説明

掘削モジュールおよび可搬式掘削装置ユニット

【課題】掘削機械の間隔を簡単かつフレキシブルに適合させることのできる掘削モジュールを提供する。
【解決手段】 複数の孔を構造部分に形成するための掘削モジュール11であって、複数の掘削機械31と、これを第1方向22に摺動させるための摺動装置21を有する基枠12と、を備えた該掘削モジュールにおいて、摺動装置21は、少なくとも1つの掘削機械を、第1方向と異なる第2方向23へと摺動可能に基枠12に取付けることができるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1前段に記載するタイプの、複数の孔を構造部分に形成するための掘削モジュールに関する。本発明はさらに、特にこのタイプの掘削モジュールを有する、運搬手段上に取り付けるための可搬式掘削装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
交通インフラストラクチャには、例えば道路、線路、橋、高架橋、トンネルなどといった建設物が含まれ、これらには、付加的な素子、例えば架線、ケーブル溝、スプリンクラ設置箇所、欄干、または胸壁などが取付けられなければならない。
【0003】
例えば、コンクリート道においては、付加的な素子として、側方に並ぶレーンの間に横ピン継手が設けられる。これらの横ピンは、作動中に、不規則なレーンの配置を防ぎ、およびこのためレーン間の高低差を防ぐ。この目的のため、第1レーンの形成後、側方に複数の互いに離間した孔が形成され、これらには、第2レーンの形成前に横ピンが差し込まれる。
【0004】
例えば橋や高架橋の天井などの再開発においては、しばしば、この構造部分の負担能力を高めるために、古いコンクリートに、新しいコンクリートの層を継ぎ足す。新旧のコンクリート間に一体的な連結を得るために、複数の一定間隔で並ぶ連結素子が設けられ、これらは、新しいコンクリートを打設する前に、事前に古いコンクリートに形成された複数の孔に係留される。
【0005】
特許文献1が記載する、構造部分に、一直線上に一定間隔で並ぶ孔を形成するための掘削モジュールは、複数の掘削機械と、掘削機械を第1方向へ長手方向支持体に沿って摺動させるための摺動装置を有する基枠とを備える。
【0006】
この既知の解法の欠点は、この掘削モジュールで構造部分に形成することができるのは、直線状に並ぶ孔から成る孔パターンのみであるという点にある。
【0007】
構造部分、例えば橋や高架橋などに固定可能な欄干またはガードレールは、複数の、互いに2方向に等間隔に離間する固定点を備える。したがって、これら素子を構造部分に固定するために、構造部分に複数の孔が形成され、これらの孔パターンおよび間隔は、固定すべき素子の固定点の形態と配置に対応する。固定すべき素子を構造部分に簡単に組み付け、不必要な緊張、およびこれに起因する固定すべき素子の破損を防ぐために、孔は精密に形成されなければならない。
【0008】
この目的のため、特許文献2が記載する可搬式掘削装置ユニットは、4つの互いに離間するスタンドにガイドされた掘削機械を有する掘削モジュールを備える。各掘削機械は、送り装置により構造部分に対し相対的に移動可能である。掘削機械のスタンドは、基枠に設けられ、この基枠は垂直方向に配置した支持枠を有し、この支持枠は、掘削機械を基枠に固定するためのそれぞれ互いに離間する固定開口を有する水平方向および垂直方向に配置された支持素子から構成される。基枠は、移動可能なシザーズジャッキ式作業昇降台上に取り付けられる。2つの掘削機械は、それぞれ互いに相対的に移動可能であるが、このためには、複数の固定ボルトを外して再び締め付けなければならない。
【0009】
この既知の解法の欠点は、掘削機械が、事前決定されたグリッドに従ってのみ移動可能であり、このグリッドは、固定開口の間隔で水平方向および垂直方向に配置された支持素子により規定される。掘削機械間の距離を第1方向にも第1方向と異なる第2方向にも変更するためには、例えば、まず、並んで取付けられた掘削機械が互いに移動させられ、続いて、垂直方向の、先に互いに移動させられた掘削機械を支持する支持素子が、互いに相対的に第2方向に移動させられなければならない。このため、掘削機械同士を配置調整するために、多大な時間と作業とが必要となる。
