングから、前記駆動部により前記クランクを回転させ、前記検出部で検出される前記被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、前記所定のタイミングにおける前記排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行うことにある。
【0011】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴は、前記制御部は、前記位置判定処理後、その結果が示す前記排紙トレイの用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に前記排紙トレイを配置するよう前記駆動部を制御することにある。
【0012】
本発明に係る排紙装置の第3の特徴は、表示部をさらに備え、前記制御部は、前記位置判定処理の結果、前記排紙トレイの位置が、前記複数の用紙受取位置とは異なる異常位置であった場合、前記排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を前記表示部に表示させることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る排紙装置の第1の特徴によれば、制御部が、クランクを回転させ、検出部で検出される被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、排紙トレイの用紙受取位置を判定する。これにより、排紙装置は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイの位置を把握可能である。
【0014】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴によれば、制御部が、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイを配置させる。これにより、印刷装置は、排紙トレイに残された印刷物に対してオフセットした位置に用紙を排紙できる。この結果、異なる単位の印刷物の混同を防止できる。
【0015】
本発明に係る排紙装置の第3の特徴によれば、制御部は、位置判定処理の結果、排紙トレイの位置が異常位置であった場合、排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を表示部に表示させる。これにより、ユーザに排紙トレイ上の印刷物を取り除かせ、排紙される印刷物と排紙トレイ上の印刷物との混同を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る排紙装置の斜視図である。
【図2】排紙トレイを除いた排紙装置の斜視図である。
【図3】排紙トレイおよび排紙トレイ取付板を除いた排紙装置の斜視図である。
【図4】排紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】オフセット機構部の斜視図である。
【図6】オフセット機構部の斜視図である。
【図7】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図8】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図9】排紙トレイの用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板の位置を示す図である。
【図10】排紙装置の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】排紙装置の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る排紙装置の斜視図、図2は、排紙トレイを除いた排紙装置の斜視図、図3は、排紙トレイおよび排紙トレイ取付板を除いた排紙装置の斜視図、図4は、排紙装置の制御系の構成を示すブロック図、図5、図6は、オフセット機構部の斜視図である。以下の説明おける上下方向、左右方向、前後方向は、図1〜図3において示す上下方向、左右方向、前後方向を示すものとする。
【0020】
図1〜図4に示すように、本実施の形態に係る排紙装置1は、排紙トレイ2と、排紙トレイ取付板3と、オフセット機構部4と、排紙ローラ5と、排紙モータ6と、入力部7と、表示部8と、制御部9とを備える。
【0021】
排紙トレイ2は、印刷済みの用紙が積載されるものである。排紙トレイ2は、排紙装置1が設置される印刷装置の左側に配置されている。排紙トレイ2には、右側から左側に向かって用紙が送り出される。排紙トレイ2の右側端部は、左側端部よりも下方に配置されている。すなわち、排紙トレイ2は、傾斜している。排紙トレイ2の上面は、略平面状に形成されている。これにより、排紙された用紙は、排紙トレイ2から飛び出さず、排紙トレイ2の上面に沿って右側に滑落する。排紙トレイ2は、前後方向(オフセット方向)に移動可能になっている。
【0022】
排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2が取り付けられるものである。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2とともに前後方向に移動する。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2よりひと回り小さな板状に形成されている。排紙トレイ取付板3は、排紙トレイ2の下面に配置されている。排紙トレイ取付板3は、長穴11を有する。長穴11は、左右方向に細長い長円形状の貫通穴である。長穴11には、後述するクランク22のシャフト32が挿通される。これにより、排紙トレイ取付板3は、クランク22の回転の動きを、前後方向の直線的な動きに変換する。これにより、排紙トレイ取付板3は、前後方向に移動する。
【0023】
オフセット機構部4は、オフセット排紙機能を実現するために、排紙トレイ取付板3とともに排紙トレイ2を前後方向に移動させる。図5、図6に示すように、オフセット機構部4は、駆動部21と、クランク22と、第1および第2の被検出板23,24と、センサ25とを備える。ここで、図5は、表側(右上側)から見たオフセット機構部4を示し、図6は、裏側(左下側)から見たオフセット機構部4を示している。
