説明

接合具および接合方法

【課題】 多少芯ずれが生じても用いることができるとともに、プレキャストコンクリート部材の製作コストを低減することができる接合具を提供する。
【解決手段】 接合具1は、スリーブケース5と、複数個のスリーブ分割片6aが略円筒状に配置され、スリーブケースのスリーブ収容部5aに径方向外方に拡張可能でかつスリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材6Dが設けられ、内周面には係合溝6bが設けられているスリーブ6と、ピンケース5と、大径部14aと小径部14bとを備え、ピンケースのピン収容部5aに大径部が径方向に移動可能にかつピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、小径部が接合面から突出し、かつ小径部の先端部にスリーブの係合溝に係合可能な突条14cが形成されているピン14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗渠または開渠を構築するためのボックスカルバートなどのプレキャストコンクリート部材同士を接合する際に適用するに好適な接合具および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプレキャストコンクリート部材同士を接合する接合具としては、図8に示すようなスリーブ51とピン52とを組み合わせた接合具50が知られている。
すなわち、一方のプレキャストコンクリート部材2Aには、有底円筒状のケース53が埋設され、このケース53内にはスリーブ51が収容され、スリーブ51がケース53から抜け出ないようにケース53の開口部には蓋54が螺着されている。このスリーブ51は、複数個のスリーブ分割片55が略円筒状に配置され、ケース53の収容部56内に径方向外方に拡張可能に設けられているとともに、外周には各スリーブ分割片55を径方向内方に付勢するゴムリング57が設けられ、内周面には周方向に延びる係合溝58が形成されている。
【0003】
また、他方のプレキャストコンクリート部材2Bには、有底円筒状のケース61を埋設し、ケース61にピン52を螺着しておく。このピン52の先端部には、周方向に延びる突条62が複数形成されている。
【0004】
そして、これらのプレキャストコンクリート部材2A、2Bを互いに接合するには、ピン52の先端部をプレキャストコンクリート部材2Aのケース53内に挿入した後、プレキャストコンクリート部材2A、2Bを接近させて行き、接合面同士を当接させる。
【0005】
そうすると、ピン52の先端部がスリーブ51内に圧入される。これにより、ピン52の先端部が、ゴムリング57の付勢力に抗してスリーブ51を径方向外方に拡張しながら、スリーブ51内を前進して行き、前進移動が終了した時点で、突条62がスリーブ分割片55の係合溝58に係合されるとともに、ゴムリング57により径方向内方に締め付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の接合具にあっては、ピン52がプレキャストコンクリート部材2Bに螺着されているので、ピン52とスリーブ51との間に芯ずれがある場合には、ピン52をスリーブ51内に挿入できない。このため、プレキャストコンクリート部材2a、2Bに対するケース53やピン52の取付精度を高める必要があり、プレキャストコンクリート部材2a、2Bの製作コストが高くなるという問題がある。また、プレキャストコンクリート部材2a、2B同士を接合する際に、芯ずれが生じないようにする注意深く作業をする必要があり、接合作業に時間がかかるという問題がある。また、プレキャストコンクリート部材2a、2B同士を接合する際に、芯ずれが生じる現場においてはこの接合具を使用できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、多少芯ずれが生じても用いることができるとともに、プレキャストコンクリート部材の製作コストを低減することができる接合具および接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の接合具は、プレキャストコンクリート部材同士を接合するための接合具であって、
一方のプレキャストコンクリート部材に設けられ、このプレキャストコンクリート部材の接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のプレキャストコンクリート部材に設けられ、このプレキャストコンクリート部材の接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のプレキャストコンクリート部材の接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の接合具は、請求項1に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の接合具は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の接合方法は、プレキャストコンクリート部材同士を接合する接合方法であって、
