採血器具、スライド式流路切替手段及び多方活栓
【課題】作業者のクランプの閉め忘れ、これに伴う採血バッグへの採血初流の混入や、破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念が解消できる採血器具を提供すること。
【解決手段】供血者より血液を採取する採血針（８）と、採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）。
【解決手段】供血者より血液を採取する採血針（８）と、採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、初流血液を採取するとともに、検査用血液の採取を容易に行うことのできる採血器具とスライド式流路切替手段及び多方活栓に関する。スライド式流路切替手段及び多方活栓は、採血器具以外の医療分野、その他の一般産業分野にも利用できる。
【背景技術】
【０００２】
採血針から採取した血液を血液バッグに導入する際、供血者の穿刺位置をアルコール等で消毒を行うが、消毒を行なっても、皮膚や皮下に存在する細菌が採取した血液の中に混入することがある。
混入した細菌は、細菌の種類によっては、血液バッグを保存している間にも増殖し、細菌の増殖に気づくことなく輸血などに用いられると輸血された患者に感染症などを引き起こし、重篤な事態となるおそれもある。
そこで、採取された血液の細菌汚染防止を図ることができるように、特に採血時の初流の血液を除去するシステムが発明されるようになった。
【０００３】
特許文献１から特許文献４には、血液を採取する採血針と、採取された血液を収納する採血バッグと、一方端が採血バッグに他方端が採血針にそれぞれ連通し、採取された血液を採血バッグへ導入する第１の流路（採血チューブ）と、分岐部を介して第１の流路から分岐し、末端に血液の取り出し口を有する第２の流路（初流血液チューブ）を有し、分岐部と採血バッグの間の第１の流路（採血チューブ）に、流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）を装着した採血用器具の発明が開示されている。
【０００４】
中でも特許文献２と特許文献３は、第１の流路（採血チューブ）の流路用封止手段として、外付けのクランプを使用した場合、作業者のクランプの閉め忘れ、これに伴う採血バッグへの採血初流の混入を確実に防止するために、流路用封止手段として、破断すると流路が開通する封止部材を使用するのが良いと明記されている。
【０００５】
特許文献１から特許文献４の発明では、（１）初流血液の採血初流除去バッグ等へ採血、（２）第２の流路（初流血液チューブ）のクランプ等による閉塞、（３）採血バッグへ至る第１の流路（採血チューブ）の解放（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材等）、（４）採血終了後の第１の流路（採血チューブ）の閉塞（クランプをかける）等の作業が必要であった。（１）から（４）の作業手順では、（２）閉塞、（３）解放の順番を間違えることが懸念され、順番を間違えると製剤の無菌保証が低下し、閉塞までの操作が遅くなるため採血初流除去バッグ等への採血が過量になる懸念がある。
また特許文献２と特許文献３のように、分岐部と採血バッグの間の第１の流路（採血チューブ）に、破断すると流路が開通する封止部材を装着する手段では、（１）破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念がある。（２）第１の流路（採血チューブ）内に配置するため、第１の流路（採血チューブ）と異なる管状部材内に配置して、第１の流路（採血チューブ）に接続しないといけないので、構成が複雑になる。
【０００６】
【特許文献１】特許３３６１４４０（特許請求の範囲、図１、９、１０）
【特許文献２】特許３７７６２２７（特許請求の範囲、図１、２、１１から１３）
【特許文献３】特許３８１３９７４（特許請求の範囲、図１、２、５）
【特許文献４】特開２００１−１７５３９（特許請求の範囲、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献１から特許文献４の（１）から（４）の作業手順では、（２）閉塞、（３）解放の順番を間違えることが懸念され、作業者の操作ミスを防止できない懸念がある点である。
また特許文献２、３のように、破断すると流路が開通する封止部材を装着する手段では、（１）破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念がある。（２）第１の流路（採血チューブ）の構成が複雑になる等の点である。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
［１］本発明は、供血者より血液を採取する採血針（８）と、
採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、
一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、
当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、
前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、
当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）を提供する。
［２］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、
初流血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、初流血液チューブ（Ｔ２）へ流す時は、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）の流路を遮断し、
初流血液採取後の血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、
採血バッグ（４）へ採取する時は、初流血液チューブ（Ｔ２）の流路を遮断する［１］に記載の採血器具（１）。
［３］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成される多方活栓（３０）であり、
前記栓体（３４）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有する［１］または［２］に記載の採血器具（１）を提供する。
［４］本発明は、前記多方活栓（３０）に、栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した［３］に記載の採血器具（１）を提供する。
［５］本発明は、逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）で［４］に記載の採血器具（１）を提供する。
【０００９】
［６］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成されるスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）であり、
前記内筒（６２）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通する［１］または［２］に記載の採血器具（１）を提供する。
［７］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に、係合部（６１ｂ）が形成され、前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された［１］から［２］、［６］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［８］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている［１］から［２］、［６］から［７］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［９］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている［１］から［２］、［６］から［８］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［１０］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている［１］から［２］、［６］から［９］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
【００１０】
［１１］本発明は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成され、
前記内筒（６２）は、前記分岐管（６３、６４、６５）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通するスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）を提供する。
［１２］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に係合部（６１ｂ）が形成され、前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通し、
前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された［１１］に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）を提供する。
［１３］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている［１１］または［１２］に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）を提供する。
［１４］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている［１１］から［１３］のいずれか１項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）を提供する。
［１５］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている［１１］から［１４］のいずれか１項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）を提供する。
【００１１】
［１６］本発明は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成され、
前記栓体（３４）は、前記分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有し、
前記栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した多方活栓（３０）を提供する。
［１７］本発明は、前記逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である［１６］に記載の多方活栓（３０）を提供する。
【発明の効果】
【００１２】
本発明の採血器具は、特許文献１から特許文献４に記載の分岐部を、流路切替手段Ｖとし、当該流路切替手段Ｖに、特許文献１から特許文献４に記載の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材等）の機能を付与したので、（１）作業者のクランプの閉め忘れ、これに伴う採血バッグへの採血初流の混入や、破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念が解消できる。（２）第１の流路（採血チューブ）の構造も簡略化できる。
（３）また特許文献１から特許文献４に記載の発明では、初流血液の採取から血液の採取に移行する時、第２の流路（初流血液チューブ）を流路用封止手段（外付けのクランプ）で閉塞し、さらに第１の流路（採血チューブ）の流路用封止手段（外付けのクランプ）を開放する等、二ステップの操作が必要であるが、本発明は、流路切替手段Ｖを切り替えるのみで済むので、これらの操作がワンステップで容易となるとともにどちらかの操作を忘れる等の操作ミスを防止できる。（４）また特許文献１から特許文献４に記載の発明では、第１の流路（採血チューブ）と第２の流路（初流血液チューブ）に、複数の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）を装着する旨が記載されているが、本発明では、これらの流路用封止手段を、全て廃止し、一つの流路切替手段Ｖで、複数の流路用封止手段の役割を代替することができる。
（５）操作する部分が一か所なので操作が単純化され操作ミスが減る。
（６）すべての操作を片手で行うことができる（特許文献２、３の破断すると流路が開通する封止部材は両手が必要）。
（７）特許文献１から４の複数の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）と分岐管の働きを一つの部品にまとめるため組立工数が減り、製品全体がシンプルになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１は、本発明の採血器具１の概略図、図２から図１５は、流路切替手段Ｖの一例とその使用例を示す概略図である。
［採血器具１］
本発明の採血器具１は、図１に例示するように、供血者より血液を採取する採血針８と、採取された血液を収納する採血バッグ４と、一方端が前記採血バッグ４に他方端が前記採血針８にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ４へ導入する採血チューブＴ１と、当該採血チューブＴ１から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブＴ２とを有する採血器具であって、前記採血チューブＴ１の途中に、当該採血チューブＴ１と前記初流血液チューブＴ２の流路切替手段Ｖを配置し、当該流路切替手段Ｖに、初流血液チューブＴ２の端部を接続している。
【００１４】
さらに詳述すれば、採血器具１は、例えば図１に示すように、採血バッグ４、採血初流除去セット２、血液フィルタ３、第１子バッグ５、第２子バッグ６及び赤血球保存液入バッグ７から構成される。
採血バッグ４の上流には、採血チューブＴ１が接続されている。採血チューブＴ１には、先端（上流）からその途中にわたって、採血針８、流路切替手段Ｖが接続・配置されている。流路切替手段Ｖには、初流血液導入チューブＴ２を介して採血初流除去セット２が接続される。
さらに採血バッグ４の下流には、連結チューブＴ３を介して血液フィルタ３及び第１子バッグ５を接続している。さらに第１子バッグ５は、連結チューブＴ４、接続管１３、連結チューブＴ５、Ｔ６を介して、第２子バッグ６、赤血球保存液入バッグ７を接続している。
採血バッグ４及び赤血球保存液入りバッグ７には、採血時または輸血保存時における血液の凝固の防止または保存のために、例えばＡＣＤ液、ＣＰＤ液、ＭＡＰ液のような抗凝固剤または赤血球保存液を収納している。
採血初流除去バッグＢ及び採血バッグ４のバッグ類を構成する材料として、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の可撓性合成樹脂が用いられる。
【００１５】
［流路切替手段Ｖ］
本発明に使用する「流路切替手段Ｖ」とは、初流血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖを経て、初流血液チューブＴ２へ流す時は、採血バッグ４側の採血チューブＴ１の流路を遮断し、初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖを経て、採血バッグ４へ採取する時は、初流血液チューブＴ２の流路を遮断するものを意味する。
本発明に使用する流路切替手段Ｖの一例として、例えば図２から図４に例示する多方活栓３０が挙げられる。
