説明

接合方法および接合装置

【課題】基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法および当該接合方法を実施することのできる接合装置を提供すること。
【解決手段】本発明の接合方法は、凹部531が形成されたキャップ530と赤外線透過性を有するパッケージ基板520とを、凹部531の開口を塞ぐように接合する接合方法であって、凹部531の開口を塞ぐようにキャップ530をパッケージ基板520に載置するとともに、赤外線吸収性を有する枠状の接合部580を凹部531の周囲であってキャップ530とパッケージ基板520との間に介在させ、パッケージ基板側から接合部580へ向けて赤外線IRを照射し、接合部580が赤外線IRを吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した接合部580を介してキャップ530とパッケージ基板520とを接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法および接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、圧電素子等の機能素子をケーシングに収納して構成される圧電デバイスが知られている。具体的には、凹部を有し、酸化アルミニウム等のセラミックスで構成されたセラミックパッケージ(基体)と、凹部内に配置された圧電素子と、凹部を封止するリッド(蓋体)とを有する圧電デバイスが知られている。
また、前記凹部内を気密的に封止するために、蓋体をセラミックパッケージに接合しているが、この接合方法として、シーム溶接(パラレルシーム溶接)、レーザー溶接、プラズマアーク放電を用いたプラズマ溶接(アーク溶接)等が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、シーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接には、次のような問題があった。
【0003】
まず、シーム溶接には、圧電デバイスの小型化に対応することができないという問題がある。具体的に説明すれば、シーム溶接は、例えば、一対のローラー電極をリッドの縁に押し当て、一対のローラー電極間に電圧を印加しながら縁に沿って転がすことにより、リッドの縁を加熱し溶融させることにより、リッドをセラミックパッケージに溶接する接合方法である。しかしながら、近年、市場の要望により、圧電デバイスの小型化が急速に進んでおり、そのため、リッドの縁に電極を接触させることや、電極をリッドの縁に沿って転がすことが困難である。
【0004】
次に、レーザー溶接には、ケーシングに歪みが発生するという問題がある。具体的に説明すれば、レーザー溶接は、高温のレーザーをリッドの縁に沿って移動しながら局所的かつ連続的に照射し、リッドの縁を溶融させることにより、リッドをセラミックパッケージに溶接する方法である。しかしながら、レーザー溶接は、前述のように、レーザーを局所的に照射するため、レーザーが照射された部分が局所的に昇温し熱膨張する。これにより、ケーシングに歪みが発生するおそれがある。ケーシングに歪みが生じると、当該歪みによって内部に収納された圧電素子に応力が加わり、その結果、圧電素子の機能が低下する。
次に、アーク溶接には、酸化により外観を損ねるという問題がある。具体的に説明すれば、プラズマアーク放電は、比較的高温(例えば、2000℃程度)であるため、リッドのプラズマアーク放電に曝された部分(縁部)が酸化してしまう。これにより、ケーシングの外観が損なわれ、製品として販売することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭57−44437号公報
【特許文献2】特開2003−158208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法および当該接合方法を実施することのできる接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の接合方法は、蓋体および赤外線透過性を有する基体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合方法であって、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、赤外線吸収性を有する枠状の接合部を前記凹部の周囲であって前記蓋体と前記基体との間に介在させ、
前記基体の前記蓋体と反対側から前記接合部へ向けて赤外線を照射し、前記接合部が前記基体を透過した前記赤外線の少なくとも一部を吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した前記接合部を介して前記凹部の周囲にて前記蓋体と前記基体とを接合することを特徴とする。
これにより、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる基体と蓋体との接合方法を提供することができる。
【0008】
[適用例2]
本発明の接合方法では、前記接合部は、前記基体に形成された第1の接合部と、前記蓋体に形成された第2の接合部とを有し、
前記第1の接合部と前記第2の接合部とが前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置した状態にて重なり合っているのが好ましい。
これにより、基体と蓋体とをより強固に接合することができる。
【0009】
[適用例3]
本発明の接合方法では、前記第1の接合部の融点は、前記第2の接合部の融点よりも高いのが好ましい。
これにより、第1、第2の接合部を共に、より確実に溶融することができる。
[適用例4]
本発明の接合方法では、前記第2の接合部は、前記第1の接合部が前記赤外線を吸収することにより発する熱により加熱されるのが好ましい。
これにより、第2の接合部を効果的に溶融することができる。
【0010】
[適用例5]
本発明の接合方法では、前記第2の接合部は、前記基体および前記第1の接合部を透過した前記赤外線の少なくとも一部を吸収することにより発熱するのが好ましい。
これにより、第2の接合部を効果的に溶融することができる。
[適用例6]
本発明の接合方法では、前記接合部と前記蓋体との間には、赤外線を反射する反射部が設けられているのが好ましい。
これにより、赤外線を第1、第2の接合部の加熱に効率的に用いることができる。
【0011】
[適用例7]
本発明の接合方法では、前記赤外線の照射は、前記接合部のパターンに対応した赤外線透過部を有するマスクを介して行われるのが好ましい。
これにより、第1、第2の接合部に選択的に赤外線を照射することができ、他の部分に加わる熱ダメージを低減することができる。
[適用例8]
本発明の接合方法では、前記赤外線の照射は、前記接合部の周方向の全域に対して同時に行われるのが好ましい。
これにより、基体および蓋体の歪みを抑制することができる。
【0012】
[適用例9]
本発明の接合方法では、前記赤外線を前記接合部の一部に照射する第1の赤外線照射工程と、
前記赤外線を前記接合部の少なくとも前記一部を除いた部分に照射する第2の赤外線照射工程と、を有しているのが好ましい。
これにより、基体と蓋体とを仮止めすることができるため、基体および蓋体の歪みをより効果的に抑制することができる。
【0013】
[適用例10]
本発明の接合方法では、前記第1の赤外線照射工程にて前記赤外線が照射される部分は、前記接合部の周方向に間隔を隔てて複数個所設定されているのが好ましい。
これにより、基体と蓋体との仮止めを、より効果の高いものとすることができる。
[適用例11]
本発明の接合方法では、前記赤外線を発生する光源と前記基体との間に、前記赤外線の通過を許容する状態と前記赤外線を遮断する状態とを選択することのできるシャッター部が配置されているのが好ましい。