【0024】
駆動部21は、クランク22を回転させる。駆動部21は、オフセットモータ26と、ベルト27と、ウォーム28とを備える。
【0025】
オフセットモータ26は、クランク22を回転させるための駆動力を発生する。オフセットモータ26は、一方向にのみ回転可能なモータからなる。オフセットモータ26は、出力軸29を有する。出力軸29は、ベルト27に駆動力を伝達する。
【0026】
ベルト27は、オフセットモータ26の駆動力をウォーム28へと伝達する。ベルト27は、オフセットモータ26の出力軸29とウォーム28との間に掛け渡されている。
【0027】
ウォーム28は、ベルト27により伝達されたオフセットモータ26の駆動力をクランク22へと伝達するものである。
【0028】
クランク22は、排紙トレイ取付板3とともに排紙トレイ2を前後方向に移動させるものである。クランク22は、ウォームホイール31と、シャフト32とを有する。
【0029】
ウォームホイール31は、ベルト27およびウォーム28を介して伝達されるオフセットモータ26の駆動力により、中心軸33を中心として回転する。
【0030】
シャフト32は、排紙トレイ取付板3にウォームホイール31の動きを伝達するものである。シャフト32は、ウォームホイール31の表面31aに立設されている。ウォームホイール31の表面31aは、排紙トレイ取付板3に対向する面である。シャフト32は、ウォームホイール31の中心軸33から離間して配置されている。シャフト32は、排紙トレイ取付板3の長穴11に挿通されている。これにより、ウォームホイール31が回転したとき、長穴11の長手方向のシャフト32の動きは、排紙トレイ取付板3に伝わらず、長穴11の短手方向(前後方向)のシャフト32の動きが排紙トレイ取付板3に伝達される。したがって、ウォームホイール31が回転すると、排紙トレイ取付板3は前後方向に往復動作する。このような機構により、一方向にのみ回転可能なオフセットモータ26で、前後の両方向への排紙トレイ2の移動を実現している。
【0031】
第1および第2の被検出板23,24は、制御部9が排紙トレイ2の位置を制御するために設けられているものである。第1および第2の被検出板23,24は、ウォームホイール31の裏面31bに立設されている。第1および第2の被検出板23,24は、ウォームホイール31と同心の円弧形状に湾曲した板部材からなる。第1および第2の被検出板23,24はそれぞれ、円周の約4分の1の長さに形成されている。第1および第2の被検出板23,24は、狭い隙間をあけて隣接して配置されている。第1および第2の被検出板23,24の間の隙間(間隔)は、その隙間でセンサ25がOFFとなる大きさがあればよい。
【0032】
センサ25は、検出対象位置における第1および第2の被検出板23,24の有無を検出する。センサ25は、ウォームホイール31の裏面31b側の固定位置に配置されている。クランク22が回転すると、被検出板23,24とそれらの間の空間(間隔)が交互にセンサ25の検出対象位置を通過する。センサ25は、検出対象位置に、第1の被検出板23または第2の被検出板24が存在するときにはON信号を出力し、第1の被検出板23も第2の被検出板24も存在しないときにはOFF信号を出力する。センサ25は、例えば、光学式のセンサからなる。センサ25は、請求項の検出部に相当する。
【0033】
排紙ローラ5は、印刷装置によって搬送されてきた印刷済みの用紙を排紙トレイ2へと送り出すものである。排紙ローラ5は、排紙トレイ2の右側に配置されている。
【0034】
排紙モータ6は、排紙ローラ5を回転駆動させるものである。
【0035】
入力部7は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部7は、操作ボタン、タッチパネル等を有する。入力部7は、排紙装置1が設置される印刷装置に対する入力操作も受け付ける。
【0036】
表示部8は、各種の画面等を表示するものである。表示部8は、液晶表示パネル等からなる。表示部8は、排紙装置1が設置される印刷装置に関する各種の画面等も表示する。
【0037】
制御部9は、排紙装置1の各部の動作を制御する。制御部9は、排紙装置1が設置される印刷装置全体の動作も制御する。制御部9は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0038】
制御部9は、オフセット排紙機能の使用時において、センサ25の検出結果を用いて駆動部21のオフセットモータ26を制御することで、排紙トレイ2を複数の用紙受取位置の間で移動させる。用紙受取位置は、排紙トレイ2が用紙を受け取る際の前後方向における位置である。本実施の形態の排紙装置1は、第1および第2の被検出板23,24の2つを備えることにより、3段階のオフセット排紙が可能な構成である。すなわち、排紙装置1では、前後方向に離間した3つの用紙受取位置が設定されている。
【0039】
また、制御部9は、電源投入時において、初期化動作を実行する。初期化動作において、制御部9は、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する位置判定処理を行う。具体的には、制御部9は、電源が投入されると、オフセットモータ26によりクランク22を回転させ、センサ25で検出される第1および第2の被検出板23,24の有無の変化、およびこの変化に要する時間を用いて、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する。そして、制御部9は、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイ2を配置するよう駆動部21を制御する。
【0040】
次に、排紙装置1の動作について説明する。
【0041】
排紙装置1が設置される印刷装置で印刷が行われると、制御部9は、排紙モータ6により排紙ローラ5を駆動させる。これにより、排紙ローラ5は、印刷装置から搬送されてくる印刷済みの用紙を排紙トレイ2へと送り出す。これにより、用紙は、排紙トレイ2上に積載される。