多方活栓３０は、外周に第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃを有する筒状の本体３１と、栓体３４とから構成される。
栓体３４は、本体３１内に回動自在に嵌合し、採血針８側の採血チューブＴ１が、初流血液導入チューブＴ２と連通し、採血針８側の採血チューブＴ１が、採血バッグ４側の採血チューブＴ１と連通する少なくとも二つの流路（第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ）を有する。
第一分岐管３３ａと第二分岐管３３ｂは、それぞれ採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１に接続され、第三分岐管３３ｃは、採血初流チューブＴ２に接続されている。
図２は、採血針８側の採血チューブＴ１が、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、初流血液導入チューブＴ２と連通している状態（以下、この初期状態という）を示す。
図３（図２の状態から栓体３４を左に９０°回動した状態）は、採血針８側の採血チューブＴ１が、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、採血バッグ４側の採血チューブＴ１と連通している状態を示す。
図４（図３の状態から栓体３４を左に９０°回動した状態、図２の状態から栓体３４を左に１８０°回動した状態）は、採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ、初流血液導入チューブＴ２の各流路が全て遮断された状態を示している。
【００１６】
さらに流路切替手段Ｖ（多方活栓３０）には、発展させて、図５から図１２に例示するように、栓体３４の逆操作防止部材付きの多方活栓３０Ａとすることができる。
図５は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の外観斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図６は、栓体３４の外観斜視図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］。
図７は、本体３１の全体斜視図。
図８は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図９は、栓体３４の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図１０は、本体３１の透視斜視図。
図１１は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）のＡ−Ａ縦断面図。
図１２は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［初期状態（図２に対応）］。
図１３は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］。
図１４は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に１８０°回動した状態（図３対応）］である。
【００１７】
多方活栓３０Ａは、図２から図４に例示した多方活栓３０（外周に第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃを有する筒状の本体３１と、栓体３４とから構成される）に、「逆操作防止部材」を付加したものである。
「逆操作防止部材」とは、図６、９、１０、図１２から図１４に例示するように、例えば本体３１の内壁に形成された「突起４１」と栓体３４の外壁に形成された「係止部材４２」で、「突起４１」と「係止部材４２」の係合により、例えば左方向に回動した場合は、逆方向の右方向に回動できないようにしている。なお、あえて図示しないが、本体３１の内壁に係止部材４２を形成しても良いし、栓体３４の外壁に突起４１を形成しても良い。
さらに多方活栓３０Ａについて詳述する。
本体３１は、図５、図７、図１１に例示するように、円筒状に形成され、上部壁面ＵＷ、側部壁面ＳＷ及び下部壁面ＬＷを有する。上部壁面ＵＷの略中央部に、孔３１Ｈが形成されている。
さらに側壁ＳＷの上部位置に、第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃが装着されている。
また側部壁面ＳＷの内壁に複数の突起４１を形成している。
栓体３４は、図６、図９に例示するように、上部にハンドル３４を装着し、下部に軸５０を中心として回動するロータ５１を装着している。
さらにロータ５１の外壁に図１２から図１４に例示するように、ヒゲ状に突出した係止部材４２を装着している。さらに係止部材４２の端部には、係合部４２Ｔ２を形成している。
さらに内部に第一流路３６ａと第二流路３６ｂを形成している。
ロータ５１は、軸５０（固定ピン）により本体３１の底部に装着されている（嵌め込まれている）。
ロータ５１は、略ドーナツ状の溝５２が形成され、略ドーナツ状の溝５２が、図１１のように回転角度制御部材（固定ピン）４２Ｔ１にかぶさるように、本体３１に取り付けられている。ロータ５１は、略ドーナツ状の溝５２の範囲内で回転する。
図１２から図１４の例示では、係止部材４２の係合部４２Ｔ２と突起４１が係合し、いわゆる「係止（ラッチ）構造」となるため、一方向（左方向）のみしか回転しない。
図１２が初期状態で、図１３は図１２の状態から左に９０°回転した状態、図１４は図１３の状態からさらに左に９０°回転した状態を示す。
図１２及び図１３の例示では、突起４１と係止部材４２の係合部４２Ｔ２は、「係止（ラッチ）構造」となっているため、右へ回転することがない。
図１４の状態では、これにあわせてロータ５１の溝５２の右側終端が、回転角度制御部材（固定ピン）４２Ｔ１に衝突するため、これ以上左に回転できない。この状態で流路は全て閉塞状態であり、誤った操作による流路の開放を防止できる。
以上によりロータ５１が１８０°以上左に回転することを防止することができる。すなわち一周回って元通りの位置に戻るという誤動作を防止することができる。
【００１８】
［採血器具１の使用例１］
（１）初流血液の採血
流路切替手段Ｖの流路は、図２に例示するように調整された状態で提供される。
採血針８側の採血チューブＴ１と初流血液チューブＴ２は、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを介して連通し、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂと採血バッグ４側の採血チューブＴ１の流路を遮断した状態にする。
供血者に採血針８を穿刺して、初流血液を採血針８、採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ、初流血液チューブＴ２を経て、採血初流除去バッグＢに採取する。
（２）採血バッグ４への血液の採取
初流血液の採取が規定量に達した時点で、流路切替手段Ｖの流路を、図３（栓体３４を図２の位置から、左に９０°回転させた状態）に例示するように調整する。
採血針８側の採血チューブＴ１と採血バッグ４側の採血チューブＴ１は、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを介して連通し、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂと初流血液チューブＴ２の流路を遮断した状態にする。
初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、採血バッグ４へ採取する。
（３）最後に、図４のように（栓体３４を図３の位置から、左に９０°回転させた状態）、採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１、初流血液チューブＴ２、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを全て閉塞し、バッグ本体２１の血液溜内に貯留した血液を、バッグ本体２１の出口に接続される真空採血管ホルダ２２から真空採血管へと採取する。
【００１９】
［スライド式流路切替手段］
本発明に使用する流路切替手段Ｖの一例として、例えば図１５から図１９に例示するスライド式流路切替手段６０が挙げられる。
図１５から図１９は、スライド式流路切替手段６０の概略とその使用例の一例を示す。（図１５から図１７は縦断面図、図１８は内筒６０を装着した外筒６１の斜視図、図１９は内筒６２の斜視図）である。
スライド式流路切替手段６０は、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
【００２０】
［外筒６１］
外筒６１は、図１５、１８に例示するように、上部と下部が開放され、略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲には、第一から第三の三つの分岐管６３、６４、６５が実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６４、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６４ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒６２を装着した場合は、内筒６２の凹部６２ａ（流路）］と連通している。
分岐管６３、６４、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａも実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一から第３開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの各間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００２１】
［内筒６２］
図１４に例示するように、内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２の略中腹部から上部の間に凹部６２ａが形成され、外筒６１内に装着すると、図１５に例示するように当該凹部６２ａが流路として機能する。
凹部６２ａの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに凹部６２ａの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
また第二パッキング６７と第三パッキング６８の間隔（距離ともいう）Ｌ３は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）より実質的に約二倍の間隔（距離）に形成されている。
図１５から１９の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。
なお内筒６２の上部と下部は、閉塞していてもよいし、開放されていてもよい。
【００２２】
図１５は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第二開口部６４ａ及び第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一から第三開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通している。
【００２３】
図１６は、図１５の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａ及び第二開口部６４ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００２４】
図１７は、図１６の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一から第３開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第二開口部６４ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第四パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００２５】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、図１５では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、図１６では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。図１７ではすべての流路が閉塞する。
図１７で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００２６】
［採血器具１の使用例２］
流路切替手段Ｖとして、スライド式流路切替手段６０を使用した場合の一例について説明する。図１５から図１７に例示するように、第一分岐管６３は、採血チューブＴ１を介して、採血バッグ４に接続され、第二分岐管６４は、採血チューブＴ１を介して、採血針８に接続され、第三分岐管６５は、初流血液チューブＴ２を介して、採血初流除去バッグＢに接続されている。
（１）初流血液の採血
流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の流路を、図１５に例示するように調整する。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路を、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通させ、第一分岐管６３の流路を第一パッキング６６と第二パッキング６７により第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶し、閉塞状態にする。
すなわち、採血針８側の採血チューブＴ１と初流血液チューブＴ２は、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第三開口部６５ａ、第三分岐管６５を経て、連通させ、第一分岐管６３の流路を、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路と遮断した状態にする。
供血者に採血針８を穿刺して、初流血液を採血針８、採血チューブＴ１、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第三開口部６５ａ、第三分岐管６５、初流血液チューブＴ２を経て、採血初流除去バッグＢに採取する。
（２）採血バッグ４への血液の採取
初流血液の採取が規定量に達した時点で、流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の流路を、図１６に例示するように調整する。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路を、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通させ、第三分岐管６５の流路を、第三パッキング６８と第四パッキング９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶して、閉塞状態にする。
すなわち採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１は、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第一開口部６３ａ、第１分岐管６３を経て、連通し、第三分岐管６５の流路を、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路と遮断した状態にする。
初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第一開口部６３ａ、第一分岐管６３、採血チューブＴ１を経て、採血バッグ４に採取する。