これにより、赤外線照射時間や照射タイミングなどを精度よく制御することができる。
【0014】
[適用例12]
本発明の接合方法では、前記基体および前記蓋体のうちの少なくとも一方を他方に向けて押圧した状態で、前記赤外線を照射するのが好ましい。
これにより、基体と蓋体とを、より確実かつ効率的に、接合することができる。
[適用例13]
本発明の接合方法では、前記蓋体を前記基体に向けて押圧する押圧手段を有し、
前記押圧手段は、前記蓋体を前記基体と反対側から前記基体に押圧する押圧部材を有しているのが好ましい。
これにより、押圧手段の構成が容易となる。また、赤外線の照射が押圧部材によって阻害されることがない。
【0015】
[適用例14]
本発明の接合方法では、前記蓋体を前記基体に向けて押圧する押圧手段を有し、
前記押圧手段は、前記蓋体を前記基体に向けて押圧するとともに、前記基体に対する前記蓋体の位置決めを行う押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記蓋体を前記基体に向けて押圧する際に前記蓋体と係合する係合部を有し、前記基体に向けて押圧しつつ前記蓋体を前記係合部に係合させることにより、前記基体に対する前記蓋体の位置決めを行うのが好ましい。
これにより、所望の位置関係にて、基体と蓋体とを接合することができる。また、簡単な構成にて、押圧部材によって蓋体を押圧するとともに、蓋体の位置決めを行うことができる。
【0016】
[適用例15]
本発明の接合方法では、前記係合部は、前記押圧部材の前記蓋体側の面に開放する凹部であるのが好ましい。
これにより、係合部の構成が簡単となる。
[適用例16]
本発明の接合方法では、前記赤外線の照射は、気密空間内で行われるのが好ましい。
これにより、凹部内を所望の環境とすることができる。
【0017】
[適用例17]
本発明の接合方法では、前記凹部には、機能素子が収納されているのが好ましい。
このように、凹部内に機能素子が収納されている場合には、機能素子に与える熱ダメージを低減することができる。
[適用例18]
本発明の接合装置は、蓋体および赤外線透過性を有する基体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合装置であって、
赤外線を出射する光源を有し、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、赤外線吸収性を有する枠状の接合部を前記凹部の周囲であって前記蓋体と前記基体との間に介在させた状態にて、
前記光源からの前記赤外線を前記基体の前記蓋体と反対側から前記接合部へ向けて照射することにより、前記接合部が前記基体を透過した前記赤外線の少なくとも一部を吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した前記接合部を介して前記凹部の周囲にて前記蓋体と前記基体とを接合するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、基体および蓋体の小型化に対応することができ、かつ、外観を損ねることなく、歪みの発生を抑制することのできる接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】振動デバイスの一例を示す平面図(上面図)である。
【図2】図1に示す振動デバイスの断面図である。
【図3】図1に示す振動デバイスの下面図である。
【図4】図1に示す振動デバイスのパッケージ基板とキャップとが接合されていない状態を示す断面図である。
【図5】図1に示す振動デバイスが有する圧電素子の平面図である。
【図6】本発明の接合装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図7】図6に示す接合装置の押圧板を説明する断面図である。
【図8】図7に示す押圧板の変形例を示す断面図である。
【図9】図6に示す接合装置が有するマスクを説明する断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る接合装置が有する第2のマスクを示す平面図および断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る接合装置が有するマスクの断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る接合装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の接合方法および接合装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、振動デバイスの一例を示す平面図(上面図)、図2は、図1に示す振動デバイスの断面図、図3は、図1に示す振動デバイスの下面図、図4は、図1に示す振動デバイスのパッケージ基板とキャップとが接合されていない状態を示す断面図、図5は、図1に示す振動デバイスが有する圧電素子の平面図、図6は、本発明の接合装置の第1実施形態を示す概略図、図7は、図6に示す接合装置の押圧板を説明する断面図、図8は、図7に示す押圧板の変形例を示す断面図、図9は、図6に示す接合装置が有するマスクを説明する断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」として説明する。また、図2、図4〜図9中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0020】
1.振動デバイス
まず、本発明の接合方法(接合装置)により溶接される部分を有する振動デバイス500について説明する。
図1ないし図5に示すように、振動デバイス500は、ケーシング510と、ケーシング510内に収納された圧電素子(機能素子)590とを有している。
【0021】
[ケーシング]
ケーシング510は、赤外線IRを透過する赤外線透過性を有する板状のパッケージ基板(基体)520と、下面532に開放する凹部531を有する容器状のキャップ(蓋体)530とを有している。
キャップ530およびパッケージ基板520の平面視形状(輪郭形状)は、ともに略長方形(矩形)である。なお、キャップ530の平面視形状は、これに限定されず、例えば、正方形などの長方形以外の四角形(矩形)、円形、異形などであってもよい。また、パッケージ基板520の平面視形状も、キャップ530の凹部531の開口を塞ぐことができれば、特に限定されず、正方形などの長方形以外の四角形(矩形)、円形、異形などであってもよい。
【0022】
図2に示すように、パッケージ基板520とキャップ530とは、接合部580を介して接合されている。接合部580は、凹部531の周囲を囲む枠状をなしており、溶融により、キャップ530の下面(凹部531の開口を囲む枠状の面)532と、パッケージ基板520の上面521の縁部とを接合する。これにより、キャップ530の凹部531の開口がパッケージ基板520によって塞がれ、収納空間3が形成される。この収納空間3には、圧電素子590が収納されている。
このような接合部580は、赤外線IRを吸収する赤外線吸収性を有しており、いわゆる赤外線加熱により発熱、溶融し、これによりパッケージ基板520とキャップ530とを接合する。なお、赤外線IRとは、0.7μm〜1mm程度の波長を有する光(電磁波)を言う。
【0023】
パッケージ基板520とキャップ530との接合について簡単に説明すると、まず、接合部580を介してパッケージ基板520とキャップ530とを重ね合わせた状態とする。次に、パッケージ基板520の下側(キャップ530と反対側)から赤外線IRを照射する。これにより、赤外線IRがパッケージ基板520を透過して接合部580に照射される。
【0024】
