説明

接合機へのナット供給装置

【課題】保持ピン先端の揺れを効果的に防止することで、該保持ピンに保持したナットを溶接機などの接合機の位置決めピンに確実に嵌め合わせることができる接合機へのナット供給装置を提供。
【解決手段】傾斜シュート12及び湾曲シュート13と、案内ロッド20及び案内ロッド20を斜下方へ往復移動させる駆動手段25は、支持部材33に水平支持軸35を介して回動調整可能に取り付けられた架台22に設置され、支持部材33は接合機1の本体アーム2に連結固定される。案内ロッド20が斜下方へ前進移動したとき、該案内ロッド20の前端に突設した保持ピン21が支持機構40に支持されているナットのねじ孔に貫通して、串刺し状に保持すると共に、保持ピン21の先端が位置決めピン5の先端に接近移動し、保持ピン21に保持されているナットのねじ孔を位置決めピン5に嵌め合わせて供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板に固着する溶接ナットやクリンチナットを、接合機であるスポット溶接機や自動かしめ機に自動供給する接合機へのナット供給装置に関するものであり、特に呼び径がM1.6前後の微小径の溶接ナットやクリンチナットを確実に、かつ自動的に供給するのに適した接合機へのナット供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポット溶接機へのナット供給装置として、複数のナットが同じ向きに並列して連続的に供給される下向きに傾斜した供給シュートの終端にナット送出口が設けられ、該ナット送出口と交叉して斜下方へ往復移動可能に配設された案内ロッドの前端に、前記ナット送出口に支持されている前記ナットのねじ孔に貫通して、該ナットを串刺し状に保持する保持ピンが突設されていて、前記案内ロッドが斜下方へ前進移動し、前記保持ピンの先端が接合機の接合位置に接近移動したとき、該保持ピンに保持されている前記ナットが前記接合位置に設けた位置決めピンに嵌め合わせて供給される構成としたものは、従来技術として知られている(特許文献1〜2参照)。
【0003】
上記従来のナット供給装置により供給される溶接ナットの用途は主として自動車産業分野であり、ねじの呼び径がM6〜M12であった。このためナットのねじ孔に貫通して該ナットを保持する前記保持ピンの径は比較的大きく、該保持ピン先端の揺れによる前記ナットの前記位置決めピンに対する嵌め合わせに支障を来たすことは無かった。
【0004】
しかし、供給されるナットの呼び径がM1.6前後の微小径の場合、そのねじ孔の孔径も1mm前後の小径であるため、前記保持ピンも細くなり、該保持ピン先端の揺れによって、溶接機側の位置決めピンに対するナットの嵌め合わせができないおそれがあった。しかも、この種のナット供給装置は、溶接機の近くに設置した架台に取り付けられるため、溶接機側、あるいは架台側に工場内の振動が伝達されると、該振動により前記保持ピンの先端に微妙な揺れが生じるので、該保持ピン先端の揺れによる前記位置決めピンへのナットの嵌め合わせに支障を来たすという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、前記保持ピン先端の揺れを効果的に防止することで、上記の問題点を解決し、該保持ピンに保持したナットを溶接機などの接合機の位置決めピンに確実に嵌め合わせることができる接合機へのナット供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のナットが同じ向きに並列して連続的に供給される下向きに傾斜した供給シェートの終端にナット送出口が設けられ、該ナット送出口と交叉して斜下方へ往復移動可能に配設された案内ロッドの前端に、前記ナット送出口に支持されている前記ナットのねじ孔に貫通して、該ナットを串刺し状に保持する保持ピンが突設されていて、前記案内ロッドが斜下方へ前進移動し、前記保持ピンの先端が接合機の接合位置に接近移動したとき、該保持ピンに保持されている前記ナットが前記接合位置に設けた位置決めピンに嵌め合わせて供給される構成とした接合機へのナット供給装置であって、前記供給シュートは、上端に前記ナットの接合面を上向きの姿勢で送り込むナット送入口を有し、斜下方へ傾斜する傾斜シュートと、該傾斜シュートの下端に連結されて斜下方へ弧状に湾曲する湾曲シュートとで構成され、前記湾曲シュートの終端に設けた前記ナット送出口に、送り込まれてきた前記ナットをその接合面が前記案内ロッドの軸線に対してほぼ直交する斜下向きの姿勢で支持するナット支持機構が設けられており、前記傾斜シュート及び前記湾曲シュートと、前記案内ロッド及び該案内ロッドを斜下方へ往復移動させる駆動手段は、支持部材に水平支持軸を介して回動調整可能に取り付けられた架台に設置され、かつ、前記支持部材は前記接合機に連結固定される構成であり、前記案内ロッドが斜下方へ前進移動したとき、前記保持ピンが前記支持機構に支持されている前記ナットのねじ孔に貫通して、前記ナットを串刺し状に保持すると共に、該保持ピンの先端が前記位置決めピンの先端に接近移動し、該保持ピンに保持されている前記ナットのねじ孔を前記位置決めピンに嵌め合わせて供給することを特徴とする接合機へのナット供給装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記案内ロッド及び該案内ロッドを斜下方へ往復移動させる駆動手段が、前記架台に設置され、かつ、前記傾斜シュート及び前記湾曲シュートが、前記架台に第2の水平支持軸を介して回動調整可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記ナット支持機構が、前記ナットを所定位置において支持する開閉可能な一対の係止爪体を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記案内ロッドの駆動手段がエアシリンダであって、前記案内ロッドの斜下方への前進位置を該案内ロッドに嵌装したストッパが前記架台に当接することにより規制して、前記案内ロッドの前端に突設した前記保持ピンの先端に前記接合装置の位置決めピンの先端に正確に接近移動するように調整されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記傾斜シュートのナット通過溝が上面側に開口して設けられていて、前記ナット通過溝内に位置しているナットがを目視可能な構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のナット供給装置は、ナットの供給シュートが、上端に前記ナットの接合面を上向きの姿勢で送り込むナット送入口を有し、斜下方へ傾斜する傾斜シュートと、該傾斜シュートの下端に連結されて斜下方へ弧状に湾曲する湾曲シュートとで構成されているので、前記湾曲シュートを前記接合機の作動に干渉することなく接合位置に接近して配設することが可能となり、該湾曲シュートの終端に設けた前記ナット送出口から前記接合位置に設けた前記位置決めピンまでの離間距離を最小限度まで短くして、前記案内ロッドの前進移動距離を短くすることにより、該案内ロッドの前端に突設した細い前記保持ピンの先端の揺れを防止すると共に、前記傾斜シュート及び前記湾曲シュートと、前記案内ロッド及び該案内ロッドを斜下方へ往復移動させる駆動手段を設置する前記架台が、前記支持部材を介して前記接合機に連結固定されているので、振動による相互間の離間距離の微小な変位を防止することができ、前記案内ロッドの前端に突設した前記保持ピン先端の振動による揺れを効果的に防止することによって、前記保持ピンに保持した前記ナットを前記位置決めピンに確実に嵌め合わせることができるという効果を奏する。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、前記湾曲シュートの終端に設けた前記ナット送出口の位置を前記保持ピンに対して容易に微調整することができ、使用、取扱いに便利である。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、前記ナット送出口に送り込まれた最先のナットを所定位置において正確に支持し、前記保持ピンによる前記ナットの保持が確実にできる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、前記案内ロッドの駆動手段としてエアシリンダを採用した場合において、前記案内ロッドに嵌装した前記ストッパにより、前記案内ロッドの前端に突設した前記保持ピンの前進位置を正確に調整することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、前記傾斜シュートに送り込まれた前記ナットが正しい姿勢で給送されているか否かを目視によって容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のナット供給装置をスポット溶接機に適用した実施例1を示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1の2−2線に沿う断面拡大図である。
