説明

接合方法および接合装置

【課題】接合面の全体を均一に接合可能な接合方法および接合装置を提供する。
【解決手段】互いに接合される導電性を備えた一対の被接合部材1a,1bの接合面2a,2bを対向させ、前記被接合部材1a,1bの一方に対して他方を相対的に摺動させつつ、前記被接合部材1a,1bの一方から他方へ電流を流して抵抗加熱することで、接合面2a,2bの高面圧部に摩耗,塑性流動および材料拡散を生じさせ、時々刻々と電流集中箇所を変化させつつ接合面2a,2b同士を接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗加熱および加振摩擦を用いた接合方法および接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導電性の金属材料同士を互いに接合する方法として、抵抗溶接が使用されている。抵抗溶接は、導電性金属材料同士を接触させた状態で電極により挟み、電極から電流を与えることで、接合面の接触抵抗により生じる抵抗加熱により、導電性金属材料同士を溶融接合する方法である。例えば特許文献1には、接合する対の導電性金属材料を接触させた状態で加振し、表面の絶縁被覆を剥がした後に加振を停止させ、抵抗加熱により溶融接合する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―138275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、電流を供給した際に、接合面における高面圧部に電流が集中するため、接合面における電流のあまり流れない部位は加熱されず、限定された面積および形状しか接合できない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、接合面の全体を均一に接合可能な接合方法および接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係る接合方法は、導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合方法である。当該接合方法は、互いに接合される被接合部材の接合面を対向させ、一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ、前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱により前記接合面同士を接合する。
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る接合装置は、導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合装置である。当該接合装置は、一対の前記被接合部材の各々に電流を供給する一対の電極と、前記電極に電流を供給する電流供給手段と、一対の前記被接合部材を相対的に摺動させる摺動手段と、を有する。当該接合装置は、更に、前記接合面を対向させた被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して前記接合面同士の間で抵抗加熱を行うように前記電流供給手段および摺動手段を制御する制御手段を有する。
【0008】
また、上記目的を達成する本発明に係る接合方法の他の様相は、互いに接合される導電性を備えた被接合部材の接合面を対向させ、一対前記被接合部材を相対的に摺動させつつ、前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱により前記接合面同士を接合する接合方法である。当該接合方法は、前記被接合部材への電流入力経路を複数設け、前記被接合部材に電流を流す際に、少なくとも1つの前記電流入力経路における電流入力値を制御する。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明に係る接合装置の他の様相は、導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合装置である。当該接合装置は、前記被接合部材への複数の電流入力経路を規定し、前記電流入力経路の少なくとも1つの電流量を調整可能な電流入力部と、前記電流入力部に電流を供給する電流供給手段と、を有する。当該接合装置は、更に、互いに接合される前記被接合部材の接合面を対向させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱を行うように前記電流供給手段および摺動手段を制御する制御手段を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した接合方法および接合装置によれば、被接合部材を摺動させつつ抵抗加熱を行って接合するため、抵抗加熱により加熱された高面圧部に摺動が作用して摩耗,塑性流動および材料拡散が生じ、高面圧部の面圧が低下することにより時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、接合面を均一に加熱し、接合面の全体を均一に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る導電材料の接合装置を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態に係る導電材料の接合装置の電極近傍を示す部分拡大側面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図である。
【図5】本実施形態に係る導電材料の接合装置の電極近傍における電流の経路を模式的に示す概略図である。
【図6】本実施形態に係る導電材料の接合装置により接合する際のフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る導電材料の接合装置の運転条件の一例を示すグラフである
【図8】断面が円形管の被接合部材の接合面近傍の断面図である。
【図9】断面が2重管の被接合部材の接合面近傍の断面図であり、(A)は断面が円形、(B)は断面が矩形の被接合部材を示す。
【図10】非接触部のない被接合部材の接合面近傍の断面図であり、(A)は断面が円形、(B)は断面が矩形の被接合部材を示す。
【図11】円形管の内部に中実部が形成された被接合部材の接合面近傍の断面図である。
【図12】矩形断面に2つの非接触部が並んだ被接合部材の接合面近傍の断面図である。
【図13】第2実施形態に用いられる接合方法の基本原理を説明するための接合装置を示す概略側面図である。
【図14】第2実施形態に用いられる接合方法のフローチャートである。
【図15】第2実施形態に係る接合装置の電極近傍を示す部分拡大側面図である。
【図16】第2実施形態における第1接合工程を説明するためのフローチャートである。
【図17】第2実施形態に係る接合装置の他の例を示す電極近傍の部分拡大側面図である。
【図18】第2実施形態に係る接合装置の更に他の例を示す電極近傍の部分拡大側面図である。
【図19】図18の19−19線に沿う断面図である。
【図20】第3実施形態に係る接合装置の電極近傍を示す部分拡大側面図である。
【図21】第3実施形態における第1接合工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る導電材料の接合装置10は、図1〜4に示すように、導電性を有する一対の被接合部材1a,1bを互いに接合させる装置である。接合装置10は、被接合部材1a,1bを、互いに接合させる接合面2a,2bを対向させて保持し、接合面方向Z(接合面2a,2bの法線方向)に加圧しながら接合面2a,2bに沿う方向Xへ摺動させつつ、抵抗加熱を行うことで被接合部材1a,1b同士を接合する。
【0014】
接合装置10は、対の被接合部材1a,1bの各々に接する対の電極20a,20bと、電極20a,20bに電流を与える電流供給装置30(電流供給手段)と、電極20a,20bを被接合部材1a,1bの接合面方向Zへ加圧する加圧装置40(加圧手段)とを有している。更に、接合装置10は、被接合部材1bを加振する(摺動させる)加振装置50(加振手段、摺動手段)と、接合装置10を制御する制御装置60(制御手段)とを有している。
【0015】
本実施形態における被接合部材1a,1bは、図2〜4に示すように、接合面方向Zに貫通する貫通孔3a,3bを備えた、矩形断面の中空形状を有する導電性材料により構成されている。したがって、被接合部材1a,1bの接合面2a,2b同士を接触させて対向配置した際に、接触せずに互いに離間して空間部を形成する非接触部4a,4bが、各々の接合面2a,2bに囲まれるようにして設けられている。電極20a,20bの中心軸Yからの延長線は、接合面2a,2bではなく非接触部4a,4bに位置する。なお、非接触部4a,4bは、接合面2a,2b同士を接触させて対向配置した際に互いに接触せずに離間すればよく、例えば一方の被接合部材1a(または1b)にのみ貫通孔3a(または3b)が設けられてもよい。また、非接触部4a,4bは、貫通孔ではなく、凹部であってもよい。
【0016】
被接合部材1a,1bは、導電性を備える材料であれば特に限定されないが、本実施形態では鋳造されたアルミニウム(Al)が用いられる。
【0017】
対の被接合部材1a,1bの間には、図2に示すように、被接合部材1a,1bと共晶反応する共晶反応材料からなる導電性を備えた箔状の共晶箔5(中間材料)が挟まれる。共晶箔5は、接合面2a,2bの形状に一致して形成されることが好ましく、本実施形態では、矩形の環状に形成されている。被接合部材1a,1bがアルミの場合、共晶箔5には、アルミニウムと共晶反応する亜鉛(Zn)やケイ素(Si)等を用いることができる。共晶箔5の厚さは、例えば10〜100μmであることが好ましいが、これに限定されず、また厚さが均一であっても部位に応じて異なってもよい。また、共晶箔5は、かならずしも設けられなくてもよい。
【0018】
各々の電極20a,20bは、電極本体21a,21bと、電極板23a,23bとを有し、電極板23a,23bは、電極本体21a,21bの被接合部材1a,1bと対向する面に複数(本実施形態では4本)の電極板固定ボルト22によって連結される。電極本体21a,21bは、図2に示すように、軸状に延びる軸状部26a,26bと、電極板23a,23bが固定される固定部27a,27bとで構成される。電極本体21a,21bは被接合部材1a,1bと直接的に接触せずに、電極板23a,23bが被接合部材1a,1bと接触する。電極本体21a,21bの固定部27a,27bには、被接合部材1a,1bと対向する側と反対側から被接合部材固定ボルト24を挿入可能であり、被接合部材固定ボルト24を被接合部材1a,1bに形成されるねじ孔6に螺合させることで、被接合部材1a,1bを電極本体21a,21bへ軸力によって締結可能である。被接合部材1a,1bの各々は、複数(本実施形態では8本)の被接合部材固定ボルト24(電流経路調整手段、締結部)によって電極20a,20bに締結され(図3参照)、各々の締結軸力を個別に変更可能となっている。本実施形態において、電極本体21a,21bは、被接合部材1a,1bを相対的に摺動可能に保持する保持部材としての機能をも備えている。
【0019】
被接合部材1a,1bには、図2に示すように、電極20a,20bと対向する面に位置決め部としての位置決め孔7a,7bが形成されており、位置決め部材である位置決め用の位置決めピン11a,11bが嵌合可能となっている。電極板23a,23bには、位置決めピン11a,11bが貫通する貫通孔29a,29bが形成されている。位置決めピン11a,11bは、電極本体21a,21bの固定部27a,27bの内部に、被接合部材1a,1bと対向する面から突出、後退が可能に設けられている。位置決めピン11a,11bは、ばね部材12a,12bにより後退する方向(後方)へ付勢されており、位置決めピン11a,11bの後方には、外部の油圧源または空圧源である位置決め部材作動装置14(位置決め部材作動手段)から流体が供給される流体供給部13a,13bが形成されている。位置決め部材作動装置14は、制御装置60により制御されて駆動されることで、流体供給部13a,13bに流体を供給し、または流体供給部13a,13bから流体を排出させて、位置決めピン11a,11bを進退動させる。したがって、位置決め部材作動装置14によって固定部27a,27bから位置決めピン11a,11bを突出させて、被接合部材1a,1bの位置決め孔7a,7bに挿入させることで、電極20a,20bに対して、被接合部材1a,1bを正確に位置決めできる。これにより、被接合部材1aと被接合部材1bの相対的な位置を、正確に位置決めすることが可能となる。
【0020】