接合部580に照射された赤外線IRのうちの少なくとも一部は、エネルギーとして接合部580に吸収(共振吸収)され、この吸収されたエネルギーが接合部580に分子の運動(振動)を誘発させる。このような分子の振動によって接合部580内に摩擦熱が発生し、接合部580が発熱する。そして、この発熱によって接合部580が溶解し、これにより、パッケージ基板520とキャップ530とが接合される。
【0025】
なお、このようなパッケージ基板520とキャップ530との接合は、後述する接合方法(本発明の接合方法)により実施される。本発明の接合方法については、後に詳述する。
キャップ530の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金のような各種金属材料、これら金属材料のうちの少なくとも1種を含む合金(例えばコバール合金等)または金属間化合物、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
【0026】
パッケージ基板520は、前述したように、赤外線IRを透過する赤外線透過性を有している。これにより、パッケージ基板520を介して接合部580に赤外線IRを照射することができる。そのため、パッケージ基板520とキャップ530との接合を簡単かつ確実に行うことができる。
パッケージ基板520の赤外線透過率は、高い程好ましく、具体的には、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、パッケージ基板520によって反射、吸収される赤外線IRをより少なくすることができ、赤外線IRを効率的に接合部580に照射することができる。また、赤外線IRの出力や照射時間を抑えることができるため、少電力かつ短時間でパッケージ基板520とキャップ530とを接合することができる。さらには、赤外線IRを吸収することによるパッケージ基板520の発熱を抑制することができ、パッケージ基板520の熱膨張に起因するケーシング510や圧電素子590に歪みを抑制することができる。
【0027】
このようなパッケージ基板520は、赤外線透過性を有する赤外線透過材料で構成されている。赤外線透過材料としては、結晶性無機材料および非晶性無機材料が挙げられ、結晶性無機材料としては、例えば、ZnSe、Si、Ge、ZnS、GaAs、ダイヤモンド等が挙げられる。一方、非晶性無機材料としては、例えば、SiO2を主成分とする石英系ガラス材料、GeO2を主成分とするゲルマネート系ガラス材料、Al23を主成分とするアルミネート系ガラス材料等の酸化物系ガラス材料、硫化物系ガラス材料、カルコゲナイドガラス材料等が挙げられる。
【0028】
また、図1に示すように、パッケージ基板520の上面521には、収納空間3に臨む一対の接続端子541、542が形成されている。また、図3に示すように、パッケージ基板520の下面522には、圧電素子590が有する接続端子541、542をケーシング510の外側へ引き出すための一対の外部実装端子551、552が形成されている。接続端子541と外部実装端子551、接続端子542と外部実装端子552は、それぞれ、パッケージ基板520を厚さ方向に貫通する導体ポスト(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0029】
接続端子541、542や外部実装端子551、552は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの金属配線材料をパッケージ基板520上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)などのめっきを施すことにより形成することができる。
ここで、図3に示すように、外部実装端子551、552は、それぞれ、パッケージ基板520の平面視(以下、単に「平面視」という。)にて、接合部580と重ならないように形成されているのが好ましい。そのため、本実施形態では、外部実装端子551、552は、平面視にて、その全域が収納空間3に内包されている。これにより、赤外線IRをパッケージ基板520の下側からパッケージ基板520を介して接合部580に照射する際に、赤外線IRが接合部580に到達する前に外部実装端子551、552によって反射または吸収されてしまうのを防止することができる。すなわち、確実に、接合部580に赤外線IRを照射することができ、パッケージ基板520とキャップ530とを接合することができる。
【0030】
なお、平面視にて、外部実装端子551、552が接合部580と重なる場合には、接合部580を介してパッケージ基板520とキャップ530とを接合した後に、外部実装端子551、552を形成すればよい。これにより、前述したような問題を解消することができる。
接合部580は、枠状をなしており、平面視にて、凹部531の周囲を囲むように形成されている。言い換えれば、接合部580は、キャップ530の下面532とパッケージ基板520の上面521の縁部との間に介在しており、当該部分にてパッケージ基板520とキャップ530とを接合している。これにより、凹部531の開口がパッケージ基板520によって気密的に塞がれる。
【0031】
図4は、パッケージ基板520とキャップ530とを接合する前の状態を示す断面図である。同図に示すように、接合部580は、パッケージ基板520の上面521の縁部に設けられた枠状の第1の接合部581と、キャップ530の下面532に設けられた枠状の第2の接合部582とを有している。
パッケージ基板520の上面に第1の接合部581を形成する方法およびキャップ530の下面532に第2の接合部582を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング等により形成した膜をフォトリソグラフィーおよび各種エッチング技術によってパターニングして形成してもよいし、スクリーン印刷等の各種印刷法を用いて形成してもよい。
【0032】
第1、第2の接合部581、582の厚さとしては、それぞれ、特に限定されず、例えば、0.5μm以上、5.0μm以下程度である。
このような接合部580では、キャップ530をパッケージ基板520の上面に載置し、第1の接合部581と第2の接合部582とを重ね合わせた状態にて、赤外線IRの照射によって第1、第2の接合部581、582を溶融し、これにより、パッケージ基板520とキャップ530とを接合する。
【0033】
このように、パッケージ基板520およびキャップ530の両方に予め接合部(第1の接合部581および第2の接合部582)を設けておくことにより、これらの接合界面が接合部580の厚さ方向の中央部に形成される。すなわち、接合界面がパッケージ基板520またはキャップ530との接触部に形成されない。そのため、パッケージ基板520とキャップ530との接合をより確実に行うことができるとともに、これらの接合強度を高めることができる。
【0034】
第1、第2の接合部581、582は、それぞれ、比較的高い赤外線吸収性を有している。第1、第2の接合部581、582の赤外線吸収率としては、高い程好ましく、具体的には、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、より多くの赤外線IRがエネルギーとして第1、第2の接合部581、582に吸収(共振吸収)されるため、効率的に、第1、第2の接合部581、582を加熱することができる。
【0035】
第1の接合部581は、パッケージ基板520を透過した赤外線IRを吸収して発熱し、溶融する。一方、第2の接合部582は、第1の接合部581を透過した赤外線IRを吸収して発熱するとともに、第1の接合部581が赤外線IRを吸収することにより発する熱の伝達により加熱され、溶融する。すなわち、第2の接合部582は、自らの発熱と外部から加わる熱とによって溶融する。これにより、第1、第2の接合部581、582をともに効率的に溶融することができる。
【0036】