【図3】図1の3−3線に沿う断面拡大図である。
【図4】図1の要部拡大縦断面図である。
【図5】図4の5−5線に沿う矢視図で、ナット支持機構の正面図である。
【図6】図5の破線で示す円形部分の拡大図である。
【図7】図5の7−7線に沿う矢視図で、ナット支持機構の平面図である。
【図8】図7の破線で示す円形部分の拡大図である。
【図9】同上ナット支持機構の作動状態を示す平面図である。
【図10】図9の破線で示す円形部分の拡大図である。
【図11】図1に示した本発明のナット供給装置の保持ピンに保持した溶接ナットがスポット溶接機の接合位置に設けた位置決めピンに嵌め合わされる工程を示す説明図で、(a)は保持ピンが位置決めピンに接近移動した状態を示し、(b)は保持ピンに保持したナットが位置決めピンに嵌め合わされる状態を示し、(c)は位置決めピンに対するナットの嵌め合わせが完了した状態を示している。
【図12】本発明のナット供給装置を自動かしめ機にクリンチナットを供給するのに適用した実施例2に係る保持ピンが位置決めピンに接近移動した状態を示す説明図である。
【図13】同上保持ピンに保持したクリンチナットが位置決めピンに嵌め合わされる状態を示す説明図である。
【図14】同上位置決めピンに嵌め合わされたクリンチナットをかしめて金属薄板に固着するかしめ工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1ないし図11は、本発明のナット供給装置をスポット溶接機における溶接ナットの供給に適用した実施の形態を示している。
【0019】
スポット溶接機1は、本体の支持アーム2に固定された下側電極3と、該下側電極3に対向して配置され上下往復動する上側電極4とを備えている。下側電極3の上端部には後述する溶接ナット60を嵌め合わせて支持する位置決めピン5が設けられている。該位置決めピン5は、図11(a)に示されている。該位置決めピン5は、図11(a)に示されているように、下側電極3に上下動可能に嵌挿されていて、押しばね6により上方へ突出勝手に付勢されている。
【0020】
溶接ナット(以下、ナットという)60はステンレス鋼製で、呼び径がM1.6前後の微小サイズで、そのねじ孔61の内径も1.0mm前径の微小径であり、接合面62に複数の溶接突起63が突設されている(図2〜図4参照)。
【0021】
ナット供給装置10の主要部を構成し、ナット60を連続的に案内給送する供給シュート11は、上端にナット送入口14を有し、斜下方へ傾斜して配設される傾斜シュート12と、該傾斜シュート12の下端に連結されて斜下方へ弧状に湾曲する湾曲シュート13とで構成され、湾曲シュート13の終端にナット送出口15が設けられている。
【0022】
傾斜シュート12は、図2に示されているように、ナット通過溝16が上面側に開口して設けられていて、ナット60がその接合面62を上向きの姿勢でナット送入口14から連続的に送り込まれ、ナット通過溝16内を通過するナット60が目視により容易に確認できる構造になっている。ナット通過溝16の開口は蓋板17で部分的に覆われていて、ナット60が不測にナット通過溝16から脱落するのを防止している。
【0023】
湾曲シュート13は、図3に示されているように、ナット通過溝18が側面側に開口して設けられていて、傾斜シュート12を通じて送り込まれるナット60がその接合面62を徐々に斜下向きの姿勢に変えながらナット送出口15に送り込まれるようになっている(図4参照)。ナット通過溝18の開口も蓋板19で部分的に覆われていて、ナット60が不測にナット通過溝18から脱落するのを防止している。
【0024】