位置決めピン11a,11bは、電極20a,20b、被接合部材1a,1bよりも電気抵抗値の大きい材料により形成される。位置決めピン11a,11bは、例えば樹脂等の絶縁材料により形成される。または、一例として、電極20a,20bが銅製で、被接合部材1a,1bがアルミニウム製である場合には、位置決めピン11a,11bを鉄等の導電材料により形成することもできる。
【0021】
電極板23a,23bは、電極本体21a,21bと同一の材料若しくは類似の材料により形成されることが好ましい。電極板23a,23bの被接合部材固定ボルト24が貫通するボルト貫通孔25(図2参照)は、被接合部材固定ボルト24の径よりも孔径が十分大きいことが好ましい。ボルト貫通孔25の径が被接合部材固定ボルト24の径と同程度の場合には、被接合部材1a,1bの被接合部材固定ボルト24が螺合するねじ孔6の近傍に電流が集中して流れ、ねじ孔6に負担が掛かるが、被接合部材固定ボルト24の径よりも孔径が十分大きければ、ねじ孔6に電流が流れ難くなり、ねじ孔6の破損の発生を抑制できる。
【0022】
なお、被接合部材固定ボルト24は、電極本体21a,21bおよび電極板23a,23bよりも電流が流れ難い材料により作製されており、電極20a,20bと被接合部材固定ボルト24の間で電流が流れる際に、被接合部材固定ボルト24が導電媒体となり難い構造となっている。
【0023】
電極本体21a,21bと被接合部材1a,1bの間には、電極板23a,23bが挟まれているため、電極20a,20bから被接合部材1a,1bへ電流が流れる際には、電極本体21a,21bと電極板23a,23bの間の接触抵抗と、電極板23a,23bと被接合部材1a,1bの問の接触抵抗が存在する。したがって、2つの接触抵抗が直列に接続された構成となり、電極板23a,23bが存在せずに電極本体21a,21bと被接合部材1a,1bが直接接触する場合と比較して、同一の締結軸力における総接触抵抗が大きくなる。したがって、電極20a,20bと被接合部材1a,1bの間の総接触抵抗は、電極板23a,23bが設けられることで、締結軸力に対する接触抵抗感度が増大するため、締結軸力の変更による接触抵抗の調整幅が広がる。また、電極板23a,23bが電極本体21a,21bと被接合部材1a,1bの間に設けられることで、取替えの困難な電極本体21a,21bが被接合部材1a,1bとの間の抵抗加熱により溶融されることを抑制できる。なお、接触抵抗感度をより増大させるために、電極板23a,23bを複数枚重ねて設置してもよい。
【0024】
加圧装置40は、電極20a,20bを介して対の被接合部材1a,1bを接合面方向Zに加圧する装置であり、例えば油圧シリンダ等が組み込まれている。加圧装置40は、制御装置60に接続されて加圧力を任意に制御可能となっている。
【0025】
加振装置50は、対の被接合部材1a,1bの一方を、接合面2a,2bに沿う方向X(接合面の法線に直交する方向)へ加振する装置である。加振装置50の機構は、例えば超音波振動によるもの、電磁式振動によるもの、またはカム式振動によるもの等である。加振装置50は、制御装置60に接続されて、加振周波数、加振振幅および加振力等を任意に制御可能となっている。加振装置50は、摺動される被接合部材1bの変位を検出する変位検出部51(図1参照)を備える。変位検出部51は、例えば変位センサーや変位検出用のエンコーダである。
【0026】
電流供給装置30は、直流電流または交流電流を電極20a,20bへ与えることができる装置であり、制御装置60に接続されて、電流値および電圧値を任意に制御可能となっている。
【0027】
制御装置60は、前述の加圧装置40、加振装置50、電流供給装置30および位置決め部材作動装置14を統括的に制御する電子計算機である。制御装置60は、演算部、記憶部、入力部および出力部を備えている。記憶部には、接合装置10全体を制御するためのプログラムが格納されており、このプログラムが演算部にて実行されることで、接合装置10に被接合部材1a,1bの接合工程S2を進行させる。
【0028】
電流供給装置30から電極20a,20bへ電流が流れる経路には、接触抵抗検知装置70(接触抵抗検知部)が設けられている。接触抵抗検知装置70は、電圧計かつ電流計であり、電圧かつ電流の変化を計測して、被接合部材1a,1bの間の接触抵抗値を検知できる。接触抵抗検知装置70による検知信号は、制御装置60に入力される。なお、接触抵抗検知装置70は、被接合部材1a,1bの間の接触抵抗を検知できるのであれば、他の位置に設置されてもよい。
【0029】
加振装置50には、加振力から、接合面2a,2bの間の摩擦力を検知する摩擦力検知装置80が設けられている。摩擦力検知装置80による検知信号は、制御装置60に入力される。
【0030】
次に、本実施形態に係る接合装置10により導電部材を接合する方法を、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0031】
初めに、互いに接合する被接合部材1a,1bを準備し、図2に示すように、位置決め部材作動装置14により位置決めピン11a,11bを突出させ、電極板固定ボルト22によって電極板23a,23b(電流入力部)を電極本体21a,21bに固定した状態の電極20a,20bに、被接合部材固定ボルト24によって被接合部材1a,1bを固定する。これにより、位置決めピン11a,11bは、被接合部材1a,1bの位置決め孔7a,7bに挿入されて、被接合部材1a,1bが電極20a,20bに対して正確に位置決めされる。このとき、被接合部材固定ボルト24の締結軸力を、ボルト毎に調節することができる。被接合部材固定ボルト24の締結軸力が高いと、電極20a,20bと被接合部材1a,1bの間の接触抵抗が低下し、電流が流れやすくなる。すなわち、被接合部材固定ボルト24の締結軸力を、ボルト毎に調節することで、電流入力部である電極板23a,23bから被接合部材1a,1bへの複数の電流入力経路における各々の電流量を調整することができる。したがって、被接合部材固定ボルト24の位置に応じて締結軸力を変更することで、電極20a,20bから被接合部材1a,1bへ流れる電流の経路を調整することができる。一例として、図5は、簡易的に接合面2a,2bに3箇所の電流経路を有するとしたモデルを示すが、電極20a,20bの中心軸Yに近い被接合部材固定ボルト24aよりも、遠い被接合部材固定ボルト24b,24cの締結軸力を高くすることができる。被接合部材1a,1bには、電極20a,20bの中心軸Yに近い経路ほど電流が流れやすいため、電極20a,20bの中心軸Yから遠い被接合部材固定ボルト24b,24cの締結軸力を高くすることで、被接合部材1a,1bに流入する電流を、電極20a,20bの中心軸Yからの距離に依存させずに極力均一化することができる。したがって、接合面2a,2bにおける電流値が極力均一となるように、被接合部材固定ボルト24の締結軸力を調整し、加圧装置40による加圧力は一定として接合することが好ましい。このように被接合部材固定ボルト24の締結軸力を調整することで、電極20a,20bから被接合部材1a,1bに流入する電流の経路を変更または各電流入力経路の電流量を調整できるため、分流防止のために複数のトランス(変圧器)を設ける必要がなく、簡素な装置構成が可能となってコスト削減および省スペース化が可能となる。
【0032】
被接合部材固定ボルト24により被接合部材1a,1bを電極20a,20bに対して固定した後、位置決め部材作動装置14により位置決めピン11a,11bを後退させ、位置決め孔7a,7bから引き抜く。これにより、この後の工程において、被接合部材1a,1bの通電、摺動によって生じる位置決めピン11a,11bの発熱や磨耗を抑制できる。また、位置決めピン11a,11bが、電極20a,20b、被接合部材1a,1bよりも電気抵抗値の大きい材料により形成されていれば、位置決めピン11a,11bに通電し難くなり、通電による位置決めピン11a,11bの発熱や磨耗を抑制できる。
【0033】
次に、共晶箔5を被接合部材1a,1bの間に配置し、加圧装置40により被接合部材1a,1bを近接させて、共晶箔5を介して被接合部材1a,1b同士を予め設定された加圧力で加圧する。加圧装置40による加圧力は、制御装置60で調整され、例えば2〜10MPa程度が好ましいが、これに限定されない。
【0034】
次に、図6,7に示すように、制御装置60により加振装置50が駆動されて、下側の被接合部材1bを、接合面2a,2bに沿う方向へ一定の振幅(または、一定の加振力)で加振する(予備加振工程(予備摺動工程)S1)。加振周波数および加振振幅は、特に限定されないが、一例として、加振振幅は100〜1000μm程度が好ましく、加振周波数は10〜100Hz程度が好ましい。被接合部材1bの加振方向は、接合面2a,2bに沿う1方向への往復運動とすることで、接合面2a,2bの形状の自由度が向上する。すなわち、1方向にさえ摺動可能であれば加振が可能であるため、接合面2a,2bが平面でなくてもよく、例えば一方向に延びる溝に凸部が嵌合する形態であってもよい。また、接合面2a,2bに互いに嵌合するような部位がなければ、被接合部材1bが接合面2a,2bに沿って公転運動するように加振することもできる。ここで公転運動とは、被接合部材1bが自転せずに円軌道を描くように振れ回ることを意味する。被接合部材1bが公転運動するように加振すれば、接合面2a,2b同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定するため、加振時の振動が滑らかとなり、接合面2a,2bを均一に磨耗させることができる。
【0035】
上記のように加圧力を与えながら加振する予備加振工程S1が行われると、接合面2a,2bが摺動するとともに摩擦熱により加熱されることにより材料が軟化され、接合面2a,2bが磨耗,塑性流動し、接合面2a,2bの間の面圧がある程度均一化される。更に、予備加振工程S1は、アルミニウムの表面の酸化皮膜を除去して皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきを低減させ、後の工程で抵抗加熱した際の発熱量のばらつきを抑える効果を発揮する。したがって、接合する前に、アルミニウムである被接合部材1a,1bの表面を脱脂し、更にワイヤブラシによりブラッシングして表面の酸化膜を除去する等の処置が不要となり、作業性が向上する。なお、当然、予備加振工程S1の前にブラッシング等の処置を行ってもよい。
【0036】
予備加振工程S1では、制御装置60において、接触抵抗検知装置70より入力される信号から接合面2a,2b間の接触抵抗値を特定し、図6に示すように、予め設定された閾値L1と比較する。接合面2a,2bの間の面圧が均一化すると、接触抵抗が低下するため、制御装置60は、接触抵抗値が閾値L1以下となった際に予備加振工程S1を終了させて、次の接合工程S2へ移行させる。
【0037】
接合工程S2では、加振装置50による加振を維持しつつ、電流供給装置30により電極20a,20bへ電流を付与し、加振加熱および抵抗加熱の両方を併用して被接合部材1a,1bを加熱する。接合工程S2では、電流が集中する高面圧部において抵抗加熱が大きく作用して加熱され、接合面2a,2bの酸化膜が強制的に剥離されるとともに、抵抗加熱により加熱された高面圧部に加圧力と加振も作用して摩耗,塑性流動および材料拡散が生じ、高面圧部の面圧が低下することにより時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、電流の流れが分散し、接合面2a,2bが均一に加熱される。
【0038】
共晶箔5は、共晶反応により被接合部材1a,1bよりも低融点で液相化し、酸素を遮断して接合面の再酸化を抑制する役割を果たす。共晶箔5を用いることで、真空雰囲気と長時間が必要であった真空ろう付けに対し、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる。なお、共晶箔5は、かならずしも設けられなくてもよい。
【0039】
共晶箔5は、膜厚を部位に応じて変化させることができ、これにより、接合面2a,2bにおける面圧を調整することできる。すなわち、接合面2a,2bの低面圧部に対応する共晶箔5の部位を厚くすることで、接合の際の面圧を確保することができる。なお、共晶箔5の膜厚を調整する方法として、膜厚を部位に応じて変更するだけでなく、例えば複数毎に分かれた共晶箔を用いたり、または複数枚重ねたりすることもできる。
【0040】