ここで、第1の接合部581の赤外線吸収率が高くなる程、第1の接合部581に吸収される赤外線IRが増加するため、赤外線IRを吸収することによる第1の接合部581の発熱(発熱量)が大きくなる。一方で、第1の接合部581に吸収される赤外線IRが増加する分、第1の接合部581を透過して第2の接合部582へ照射される赤外線IRが減少するため、赤外線IRを吸収することによる第2の接合部582の発熱(発熱量)が小さくなる。
【0037】
反対に、第1の接合部581の赤外線吸収率が低くなる程、第1の接合部581に吸収される赤外線IRが減少するため、赤外線IRを吸収することによる第1の接合部581の発熱(発熱量)が小さくなる。一方で、第1の接合部581に吸収される赤外線IRが減少する分、第1の接合部581を透過して第2の接合部582へ照射される赤外線IRが増加するため、赤外線IRを吸収することによる第2の接合部582の発熱(発熱量)が大きくなる。
【0038】
すなわち、第2の接合部581を溶融する熱の発生源としては、第1の接合部581の赤外線吸収率が高くなる程、第1の接合部581から伝達される熱が支配的となり、反対に、第1の接合部581の赤外線吸収率が低くなる程、赤外線IRを吸収することによる第2の接合部582の発熱が支配的となる。
第1の接合部581からの熱による第2の接合部581の加熱と、赤外線IRを吸収することによる第2の接合部582の発熱とのバランスとしては、特に限定されないが、第1の接合部581からの熱による第2の接合部581の加熱が支配的であるのが好ましい。
【0039】
具体的には、第1の接合部581からの熱により第2の接合部581を加熱した場合の第2の接合部582の単位時間当たりの温度上昇量をA[℃/sec]とし、赤外線IRを吸収することにより第2の接合部582が発熱した場合の単位時間当たりの温度上昇量をB[℃/sec]としたとき、A/Bは、10以上であるのが好ましく、50以上であるのがより好ましい。これにより、赤外線IRによって、第1、第2の接合部581、582を共に効率的に加熱することができるため、より確実に、第1、第2の接合部581、582を溶融することができる。
【0040】
このような第1、第2の接合部581、582は、融点が互いに異なっているのが好ましい。具体的には、第1の接合部581の融点をT1とし、第2の接合部582の融点をT2としたとき、T1>T2なる関係を満足することが好ましく、0.6T1>T2なる関係を満足することがより好ましい。前述のように、第2の接合部582は、第1の接合部581が発する熱により加熱されたり、第1の接合部581を透過した赤外線IRを吸収して発熱したりするため、第1の接合部581よりも昇温し難い。そのため、上記関係を満足することにより、第2の接合部582を第1の接合部581とともに、より確実に溶融することができる。
【0041】
なお、第1、第2の接合部581、582の融点としては、それぞれ、特に限定されないが、600℃以上、1000℃以下程度であるのが好ましい。これにより、赤外線IRの照射によって、第1、第2の接合部581、582をより確実に溶融することができる。さらに、パッケージ基板520、キャップ530および圧電素子590が高温に曝されてしまうのを抑制することができ、振動デバイス500へ加わる熱ダメージを低減することができる。
【0042】
熱ダメージとしては、種々のものがあり、例えば、圧電素子590に歪み(撓み)が生じてしまうことが挙げられる。また、振動デバイス500の各種電極や配線は、ニッケル、クロムの下地層上に、金の電極層を成膜した構成であるため、熱によりこれら金属が合金化し、電極等が母材から剥がれ落ちてしまうことが挙げられる。
このような第1、第2の接合部581、582の構成材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、金、白金、銀、銅、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉛、錫、チタン、タングステン等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。
【0043】
また、第1、第2の接合部581、582は、構成材料に共通の元素を含んでいるのが好ましい。これにより、第1の接合部581と第2の接合部582の相溶性が良好となる。そのため、第1の接合部581と第2の接合部582とを溶接により強固に接合することができ、その結果、パッケージ基板520とキャップ530との接合強度をより高めることができる。
【0044】
本実施形態では、第2の接合部582とキャップ530の下面532との間には、赤外線を反射する反射膜(光反射部)570が形成されている。これにより、仮に、赤外線IRの一部がパッケージ基板520、第1の接合部581および第2の接合部582のいずれにも吸収されずに、第2の接合部582を透過した場合、この赤外線IRを反射膜570にて反射し、第2の接合部582側に戻すことができる。そのため、反射膜570に反射された赤外線IRを、再び、第1、第2の接合部581、582の加熱のために用いることができるため、第1、第2の接合部581、582を効率的に加熱することができる。
このような反射膜570の構成材料は、赤外線IRを反射することができれば、特に限定されないが、例えば、金を好適に用いることができる。
なお、反射膜570は、省略してもよいし、キャップ530の下面532が反射膜を兼ねていてもよい。
【0045】
[圧電素子]
図5(a)は、圧電素子590を上方から見た平面図であり、同図(b)は、圧電素子590を上方から見た透過図(平面図)である。
図5(a)、(b)に示すように、圧電素子590は、平面視形状が長方形(矩形)の板状をなす圧電基板591と、圧電基板591の表面に形成された一対の励振電極593、595とを有している。
【0046】
圧電基板591は、主として厚み滑り振動をする水晶素板である。本実施形態では、圧電基板591としてATカットと呼ばれるカット角で切り出された水晶素板を用いている。
ATカットとは、水晶の結晶軸であるX軸とZ軸とを含む平面(Y面)をX軸回りにZ軸から反時計方向に約35度15分程度回転させて得られる主面(X軸とZ’軸とを含む主面)を有するように切り出すことを言う。
【0047】
このような構成の圧電基板591では、圧電基板591の長手方向が水晶の結晶軸であるX軸と一致する。
励振電極593は、圧電基板591の上面に形成された電極部593aと、圧電基板591の下面に形成されたボンディングパッド593bと、電極部593aおよびボンディングパッド593bを電気的に接続する配線593cとを有している。
【0048】
一方、励振電極595は、圧電基板591の下面に形成された電極部595aと、圧電基板591の下面に形成されたボンディングパッド595bと、電極部595aおよびボンディングパッド595bを電気的に接続する配線595cとを有している。
電極部593a、595aは、圧電基板591を介して対向して設けられ、互いにほぼ同じ形状をなしている。すなわち、圧電基板591の平面視にて、電極部593a、595aは、互いに重なるように位置し、輪郭が一致するように形成されている。
【0049】
また、ボンディングパッド593b、595bは、圧電基板591の下面の図2中右側の端部端部に離間して形成されている。
このような励振電極593、595は、例えば、圧電基板591上に蒸着やスパッタリングによってニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の下地層を成膜した後、下地層の上に蒸着やスパッタリングによって金(Au)の電極層を成膜し、その後フォトリソグラフィーおよび各種エッチング技術を用いて、所望の形状にパターニングすることにより形成することができる。下地層を形成すすることにより、圧電基板591と前記電極層との接着性が向上し、信頼性の高い圧電素子590が得られる。
【0050】