【0010】
既知の解法のさらなる欠点は、この可搬式掘削装置ユニットが、特別な仕様の固定装置を用いた場合にしか、運搬手段、例えばトロッコ、レールワゴン、または船などに取り付けることができない点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許出願第2196276(A)号明細書
【特許文献2】米国特許第4915549号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、掘削機械の間隔を簡単かつフレキシブルに適合させることのできる掘削モジュールを提供することにある。さらに本発明の課題は、簡単に運搬手段に配置することのできる、運搬手段に配置するための可搬式掘削装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項に記載する特徴より解決される。好適な実施形態については従属請求項に記載する。
【0014】
本発明によれば、摺動装置は、少なくとも1つの掘削機械を、第1方向と異なる第2方向へと褶動可能に基枠に取り付ける。
【0015】
少なくとも1つの掘削機械が双方向へ摺動可能であることで、簡単な方法で、1タイプの掘削モジュールを用いて、構造部分に異なる掘削パターンを形成することができる。ここで、摺動可能に、とは、移動が連続的に成され、このため少なくとも1つの掘削機械の、事前決定された終点の間における位置決めが、事前決定されたグリッドに規定されるものではないことを意味する。掘削装置が所望の位置に互いに配置されると、これらは締め付け装置、例えば締め付けねじなどによって、基枠に固定される。
【0016】
好適には、摺動装置は、少なくとも1つの掘削機械を前記第1方向および前記第2方向に褶動可能とする。この構成により、摺動装置は1つの部材から構成することができる。好適には、摺動装置は、摺動素子としてガイド連結溝を有し、このガイド連結溝に沿って少なくとも1つの掘削機械はガイドされて摺動可能であるものとする。ガイド連結溝は、少なくとも1つの掘削機械を簡単に摺動できるようにするために、好適には真直ぐ延在する。代替として、ガイド連結溝はカーブを伴って、または離散的に延在するものとしてもよい。
【0017】
好適には、双方向への摺動は、重ね合わさって成されるものとする。また、さらに好適には、少なくとも1つの掘削機械は時に第1および第2方向に摺動可能とする。摺動装置が摺動素子として連結溝を有する場合、少なくとも1つの掘削機械はこの連結溝に沿って案内されて摺動可能であり、この連結溝は、好適には、双方の方向に広がる平面上に、第1方向および第2方向にある角度を成して延在する。
【0018】
代替として、連結溝は、まず1つの方向に延在し、その後他の方向に延在するものとしてもよいし、また、1つの方向から他の方向への分岐点は、1つの方向に延在するガイド連結溝の終点の間に設けられるものとしても良い。
【0019】
好適には、摺動装置は、少なくとも1つの掘削機械を第1方向へ摺動可能させるための第1摺動素子と、少なくとも1つの掘削機械を第2方向へ摺動可能させるための第2摺動素子とを有する。この構成により、摺動装置は複数の部材から構成することができる。このとき、各摺動素子を一方向にのみ褶動可能に、または摺動素子の少なくとも1つを双方向褶動可能に基枠に取り付けるものとしても良い。
【0020】
好適には、掘削モジュールは掘削機械の掘削軸線に平行に延在する当接支持部材を備え、この当接支持部材は、掘削モジュールを基礎構造に調節配置した後で基礎構造に当接させるものとする。また特に好適には、この当接支持部材は、少なくとも基枠の各角に設けられる。さらに好適には、当接支持部材は複数の部材から入れ子式(望遠鏡のように順に嵌め込まれる様式)に構成される。また好適には、複数の部材から構成される当接支持部材ののうち少なくとも1つの部材が、当接支持部材の遊端方向にばね付勢されるものとする。この構成により、当接支持部材は、カーブを有する表面、例えばトンネルの曲面などにも、完全に基礎構造に当接するようになる。
【0021】