【0042】
排紙装置1では、オフセット排紙機能が使用可能である。ユーザは、入力部7を操作して、オフセット排紙機能の使用を選択指示できる。オフセット排紙機能の使用が指示されている場合、制御部9は、ジョブ等の所定の単位ごとに、排紙トレイ2の用紙受取位置を変更させるオフセット処理を行う。
【0043】
オフセット処理について説明する。まず、センサ25による第1および第2の被検出板23,24の検出状態と排紙トレイ2の用紙受取位置との関係について説明する。図7〜図9は、排紙トレイ2の第1〜第3の用紙受取位置に対応する第1および第2の被検出板23,24の位置を示す図である。図7〜図9は、ウォームホイール31の裏面31b側から見た第1および第2の被検出板23,24とセンサ25との位置関係を模式的に示している。ウォームホイール31は、裏面31b側から見て反時計回りに回転する。このため、第1および第2の被検出板23,24は、図7〜図9に矢印で示す方向に移動する。
【0044】
図7は、第1および第2の被検出板23,24のうち回転方向における前側にある第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示すように、最も前側に位置する。そして、このとき、排紙トレイ2は、図1に実線で示す第1の用紙受取位置に配置される。第1の用紙受取位置は、第1〜第3の用紙受取位置のなかで最も前側にあり、排紙トレイ2の基準位置である。オフセット排紙機能が使用されない場合、排紙トレイ2は、基準位置である第1の用紙受取位置に配置される。
【0045】
図8は、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示す位置から略90°回転した位置にある。そして、このとき、排紙トレイ2は、第2の用紙受取位置に配置される。第2の用紙受取位置は、第1の用紙受取位置と第3の用紙受取位置の間にある。
【0046】
図9は、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達し、センサ25がONからOFFに変化する時点の状態を示している。このとき、クランク22のシャフト32は、図3に示す位置から略180°回転した位置にある。そして、このとき、排紙トレイ2は、図1に破線で示す第3の用紙受取位置に配置される。第3の用紙受取位置は、クランク22が回転したときのシャフト32の軌跡の円の直径に相当する距離だけ、第1の用紙受取位置から後方向に離間した位置である。
【0047】
以上のように第1および第2の被検出板23,24の位置と第1〜第3の用紙受取位置とが対応している。このため、制御部9は、センサ25の検出結果を用いてオフセットモータ26を制御することで、排紙トレイ2を第1〜第3の用紙受取位置の間で移動させることができる。
【0048】
排紙装置1の電源がONである間は、制御部9は、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1〜第3の用紙受取位置のいずれであったか示す情報を記憶している。例えば、オフセット排紙機能の使用時において、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1の用紙受取位置であったとする。この場合、第1および第2の被検出板23,24は、図7に示す位置にある。
【0049】
これに対し、次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第2の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図7のように、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はONである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25を通過した時点で、センサ25がOFFとなる。その後、図8のように、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達し、センサ25がOFFからONに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第2の用紙受取位置で停止する。この結果、第1の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0050】
さらに次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第3の用紙受取位置へと移動させるために、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図8のように、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はONである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、図9のように、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25を通過した時点で、センサ25がONからOFFに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第3の用紙受取位置で停止する。この結果、第2の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0051】
さらに次の単位の印刷の用紙の排紙トレイ2への排紙開始の際、制御部9は、排紙トレイ2を第1の用紙受取位置へと移動させるために、オフセットモータ26の駆動を開始させる。この駆動開始時点では、図9のように、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達した位置にあり、センサ25はOFFである。オフセットモータ26の駆動によりクランク22が回転すると、図7のように、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達した時点で、センサ25がOFFからONに変化する。この時点で、排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に到達している。このため、制御部9は、この時点でオフセットモータ26を停止させる。これにより、排紙トレイ2が第1の用紙受取位置で停止する。この結果、第3の用紙受取位置にあった排紙トレイ2に排紙された印刷物に対し、オフセットして用紙が積載される。