なお、励振電極593、595の構成としては、上記の構成に限定されず、例えば、下地層を省略してもよいし、その構成材料を他の導電性を有する材料(例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブテン(Mo)等の各種金属材料)としてもよい。
このような圧電素子590は、収納空間3内に収納されており、さらに、一対の導電性接着剤561、562を介してパッケージ基板520に片持ち支持されている。このように、圧電素子590を片持ち支持することにより、昇温による圧電素子590の撓み等を抑制することができる。
【0051】
導電性接着剤561は、接続端子541とボンディングパッド593bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤561を介して、接続端子541とボンディングパッド593bとが電気的に接続されている。一方の導電性接着剤562は、接続端子542とボンディングパッド595bとに接触して設けられており、これにより、導電性接着剤562を介して、接続端子542とボンディングパッド595bとが電気的に接続されている。
【0052】
以上、振動デバイス500について説明したが、振動デバイス500が有する機能素子としては、前述した圧電素子590、すなわち、いわゆるATカット水晶振動子に限定されない。機能素子としては、例えば、音叉型の水晶振動子、SAW共振器、角速度検出素子、加速度検出素子等であってもよい。また、収納空間3内には、複数の機能素子が収納されていてもよい。
また、機能素子の駆動を制御したり、機能素子からの信号を受信したりするICチップ等が収納されていてもよい。ICチップを収納する場合には、ICチップを機能素子の隣に並設してもよいし、ICチップをケーシングの厚さ方向に機能素子と重なるように配置してもよい。
【0053】
2.接合装置
次に、接合装置(本発明の接合装置)100について説明する。
接合装置100は、前述したように、キャップ530とパッケージ基板520とを接合する装置である。
図6に示すように、接合装置100は、チャンバー110と、ステージ120と、ステージ120の下側に設けられた赤外線ランプ(光源)130と、キャップ530を押圧する押圧手段140と、ステージ120と赤外線ランプ130との間に設けられたシャッター機構150と、ステージ120とシャッター機構150との間に設けられたマスク160とを有している。
【0054】
[ステージ]
ステージ120は、パッケージ基板520を載置するための載置台である。また、ステージ120は、その上面121に開放する凹部122を有しており、この凹部122にパッケージ基板520が係合する。パッケージ基板520が凹部122に係合した状態では、パッケージ基板520の変位が規制されており、これにより、ステージ120に対するパッケージ基板520の位置決めが行われる。すなわち、凹部122は、パッケージ基板520をステージ120上の所定位置に載置するための位置決め手段を構成していると言える。
【0055】
なお、位置決め手段の構成としては、凹部122に限定されず、例えば、ステージ120の上面121から突出し、パッケージ基板520の周囲を囲むように形成された枠状の凸部などであってもよい。また、前記枠状の凸部の一部が欠損しているような構成であってもよい。
また、ステージ120は、赤外線IRを透過する赤外線透過性を有している。これにより、赤外線ランプ130からの赤外線IRを、ステージ120を介してパッケージ基板520に照射することができる。これにより、赤外線IRを接合部580の下側から、その下面に向けて照射することができるため、効率的に接合部580(第1、第2の接合部581、582)を加熱することができる。
【0056】
また、ステージ120の赤外線透過率は、高い程好ましく、具体的には、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、ステージ120によって反射、吸収される赤外線IRをより少なくすることができ、赤外線IRを効率的に接合部580に照射することができる。また、赤外線IRを吸収することによるステージ120の熱膨張を抑制することができ、パッケージ基板520を安定して載置することができる。
このようなステージ120は、例えば、前述したパッケージ基板520と同様の材料で構成されている。
【0057】
なお、ステージ120の構成材料としては、上記の材料に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀等の各種金属材料、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金(例えば、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム系合金等)または金属間化合物、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等の赤外線透過率の低い材料で構成されていてもよい。
【0058】
この場合には、ステージ120に赤外線IRを透過することのできる窓部を、当該窓部を透過した赤外線IRが接合部580に照射されるような形状で形成すればよい。窓部の構成としては、赤外線IRを透過することができれば特に限定されず、例えば、ステージ120を貫通する貫通孔であってもよいし、前記貫通孔に前述したような赤外線透過材料を充填したものであってもよい。
【0059】
[押圧手段140]
押圧手段140は、キャップ530をパッケージ基板520に向けて押圧する機能を有している。このような押圧手段140によって、キャップ530をパッケージ基板520に向けて押圧した状態にて赤外線IRを接合部580に照射することにより、第1、第2の接合部581、582を効率的に溶融することができるとともに、パッケージ基板520とキャップ530とをより強固に接合することができる。
【0060】
図6に示すように、押圧手段140は、パッケージ基板520上に載置されたキャップ530の上側に位置する押圧板141と、押圧板141を図6中上下方向に昇降させる昇降手段142とを有している。このような構成では、押圧板141をキャップ530に接触させた状態から、押圧板141をさらに下側へ移動させる力を昇降手段142によって加えることにより、簡単に、キャップ530をパッケージ基板520に押圧することができる。
【0061】
また、このような構成では、押圧板141は、パッケージ基板520を介して赤外線ランプ130と反対側に位置している。そのため、押圧板141は、接合部580への赤外線IRの照射を阻害しない。したがって、接合部580への赤外線IRの照射を確実に行うことができる。
また、押圧板141には、下面141aに開放する凹部143が形成されている。凹部143は、キャップ530に係合するように形成されており、押圧板141によってキャップ530をパッケージ基板520へ押圧するとともに、凹部143にキャップ530を係合させることにより、パッケージ基板520に対するキャップ530の位置決めを行うことができる。すなわち、押圧手段140は、パッケージ基板520に対するキャップ530の位置決めを行う位置決め手段を兼ねている。これにより、パッケージ基板520に対するキャップ530のズレが防止され、パッケージ基板520とキャップ530とを所望の位置関係にて接合することができる。
【0062】
本実施形態の凹部143の横断面形状(開口形状)は、キャップ530の頂面533の平面視形状と相似関係にある長方形をなしている。また、図7に示すように、凹部143の横断面積は、開口143a側から底面143b側に向けて漸減している。具体的には、開口143aの面積は、キャップ530の頂面533の面積よりも大きく、底面143bの面積は、キャップ530の頂面533の面積よりも小さい。また、開口143aおよび底面143bの縁同士を連結する側面143cは、平滑な傾斜面で構成されている。このような形状とすることにより、凹部143が簡単な構成となる。