（３）最後に、図１７のように、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路を、第三パッキング６８により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路を、第四パッキング６９によりそれぞれ隔絶し、閉塞状態にする。
すなわち、採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１、初流血液チューブＴ２、流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の第一分岐管６３、第二分岐管６４、第三分岐管６５の各流路を全て閉塞し、バッグ本体２１の血液溜内に貯留した血液を、バッグ本体２１の出口に接続される真空採血管ホルダ２２から真空採血管へと採取する。
【００２７】
［その他のスライド式流路切替手段］
図１５から図１９に例示したスライド式流路切替手段６０の代わりに、例えば
（１）図２０（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２１（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、
（２）図２２（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２３（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
（３）図２４（Ａ）、（Ｂ）から図２５（Ａ）、（Ｂ）
（４）図２６（Ａ）、（Ｂ）から図２７（Ａ）、（Ｂ）
（５）図２８（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２９（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
（６）図３０（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図３１（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
に例示したスライド式流路切替手段６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅも使用できる。
図２０、２２、２４、２６、３０は断面図、図２１、図２３、図２５、図２７、図２９、図３１は外観斜視図である。
【００２８】
［スライド式流路切替手段６０Ａ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ａの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じ機能を有する部分は、図１５から図１９に例示したスライド式流路切替手段６０と同じ符号を使用する。
図２０（図２１）のスライド式流路切替手段６０Ａは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
［外筒６１］
外筒６１は、図２０から図２１に例示するように、上部は上部空間Ｓの空気抜用（圧逃用）の孔７１を形成する以外は実質的に閉塞し、下部は開放されている。
略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｄ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一と第三開口部６３ａ、６５ａの間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００２９】
［内筒６２］
内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２内部には、下部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、略上部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の下部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに開口部６２ｄの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
図２０（２１）の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。なお内筒６２の上部は閉塞されている。
【００３０】
図２０（図２１）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一開口部６３ａと第三開口部の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
【００３１】
図２０（図２１）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００３２】
図２０（図２１）（Ｃ）は、（Ｂ）の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一開口部６３ａと第三開口部６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間に、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第三パッキング６８と第四パッキング６９、第四パッキング６９と第五パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００３３】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。（Ｃ）ではすべての流路が閉塞する。
（Ｃ）で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００３４】
［スライド式流路切替手段６０Ｂ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｂの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０、６０Ａと実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａと同じ符号を使用する。
図２２（図２３）のスライド式流路切替手段６０Ｂは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
図２０（図２１）のスライド式流路切替手段６０Ａは、内筒６２の下部（内筒６２を押す側）に採血チューブＴ１を接続する構造となっているので、内筒６２を押すときに、採血チューブＴ１が障害になるが、図２２（図２３）のスライド式流路切替手段６０Ｂは、内筒６２の上部にチューブＴ１を接続する構造とし、下部（内筒６２を押す側）に採血チューブＴ１を接続しないので、操作性が向上する。
［外筒６１］
外筒６１は、図２２から図２３に例示するように、上部と下部は開放されている。略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｄ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一と第三開口部６３ａ、６５ａの間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００３５】
［内筒６２］
内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２内部には、上部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、流路６２ｃ下部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の上部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに開口部６２ｄの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
図２２から２３の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。なお内筒６２の下部は閉塞されている。
【００３６】
図２２（図２３）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一開口部６３ａと第三６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
【００３７】
図２２（図２３）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００３８】
図２２（図２３）（Ｃ）は、（Ｂ）の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一開口部６３ａと第三開口部６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間に、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第三パッキング６８と第四パッキング６９、第四パッキング６９と第五パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００３９】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。（Ｃ）ではすべての流路が閉塞する。
（Ｃ）で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００４０】
［スライド式流路切替手段６０Ｃ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｃの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と同じ符号を使用する。
図２４（図２５）のスライド式流路切替手段６０Ｃは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
［外筒６１］
外筒６１は、図２５から図２６に例示するように、上部は閉塞され、下部は開放されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が実質的に間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｃ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
【００４１】
［内筒６２］
内筒６２内部には、下部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、略上部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の下部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、第二パッキング６７が装着されている。さらに開口部６２ｄの下部には、二つの第三パッキング６８、第四パッキング６９が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
なお内筒６２の上部は閉塞されている。
【００４２】
図２４（図２５）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６の上、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００４３】
図２４（図２５）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の上部が外筒６１の上部に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００４４】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。
【００４５】
［スライド式流路切替手段６０Ｄ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｄの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０等と実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と同じ符号を使用する。
図２６（図２７）のスライド式流路切替手段６０は、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
【００４６】
［外筒６１］
外筒６１は、図２６、２７に例示するように、上部が閉塞され下部は開放されている。
外筒６１の周囲には、第一から第三の三つの分岐管６３、６４、６５が実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６４、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６４ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒６２を装着した場合は、内筒６２の凹部６２a（流路）］と連通している。
分岐管６３、６４、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの略中央と同じである。このため各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａも実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
【００４７】
［内筒６２］
内筒６２の略中腹部から上部の間に凹部６２ａが形成され、外筒６１内に装着すると、当該凹部６２ａが流路として機能する。
凹部６２ａの上部には、第二パッキング６７が装着されている。さらに凹部６２ａの下部には、二つの第三パッキング６８、第四パッキング６９が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
なお内筒６２の上部は閉塞したほうが好ましく、下部は閉塞していてもよいし開放されていてもよい。
【００４８】
図２６（２７）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７の上に、第二開口部６４ａ及び第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通している。
【００４９】
図２６（２７）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の上部が外筒６１の上部に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａ及び第二開口部６４ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００５０】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、図２６（２７）（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、図２６（２７）（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。
【００５１】
［スライド式流路切替手段６０Ｅ］
図２８（２９）スライド式流路切替手段６０Ｅは、図１５から図１９のスライド式流路切替手段６０の第一パッキング６６を省略したものである。
図２８（２９）（Ａ）は、図１５、図２８（２９）（Ｂ）は、図１６、図２８（２９）（Ｃ）は、図１７の状態に対応する。
スライド式流路切替手段６０Ｅのスライド式流路切替手段６０と異なる点は、外筒６１の上部が閉塞されているため、この状態から第一分岐管６３、第二分岐管６４及び第三分岐管６５の全ての流路が「閉塞状態」になるまで押し込もうとすると、外筒６１上部の空間Ｓが圧縮されて陽圧になり内筒６２が押し戻されてしまう。そこで、上部の空間が圧縮され圧縮されて陽圧にならないように外筒６１上側部に「逃げ空間ＳＮ」を設けている。