【0052】
このようなオフセット処理により、排紙トレイ2上に印刷物が印刷の単位ごとに位置がずれるように積層され、印刷物の区切りが形成される。
【0053】
排紙装置1の電源が遮断されると、制御部9は、直近の排紙動作時の排紙トレイ2の位置が第1〜第3の用紙受取位置のいずれであったか示す情報は記憶せず、その後の電源投入時の初期化動作において、排紙トレイ2の位置判定処理を行う。なお、排紙装置1の電源は、排紙装置1が設置される印刷装置の電源と共通である。
【0054】
排紙装置1の電源投入時の初期化動作について説明する。図10、図11は、排紙装置1の電源投入時の初期化動作を説明するためのフローチャートである。
【0055】
電源が投入されると、図10のステップS10において、制御部9は、センサ25がONであるか否かを判断する。
【0056】
センサ25がONであると判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS20において、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させる。これにより、クランク22が回転を開始する。制御部9は、クランク22が一定速度で回転するようオフセットモータ26を駆動制御する。また、制御部9は、内蔵のタイマ(図示せず)により、オフセットモータ26の駆動開始から計測時間Tの計測を開始する。また、制御部9は、「0」を初期時間Tiniとして記憶する。この後、制御部9は、ステップS60の処理へと進む。
【0057】
ステップS10でセンサ25がOFFであると判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS30において、制御部9は、オフセットモータ26の駆動を開始させることによりクランク22の回転を開始させる。また、制御部9は、オフセットモータ26の駆動開始から計測時間Tの計測を開始する。
【0058】
次いで、ステップS40において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS40:NO)、制御部9は、ステップS40の処理を繰り返す。
【0059】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS40:YES)、ステップS50において、制御部9は、センサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、初期時間Tiniとして記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。この後、制御部9は、ステップS60の処理へと進む。
【0060】
ステップS60では、制御部9は、センサ25がONからOFFに変化したか否かを判断する。センサ25がOFFに変化はしていないと判断した場合(ステップS60:NO)、制御部9は、ステップS60の処理を繰り返す。
【0061】
センサ25がOFFに変化したと判断した場合(ステップS60:YES)、ステップS70において、制御部9は、このセンサ25がOFFに変化した時点の計測時間Tを、第1のON時間Ton1として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0062】
次いで、ステップS80において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS80:NO)、制御部9は、ステップS80の処理を繰り返す。
【0063】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS80:YES)、ステップS90において、制御部9は、このセンサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、第1のOFF時間Toff1として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0064】
次いで、ステップS100において、制御部9は、センサ25がONからOFFに変化したか否かを判断する。センサ25がOFFに変化はしていないと判断した場合(ステップS100:NO)、制御部9は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0065】
センサ25がOFFに変化したと判断した場合(ステップS100:YES)、ステップS110において、制御部9は、このセンサ25がOFFに変化した時点の計測時間Tを、第2のON時間Ton2として記憶する。そして、制御部9は、計測時間Tを「0」にリセットし、この時点からの計測時間Tの計測を開始する。
【0066】
次いで、ステップS120において、制御部9は、センサ25がOFFからONに変化したか否かを判断する。センサ25がONに変化はしていないと判断した場合(ステップS120:NO)、制御部9は、ステップS120の処理を繰り返す。
【0067】
センサ25がONに変化したと判断した場合(ステップS120:YES)、ステップS130において、制御部9は、このセンサ25がONに変化した時点の計測時間Tを、第2のOFF時間Toff2として記憶する。また、制御部9は、オフセットモータ26を停止させる。これにより、クランク22が回転を停止する。
【0068】
次いで、ステップS140において、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいか否かを判断する。具体的には、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2との差が閾値Th1未満であるか否かを判断する。
【0069】