一方のプレキャストコンクリート部材にその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のプレキャストコンクリート部材にその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のプレキャストコンクリート部材の接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記突条を前記係合溝に係合させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の接合方法は、請求項4に記載の発明において、前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の接合方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の接合具および請求項4に記載の接合方法によれば、ピンケースのピン収容部にピンの大径部が径方向に移動可能に設けられているので、ピンとスリーブとの間に多少の芯ずれがあっても、ピンをスリーブ内に圧入することができる。したがって、プレキャストコンクリート部材同士を接合する際に、ピンとスリーブとの間の多少芯ずれを許容して作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、プレキャストコンクリート部材に対するスリーブケースやピンケースの取付精度を緩和することができるので、プレキャストコンクリート部材の製作コストを低減することができる。さらに、プレキャストコンクリート部材同士を接合する際に、芯ずれが生じる現場においても、この接合具および接合方法を用いることができる。
【0015】
請求項2に記載の接合具および請求項5に記載の接合方法によれば、スリーブケースおよびピンケースに蓋を螺合するようにしたので、プレキャストコンクリート部材同士を接合する前に、蓋を外して、スリーブ収納部およびピン収容部を掃除することができる。
【0016】
請求項3に記載の接合具および請求項6に記載の接合方法によれば、スリーブケースとピンケースとを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケースあるいはピンケースを設けているプレキャストコンクリート部材の製作コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る接合具1は、図1に示すように、暗渠または開渠を構築するためのボックスカルバートなどのプレキャストコンクリート部材2A、2B同士を接合するものである。
【0018】
図1に示すように、接合具1は、異形鉄筋(アンカー筋)3が設けられたケース5を備えている。図3に示すように、ケース5は、円筒状に形成されたもので、内側の中間部および両端部にそれぞれ、円柱状の収容部5aおよび雌ねじ部5b、5cが形成されている。後端部の雌ねじ部5bの内径は、収容部5aの内径より小さく、前端部の雌ねじ部5cの内径は、収容部5aの内径と同程度の大きさに設定されている。図1に示すように、ケース5の後端部の雌ねじ部5bに異形鉄筋3の一端部に形成された雄ねじ部3bが螺合している。この異形鉄筋3付きケース5は、プレキャストコンクリート部材2A、2Bにそれぞれ埋設されている。
【0019】
プレキャストコンクリート部材2Aのケース5の収容部5a内には、スリーブ6が収容されている。図4に示すように、このスリーブ6は、両端部外周が少し大径の円筒を周方向に120°で3等分した円弧断面状の3個のスリーブ分割片6aからなるもので、各スリーブ分割片6aの内周面にはそれぞれ、周方向に延びる係合溝6bが複数形成されている。さらに、これらのスリーブ分割片6aの外周にはゴムバンド(付勢部材)6Dが設けられており、このゴムバンド6Dにより各スリーブ分割片6aがスリーブ6の径方向内方に付勢され、スリーブ6が円筒形状になっている。
【0020】
また、図1に示すように、このケース5の開口側には、蓋7がプレキャストコンクリート部材2Aの接合面とほぼ面一になるように装着され、これによりスリーブ6がケース5の開口側から抜け出ないようになっている。すなわち、図5に示すように、蓋7は、ほぼ円筒状の部材であって、鍔部7aと雄ねじ部7bと備えている。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合している。図1に示すように、スリーブ6の外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、スリーブ6は、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、スリーブ6がケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、スリーブ6の一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0021】
また、スリーブ6の外径は、ケース5の収容部5aの内径および雌ねじ部5cの内径よりも小さく設定されており、したがってスリーブ6の外周面と収容部5aの内周面および雌ねじ部5cとの間には隙間があり、スリーブ6は、ゴムバンド6Dの付勢力に抗して径方向外方に拡張できるようになっている。
【0022】