これら以外の構造、操作方法は、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【００５２】
［スライド式流路切替手段６０Ｆ］
図３０（３１）スライド式流路切替手段６０Ｆは、図２０（２１）のスライド式流路切替手段６０Ａの第一パッキングを省略したものである。
図３０（３１）（Ａ）は、図２０（２１）の状態に対応する。
スライド式流路切替手段６０Ｆのスライド式流路切替手段６０Ａと異なる点は、スライド式流路切替手段６０Ｅと同様の理由により、外筒６１上側部に「逃げ空間ＳＮ」を設けた点である。
これら以外の構造、操作方法は、スライド式流路切替手段６０Ａと実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【００５３】
スライド式流路切替手段６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆは、スライド式流路切替手段６０にかえて、図１の採血器具１に使用する場合、［００１５］で説明したように、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じ様に使用できるので、詳細な説明は省略する。
【００５４】
スライド式流路切替手段６０Ｃ、６０Ｄは、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆと比較して、第一分岐管６３、第二分岐管６４、第三分岐管６５の全ての流路を同時に閉塞できないので、図１の採血器具１に使用する場合、採血針８側または採血バッグ側４のどちらか一方のチューブＴ１の途中にクランプ等の流路閉塞手段を配置する。
【００５５】
スライド式流路切替手段６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆにおいて、各パッキング６６、６７、６８、６９、７０は、液密性を維持できるものであれば何でも良く、外筒６１と内筒６２とは、別部品として、外筒６１と内筒６２の間に配置しても良いし、内筒６２に当初から一体成形しても良い。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明の採血器具の概略図
【図２】流路切替手段の一例を示す概略図
【図３】流路切替手段の一例を示す概略図
【図４】流路切替手段の一例を示す概略図
【図５】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の外観斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図６】栓体３４の外観斜視図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］
【図７】本体３１の全体斜視図
【図８】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図９】栓体３４の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図１０】本体３１の透視斜視図
【図１１】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）のＡ−Ａ縦断面図
【図１２】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［初期状態（図２に対応）］
【図１３】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）。
【図１４】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に１８０°回動した状態（図３対応）］
【図１５】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１６】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１７】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１８】内筒を装着した外筒の斜視図
【図１９】内筒の斜視図
【図２０】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２１】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２２】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２３】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２４】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２５】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２６】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２７】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２８】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２９】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図３０】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図３１】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【符号の説明】
【００５７】
１ 採血器具
２ 採血初流除去セット
Ｂ 採血初流除去バッグ
３ 血液フィルタ
４ 採血バッグ
５ 第１子バッグ
６ 第２子バッグ
７ 赤血球保存液入バッグ
８ 採血針
１０ 針カバー
１１ａ、１１ｂ、１１ｃ クランプ
１３ 接続管
２１ バッグ本体
２２ 真空採血管ホルダ
２３ （初流血液の）入口
２４ （初流血液の）出口
２５ （初流血液の）採取針
２６ シース
Ｖ 流路切替手段
３０、３０Ａ 多方活栓
３１ 本体
ＵＷ 上部壁
ＬＷ 下部壁
ＳＷ 側壁
３３ａ 第一分岐管
３３ｂ 第二分岐管
３３ｃ 第三分岐管
３４ 栓体
３４Ｈ ハンドル
３６ａ 第一流路
３６ｂ 第二流路
４１ 突起
４２ 係止部材
４２Ｔ１ 回転角度制御部材（固定ピン）
４２Ｔ２ 係合部
５０ 軸（固定ピン）
５１ ロータ
５２ 溝
Ｔ１ 採血チューブ
Ｔ２ 初流血液導入チューブ
Ｔ３、Ｔ４、Ｔ５、Ｔ６ 連結チューブ
６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ スライド式流路切替手段
６１ 外筒
６１ｂ 係合部（溝）
６２ 内筒
６２ａ 凹部［（液体）流路］
６２ｂ 係合部（凸部）
６２ｃ 流路
６２ｄ 開口部
６３ 第一分岐管
６４ 第二分岐管
６５ 第三分岐管
６３ａ 第一開口部
６４ａ 第二開口部
６５ａ 第三開口部
６６ 第一パッキング
６７ 第二パッキング
６８ 第三パッキング
６９ 第四パッキング
７０ 第五パッキング
７１ 孔
Ｌ１ 第一開口部と第二開口部、第二開口部と第三開口部間の間隔（距離）
第一分岐管と第二分岐管、第二分岐管と第三分岐管の間隔（距離）
Ｌ２ 第一パッキングと第二パッキング、第三パッキングと第四パッキング、第四パッキングと第五パッキングの間隔（距離）
Ｌ３ 第二パッキングと第三パッキングの間隔（距離）
Ｌ４ 外筒１下端から係合部（凸部）２ｂの上端の間隔（距離）
Ｌ５ 外筒１の係合部（溝）１ｂの深さ
Ｗ１ 係合部（凸部）２ｂの幅
Ｗ２ 係合部（溝）１ｂ
Ｓ 空間
ＳＮ 逃げ空間
【技術分野】
【０００１】
本発明は、初流血液を採取するとともに、検査用血液の採取を容易に行うことのできる採血器具とスライド式流路切替手段及び多方活栓に関する。スライド式流路切替手段及び多方活栓は、採血器具以外の医療分野、その他の一般産業分野にも利用できる。
【背景技術】
【０００２】
採血針から採取した血液を血液バッグに導入する際、供血者の穿刺位置をアルコール等で消毒を行うが、消毒を行なっても、皮膚や皮下に存在する細菌が採取した血液の中に混入することがある。
混入した細菌は、細菌の種類によっては、血液バッグを保存している間にも増殖し、細菌の増殖に気づくことなく輸血などに用いられると輸血された患者に感染症などを引き起こし、重篤な事態となるおそれもある。
そこで、採取された血液の細菌汚染防止を図ることができるように、特に採血時の初流の血液を除去するシステムが発明されるようになった。
【０００３】
特許文献１から特許文献４には、血液を採取する採血針と、採取された血液を収納する採血バッグと、一方端が採血バッグに他方端が採血針にそれぞれ連通し、採取された血液を採血バッグへ導入する第１の流路（採血チューブ）と、分岐部を介して第１の流路から分岐し、末端に血液の取り出し口を有する第２の流路（初流血液チューブ）を有し、分岐部と採血バッグの間の第１の流路（採血チューブ）に、流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）を装着した採血用器具の発明が開示されている。
【０００４】
中でも特許文献２と特許文献３は、第１の流路（採血チューブ）の流路用封止手段として、外付けのクランプを使用した場合、作業者のクランプの閉め忘れ、これに伴う採血バッグへの採血初流の混入を確実に防止するために、流路用封止手段として、破断すると流路が開通する封止部材を使用するのが良いと明記されている。
【０００５】
特許文献１から特許文献４の発明では、（１）初流血液の採血初流除去バッグ等へ採血、（２）第２の流路（初流血液チューブ）のクランプ等による閉塞、（３）採血バッグへ至る第１の流路（採血チューブ）の解放（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材等）、（４）採血終了後の第１の流路（採血チューブ）の閉塞（クランプをかける）等の作業が必要であった。（１）から（４）の作業手順では、（２）閉塞、（３）解放の順番を間違えることが懸念され、順番を間違えると製剤の無菌保証が低下し、閉塞までの操作が遅くなるため採血初流除去バッグ等への採血が過量になる懸念がある。
また特許文献２と特許文献３のように、分岐部と採血バッグの間の第１の流路（採血チューブ）に、破断すると流路が開通する封止部材を装着する手段では、（１）破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念がある。（２）第１の流路（採血チューブ）内に配置するため、第１の流路（採血チューブ）と異なる管状部材内に配置して、第１の流路（採血チューブ）に接続しないといけないので、構成が複雑になる。
【０００６】
【特許文献１】特許３３６１４４０（特許請求の範囲、図１、９、１０）
【特許文献２】特許３７７６２２７（特許請求の範囲、図１、２、１１から１３）
【特許文献３】特許３８１３９７４（特許請求の範囲、図１、２、５）
【特許文献４】特開２００１−１７５３９（特許請求の範囲、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献１から特許文献４の（１）から（４）の作業手順では、（２）閉塞、（３）解放の順番を間違えることが懸念され、作業者の操作ミスを防止できない懸念がある点である。
また特許文献２、３のように、破断すると流路が開通する封止部材を装着する手段では、（１）破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念がある。（２）第１の流路（採血チューブ）の構成が複雑になる等の点である。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
［１］本発明は、供血者より血液を採取する採血針（８）と、
採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、
一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、
当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、
前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、
当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）を提供する。
［２］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、
初流血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、初流血液チューブ（Ｔ２）へ流す時は、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）の流路を遮断し、
初流血液採取後の血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、
採血バッグ（４）へ採取する時は、初流血液チューブ（Ｔ２）の流路を遮断する［１］に記載の採血器具（１）。
［３］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成される多方活栓（３０）であり、
前記栓体（３４）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有する［１］または［２］に記載の採血器具（１）を提供する。
［４］本発明は、前記多方活栓（３０）に、栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した［３］に記載の採血器具（１）を提供する。
［５］本発明は、逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）で［４］に記載の採血器具（１）を提供する。
【０００９】
［６］本発明は、流路切替手段（Ｖ）は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成されるスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）であり、
前記内筒（６２）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通する［１］または［２］に記載の採血器具（１）を提供する。
［７］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に、係合部（６１ｂ）が形成され、前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された［１］から［２］、［６］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［８］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている［１］から［２］、［６］から［７］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［９］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている［１］から［２］、［６］から［８］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
［１０］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている［１］から［２］、［６］から［９］のいずれか１項に記載の採血器具（１）を提供する。
【００１０】
［１１］本発明は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成され、