初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいと判断した場合(ステップS140:YES)、ステップS150において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0070】
このステップS150の判定の理由について説明する。
【0071】
電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図9に示す位置にあり、センサ25はOFFになっている。したがって、この場合、図10のステップS30においてオフセットモータ26の駆動が開始される。オフセットモータ26の駆動が開始されてから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS50で記憶される初期時間Tiniとなる。すなわち、この初期時間Tiniは、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0072】
次いで、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0073】
次いで、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS90で第1のOFF時間Toff1として記憶される。第1のOFF時間Toff1は、この場合、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0074】
次いで、第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、図9に示すように第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS110で第2のON時間Ton2として記憶される。第2のON時間Ton2は、この場合、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0075】
次いで、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS130で記憶される第2のOFF時間Toff2となる。第2のOFF時間Toff2は、この場合、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0076】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniおよび第2のOFF時間Toff2はともに、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなる時間である。よって、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくなる。後述するように、電源投入時の排紙トレイ2の位置が第3の用紙受取位置以外の場合では、この関係は成り立たない。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しいと判断した場合(ステップS140:YES)、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS150)。
【0077】
電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS30においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1.5周する。このとき、排紙トレイ2は第1の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時とは異なる用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていたとしても、その印刷物に対してオフセットした排紙となる可能性が高い。よって、制御部9は、ステップS150の判定後、オフセットモータ26を停止させたまま、初期化動作を終了する。
【0078】
ステップS140において、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはないと判断した場合(ステップS140:NO)、図11のステップS160において、制御部9は、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しいか否かを判断する。具体的には、制御部9は、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2との差が閾値Th2未満であるか否かを判断する。
【0079】
第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しいと判断した場合(ステップS160:YES)、ステップS170において、制御部9は、第1のOFF時間Toff1を第2のOFF時間Toff2で除した値が閾値Th3未満(Toff1/Toff2<Th3)であるか否かを判断する。閾値Th3は、1より小さく、0に近い値である。Toff1/Toff2<Th3であると判断した場合(ステップS170:YES)、ステップS180において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0080】
このステップS180の判定の理由について説明する。
【0081】
電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図7に示す位置にあり、センサ25はONになっている。したがって、この場合、図10のステップS20でオフセットモータ26の駆動が開始され、初期時間Tiniとして「0」が記憶される。
【0082】
オフセットモータ26の駆動が開始されると、この駆動開始から、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0083】