さらに好適には、掘削モジュールは、掘削機械の掘削軸線に平行に延在する中心ピンを備える。この中心ピンは、掘削モジュールを基礎構造に正確に調整配置するためのマーク点に配向され、これにより、孔を構造部分に精密に形成することができるよう保証する。好適には中心ピンは、各掘削機械の間の形成すべき孔パターンの中心に設けられる。特に好適には、中心ピンは複数の部材から入れ子式に構成される。また、複数の部材から構成される中心ピンの少なくとも1つの部材が、中心ピンの遊端方向にばね付勢されるものとする。これにより、中心ピンは、掘削モジュールを基礎構造に取り付ける際に長さにおいて確実に適合するようになる。
【0022】
本発明によれば、少なくとも1つの規格化プラットフォーム(標準規格のプラットフォーム)を固定するための固定装置を備えた運搬手段に取り付けるための、および複数の孔を構造部分に形成するための可搬式掘削装置ユニットは、昇降装置および掘削モジュールを備えた掘削装置を有し、掘削装置は規格化プラットフォーム上に取付けられ、運搬手段の固定装置と共にこれに固定することができる。
【0023】
国際的な貨物輸送においては、所謂コンテナが運搬手段として広く受け入れられている。これらコンテナは規格化プラットフォームを有し、そのため様々な運搬手段、例えばトロッコ、レールワゴン、船などに、運搬手段が備える固定装置によって、固定可能である。
【0024】
掘削装置は規格化プラットフォームに取付けられるため、運搬手段が元々備える固定装置を利用して固定することができる。したがって、掘削装置ユニットは道路、線路、水路に、フレキシブルに適用することができる。掘削装置は、好適には、規格化プラットフォームに着脱可能に取付けられる。
【0025】
昇降装置は、例えばクレーンブームやプラットフォームリフトなどとし、さらに好適には掘削モジュールのための連結回転ヘッドを備えるものとする。この連結回転ヘッドは、異なる3方向への回転を実現する。さらに好適には、昇降装置には、掘削装置および/または掘削装置ユニットを制御するための制御ユニットを有する操作者用プラットフォームが備えられる。昇降装置は、特にクレーンブームの形状をとった場合、例えばダブルレーンの鉄道トンネルにおいて、追加レーンでの作業を可能とし、掘削装置ユニットを用いた効率的かつフレキシブルな作業を実現する。
【0026】
好適には、規格化プラットフォームは、10フィートコンテナのコンテナフレームとする。これは、通常のコンテナトロッコ、コンテナレールワゴン、またはコンテナ船に簡単に固定可能である。この規格化プラットフォームは、標準ゲージレールワゴンだけでなく、狭ゲージレールワゴンにも固定されることができる。
【0027】
好適には、掘削装置ユニットは、規格化プラットフォーム上に取付けられた供給ユニットおよび/または排出ユニットを有し、供給ユニットおよび/または排出ユニットは、同一の、または別々の規格化プラットフォームに取付けられる。規格化プラットフォームが10フィートコンテナのコンテナフレームであり、供給ユニットおよび/または排出ユニットが、掘削装置ユニットの規格化プラットフォームとは別の規格化プラットフォームに取付けられている場合、これら双方の規格化プラットフォームは、従来のコンテナトロッコ、コンテナレールワゴン、またはコンテナ船に縦列に並べて取付けることができる。好適には、供給ユニットおよび排出ユニットは、1つの規格化プラットフォームに取付けられるものとする。代替として、供給ユニットと排出ユニットとは、別々の規格化プラットフォームに設けられるものとしてもよく、この場合、掘削装置ユニットは、さらにフレキシブルなモジュール性を得ることになる。さらに、供給ユニットと排出ユニットとは、必要に応じて規格化プラットフォームに取付けることのできる別々のプラットフォームに取付けられても良い。
【0028】
供給ユニットは、例えば発電用のジェネレータ、圧縮空気を生成するためのコンプレッサ、電力を分配するための電力分配器、および/または、掘削作業をサポートするためにすすぎ水および洗浄水を供給するためのポンプを有する補給水タンクを備えるものとしても良い。さらに好適には、供給ユニットは、作業箇所を充分に照らすための照明手段を有する。
【0029】
排出ユニットは、例えば、掘削屑および掘削片を吸取るための吸引装置、例えば発生した掘削屑および掘削片のための収容容器、発生した工業用水を受けるための工業用水タンク、および/または、例えば発生した工業用水を、さらに他の用途に利用可能とするために処理するリサイクル装置を備えるものとしても良い。