前記内筒（６２）は、前記分岐管（６３、６４、６５）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通するスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）を提供する。
［１２］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に係合部（６１ｂ）が形成され、前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通し、
前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された［１１］に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）を提供する。
［１３］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている［１１］または［１２］に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）を提供する。
［１４］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている［１１］から［１３］のいずれか１項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）を提供する。
［１５］本発明は、前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている［１１］から［１４］のいずれか１項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）を提供する。
【００１１】
［１６］本発明は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成され、
前記栓体（３４）は、前記分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有し、
前記栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した多方活栓（３０）を提供する。
［１７］本発明は、前記逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である［１６］に記載の多方活栓（３０）を提供する。
【発明の効果】
【００１２】
本発明の採血器具は、特許文献１から特許文献４に記載の分岐部を、流路切替手段Ｖとし、当該流路切替手段Ｖに、特許文献１から特許文献４に記載の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材等）の機能を付与したので、（１）作業者のクランプの閉め忘れ、これに伴う採血バッグへの採血初流の混入や、破断が速やかにできないとか、封止部材の破断片が発生したりする懸念が解消できる。（２）第１の流路（採血チューブ）の構造も簡略化できる。
（３）また特許文献１から特許文献４に記載の発明では、初流血液の採取から血液の採取に移行する時、第２の流路（初流血液チューブ）を流路用封止手段（外付けのクランプ）で閉塞し、さらに第１の流路（採血チューブ）の流路用封止手段（外付けのクランプ）を開放する等、二ステップの操作が必要であるが、本発明は、流路切替手段Ｖを切り替えるのみで済むので、これらの操作がワンステップで容易となるとともにどちらかの操作を忘れる等の操作ミスを防止できる。（４）また特許文献１から特許文献４に記載の発明では、第１の流路（採血チューブ）と第２の流路（初流血液チューブ）に、複数の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）を装着する旨が記載されているが、本発明では、これらの流路用封止手段を、全て廃止し、一つの流路切替手段Ｖで、複数の流路用封止手段の役割を代替することができる。
（５）操作する部分が一か所なので操作が単純化され操作ミスが減る。
（６）すべての操作を片手で行うことができる（特許文献２、３の破断すると流路が開通する封止部材は両手が必要）。
（７）特許文献１から４の複数の流路用封止手段（外付けのクランプ、破断すると流路が開通する封止部材）と分岐管の働きを一つの部品にまとめるため組立工数が減り、製品全体がシンプルになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１は、本発明の採血器具１の概略図、図２から図１５は、流路切替手段Ｖの一例とその使用例を示す概略図である。
［採血器具１］
本発明の採血器具１は、図１に例示するように、供血者より血液を採取する採血針８と、採取された血液を収納する採血バッグ４と、一方端が前記採血バッグ４に他方端が前記採血針８にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ４へ導入する採血チューブＴ１と、当該採血チューブＴ１から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブＴ２とを有する採血器具であって、前記採血チューブＴ１の途中に、当該採血チューブＴ１と前記初流血液チューブＴ２の流路切替手段Ｖを配置し、当該流路切替手段Ｖに、初流血液チューブＴ２の端部を接続している。
【００１４】
さらに詳述すれば、採血器具１は、例えば図１に示すように、採血バッグ４、採血初流除去セット２、血液フィルタ３、第１子バッグ５、第２子バッグ６及び赤血球保存液入バッグ７から構成される。
採血バッグ４の上流には、採血チューブＴ１が接続されている。採血チューブＴ１には、先端（上流）からその途中にわたって、採血針８、流路切替手段Ｖが接続・配置されている。流路切替手段Ｖには、初流血液導入チューブＴ２を介して採血初流除去セット２が接続される。
さらに採血バッグ４の下流には、連結チューブＴ３を介して血液フィルタ３及び第１子バッグ５を接続している。さらに第１子バッグ５は、連結チューブＴ４、接続管１３、連結チューブＴ５、Ｔ６を介して、第２子バッグ６、赤血球保存液入バッグ７を接続している。
採血バッグ４及び赤血球保存液入りバッグ７には、採血時または輸血保存時における血液の凝固の防止または保存のために、例えばＡＣＤ液、ＣＰＤ液、ＭＡＰ液のような抗凝固剤または赤血球保存液を収納している。
採血初流除去バッグＢ及び採血バッグ４のバッグ類を構成する材料として、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の可撓性合成樹脂が用いられる。
【００１５】
［流路切替手段Ｖ］
本発明に使用する「流路切替手段Ｖ」とは、初流血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖを経て、初流血液チューブＴ２へ流す時は、採血バッグ４側の採血チューブＴ１の流路を遮断し、初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖを経て、採血バッグ４へ採取する時は、初流血液チューブＴ２の流路を遮断するものを意味する。
本発明に使用する流路切替手段Ｖの一例として、例えば図２から図４に例示する多方活栓３０が挙げられる。
多方活栓３０は、外周に第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃを有する筒状の本体３１と、栓体３４とから構成される。
栓体３４は、本体３１内に回動自在に嵌合し、採血針８側の採血チューブＴ１が、初流血液導入チューブＴ２と連通し、採血針８側の採血チューブＴ１が、採血バッグ４側の採血チューブＴ１と連通する少なくとも二つの流路（第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ）を有する。
第一分岐管３３ａと第二分岐管３３ｂは、それぞれ採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１に接続され、第三分岐管３３ｃは、採血初流チューブＴ２に接続されている。
図２は、採血針８側の採血チューブＴ１が、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、初流血液導入チューブＴ２と連通している状態（以下、この初期状態という）を示す。
図３（図２の状態から栓体３４を左に９０°回動した状態）は、採血針８側の採血チューブＴ１が、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、採血バッグ４側の採血チューブＴ１と連通している状態を示す。
図４（図３の状態から栓体３４を左に９０°回動した状態、図２の状態から栓体３４を左に１８０°回動した状態）は、採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ、初流血液導入チューブＴ２の各流路が全て遮断された状態を示している。
【００１６】
さらに流路切替手段Ｖ（多方活栓３０）には、発展させて、図５から図１２に例示するように、栓体３４の逆操作防止部材付きの多方活栓３０Ａとすることができる。
図５は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の外観斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図６は、栓体３４の外観斜視図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］。
図７は、本体３１の全体斜視図。
図８は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図９は、栓体３４の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］。
図１０は、本体３１の透視斜視図。
図１１は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）のＡ−Ａ縦断面図。
図１２は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［初期状態（図２に対応）］。
図１３は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］。
図１４は、流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に１８０°回動した状態（図３対応）］である。
【００１７】
多方活栓３０Ａは、図２から図４に例示した多方活栓３０（外周に第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃを有する筒状の本体３１と、栓体３４とから構成される）に、「逆操作防止部材」を付加したものである。
「逆操作防止部材」とは、図６、９、１０、図１２から図１４に例示するように、例えば本体３１の内壁に形成された「突起４１」と栓体３４の外壁に形成された「係止部材４２」で、「突起４１」と「係止部材４２」の係合により、例えば左方向に回動した場合は、逆方向の右方向に回動できないようにしている。なお、あえて図示しないが、本体３１の内壁に係止部材４２を形成しても良いし、栓体３４の外壁に突起４１を形成しても良い。
さらに多方活栓３０Ａについて詳述する。
本体３１は、図５、図７、図１１に例示するように、円筒状に形成され、上部壁面ＵＷ、側部壁面ＳＷ及び下部壁面ＬＷを有する。上部壁面ＵＷの略中央部に、孔３１Ｈが形成されている。
さらに側壁ＳＷの上部位置に、第一から第三の三つの分岐管３３ａ、３３ｂ、３３ｃが装着されている。
また側部壁面ＳＷの内壁に複数の突起４１を形成している。
栓体３４は、図６、図９に例示するように、上部にハンドル３４を装着し、下部に軸５０を中心として回動するロータ５１を装着している。
さらにロータ５１の外壁に図１２から図１４に例示するように、ヒゲ状に突出した係止部材４２を装着している。さらに係止部材４２の端部には、係合部４２Ｔ２を形成している。
さらに内部に第一流路３６ａと第二流路３６ｂを形成している。
ロータ５１は、軸５０（固定ピン）により本体３１の底部に装着されている（嵌め込まれている）。
ロータ５１は、略ドーナツ状の溝５２が形成され、略ドーナツ状の溝５２が、図１１のように回転角度制御部材（固定ピン）４２Ｔ１にかぶさるように、本体３１に取り付けられている。ロータ５１は、略ドーナツ状の溝５２の範囲内で回転する。
図１２から図１４の例示では、係止部材４２の係合部４２Ｔ２と突起４１が係合し、いわゆる「係止（ラッチ）構造」となるため、一方向（左方向）のみしか回転しない。
図１２が初期状態で、図１３は図１２の状態から左に９０°回転した状態、図１４は図１３の状態からさらに左に９０°回転した状態を示す。
図１２及び図１３の例示では、突起４１と係止部材４２の係合部４２Ｔ２は、「係止（ラッチ）構造」となっているため、右へ回転することがない。
図１４の状態では、これにあわせてロータ５１の溝５２の右側終端が、回転角度制御部材（固定ピン）４２Ｔ１に衝突するため、これ以上左に回転できない。この状態で流路は全て閉塞状態であり、誤った操作による流路の開放を防止できる。
以上によりロータ５１が１８０°以上左に回転することを防止することができる。すなわち一周回って元通りの位置に戻るという誤動作を防止することができる。
【００１８】
［採血器具１の使用例１］
（１）初流血液の採血
流路切替手段Ｖの流路は、図２に例示するように調整された状態で提供される。
採血針８側の採血チューブＴ１と初流血液チューブＴ２は、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを介して連通し、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂと採血バッグ４側の採血チューブＴ１の流路を遮断した状態にする。
供血者に採血針８を穿刺して、初流血液を採血針８、採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂ、初流血液チューブＴ２を経て、採血初流除去バッグＢに採取する。
（２）採血バッグ４への血液の採取
初流血液の採取が規定量に達した時点で、流路切替手段Ｖの流路を、図３（栓体３４を図２の位置から、左に９０°回転させた状態）に例示するように調整する。
採血針８側の採血チューブＴ１と採血バッグ４側の採血チューブＴ１は、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを介して連通し、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂと初流血液チューブＴ２の流路を遮断した状態にする。
初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを経て、採血バッグ４へ採取する。
（３）最後に、図４のように（栓体３４を図３の位置から、左に９０°回転させた状態）、採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１、初流血液チューブＴ２、流路切替手段Ｖの第一流路３６ａ、第二流路３６ｂを全て閉塞し、バッグ本体２１の血液溜内に貯留した血液を、バッグ本体２１の出口に接続される真空採血管ホルダ２２から真空採血管へと採取する。
【００１９】
［スライド式流路切替手段］
本発明に使用する流路切替手段Ｖの一例として、例えば図１５から図１９に例示するスライド式流路切替手段６０が挙げられる。
図１５から図１９は、スライド式流路切替手段６０の概略とその使用例の一例を示す。（図１５から図１７は縦断面図、図１８は内筒６０を装着した外筒６１の斜視図、図１９は内筒６２の斜視図）である。
スライド式流路切替手段６０は、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
【００２０】
［外筒６１］