【0063】
このような形状の凹部143では、キャップ530の頂面533が凹部143の厚さ方向の途中にて側面143cに当接することにより、凹部143に対するキャップ530の変位(頂面533の面方向への変位)が規制される(以下、この状態を「係合状態」とも言う)。キャップ530は、凹部143との係合状態にてパッケージ基板520上の所定位置に配置されるようになっており、これにより、押圧手段140によって、パッケージ基板520に対するキャップ530の位置決めが行われる。
【0064】
特に、凹部143の側面143cが平滑な傾斜面で構成されているため、仮に、パッケージ基板520上のキャップ530の位置が所定位置からずれていた場合でも、そのずれを修正し、キャップ530をパッケージ基板520上の所定位置に配置することができる。具体的には、所定位置からずれたキャップ530は、凹部143内に入り込むと頂面533が凹部143の側面143cに案内されることにより、頂面533の面方向へ変位し、最終的に、凹部143と係合した係合状態となる。そのため、パッケージ基板520上のキャップ530の位置が所定位置からずれていた場合でも、確実かつ円滑に、キャップ530をパッケージ基板520上の所定位置に移動させることができる。
なお、凹部143の形状としては、本実施形態の形状に限定されず、例えば、図8に示すように、キャップ530の外形形状に対応した形状を有していてもよい。
【0065】
[シャッター機構]
図6に示すように、シャッター機構150は、赤外線ランプ130とステージ120(パッケージ基板520)との間に設けられたシャッター部151と、シャッター部151を移動する移動手段152とを有している。このようなシャッター機構150は、移動手段152によってシャッター部151を移動することにより、赤外線ランプ130からの赤外線IRの通過を許容する開状態と、赤外線IRを遮断する閉状態とを選択することができるようになっている。すなわち、開状態では、赤外線ランプ130からの赤外線IRを接合部580へ照射することができ、閉状態では、赤外線ランプ130からの赤外線IRを接合部580に照射することができない。
【0066】
このようなシャッター機構150を有することにより、接合部580への赤外線IRの照射時間や照射タイミングを精度よくコントロールすることができる。すなわち、例えば、赤外線ランプ130のON/OFFの切り替えによっても、照射時間や照射タイミングをコントロールすることが可能であるが、赤外線ランプ130の反応速度が十分に早くなく、また、ON/OFFを切り替えた直後の駆動が不安定となり易い。そのため、赤外線ランプ130のON/OFFを切り替える方法では、赤外線IRの照射時間や照射タイミングを精度よくコントロールすることができないおそれがある。これに対して、シャッター機構150を用いれば、開状態/閉状態を反応よくかつ素早く切り替えることができるため、赤外線IRの照射時間や照射タイミングを精度よくコントロールすることができる。
なお、このようなシャッター機構150は、省略してもよく、この場合には、前述したように、赤外線ランプ130のON/OFFにより、赤外線IRの照射時間のコントロールを行うことができる。
【0067】
[マスク]
マスク160は、ステージ120とシャッター機構150との間に設けられている。このようなマスク160は、接合部580への赤外線IRの照射を許容するとともに、接合部580以外への赤外線IRの照射を抑制する機能を有している。これにより、接合部580以外の部位の過度な昇温、発熱を抑制することができるため、振動デバイス500が受ける熱ダメージを低減することができる。
【0068】
特に、パッケージ基板520に形成された接続端子541、542および外部実装端子551、552や、パッケージ基板520に固定された圧電素子590への赤外線IRの照射を防止することができ、接続端子541、542および外部実装端子551、552がパッケージ基板520から剥離したり、励振電極593、595が圧電基板591から剥離したり、圧電基板591に歪みが生じたりするのを効果的に防止または抑制することができる。
【0069】
図9に示すように、マスク160は、板状(シート状)の基板161と、基板161上に形成された膜162とで構成されている。
基板161は、赤外線透過性を有している。基板161の赤外線透過性は、高い程よく、具体的には、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。このような基板161の構成材料としては、例えば、前述したパッケージ基板520と同様の材料を用いることができる。
【0070】
膜162は、基板161の下面(赤外線ランプ130側の面)に形成されている。膜162は、赤外線IRを吸収、反射する性質を有する。言い換えれば、膜162は、赤外線IRをほとんど透過しない。膜162の赤外線透過率は、低い程よく、具体的には、20%以下であるが好ましく、10%以下であるのが好ましい。このような膜162の構成材料としては、上述した性質を発揮することができれば、特に限定されないが、例えば、前述した接合部580(第1の接合部581および第2の接合部582)や反射膜570と同様の材料を用いることができる。
【0071】
また、膜162には、接合部580の平面視形状(パターン)に対応した、具体的には、接合部580の平面視形状とほぼ等しい形状の光透過部162aが形成されている。光透過部162aは、膜162を貫通する貫通孔で構成されている。このような構成とすることにより、マスク160を透過した赤外線IRは、接合部580の平面視形状に対応したものとなり、これにより、接合部580に赤外線IRを選択的に照射することができる。そのため、前述したように赤外線IRによる接合部580以外の部位の過度な昇温、発熱を抑制することができ、振動デバイス500が受ける熱ダメージを低減することができる。
なお、マスクの構成としては、上述のような機能を発揮することができれば、本実施形態のものに限定されず、例えば、赤外線吸収性を有する基板に、接合部580の平面視形状に対応した貫通孔を形成した構成であってもよい。
以上、接合装置100の構成について、詳細に説明した。
【0072】
3.接合方法
次に、接合装置100を用いたパッケージ基板520とキャップ530との接合方法(本発明の接合方法)について説明する。
パッケージ基板520とキャップ530との接合方法は、凹部531の開口を塞ぐようにキャップ530をパッケージ基板520に載置するとともに、接合部580(第1、第2の接合部581、582)を凹部531の周囲であってキャップ530とパッケージ基板520との間に介在させ、パッケージ基板520の下側(キャップ530と反対側)から接合部580へ向けて赤外線IRを照射し、接合部580がパッケージ基板520を透過した赤外線IRの少なくとも一部を吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した接合部580を介してキャップ530とパッケージ基板520とを接合する。
【0073】
以下、詳細に説明する。
[工程1]
まず、ステージ120上にパッケージ基板520を載置する。パッケージ基板520には、すでに、導電性接着剤561、562を介して圧電素子590が固定されているとともに、接続端子541、542、外部実装端子551、552および前記導体ポストが形成されている。なお、前述したように、外部実装端子551、552が、平面視にて、接合部580と重なる場合には、外部実装端子551、552を形成しておかない方が好ましい。
【0074】
[工程2]
次に、ステージ120上に載置されたパッケージ基板520上にキャップ530を載置する。これにより、凹部531内に圧電素子590が収納されるとともに、凹部531の開口がパッケージ基板520によって塞がれる。また、第1の接合部581と第2の接合部582とが重なり合う。
【0075】
[工程3]