【0030】
好適には、掘削装置ユニットは、運搬手段上に固定された掘削装置を摺動させるための駆動ユニットを有する。この構成により運搬手段、特にレールワゴンは自立的に摺動可能となる。好適には、駆動ユニットはモータを備える。このモータは、さらに好適には、供給ユニットから、作動に必要なエネルギーの供給を受けるものとする。特に可搬式掘削装置ユニットのための運搬手段としてのレールワゴンにおいて、独立した駆動ユニットは好適である。ある作業箇所から他の作業箇所へとレールワゴンを摺動させるための、専門家により制御されるべきエンジンを省略することができるからである。好適には、駆動ユニットのための独立した昇降装置が備えられ、これにより駆動ユニットは必要に応じて床部に取付けるか、もしくは運搬手段に積載することになる。
【0031】
好適には掘削装置は支持装置を備える。この支持装置により、所望の作業箇所に到達した後で、掘削装置ユニットを基礎構造に支持することが可能であり、その作動中に、運搬手段と、これに固定された掘削装置ユニットとが転倒するのを防ぐ。
【0032】
好適には、掘削装置ユニットは、第1計測光を生成するための第1光源、および第2計測光を生成するための第2光源を有する計測装置を有し、第1計測光および第2計測光から形成される交点は、掘削モジュールの配置調整のためのマーク点を構成する。光源は、好適にはラインレーザーとして構成され、これら光源により、精密な孔形成のために、掘削モジュールを基礎構造に対して正確に配向できるようにする。
【0033】
好適には、少なくとも1つの光源は、規格化プラットフォームに対して相対的に摺動可能に、規格化プラットフォームに取り付けられ、示すべきマーク点に応じて、規格化プラットフォームに配向されることができる。第2光源も同様に、規格化プラットフォームに取り付けられても良いし、またはこれから離間して設けられるものとしても良い。第2光源が、規格化プラットフォームから離間されて取り付けられた場合、これは、好適には独立した、移動可能なユニットに設けられるものとする。レールウェイにおいて、第2光源は、例えば、レールのゲージ幅に合わせられた車に、好適には着脱可能に取付けられる。
【0034】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明掘削モジュールの斜視図である。
【図2】代替実施形態における摺動装置を備えた本発明掘削モジュールの平面図である。
【図3】第1実施形態における可搬式掘削装置ユニットの斜視図である。
【図4】第1光源のためのガイド装置の詳細を表す、図3中のIII−III線上の断面図である。
【図5】第2実施形態における可搬式掘削装置ユニットの斜視図である。
【図6】第3実施形態における可搬式掘削装置ユニットの斜視図である。
【0036】
各図中、同様の部材は同じ符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、複数の孔を構造部分に形成するための掘削モジュール11であって、4つの掘削機械31、本例においては回転駆動コアドリルビットを工具として有するダイアモンド掘削機械と、掘削機械31を第1方向22および第1方向22と異なる第2方向23へと摺動するための摺動装置21を有する基枠12とを有する。掘削機械31は、それぞれスタンド32に案内され、例えば、電気的または空圧式送り装置により構造部分に対して相対的に移動することができる。掘削機械31は、それぞれ可動台に着脱可能に固定される。これらの可動台は送り装置により、スタンド32に沿って、送りのために構造部分に向かって、また、掘削機械31を初期位置に戻すために構造部分から離間する方向に移動可能である。
【0038】
基枠12は、第1方向22および第1方向22に直交する第2方向23に伸延するベースフレーム13を備える。ベースフレーム13の中心には、ベースフレーム13から広がる平面に直交して突出する中心ピン14が設けられる。この中心ピン14は、複数の部材から、入れ子式に構成される。中心ピン14の遊端に設けられた部材は、内側に設けられた図示しないばね素子により遊端方向にばね付勢される。
【0039】