外筒６１は、図１５、１８に例示するように、上部と下部が開放され、略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲には、第一から第三の三つの分岐管６３、６４、６５が実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６４、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６４ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒６２を装着した場合は、内筒６２の凹部６２ａ（流路）］と連通している。
分岐管６３、６４、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａも実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一から第３開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの各間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００２１】
［内筒６２］
図１４に例示するように、内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２の略中腹部から上部の間に凹部６２ａが形成され、外筒６１内に装着すると、図１５に例示するように当該凹部６２ａが流路として機能する。
凹部６２ａの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに凹部６２ａの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
また第二パッキング６７と第三パッキング６８の間隔（距離ともいう）Ｌ３は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）より実質的に約二倍の間隔（距離）に形成されている。
図１５から１９の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。
なお内筒６２の上部と下部は、閉塞していてもよいし、開放されていてもよい。
【００２２】
図１５は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第二開口部６４ａ及び第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一から第三開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通している。
【００２３】
図１６は、図１５の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａ及び第二開口部６４ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００２４】
図１７は、図１６の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一から第３開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第二開口部６４ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第四パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００２５】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、図１５では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、図１６では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。図１７ではすべての流路が閉塞する。
図１７で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００２６】
［採血器具１の使用例２］
流路切替手段Ｖとして、スライド式流路切替手段６０を使用した場合の一例について説明する。図１５から図１７に例示するように、第一分岐管６３は、採血チューブＴ１を介して、採血バッグ４に接続され、第二分岐管６４は、採血チューブＴ１を介して、採血針８に接続され、第三分岐管６５は、初流血液チューブＴ２を介して、採血初流除去バッグＢに接続されている。
（１）初流血液の採血
流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の流路を、図１５に例示するように調整する。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路を、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通させ、第一分岐管６３の流路を第一パッキング６６と第二パッキング６７により第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶し、閉塞状態にする。
すなわち、採血針８側の採血チューブＴ１と初流血液チューブＴ２は、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第三開口部６５ａ、第三分岐管６５を経て、連通させ、第一分岐管６３の流路を、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路と遮断した状態にする。
供血者に採血針８を穿刺して、初流血液を採血針８、採血チューブＴ１、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第三開口部６５ａ、第三分岐管６５、初流血液チューブＴ２を経て、採血初流除去バッグＢに採取する。
（２）採血バッグ４への血液の採取
初流血液の採取が規定量に達した時点で、流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の流路を、図１６に例示するように調整する。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路を、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通させ、第三分岐管６５の流路を、第三パッキング６８と第四パッキング９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶して、閉塞状態にする。
すなわち採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１は、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第一開口部６３ａ、第１分岐管６３を経て、連通し、第三分岐管６５の流路を、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路と遮断した状態にする。
初流血液採取後の血液を、採血針８から採血チューブＴ１、スライド式流路切替手段６０の第二分岐管６４、第二開口部６４ａ、流路６２ａ、第一開口部６３ａ、第一分岐管６３、採血チューブＴ１を経て、採血バッグ４に採取する。
（３）最後に、図１７のように、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路を、第三パッキング６８により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路を、第四パッキング６９によりそれぞれ隔絶し、閉塞状態にする。
すなわち、採血針８側と採血バッグ４側の採血チューブＴ１、初流血液チューブＴ２、流路切替手段Ｖ（スライド式流路切替手段６０）の第一分岐管６３、第二分岐管６４、第三分岐管６５の各流路を全て閉塞し、バッグ本体２１の血液溜内に貯留した血液を、バッグ本体２１の出口に接続される真空採血管ホルダ２２から真空採血管へと採取する。
【００２７】
［その他のスライド式流路切替手段］
図１５から図１９に例示したスライド式流路切替手段６０の代わりに、例えば
（１）図２０（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２１（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、
（２）図２２（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２３（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
（３）図２４（Ａ）、（Ｂ）から図２５（Ａ）、（Ｂ）
（４）図２６（Ａ）、（Ｂ）から図２７（Ａ）、（Ｂ）
（５）図２８（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図２９（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
（６）図３０（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）から図３１（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）
に例示したスライド式流路切替手段６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅも使用できる。
図２０、２２、２４、２６、３０は断面図、図２１、図２３、図２５、図２７、図２９、図３１は外観斜視図である。
【００２８】
［スライド式流路切替手段６０Ａ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ａの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じ機能を有する部分は、図１５から図１９に例示したスライド式流路切替手段６０と同じ符号を使用する。
図２０（図２１）のスライド式流路切替手段６０Ａは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
［外筒６１］
外筒６１は、図２０から図２１に例示するように、上部は上部空間Ｓの空気抜用（圧逃用）の孔７１を形成する以外は実質的に閉塞し、下部は開放されている。
略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｄ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一と第三開口部６３ａ、６５ａの間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００２９】
［内筒６２］
内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２内部には、下部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、略上部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の下部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに開口部６２ｄの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
図２０（２１）の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。なお内筒６２の上部は閉塞されている。
【００３０】
図２０（図２１）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一開口部６３ａと第三開口部の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
【００３１】
図２０（図２１）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００３２】
図２０（図２１）（Ｃ）は、（Ｂ）の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一開口部６３ａと第三開口部６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間に、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第三パッキング６８と第四パッキング６９、第四パッキング６９と第五パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００３３】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。（Ｃ）ではすべての流路が閉塞する。
（Ｃ）で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００３４】
［スライド式流路切替手段６０Ｂ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｂの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０、６０Ａと実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａと同じ符号を使用する。
図２２（図２３）のスライド式流路切替手段６０Ｂは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
図２０（図２１）のスライド式流路切替手段６０Ａは、内筒６２の下部（内筒６２を押す側）に採血チューブＴ１を接続する構造となっているので、内筒６２を押すときに、採血チューブＴ１が障害になるが、図２２（図２３）のスライド式流路切替手段６０Ｂは、内筒６２の上部にチューブＴ１を接続する構造とし、下部（内筒６２を押す側）に採血チューブＴ１を接続しないので、操作性が向上する。
［外筒６１］
外筒６１は、図２２から図２３に例示するように、上部と下部は開放されている。略下部に係合部（溝）６１ｂが形成されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｄ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
また係合部（溝）６１ｂの深さＬ５は、第一と第三開口部６３ａ、６５ａの間隔（距離）Ｌ１と実質的に同じとなるよう形成されている。
【００３５】
［内筒６２］
内筒６２の略下部の側部には、係合部（凸部）６２ｂが形成されている。
内筒６２内部には、上部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、流路６２ｃ下部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の上部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、二つの第一パッキング６６と第二パッキング６７が装着されている。これらの間隔（距離ともいう）Ｌ２は、前記外筒１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じに形成されている。
さらに開口部６２ｄの下部には、三つの第三パッキング６８、第四パッキング６９及び第五パッキング７０が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
また係合部（凸部）６２ｂの幅Ｗ１は、外筒６１の係合部（溝）６１ｂの幅Ｗ２より若干狭く形成されている。
図２２から２３の例示では、内筒６２の係合部６２ｂは凸部にしているが、溝にしてもよい。この場合、外筒６１の係合部６１ｂ（溝）は、凸部となる。なお内筒６２の下部は閉塞されている。
【００３６】
図２２（図２３）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６と第二パッキング６７間に、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