以降、ステップS90で記憶される第1のOFF時間Toff1、ステップS110で記憶される第2のON時間Ton2、ステップS130で記憶される第2のOFF時間Toff2はいずれも、前述した、電源投入時において排紙トレイ2が第3の用紙受取位置に配置されている場合と同様の時間である。すなわち、第1のOFF時間Toff1は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。また、第2のON時間Ton2は、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。また、第2のOFF時間Toff2は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0084】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniは「0」とされるため、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはならない。第1の被検出板23と第2の被検出板24とは略同じ長さに形成されているので、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2は略等しくなる。第1のOFF時間Toff1は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間であり、第2のOFF時間Toff2は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。このため、Toff1/Toff2の値は、0に近い小さな値となる。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはなく(ステップS140:NO)、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しく(ステップS160:YES)、Toff1/Toff2<Th3である(ステップS170:YES)と判断した場合、電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS180)。
【0085】
電源投入時において排紙トレイ2が第1の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS10においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1周する。このとき、排紙トレイ2は第1の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時と同じ用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていると、その印刷物に対してオフセットされない排紙となり、異なる単位の印刷物の混同が生じる可能性が高い。
【0086】
そこで、ステップS180の判定後、ステップS190において、制御部9は、排紙トレイ2を第2の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、まず、オフセットモータ26の駆動を開始させる。そして、センサ25がONからOFFに変化した後、再度ONに変化した時点で、オフセットモータ26を停止させる。これにより、第1および第2の被検出板23,24は、図7に示す位置から図8に示す位置へと移動する。これに応じて、排紙トレイ2は、第1の用紙受取位置から第2の用紙受取位置へと移動する。
【0087】
ステップS170において、Toff1/Toff2≧Th3であると判断した場合(ステップS170:NO)、ステップS200において、制御部9は、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたと判定する。
【0088】
このステップS200の判定の理由について説明する。
【0089】
電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されている場合、第1および第2の被検出板23,24は図8に示す位置にあり、センサ25はONになっている。したがって、この場合、ステップS20でオフセットモータ26の駆動が開始され、初期時間Tiniとして「0」が記憶される。
【0090】
オフセットモータ26の駆動が開始されると、この駆動開始から、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS70で第1のON時間Ton1として記憶される。第1のON時間Ton1は、この場合、第2の被検出板24によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0091】
次いで、第2の被検出板24の後端24bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図7に示すように第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS90で第1のOFF時間Toff1となる。第1のOFF時間Toff1は、この場合、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0092】
次いで、第1の被検出板23の先端23aがセンサ25に到達してセンサ25がONになってから、後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになるまでの時間が、ステップS110で第2のON時間Ton2として記憶される。第2のON時間Ton2は、この場合、第1の被検出板23によりセンサ25がONとなっている時間である。
【0093】
次いで、第1の被検出板23の後端23bがセンサ25に到達してセンサ25がOFFになってから、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになるまでの時間が、ステップS130で第2のOFF時間Toff2として記憶される。第2のOFF時間Toff2は、この場合、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。
【0094】