摺動装置21は、摺動素子として、2部材から成るベースプレート24を有し、これらの部材は、互いに相対的に第1方向22へと褶動可能なようにベースフレーム13に取り付けられる。ベースプレート24の部材には、各スタンド32のために、第1方向22および第2方向23にある角度を成して真直ぐに、かつ、互いに並行に延在する2本のガイド連結溝25が設けられ、摺動装置21により、掘削機械31を第1方向22と第2方向23との双方に摺動することができる。このため、双方向22,23への摺動が同時にかつ重ね合わさって(例えばベクトル加算的に)成される。
【0040】
スタンド32は、それぞれフットプレート33を備え、これらのフットプレート33からは、図示しない、ガイド連結溝25に嵌り込む固定ボルトが突出する。この固定ボルトと、例えばスタンド32の締付けナットとの組合せにより、対応する掘削機械31を基枠12に固定することができる。
【0041】
双方のベースプレート24の外側の角には、それぞれ、ベースフレーム13から広がる平面に直交して延在する当接支持部材15が設けられる。この当接支持部材15は、複数の部材から入れ子式に構成される。当接支持部材15の遊端に設けられた部材は、内側に設けられた図示しないばね素子により、遊端方向にばね付勢される。
【0042】
所望の孔パターンを形成するために、対応するスタンド32の拘束が解かれ、このスタンド32は掘削機械31と共に対応する位置へと動かされ、続いて再び固定される。各スタンド32の摺動は、いかなるグリッドからも独立しており、また、第1ステップにおいてはガイド連結溝25の終点によってのみ限定される。掘削機械31を、さらに大きい領域において互いに位置決めできるようにするには、ベースプレート24の部材の固定(詳しくは図示しない)が一旦解かれ、これらは互いに所望の位置に摺動され、続いて再びベースフレーム13に固定されるものとする。
【0043】
図2には、4部材から成るベースプレート43を備える掘削モジュール41が示される。これらの部材は、摺動装置51の第1摺動素子として、掘削機械の第1方向22および/または第2方向への摺動を可能とする。ベースプレート43の各部材は、第2方向23に延在する真直ぐなガイド連結溝45を備え、これらのガイド連結溝45は、掘削機械を第2方向23に摺動させるための、摺動装置51の第2摺動素子を構成する。代替実施形態において、ガイド連結溝45は、第1方向22に延在するように配置されても良いものとする。さらに、複数の、交差する、複数の方向に延在するガイド連結溝を、複数の部材から成るベースプレートの部材に設けてもよく、この構成により、各掘削機械の互いに相対的な位置決めを幅広く実現することができる。
【0044】
図3には、構造部分60としてのトンネルの壁に複数の孔を形成するための可搬式掘削装置ユニット61が示される。この可搬式掘削装置ユニット61は、運搬手段62としてのレールワゴンに取付けられる。掘削装置ユニット61は、昇降装置67としてのクレーンブームを備えた掘削装置66を有する。このクレーンブームの遊端に、3次元方向に回転可能な回転ヘッド68を介して掘削モジュール11が取り付けられる。昇降装置67には、さらに、制御盤を有する操作プラットフォーム74が備えられ、操作者は、このプラットフォーム上で掘削装置66および掘削装置ユニット61を制御することができる。
【0045】
掘削装置66は、規格化プラットフォーム69上に取り付けられ、この規格化プラットフォーム69に合わせた運搬手段62の固定装置と共に、これに固定可能である。この規格化プラットフォーム69は、10フィートコンテナのコンテナフレームである。さらに、掘削装置66は支持装置70を備え、この支持装置70は、昇降装置67が昇降および移動する際に、運搬手段62が転倒するのを防ぐ。
【0046】
さらに、掘削装置ユニット61は、運搬手段62から下方に取り付けることのできる駆動ユニット71を有する。これは、運搬手段62とこの上に固定された掘削装置66との摺動を、例えばエンジンなどを設けずに可能とする。
【0047】