本接合工程S2では、加振による摩擦加熱および抵抗加熱の両方を併用するため、接合面2a,2bに高い加圧力を付与する必要がなく、接合面2a,2bの面積の大きな被接合部材1a,1bであっても加熱して、後の工程で接合することができる。すなわち、例えば加振による摩擦加熱のみで加熱して接合する場合には、摩擦入熱量を稼ぐために高面圧で材料を押し付ける必要があるが、材料が変形してしまうため、限定された面積や形状の被接合部材しか接合できない。また、例えば抵抗加熱のみで加熱して接合する場合には、高面圧部に電流が集中して流れて接合されることになり、接合面の接合箇所が不均一になるため、やはり接合面の大きさや形状が限定される。また、例えば高周波加熱を利用して加熱して接合する場合には、接合面の外周しか加熱できず、やはり接合面の大きさや形状が限定される。
【0041】
これに対し、本実施形態では、接合工程S2において、加振による摩擦加熱および抵抗加熱を併用して加熱させるため、接合面2a,2bに高い加圧力を付与せずとも電流集中箇所が変化し、接合面2a,2bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても加熱して最終的に接合することができ、かつ低歪みな面接合が可能である。
【0042】
また、接合面2a,2bの表層のみを溶融して接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現できる。
【0043】
また、例えば被接合部材の一方を回転させて接合面で摩擦熱を発生させて接合する場合には、接合面の形状が円形に限定されるのに対し、本接合工程S2では、加振により摩擦熱を発生させるため、接合面2a,2bの形状が円形に限定されず、かつ非接触部4a,4bを設けることもできる。このため、例えば内部に流体の流路を有する複雑な形状等であっても、接合面2a,2bの全体を気密性を保ちつつ加熱して接合することができる。
【0044】
また、電極20a,20bの中心軸Yからの延長線が、接合面2a,2bではなく非接触部4a,4bに位置するものであっても、短時間、低入熱で加熱して接合することができる。
【0045】
そして、電極20a,20bの中心軸Yから遠い被接合部材固定ボルト24b,24cの締結軸力が高くなるように、被接合部材固定ボルト24a,24bおよび24cの締結軸力が調整されているため、被接合部材1a,1bに流入する電流が、電極20a,20bの中心軸Yからの距離に依存せずに極力均一化されている。このため、接合面2a,2bの接触面圧が均一な場合に、接合面2a,2bの全体を均一に加熱することができる。
【0046】
なお、被接合部材固定ボルト24の締結軸力を、電極20a,20bの中心軸Yに近づくほど、接合面2a,2bにおける電流値が小さくなるように設定することもできる。このようにすれば、接合工程S2の始めにおいて、電極20a,20bの中心軸Yから遠い部位に電流が流れやすいため、中心軸Yから遠い部位を優先的に加熱し、この後、加圧装置40により加圧力を上昇させ、電極20a,20bから近い部位を加熱することができる。すなわち、加圧装置40により加圧力を上昇させると、電流に対する締結軸力の影響が小さくなり、中心軸Yから近い部位には本来的に電流が流れやすいため、電極20a,20bから近い部位を加熱することができる。
【0047】
また、接合面2a,2bにおける接触面圧が不均一の場合、接触面圧が高い部位の近傍の被接合部材固定ボルト24の締結軸力を低くすることもできる。これにより、接触面圧が高い部位において電流を流れ難くし、低面圧部への分流を促して、極力均一な加熱を行ことができる。したがって、接合面2a,2bにおける発熱量が極力均一となるように被接合部材固定ボルト24の締結軸力を調整して接合することが好ましい。
【0048】
また、被接合部材固定ボルト24の締結軸力を、高面圧部に近づくほど、接合面2a,2bにおける発熱量が小さくなるように設定することもできる。このようにすれば、接合工程S2の始めにおいて、低面圧部が優先的に加熱され、この後、加圧装置40により加圧力を上昇させ、高面圧部を加熱することができる。すなわち、加圧装置40により加圧力を上昇させると、電流に対する締結軸力の影響が小さくなり、締結軸力の低い高面圧部にも電流が流れやすくなるため、接合面を加熱することができる。
【0049】
このように、締結軸力や加圧力を調整することで、加熱される部位を任意に変更でき、望ましい運転条件を適宜設定することが可能である。
【0050】
接合工程S2においては、図6,7に示すように、所定時間、抵抗加熱により被接合部材1a,1bの温度を上昇させ(第1接合工程S2a)、この後、抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させてもよい(第2接合工程S2b)。抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させる方法としては、加圧装置40による加圧力を増加させるだけで実現できる。加圧装置40による加圧力が増加すると、接合面2a,2bにおける面圧が高くなることで接触抵抗が減少し、抵抗加熱による発熱量が減少する。さらに、接合面2a,2bにおける面圧が高くなることで接合面2a,2bにおける摩擦力が増大し、加振による発熱量が増加する。このように、抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させることで、接触抵抗により材料を高温にして軟化を促進する過程から、軟化された材料を加振によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行する。なお、抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させる方法としては、かならずしも加圧装置40の加圧力を増加させる方法に限定されず、例えば電流供給装置30や加振装置50を制御することでも実現でき、または加圧装置40に他の装置を組み合わせて実現することもできる。
【0051】
なお、第1接合工程S2aから第2接合工程S2bへの移行は、制御装置60により行うことができるが、図6に示すように、予め設定した時間(閾値T1)を経過した際に移送したり、または被接合部材1a,1bの温度等を計測して、予め設定した温度に達した際に移行させることもできる。
【0052】
第2接合工程S2bでは、制御装置60において、接触抵抗検知装置70から入力される信号から接合面2a,2b間の接触抵抗を特定し、予め設定された閾値L2と比較する。接合面2a,2bの間の接合が進行すると、接触抵抗値が低下するため、制御装置60は、接触抵抗値が閾値L2以下となった際に、接合が完了したと判断して接合工程S2を終了させて、次の冷却工程S3へ移行させる。
【0053】
なお、接合の完了を判断する方法として、接触抵抗値の変化により判断するのではなく、摩擦力検知装置80により検知される接合面2a,2bにおける摩擦力により判断することもできる。摩擦力は、接合が進行するほど大きくなるため、計測される摩擦力が、予め設定された閾値以上になった際に、接合が完了したと判断して接合工程S2を終了させる。なお、摩擦力の計測は、他に方法より行われてもよい。
【0054】
接合工程S2を終了する際には、加振装置50を停止させるが、被接合部材1a,1bを望ましい相対的位置で接合するために、最終的に加振装置50によって被接合部材1a,1bを規定の位置に位置決めする。このとき、被接合部材1a,1bが位置決めピン11a,11bによって電極20a,20bに対して高精度に位置決めされているため、加振装置50を制御することで、被接合部材1aと被接合部材1bを正確に位置決めできる。加振装置50は、変位検出部51により計測される変位信号に基づいて加振源(例えば、サーボモータ等)をフィードバック制御するサーボ機構を備えることで、被接合部材1aと被接合部材1bの相対的変位をより正確に位置決めできる。フィードバック制御を実行する制御手段は、加振装置50内に設けられても、制御装置60に設けられてもよい。なお、加圧装置40の加圧力が大きいと位置決め精度が低下するため、加振装置50を停止させる前に、加圧装置40による加圧力を低下させてもよい。加圧装置40による加圧力を低下させると、被接合部材1a,1bの位置決め精度が向上し、被接合部材1a,1bが望ましい相対的位置となった状態で加振装置50を停止させることができる。また、被接合部材1a,1bを位置決めするための他の構成を別途設けてもよい。
【0055】
冷却工程S3では、制御装置60が、加振装置50および電流供給装置30を停止させ、加圧装置40による加圧力を上昇させる。図6に示すように、予め設定した時間(閾値T2)を経過した際に、冷却が終了したと判断し、加圧装置40による加圧を終了させる。または被接合部材1a,1bの温度を計測する温度計(不図示)から制御装置60へ入力される信号が所定値以下となった後、冷却が終了したと判断し、加圧装置40による加圧を終了させることもできる。冷却工程S3の終了直前には、位置決め部材作動装置14により位置決めピン11a,11bを再び突出させ、被接合部材1a,1bの位置決め孔7a,7bに挿入させることを試みる。そして、位置決めピン11a,11bを位置決め孔7a,7bに挿入可能であった場合には、被接合部材1a,1bが適正な位置で接合されたことを確認できる。また、位置決めピン11a,11bを位置決め孔7a,7bに挿入できない場合には、予備加振工程S1や接合工程S2において、被接合部材1a,1bの電極20a,20bに対する保持力が不足する等によって位置ずれが生じていること、または熱変形による歪みが大きいことを確認できる。この後、被接合部材固定ボルト24を被接合部材1a,1bから抜き取り、接合された被接合部材1a,1bが装置から取り外される。
【0056】
なお、予備加振工程S1は、かならずしも設けずに省略することができる。また、予備加振工程S1の代わり若しくは予備加振工程S1の前に、加振装置50により摺動させるのではなしに、電流供給装置30により電流を供給することで、接合面2a,2bを抵抗加熱により軟化させてもよい。また、第1接合工程S2aと第2接合工程S2bの間で、電流の供給を減少させる一方で加圧力を増加させることなしに、第1接合工程S2aおよび第2接合工程S2bを1つの接合工程として実施することもできる。また、冷却工程S3も、かならずしも設けずに省略することができる。
【0057】
本実施形態に係る導電部材の接合方法によれば、接合面方向Zに加圧力を加えながら被接合部材1a,1b同士を接合面に沿う方向Xへ相対的に振動させつつ、抵抗加熱により接合するため、抵抗加熱により加熱された高面圧部に加圧力と振動が作用して、摩耗,塑性流動が生じ、高面圧部の面圧が低下することにより時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、接合面2a,2bを均一に加熱し、接合面2a,2bの全体を均一に接合でき、かつ低歪みな面接合が可能である。また、接合面2a,2bの表層のみを溶融して接合するため、加熱時間を短縮でき、かつ材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現できる。
【0058】
また、被接合部材1a,1bは、互いに離間する非接触部4a,4bが接合面2a,2bに囲まれて設けられるため、例えば内部に流体の流路を有する複雑な形状等であっても、接合面2a,2bの全面を気密性を保ちつつ接合することができる。
【0059】
また、被接合部材1a,1bの接合面2a,2bが、電極20a,20bの中心軸Yの延長線に対して外側に位置しても、接合面2a,2bの全面を接合できるため、短時間、低入熱で接合することができる。
【0060】
また、接合工程S2の前に、抵抗加熱せずに接合面方向Zに加圧力を加えながら被接合部材1a,1b同士を接合面に沿う方向Xへ相対的に振動させる予備加振工程S1を有するため、接合面2a,2bが摺動するとともに摩擦熱により加熱されて摩耗,塑性流動し、接合面2a,2bの間の面圧を均一化することができる。
【0061】
また、予備加振工程S1において、接触抵抗検知装置70により検知される接触抵抗が、予め設定された閾値L1以下となった際に接合工程S2を開始させることで、接触抵抗が均一化した後に、接合工程S2に移行することができる。
【0062】
また、被接合部材1a,1b同士の間に共晶反応材料(中間材料)を介在させることで、共晶反応材料が共晶反応により低融点で液相化し、酸素を遮断して接合面の再酸化を抑制できる。このため、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる。
【0063】
また、共晶反応材料が、部位により厚さの異なる膜状に形成されることで、接合面2a,2bにおける面圧を調整することできる。
【0064】
また、共晶反応材料が、接合面2a,2bに加圧力を加えた際の相対的に面圧の低い位置に対応する共晶反応材料の厚さを相対的に厚く形成されることで、接合の際の面圧を確保することができる。
【0065】
また、接合工程S2において、接合時間の経過に伴い、抵抗加熱による発熱量を減少させるとともに加振(摺動)による発熱量を増加させれば、接触抵抗により材料を高温にして軟化を促進した後、軟化された材料を加振によって掻き混ぜるようにして一体化を促進することができる。