湾曲シュート13の終端部には、後述するように、ナット送出口15に送り込まれたナット60を所定位置に支持するナット支持機構40が設けられている。
【0025】
ナット送出口15と交叉して斜下方へ往復移動可能に配設される案内ロッド20の前端には、ナット送出口15に支持されているナット60のねじ孔61に貫通して、該ナット60を串刺し状に保持する保持ピン21が突設されている。該案内ロッド20は、架台22の前壁板23にブッシュ24を介して軸方向へ摺動自在に貫通して支承され、その後端部は架台22の後部に固装したエアシリンダ25のピストンロッド26に調節接続具27を介して連動連結され、エアシリンダ25によって軸方向へ往復移動されるようになっている。また、案内ロッド20の後端部に嵌挿したストッパ28が案内ロッド20の前進移
動時に架台22の前壁板23に当接して、該案内ロッド20の前進位置を正確に規制している。架台22には傾斜シュート12と湾曲シュート13を支持するブラケット29が固着して立設されている。
【0026】
傾斜シュート12と湾曲シュート13は、傾斜シュート12の中間部位に取付け固定した支持ブラケット30が水平支持軸を兼ねるボルト・ナット31を介してブラケット29に連結支持され、架台22に対してボルト・ナット(第2の水平支持軸)31を支点に回動調整可能に取り付けられ、湾曲シュート13の終端に設けたナット送出口15の位置を案内ロッド20前端の保持ピン21に対して容易に微調整できるようになっている。また、架台22には支持部材33に支持させるための支持ブラケット32が取付け固定されている。
【0027】
支持部材33には、架台22を支持するブラケット34が固着して立設されていて、架台22の支持ブラケット32が水平支持軸を兼ねるボルト・ナット35を介してブラケット34に連結支持され、架台22が支持部材33に対してボルト・ナット(第1の水平支持軸)35を支点に回動調整可能に取り付けられている。
【0028】
支持部材33は、スポット溶接機1の支持アーム2にクランプ36を介して取付け固定される。したがって、傾斜シュート12及び湾曲シユート13と、案内ロッド20及びその駆動手段であるエアシリンダ25を設置する架台22が支持部材33を介して直接、スポット溶接機1に連結固定されている。そして、架台22を第1の水平支持軸を兼ねるボルト・ナット35を支点に回動調整することによって、案内ロッド20の前進移動時に、保持ピン21の先端を位置決めピン5の先端に正確に接近移動させることができるようになっている。
【0029】
湾曲シュート13の終端部に設けられるナット支持機構40について、図4ないし図10を参照して説明する。該ナット支持機構40は、湾曲シュート13の終端部に固着して、ナット送出口15の底部側を覆うL字形の取付ブラケット41を含んでいる。該取付ブラケット41にはナット送出口15に合致する通孔42が設けられている。また、取付ブラケット41の底部にはタッチセンサ43が絶縁体44を介して嵌挿されていて、ナット送出口15に送り込まれてきた最先のナット60がタッチセンサ43に当接して検出されると共に、当接支持される。さらに、取付ブラケット41には、ナット送出口15の両側に配設される一対の係止爪体45,45が枢支ピン46,46を介して回動可能に取り付けられている。両係止爪体45,45は相対向する前部が先細に形成されていると共に、ナット送出口15に位置しているナット60の両側部分が係合して支持される係止凹部47,47が相対向して設けられている。両係止爪体45,45の外側端には前方へ延びるアーム48,48が固着されていて、両アーム48,48に掛張した引張りばね49により、図7及び図8に示すように、両係止爪体45,45の前端が相対向して接近する閉じ位置に付勢されている。図中50,50は、両係止爪体45,45が当接して閉じ位置に停止するように規制するストッパピンで、調整ねじピンの形態として取付ブラケット41に装着されている。
【0030】