上述のように、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたとすれば、初期時間Tiniは「0」とされるため、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはならない。第1の被検出板23と第2の被検出板24とは略同じ長さに形成されているので、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2は略等しくなる。第1のOFF時間Toff1は、第2の被検出板24の後端24bと第1の被検出板23の先端23aとの間の空間によりセンサ25がOFFとなっている時間であり、第2のOFF時間Toff2は、第1の被検出板23の後端23bと第2の被検出板24の先端24aとの間の隙間によりセンサ25がOFFとなっている時間である。このため、Toff1/Toff2の値は、1より大きな値となる。したがって、制御部9は、初期時間Tiniと第2のOFF時間Toff2とが略等しくはなく(ステップS140:NO)、第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しく(ステップS160:YES)、Toff1/Toff2≧Th3である(ステップS170:NO)と判断した場合、電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていたと判定する(ステップS200)。
【0095】
電源投入時において排紙トレイ2が第2の用紙受取位置に配置されていた場合、ステップS130でオフセットモータ26が停止されるのは、図8に示すように第2の被検出板24の先端24aがセンサ25に到達してセンサ25がONになったときである。すなわち、図10のステップS10においてオフセットモータ26の駆動が開始されてからステップS130でオフセットモータ26が停止されるまでに、クランク22は1周する。このとき、排紙トレイ2は第2の用紙受取位置に配置されている。すなわち、排紙トレイ2が電源投入時と同じ用紙受取位置にある。したがって、このまま排紙動作が行われれば、電源投入時に直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていると、その印刷物に対してオフセットされない排紙となり、異なる単位の印刷物の混同が生じる可能性が高い。
【0096】
そこで、ステップS200の判定後、ステップS210において、制御部9は、排紙トレイ2を第3の用紙受取位置へと移動させる。具体的には、制御部9は、まず、オフセットモータ26の駆動を開始させる。そして、センサ25がONからOFFに変化した時点で、オフセットモータ26を停止させる。これにより、第1および第2の被検出板23,24は、図8に示す位置から図9に示す位置へと移動する。これに応じて、排紙トレイ2は、第2の用紙受取位置から第3の用紙受取位置へと移動する。
【0097】
第1のON時間Ton1と第2のON時間Ton2とが略等しくはないと判断した場合(ステップS160:NO)、ステップS220において、制御部9は、電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置であったと判定する。異常位置は、第1〜第3の用紙受取位置のいずれとも異なる位置である。例えば、排紙トレイ2が、電源遮断中に外部からの力を受けることにより、異常位置に移動してしまうことがある。
【0098】
次いで、ステップS230において、制御部9は、排紙トレイ2の用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を表示部8に表示させる。
【0099】
図12は、通知画面の一例を示す図である。図12に示すように、通知画面40は、排紙トレイ2の用紙を取り除くようユーザに指示するメッセージ41と、排紙トレイ2から用紙を取り除いたことの確認を受け付けるための確認ボタン42とが表示される。ユーザは、排紙トレイ2から用紙を取り除くと、確認ボタン42を押下する操作を行う。
【0100】
電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置である場合、排紙装置1は、初期化動作で第1〜第3の用紙受取位置のどれに排紙トレイ2を配置すれば、初期化動作直後の排紙動作において排紙される印刷物と排紙トレイ2上の印刷物との混同を回避できるか判断できない。このため、排紙装置1は、排紙トレイ2から用紙を取り除かせるために通知画面40を表示させる。
【0101】
次いで、ステップS240において、制御部9は、確認ボタン42が押下されたか否かを判断する。確認ボタン42が押下されていないと判断した場合(ステップS240:NO)、制御部9は、ステップS240の処理を繰り返す。
【0102】
確認ボタン42が押下されたと判断した場合(ステップS240:YES)、ステップS250において、制御部9は、排紙トレイ2を第1〜第3の用紙受取位置のいずれかへと移動させる。ここで、制御部9は、初期時間Tini、第1のON時間Ton1、第2のON時間Ton2、第1のOFF時間Toff1、第2のOFF時間Toff2から、電源投入時における第1および第2の被検出板23,24の位置を判断する。そして、制御部9は、オフセットモータ26を駆動させ、センサ25の検出出力を用いて、排紙トレイ2を異常位置から第1〜第3の用紙受取位置のいずれかに配置させる。以上により、制御部9は、初期化動作を終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態の排紙装置1では、制御部9が電源投入時の初期化動作において、排紙トレイ2の位置判定処理を行う。具体的には、制御部9は、クランク22を回転させ、センサ25で検出される第1および第2の被検出板23,24の有無の変化、およびこの変化に要する時間(Tini,Ton1,Ton2,Toff1,Toff2)を用いて、電源投入時における排紙トレイ2の用紙受取位置を判定する。これにより、排紙装置1は、電源遮断時の排紙トレイ2の位置を示す情報を記憶しておかなくとも、電源投入時における排紙トレイ2の位置が、第1〜第3の用紙受取位置のいずれであるかを把握できる。また、排紙装置1は、電源投入時における排紙トレイ2の位置が異常位置であることも把握可能である。すなわち、排紙装置1は、事前の情報の記憶によらずに、排紙トレイ2の位置を把握可能である。