さらに、掘削装置ユニット61は、掘削装置66へのエネルギーおよび作動資源を供給するための供給ユニット76と、発生する掘削屑もしくは掘削片および工業用水を引き受けるための排出ユニット77とを備える。供給ユニット76および排出ユニット77は、別の規格化プラットフォーム78に取付けられる。好適には、規格化プラットフォーム78は同様に、10フィートコンテナのコンテナフレームとすることで、この規格化プラットフォーム78と、掘削装置66のおよび規格化プラットフォーム69とを、コンテナを運搬するために、既存の運搬手段62上において、元々これに備えられた固定装置によって固定することができる。
【0048】
さらに、掘削装置ユニット61は、第1光源81および第2光源82として2つのラインレーザーを有する計測装置を備える。これらの光源81および82の計測光の交点は、トンネルの壁に、掘削モジュール11の配置調整のためのマーク点を構成する。
【0049】
第1光源81は、規格化プラットフォーム69に対して相対的に摺動可能に、規格化プラットフォーム69に取付けられる。図4に示されるとおり、この目的のため、規格化プラットフォーム69のフレーム輪郭72から離間して、これに平行に延在する組み立てレール73が設けられ、このレールには、第1光源81としてのラインレーザーを、対応して構成された連結部材によって、組み立てレール73に沿って任意に固定することができる。
【0050】
第2光源82としての第2ラインレーザーは、レールに合わせたシュプール幅を有するトロリー83上に配設される。好適には、トロリー83もしくは車のシュプール幅は、狭シュプールおよび通常シュプールに合わせられる。
【0051】
図5に示す可搬式掘削装置ユニット91は、基本的には前述の掘削装置ユニット61と同様の構成であるが、コンテナを運搬するために構成された運搬手段92としてのトロッコ上に固定されている。さらなる相違点としては、掘削装置ユニット91の掘削装置96が備える掘削モジュール99によれば、構造部分90としてのトンネルの壁に一直線上に並ぶ複数の孔を形成することができる点が挙げられる。
【0052】
図6に示す可搬式掘削装置ユニット101は、基本的には前述の掘削装置ユニット91と同様の構成であり、同じく、運搬手段92としてのトロッコ上に固定されている。ただし、掘削装置ユニット91とは異なり、この掘削モジュール109は、一直線上に並ぶ複数の孔を構造部分100としての床部に形成することができるように構成されている。掘削モジュール109は、掘削機械103としての掘削ハンマーを有する。この掘削装置106において、制御は床部から、または運搬手段102から直接成されるため、操作者プラットフォームを昇降装置107に設けなくても良くなる。
【0053】
可搬式掘削装置ユニット61,91,101は、そのモジュール性において特に優れている。可搬式掘削装置ユニット61,91,101のベース部材は、規格化プラットフォーム69,78とこれらに取付けられた素子とを構成する。使用者は、目的に応じて、対応する掘削モジュール11,96,106を昇降装置67,107に配置し、掘削装置66,96,106を所望の運搬手段62,92,102に固定する。プラットフォーム69,78は好適には規格化されたコンテナフレームであるため、掘削装置ユニット61,91,101はモジュール式となり、種々の、コンテナの運搬に適した運搬手段62,92,102に簡単に固定できる。
【符号の説明】
【0054】
11 掘削モジュール
12 基枠
13 ベースフレーム
14 中心ピン
15 当接支持部材
21 摺動装置
22 第1方向
23 第2方向
24 ベースプレート
25 ガイド連結溝
31 掘削機械
32 スタンド
33 フットプレート
41 掘削モジュール
43 ベースプレート
45 ガイド連結溝
51 摺動装置
60 構造部分
61 可搬式掘削装置ユニット
62 運搬手段
66 掘削装置
67 昇降装置
68 回転ヘッド
69 規格化プラットフォーム
70 支持装置
71 駆動ユニット
72 フレーム輪郭
73 組み立てレール
74 操作プラットフォーム
76 供給ユニット
77 排出ユニット
78 規格化プラットフォーム
81 第1光源
82 第2光源
83 トロリー
90 構造部分
91 可搬式掘削装置ユニット
92 運搬手段
96 掘削装置
99 掘削モジュール
100 構造部分
101 可搬式掘削装置ユニット
102 運搬手段
103 掘削機械
106 掘削装置
107 昇降装置