【0066】
また、接合工程S2において、接合時間の経過の伴い、接合面2a,2bに作用する加圧力を増加させれば、加圧装置40を調節するのみで、容易に抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させることができる。
【0067】
また、被接合部材固定ボルト24(電流経路調整手段)により被接合部材1a,1bにおける電流経路を調整することで、接合面2a,2bにおける接触抵抗を調整すれば、分流防止のために複数のトランスを設ける必要がなく、簡素な装置構成が可能となる。また、接合面2a,2bにおける接触抵抗を調整することで、均一な面接合を実現できる。
【0068】
また、電流経路調整手段が、被接合部材1a,1bを電極20a,20bに対して軸力で締結する複数の被接合部材固定ボルト24(締結部)を有し、締結軸力を個別に変更することで接合面2a,2bにおける接触抵抗を調整できるため、容易に接触抵抗を調整することができる。
【0069】
また、被接合部材固定ボルト24(締結部)の締結軸力を、電極20a,20bの中心軸Yから離れるにしたがって大きくすることで、中心軸Yから離れた部位に電流を流れやすくすることができる。これにより、被接合部材1a,1bに流入する電流を、電極20a,20bの中心軸Yからの距離に依存させずに極力均一化することができる。
【0070】
また、接合面2a,2bにおいて、相対的に面圧の高い位置の近傍に配置される被接合部材固定ボルト24(締結部)の締結軸力を、他の被接合部材固定ボルト24の締結軸力よりも小さくすれば、相対的に面圧の高い位置の近傍に電流が流れ難くすることができる。これにより、被接合部材1a,1bに流入する電流を、電極の中心軸Yからの距離に依存させずに極力均一化することができる。
【0071】
また、被接合部材1a,1bと電極本体21a,21bの間に導電性の電極板23a,23bを介在させるため、電極20a,20bから被接合部材1a,1bへ電流が流れる際に、電極本体21a,21bと電極板23a,23bの間の接触抵抗と、電極板23a,23bと被接合部材の間の接触抵抗が存在することになる。したがって、2つの接触抵抗が直列に接続された構成となり、電極20a,20bと被接合部材1a,1bの間の総接触抵抗が大きくなる。このため、被接合部材固定ボルト24(締結部)の締結軸力に対する接触抵抗感度が増大し、接触抵抗の調整幅が広がる。
【0072】
また、接合工程S2において、接触抵抗検知装置70により被接合部材1a,1bの間の接触抵抗を検知し、当該接触抵抗が予め設定された閾値L2以下となった際に接合工程S2を停止するようにすれば、接合面2a,2bの接合の進行に応じて接触抵抗値が低下するため、閾値により容易に接合の完了を判断できる。
【0073】
また、接合工程S2において、摩擦力検知装置80により被接合部材1a,1bの間の摩擦力を検知し、当該摩擦力が予め設定された闇値以上となった際に接合工程S2を停止するようにすれば、接合面2a,2bの接合の進行に応じて摩擦力が大きくなるため、閾値により容易に接合の完了を判断できる。
【0074】
また、被接合部材1a,1bの加振を、往復運動により行えば、1方向にさえ摺動可能であれば加振が可能であるため、接合面2a,2bが平面でなくてもよく、接合面2a,2bの形状の自由度が向上する。
【0075】
また、被接合部材1a,1bの加振を、公転運動により行えば、接合面2a,2b同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定するため、加振時の振動が滑らかとなり、接合面2a,2bを均一に磨耗させることができる。
【0076】
また、接合面2a,2bにおける抵抗加熱の総入熱量が、加振による摩擦加熱の総入熱量よりも大きければ、加振加熱に必要な加圧力を低く抑えることができ、被接合部材1a,1bの接合面2a,2bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができる。また、加振装置50による加振力および加圧装置40による加圧力が小さくてよいため、加圧装置40や加振装置50を小型に抑えることができ、接合装置10を簡素かつ省スペースに構成することができる。
【0077】
本実施形態に係る導電部材の接合装置10によれば、一対の被接合部材1a,1bを加振しつつ電極20a,20bに電流を供給する加振抵抗加熱を行うように、電流供給装置30および加振装置50を制御する制御装置60を有している。このため、抵抗加熱により加熱された被接合部材1a,1bの高面圧部に加圧力と振動が作用して摩耗,塑性流動が生じ、高面圧部の面圧が低下することにより時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、接合面2a,2bを均一に加熱し、接合面2a,2bの全体を均一に接合でき、かつ低歪みな面接合が可能である。
【0078】
また、制御装置60が、加振抵抗加熱を行う前に、被接合部材1a,1bを抵抗加熱させずに予備加振するように電流供給装置30および加振装置50を制御するため、接合面2a,2bが摩擦熱により加熱されて摩耗,塑性流動し、接合面2a,2bの間の面圧を均一化することができる。
【0079】
また、制御装置60が、予備加振において、接触抵抗検知部70により検知される接触抵抗が予め設定された閾値L1以下となった際に加振抵抗加熱を開始させるようにすれば、接触抵抗が均一化した後に、接合工程S2に移行することができる。
【0080】
また、制御装置60が、加振抵抗加熱において、接合時間の経過に伴い加圧装置40の加圧力を増加させるようにすれば、加圧装置40を調節するのみで、容易に抵抗加熱による発熱量を減少させ、かつ加振による発熱量を増加させることができる。
【0081】
また、被接合部材1a,1bにおける電流経路を変更する被接合部材固定ボルト24(電流経路調整手段)を有するため、分流防止のために複数のトランスを設ける必要がなく、簡素な装置構成が可能となる。また、接合面2a,2bにおける接触抵抗を調整することで、均一な面接合を実現できる。
【0082】
また、電流経路調整手段が、被接合部材1a,1bを電極20a,20bに対して軸力によって締結する2つ以上の被接合部材固定ボルト24(締結部)であれば、締結軸力を個別に変更することで接合面2a,2bにおける接触抵抗を調整できるため、容易に接触抵抗を調整することができる。
【0083】
また、制御装置60が、加振抵抗加熱において、接触抵抗検知装置70により検知される接触抵抗が予め設定された閾値L2以下となった際に加振抵抗加熱を停止させるようにすれば、接合面2a,2bの接合の進行に応じて接触抵抗値が低下するため、閾値により容易に接合の完了を判断できる。
【0084】
また、制御装置60が、加振抵抗加熱において、摩擦力検知装置80により検知される摩擦力が予め設定された閾値以上となった際に加振抵抗加熱を停止させるようにすれば、接合面2a,2bの接合の進行に応じて摩擦力が大きくなるため、閾値により容易に接合の完了を判断できる。
【0085】
また、加振装置50による加振が、往復運動であれば、1方向にさえ摺動可能であれば加振が可能であるため、接合面2a,2bが平面でなくてもよく、接合面2a,2bの形状の自由度が向上する。
【0086】
また、加振装置50による加振が、公転運動であれば、接合面2a,2b同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定するため、加振時の振動が滑らかとなり、接合面2a,2bを均一に磨耗させることができる。
【0087】
また、抵抗加熱による被接合部材1a,1bへの総入熱量が、加振により生じる摩擦加熱による被接合部材1a,1bへの総入熱量よりも大きくなるように、制御装置60が電流供給装置30、加振装置50および加圧装置40の少なくとも1つを制御すれば、加振加熱に必要な加圧力を低く抑えることができ、被接合部材1a,1bの接合面2a,2bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができる。また、加振装置50による加振力および加圧装置40による加圧力が小さくてよいため、加圧装置40や加振装置50を小型に抑えることができ、接合装置10を簡素かつ省スペースに構成することができる。
【0088】
なお、被接合部材は、接合面が接触した状態で加振可能であれば、形状は限定されない。例えば、図8〜10は、他の例である被接合部材の接合面近傍における断面を示すが、図8に示すように、円形断面の内部に非接触部4cが形成されてもよい。なお、符号20bは、電極を表している。
【0089】
また、図9(A)に示すように、非接触部4d,4eが円形断面の2重管であってもよく、図9(B)に示すように、非接触部4f,4gが矩形断面の2重管であってもよい。また、管構造は3重巻以上であってもよく、断面形状が矩形や円形以外の形状であってもよい。
【0090】
また、図10(A),(B)に示すように、非接触部が形成されなくてもよく、断面形状が矩形や円形、または他の形状であってもよい。また、図11に示すように、管体の内部に、電極中心軸Yの延長線上に位置する中実体8が設けられるように非接触部4hが形成されてもよい。また、図12に示すように、2つの非接触部4i,4jが並んで配置され、電極中心軸Yの延長線上に2つの非接触部4i,4jの間の壁体9が形成されてもよい。なお、図12の形態において、非接触部が3つ以上並んでもよく、壁体9が電極中心軸Yの延長線上に存在しなくてもよい。
【0091】
なお、軸状部26a,26bと固定部27a,27bは、別体で構成されてもよい。
【0092】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る接合装置100は、図15に示すように、被接合部材101aに対して複数の第1電極103a,103b,103c(電流入力部)が設けられ、被接合部材101aに対する各々の電流量を制御できる点で、第1実施形態に係る接合装置10と異なる。
【0093】
接合装置100は、図13に示すように、対の被接合部材101a,101bの各々に接する対の第1電極103および第2電極104(以下、第1電極および第2電極を単に電極ともいう。)と、電極103,104に電流を供給する電流供給装置105(電流供給手段)と、電極103,104を被接合部材101a,101bの接合面方向Z(接合面に直交する方向)へ加圧する加圧装置106(加圧手段)とを有している。更に、接合装置100は、被接合部材101aを摺動させる加振装置107(摺動手段)と、各装置105,106,107を制御する制御装置108(制御手段)とを有している。電極103,104の少なくとも一方(本実施形態では、電極103)は、複数の電極に分かれて設けられる。
【0094】
被接合部材101a,101bは、アルミニウム(Al)であるが、導電性を備える材料であれば特に限定されずに適用できる。また、アルミニウム(Al)−鉄(Fe)、アルミニウム(Al)−マグネシウム(Mg)等の異材接合であっても、適用可能である。
【0095】
対の被接合部材101a,101bの間には、披接合部材101a,101bと共晶反応する共晶反応材料からなる箔状の共晶材101cが挟まれる。共晶材101cは、接合面102a,102bの形状に一致して形成されることが好ましい。被接合部材101a,101bがアルミニウムの場合、共晶材101cには、アルミニウムと共晶反応する亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、錫(Sn)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。なお、被接合部材101a,101bの少なくとも一方の融点よりも低い温度で液相化する材料であれば、共晶材101cの替わりに材料として適用することもできる。共晶材101cの厚さは、例えば10〜100μmであることが好ましいが、これに限定されず、また厚さが均一であっても部位に応じて異なってもよい。
【0096】
加圧装置106は、電極103,104を介して対の被接合部材101a,101bを接合面方向Zに加圧する装置であり、例えば油圧シリンダ等が組み込まれている。加圧装置106は、制御装置108に接続されて加圧力を任意に制御可能となっている。
【0097】
加振装置107は、一方の被接合部材101aを、接合面102a,102bに沿う方向X(接合面の法線に直交する方向)へ摺動させる装置である。接合装置100は、上方の被接合部材101aを方向Xに沿って移動可能に保持するための保持部109(保持部材)と、下方の被接合部材101bを固定するための固定部111(保持部材)とを備えており、加振装置107は、保持部109を介して被接合部材101aを摺動させる。保持部109および固定部111は、被接合部材101aおよび被接合部材101bの相対的な位置を正確に位置決めするための位置決め部材として機能する。加振装置107は、摺動される被接合部材10aの変位を検出する変位検出部107aを備える。変位検出部107aは、例えば変位センサーや変位検出用のエンコーダである。