このとき、外筒６１下端から係合部（凸部）６２ｂ上端の間隔（距離ともいう）Ｌ４は第一開口部６３ａと第三６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
【００３７】
図２２（図２３）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の係合部６２ｂを外筒６１の下端に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００３８】
図２２（図２３）（Ｃ）は、（Ｂ）の状態から内筒６２を回転させ係合部（凸部）６２ｂを係合部（溝）６１ｂに係合させて、係合部（溝）６１ｂの上端に係合部（凸部）６２ｂの上端が触れるまで挿入した状態を示す。
このとき外筒６１の下端から係合部（溝）６１ｂの上端までの長さ（係合部（溝）６１ｂの深さ）Ｌ５は第一開口部６３ａと第三開口部６５ａの間隔（距離ともいう）Ｌ１と実質的に同じである。
第一開口部６３ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間に、第三開口部６５ａは第四パッキング６９と第五パッキング７０の間にある。
このとき第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第三パッキング６８と第四パッキング６９、第四パッキング６９と第五パッキング６９によりそれぞれ隔絶されているため連通せず、それぞれが閉塞した状態である。
【００３９】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。（Ｃ）ではすべての流路が閉塞する。
（Ｃ）で内筒６２を外筒６１へ挿入すると内筒６２がすべて外筒６１に覆われるため内筒６２を抜き取る方向への操作を禁止できる。これにより、いったん閉塞した通路が再び解放されることを防止することができる。
【００４０】
［スライド式流路切替手段６０Ｃ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｃの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と同じ符号を使用する。
図２４（図２５）のスライド式流路切替手段６０Ｃは、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
［外筒６１］
外筒６１は、図２５から図２６に例示するように、上部は閉塞され、下部は開放されている。
外筒６１の周囲（側部）には、第一と第三の二つの分岐管６３、６５が実質的に間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒２を装着した場合は、内筒２の通路６２ｃ］と連通している。
分岐管６３、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６５ａの略中心と同じである。このため各開口部６３ａ、６５ａも実質的に同じ間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
【００４１】
［内筒６２］
内筒６２内部には、下部から略上部の間に流路６２ｃが形成され、外筒６１内に装着すると、略上部の開口部６２ｄを経て、外筒６１の第一開口部６３ａまたは第三開口部６５ａと連通する。
内筒６２の下部には、第二分岐管６４が形成され、第二開口部６４ａを経て流路６２ｃと連通する。
開口部６２ｄの上部には、第二パッキング６７が装着されている。さらに開口部６２ｄの下部には、二つの第三パッキング６８、第四パッキング６９が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
なお内筒６２の上部は閉塞されている。
【００４２】
図２４（図２５）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第一パッキング６６の上、第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二開口部６４ａ、流路６２ｃ、開口部６２ｄ、第三開口部６５ａを経て、連通している。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００４３】
図２４（図２５）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の上部が外筒６１の上部に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第一開口部６３ａ、開口部６２ｄ、流路６２ｃ、第二開口部６４ａを経て、連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００４４】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。
【００４５】
［スライド式流路切替手段６０Ｄ］
以下、スライド式流路切替手段６０Ｄの説明で、使用する符号の複雑化を回避するために、スライド式流路切替手段６０等と実質的に同じ機能を有する部分は、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ等と同じ符号を使用する。
図２６（図２７）のスライド式流路切替手段６０は、外筒６１と内筒６２とから構成され、内筒６２は外筒６１内にスライドないし回動できるように装着される。
【００４６】
［外筒６１］
外筒６１は、図２６、２７に例示するように、上部が閉塞され下部は開放されている。
外筒６１の周囲には、第一から第三の三つの分岐管６３、６４、６５が実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で装着され、当該各分岐管６３、６４、６５は、それぞれ開口部６３ａ、６４ａ、６５ａを経て、外筒６１の内部空間［内筒６２を装着した場合は、内筒６２の凹部６２a（流路）］と連通している。
分岐管６３、６４、６５の装着位置の略中心は、実質的に各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａの略中央と同じである。このため各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａも実質的に等間隔（距離ともいう）Ｌ１で形成されている。
【００４７】
［内筒６２］
内筒６２の略中腹部から上部の間に凹部６２ａが形成され、外筒６１内に装着すると、当該凹部６２ａが流路として機能する。
凹部６２ａの上部には、第二パッキング６７が装着されている。さらに凹部６２ａの下部には、二つの第三パッキング６８、第四パッキング６９が装着されている。
これらの間隔（距離Ｌ２）は、前記外筒６１の各開口部６３ａ、６４ａ、６５ａ間の間隔（距離Ｌ１）と実質的に同じに形成されている。
なお内筒６２の上部は閉塞したほうが好ましく、下部は閉塞していてもよいし開放されていてもよい。
【００４８】
図２６（２７）（Ａ）は、内筒６２を外筒６１内に挿入した初期状態を示す。
第一開口部６３ａは第二パッキング６７の上に、第二開口部６４ａ及び第三開口部６５ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８の間にある。
第一分岐管６３の流路は、第一パッキング６６と第二パッキング６７により、第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
第二分岐管６４と第三分岐管６５の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている流路６２ａによって連通している。
【００４９】
図２６（２７）（Ｂ）は、（Ａ）の状態から内筒６２を上方向にスライドさせ、内筒６２の上部が外筒６１の上部に触れるまで挿入した状態を示す。
第一開口部６３ａ及び第二開口部６４ａは第二パッキング６７と第三パッキング６８間に、第三開口部６５ａは第三パッキング６８と第四パッキング６９の間にある。
第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路は、第二パッキング６７と第三パッキング６８に挟まれている液体通路６２ａによって連通している。
第三分岐管６５の流路は第三パッキング６８と第四パッキング６９により、第一分岐管６３と第二分岐管６４の流路から隔絶されているため閉塞状態である。
【００５０】
例えば、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路または第三分岐管６５の流路へ液体が流れることを切り替えるとすると、図２６（２７）（Ａ）では、第二分岐管６４の流路から第三分岐管６５の流路へ流れ、図２６（２７）（Ｂ）では、第二分岐管６４の流路から第一分岐管６３の流路へ流れる。
【００５１】
［スライド式流路切替手段６０Ｅ］
図２８（２９）スライド式流路切替手段６０Ｅは、図１５から図１９のスライド式流路切替手段６０の第一パッキング６６を省略したものである。
図２８（２９）（Ａ）は、図１５、図２８（２９）（Ｂ）は、図１６、図２８（２９）（Ｃ）は、図１７の状態に対応する。
スライド式流路切替手段６０Ｅのスライド式流路切替手段６０と異なる点は、外筒６１の上部が閉塞されているため、この状態から第一分岐管６３、第二分岐管６４及び第三分岐管６５の全ての流路が「閉塞状態」になるまで押し込もうとすると、外筒６１上部の空間Ｓが圧縮されて陽圧になり内筒６２が押し戻されてしまう。そこで、上部の空間が圧縮され圧縮されて陽圧にならないように外筒６１上側部に「逃げ空間ＳＮ」を設けている。
これら以外の構造、操作方法は、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【００５２】
［スライド式流路切替手段６０Ｆ］
図３０（３１）スライド式流路切替手段６０Ｆは、図２０（２１）のスライド式流路切替手段６０Ａの第一パッキングを省略したものである。
図３０（３１）（Ａ）は、図２０（２１）の状態に対応する。
スライド式流路切替手段６０Ｆのスライド式流路切替手段６０Ａと異なる点は、スライド式流路切替手段６０Ｅと同様の理由により、外筒６１上側部に「逃げ空間ＳＮ」を設けた点である。
これら以外の構造、操作方法は、スライド式流路切替手段６０Ａと実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【００５３】
スライド式流路切替手段６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆは、スライド式流路切替手段６０にかえて、図１の採血器具１に使用する場合、［００１５］で説明したように、スライド式流路切替手段６０と実質的に同じ様に使用できるので、詳細な説明は省略する。
【００５４】
スライド式流路切替手段６０Ｃ、６０Ｄは、スライド式流路切替手段６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆと比較して、第一分岐管６３、第二分岐管６４、第三分岐管６５の全ての流路を同時に閉塞できないので、図１の採血器具１に使用する場合、採血針８側または採血バッグ側４のどちらか一方のチューブＴ１の途中にクランプ等の流路閉塞手段を配置する。
【００５５】
スライド式流路切替手段６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆにおいて、各パッキング６６、６７、６８、６９、７０は、液密性を維持できるものであれば何でも良く、外筒６１と内筒６２とは、別部品として、外筒６１と内筒６２の間に配置しても良いし、内筒６２に当初から一体成形しても良い。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明の採血器具の概略図
【図２】流路切替手段の一例を示す概略図
【図３】流路切替手段の一例を示す概略図
【図４】流路切替手段の一例を示す概略図
【図５】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の外観斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図６】栓体３４の外観斜視図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）］
【図７】本体３１の全体斜視図
【図８】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図９】栓体３４の透視斜視図［初期状態（図２に対応）］
【図１０】本体３１の透視斜視図
【図１１】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）のＡ−Ａ縦断面図
【図１２】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［初期状態（図２に対応）］
【図１３】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に９０°回動した状態（図３対応）。
【図１４】流路切替手段Ｖ（多方活栓３０Ａ）の横断面図［栓体３４を左に１８０°回動した状態（図３対応）］
【図１５】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１６】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１７】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図１８】内筒を装着した外筒の斜視図
【図１９】内筒の斜視図
【図２０】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２１】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２２】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２３】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２４】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２５】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２６】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２７】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図２８】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図２９】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【図３０】スライド式流路切替手段の一例を示す縦断面図
【図３１】スライド式流路切替手段の一例を示す外観斜視図
【符号の説明】
【００５７】
１ 採血器具
２ 採血初流除去セット
Ｂ 採血初流除去バッグ
３ 血液フィルタ
４ 採血バッグ
５ 第１子バッグ
６ 第２子バッグ
７ 赤血球保存液入バッグ
８ 採血針
１０ 針カバー
１１ａ、１１ｂ、１１ｃ クランプ
１３ 接続管
２１ バッグ本体
２２ 真空採血管ホルダ
２３ （初流血液の）入口
２４ （初流血液の）出口
２５ （初流血液の）採取針
２６ シース
Ｖ 流路切替手段
３０、３０Ａ 多方活栓
３１ 本体
ＵＷ 上部壁
ＬＷ 下部壁
ＳＷ 側壁
３３ａ 第一分岐管
３３ｂ 第二分岐管
３３ｃ 第三分岐管
３４ 栓体
３４Ｈ ハンドル
３６ａ 第一流路
３６ｂ 第二流路
４１ 突起
４２ 係止部材
４２Ｔ１ 回転角度制御部材（固定ピン）
４２Ｔ２ 係合部
５０ 軸（固定ピン）
５１ ロータ
５２ 溝
Ｔ１ 採血チューブ
Ｔ２ 初流血液導入チューブ
Ｔ３、Ｔ４、Ｔ５、Ｔ６ 連結チューブ
６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ スライド式流路切替手段
６１ 外筒
６１ｂ 係合部（溝）
６２ 内筒
６２ａ 凹部［（液体）流路］
６２ｂ 係合部（凸部）