一方、プレキャストコンクリート部材2Bのケース5内には、ピン14が挿入されている。図6に示すように、このピン14は、円柱状の大径部14aと、この大径部14aから軸線を一致させて延びる円柱状の小径部14bとを備えており、小径部14bの先端部の外周面には、周方向に延びる突条14cが複数形成されている。さらに、小径部14bの先端にはテーパ面14dが形成されている。図1に示すように、このピン14は、大径部14aがケース5の収容部5a内に収容され、小径部14bがプレキャストコンクリート部材2Bの接合面から外方に突出している。そして、蓋7の雄ねじ部7bがケース5の前端部の雌ねじ部5cに螺合されることにより、このケース5の開口側に蓋7がプレキャストコンクリート部材2Bの接合面とほぼ面一になるように装着され、これにより大径部14aがケース5の開口側から抜け出ないようになっている。大径部14aの外径は、蓋7の内径より大きく、かつケース5の後端部の雌ねじ部5bの内径より大きく設定されている。そのため、大径部14aは、蓋7の雄ねじ部7bの先端部と、ケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)とによって前後から挟まれた状態となっており、大径部14aがケース5の収容部5aから抜け出ないようになっている。なお、大径部14aの一部は、雌ねじ部5cの内側まで延びている。
【0023】
そして、プレキャストコンクリート部材2Bの接合面から外方に突出している小径部14bが、プレキャストコンクリート部材2Aのケース5内に挿入され、先端部の突条14cがスリーブ6の係合溝6bに係合される。
【0024】
このように構成された接合具1を用いてプレキャストコンクリート部材2A、2B同士を接合するには、まず、一方のプレキャストコンクリート部材2Aに埋設されたケース5にスリーブ6を挿入し、収納部5aにスリーブ6を収納した後、蓋7をケース5に装着して、スリーブ6が収納部5aから抜け出ないようにする。また、他方のプレキャストコンクリート部材2Bに埋設されたケース5にピン14を挿入し、収納部5aに大径部14aを位置させた後、蓋7をケース5に装着して、大径部14aが収納部5aから抜け出ないようにする。
【0025】
次いで、ピン14の小径部14bをプレキャストコンクリート部材2Aのケース5内に挿入した後、プレキャストコンクリート部材2A、2Bを接近させて行き、接合面同士を当接させる。
【0026】
そうすると、ピン14の大径部14aの後端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)により押されて、ピン14の小径部14bがスリーブ6内に圧入される。これにより、小径部14bの先端部が、ゴムバンド6Dの付勢力に抗してスリーブ6を径方向外方に拡張しながら、スリーブ6内を前進して行き、前進移動が終了した時点で、突条14cがスリーブ分割片6aの係合溝6bに係合されるとともに、ゴムバンド6Dにより径方向内方に締め付けられる。なお、ピン14の前進時に、スリーブ6(各スリーブ分割片6a)はピン14により雌ねじ部5b側に押されるが、スリーブ6の雌ねじ部5b側の端面がケース5の雌ねじ部5b側の収容部5aの側面(雌ねじ部5bと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0027】
このようにしてピン14の突状14cがスリーブ6の係合溝6bに係合されると、ピン14は、スリーブ6に対して蓋7側に移動できなくなり、これによりプレキャストコンクリート部材2A、2B同士が互いに接合される。なお、ピン14が蓋7側に移動しようとすると、スリーブ6がピン14とともに移動しようとするが、スリーブ6の雌ねじ部5c側の端面がケース5の雌ねじ部5c側の収容部5aの側面(雌ねじ部5cと収容部5aとの段差面)に当接し、スリーブ6の移動が規制される。
【0028】
このような接合具1およびこの接合具1を用いた接合方法にあっては、ピンケース5のピン収容部5aにピン14の大径部14aが径方向に移動可能に設けられているので、ピン14とスリーブ6との間に多少の芯ずれがあっても、ピン14をスリーブ6内に圧入することができる。したがって、プレキャストコンクリート部材2A、2B同士を接合する際に、ピン14とスリーブ6との間の多少芯ずれを気にすることなく作業できるので、接合作業を迅速に行うことができる。また、プレキャストコンクリート部材2A、2Bに対するスリーブケース5やピンケース5の取付精度を緩和することができるので、プレキャストコンクリート部材2A、2Bの製作コストを低減することができる。また、プレキャストコンクリート部材2A、2B同士を接合する際に、曲がり部などを構築するために芯ずれを生じる現場においても、この接合具1および接合方法を用いることができる。
【0029】
また、スリーブケース5およびピンケース5に蓋7を螺合するようにしたので、プレキャストコンクリート部材2A、2B同士を接合する前に、蓋7を外して、スリーブ収納部5aおよびピン収容部5aを掃除することができる。
さらに、スリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したので、これらの製作コストを低減することができ、ひいてはこれらのスリーブケース5あるいはピンケース5を埋設しているプレキャストコンクリート部材2A、2Bの製作コストを低減することができる。加えて、スリーブケース5およびピンケース5にそれぞれ螺合する蓋7も同一に構成したので、スリーブケース5とピンケース5との間で装着する蓋7を取り違えることがない。
【0030】
なお、上述の実施形態においては、スリーブ6を120°で3等分されたスリーブ分割片6aにより構成したが、必ずしも3等分されている必要はなく、例えば、180°、90°、90°で3分割されたスリーブ分割片を用いてもよい。また、3分割の代わりに2分割や4分割されたスリーブ分割片などを採用することも可能である。
【0031】