【0098】
加振装置107の機構には、例えば超音波加振、電磁式加振、油圧式加振またはカム式加振等が適用できるが、加振可能であればこれらに限定されない。加振装置107は、制御装置108に接続されて、加振周波数、加振振幅および加振力等を任意に制御可能となっている。
【0099】
電流供給装置105は、直流電流または交流電流を電極103,104へ与えることができる装置であり、制御装置108に接続されて、電流値および電圧値を任意に制御可能となっている。
【0100】
制御装置108は、前述の加圧装置106、加振装置107および電流供給装置105を統括的に制御する電子計算機である。制御装置108は、演算部、記憶部、入力部および出力部を備えている。記憶部には、接合装置100全体を制御するためのプログラムが格納されており、このプログラムが演算部にて実行されることで、接合装置100による被接合部材101a,101bの接合が遂行される。
【0101】
なお、制御装置108を設けずに、各々の装置を手動で作動させてもよい。
【0102】
また、電極103,104は、かならずしも被接合部材101a,101bに直接接触しなくてもよく、例えば導電性を有する他の部材を介して接触してもよい。
【0103】
また、共晶材101cは、かならずしも設けられなくてもよい。また、共晶材101cの替わりに、一般的なろう材やはんだを適用してもよい。
【0104】
また、加圧装置106は、図13では第1電極103側に設けられるが、第2電極104側に設けられてもよく、または両方に設けられてもよい。また、加圧装置106は、電極103,104を介して被接合部材101a,101bを加圧しているが、電極103,104を介さずに直接的に被接合部材101a,101bを加圧する構成であってもよい。この場合には、電極103,104を加圧する加圧装置106に加え、被接合部材101a,101b自体を加圧する他の加圧装置が設けられる。
【0105】
また、加振装置107は、被接合部材101aではなくて被接合部材101bを加振する構成でもよく、または被接合部材101a,101bの両方を加振する構成でもよい。
【0106】
次に、接合装置100を用いて被接合部材101a,101bを接合する方法を、図14に示すフローチャートに沿って説明する。
【0107】
初めに、図13に示すように、互いに接合する被接合部材101a,101bの間に共晶材101cを挟み、電極103,104の間に被接合部材101a,101bを保持する。被接合部材101bは固定部111に固定され、被接合部材101aは保持部109に振動可能に保持される。
【0108】
続いて、加圧装置106によって、被接合部材101a,101b同士を予め設定された加圧力で加圧する。加圧装置106による加圧力は、制御装置108で調節され、例えば2〜10MPa程度が好ましいが、これに限定されない。
【0109】
次に、制御装置108により加振装置107を駆動させて、被接合部材101aを、接合面102a,102bに沿う方向へ加振して摺動させる(予備摺動工程S11)。加振周波数および加振振幅は、特に限定されないが、一例として、加振振幅は100〜1000μm程度が好ましく、加振周波数は10〜100Hz程度が好ましい。
【0110】
上記のように加圧しながら摺動させる予備摺動工程S11が行われると、接合面102a,102bが摺動するとともに摩擦熱が発生して材料が軟化され、接合面102a,102bが磨耗しつつ塑性流動し、接合面102a,102bの間の面圧がある程度均一化される。更に、予備摺動工程S11は、アルミニウムの表面の酸化皮膜を除去して皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきを低減させ、後の工程で抵抗加熱した際の発熱量のばらつきを抑える効果を発揮する。したがって、接合する前に、アルミニウムである被接合部材1a,1bの表面を脱脂し、更にワイヤブラシによりブラッシングして表面の酸化膜を除去する等の処置が不要となり、作業性が向上する。なお、当然、予備摺動工程S11の前にブラッシング等の処置を行ってもよい。
【0111】
予備摺動工程S11の後には、第1接合工程S12を行う。第1接合工程S12では、第1電極103および第2電極104を被接合部材101a,101bに接触させ、加振装置107による摺動を維持しつつ、第1電極103と第2電極104の間に電流供給装置105によって電流を供給する。このようにして、摩擦加熱および抵抗加熱の両方を併用して被接合部材101a,101bを加熱する。第1接合工程S12では、接合面102a,102bにおける電流が集中する高面圧部において抵抗加熱が大きく作用して加熱され、接合面102a,102bの酸化膜が強制的に剥離される。更に、抵抗加熱により加熱された高面圧部に加圧力と摺動が作用して塑性流動および材料拡散が生じ、かつ高面圧部が磨耗して時々刻々と電流集中箇所が変化する。これにより、電流の流れが分散し、接合面102a,102bが均一に加熱される。
【0112】
第1接合工程S12の後には、第2接合工程S13が行われる。第2接合工程S13では、電流供給装置105による電流の供給を減少させる一方、加圧装置106による加圧力を増加させることによって摩擦熱が増加させられる。これにより、抵抗加熱による発熱量が減少し、軟化された材料を摺動によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行することになる。なお、電流供給装置105による電流の供給は、最終的には停止される。また、摩擦熱の増加は、加振装置107を制御することによっても達成することが可能である。
【0113】
第2接合工程S13を終了する直前には、加振装置106を停止させるが、被接合部材101a,101bを望ましい相対的位置で接合するために、最終的に加振装置107によって被接合部材101a,101bを望ましい位置に位置決めする。このとき、被接合部材101a,101bが、位置決め部材である保持部109および固定部111に保持されているため、加振装置107を制御することで、被接合部材101aと被接合部材101bを正確に位置決めできる。加振装置106は、変位検出部107aにより計測される変位信号に基づいて加振源(例えば、サーボモータ等)をフィードバック制御するサーボ機構を備えることで、被接合部材101aと被接合部材101bの相対的変位をより正確に位置決めできる。フィードバック制御を実行する制御手段は、加振装置106内に設けられても、制御装置108に設けられてもよい。なお、加圧装置106の加圧力が大きいと位置決め精度が低下するため、加振装置107を停止させる前に、加圧装置106による加圧力を低下させてもよい。加圧装置107による加圧力を低下させると、被接合部材101a,101bの位置決め精度が向上し、被接合部材101a,101bが望ましい相対的位置となった状態で加振装置107を停止させることができる。なお、被接合部材1a,1bを位置決めするための他の構成を別途設けてもよい。
【0114】
第2接合工程S13の後には、冷却工程S14を行う。冷却工程S14では、制御装置108が、加振装置107および電流供給装置105を停止させ、加圧装置106による加圧力を上昇させる。そして、予め設定した時間が経過した際に、冷却が終了したと判断し、加圧装置106による加圧を終了させる。または、被接合部材101a,101bの温度を計測する温度計(不図示)から制御装置108へ入力される信号が所定値以下となった後、冷却が終了したと判断し、加圧装置106による加圧を終了させることもできる。この後、電極103,104を後退させて、接合された被接合部材101a,101bが装置から取り外される。これにより、被接合部材101a,101bの接合が完了する。
【0115】
本実施形態の接合方法によって接合された被接合部材101a,101bの接合界面には、被接合部材101a,101bの材料が拡散することで接合される拡散接合面、被接合部材101a,101bの材料が塑性流動することで接合される塑性流動接合面、および共晶材101cを介在して接合される中間層介在接合面が混在して形成される。
【0116】
共晶材101cは、第1接合工程S12および第2接合工程13において、共晶反応により低融点で液相化し、被接合部材101a,101b同士、または共晶材101cの被接合部材101a,101bへの相互拡散を促進させる。さらに、共晶材101cは、酸素を遮断して接合面102a,102bの再酸化を抑制する役割を果たすため、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる。
【0117】
本接合方法では、摺動および抵抗加熱を併用して接合するため、接合面102a,102bに高い加圧力を付与せずとも、電流集中箇所が変化して均一な加熱が可能となり、接合面102a,102bが大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができ、かつ低歪みで均一な面接合が可能である。また、接合面102a,102bの表層のみを溶融して接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現できる。
【0118】
なお、被接合部材101aは、接合面102a,102bに沿う1方向に加振されるが、相対的に摺動するのであればこれに限定されず、例えば公転運動等のように、接合面102a,102bに沿う2方向へ加振することもできる。
【0119】
また、予備摺動工程S11は、かならずしも設けずに省略することができる。また、予備摺動工程S11の替わり若しくは予備摺動工程S11の前に、加振装置107により摺動させるのではなしに、電流供給装置105により電極103,104へ電流を供給することで、接合面102a,102bを抵抗加熱により軟化させてもよい。また、第1接合工程S12と第2接合工程S13の間で、電流の供給を減少させる一方で加圧力を増加させることなしに、第1接合工程S12および第2接合工程S13を1つの接合工程として実施することもできる。また、冷却工程S14も、かならずしも設けずに省略することができる。
【0120】
次に、第2実施形態に係る接合装置100の具体的な構成を説明する。接合装置100は、図15に示すように、摺動される被接合部材101aに電流を供給する第1電極103として、複数の(本実施形態では、一例として3つの)第1電極103a,103b,103cを備えている。なお、被接合部材101bに電流を供給する第2電極104は、1つのみである。被接合部材101aに電流を供給する第1電極103a,103b,103cが、被接合部材101bに電流を供給する第2電極104よりも多く、第1電極103の被接合部材101aに対する接触総面積が、第2電極104の被接合部材101bに対する接触総面積よりも大きくなる。このため、第1電極103a,103b,103cの電流密度が、第2電極104よりも低くなる。したがって、被接合部材101aを摺動させることで、第1電極103a,103b,103cと被接合部材101aが摺動する際の第1電極103a,103b,103cおよび被接合部材101aの磨耗や溶着を、被接合部材101bを摺動させる場合よりも低減させることができる。
【0121】
そして、第1電極103a,103b,103cの各々には、制御装置108によって制御される第1電流調整部112a、第2電流調整部112b、第3電流調整部112c(以下、第1電流調整部、第2電流調整部および第3電流調整部を単に電流調整部という。)が接続されている。そして、制御装置108によって電流調整部112a,112b,112cを制御することで、各々の第1電極103a,103b,103cに供給される電流量を制御可能となっている。電流調整部112a,112b,112cには、例えば可変変圧器を用いるが、可変抵抗器を用いることも可能である。
【0122】
また、電流供給装置105から第1電極103a,103b,103cへ電流が流れる経路には、電流供給装置105の電圧を計測可能な電圧計113が設けられており、更に、第1電極103a,103b,103cの各々へ流れる電流量を計測可能な第1電流計114a、第2電流計114b、第3電流計114c(以下、第1電流計、第2電流計および第3電流計を単に電流計ともいう。)が設けられている。
【0123】