６２ｃ 流路
６２ｄ 開口部
６３ 第一分岐管
６４ 第二分岐管
６５ 第三分岐管
６３ａ 第一開口部
６４ａ 第二開口部
６５ａ 第三開口部
６６ 第一パッキング
６７ 第二パッキング
６８ 第三パッキング
６９ 第四パッキング
７０ 第五パッキング
７１ 孔
Ｌ１ 第一開口部と第二開口部、第二開口部と第三開口部間の間隔（距離）
第一分岐管と第二分岐管、第二分岐管と第三分岐管の間隔（距離）
Ｌ２ 第一パッキングと第二パッキング、第三パッキングと第四パッキング、第四パッキングと第五パッキングの間隔（距離）
Ｌ３ 第二パッキングと第三パッキングの間隔（距離）
Ｌ４ 外筒１下端から係合部（凸部）２ｂの上端の間隔（距離）
Ｌ５ 外筒１の係合部（溝）１ｂの深さ
Ｗ１ 係合部（凸部）２ｂの幅
Ｗ２ 係合部（溝）１ｂ
Ｓ 空間
ＳＮ 逃げ空間
【特許請求の範囲】
【請求項１】
供血者より血液を採取する採血針（８）と、
採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、
一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、
当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、
前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、
当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）。
【請求項２】
流路切替手段（Ｖ）は、
初流血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、初流血液チューブ（Ｔ２）へ流す時は、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）の流路を遮断し、
初流血液採取後の血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、
採血バッグ（４）へ採取する時は、初流血液チューブ（Ｔ２）の流路を遮断する請求項１に記載の採血器具（１）。
【請求項３】
流路切替手段（Ｖ）は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成される多方活栓（３０）であり、
前記栓体（３４）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有する請求項１または請求項２に記載の採血器具（１）。
【請求項４】
前記多方活栓（３０）に、栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した請求項３に記載の採血器具（１）。
【請求項５】
逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である請求項４に記載の採血器具（１）。
【請求項６】
流路切替手段（Ｖ）は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成されるスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）であり、
前記内筒（６２）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通する請求項１または請求項２に記載の採血器具（１）。
【請求項７】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に、係合部（６１ｂ）が形成され、前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された請求項１から２、６のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項８】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている請求項１から２、６から７のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項９】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている請求項１から２、６から８のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項１０】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている請求項１から２、６から９のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項１１】
外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成され、
前記内筒（６２）は、前記分岐管（６３、６４、６５）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通するスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）。
【請求項１２】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に係合部（６１ｂ）が形成され、前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通し、
前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された請求項１１に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）。
【請求項１３】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている請求項１１または請求項１２に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）。
【請求項１４】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている請求項１１から１３のいずれか１の請求項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）。
【請求項１５】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている請求項１１から１４のいずれか１の請求項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）。
【請求項１６】
外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成され、
前記栓体（３４）は、前記分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有し、
前記栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した多方活栓（３０）。
【請求項１７】
前記逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である請求項１６に記載の多方活栓（３０）。
【請求項１】
供血者より血液を採取する採血針（８）と、
採取された血液を収納する採血バッグ（４）と、
一方端が前記採血バッグ（４）に他方端が前記採血針（８）にそれぞれ連通し、前記採取された血液を前記採血バッグ（４）へ導入する採血チューブ（Ｔ１）と、
当該採血チューブ（Ｔ１）から分岐し、前記採取された血液の初流を除去する初流血液チューブ（Ｔ２）とを有する採血器具であって、
前記採血チューブ（Ｔ１）の途中に、当該採血チューブ（Ｔ１）と前記初流血液チューブ（Ｔ２）の流路切替手段（Ｖ）を配置し、
当該流路切替手段（Ｖ）に、初流血液チューブ（Ｔ２）の一端部を接続した採血器具（１）。
【請求項２】
流路切替手段（Ｖ）は、
初流血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、初流血液チューブ（Ｔ２）へ流す時は、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）の流路を遮断し、
初流血液採取後の血液を、採血針（８）から採血チューブ（Ｔ１）、流路切替手段（Ｖ）を経て、
採血バッグ（４）へ採取する時は、初流血液チューブ（Ｔ２）の流路を遮断する請求項１に記載の採血器具（１）。
【請求項３】
流路切替手段（Ｖ）は、外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成される多方活栓（３０）であり、
前記栓体（３４）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有する請求項１または請求項２に記載の採血器具（１）。
【請求項４】
前記多方活栓（３０）に、栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した請求項３に記載の採血器具（１）。
【請求項５】
逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である請求項４に記載の採血器具（１）。
【請求項６】
流路切替手段（Ｖ）は、外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成されるスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）であり、
前記内筒（６２）は、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、初流血液導入チューブ（Ｔ２）と連通し、採血針（８）側の採血チューブ（Ｔ１）が、採血バッグ（４）側の採血チューブ（Ｔ１）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通する請求項１または請求項２に記載の採血器具（１）。
【請求項７】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に、係合部（６１ｂ）が形成され、前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された請求項１から２、６のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項８】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている請求項１から２、６から７のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項９】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている請求項１から２、６から８のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項１０】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている請求項１から２、６から９のいずれか１の請求項に記載の採血器具（１）。
【請求項１１】
外周に、少なくとも二つ以上の分岐管（６３、６４、６５）を有する外筒（６１）と、
当該外筒（６１）内にスライドないし回動できるように装着される内筒（６２）とから構成され、
前記内筒（６２）は、前記分岐管（６３、６４、６５）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する流路（６２ａ、６２ｃ）を有し、
前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通するスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｄ、６０Ｅ、６０Ｆ）。
【請求項１２】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）は、
前記外筒（６１）の略下部に係合部（６１ｂ）が形成され、前記各分岐管（６３、６４、６５）は、それぞれ開口部（６３ａ、６４ａ、６５ａ）を経て、内筒（６２）の流路（６２ａ、６２ｃ）と連通し、
前記内筒（６２）の略下部に、係合部（６２ｂ）が形成された請求項１１に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｅ、６０Ｆ）。
【請求項１３】
前記スライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）は、
内筒（６２）の略中腹部から上部の間に流路（６２ａ）が形成され、
当該流路（６２ａ）の上部には、少なくとも一つ以上のパッキング（６６、６７）が装着され、
前記流路（６２ａ）の下部には、少なくとも二つ以上のパッキング（６８、６９、７０）が装着されている請求項１１または請求項１２に記載のスライド式流路切替手段（６０、６０Ｄ、６０Ｅ）。
【請求項１４】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、
内筒（６２）の上部または下部に分岐管（６４）が形成され、内筒（６２）の内部に分岐管（６４）と連通する流路（６２ｃ）が形成されている請求項１１から１３のいずれか１の請求項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）。
【請求項１５】
前記スライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）は、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも上部に、少なくとも一つのパッキング（６６、６７）が装着され、流路（６２ｃ）の開口部（６２ｄ）よりも下部に、少なくとも二つのパッキング（６６、６７）が装着されている請求項１１から１４のいずれか１の請求項に記載のスライド式流路切替手段（６０Ａ、６０Ｂ、６０Ｃ、６０Ｆ）。
【請求項１６】
外周に第一から第三の三つの分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）を有する本体（３１）と、当該本体（３１）内に回動自在に嵌合される栓体（３４）とから構成され、
前記栓体（３４）は、前記分岐管（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）に接続されたチューブ（Ｔ１、Ｔ２）と連通する少なくとも二つの第一流路（３６ａ）、第二流路（３６ｂ）を有し、
前記栓体（３４）の逆操作を防止するための逆操作防止部材を装着した多方活栓（３０）。
【請求項１７】
前記逆操作防止部材は、本体（３１）の内壁に形成された突起（４１）と栓体（３４）の外壁に形成された係止部材（４２）または本体（３１）の内壁に形成された係止部材（４２）と栓体（３４）の外壁に形成された突起（４１）である請求項１６に記載の多方活栓（３０）。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【公開番号】特開２００８−１４９０６６（Ｐ２００８−１４９０６６Ａ）
【公開日】平成２０年７月３日（２００８．７．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３４２８９２（Ｐ２００６−３４２８９２）
【出願日】平成１８年１２月２０日（２００６．１２．２０）
【出願人】（０００２０００３５）川澄化学工業株式会社 (103)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年７月３日（２００８．７．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１２月２０日（２００６．１２．２０）
【出願人】（０００２０００３５）川澄化学工業株式会社 (103)
【Ｆターム（参考）】
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