両係止爪体45,45が閉じ位置にあるとき、ナット送出口15に送り込まれてタッチセンサ43に当接支持されたナット60の両側部分が係止凹部47,47に係合して、ナット60がナット送出口15から脱落するのを阻止している。一方、案内ロッド20が斜下方へ前進移動したとき、前端に突設した保持ピン21がナット送出口15に支持されているナット60のねじ孔61に貫通して、該ナット60を串刺し状に保持すると共に、前進移動すると、図9及び図10に示すように、保持ピン21に保持されているナット60で両係止爪体45,45を引張りばね49に抗して押し開げ、通孔42を通じて湾曲シュート13から押し出される。さらに、案内ロッド20が斜下方へ前進移動すると、図11に示すように保持ピン21の先端がスポット溶接機1の位置決めピン5の先端に接近した位置で案内ロッド20は停止する(図11(a)参照)。続いて図11(b)に示すように、保持ピン21に保持されているナット60が慣性力を伴う自重により落下移動して、そのねじ孔61を位置決めピン5に嵌め合わせて供給される。
【0031】
然るのち、案内ロッド20が、図1及び図4に実線で示す位置まで後退移動して停止し、次のナット供給に備える。
【0032】
一方、図11(c)に示すように位置決めピン5にナット60が嵌め合わせられると、上側電極4が下降し、ナット60を位置決めピン5と共に押し下げ、予め、位置決めピン5に嵌め合わせて下側電極3に載置されている金属薄板65にナット60を押圧した状態で通電し、溶接突起63を溶着してナット60が金属薄板65に溶接される。
【実施例2】
【0033】
図12ないし図14は、本発明のナット供給装置を自動かしめ機にクリンチナット80を供給するのに適用した実施の形態を示している。ナット供給装置自体の構成は上記した実施例1と同じであるので説明は省略する。
【0034】
図12は、自動かしめ機の主要部であるかしめダイス71と、該かしめダイス71の上方に対向して配置され、プレス機等により上下動されるかしめパンチ72を示している。かしめダイス71には、位置決めピン73が上下摺動可能に嵌挿されている。該位置決めピン73は、図14に示されているように、かしめダイス71に内装した押しばね74によって、上方へ付勢されている。
【0035】
また、かしめダイス71の上端面には、かしめ作業凹部75が設けられている。
【0036】
クリンチナット80はステンレス鋼製で、締付け座面側にかしめ用円筒部82がねじ孔81と同心状に突設されており、ねじ呼び径M1.6前後の微小ねじである。
【0037】
図12に示すように、案内ロッド20が斜下方に前進移動し、クリンチナット80のねじ孔81に貫通して該クリンチナット80を串刺し状に保持する保持ピン21が位置決めピン73の先端に接近した位置で停止すると、保持ピン21に保持さているクリンチナット80が慣性力を伴う自重により落下移動して、図13に示すように、そのねじ孔81をかしめ用円筒部82側から位置決めピン73に嵌め合わせて供給される。続いて、案内ロッド20が待機位置まで後退移動する。
【0038】
一方、位置決めピン73には予め、金属薄板85に設けた取付孔86を嵌め合わせてかしめダイス71の上端面に金属薄板85が載置されていて、図14に示すように、かしめパンチ72が下降してクリンチナット80を位置決めピン73と共に押し下げ、クリンチナット80のかしめ用円筒部82が取付孔86を貫通した後、さらにかしめパンチ72でクリンチナット80を押圧すると、かしめ用円筒部82が位置決めピン73の下拡がりの円錐台形状側面76により半径方向へかしめ変形されてクリンチナット80が金属薄板85にかしめ結合される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、呼び径がM1.6前後の微小サイズの溶接ナット又はクリンチナットを接合機であるスポット溶接機又は自動かしめ機に供給するのに好適である。
【符号の説明】
【0040】
1 スポット溶接機
2 支持アーム
3 下側電極
4 上側電極
5 位置決めピン
10 ナット供給装置
11 供給シュート
12 傾斜シュート
13 湾曲シユート
14 ナット送入口
15 ナット送出口
16,18 ナット通過溝
17,19 蓋板
20 案内ロッド
21 保持ピン
22 架台
23 前壁板
25 エアシリンダ
28 ストッパ
29 ブラケット
30 支持ブラケット
31 ボルト・ナット(第2の水平支持軸)
32 支持ブラケット
33 支持部材
34 ブラケット
35 ボルト・ナット(第1の水平支持軸)
36 クランプ
40 ナット支持機構
41 取付ブラケット
42 通孔
43 タッチセンサ
45 係止爪体