そして、電圧計113、電流計114a,114b,114cにおける計測信号は、いずれも制御装置108に入力される。したがって、制御装置108では、電圧計113および電流計114a,114b,114cの計測結果並びに電流調整部112a,112b,112cの調整量から、各々の第1電極103a,103b,103cから第2電極104への3つの電流経路K1,K2,K3における、接合面102a,102bの接触抵抗値を算出することができる。
【0124】
すなわち、例えば第1電極103aから第2電極104への電流経路K1においては、電圧計113により計測される電圧および第1電流調整部112aの電圧から第1電流経路K1における電圧を算出でき、この値を第1電流計114aにより検出される電流値で割ることで、第1電流経路K1における総抵抗値を算出できる。この総抵抗値には、接合面102a,102bの接触抵抗値、被接合部材101a,101b自体の抵抗値、第1電極103aと被接合部材101aの間の接触抵抗値、および第2電極104と被接合部材101bの間の接触抵抗値等が含まれており、総抵抗値に対する接合面102a,102bの接触抵抗値の比率は、加圧力等に応じて変化する。したがって、例えば予め実験や解析等により参照テーブルを作成しておくことで、計測された条件に応じて、算出された総抵抗値から接合面102a,102bの接触抵抗値を算出できる。
【0125】
同様にして、電圧計113により計測される電圧および第2,第3電流調整部112b、112cの電圧、第2,第3電流計114b,114cにより検出される電流値から、第2,第3電流経路K2,K3における接合面102a,102bの接触抵抗値を算出できる。このように、電圧計113、電流計114a,114b,114c、電流調整部112および制御装置108は、接合面102a,102bの接触抵抗値を算出するための接触抵抗検知部として機能する。なお、接触抵抗検知部は、被接合部材101a,101bの接合面102a,102bの接触抵抗値を検出できるのであれば、上記した構成に限定されず、適宜設計可能である。
【0126】
そして、第1接合工程S12において、図16に示すように、接触抵抗検知部により検出された接触抵抗値から、接合面102a,102bにおける接触面圧の均一性を判別する(S21)。判別は、例えば、制御装置108において、検出された電流経路K1,K2,K3における接合面102a,102bの接触抵抗値の差が、予め設定された閾値範囲内にあれば均一とし、閾値範囲外であれば、不均一と判別できる。なお、閾値は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0127】
接合面102a,102bにおける接触面圧が均一と判別された場合には、接合面102a,102bの重心からの距離が相対的に近い電極ほど、電流量が小さくなるように電流調整部112a,112b,112cを制御する(S22)。本実施形態では、第1電極103aが、第1電極103b,103cよりも接合面102a,102bの重心に近いため、第1電極103aの電流値が他の第1電極103b,103cの電流値よりも小さくなるように、電流調整部112a,112b,112cの少なくとも1つを制御装置108によって制御する。これにより、複数の電極からの電流が重畳しやすい接合面102a,102bの重心近傍の電流量を減少させ、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。なお、電流調整部112a,112b,112cの調整量は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0128】
接合面102a,102bにおける接触面圧が不均一と判別された場合には、接触面圧が高い部位の近傍の第1電極103、すなわち接合面102a,102bの接触面圧が高いと検知された第1電極103ほど、他の第1電極103よりも電流量が小さくなるように電流調整部112a,112b,112cの少なくとも1つを制御する(S23)。電流集中が起きる高面圧部を通過する電流量を減少させることで、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。なお、電流調整部112a,112b,112cの調節量は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0129】
第1接合工程S12が終了すると、図14に示す第2接合工程S13へ戻ることになる。
【0130】
なお、被接合部材101a,101bの接触面圧の均一性は、かならずしも接触抵抗検知部も設けて判別する構成でなくてもよい。したがって、被接合部材101a,101bの接触面圧が均一であることが接合前にわかっている場合や、接触面圧が不均一であって接触面圧の高い部位が接合前にわかっている場合には、接触抵抗検知部により接触面圧の均一性を判別せずに、図16に示す判別工程S21を省略して、電流調整部112a,112b,112cを調整して接合する工程であるステップS22またはS23を実施することができる。
【0131】
本実施形態によれば、被接合部材101aへの電流入力経路(第1電極103a,103b,103c)が複数設けられ、被接合部材101a,101bに電流を流す際に、少なくとも1つの電流入力経路(本実施形態では、3つの第1電極103a,103b,103c)における電流入力値を制御装置108で制御できるため、接合面102a,102bにおける発熱量を制御することが可能である。
【0132】
また、被接合部材101aに電流を供給するための同極の第1電極103a,103b,103cが複数設けられ、第1電極103a,103b,103cの電流量を調節することで、電流入力経路における電流入力値を制御するため、電流量を調節するだけで、接合面102a,102bにおける発熱量を制御することが可能となる。
【0133】
また、本実施形態では、同極である複数の第1電極103a,103b,103cのうち、接合面102a,102bの重心からの距離が相対的に近い電極(例えば、第1電極103a)の電流量を、他の電極(例えば、第1電極103b,103c)の電流量よりも相対的に小さくするように制御することができる(図16のステップS22を参照)。したがって、接合面102a,102bの接触面圧が均一と判断できる場合に、電流が重畳する接合面102a,102bの中心部の電流量を減少させ、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。
【0134】
また、本実施形態では、同極である複数の第1電極103a,103b,103cのうち、接合面102a,102bにおける接触面圧が相対的に高い部位からの距離が相対的に近い電極103の電流量を、他の電極103の電流量よりも相対的に小さくするように制御することができる(図16のステップS23を参照)。したがって、接合面102a,102bの接触面圧が不均一と判断できる場合に、電流集中が起きる高面圧部を通過する電流量を減少させることで、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。
【0135】
また、接合面102a,102bにおける接触面圧を検出して、検出された接触面圧に基づいて第1電極103a,103b,103cの電流量を制御できるため、個体毎の望ましい接合条件を自動的に判別して接合可能となる。
【0136】
また、被接合部材101aに電流を供給する第1電極103a,103b,103cは、被接合部材101bに電流を供給する第2電極104よりも多いため、接触総面積が大きく電流密度の小さい。したがって、摺動される被接合部材101aと接する電極が電流密度の小さい方であるため、第1電極103a,103b,103cと被接合部材101aが摺動する際の第1電極103a,103b,103cの磨耗や溶着を低減させることができる。
【0137】
なお、図17は、第2実施形態の接合装置の変形例を示すが、被接合部材101bに電流を供給する第2電極104として、複数の(本実施形態では、一例として3つの)第2電極104a,104b,104cを備えてもよい。または、被接合部材101aに接する第1電極103よりも、被接合部材101bに接する第2電極104を多くすることも可能である。また、図18,19に示す第2実施形態の接合装置の他の変形例のように、被接合部材101aに接する第1電極103d,103eと、被接合部材101bに接する第2電極104d,104eを、接合面方向Zに重ならないようにすることもできる。このようにすることで、第1電極103d,103eと第2電極104d,104eの間で流れる電量を分散させ、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化することができる。
【0138】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る接合装置120は、図20に示すように、複数の第1電極103a,103b,103cの被接合部材101aに対する各々の加圧力を制御することで、被接合部材101a,101bにおける複数の電流経路K1,K2,K3の発熱量を制御する点で、第2実施形態に係る接合装置100と異なる。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0139】
第3実施形態に係る接合装置120は、第2実施形態と同様に、被接合部材101aに電流を供給する電極103として、複数の(本実施形態では、一例として3つの)第1電極103a,103b,103cを備えており、かつ被接合部材101bに電流を供給する第2電極104が1つ設けられている。各々の第1電極103a,103b,103cには、加圧装置106a,106b,106cが独立して設けられており、各々の加圧装置106a,106b,106cを独立して制御することで、各々の第1電極103a,103b,103cの加圧力を調節可能となっている。複数の加圧装置106a,106b,106cは、第1電極103a,103b,103cと被接合部材101aの間の接触抵抗を変化させることで電流経路K1,K2,K3を調節する電流経路調節手段としても機能する。
【0140】
電流供給装置105から第1電極103a,103b,103cへ電流が流れる電流経路には、電流供給装置105の電圧を計測可能な電圧計113が設けられており、更に、第1電極103a,103b,103cの各々へ流れる電流量を計測可能な電流計114a,114b,114cが設けられている。
【0141】
そして、電圧計113および電流計114a,114b,114cにおける計測信号は、いずれも制御装置108に入力される。したがって、制御装置108では、電圧計113および電流計114a,114b,114cの計測結果から、各々の第1電極103a,103b,103cから第2電極104への3つの電流経路K1,K2,K3における総抵抗値を算出できる。この総抵抗値には、接合面102a,102bの接触抵抗値、被接合部材101a,101b自体の抵抗値、第1電極103aと被接合部材101aの間の接触抵抗値、および第2電極104と被接合部材101bの間の接触抵抗値等が含まれており、総抵抗値に対する被接合部材101a,101bの接合面102a,102bの接触抵抗値の比率は、加圧力等に応じて変化する。したがって、例えば予め実験や解析等により参照テーブルを作成しておくことで、計測された条件に応じて、算出された総抵抗値から被接合部材101a,101bの接合面102a,102bの接触抵抗値を検出できる。
【0142】
同様にして、電圧計113により計測される電圧値および第2,第3電流計114b,114cにより検出される電流値から、第2,第3電流経路K2,K3における接合面102a,102bの接触抵抗値を検出できる。このように、電圧計113、電流計114a,114b,114cおよび制御装置108は、接合面102a,102bの接触抵抗値を算出するための接触抵抗検知部として機能する。なお、接触抵抗検知部は、被接合部材101a,101bの接合面102a,102bの接触抵抗値を検出できるのであれば、電圧計113、電流計114a,114b,114cおよび制御装置108により構成される構造に限定されず、適宜設計可能である。
【0143】
そして、第1接合工程S12において、図21に示すように、接触抵抗検知部により検出された接触抵抗値から、接合面102a,102bにおける接触面圧の均一性を判別する。判別は、例えば、制御装置108において、検出された接合面102a,102bの接触面圧の差が、予め設定された閾値範囲内にあれば均一とし、閾値範囲外であれば、不均一と判別できる。なお、閾値は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0144】