次に、チャンバー110内を所定環境とする。前記所定環境とは、特に限定されず、例えば、チャンバー110内を真空下(例えば、真空度が4〜10Pa程度の環境下)としてもよいし、チャンバー110内の気体をNガスに置換してもよいし、He、Ne、Ar、Xe等の不活性ガス(希ガス)に置換してもよい。これにより、振動デバイス500の収納空間3をチャンバー110内と同じ環境とすることができるため、振動デバイス500の振動特性や信頼性を向上させることができる。
【0076】
[工程4]
次に、マスク160を所定位置に配置する。具体的には、マスク160をステージ120の下側であって、平面視にて、光透過部162aが接合部580と重なるように配置する。マスク160の配置は、例えば、パッケージ基板520の下面に形成された基準マークをカメラで視認しながら、マスク160をパッケージ基板520に対して位置決めすることにより行うことができる。
【0077】
[工程5]
次に、シャッター部151が閉状態として、赤外線ランプ130を駆動し、赤外線ランプ130の駆動が安定するまで待機する。なお、この状態では、赤外線ランプ130からの赤外線IRは、シャッター部151によって遮断されるため、接合部580に照射されない。
【0078】
[工程6]
次に、シャッター部151を開状態として、赤外線IRをステージ120およびパッケージ基板520を介して接合部580(第1、第2の接合部581、582)に照射する。すると、第1の接合部581が赤外線IRを吸収して発熱するとともに、第2の接合部582が第1の接合部581から伝達された熱により加熱されつつ赤外線IRを吸収して発熱する。これにより、第1、第2の接合部581、582が共に溶融し、その結果、キャップ530とパッケージ基板520とが接合される。
【0079】
特に、このような方法によれば、赤外線IRの照射が、接合部580の全周に対して同時に行われ、キャップ530の下面532の全周をほぼ同時にパッケージ基板520に接合することができる。そのため、接合部580の一部に熱が局所的に発生することがないため、歪み(撓み)の発生を抑制しつつ、キャップ530とパッケージ基板520とを接合することができる。
【0080】
このような接合方法(本発明の接合方法)は、赤外線吸収熱によってキャップ530をパッケージ基板520に溶接するため、次のような効果を発揮することができる。
第1に、前述したように、歪み(撓み)の発生を抑制しつつ、キャップ530とパッケージ基板520とを接合することができる。また、第2に、赤外線IRの照射温度が比較的低いため、キャップ530の熱酸化を効果的に抑制することができ、良好な外観を有するケーシング510(振動デバイス500)を得ることができる。また、第3に、非接触でキャップ530とパッケージ基板520とを接合することができるため、キャップ530およびパッケージ基板520の小型化にも、簡単に、対応することができる。
【0081】
<第2実施形態>
次に、本発明の接合方法および接合装置の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る接合装置が有する第2のマスクを示す平面図および断面図である。
以下、第2実施形態の接合方法および接合装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる接合方法および接合装置は、マスクを2種類用いる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0082】
1.接合装置
本実施形態の接合装置100では、第1のマスク160と、第2のマスク170Aとを有している。第1のマスク160は、パッケージ基板520とキャップ530の本接合に用いるマスクであり、第2のマスク170Aは、パッケージ基板520とキャップ530の仮接合に用いるマスクである。なお、第1のマスク160は、前述した第1実施形態のマスク160と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0083】
第2のマスク170Aは、光透過部172aAの形状が異なる以外は、第1のマスク160Aと同様の構成である。すなわち、第2のマスク170Aは、図10(a)、(b)に示すように、板状の基板171Aと、基板171Aの下面に形成された膜172Aとを有している。また、膜172Aには、貫通孔で構成された光透過部172aAが形成されている。
【0084】
光透過部172aAは、接合部580の4つの角部(4隅)に対応するように形成されている。そのため、第2のマスク170Aを透過した赤外線IRは、実質的に、接合部580の各角部にだけ照射され、それ以外の領域には照射されない。すなわち、第2のマスク170Aを介して赤外線IRを接合部580に照射すると、その各角部に位置する第1、第2の接合部581、582が溶融し、各角部にてパッケージ基板520とキャップ530とが仮接合された状態となる。このような仮接合を行うことにより、パッケージ基板520およびキャップ530の歪み(撓み)の発生を、より効果的に、抑制することができる。
【0085】
2.接合方法
本実施形態の接合装置100を用いた接合方法(本発明の接合法)は、第2のマスク170Aを介して接合部580に赤外線IRを照射する第1の赤外線照射工程と、第1のマスク160Aを介して接合部580に赤外線IRを照射する第2の赤外線照射工程とを有している。
【0086】
[第1の赤外線照射工程]
まず、赤外線ランプ130とステージ120との間に第2のマスク170Aを配置し、第2のマスク170Aを透過した赤外線IRを接合部580に照射する。これにより、第1、第2の接合部581、582の各角部が溶融し、当該部分にて、パッケージ基板520とキャップ530とが接合される。
【0087】
これにより、パッケージ基板520とキャップ530とが仮止めされ、後の第2の赤外線照射工程における赤外線IRの照射の際に、パッケージ基板520およびキャップ530の熱による撓みにより第1の接合部581と第2の接合部582との間に隙間が生じるのをより確実に防止または抑制することができる。特に、仮接合にて接合する部位が、接合部580の周方向に間隔を隔てて複数個所設定されているため、上述した効果をより効果的に発揮することができる。
【0088】
なお、本工程における赤外線IRの照射時間は、特に限定されないが、第2の赤外線照射工程における赤外線IRの照射時間よりも短いことが好ましい。これにより、パッケージ基板520およびキャップ530の過度な昇温を防止でき、パッケージ基板520およびキャップ530の撓みをより確実に抑制しつつ、パッケージ基板520とキャップ530とを仮接合することができる。
【0089】
[第2の赤外線照射工程]
次に、第2のマスク170Aを第1のマスク160と交換し、赤外線ランプ130とステージ120との間に第1のマスク160を配置する。次に、第1のマスク160を透過した赤外線IRを接合部580に照射する。これにより、第1、第2の接合部581、582の全域(第1の赤外線照射工程にて溶融した各角部を除く部分)が溶融し、第1、第2の接合部581、582の全周にて、パッケージ基板520とキャップ530とが接合される。
【0090】
なお、本実施形態では、第2の赤外線照射工程にて接合部580の周方向の全域に赤外線IRを照射しているが、赤外線IRの照射領域は、これに限定されず、第1の赤外線照射工程にて赤外線IRが照射され溶融した部分を除く領域にのみ赤外線IRを照射してもよい。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0091】
<第3実施形態>
次に、本発明の接合方法および接合装置の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る接合装置が有するマスクの断面図である。