また、上述の実施形態においては、付勢部材としてゴムバンド6Dを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、付勢部材は各スリーブ分割片6aを径方向内方に付勢するものであればよく、例えば、ゴムや合成樹脂等の弾性材からなるリング状の部材、コイルばね等のばね部材、または環状でないC字状等のばね部材などを適宜、用いることができる。
【0032】
また、上述の実施形態においては、スリーブケース5とピンケース5とを同一に構成したが、これらは違う構成にしてもよい。また、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を螺合するようにしたが、これに代えて、例えば、スリーブケース5、ピンケース5に蓋7を溶接等により固着するようにしてもよいし、さらには、蓋7を設けずに、スリーブ6やピン14の大径部14aを抜け出し不可能スリーブケース、ピンケースに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る接合具の使用状態を示す断面図である。
【図2】異形鉄筋の側面図である。
【図3】ケースを示す図であって、上半分を断面で示す側面図である。
【図4】スリーブを示す図であって、(a)は上半分を断面で示す側面図であり、(b)は(a)の右側面図である。
【図5】蓋を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図6】ピンを示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る接合具の他の使用状態を示す断面図である。
【図8】従来の接合具の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 接合具
2A 一方のプレキャストコンクリート部材
2B 他方のプレキャストコンクリート部材
5 スリーブケース、ピンケース
5a スリーブ収容部、ピン収容部
6 スリーブ
6a スリーブ分割片
6b 係合溝
6D ゴムバンド(付勢部材)
7 蓋
14 ピン
14a 大径部
14b 小径部
14c 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート部材同士を接合するための接合具であって、
一方のプレキャストコンクリート部材に設けられ、このプレキャストコンクリート部材の接合面側に開口しているスリーブケースと、
複数個のスリーブ分割片が略円筒状に配置され、前記スリーブケースのスリーブ収容部に径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材が設けられ、内周面には係合溝が設けられているスリーブと、
他方のプレキャストコンクリート部材に設けられ、このプレキャストコンクリート部材の接合面側に開口しているピンケースと、
大径部と小径部とを備え、前記ピンケースのピン収容部に前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けられているとともに、前記小径部が前記他方のプレキャストコンクリート部材の接合面から突出し、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条が設けられているピンと、
を備えていることを特徴とする接合具。
【請求項2】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
【請求項3】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合具。
【請求項4】
プレキャストコンクリート部材同士を接合する接合方法であって、
一方のプレキャストコンクリート部材にその接合面側に開口しているスリーブケースを設け、このスリーブケースのスリーブ収容部に、複数個のスリーブ分割片を略円筒状に配置してなり、内周面に係合溝が設けられているスリーブを、径方向外方に拡張可能でかつ該スリーブケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記スリーブの外周には前記各スリーブ分割片を径方向内方に付勢する付勢部材を設け、
他方のプレキャストコンクリート部材にその接合面側に開口しているピンケースを設け、
前記ピンケースのピン収容部に、大径部と小径部とを備えたピンを、前記大径部が径方向に移動可能にかつ該ピンケースから抜け出し不可能に設けるとともに、前記小径部を前記他方のプレキャストコンクリート部材の接合面から突出させ、かつ前記小径部の先端部に前記スリーブの前記係合溝に係合可能な突条を設け、
前記ピンの前記小径部を前記スリーブ内に圧入し、前記突条を前記係合溝に係合させることを特徴とする接合方法。
【請求項5】
前記スリーブケースおよび前記ピンケースの開口側にはそれぞれ、前記スリーブおよび前記ピンの前記大径部が抜け出るのを規制する筒状の蓋が螺合されていることを特徴とする請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記スリーブケースと前記ピンケースとは、同一に構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−336234(P2006−336234A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159776(P2005−159776)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(593012402)SMCコンクリート株式会社 (16)
【Fターム(参考)】