【0104】
また、制御部9は、初期化動作において、位置判定処理の結果が示す用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に排紙トレイ2を配置させる。これにより、排紙装置1は、初期化動作直後の排紙動作において、直近に排紙された印刷物が排紙トレイ2に残されていても、その印刷物に対してオフセットした位置に用紙を排紙できる。この結果、異なる単位の印刷物の混同を防止できる。
【0105】
また、制御部9は、位置判定処理の結果、排紙トレイ2の位置が異常位置であった場合、通知画面40を表示部8に表示させる。例えば、電源遮断中に外部からの力を受けて、排紙トレイ2が異常位置に移動しているおそれがある。このような場合に、排紙装置1では、電源投入時において排紙トレイ2が異常位置にあると判定し、通知画面40により、ユーザに排紙トレイ2上の印刷物を取り除かせることができる。この結果、初期化動作直後の排紙動作において排紙される印刷物と排紙トレイ2上の印刷物との混同を回避できる。
【0106】
なお、本実施の形態では、電源投入時の初期化動作について説明したが、これ以外のタイミングで初期化動作を行ってもよい。
【0107】
また、本実施の形態では、3段階のオフセット排紙について説明したが、オフセット排紙の段階数はこれに限らない。例えば、クランク22に3つの被検出板を設置して4段階のオフセット排紙を実現する排紙装置や、1つの被検出板を設置して2段階のオフセット排紙を実現する排紙装置においても、本発明は適用可能である。
【0108】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0109】
1 排紙装置
2 排紙トレイ
3 排紙トレイ取付板
4 オフセット機構部
5 排紙ローラ
6 排紙モータ
7 入力部
8 表示部
9 制御部
11 長穴
21 駆動部
22 クランク
23 第1の被検出板
24 第2の被検出板
25 センサ
26 オフセットモータ
31 ウォームホイール
32 シャフト
40 通知画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積載される排紙トレイと、
前記排紙トレイを移動させるクランクと、
前記クランクを回転させる駆動部と、
前記クランクに、1または2以上の間隔をあけて設けられた被検出板と、
前記クランクの回転に伴い、前記被検出板と前記間隔とが交互に通過する固定位置に配置され、前記被検出板の有無を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を用いて前記駆動部を制御することで、前記排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、
前記制御部は、所定のタイミングから、前記駆動部により前記クランクを回転させ、前記検出部で検出される前記被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、前記所定のタイミングにおける前記排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行うことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置判定処理後、その結果が示す前記排紙トレイの用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に前記排紙トレイを配置するよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置判定処理の結果、前記排紙トレイの位置が、前記複数の用紙受取位置とは異なる異常位置であった場合、前記排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の排紙装置。
【請求項1】
用紙が積載される排紙トレイと、
前記排紙トレイを移動させるクランクと、
前記クランクを回転させる駆動部と、
前記クランクに、1または2以上の間隔をあけて設けられた被検出板と、
前記クランクの回転に伴い、前記被検出板と前記間隔とが交互に通過する固定位置に配置され、前記被検出板の有無を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を用いて前記駆動部を制御することで、前記排紙トレイを複数の用紙受取位置の間で移動させる制御部とを備え、
前記制御部は、所定のタイミングから、前記駆動部により前記クランクを回転させ、前記検出部で検出される前記被検出板の有無の変化およびこの変化に要する時間を用いて、前記所定のタイミングにおける前記排紙トレイの用紙受取位置を判定する位置判定処理を行うことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置判定処理後、その結果が示す前記排紙トレイの用紙受取位置とは異なる用紙受取位置に前記排紙トレイを配置するよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置判定処理の結果、前記排紙トレイの位置が、前記複数の用紙受取位置とは異なる異常位置であった場合、前記排紙トレイの用紙を取り除くようユーザに通知するための通知画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の排紙装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−71791(P2013−71791A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210299(P2011−210299)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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