以下、第3実施形態の接合方法および接合装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0092】
本発明の第3実施形態にかかる接合方法および接合装置は、マスクの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図11に示すように、本実施形態の接合装置100が有するマスク160Bの光透過部162aBの幅D1が、接合部580(第1、第2の接合部581、582)の幅D2よりも小さい。幅D1としては、特に限定されないが、0.5D2以上、0.8D2以下程度であるのが好ましい。また、マスク160Bの外周縁と、接合部580の外周縁とが一致している。
【0093】
このようなマスク160Bを介して接合部580に赤外線IRを照射すると、第1、第2の接合部581、582の内周縁部には、実質的に赤外線IRが照射されず、当該部分の過度な昇温が防止または抑制される。そのため、例えば、溶融した第1、第2の接合部581、582が微粒子として、収納空間3内に飛散する、いわゆるスプラッシュを防止または抑制することができる。
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0094】
<第4実施形態>
次に、本発明の接合方法および接合装置の第3実施形態について説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る接合装置の概略図である。
以下、第4実施形態の接合方法および接合装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0095】
本発明の第4実施形態にかかる接合方法および接合装置は、一度に複数のキャップ530を接合すること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図12に示すように、本実施形態の接合装置100では、ステージ120には、複数(本実施形態では2個)のパッケージ基板520を個片化することのできる大きさの基板200を載置する。この基板200には、2つの圧電素子590が固定されているとともに、これらの周囲に2つの第1の接合部581が形成されている。また、押圧板141には、2つの圧電素子590に対応するように、2つの凹部143が形成されている。
【0096】
このような接合装置100では、基板200上に、各圧電素子590を覆うように2つのキャップ530を配置して、2つのキャップ530を同時に基板200に接合する。そして、接合が終了した後に、例えば、ダイシングソーなどにより基板200を個片化することにより、2つの振動デバイス500を得ることができる。
以上のような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の接合方法および接合装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100…接合装置 110…チャンバー 120…ステージ 121…上面 122…凹部 130…赤外線ランプ 140…押圧手段 141…押圧板 141a…下面 142…昇降手段 143…凹部 143a…開口 143b…底面 143c…側面 150…シャッター機構 151…シャッター部 152…移動手段 160…マスク 160A…第1のマスク 160B…マスク 161…基板 162…膜 162a…光透過部 162aB…光透過部 170A…第2のマスク 171A…基板 172A…膜 172aA…光透過部 200…基板 3…収納空間 500…振動デバイス 510…ケーシング 520…パッケージ基板 521…上面 530…キャップ 531…凹部 532…下面 533…頂面 541…接続端子 542…接続端子 551…外部実装端子 552…外部実装端子 561…導電性接着剤 562…導電性接着剤 570…反射膜 580…接合部 581…第1の接合部 582…第2の接合部 590…圧電素子 591…圧電基板 593…励振電極 593a…電極部 593b…ボンディングパッド 593c…配線 595…励振電極 595a…電極部 595b…ボンディングパッド 595c…配線 D1…幅 D2…幅 IR…赤外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体および赤外線透過性を有する基体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合方法であって、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、赤外線吸収性を有する枠状の接合部を前記凹部の周囲であって前記蓋体と前記基体との間に介在させ、
前記基体の前記蓋体と反対側から前記接合部へ向けて赤外線を照射し、前記接合部が前記基体を透過した前記赤外線の少なくとも一部を吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した前記接合部を介して前記凹部の周囲にて前記蓋体と前記基体とを接合することを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記接合部と前記蓋体との間には、赤外線を反射する反射部が設けられている請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記赤外線の照射は、前記接合部のパターンに対応した赤外線透過部を有するマスクを介して行われる請求項1または2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記赤外線の照射は、前記接合部の周方向の全域に対して同時に行われる請求項1ないし3のいずれかに記載の接合方法。
【請求項5】
前記赤外線を発生する光源と前記基体との間に、前記赤外線の通過を許容する状態と前記赤外線を遮断する状態とを選択することのできるシャッター部が配置されている請求項1ないし4のいずれかに記載の接合方法。
【請求項6】
前記基体および前記蓋体のうちの少なくとも一方を他方に向けて押圧した状態で、前記赤外線を照射する請求項1ないし5のいずれかに記載の接合方法。
【請求項7】
前記蓋体を前記基体に向けて押圧する押圧手段を有し、
前記押圧手段は、前記蓋体を前記基体に向けて押圧するとともに、前記基体に対する前記蓋体の位置決めを行う押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記蓋体を前記基体に向けて押圧する際に前記蓋体と係合する係合部を有し、前記基体に向けて押圧しつつ前記蓋体を前記係合部に係合させることにより、前記基体に対する前記蓋体の位置決めを行う請求項6に記載の接合方法。
【請求項8】
蓋体および赤外線透過性を有する基体のうちの少なくとも一方に凹部が形成されており、前記凹部の開口を塞ぐように前記基体と前記蓋体とを接合する接合装置であって、
赤外線を出射する光源を有し、
前記凹部の開口を塞ぐように前記蓋体を前記基体に載置するとともに、赤外線吸収性を有する枠状の接合部を前記凹部の周囲であって前記蓋体と前記基体との間に介在させた状態にて、
前記光源からの前記赤外線を前記基体の前記蓋体と反対側から前記接合部へ向けて照射することにより、前記接合部が前記基体を透過した前記赤外線の少なくとも一部を吸収することにより発熱し、該発熱によって溶融した前記接合部を介して前記凹部の周囲にて前記蓋体と前記基体とを接合するよう構成されていることを特徴とする接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−42003(P2013−42003A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178338(P2011−178338)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)