46 枢支ピン
47 係止凹部
48 アーム
49 引張りばね
50 ストッパピン
60 溶接ナット(ナット)
61 ねじ孔
62 接合面
63 溶接突起
65 金属薄板
71 かしめダイス
72 かしめパンチ
73 位置決めピン
80 クリンチナット
81 ねじ孔
82 かしめ用円筒部
85 金属薄板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特公昭47−41655号公報
【特許文献2】実開昭49−30534号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナットが同じ向きに並列して連続的に供給される下向きに傾斜した供給シェートの終端にナット送出口が設けられ、該ナット送出口と交叉して斜下方へ往復移動可能に配設された案内ロッドの前端に、前記ナット送出口に支持されている前記ナットのねじ孔に貫通して、該ナットを串刺し状に保持する保持ピンが突設されていて、前記案内ロッドが斜下方へ前進移動し、前記保持ピンの先端が接合機の接合位置に接近移動したとき、該保持ピンに保持されている前記ナットが前記接合位置に設けた位置決めピンに嵌め合わせて供給される構成とした接合機へのナット供給装置であって、
前記供給シュートは、上端に前記ナットの接合面を上向きの姿勢で送り込むナット送入口を有し、斜下方へ傾斜する傾斜シュートと、該傾斜シュートの下端に連結されて斜下方へ弧状に湾曲する湾曲シュートとで構成され、
前記湾曲シュートの終端に設けた前記ナット送出口に、送り込まれてきた前記ナットをその接合面が前記案内ロッドの軸線に対してほぼ直交する斜下向きの姿勢で支持するナット支持機構が設けられており、
前記傾斜シュート及び前記湾曲シュートと、前記案内ロッド及び該案内ロッドを斜下方へ往復移動させる駆動手段は、支持部材に水平支持軸を介して回動調整可能に取り付けられた架台に設置され、かつ、前記支持部材は前記接合機に連結固定される構成であり、 前記案内ロッドが斜下方へ前進移動したとき、前記保持ピンが前記支持機構に支持されている前記ナットのねじ孔に貫通して、前記ナットを串刺し状に保持すると共に、該保持ピンの先端が前記位置決めピンの先端に接近移動し、該保持ピンに保持されている前記ナットのねじ孔を前記位置決めピンに嵌め合わせて供給することを特徴とする接合機へのナット供給装置。
【請求項2】
前記案内ロッド及び該案内ロッドを斜下方へ往復移動させる駆動手段は、前記架台に設置され、かつ、前記傾斜シュート及び前記湾曲シュートは、前記架台に第2の水平支持軸を介して回動調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の接合機へのナット供給装置。
【請求項3】
前記ナット支持機構は、前記ナットを所定位置において支持する開閉可能な一対の係止爪体を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の接合機へのナット供給装置。
【請求項4】
前記案内ロッドの駆動手段がエアシリンダであって、前記案内ロッドの斜下方への前進位置を該案内ロッドに嵌装したストッパが前記架台に当接することにより規制して、前記案内ロッドの前端に突設した前記保持ピンの先端に前記接合装置の位置決めピンの先端に正確に接近移動するように調整されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の接合機へのナット供給装置。
【請求項5】
前記傾斜シュートのナット通過溝が上面側に開口して設けられ、前記ナット通過溝内に位置しているナットが目視可能な構造であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の接合機へのナット供給装置。
【請求項6】
前記接合機がスポット溶接機である請求項1ないし5のいずれかに記載の接合機へのナット供給装置。
【請求項7】
前記接合機がクリンチナットの自動かしめ機である請求項1ないし5のいずれかに記載の接合機へのナット供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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