接合面102a,102bにおける接触面圧が均一と判別された場合には、接合面102a,102bの重心からの距離が相対的に近い電極ほど、被接合部材101aに対する加圧力が小さくなるように加圧装置106a,106b,106cを制御する。本実施形態では、第1電極103aが、第1電極103b,103cよりも接合面102a,102bの重心に近いため、第1電極103aの被接合部材101aに対する加圧力を減少させる。このため、第1電極103aと被接合部材101aの間の接触抵抗は増加し、第1電極103aから被接合部材101aへ流れる電流量が減少する。これにより、複数の電極からの電流が重畳しやすい接合面102a,102bの重心近傍の電流量を減少させ、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。なお、加圧装置106a,106b,106cの調整量は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0145】
接合面102a,102bにおける接触面圧が不均一と判別された場合には、接触面圧が高い部位の近傍の電極3、すなわち被接合部材101a,101bの接触面の接触抵抗値が低く検知された第1電極103を押圧する加圧装置106の加圧力が小さくなるように、加圧装置106を制御装置108により制御する。これにより、第1電極103aと被接合部材101aの間の接触抵抗が増大し、第1電極103aから被接合部材101aへ流れる電流量が減少する。これにより、電流集中が起きる高面圧部を通過する電流量を減少させて、接合面102a,102bにおける電流のばらつきを低減させることができる。加圧装置106a,106b,106cの調整量は、実験や解析等に基づいて設定することができる。
【0146】
なお、接合面102a,102bにおける接触面圧の均一性は、かならずしも接触抵抗検知部も設けて判別する構成でなくてもよい。すなわち、接合面102a,102bにおける接触面圧が均一であることが接合前にわかっている場合や、接合面102a,102bにおける接触面圧が不均一であって接触面圧の高い部位が接合前にわかっている場合には、接触抵抗検知部により接触面圧の均一性を判別せずに、図21に示す判別工程S31を省略して、電流調整部112a,112b,112cを調整する工程であるステップS32またはS33を実施することができる。
【0147】
本実施形態によれば、被接合部材101aに電流を供給するための第1電極103a,103b,103cと被接合部材101aとの間の接触面圧を調整することで、電流入力経路(本実施形態では、3つの第1電極103a,103b,103c)における電流入力値を制御するため、接合面102a,102bにおける発熱量を制御することが可能となる。
【0148】
また、被接合部材101aに電流を供給するための同極の第1電極103a,103b,103cが複数設けられ、第1電極103a,103b,103cの接触対象に対する加圧力を独立して制御できるため、接合面102a,102bにおける発熱量を制御することが可能である。
【0149】
また、本実施形態では、同極である複数の第1電極103a,103b,103cのうち、接合面102a,102bの重心からの距離が相対的に近い電極(例えば、第1電極103a)の被接合部材101a(接触対象)に対する加圧力を、他の電極(例えば、第1電極103b,103c)の加圧力よりも相対的に小さくするように制御することができる(図21のステップS32を参照)。したがって、接合面102a,102bの接触面圧が均一と判別できる場合に、重心からの距離が相対的に近い第1電極103aと被接合部材101aとの間の接触抵抗を増加させて第1電極103aからの電流量を減少させて、接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。
【0150】
また、本実施形態では、同極である複数の第1電極103a,103b,103cのうち、接合面102a,102bにおける接触面圧が相対的に高い部位からの距離が相対的に近い第1電極103の被接合部材101aに対する加圧力を、他の第1電極103の加圧力よりも相対的に低くするように制御することができる(図21のステップS33を参照)。したがって、接合面102a,102bの接触面圧が不均一と判別できる場合に、電流集中が起きる高面圧部を通過する電流量を減少させることで、低面圧部へ分流させて接合面102a,102bに流れる電流量をより均一化できる。
【0151】
また、接合面102a,102bにおける接触面圧を検出して、検出された接触面圧に基づいて第1電極103a,103b,103cの加圧力を制御できるため、被接合部材101a,101bの個体毎の望ましい接合条件を自動的に判別して接合することができる。
【0152】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、第2,第3実施形態における複数の第1電極103は、2つであっても、または4つ以上であってもよい。また、複数の第1電極103は、被接合部材101aに対して一方向から接触するのではなく、異なる方向から接触する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0153】
1a,1b,101a,101b 被接合部材、
2a,2b,102a,102b 接合面、
4a,4b 非接触部、
5 共晶箔(共晶反応材料)、
7a,7b 位置決め孔(位置決め部)、
13 位置決め部材作動装置(位置決め部材作動手段)、
11a,11b 位置決めピン(位置決め部材)、
10,100,120 接合装置、
20a,20b 電極(電流入力部、保持部材)、
103,103a,103b,103c,103d,103e 第1電極(電流入力部)、
104,104a,104b,104c,104d,104e 第2電極、
21a,21b 電極本体、
23a,23b 電極板(電流入力部)、
24 被接合部材固定ボルト(電流経路調整手段 締結部)、
25 ボルト貫通孔、
30,105 電流供給装置(電流供給手段)、
40,106,106a,106b,106c 加圧装置(加圧手段)、
50,107 加振装置(摺動手段)、
60,108 制御装置(制御手段)、
70 接触抵抗検知装置(接触抵抗検知部)、
80 摩擦力検知装置(摩擦力検知部)、
101c 共晶材(共晶反応材料)、
109 保持部(保持部材、位置決め部材)、
111 固定部(保持部材、位置決め部材)、
112a,112b,112c 電流調整部、
113 電圧計、
114a,114b,114c 電流計、
L1 閾値、
L2 閾値、
S1,S11 予備加振工程(予備摺動工程)、
S2 接合工程、
S2a,S12 第1接合工程、
S2b,S13 第2接合工程、
S3,S14 冷却工程、
X 接合面に沿う方向、
Y 電極中心軸、
Z 接合面方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合方法であって、
互いに接合される前記被接合部材の接合面を対向させ、一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ、前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱により前記接合面同士を接合する接合工程を有する接合方法。
【請求項2】
前記接合工程の前に、抵抗加熱せずに、互いに接合される前記被接合部材の接合面を対向させ、一対の当該被接合部材を相対的に摺動させる予備摺動工程を有する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記接合工程において、前記被接合部材の対向する接合面の間に加圧力を作用させつつ相対的に摺動させて抵抗加熱した後、前記加圧力を低減させて摺動を停止させることで前記被接合部材同士を位置決めする、請求項1または2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記接合工程の前に、一対の前記被接合部材を相対的に摺動可能に保持する保持部材に対して位置を規定する位置決め部材により、前記被接合部材の位置決めを行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項5】
前記位置決め部材は、前記被接合部材に形成される位置決め部に挿入可能であって前記保持部材から進退動可能な位置決め部材であり、
当該位置決め部材を前記被接合部材の位置決め部に挿入させて前記被接合部材の位置決めを行った後、前記接合工程の前に、前記位置決め部材を後退させて前記被接合部材の位置決め部から引き抜く、請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記位置決め部材は、前記被接合部材に形成される位置決め部に挿入可能であって前記保持部材から進退動可能な位置決め部材であり、
前記接合工程の後に、前記当該位置決め部材を前記被接合部材の位置決め部に挿入させる、請求項4または5に記載の接合方法。
【請求項7】
前記位置決め部材に、前記被接合部材および前記保持部材よりも電気抵抗値の大きい材料を適用する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項8】
前記予備摺動工程において、互いに接合される前記被接合部材の間の接触抵抗を検知する接触抵抗検知部により接触抵抗を検知し、当該検知された接触抵抗が予め設定された閾値以下となった際に前記接合工程を開始する、請求項2に記載の接合方法。
【請求項9】
互いに接合される前記接合面の間に、前記被接合部材の少なくとも一方よりも融点の低い導電性の中間材料を介在させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項10】
前記中間材料は、部位により厚さの異なる膜状に形成されてなる、請求項9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記中間材料は、対向する前記接合面の間に加圧力を作用させた際の相対的に面圧の低い部位に対応する厚さが相対的に厚く形成された、請求項10に記載の接合方法。
【請求項12】
前記接合工程において、接合時間の経過に伴い、抵抗加熱による発熱量を減少させるとともに摺動による摩擦の発熱量を増加させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項13】
前記接合工程において、前記被接合部材の対向する接合面の間に加圧力を作用させつつ相対的に摺動させて抵抗加熱し、接合時間の経過に伴い、前記接合面に作用する加圧力を増加させる、請求項12に記載の接合方法。
【請求項14】
前記被接合部材における電流経路を調整する電流経路調整手段により電流経路を調整することで、前記接合面における接触抵抗を調整する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項15】
前記電流経路調整手段は、前記被接合部材を前記電極に対して軸力で締結する複数の締結部を有し、当該締結部の締結軸力を個別に変更することで前記接合面における接触抵抗を調整する、請求項14に記載の接合方法。
【請求項16】
前記締結部の締結軸力を、前記被接合部材に接する電極の中心軸から離れるにしたがって大きくする、請求項15に記載の接合方法。
【請求項17】
前記接合面における相対的に面圧の高い位置の近傍に配置される前記締結部の締結軸力を、他の締結部の締結軸力よりも小さくする、請求項15に記載の接合方法。
【請求項18】
前記締結部により、前記電極を構成する電極本体に前記被接合部材を締結し、電気的に接続される前記被接合部材と電極本体の間に導電性の部材を介在させる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項19】
前記接合工程において、互いに接合される前記被接合部材の間の接触抵抗を検知する接触抵抗検知部により接触抵抗を検知し、当該接触抵抗が予め設定された閾値以下となった際に、前記接合工程を停止する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項20】
前記接合工程において、互いに接合される前記被接合部材の間の摩擦力を検知する摩擦力検知部により摩擦力を検知し、当該摩擦力が予め設定された閾値以上となった際に、前記接合工程を停止する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項21】
前記被接合部材の摺動は、往復運動により行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項22】
前記被接合部材の摺動は、公転運動により行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項23】
前記抵抗加熱による前記被接合部材への総入熱量は、前記摺動により生じる摩擦加熱による前記被接合部材への総入熱量よりも大きい、請求項1〜22のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項24】