109 掘削モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔を構造部分に形成するための掘削モジュール(11;41)であって、
複数の掘削機械(31)と、前記掘削機械(31)を第1方向(22)に摺動させるための摺動装置(21;51)を有する基枠(12)と、を備えた該掘削モジュールにおいて、
前記摺動装置(21;51)は、少なくとも1つの掘削機械(31)を、前記第1方向(22)と異なる第2方向(23)へと摺動可能に前記基枠(12)に取付けることができるように構成されていることを特徴とする掘削モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の掘削モジュールにおいて、前記摺動装置(21;51)は、少なくとも1つの掘削機械(31)を前記第1方向(22)および前記第2方向(23)に摺動可能とすることを特徴とする掘削モジュール。
【請求項3】
請求項2記載の掘削モジュールにおいて、前記双方向(22;23)への前記摺動は、重ね合わさって成されることを特徴とする掘削モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項記載の掘削モジュールにおいて、前記摺動装置(51)は、少なくとも1つの掘削機械を前記第1方向(22)へ摺動させるための第1摺動素子(43)と、少なくとも1つの掘削機械を前記第2方向(23)へ摺動させるための第2摺動素子(45)とを有することを特徴とする掘削モジュール。
【請求項5】
少なくとも1つの規格化プラットフォーム(69;78)を固定するための少なくとも1つの固定装置を備えた運搬手段(62;92;102)に取り付けるための、および、複数の孔を構造部分(60;90;100)に形成するための可搬式掘削装置ユニットであって、
前記掘削装置ユニット(61;91;101)は掘削装置(66;96;106)を有し、この掘削装置(66;96;106)は、昇降装置(67;107)と掘削モジュール(11;99;109)、特に請求項1〜4のうちいずれか一項記載の掘削モジュール(11)を備え、
前記掘削装置(66;96;106)は前記規格化プラットフォーム(69;78)上に取付けられ、前記運搬手段(62;92;102)の前記固定装置と共に、これに固定することができることを特徴とする掘削装置ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の掘削装置ユニットにおいて、前記掘削装置ユニット(61;91;101)は、規格化プラットフォーム(78)上に取付けられた供給ユニット(76)および/または排出ユニット(77)を有し、
前記供給ユニット(76)および/または前記排出ユニット(77)は、同一の、または別々の規格化プラットフォーム(78)に取付けられたことを特徴とする掘削装置ユニット。
【請求項7】
請求項5または6記載の掘削装置ユニットにおいて、前記掘削装置ユニット(61)は、前記運搬手段(62)上に固定された前記掘削装置(66)を摺動させるための駆動ユニット(71)を有することを特徴とする掘削装置ユニット。
【請求項8】
請求項5〜7のうちいずれか一項記載の掘削装置ユニットにおいて、前記掘削装置(66;96;106)は、支持装置(70)を備えることを特徴とする掘削装置ユニット。
【請求項9】
請求項5〜8のうちいずれか一項記載の掘削装置ユニットにおいて、
前記掘削装置ユニット(61)は、第1計測光を生成するための第1光源(81)、および第2計測光を生成するための第2光源(82)を有する計測装置を有し、
前記第1計測光および前記第2計測光から形成される交点は、前記掘削モジュール(11)の配置調整のためのマーク点を構成することを特徴とする掘削装置ユニット。
【請求項10】
請求項9記載の掘削装置ユニットにおいて、少なくとも1つの前記光源(81)は、前記規格化プラットフォーム(69)に対して相対的に褶動可能に、前記規格化プラットフォーム(69)に取り付けられていることを特徴とする掘削装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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