互いに接合される前記被接合部材は、互いに離間する非接触部が前記接合面に囲まれて形成される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項25】
前記接合面は、前記被接合部材に接する電極よりも中心軸の延長線に対して外側に位置する、請求項24に記載の接合方法。
【請求項26】
導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合装置であって、
一対の前記被接合部材の各々に電流を供給する一対の電極と、
前記電極に電流を供給する電流供給手段と、
一対の前記被接合部材を、当該被接合部材の互いに接合される接合面を対向させて相対的に摺動させる摺動手段と、
一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱を行うように前記電流供給手段および摺動手段を制御する制御手段と、を有する接合装置。
【請求項27】
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱を行う前に、一対の前記被接合部材を抵抗加熱させずに相対的に摺動させる予備摺動を行うように前記摺動手段を制御する、請求項26に記載の接合装置。
【請求項28】
対向する前記接合面の間に加圧力を作用させる加圧手段を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱させた後、前記加圧力を低減させて摺動を停止させることで前記接合面同士を位置決めするように前記加圧手段および摺動手段を制御する、請求項26または27に記載の接合装置。
【請求項29】
一対の前記被接合部材を相対的に摺動可能に保持する保持部材と、
前記保持部材に対する前記被接合部材の位置を規定する位置決め部材と、を有する請求項25〜28のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項30】
前記位置決め部材は、前記被接合部材に形成される位置決め部に挿入可能であって前記保持部材から進退動可能な位置決め部材であり、
前記位置決め部材を進退動させる位置決め部材作動手段を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱を行う前に、前記位置決め部材作動手段を制御して前記位置決め部材を後退させて前記被接合部材の位置決め部から引き抜く、請求項29に記載の接合装置。
【請求項31】
前記位置決め部材は、前記被接合部材に形成される位置決め部に挿入可能であって前記保持部材から進退動可能な位置決め部材であり、
前記位置決め部材を進退動させる位置決め部材作動手段を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱させた後、前記位置決め部材作動手段を制御して前記当該位置決め部材を前記被接合部材の位置決め部に挿入させる、請求項29または30に記載の接合方法。
【請求項32】
前記位置決め部材は、前記被接合部材および前記保持部材よりも電気抵抗値の大きい材料により形成される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項33】
互いに接合される前記被接合部材の間の接触抵抗を検知する接触抵抗検知部を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給する前に一対の前記被接合部材を相対的に摺動させる予備摺動において、前記接触抵抗検知部により検知される接触抵抗が予め設定された閾値以下となった際に、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱を開始させる、請求項27に記載の接合装置。
【請求項34】
前記被接合部材の対向する接合面の間に加圧力を作用させる加圧手段を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱を開始した後、時間の経過に伴い前記加圧手段の加圧力を増加させる、請求項26〜33のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項35】
前記被接合部材における電流経路を変更する電流経路調整手段を有する、請求項26〜34のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項36】
前記電流経路調整手段は、前記被接合部材を前記電極に対して軸力によって締結する2つ以上の締結部である、請求項35に記載の接合装置。
【請求項37】
互いに接合される前記被接合部材の間の接触抵抗を検知する接触抵抗検知部を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱させた後において、前記接触抵抗検知部により検知される接触抵抗が予め設定された閾値以下となった際に前記電流供給手段および摺動手段を停止させる、請求項26〜36のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項38】
互いに接合される前記被接合部材の間の摩擦力を検知する摩擦力検知部を有し、
前記制御手段は、前記電流供給手段および摺動手段を作動させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記電極に電流を供給して対向する前記接合面の間で抵抗加熱させた後において、前記摩擦力検知部により検知される摩擦力が予め設定された閾値以上となった際に前記電流供給手段および摺動手段を停止させる、請求項26〜36のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項39】
前記摺動手段による摺動は、往復運動である、請求項26〜38のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項40】
前記摺動手段による摺動は、公転運動である、請求項26〜38のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項41】
前記被接合部材の対向する接合面の間に加圧力を作用させる加圧手段を有し、
前記制御手段は、前記抵抗加熱による前記被接合部材への総入熱量が、前記摺動により生じる摩擦加熱による前記被接合部材への総入熱量よりも大きくなるように前記電流供給手段、摺動手段および加圧手段の少なくとも1つを制御する、請求項26〜40のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項42】
互いに接合される導電性を備えた被接合部材の接合面を対向させ、一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ、前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱により前記接合面同士を接合する接合方法であって、
前記被接合部材への同極から電流入力経路を複数設け、前記被接合部材に電流を流す際に、同極の前記電流入力経路のうち少なくとも1つの電流入力経路における電流入力値を独立して調整する接合方法。
【請求項43】
前記被接合部材に電流を流す際に、前記被接合部材へ電流を供給する同極の複数の電極の少なくとも1つの電流量を独立して調整することで、前記電流入力経路における電流入力値を調整する、請求項42に記載の接合方法。
【請求項44】
前記同極の複数の電極のうち、前記接合面の重心からの距離が相対的に近い電極の電流量を、他の同極の電極の電流量よりも相対的に小さくするように調整する、請求項43に記載の接合方法。
【請求項45】
前記同極の複数の電極のうち、前記接合面における接触面圧が相対的に高い部位からの距離が相対的に近い電極の電流量を、他の同極の電極の電流量よりも相対的に小さくするように調整する、請求項43に記載の接合方法。
【請求項46】
前記接合面における接触面圧を検出し、検出された当該接触面圧に基づいて前記電極の電流量を調整する、請求項44または45に記載の接合方法。
【請求項47】
前記被接合部材に電流を流す際に、前記被接合部材へ電流を供給する電極の被接合部材に対する接触面圧を調整することで、前記電流入力経路における電流入力値を調整する、請求項42〜46のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項48】
前記被接合部材へ電流を供給する同極の複数の電極のうち少なくとも1つの電極の接触対象に対する加圧力を独立して調整することで、前記電流入力経路における電流入力値を調整する、請求項47に記載の接合方法。
【請求項49】
前記同極の複数の電極のうち、前記接合面の重心からの距離が相対的に近い電極の前記接触対象に対する加圧力を、他の同極の電極の電流量よりも相対的に小さくするように調整する、請求項48に記載の接合方法。
【請求項50】
前記同極の複数の電極のうち、前記接合面における接触面圧が相対的に高い部位からの距離が相対的に近い電極の前記接触対象に対する加圧力を、他の同極の電極の加圧力よりも相対的に低くするように調整する、請求項48に記載の接合方法。
【請求項51】
前記接合面における接触面圧を検出し、検出された当該接触面圧に基づいて前記電極の加圧力を調整する、請求項49または50に記載の接合方法。
【請求項52】
前記被接合部材の各々に電流を供給する各極の電極の接触対象に対する接触総面積を異ならせ、前記接触総面積が大きい極の電極から電流を供給される一方の被接合部材を摺動させる、請求項48〜51のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項53】
前記被接合部材を前記電極に対して軸力で締結する複数の締結部の締結軸力を個別に変更することで前記接合面における接触抵抗を調整する、請求項47に記載の接合方法。
【請求項54】
前記締結部の締結軸力を、前記被接合部材に接する電極の中心軸から離れるにしたがって大きくする、請求項53に記載の接合方法。
【請求項55】
前記接合面における相対的に面圧の高い位置の近傍に配置される前記締結部の締結軸力を、他の締結部の締結軸力よりも小さくする、請求項53に記載の接合方法。
【請求項56】
前記締結部により、前記電極を構成する電極本体に前記被接合部材を締結し、電気的に接続される前記被接合部材と電極本体の間に導電性の部材を介在させる、請求項53〜55のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項57】
導電性を備えた一対の被接合部材を接合するための接合装置であって、
前記被接合部材への複数の電流入力経路を規定し、前記電流入力経路の少なくとも1つの電流量を調整可能な電流入力部と、
前記電流入力部に電流を供給する電流供給手段と、
互いに接合される前記被接合部材の接合面を対向させて一対の前記被接合部材を相対的に摺動させつつ前記被接合部材の一方から他方へ電流を流して抵抗加熱を行うように前記電流供給手段および摺動手段を制御する制御手段と、を有する接合装置。
【請求項58】
前記電流入力部は、前記被接合部材に電流を供給する同極の複数の電極であり、
当該複数の電極の少なくとも1つの電流量を調整するための電流調整部を有する、請求項57に記載の接合装置。
【請求項59】
前記電流入力部は、前記被接合部材に電流を供給する同極の複数の電極であり、
当該複数の電極の少なくとも1つの接触対象に対する加圧力を調整可能な加圧手段を有する、請求項57に記載の接合装置。
【請求項60】
前記被接合部材における電流経路を変更する電流経路調整手段を有し、前記電流経路調整手段は、前記被接合部材を前記電極に対して軸力によって締結する2つ以上の締結部である、請求項57に記載の接合装置。
【請求項61】
前記電極は、前記締結部により前記被接合部材に締結される電極本体と、電気的に接続される前記被接合部材と電極本体の間に介在される導電性の部材と、を有する、請求項60に記載の接合装置。
【請求項62】
前記被接合部材の各々に電流を供給する各極の電極の接触対象に対する接触総面積が異なり、
前記摺動装置は、前記接触総面積が大きい極の電極から電流を供給される一方の被接合部材を摺動させる、請求項57〜61のいずれか1項に記載の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−24840(P2012−24840A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279811(P2010−279811)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】